(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-09
(45)【発行日】2024-04-17
(54)【発明の名称】偏心揺動型減速装置のシリーズ、減速装置の製造方法、減速装置の設計方法
(51)【国際特許分類】
F16H 1/32 20060101AFI20240410BHJP
【FI】
F16H1/32 A
(21)【出願番号】P 2019228044
(22)【出願日】2019-12-18
【審査請求日】2022-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100116274
【氏名又は名称】富所 輝観夫
(72)【発明者】
【氏名】志津 慶剛
【審査官】山本 健晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-121766(JP,A)
【文献】特開2013-142416(JP,A)
【文献】特開2014-199121(JP,A)
【文献】特開2019-019839(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0320735(US,A1)
【文献】特開2016-121768(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1減速装置および第2減速装置を含む偏心揺動型減速装置のシリーズであって、
前記第1減速装置は、第1外歯歯車と、前記第1外歯歯車を揺動させる第1偏心体を有する第1クランク軸と、前記第1外歯歯車と前記第1偏心体の間に配置される第1偏心体軸受と、を含み、
前記第2減速装置は、第2外歯歯車と、前記第2外歯歯車を揺動させる第2偏心体を有する第2クランク軸と、前記第2外歯歯車と前記第2偏心体の間に配置される第2偏心体軸受と、を含み、
前記第1偏心体軸受の転動体のピッチ円径は、前記第2偏心体軸受の転動体のピッチ円径よりも小さく、
前記第1偏心体軸受の転動体は、前記第2偏心体軸受の転動体と同一形状である
ことを特徴とする偏心揺動型減速装置のシリーズ。
【請求項2】
前記第1偏心体軸受のリテーナは、前記第2偏心体軸受のリテーナと形状が異なる
ことを特徴とする請求項1に記載の偏心揺動型減速装置のシリーズ。
【請求項3】
前記第1偏心体軸受の転動体は、前記第2クランク軸を支持する第2クランク軸軸受の転動体と同一形状である
ことを特徴とする請求項1または2に記載の偏心揺動型減速装置のシリーズ。
【請求項4】
前記第2クランク軸軸受は、前記第2外歯歯車の左右両方に配置され、
前記第1偏心体軸受の転動体は、前記第2減速装置の内ピンが陥入されるキャリヤに支持され前記第2クランク軸を支持する一方側の前記第2クランク軸軸受の転動体と同一形状であり、
前記第2クランク軸を支持する他方側の前記第2クランク軸軸受の転動体と異なる形状である
ことを特徴とする請求項3に記載の偏心揺動型減速装置のシリーズ。
【請求項5】
前記第2偏心体軸受の転動体の数は、前記第1偏心体軸受の転動体の数よりも多く、
前記第2偏心体軸受の転動体の封入率は、前記第1偏心体軸受の転動体の封入率よりも低い
ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の偏心揺動型減速装置のシリーズ。
【請求項6】
前記第1クランク軸および前記第2クランク軸は中空軸であり、
前記第2クランク軸の中空径は、前記第1クランク軸の中空径よりも大きい
ことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の偏心揺動型減速装置のシリーズ。
【請求項7】
前記第2減速装置は、前記第2偏心体軸受を複数備え、
前記複数の第2偏心体軸受の間に移動規制部材が設けられ、
前記第2クランク軸の偏心量は、前記第1クランク軸の偏心量よりも大きい
ことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の偏心揺動型減速装置のシリーズ。
【請求項8】
第1減速装置および第2減速装置を含む偏心揺動型減速装置のシリーズであって、
前記第1減速装置は、第1外歯歯車と、前記第1外歯歯車を揺動させる第1偏心体を有する第1クランク軸と、前記第1外歯歯車と前記第1偏心体の間に配置される第1偏心体軸受と、前記第1クランク軸を支持する第1クランク軸軸受と、を含み、
前記第2減速装置は、第2外歯歯車と、前記第2外歯歯車を揺動させる第2偏心体を有する第2クランク軸と、前記第2外歯歯車と前記第2偏心体の間に配置される第2偏心体軸受と、前記第2クランク軸を支持する第2クランク軸軸受と、を含み、
前記第1クランク軸軸受の転動体のピッチ円径は、前記第2偏心体軸受の転動体のピッチ円径と異なり、
前記第2クランク軸軸受の転動体と前記第1偏心体軸受の転動体とが同一形状である
ことを特徴とする偏心揺動型減速装置のシリーズ。
【請求項9】
第1減速装置および第2減速装置を含む偏心揺動型減速装置のシリーズであって、
前記第1減速装置は、第1外歯歯車と、前記第1外歯歯車を揺動させる第1偏心体を有する第1クランク軸と、前記第1クランク軸を支持する第1クランク軸軸受と、前記第1外歯歯車と前記第1偏心体の間に配置される第1偏心体軸受と、を含み、
前記第2減速装置は、第2外歯歯車と、前記第2外歯歯車を揺動させる第2偏心体を有する第2クランク軸と、前記第2クランク軸を支持する第2クランク軸軸受と、前記第2外歯歯車と前記第2偏心体の間に配置される第2偏心体軸受と、を含み、
前記第1クランク軸軸受の転動体のピッチ円径は、前記第2クランク軸軸受の転動体のピッチ円径よりも小さく、
前記第1クランク軸軸受の転動体は、前記第2クランク軸軸受の転動体と同一形状である
ことを特徴とする偏心揺動型減速装置のシリーズ。
【請求項10】
第2減速装置とは構成が異なる第1減速装置の製造方法であって、
前記第1減速装置は、第1外歯歯車と、前記第1外歯歯車を揺動させる第1偏心体を有する第1クランク軸と、前記第1外歯歯車と前記第1偏心体の間に配置される第1偏心体軸受と、を含み、
前記第2減速装置は、第2外歯歯車と、前記第2外歯歯車を揺動させる第2偏心体を有する第2クランク軸と、前記第2外歯歯車と前記第2偏心体の間に配置される第2偏心体軸受と、を含み、
前記第1偏心体に組み込まれた前記第1偏心体軸受の転動体のピッチ円径が前記第2偏心体に組み込まれた前記第2偏心体軸受の転動体のピッチ円径よりも小さくなるような前記第1偏心体を有する前記
第1クランク軸を製作する工程と、
前記第2偏心体軸受の転動体と形状的に一致する転動体を前記第1偏心体に配置する工程と、
を含む減速装置の製造方法。
【請求項11】
第2減速装置とは構成が異なる第1減速装置の設計方法であって、
前記第1減速装置は、第1外歯歯車と、前記第1外歯歯車を揺動させる第1偏心体を有する第1クランク軸と、前記第1外歯歯車と前記第1偏心体の間に配置される第1偏心体軸受と、を含み、
前記第2減速装置は、第2外歯歯車と、前記第2外歯歯車を揺動させる第2偏心体を有する第2クランク軸と、前記第2外歯歯車と前記第2偏心体の間に配置される第2偏心体軸受と、を含み、
前記第1偏心体に組み込まれた前記第1偏心体軸受の転動体のピッチ円径が前記第2偏心体に組み込まれた前記第2偏心体軸受の転動体のピッチ円径よりも小さくなるように前記第1偏心体を設計する工程と、
前記第1偏心体軸受の転動体を、前記第2偏心体軸受の転動体と同一形状に設計する工程と、
を含む減速装置の設計方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏心揺動型減速装置のシリーズ、減速装置の製造方法および減速装置の設計方法に関する。
【背景技術】
【0002】
互いに構成が異なる第1減速機と第2減速機とを備える減速機群が知られている。例えば、特許文献1には、第1クランク組立体を有する第1減速機と、第2クランク組立体を有する第2減速機と、を備える減速機群が記載されている。この減速機群では、第1クランク組立体は、第1主軸から第1距離だけ離間した第1伝達軸周りに回転運動を行い、第2クランク組立体は、第2主軸から前記第1距離とは異なる第2距離だけ離間した第2伝達軸周りに回転運動を行う。第1クランク組立体は、第1偏心部と第1揺動歯車との間に配置される第1歯車支持軸受を含み、第2クランク組立体は、第2偏心部と第2揺動歯車との間に配置される第2歯車支持軸受を含み、第1歯車支持軸受は、第2シャフト支持軸受に形状的に一致する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の減速機群では、第1歯車支持軸受と第2シャフト支持軸受とを共用して軸受の種類を減らしているが、軸受の共用は、軸受に支持される被支持体の直径が同じ場合に限られる。
【0005】
本発明の目的は、部品を共用化して部品管理の手間を軽減可能な偏心揺動型減速装置のシリーズを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の偏心揺動型減速装置のシリーズは、第1減速装置および第2減速装置を含む偏心揺動型減速装置のシリーズであって、第1減速装置は、第1外歯歯車と、第1外歯歯車を揺動させる第1偏心体を有する第1クランク軸と、第1外歯歯車と第1偏心体の間に配置される第1偏心体軸受と、を含む。第2減速装置は、第2外歯歯車と、第2外歯歯車を揺動させる第2偏心体を有する第2クランク軸と、第2外歯歯車と第2偏心体の間に配置される第2偏心体軸受と、を含む。第1偏心体軸受の転動体のピッチ円径は、第2偏心体軸受の転動体のピッチ円径よりも小さく、第1偏心体軸受の転動体は、第2偏心体軸受の転動体と同一形状である。
【0007】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を方法、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、部品を共用化して部品管理の手間を軽減可能な偏心揺動型減速装置のシリーズを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係る偏心揺動型減速装置のシリーズの第1減速装置の断面図である。
【
図2】第1実施形態に係る偏心揺動型減速装置のシリーズの第2減速装置の断面図である。
【
図3】
図1の第1減速装置の転動体の配置を示す配置図である。
【
図4】
図2の第2減速装置の転動体の配置を示す配置図である。
【
図5】第1変形例に係る偏心揺動型減速装置のシリーズの第1減速装置の断面図である。
【
図6】第1変形例に係る偏心揺動型減速装置のシリーズの第2減速装置の断面図である。
【0010】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに各図面を参照しながら説明する。実施の形態、比較例および変形例では、同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
また、第1、第2などの序数を含む用語は多様な構成要素を説明するために用いられるが、この用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、この用語によって構成要素が限定されるものではない。
【0011】
[第1実施形態]
以下、図面を参照して、第1実施形態に係る偏心揺動型減速装置のシリーズ1の構成を説明する。偏心揺動型減速装置のシリーズ1は、互いに構成が異なる第1減速装置10および第2減速装置50を含む。
図1は、第1実施形態に係る偏心揺動型減速装置のシリーズ1の第1減速装置10を示す側面断面図である。
図2は、偏心揺動型減速装置のシリーズ1の第2減速装置50を示す側面断面図である。本実施形態の第1減速装置10および第2減速装置50は、内歯歯車と噛み合う外歯歯車を揺動させることで、内歯歯車及び外歯歯車の一方の自転を生じさせ、その生じた運動成分を出力部材から被駆動装置に出力する偏心揺動型減速装置である。
【0012】
以下、第1減速装置10と第2減速装置50とで共通する構成要素には共通の名称と符号を用いて表記する。また、第1減速装置10を構成する構成要素の名称の先頭に「第1」を付し、または、符号の末尾に「-1」を付すことがある。また、第2減速装置50を構成する構成要素の名称に「第2」を付し、または、符号の末尾に「-2」を付すことがある。
【0013】
まず、第1減速装置10と第2減速装置50の共通構成を説明する。第1減速装置10および第2減速装置50は、主に、クランク軸12と、外歯歯車14と、内歯歯車16と、キャリヤ18、20と、ケーシング22と、主軸受24、26と、偏心体軸受30と、クランク軸軸受33、34とを備える。以下、内歯歯車16の中心軸線Laに沿った方向を「軸方向」といい、その中心軸線Laを中心とする円の円周方向、半径方向をそれぞれ「周方向」、「径方向」とする。また、以下、便宜的に、軸方向の一方側(図中右側)を入力側といい、他方側(図中左側)を反入力側という。
【0014】
クランク軸12は、駆動装置(不図示)から入力される回転動力によって回転中心線周りに回転させられる。本実施形態の第1減速装置10および第2減速装置50は、クランク軸12の回転中心線が内歯歯車16の中心軸線Laと同軸線上に設けられるセンタークランクタイプである。駆動装置は、たとえば、モータ、ギヤモータ、エンジン等である。
【0015】
本実施形態のクランク軸12は、外歯歯車14を揺動させるための複数の偏心体12aを有する偏心体軸である。クランク軸12は、中実軸であってもよいが、本実施形態では、所定の中空部12dを有する中空軸である。偏心体12aの軸芯は、クランク軸12の回転中心線に対して偏心している。本実施形態では2個の偏心体12aが設けられ、隣り合う偏心体12aの偏心位相は180°ずれている。
【0016】
偏心体12aの外周には、偏心体軸受30を介して2枚の外歯歯車14が組み込まれている。本実施形態では、偏心体軸受30の転動体30bとして、ころ(円筒体)を例示する。偏心体軸受30の転動体30bは、この他にも、球体、錐体など公知の転動体であってもよい。各外歯歯車14は、内歯歯車16に内接噛合している。外歯歯車14が2列に並んで組み込まれているのは、負荷容量の増大、および偏心位相をずらすことによる低振動、低騒音化を意図したためである。各列の構成は、偏心位相が異なっている以外は同一である。
【0017】
外歯歯車14は、複数の偏心体12aのそれぞれに対応して個別に設けられる。外歯歯車14は、偏心体軸受30を介して対応する偏心体12aに回転自在に支持される。外歯歯車14には、内ピン32が貫通する内ピン孔13と、偏心体軸受30が当接する中心孔15とが設けられる。
【0018】
内ピン孔13は、外歯歯車14の中心からオフセットして設けられる。内ピン孔13は、後述する内ピン32に対応して複数設けられる。この例では、周方向に120°間隔で3つの内ピン孔13が設けられる。中心孔15は、外歯歯車14の中心に設けられ、偏心体12aが挿通される孔である。
【0019】
図1に示すように、ケーシング22は、全体として筒状をなし、その内周部には内歯歯車16が設けられる。内歯歯車16は、外歯歯車14と噛み合う。本実施形態の内歯歯車16は、ケーシング22と一体化された内歯歯車本体と、この内歯歯車本体に回転自在に支持され、当該内歯歯車16の内歯を構成する外ピン16a(ピン部材)とで構成されている。内歯歯車16の内歯数(外ピン16aの数)は、外歯歯車14の外歯数よりも僅かだけ(この例では1だけ)多い。
【0020】
キャリヤ18、20は、外歯歯車14の軸方向側部に配置される。キャリヤ18、20には、外歯歯車14の入力側の側部に配置される入力側キャリヤ18と、外歯歯車14の反入力側の側部に配置される反入力側キャリヤ20とを含む。キャリヤ18、20は円盤状をなし、クランク軸軸受33、34を介してクランク軸12を回転自在に支持する。
【0021】
入力側キャリヤ18と反入力側キャリヤ20は内ピン32を介して連結される。内ピン32は、外歯歯車14の軸芯から径方向にオフセットした位置において、複数の外歯歯車14を軸方向に貫通する。本実施形態の内ピン32は、反入力側キャリヤ20と一体的に設けられる。内ピン32は、キャリヤ18、20と別体に設けられていてもよい。内ピン32は、内歯歯車16の中心軸線La周りに所定の間隔で複数設けられる。本実施形態では、周方向に120°間隔で3つの内ピン32が設けられる。
【0022】
内ピン32は、その先端部が入力側キャリヤ18に形成された有底凹部18cに嵌入されており、入力側キャリヤ18の入力側から挿入されたボルト36と共に入力側キャリヤ18と反入力側キャリヤ20とを連結している。
【0023】
内ピン32は、外歯歯車14に形成された内ピン孔13を貫通している。内ピン32の外周には、摺動促進部材としてローラ35が回転自在に被せられている。ローラ35は、入力側キャリヤ18の反入力側と、反入力側キャリヤ20の入力側とによって軸方向に移動規制される。ローラ35と内ピン孔13の間には外歯歯車14の揺動成分を吸収するための遊びとなる隙間が設けられる。ローラ35と内ピン孔13の内壁面とは一部で接触する。
【0024】
被駆動装置(不図示)に回転動力を出力する部材を出力部材とし、第1減速装置10および第2減速装置50を支持するための外部部材に固定される部材を被固定部材とする。本実施形態の出力部材は反入力側キャリヤ20であり、被固定部材はケーシング22である。出力部材は、主軸受24、26を介して被固定部材に回転自在に支持される。
【0025】
主軸受24、26には、入力側キャリヤ18とケーシング22の間に配置される入力側主軸受24と、反入力側キャリヤ20とケーシング22の間に配置される反入力側主軸受26とが含まれる。本実施形態において、主軸受24、26は、いわゆる背面組み合わせの状態で配置される。キャリヤ18、20の外周は、それぞれ主軸受24、26の内輪を構成している。本実施形態では、主軸受24、26として、球状の転動体42を有するアンギュラ玉軸受を例示する。主軸受24、26は、この他にも、テーパーローラ軸受、アンギュラころ軸受等の転がり軸受であってもよい。
【0026】
クランク軸軸受33、34には、入力側キャリヤ18とクランク軸12の間に配置される入力側クランク軸軸受33と、反入力側キャリヤ20とクランク軸12の間に配置される反入力側クランク軸軸受34とが含まれる。第1、第2減速装置10、50のクランク軸軸受33、34としては、公知の様々な種類の軸受を採用できる。本実施形態では、第1減速装置10のクランク軸軸受33、34として、玉軸受けを採用している。また、本実施形態の第2減速装置50では、反入力側クランク軸軸受34として、玉軸受けを採用しており、入力側クランク軸軸受33として、ころ(円筒体)を転動体30bとするころ軸受を採用している。
【0027】
以上のように構成された第1減速装置10および第2減速装置50の動作を説明する。駆動装置からクランク軸12に回転動力が伝達されると、クランク軸12の偏心体12aがクランク軸12を通る回転中心線周りに回転する。偏心体12aが偏心運動すると、偏心体12aの周囲に配置される偏心体軸受30を介して外歯歯車14が揺動する。このとき、外歯歯車14は、自らの軸芯がクランク軸12の回転中心線周りを回転するように揺動する。外歯歯車14が揺動すると、外歯歯車14と内歯歯車16の噛合位置が順次ずれる。この結果、クランク軸12が一回転する毎に、外歯歯車14と内歯歯車16との歯数差に相当する分、外歯歯車14及び内歯歯車16の一方の自転が発生する。本実施形態においては、外歯歯車14が自転し、内ピン32を介して反入力側キャリヤ20から減速回転が出力される。
【0028】
次に、本実施形態の偏心揺動型減速装置のシリーズ1の特徴的な構成を説明する。
【0029】
図1~
図4を参照する。
図3は、第1減速装置10における第1偏心体軸受30-1の転動体30bの配置を示す配置図である。
図4は、第2減速装置50における第2偏心体軸受30-2の転動体30bの配置を示す配置図である。これらの図は軸方向から見た転動体30bの配置を示している。偏心体軸受30は、内輪・外輪を有してもよいが、本実施形態では、内輪および外輪を有していない。第1偏心体軸受30-1は、転動体30bと第1リテーナ30c-1とを有する。第1リテーナ30c-1は、30個の転動体30bを回転可能にピッチ円C1上の所定位置に保持する。第2偏心体軸受30-2は、転動体30bと第2リテーナ30c-2とを有する。第2リテーナ30c-2は、37個の転動体30bを回転可能にピッチ円C2上の所定位置に保持する。
【0030】
第1偏心体軸受30-1の転動体30bのピッチ円径D1(例えば71mm)は、第2偏心体軸受30-2の転動体30bのピッチ円径D2(例えば102mm)よりも小さい。なお、本明細書では、他の軸受を含め、軸受の転動体のピッチ円径は、減速装置として組み立てられたときの転動体の中心を通る円(ピッチ円)の直径をいう。例えば、偏心体軸受30の転動体30bのピッチ円径D1、D2は、偏心体12aがはまった状態における転動体30bの中心を通る円(ピッチ円C1、C2)の直径である。ピッチ円径は、PCD(Pitch Circle Diameter)と称されることがある。
【0031】
第1偏心体軸受30-1の転動体30bは、第2偏心体軸受30-2の転動体30bと同一形状である。この場合、軸受に支持される被支持体の直径が異なる場合、または軸受荷重が異なる場合でも転動体を共用化できる。この結果、偏心揺動型減速装置のシリーズ1の部品管理の手間を軽減できる。なお、本明細書において、同一形状の部材とは、同一の設計に基づいて製造された部材を指し、製造上のばらつきや誤差を有する部材を含み、異なる素材の部材は含まない。
【0032】
図3、
図4に示すように、転動体30bは、ピッチ円C1、C2に沿って等間隔に配置される。この場合、転動体の数または封入率を変えることにより、同一形状の転動体を用いた軸受において、所望の負荷容量を柔軟に実現できる。なお、本明細書において、転動体の封入率は、ピッチ円上に占める転動体の割合を指す。
【0033】
上述したように、第2偏心体軸受30-2の転動体30bの数は、第1偏心体軸受30-1の転動体30bの数よりも多く、第2偏心体軸受30-2の転動体30bの封入率は、第1偏心体軸受30-1の転動体30bの封入率よりも低い。第2偏心体軸受30-2の隣り合う2つの転動体30bの間の距離B2は、第1偏心体軸受30-1の隣り合う2つの転動体30bの間の距離B1よりも大きい。この場合、転動体の数または封入率を変えることにより、同一形状の転動体を用いた軸受において、所望の負荷容量を柔軟に実現できる。
【0034】
保持する転動体30bの数と、ピッチ円径D1、D2が異なるので、第1リテーナ30c-1は、第2リテーナ30c-2と形状が異なる。この場合、転動体の数やリテーナの大きさを柔軟に選択できるので、リテーナの形状を同一にする場合に比べて、軸受の負荷容量に適した構成を容易に実現できる。なお、リテーナは、例えば、ころの配置部の数の違い、径の違い、形状の相違などによって形状が異なる。
【0035】
本実施形態では、第2減速装置50の偏心体12aの偏心量は、第1減速装置10の偏心体12aの偏心量より大きく設定されている。
【0036】
図1、
図2に示すように、第1減速装置10および第2減速装置50は、複数(例えば2つ)の偏心体軸受30を備えている。第1減速装置10では、2つの第1偏心体軸受30-1の隣り合う2つの第1リテーナ30c-1は軸方向に見たときに重なり合っている。このため、リテーナ自身が互いに接触して移動規制できるので、偏心体軸受の軸方向位置を規制できる。
【0037】
一方、第2減速装置50では、第2偏心体12a-2の偏心量が大きいので第2リテーナ30c-2の偏心量も大きく、隣り合う2つの第2リテーナ30c-2は、それぞれが偏心方向に最も離隔した最大離隔位置で軸方向にみて重なり合わない。このため、本実施形態の第2減速装置50は、複数の第2偏心体軸受30-2の間に移動規制部材30hが設けられている。この場合、リテーナ自身が軸方向の位置を規制できない構成でも、偏心体軸受の軸方向位置を規制できる。本実施形態の移動規制部材30hは、隣り合う2つの第2リテーナ30c-2の間に介在する中空円板状の部材で、これらのリテーナそれぞれと軸方向に見たときに重なり合う形状を有する。なお、偏心方向と直交する方向の位置では、これらは偏っていないので、これらの第2リテーナ30c-2は重なることになる。つまり、これらは、最大隔離位置以外の他の位置では軸方向に一部重なっていてもよい。
【0038】
本実施形態では、第1クランク軸12-1および第2クランク軸12-2は中空軸であり、第2クランク軸12-2の中空径E2(例えば81mm)は、第1クランク軸12-1の中空径E1(例えば49mm)よりも大きい。この結果、中空径E2が中空径E1と同じ場合と比べて、第2クランク軸12-2の肉厚を薄くでき、第2減速装置50の軽量化に有利である。
【0039】
本実施形態の第2減速装置50では、第2クランク軸軸受33-2は、第2減速装置50の内ピン32が陥入される入力側キャリヤ18に支持され第2クランク軸12-2を支持する。第2クランク軸軸受33-2は、内輪・外輪を有してもよいが、本実施形態では、内輪および外輪を有していない。第2クランク軸軸受33-2は、転動体33bとリテーナ33cとを有する。入力側キャリヤ18の貫通孔の内周面18hは、第2クランク軸軸受33-2の外輪として機能する。第2クランク軸12-2の外周面12hは、第2クランク軸軸受33-2の内輪として機能する。
【0040】
本実施形態では、第1偏心体軸受30-1の転動体30bのピッチ円径D1は、第2クランク軸軸受33-2の転動体33bのピッチ円径F2よりも小さい。また、本実施形態の第1偏心体軸受30-1の転動体30bは、第2クランク軸軸受33-2の転動体33bと同一形状である。この場合、部品をさらに共用化できる。また、本実施形態の第1偏心体軸受30-1の第1リテーナ30c-1は、第2クランク軸軸受33-2のリテーナ33cと形状が異なる。この場合、転動体の数やリテーナの大きさを柔軟に選択できるので、リテーナの形状を固定する場合に比べて、軸受の負荷容量に適した構成を容易に実現できる。
以上が第1実施形態の説明である。
【0041】
次に、本発明の第2、第3実施形態を説明する。第2、第3実施形態の図面および説明では、第1実施形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。第1実施形態と重複する説明を適宜省略し、第1実施形態と相違する構成を重点的に説明する。
【0042】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態に係る減速装置10の製造方法S100を説明する。製造方法S100は、第2減速装置50とは構成が異なる第1減速装置10の製造方法である。第1減速装置10および第2減速装置50は第1実施形態の説明が適用される。
【0043】
製造方法S100は、以下の工程を含む。
(1)第1偏心体12a-1に組み込まれた第1偏心体軸受30-1の転動体のピッチ円径D1を、第2偏心体12a-2に組み込まれた第2偏心体軸受30-2の転動体のピッチ円径D2よりも小さくなるような第1偏心体12aを有するクランク軸12-1を製作する工程
(2)第2偏心体軸受30-2の転動体30bと形状的に一致する転動体を、第1偏心体12aに配置する工程
【0044】
上述の製造方法S100は、あくまでも一例であって、工程の順序を入れ替えたり、一部の工程を追加・削除・変更してもよい。
【0045】
本実施形態によれば第1実施形態と同様の作用・効果を得られるとともに、部品を共有することにより部品管理工数を削減できる。
【0046】
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態に係る減速装置10の設計方法S200を説明する。設計方法S200は、第2減速装置50とは構成が異なる第1減速装置10の設計方法である。第1減速装置10および第2減速装置50は第1実施形態の説明が適用される。
【0047】
設計方法S200は、以下の工程を含む。
(1)第1偏心体12a-1に組み込まれた第1偏心体軸受30-1の転動体のピッチ円径D1を、第2偏心体12a-2に組み込まれた第2偏心体軸受30-2の転動体のピッチ円径D2よりも小さくなるように第1偏心体12aを設計する工程
(2)第1偏心体軸受30-1の転動体を、第2偏心体軸受30-2の転動体30bと同一形状に設計する工程
【0048】
上述の設計方法S200は、あくまでも一例であって、工程の順序を入れ替えたり、一部の工程を追加・削除・変更してもよい。
【0049】
本実施形態によれば第1実施形態と同様の作用・効果を得られるとともに、部品を共有することにより設計工数を削減できる。
【0050】
以上、本発明の実施形態の例について詳細に説明した。上述した実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体例を示したものにすぎない。実施形態の内容は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、請求の範囲に規定された発明の思想を逸脱しない範囲において、構成要素の変更、追加、削除などの多くの設計変更が可能である。上述の実施形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施形態の」「実施形態では」等との表記を付して説明しているが、そのような表記のない内容に設計変更が許容されないわけではない。
【0051】
以下、変形例について説明する。変形例の図面および説明では、実施形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。実施形態と重複する説明を適宜省略し、第1実施形態と相違する構成を重点的に説明する。
【0052】
[第1変形例]
第1実施形態の説明では、各減速装置が、センタークランクタイプの偏心揺動型減速装置である例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明の偏心揺動型減速装置のシリーズを構成する減速装置は、偏心体を有するクランク軸と偏心体軸受とを有する種々の原理に基づく減速装置であってもよい。
【0053】
以下、第1変形例に係る偏心揺動型減速装置のシリーズ1を説明する。本変形例の偏心揺動型減速装置のシリーズ1は、互いに構成が異なる第1減速装置10および第2減速装置50を含む。
図5は、本変形例の第1減速装置10を示す側面断面図であり、
図1に対応する。
図6は、本変形例の第2減速装置50を示す側面断面図であり、
図2に対応する。
【0054】
減速装置10および第2減速装置50は、主に、入力歯車70と、クランク軸12と、外歯歯車14と、内歯歯車16と、キャリヤ18、20と、ケーシング22と、主軸受24、26と、偏心体軸受30と、クランク軸軸受33、34とを備える。本変形例の第1、第2減速装置10、50は、複数の入力歯車70およびクランク軸12を備える。第1、第2減速装置10、50は、複数のクランク軸12が内歯歯車16の中心軸線Laからオフセットした位置に設けられるいわゆる振り分けタイプの偏心揺動型減速装置である点で第1実施形態と異なる。
【0055】
複数の入力歯車70は、内歯歯車16の中心軸線La周りに配置される。本図では一つの入力歯車70のみを示す。入力歯車70は、その中央部に挿通されるクランク軸12により支持され、クランク軸12と一体的に回転可能に設けられる。入力歯車70は、中心軸線La上に設けられる回転軸(不図示)の外歯部と噛み合う。回転軸には、不図示の駆動装置から回転動力が伝達され、その回転軸の回転により入力歯車70がクランク軸12と一体的に回転する。
【0056】
本変形例のクランク軸12は、内歯歯車16の中心軸線Laからオフセットした位置に周方向に間を置いて複数(例えば、3本)配置される。本図では一つのクランク軸12のみを示す。各クランク軸12には、互いに偏心位相は180°ずれた2個の偏心体12aが軸方向に並んで設けられている。
【0057】
偏心体12aの外周には、偏心体軸受30を介して2枚の外歯歯車14が組み込まれている。各外歯歯車14は、内歯歯車16に内接噛合している。各外歯歯車14の構成は、偏心位相が異なっている以外は同一である。
【0058】
本変形例の第1、第2減速装置10、50では、複数の偏心体軸受30の間に移動規制部材30hが設けられている。移動規制部材30hは、隣り合う2つのリテーナ30cの間に介在し、各リテーナ30cと軸方向に見たときに重なり合う形状を有する。
【0059】
本変形例の第1、第2減速装置10、50では、クランク軸軸受33、34は、ころ(円筒体)を転動体とするころ軸受を採用している。クランク軸軸受33、34は、転動体33b、34bとリテーナ33c、34cとを有し、内輪および外輪を有していない。
【0060】
以上のように構成された本変形例の第1、第2減速装置10、50の動作を説明する。駆動装置から回転軸に回転動力が伝達されると、回転軸から複数の入力歯車70に回転動力が振り分けられ、各入力歯車70が同じ位相で回転する。各入力歯車70が回転すると、クランク軸12の偏心体12aがクランク軸12を通る回転中心線周りに回転し、その偏心体12aにより外歯歯車14が揺動する。外歯歯車14が揺動すると、第1実施形態と同様、外歯歯車14と内歯歯車16の噛合位置が順次ずれ、外歯歯車14及び内歯歯車16の一方の自転が発生する。クランク軸12の回転は、外歯歯車14と内歯歯車16の歯数差に応じた減速比で減速されて、出力部材から被駆動装置に出力される。
【0061】
次に、本変形例の偏心揺動型減速装置のシリーズ1の特徴的な構成を説明する。
【0062】
第1偏心体軸受30-1の転動体30bのピッチ円径D1は、第2偏心体軸受30-2の転動体30bのピッチ円径D2よりも小さい。第1リテーナ30c-1は、第2リテーナ30c-2と形状が異なる。第1偏心体軸受30-1の転動体30bは、第2偏心体軸受30-2の転動体30bと同一形状である。第2偏心体軸受30-2の転動体30bの数は、第1偏心体軸受30-1の転動体30bの数よりも多く、第2偏心体軸受30-2の転動体30bの封入率は、第1偏心体軸受30-1の転動体30bの封入率よりも低い。
【0063】
本変形例の第1偏心体軸受30-1の転動体30bは、第2クランク軸軸受33-2、34-2の転動体33b、34bと同一形状である。また、本変形例の第2偏心体軸受30-2の転動体30bは、第1クランク軸軸受33-1、34-1の転動体33b、34bと同一形状である。
【0064】
なお、第1減速装置10の第1クランク軸軸受33-1、34-1の転動体33b、34bは、第2減速装置50の第2偏心体軸受30-2の転動体30bと同一形状であってもよい。また、第1クランク軸軸受33-1、34-1の転動体33b、34bは、第2クランク軸軸受33-2、34-2の転動体33b、34bと同一形状であってもよい。この場合、部品をさらに共用化できる。なお、これらは、第1偏心体軸受30-1と第2偏心体軸受30-2とが同一形状である場合に限られず、他の部分が同一形状であるものあってもよい。
【0065】
本変形例は、第1実施形態と同様の作用・効果を奏する。
【0066】
[その他の変形例]
第1実施形態の説明では、第1、第2減速装置10、50が共にセンタークランクタイプの偏心揺動型減速装置である例を示したが、本発明はこれに限られない。第1、第2減速装置の一方がセンタークランクタイプの偏心揺動型減速装置であり、他方が振り分けタイプの偏心揺動型減速装置であってもよい。また、第1変形例のように、第1、第2減速装置10、50が共に振り分けタイプの偏心搖動型減速装置であってもよい。
【0067】
第1実施形態の説明では、外歯歯車14が2枚の例を示したが、外歯歯車14は、所望の特性に応じて3枚以上であってもよい。
【0068】
第1実施形態の説明では、主軸受24、26が内輪を有しない例を説明したが、本発明はこれに限られない。主軸受24、26の一方または双方は、内輪を有する軸受であってもよい。
【0069】
実施形態の出力部材はキャリヤ18、20であり、外部部材にはケーシング22が固定される例を説明した。この他にも、出力部材はケーシング22であり、外部部材にはキャリヤ18、20が固定されてもよい。
【0070】
第1実施形態の説明では、第2減速装置50の2つの第2リテーナ30c-2がそれぞれが偏心方向に最も離隔した最大離隔位置で軸方向にみて重なり合わない例を説明したが、この2つの第2リテーナ30c-2は、それぞれが偏心方向に最も離隔した最大離隔位置および最も接近した最接近位置で軸方向に重なっていてもよい。
第1実施形態の説明では、第2減速装置50の2つの第2リテーナ30c-2がそれぞれが偏心方向に最も離隔した最大離隔位置で軸方向にみて重なり合わない例を説明したが、この2つの第2リテーナ30c-2は、それぞれが偏心方向に最も離隔した最大離隔位置およびその他の位置で軸方向にみて重なっていてもよい。
【0071】
また、第1実施形態において、第1クランク軸軸受33-1、34-1の転動体33b、34bは、第2クランク軸軸受33-2、34-2の転動体33b、34bと同一形状であってもよい。
【0072】
第1実施形態および第1変形例の説明では、偏心体軸受およびクランク軸軸受がリテーナを有する例を説明したが、これらの軸受の一部または全部は、例えば、総ころタイプのようにリテーナを有しない軸受であってもよい。
【0073】
上述の各変形例は第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0074】
上述した各実施形態と変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施形態は、組み合わされる各実施形態および変形例それぞれの効果をあわせもつ。
【符号の説明】
【0075】
1 偏心揺動型減速装置のシリーズ、 10 第1減速装置、 50 第2減速装置、 12 クランク軸、 12a 偏心体、 14 外歯歯車、 16 内歯歯車、 18、20 キャリヤ、 24、26 主軸受、 30 偏心体軸受、 30b 転動体、 30c リテーナ、 30h 移動規制部材、 33 クランク軸軸受、 33b 転動体、 33c リテーナ、 100 偏心揺動型減速装置のシリーズ。