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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-09
(45)【発行日】2024-04-17
(54)【発明の名称】圧縮機および冷凍装置
(51)【国際特許分類】
   F04B 39/00 20060101AFI20240410BHJP
   F04C 29/12 20060101ALI20240410BHJP
【FI】
F04B39/00 101N
F04C29/12 C
F04C29/12 D
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022122029
(22)【出願日】2022-07-29
(65)【公開番号】P2024018598
(43)【公開日】2024-02-08
【審査請求日】2023-05-18
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129791
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 真由美
(74)【代理人】
【識別番号】100176463
【弁理士】
【氏名又は名称】磯江 悦子
(74)【代理人】
【識別番号】100183232
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 敏行
(72)【発明者】
【氏名】土川 翔伍
(72)【発明者】
【氏名】岩井 雄大
(72)【発明者】
【氏名】石野 拓也
【審査官】中村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-119817(JP,A)
【文献】特開昭60-142177(JP,A)
【文献】特開2016-020657(JP,A)
【文献】特開2013-227957(JP,A)
【文献】特開2009-162222(JP,A)
【文献】特開2017-125466(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2022/0333601(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 39/00
F04C 29/12
F25B 31/00
F25B 43/00-43/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機本体ケーシング(1)と、
上記圧縮機本体ケーシング(1)内に設けられた圧縮機構部(2)と、
上記圧縮機本体ケーシング(1)外に設けられると共に、上記圧縮機構部(2)に複数の出口管(11A,11B,11C)を介して接続されて、上記出口管(11A,11B,11C)が挿し通される貫通孔(21,22,23)を有するアキュムレータ(10)と
を備え、
上記アキュムレータ(10)の中心軸方向から見た平面視において、上記複数の出口管(11A,11B,11C)の上記貫通孔(21,22,23)に挿入された複数の部分の重心(Ox2,Ox3,Ox5)は、上記アキュムレータ(10)の中心軸(O1)よりも、上記圧縮機本体ケーシング(1)側に位置する、圧縮機(CMP)。
【請求項2】
請求項1に記載の圧縮機(CMP)において、
上記平面視において、上記圧縮機本体ケーシング(1)の中心軸(O2)と上記アキュムレータ(10)の中心軸(O1)とを通る仮想直線(VL)と、上記仮想直線(VL)が上記圧縮機本体ケーシング(1)の外周面と交わる点(A)を中心とすると共に上記点(A)から上記アキュムレータ(10)の中心軸(O1)までの距離を半径(r)とする仮想円(VC)とを想定したとき、上記重心(Ox2,Ox3,Ox5)は上記仮想円(VC)内に位置する、圧縮機(CMP)。
【請求項3】
請求項2に記載の圧縮機(CMP)において、
上記平面視において、上記重心(Ox2,Ox3,Ox5)は上記仮想直線(VL)上に位置する、圧縮機(CMP)。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか一項に記載の圧縮機(CMP)において、
上記アキュムレータ(10)の中心軸方向の端部は、上記アキュムレータ(10)の径方向に沿った平面部(10a)を有し、
上記貫通孔(21,22,23)は上記平面部(10a)に設けられている、圧縮機(CMP)。
【請求項5】
請求項1から3までのいずれか一項に記載の圧縮機(CMP)において、
上記アキュムレータ(10)の中心軸方向の端部は、上記アキュムレータ(10)の外周側面に連なる曲面部(10b)を有し、
上記貫通孔(21,22,23)は上記曲面部(10b)に設けられている、圧縮機(CMP)。
【請求項6】
請求項1から3までのいずれか一項に記載の圧縮機(CMP)において、
上記出口管(11,11A,11B,11C)は、上記アキュムレータ(10)内の空間と連通し、かつ、上記アキュムレータ(10)の最下部近傍に位置する油戻し孔(11a,11Aa,11Ba)を有する、圧縮機(CMP)。
【請求項7】
請求項1から3までのいずれか一項に記載の圧縮機(CMP)を備える、冷凍装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、圧縮機および冷凍装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圧縮機としては、アキュムレータの出口管が1本の圧縮機がある(例えば、特許文献1参照)。上記圧縮機では、出口管がアキュムレータの胴体の中心軸と一致するように、出口管がアキュムレータの底部に挿入されている。
【0003】
また、従来の圧縮機としては、アキュムレータの出口管が複数本の圧縮機がある(例えば、特許文献2および特許文献3参照)。上記出口管が複数本の圧縮機では、アキュムレータの上面視において、複数の出口管の挿入位置の重心がアキュムレータの中心軸と一致するように、複数の出口管がアキュムレータの底部に挿入されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2020/235076号
【文献】実開昭64-44388号公報
【文献】国際公開第2019/142408号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記圧縮機では、出口管の圧縮機本体ケーシング側の接続部からアキュムレータ側の挿入部までの水平長さは、少なくとも円筒形状のアキュムレータの直径の1/2の長さが必要となるので、アキュムレータの支持剛性が十分に得られず、アキュムレータの構造固有値が低い。このため、圧縮機の回転数の整数倍の振動周波数がアキュムレータの構造固有値に到達しやすくなり、アキュムレータの振動が増大するという問題がある。
【0006】
特に、上記構成の圧縮機の大容量化に伴って、アキュムレータが大径化して出口管長さがさらに長くなることによって、アキュムレータの構造固有値が低下すると共に、圧縮機の回転数の高速化によって圧縮機の振動周波数がアキュムレータの構造固有値に到達しやすくなる。そのため、特にアキュムレータを大径化した場合や圧縮機の回転数を高速化した場合には、アキュムレータの支持剛性を高める必要がある。
【0007】
本開示では、アキュムレータの振動を抑制できる圧縮機およびその圧縮機を備える冷凍装置を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の第1の態様の圧縮機は、
圧縮機本体ケーシングと、
上記圧縮機本体ケーシング内に設けられた圧縮機構部と、
上記圧縮機本体ケーシング外に設けられると共に、上記圧縮機構部に出口管を介して接続されて、上記出口管が挿し通される貫通孔を有するアキュムレータと
を備え、
上記アキュムレータの中心軸方向から見た平面視において、上記出口管の上記貫通孔に挿入された部分の中心または重心は、上記アキュムレータの中心軸よりも、上記圧縮機本体ケーシング側に位置する。
【0009】
本開示によれば、圧縮機本体ケーシング側の出口管の接続位置から出口管がアキュムレータの貫通孔に挿入される部分の中心(または重心)までの距離が、アキュムレータの中心軸と一致するように出口管が挿入されている従来の圧縮機よりも短くなり、アキュムレータの支持剛性が向上する。これにより、アキュムレータの振動を抑制できる。
【0010】
また、本開示の第2の態様に係る圧縮機は、
第1の態様の圧縮機において、
上記平面視において、上記圧縮機本体ケーシングの中心軸と上記アキュムレータの中心軸とを通る仮想直線と、上記仮想直線が上記圧縮機本体ケーシングの外周面と交わる点を中心とすると共に上記点から上記アキュムレータの中心軸までの距離を半径とする仮想円とを想定したとき、上記中心または重心は上記仮想円内に位置する。
【0011】
本開示によれば、圧縮機本体ケーシング側の出口管の接続位置から出口管がアキュムレータの貫通孔に挿入される部分の中心(または重心)までの距離が短くなり、アキュムレータの支持剛性を向上できる。
【0012】
また、本開示の第3の態様に係る圧縮機は、
第2の態様の圧縮機において、
上記平面視において、上記中心または重心は上記仮想直線上に位置する。
【0013】
本開示によれば、アキュムレータの支持剛性をさらに向上できる。
【0014】
また、本開示の第4の態様に係る圧縮機は、
第1の態様から第3の態様までのいずれか1つの圧縮機において、
上記アキュムレータの中心軸方向の端部は、上記アキュムレータの径方向に沿った平面部を有し、
上記貫通孔は上記平面部に設けられている。
【0015】
本開示によれば、アキュムレータの端部の平面部に設けられた貫通孔に出口管が挿通されているので、アキュムレータへの出口管の接続作業が容易にできる。
【0016】
また、本開示の第5の態様に係る圧縮機は、
第1の態様から第3の態様までのいずれか1つの圧縮機において、
上記アキュムレータの中心軸方向の端部は、上記アキュムレータの外周側面に連なる曲面部を有し、
上記貫通孔は上記曲面部に設けられている。
【0017】
本開示によれば、アキュムレータの外周側面に連なる曲面部に設けられた貫通孔に出口管が挿通されているので、平面部に出口管が挿入される場合に比べて、曲面部におけるアキュムレータの貫通孔と出口管との接続部分の強度が高くなると共に、圧縮機本体ケーシング側の出口管の接続位置からアキュムレータの貫通孔に出口管が挿入される部分の中心(または重心)までの距離を短くでき、アキュムレータと出口管との接続部分の剛性が高まり、アキュムレータの支持剛性をさらに向上できる。
【0018】
また、本開示の第6の態様に係る圧縮機は、
第1の態様から第5の態様までのいずれか1つの圧縮機において、
上記出口管は、上記アキュムレータ内の空間と連通し、かつ、上記アキュムレータの最下部近傍に位置する油戻し孔を有する。
【0019】
本開示によれば、アキュムレータ内の底部に溜まった油を圧縮機本体ケーシングに戻すことが容易にできる。
【0020】
また、本開示の第7の態様に係る冷凍装置は、
第1の態様から第6の態様までのいずれか1つの圧縮機を備える。
【0021】
本開示によれば、アキュムレータの振動を抑制できる圧縮機を備えることにより、低騒音の冷凍装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本開示の第1実施形態の圧縮機を側面から見た模式図である。
図2】第1実施形態の圧縮機をアキュムレータの上方から見た平面視の模式図である。
図3】本開示の第2実施形態の圧縮機を側面から見た模式図である。
図4】第2実施形態の圧縮機をアキュムレータの上方から見た平面視の模式図である。
図5】本開示の第3実施形態の圧縮機を側面から見た模式図である。
図6】第3実施形態の圧縮機をアキュムレータの上方から見た平面視の模式図である。
図7】第1変形例の圧縮機をアキュムレータの上方から見た平面視の模式図である。
図8】第2変形例の圧縮機をアキュムレータの上方から見た平面視の模式図である。
図9】本開示の第4実施形態の圧縮機を側面から見た模式図である。
図10】本開示の第5実施形態の圧縮機を側面から見た模式図である。
図11】本開示の第6実施形態の圧縮機を用いた冷媒回路を備えた冷凍装置の一例としての空気調和機の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、実施形態を説明する。なお、図面において、同一の参照番号は、同一部分または相当部分を表わすものである。また、長さ、幅、厚さ、深さ等の図面上の寸法は、図面の明瞭化と簡略化のために実際の尺度から適宜変更されており、実際の相対寸法を表してはいない。
【0024】
〔第1実施形態〕
図1は、本開示の第1実施形態の圧縮機CMPを側面から見た模式図である。この圧縮機CMPは、1シリンダ構成のロータリー圧縮機である。
【0025】
この第1実施形態の圧縮機CMPは、図1に示すように、圧縮機本体ケーシング1と、この圧縮機本体ケーシング1内に配置された圧縮機構部2と、圧縮機本体ケーシング1内の圧縮機構部2の上側に配置され、回転軸(図示せず)を介して圧縮機構部2を駆動するモータ3とを備えている。圧縮機本体ケーシング1は、外周面が円筒形状をしている。
【0026】
圧縮機CMPは、圧縮機本体ケーシング1外に設けられると共に、圧縮機構部2に出口管11を介して接続されたアキュムレータ10を備えている。アキュムレータ10の外周面は円筒形状をしている。アキュムレータ10の下端部(中心軸方向の端部)は、アキュムレータ10の径方向に沿った平面部10aを有する。平面部10aに、出口管11が挿し通される貫通孔21が設けられている。
【0027】
出口管11は、アキュムレータ10内の空間と連通し、かつ、アキュムレータ10の最下部近傍に位置する油戻し孔11aを有する。油戻し孔11aは、アキュムレータ10内の底面に対して高さ方向に5mm~15mm程度の間隔をあけて設けられている。
【0028】
圧縮機構部2は、アキュムレータ10から出口管11を介して冷媒ガスを吸入する。この冷媒ガスは、圧縮機CMPとともに、冷凍装置の一例としての空気調和機を構成する図示しない凝縮器、膨張機構、蒸発器を制御することによって得られる。
【0029】
図2は、第1実施形態の圧縮機CMPをアキュムレータ10の上方から見た平面視の模式図である。
【0030】
図2に示すように、アキュムレータ10の上方(中心軸方向)から見た平面視において、出口管11の貫通孔21に挿入された部分の中心Ox1は、アキュムレータ10の中心軸O1よりも、圧縮機本体ケーシング1側に位置する。
【0031】
上記平面視において、圧縮機本体ケーシング1の中心軸O2とアキュムレータ10の中心軸O1とを通る仮想直線VLを想定し、仮想直線VLが圧縮機本体ケーシング1の外周面と交わる点Aを中心とすると共に点Aからアキュムレータ10の中心軸O1までの距離を半径rとする仮想円VCを想定する。このとき、出口管11の貫通孔21に挿入された部分の中心Ox1は仮想円VC内に位置する。
【0032】
上記構成の圧縮機CMPでは、アキュムレータ10を中心軸方向から見た平面視において、出口管11の貫通孔21に挿入される部分の中心Ox1が、アキュムレータ10の中心軸O1よりも、圧縮機本体ケーシング1側に位置している。これによって、圧縮機本体ケーシング1側の出口管11の接続位置(点A)から出口管11がアキュムレータ10の貫通孔21に挿入される部分の中心Ox1までの距離L1が、アキュムレータの中心軸と一致するように出口管が挿入されている従来の圧縮機よりも短くなり、アキュムレータ10の支持剛性が向上する。これにより、アキュムレータ10の振動を抑制できる。
【0033】
また、出口管11がアキュムレータ10の貫通孔21に挿入される部分の中心Ox1が仮想円VC内に位置することによって、圧縮機本体ケーシング1側の出口管11の接続位置(点A)から、出口管11が貫通孔21に挿入される部分の中心Ox1までの距離L1が短くなり、アキュムレータ10の支持剛性を向上できる。
【0034】
上記第1実施形態では、平面視において、アキュムレータ10の貫通孔21に挿入される出口管11の部分の中心Ox1が仮想円VC内かつ仮想直線VL上に位置することで、アキュムレータ10の支持剛性がさらに向上している。
【0035】
また、アキュムレータ10の平面部10aに設けられた貫通孔21に出口管11が挿通されているので、アキュムレータ10への出口管11の接続作業が容易にできる。
【0036】
また、アキュムレータ10内の空間と連通する油戻し孔11aが、アキュムレータ10の最下部近傍に位置することによって、アキュムレータ10内の底部に溜まった油を圧縮機本体ケーシング1に戻すことが容易にできる。
【0037】
〔第2実施形態〕
図3は、本開示の第2実施形態の圧縮機CMPを側面から見た模式図である。この圧縮機CMPは、2シリンダ構成のロータリー圧縮機である。
【0038】
この第2実施形態の圧縮機CMPは、図3に示すように、圧縮機本体ケーシング1と、この圧縮機本体ケーシング1内に配置された圧縮機構部2と、圧縮機本体ケーシング1内の圧縮機構部2の上側に配置され、回転軸(図示せず)を介して圧縮機構部2を駆動するモータ3とを備えている。圧縮機本体ケーシング1は、外周面が円筒形状をしている。
【0039】
圧縮機CMPは、圧縮機本体ケーシング1外に設けられると共に、圧縮機構部2に2本の出口管11A,11Bを介して接続されたアキュムレータ10を備えている。アキュムレータ10の外周面は円筒形状をしている。アキュムレータ10の下端部(中心軸方向の端部)は、アキュムレータ10の径方向に沿った平面部10aを有する。平面部10aに、出口管11Aが挿し通される貫通孔21が設けられている。また、平面部10aに、出口管11Bが挿し通される貫通孔22が設けられている。
【0040】
出口管11Aは、アキュムレータ10内の空間と連通し、かつ、アキュムレータ10の最下部近傍に位置する油戻し孔11Aaを有する。出口管11Bは、アキュムレータ10内の空間と連通し、かつ、アキュムレータ10の最下部近傍に位置する油戻し孔11Baを有する。
【0041】
油戻し孔11Aa,11Baは、アキュムレータ10内の底面に対して高さ方向に5mm~15mm程度の間隔をあけて設けられている。
【0042】
図4は、第2実施形態の圧縮機CMPをアキュムレータ10の上方から見た平面視の模式図である。
【0043】
図4に示すように、アキュムレータ10の上方(中心軸方向)から見た平面視において、出口管11Aの貫通孔21に挿入された部分および出口管11Bの貫通孔22に挿入された部分の重心Ox2は、アキュムレータ10の中心軸O1よりも、圧縮機本体ケーシング1側に位置する。ここで、重心Ox2は、上記各部分の中心の位置の重心であり、重心Ox2の座標は、貫通孔21,22の重心座標の相加平均によって与えられる。
【0044】
上記平面視において、圧縮機本体ケーシング1の中心軸O2とアキュムレータ10の中心軸O1とを通る仮想直線VLを想定し、仮想直線VLが圧縮機本体ケーシング1の外周面と交わる点Aを中心とすると共に点Aからアキュムレータ10の中心軸O1までの距離を半径rとする仮想円VCを想定する。このとき、上記重心Ox2は仮想円VC内に位置する。
【0045】
上記構成の圧縮機CMPでは、アキュムレータ10を中心軸方向から見た平面視において、出口管11Aの貫通孔21に挿入された部分および出口管11Bの貫通孔22に挿入された部分の重心Ox2が、アキュムレータ10の中心軸O1よりも、圧縮機本体ケーシング1側に位置している。これによって、圧縮機本体ケーシング1側の出口管11の接続位置(点A)から重心Ox2までの距離L2が、2本の出口管の重心がアキュムレータの中心軸に位置する従来の圧縮機よりも短くなり、アキュムレータ10の支持剛性が向上する。これにより、アキュムレータ10の振動を抑制できる。
【0046】
また、出口管11Aの貫通孔21に挿入された部分および出口管11Bの貫通孔22に挿入された部分の重心Ox2が仮想円VC内に位置することによって、圧縮機本体ケーシング1側の出口管11の接続位置(点A)から重心Ox2までの距離L2が短くなり、アキュムレータ10の支持剛性を向上できる。
【0047】
上記第2実施形態では、平面視において、重心Ox2が仮想円VC内かつ仮想直線VL上に位置することで、アキュムレータ10の支持剛性がさらに向上している。
【0048】
また、アキュムレータ10の平面部10aに設けられた貫通孔21に出口管11Aが挿通され、アキュムレータ10の平面部10aに設けられた貫通孔22に出口管11Bが挿通されているので、アキュムレータ10への出口管11A,11Bの接続作業が容易にできる。
【0049】
また、アキュムレータ10内の空間と連通する油戻し孔11Aaが、アキュムレータ10の最下部近傍に位置すると共に、アキュムレータ10内の空間と連通する油戻し孔11Baが、アキュムレータ10の最下部近傍に位置することによって、アキュムレータ10内の底部に溜まった油を圧縮機本体ケーシング1に戻すことが容易にできる。
【0050】
〔第3実施形態〕
図5は、本開示の第3実施形態の圧縮機CMPを側面から見た模式図である。この圧縮機CMPは、3シリンダ構成のロータリー圧縮機である。
【0051】
圧縮機CMPは、圧縮機本体ケーシング1外に設けられると共に、圧縮機構部2に3本の出口管11A,11B,11Cを介して接続されたアキュムレータ10を備えている。アキュムレータ10の外周面は円筒形状をしている。アキュムレータ10の下端部(中心軸方向の端部)は、アキュムレータ10の径方向に沿った平面部10aを有する。平面部10aに、出口管11Aが挿し通される貫通孔21が設けられている。平面部10aに、出口管11Bが挿し通される貫通孔22が設けられている。平面部10aに、出口管11Cが挿し通される貫通孔23が設けられている。
【0052】
出口管11Aは、アキュムレータ10内の空間と連通し、かつ、アキュムレータ10の最下部近傍に位置する油戻し孔11Aaを有する。出口管11Bは、アキュムレータ10内の空間と連通し、かつ、アキュムレータ10の最下部近傍に位置する油戻し孔11Baを有する。出口管11Cは、アキュムレータ10内の空間と連通し、かつ、アキュムレータ10の最下部近傍に位置する油戻し孔(図示せず)を有する。
【0053】
油戻し孔11Aa,11Baおよび出口管11Cの油戻し孔は、アキュムレータ10内の底面に対して高さ方向に5mm~15mm程度の間隔をあけて設けられている。
【0054】
図6は、第3実施形態の圧縮機CMPをアキュムレータ10の上方から見た平面視の模式図である。
【0055】
図6に示すように、アキュムレータ10の上方(中心軸方向)から見た平面視において、出口管11Aの貫通孔21に挿入された部分と出口管11Bの貫通孔22に挿入された部分および出口管11Cの貫通孔23に挿入された部分の重心Ox3は、アキュムレータ10の中心軸O1よりも、圧縮機本体ケーシング1側に位置する。ここで、重心Ox3は、上記各部分の中心の位置の重心であり、重心Ox3は、貫通孔21,22,23の重心座標の相加平均によって与えられる。
【0056】
上記平面視において、圧縮機本体ケーシング1の中心軸O2とアキュムレータ10の中心軸O1とを通る仮想直線VLを想定し、仮想直線VLが圧縮機本体ケーシング1の外周面と交わる点Aを中心とすると共に点Aからアキュムレータ10の中心軸O1までの距離を半径rとする仮想円VCを想定する。このとき、上記重心Ox3は仮想円VC内に位置する。
【0057】
上記構成の圧縮機CMPでは、アキュムレータ10を中心軸方向から見た平面視において、出口管11Aの貫通孔21に挿入された部分と出口管11Bの貫通孔22に挿入された部分および出口管11Cの貫通孔23に挿入された部分の重心Ox3が、アキュムレータ10の中心軸O1よりも、圧縮機本体ケーシング1側に位置している。これによって、圧縮機本体ケーシング1側の出口管11の接続位置(点A)から重心Ox3までの距離L3が、複数の出口管の重心がアキュムレータの中心軸に位置する従来の圧縮機よりも短くなり、アキュムレータ10の支持剛性が向上する。これにより、アキュムレータ10の振動を抑制できる。
【0058】
また、出口管11Aの貫通孔21に挿入された部分と出口管11Bの貫通孔22に挿入された部分および出口管11Cの貫通孔23に挿入された部分の重心Ox3が仮想円VC内に位置することによって、圧縮機本体ケーシング1側の出口管11の接続位置(点A)から重心Ox3までの距離L3が短くなり、アキュムレータ10の支持剛性を向上できる。
【0059】
上記第3実施形態では、平面視において、重心Ox3が仮想円VC内かつ仮想直線VL上に位置することで、アキュムレータ10の支持剛性がさらに向上している。
【0060】
また、アキュムレータ10の平面部10aに設けられた貫通孔21,22,23に出口管11A,11B,11Cが挿通されているので、アキュムレータ10への出口管11A,11B,11Cの接続作業が容易にできる。
【0061】
また、アキュムレータ10の最下部近傍に、アキュムレータ10内の空間と連通する油戻し孔11Aaが位置し、アキュムレータ10の最下部近傍に、アキュムレータ10内の空間と連通する油戻し孔11Baが位置すると共に、アキュムレータ10の最下部近傍に、アキュムレータ10内の空間と連通する出口管11Cの油戻し孔が位置することによって、アキュムレータ10内の底部に溜まった油を圧縮機本体ケーシング1に戻すことが容易にできる。
【0062】
上記第3実施形態では、出口管11Aの貫通孔21に挿入された部分と出口管11Bの貫通孔22に挿入された部分および出口管11Cの貫通孔23に挿入された部分の全てが仮想円VC内に位置したが、これに限らず、重心Ox3が仮想円VC内にあればよい。
【0063】
例えば、図7の第1変形例に示すように、出口管11Aの貫通孔21に挿入された部分が仮想円VC内に位置し、出口管11Bの貫通孔22に挿入された部分および出口管11Cの貫通孔23に挿入された部分が仮想円VC外に位置していても、重心Ox3が仮想円VC内にあればよい。
【0064】
また、図8の第2変形例に示すように、出口管11Aの貫通孔21に挿入された部分および出口管11Bの貫通孔22に挿入された部分が仮想円VC内に位置し、出口管11Cの貫通孔23に挿入された部分が仮想円VC外に位置していても、重心Ox3が仮想円VC内にあればよい。
【0065】
〔第4実施形態〕
図9は、本開示の第4実施形態の圧縮機CMPを側面から見た模式図である。この第4実施形態の圧縮機CMPは、アキュムレータ10の形状と出口管11Aが挿入される位置とを除いて第1実施形態の圧縮機CMPと同一の構成をしている。
【0066】
この第4実施形態の圧縮機CMPは、図9に示すように、圧縮機本体ケーシング1外に設けられると共に、圧縮機構部2に出口管11を介して接続されたアキュムレータ10を備えている。アキュムレータ10の外周面は円筒形状をしている。
【0067】
アキュムレータ10の下端部(中心軸方向の端部)は、アキュムレータ10の径方向に沿った平面部10aと、平面部10aと外周側面との間に外周側面に連なる曲面部10bとを有する。曲面部10bに出口管11が挿し通される貫通孔21が設けられている。
【0068】
上記構成の圧縮機CMPでは、平面部10aに出口管11が挿入される場合に比べて、曲面部10bにおけるアキュムレータ10の貫通孔21と出口管11との接続部分の強度が高くなると共に、圧縮機本体ケーシング1側の出口管11の接続位置からアキュムレータ10の貫通孔21に出口管11が挿入される部分の中心Ox4までの距離L4を短くでき、アキュムレータ10と出口管11との接続部分の剛性が高まり、アキュムレータ10の支持剛性をさらに向上できる。
【0069】
上記第4実施形態の圧縮機CMPは、第1実施形態の圧縮機CMPと同様の効果を有する。
【0070】
〔第5実施形態〕
図10は、本開示の第5実施形態の圧縮機CMPを側面から見た模式図である。この圧縮機CMPは、2シリンダ構成のロータリー圧縮機である。
【0071】
圧縮機CMPは、図10に示すように、圧縮機本体ケーシング1外に設けられると共に、圧縮機構部2に出口管11を介して接続されたアキュムレータ10を備えている。アキュムレータ10の外周面は円筒形状をしている。アキュムレータ10の下端部(中心軸方向の端部)は、アキュムレータ10の径方向に沿った平面部10aと、平面部10aと外周側面との間に外周側面に連なる曲面部10bとを有する。曲面部10bに、出口管11Aが挿し通される貫通孔21が設けられている。平面部10aに、出口管11Bが挿し通される貫通孔22が設けられている。
【0072】
出口管11Aは、アキュムレータ10内の空間と連通し、かつ、アキュムレータ10の最下部近傍に位置する油戻し孔11Aaを有する。出口管11Bは、アキュムレータ10内の空間と連通し、かつ、アキュムレータ10の最下部近傍に位置する油戻し孔11Baを有する。
【0073】
油戻し孔11Aa,11Baは、アキュムレータ10内の底面に対して高さ方向に5mm~15mm程度の間隔をあけて設けられている。
【0074】
この第5実施形態では、第2実施形態と同様に、アキュムレータ10の上方(中心軸方向)から見た平面視において、出口管11Aの貫通孔21に挿入された部分および出口管11Bの貫通孔22に挿入された部分の重心Ox5は、アキュムレータ10の中心軸O1よりも、圧縮機本体ケーシング1側に位置する。また、上記平面視において、圧縮機本体ケーシング1の中心軸O2とアキュムレータ10の中心軸O1とを通る仮想直線VLを想定し、仮想直線VLが圧縮機本体ケーシング1の外周面と交わる点Aを中心とすると共に点Aからアキュムレータ10の中心軸O1までの距離を半径rとする仮想円VCを想定する。このとき、上記重心Ox5は仮想円VC内に位置する。
【0075】
上記構成の圧縮機CMPでは、圧縮機本体ケーシング側の出口管11の接続位置(点A)から重心Ox5までの距離L5が、2本の出口管の重心がアキュムレータの中心軸に位置する従来の圧縮機よりも短くなり、アキュムレータ10の支持剛性が向上する。これにより、アキュムレータ10の振動を抑制できる。
【0076】
上記第5実施形態の圧縮機CMPは、第2実施形態の圧縮機CMPと同様の効果を有する。
【0077】
〔第6実施形態〕
図11は、本開示の第6実施形態の圧縮機CMPを用いた冷媒回路を備えた冷凍装置の一例としての空気調和機の回路図である。この冷媒回路RCには、第1~第5実施形態の圧縮機CMPのいずれかを用いる。
【0078】
この第5実施形態の空気調和機は、図11に示すように、空調対象である室内に設置される室内ユニットU1と、室外に設置される室外ユニットU2とを備える。
【0079】
<室内ユニットU1の構成>
上記空気調和機の室内ユニットU1は、冷媒配管L14(連絡配管)が一端に接続され、冷媒配管L15(連絡配管)が他端に接続された室内熱交換器1004と、この室内熱交換器1004に空気を供給する室内ファン1006とを有する。室内ファン1006は、室内熱交換器1004で温度などが調整された空気を室内に向けて吹き出す。
【0080】
<室外ユニットU2の構成>
上記空気調和機の室外ユニットU2は、圧縮機CMPと、四路切換弁1001と、室外熱交換器1002と、膨張機構の一例としての膨張弁1003と、アキュムレータ10と、室外熱交換器1002に空気を送る室外ファン1005とを有する。
【0081】
上記圧縮機CMPの吐出側が冷媒配管L11を介して四路切換弁1001の第1ポートaに接続されている。四路切換弁1001の第2ポートbが冷媒配管L12を介して室外熱交換器1002の一端に接続されている。室外熱交換器1002の他端が冷媒配管L13を介して膨張弁1003の一端に接続され、膨張弁1003の他端が冷媒配管L14(連絡配管)の一端に接続されている。冷媒配管L15(連絡配管)の一端が四路切換弁1001の第3ポートcに接続されている。四路切換弁1001の第4ポートdが、冷媒配管L16,アキュムレータ10,出口管11を介して圧縮機CMPの吸入側に接続されている。
【0082】
室外熱交換器1002内を流れる冷媒は、室外ファン1005により吸い込まれる空気と熱交換する。
【0083】
膨張弁1003は、開度を調整可能な例えば電動弁であって、制御装置(図示せず)からの信号に応じて開度が変化する。
【0084】
なお、図11では、圧縮機構部2とアキュムレータ10とを1本の出口管11を介して接続しているが、第2~第5実施形態の圧縮機CMPを用いる場合は、2本の出口管11A,11Bを介して接続するか、または、3本の出口管11A,11B,11Cを介して接続する。
【0085】
<冷媒回路RCの構成>
また、上記空気調和機の冷媒回路RCは、室内熱交換器1004、圧縮機CMP、四路切換弁1001、室外熱交換器1002、膨張弁1003、アキュムレータ10、冷媒配管L11~L16および出口管11から成っている。これにより、環状の冷媒回路RCが構成されている。
【0086】
冷房運転では、図11に示すように、四路切換弁1001を実線の切換え位置に切り換え、暖房運転では、四路切換弁1001を点線の切換え位置に切り換えて、圧縮機CMPを駆動することにより冷媒が冷媒回路RCを循環する。
【0087】
上記構成の空気調和機によれば、圧縮機CMPを用いた冷媒回路RCを備えることによって、圧縮機CMPの振動が抑制された空気調和機を実現できる。
【0088】
上記第6実施形態では、冷凍装置として空気調和機を説明したが、圧縮機CMPを用いた冷媒回路RCを備える冷凍装置は、空気調和機に限らず、他の構成の冷凍装置でもよい。
【0089】
上記第1~第5実施形態では、ロータリー圧縮機について説明したが、揺動型圧縮機などの他の構成の圧縮機に本開示を適用してもよい。
【0090】
また、第1,第4実施形態では、1シリンダ構成かつ出口管が1本の圧縮機、第2,第5の実施形態では、2シリンダ構成かつ出口管が2本の圧縮機、第3実施形態では、3シリンダ構成かつ出口管が3本の圧縮機について説明したが、シリンダの数と出口管の本数は異なっていてもよい。例えば、2シリンダ構成かつ出口管が1本の圧縮機に本開示を適用してもよい。また、出口管の本数は4本以上であってもよい。また、出口管の断面および貫通孔の形状は、真円に限らず、例えば楕円であってもよい。
【0091】
本開示の具体的な実施の形態について説明したが、本開示は上記第1~第6実施形態に限定されるものではなく、本開示の範囲内で種々変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0092】
1…圧縮機本体ケーシング
2…圧縮機構部
3…モータ
10…アキュムレータ
10a…平面部
10b…曲面部
11,11A,11B,11C…出口管
11a,11Aa,11Ba…油戻し孔
21,22,23…貫通孔
A…点
CMP…圧縮機
O1…アキュムレータの中心軸
O2…圧縮機本体ケーシングの中心軸
Ox1,Ox4…中心
Ox2,Ox3,Ox5…重心
RC…冷媒回路
VL…仮想直線
VC…仮想円
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11