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特許7469898プリンタ、プログラム、プリンタの制御方法
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  • 特許-プリンタ、プログラム、プリンタの制御方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-09
(45)【発行日】2024-04-17
(54)【発明の名称】プリンタ、プログラム、プリンタの制御方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20240410BHJP
   B41J 2/325 20060101ALI20240410BHJP
【FI】
B41J29/38 104
B41J2/325 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020020527
(22)【出願日】2020-02-10
(65)【公開番号】P2021123094
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2023-01-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】弁理士法人グローバル・アイピー東京
(72)【発明者】
【氏名】坂巻 秀一
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-183674(JP,A)
【文献】特開2002-086784(JP,A)
【文献】特開2011-152793(JP,A)
【文献】特開2002-103757(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38
B41J 2/325
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の印字媒体に対して情報を印字する印字ヘッドと、
前記印字媒体に対して、前記印字ヘッドによる複数の印字速度の各々と、前記印字ヘッドによる複数の印字濃度の各々との組合せに応じた印字による消費電力の値が記述されたデータベースを含む記憶部と、
前記データベースに記述された印字速度と印字濃度の組合せの中で、最も消費電力が低い組合せを設定して印字が行われるように制御する制御部と、
を備えたプリンタ。
【請求項2】
前記最も消費電力が低い組合せが2つ以上である場合には、前記制御部は、より印字濃度が低い組合せを設定して印字が行われるように制御する、
請求項1に記載されたプリンタ。
【請求項3】
外部の雰囲気温度を取得する温度取得部、をさらに備え、
前記データベースは、複数の温度の各々に対して、複数の印字速度の各々と、複数の印字濃度の各々との組合せに応じた印字による消費電力が記述され、
前記制御部は、前記複数の温度のうち、前記温度取得部によって取得された雰囲気温度に近い温度に対応する前記データベースを参照して、印字速度と印字濃度の組合せを設定して印字が行われるように制御する、
請求項1又は2に記載されたプリンタ。
【請求項4】
前記印字媒体は、インクリボンと前記インクリボンのインクが転写される被転写体との組合せであって、
前記データベースは、インクリボンと被転写体との複数の組合せの各々に対して、複数の印字速度の各々と、複数の印字濃度の各々との組合せに応じた印字による消費電力が記述され、
前記制御部は、前記プリンタに搭載されているインクリボンと被転写体の組合せに対応する前記データベースを参照して、印字速度と印字濃度の組合せを設定して印字が行われるように制御する、
請求項1から3のいずれか一項に記載されたプリンタ。
【請求項5】
前記制御部は、印字ヘッドに含まれる複数の発熱素子を複数のグループに分割し、各グループで異なるタイミングで発熱が行われるように制御する、
請求項1から4のいずれか一項に記載されたプリンタ。
【請求項6】
所定の印字媒体に対して情報を印字する印字ヘッドと、
前記印字媒体に対して、前記印字ヘッドによる複数の印字速度の各々と、前記印字ヘッドによる複数の印字濃度の各々との組合せに応じた印字による消費電力が記述されたデータベースを含む記憶部と、を含むプリンタにおいて、
コンピュータに、
前記データベースを参照する手順と、
前記データベースに記述された印字速度と印字濃度の組合せの中で、最も消費電力が低い組合せを設定して印字が行われるように制御する手順と、
を実行させるためのプログラム。
【請求項7】
所定の印字媒体に対して情報を印字する印字ヘッドを備えたプリンタの制御方法であって、
前記印字媒体に対して、前記印字ヘッドによる複数の印字速度の各々と、前記印字ヘッドによる複数の印字濃度の各々との組合せに応じた印字による消費電力の値が記述されたデータベースを含む記憶部を参照し、
前記データベースに記述された印字速度と印字濃度の組合せの中で、最も消費電力が低い組合せを設定して印字が行われるように制御する、
プリンタの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、プログラム、および、プリンタの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタの印字設定を行うために、印字濃度や印字速度を調整することが知られている。例えば、特許文献1には、印字濃度を検出できる印字濃度検出部と、その印字濃度の測定結果から最適印字条件を算出する制御部とを備えたサーマルプリンタが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-103757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来、印字品質の観点から最適な印字設定を行うようにしたプリンタは提案されてきたが、印字による消費電力については考慮されていなかった。
【0005】
そこで、本発明は、プリンタにおいて、印字による消費電力を考慮しつつ最適な印字設定を行うことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様は、所定の印字媒体に対して情報を印字する印字ヘッドと、前記印字媒体に対して、前記印字ヘッドによる複数の印字速度の各々と、前記印字ヘッドによる複数の印字濃度の各々との組合せに応じた印字による消費電力の値が記述されたデータベースを含む記憶部と、前記データベースに記述された印字速度と印字濃度の組合せの中で、最も消費電力が低い組合せを設定して印字が行われるように制御する制御部と、を備えたプリンタである。
【発明の効果】
【0007】
本発明のある態様によれば、プリンタにおいて、印字による消費電力を考慮しつつ最適な印字設定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態のプリンタシステムの概略構成を示す図である。
図2】第1の実施形態のプリンタシステムのシステム構成を示すブロック図である。
図3】第1の実施形態における印字評価データベースを模式的に示す図である。
図4】第1の実施形態のプリンタの動作を示すフローチャートである。
図5】第2の実施形態のプリンタシステムのシステム構成を示すブロック図である。
図6】第2の実施形態における印字評価データベースを模式的に示す図である。
図7】第3の実施形態における印字評価データベースを模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態に係るプリンタシステム1について説明する。
【0010】
(1)第1の実施形態
(1-1)プリンタシステム1の構成
以下、本実施形態のプリンタシステム1の構成について、図1図3を参照して説明する。図1は、本実施形態のプリンタシステム1の概略構成を示す図である。図2は、本実施形態のプリンタシステム1のシステム構成を示すブロック図である。図3は、本実施形態における印字評価データベースを模式的に示す図である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態のプリンタシステム1は、プリンタ2およびホストコンピュータ3を含む。プリンタ2およびホストコンピュータ3は、ネットワークNWを介して接続されている。ネットワークNWは、例えば、例えば、セルラー網や、Wi-Fi網、インターネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等である。
【0012】
プリンタ2は、ユーザが使用するプリンタであり、ユーザの事業所、工場、倉庫等、ユーザがプリンタ2の使用する所望の場所に配置される。プリンタ2の種別は限定しないが、例えば、ラベルプリンタである。ラベルプリンタでは、複数枚のラベルを含む連続紙が巻回されたラベルロールが収容され、各ラベルに情報が印字される。
【0013】
ホストコンピュータ3は、例えば、ラップトップ型コンピュータ、タブレット型コンピュータ、スマートフォン等の情報処理端末である。図1では、簡単のために、ホストコンピュータ3とプリンタ2が1対1の関係で示されるが、その限りではなく、ホストコンピュータ3は、複数のプリンタ2を制御可能に構成することができる。
【0014】
図2に示すように、プリンタ2は、制御部21、ストレージ22、操作入力部23、表示部24、モータ駆動部25、ヘッド駆動部26、および、通信部27を備える。
制御部21は、マイクロコンピュータおよびメモリ(RAM(Random Access Memory),ROM(Read Only Memory))を含み、プリンタ2の動作を制御する。マイクロコンピュータは、プリンタ2の起動時にROMに記憶されているファームウェアを読み出して実行する。RAMは、例えばラベル発行のための印字データが一時的に記録されるバッファとして機能してもよい。
【0015】
ストレージ22は、例えばSSD(Solid State Drive)等の不揮発性メモリを含む。不揮発メモリには、後述する印字評価データベース(印字評価DB)が格納される。
制御部21は、ストレージ22に格納された印字評価データベースを参照し、印字品質の評価値が予め設定された閾値以上となる印字速度と印字濃度の組合せの中で、最も消費電力が低い組合せを設定して印字が行われるように制御する。
【0016】
操作入力部23は、プリンタ2の筐体に設けられた操作ボタン、および、タッチパネル入力画面に設けられるタッチ入力ボタンの少なくともいずれかの入力手段である。
表示部24は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)等の表示パネルと、当該表示パネルに画像を表示する駆動回路とを含む。
【0017】
モータ駆動部25は、プラテンローラ(図示せず)およびインクリボン巻き取りローラの回転を制御するステッピングモータ(図示せず)を駆動する。それによって、ラベルロールから連続紙が引き出されて搬送され、インクリボン(図示せず)が巻き取られる。
モータ駆動部25は、制御部21からの搬送要求に応じて、当該搬送要求によって指定される搬送方向(順方向あるいは逆方向)および搬送量で連続紙を搬送させる。指定された搬送方向および搬送量は、例えばステッピングモータの回転方向および駆動周波数とステップ数に対応している。モータ駆動部25は、当該回転方向および駆動周波数とステップ数に基づいてステッピングモータを駆動する。
【0018】
制御部21は、例えば、ホストコンピュータ3からネットワークNWを介して印字データを受信する。ヘッド駆動部26は、当該印字データに基づき、複数の発熱素子を有するサーマルヘッド(印字ヘッドの一例)の各発熱素子に選択的に必要なタイミングに応じて電流を流すようにする。電流により発熱した発熱素子がプラテンローラによって搬送されたラベルにインクリボンを介して押し当てられると、発熱素子に押し当てられたラベルの部分にインクリボンのインクが溶融して転写される。その結果、ラベルに情報が印字される。
【0019】
通信部27は、ホストコンピュータ3とネットワークNWを介した通信を行い、データの送受信を行う。
【0020】
次に、図3を参照して、印字評価データベースについて説明する。
図3に示すように、印字評価データベースには、例えば、5段階の印字濃度と、5段階の印字速度との25通りの組合せの各々に対する印字品質の評価値(A~Eの5段階)と消費電力(1~10の値)の値が記述されたルックアップテーブル(LUT)が含まれる。印字品質の評価値は、A,B,C,D,Eの順に印字品質の評価が高いことを意味している。
LUTにおいて示される消費電力の数値が高いほど、実際に印字を行うときの消費電力が高いことを意味している。なお、印字濃度および印字速度の段階数や、評価値、消費電力の設定は一例に過ぎず、適宜変更可能である。
【0021】
本実施形態では、プリンタ2を使用して、異なる印字濃度と異なる印字速度の組合せごとに印字品質の評価と消費電力の測定を行い、プリンタ2を稼働させる前に印字評価データベースを作成する。印字品質の評価と消費電力の測定を行うときの雰囲気温度は限定しないが、例えば室温(25℃)である。このとき、印字品質の評価と消費電力の測定は、プリンタ2に標準的に搭載され、かつ使用が推奨されているインクリボンおよびラベルロールを使用して行うことが好ましい。
作成された印字評価データベースは、ホストコンピュータ3のストレージ32に格納される。
【0022】
再度図2を参照すると、ホストコンピュータ3は、制御部31、ストレージ32、および、通信部33を備える。
制御部31は、マイクロコンピュータおよびメモリ(RAM,ROM)を含み、ホストコンピュータ3の動作を制御する。マイクロコンピュータは、ホストコンピュータ3の起動時にROMに記憶されている制御プログラムを読み出して実行する。例えば、制御部31は、所定のタイミングでプリンタ2に対して印字評価データベースを送信するように通信部33を制御する。
【0023】
ストレージ32は、例えばHDD(Hard Disk Drive)等の大規模記憶装置であり、上記印字評価データベースを格納する。
通信部33は、プリンタ2とネットワークNWを介した通信を行い、データの送受信を行う。通信部33は、制御部31による指令の下、印字評価データベースをプリンタ2に送信する。
【0024】
(1-2)プリンタ2の動作
次に、プリンタ2の動作について、図4を参照して説明する。図4は、本実施形態のプリンタ2の動作を示すフローチャートである。
プリンタ2が稼働を開始する前に、ホストコンピュータ3は、プリンタ2に対して印字評価データベースを送信する。プリンタ2の制御部21は、ホストコンピュータ3から受信した印字評価データベースをストレージ22に保存する。
【0025】
プリンタ2の稼働が開始されると、プリンタ2の制御部21は、図4のフローチャートの各処理を実行する。プリンタ2の制御部21は、先ず、印字評価データベースに含まれるLUTを参照して、印字品質の評価値が閾値以上となる印字濃度と印字速度の組合せを抽出する(ステップS10)。図3に例示したLUTにおいて、印字品質の評価値において閾値をBとした場合、印字濃度と印字品質の25通りの組合せのうち範囲101内の組合せ(つまり、評価値がA又はBの組合せ)が抽出される。
【0026】
次いで、プリンタ2の制御部21は、ステップS10で抽出された組合せのうち消費電力が最も低い組合せを選択する(ステップS12)。例えば、図3の範囲101の中では、消費電力:5である2つの組合せ(印字濃度:2,印字速度:2の組合せと、印字濃度:3,印字速度:2の組合せ)が選択される。これにより、印字品質が良好であり、かつ消費電力が低い印字濃度と印字速度の組合せが特定される。
【0027】
ここで、ステップS12で選択された組合せが2以上存在する場合には(ステップS14:YES)、プリンタ2の制御部21は、印字濃度が最も低い組合せを選択する(ステップS16)。例えば、図3に示した例では、印字濃度:2,印字速度:2の組合せが選択される。印字濃度が高い場合、サーマルヘッドに印加されるパルスが大きくなる傾向にあるため、相対的には消費電力が高いと考えられるためである。
ステップS14およびS16の処理によって印字濃度と印字速度の組合せが決定されたため、プリンタ2の制御部21は、当該組合せを設定して(ステップS18)、ラベルの発行を開始する。
【0028】
上述したように、本実施形態のプリンタシステム1によれば、プリンタ2は、印字品質の評価値が閾値以上となる印字濃度と印字速度の組合せの中で消費電力が低い組合せを選択して設定するため、印字品質と低消費電力を両立させることができる。すなわち、印字による消費電力を考慮しつつ最適な印字設定を行うことができる。
【0029】
なお、印字品質の評価値が閾値以上となる印字濃度と印字速度の組合せの中で、どのような消費電力の組合せを選択するかについては、ユーザが適宜決定することができる。
例えば、ステップS14では、ステップS12で選択された組合せが2以上存在する場合に、印字濃度が最も低い組合せを選択する場合について説明したが、その限りではない。ユーザにステップS12で選択された複数の組合せを提示して、当該複数の組合せの中からいずれかの組合せを選択させるように構成してもよい。
【0030】
(2)第2の実施形態
次に、本実施形態のプリンタシステム1Aについて、図5および図6を参照して説明する。
図5は、本実施形態のプリンタシステム1Aのシステム構成を示すブロック図である。図6は、本実施形態における印字評価データベースを模式的に示す図である。
【0031】
図5を参照すると、本実施形態のプリンタシステム1Aは、第1の実施形態のプリンタシステム1(図2参照)と比較して、プリンタ2Aが異なる。プリンタ2Aは、プリンタ2に対して温度センサ28をさらに備える。
【0032】
温度センサ28は、プリンタ2Aの雰囲気温度を検出するために設けられている。プリンタ本体において温度センサ28の設置される場所は問わないが、プリンタ2の雰囲気温度を正確に検出するために、温度センサ28は、プリンタ本体において発熱部位から離間した位置に設置されることが好ましい。例えば、温度センサ28は、プリンタ本体を構成する筐体の外表面近傍、筐体の内表面、回路基板上、もしくはラベルロールの近傍、インクリボンの近傍などに配置してもよい。
【0033】
図6に示すように、本実施形態で参照される印字評価データベースは、異なる温度(図示の例では、-30℃、25℃、60℃)での複数のLUT(図示の例では、3個のLUT)を含む。各データベースには、異なる印字濃度と異なる印字速度の組合せごとに印字品質の評価値と消費電力の値が記述されている。なお、図6では、3つの温度に対応するLUTが含まれる場合について例示したが、その限りではなく、温度の値や温度の数は適宜変更してもよい。
雰囲気温度が異なるとインクリボンの溶融特性が変化し、同一の印字濃度の設定であっても実際の印字濃度が変化する。また、雰囲気温度が低下すると、サーマルヘッドで発生する熱が周囲に奪われやすくなるため、印字速度によって印字品質が影響を受ける。そこで、本実施形態のプリンタシステム1Aでは、異なる温度での印字品質の評価値と消費電力を予め測定し、異なる温度ごとの複数のLUTを含む印字評価データベースを作成する。
【0034】
プリンタ2Aは、稼働する前に印字評価データベースをホストコンピュータ3から取得し、ストレージ22に保存する。稼働時には、プリンタ2の制御部21は、印字評価データベースを参照し、第1の実施形態で述べたのと同様に、印字濃度と印字速度を設定してラベルの発行を行う。このとき、制御部21は、印字評価データベースの中から温度センサ28で検出された雰囲気温度に近い温度のLUTを参照して、印字濃度と印字速度を選択し、設定する。
【0035】
本実施形態のプリンタシステム1Aによれば、雰囲気温度に応じて、印字による消費電力を考慮しつつ最適な印字設定を行うことができる。
【0036】
(3)第3の実施形態
次に、本実施形態のプリンタシステムについて、図7を参照して説明する。図7は、本実施形態における印字評価データベースを模式的に示す図である。
【0037】
本実施形態のプリンタシステムでは、印字評価データベースが第1の実施形態と異なる。図7に示すように、本実施形態の印字評価データベースには、複数の部品コードのラベルロールの各々と複数の部品コードのインクリボンの各々の組合せに対応したLUTが含まれる。各LUTは、図3に例示したように、異なる印字濃度と異なる印字速度の組合せごとに印字品質の評価値と消費電力の値が記述されている。ラベルロールとインクリボンの組合せごとに、異なる印字濃度と異なる印字速度の組合せごとに印字品質の評価を行い、かつ消費電力を測定することで、印字評価データベースが作成される。
なお、図7の印字評価データベースにおいて、図6と同様に、各ラベルロールと各インクリボンの組合せに対して、異なる温度に対応した複数のLUTを設けてもよい。
【0038】
本実施形態では、プリンタ2の制御部21は、プリンタ2に搭載されたラベルロールとインクリボンに応じたLUTを選択し、選択したLUTに基づいて印字濃度と印字速度を選択、設定する。プリンタ2に搭載されたラベルロールとインクリボンを決定するために、制御部21が、複数のラベルロールと複数のインクリボンの中から操作入力部23を介したユーザによる選択操作を受け入れる。
【0039】
本実施形態のプリンタシステムによれば、ラベルロールとインクリボンの適合性を加味した上で、印字による消費電力を考慮しつつ最適な印字設定を行うことができる。
【0040】
以上、本発明のプリンタ、プログラム、および、プリンタの制御方法の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されない。また、上記の実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更が可能である。
【0041】
例えば、プリンタ2の制御部21は、サーマルヘッドに含まれる複数の発熱素子を複数のグループに分割し、各グループで異なるタイミングで発熱が行われるように制御してもよい(分割印字)。それにより、印字によるピーク電力を低減させることができる。すなわち、上述した各実施形態において、印字品質が良好で、かつ最も消費電力が低い印字濃度と印字速度の組合せが設定されるが、上記分割印字を採用することで、さらにピーク電力を低減させることができる。
【0042】
上述した各実施形態では、インクリボンを使用する熱転写プリンタを例にして説明したが、その限りではなく、感熱紙に印字する感熱式プリンタにも適用することができる。その場合、第3の実施形態では、複数の部品コードのラベルロールの各々に対してLUTが設定される。
【0043】
上述した各実施形態では、プリンタ2,2Aが例えば図4のフローチャートに示した処理を行って印字濃度と印字速度の組合せを選択する場合について説明したが、その限りではない。
ホストコンピュータ3のストレージ32が印字評価データベースを記憶し、制御部31が当該印字評価データベースを参照して、図4のフローチャートに示した処理を行ってもよい。その場合、ホストコンピュータ3は、印字濃度と印字速度の組合せを決定し、決定した組合せを含む設定コマンドをプリンタ2,2Aに送信する。プリンタ2,2Aは、受信した設定コマンドに含まれる印字濃度と印字速度の組合せを設定してラベルの発行を開始する。
あるいは、ホストコンピュータ3のストレージ32が印字評価データベースを記憶し、プリンタ2,2Aが図4のフローチャートに示した処理を行って印字濃度と印字速度の組合せを選択してもよい。その場合、プリンタ2,2Aは、図4のフローチャートに示した処理を実行する際に、ホストコンピュータ3に対して印字評価データベースを要求し、予め印字評価データベースを受信する。
【符号の説明】
【0044】
1,1A…プリンタシステム
2,2A…プリンタ
21…制御部
22,22A…ストレージ
23…操作入力部
24…表示部
25…モータ駆動部
26…ヘッド駆動部
27…通信部
3…ホストコンピュータ
31…制御部
32…ストレージ
33…通信部
NW…ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7