(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-09
(45)【発行日】2024-04-17
(54)【発明の名称】車両サービスシステム、車両サービス方法、コネクタ器及び管理装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20240410BHJP
B60R 21/0136 20060101ALI20240410BHJP
B60R 21/00 20060101ALI20240410BHJP
G08B 25/04 20060101ALI20240410BHJP
G08B 21/00 20060101ALI20240410BHJP
【FI】
G08G1/00 D
B60R21/0136 310
B60R21/00 340
G08B25/04 C
G08B21/00 U
(21)【出願番号】P 2020006713
(22)【出願日】2020-01-20
【審査請求日】2022-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】520063130
【氏名又は名称】リバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002114
【氏名又は名称】弁理士法人河野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】曹 時栄
【審査官】増子 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-128671(JP,A)
【文献】特開2016-184336(JP,A)
【文献】国際公開第2018/116669(WO,A1)
【文献】特開2017-022916(JP,A)
【文献】特開2007-264820(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103985223(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
G01C 21/00 - 21/36
G01C 23/00 - 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられた端子部に着脱可能に装着されて通信機能情報に従って当該車両の制御装置との通信が可能なコネクタ器と、
前記車両の衝撃度合いに応じた検出信号を出力する衝撃検出部と、
インターネット上に配置された管理装置と、を有し、
前記コネクタ器は、
前記衝撃検出部を含むとともに、
前記車両の外部との通信を可能にする通信ユニットと、
前記車両の前記制御装置と通信を行って前記車両の状態を表す車両情報をログ情報として取得するログ情報取得手段と、
前記ログ情報取得手段にて取得された前記車両情報を前記通信ユニットに前記管理装置に向けて送信させる第1送信制御手段と、
前記衝撃検出部からの検出信号に基づいて当該車両の衝撃度合いを表す衝撃度合い情報を生成する情報生成手段と、
前記情報生成手段にて生成された前記衝撃度合い情報を前記通信ユニットに前記管理装置に向けて送信させる第2送信制御手段と、を備え、
前記車両が走行している間、前記車両情報の取得及び送信と前記衝撃度合い情報の生成及び送信とを繰り返し行い、
前記管理装置は、
前記コネクタ器からの前記車両情報及び前記衝撃度合い情報を当該コネクタ器に対応づけて記憶する記憶部と、
前記記憶部に前記コネクタ器に対応づけて記憶された前記車両情報及び衝撃度合い情報に基づいて、当該車両での事故発生について判定する事故発生判定手段と、
前記事故発生判定手段での判定結果を外部装置に送信する事故判定結果送信手段と、を有する車両サービスシステム。
【請求項2】
前記管理装置は、前記記憶部に記憶された前記車両情報及び衝撃度合い情報の集計処理を所定のアルゴリズムに従って行う手段と、
前記集計処理の結果を表すデータを前記外部装置に送信する手段と、を有する、請求項1記載の車両サービスシステム。
【請求項3】
前記コネクタ器は、
前記情報生成手段にて生成される前記衝撃度合い情報にて表される衝撃度合いが基準度合いより大きいか否かを判定する衝撃度合い判定手段と、
前記衝撃度合い判定手段により前記衝撃度合いが前記基準度合いより大きいと判定されたときに、アラーム情報を前記通信ユニットに前記管理装置に向けて送信させる第3送信制御手段と、を有し、
前記管理装置における前記事故発生判定手段は、前記アラーム情報が前記管理装置にて取得されたときに、当該車両での事故発生についての判定を行う、請求項1または2記載の車両サービスシステム。
【請求項4】
前記管理装置は、
前記基準度合いを表す基準度合い情報を前記コネクタ器に向けて送る基準度合い情報送信手段を有し、
前記コネクタ器は、
前記通信ユニットを通して前記管理装置からの前記基準度合い情報を取得する基準取得手段を有し、
前記衝撃度合い判定手段は、前記基準取得手段にて取得された前記基準度合い情報を用いて前記衝撃度合い情報についての判定を行う、請求項3記載の車両サービスシステム。
【請求項5】
前記管理装置は、
前記コネクタ器の前記車両の前記制御装置との通信を可能にする前記通信機能情報を前記コネクタ器に向けて送る通信機能情報送信手段を有し、
前記コネクタ器は、
前記通信ユニットを通して前記管理装置からの前記通信機能情報を取得する機能情報取得手段を有し、
前記機能情報取得手段にて取得された前記通信機能情報を用いて前記制御装置と通信を行う、請求項1乃至4のいずれかに記載の車両サービスシステム。
【請求項6】
前記管理装置は、
車両の種類と当該種類に属する車両の制御装置との通信を可能にする通信機能情報との対応関係を管理する車両通信機能管理手段を備え、
前記通信機能情報送信手段は、前記車両通信機能管理手段にて前記コネクタ器が装着された車両の種類に対応するものとして管理される前記通信機能情報を前記コネクタ器に向けて送る、請求項5記載の車両サービスシステム。
【請求項7】
前記コネクタ器は、
前記通信ユニットを通して前記管理装置にアクセスして、前記車両の前記制御装置との通信を可能にする通信機能情報の要求を送る情報要求手段を備え、
前記管理装置において、前記通信機能情報送信手段は、前記コネクタ器からの前記要求を受けたときに、前記通信機能情報を要求元の前記コネクタ器に向けて送る、請求項6記載の車両サービスシステム。
【請求項8】
前記管理装置は、
前記事故発生判定結果送信手段によって前記事故発生手段での判定結果が前記外部装置に送信された後、当該外部装置から前記コネクタ器が装着された車両の利用者に関する情報を取得したときに、前記利用者に関する情報とともに、前記衝撃度合い情報及び前記事故発生判定手段での判定結果の少なくともいずれか一方を含む事故関連情報を他の外部装置に送る事故報告手段を有する請求項1乃至7のいずれかに記載の車両サービスシステム。
【請求項9】
車両に設けられた端子部に着脱可能に装着されて通信機能情報に従って当該車両の制御装置との通信が可能なコネクタ器
と、
前記車両の衝撃度合いに応じた検出信号を出力する衝撃検出部と、
インターネット上に配置された管理装置と、を有する車両サービスシステムに用いられる前記コネクタ器であって、
前記衝撃検出部を含むとともに、
前記車両の外部との通信を可能にする通信ユニットと
、
前記車両の前記制御装置と通信を行って前記車両の状態を表す車両情報をログ情報として取得するログ情報取得手段と、
前記ログ情報取得手段にて取得された前記車両情報を前記通信ユニットに
前記管理装置に向けて送信させる第1送信制御手段と、
前記衝撃検出部からの検出信号に基づいて当該車両の衝撃度合いを表す衝撃度合い情報を生成する情報生成手段と、
前記情報生成手段にて生成された前記衝撃度合い情報を前記通信ユニットに前記管理装置に送信させる第2送信制御手段と、を備え
、
前記車両が走行している間、前記車両情報の取得及び送信と前記衝撃度合い情報の生成及び送信とを繰り返し行うコネクタ器。
【請求項10】
前記情報生成手段にて生成される前記衝撃度合い情報にて表される衝撃度合いが基準度合いより大きいか否かを判定する衝撃度合い判定手段と、
前記衝撃度合い判定手段により前記衝撃度合いが前記基準度合いより大きいと判定されたときに、アラーム情報を前記通信ユニットに前記管理装置に向けて送信させる第3送信制御手段と、を有する、請求項9記載のコネクタ器。
【請求項11】
前記通信ユニットを通して前記基準度合い情報を取得する基準取得手段を有し、
前記衝撃度合い判定手段は、前記基準取得手段にて取得された前記基準度合い情報を用いて前記衝撃度合い情報についての判定を行う、請求項10記載のコネクタ器。
【請求項12】
前記通信ユニットを通して前記通信機構情報を取得する機能情報取得手段を有し、
前記機能情報取得手段にて取得された前記通信機能情報を用いて前記制御装置と通信を行う、請求項9乃至11のいずれかに記載のコネクタ器。
【請求項13】
インターネット上に配置され、車両に設けられた端子部に着脱自在に装着されて通信機能情報に従って当該車両の制御装置と通信が可能なコネクタ器との情報の送受が可能な管理装置であって、
前記車両が走行している間、前記コネクタ器から
繰り返し送られてくる、前記車両の前記制御装置との通信にて得られる前記車両の状態を表す車両情報と、前記車両内に配置された衝撃検出部から出力される前記車両の衝撃度合いに応じた検出信号に基づいて生成された当該車両の衝撃度合いを表す衝撃度合い情報とを、前記コネクタ器に対応づけて記憶する記憶部と、
前記記憶部に前記コネクタ器に対応づけて記憶された前記車両情報及び衝撃度合い情報に基づいて、当該車両での事故発生について判定する事故発生判定手段と、
前記事故発生判定手段での判定結果を外部装置に送信する事故判定結果送信手段と、を有する管理装置。
【請求項14】
前記記憶部に記憶された前記車両情報及び衝撃度合い情報の集計処理を所定のアルゴリズムに従って行う手段と、
前記集計処理の結果を表すデータを前記外部装置に送信する手段と、を有する、請求項13記載の管理装置。
【請求項15】
前記コネクタ器の前記車両の前記制御装置との通信を可能にする前記通信機能情報を前記コネクタ器に向けて送る通信機能情報送信手段を有する、請求項13または14記載の管理装置。
【請求項16】
車両の種類と当該種類に属する車両の制御装置との通信を可能にする通信機能情報との対応関係を管理する車両通信機能管理手段を備え、
前記通信機能情報送信手段は、前記車両通信機能管理手段にて前記コネクタ器が装着された車両の種類に対応するものとして管理される前記通信機能情報を前記コネクタ器に向けて送る、請求項15記載の管理装置。
【請求項17】
前記通信機能情報送信手段は、前記コネクタ器からの要求を受けたときに、前記通信機能情報を要求元の前記コネクタ器に向けて送る、請求項16記載の管理装置。
【請求項18】
前記事故判定結果送信手段によって前記事故発生判定手段での判定結果が前記外部装置に送信された後、当該外部装置から前記コネクタ器が装着された車両の利用者に関する情報を取得したときに、前記利用者に関する情報とともに、前記衝撃度合い情報及び前記事故発生判定手段での判定結果の少なくともいずれか一方を含む事故関連情報を他の外部装置に送る事故報告手段を有する請求項13乃至17のいずれかに記載の管理装置。
【請求項19】
車両に設けられた端子部に着脱可能に装着されて通信機能情報に従って当該車両の制御装置との通信が可能であって、前記車両の外部との通信を可能にする通信ユニットを有するコネクタ器と、
前記車両の衝撃度合いに応じた検出信号を出力する衝撃検出部と、
インターネット上に配置された管理装置と、を有するシステムを用いた車両サービス方法であって、
前記コネクタ器で実行されるステップであって、
前記車両の前記制御装置と通信を行って前記車両の状態を表す車両情報をログ情報として取得するログ情報取得ステップと、
前記ログ情報取得ステップにて取得された前記車両情報を前記通信ユニットにより前記管理装置に向けて送信する第1送信ステップと、
前記衝撃検出部からの検出信号に基づいて当該車両の衝撃度合いを表す衝撃度合い情報を生成する情報生成ステップと、
前記情報生成ステップにて生成された前記衝撃度合い情報を前記通信ユニットにより前記管理装置に送信する第2送信ステップと、
を有し、
前記車両が走行している間、前記ログ情報取得ステップ及び前記第1送信ステップと、前記情報生成ステップ及び前記第2送信ステップとを繰り返し行い、
前記管理装置にて実行されるステップであって、
前記コネクタ器からの前記車両情報及び前記衝撃度合い情報を当該コネクタ器に対応づけて記憶部に記憶させるステップと、
前記記憶部に前記コネクタ器に対応づけて記憶された前記車両情報及び衝撃度合い情報に基づいて、当該車両での事故発生について判定する事故発生判定ステップと
、
前記事故発生判定ステップでの判定結果を外部装置に送信する事故判定結果送信ステップと、を有する車両サービス方法。
【請求項20】
前記コネクタ器で実行されるステップであって、
前記情報生成ステップにて生成される前記衝撃度合い情報にて表される衝撃度合いが基準度合いより大きいか否かを判定する衝撃度合い判定ステップと、
前記衝撃度合い判定
ステップにより前記衝撃度合いが前記基準度合いより大きいと判定されたときに、アラーム情報を前記通信ユニットに前記管理装置に向けて送信させる第3送信制御
ステップと、を有し、
前記管理装置にて実行される前記事故発生判定ステップは、前記アラーム情報が前記管理装置にて取得されたときに、当該車両での事故発生についての判定を行う、請求項19記載の車両サービス方法。
【請求項21】
前記管理装置で実行されるステップであって、
前記基準度合いを表す基準度合い情報を前記コネクタ器に向けて送る基準度合い情報送信ステップと、
前記コネクタ器で実行されるステップであって、
前記通信ユニットを通して前記管理装置からの前記基準度合い情報を取得する基準取得ステップと、を有し、
前記衝撃度合い判定ステップは、前記基準取得ステップにて取得された前記基準度合い情報を用いて前記衝撃度合い情報についての判定を行う、請求項20記載の車両サービス方法。
【請求項22】
前記管理装置で実行されるステップであって、
前記コネクタ器の前記車両の前記制御装置との通信を可能にする前記通信機能情報を前記コネクタ器に向けて送る通信機能情報送信ステップと、
前記コネクタ器で実行されるステップであって、
前記通信ユニットを通して前記管理装置からの前記通信機能情報を取得する機能情報取得ステップと、を有し、
前記コネクタ器が、前記機能情報取得ステップにて取得された前記通信機能情報を用いて前記制御装置と通信を行う、請求項19乃至21のいずれかに記載の車両サービス方法。
【請求項23】
前記管理装置で実行されるステップであって、
前記事故発生判定結果送信ステップによって前記事故発生ステップでの判定結果が前記外部装置に送信された後、当該外部装置から前記コネクタ器が装着された車両の利用者に関する情報を取得したときに、前記利用者に関する情報とともに、前記衝撃度合い情報及び前記事故発生判定手段での判定結果の少なくともいずれか一方を含む事故関連情報を他の外部装置に送る事故報告ステップを有する請求項19乃至22のいずれかに記載の車両サービス方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の事故に関する情報を当該車両の外部にある外部装置に提供するための車両サービスシステム及び車両サービス方法、及びその車両サービスシステムに用いられるコネクタ器及び管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載される車両用事故連絡装置が知られている。この車両用事故連絡装置は、車両側に設けられており、通常時に、当該車両の走行位置及び運転状態の情報を記録している。そして、車両に設けられた加速度検出器からの検出信号に基づいて当該車両の衝突(事故)が検出されると、それまで記録された走行位置及び運転状態を表す情報が基地側に送信される。これら走行位置及び運転情報を受信した基地側では、車両の事故位置やその事故に至る運転状態を知ることができ、それらの情報に基づいてその車両の事故原因を解明することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した車両用事故連絡装置を用いた事故通報サービスでは、個々の車両において事故(衝突)の判定を行っているので、その判定モジュールのバージョンアップ、バグ修正、判定アルゴリズムの改良等を個々の車両に搭載された車両用事故連絡装置に対して行わなければならない。このため、事故通報サービスの効率的な運用が難しい。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、事故通報サービスの効率的な運用が可能となる車両サービスシステム及び車両サービス方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る車両サービスシステムは、車両に設けられた端子部に着脱可能に装着されて通信機能情報に従って当該車両の制御装置との通信が可能なコネクタ器と、前記車両の衝撃度合いに応じた検出信号を出力する衝撃検出部と、インターネット上に配置された管理装置と、を有し、前記コネクタ器は、前記車両の外部との通信を可能にする通信ユニットと、前記車両の前記制御装置と通信を行って前記車両の状態を表す車両情報をログ情報として取得するログ情報取得手段と、前記ログ情報取得手段にて取得された前記車両情報を前記通信ユニットに前記管理装置に向けて送信させる第1送信制御手段と、前記衝撃検出部からの検出信号に基づいて当該車両の衝撃度合いを表す衝撃度合い情報を生成する情報生成手段と、前記情報生成手段にて生成された前記衝撃度合い情報を前記通信ユニットに前記管理装置に向けて送信させる第2送信制御手段と、を備え、前記管理装置は、前記コネクタ器からの前記車両情報及び前記衝撃度合い情報を当該コネクタ器に対応づけて記憶する記憶部と、前記記憶部に前記コネクタ器に対応づけて記憶された前記車両情報及び衝撃度合い情報に基づいて、当該車両での事故発生について判定する事故発生判定手段と、前記事故発生判定手段での判定結果を外部装置に送信する事故判定結果送信手段と、を有する構成となる。
【0007】
このような構成によれば、インターネット上の管理装置では、車両に搭載されたコネクタ器からログ情報として送られてくる前記車両の状態を表す車両情報と衝撃度合いを表す衝撃度合い情報に基づいて、当該車両での事故発生についての判定が行われる。そして、その判定結果が外部装置に送られる。外部装置の使用者は、管理装置から送られてくる前記車両での事故発生についての判定結果に基づいて前記車両でどのような事故が発生しているかを把握することができる。
【0008】
本発明に係る車両サービスシステムにおいて、前記衝撃度検出部は、前記コネクタ器に設けられた構成とすることができる。
【0009】
このような構成によれば、コネクタ器を車両の端子部に装着することにより、当該車両の衝撃度合い応じた検出信号を得ることができる。
【0010】
本発明に係る車両サービスシステムにおいて、前記コネクタ器は、前記情報生成手段にて生成される前記衝撃度合い情報にて表される衝撃度合いが基準度合いより大きいか否かを判定する衝撃度合い判定手段と、前記衝撃度合い判定手段により前記衝撃度合いが前記基準度合いより大きいと判定されたときに、アラーム情報を前記通信ユニットに前記管理装置に向けて送信させる第3送信制御手段と、を有し、前記管理装置における前記事故発生判定手段は、前記アラーム情報が前記管理装置にて取得されたときに、当該車両での事故発生についての判定を行う、構成とすることができる。
【0011】
このような構成により、車両において基準度合いより大きい衝撃度合いが検出されたときに、アラーム情報が管理装置に送信される。このため、管理装置は、コネクタ器から送られてくる衝撃度合い情報に基づいて常に事故発生についての判定を行う必要がなく、基準度合いより大きい衝撃度合いが検出されたときに、事故発生についての判定を行えばよい。このため、管理装置での処理の負担が軽減される。
【0012】
本発明に係る車両サービスシステムにおいて、前記管理装置は、前記基準度合いを表す基準度合い情報を前記コネクタ器に向けて送る基準度合い情報送信手段を有し、前記コネクタ器は、前記通信ユニットを通して前記管理装置からの前記基準度合い情報を取得する基準取得手段を有し、前記衝撃度合い判定手段は、前記基準取得手段にて取得された前記基準度合い情報を用いて前記衝撃度合い情報についての判定を行う、構成とすることができる。
【0013】
このような構成によれば、判定アルゴリズムの改良等に伴って、多くの車両に搭載された各コネクタ器で用いられる基準度合い情報を変更する場合、効率的にその変更を行うことができる。
【0014】
本発明に係る車両サービスシステムにおいて、前記管理装置は、前記コネクタ器の前記車両の前記制御装置との通信を可能にする前記通信機能情報を前記コネクタ器に向けて送る通信機能情報送信手段を有し、前記コネクタ器は、前記通信ユニットを通して前記管理装置からの前記通信機能情報を取得する機能情報取得手段を有し、前記機能情報取得手段にて取得された前記通信機能情報を用いて前記制御装置と通信を行う、構成とすることができる。
【0015】
このような構成により、車両の制御装置との通信を可能にする通信機能情報を備えていない(制御装置との通信が可能ではない)コネクタ器が車両の端子部に接続されても、管理装置から提供される通信機能情報を取得することにより、前記コネクタ器は、当該車両の制御装置との通信が可能になる。
【0016】
本発明に係る車両サービスシステムにおいて、前記管理装置は、車両の種類と当該種類に属する車両の制御装置との通信を可能にする通信機能情報との対応関係を管理する車両通信機能管理手段を備え、前記通信機能情報送信手段は、前記車両通信機能管理手段にて前記コネクタ器が装着された車両の種類に対応するものとして管理される前記通信機能情報を前記コネクタ器に向けて送る、構成とすることができる。
【0017】
このような構成により、管理装置において、車両の種類と当該種類に属する車両の制御装置との通信を可能にする通信機能情報との対応関係が管理されるので、車両の制御装置との通信を可能にする通信機能情報を備えていない(制御装置との通信が可能ではない)コネクタ器が車両の端子部に接続されても、管理装置は、その車両の制御装置と適切に通信を行うことのできる通信機能情報を前記コネクタ器に提供することができる。
【0018】
本発明に係る車両サービスシステムにおいて、前記コネクタ器は、前記通信ユニットを通して前記管理装置にアクセスして、前記車両の前記制御装置との通信を可能にする通信機能情報の要求を送る情報要求手段を備え、前記管理装置において、前記通信機能情報送信手段は、前記コネクタ器からの前記要求を受けたときに、前記通信機能情報を要求元の前記コネクタ器に向けて送る、構成とすることができる。
【0019】
このような構成により、車両の制御装置との通信を可能にする通信機能情報を備えていない(制御装置との通信が可能ではない)コネクタ器が車両の端子部に接続されても、そのコネクタ器は、管理装置に要求を送ることにより、その車両の制御装置と適切に通信を行うことのできる通信機能情報を管理装置から得ることができる。
【0020】
本発明に係る車両サービスシステムにおいて、前記管理装置は、前記事故発生判定結果送信手段によって前記事故発生手段での判定結果が前記外部装置に送信された後、当該外部装置から前記コネクタ器が装着された車両の利用者に関する情報を取得したときに、前記利用者に関する情報とともに、前記衝撃度合い情報及び前記事故発生判定手段での判定結果の少なくともいずれか一方を含む事故関連情報を他の外部装置に送る事故報告手段を有する構成とすることができる。
【0021】
このような構成により、事故発生についての判定結果が得られた車両の利用者に関する情報とともに、衝撃度合い情報及び事故発生についての判定結果の少なくとも一方を含む事故関連情報が他の外部装置に送られるので、他の外部装置の使用者は、車両の利用者に関する情報と事故関連情報とに基づいて、当該車両の事故に対する対応を当該車両の利用者に対して行うことができる。
【0022】
本発明に係るコネクタ器は、車両に設けられた端子部に着脱可能に装着されて通信機能情報に従って当該車両の制御装置との通信が可能なコネクタ器であって、前記車両の外部との通信を可能にする通信ユニットと、前記車両の衝撃度合いに応じた検出信号を出力する衝撃検出部と、前記車両の前記制御装置と通信を行って前記車両の状態を表す車両情報をログ情報として取得するログ情報取得手段と、前記ログ情報取得手段にて取得された前記車両情報を前記通信ユニットにインターネット上に配置された管理装置に向けて送信させる第1送信制御手段と、前記衝撃検出部からの検出信号に基づいて当該車両の衝撃度合いを表す衝撃度合い情報を生成する情報生成手段と、前記情報生成手段にて生成された前記衝撃度合い情報を前記通信ユニットに前記管理装置に送信させる第2送信制御手段と、を備えた構成となる。
【0023】
本発明に係る管理装置は、インターネット上に配置され、車両に設けられた端子部に着脱自在に装着されて通信機能情報に従って当該車両の制御装置と通信が可能なコネクタ器との情報の送受が可能な管理装置であって、前記コネクタ器から送られてくる、前記車両の前記制御装置との通信にて得られる前記車両の状態を表す車両情報と、前記車両内に配置された衝撃検出部から出力される前記車両の衝撃度合いに応じた検出信号に基づいて生成された当該車両の衝撃度合いを表す衝撃度合い情報とを、前記コネクタ器に対応づけて記憶する記憶部と、前記記憶部に前記コネクタ器に対応づけて記憶された前記車両情報及び衝撃度合い情報に基づいて、当該車両での事故発生について判定する事故発生判定手段と、前記事故発生判定手段での判定結果を外部装置に送信する事故判定結果送信手段と、を有する構成となる。
【0024】
本発明に係る車両サービス方法は、車両に設けられた端子部に着脱可能に装着されて通信機能情報に従って当該車両の制御装置との通信が可能であって、前記車両の外部との通信を可能にする通信ユニットを有するコネクタ器と、前記車両の衝撃度合いに応じた検出信号を出力する衝撃検出部と、インターネット上に配置された管理装置と、を有するシステムを用いた車両サービス方法であって、前記コネクタ器で実行されるステップであって、前記車両の前記制御装置と通信を行って前記車両の状態を表す車両情報をログ情報として取得するログ情報取得ステップと、前記ログ情報取得ステップにて取得された前記車両情報を前記通信ユニットにより前記管理装置に向けて送信する第1送信ステップと、前記衝撃検出部からの検出信号に基づいて当該車両の衝撃度合いを表す衝撃度合い情報を生成する情報生成ステップと、前記情報生成ステップにて生成された前記衝撃度合い情報を前記通信ユニットにより前記管理装置に送信する第2送信ステップと、前記管理装置にて実行されるステップであって、前記コネクタ器からの前記車両情報及び前記衝撃度合い情報を当該コネクタ器に対応づけて記憶部に記憶させるステップと、前記記憶部に前記コネクタ器に対応づけて記憶された前記車両情報及び衝撃度合い情報に基づいて、当該車両での事故発生について判定する事故発生判定ステップと前記事故発生判定ステップでの判定結果を外部装置に送信する事故判定結果送信ステップと、を有する構成となる。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る車両サービスシステムによれば、個々の車両ではなく、インターネット上の管理装置が、車両に搭載されたコネクタ器からログ情報として送られてくる前記車両の状態を表す車両情報と衝撃度合いを表す衝撃度合い情報とに基づいて、当該車両での事故発生についての判定を行うので、多くの車両に対する事故通報サービスの効率的な運用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態に係る車両サービスシステムの基本構成を示す図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す車両サービスシステムにおけるコネクタ器の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す車両サービスシステムにおけるサービス端末装置が有する管理テーブルを示す図である。
【
図4A】
図4Aは、
図1に示す車両サービスシステムにおける管理装置が有するコネクタ管理テーブルを示す図である。
【
図4B】
図4Bは、
図1に示すサービスシステムにおける管理装置が有する通信モジュール管理テーブルを示す図である。
【
図5】
図5は、コネクタ器及び管理装置での処理手順を示すシーケンス図である。
【
図6】
図6は、コネクタ器、管理装置及びサービス端末装置での処理手順を示すシーケンス図である。
【
図7】
図7は、車両の事故発生時におけるコネクタ器、管理装置、サービス端末装置及び緊急通報システムでの処理手順を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0028】
本発明の実施の一形態に係る車両サービスシステムは、
図1に示すように構成される。
【0029】
図1において、この車両サービスシステムは、車両50に搭載されたコネクタ器10と、車両サービス事業者(例えば、カーリース会社、車両販売会社、車両修理会社、車両保険会社等)が運用するサービス端末装置20と、コネクタ器10を管理して車両の各種情報を提供する情報提供会社が運用する管理装置30(サーバ)と、車両事故の緊急対応を行うコールセンター等に設置される緊急通報システム40とを備えている。コネクタ器10は、OBDII(On-board diagnostics)の規格に従っており、後述するように(
図2参照)、車両50内に設けられたOBDIIの端子部51に着脱可能に装着されて車両50の各種ECU(Electric Control Unit:制御装置)との通信を行う。また、このコネクタ器10は、SIM(を備ええおり、携帯電話網を介した移動体通信が可能である。サービス端末装置20は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、PC端末等であって、所定のアプリケーションプログラムに従って動作し、移動体通信網(図示略)を介してインターネット100上の装置との通信が可能である。管理装置30は、インターネット100上に配置されたクラウドサーバであって、後述するように、各種情報処理の機能及び情報の蓄積機能(記憶部)を有している。緊急通報システム40は、インターネット100を介して管理装置30と所定の通信プロトコルに従って情報通信を行い得る。
【0030】
コネクタ器10は、
図2に示すように、処理ユニット11、SIMを備えて電話通信網を介した通信を行う移動体通信ユニット12、メモリ13及び通信インターフェース14を備えるとともに、加速度センサ15及びジャイロセンサ16を備えている。移動体通信ユニット12は、処理ユニット11の制御のもと、SIMの情報に従って電話通信網を介した通信を行う。この移動体通信ユニット12は、電話通信網から更にインターネット100を介して管理装置30との通信が可能である。通信インターフェース14は、端子部15を介して車両50の車載ネットワークシステム(CAN:Controller Area Network)に接続される。そして、通信インターフェース14は、処理ユニット11の制御のもと、内蔵された通信モジュール(CANモジュール:通信機能情報)に従って、車両50の各部の制御や種々のセンサからの情報収集等を行う各種ECUとの通信を行う。また、処理ユニット11は、移動体通信ユニット12に、メモリ13に格納された車両情報(ECUログ)を送信させるための処理を行う。
【0031】
コネクタ10に設けられた加速度センサ及びジャイロセンサ(衝撃検出部)は、コネクタ10が搭載された状態(端子部51に装着された状態)において、車両50の衝撃度合いに応じた検出信号を出力する。そして、処理ユニット11は、加速度センサ15及びジャイロセンサ16からの検出信号に基づいて車両50の衝撃度合いを表す衝撃データ(衝撃度合い情報)を生成する(情報生成手段)。
【0032】
サービス端末装置20を運用する車両サービス事業者は、例えば、管理装置30を運用する情報提供会社から提供(有償、または無償)されるコネクタ器10の利用契約を行う者(契約者)の管理を行う。具体的には、
図3に示すように、コネクタ器10のIDと、そのコネクタ器10を使用する契約者の氏名、住所、連絡先、車両利用者のリスト等の契約者情報、コネクタ器10を搭載させる車両を特定する車両情報(車両番号、車体番号、車種等)等とを対応づける管理テーブルがサービス端末装置20に格納される。
【0033】
コネクタ器10を管理する情報提供会社は、コネクタ器10を提供したサービス事業者と、そのコネクタ器10が使用される車両についての情報との対応を管理する。具体的には、情報提供会社は、コネクタ器10を提供したサービス事業者の情報、そのコネクタ器10搭載される車両の車両情報(少なくとも車種に関する情報を含む)等をサービス事業者から受け取る。そして、管理装置30には、
図4Aに示すようなコネクタ管理テーブルが格納される。また、管理装置30には、車両50の種類(車種)と、その車種でECUとの通信が可能な通信モジュール(CAN)との対応関係を示す通信モジュール管理テーブル(車両通信機能管理手段)が格納されている。管理装置30では、上記コネクタ管理テーブル(
図4A参照)及び上記通信モジュール管理テーブル(
図4B参照)によって、実際に車両50に搭載されたコネクタ器10と当該車両50で利用可能な通信モジュールとの関係を知ることができる。
【0034】
前述した構成の車両サービスシステムでは、
図5及び
図6に示す手順に従って、日常的な処理が行われる。
【0035】
図5において、車両50に搭載されたコネクタ器10の処理ユニット11は、車両50のエンジンの始動を検出すると、処理を開始する。処理ユニット11は、ECUとの通信を行うための通信モジュールが必要であるか否かを判定する。例えば、コネクタ器10が搭載されて初めての処理である場合、あるいは、ECUとの初期通信をトライして不通となった場合等、通信モジュールが必要であると判定されると、処理ユニット11の制御のもと、コネクタ器10(移動体通信ユニット12)から管理装置30にコネクタ器10のIDとともに要求が送られる(情報要求手段)。管理装置30は、この要求を受けると、コネクタ管理テーブル(
図4A参照)及び通信モジュール管理テーブル(
図4B参照)を参照して、コネクタ器10が搭載れる車種で利用可能な通信モジュールを特定する。そして、管理装置30は、その特定された通信モジュール(ソフトウエア)をコネクタ器10に配信する(通信機能情報送信手段)。コネクタ器10は、処理ユニット11の制御のもと、管理装置30からの通信モジュール(通信機能情報)をダウンロードし、メモリ13内にインストールする(機能情報取得手段)。
【0036】
その後、コネクタ器10の処理ユニット11は、後述するような車両50への衝撃の度合いを判定するための衝撃判定ファイルが必要であるか否かを判定する。例えば、コネクタ器10が搭載されて初めての処理である場合、衝撃判定アルゴリズムの変更が必要な場合等、新たな衝撃判定ファイルが必要であると判定されると、処理ユニット11の制御のもと、コネクタ器10(移動体通信ユニット12)から管理装置30にコネクタ器10のIDとともに要求が送られる。前記衝撃判定ファイルは、車両への衝撃の度合いを判定するための基準データ(基準度合い情報)を含む。管理装置30は、この要求を受けると、必要な衝撃判定ファイルを特定し、その特定された衝撃判定ファイル(ソフトウエア)をコネクタ器10に配信する(基準度合い情報送信手段)。コネクタ器10は、処理ユニット11の制御のもと、管理装置30からの衝撃判定ファイルをダウンロードし、メモリ13内にインストールする(基準取得手段)。
【0037】
なお、コネクタ器10において、通信モジュールが必要ないと判定された場合、衝撃判定ファイルが必要ないと判定された場合(既にインストールされている場合)、それらの情報(通信モジュール、衝撃判定ファイル)のダウンロードに係る処理は行われない。
【0038】
コネクタ器10に通信モジュール及び衝撃判定ファイルが上述したようにインストールされると、
図6に示す手順に従って、処理が行われる。
【0039】
コネクタ器10では、処理ユニット11の制御のもと、上述したようにインストールされた通信モジュールが通信インターフェース14にセットされる。そして、
図6において、処理ユニット11の制御のもと、コネクタ器10は通信インターフェース14を介して(通信モジュールに従って)車両50の各種ECUと通信を行う。そして、コネクタ器10は、車両50の各種ECUから車両の状態を表す車両情報をログ情報として取得する(ログ情報取得手段)。車両情報は、車両の走行位置、車速情報、走行時間、燃費、エンジンの回転数、アクセル操作情報、ステアリングの操作情報、ブレーキべダルの操作情報を含み得る。また、コネクタ器10の処理ユニット11は、前述した衝撃判定ファイルに従って、加速度センサ15及びジャイロセンサ16からの検出信号に基づいて車両50の衝撃度合いを表す衝撃データ(衝撃度合い情報)を生成する(情報生成手段)。
【0040】
そして、コネクタ器10では、処理ユニット11の制御(第1送信制御手段)のもと、前述したようにECUから得られる車両情報が移動体通信ユニット12から管理装置30に向けて送信させる。また、処理ユニット11の制御(第2送信制御手段)のもと、前述したように生成される衝撃データが移動体通信ユニット12から管理装置30に向けて送信される。管理装置30(記憶部)は、コネクタ器10からの前記車両情報及び衝撃データを送信元のコネクタ器10のIDに対応づけて記憶(保存)する。
【0041】
上述した処理は、車両50が走行している間、所定周期で繰り返し実行される。そして、コネクタ器10の処理ユニット11は、車両50のエンジンが停止したことを検出すると、上述した処理を終了させる。更に、コネクタ器10は、処理ユニット11の制御のもと、コネクタ器10のIDとともに処理の終了報告を管理装置30に送る。
【0042】
コネクタ器10のIDとともに前記終了報告を受信した管理装置30は、受信したIDに対応づけて保存された車両情報及び衝撃データの集計処理を所定のアルゴリズムに従って行う。そして、管理装置39は、コネクタ器10のIDとともに集計結果を表す集計結果データをサービス端末装置20に送る。サービス端末装置20では、
図3に示す管理テーブルを参照して、例えば、コネクタ器10のIDに対応した車両情報にて特定される車両対応づけて、受信した集計結果データが管理可能な状態で保存される。車両サービス事業者は、サービス端末装置20の保存される集計結果データを、前記IDに対応する契約者(契約者のスマートフォン)にその車両の走行状態を表すサービス情報として、報告書の形で提供することができる。
【0043】
ところで、コネクタ器10では、衝撃データを生成する際に、
図7に示す手順に従って処理を行っている。
【0044】
コネクタ器10の処理ユニット11は、前述したように衝撃データを生成し、衝撃ファイルに従ってその衝撃データの解析を行う。具体的には、生成された衝撃データで表される衝撃度合いが、前記衝撃ファイルに含まれる基準(基準度合い)より大きいか否かが判定される(判定手段)。その衝撃度合いが基準より大きいと、コネクタ器10では、処理ユニット11の制御(第3送信制御手段)のもと、移動体通信ユニット12から、コネクタ器10のIDとともにアラーム情報が管理装置30に送られる。
【0045】
上記アラーム情報を受信した管理装置30は、受信したIDに対応して管理される車両情報及び衝撃データを解析して、当該IDで特定されるコネクタ器10が搭載された車両50での事故発生状況についての判定を行う(事故発生判定手段)。例えば、車速情報、ブレーキ操作情報等の車両情報及び衝撃の大きさを表す衝撃データに基づいて車両50で発生した事故の程度が判定される。例えば、事故の程度が、緊急性の高さに応じて第1段階(緊急性最大)、第2段階、第3段階のいずれかに判定される。そして、管理装置30は、コネクタ器10のIDとともに、前記判定結果をサービス端末装置20(外部装置)に送信する(事故判定結果送信手段)。
【0046】
サービス端末装置30が管理装置30からのIDとともに事故状況に関する判定結果を受信すると、その判定結果を受信したサービス端末装置30を管理する車両サービス事業者は、その判定結果を独自のルールに従って運用する。例えば、緊急度が最大の第1段階の判定結果でなければ、レポートして、契約者の緊急連絡先に通知することができる。一方、緊急度が最大の第1段階の判定結果の場合、サービス端末装置20は、
図3に示す管理テーブルにおいて、前記IDに対応して管理される契約者情報(契約者の氏名、住所、連絡先、車両利用者等)を前記IDとともに管理装置30に送る。IDとともにこの契約者情報を受信した管理装置30は、IDに対応して蓄積された車両情報、衝撃データ、衝撃の判定結果、また、
図4Aに示すコネクタ管理テーブルによりIDに対応して管理される事故の発生した車両の車両情報、更に、前記契約者情報を含む事故データを生成する。そして、管理装置30は、その事故データを緊急通報システム40(他の外部装置)に送信する(事故報告手段)。
【0047】
前記事故データを受信した緊急通報システム40は、その事故データを受けつけ保存する。そして、緊急通報システム40が設置された車両事故の緊急対応を行うコールセンター等では、緊急通報システム40に保存された事故データが所定の規則に従って運用される。例えば、事故データに含まれる事故の発生した車両の位置に、救急車を向かわせる手配を行う、また、事故データに含まれる契約者や車両運転者の連絡先(例えば、携帯電)に連絡して、事故の状況を直接聞きだす等の対応を講じることができる。
【0048】
上述したような車両サービスシステムによれば、個々の車両ではなく、インターネット(クラウド)上の管理装置30が、車両50に搭載されたコネクタ器10からログ情報として送られてくる車両50の状態を表す車両情報と衝撃データとに基づいて、車両50での事故発生についての判定を行うので、多くの車両に対する事故通報サービスの効率的な運用が可能となる。
【0049】
なお、コネクタ器10による管理装置30に対する通信は、直接行うものでなく、例えば、スマートフォン等の端末を介して行うようにすることもできる。
【0050】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、この実施の形態は、一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上述したこれら新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施の形態は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明に含まれる。
【符号の説明】
【0051】
10 コネクタ器
11 処理ユニット
12 移動体通信ユニット
13 メモリ
14 通信インタエース
15 加速度センサ
16 ジャイロセンサ
20 サービス端末装置
30 管理サーバ
40 緊急通報システム
50 車両
51 端子部