(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-09
(45)【発行日】2024-04-17
(54)【発明の名称】タッチセンサパネル及び光学積層体
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20240410BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20240410BHJP
【FI】
G06F3/041 400
G06F3/044 124
(21)【出願番号】P 2019081086
(22)【出願日】2019-04-22
【審査請求日】2022-03-16
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503454506
【氏名又は名称】東友ファインケム株式会社
【氏名又は名称原語表記】DONGWOO FINE-CHEM CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】132, YAKCHON-RO, IKSAN-SI, JEOLLABUK-DO 54631, REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宋 ▲ビョン▼▲フン▼
(72)【発明者】
【氏名】鄭 源奎
【審査官】岩橋 龍太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-116543(JP,A)
【文献】特開2019-035801(JP,A)
【文献】国際公開第2017/138611(WO,A1)
【文献】特開2018-185811(JP,A)
【文献】特開2018-097869(JP,A)
【文献】国際公開第2015/072321(WO,A1)
【文献】特開2017-111567(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース層、タッチセンサ層、及び第1絶縁層をこの順に有するタッチセンサパネルであって、
前記タッチセンサ層は、パターン導電層を有し、
前記第1絶縁層は、無機粒子を含まず、かつ、前記パターン導電層の前記ベース層側とは反対側の表面に直接接するように設けられ、
前記ベース層の温度40℃、湿度90%RHにおける透湿度Pcは、900g/(m
2・24hr)以下であり、
前記第1絶縁層の温度40℃、湿度90%RHにおける透湿度Paは、900g/(m
2・24hr)以下であり、
前記ベース層の厚みをDc[μm]とし、前記ベース層のタフネスをTc[mJ/mm
3]とし、前記第1絶縁層の厚みをDa[μm]とするとき、下記式(1):
Tc/(Dc+Da)>0.03 (1)
[ここで、前記タフネスTcは、前記ベース層の長辺110mm×短辺10mmの長方形の小片を、引張試験機の上下つかみ具で、つかみ具の間隔が5cmとなるように長辺方向両端を挟み、温度23℃、相対湿度55%の環境下、引張速度4mm/分で前記小片を長辺方向に引張ったときの、初期から破断までの間における応力-ひずみ曲線の積分値として算出する。]
の関係を満た
し、
前記タフネスTcは、200mJ/mm
3
以下である、タッチセンサパネル。
【請求項2】
前記第1絶縁層は、前記タッチセンサ層の前記ベース層側とは反対側の表面を被覆し、かつ、前記パターン導電層の面方向に離間する導電部分の間の空間内にも設けられている、請求項1に記載のタッチセンサパネル。
【請求項3】
前記パターン導電層は、前記ベース層側から順に第1導電層及び第2導電層を有し、
前記タッチセンサ層は、さらに、前記第1導電層と前記第2導電層との間に第2絶縁層を有する、請求項1又は2に記載のタッチセンサパネル。
【請求項4】
前記ベース層は、前記タッチセンサ層側から順に、支持層、第1貼合層及び基材層を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載のタッチセンサパネル。
【請求項5】
前記支持層は、分離層を有する、請求項4に記載のタッチセンサパネル。
【請求項6】
前記支持層は、さらに、前記分離層の前記タッチセンサ層側に保護層を有する、請求項5に記載のタッチセンサパネル。
【請求項7】
前記支持層は、さらに、屈折率調整層を有する、請求項5又は6に記載のタッチセンサパネル。
【請求項8】
前面板、円偏光板、及び、請求項1~7のいずれか1項に記載のタッチセンサパネルを有する、光学積層体。
【請求項9】
前記前面板、第2貼合層、前記円偏光板、第3貼合層、及び前記タッチセンサパネルをこの順に有する、請求項8に記載の光学積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチセンサパネル、及び、タッチセンサパネルを備えた光学積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
タッチセンサパネルは、液晶表示装置や有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置等の画像表示装置に組み込まれて用いられることが知られている(例えば、特許文献1等)。タッチセンサパネルが組み込まれた画像表示装置では、ユーザが表示画面に表示される入力ボタンやアイコン等の画像を操作して情報を入力できる。このような画像表示装置は、スマートフォン、携帯ゲーム機器、オーディオプレーヤー、タブレット端末、カーナビゲーション装置等の小型携帯端末にも用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】韓国公開特許第10-2015-0060536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画像表示装置は近年、その高い汎用性のために多様な環境下で使用される。そのため、画像表示装置や画像表示装置に組み込まれる各種部品には、例えば、高温高湿等の過酷な環境における耐久性を有することが求められている。
【0005】
本発明は、高温高湿環境下に曝された場合であっても、駆動不良の発生を抑制することができるタッチセンサパネル及びそれを備えた光学積層体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下のタッチセンサパネル及び光学積層体を提供する。
〔1〕 ベース層、タッチセンサ層、及び第1絶縁層をこの順に有するタッチセンサパネルであって、
前記タッチセンサ層は、パターン導電層を有し、
前記ベース層の温度40℃、湿度90%RHにおける透湿度Pcは、900g/(m2・24hr)以下であり、
前記第1絶縁層の温度40℃、湿度90%RHにおける透湿度Paは、900g/(m2・24hr)以下である、タッチセンサパネル。
〔2〕 前記ベース層の厚みをDc[μm]とし、前記ベース層のタフネスをTc[mJ/mm3]とし、前記第1絶縁層の厚みをDa[μm]とするとき、下記式(1):
Tc/(Dc+Da)>0.03 (1)
の関係を満たす、〔1〕に記載のタッチセンサパネル。
〔3〕 前記パターン導電層は、前記支持層側から順に第1導電層及び第2導電層を有し、
前記タッチセンサ層は、さらに、前記第1導電層と前記第2導電層との間に第2絶縁層を有する、〔1〕又は〔2〕に記載のタッチセンサパネル。
〔4〕 前記ベース層は、前記タッチセンサ層側から順に、第1貼合層及び基材層を有する、〔1〕~〔3〕のいずれかに記載のタッチセンサパネル。
〔5〕 前記支持層は、分離層を有する、〔4〕に記載のタッチセンサパネル。
〔6〕 前記支持層は、さらに、前記分離層の前記タッチセンサ層側に保護層を有する、〔5〕に記載のタッチセンサパネル。
〔7〕 前記支持層は、さらに、屈折率調整層を有する、〔5〕又は〔6〕に記載のタッチセンサパネル。
〔8〕 前面板、円偏光板、及び、〔1〕~〔7〕のいずれかに記載のタッチセンサパネルを有する、光学積層体。
〔9〕 前記前面板、第2貼合層、前記円偏光板、第3貼合層、及び前記タッチセンサパネルをこの順に有する、〔8〕に記載の光学積層体。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、高温高湿環境下に曝された場合であっても、駆動不良の発生を抑制することができるタッチセンサパネル及びそれを備えた光学積層体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明のタッチセンサパネルの一例を模式的に示す概略断面図である。
【
図2】本発明のタッチセンサパネルの他の一例を模式的に示す概略断面図である。
【
図3】本発明のタッチセンサパネルの他の一例を模式的に示す概略の部分平面図である。
【
図4】本発明のタッチセンサパネルの他の一例を模式的に示す概略断面図である。
【
図5】本発明のタッチセンサパネルの他の一例を模式的に示す概略断面図である。
【
図6】本発明の光学積層体の一例を模式的に示す概略断面図である。
【
図7】本発明の光学積層体の他の一例を模式的に示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下のすべての図面においては、各構成要素を理解しやすくするために縮尺を適宜調整して示しており、図面に示される各構成要素の縮尺と実際の構成要素の縮尺とは必ずしも一致しない。
【0010】
<タッチセンサパネル>
図1は、本実施形態のタッチセンサパネル(以下、「TSパネル」ということがある。)1の一例を模式的に示す概略断面図である。TSパネル1は、タッチされた位置を検出可能なセンサであれば、検出方式は限定されることはなく、抵抗膜方式、静電容量結合方式等のTSパネルが例示される。
【0011】
図1に示すTSパネル1は、ベース層30、タッチセンサ層(以下、「TS層」ということがある。)20、及び第1絶縁層11をこの順に有する。ベース層30は、
図1に示すように、TS層20側から順に、支持層21、第1貼合層35、及び基材層31を有する。ベース層30上には、例えば
図1に示すように、ベース層30の表面上に直接、TS層20のパターン導電層26を設けることができる。基材層31と第1貼合層35とは通常、直接接するように設けられる。第1貼合層35と支持層21とは通常、直接接するように設けられる。
【0012】
TS層20は、TSパネル1の電極や配線となる導電層を少なくとも含むものであり、この導電層は、パターン状に形成されたパターン導電層である。
図1に示すTSパネル1において、TS層20はパターン導電層26である。後述する
図2に示すように、TSパネルがその積層方向に導電層を2層以上有する場合、TS層20は、これらすべての導電層を含み、積層方向に離間して配置された導電層の間に存在する絶縁層や、これら導電層の間を電気的に接続するビア部も含む。導電層に含まれる個々の導電部分(積層方向に直交する方向(以下、「面方向」ということがある。)に離間する導電部分)の間の空間内の絶縁層のうち、積層方向に離間して配置された導電層の間に存在する絶縁層との境界が区別できないように一体的に設けられている部分については、TS層20に含まれる。一方、面方向に離間する導電部分の間の空間内の絶縁層のうち、ベース層30又は第1絶縁層11との境界を区別できないように一体的に設けられている部分については、ベース層30又は第1絶縁層11に含まれる。
【0013】
第1絶縁層11は、通常、TS層20のベース層30側とは反対側の表面を少なくとも被覆するように設けられる。第1絶縁層11は、TS層20の積層方向に沿う面である側面を被覆していてもよい。第1絶縁層11のTS層20(
図1では、パターン導電層26)側とは反対側の表面は、パターン導電層26の凹凸形状に追従する形状を有するのではなく、平坦に形成することができる。第1絶縁層11は、例えば
図1に示すように、パターン導電層26の面方向に離間する導電部分の間の空間内にも設けることができる。このように、上記空間内に設けられる絶縁層のうち、パターン導電層26のベース層30側とは反対側の表面を被覆する第1絶縁層11との境界を区別できないように一体的に設けられている部分については、第1絶縁層11に含まれる。一方、パターン導電層26の面方向に離間する導電部分の間の空間内に設けられる絶縁層のうち、パターン導電層26のベース層30側とは反対側の表面を被覆する第1絶縁層11との境界と区別され、一体的に設けられていない部分については、第1絶縁層11に含まれない。上記したように、導電層が積層方向に互いに離間して配置される複数の層を有する場合(例えば、後述する
図2に示すTSパネルの場合)、第1絶縁層11は、TS層20のベース層30側とは少なくとも反対側の表面を被覆するように設けられる層であり、より詳細には、ベース層30から最も遠い位置にある導電層のベース層30側とは反対側の表面を少なくとも被覆するように設けられる層である。
【0014】
ベース層30の温度40℃、湿度90%RHにおける透湿度Pcは、900g/(m2・24hr)以下であり、第1絶縁層11の温度40℃、湿度90%RHにおける透湿度Paは、900g/(m2・24hr)以下である。上記透湿度Pc及びPaは、実施例に記載の方法によって測定することができる。
【0015】
ベース層30の透湿度Pcは、500g/(m2・24hr)以下であることが好ましく、300g/(m2・24hr)以下であることがより好ましく、200g/(m2・24hr)以下であることがさらに好ましく、100g/(m2・24hr)以下であってもよく、50g/(m2・24hr)以下であってもよい。ベース層30の透湿度Pcは、0g/(m2・24hr)超であってもよい。
【0016】
第1絶縁層11の透湿度Paは、800g/(m2・24hr)以下であることが好ましく、700g/(m2・24hr)以下であることがより好ましく、600g/(m2・24hr)以下であることがさらに好ましく、500g/(m2・24hr)以下であってもよい。第1絶縁層11の透湿度Paは、100g/(m2・24hr)以上であってもよい。
【0017】
TS層20が備えるパターン導電層26は、金属単体や金属酸化物等を含む材料で形成されることが多く、水分による影響を受けやすい。本実施形態のTSパネル1は、ベース層30の透湿度Pc及び第1絶縁層11の透湿度Paが上記の範囲内にあるため、TSパネル1が高温高湿環境下に曝された場合に、パターン導電層26が受ける水分の影響を低減することができる。これにより、タッチ位置が正確に認識されない等の駆動不良の発生を抑制することができる。
【0018】
TSパネル1のパターン導電層26は通常、視認されにくくなるように形成されている。TSパネル1が水分を含むと屈折率が変化し、パターン導電層26が視認されることがある。本実施形態のTSパネル1は、ベース層30の透湿度Pc及び第1絶縁層11の透湿度Paが上記の範囲内にある。そのため、TSパネル1が高温高湿環境下に曝された場合に、上記した駆動不良の発生を抑制できることに加えて、TSパネル1に侵入する水分を低減して、屈折率が変化することを抑制することができる。これにより、パターン導電層26が視認される等の視認性の低下を抑制することができる。
【0019】
ベース層30の透湿度Pcと第1絶縁層11の透湿度Paとの合計Pc+Paは、900g/(m2・24hr)以下であることが好ましく、800g/(m2・24hr)以下であることがより好ましく、650g/(m2・24hr)以下であることがさらに好ましい。上記合計Pc+Paの値が小さいほど、上記した駆動不良の発生を抑制しやすく、視認性の低下を抑制しやすい。ベース層30の透湿度Pcと第1絶縁層11の透湿度Paとの合計Pc+Paは、100g/(m2・24hr)以上であってもよい。
【0020】
TSパネル1は、ベース層30の厚みをDc[μm]とし、ベース層30のタフネスをTc[mJ/mm3]とし、第1絶縁層11の厚みをDa[μm]とするとき、下記式(1):
Tc/(Dc+Da)>0.03 (1)
の関係を満たすことが好ましい。
【0021】
上記タフネスは、実施例に記載の方法によって測定することができる。
【0022】
第1絶縁層11の厚みDaは、第1絶縁層11の最大の厚みをいう。したがって、パターン導電層26の面方向に離間した導電部分の間の空間にも第1絶縁層11が設けられている場合、厚みDaは、
図1に示すように、第1絶縁層11のベース層30とは反対側の表面から、面方向に離間した導電部分の間の空間内に位置する第1絶縁層11のベース層30側の表面(
図1では、パターン導電層26のベース層30側の表面)までの距離である。
【0023】
ベース層30の厚みDcは、ベース層30の最大の厚みをいう。したがって、ベース層30が基材層31、第1貼合層35、及び支持層21からなり、パターン導電層26の面方向に離間する導電部分の間の空間内の絶縁層と、ベース層30の最もTS層20側の層との間に境界が存在しており、両者が一体的に形成されていない場合、厚みDcは、
図1に示すように基材層31、第1貼合層35、及び支持層21の合計厚みである。ベース層30の最もTS層20側の層が、パターン導電層26の面方向に離間した導電部分の間の空間に入り込んでいる場合は、厚みDcは、ベース層30のTS層20とは反対側の表面から、面方向に離間した導電部分の間の空間に位置するベース層30の第1絶縁層11側の表面までの距離である。
【0024】
上記式(1)のTc/(Dc+Da)(左辺)は、0.04以上であることが好ましく、0.05以上であることがより好ましく、0.07以上であることがさらに好ましく、0.1以上であってもよく、0.12以上であってもよく、0.15以上であってもよい。上記式(1)のTc/(Dc+Da)(左辺)は、1以下であることが好ましく、0.8以下であってもよく、0.5以下であってもよい。
【0025】
上記式(1)の関係を満たすTSパネル1は、良好な屈曲性を有することができる。TSパネル1は、画像表示装置に組み込まれて用いられることがあるが、TSパネル1が屈曲性を有することにより、折曲げや巻回し等が可能な画像表示装置(フレキシブルディスプレイ)に適用することができる。
【0026】
ベース層30の厚みDcは、例えば、2μm以上とすることができ、10μm以上であってもよく、20μm以上であってもよく、通常50μm以下であり、40μm以下であってもよく、30μm以下であってもよい。ベース層30の厚みDcが小さいほど、TSパネル1の屈曲性が向上しやすく、ベース層30の厚みDcが大きいほど、ベース層30の透湿度Pcを小さくすることができる。
【0027】
ベース層30のタフネスTcは、0.1mJ/mm3以上とすることができ、0.5mJ/mm3以上であってもよく、1mJ/mm3以上であってもよく、通常200mJ/mm3以下であり、100mJ/mm3以下であってもよい。ベース層30のタフネスTcが大きくなるほど、TSパネル1の屈曲性が向上しやすい。
【0028】
第1絶縁層11の厚みDaは、例えば0.5μm以上とすることができ、1μm以上であることが好ましく、1.5μm以上であることがより好ましく、2μm以上であってもよく、通常20μm以下であり、10μm以下であることが好ましい。第1絶縁層11の厚みDaが小さいほど、TSパネル1の屈曲性が向上しやすく、第1絶縁層11の厚みDaが大きいほど、第1絶縁層11の透湿度Paを小さくすることができる。
【0029】
ベース層30の厚みDcと第1絶縁層11の厚みDaとの和は、10μm以上であることが好ましく、15μm以上であることがより好ましく、20μm以上であってもよく、通常100μm以下であり、80μm以下であってもよく、60μm以下であってもよく、50μm以下であってもよい。ベース層30の厚みDcは、第1絶縁層11の厚みDaよりも大きいことが好ましい。
【0030】
(タッチセンサパネルの用途)
TSパネル1は、液晶表示装置や有機EL表示装置等の画像表示装置に組み込まれて、TSパネル付き画像表示装置として用いることができる。TSパネル1が屈曲性に優れる場合、折曲げや巻回し等が可能なフレキシブルディスプレイに適用することができる。TSパネル1が有機EL表示装置に組み込まれる場合、後述する光学積層体のように、前面板や円偏光板と積層して用いることができる。
【0031】
(タッチセンサパネルの変形例)
本実施形態のTSパネルは、
図2~
図5に示す構造を有していてもよい。
図2及び
図4~図
5は、本実施形態のTSパネルの他の一例を模式的に示す概略断面図であり、
図3は、本実施形態のTSパネルの他の一例を模式的に示す概略の部分平面図である。
【0032】
図2に示すTSパネル2は、ベース層30、TS層20、及び第1絶縁層11をこの順に有し、ベース層30は、
図1に示すTSパネル1のベース層30と同じ層構造を有する。TSパネル2のTS層20に含まれるパターン導電層は、ベース層30側から順に積層方向に第1導電層27及び第2導電層28を有し、第1導電層27はベース層30上に直接設けられている。TS層20は、さらに、第1導電層27と第2導電層28との間に第2絶縁層29を有し、第2絶縁層29に設けられた開口において第1導電層27と第2導電層28とを電気的に接続するためのビア部を有する。第2絶縁層29は、第1導電層27のベース層30とは反対側の表面を少なくとも覆うように設けられ、第2導電層28は、第2絶縁層29の第1導電層27とは反対側の表面に直接設けられる。第2絶縁層29は、第1導電層27の積層方向に沿う面である側面を被覆していてもよい。第1絶縁層11は、TS層20の第2導電層28の支持層21とは反対側の表面を少なくとも被覆するように設けられている。第1絶縁層11は、第2導電層28の積層方向に沿う面である側面を被覆していてもよい。
【0033】
図2に示すTSパネル2では、第2絶縁層29が第1導電層27の面方向に離間する導電部分の間の空間にも設けられている。そのため、第2絶縁層29には、第1導電層27の面方向に離間する導電部分の間の空間に存在する絶縁層も含まれる。また、
図2に示すTSパネル2では、第1絶縁層11が第2導電層28の面方向に離間する導電部分の空間にも設けられている。そのため、第1絶縁層11には、第2導電層28の面方向に離間する導電部分の空間に存在する絶縁層も含まれる。
【0034】
第2絶縁層29の第1導電層27とは反対側の表面は、第1導電層27の凹凸形状に追従する形状を有するのではなく、
図2に示すように平坦に形成することができる。第1絶縁層11のTS層20とは反対側の表面も、第2導電層28の凹凸形状に追従する形状を有するのではなく、平坦に形成することができる。
【0035】
第1導電層27は、例えばTS層20のタッチ電極である。第2導電層28は、例えばブリッジ配線の一部であり、ブリッジ配線は、第2絶縁層29に設けられた開口においてビア部を有し、このビア部を介して第1導電層27をなすタッチ電極に電気的に接続される。TSパネル2は、
図2に示すように、センサ領域Se及び配線領域Trを有することができる。センサ領域Seは、通常表示領域に設けられてタッチ電極が配置される領域であり、タッチ位置を検知するセンサとして機能する領域である。配線領域Trは、通常表示領域の周囲に設けられる領域であって、外部回路や駆動回路と接続するための接続配線25が設けられる領域である。配線領域Trでは、第1導電層27上に接続配線25が設けられ、第2絶縁層29は、接続配線25を覆うように設けることができる。TSパネル2は、外部と電気的に接続するための接続端子が設けられる接続領域(図示せず)を有していてもよい。
【0036】
図2に示すTSパネル2は、例えば
図3に示す部分平面図のような構造を有することができる。第1導電層27は、例えば
図3に示すように、
図3中、斜め方向に交互に(斜め格子状に)配置された多角形状の単位パターン27a及び27bと、単位パターン27aどうしを
図3中の横方向に沿って連結する連結部27cとを含むことができる。第2導電層28は、単位パターン27bどうしを
図3中の縦方向に沿って連結する連結部28cを含むことができる。単位パターン27aと単位パターン27bとは、
図3に白地(斜線を付していない部分)で示すように、距離dの間隔を置いて配置されており、電気的にも空間的にも離隔している。
【0037】
TSパネル2における第1絶縁層11の厚みDaは、上記したように第1絶縁層11の最大の厚みである。
図2に示すTSパネル2では、第1絶縁層11が第2導電層28の面方向に離間する導電部分の間の空間にも設けられているため、
図2に示すように、第1絶縁層11のベース層30とは反対側の表面から、第2導電層28の面方向に離間した導電部分の間の空間内に位置する第1絶縁層11のベース層30側の表面(
図2では、第2導電層28のベース層30側の表面)までの距離である。ベース層30の厚みDcは、
図1に示すTSパネル1と同じである。
【0038】
図4に示すTSパネル3は、
図1に示すTSパネル1において支持層21が、基材層31側から順に分離層22、保護層23、及び屈折率調整層24を有する場合を示したものである。
図5に示すTSパネル4は、
図2に示すTSパネル2において支持層21が、基材層31側から順に分離層22、保護層23、及び屈折率調整層24を有する場合を示したものである。分離層22は、ガラス等のキャリア基板上に形成されて、分離層22上に形成されたパターン導電層26や、第1導電層27、第2絶縁層29、第2導電層28、第1絶縁層11等を分離層22とともに、キャリア基板から分離するための層である。屈折率調整層24は、屈折率を調整するための層である。
【0039】
TSパネル3,4は、支持層21が分離層22、保護層23、及び屈折率調整層24のすべてを備えている場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。TSパネルの支持層21は、これらのうちのいずれか1層を備えるものであってもよく、2層を備えるものであってもよい。支持層21は、少なくとも分離層22を備えるものであることが好ましい。
【0040】
<光学積層体>
図6は、本実施形態の光学積層体50の一例を模式的に示す概略断面図である。
図7は、本実施形態の光学積層体51の他の一例を模式的に示す概略断面図である。光学積層体50,51は、前面板41、円偏光板43、上記したTSパネルを有することができる。
図6及び
図7に示す光学積層体50,51は、
図1に示すTSパネル1を備える場合を例に挙げているが、
図2、
図4又は
図5に示すTSパネル2~4のうちのいずれかを備えていてもよい。
【0041】
図6に示す光学積層体50と
図7に示す光学積層体51とは、TSパネル1の積層位置が異なっている。
図6に示す光学積層体50は、前面板41、第2貼合層42、円偏光板43、第3貼合層44、及びTSパネル1をこの順に有している。
図7に示す光学積層体51は、前面板41、第2貼合層42、TSパネル1、第3貼合層44、及び円偏光板43をこの順に有している。前面板41は、画像表示装置の最表面に配置されるものであることができる。
【0042】
光学積層体50,51は、
ベース層30の透湿度Pc及び第1絶縁層11の透湿度Paが上記した範囲内にあるTSパネル1を備えているため、光学積層体50が高温高湿環境下に曝された場合に、パターン導電層26が受ける水分の影響を低減することができる。これにより、タッチ位置が正確に認識されない等の駆動不良の発生を抑制することができ、光学積層体50,51が高温高湿環境下に曝されたときに吸収した水分によって発生する屈折率の変化を抑制することができる。特に、
図6に示すように、TSパネル1の視認側に円偏光板43が設けられている光学積層体50では、円偏光板43の存在により屈折率の変化が認識されやすい傾向にあるため、上記したTSパネル1を好適に用いることができる。
【0043】
光学積層体50,51は、例えばTSパネル1側に光学表示素子を積層して、有機EL表示装置等の画像表示装置に組み込んで用いることができる。光学積層体50,51が屈曲性に優れる場合、折曲げや巻回し等が可能なフレキシブルディスプレイに適用することができる。
【0044】
以下、TSパネル及び光学積層体の各層について説明する。
(ベース層)
ベース層30は、TS層20を支持するために用いられ、上記したように、例えば基材層31、第1貼合層35、及び支持層21を含むことができる。ベース層30の厚みDcやタフネスTcは、上記で説明したとおりであり、強度や取扱い性等の作業性、TSパネルの屈曲性等を考慮して設定すればよい。
【0045】
(基材層)
基材層31は、支持層21に第1貼合層35を介して設けられ、TS層20に強度等を付与するために設けられる。基材層31は、温度40℃、湿度90%RHにおける透湿度が900g/(m2・24hr)以下であることが好ましく、500g/(m2・24hr)以下であることがより好ましく、300g/(m2・24hr)以下であることがさらに好ましく、200g/(m2・24hr)以下であることがよりさらに好ましく、100g/(m2・24hr)以下であってもよく、50g/(m2・24hr)以下であってもよい。基材層31の上記透湿度は、0g/(m2・24hr)超であってもよい。基材層31を形成する材料は、上記の透湿度を満たす材料であることが好ましく、TSパネルをフレキシブルディスプレイに適用する場合には特に、樹脂材料から形成されるフィルムであることが好ましい。
【0046】
樹脂材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;ノルボルネン系ポリマー等の環状ポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸系樹脂;トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース及びセルロースアセテートプロピオネート等のセルロースエステル系樹脂;ポリビニルアルコール及びポリ酢酸ビニル等のビニルアルコール系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリスチレン系樹脂;ポリアリレート系樹脂;ポリスルホン系樹脂;ポリエーテルスルホン系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリエーテルケトン系樹脂;ポリフェニレンスルフィド系樹脂;ポリフェニレンオキシド系樹脂、及びこれらの混合物等を挙げることができる。これらの樹脂のうち、環状ポリオレフィン系樹脂及び(メタ)アクリル酸系樹脂のいずれか又はこれらの混合物を用いることが好ましい。なお、上記「(メタ)アクリル」とは、「アクリル及びメタクリルの少なくとも1種」を意味する。「(メタ)アクリレート」等の表記も同様である。
【0047】
基材層31が樹脂材料で形成されたフィルムである場合、基材層31には、任意の添加剤が添加されていてもよい。添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、可塑剤、離型剤、着色防止剤、難燃剤、核剤、帯電防止剤、顔料、及び着色剤等が挙げられる。
【0048】
基材層31は、樹脂材料を1種類又は2種以上を混合した単層であってもよく、2以上の層が直接接する多層構造を有していてもよい。多層構造を有する場合、各層をなす樹脂は互いに同じであってもよく異なっていてもよい。
【0049】
(支持層)
支持層21は、TS層20(パターン導電層(第1導電層及び第2導電層)、第2絶縁層)や第1絶縁層11を支持するための層である。支持層21は、分離層22、保護層23、屈折率調整層24、層間の密着性を向上するためのアンダーコート層、樹脂フィルム等を含むことができる。支持層21は、少なくとも分離層22を含むことが好ましい。支持層21は、通常、貼合層を有していない。
【0050】
支持層21の厚みは、特に限定されないが、通常0.1μm以上であり、1μm以上であってもよく、5μm以上であってもよく、通常20μm以下であり、10μm以下であることが好ましい。
【0051】
(分離層)
分離層22は、TS層20及び第1絶縁層11を製造する工程で用いる層であり、ガラス等のキャリア基板からの剥離のために用いられる層である。TS層20及び第1絶縁層11を製造する工程では、キャリア基板上に分離層22を形成し、この分離層22上にパターン導電層(第1導電層及び第2導電層)や第1絶縁層11を形成する。分離層22は、キャリア基板から、分離層22、パターン導電層(第1導電層及び第2導電層)、及び第1絶縁層11を剥離して分離するために用いられる。分離層22は、TS層20においてパターン導電層26や第1導電層27を被覆して保護する層として用いることができ、パターン導電層26や第1導電層27を電気的に絶縁させる機能を有していてもよい。
【0052】
分離層22は、キャリア基板に対して剥離可能な材料で形成されていればよく、無機物層又は有機物層とすることができる。無機物層を形成する材料としては、例えばシリコン酸化物が挙げられる。有機物層を形成する材料としては、樹脂材料が挙げられる。樹脂材料としては、例えば、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアミック酸系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリノルボルネン系樹脂、フェニルマレイミド共重合体系樹脂、ポリアゾベンゼン系樹脂、ポリフェニレンフタルアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリメチル(メタ)アクリレート系樹脂、ポリ(メタ)アリレート系樹脂、シンナメート系樹脂、クマリン系樹脂、フタルイミジン系樹脂、カルコン系樹脂、芳香族アセチレン系樹脂、及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0053】
分離層22の厚みは、特に限定されないが、0.01μm以上であってもよく、0.05μm以上であってもよく、1μm以下であってもよく、0.5μm以下であってもよい。
【0054】
分離層22は、その材料に応じて、塗布法、スパッタリング法、蒸着法等により、キャリア基板上に形成することができる。
【0055】
(保護層)
保護層23は、分離層22の第1絶縁層11側に設けることができ、分離層22に直接接するように設けることが好ましい。保護層23はパターニングされていてもよい。保護層23は、分離層22とともにパターン導電層26や第1導電層27を被覆して保護する層として用いることができる。保護層23は、パターン導電層26や第1導電層27を電気的に絶縁させる機能を有することができる。
【0056】
保護層23は、有機絶縁層及び無機絶縁層のうちの少なくとも一方を含むことができ、これらの層は、スピンコート法、スパッタリング法、蒸着法等によって形成することができる。これらの方法で形成された保護層23は、必要に応じてパターニング処理が行われてもよい。
【0057】
保護層23が有機絶縁層である場合、樹脂材料を用いて有機絶縁層を形成することができる。樹脂材料としては、例えば、ポリオール及びメラミン硬化剤を含む硬化性組成物から形成されたものを用いることができる。ポリオールとしては、ポリエチレングリコール誘導体、ポリエステルグリコール誘導体、ポリカプロラクトングリコール誘導体等が挙げられる。メラミン硬化剤としては、メトキシメチルメラミン誘導体、メチルメラミン誘導体、ブチルメラミン誘導体、イソブトキシメラミン誘導体、ブトキシメラミン誘導体等が挙げられる。
【0058】
保護層23は、有機・無機ハイブリッド硬化性組成物の硬化物の層であってもよい。この場合、上記した有機絶縁層を形成する材料に、無機物としてのシリカ系のナノ粒子、シリコン系のナノ粒子、ガラスナノ繊維等を混合したものを用いることができる。
【0059】
保護層23の厚みは、特に限定されないが、0.1μm以上であってもよく、0.5μm以上であってもよく、10μm以下であってもよく、5μm以下であってもよい。
【0060】
保護層23は、その材料に応じて、塗布法、スパッタリング法、蒸着法等により、分離層22上に形成することができる。
【0061】
(屈折率調整層)
屈折率調整層24は、TSパネルの屈折率を調整するための層であり、TSパネルに所定の屈折率を付与することができる。
【0062】
屈折率調整層24を形成するための材料は特に限定されないが、樹脂材料、顔料を含む樹脂材料、金属化合物であってもよい。樹脂材料としては、特に限定されず、熱硬化性樹脂や活性エネルギー線硬化性樹脂等の公知の材料を用いることができ、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂等を挙げることができる。樹脂材料に添加されて屈折率を調整するための顔料としては、例えば、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化錫、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化タンタル等が挙げられる。顔料の平均粒子径は、0.1μm以下であることが好ましい。金属化合物としては、例えば、酸化チタン、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化錫、酸化ケイ素、酸化ニオブ、酸化インジウム、酸窒化チタン、窒化チタン、酸窒化ケイ素、窒化ケイ素等の金属酸化物又は金属窒化物等が挙げられる。
【0063】
屈折率調整層24の厚みは、特に限定されないが、0.1μm以上であってもよく、1μm以上であってもよく、5μm以上であってもよく、また、20μm以下であってもよく、10μm以下であってもよい。
【0064】
屈折率調整層24は、その材料に応じて、塗布法、スパッタリング法、蒸着法等により、分離層22上や、保護層23が存在する場合には保護層23上に形成することができる。
【0065】
(樹脂フィルム)
支持層に用いることができる樹脂フィルムとしては、直線偏光層の片面又は両面に設けられる保護層の材料や、前面板をなす樹脂フィルムの材料と同じ材料を使用することができる。具体的には、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、環状ポリオレフィン系樹脂が好ましい。樹脂フィルムの厚みは、薄いことが好ましく、15μm以下であることができる。
【0066】
(第1貼合層)
第1貼合層35は、基材層31と支持層21とを貼合するための層である。第1貼合層35は、通常、基材層31及び支持層21に直接接するように設けられる。第1貼合層35は、接着剤組成物を用いて形成された接着剤層、又は、粘着剤組成物を用いて形成された粘着剤層である。第1貼合層35は接着剤層であることが好ましい。第1貼合層35は、低透湿性の材料から形成することが好ましい。
【0067】
第1貼合層35が接着剤層である場合、接着剤層を形成するために用いる接着剤組成物としては特に限定されず、例えば、水系接着剤や、活性エネルギー線硬化型接着剤等を挙げることができる。
【0068】
水系接着剤としては、例えばポリビニルアルコール系樹脂水溶液、水系二液型ウレタン系エマルジョン接着剤等を挙げることができる。活性エネルギー線硬化型接着剤としては、紫外線等の活性エネルギー線を照射することによって硬化する接着剤であり、例えば重合性化合物及び光重合性開始剤を含むもの、光反応性樹脂を含むもの、バインダー樹脂及び光反応性架橋剤を含むもの等を挙げることができる。上記重合性化合物としては、光硬化性エポキシ系モノマー、光硬化性(メタ)アクリル系モノマー、光硬化性ウレタン系モノマー等の光重合性モノマーや、これらモノマーに由来するオリゴマー等を挙げることができる。上記光重合開始剤としては、紫外線等の活性エネルギー線を照射して中性ラジカル、アニオンラジカル、カチオンラジカルといった活性種を発生する物質を含むものを挙げることができる。
【0069】
第1貼合層35が粘着剤層である場合、粘着剤層を形成するために用いる粘着剤組成物としては特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル系ポリマー、ウレタン系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ポリビニルエーテル系ポリマー、ゴム系ポリマー等のポリマーを主成分として含むものであればよい。本明細書において、主成分とは、粘着剤組成物の全固形分のうち50質量%以上を含む成分をいう。粘着剤組成物は、活性エネルギー線硬化型、熱硬化型であってもよい。
【0070】
(メタ)アクリル系ポリマーとしては、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルのような(メタ)アクリル酸エステルの1種又は2種以上をモノマーとする重合体又は共重合体が好適に用いられる。ベースポリマーには、極性モノマーを共重合させることが好ましい。極性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートのような、カルボキシル基、水酸基、アミド基、アミノ基、エポキシ基等を有するモノマーを挙げることができる。
【0071】
活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物とは、紫外線や電子線のような活性エネルギー線の照射を受けて硬化する性質を有しており、活性エネルギー線照射前においても粘着性を有してフィルム等の被着体に密着させることができ、活性エネルギー線の照射によって硬化して密着力の調整ができる性質を有する粘着剤組成物である。活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物は、紫外線硬化型であることが好ましい。活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物は、ベースポリマー、架橋剤に加えて、活性エネルギー線重合性化合物をさらに含有する。さらに必要に応じて、光重合開始剤や光増感剤等を含有させることもある。
【0072】
粘着剤組成物は、ポリマーに加えて溶剤;粘着付与剤、軟化剤、充填剤(金属粉やその他の無機粉末等)、酸化防止剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、着色剤、消泡剤、腐食防止剤、光重合開始剤等の添加剤を含むことができる。活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物を用いた場合は、形成された粘着剤層に、活性エネルギー線を照射することにより所望の硬化度を有する硬化物とすることができる。
【0073】
粘着剤層は、上記粘着剤組成物の有機溶剤希釈液を基材上に塗布し、乾燥させることにより形成することができる。
【0074】
第1貼合層35の厚みは特に限定されないが、第1貼合層35が接着剤層である場合、0.1μm以上であることが好ましく、0.5μm以上であってもよく、また10μm以下であることが好ましく、5μm以下であってもよい。第1貼合層35は接着剤層であることが好ましい。
【0075】
第1貼合層35が粘着剤層である場合、第1貼合層35の厚みは、2μm以上であることが好ましく、15μm以上であってもよく、20μm以上であってもよく、25μm以上であってもよく、通常200μm以下であり、100μm以下であってもよく、50μm以下であってもよい。
【0076】
(第1絶縁層)
第1絶縁層11は、TS層20のパターン導電層26側や第2導電層28側に設けられて、パターン導電層26や第2導電層28を電気的に絶縁させる機能を有する。第1絶縁層11は、上記したように、温度40℃、湿度90%RHにおける透湿度Paが900g/(m2・24hr)以下であるものである。
【0077】
パターン導電層26が単層構造又は互いに直接接する多層構造である場合、第1絶縁層11は、パターン導電層26の支持層21とは反対側の表面を被覆し、パターン導電層26の面方向に離間するパターン状に設けられた導電層の間の空間を埋めるように設けてもよい。パターン導電層が第1導電層27及び第2導電層28のように、積層方向に互いに離間して配置される複数の導電層からなる場合、第1絶縁層11は、支持層21から最も離れた位置にある導電層(例えば、第2導電層28)の、支持層21側とは反対側の表面を被覆するように設けられる。
【0078】
第1絶縁層11を形成するための材料は、パターン導電層26や第2導電層28を電気的に絶縁することができる材料であれば特に限定されず、無機絶縁物質や有機絶縁物質を用いることができる。無機絶縁物質としては、例えばシリコン酸化物等の無機粒子が挙げられる。有機絶縁物質としては、例えば(メタ)アクリル系樹脂、メラニン系樹脂等の熱硬化性樹脂又は活性エネルギー線硬化型樹脂;ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリオルガノシロキサン(POS)等のシリコーン系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリウレタン系樹脂;特開2016-14877号公報に開示の感光性樹脂組成物等を挙げることができる。第1絶縁層11を形成するための材料は、無機絶縁物質と有機絶縁物質を混合して用いてもよいし、それぞれを単独で用いてもよい。無機絶縁物質と有機絶縁物質とを混合して用いる場合、第1絶縁層11中の無機粒子の割合は、第1絶縁層の総重量の10重量%未満であることが好ましく、5重量%未満であることがより好ましく、1重量%未満であることがさらに好ましい。第1絶縁層11は、無機粒子を含まなくてもよい。このような範囲とすることで、反射率を小さくすることができる。
【0079】
第1絶縁層11の厚みDaは、上記で説明したとおりであり、パターン導電層26や第2導電層28の絶縁性や、第1絶縁層11の透湿性、TSパネルの屈曲性等を考慮して設定すればよい。
【0080】
第1絶縁層11は、その材料に応じて、塗布法、スパッタリング法、蒸着法等により、パターン導電層26や第2導電層28上に形成することができる。
【0081】
(タッチセンサ層)
TS層20は、上記したように、パターン導電層を有し、パターン導電層が積層方向に2層以上の導電層を有する場合、この導電層の間に存在する層(例えば、第2絶縁層29)を含む。
【0082】
(パターン導電層)
パターン導電層(第1導電層及び第2導電層である場合を含む)は、TSパネルにタッチされた位置を検出するための電極や配線であり、通常、パターン状に形成されている。パターン導電層は、
図1に示すように単層構造や複数の層が互いに直接接する多層構造であってもよいが、
図2に示すように2以上の導電層が積層方向に互いに離間して配置される積層構造を有していてもよい。
【0083】
パターン導電層は、例えば、円形;楕円形;四角形や六角形等の多角形等の形状のパターンが互いに独立して、面方向に配置されたものとすることができる。パターン導電層が上記した単層構造や多層構造である場合、その厚みは、0.01μm以上とすることができ、0.05μm以上であってもよく、0.1μm以上であってもよく、通常、5μm以下であり、1μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることがより好ましい。
【0084】
パターン導電層は、TSパネルとして光学積層体や画像表示装置に用いられた場合に視認されないように形成されることが好ましい。パターン導電層を形成する材料は、特に限定されないが、透明導電性物質であることが好ましいが、金属単体の金属材料であってもよい。
【0085】
パターン導電層を形成するための材料としては、例えば、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、インジウム亜鉛スズ酸化物(IZTO)、アルミニウム亜鉛酸化物(AZO)、ガリウム亜鉛酸化物(GZO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、インジウムスズ酸化物-銀-インジウムスズ酸化物(ITO-Ag-ITO)、インジウム亜鉛酸化物-銀-インジウム亜鉛酸化物(IZO-Ag-IZO)、インジウム亜鉛スズ酸化物-銀-インジウム亜鉛スズ酸化物(IZTO-Ag-IZTO)及びアルミニウム亜鉛酸化物-銀-アルミニウム亜鉛酸化物(AZO-Ag-AZO)からなる群より選択された金属酸化物類;金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)及びAPCからなる群より選択された金属類;金、銀、銅及び鉛からなる群より選択された金属のナノワイヤ;炭素ナノチューブ(CNT)及びグラフェン(graphene)からなる群より選択された炭素系物質類;及びポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)及びポリアニリン(PANI)からなる群より選択された導電性高分子物質類から選択された材料で形成されてもよい。これらは単独または2種以上を混合して使用可能であり、好ましくは、インジウムスズ酸化物が挙げられる。インジウムスズ酸化物は、結晶性又は非結晶性のいずれも使用可能である。
【0086】
パターン導電層は、その材料に応じて、塗布法、スパッタリング法、蒸着法等により、支持層21上や第2絶縁層29上に形成することができる。パターン状の導電層を形成するために、マスクを使用して導電層を形成してもよく、導電層を形成した後、フォトリソグラフィ法を利用して導電層をパターン状に形成してもよい。
【0087】
図2に示すように、パターン導電層が支持層21側に設けられる第1導電層27と、第1導電層27上に第2絶縁層29を介して設けられる第2導電層28とを有する積層構造を有する場合、第1導電層27も第2導電層28もパターン状に形成することができる。第1導電層27及び第2導電層28は、例えば、第1導電層27をタッチ電極とし、第2導電層28をブリッジ配線の一部とするように、パターン状に形成することができる。パターン導電層が第1導電層27及び第2導電層28を有する場合、第1導電層27と第2導電層28との間に位置する第2絶縁層29に空間を設け、この空間に第1導電層27と第2導電層28とを電気的に接続するためのビア部を設けることができる。第1導電層27、第2導電層28、及びビア部を形成するための材料としては、上記したパターン導電層を形成するための材料が挙げられる。第1導電層27、第2導電層28、及びビア部をパターン状に形成する方法は、上記したパターン導電層を形成するための方法が挙げられる。
【0088】
第1導電層27及び第2導電層28の厚みは、それぞれ独立して、0.01μm以上とすることができ、0.05μm以上であってもよく、0.1μm以上であってもよく、通常、5μm以下であり、1μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることがより好ましい。
【0089】
(接続配線)
接続配線25(
図2)は、外部回路や駆動回路と接続するための配線であり、通常表示領域の周囲に位置する第1導電層27上に設けられる。接続配線25は、単層構造であってもよく複数の層が互いに直接接する多層構造であってもよい。接続配線25の厚みは、0.01μm以上とすることができ、0.05μm以上であってもよく、0.1μm以上であってもよく、通常、5μm以下であり、1μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることがより好ましい。
【0090】
接続配線25を形成する材料は、特に限定されないが、上記パターン導電層で説明した透明導電性物質、金属単体や金属合金等の金属材料で形成することができる。
【0091】
(第2絶縁層)
第2絶縁層29は、パターン導電層をなす第1導電層27と第2導電層28との間に設けられ、第1導電層27と第2導電層28とを電気的に絶縁させる機能を有する。第2絶縁層29は、支持層21上に設けられた第1導電層27の支持層21とは反対側の表面を被覆し、面方向に離間する導電層の間の空間を埋めるように設けてもよい。第2絶縁層29の支持層21とは反対側には、第2導電層28が設けられる。第2絶縁層29には開口が設けられ、この開口にビア部を設けることにより、第1導電層27と第2導電層28とを電気的に接続することができる。
【0092】
第2絶縁層29を形成するための材料としては、第1絶縁層11を形成するための材料として例示したものが挙げられる。
【0093】
第2絶縁層29の厚みは、例えば0.1μm以上とすることができ、1μm以上であることが好ましく、1.5μm以上であることがより好ましく、2μm以上であってもよく、通常30μm以下であり、20μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましい。第2絶縁層29の厚みは、第2絶縁層29の最大の厚みをいう。
【0094】
(前面板)
前面板41は、画像表示装置の表示素子等を保護するための層として機能することができ、光を透過可能な板状体であり、板状体は通常、樹脂製であることが好ましい。前面板41は、画像表示装置の最表面に配置されるものであることができる。前面板41は、樹脂フィルム、又は、樹脂フィルムの少なくとも一方の面にハードコート層を設けて硬度をより向上させたハードコート層付き樹脂フィルムであることが好ましい。また、前面板41は、ブルーライトカット機能、視野角調整機能等を有するものであってもよい。
【0095】
前面板41をなす樹脂フィルムとしては、光を透過可能な樹脂フィルムであれば限定されない。例えば、トリアセチルセルロース、アセチルセルロースブチレート、エチレン-酢酸ビニル共重合体、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリ(メタ)アクリル、ポリイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリアミドイミド等の高分子で形成されたフィルムが挙げられる。これらの高分子は、単独で又は2種以上混合して用いることができる。画像表示装置がフレキシブルディスプレイである場合には、優れた可撓性を有し、高い強度を及び高い透明性を有するように構成可能な、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド等の高分子で形成された樹脂フィルムが好適に用いられる。
【0096】
前面板41をなすハードコート層付き樹脂フィルムは、樹脂フィルムの一方の面にハードコート層を有するものであってもよく、樹脂フィルムの両面にハードコート層を有するものであってもよい。樹脂フィルムの両面にハードコート層を有する場合、各ハードコート層の組成や厚みは、互いに同じであってもよく、互いに異なっていてもよい。ハードコート層付き樹脂フィルムは、ハードコート層を有していない樹脂フィルムに比較して、硬度や耐スクラッチ性を向上させることができる。
【0097】
ハードコート層付き樹脂フィルムのハードコート層は、例えば、紫外線硬化型樹脂の硬化層である。紫外線硬化型樹脂としては、例えば、単官能(メタ)アクリル系樹脂、多官能(メタ)アクリル系樹脂、デンドリマー構造を有する多官能(メタ)アクリル系樹脂等の(メタ)アクリル系樹脂;シリコーン系樹脂;ポリエステル系樹脂;ウレタン系樹脂;アミド系樹脂;エポキシ系樹脂等が挙げられる。ハードコート層は、強度を向上させるために、添加剤を含んでいてもよい。添加剤は限定されることはなく、無機系微粒子、有機系微粒子、又はこれらの混合物が挙げられる。
【0098】
(円偏光板)
円偏光板43は、直線偏光層及び位相差層を備えることができる。円偏光板43は、
図6に示される光学積層体50において、直線偏光層が第2貼合層42側となり、位相差層が第3貼合層44側となるように配置される。すなわち、視認側から順に、直線偏光層と位相差層とが配置される。円偏光板43は、光学積層体50を有する画像表示装置の表示素子側から光学積層体50を通って出射される光を円偏光に変換することができる。また、円偏光板43は、外光の反射光の出射を抑制することができるため、光学積層体50に反射防止フィルムとしての機能を付与することができる。
【0099】
(直線偏光層)
直線偏光層は、自然光等の非偏光な光線からある一方向の直線偏光を選択的に透過させる機能を有するものである。直線偏光層は、吸収異方性を有する二色性色素を吸着させた延伸フィルムや、重合性液晶化合物の硬化物及び二色性色素を含み、二色性色素が、重合性液晶化合物の硬化物中に分散し、配向している液晶層等が挙げられる。二色性色素は、分子の長軸方向における吸光度と短軸方向における吸光度とが異なる性質を有する色素をいう。
【0100】
(延伸フィルムを用いた直線偏光層)
吸収異方性を有する色素を吸着させた延伸フィルムは、通常、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸する工程、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、ヨウ素等の二色性色素で染色することにより、その二色性色素を吸着させる工程、及び二色性色素が吸着されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液で処理する工程を有する、及びホウ酸水溶液による処理後に水洗する工程を経て製造される。得られたフィルムをそのまま直線偏光層として用いてもよく、その片面又は両面に保護層を形成した直線偏光板として用いてもよい。こうして得られる直線偏光層の厚みは、好ましくは2μm~40μmである。
【0101】
ポリビニルアルコール系樹脂は、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化することによって得られる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニルとそれに共重合可能な他の単量体との共重合体が用いられる。酢酸ビニルに共重合可能な他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類、アンモニウム基を有する(メタ)アクリルアミド類等が挙げられる。
【0102】
ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、通常85~100モル%程度であり、好ましくは98モル%以上である。ポリビニルアルコール系樹脂は変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマールやポリビニルアセタールも使用することができる。ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、通常1,000~10,000程度であり、好ましくは1,500~5,000の範囲である。
【0103】
このようなポリビニルアルコール系樹脂を製膜したものが、直線偏光層の原反フィルムとして用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂を製膜する方法は、特に限定されるものでなく、公知の方法で製膜することができる。ポリビニルアルコール系原反フィルムの膜厚は、例えば、10μm~150μm程度とすることができる。
【0104】
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの一軸延伸は、二色性色素による染色の前、染色と同時、又は染色の後で行うことができる。一軸延伸を染色の後で行う場合、この一軸延伸は、ホウ酸処理の前に行ってもよいし、ホウ酸処理中に行ってもよい。また、これらの複数の段階で一軸延伸を行うことも可能である。一軸延伸にあたっては、周速の異なるロール間で一軸に延伸してもよいし、熱ロールを用いて一軸に延伸してもよい。また一軸延伸は、大気中で延伸を行う乾式延伸であってもよいし、溶剤を用い、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを膨潤させた状態で延伸を行う湿式延伸であってもよい。延伸倍率は、通常3~8倍程度である。
【0105】
延伸フィルムを直線偏光層とし、その片面又は両面に保護層を備える直線偏光板の厚みは、例えば1μm以上100μm以下であってよく、5μm以上であってもよく、7μm以上であってもよく、また、700μm以下であってもよく、50μm以下であってもよく、20μm以下であってもよく、10μm以下であってもよい。
【0106】
直線偏光層の片面又は両面に設けられる保護層の材料としては、特に限定されるものではないが、例えば、環状ポリオレフィン系樹脂、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロースのような樹脂からなる酢酸セルロース系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートのような樹脂からなるポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等、当分野において公知の樹脂を挙げることができる。保護層の厚みは、薄型化の観点から、通常300μm以下であり、200μm以下であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましく、また、通常5μm以上であり、20μm以上であることが好ましい。保護層は、フィルムあってもよく、フィルム状の保護層は、位相差を有していてもよい。保護層がフィルムである場合、直線偏光層と保護層とは、粘着剤層や接着剤層を介して積層することができる。粘着剤層や接着剤層は、上記した粘着剤組成物や接着剤組成物を用いて形成することができる。
【0107】
(液晶層を用いた直線偏光層)
液晶層を形成するために用いる重合性液晶化合物は、重合性反応基を有し、かつ、液晶性を示す化合物である。重合性反応基は、重合反応に関与する基であり、光重合性反応基であることが好ましい。光重合性反応基は、光重合開始剤から発生した活性ラジカルや酸等によって重合反応に関与し得る基をいう。光重合性官能基としては、ビニル基、ビニルオキシ基、1-クロロビニル基、イソプロペニル基、4-ビニルフェニル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、オキシラニル基、オキセタニル基等が挙げられる。中でも、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニルオキシ基、オキシラニル基及びオキセタニル基が好ましく、アクリロイルオキシ基がより好ましい。重合性液晶化合物の種類は特に限定されず、棒状液晶化合物、円盤状液晶化合物、及びこれらの混合物を用いることができる。重合性液晶化合物の液晶性は、サーモトロピック性液晶でもリオトロピック性液晶でもよく、相秩序構造としてはネマチック液晶でもスメクチック液晶でもよい。
【0108】
液晶層を用いた直線偏光層に用いられる二色性色素としては、300~700nmの範囲に吸収極大波長(λMAX)を有するものが好ましい。このような二色性色素としては、例えば、アクリジン色素、オキサジン色素、シアニン色素、ナフタレン色素、アゾ色素、及びアントラキノン色素等が挙げられるが、中でもアゾ色素が好ましい。アゾ色素としては、モノアゾ色素、ビスアゾ色素、トリスアゾ色素、テトラキスアゾ色素、及びスチルベンアゾ色素等が挙げられ、好ましくはビスアゾ色素、及びトリスアゾ色素である。二色性色素は単独でも、2種以上を組み合わせてもよいが、3種以上を組み合わせることが好ましい。特に、3種以上のアゾ化合物を組み合わせることがより好ましい。二色性色素の一部が反応性基を有していてもよく、また液晶性を有していてもよい。
【0109】
液晶層を用いた直線偏光層は、例えば基材上に形成した配向層上に、重合性液晶化合物及び二色性色素を含む偏光層形成用組成物を塗布し、重合性液晶化合物を重合して硬化させることによって形成することができる。あるいは、基材上に、偏光層形成用組成物を塗布して塗膜を形成し、この塗膜を基材層とともに延伸することによって、直線偏光層を形成してもよい。直線偏光層を形成するために用いる基材は、直線偏光層の保護層として用いてもよい。基材としては、樹脂フィルムを挙げることができ、例えば、上記した保護層をなす材料を用いて成形したフィルムが挙げられる。
【0110】
重合性液晶化合物及び二色性色素を含む偏光層形成用組成物、及びこの組成物を用いた直線偏光層の製造方法としては、特開2013-37353号公報、特開2013-33249号公報、特開2017-83843号公報等に記載のものを例示することができる。偏光層形成用組成物は、重合性液晶化合物及び二色性色素に加えて、溶媒、重合開始剤、架橋剤、レベリング剤、酸化防止剤、可塑剤、増感剤などの添加剤をさらに含んでいてもよい。これらの成分は、それぞれ、1種のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0111】
偏光層形成用組成物が含有していてもよい重合開始剤は、重合性液晶化合物の重合反応を開始し得る化合物であり、より低温条件下で、重合反応を開始できる点で、光重合性開始剤が好ましい。具体的には、光の作用により活性ラジカル又は酸を発生できる光重合開始剤が挙げられ、中でも、光の作用によりラジカルを発生する光重合開始剤が好ましい。重合開始剤の含有量は、重合性液晶化合物の総量100重量部に対して、好ましくは1質量部~10質量部であり、より好ましくは3質量部~8質量部である。この範囲内であると、重合性基の反応が十分に進行し、かつ、液晶化合物の配向状態を安定化させやすい。
【0112】
液晶層を用いた直線偏光層の厚みは特に限定されないが、20μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましく、5μm以下であることがさらに好ましい。
【0113】
液晶層を用いた直線偏光層は、直線偏光層の片面又は両面にオーバーコート層を有していてもよい。オーバーコート層は、直線偏光層の保護等を目的として設けることができる。オーバーコート層は、例えば、直線偏光層上にオーバーコート層を形成するための材料(組成物)を塗布することによって形成することができる。オーバーコート層を構成する材料としては、例えば、光硬化性樹脂や水溶性ポリマー等が挙げられ、(メタ)アクリル系樹脂やポリビニルアルコール系樹脂を用いることができる。
【0114】
(位相差層)
位相差層は、1層であってもよく2層以上であってもよく、少なくともλ/4層を含む。λ/4層は、逆波長分散性であってもよい。位相差層表面を保護するオーバーコート層や、位相差層を支持する基材フィルムを有していてもよい。位相差層は、λ/4層を含み、さらに、λ/2層やポジティブC層を含んでいてもよい。位相差層がλ/2層を含む場合、直線偏光層側から順にλ/2層及びλ/4層を積層する。位相差層がポジティブC層を含む場合、直線偏光層側から順にλ/4層及びポジティブC層を積層してもよく、直線偏光板側から順にポジティブC層及びλ/4層を積層してもよい。
【0115】
位相差層は、上記の保護層の材料として例示をした樹脂材料から形成されてもよいし、重合性液晶化合物が硬化した層から形成されてもよい。位相差層は、さらに配向膜や基材フィルムを含んでいてもよく、λ/4層とλ/2層とを貼合するための貼合層を有していてもよい。貼合層は粘着剤層又は接着剤層であり、上記した粘着剤組成物や接着剤組成物を用いて形成することができる。
【0116】
位相差層全体の厚みは特に限定されないが、円偏光板43が屈曲性を有する場合、例えば1μm以上50μm以下とすることができる。
【0117】
(第2貼合層、第3貼合層)
図6及び
図7に示す光学積層体50,51で説明したように、第2貼合層42及び第3貼合層44は、前面板41と円偏光板43、前面板41とTSパネル、円偏光板43とTSパネルのいずれかを貼合するための層として用いることができる。第2貼合層42及び第3貼合層44は、それぞれ独立して、接着剤組成物を用いて形成された接着剤層、又は、粘着剤組成物を用いて形成された粘着剤層である。第2貼合層42及び第3貼合層44は、いずれも粘着剤層であることが好ましい。
【0118】
接着剤層を形成するために用いる接着剤組成物、及び、粘着剤層を形成するために用いる粘着剤組成物は、上記した接着剤組成物や粘着剤組成物を用いて形成することができる。
【0119】
第2貼合層42及び第3貼合層44の厚みは特に限定されないが、第2貼合層42や第3貼合層44が接着剤層である場合、それぞれ独立して、0.1μm以上であることが好ましく、0.5μm以上であってもよく、また10μm以下であることが好ましく、5μm以下であってもよい。第2貼合層42や第3貼合層44が粘着剤層である場合、第2貼合層42及び第3貼合層44の厚みは、それぞれ独立して、10μm以上であることが好ましく、15μm以上であってもよく、20μm以上であってもよく、25μm以上であってもよく、通常200μm以下であり、100μm以下であってもよく、50μm以下であってもよい。
【実施例】
【0120】
以下、実施例及び比較例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。実施例、比較例中の「部」で表される配合量は、特記しない限り、質量部である。
【0121】
[透湿度の測定]
(1) ベース層の透湿度Pcの測定
実施例及び比較例で用いたベース層の透湿度Pcの測定は、次の手順で行った。まず、実施例1に記載した手順で、ガラス基板上に分離層及び保護層を形成した後、ガラス基板を剥離し、この剥離によって露出した露出面と、各実施例及び各比較例で用いた基材層とを、各実施例及び各比較例で用いた紫外線硬化型の接着剤組成物を用いて貼合して第1貼合層を形成して、ベース層を作製した。作製したベース層を用いて、JIS Z 0208(カップ法)に準じた透湿度試験法により、測定温度40℃、測定湿度90%RH、測定時間24時間で、透湿度(水蒸気透過率)を測定した。
【0122】
(2) 第1絶縁層の透湿度Paの測定
実施例及び比較例で用いた第1絶縁層の透湿度Paの測定は、次の手順で行った。第1絶縁層を形成するための組成物を、厚みが25μmのトリアセチルセルロース(TAC)フィルム上にコーティングし、乾燥後の厚みが表1に示すDaの厚みとなるようにフィルム状に形成し、測定用フィルムを得た。得られた測定用フィルムを用いて、上記(1)のベース層の透湿度Pcの測定で説明した透湿度試験法の手順にしたがい、透湿度を測定した。なお、TACフィルムの透湿度は、第1絶縁層の透湿度に比べて十分に大きいため、測定用サンプルを用いて測定された透湿度は、第1絶縁層の透湿度とみなすことができる。その結果を表1に示す。
【0123】
[厚みの測定]
ベース層の厚みDc及び第1絶縁層の厚みDaの測定は、カットした積層体の断面を透過型電子顕微鏡(SU8010、株式会社堀場製作所)を用いて観察し、得られた観察像から各層の厚みを測定した。実施例及び比較例において、第1絶縁層の厚みDa(第1絶縁層の最大厚み)は、
図2にDaとして示す部分の厚みであった。測定された厚みの値を表1に示す。
【0124】
[タフネスの測定]
ベース層のタフネスTcを測定するために、上記[透湿度の測定]の(1)ベース層の透湿度Pcの測定で説明した手順でベース層を作製した。作製したベース層のタフネスTcは、JIS K7161に準拠して、次のように測定した。ベース層から長辺110mm×短辺10mmの長方形の小片をスーパーカッターを用いて切り出した。次いで、引張試験機〔(株)島津製作所製 オートグラフ AG-Xplus試験機〕の上下つかみ具で、つかみ具の間隔が5cmとなるように上記小片の長辺方向両端を挟み、温度23℃、相対湿度55%の環境下、引張速度4mm/分で小片の長辺方向に引張った。タフネスは、初期から破断までの間における、応力-ひずみ曲線の積分値として算出した。その結果を表1に示す。
【0125】
[駆動試験]
実施例及び比較例で得た光学積層体を、温度85℃、湿度85%RHの高温高湿環境下に24時間保管した。その後、温度25℃、湿度45%RHの常温環境下に30分間載置してから、TSパネルの駆動試験を行った。駆動試験は、TSパネルとタッチセンサ検査機とを接続し、タッチセンサ検査機でタッチセンサ機能を検査した。TS層中の各ノードにおいて静電容量を測定し、それらを平均して平均値を算出した。各ノードでの検出値が、すべてタッチセンサ機能が正常と判定される値の平均値の±15%以内であればAと評価した。各ノードにおける検出値が、一か所でも平均値+15%を超えたときは短絡(ショート)とみなし、一か所でも平均値-15%を下回ったときは開放(オープン)とみなしてBと評価した。
【0126】
[視認性試験]
各実施例及び比較例で得たTSパネルの第1絶縁層側と、円偏光板のポジティブC層側とを、粘着剤層(8146-1、3M社製、厚み25μm)を介して貼合した視認性試験用積層体を、温度60℃、湿度90%RHの環境下に24時間保管した。その後、視認性試験用積層体を温度25℃、湿度45%RHの常温環境下に2時間載置してから、視認性試験を行った。視認性試験は、暗室で、LEDバックライト(DSN-1200、UP社製、照度3000Lux)の上に、LEDバックライト側にTSパネルが配置されるように視認性試験用積層体を置き、円偏光板側から肉眼で視認性試験用積層体を観察した。パターン導電層が視認されなかった場合をAと評価し、パターン導電層が視認された場合をBと評価した。その結果を表1に示す。
【0127】
[屈曲性試験]
各実施例及び比較例で得た光学積層体のTSパネル側に、粘着剤層(8146-1、3M社製、厚み25μm)を介して、有機ELパネルを想定したパネル模写積層体を貼合して、屈曲性試験用積層体を得た。パネル模写積層体は、厚み38μmのポリイミド系樹脂フィルムPI1と、厚み50μmのポリイミド系樹脂フィルムPI2とを、粘着剤層(8146-1、3M社製、厚み25μm)を介して積層したものであり、ポリイミド系樹脂フィルムPI1側に光学積層体のTSパネルを貼合した。
【0128】
上記で得た屈曲性試験用積層体を用い、温度25℃において、次に示す手順で屈曲性試験を行った。屈曲試験機(DLDMLH、Yuasa Folding社製)に、各実施例及び比較例で得た屈曲性試験用積層体を平坦な状態(屈曲していない状態)で設置し、前面板側が内側となるようにして屈曲させたときの曲率半径が2.5mmとなるように、屈曲性試験用積層体を屈曲させた後、元の平坦な状態に戻す屈曲操作を行った。この屈曲操作を1回行ったときを屈曲回数1回と数え、この屈曲操作を繰返し行った。屈曲操作で屈曲した領域においてクラックや粘着剤層の浮きが発生したときの屈曲回数を限界屈曲回数として確認した。屈曲操作で屈曲した領域でのクラックや粘着剤層の浮きの発生が、
屈曲回数が20万回に達してもみられない場合をA、
屈曲回数が10万回以上20万回未満でみられた場合をB、
屈曲回数が5万回以上10万回未満でみられた場合をC、
として屈曲性試験の評価を行った。
【0129】
〔実施例1〕
(1) TSパネルの作製
図
5に示す構造を有するTSパネルを次の手順で準備した。キャリア基板としてのガラス基板に分離層、及び保護層をこの順に形成して支持層とし、保護層上に、
図3に示すようなパターン状の単位パターン27a,27b(第1導電層)を形成した。分離層は、アクリル系樹脂組成物を用いてスロットダイコート法により形成した層であり、厚みは0.5μmであった。保護層は、アクリル系樹脂組成物を用いてスロットダイコート法により形成した層であり、厚みは3μmであった。第1導電層は、インジウムスズ酸化物(ITO)を用いてスパッタリングにより全面に膜を形成した後、フォトリソグラフィ法によりエッチングを行ってパターン状に形成した。第1導電層の厚みは0.1μmであった。第1導電層の単位セルの大きさは、
図3に示すように、
図3中の横方向の長さLwを4.2mmとし、縦方向の長さLlを4.3mmとした。また、単位パターン27a,27bとの間の距離d(
図3)は10μmとした。第1導電層上の配線領域となる領域に、APC(Ag Palladium Copper合金)を用いてスパッタリングにより全面に膜を形成した後、フ
ォトリソグラフィ法によりエッチングを行ってパターン状に形成した。接続配線の厚み0.2μmの接続配線を形成した。
【0130】
次に、第1導電層及び接続配線の表面を覆い、パターン状に形成された面方向に離間する導電層の間の空間を埋めるように、第2絶縁層を形成した。第2絶縁層は、特開2016-14877号公報の実施例3に記載の感光性樹脂組成物を用い、この組成物を塗布、硬化、パターニング等することによって形成した。第2絶縁層は、支持層とは反対側の表面が、第1導電層の凹凸に追従せず平坦になるように形成し、支持層の第1導電層側の表面の位置(屈折率調整層の第1導電層側の表面の位置)から、第2絶縁層の厚みが2μmとなるように形成した。
【0131】
続いて、第2絶縁層にフォトリソグラフィ法により開口を形成した後、この開口にビア部を形成するとともに、第2絶縁層上に
図3に示すようなパターン状の連結部28c(第2導電層)を形成した。連結部28cは、第2絶縁層の開口に設けられたビア部を通じて、単位パターン27b(第1導電層)と電気的に接続されるように形成した。ビア部及び連結部28cは、インジウムスズ酸化物(ITO)を用いてスパッタリングにより全面に膜を形成した後、フォトリソグラフィ法によりエッチングを行ってパターン状に形成した。連結部28cの第2絶縁層上における厚みは0.12μmであった。連結部28cの大きさは、
図3に示すように、
図3中の横方向の長さLcwを50μm、縦方向の長さLclを380μmとした。
【0132】
次に、連結部28c(第2導電層)の表面を覆い、パターン状に形成された面方向に離間する導電層の間の空間を埋めるように、第1絶縁層を形成した。第1絶縁層は、特開2016-14877号公報の実施例3に記載の感光性樹脂組成物を用い、この組成物を塗布、硬化等することによって形成した。第1絶縁層は、支持層とは反対側の表面が、連結部28c(第2導電層)の凹凸に追従せず平坦になるように形成し、厚みDaが2μmとなるように形成した。
【0133】
得られた積層体からガラス基板を剥離し、剥離面と、基材層としての環状オレフィン(COP)系フィルム(厚み23μm)(ZF-14、日本ゼオン社製)とを、紫外線硬化型の接着剤組成物を用いて貼合して第1貼合層を形成し、図5に示す構造を有するTSパネルを得た。得られたTSパネルは、縦165mm×横105mmであった。
【0134】
(2) 光学積層体の作製
(前面板の準備)
前面板として、樹脂フィルムの両面にハードコート層が形成された厚み50μmのハードコート層付き樹脂フィルムを用意した。樹脂フィルムは、厚み30μmのポリアミドイミド(PAI)系樹脂フィルムであり、ハードコート層はそれぞれ、厚みが10μmであり、末端に多官能アクリル基を有するデンドリマー化合物を含む組成物から形成された層であった。
【0135】
(円偏光板の準備)
トリアセチルセルロース(TAC)フィルム(KC2UA、コニカミノルタ(株)社製、厚み25μm)に光配向膜を形成した後、二色性色素と重合性液晶化合物とを含む組成物を光配向膜上に塗布し、配向、硬化させて厚み2.5μmの直線偏光層を得た。この直線偏光層上に、オーバーコート層形成用組成物(水100部、ポリビニルアルコール樹脂粉末(KL318、(株)クラレ製、平均重合度18000)3部、架橋剤としてのポリアミドエポキシ樹脂(SR650(30)、住化ケムテックス(株)製)1.5部を混合したもの)を、乾燥後の厚みが1.0μmになるようにバーコート法により塗布してオーバーコート層を形成した。これにより、TACフィルム/光配向膜/直線偏光層/オーバーコート層の層構造を有する直線偏光板を得た。
【0136】
得られた直線偏光板のオーバーコート層に、位相差層の後述するλ/4層側を貼合して円偏光板を得た。直線偏光板の吸収軸と、位相差層の遅相軸とのなす角度は45°であった。位相差層は厚みが14μmであり、層構成が、粘着剤層、λ/4層、粘着剤層、及びポジティブC層をこの順に積層したものであった。粘着剤層はいずれも、厚みが5μmであった。λ/4層は、液晶化合物が硬化した層及び配向膜を有し、厚みが3μmであった。ポジティブC層は、液晶化合物が硬化した層及び配向膜を有し、厚みが1μmであった。
【0137】
(光学積層体の作製)
上記で準備した前面板の一方の面に、第2貼合層としての粘着剤層(8146-1、3M社製、厚み25μm)を介して、円偏光板のTACフィルム側を貼合した。得られた積層体の円偏光板のポジティブC層側に、第3貼合層としての粘着剤層(8146-1、3M社製、厚み25μm)を介して、上記で作製したTSパネルの第1絶縁層を貼合して、
図6に示す層構造の光学積層体を得た。前面板、第2貼合層、円偏光板、第3貼合層、及びTSパネルの貼合面には、貼合前にそれぞれコロナ処理を行った。得られた光学積層体は、縦165mm×横105mmであった。得られた光学積層体について、駆動試験及び屈曲性試験を行った。その結果を表1に示す。
【0138】
〔実施例2,3、比較例1~3〕
基材層として、表1に示すものを用い、第1絶縁層の厚みを表1に示す厚みとしたこと以外は、実施例1と同様にしてTSパネルを作製した。作製したTSパネルを用いて、実施例1と同様の手順で光学積層体を得た。得られた光学積層体について、駆動試験及び屈曲性試験を行った。その結果を表1に示す。
【0139】
【0140】
表1中、COPは環状ポリオレフィン(COP)系樹脂フィルム(厚み23μmのCOP系樹脂フィルム(ZF-14、日本ゼオン社製)、又は厚み40μmのCOP系樹脂フィルム(ZF-16、日本ゼオン社製))を表し、Acrylはアクリル系樹脂フィルム(OXIS、大倉工業株式会社製)を表し、TACはトリアセチルセルロース系樹脂フィルム(KC2CT1W、コニカミノルタ(株)社製)を表す。
【符号の説明】
【0141】
1~4 タッチセンサパネル、11 第1絶縁層、20 タッチセンサ層、21 支持層、22 分離層、23 保護層、24 屈折率調整層、25 接続配線、26 パターン導電層、27 第1導電層(パターン導電層)、27a,27b 単位パターン、27c 連結部、28 第2導電層(パターン導電層)、28c 連結部、29 第2絶縁層、30 ベース層、 31 基材層、35 第1貼合層、41 前面板、42 第2貼合層、43 円偏光板、44 第3貼合層、50 光学積層体、Da,Dc 厚み、Se センサ領域、Tr 配線領域。