(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-09
(45)【発行日】2024-04-17
(54)【発明の名称】コンタクトレンズ装着器具
(51)【国際特許分類】
G02C 11/00 20060101AFI20240410BHJP
G02C 13/00 20060101ALI20240410BHJP
A61F 9/00 20060101ALI20240410BHJP
G02C 7/04 20060101ALI20240410BHJP
【FI】
G02C11/00
G02C13/00
A61F9/00 100
G02C7/04
(21)【出願番号】P 2020039022
(22)【出願日】2020-03-06
【審査請求日】2023-02-28
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000147729
【氏名又は名称】株式会社石井鐵工所
(72)【発明者】
【氏名】石井 宏治
(72)【発明者】
【氏名】細谷 広志
(72)【発明者】
【氏名】安藝 玲来
【審査官】渡邊 吉喜
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-135349(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2005-0000280(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第109481136(CN,A)
【文献】中国実用新案第2720470(CN,Y)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02C 11/00
G02C 13/00
A61F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンタクトレンズが載置される載置部と、
該載置部を一端部に有する棒状部と、
前記コンタクトレンズが収納されている収納容器と、
前記棒状部の他端部に接続し、前記収納容器の上部開口を塞ぐように前記収納容器に着脱自在に係合する基端部と、
該基端部を介してそれぞれの後端部が連続し、先端部を離反してU字又はV字或いはコ字形状に形成し、前記棒状部を中心にして対称となる位置に離隔して設ける一対の棒状の開瞼部とを具備し、
前記収納容器は、前記コンタクトレンズが載置される台座を内底中心部に有し、
前記台座は、透水性を有し、該台座の外側面部と前記収納容器の内側面部との間に溝が形成されており、
前記開瞼部の先端部は、前記瞼と当接する部分を円形又は楕円形又は円弧状とし、前記瞼に押し当てた際に滑らない摩擦力を有する軟質部材により形成するか、或いは外表面に前記軟質部材を装着し、
前記基端部を前記収納容器に嵌合した際に、前記溝に嵌合する構造とし、
前記溝は、嵌め込まれた前記開瞼部を前記溝から外した際に、前記コンタクトレンズの上部に溜まった分の洗浄液が流れ落ちることが可能な容積を有しており、
前記基端部と共に前記開瞼部を持ち上げると、前記台座を介して前記溝の方向に向けて前記洗浄液が流れ落ち、前記コンタクトレンズを前記載置部に載置させ
た状態で前記収納容器から取り出し、前記開瞼部の先端部を瞼に押し当てながら該瞼を広げた状態で、前記載置部に載置された前記コンタクトレンズを眼球表面に当接させて装着させる、コンタクトレンズ装着器具。
【請求項2】
前記棒状部は、前記基端部に貫通して接続される中空筒形状とし、
前記基端部と前記棒状部の貫通部分を水密構造とし、
一端部に通気可能に前記載置部を設け、
他端部に通気可能に弾性中空体を設ける構造とし、
該弾性中空体を挟圧
した状態で、前記棒状部の一端部に設けている前記載置部を前記台座の上面にある前記コンタクトレンズに当接させ、該弾性中空体を復元することにより、
前記棒状部が負圧状態
となり、前記載置部に
前記コンタクトレンズが吸引されて載置される、請求項
1に記載のコンタクトレンズ装着器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンタクトレンズを眼球に装着するために用いるコンタクトレンズ装着器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンタクトレンズを眼球表面に装着する場合には、洗浄液が入ったコンタクトレンズの収納容器内に手の指を入れてコンタクトレンズに直接手で触れて取り出し、指先に載せた後、コンタクトレンズが眼球に触れるまで指先を眼球に近づけて装着するが、衛生的でないうえ、コンタクトレンズを爪等で傷付けることがある。
これを解決する方法として、コンタクトレンズに直接手で触れずに、コンタクトレンズを眼球に装着する器具の特許文献1、2の従来技術が開示されている。
【0003】
特許文献1「コンタクトレンズ装着補助具」には、手持ち軸と、二股形状である上端部と、当該コンタクトレンズ着脱器具の他端に位置し、一角形状である下端部と、を有し、前記上端部の両先端が、コンタクトレンズを粘着させるための粘着性部材を有し、前記下端部の先端が、先の広がったラッパ型の外形状であるラッパ型部材を有し、前記ラッパ型部材の先端が、コンタクトレンズの湾曲面が自然な形状で埋め込まれるほどに窪んだ形状である開口部を有しているコンタクトレンズ装着補助具が開示されている。
【0004】
特許文献2「コンタクトレンズ装着具」には、コンタクトレンズが載置される載置部と、シャフト部材と、シャフト部材に接続された手の指で把持する本体部材を備えたコンタクトレンズ装着具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5208320号公報
【文献】特許第6185642号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の特許文献1、2に示す装着器具は、コンタクトレンズを衛生的にかつ傷付けずに眼球に装着することができる器具であるが、片手が不自由な場合等に装着することを考慮した構造ではない。
すなわち、従来のコンタクトレンズを装着する方法は、一方の手の指で装着器具を把持して、他方の手の指で瞼を開きながらコンタクトレンズを眼球に装着する方法であり、片手でコンタクトレンズを眼球に装着することは困難である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、コンタクトレンズが載置される載置部と、該載置部を一端部に有する棒状部と、該棒状部の他端部に接続する基端部と、該基端部を介してそれぞれの後端部が連続し、先端部を離反してU字又はV字或いはコ字形状に形成し、前記棒状部を中心にして対称となる位置に離隔して設ける一対の棒状の開瞼部とを具備し、収納容器から取り出したコンタクトレンズを前記載置部に載置させ、前記開瞼部の先端部を瞼に押し当てながら該瞼を広げた状態で、前記載置部に載置された前記コンタクトレンズを眼球表面に当接させて装着させる、コンタクトレンズ装着器具を提供する。
【0008】
また、本発明の前記開瞼部の前記先端部は、軟質部材により形成するか、或いは外表面に軟質部材を装着する、前記のコンタクトレンズ装着器具を提供する。
【0009】
本発明はさらに、前記棒状部の全体又は一部を伸縮及び屈曲自在なフレキシブル構造で構成する、前記のコンタクトレンズ装着器具を提供する。
【0010】
本発明はさらに、前記開瞼部を前記基端部に回動可能に接続するとともに、前記開瞼部と前記棒状部或いは前記基端部との間に弾性部材を有する、前記のコンタクトレンズ装着器具を提供する。
【0011】
本発明はさらに、一対の前記開瞼部を、長手方向の一点で回動可能に接続して交差するとともに、それぞれの前記後端部が接続する前記基端部を屈曲自在構造とする、前記のコンタクトレンズ装着器具を提供する。
【0012】
本発明はさらに、前記基端部を、有底筒形状の収納容器の上部開口を塞ぐように該収納容器に着脱自在に係合する蓋とする、前記のコンタクトレンズ装着器具。
【0013】
本発明はさらに、前記棒状部を、前記基端部に貫通して接続される中空筒形状とし、一端部に通気可能に前記載置部を設け、他端部に通気可能に弾性中空体を設ける構造とし、該弾性中空体を挟圧及び復元することにより、負圧状態となった前記棒状部の一端部に設けている前記載置部にコンタクトレンズが吸引されて載置される、前記のコンタクトレンズ装着器具を提供する。
【0014】
本発明はさらに、前記収納容器が、コンタクトレンズが載置される面が該コンタクトレンズの湾曲面に沿う形状となっている台座を内底部に有する、前記のコンタクトレンズ装着器具を提供する。
【0015】
本発明はさらに、前記台座が、透水性を有し、該台座の外側面部と該収納容器の内側面部との間に形成する溝に前記開瞼部の先端部を嵌め込んで載置し、前記開瞼部を持ち上げると、前記台座を介して前記溝の空間部に洗浄液が流れる、前記のコンタクトレンズ装着器具を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明のコンタクトレンズ装着器具1を使用することにより、洗浄液Lが入った収納容器6からコンタクトレンズCを取り出し、瞼を開き、眼球EBに装着する一連の操作をコンタクトレンズCに直接手で触れることなく、片手で衛生的かつ安全に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係るコンタクトレンズ装着器具1の第1事例の断面側面図を示す。
【
図2】本発明に係るコンタクトレンズ装着器具1の第2事例の断面側面図を示す。
【
図3】本発明に係るコンタクトレンズ装着器具1の第3事例の断面側面図を示す。
【
図4】本発明に係るコンタクトレンズ装着器具1の第4事例の平面図、断面側面図を示す。
【
図5】本発明に係るコンタクトレンズ装着器具1の第5事例の平面図、断面側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係るコンタクトレンズ装着器具の実施形態例について
図1から
図5を参照しながら説明する。なお、本発明は下記の実施形態にのみ限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲で下記の構成要素の省略または付加、構成要素の形状等の実施形態の変更を加えることが出来るのはもちろんである。また、図は概略を示すもので、一部のみを描き詳細構造は省略した。
【0019】
図1は、本発明に係るコンタクトレンズ装着器具1の第1事例の断面側面図を示す。(a)は載置部2にコンタクトレンズCが載置された状態、(b)はコンタクトレンズCが眼球EBに装着される時の状態を示す。
【0020】
コンタクトレンズ装着器具1は、コンタクトレンズCが載置される載置部2と、載置部2を一端部3aに有する棒状部3と、棒状部3の他端部3bに接続する基端部13と、基端部13を介してそれぞれの後端部4b、5bが連続し、先端部4a、5aを離反してU字又はV字或いはコ字形状に形成し、棒状部3を中心にして対称となる位置に離隔して設ける一対の棒状の開瞼部4、5とを具備する。
【0021】
第1事例の装着器具1は、棒状部3の一端部3aにコンタクトレンズCを載置させる載置部2を設け、棒状の基端部13と交差する方向に棒状部3の他端部3bを接続し、棒状の基端部13上部に一方の開瞼部4の後端部4bを接続し、棒状の基端部13下部に他方の開瞼部5の後端部5bを接続し、全体として略カタカナのヨ字形状に形成する。
また、装着器具1の両開瞼部4、5を柔軟なプラスチック等の樹脂で構成することにより、指で挟持したり広げることによって、両開瞼部4、5の各先端部4a、5aの間隔をわずかに調節することを可能とする。
【0022】
開瞼部4、5の長さは、片手の指Fで持ち易い長さとし、4~5cm前後とする。
また、両開瞼部4、5の間隔は、各先端部4a、5aを上瞼ELと下瞼ELに押し当てた際に、上瞼ELと下瞼ELの表面に確実に押し当てることが可能な間隔とし、4~5cm前後とする。
【0023】
開瞼部4、5の各先端部4a、5aは、軟質部材14、15で形成するか、或いは外表面に軟質部材14、15を装着する構造とする。
軟質部材14、15はシリコン樹脂、プラスチックやゴム或いは発泡スチロール等で形成する。軟質部材14、15は、瞼ELと当接する部分を円形、楕円形、円弧状等となるように形成し、人の瞼ELに押し当てても痛くなく、瞼EL上で滑らない程度の摩擦力を有する部材とする。
また、棒状の開瞼部4、5の各先端部4a、5aに軟質部材14、15を装着する場合は、各先端部4a、5aの外表面に軟質部材14、15を接着剤等で接着する構造とする。
なお、開瞼部4、5の各先端部4a、5aを瞼ELに押し当てた際に、瞼ELの形状に沿うように、各先端部4a、5aを予め折り曲げた形状としても良い。
【0024】
載置部2は、コンタクトレンズCの湾曲面(凸の面)が自然な形で埋め込まれるように窪んだ形状(凹み形状)とする。また、載置部2の窪んだ部分とコンタクトレンズCの湾曲面との当接部分は、コンタクトレンズCの外周側よりも内側に位置するようにし、載置部2上面に載置されたコンタクトレンズCを眼球EBに近付けて当接させると、コンタクトレンズCが眼球EBに装着される。なお、コンタクトレンズCが載置部2に不安定に載置され、落下したり折れ返ったりしないように、載置部2とコンタクトレンズCの当接部分は小さくなりすぎないように注意する。
また載置部2は、柔らかいプラスチック等で構成し、万が一眼球EBと接触した場合に眼球EBを傷付けないようにする。
【0025】
棒状部3は、全体又は一部を伸縮及び屈曲自在なフレキシブル構造16とする。フレキシブル構造16は、蛇腹構造等とする。
棒状部3のフレキシブル構造16は、手動又は自動で伸縮したり、屈曲することにより、棒状部3の先端部3aに設けている載置部2の位置をコンタクトレンズCを眼球EBに装着し易い位置に微調整することが可能である。
【0026】
第1事例の装着器具1の構造と使用方法の事例について説明する。
装着器具1の載置部2は、洗浄液が入った収納容器から取り出したコンタクトレンズCを容易に載置することができるように、コンタクトレンズCの湾曲面(凸の面)に沿うように窪んだ形状となっている。
なお、載置部2にコンタクトレンズCを載置させる際は、収納容器内のコンタクトレンズCに載置部2を直接当接させて載置させるか、或いは片手で把持したスティック、ピンセット、匙等(図示しない)を使用して収納容器内からコンタクトレンズCを取り出して載置部2に載置させる。後述する第4、第5事例に示すように、棒状部3を中空筒形状とし、基端部13を貫通させ、棒状部3の後端部3bに中空弾性体11を接続し、収納容器内にあるコンタクトレンズCを吸引し、載置部2に載置させる構造を採用しても良い。
(a)に示す通り、一対の棒状の開瞼部4、5は、断面コ字形状で所定の長さを有しており、片手の指Fで容易に把持できる構造であるため、使用者は、開瞼部4、5を片手で持って、先端部4a、5aを瞼ELに容易に押し当てることができる。なお、先端部4a、5aを軟質部材14、15で形成しているため、瞼ELを傷付ける恐れがない。
(b)に示す通り、装着器具1は、使用者が軟質部材14、15を瞼ELに押し当てた状態で、開瞼部4、5を把持している片手の指Fを動かして、上部の開瞼部4を上方に動かしたり、或いは下部の開瞼部5を下方に動かすことにより、瞼ELを広げることを可能とする。また、両開瞼部4、5の中心に棒状部3が位置しているので、開瞼部4、5を瞼ELに当接すると、棒状部3の先端部3aに設けている載置部2に載置されたコンタクトレンズCが眼球EB表面の近傍に位置した状態となる。そのため、使用者は、鏡を見ながら、載置部2に載置されたコンタクトレンズCを眼球EB表面に徐々に近づけて当接させ、眼球EB表面に容易にコンタクトレンズCを装着させることが可能である。
また、装着器具1は、使用者がコンタクトレンズC装着時に、棒状部3の先端部3aに設けている載置部2の位置をコンタクトレンズCが眼球EBに装着し易くなるように、適宜棒状部3のフレキシブル構造16を片手で伸縮したり、屈曲することが可能な構造としている。
なお、
図1の(b)に示すように、最初に装着器具1を顔面の斜め下方向から近付けて、下側の開瞼部5で下瞼ELを下方に押し広げ(所謂「あっかんベー」の状態を保持し)、上側の開瞼部4を上瞼ELに軽く当接させた状態で、載置部2に載置されたコンタクトレンズCを眼球EB中心よりやや下方向に当接させるようにしてコンタクトレンズCを眼球EBに装着させるようにすると、装着が容易である。
【0027】
装着器具1を使用することにより、収納容器から取り出したコンタクトレンズCに手の指で触れることなく、片手で瞼を開く操作と眼球EB表面にコンタクトレンズCを装着する操作を同時に行うことができる。
【0028】
図2は、本発明に係るコンタクトレンズ装着器具1の第2事例の断面側面図を示す。(a)は載置部2にコンタクトレンズCが載置された状態、(b)はコンタクトレンズCが眼球EBに装着される時を示す。
図1と同じ構成については説明を省略する。
【0029】
第2事例の装着器具1は、開瞼部4、5の後端部4b、5bを基端部13に設けるピン12で回動自在に固定する構造である。
例えば、固定構造は、後端部4b、5bのそれぞれにピン12を挿通することが可能な貫通孔(図示しない)を設け、開瞼部4、5を重ね合わせ、該貫通孔にピン12を挿通し、回動自在に固定する構造とする。
第2事例の装着器具1は、一対の棒状の開瞼部4、5のそれぞれの後端部4b、5bが基端部13のピン12を介して連続し、断面V字状のピンセット形状としている。
また、棒状部3と開瞼部4、5との間に弾性部材10、10を設ける。弾性部材10、10はバネ等で構成する。
なお、開瞼部4、5の離反する各先端部4a、5aの外表面に軟質部材14、15を装着する。
【0030】
第2事例の装着器具1の構造と使用方法の事例について説明する。第1事例と同じ構造、使用方法については説明を省略する。
(a)に示す通り、装着器具1の一対の棒状の開瞼部4、5を片手で把持し、開瞼部4、5の先端部4a、5aの軟質部材14、15を瞼ELに押し当てる。開瞼部4、5と棒状部3との間に弾性部材10を設けているため、片手の指Fで両開瞼部4、5を挟持すると、弾性部材10が収縮し、各開瞼部4、5と棒状部3との間隔を狭めることができる。
(b)に示す通り、装着器具1は、開瞼部4、5を瞼ELに当接させた状態で、一対の開瞼部4、5を保持していた片手の指Fの力を緩めると、弾性部材10が伸長する方向に復元し、各開瞼部4、5と棒状部3との間隔を広げることができる構造となっており、それに伴い瞼ELを押し広げることができる。使用者は、両瞼ELが開いた状態で、鏡を見ながら、載置部2に載置されたコンタクトレンズCを眼球EBに当接させ、容易に装着させることができる。
【0031】
棒状部3と一対の開瞼部4、5との間に弾性部材10を設けることにより、開瞼部4、5を保持している指Fの力で一対の開瞼部4、5相互の間隔を一定の範囲内で調整することが可能である。
また、棒状部3と一対の開瞼部4、5との間に弾性部材10を設ける代わりに、各開瞼部4、5の各後端部4b、5bと基端部13との間に弾性部材10を設ける構造としても良い。その場合は、各開瞼部4、5と基端部13との間に開瞼部4、5が開く角度や相互の間隔を調節するストッパー(図示しない)を設ける構造とする。
【0032】
図3は、本発明に係るコンタクトレンズ装着器具1の第3事例の断面側面図を示す。
図1、
図2と同じ構成については説明を省略する。
第3事例の装着器具1は、一対の棒状の開瞼部4、5が長手方向の一点でピン17等で回動可能に接続して交差する構造とする。
それぞれの開瞼部4、5は、長手方向の一点に貫通孔(図示しない)を設けており、貫通孔にピン17を挿通して交差する。さらに、棒状部3の所定の箇所に貫通孔(図示しない)を設け、ピン17を挿通する構造とする。
基端部13を柔軟なプラスチック等の樹脂で構成し、屈曲自在な構造とすることにより、基端部13を把持する片手の指Fの力を入れたり緩めたりすることで、両開瞼部4、5の各先端部4a、5aの間隔を調節することを可能とする。なお、基端部13を屈曲させた際に、棒状部3が回動しないように固定する構造とする。
【0033】
第3事例の装着器具1の構造と使用方法の事例について説明する。第1、第2事例と同じ構造、使用方法については説明を省略する。
(a)に示す通り、屈曲自在構造の基端部13の幅を狭める方向に片手の指Fで挟持する。
(b)に示す通り、基端部13を挟持している指Fの力を緩めると、開瞼部4、5は、長手方向の一点に設けたピン17によって回動し、一方の開瞼部4が上方に移動して他方の開瞼部5が下方に移動し、それに伴い瞼ELを押し広げることができる。使用者は、両瞼ELが開いた状態で、鏡を見ながら、開瞼部4、5の中心に位置している棒状部3に設けている載置部2に載置されたコンタクトレンズCを眼球EBに当接させ、容易に装着させることができる。
【0034】
図4は、本発明に係るコンタクトレンズ装着器具1の第4事例の平面図、断面側面図を示す。
(a)はコンタクトレンズCが収納容器6に収納されている時の状態を示し、上部が平面図、下部が断面側面図である。(b)は蓋7が収納容器6から取り外された時の状態、(c)は眼球EBにコンタクトレンズCが装着される時の状態を示す。
図1~
図3と同じ構成については説明を省略する。
【0035】
収納容器6は、上部が開口した有底円筒形状であって、コンタクトレンズCが載置される面が該コンタクトレンズCの湾曲面に沿う形状となっている台座8を内底部に有し、台座8上面の曲率に沿うようにコンタクトレンズCが載置される構造とする。
装着器具1の基端部13を収納容器6の上部開口を塞ぐ蓋7とする。
蓋7の両外側面に一対の開瞼部4、5の後端部4b、5bをそれぞれ取付ける。
蓋7は、下部が開口した有底円筒形状で収納容器6上部に着脱自在に嵌め込んで係合する構造とする。ねじ込み構造とする場合は、蓋7を収納容器6から取り外す際に、棒状部3の一端部3aに設けている載置部2と台座8上面のコンタクトレンズCが捩れて損傷することがないように注意する。
(a)に示す通り、収納容器6上部に蓋7を固定する際に、棒状部3の一端部3aに設けている載置部2を台座8上面のコンタクトレンズCに軽く当接させることにより、収納容器6内に洗浄液Lを満たした際に、コンタクトレンズCを洗浄液L中に浮遊させることなく、台座8の上に載置された状態とすることができる。棒状部3のフレキシブル構造16は、片手で伸縮、屈曲させることができ、それにより載置部2の位置を調節することができる。
【0036】
蓋7の筒の中心軸上に棒状部3を貫通して接続する。
棒状部3は、細長の中空筒状のスポイト形状とし、一端部3aにコンタクトレンズCが載置される載置部2を有する。
載置部2は中心部に貫通孔を有し、貫通孔を介して載置部2と棒状部3は通気可能に接続する。また、棒状部3は、蓋7を貫通して突出した他端部3bに通気可能に弾性中空体11を取付ける構造とする。なお、棒状部3と弾性中空体11を一体で構成しても良い。
なお、蓋7と棒状部3の貫通部分を水密構造とし、持ち運び時や収納容器6を傾けた場合に収納容器6内の洗浄液Lが漏れることがない構造とする。
【0037】
第4事例の装着器具1の構造と使用方法の事例について説明する。第1~第3事例と同じ構造、使用方法については説明を省略する。
(a)に示す通り、弾性中空体11を指で挟圧した後、(b)に示すように、弾性中空体11から手を離し、蓋7を収納容器6上部から少しずつ取り外して持ち上げる。棒状部3を中空筒状で形成し、中空弾性体11を設けることにより、挟圧した弾性中空体11が復元する際に働く吸引力で、棒状部3内が負圧状態となり、収納容器6の台座8上面に載置されたコンタクトレンズCを棒状部3の一端部3aに設けている載置部2に載置させた状態で、収納容器6内から取り出すことができる構造となっている。なお、棒状部3及び弾性中空体11は、コンタクトレンズCを吸引できる吸引力を有していることとする。
(c)に示す通り、着器器具1は、蓋7又は開瞼部4、5が片手の指Fで把持できる構造となっているため、開瞼部4、5の先端部4a、5aの開瞼部14、15を瞼ELに当接させることができる。使用者が蓋7又は開瞼部4、5を把持して上方又は下方に動かすことにより、瞼ELを広げることができる構造であり、両瞼ELが開いた状態で、鏡を見ながら、載置部2に載置されたコンタクトレンズCを眼球EBに当接させ、容易に装着することができる。
【0038】
第4事例の装着器具1は、載置部2と棒状部3と弾性中空体11を通気可能に接続する構造であるため、別途スティック、ピンセット、匙等を使用することなく、洗浄液Lで満たされた収納容器6からコンタクトレンズCに触れることなくコンタクトレンズCを取り出して片手で眼球EBに装着させることが可能である。
【0039】
図5は、装着器具1の第5事例の平面図、断面側面図を示す。
(a)はコンタクトレンズCが収納容器6に収納されている時の状態を示し、上部が平面図、下部が断面側面図である。(b)は蓋7を収納容器6から取り外した時の状態、(c)は眼球EBにコンタクトレンズCが装着される時の状態を示す。
図1から
図4と同じ構成については説明を省略する。
【0040】
収納容器6は、上部が開口した有底円筒形状であって、内底中心部に透水性を有する台座9を取付ける。透水性の台座9は網等で形成する。
装着器具1の基端部13を収納容器6の上部開口を塞ぐ蓋7とする。
蓋7の両側面下部に一対の開瞼部4、5の後端部4b、5bをそれぞれ取付ける。
蓋7を収納容器6に嵌合した際に、透水性の台座9の外側面部と収納容器6の内側面部との間に形成された溝に開瞼部4、5の先端部4a、5aが嵌合する構造である。
なお、溝は、嵌め込まれた各開瞼部4、5を溝から外した際に、コンタクトレンズC上部に溜まった分の洗浄液Lが流れ落ちることが可能な容積を有する。
【0041】
(a)に示す通り、弾性中空体11を指で挟圧した状態で、棒状部3の一端部3aに設けている載置部2を透水性の台座9上面のコンタクトレンズCに当接させる。
(b)に示す通り、収納容器6の内底中心部に透水性の台座9を設ける構造とすることにより、弾性中空体11から手を離し、蓋7と共に開瞼部4、5を片手で上部に持ち上げると、透水性の台座9を介して溝の方向に向けて洗浄液Lが流れ落ち、コンタクトレンズCの上部に溜まっている洗浄液Lが素早く除去される。この際、挟圧した弾性中空体11が復元する際に働く吸引力で、中空の棒状部3内が負圧状態となり、収納容器6の透水性の台座9上面に載置されたコンタクトレンズCを棒状部3の一端部3aに設けている載置部2に載置させた状態で、収納容器6内から取り出すことができる。
(c)に示す通り、着器器具1は、蓋7又は開瞼部4、5を片手で持って、開瞼部4、5の先端部4a、5aの軟質部材14、15を瞼ELに当接させることにより、瞼ELが開いた状態で、鏡を見ながら、載置部2に載置されたコンタクトレンズCを眼球EBに当接させ、容易に装着させることができる構造となっている。
なお、これまでに示した第1事例~第5事例の構造と使用方法は一例であり、使用者が種々の方法で使用することが可能である。
【0042】
本発明のコンタクトレンズ装着器具1を使用することにより、洗浄液Lが入った収納容器6からコンタクトレンズCを取り出し、瞼を開き、眼球EBに装着する一連の操作をコンタクトレンズCに直接手で触れることなく、片手で容易に実施することができる。
そのため、付爪、マニキュア等を装着した状態でもコンタクトレンズCを衛生的にかつ傷付けずに眼球EB表面に装着することができる。また、片手が不自由な人自身がコンタクトレンズCを装着する際の補助器具として使用したり、介助者が体の不自由な人の眼球にコンタクトレンズCを装着する際の医療用器具等としても使用することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 (コンタクトレンズ)装着器具
2 載置部
3 棒状部
3a 一端部
3b 他端部
4 (上部の)開瞼部
4a 先端部
4b 後端部
5 (下部の)開瞼部
5a 先端部
5b 後端部
6 収納容器
7 蓋
8 台座
9 透水性の台座
10 弾性部材
11 弾性中空体
12 ピン
13 基端部
14 軟質部材
15 軟質部材
16 フレキシブル構造
17 ピン
C コンタクトレンズ
EB 眼球
EL 瞼
F 指
L 洗浄液