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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-09
(45)【発行日】2024-04-17
(54)【発明の名称】サーバおよび方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/258 20110101AFI20240410BHJP
   H04N 21/2187 20110101ALI20240410BHJP
   H04N 21/854 20110101ALI20240410BHJP
【FI】
H04N21/258
H04N21/2187
H04N21/854
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023210603
(22)【出願日】2023-12-13
【審査請求日】2023-12-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517287224
【氏名又は名称】17LIVE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100199277
【弁理士】
【氏名又は名称】西守 有人
(72)【発明者】
【氏名】謝婉柔
(72)【発明者】
【氏名】王靖然
(72)【発明者】
【氏名】陳冠穎
(72)【発明者】
【氏名】莊晨伶
【審査官】大西 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-027959(JP,A)
【文献】特許第7288254(JP,B1)
【文献】再公表特許第2013/150611(JP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2022/0360825(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第111050205(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111698575(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00 -21/858
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して、ライブ配信に係る動画データを視聴者の端末に送信する手段と、
ライブ配信中のギフティングまたはコメントもしくはその両方に係る条件が充たされたか否かを判定する手段と、
条件が充たされたと判定された場合、ネットワークを介して視聴者の端末に通知する手段と、
ネットワークを介して視聴者の端末から、通知に対する応答を受信した場合、ライブ配信の一部分に係る動画データを、当該視聴者に関連付けて生成するための処理を行う手段と、を備えるサーバ。
【請求項2】
判定する手段は、ライブ配信中に所定の基準を充たすギフトが使用された場合に条件が充たされたと判定する請求項1に記載のサーバ。
【請求項3】
所定の基準を充たすギフトは、対価がしきい値以上のギフトを含む請求項2に記載のサーバ。
【請求項4】
判定する手段は、ギフティングに起因する抽選の結果が当たりである場合に条件が充たされたと判定する請求項1に記載のサーバ。
【請求項5】
通知する手段は、ネットワークを介して視聴者の端末に、ライブ配信の一部分に係る動画データを、当該視聴者に関連付けて生成するための指示を当該視聴者から受け付けるための通知を送信する請求項1に記載のサーバ。
【請求項6】
処理を行う手段は、条件が充たされたと判定されたタイミングの直前の期間を含むライブ配信の一部分に係る動画データを生成するための処理を行う請求項1に記載のサーバ。
【請求項7】
判定する手段は、視聴者によるライブ配信の一部分に係る動画データを生成するための指示の有無とは無関係に、条件が充たされたか否かを判定する請求項1に記載のサーバ。
【請求項8】
送信する手段は、ネットワークを介して、ライブ配信に係る動画データを複数の視聴者の複数の端末に送信し、
通知する手段は、条件が充たされたと判定された場合、ネットワークを介して複数の視聴者の複数の端末に通知し、
処理を行う手段は、ネットワークを介して複数の視聴者のうちのひとりの視聴者の端末から、通知に対する応答を受信した場合、ライブ配信の一部分に係る動画データを、当該ひとりの視聴者に関連付けて生成するための処理を行う請求項1に記載のサーバ。
【請求項9】
ネットワークを介してライブ配信の配信者の端末に、当該ライブ配信の一部分に係る動画データが生成された回数を示す情報を送信する手段をさらに備える請求項8に記載のサーバ。
【請求項10】
ネットワークを介して、ライブ配信に係る動画データを視聴者の端末に送信することと、
ライブ配信中のギフティングまたはコメントもしくはその両方に係る条件が充たされたか否かを判定することと、
条件が充たされたと判定された場合、ネットワークを介して視聴者の端末に通知することと、
ネットワークを介して視聴者の端末から、通知に対する応答を受信した場合、ライブ配信の一部分に係る動画データを、当該視聴者に関連付けて生成するための処理を行うことと、を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、サーバ、コンピュータプログラムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
IT技術の発展と共に情報のやりとりの様も移り変わってきた。昭和の時代には新聞やテレビなどの一方通行の情報伝達が主であった。平成になると、ケータイやパソコンが普及し、インターネットの通信速度も大きく改善されたので、チャットサービスなどの即時双方向通信サービスが台頭し、また記憶コストの低減に伴ってオンデマンド型の動画配信サービスが受け入れられていった。そして、現在、令和の時代となり、スマートフォンの高機能化や5Gに代表されるネットワークの速度のさらなる向上を受けて、動画によるリアルタイムのコミュニケーションを実現するサービス、特にライブ配信(Live Streaming)サービスが急速に認知度を高めている。ライブ配信サービスは、離れた場所にいても皆が同じ楽しい時間を共有できるサービスとして、若者を中心に利用者が拡大している。
【0003】
特許文献1には、システムが生放送中の動画の盛り上がった部分を自動的にトリミングしたリストを、動画選択中の視聴者に提示して、視聴者による生放送動画の選択を容易にする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2021-158612号公報
【非特許文献】
【0005】
【文献】「ラッキー袋」、17LIVEヘルプ、URL:https://17live-jp.zendesk.com/hc/ja/articles/6780744668303-%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%AD%E3%83%BC%E8%A2%8B
【文献】「ギフトの基本を理解しよう!」、17LIVE、URL:https://jp.17.live/userguide/20103/
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、ライブ配信のクリッピングは配信者自身かシステム(例えば、特許文献1)により行われるものであって、視聴者によるクリッピングは想定されていない。これでは、クリップの生成数やシェア数は伸びず、拡散されやすいというクリップの利点を活かすことができない。
【0007】
本開示はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ライブ配信のクリッピングをより活性化することができる技術の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある態様は、サーバに関する。このサーバは、ネットワークを介して、ライブ配信に係る動画データを視聴者の端末に送信する手段と、ライブ配信中のギフティングまたはコメントもしくはその両方に係る条件が充たされたか否かを判定する手段と、条件が充たされたと判定された場合、ネットワークを介して視聴者の端末に通知する手段と、ネットワークを介して視聴者の端末から、通知に対する応答を受信した場合、ライブ配信の一部分に係る動画データを、当該視聴者に関連付けて生成するための処理を行う手段と、を備える。
【0009】
本発明の別の態様は、方法である。この方法は、ネットワークを介して、ライブ配信に係る動画データを視聴者の端末に送信することと、ライブ配信中のギフティングまたはコメントもしくはその両方に係る条件が充たされたか否かを判定することと、条件が充たされたと判定された場合、ネットワークを介して視聴者の端末に通知することと、ネットワークを介して視聴者の端末から、通知に対する応答を受信した場合、ライブ配信の一部分に係る動画データを、当該視聴者に関連付けて生成するための処理を行うことと、を含む
【0010】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を装置、方法、システム、コンピュータプログラム、コンピュータプログラムを格納した記録媒体などの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ライブ配信のクリッピングをより活性化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の実施の形態に係るライブ配信システムの構成を示す模式図である。
図2図1のユーザ端末の機能および構成を示すブロック図である。
図3図1のサーバの機能および構成を示すブロック図である。
図4図3のストリームDBの一例を示すデータ構造図である。
図5図3のユーザDBの一例を示すデータ構造図である。
図6図3のギフトDBの一例を示すデータ構造図である。
図7図3のクリップDBの一例を示すデータ構造図である。
図8】ライブ配信中にクリップ促進通知がなされるときのライブ配信システムにおける一連の処理の流れを示すフローチャートである。
図9】視聴者のユーザ端末のディスプレイに表示されるライブ配信ルーム画面の代表画面図である。
図10】視聴者のユーザ端末のディスプレイに表示される、ギフト領域が重畳表示されたライブ配信ルーム画面の代表画面図である。
図11】視聴者のユーザ端末のディスプレイに表示される、エフェクトが重畳表示されたライブ配信ルーム画面の代表画面図である。
図12】視聴者のユーザ端末のディスプレイに表示される、コメント表示領域にクリップ促進に係るシステムコメントを含むライブ配信ルーム画面の代表画面図である。
図13】視聴者のユーザ端末のディスプレイに表示されるクリップシェア画面の代表画面図である。
図14】配信者のユーザ端末のディスプレイに表示されるライブ配信ルーム画面の代表画面図である。
図15】ライブ配信を終了した配信者のユーザ端末のディスプレイに表示されるライブ配信結果画面の代表画面図である。
図16】本実施の形態に係る情報処理装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理、信号には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面において説明上重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0014】
実施の形態に係るライブ配信システムでは、ライブ配信の視聴者は、ライブ配信の一部分を切り抜いて短い動画を生成し、他人と共有(シェア)したり後で見返したりすることができる。ライブ配信の一部分またはそれに係る動画データを当該ライブ配信のクリップ(clip)と称す。クリップはそれを生成した視聴者に関連付けられる。本実施の形態では、サーバがライブ配信を監視し、ライブ配信中のギフティングまたはコメントもしくはその両方に関するクリップ促進通知条件が充たされると、ライブ配信の各視聴者の各ユーザ端末にクリップ促進通知を一斉送信する。各ユーザ端末はクリップ促進通知の受信に応じて、視聴者にクリップの生成を促すための表示を開始する。サーバおよびユーザ端末は、視聴者によるクリップ生成指示を受け付けると、クリップを生成するための処理を行う。
【0015】
このように、本実施の形態では、高額なギフトが使用された場合や抽選で大当たりを引いた場合や盛り上がってコメント頻度が高まった場合などライブ配信において覚えておきたい瞬間、最高の瞬間が発生すると、ライブ配信の各視聴者はそのような瞬間のクリップを生成するよう促される。これにより、視聴者による覚えておきたい瞬間のクリップの生成がより容易となり、また覚えておきたい瞬間のクリップの取り忘れを低減することができる。また、ライブ配信の複数の視聴者に一斉通知するので、クリップの生成数が増大し、ライブ配信の最高の瞬間がより多くの視聴者の手でより多くの場所に拡散されることとなる。したがって、ライブ配信やその配信者の露出を増やすことができ、認知度を向上させることができる。
【0016】
図1は、本開示の実施の形態に係るライブ配信システム1の構成を示す模式図である。ライブ配信システム1は、配信者(ライバー、ストリーマ(Streamer)ともいう)LVと視聴者(オーディエンスともいう)AU(AU1、AU2、…)とがリアルタイムでやりとりできる双方向型のライブ配信サービスを提供する。図1に示すように、ライブ配信システム1は、サーバ10と、配信者側のユーザ端末20と、視聴者側のユーザ端末30(30a、30b、…)と、を備える。ライブ配信を配信している配信者、ライブ配信を視聴している視聴者の他に、ライブ配信プラットフォームにログインしたが配信も視聴もしていないユーザもいる。このようなユーザをアクティブユーザという。配信者、視聴者およびアクティブユーザをユーザと総称することがある。サーバ10は、ネットワークNWに接続された一または複数の情報処理装置によって構成されてもよい。ユーザ端末20、30は例えばスマートフォンやタブレット型端末やラップトップPCやレコーダや携帯型ゲーム機やウェアラブル装置などの携帯端末であってもよいし、デスクトップPCなどの据え置き型の装置であってもよい。サーバ10、ユーザ端末20およびユーザ端末30は、有線または無線の各種ネットワークNWにより互いに通信可能に接続される。
【0017】
ライブ配信システム1には、配信者LVと、視聴者AUと、サーバ10を管理する管理者(不図示)と、が関与する。配信者LVは、自分の歌や、トーク、パフォーマンス、占い、ゲーム実況などのコンテンツを自身のユーザ端末20で録音・録画してそのままサーバ10にアップロードすることで、リアルタイムにコンテンツを発信する者である。管理者は、サーバ10においてコンテンツのライブ配信のためのプラットフォームを提供し、また、配信者LVと視聴者AUとのリアルタイムのやりとりを仲介または管理する。視聴者AUは、ユーザ端末30でプラットフォームにアクセスして所望のコンテンツを選択し、視聴する。このコンテンツのライブ配信中に視聴者AUがユーザ端末30を介してコメントをしたり応援したり占いを依頼したりするための操作を行い、当該コンテンツを提供する配信者LVがそのようなコメントや応援や依頼に反応し、当該反応が映像および/または音声で視聴者AUに伝わることで、双方向のコミュニケーションが成立する。
【0018】
本明細書において「ライブ配信」は、配信者LVのユーザ端末20で録音・録画されたコンテンツが実質的にリアルタイムで視聴者AUのユーザ端末30で再生され視聴可能となる状態を実現するデータの伝送態様を意味するものであってもよく、またはそのような伝送態様により実現される配信そのものを意味してもよい。ライブ配信は、HTTP Live StreamingやCommon Media Application FormatやWeb Real-Time CommunicationsやReal-Time Messaging ProtocolやMPEG DASHなどの既存のライブ配信技術を用いて実現されてもよい。ライブ配信は、配信者LVがコンテンツを録音・録画しているときに、視聴者AUが所定の遅延をもって当該コンテンツを視聴可能な伝送態様を含む。遅延の大きさについて、少なくとも、配信者LVと視聴者AUとのやりとりが成立する程度の大きさの遅延は許される。ただし、ライブ配信は、コンテンツを録音・録画したデータ全体をいったんサーバに保存し、その後の任意のタイミングでユーザからの求めに応じて当該データをサーバからユーザに提供するいわゆるオンデマンド型の配信とは区別される。
【0019】
本明細書において「動画データ」は、ユーザ端末20、30の撮像機能により生成される画像データ(ビデオデータともいう)と、ユーザ端末20、30の音声入力機能により生成される音声データ(オーディオデータともいう)と、を含むデータである。動画データは、ユーザ端末20、30で再生されることで、ユーザによるコンテンツの視聴を可能とする。本実施の形態では、動画データが配信者のユーザ端末で生成されてから視聴者のユーザ端末で再生されるまでの間に、圧縮や伸張や符号化や復号やトランスコーディングなどの、データの形式やサイズや仕様を変更する処理が行われることが想定されている。このような処理の前後で動画データが表す内容(例えば、動画像や音声)は実質的に変わらないので、本実施の形態ではそのような処理が行われた後の動画データはそのような処理が行われる前の動画データと同じであるとして説明する。すなわち、動画データが配信者のユーザ端末で生成されてからサーバ10を経由して視聴者のユーザ端末で再生される場合、配信者のユーザ端末で生成された動画データと、サーバ10を通過する動画データと、視聴者のユーザ端末で受信されて再生される動画データと、は全て同じ動画データである。
【0020】
本明細書において「配信時間」は、ひとつのライブ配信に関連付けられたパラメータであって、当該ライブ配信が継続した期間の長さを指す。配信時間は、当該ライブ配信に視聴者がいるか否かとは無関係に算出される。
【0021】
図1の例では、配信者LVがトークをライブ配信している。配信者LVのユーザ端末20はトークを行っている配信者LVの像および音声を録画・録音することで動画データを生成し、ネットワークNWを介してサーバ10に送信する。併せてユーザ端末20は、録画された配信者LVの動画像VDをユーザ端末20のディスプレイに表示させることで、配信者LVによる配信内容の確認を可能とする。
【0022】
配信者LVのライブ配信の視聴をプラットフォームに要求した視聴者AU1、AU2のユーザ端末30a、30bはそれぞれ、ネットワークNWを介してライブ配信に係る動画データを受信し、受信した動画データを再生することでディスプレイに動画像VD1、VD2を表示させると共にスピーカーから音声を出力する。各ユーザ端末30a、30bで表示される動画像VD1、VD2は配信者LVのユーザ端末20が撮像した動画像VDと実質的に同一であり、各ユーザ端末30a、30bで出力される音声も配信者LVのユーザ端末20が録音した音声と実質的に同一である。
【0023】
配信者LVのユーザ端末20における録音・録画と、視聴者AU1、AU2のユーザ端末30a、30bにおける動画データの再生と、は実質的に同時に行われる。配信者LVのトークの内容についてひとりの視聴者AU1がコメントをユーザ端末30aに入力すると、サーバ10は当該コメントをリアルタイムで配信者LVのユーザ端末20に表示させると共に各視聴者AU1、AU2のユーザ端末30a、30bにも表示させる。当該コメントを読んだ配信者LVがその内容に被せたトークを展開すると、そのトークの動画像と音声が各視聴者AU1、AU2のユーザ端末30a、30bで出力され、これにより配信者LVと視聴者AU1との会話が成立したと認識される。このように、ライブ配信システム1では、一方通行でない双方向のコミュニケーションを可能とするライブ配信が実現される。
【0024】
図2は、図1のユーザ端末20の機能および構成を示すブロック図である。ユーザ端末30はユーザ端末20と同様の機能および構成を有する。図2および以後のブロック図に示す各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのCPUをはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組み合せによっていろいろなかたちで実現できることは、本明細書に触れた当業者には理解されるところである。
【0025】
配信者LVおよび視聴者AUは、ダウンロードサイトからネットワークNWを介して、本実施の形態に係るライブ配信アプリケーションプログラム(以下、ライブ配信アプリという)をユーザ端末20、30にダウンロードし、インストールする。あるいはまた、ライブ配信アプリはユーザ端末20、30にプリインストールされていてもよい。ライブ配信アプリがユーザ端末20、30により実行されることにより、ユーザ端末20、30はネットワークNWを介してサーバ10と通信し、各種機能を実現する。以下、ユーザ端末20、30(のCPUなどのプロセッサ)がライブ配信アプリを実行することにより実現する機能をユーザ端末20、30の機能として説明する。それらの機能は実際はライブ配信アプリがユーザ端末20、30に実現させる機能である。なお、他の実施の形態では、これらの機能は、サーバ10からユーザ端末20、30のウェブブラウザにネットワークNWを介して送信され、そのウェブブラウザによって実行される、HTML(HyperText Markup Language)などのプログラミング言語により記述されたコンピュータプログラムにより実現されてもよい。
【0026】
ユーザ端末20は、ユーザの像および音声を記録した動画データを生成してサーバ10に提供する配信部100と、サーバ10から動画データを取得して再生する視聴部200と、アクティブユーザによる要求を処理する配信外処理部400と、を備える。ユーザは、配信を行う場合は配信部100を、視聴を行う場合は視聴部200を、視たいライブ配信を探したり配信者のプロフィールを視たりアーカイブやクリップを視たりする場合は配信外処理部400を、それぞれ起動する。配信部100がアクティブとなっているユーザ端末は配信者側、つまり動画データの生成側のユーザ端末であり、視聴部200がアクティブとなっているユーザ端末は視聴者側、つまり動画データの再生側のユーザ端末であり、配信外処理部400がアクティブとなっているユーザ端末はアクティブユーザのユーザ端末である。
【0027】
配信部100は、撮像制御部102と、音声制御部104と、動画送信部106と、配信側UI制御部108と、配信側通信部110と、を含む。撮像制御部102は図2では不図示のカメラと接続され、カメラによる撮像を制御する。撮像制御部102はカメラから画像データを取得する。音声制御部104は図2では不図示のマイクロフォンと接続され、マイクロフォンによる音声入力を制御する。音声制御部104は、マイクロフォンから音声データを取得する。動画送信部106は、撮像制御部102により取得された画像データおよび音声制御部104により取得された音声データを含む動画データを、ネットワークNWを介してサーバ10に送信する。動画送信部106による動画データの送信はリアルタイムで行われる。すなわち、撮像制御部102および音声制御部104による動画データの生成と、生成された動画データの動画送信部106による送信と、は実質的に同時に行われる。
【0028】
配信側UI制御部108は、配信者向けのUIを制御する。配信側UI制御部108は、図2では不図示のディスプレイと接続され、動画送信部106による送信対象となっている動画データを再生することにより動画像をディスプレイに表示させる。配信側UI制御部108は、図2では不図示のタッチパネルやキーボードやディスプレイなどの入力手段と接続され、それら入力手段を介して配信者による入力を取得する。配信側UI制御部108は、動画像に所定のフレーム画像を重畳させる。フレーム画像は、配信者から入力を受け付けるための様々なユーザインタフェースオブジェクト(以下、単にオブジェクトという)と、視聴者により入力されたコメントと、サーバ10が生成するシステムコメントと、を含む。配信側UI制御部108は例えば配信者によるオブジェクトに対するタップ入力を受け付ける。
【0029】
配信側通信部110は、ライブ配信中のサーバ10との間の通信を制御する。配信側通信部110は、配信側UI制御部108が取得した配信者による入力の内容を、サーバ10にネットワークNWを介して送信する。配信側通信部110は、ライブ配信に関連付けられた各種の情報をサーバ10からネットワークNWを介して受信する。
【0030】
視聴部200は、視聴側UI制御部202と、視聴側通信部204と、を含む。視聴側通信部204は、ライブ配信中のサーバ10との間の通信を制御する。視聴側通信部204は、ネットワークNWを介してサーバ10から、配信者と視聴者とが参加するライブ配信に係る動画データやクリップ促進通知を受信する。
【0031】
視聴側UI制御部202は、視聴者向けのUIを制御する。視聴側UI制御部202は、図2では不図示のディスプレイおよびスピーカと接続され、受信された動画データを再生することにより動画像をディスプレイに表示させると共に音声をスピーカから出力させる。ディスプレイに画像が出力されると共にスピーカから音声が出力されることを、合わせて「動画データが再生」されていると言うことができる。視聴側UI制御部202は、図2では不図示のタッチパネルやキーボードやディスプレイなどの入力手段と接続され、それら入力手段を介して視聴者による入力を取得する。視聴側UI制御部202は、サーバ10から取得された動画データの画像に所定のフレーム画像を重畳させる。フレーム画像は、視聴者から入力を受け付けるための様々なオブジェクトと、視聴者により入力されたコメントと、サーバ10が生成するシステムコメントと、を含む。視聴側通信部204は、視聴側UI制御部202が取得した視聴者による入力の内容を、ネットワークNWを介してサーバ10に送信する。視聴側通信部204は、クリップ生成指示を、ネットワークNWを介してサーバ10に送信する。
【0032】
配信外処理部400は、配信外UI制御部402と、配信外通信部404と、を含む。配信外UI制御部402は、アクティブユーザ向けのUIを制御する。例えば、配信外UI制御部402は、現在参加可能なライブ配信のリストを表示してアクティブユーザによるライブ配信の選択を受け付けるライブ配信選択画面を生成し、ディスプレイに表示させる。配信外UI制御部402は、任意のユーザのプロフィール画面を生成し、ディスプレイに表示させる。配信外UI制御部402は、過去のライブ配信を録音・録画することにより生成されたアーカイブを再生する。配信外UI制御部402は、アクティブユーザに関連付けられたクリップのリストを表示してアクティブユーザによるクリップの選択を受け付けるクリップ選択画面を生成し、ディスプレイに表示させる。配信外UI制御部402は、選択されたクリップを再生する。
【0033】
配信外通信部404は、ライブ配信外のサーバ10との間の通信を制御する。配信外通信部404は、ネットワークNWを介してサーバ10から、ライブ配信選択画面を生成するための情報や、プロフィール画面を生成するための情報や、アーカイブのデータや、クリップ選択画面を生成するための情報を受信する。配信外通信部404は、アクティブユーザによる入力の内容を、ネットワークNWを介してサーバ10に送信する。
【0034】
図3は、図1のサーバ10の機能および構成を示すブロック図である。サーバ10は、配信情報提供部302と、中継部304と、ギフト処理部308と、支払い処理部310と、条件判定部322と、クリップ促進通知部324と、クリップ処理部326と、クリップ共有部328と、配信解析部330と、ストリームDB314と、ユーザDB318と、ギフトDB320と、クリップDB332と、を備える。
【0035】
図4は、図3のストリームDB314の一例を示すデータ構造図である。ストリームDB314は現在行われているライブ配信の情報および過去に行われたライブ配信(アーカイブともいう)の情報を保持する。ストリームDB314は、ライブ配信システム1が提供するライブ配信プラットフォームにおいてライブ配信を特定するストリームIDと、当該ライブ配信の配信者を特定するユーザIDである配信者IDと、当該ライブ配信の視聴者を特定するユーザIDである視聴者IDと、当該ライブ配信のアーカイブデータと、当該ライブ配信のスコアと、当該ライブ配信の視聴者によって当該ライブ配信からクリップが生成された回数を示すクリップ数と、を対応付けて保持する。ライブ配信からクリップが生成された回数を示す情報として、上記のクリップ数に代えて/加えて例えば配信者によって生成されたクリップも含めたクリップ数や、ライブ配信からクリップを生成した視聴者の数や、クリップが生成された回数に応じたレベルや、ライブ配信の視聴者によってライブ配信から生成されたクリップの個数などを採用してもよい。
【0036】
ライブ配信のスコアは、ライブ配信の盛り上がりを表す指標である。スコアの数値が高いライブ配信は「盛り上がっている」「人気配信」と認知される。スコアは、例えば、視聴者数、配信時間、コメント数、シェア数、獲得ギフト数、ギフトを贈ってくれた視聴者の数、エール数、クリップ数などにより変動する。特に、スコアの算出アルゴリズムは、クリップ数が多いほどスコアが高くなるよう設定される。スコアが高いほど、そのライブ配信のサムネイルがライブ配信選択画面においてより上位またはより目立つ位置に表示される。したがって、スコアが高いほどより多くのアクティブユーザの目にとまることとなる。
【0037】
ライブ配信のアーカイブデータは、現在行われているライブ配信であれば当該ライブ配信が開始されてから現在までのそのライブ配信の動画データであり、過去に行われたライブ配信であればそのライブ配信全体の動画データである。アーカイブデータは、配信者のユーザ端末で生成された動画データと、ギフトのエフェクトやコメントなどの動画に重畳して表示されるオブジェクトのデータと、を含む。アーカイブデータは動画データとオブジェクトのデータとを一体のデータとして保持してもよいし、それぞれ別々のデータとして保持してもよい。アーカイブデータの一部の複製であるクリップのデータについても同様である。
【0038】
本実施の形態に係るライブ配信システム1が提供するライブ配信プラットフォームでは、ユーザがライブ配信を行う場合そのユーザは配信者となり、また同じユーザが他のユーザが配信するライブ配信を視聴する場合は視聴者となる。したがって、配信者・視聴者の別は固定的なものではなく、あるとき配信者IDとして登録されていたユーザIDが別のタイミングでは視聴者IDとして登録されることもある。
【0039】
図5は、図3のユーザDB318の一例を示すデータ構造図である。ユーザDB318は、ユーザに関する情報を保持する。ユーザDB318は、ユーザを特定するユーザIDと、当該ユーザが有しているポイントと、当該ユーザに付与された報酬と、を対応付けて保持する。
【0040】
ポイントは、ライブ配信プラットフォーム内で流通する電子的価値である。ユーザはクレジットカードや他の決済手段によりポイントを購入する。報酬はライブ配信プラットフォーム内で定義される電子的価値であり、配信者がライブ配信プラットフォームの管理者から受け取る金銭の額を決めるための指標である。ライブ配信プラットフォームでは、ライブ配信内やライブ配信外で視聴者が配信者にギフトを贈ると、視聴者のポイントが消費され、併せて配信者の報酬が相応分だけ増加する。
【0041】
図6は、図3のギフトDB320の一例を示すデータ構造図である。ギフトDB320は、ライブ配信において視聴者が使用可能なギフトに関する情報を保持する。ギフトは、以下の特徴を有するデジタルアイテムまたは電子データである。
・ポイントや金銭を対価として購入可能、または無料で付与可能。
・視聴者が配信者に贈ることができるもの。配信者にギフトを贈ることを、ギフトを使用する、またはギフトを投げるともいう。
・ギフトの購入と使用とがセットで同時に発生するタイプのものもあれば、購入した後、視聴者が任意のタイミングで使用可能なタイプのものもある。
・視聴者が配信者にギフトを贈ると、その配信者に相応の報酬が付与される。
・ギフトが使用された場合、ギフトに関連付けられた効果が生じることがある。例えば、ギフトに対応するエフェクトがライブ配信ルーム画面に表れる。
【0042】
ギフトDB320は、ギフトを特定するギフトIDと、当該ギフトを配信者に贈った場合に当該配信者に付与される報酬である付与報酬と、当該ギフトを使用する際に支払うべき対価である対価ポイントと、を対応付けて保持する。視聴者は、ライブ配信の視聴中に、所望のギフトの対価ポイントを支払うことで配信者に当該ギフトを贈ることができる。この対価ポイントの支払いは適宜の電子的決済手段により行われてもよく、例えば対価ポイントを視聴者が管理者に支払うことで行われてもよい。あるいはまた、銀行振込やクレジットカードによる支払いが用いられてもよい。付与報酬と対価ポイントとの関係は管理者が任意に設定可能である。例えば、付与報酬=対価ポイントに設定してもよい。または付与報酬に1.2などの所定の係数を乗じて得られるポイントを対価ポイントに設定してもよいし、付与報酬に所定の手数料ポイントを加算して得られるポイントを対価ポイントに設定してもよい。
【0043】
本実施の形態では、通常ギフト(例:「GFT1」、「GFT2」)に加え、通常ギフトとは異なる以下の3種類の特別ギフトが設けられている。
(1)対価ポイントがしきい値(=30000)以上の高額ギフト。例:「GFT3」。高額ギフトのエフェクトは、通常ギフトのエフェクトよりも豪華(例えば、継続時間が長いか、データサイズが大きいか、見栄えが良いか、派手)である。
(2)配信者に付与される報酬の額が抽選により決定されるランダムギフト。例:「RAN1」。「RAN1」が使用されると、使用した視聴者のポイントが200消費され、抽選が行われる。抽選の結果、配信者には100ポイント、200ポイント、1000ポイントのうちのいずれかが付与される。抽選の結果が1000ポイントである場合、「RAN1」の対価ポイントよりも高いので当たりである。これは例えば非特許文献2に記載されるランダムギフトの技術を用いて構成されてもよい。
(3)使用されることにより視聴者および/または配信者のさらなるアクションを誘起するインタラクションギフト。例:「RedE」。「RedE」が使用されると、それが使用されたライブ配信を視聴している視聴者にもポイント取得の機会が与えられる。これは例えば非特許文献1に記載されるラッキー袋の技術を用いて構成されてもよい。
【0044】
図7は、図3のクリップDB332の一例を示すデータ構造図である。クリップDB332は、ライブ配信システム1で生成されたクリップの情報を保持する。クリップDB332は、クリップを特定するクリップIDと、当該クリップのデータと、当該クリップを生成したユーザ(視聴者)のユーザIDである作成者IDと、当該クリップの元となったライブ配信を特定するストリームIDと、当該ライブ配信における当該クリップの開始時刻および終了時刻と、当該クリップがクリップ促進通知に対応するものである場合のそのクリップ促進通知を生じさせたギフトのギフトIDであるトリガーギフトIDと、を対応付けて保持する。クリップIDはURLであってもよい。
【0045】
クリップのデータは、元となったライブ配信の一部分に係る動画データを含む。この動画データは、配信者のユーザ端末で生成された動画データと、ギフトのエフェクトやコメントなどの動画に重畳して表示されるオブジェクトのデータと、を含む。
【0046】
図7の例では、クリップ「CL1」は、ライブ配信「ST1」の視聴者「VR1」がライブ配信「ST1]の2:34(開始から2分34秒後)から3:34(開始から3分34秒後)の間の部分を切り出して得られる60秒の動画である。クリップ「CL1」は、高額ギフト「GFT3」が使用されたことにより一斉送信されたクリップ促進通知に応じて生成されたクリップである。
【0047】
図3に戻り、配信情報提供部302は、ネットワークNWを介して、配信者のユーザ端末20からライブ配信を開始する旨の通知を受けると、当該ライブ配信を特定するストリームIDと、当該ライブ配信の配信者の配信者IDと、をストリームDB314に登録する。加えて配信情報提供部302は、ライブ配信のアーカイブデータの記録を開始する。配信情報提供部302は、ライブ配信の配信者が生成した動画データと、ギフトのエフェクトやコメントなどの動画に重畳して表示されるオブジェクトのデータと、をリアルタイムで取得し、ストリームDB314にアーカイブデータとして蓄積していく。本実施の形態では、サーバ10は、配信者がライブ配信を開始する際に、アーカイブデータを保存するか否かを選択できるよう構成される。保存しないことが選択された場合、アーカイブデータの記録は行われず、したがってアーカイブデータに依拠するクリップの生成も制限または禁止される。
【0048】
配信情報提供部302は、ネットワークNWを介して、アクティブユーザのユーザ端末の配信外通信部404からライブ配信に関する情報の提供要求を受けると、ストリームDB314を参照して現在視聴可能なライブ配信のリストを生成する。配信情報提供部302は、ネットワークNWを介して、生成されたリストを要求元のユーザ端末に送信する。要求元のユーザ端末の配信外UI制御部402は、受信したリストに基づいてライブ配信選択画面を生成し、ユーザ端末のディスプレイに表示させる。
【0049】
ユーザ端末の配信外UI制御部402は、ライブ配信選択画面におけるアクティブユーザによるライブ配信の選択を受け付けると、選択されたライブ配信のストリームIDを含む配信要求を生成し、ネットワークNWを介してサーバ10に送信する。配信情報提供部302は、受信した配信要求に含まれるストリームIDにより特定されるライブ配信の、要求元のユーザ端末への提供を開始する。配信情報提供部302は、当該ストリームIDの視聴者IDに要求元のユーザ端末のアクティブユーザのユーザIDが含まれるようにストリームDB314を更新する。これにより、アクティブユーザは選択されたライブ配信の視聴者となる。
【0050】
中継部304は、配信情報提供部302によって開始されたライブ配信において、配信者のユーザ端末20から視聴者のユーザ端末30への動画データの伝送を中継する。中継部304は、ネットワークNWを介して、配信者のユーザ端末20からライブ配信に係る動画データを受信し、視聴者のユーザ端末30にその動画データを送信する。中継部304は、ライブ配信の視聴者が複数いる場合、ネットワークNWを介して、ライブ配信に係る動画データを複数の視聴者の複数のユーザ端末に送信する。
【0051】
中継部304は、ライブ配信中すなわち動画データの再生中における視聴者によるユーザ入力を示す信号を視聴側通信部204から受信する。ユーザ入力を示す信号は、ユーザ端末30のディスプレイに表示されたオブジェクトの指定を示すオブジェクト指定信号であってもよく、当該オブジェクト指定信号は、視聴者の視聴者IDと、視聴者が視聴しているライブ配信を行っている配信者の配信者IDと、オブジェクトを特定するオブジェクトIDと、を含む。オブジェクトがギフトアイコンである場合、オブジェクトIDはギフトIDとなる。その場合のオブジェクト指定信号は、視聴者による配信者に対するギフトの使用を示すギフト使用信号となる。同様に、中継部304は、動画データの再生中における配信者によるユーザ入力を示す信号、例えばオブジェクト指定信号をユーザ端末20の配信部100の配信側通信部110から受信する。
【0052】
ギフト処理部308は、ライブ配信中に使用されたギフトに関する処理を行う。ギフト処理部308は、ギフト使用信号に含まれるギフトIDで特定されるギフトの付与報酬に応じて配信者の報酬を増加させるようにユーザDB318を更新する。ギフト処理部308は、ギフトDB320を参照し、受信したギフト使用信号に含まれるギフトIDに対応する付与報酬を特定する。ギフト処理部308は、ギフト使用信号に含まれる配信者IDに対応する報酬に、特定された付与報酬を加えるようユーザDB318を更新する。ギフト処理部308は、特別ギフトに関して図6を参照して説明した処理を行う。
【0053】
支払い処理部310は、ギフト使用信号の受信に応じて、視聴者によるギフトの対価の支払いを処理する。支払い処理部310は、ギフトDB320を参照し、ギフト使用信号に含まれるギフトIDで特定されるギフトの対価ポイントを特定する。支払い処理部310は、ギフト使用信号に含まれる視聴者IDで特定される視聴者のポイントから特定された対価ポイントを差し引くようユーザDB318を更新する。
【0054】
条件判定部322は、ライブ配信中のギフティングまたはコメントもしくはその両方に係るクリップ促進通知条件が充たされたか否かを判定する。条件判定部322は、ライブ配信の状態を監視し、ギフティングまたはコメントもしくはその両方に係る対象イベントの発生を待ち受ける。条件判定部322は、対象イベントの発生を検出すると、クリップ促進通知条件が充たされたと判定する。
【0055】
対象イベントは、ライブ配信の視聴者によるクリップを生成するための指示の有無とは無関係なイベントである。ライブ配信の視聴者によるクリップを生成するための指示があっても対象イベントは検出されない。また、対象イベントは、ライブ配信中に発生するイベントであるから、配信者による当該ライブ配信の開始は含まない。後述の視聴者のユーザ端末に表示されるライブ配信ルーム画面においてクリップアイコンが常時表示されるが、これは対象イベントの検出によるクリップ促進通知とは無関係に表示されるものである。対象イベントは、ギフティングやコメントをファクタとして管理者により設定可能に構成される。
【0056】
対象イベントの例は以下のとおりである。
(1)ライブ配信中に所定の基準を充たすギフトが使用された場合。所定の基準を充たすギフトは、通常ギフトとは異なる特別ギフトを含む。特に所定の基準を充たすギフトは、対価がしきい値以上のギフトと、インタラクティブギフトと、を含む。図6の例では、しきい値(=30000)を超える対価「50000」の高額ギフト「GFT3」が使用された場合に、条件判定部322は対象イベントの発生を検出し、クリップ促進通知条件が充たされたと判定する。また、インタラクションギフト「RedE」が使用された場合に、条件判定部322は対象イベントの発生を検出し、クリップ促進通知条件が充たされたと判定する。
(2)ギフティングに起因する抽選の結果が当たりである場合。図6の例では、ランダムギフト「RAN1」が使用され、その抽選の結果が1000ポイントである場合、すなわち当たりの場合、条件判定部322は対象イベントの発生を検出し、クリップ促進通知条件が充たされたと判定する。ランダムギフト「RAN1」が使用されてもその抽選の結果が当たりでなければ(100ポイント、200ポイント)、条件判定部322は対象イベントの発生を検出しない。
(3)ライブ配信中のギフティングの態様が所定の基準を充たす場合。例えば、10秒や1分などの所定の期間内に使用されたギフトの数がしきい値を上回る場合、または、ギフトのコンボが完成した場合、または、ギフティングに関連するライブ配信のパラメータがキリ番に到達した場合、条件判定部322は対象イベントの発生を検出し、クリップ促進通知条件が充たされたと判定する。
(4)コメントの態様が所定の基準を充たす場合。例えば、10秒や1分などの所定の期間内に投稿されたコメントの数がしきい値を上回る場合、条件判定部322は対象イベントの発生を検出し、クリップ促進通知条件が充たされたと判定する。
(5)ライブ配信のスコアがしきい値を上回る場合。ライブ配信のスコアはギフティングが増えると、および/または、コメントが増えると上昇する。このスコアがしきい値を上回ると、条件判定部322は対象イベントの発生を検出し、クリップ促進通知条件が充たされたと判定する。
(6)ギフティングの態様が所定の基準を充たし、かつ、コメントの態様が所定の基準を充たす場合。
【0057】
本実施の形態では、対象イベントは配信者にも個々のライブ配信にも依らない共通のものが設定されるが、他の実施の形態では、対象イベントは配信者ごとに異なるものが設定されてもよいし、対象イベントは配信者のグループごとに異なるものが設定されてもよいし、対象イベントは個々のライブ配信ごとに異なるものが設定されてもよい。例えば、新規の配信者とベテランの配信者とでは特別と感じるギフトの額は異なる。これを反映し、高額ギフトか否かの判断基準となるギフトの対価のしきい値を、配信者のレベルに応じて変更してもよい。例えば、レベルが10以下の配信者のライブ配信では、対価ポイントが10000を超えるギフトが使用されたときにクリップ促進通知条件が充たされたと判定し、レベルが10を超える配信者のライブ配信では、対価ポイントが50000を超えるギフトが使用されたときにクリップ促進通知条件が充たされたと判定してもよい。
【0058】
本実施の形態では、クリップ促進通知条件が充たされたか否かの判定をルールベースで行うが、他の実施の形態では機械学習を用いてこの判定を行ってもよい。例えば、まずギフティングおよび/またはコメントとクリップ数との関係に係る過去のライブ配信のデータを学習データとして機械学習モデルに入力し、学習させる。この機械学習モデルに、現在進行中のライブ配信のギフティングおよび/またはコメントのデータを入力することで、想定されるクリップ数を出力させる。サーバは、このように出力されたクリップ数がしきい値を超えた場合にクリップ促進通知を視聴者に送信するよう構成されてもよい。配信者ごとにクリップ数の変化の傾向が異なることを考慮し、配信者ごとに機械学習モデルを生成してもよい。
【0059】
クリップ促進通知部324は、現在進行中のライブ配信についてクリップ促進通知条件が充たされたと判定された場合、ネットワークNWを介して、当該ライブ配信の各視聴者のユーザ端末にクリップ促進通知を一斉送信する。クリップ促進通知部324は、クリップ促進通知条件が充たされたことをトリガとして、クリップ促進通知を送信する。クリップ促進通知は、ライブ配信からクリップを視聴者に関連付けて生成するための指示を当該視聴者から受け付けるための通知である。
【0060】
クリップ促進通知の送信対象は、ライブ配信の視聴者全員のユーザ端末であってもよいし、ライブ配信の複数の視聴者のうちの一部の視聴者のユーザ端末であってもよい。あるいはまた、予め配信者がクリップ生成可能な視聴者の属性を指定しておき、そのように指定された属性の視聴者のユーザ端末のみにクリップ促進通知を送信するよう構成されてもよい。例えば、配信者が予めシステムにブラックリストまたはホワイトリストを登録しておき、サーバは、当該配信者のライブ配信においてブラックリストに掲載されていない視聴者のユーザ端末に、または、ホワイトリストに掲載されている視聴者のユーザ端末のみに、クリップ促進通知を送信するよう構成されてもよい。あるいはまた、サーバは、配信者のフォロワーや配信者をサブスクライブしている視聴者のみにクリップ促進通知を送信するよう構成されてもよい。あるいはまた、サーバは、管理者が管理しているコメント禁止対象者リストや活動制限者リストを参照し、そのようなリストに掲載されている視聴者にはクリップ促進通知が送信されないよう構成されてもよい。あるいはまた、クリップ促進通知は、対応するクリップ促進通知条件の充足を実現した視聴者のユーザ端末に、またはそのユーザ端末のみに送信されてもよい。例えば、ある視聴者がライブ配信を視聴しているときに高額ギフトを使用した場合、サーバはクリップ促進通知条件が充たされたと判定する。サーバは、高額ギフトを使用した視聴者のユーザ端末のみにクリップ促進通知を送信してもよい。
【0061】
クリップ処理部326は、クリップ促進通知を受信した複数の視聴者のうちのひとりの視聴者のユーザ端末から、ネットワークNWを介してクリップ促進通知に対する応答を受信した場合、クリップを当該視聴者に関連付けて生成するための処理を行う。ライブ配信からのクリップの生成は、例えば特許文献1に記載される技術を用いて実現されてもよい。
【0062】
クリップ処理部326は、クリップ促進通知に応じたクリップ生成指示を受信すると、当該クリップ促進通知に対応するクリップ促進通知条件が充たされたと判定されたタイミングの直前の期間を含むクリップを生成するための処理を行う。クリップ生成指示は、クリップの生成を指示した視聴者の視聴者IDと、当該視聴者が視聴しているライブ配信のストリームIDと、を含む。図7の例では、ライブ配信「ST1」の時刻3:30(開始から3分30秒後)に高額ギフト「GFT3」が使用される。条件判定部322は、高額ギフト「GFT3」の使用を検出し、時刻3:34にクリップ促進通知条件が充たされたと判定する。クリップ促進通知部324は、クリップ促進通知を視聴者のユーザ端末に送信する。このクリップ促進通知に応答して視聴者「VR1」が自己のユーザ端末にクリップの作成を指示し、クリップ処理部326は当該ユーザ端末からクリップ生成指示を受信する。このクリップ生成指示に応じたクリップ生成処理において、クリップの終了時刻は、クリップが、クリップ促進通知条件が充たされたと判定されたタイミング(時刻3:34)の直前の期間を含むよう設定される。例えば、クリップの終了時刻は、クリップ促進通知条件が充たされたと判定されたタイミング(時刻3:34)に固定され、クリップの長さの最小値は60秒に設定される。その結果、視聴者「VR1」が生成するクリップは、開始時刻が2:34、終了時刻が3:34となり、高額ギフト「GFT3」が使用されたタイミングである時刻3:30を含むこととなる。
【0063】
クリップ処理部326は、クリップ生成用のインタフェースを通じて作成者(=視聴者)とやりとりをしながらクリップを生成してもよいし、クリップ生成指示を受けると全て自動でクリップを生成してもよい。
【0064】
クリップ処理部326は、生成されたクリップのデータを、当該クリップの作成者(=クリップ生成指示の送り主の視聴者)のユーザIDと、クリップの元となったライブ配信のストリームIDと、クリップの開始時刻および終了時刻と、トリガーギフトのギフトIDと、に対応付けてクリップDB332に登録する。上記の図7の例では、クリップ処理部326は、クリップID「CL1」と、生成されたクリップのデータと、作成者ID「VR1」(=クリップの作成を指示した視聴者)と、ストリームID「ST1」と、開始時刻「2:34」と、終了時刻「3:34」と、トリガーギフトID「GFT3」と、を対応付けてクリップDB332に登録する。
【0065】
クリップ共有部328は、ライブ配信プラットフォームにおける、または、他のSNSやメッセージングサービスのプラットフォームにおける、配信者または視聴者によるクリップの他者との共有を可能とするための処理を行う。クリップ共有部328は、クリップ処理部326によってクリップが生成され、クリップDB332に登録されると、当該クリップのクリップIDまたはURLを発行し、作成者のユーザ端末に送信する。作成者は発行されたURLを所望のプラットフォームに投稿することで、他者とクリップを共有する。他者が自己の端末において共有されたURLを指定すると、クリップ共有部328は指定されたURLに対応するクリップのデータを他者の端末に提供する。また、クリップ共有部328は、指定されたURLに対応するクリップの生成元となったライブ配信が進行中であれば、当該ライブ配信を視聴するための情報も併せて他者の端末に提供する。クリップ共有部328は、クリップのURLを、クリップの生成元となったライブ配信の配信者に発行してもよい。
【0066】
配信解析部330は、ライブ配信を監視し、当該ライブ配信のパラメータを更新する。配信解析部330は、ライブ配信が終了すると、当該ライブ配信のパラメータの最終値を当該ライブ配信の配信者のユーザ端末にネットワークNWを介して提供する。配信解析部330は、このパラメータの最終値に、終了したライブ配信のクリップ数の最終値を含める。
【0067】
以上の構成によるライブ配信システム1の動作を説明する。
図8は、ライブ配信中にクリップ促進通知がなされるときのライブ配信システム1における一連の処理の流れを示すフローチャートである。サーバ10は、現在進行中のライブ配信の状態を監視し、クリップ促進通知条件が充たされたか否かを判定する(S202)。充たされない場合(S202のN)、サーバ10は監視を継続し、再度ステップS202の判定を行う。クリップ促進通知条件が充たされた場合(S202のY)、サーバ10は、クリップ促進通知を、ライブ配信の複数の視聴者の複数のユーザ端末に一斉送信する(S204)。サーバ10は、ステップS204でクリップ促進通知を送信した先の複数のユーザ端末のうちのひとつのユーザ端末からクリップ生成指示を受信する(S206)。サーバ10は、クリップ生成処理を行う(S208)。サーバ10は生成されたクリップのデータをクリップDB332に登録し、当該クリップを指定するための情報(URLなど)を、クリップ生成を指示した視聴者のユーザ端末に送信する。
【0068】
視聴者のユーザ端末がクリップのURLを受信すると、視聴者はユーザ端末を操作することでクリップを他の者と共有する。このときユーザ端末はクリップ共有処理を行う(S210)。サーバ10は、ライブ配信からクリップが生成されたことおよびそのクリップのURLを含むクリップ生成通知を生成し、当該ライブ配信の配信者のユーザ端末に送信する(S212)。配信者のユーザ端末がクリップ生成通知を受信すると、配信者はユーザ端末を操作することでクリップを他の者と共有する。このときユーザ端末はクリップ共有処理を行う(S214)。サーバ10は、ステップS208で生成されたクリップの元となったライブ配信に対応するクリップ数が1だけインクリメントされるようストリームDB314を更新する(S216)。
【0069】
図9は、視聴者のユーザ端末30のディスプレイに表示されるライブ配信ルーム画面608の代表画面図である。ライブ配信選択画面(不図示)において視聴者がサムネイルをタップすると、図9のライブ配信ルーム画面608がディスプレイに表示される。ライブ配信ルーム画面608は、配信者のユーザ端末20で生成された動画像をリアルタイムで表示する。ライブ配信ルーム画面608は、サーバ10から受信した動画データを再生することにより得られる配信者の動画像610と、ギフトオブジェクト612と、コメント入力領域616と、コメント表示領域618と、視聴終了ボタン620と、クリップアイコン614と、を有する。視聴側UI制御部202は、動画データを再生することにより得られる動画像610に、他のオブジェクト、すなわちギフトオブジェクト612、コメント入力領域616、コメント表示領域618、視聴終了ボタン620、クリップアイコン614を重畳表示することによりライブ配信ルーム画面608を生成する。クリップアイコン614はクリップ促進通知とは無関係に、視聴者のユーザ端末30でライブ配信ルーム画面608の表示が開始されたときから表示される。
【0070】
コメント表示領域618は、視聴者により入力されたコメントと、他の視聴者により入力されたコメントと、システムコメントと、を含みうる。システムコメントは、配信者に誰がどのギフトを贈ったかを示すコメントと、視聴者にクリップの生成を促すためのコメントと、を含むことができる。視聴側UI制御部202はサーバ10から受信した他の視聴者のコメントおよびシステムコメントを含むコメント表示領域618を生成し、生成されたコメント表示領域618をライブ配信ルーム画面608に含める。
【0071】
コメント入力領域616は視聴者によるコメントの入力を受け付ける。視聴側通信部204は、コメント入力領域616に入力されたコメントを含むコメント入力信号を生成し、ネットワークNWを介してサーバ10に送信する。併せて視聴側UI制御部202は、コメント入力領域616に入力されたコメントを表示するようにコメント表示領域618を更新する。
【0072】
視聴終了ボタン620は、ライブ配信の視聴を止めるための指示を視聴者から受け付けるためのオブジェクトである。
【0073】
クリップアイコン614は、ライブ配信の視聴者によるクリップを生成するための指示を受け付けるためのオブジェクトである。クリップアイコン614は、クリップ促進通知条件が充たされるか否かに関わらずライブ配信ルーム画面608に表示される。ユーザ端末30の視聴側UI制御部202は、クリップアイコン614へのタップが検出されると、視聴者の視聴者IDとライブ配信のストリームIDとを含むクリップ生成指示を生成し、ネットワークNWを介してサーバ10に送信する。サーバ10のクリップ処理部326はクリップ生成指示を受信するとクリップ生成処理を行う。このように生成されたクリップは、クリップ促進通知に由来しないクリップとしてクリップDB332に登録される。具体的には、そのようなクリップのデータにトリガーギフトIDは対応付けられない(図7のクリップ「CL5」)。
【0074】
ユーザ端末30の視聴側UI制御部202は、ギフトオブジェクト612へのタップが検出されると、ギフト情報要求を生成し、ネットワークNWを介してサーバ10に送信する。サーバ10の中継部304は、ギフト情報要求を受信すると、ギフトDB320を参照して使用可能なギフトのギフトIDを特定する。サーバ10は、特定されたギフトIDを含むギフト情報を生成し、要求元のユーザ端末30に送信する。ユーザ端末30の視聴側UI制御部202は、受信したギフト情報に基づき、ギフトの選択を受け付けるためのギフト領域622を生成する。ギフト領域622は、受信したギフト情報に含まれるギフトIDで特定されるギフトのギフトオブジェクト624を含む。視聴側UI制御部202は生成されたギフト領域622をライブ配信ルーム画面608に表示させる。
【0075】
図10は、視聴者のユーザ端末30のディスプレイに表示される、ギフト領域622が重畳表示されたライブ配信ルーム画面608の代表画面図である。ギフト領域622は、ギフトのギフトオブジェクト624を含む。図10のライブ配信ルーム画面608において視聴者がギフト領域622の高額ギフト「GFT3」に対応するギフトオブジェクト624をタップすると、ユーザ端末30の視聴側UI制御部202は当該視聴者による当該ギフトオブジェクト624の指定を受け付ける。視聴側UI制御部202は、指定されたギフトオブジェクト624が表す高額ギフト「GFT3」に対応するエフェクト626を生成する。視聴側UI制御部202は、生成されたエフェクト626をライブ配信ルーム画面608に表示させる。併せて視聴側通信部204は指定されたギフトオブジェクト624が表す高額ギフト「GFT3」のギフトIDを含むギフト使用信号を生成してサーバ10に送信する。サーバ10が高額ギフト「GFT3」のギフトIDを含むエフェクト表示指示信号を配信者のユーザ端末20および他の視聴者のユーザ端末に送ることで、ライブ配信に参加している配信者および他の視聴者のユーザ端末でも同様のエフェクトが表示される。
【0076】
図11は、視聴者のユーザ端末30のディスプレイに表示される、エフェクト626が重畳表示されたライブ配信ルーム画面608の代表画面図である。図11のコメント表示領域618は、視聴者(この例ではユーザID「VR1」)が高額ギフト(この例では「ハート」)を配信者に贈ったことを示すシステムコメント638を含む。システムコメント638は、上記のオブジェクト指定信号への返信に含まれてもよい。
【0077】
サーバ10は、図11のライブ配信ルーム画面608で行われているライブ配信において高額ギフト「GFT3」が使用されたというイベントを検出し、クリップ促進通知条件が充たされたと判定する。サーバ10は、そのライブ配信に参加している全ての視聴者のユーザ端末30にクリップ促進通知を送信する。ユーザ端末30の視聴側UI制御部202は、受信したクリップ促進通知に基づき、ライブ配信ルーム画面608において、クリップを生成するための指示を促す表示を開始する。視聴側UI制御部202は、クリップ促進通知を受信すると、視聴者にクリップの生成を促すテキストを含むシステムコメント640を生成し、コメント表示領域618に表示させる。システムコメント640の内容はクリップ促進通知に含まれていてもよい。
【0078】
図12は、視聴者のユーザ端末30のディスプレイに表示される、コメント表示領域618にクリップ促進に係るシステムコメント640を含むライブ配信ルーム画面608の代表画面図である。システムコメント640はアクションアイコン642を含む。ユーザ端末30の視聴側UI制御部202は、クリップ促進通知を受信すると、クリップアイコン614の強調表示を開始する。この強調表示は所定の期間継続する。図12の例では、クリップアイコン614の周りに強調用の点滅オブジェクト644が表示される。
【0079】
ユーザ端末30の視聴側UI制御部202は、アクションアイコン642へのタップまたは強調表示されたクリップアイコン614へのタップが検出されると、視聴者の視聴者IDとライブ配信のストリームIDとを含むクリップ生成指示を生成し、ネットワークNWを介してサーバ10に送信する。サーバ10のクリップ処理部326はクリップ生成指示を受信するとクリップ生成処理を行う。このように生成されたクリップは、上述のとおり、クリップ促進通知に由来するクリップとしてクリップDB332に登録される。
【0080】
本実施の形態では、クリップの生成を促す表示として、(1)コメント表示領域618にクリップの生成を促すシステムコメント640を表示、および(2)元々存在していたクリップアイコン614の強調表示、を採用したが、これに限られず、これらはいずれか一方のみ採用されてもよい。あるいはまた、これに加えてまたは代えて、視聴側UI制御部202は、クリップ促進通知を受信すると、ライブ配信ルーム画面608においてクリップの生成に係る新たなアイコン(クリップアイコン614とは異なるもの)の表示を開始してもよい。
【0081】
図13は、視聴者のユーザ端末30のディスプレイに表示されるクリップシェア画面650の代表画面図である。図12のライブ配信ルーム画面608においてアクションアイコン642またはクリップアイコン614がタップされてクリップ生成処理が開始され、クリップの生成が完了すると、図13に示されるクリップシェア画面650がユーザ端末30のディスプレイに表示される。クリップシェア画面650は、生成されたクリップを表すクリップオブジェクト654と、シェア先の候補となる複数のプラットフォームの複数のアイコンを含むシェア受付領域652と、を有する。クリップの生成者である視聴者がシェア受付領域652に表示されるアイコンのなかから所望のプラットフォームに対応するアイコンを選んでタップすると、視聴側通信部204は選択されたアイコンに対応するプラットフォームを特定する情報と、クリップのURLと、を含むシェア要求を生成し、ネットワークNWを介してサーバ10に送信する。サーバ10のクリップ共有部328は、受信したシェア要求にしたがいクリップのシェア処理を行う。このようなクリップのシェア自体は公知の技術を用いて実現されてもよい。
【0082】
図14は、配信者のユーザ端末20のディスプレイに表示されるライブ配信ルーム画面660の代表画面図である。ライブ配信ルーム画面660は、配信者の動画像610と、配信終了ボタン662と、コメント表示領域664と、を有する。コメント表示領域664は、視聴者(この例ではユーザID「VR1」)が高額ギフト(この例では「ハート」)を配信者に贈ったことを示すシステムコメント638と、視聴者(この例ではユーザID「VR1」)が当該ライブ配信からクリップを生成したことを示すシステムコメント666と、を含む。
【0083】
図12のライブ配信ルーム画面608においてアクションアイコン642またはクリップアイコン614がタップされてクリップ生成処理が開始され、クリップの生成が完了すると、サーバ10はクリップ生成通知を生成し、配信者のユーザ端末20に送信する。ユーザ端末20の配信側UI制御部108は、受信したクリップ生成通知に基づき、ライブ配信ルーム画面660において、生成されたクリップをシェアするための指示を促す表示を開始する。配信側UI制御部108は、クリップ生成通知を受信すると、配信者にクリップのシェアを促すテキストを含むシステムコメント666を生成し、コメント表示領域664に表示させる。
【0084】
ユーザ端末20の配信側UI制御部108は、システムコメント666へのタップが検出されると、図13のシェア受付領域652に準じるまたは同様のシェア受付領域をライブ配信ルーム画面660に重畳表示させ、そこでシェア要求を受け付ける。
【0085】
図15は、ライブ配信を終了した配信者のユーザ端末20のディスプレイに表示されるライブ配信結果画面680の代表画面図である。図14のライブ配信ルーム画面660において配信者が配信終了ボタン662をタップすると、ユーザ端末20の配信側通信部110は配信終了要求を生成してサーバ10に送信する。サーバ10は、配信終了要求を受信すると、そのライブ配信を終了させる。配信解析部330は、終了されたライブ配信のクリップ数の最終値を含むパラメータの最終値を当該ライブ配信の配信者のユーザ端末20にネットワークNWを介して送信する。ユーザ端末20の配信側UI制御部108は、受信した最終値を含むライブ配信結果画面680を生成し、ディスプレイに表示させる。ライブ配信結果画面680は、終了したライブ配信のクリップ数の最終値を示すクリップ数表示領域682を含む。
【0086】
上述の実施の形態において、保持部やDBの例は、ハードディスクや半導体メモリである。また、本明細書の記載に基づき、各部を、図示しないCPUや、インストールされたアプリケーションプログラムのモジュールや、システムプログラムのモジュールや、ハードディスクから読み出したデータの内容を一時的に記憶する半導体メモリなどにより実現できることは本明細書に触れた当業者には理解される。
【0087】
本実施の形態に係るライブ配信システム1によると、ライブ配信中にクリップ促進通知条件が充たされると、当該ライブ配信のライブ配信ルーム画面においてアイコンの強調表示やコメントにより、視聴者に対してクリップの生成を促す。これにより視聴者はより容易に特別な瞬間のクリップを生成し、シェアすることができ、そのようなクリップの取り忘れを抑制または防止することができる。また、対象イベントの発生に寄与した視聴者(例:高額ギフトを使用した視聴者)だけでなくライブ配信の複数の視聴者に一斉にクリップ促進通知がなされることにより、より多くの視聴者がクリップを生成し、各々が別々のプラットフォームでそれを共有することとなる。したがって、クリップの元のライブ配信またはその配信者の拡散のスピードを高めることができる。
【0088】
従来、視聴者によるライブ配信のクリップ、切り取りは、権利処理の観点から、またコントロールが困難であることにより、推奨されていなかった。しかしながら、本発明者らは、視聴者によるクリップを許すことにより元のライブ配信や配信者の認知度が大いに高まることを見出し、そのようなメリットがデメリットを上回ることを見出した。本実施の形態では、視聴者によるクリップを許すことからさらに進めてシステムが視聴者にクリップを推奨する、促す構成としたことで、そのようなメリットをより多く享受することができる。
【0089】
また、本実施の形態に係るライブ配信システム1では、高額ギフトやインタラクションギフトなどの特別なギフトの使用、あるいはランダムギフトの当たりによりクリップ促進通知条件が充たされる。したがって、視聴者は、高額ギフトの豪華なエフェクトを含むクリップをより確実に生成することができるし、インタラクションギフトの使用により盛り上がっている様子を含むクリップをより確実に生成することができるし、ランダムギフトに当たりが出て配信者も視聴者もおおいに喜ぶ様子を切り取ったクリップをより確実に生成することができる。また、そのようなすばらしい瞬間を切り取ったクリップを多くの視聴者がより多くの場所に拡散することで、ライブ配信やその配信者の認知度をより高めることができる。
【0090】
また、本実施の形態に係るライブ配信システム1では、ライブ配信の解析結果としてクリップ数をカウントし、配信者に提示する。本実施の形態では視聴者はクリップを生成するよう促されるので、クリップ数はより大きくなる。大きなクリップ数を見せることで、配信者の配信意欲を向上させることができる。
【0091】
図16を参照して、本実施の形態に係る情報処理装置のハードウェア構成について説明する。図16は、本実施の形態に係る情報処理装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。図示された情報処理装置900は、例えば、本実施の形態におけるサーバ10およびユーザ端末20、30のそれぞれを実現しうる。
【0092】
情報処理装置900は、CPU901、ROM(Read Only Memory)902、およびRAM(Random Access Memory)903を含む。また、情報処理装置900は、ホストバス907、ブリッジ909、外部バス911、インタフェース913、入力装置915、出力装置917、ストレージ装置919、ドライブ921、接続ポート925、通信装置929を含んでもよい。さらに、情報処理装置900は、カメラなどの撮像装置(不図示)を含む。CPU901は、本明細書中に記載されている構成要素により実現される機能を実現するためのハードウェア構成の例である。本明細書に記載されている機能は、当該記載された機能を実現するようにプログラムされた回路(circuitry)により実現されてもよい。本明細書に記載されている機能を実現するようにプログラムされた回路(circuitry)は、CPU(a Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、汎用プロセッサ、特定用途プロセッサ、集積回路、ASICs(Application Specific Integrated Circuits)、および/又はこれらの組合せを含む。本明細書において特定の機能を実現するユニット、は、当該機能を実現するようにプログラムされた回路として実現されてもよい。
【0093】
CPU901は、演算処理装置および制御装置として機能し、ROM902、RAM903、ストレージ装置919、またはリムーバブル記録媒体923に記録された各種プログラムに従って、情報処理装置900内の動作全般またはその一部を制御する。例えば、CPU901は、本実施の形態におけるサーバ10およびユーザ端末20、30のそれぞれに含まれる各機能部の動作全般を制御する。ROM902は、CPU901が使用するプログラムや演算パラメータなどを記憶する。RAM903は、CPU901の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータなどを一次記憶する。CPU901、ROM902、およびRAM903は、CPUバスなどの内部バスにより構成されるホストバス907により相互に接続されている。さらに、ホストバス907は、ブリッジ909を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バス911に接続されている。
【0094】
入力装置915は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、スイッチおよびレバーなど、ユーザによって操作される装置であってもよいし、マイクロフォンなどの音センサ、加速度センサ、傾きセンサ、赤外線センサ、深度センサ、温度センサ、湿度センサなど物理量を電気信号に変換する装置であってもよい。入力装置915は、例えば、赤外線やその他の電波を利用したリモートコントロール装置であってもよいし、情報処理装置900の操作に対応した携帯電話などの外部接続機器927であってもよい。入力装置915は、ユーザが入力した情報または感知した物理量に基づいて入力信号を生成してCPU901に出力する入力制御回路を含む。ユーザは、この入力装置915を操作することによって、情報処理装置900に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりする。
【0095】
出力装置917は、取得した情報をユーザに対して視覚的または聴覚的に通知することが可能な装置で構成される。出力装置917は、例えば、LCD、PDP、OELDなどのディスプレイ、スピーカおよびヘッドホンなどの音響出力装置、ならびにプリンタ装置などでありうる。出力装置917は、情報処理装置900の処理により得られた結果を、テキストまたは画像などの映像として出力したり、音響などの音として出力したりする。
【0096】
ストレージ装置919は、情報処理装置900の記憶部の一例として構成されたデータ格納用の装置である。ストレージ装置919は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)などの磁気記憶部デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス、または光磁気記憶デバイスなどにより構成される。このストレージ装置919は、CPU901が実行するプログラムや各種データ、および外部から取得した各種のデータなどを格納する。
【0097】
ドライブ921は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリなどのリムーバブル記録媒体923のためのリーダライタであり、情報処理装置900に内蔵、あるいは外付けされる。ドライブ921は、装着されているリムーバブル記録媒体923に記録されている情報を読み出して、RAM903に出力する。また、ドライブ921は、装着されているリムーバブル記録媒体923に記録を書き込む。
【0098】
接続ポート925は、機器を情報処理装置900に直接接続するためのポートである。接続ポート925は、例えば、USB(Universal Serial Bus)ポート、IEEE1394ポート、SCSI(Small Computer System Interface)ポートなどでありうる。また、接続ポート925は、RS-232Cポート、光オーディオ端子、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)ポートなどであってもよい。接続ポート925に外部接続機器927を接続することで、情報処理装置900と外部接続機器927との間で各種のデータが交換されうる。
【0099】
通信装置929は、例えば、ネットワークNWに接続するための通信デバイスなどで構成された通信インタフェースである。通信装置929は、例えば、有線または無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)、またはWUSB(Wireless USB)用の通信カードなどでありうる。また、通信装置929は、光通信用のルータ、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)用のルータ、または、各種通信用のモデムなどであってもよい。通信装置929は、例えば、インターネットや他の通信機器との間で、TCP/IPなどの所定のプロトコルを用いて信号などを送受信する。また、通信装置929に接続される通信ネットワークNWは、有線または無線によって接続されたネットワークであり、例えば、インターネット、家庭内LAN、赤外線通信、ラジオ波通信または衛星通信などである。なお、通信装置929は、通信部としての機能を実現する。
【0100】
カメラなどの撮像装置(不図示)は、例えばCCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの撮像素子、および撮像素子への被写体像の結像を制御するためのレンズなどの各種の部材を用いて実空間を撮像し、撮像画像を生成する装置である。当該撮像装置は、静止画を撮像するものであってもよいし、または動画を撮像するものであってもよい。
【0101】
以上、実施の形態に係るライブ配信システム1の構成と動作について説明した。この実施の形態は例示であり、各構成要素や各処理の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解される。
【0102】
実施の形態では、クリップ促進通知がライブ配信の視聴者に送信される場合を説明したが、これに限られず、視聴者に代えて/加えて配信者に、クリップ促進通知が送信されてもよい。
【0103】
実施の形態では、ライブ配信中にクリップ促進通知条件が充たされるか否かが判定される場合を説明したが、これに限られない。例えば、アクティブユーザがライブ配信のアーカイブを視聴しているときに、クリップ促進通知条件が充たされるか否かが判定されてもよい。例えば、アーカイブの視聴中に高額ギフトが使用された場面が再生されると、クリップ促進通知条件が充たされたと判定され、アーカイブの視聴者のユーザ端末にクリップ促進通知が送信されてもよい。
【0104】
実施の形態では、クリップのデータは、配信者のユーザ端末で生成された動画データと、ギフトのエフェクトやコメントなどの動画に重畳して表示されるオブジェクトのデータと、を含む場合を説明したが、これに限られず、クリップのデータは配信者のユーザ端末で生成された動画データを含み、オブジェクトのデータを含まなくてもよい。
【0105】
実施の形態におけるギフトの対価ポイントから付与報酬への換算率は一例であって、これらは例えばライブ配信システムの管理者により適宜設定されてもよい。
【0106】
実施の形態に係る技術的思想を、配信者の画像の代わりに配信者の動きと同期した動きをするアバターを用いるバーチャルライブ配信や、ライブコマースに適用してもよい。また、実施の形態では、配信者のユーザ端末で生成されたライブ配信に係る動画データをサーバが中継して視聴者のユーザ端末に送信する場合を説明したが、これに限られない。例えば、実際の配信者の代わりに仮想の配信者を設定する場合に、本実施の形態に係る技術的思想を適用してもよい。仮想の配信者は、例えば、外見はアバターを用い、音声はTTS(Text-To-Speech)エンジンで構成し、発言内容は視聴者のコメントを入力とする機械学習モデルから得るAIバーチャル配信者である。この場合、配信者のユーザ端末は存在せず、配信者側の処理はサーバにて行われる。
【0107】
本明細書において説明された処理手順、特にフロー図、フローチャートを用いて説明された処理手順においては、その処理手順を構成する工程(ステップ)の一部を省略すること、その処理手順を構成する工程として明示されていない工程を追加すること、及び/又は当該工程の順序を入れ替えることが可能であり、このような省略、追加、順序の変更がなされた処理手順も本開示の趣旨を逸脱しない限り本開示の範囲に含まれる。
【0108】
サーバ10により実現される機能の少なくとも一部は、サーバ10以外の装置、例えばユーザ端末20、30により実現されてもよい。ユーザ端末20、30により実現される機能の少なくとも一部は、ユーザ端末20、30以外の装置、例えば、サーバ10により実現されてもよい。例えば、視聴者のユーザ端末で行われる動画データの画像への所定のフレーム画像の重畳は、サーバ10で行われてもよいし、配信者のユーザ端末で行われてもよい。あるいはまた、サーバ10で行われるクリップの生成は視聴者のユーザ端末または配信者のユーザ端末で行われてもよい。
【要約】

【課題】ライブ配信のクリッピングをより活性化する。
【解決手段】サーバは、ネットワークを介して、ライブ配信に係る動画データを視聴者の端末に送信する手段と、ライブ配信中のギフティングまたはコメントもしくはその両方に係る条件が充たされたか否かを判定する手段と、条件が充たされたと判定された場合、ネットワークを介して視聴者の端末に通知する手段と、ネットワークを介して視聴者の端末から、通知に対する応答を受信した場合、ライブ配信の一部分に係る動画データを、当該視聴者に関連付けて生成するための処理を行う手段と、を備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16