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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-09
(45)【発行日】2024-04-17
(54)【発明の名称】内外装部材
(51)【国際特許分類】
   B60R 13/02 20060101AFI20240410BHJP
   B60R 5/04 20060101ALI20240410BHJP
【FI】
B60R13/02 B
B60R13/02 Z
B60R5/04 Z
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019237310
(22)【出願日】2019-12-26
(65)【公開番号】P2021104758
(43)【公開日】2021-07-26
【審査請求日】2022-11-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180644
【弁理士】
【氏名又は名称】▲崎▼山 博教
(72)【発明者】
【氏名】小田 哲久
(72)【発明者】
【氏名】堀井 大輔
【審査官】菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/128580(WO,A1)
【文献】特開2001-079484(JP,A)
【文献】特開2014-188686(JP,A)
【文献】特開平06-039935(JP,A)
【文献】特開2012-171277(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚み方向への起伏をなす凹凸形状が外部に露出する露出面に形成された内外装部材であって、
前記露出面において平面的に拡がる第一領域、及び第二領域を含む複数種の凹凸領域を、前記露出面において所定の配置パターンに則って平面的に配置することにより前記凹凸形状が形成されており、
前記配置パターンが、前記第二領域の周方向に間隔を開けて並ぶように配置された複数の前記第一領域によって前記第二領域を囲む配置を基本配置パターンとしつつ、前記基本配置パターンにおいて、隣接する第一領域の間、及び隣接する前記第二領域の間を他の凹凸領域によって埋めたものであり、
前記第一領域が、前記第二領域に対して前記厚み方向外側に突出した領域であり、前記基本配置パターンに則って前記第二領域の周囲に複数配置されていると共に、前記複数の第一領域のうち一部が、隣接する他の第一領域との間を前記第一領域によって埋めることにより、前記隣接する他の第一領域と連なった形状に形成されていることを特徴とする内外装部材。
【請求項2】
前記凹凸領域として、前記第二領域に対して前記厚み方向外側に突出すると共に、前記第一領域に対して前記厚み方向内側に退入した第三領域を有し、
前記第三領域が、前記第一領域及び前記第二領域の中間に位置していることを特徴とする請求項1に記載の内外装部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内外装部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に開示されている撥水性部材や、下記特許文献2に開示されている微細構造体等に開示されているように、従来技術においては、車両等に用いられる内外装部材に撥水処理を施して、防汚機能を付与させる試みがなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-79484号公報
【文献】特開2012-171277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、撥水処理を施した内外装部材は、従来技術において多数提供されている。ここで、本発明者らが鋭意検討したところ、例えば、車両におけるデッキボードのように外界にさらされる部材等、濡れる可能性のある部分に用いられる内外装部材においては、表面を凹凸した構造としておき、凹部に水を集まりやすくしておくことにより、内外装部材の上に配置される荷物等が濡れるのを抑制できるとの知見を得た。
【0005】
かかる知見に基づいて、本発明者らが鋭意検討したところ、内外装部材の表面に単に凹凸を設けるだけでは、想定したような水の集約効果が得られなかったり、表面を拭き取っても水が残ってしまったりする可能性があるとの知見を得た。
【0006】
そこで本発明は、表面における水等の液体の集約効果を向上させつつ、集約された水等の液体の拭き取り効果(払拭効果)も向上させるという、いわば二律背反した目的を達成可能な内外装部材の提供を目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)上述した課題を解決すべく提供される本発明の内外装部材は、厚み方向への起伏をなす凹凸形状が外部に露出する露出面に形成されたものであって、前記露出面において平面的に拡がる第一領域、及び第二領域を含む複数種の凹凸領域を、前記露出面において所定の配置パターンに則って平面的に配置することにより前記凹凸形状が形成されており、前記第一領域が、前記第二領域に対して前記厚み方向外側に突出した領域であり、前記第二領域の周囲に配置されていることを特徴とするものである。
【0008】
本発明の内外装部材の露出面に設けられた凹凸形状は、第二領域に対して厚み方向外側に突出した第一領域によって第二領域が囲まれた配置パターンにより形成されたものである。かかる構成とされているため、本発明の内外装部材においては、露出面に付着した水滴等の液体を第二領域に集約させる効果が期待できる。また、第一領域が第二領域よりも高い(厚み方向に突出している)ため、ひとたび第二領域に集約された水滴等は、外側に漏れ出しにくい。また、第一領域が第二領域よりも高い(厚み方向に突出している)ため、露出面に接するように荷物等の物品を配置した場合には、本発明の内外装部材は、第一領域において優先的に物品と接することになる。そのため、本発明の内外装部材は、水等の液体が付着したとしても、その上に配置された物品等が濡れる可能性を抑制できる。さらに、本発明の内外装部材のような配置パターンで第一領域及び第二領域を含む複数種の凹凸領域を配置することにより、従来技術のように単に凹凸を設けただけの構成とした場合に比べて、表面に付着した水滴等の液体を拭き取りやすくなる。すなわち、本発明の内外装部材のように、液体を積極的に集約できる領域(第二領域)を設けることにより、例えば、液体を纏めた状態で拭き取ることができるようになる等の理由により、払拭効果の向上が期待できる。
【0009】
(2)上述した内外装部材は、前記凹凸領域として、前記第二領域に対して前記厚み方向外側に突出すると共に、前記第一領域に対して前記厚み方向内側に退入した第三領域を有し、前記第三領域が、前記第一領域及び前記第二領域の中間に位置していることを特徴とするものであると良い。
【0010】
かかる構成によれば、第一領域から第二領域に集約された水滴等の液体が、第一領域側に戻るのをより一層確実に抑制可能となる。これにより、水滴等の液体の集約効果を高めることが可能となる。また、第一領域及び第二領域の中間領域となる第三領域を設けることにより、例えば、液体が集約された第二領域に拭き取り用の布等が届きやすくなる等、払拭効果の向上に対する貢献も期待できる。
【0011】
(3)上述した内外装部材は、前記凹凸形状が形成された部分に、撥水処理がなされていることを特徴とするものであると良い。
【0012】
かかる構成によれば、凹凸形状が形成された部分に付着した水等の液体が染み込む等せずに弾かれ、スムーズに第二領域に集約される。また、上述した構成によれば、第二領域に集約された液体を、スムーズに拭き取ることができる。従って、本発明によれば、凹凸形状と撥水処理との相乗効果により、液体の集約効果及び拭き取り効果の双方について、高い効果が期待できる内外装部材を提供できる。
【0013】
(4)上述した内外装部材は、前記凹凸領域よりも平面領域の小さな凹凸からなる微細凹凸形状が、前記凹凸領域の表面に形成されていることを特徴とするものであると良い。
【0014】
本発明の内外装部材は、微細凹凸形状によって得られる撥水効果が、凹凸領域の表面において得られる。そのため、本発明の内外装部材においては、凹凸形状が形成された部分に付着した水等の液体が染み込む等せずに弾かれ、スムーズに第二領域に集約される。また、本発明の内外装部材においては、第二領域に集約された液体を、スムーズに拭き取ることができる。従って、本発明によれば、液体の集約効果及び拭き取り効果の双方について、高い効果が期待できる内外装部材を提供できる。
【0015】
(5)上述した内外装部材は、単一の凹凸領域の表面に、複数の微細凹凸形状が形成されていることを特徴とするものであると良い。
【0016】
かかる構成によれば、凹凸領域の表面における高い撥水効果が期待できる。従って、本発明によれば、液体の集約効果及び拭き取り効果の双方について、より一層高い効果が得られる内外装部材を提供できる。
【0017】
(6)上述した内外装部材は、前記微細凹凸形状が、幾何学的な連続形状をなすように形成されていることを特徴とするものであると良い。
【0018】
かかる構成によれば、微細凹凸形状を設けることによる撥水効果をより一層向上させることができる。
【0019】
(7)上述した内外装部材は、種類の異なる前記凹凸領域が、厚み方向になだらかに繋がるように形成されていることを特徴とするものであると良い。
【0020】
かかる構成によれば、露出面に付着した水等の液体をスムーズに集約させることが可能となる。
【0021】
(8)上述した内外装部材は、車両の構成部材に用いられることを特徴とするものであると良い。
【0022】
かかる構成によれば、車両の構成部材に対して水等の液体が付着したとしても、これをスムーズに集約させつつ、拭き取り容易にすることができる。上述した内外装部材は、例えば、車両が備えるデッキボード、シート、荷室等、車両を構成する各種の構成部材として好適に用いることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、内外装部材の表面における水等の液体の集約効果を向上させつつ、集約された水の拭き取り効果(払拭効果)も向上させるという、いわば二律背反した目的を達成可能な内外装部材を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態に係る内外装部材を構成する凹凸形状の基本配置パターンを示す平面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る内外装部材を示す第一の平面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る内外装部材を示す第二の平面図である。
図4】(a),(b)はそれぞれ、図1の内外装部材を構成する凹凸形状の側面図、及び平面図である。
図5】本発明の変形実施形態に係る内外装部材を示す平面図である。
図6】(a),(b)はそれぞれ、図5の内外装部材を構成する凹凸形状の側面図、及び平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態に係る内外装部材10について、図面を参照しつつ詳細に説明する。内外装部材10は、例えば車両の構成部材や、建築物の内外装を構成する部材等、様々な場所において内装や外装を構成するために用いられる部材である。内外装部材10を車両の構成部材として用いる場合は、例えば、デッキボード、シート、荷室等のように、水滴等の液体に触れる可能性が高い場所を構成したり配置されたりするものとして好適に利用可能である。内外装部材10は、樹脂や金属、木材等、適宜の素材によって形成することが可能である。
【0026】
図1に示すように、内外装部材10は、外部に露出する露出面12を有する。また、内外装部材10は、露出面12に厚み方向への起伏をなす凹凸形状20(テクスチャ)が形成された部分を少なくとも一部に有する。
【0027】
凹凸形状20は、内外装部材10の厚み方向への突出・退入の程度の異なる複数種の凹凸領域22を、露出面12において所定の配置パターンに則って平面的に配置したものとされている。本実施形態の内外装部材10は、第一領域24、第二領域26、及び第三領域28からなる三種類の凹凸領域22を、所定の配置パターンに則って平面的に配置したものとされている。
【0028】
第一領域24は、第二領域26及び第三領域28に対し、内外装部材10の厚み方向外側に突出した領域である。図4に示すように、第一領域24の周縁部は、隣接する他の領域に向けて厚み方向になだらかに繋がるように湾曲している。
【0029】
第二領域26は、凹凸領域22をなす各領域のうち、最も内外装部材10の厚み方向に退入した凹状の部分である。また、第二領域26は、周囲に配された複数(本実施形態では四つ)の第一領域24により囲まれた領域である。
【0030】
第三領域28は、内外装部材10の厚み方向への突出量が、第一領域24及び第二領域26の中間とされた部分である。第三領域28は、第一領域24及び第二領域26の中間に位置している。
【0031】
内外装部材10においては、図1に示すように、第二領域26の周方向に等間隔に配置された複数(本実施形態では四つ)の第一領域24によって囲みつつ、周方向に並ぶ配置を凹凸形状20(テクスチャ)の基本配置パターンとしている。内外装部材10は、前述の基本配置パターンにおいて、隣接する第一領域24,24の間や、第二領域26,26の間を、第一領域24、第二領域26、及び第三領域28のいずれかによって埋めることにより、機能性を確保しつつ、多様な配置パターンからなるデザイン性に富んだものとされている。
【0032】
的には、図2のエリアAでは、概ね上述した基本パターンと同様の構成とされているが、複数の第一領域24のうち一部(図示例では一つ)が、隣接する他の第一領域24と連なった形状に形成されている点において相違している。また、エリアBでは、第二領域26を囲む4つの第一領域24のうち、3つの第一領域24について、周方向に隣接する第一領域24,24の間隙についても第一領域24とされている。このように、第一領域24は、円形のものを基本としつつ、隣接する他のエリアの第一領域24と連なった形状のものも存在している。
【0033】
第二領域26についても、第一領域24と同様に円形を基本としつつ、隣接する他のエリアの第二領域26と連なった形状のものとすることが可能である。具体的には、図3のエリアCは、概ね上述したエリアAと同様の構成とされているが、複数の第一領域24によって囲まれた第二領域26が、周方向に隣接する第一領域24,24の間隙も第二領域26とすることにより、エリアCに対して図中斜め右下に隣接する他のエリアの第二領域26と連なっている。
【0034】
上述したように、図1に示した第一領域24を第二領域26の周囲に配置するという基本配置パターンとしつつ、図2図3に例示したように、隣接する第一領域24,24の間や、第二領域26,26の間を、第一領域24、第二領域26、及び第三領域28のいずれかによって埋めることにより、内外装部材10は、機能性を確保しつつ、多様な配置パターンからなるデザイン性に富んだものとすることができる。
【0035】
内外装部材10は、露出面12に撥水処理がなされている。撥水処理は、例えば、撥水コーティングを施す等の化学的方法や、微細な凹凸形状を表面に形成する等の物理的方法を用いたり、内外装部材10自体が撥水性を有するものとしたりして行うことができる。また、内外装部材10自体に撥水性を持たせる方法として、例えば内外装部材10の材質として撥水性が高い材料を採用する方法や、撥水剤を練り込まれた材料を採用する等の方法等を採用できる。本実施形態では、図4(a)に示すように、露出面12に設けられた凹凸形状20に対し、微細凹凸形状30を設けることにより、撥水処理がなされている。
【0036】
具体的には、微細凹凸形状30は、凹凸形状20をなす第一領域24、第二領域26及び第三領域28よりも平面領域の小さな微細凹凸32を複数形成したものである。微細凹凸形状30は、いわゆるシボ等によって構成できる。微細凹凸32は、第一領域24、第二領域26及び第三領域28の表面から突出した凸状のもの、第一領域24、第二領域26及び第三領域28の表面から退入した凹状のもの、及び凸状のものと凹状のものとの組合せからなるもののいずれかとすることができる。本実施形態では、微細凹凸32は、第一領域24、第二領域26及び第三領域28の表面から突出した凸状のものとされている。微細凹凸32は、露出面12において、幾何学的な連続形状をなすように形成されている。
【0037】
上述したように、本実施形態の内外装部材10は、露出面12に設けられた凹凸形状20は、第一領域24によって第二領域26が囲まれた配置パターンを基本配置パターンとしている。かかる構成とされているため、内外装部材10においては、露出面12に付着した水滴等の液体は、第一領域24から第二領域26に向けて流れて集約される。また、第一領域24が第二領域26よりも高いため、ひとたび第二領域26に集約された水滴等は、外側に漏れ出しにくい。従って、内外装部材10は、第二領域26に集約された水滴等の保持能力が高く、第二領域26から他の箇所に飛散しにくい。
【0038】
また、内外装部材10においては、第一領域24が第二領域26よりも高く、露出面12に接するように荷物等の物品を配置した場合に、第一領域24において優先的に物品と接する。そのため、内外装部材10によれば、水等の液体が付着したとしても、第二領域26に集約された液体によって、上方に配置された物品等が濡れる可能性を抑制できる。
【0039】
さらに、本実施形態の内外装部材10のような配置パターンで凹凸領域22を配置することにより、表面に付着した水滴等の液体の払拭効果の向上が期待できる。すなわち、内外装部材10では、液体を第二領域26に積極的に集約すると共に、第二領域26から第一領域24に液体が移動しにくい構成とされている。そのため、内外装部材10においては、露出面12に付着した液体を拭き取りやすい。
【0040】
また、第三領域28が、第一領域24及び第二領域26の中間に位置したものとされている。このような構成とされているため、第一領域24から第二領域26に集約された水滴等の液体が、第一領域24側に戻るのをより一層確実に抑制可能となる。これにより、水滴等の液体の集約効果及び払拭効果を高めることができる。
【0041】
なお、本実施形態では、第一領域24及び第二領域26に加えて第三領域28を設けた構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、上記実施形態において、第三領域28が設けられた部分を、第一領域24や第二領域26に置換したものとしても良い。また、内外装部材10は、第一領域24、第二領域26、及び第三領域28に加えて、凹凸領域22を構成する他の領域を設けても良い。
【0042】
上述したように、内外装部材10は、凹凸形状20が形成された部分に、凹凸領域22よりも平面領域の小さな凹凸からなる微細凹凸形状30を設けることにより、撥水処理がなされている。そのため、内外装部材10は、凹凸形状20が形成された部分に付着した水等の液体が染み込む等せずに弾かれる。これにより、スムーズへの第二領域26に集約効果や、払拭効果の更なる向上が期待できる。
【0043】
なお、本実施形態では、微細凹凸形状30を設けることにより撥水効果を付与した例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、微細凹凸形状30に代えて、あるいは加えて撥水コーティングを施す等の化学的方法により撥水効果を付与する等しても良い。また、本実施形態では、凹凸形状20に撥水効果を付与するための構成として、微細凹凸形状30を設けた例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、微細凹凸形状30に代えて、あるいは加えて他の物理的構成により撥水効果を付与するものであっても良い。また、これらの方法に加えて、あるいは代えて、内外装部材10自体が撥水性を有するものとしても良い。内外装部材10自体に撥水性を持たせる方法としては、例えば内外装部材10の材質として撥水性が高い材料を採用する方法や、撥水剤を練り込まれた材料を採用する等の方法等を採用できる。
【0044】
上述したように、内外装部材10は、種類の異なる凹凸領域22が、厚み方向になだらかに繋がるように形成されている。このような構成とされているため、露出面12に付着した水等の液体を、淀みなくスムーズに第二領域26に集約させることができる。なお、本実施形態では、種類の異なる凹凸領域22が、厚み方向になだらかに繋がるように形成した例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、凹凸領域22の一部又は全部について、このような構成とされていないものであっても良い。
【0045】
上述した内外装部材10は、例えば、車両の構成部材として好適に用いることができる。具体的には、内外装部材10は、車両が備えるデッキボード、シート、荷室等、車両を構成する各種の構成部材として好適に用いることができる。
【0046】
上述した内外装部材10は、第一領域24、第二領域26、及び第三領域28の組み合わせによって凹凸形状20を形成したものであるが、各領域の形状や大きさ等については、適宜変更可能である。例えば、図5に示した変形例に係る内外装部材100は、第一領域124、第二領域126の組み合わせによって構成されたものとされている。内外装部材100は、上方に向けて凸状で三角柱状の区画構成体110を、図中の左右方向及び上下方向に所定の配列で配したものとされている。
【0047】
具体的には、内外装部材100において、区画構成体110は、頂部をなす稜線110a(以下、「頂部稜線110a」とも称す)が、底部をなす稜線110b,110cに対して傾斜した形状とされている。内外装部材100は、図中において左右方向に並ぶ区画構成体110が、それぞれ右に進むにつれて頂部稜線110aが時計回り方向に90度回転するように配置したパターンとされている。また、内外装部材100は、図中において上下方向に並ぶ区画構成体110が、それぞれ下に進むにつれて頂部稜線110aが反時計回り方向に90度回転するように配置したパターンとされている。このような構成とすることにより、図6に示すように、三角柱状に隆起した部分からなる第一領域124と、上下左右に隣接する第一領域124,124の間に形成される谷状の第二領域126とが形成される。第二領域126は、第一領域124によって囲まれた状態になる。このような構成とした場合についても、上述した内外装部材10と同様の作用効果が得られる。
【0048】
本発明は、上述した実施形態や変形例等として示したものに限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲でその教示および精神から他の実施形態があり得る。上述した実施形態の構成要素は任意に選択して組み合わせて構成するとよい。また実施形態の任意の構成要素と、発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素または発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素を具体化した構成要素とは任意に組み合わせて構成してもよい。これらについても本願の補正または分割出願等において権利取得する意思を有する。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明の内外装部材は、例えば車両の構成部材や、建築物の内外装を構成する部材等、様々な場所において内装や外装を構成するための部材として好適に利用できる。
【符号の説明】
【0050】
10,100 :内外装部材
12 :露出面
20 :凹凸形状
22 :凹凸領域
24,124 :第一領域
26,126 :第二領域
28 :第三領域
30 :微細凹凸形状
図1
図2
図3
図4
図5
図6