(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-09
(45)【発行日】2024-04-17
(54)【発明の名称】章動減速機
(51)【国際特許分類】
F16H 1/32 20060101AFI20240410BHJP
【FI】
F16H1/32 C
(21)【出願番号】P 2023537998
(86)(22)【出願日】2022-12-05
(86)【国際出願番号】 CN2022136671
(87)【国際公開番号】W WO2023116409
(87)【国際公開日】2023-06-29
【審査請求日】2023-07-24
(31)【優先権主張番号】202111579029.6
(32)【優先日】2021-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523231004
【氏名又は名称】姜 虹
【氏名又は名称原語表記】JIANG Hong
【住所又は居所原語表記】Main Campus Of Beijing Jiaotong University, Beijing 100081, China
(74)【代理人】
【識別番号】100146374
【氏名又は名称】有馬 百子
(72)【発明者】
【氏名】王 小椿
【審査官】木原 裕二
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-125443(JP,A)
【文献】国際公開第2021/096844(WO,A1)
【文献】特開2022-018126(JP,A)
【文献】特開2001-020908(JP,A)
【文献】特開2009-250402(JP,A)
【文献】特開2010-116983(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、
前記ケース内に設けられた2対の章動歯車対であって、各対の前記章動歯車対は、章動歯車と、非章動歯車とが噛み合って形成され、前記非章動歯車は、前記ケース内に固設され、又は、前記ケースと一体成形され、各対の前記章動歯車対における前記章動歯車の歯数は、前記非章動歯車の歯数よりも1つ多くなる2対の前記章動歯車対と、
前記ケース内に回動可能に設けられた減速機出力軸と、
2つの予備引張りの環状弾性膜であって、前記環状弾性膜の各々は、内輪と、外輪と、内輪と外輪との間に接続された環状弾性体とを有し、
前記環状弾性体は、一側に凸、且つ、他側が凹となる環状の突起構造であり、前記内輪と前記外輪には、それぞれの円周方向に沿って複数のリーマー穴が設けられ、前記章動歯車対の各々における前記章動歯車は、第1のリーマーボルトによって、前記環状弾性膜上の前記外輪と固定的に接続され、且つ、前記第1のリーマーボルトは、前記外輪のリーマー穴を通じて外輪の前記リーマー穴と嵌合しており、前記減速機出力軸は、第2のリーマーボルトによって、前記環状弾性膜上の内輪と固定的に接続され、且つ、前記第2のリーマーボルトは、前記内輪のリーマー穴を通じて前記内輪のリーマー穴と嵌合しており、前記章動歯車が章動運動を行う際に、前記環状弾性体による弾性変形を利用して、前記章動歯車の章動運動を、前記減速機出力軸の単一の回動運動に変換させる前記環状弾性膜と、
前記ケース内に設けられた章動発生機構であって、2対の章動歯車対は、前記章動発生機構の両側に対称に設けられ、前記章動歯車の歯を前記
非章動歯車の歯の上に転動させるように、章動運動を前記章動歯車に駆動させるために用いられる前記章動発生機構と、を含
み、
前記2つの予備引張りの環状弾性膜は、前記章動歯車の章動運動を、前記減速機出力軸の単一の回動運動に変換させるため、対応する側の前記章動歯車と前記減速機出力軸との間にそれぞれ取り付けられ、
前記環状弾性膜は、関節軸受の機能と章動歯車の中心合わせ機能を有するため、章動歯車の径方向力を負担できるように設計され、
前記内輪と、前記内輪に接続された前記減速機の出力軸とは同軸に設けられ、
前記外輪と、前記外輪に接続された前記章動歯車とは同軸に設けられ、
前記内輪の軸線と、前記外輪の軸線とは交差し、
前記章動歯車と前記非章動歯車との軸角Tは、T<180°となり、
前記環状弾性膜の取付け過程で発生した事前引張の伸び量は、前記環状弾性体により補償される、
ことを特徴とする章動減速機。
【請求項2】
前記章動発生機構は、
前記ケース内の前記減速機出力軸に回動可能に設けられた斜板であって、前記斜板の両側には、対称な斜面が設けられ、駆動機構によって回動駆動される前記斜板と、
平面密集玉軸受であって、前記斜板と、各対の前記章動歯車対における章動歯車との間には、いずれも前記平面密集玉軸受が設けられ、前記斜板の両側面と2対の前記歯車対の各々の前記章動歯車の背面とは、前記平面密集玉軸受の軌道とされた前記平面密集玉軸受と、を含み
2対の前記章動歯車対における2つの前記章動歯車の歯数は等しく、2対の前記章動歯車対における2つの前記非章動歯車の歯数は等しい、
前記斜板が回動する場合に、斜板の両側の斜面は、前記章動歯車の歯を前記非章動歯車の歯の上に転動させるように、章動運動を前記章動歯車に駆動させる
ことを特徴とする請求項1に記載の章動減速機。
【請求項3】
前記内輪は、前記環状弾性体の内周縁に接し、
前記外輪は、前記環状弾性体の外周縁に接する
ことを特徴とする請求項
2に記載の章動減速機。
【請求項4】
前記突起構造の凹面及び凸面は、円弧面、スプライン曲面、又は余弦曲面構造により環状の波状突起が形成されている
ことを特徴とする請求項
3に記載の章動減速機。
【請求項5】
前記斜板の厚さが大きい側には、斜板の回動時に斜板の動的バランスを実現するための開口が設けられている
ことを特徴とする請求項2に記載の章動減速機。
【請求項6】
前記駆動機構は、モータであり、直接的に前記斜板を回動駆動させる
ことを特徴とする請求項2乃至
5のいずれか1項に記載の章動減速機。
【請求項7】
前記ケースは、前記モータのハウジングとされており、
前記モータの固定子は、前記ハウジング内に設けられ、及び/又は、前記斜板の2つの斜面の間には、前記モータの回転子としてのネッキングシャフトセグメントを有する
ことを特徴とする請求項
6に記載の章動減速機。
【請求項8】
前記駆動機構は、モータと、伝達機構と、を含み、
前記モータは、前記伝達機構によって前記斜板を回動駆動させる
ことを特徴とする請求項2乃至
5のいずれか1項に記載の章動減速機。
【請求項9】
前記伝達機構は、伝達歯車を含み、
前記斜板の外周円には、その周方向に沿って均一に分布された複数の歯車歯が形成され、
前記モータの軸には、歯車が固設され、前記歯車と前記斜板上の歯車歯とが噛み合って伝達する
ことを特徴とする請求項
8に記載の章動減速機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、減速機の分野に係り、特に章動減速機に係る。
【背景技術】
【0002】
大伝達比の減速機は、自動化分野において高い需要がある。通常使用される大伝達比の減速機には、ウォーム減速機、多段遊星減速機、ハーモニック減速機、及びRV減速機がある。ウォーム減速機の伝達効率は比較的に低いであり、通常50%以下であるが、要求されるモータ出力は、出力パワーを伝達効率で除算するので、要求されるモータ出力は大幅に増加し、体積及び重量が大きくなるだけではなく、より消費された電力は、いずれもモータ及び減速機によって熱に転換されることにより、設備の温度の上昇を速め、重負荷で連続的に動作したり、頻繁に動作することができない。遊星減速機の伝達効率が高く、単位体積当たりの出力トルクも比較的大きいであるが、一段の遊星減速機の伝達比が小さく、大きな伝達比を必要とする場合、多段の遊星減速機が直列に接続されると、その体積が大きくなり、且つ小バックラッシュの遊星減速機のプロセスへの要求が非常に高く、コストが高いため、量産が困難である。そのため、出力密度への要求が高く、バックラッシが非常に低い場合には、例えば、各種の産業用ロボット、ロボットアーム、ロボットハンド及び自動化的設備において、従来より、ハーモニック減速機及びRV減速機が用いられることが多いである。しかしながら、これらの2種類の減速機もそれぞれ欠点があり、即ち、ハーモニック減速機の出力密度はRV減速機に比べて遥かに劣るものの、小型のハーモニック減速機の製造は容易である。一方、RV減速機の場合は逆に、出力密度が大きいものの、小型の製品がない。従来の章動減速機は、関節軸受を用いて章動運転を実現し、構造が複雑であるので、体積が大きくなるが、1倍の出力トルクを増加させると、増加された体積が元の1倍に近いであるため、応用場面が制限されるとともに、関節軸受を用いることは、機械的効率が低く、出力密度が低いため、大トルク出力。かつ、小体積の必要がある場面、その応用が制限されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これに鑑み、本発明は、従来の章動減速機が関節軸受を用いたことによって章動運動の構造が複雑で、体積が大きくなり、出力密度が低いという問題を解決するために、章動歯車減速機を開示する。
本発明は、上記目的を達成するために、以下の技術案を採用した。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様は、ケースと、前記ケース内に設けられた2対の章動歯車対であって、各対の前記章動歯車対は、章動歯車と、非章動歯車とが噛み合って形成され、前記非章動歯車は、前記ケース内に固設され、又は、前記ケースと一体成形され、各対の前記章動歯車対における前記章動歯車の歯数は、前記非章動歯車の歯数よりも1つ多くなる2対の前記章動歯車対と、前記ケース内に回動可能に設けられた減速機出力軸と、2つの予備引張りの環状弾性膜であって、前記環状弾性膜の各々は、内輪と、外輪と、内輪と外輪との間に接続された環状弾性体とを有し、前記内輪と前記外輪には、それぞれの円周方向に沿って複数のリーマー穴が設けられ、前記章動歯車対の各々における前記章動歯車は、第1のリーマーボルトによって、前記環状弾性膜上の前記外輪と固定的に接続され、且つ、前記第1のリーマーボルトは、前記外輪のリーマー穴を通じて外輪の前記リーマー穴と嵌合しており、前記減速機出力軸は、第2のリーマーボルトによって前記環状弾性膜上の内輪と固定的に接続され、且つ、前記第2のリーマーボルトは、前記内輪のリーマー穴を通じて前記内輪のリーマー穴と嵌合しており、前記章動歯車が章動運動を行う際に、前記環状弾性体による弾性変形を利用して、前記章動歯車の章動運動を前記減速機出力軸の単一の回動運動に変換させる前記環状弾性膜と、前記ケース内に設けられた章動発生機構であって、2対の章動歯車対は、前記章動発生機構の両側に対称に設けられ、前記章動歯車の歯を前記非回動歯車の歯の上に転動させるように、章動運動を前記章動歯車に駆動させるために用いられる前記章動発生機構と、を含む、章動減速機を開示している。
【0005】
さらに、前記章動発生機構は、前記ケース内の前記減速機出力軸に回動可能に設けられた斜板であって、前記斜板の両側には、対称な斜面が設けられ、駆動機構によって回動駆動される前記斜板と、平面密集玉軸受であって、前記斜板の両側には、それぞれ平面密集玉軸受が設けられ、前記斜板の両側面と2対の前記歯車対の各々の前記章動歯車の背面とは、前記平面密集玉軸受の軌道とされた前記平面密集玉軸受と、を含み、2対の前記章動歯車対における2つの前記章動歯車の歯数は等しく、2対の前記章動歯車対における2つの前記非章動歯車の歯数は等しく、前記斜板が回動する場合に、斜板における斜面は、前記章動歯車の歯を前記非章動歯車の歯の上に転動させるように、章動運動を章動歯車に駆動させてもよい。
【0006】
さらに、前記内輪と、前記内輪に接続された前記減速機の出力軸とは同軸に設けられ、前記外輪と、前記外輪に接続された前記章動歯車とは同軸に設けられ、前記内輪の軸線と、前記外輪の軸線とは交差してもよい。
【0007】
さらに、前記環状弾性体は、一側が凸、且つ、他側が凹となる環状の突起構造であり、前記内輪は、前記環状弾性体の内周縁に接し、前記外輪は、前記環状弾性体の外周縁に接してもよい。
さらに、前記突起構造の凹面及び凸面は、円弧面、スプライン曲面、又は余弦曲面構造により環状の波状突起が形成されてもよい。
さらに、前記斜板の厚さが大きい側には、斜板の回動時に斜板の動的バランスを実現するための開口が設けられてもよい。
さらに、前記駆動機構は、モータであり、直接的に前記斜板を回動駆動させてもよい。
【0008】
さらに、前記ケースは、前記モータのハウジングとされており、前記モータの固定子は、前記ハウジング内に設けられ、及び/又は、前記斜板の2つの斜面の間には、前記モータの回転子としてのネッキングシャフトセグメントを有してもよい。
さらに、前記駆動機構は、モータと、伝達機構と、を含み、前記モータは、伝達機構によって前記斜板を回動駆動させてもよい。
【0009】
さらに、前記伝達機構は、チェーン及びスプロケットを含み、前記斜板の外周円には、その周方向に沿って均一に分布された複数のスプロケット歯が形成され、前記モータの軸には、スプロケットが固設され、前記スプロケットは、チェーンによって前記斜板におけるスプロケット歯に接続されてもよい。
【0010】
さらに、前記伝達機構は、伝達歯車を含み、前記斜板の外周円には、その周方向に沿って均一に分布された複数の歯車歯が形成され、前記モータの軸には、歯車が固設され、前記歯車と前記斜板上の歯車歯とが噛み合って伝達してもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、章動発生機構の両側において、パワーフローの配置を行い、特に、斜板を用いてパワーフローの配置を行い、非パワーフローを用いた章動減速機に比べて、厚さ(軸方向)が約30~40%を増加させる代償として、出力トルクを100%程度増加させることができる。一段の伝達比が160程度までの章動減速装置では、摩擦損失は、歯面摩擦損失の半分の程度まで低減され、減速機の作業効率を顕著に向上させるとともに、減速装置の体積を縮小させ、重量を軽くし、放熱を減らすことができ、同じ温升の条件下で、出力密度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
添付図面を参照しながら、それに例示された実施例について詳細に説明することにより、本発明が開示する上記と他の目的、特徴及び利点はさらに明確になる。以下で説明される図面は、本発明が開示するいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとっては、創造的な労力を必要とせずに、これらの図面から他の図面を得ることができる。
【
図1】本発明に係る章動減速機の実施例1の全体構造を示す模式図である。
【
図2】本発明に係る章動減速機の実施例2の全体構造を示す模式図である。
【
図3】本発明に係る章動減速機の実施例3の全体構造を示す模式図である。
【
図4】
図1における章動減速機の実施例1及び2における斜板の実施例の斜視図である。
【
図6】本発明に係る章動減速機の実施例1、2、3における予備引張りの環状弾性膜の実施例を示す斜視図である。
【
図7】
図6における予備引張りの環状弾性膜の実施例の断面図である。
【
図9】本発明に係る章動減速機の実施例1、2、3の平面密集玉軸受の実施例を示す斜視図である。
【
図10】本発明に係る章動減速機の実施例1における駆動機構が斜板を駆動させることを示す伝達模式図である。
【
図11】本発明に係る章動減速機の実施例1、2、3における章動歯車の実施例の斜視図である。
【
図12】
図11における章動歯車の単一の歯形の実施例の斜視図である。
【
図13】
図12における章動歯車の単一の歯形の正面図である。
【
図14】本発明に係る章動減速機の実施例1、2、3における非章動歯車の単一の歯形の実施例を示す正面図である。
【
図15】本発明に係る章動減速機の実施例1、2、3における章動歯車対の噛み合いの実施例を示す模式図である。
【
図16】本発明に係る章動減速機の実施例1、2、3をDELTAロボットに適用したことを示す模式図である。 なお、
図13及び
図14における破線は、仮想線であり、本発明の実施例における歯面の構成を説明するために引かれたものである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、本発明の実施例の目的、技術案及び利点をより明確にするために、本発明の実施例における図面を参照しながら、本発明の実施例における技術案を明確且つ完全に説明し、ここで、説明された実施例は本発明の実施例の一部であり、全ての実施例ではないことは明らかである。創造的の労働をしない前提に、本発明における実施例に基づいて当業者が得られた全ての他の実施例は、いずれも本発明の特許請求の範囲に含まれる。
【0014】
本発明の実施例において使用される用語は、特定の実施例を説明するためのみを目的として、本発明を限定することを意図していない。文脈から他の意味が明確に示されていない限り、本発明の実施例及び特許請求の範囲において使用される単数形式の「1種」、「前記」及び「該」は、複数形式を含むことを意図し、「複数種」は、通常少なくとも2種を含むが、少なくとも1種を含む場合もある。
【0015】
本明細書中に使用される「及び/又は」という用語について、関連対象の関連関係を説明するものだけであり、3種の関係が存在可能であることを示しており、例えば、A及び/又はBは、Aが単独で存在する場合、AとBが同時に存在する場合及びBが単独で存在する場合という3種の場合を示し得ることが理解されるべきである。また、本明細書中に、「/」という符号は、通常、前後の関連対象が「又は」の関係であることを示す。
【0016】
また、「含む」という用語又はその他のいずれかの変形について説明すべきであることは、非排他的な「含む」を包括することによって、一連の要素を含む商品やシステムが、それらの要素を含むだけでなく、明示的に列挙されていない他の要素も含まれるように、又は、このような商品又はシステムに固有された要素も含まれるようにすることを意図している。「1つの…を含む」という文によって限定された要素は、さらなる制限がない限り、前記要素を含む商品又はシステムにおいて、別の同じ要素が存在することを排除するものではない。
【0017】
従来の章動減速機は、関節軸受を用いて章動運転を実現しており、その構造が複雑であり、体積が大きくなるが、1倍の出力トルクを増加させると、増加した体積が元の1倍に近いので、応用場面が制限されるとともに、関節軸受を用いることは機械的効率が低いである。
【0018】
本発明は、対称的な章動歯車対を用いて、それが章動発生機構の両側に設けられており、構造を簡素化することができ、従来技術に比べて、同じ出力トルクで章動減速機の体積を小さくすることができ、特に斜板を用いてパワーフローを行い、トルクを1倍増加した場合は、体積がわずかに30%~40%増加する。一方、従来の減速機は、関節軸受の構造が複雑で、体積がほぼ1倍増加する。本発明は、トルクの増加を実現するとともに、重量が軽くなり、放熱が小さく、機械的効率が高く、出力密度が大きくなる。
本発明における技術案をさらに説明するために、
図1~
図16を参照して、以下の具体的な実施例を提供する。
(実施例1)
【0019】
本実施例では、
図1、
図4~
図9に示すように、ケース300と、ケース300内に設けられた2対の章動歯車対であって、各対の章動歯車対は、章動歯車400と、非章動歯車500とが噛み合って形成され、非章動歯車500は、ケース300内に固設され、又は、ケース300と一体成形され、各対の章動歯車対における章動歯車400の歯数は、非章動歯車500の歯数よりも1つ多くなる2対の章動歯車対と、前記ケース300内に回動可能に設けられた減速機出力軸301と、2つの予備引張りの環状弾性膜であって、各環状弾性膜は、内輪101と、外輪202と、内輪101と外輪102との間に接続された環状弾性体103とを有し、内輪101と外輪102には、それぞれの円周方向に沿って複数のリーマー穴が設けられ、章動歯車対の各々における章動歯車は、第1のリーマーボルトによって、環状弾性膜上の外輪102と固定的に接続され、且つ、第1のリーマーボルトは、外輪102のリーマー穴を通じて外輪102のリーマー穴と嵌合しており、減速機出力軸301は、第2のリーマーボルトによって環状弾性膜上の内輪101と固定的に接続され、且つ、第2のリーマーボルトは、内輪101のリーマー穴を通じて内輪101のリーマー穴と嵌合しており、前記章動歯車が章動運動を行う際に、環状弾性体103による弾性変形を利用して、章動歯車の章動運動を前記減速機出力軸の単一の回動運動に変換させる環状弾性膜と、ケース300内に設けられた章動発生機構であって、2対の章動歯車対は、章動発生機構の両側に対称に設けられ、章動歯車400の歯を非回動歯車500の歯の上に転動させるように、章動歯車400を章動運動に駆動させるために用いられる前記章動発生機構と、を含む章動減速機を提供する。
【0020】
本実施例では、第1のリーマーボルトと外輪のリーマーとの嵌合、及び第2のリーマーボルトと内輪のリーマーとの嵌合により、環状弾性膜の径方向における位置決め及びトルクの伝達を実現する。好ましくは、第1のリーマーボルトと外輪のリーマー穴とは、隙間嵌めを用い、第2のリーマーボルトと内輪のリーマー穴とは隙間嵌めを用いる。
【0021】
なお、特筆すべきは、本実施例では、章動歯車400の歯及び非章動歯車500の歯は、それぞれの歯付きディスクの側の端面に形成され、それぞれの歯は、いずれもぞれぞれの歯付きディスクの径方向に沿って延伸し、それぞれの歯の縦断面積は、歯先から歯底まで徐々に大きくなり、ぞれぞれの歯の横断面積は、それぞれの歯付きディスクの径方向に沿って外から内へ徐々に小さくなり、歯幅は、歯内円端面と歯外円端面との間の距離である。
【0022】
章動歯車400の歯及び非章動歯車500の歯は、それぞれの歯付きディスク端面の側に分布され、章動歯車400の歯の幅方向は、章動歯車400の径方向と同一であり、非章動歯車500の歯の幅方向は、非章動歯車500の径方向と同一であってもよい。
【0023】
好ましくは、
図13及び
図14に示すように、章動歯車400の動作歯面401は、外側に凸な楕円錐面bで構成され、且つ、同一の横断面における楕円錐面b上の最高点と最低点との間の距離は、章動歯車400の径方向に沿って外側から内側へ徐々に小さくなり、非章動歯車500の歯面の動作歯面501は、章動歯車400が章動運動中に発生する瞬間中心なしエンベロープ面である。章動歯車400の歯面は、歯先曲面a、楕円錐面b、平面c、歯底曲面dで構成され、歯先曲面aの両端の各々には、楕円錐面b、平面c及び歯底曲面dが順に接続され、且つ、歯先曲面a、楕円錐面b、平面c及び歯底曲面dのうちの隣接する両者が接しており、前記歯先曲面aは、外側に凸な滑らかな曲面であり、前記歯底曲面dは、凹んだ滑らかな曲面であり、非章動歯車500の歯面は、歯先曲面aと、瞬間中心なしエンベロープ面eと、平面cと、歯底曲面dとで構成され、歯先曲面aの両端の各々には、瞬間中心なしエンベロープ歯面eと、平面cと、歯底曲面dと、が順に接続され、且つ、歯先曲面aと、瞬間中心なし歯面eと、平面cと歯底曲面dとのうちの隣接する両者が接しており、歯先曲面aは、外側に凸な滑らかな曲面であり、歯底曲面dは、凹んだ滑らかな曲面である。章動歯車400と非章動歯車500は、各々の歯先曲面aが、外側に凸な滑らかな曲面であり、各々の歯底曲面dが凹んだ滑らかな曲面である。章動歯車400が正逆回動時の耐荷能力を満たすことができる。好ましくは、章動歯車400及び非章動歯車500の各々の歯先曲面a及び歯底曲面dは、スプライン曲面で構成されてもよい。また、章動歯車400上において、歯先曲面aの両端の楕円錐面シートb、平面c及び歯底曲面dが互いに対称的である。非章動歯車500上の歯先曲面aの瞬間中心なしエンベロープ歯面eと、平面cと、歯底曲面dとが互いに対称的であってもよい。
【0024】
軸角が小さすぎると、出力機構としての環状弾性膜103の応力及び歪みの状態が影響されるので、章動運動を実現するために、軸角が180°未満である必要がある。それに対し、歯数の上限は、減速機構の伝達効率に制限されるので、伝達比が大きくなるほど、効率が低くなる。そのため、本実施例では、章動歯車400と非章動歯車500との軸角Tは、177°≦T<180°となる。
【0025】
本実施例では、章動歯車の動作歯面は、楕円錐面に設けられ、同一の横断面における楕円錐面上の最高点と最低点との間の距離は、章動歯車の径方向に沿って外側から内側へ徐々に小さくなる。円錐面の代わりに楕円錐面を章動歯車の動作歯面として用いることにより、ピンホイールの動作歯面の弧長を効果的に増加させ、同様の歯車径、伝達比及び出力荷重の下で、ピンホイールの動作歯面の弧長を60%程度増加させ、章動歯車の歯面の局所的な摩耗を低減し、耐用年数を延長することができる。同時に、端面サイクロイドピンホイール対に比べて、同様の歯車径、伝達比及び出力荷重の下で、歯面の接触応力を23%程度低下させることができ、又は同様の接触応力の下で、耐荷能力を約30%向上させることができる。
【0026】
さらに好ましくは、章動発生機構は、ケース300内の減速機出力軸301に回動可能に設けられた斜板600であって、斜板600の両側には、対称な斜面601が設けられ、駆動機構によって回動駆動される斜板600と、平面密集玉軸受200であって、斜板600と、章動歯車対の各々における章動歯車400との間には、いずれも平面密集玉軸受200が設けられ、斜板600の両側面と2対の前記歯車対のそれぞれの前記章動歯車400の背面は、平面密集玉軸受200の軌道とされた平面密集玉軸受200と、を含み、2対の章動歯車対における2つの章動歯車の歯数は等しく、2対の章動歯車対における2つの非章動歯車500の歯数は等しい、斜板600が回動する場合に、斜板600の両側の斜面601は、章動歯車400の歯を前記非章動歯車500の歯の上に転動させるように、章動歯車400を章動運動に駆動させる。章動歯車対における2つの非章動歯車500の歯数が等しいことにより、出力の回動速度が同じく、2つの章動歯車400の章動角が同じであることが保証され、さらに、同一の斜板600は、2つの章動歯車400が同時に章動運転を行うように、2つの章動歯車400を駆動させることを実現するとともに、斜板600の両側の応力が不均一な問題を相殺し、斜板600の軸線を減速機の出力軸と共軸に保持した。
【0027】
図9に示すように、本実施例における平面密集玉軸受は、保持器201を含み、保持器201において、複数組の玉入れ孔が設けられ、前記玉入れ孔内に保持器の両側面から突出する玉202が設けられ、各組の玉入れ孔が半径の異なる楕円に従って配列され、且つ、各組の玉入れ孔が楕円を一週回って設けられ、複数組の前記玉入れ孔が位置する楕円の長軸が同一直線にあり且つそれが位置する楕円の中心が重なり、隣接する2組の玉入れ孔が交差して配列される。本実施例の任意の1組の玉入れ孔のうちの1つの玉入れ孔と最も近い隣接する他の組の玉入れ孔との間の距離は、玉の直径の2倍よりも小さくなることにより、玉の密集配列を確保することができる。特筆すべきは、本実施例における玉は、正円周に従って配列されてもよく、本実施例では、楕円配列を採用することにより、軌道の早期の疲労孔食を避けることができる。
【0028】
本実施例の2対の章動歯車は対称的に配置され、斜板600の両側に配置され、斜板600の両側には、2つの対称傾斜面601が設けられ、斜板600が回動する場合、2対の章動歯車400は同時に章動動作を行い、且つ、2つの章動歯車400は同一の減速機出力軸301を用いてトルクを出力することにより、同じ出力パワーで、平面密集玉軸受200と章動歯車400との間及び平面密集玉軸受200と斜板600との間の摩擦損失を50%減少させ、その値は約伝達比に0.0005を乗算したものである。単段変速比が160程度に達した章動減速機について、減少した摩擦損失は歯面摩擦損失の半分程度に近いため、減速装置の作業効率を顕著に向上させる。
【0029】
さらに好ましくは、
図1及び
図6に示すように、内輪101と、内輪101に接続された前記減速機出力軸301とは同軸に設けられ、外輪102と、外輪102に接続された前記章動歯車400とは同軸に設けられ、内輪101の軸線と、外輪102の軸線とは交差しており、前記章動歯車400が章動運動すると、前記章動歯車400の章動運動に適応するように前記環状弾性膜が変形するとともに、環状弾性膜が前記減速機出力軸を駆動して単一の回動運動を行う。また、内輪101と、外輪102とは、フランジを形成し、内輪101で形成されたフランジは第1の接続部とし、外輪102で形成されたフランジは第2の接続部とし、内輪は、リーマーボルトにより減速機出力軸301と固定的に接続され、外輪は、リーマーボルトにより章動歯車400と固定的に接続されてもよい。本実施例では、環状弾性膜によって、章動歯車400の章動運動を減速機の出力軸の単一の回動運動に変換させることを実現し、理論的運動誤差を生成せず、減速機出力軸に伝達された回動角は、理論的に章動歯車400の自転回動角に厳密に一致しており、且つ、任意の回動角で、出力機構の剛性は一定であるため、出力回動角の変動誤差が発生しない。さらに、エネルギー損失がほとんどなく、余分な熱量を発生しない。さらに、関節軸受の作用を発揮することにより、軸受を追加する必要がなく、環状弾性膜自体が章動歯車400の径方向力を負担し、且つ章動歯車400の中心合わせ機能を実現するため、従来の関節軸受を採用した章動減速機に比べ、構造がよりコンパクトであり、減速機の内部空間を縮小し、同じトルクを出力する場合でも、減速機の体積をより小さくすることができ、適用範囲がより広くなる。
【0030】
さらに、
図6~
図8に示すように、環状弾性体103は、一側に凸、且つ、他側が凹となる環状の突起構造であり、前記内輪は、前記環状弾性体103の内周縁に接し、前記外輪102は、前記環状弾性体103の外周縁に接する。さらに、前記突起構造の凹面及び凸面は、円弧面、スプライン曲面、又は余弦曲面構造によって形成される。環状弾性膜の取付け過程で発生された引張変形量を補償するための事前引張の伸び量は、環状弾性膜の取付け過程で発生された引張変形量を補償するための事前引張の伸び量を顕著に低減することができ、環状弾性膜の取付け応力を顕著に低減することができる。適度な予備引張変形は、環状弾性膜の径方向剛性をほとんど低下させないが、過大な予備引張変形量は、その径方向剛性を低下させ、さらに弾性不安定につながる。
【0031】
なお、特筆すべきは、本実施例では、内輪101の軸線と外輪102の軸線とは交差しているとは、環状弾性膜が取付けられた後の状態であり、環状弾性膜が取付けられた後に、章動歯車400と非章動歯車500との軸間角が180°未満となるように、環状弾性体103が取付けられた後に押圧されて変形する。環状弾性体103は、自然状態(取付けられた前に変形していない状態)では、内輪101の軸線と外輪102の軸線とが重なっている。取付け後に、内輪101と外輪102とは一定の偏向角度を持つため、環状弾性体103の突起構造は、部分的に伸ばされる。
【0032】
具体的には、
図1に示すように、減速機出力軸301は第1の減速機出力軸3011と第2の減速機出力軸3012との2つの部分で構成され、非章動歯車500の裏部には、軸受取付け孔が設けられ、円錐ころ軸受は、軸受取付け孔内に設けられ、第1の減速機出力軸3011は、円錐ころ軸受内輪に回動可能に取付けられ、第2の減速機出力軸3012は、円錐ころ軸受を介してケース300に回動可能に取付けられ、かつ、第1の減速機出力軸3011と第2の減速機出力軸3012のいずれには、円錐面が設けられ、円錐面の軸線は、それが位置する軸の軸線と重なり、第1の減速機出力軸3011と第2の減速機出力軸3012は、円錐面によって嵌合しており、かつ、ねじによって固定的に接続されており、第1の減速機出力軸3011と第2の減速機出力軸3012を、剛性軸と同様に同位相で回転させ、第1の減速機出力軸3011と第2の減速機出力軸3012は、章動歯車の章動運動中に発生された軸方向の力を相殺し、相互にトルクを伝達し、同期同位相の出力運動が保持される。斜板600は、軸受を介して減速機の出力軸に回動可能に設けられ、斜板600と減速機の出力軸とが接続された軸受は、調心軸受であってもよい。
【0033】
好ましくは、ケース300は、第1のケースと第2のケースとで構成され、第1のケースと第2のケースとが係合して固定され、内部に収容空間が形成され、一方の一対の章動歯車対のうちの非章動歯車は、第1のケースに固定され、又は、第1のケースと一体成形されているが、他方の一対の章動歯車対のうちの非章動歯車が第2のケースに固定され、又は、第2のケースと一体成形されている。また、2対の章動歯車対のうちの2つの非章動歯車は、同軸に設けられる。
(実施例2)
【0034】
上記の実施例1を基に、
図2に示すように、前記駆動機構はモータであり、直接的に斜板600を回動駆動させる。モータ磁気回路は、軸方向配置を用いて、モータは、ディスク状で中空のモータであってもよく、ディスク状で中空のモータの回転子901は中空構造であり、斜板600の軸方向におけるフローティングによる回転子への干渉を回避するように、回転子901の内円がフランジとして形成され、フランジは、第1の環状弾性膜903を介して斜板600の外周に固定的に接続されているが、回転子は、内部磁気回路を構成する鉄コアを含まず、慣性モーメントが大幅に低下し、動的応答性能がより良好となる。回転子の外円とケースの内面との間には、第1の軸受903が設けられ、モータの固定子902が回転子の両側に設けられ、ケース902内に取付けられている。減速機の軸方向における体積を小さくすることができる。
(実施例3)
【0035】
上記の実施例1を基に、
図3に示すように、前記駆動機構は、モータであり、直接的に斜板600を回動駆動させ、モータ磁気回路は、従来の径方向配置を用いて、斜板600は、ネッキングシャフトセグメント610を有し、斜板600の2つの斜面601は、ネッキングシャフトセグメント610の軸方向の両側に位置し、斜板600には、それと同軸である貫通孔が設けられ、減速機出力軸301の外円面には、第2の軸受904が設けられ、第2の軸受904は、斜板600を減速機出力軸301に対して回動させることができるように、斜板600の貫通孔に取付けられるが、第2の軸受904は、斜板600を径方向において位置決め及び支持する役割を果たすように、2つが設けられてもよく、前記ネッキングシャフトセグメントは、前記モータの回転子901として、モータの固定子902がケース300内に設けられて回転子901と嵌合する。
(実施例4)
【0036】
上記の実施例1を基に、前記駆動機構は、モータ及び伝達機構を含み、モータは、伝達機構を介して斜板600を回動駆動させる。さらに好ましくは、伝達機構は、チェーン及びスプロケットを含み、斜板600の外周円には、その周方向に沿って均一に分布される複数のスプロケット歯が形成され、モータの軸には、スプロケットが固設され、スプロケットは、チェーンによって斜板600におけるスプロケット歯に接続される。さらに好ましくは、伝達機構は、伝達歯車を含み、斜板600の外周円には、その周方向に沿って均一に分布される複数の歯車歯が形成され、モータの軸には、歯車が固設され、歯車と斜板600上の歯車の歯とは、噛み合って伝達する。
(実施例5)
【0037】
上記の実施例1を基に、前記斜板600の外周には、歯車歯が形成され、伝達機構は、円錐歯車対であってもよく、一方の円錐歯車は、主動歯車としてモータによって駆動され、他方の円錐歯車は、従動歯車として機能し、且つ、他方の円錐歯車には、それと同軸である歯車軸が設けられ、前記歯車軸には、平歯車が設けられ、前記平歯車は、斜板600の歯車歯と噛み合い、モータの軸と減速機出力軸とは90°となり、多軸ロボットのロボットアームに適用され、モータを設備アーム内に隠してロボットアームを揺動駆動させることができる。
(実施例6)
【0038】
上記の実施例1を基に、
図10に示すように、駆動機構は、駆動モータ620及び伝達機構を含み、伝達機構は、第1の伝達軸631と、第2の伝達軸632と、やまば歯車633と、2つのはすば歯車634と、2つの平歯車635と、を含み、第一伝達軸631と第二伝達軸632とには、それぞれ平歯車635及びはすば歯車634が固設され、斜板600の外円には、歯車歯が形成され、2つの平歯車635と噛み合って、駆動モータ620の軸には、やまば歯車633が固設され、2つのはすば歯車634は、それぞれやまば歯車633と噛み合い、2つのはすば歯車634の回動方向は逆であってもよい。やまば歯車633は、それぞれ2つの円筒はすば歯車と噛み合うことによって、パワーフロー及び自動的な荷重の均一化を実現し、さらに、2つの平歯車と斜板外縁歯車とが噛み合うことにより、動力を斜板に収束させることを実現した。パワーフローによって、斜板の厚さを半分に減少させることができ、減速機の重量を低減し、出力密度を向上させることができる。
【0039】
上記の実施例1~6において、2つの斜面601の斜板600と、1つの減速器内に2組の章動歯車400を鏡映対称に配置することにより、減速装置の動力密度を顕著に向上させ、軸受の摩擦損失を減少させ、減速装置の伝達効率をさらに向上させることができる。当該配置は、特に2つの出力端を有する減速機に適用される。
図16に示すように、章動減速機は、DELTAロボットに適用され、各アームは、2つの出力フランジを必要とし、本実施例では、章動減速機は、2つの出力フランジ(第1の減速機出力軸3011及び第2の減速機出力軸3012上の出力フランジ)を有し、各アームを回動駆動させることができることにより、構造をコンパクトにし、大きな出力トルク及び構造剛性を有する。
【0040】
実施例1~6のいずれかを基に、さらに、斜板600の厚さが大きい側には、斜板600の回動時に斜板600の動的バランスを実現するための開口(図示せず)が設けられ、斜板600の高い回動速度での動的バランスを満たしてもよい。
【0041】
以上、本開示の実施例について具体的に示して説明した。理解すべきことは、本開示は、説明した詳細な構造、設定方式又は実現方法に限定されるものではない。逆に、本開示は添付した請求項の要旨及び範囲内に含まれる様々な変更及び同等の設置を含むことを意図する。
【符号の説明】
【0042】
101-内輪、102-外輪、103-環状弾性体、200-平面密集玉軸受、201-保持器、202-玉、300-ケース、301-減速機出力軸、3011-第1の減速機出力軸、3012-第2の減速機出力軸、400-章動歯車、500-非章動歯車、600-斜板、601-斜面、610-ネッキングシャフトセグメント、620-駆動モータ、631-第1の伝達軸、632-第2の伝達軸、633-やまば歯車、634-はすば歯車、635-平歯車、900-モータ、901-回転子、902-固定子、903-第1の環状弾性膜、904-第2の軸受、a-歯先曲面、b-楕円錐面、c-平面、d-歯底曲面、e-瞬間中心なし歯面。