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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-09
(45)【発行日】2024-04-17
(54)【発明の名称】自動車用台車
(51)【国際特許分類】
   B66F 5/02 20060101AFI20240410BHJP
   B66F 5/04 20060101ALI20240410BHJP
【FI】
B66F5/02
B66F5/04
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2023179461
(22)【出願日】2023-10-18
【審査請求日】2023-11-14
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523395155
【氏名又は名称】新英運輸株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100150533
【弁理士】
【氏名又は名称】川井 雅登
(72)【発明者】
【氏名】伊山 智誠
【審査官】今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-008199(JP,A)
【文献】国際公開第2009/056168(WO,A1)
【文献】中国実用新案第210971012(CN,U)
【文献】中国実用新案第213323043(CN,U)
【文献】米国特許第03954198(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 1/00-5/04
B60B 29/00;
30/10
B62B 3/10
B60S 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面の一部に開口部を備えた筒状の第1のフレームと、
第2のフレームと、
第2のフレームが第1のフレーム内に摺動自在に設けられ、
第1のフレームに垂直方向に連結された第3のフレームと、
第2のフレームに垂直方向に連結された第4のフレームと、
第3のフレームに回転自在に設けられた第1のローラと、
第4のフレームに回転自在に設けられた第2のローラと、
第3のフレーム及び第4のフレームのそれぞれの両端に設けられたキャスターと、
第1のローラと第2のローラとが互いに接近及び離隔自在となるようにするための第1の爪と第2の爪とを備えた上下動自在なレバーとラックとからなるラチェット機構のアクチュエータと、を有し、
レバーと第1の爪と第2の爪とは第1のフレームに設けられ、
ラックは第2のフレームの上面に設けられ、
レバーを上下動させることにより、第1の爪が第1のフレームの開口部を介して第2のフレームのラックと噛み合って、第2のフレームを第1のフレーム側に繰り出し、第1のフレーム内に第2のフレームを所定の距離だけ移動させ、同時に、第2の爪が第1のフレームの開口部を介して第2のフレームのラックと噛み合って、第1のフレームと第2のフレームとの位置を固定することによって、第1のローラと第2のローラとを互いに接近させ、自動車に取り付けられたホイールとタイヤとを第1のローラと第2のローラとによってジャッキし、そのまま自動車を移動させるための自動車用台車であって、
第1のローラ又は第2のローラのいずれかの一端に第1の歯車が設けられ、
第1の歯車と噛み合う第2の歯車を備えた回転軸が第3のフレーム又は第4のフレームのいずれかの一端に設けられたもの。
【請求項2】
筒状の第1のフレームと、
第2のフレームと、
第2のフレームが第1のフレーム内に摺動自在に設けられ、
第1のフレームに垂直方向に連結された第3のフレームと、
第2のフレームに垂直方向に連結された第4のフレームと、
第3のフレームに回転自在に設けられた第1のローラと、
第4のフレームに回転自在に設けられた第2のローラと、
第3のフレーム及び第4のフレームのそれぞれの両端に設けられたキャスターと、
第1のローラと第2のローラとが互いに接近及び離隔自在となるようにするための上下動自在なレバーとレバーの上下動によって作動するポンプとポンプによって作動するシリンダとからなる油圧機構のアクチュエータと、を有し、
レバーとポンプとは第1のフレームに設けられ、
シリンダは第1のローラと第2のローラとが互いに接近及び離隔自在となるように適宜の場所に設けられ、
レバーを上下動させることにより、ポンプとシリンダとを作動させ、第1のフレーム内に第2のフレームを所定の距離だけ移動させ、第1のフレームと第2のフレームとの位置を固定することによって、第1のローラと第2のローラとを互いに接近させ、自動車に取り付けられたホイールとタイヤとを第1のローラと第2のローラとによってジャッキし、そのまま自動車を移動させるための自動車用台車であって、
第1のローラ又は第2のローラのいずれかの一端に第1の歯車が設けられ、
第1の歯車と噛み合う第2の歯車を備えた回転軸が第3のフレーム又は第4のフレームのいずれかの一端に設けられたもの。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に取り付けられたホイールとタイヤとをジャッキし、そのまま自動車を移動させるための自動車用台車であって、そのままタイヤを任意に回転させることができるものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、上面の一部に開口部を備えた筒状の第1のフレームと第2のフレームとを備え、第2のフレームが第1のフレーム内に摺動自在に設けられ、第1のフレームの一端に垂直方向に連結された第3のフレームと、第2のフレームの他端に垂直方向に連結された第4のフレームと、第3のフレームに設けられた第1のローラと、第4のフレームに設けられた第2のローラと、第3のフレーム及び第4のフレームのそれぞれの両端に設けられたキャスターと、第1のローラと第2のローラとが互いに接近及び離隔自在となるようにするための第1の爪と第2の爪とを備えた上下動自在なレバーとラックとからなるラチェット機構のアクチュエータと、を有し、レバーの第1の爪と第2の爪とは第1のフレームの他端に設けられ、ラックは第2のフレームの上面に設けられ、レバーを上下動させることにより、第1の爪が第1のフレームの開口部を介して第2のフレームのラックと噛み合って、第2のフレームを第1のフレーム側に繰り出し、第1のフレーム内に第2のフレームを所定の距離だけ移動させ、第1のローラと第2のローラとを互いに接近させ、同時に、第2の爪が第1のフレームの開口部を介して第2のフレームのラックと噛み合って、第1のフレームと第2のフレームとの位置を固定することによって、自動車に取り付けられたホイールとタイヤとを第1のローラと第2のローラとによってジャッキし、そのまま自動車を移動させるための自動車用台車がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、他の従来の技術として、筒状の第1のフレームと第2のフレームとを備え、第2のフレームが第1のフレーム内に摺動自在に設けられ、第1のフレームに垂直方向に連結された第3のフレームと、第2のフレームの一端に垂直方向に連結された第4のフレームと、第3のフレームに設けられた第1のローラと、第4のフレームに設けられた第2のローラと、第3のフレーム及び第4のフレームのそれぞれの両端に設けられたキャスターと、第1のローラと第2のローラとが互いに接近及び離隔自在となるようにするための上下動自在なレバーとレバーの上下動によって作動するポンプとポンプによって作動するシリンダとからなる油圧機構のアクチュエータと、を有し、レバーとポンプとは第1のフレームに設けられ、シリンダは第3のフレームと第4のフレームとの間に垂直方向に連結されるか又は第1のフレームと第2のフレームとの間に連結され、レバーを上下動させることにより、ポンプとシリンダとを作動させ、第1のフレーム内に第2のフレームを所定の距離だけ移動させ、第1のローラと第2のローラとを互いに接近させ、第1のフレームと第2のフレームとの位置を固定することによって、自動車に取り付けられたホイールとタイヤとを第1のローラと第2のローラとによってジャッキし、そのまま自動車を移動させるための自動車用台車がある(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
従来の技術の自動車用台車では、自動車に取り付けられたホイールとタイヤとの4輪のすべてをジャッキすることにより、例えば、展示会場、修理ガレージ、販売店、及び駐車施設のような狭いスペース内においても、簡単かつ円滑に、自動車を所望の移動先に移動させることができた。
【0005】
しかし、例えば、展示会場や販売店などで、販売促進目的で、タイヤやホイールの商品名の見映えを良くするために、そのままタイヤを任意に回転させて、タイヤやホイールの商品名を、最適な位置に合わせることができないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平2-8199号公報
【非特許文献】
【0007】
【文献】コバヤシデンソー株式会社,KiKAiYA,油圧式カードーリー取扱説明書,品番HDO-4,2023年10月10日受入
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の問題点を解決するため、自動車に取り付けられたホイールとタイヤとをジャッキし、そのまま自動車を移動させるための自動車用台車において、そのままタイヤを任意に回転させて、タイヤやホイールの商品名を、容易に最適な位置に合わせることができるものを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の課題解決手段は、上面の一部に開口部を備えた筒状の第1のフレームと、第2のフレームと、第2のフレームが第1のフレーム内に摺動自在に設けられ、第1のフレームに垂直方向に連結された第3のフレームと、第2のフレームに垂直方向に連結された第4のフレームと、第3のフレームに回転自在に設けられた第1のローラと、第4のフレームに回転自在に設けられた第2のローラと、第3のフレーム及び第4のフレームのそれぞれの両端に設けられたキャスターと、第1のローラと第2のローラとが互いに接近及び離隔自在となるようにするための第1の爪と第2の爪とを備えた上下動自在なレバーとラックとからなるラチェット機構のアクチュエータと、を有し、レバーと第1の爪と第2の爪とは第1のフレームに設けられ、ラックは第2のフレームの上面に設けられ、レバーを上下動させることにより、第1の爪が第1のフレームの開口部を介して第2のフレームのラックと噛み合って、第2のフレームを第1のフレーム側に繰り出し、第1のフレーム内に第2のフレームを所定の距離だけ移動させ、同時に、第2の爪が第1のフレームの開口部を介して第2のフレームのラックと噛み合って、第1のフレームと第2のフレームとの位置を固定することによって、第1のローラと第2のローラとを互いに接近させ、自動車に取り付けられたホイールとタイヤとを第1のローラと第2のローラとによってジャッキし、そのまま自動車を移動させるための自動車用台車であって、第1のローラ又は第2のローラのいずれかの一端に第1の歯車が設けられ、第1の歯車と噛み合う第2の歯車を備えた回転軸が第3のフレーム又は第4のフレームのいずれかの一端に設けられたものである。
【0010】
本発明の第2の課題解決手段は、筒状の第1のフレームと、第2のフレームと、第2のフレームが第1のフレーム内に摺動自在に設けられ、第1のフレームに垂直方向に連結された第3のフレームと、第2のフレームに垂直方向に連結された第4のフレームと、第3のフレームに回転自在に設けられた第1のローラと、第4のフレームに回転自在に設けられた第2のローラと、第3のフレーム及び第4のフレームのそれぞれの両端に設けられたキャスターと、第1のローラと第2のローラとが互いに接近及び離隔自在となるようにするための上下動自在なレバーとレバーの上下動によって作動するポンプとポンプによって作動するシリンダとからなる油圧機構のアクチュエータと、を有し、レバーとポンプとは第1のフレームに設けられ、シリンダは第1のローラと第2のローラとが互いに接近及び離隔自在となるように適宜の場所に設けられ、レバーを上下動させることにより、ポンプとシリンダとを作動させ、第1のフレーム内に第2のフレームを所定の距離だけ移動させ、第1のフレームと第2のフレームとの位置を固定することによって、第1のローラと第2のローラとを互いに接近させ、自動車に取り付けられたホイールとタイヤとを第1のローラと第2のローラとによってジャッキし、そのまま自動車を移動させるための自動車用台車であって、第1のローラ又は第2のローラのいずれかの一端に第1の歯車が設けられ、第1の歯車と噛み合う第2の歯車を備えた回転軸が第3のフレーム又は第4のフレームのいずれかの一端に設けられたものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の課題解決手段は、任意に第2の歯車を備えた回転軸を回転させることによって、第2の歯車を回転させ、第2の歯車と噛み合う、第1のローラ又は第2のローラのいずれかの一端に設けられた第1の歯車を回転させ、第1のローラ又は第2のローラのいずれかを回転させることができる。
第1のローラ又は第2のローラのいずれかを回転させることによって、互いに接近した第1のローラと第2のローラとによってジャッキされたタイヤを、そのまま回転させることができる。
【0012】
したがって、例えば、展示会場や販売店などで、自動車に取り付けられたホイールとタイヤとの4輪のすべてをジャッキし、そのまま自動車を移動させることができる状態において、販売促進目的で、タイヤやホイールの商品名の見映えを良くするために、そのままタイヤを任意に回転させて、タイヤやホイールの商品名を、容易に最適な位置に合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の自動車用台車の斜視図である。
図2】本発明の自動車用台車の別の斜視図である。
図3】本発明の自動車用台車の更に別の斜視図である。
図4】本発明の自動車用台車の一部拡大斜視図である。
図5】本発明の自動車用台車の使用時の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の自動車用台車10を説明する(図1~5参照)。
【0015】
本発明の自動車用台車10は、主に、第1のフレーム11と、第2のフレーム12と、第3のフレーム13と、第4のフレーム14と、第1のローラ15と、第2のローラ16と、ラチェット機構のアクチュエータと、第1の歯車17と、第2の歯車18と、回転軸19と、を有するものである。
【0016】
第1のフレーム11は、他端の上面の一部に開口部20を備えた筒状の角パイプからなる。
第1のフレーム11には、自動車用台車10を移動させやすくするための取っ手34が取り付けられている。
なお、第1のフレーム11は、筒状のものであれば良く、角パイプに限定されない。
【0017】
第2のフレーム12は、第1のフレーム11内を摺動自在となるように、第1のフレーム11より一回り小さい大きさの筒状の角パイプからなる。
なお、第2のフレーム12は、第1のフレーム11内を摺動自在となるものであれば良く、筒状の角パイプに限定されない。
また、第1のフレーム11と第2のフレーム12とは、互いに直線上に接続されて設けられている。
【0018】
第3のフレーム13は、第1のフレーム11の一端に垂直方向に連結されている。
第4のフレーム14は、第2のフレーム12の他端に垂直方向に連結されている。
第3のフレームと第4のフレーム14とは、平行に設けられている。
【0019】
なお、第3のフレーム13は、第1のフレーム11の一端に連結されていることに限定されることなく、適宜の場所に連結しても良い。
なお、第4のフレーム14は、第2のフレーム12の他端に連結されていることに限定されることなく、適宜の場所に連結しても良い。
【0020】
第1のローラ15は、シャフトを介して第3のフレーム13に回転自在に取り付けられている。
第2のローラ16は、シャフトを介して第4のフレーム14に回転自在に取り付けられている。
第1のローラ15と第2のローラ16とは、平行に設けられている。
【0021】
第3のフレーム13及び第4のフレーム14のそれぞれの両端には、キャスターが取り付けられている。
このため、自動車用台車10が、四方八方の水平方向に移動自在となる。
【0022】
ラチェット機構のアクチュエータは、公知の機構であり、第1のローラ15と第2のローラ16とを、互いに接近及び離隔自在にさせるためのものである。
【0023】
ラチェット機構のアクチュエータは、主に、足で踏むためのフットペダル22を上端に備えたレバー23と、第1の爪24と、第2の爪25と、第2のフレーム12の上面に設けられたラック26と、を有するものである。
【0024】
レバー23は、第1のフレーム11の他端の上面であって、開口部20の両側に備えられた一対の三角片からなる取付部材30に、ピンを介して垂直方向に回転自在となるように、傾斜させた状態の下端が取り付けられている。
さらに、レバー23は、第1のフレーム11の他端の上面との間に、スプリング27を介して、取り付けられている。
【0025】
このため、レバー23は、スプリング27の弾性力を利用して、第1のフレーム11の上面に対して上下動自在に設けられている。
したがって、フットペダル22を足で踏むことにより、レバー23を第1のフレーム11の上面に対して上下動させることができる。
なお、レバー23及び開口部20は、第1のフレーム11の他端に設けられることに限定されるものではなく、適宜の場所に設けても良い。
【0026】
第1の爪24と第2の爪25とは、ラック26に噛み合わせるためのものである。
第1の爪24は、ラック26と噛み合うことにより、第2のフレーム12を第1のフレーム11側に繰り出すためのものである。
【0027】
第2の爪25は、ラック26と噛み合うことにより、第2のフレーム12を逆行させないように、第1のフレーム11と第2のフレーム12との位置を固定するためのものである。
第1の爪24と第2の爪25とは、一定の間隔を置いて、レバー23の下端に下向きに、バネの弾性力を利用しつつ、ピンを介して鉛直方向に回転自在に取り付けられている。
【0028】
レバー23の下端の上面であり、第1の爪24と第2の爪25との上方向には、爪用レバー28が板バネ29を介して取り付けられている。
第1の爪24と第2の爪25とのそれぞれの上端の一部が、板バネ29に当てられると共に、別のバネの弾性力を利用して、第1の爪24と第2の爪25とのそれぞれの下端が、上下自在となるように設けられている。
【0029】
したがって、爪用レバー28を上側に倒した場合には、板バネ29の下側が少し浮き上がり、それに伴って第1の爪24と第2の爪25のそれぞれの上端の一部が上がって、第1の爪24と第2の爪25とのそれぞれの下端が下がって、ラック26と噛み合う状態となる。
【0030】
さらに、爪用レバー28を下側に倒した場合には、爪用レバー28によって、板バネ29の下側の浮き上がりが押さえられ、それに伴って第1の爪24と第2の爪25のそれぞれの上端の一部が下がって、第1の爪24と第2の爪25とのそれぞれの下端が上がって、ラック26から離れる状態となる。
【0031】
このため、レバー23の上下動を反復させることにより、第1の爪24が、第1のフレーム11の開口部20を介して、第2のフレーム12のラック26と噛み合って、第1のフレーム11内に第2のフレーム12を所定の距離だけ移動させ、同時に、第2の爪25が、第1のフレーム11の開口部20を介して、第2のフレーム12のラック26と噛み合って、第1のフレーム11と第2のフレーム12との位置を固定することができる。
したがって、第1のローラ15と第2のローラ16とを互いに接近させることができる。
【0032】
なお、第1のローラ15と第2のローラ16とを、互いに接近及び離隔自在にさせるためのアクチュエータは、上記のラチェット機構に限定されない。
例えば、主に、レバーと、スプリングを介したレバーの上下動によって作動するポンプと、ポンプによって作動するシリンダと、からなる公知の油圧機構(図示しない)としても良い。
その場合、レバーと、レバーとスプリングを介して設けられたポンプとは、第1のフレーム11の他端、一端、又は適宜の場所に上下動可能となるように設ける。
【0033】
シリンダは、ポンプに接続されると共に、第1のローラ15と第2のローラ16とが互いに接近及び離隔自在となる適宜の場所に設ける。
例えば、第3のフレーム13と第4のフレーム14との間に垂直方向に連結するか、又は第1のフレーム11と第2のフレーム12との間に連結するかであり、これらの連結に限定されない。
【0034】
このため、レバーの上下動を反復させることにより、ポンプとシリンダとを作動させ、第1のフレーム11内に第2のフレーム12を所定の距離だけ移動させ、第1のフレーム11と第2のフレーム12との位置を固定することができる。
したがって、第1のローラ15と第2のローラ16とを互いに接近させることができる。
【0035】
第1の歯車17は、第2のローラ16の一端に、第2のローラ16の回転と同期できるように回転自在に設けられている。
第2の歯車18は、中心に回転軸19の一端が装着されたものであり、第1の歯車17と噛み合うように回転自在に設けられている。
回転軸19は、第4のフレーム14の一端に固定された軸受ユニット31を介して、回転自在に設けられている。
【0036】
回転軸19を回転させることによって、第2の歯車18を回転させ、第2の歯車18と噛み合う第1第の歯車17を回転させ、第2のローラ16を回転させることができる。
回転軸19は、時計回り又は反時計回りのいずれの方向にも回転させることができるため、その結果、第2のローラ16を、時計回り又は反時計回りのいずれの方向にも回転させることができる。
【0037】
なお、回転軸19の他端側の円周面は、回転操作をし易くするため、角形状に施されている。
また、回転操作用の道具として、先端にソケット33が備えられた棒状ハンドル32を利用し、ソケット33を回転軸19の他端に装着し、棒状ハンドル32を回転させることにより、回転軸19を容易に回転させることが望ましい。
【0038】
なお、回転軸19の他端側の円周面は、角形状に施すことに限定されない。
また、回転操作用の道具は、先端にソケット33を備えた棒状ハンドル32に限定されないほか、直接、回転軸19を回転させるようにしても良い。
【0039】
なお、第1の歯車17を、第1のローラ15の一端に、第1のローラ15の回転と同期できるように回転自在に取り付け、第1の歯車17と噛み合うように第2の歯車18を回転自在に設け、第2の歯車18に装着した回転軸19を回転自在に設けたものとしても良い。
【0040】
次に、本発明の自動車用台車10の作用を説明する(図1~5参照)。
【0041】
まず、爪用レバー28を下側に倒し、フットペダル22を足で一度踏み、レバー23を上下動させ、ラック26との噛み合いから第1の爪24と第2の爪25とを離す。
すると、第1のローラ15と第2のローラ16とを互いに離隔させることができ、任意の間隔に広げることができる。
【0042】
そして、第1のローラ15と第2のローラ16とを互いに離隔させて広げて、自動車に取り付けられたホイールXとタイヤYとのタイヤYを挟む。
このとき、第1のフレーム11と第2のフレーム12とが、タイヤYの外側側面に平行となるように、自動車用台車10を配置する。
【0043】
そして、爪用レバー28を上側に倒し、第1の爪24と第2の爪25とをラック26に噛み合わせ、フットペダル22を足で踏み、レバー23を上下動させる。
【0044】
そして、レバー23の上下動を反復させることにより、第1の爪24が、第1のフレーム11の開口部20を介して第2のフレーム12のラック26と噛み合って、第2のフレーム12を第1のフレーム11側に繰り出し、第1のフレーム11内に第2のフレーム12を所定の距離だけ移動させる。
【0045】
同時に、第2の爪24が、第1のフレーム11の開口部20を介して第2のフレーム12のラック26と噛み合って、第1のフレーム11と第2のフレーム12との位置を固定する。
これにより、第2のローラ16が第1のローラ15側に移動し、第1のローラ15と第2のローラ16とが互いに接近することとなる。
【0046】
そして、第1のローラ15と第2のローラ16とが、タイヤYの下端部を間にして、両側から押し付け、タイヤYの下端部を押し上げ、所望の高さに、自動車に取り付けられたホイールXとタイヤYとをジャッキする。
【0047】
そして、レバー23の上下動を止め、自動車に取り付けられたホイールXとタイヤYとをジャッキしたまま、棒状ハンドル32の先端に備えられたソケット33を、回転軸19の他端に装着し、棒状ハンドル32を操作して回転させることにより、回転軸19を回転させる。
【0048】
そして、回転軸19を回転させることによって、回転軸19の一端に装着された第2の歯車18を回転させ、第2の歯車18と噛み合う第1の歯車17を回転させ、第2のローラ16を回転させる。
そして、第2のローラ16を回転させることにより、ジャッキされた、自動車に取り付けられたホイールXとタイヤYとを、第2のローラ16の回転方向と逆方向に回転させる。
【0049】
このとき、第1のローラ15は、押し付けるタイヤYが回転することにより、第2のローラ16の回転方向と同じ方向に回転させられることとなる。
そして、ホイールXの斜めになっていた商品名「ABC」35の見映えが良くなるまで、タイヤYを回転させ、ホイールXの商品名「ABC」35を水平にして、位置を合わせる。
【0050】
そして、回転軸19の回転を止め、棒状ハンドル32の先端に備えられたソケット33を、回転軸19の他端から外す。
そして、自動車に取り付けられたホイールXとタイヤYの4輪のそれぞれに対して、上記の作業を完了させる。
そして、そのまま移動させたい場合は、そのまま自動車を手で押して、所望の移動先に移動させる。
【0051】
なお、自動車を所望の移動先に移動させた後、ホイールXの斜めになっていた商品名「ABC」35の見映えが良くなるまで、タイヤYを回転させ、ホイールXの商品名「ABC」35を水平にして、位置を合わせても良い。
【0052】
また、本発明の技術的範囲は、上記の実施の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0053】
10 自動車用台車
11 第1のフレーム
12 第2のフレーム
13 第3のフレーム
14 第4のフレーム
15 第1のローラ
16 第2のローラ
17 第1の歯車
18 第2の歯車
19 回転軸
20 開口部
21 キャスター
22 フットペダル
23 レバー
24 第1の爪
25 第2の爪
26 ラック
27 スプリング
28 爪用レバー
29 板バネ
30 取付部材
31 軸受ユニット
32 棒状ハンドル
33 ソケット
34 取っ手
35 商品名
X ホイール
Y タイヤ
【要約】
【課題】タイヤを任意に回転させて、タイヤやホイールの商品名を、最適な位置に合わせることができる自動車用台車を提供すること。
【解決手段】自動車に取り付けられたホイールXとタイヤYとを、互いに接近させた第1のローラ15と第2のローラ16とによってジャッキし、そのまま自動車を移動させることができる自動車用台車10であって、第2のローラ16の一端に第1の歯車17が設けられ、第1の歯車17と噛み合う第2の歯車18を備えた回転軸19が設けられたもの。
【選択図】図5
図1
図2
図3
図4
図5