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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-09
(45)【発行日】2024-04-17
(54)【発明の名称】水処理設備及び沈殿池
(51)【国際特許分類】
   B01D 21/00 20060101AFI20240410BHJP
   B01D 21/24 20060101ALI20240410BHJP
   C02F 1/44 20230101ALI20240410BHJP
   C02F 3/12 20230101ALI20240410BHJP
【FI】
B01D21/00 D
B01D21/00 C
B01D21/24 G
C02F1/44 F
C02F3/12 S
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020035955
(22)【出願日】2020-03-03
(65)【公開番号】P2021137707
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100107478
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 薫
(74)【代理人】
【識別番号】100117972
【弁理士】
【氏名又は名称】河崎 眞一
(72)【発明者】
【氏名】矢次 壮一郎
(72)【発明者】
【氏名】永江 信也
(72)【発明者】
【氏名】小野 亮輔
【審査官】片山 真紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-147868(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0097136(US,A1)
【文献】特開2005-185958(JP,A)
【文献】特開2005-185957(JP,A)
【文献】特開2005-125291(JP,A)
【文献】特開昭49-009061(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D21/00-34
C02F1/44、3/00-34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機性排水を活性汚泥により生物処理する生物処理槽と、前記生物処理槽で生物処理された有機性排水から膜透過水を処理水として取り出す膜分離装置と、前記生物処理槽で生物処理された有機性排水から上澄み液を処理水として取り出す沈殿池とを備えている水処理設備であって、
前記沈殿池の底面に、汚泥を案内する汚泥案内路と、沈降した汚泥を前記汚泥案内路に導く汚泥導入孔と、を含む集泥排出装置を備え、
前記汚泥案内路の上流側から前記汚泥案内路に洗浄液を供給する洗浄液供給装置を備えている水処理設備。
【請求項2】
前記汚泥案内路は前記沈殿池に備えた汚泥ピットに向かうように複数設けられ、前記集泥排出装置は前記沈殿池で沈降した汚泥を各汚泥案内路に向けて案内する傾斜面をさらに含む請求項1記載の水処理設備。
【請求項3】
前記汚泥案内路は周面に前記汚泥導入孔が形成された多孔管で構成されている請求項2記載の水処理設備。
【請求項4】
有機性排水を活性汚泥により生物処理する生物処理槽と、前記生物処理槽で生物処理された有機性排水から膜透過水を処理水として取り出す膜分離装置と、前記生物処理槽で生物処理された有機性排水から上澄み液を処理水として取り出す沈殿池とを備えている水処理設備であって、
前記沈殿池の底面に、汚泥を案内する汚泥案内路と、沈降した汚泥を前記汚泥案内路に導く汚泥導入孔と、を含む集泥排出装置を備え、
前記汚泥案内路は前記沈殿池に備えた汚泥ピットに向かうように複数設けられ、前記集泥排出装置は前記沈殿池で沈降した汚泥を各汚泥案内路に向けて案内する傾斜面をさらに含み、
前記汚泥案内路は前記傾斜面が交差する谷線を含む凹部で構成され、前記凹部は前記汚泥導入孔が形成された板状体で被覆されている水処理設備。
【請求項5】
有機性排水を活性汚泥により生物処理する生物処理槽と、前記生物処理槽で生物処理された有機性排水から膜透過水を処理水として取り出す膜分離装置と、前記生物処理槽で生物処理された有機性排水から上澄み液を処理水として取り出す沈殿池とを備えている水処理設備であって、
前記沈殿池の底面に、汚泥を案内する汚泥案内路と、沈降した汚泥を前記汚泥案内路に導く汚泥導入孔と、を含む集泥排出装置を備え、
前記汚泥案内路は前記沈殿池に備えた汚泥ピットに向かうように複数設けられ、前記集泥排出装置は前記沈殿池で沈降した汚泥を各汚泥案内路に向けて案内する傾斜面をさらに含み、
前記汚泥案内路は前記沈殿池の底面に形成された汚泥案内溝で構成され、前記汚泥案内溝は前記汚泥導入孔が形成された板状体で被覆されている水処理設備。
【請求項6】
生物処理槽で生物処理された有機性排水から上澄み液を処理水として取り出す沈殿池であって、
天井が前記生物処理槽の床となるように前記生物処理槽の下層に設置され、
底面に汚泥を案内する汚泥案内路と、沈降した汚泥を前記汚泥案内路に導く汚泥導入孔と、を含む集泥排出装置を備えている沈殿池。
【請求項7】
前記汚泥案内路は前記沈殿池に備えた汚泥ピットに向かうように複数設けられ、前記集泥排出装置は前記沈殿池で沈降した汚泥を各汚泥案内路に向けて案内する傾斜面をさらに含む請求項記載の沈殿池。
【請求項8】
前記汚泥案内路に洗浄液を供給する洗浄液供給装置を備えている請求項または記載の沈殿池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水処理設備及び沈殿池に関する。
【背景技術】
【0002】
都市部で多く採用されている合流式下水処理設備は、雨水と汚水の双方を共用の下水管渠で搬送する設備であり、原水である汚水が流入する最初沈殿池と、嫌気槽と無酸素槽と好気槽を備えて嫌気無酸素好気法が行なわれる生物処理槽と、生物処理後の処理水から活性汚泥を沈殿分離する最終沈殿池を備えた活性汚泥法(UCT法またはA2O法と称される。)による有機性排水処理装置が設けられていた。
【0003】
従来の有機性排水処理装置では、雨天時に生物処理槽及び最終沈殿池の処理能力を超えた大量の汚水が一時に流入すると、最初沈殿池で固形分を沈殿除去した汚水を、その後の生物処理槽での処理を経ることなく簡易放流するように運転されていた。
【0004】
そこで、特許文献1には、窒素濃度の高い有機性汚水を、浸漬型膜分離装置を設置した反応槽内で生物処理する膜分離活性汚泥法(MBR:Membrane Bio Reactor)を採用した有機性排水処理装置が開示されている。
【0005】
当該有機性排水処理装置は、従来の最終沈殿池に替えて浸漬型膜分離装置を用いることにより、晴天または雨天の何れであっても処理水の水質の向上を図ることができ、さらに設備の小型化を図ることができる有機性排水処理装置として注目されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2001-62481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、膜分離活性汚泥法は膜の単位面積当たりのろ過水量に上限があるため、雨天時などの流量が急増するピークに合わせて全量をろ過可能なように施設設計を行うと過剰な設備投資となり費用対効果が低くなる虞があった。
【0008】
そこで、本願出願人は、有機性排水の流入量や処理負荷の変動にかかわらず、膜分離活性汚泥法を採用した有機性排水処理装置の施設容量を抑制しながら、適切に処理された処理水を放流可能な有機性排水処理装置を提案している(特願2018-182939号)。
【0009】
図1(a),(b)に示すように、当該水処理設備100は、好気処理と嫌気処理とを切り替え可能な兼用槽11と、硝化脱窒処理を行い槽内に浸漬配置された膜分離装置15により処理水を膜透過液として取り出す膜分離活性汚泥処理槽12と、最終沈澱池7などを備えて構成され、つまりハイブリッドMBRを採用した有機性排水処理装置である。
【0010】
図1(a)に示すように、晴天時には、有機性排水を兼用槽10に供給して嫌気処理した後に膜分離活性汚泥処理槽12にて硝化脱窒処理を行い、膜分離活性汚泥処理槽12に配置された膜分離装置15からの膜透過液を処理水として取り出す第1運転モードで運転し、図1(b)に示すように、雨天時には、有機性排水を兼用槽10に供給して好気処理(初期吸着処理)した後の混合液を膜分離活性汚泥処理槽12と最終沈澱池7とに供給し、膜分離活性汚泥処理槽12にて硝化脱窒処理を行い膜分離活性汚泥処理槽12に配置された膜分離装置15からの膜透過液を処理水として取り出すとともに、最終沈澱池7からの固液分離液を処理水として取り出す第2運転モードで運転する。
【0011】
初期吸着とは、活性汚泥中の好気性微生物が分泌する粘着性のゼラチン物質によって有機排水中の微粒子及び溶解性有機物が活性汚泥の表面に物理吸着される現象、及び物理吸着した有機物が速やかに微生物に取り込まれる生物吸着現象をいい、活性汚泥と有機性排水が接触した後、数十分でBODが大きく減少する。
【0012】
晴天時のように有機性排水の処理量が定常的な量である場合には、有機性排水処理装置を第1運転モードで運転し、雨天時のように有機性排水の処理量が過剰に増加するような場合には、有機性排水処理装置を第2運転モードで運転することにより、膜分離装置の設置台数を有機性排水のピーク水量に対応させるような過剰投資を回避することができるようになる。
【0013】
しかし、上述したハイブリッドMBRを採用した水処理設備100では、最終沈殿池を備える必要がない膜分離活性汚泥法(MBR)に比べて雨天時のみ使用する沈殿池をさらに構築する必要があるため、設備工事費が嵩む虞があった。特に償却期間が15年と短い機械工事設備費の影響が大きく、メンテナンスコストも含めて汚泥掻き寄せ機のコストが際立っていた。
【0014】
これはハイブリッドMBRを採用した沈殿池に限るものではなく、他の沈殿池でも同様の虞が生じていた。
【0015】
本発明の目的は、最終沈殿池のコストを効果的に抑制可能な水処理設備及び沈殿池を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述の目的を達成するため、本発明による水処理設備の第一の特徴構成は、有機性排水を活性汚泥により生物処理する生物処理槽と、前記生物処理槽で生物処理された有機性排水から膜透過水を処理水として取り出す膜分離装置と、前記生物処理槽で生物処理された有機性排水から上澄み液を処理水として取り出す沈殿池とを備えている水処理設備であって、前記沈殿池の底面に、汚泥を案内する汚泥案内路と、沈降した汚泥を前記汚泥案内路に導く汚泥導入孔と、を含む集泥排出装置を備え、前記汚泥案内路の上流側から前記汚泥案内路に洗浄液を供給する洗浄液供給装置を備えている点にある。
【0017】
沈殿池に沈降した汚泥が沈殿池の底面に備えた集泥排出装置によって集泥排出される。沈降した汚泥が汚泥導入孔を介して沈殿池の底面に備えた汚泥案内路に導かれ、汚泥案内路に沿って汚泥が沈殿池から集泥排出される。当該集泥排出装置は従来の汚泥掻き寄せ機のような機械的な可動部を備えていないため、長期にわたって特別なメンテナンス作業が不要になり、初期コストもメンテナンスコストも大きく低減できる。そして、汚泥案内路に汚泥が滞留する場合であっても、洗浄液供給装置によって汚泥案内路の上流側から供給される洗浄液により容易に洗浄できる。
【0018】
同第二の特徴構成は、上述した第一の特徴構成に加えて、前記汚泥案内路は前記沈殿池に備えた汚泥ピットに向かうように複数設けられ、前記集泥排出装置は前記沈殿池で沈降した汚泥を各汚泥案内路に向けて案内する傾斜面をさらに含む点にある。
【0019】
沈殿池で沈降した汚泥が傾斜面に沿って汚泥案内路に向けて案内され、汚泥導入孔を介して汚泥案内路に導かれる。汚泥案内路に導かれた汚泥は液分とともに汚泥ピットに向けて集泥排出される。
【0020】
同第三の特徴構成は、上述した第二の特徴構成に加えて、前記汚泥案内路は周面に前記汚泥導入孔が形成された多孔管で構成されている点にある。
【0021】
周面に形成された汚泥導入孔から汚泥が液分とともに多孔管に導かれて汚泥ピットに向けて集泥排出される。
【0022】
同第四の特徴構成は、有機性排水を活性汚泥により生物処理する生物処理槽と、前記生物処理槽で生物処理された有機性排水から膜透過水を処理水として取り出す膜分離装置と、前記生物処理槽で生物処理された有機性排水から上澄み液を処理水として取り出す沈殿池とを備えている水処理設備であって、前記沈殿池の底面に、汚泥を案内する汚泥案内路と、沈降した汚泥を前記汚泥案内路に導く汚泥導入孔と、を含む集泥排出装置を備え、前記汚泥案内路は前記沈殿池に備えた汚泥ピットに向かうように複数設けられ、前記集泥排出装置は前記沈殿池で沈降した汚泥を各汚泥案内路に向けて案内する傾斜面をさらに含み、前記汚泥案内路は前記傾斜面が交差する谷線を含む凹部で構成され、前記凹部は前記汚泥導入孔が形成された板状体で被覆されている点にある。
【0023】
沈殿池に沈降した汚泥が沈殿池の底面に備えた集泥排出装置によって集泥排出される。沈降した汚泥が汚泥導入孔を介して沈殿池の底面に備えた汚泥案内路に導かれ、汚泥案内路に沿って汚泥が沈殿池から集泥排出される。当該集泥排出装置は従来の汚泥掻き寄せ機のような機械的な可動部を備えていないため、長期にわたって特別なメンテナンス作業が不要になり、初期コストもメンテナンスコストも大きく低減できる。そして、板状体に形成された汚泥導入孔から、傾斜面が交差する谷線を含む凹部で構成される汚泥案内路に、汚泥が液分とともに導かれて汚泥ピットに向けて集泥排出される。
【0024】
同第五の特徴構成は、有機性排水を活性汚泥により生物処理する生物処理槽と、前記生物処理槽で生物処理された有機性排水から膜透過水を処理水として取り出す膜分離装置と、前記生物処理槽で生物処理された有機性排水から上澄み液を処理水として取り出す沈殿池とを備えている水処理設備であって、前記沈殿池の底面に、汚泥を案内する汚泥案内路と、沈降した汚泥を前記汚泥案内路に導く汚泥導入孔と、を含む集泥排出装置を備え、前記汚泥案内路は前記沈殿池に備えた汚泥ピットに向かうように複数設けられ、前記集泥排出装置は前記沈殿池で沈降した汚泥を各汚泥案内路に向けて案内する傾斜面をさらに含み、前記汚泥案内路は前記沈殿池の底面に形成された汚泥案内溝で構成され、前記汚泥案内溝は前記汚泥導入孔が形成された板状体で被覆されている点にある。
【0025】
沈殿池に沈降した汚泥が沈殿池の底面に備えた集泥排出装置によって集泥排出される。沈降した汚泥が汚泥導入孔を介して沈殿池の底面に備えた汚泥案内路に導かれ、汚泥案内路に沿って汚泥が沈殿池から集泥排出される。当該集泥排出装置は従来の汚泥掻き寄せ機のような機械的な可動部を備えていないため、長期にわたって特別なメンテナンス作業が不要になり、初期コストもメンテナンスコストも大きく低減できる。そして、板状体に形成された汚泥導入孔から液分とともに汚泥案内溝に流入した汚泥が汚泥ピットに向けて集泥排出される。
【0026】
本発明による沈殿池の第一の特徴構成は、生物処理槽で生物処理された有機性排水から上澄み液を処理水として取り出す沈殿池であって、天井が前記生物処理槽の床となるように前記生物処理槽の下層に設置され、底面に汚泥を案内する汚泥案内路と、沈降した汚泥を前記汚泥案内路に導く汚泥導入孔と、を含む集泥排出装置を備えている点にある。
【0027】
天井が生物処理槽の床となるように生物処理槽の下層に設置された沈殿池では、処理液を引き抜く以外にメンテナンス空間を確保することが困難である。そのような沈殿池であっても、沈降した汚泥が汚泥導入孔を介して沈殿池の底面に備えた汚泥案内路に導かれ、汚泥案内路に沿って汚泥が沈殿池から集泥排出される。そして、当該集泥排出装置は従来の汚泥掻き寄せ機のような機械的な可動部を備えていないため、長期にわたって特別なメンテナンス作業が不要になり、初期コストもメンテナンスコストも大きく低減できる。
【0028】
同第二の特徴構成は、上述した第一の特徴構成に加えて、前記汚泥案内路は前記沈殿池に備えた汚泥ピットに向かうように複数設けられ、前記集泥排出装置は前記沈殿池で沈降した汚泥を各汚泥案内路に向けて案内する傾斜面をさらに含む点にある。
【0029】
沈殿池で沈降した汚泥が傾斜面に沿って汚泥案内路に向けて案内され、汚泥導入孔を介して汚泥案内路に導かれる。汚泥案内路に導かれた汚泥は液分とともに汚泥ピットに向けて集泥排出される。
【0030】
同第三の特徴構成は、上述した第一または第二の特徴構成に加えて、前記汚泥案内路に洗浄液を供給する洗浄液供給装置を備えている点にある。
【0031】
汚泥案内路に汚泥が滞留する場合であっても、洗浄液供給装置から供給される洗浄液により容易に洗浄できる。
【発明の効果】
【0032】
以上説明した通り、本発明によれば、最終沈殿池のコストを効果的に抑制可能な水処理設備及び沈殿池を提供することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】(a)は晴天時の運転方法を示す水処理設備の説明図、(b)は雨天時の運転方法を示す水処理装置の説明図
図2】(a)は本発明による沈殿池の縦断面図、(b)は図2(a)のA-A線断面図、(c)は多孔管の説明図
図3】集泥排出装置及び洗浄液供給装置の説明図
図4】沈殿池の運転手順の説明図
図5】(a)から(d)は別実施形態を示す集泥排出装置の説明図
図6】(a)から(c)は別実施形態を示す集泥排出装置の説明図
図7】(a)は天井が他の処理槽の床となるように他の処理槽の下層に設置された沈殿池の説明図、(b)は底面が水平に構成された沈殿池の説明図
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明による水処理設備及び沈殿池を、図面に基づいて説明する。
[水処理設備の構成]
図1(a),(b)に示すように、ハイブリッドMBRを採用した水処理設備100は、下水などの有機性排水を原水として導入して生物処理により浄化して河川などに放流するための装置であり、最初沈澱池10と、好気処理と嫌気処理とを切り替え可能な兼用槽11と、硝化脱窒処理を行い槽内に浸漬配置された膜分離装置15により処理水を膜透過液として取り出す膜分離活性汚泥処理槽12と、最終沈澱池7と、消毒槽8などを備えて構成されている。兼用槽11および膜分離活性汚泥処理槽12により生物処理槽が構成され、生物処理槽および最終沈澱池7などの処理槽はコンクリート躯体で構成されている。
【0035】
兼用槽11には撹拌装置及び散気装置が設けられ、当該散気装置の作動時に槽内が好気状態に調整されて好気槽として機能し、当該散気装置の停止時に槽内が嫌気状態に調整され撹拌装置が作動する嫌気槽として機能する。また、最終沈澱池7が本発明の沈殿池7として機能し、当該沈殿池7には沈澱効率の向上のために傾斜板7Aを備えている。
【0036】
当該水処理設備100には、さらに、兼用槽11へ有機性排水を供給する原水供給経路1と、兼用槽11から膜分離活性汚泥処理槽12へ混合液を送る第1混合液経路2と、兼用槽11から沈殿池7へ混合液を送る第2混合液経路3と、膜分離活性汚泥処理槽12から兼用槽11へ混合液を返送する第3混合液経路4と、沈殿池7から膜分離活性汚泥処理槽12へ混合液を返送する第4混合液経路5を備えている。すなわち、第4混合液経路5は汚泥返送経路として機能する。
【0037】
膜分離活性汚泥処理槽12は、微生物によりBODを分解処理する生物処理槽であり、撹拌装置を備えた無酸素槽13及び散気装置を備えた好気槽14の2槽を備えて構成され、好気槽14に膜分離装置15が浸漬配置されている。好気槽14から無酸素槽13へ汚泥を返送する汚泥返送路6が設けられ、好気槽14でアンモニア性窒素が硝化処理された硝酸性窒素が、汚泥返送路6を介して無酸素槽13に返送されて脱窒処理が行なわれる。
【0038】
当該水処理設備100は、有機性排水を兼用槽1に供給して嫌気処理した後に膜分離活性汚泥処理槽12にて硝化脱窒処理を行い、膜分離活性汚泥処理槽12に配置された膜分離装置15からの膜透過液を処理水として取り出す第1運転モード(図1(a)参照)と、有機性排水を兼用槽10に供給して好気処理した後の混合液を膜分離活性汚泥処理槽12と沈殿池7とに供給し、膜分離活性汚泥処理槽12にて硝化脱窒処理を行い膜分離活性汚泥処理槽12に配置された膜分離装置15からの膜透過液を処理水として取り出すとともに、沈殿池7からの固液分離液を処理水として取り出す第2運転モード(図1(b)参照)との間で切り替えて運転するように構成されている。
【0039】
第1運転モードと第2運転モードとの間での運転モードの切替は、有機性排水の流量、COD負荷、NH-N負荷、膜間差圧、水温、水槽の水位の何れかを指標として行なわれる。例えば、有機性排水の流量が過剰に上昇する場合、膜分離装置40の膜間差圧が異常に上昇する場合、冬場など水温が低下して処理効率が低下する場合などに、第2運転モードで運転され、COD負荷、NH-N負荷が異常に上昇する場合に第1運転モードで運転されるように構成されている。
【0040】
図1(a)に示す第1運転モードでの運転時には、嫌気槽として機能する兼用槽11と、無酸素槽13及び好気槽14を備えた膜分離活性汚泥処理槽12とで、A2O処理が行なわれるUCT-MBRが構成される。
【0041】
例えば、原水供給経路1に備えた最初沈澱池10で固液分離された流量2Qの有機性排水(沈後水)が、兼用槽11で活性汚泥と混合された混合水となり、嫌気処理された後に、膜分離活性汚泥処理槽12の無酸素槽13で脱窒処理され、さらに好気槽14で好気処理された後に膜分離装置15により固液分離されて引抜かれ、最大流量2Qの透過水として河川などに放流される。
【0042】
好気槽14でアンモニア性窒素が硝化処理された混合水が汚泥返送路6を介して流量3Qの混合水として無酸素槽13に返送され、無酸素槽13で脱窒処理される。さらに無酸素槽13から兼用槽11に第3混合液経路4を介して流量1Qの混合水が返送され、兼用槽11でリンが吐き出される結果、流下した好気槽14で有機性排水に含まれるリンが過剰摂取され、膜透過水のリン濃度が大きく低減される。
【0043】
汚泥返送路6及び第3混合液経路4を介して好気槽14から兼用槽11に汚泥を段階的に返送することにより、好気槽14と比較して兼用槽11のMLSS濃度を大幅に引き下げることができる。図1(a)の例では、好気槽14のMLSS濃度10000mg/Lに対して無酸素槽13のMLSS濃度7500mg/L、兼用槽11のMLSS濃度3750mg/Lとなる。
【0044】
そして、図1(b)に示す第2運転モードでの運転時には、兼用槽11に備えた散気装置21を作動させて、兼用槽11を好気槽、ここでは初期吸着槽として機能させ、無酸素槽13及び好気槽14を備えた膜分離活性汚泥処理槽12で硝化脱窒処理が行なわれる。
【0045】
例えば、原水供給経路1に備えた最初沈澱池10で固液分離された流量3Q(第1運転モード時の有機性排水の流量2Qよりも多くなっている)の有機性排水(沈後水)は、兼用槽11で活性汚泥と混合された混合水となり、初期吸着処理された後にその半分の流量1.5Qが第1混合液経路2を介して膜分離活性汚泥処理槽12へ供給され、残り半分の流量1.5Qが第2混合液経路3を介して沈殿池7へ供給される。
【0046】
膜分離活性汚泥処理槽12では、上流側の無酸素槽13で脱窒処理され、好気槽14で好気処理された混合水のうち流量2Qが汚泥返送路6を介して無酸素槽13に返送され、さらに流量2Qの混合水が第3混合液経路4を介して無酸素槽13から兼用槽11に返送される。
【0047】
そして、好気槽14では膜分離装置15により固液分離された最大流量2Qの透過水が河川などに放流される。また、沈殿池7で固液分離された流量1Qの処理水は消毒槽8を経て河川などに放流され、流量0.5Qの混合水は返送汚泥として第4混合液経路5を介して膜分離活性汚泥処理槽12に返流される。
【0048】
膜分離活性汚泥処理槽12から兼用槽11に向けた汚泥の循環率を第1運転モード時より下げることにより兼用槽11のMLSS濃度をさらに下げることができ、初期吸着処理した汚泥の一部を沈殿池7に送ることにより、沈殿池7における固液分離性能を確保できるようになる。
【0049】
つまり、有機性排水の処理量または処理負荷が定常的な値である場合には、有機性排水処理装置100を第1運転モードで運転し、大量の降雨時など有機性排水の処理量または処理負荷が過剰に増加するような場合には、有機性排水処理装置100を第2運転モードで運転することにより、膜分離装置15の設置台数を有機性排水のピーク水量に対応させるような過剰投資を回避しつつも膜分離装置15に過剰な負荷を与えることなく、全体として処理水のBODやCOD負荷の低減を達成できるようになる。従って、有機性排水がピーク水量であっても膜分離装置15の透過水量を抑制できるようになり、膜の薬液洗浄頻度を低減できるようになる。
【0050】
[沈殿池の構成]
上述したように、沈殿池7は第1運転モードでは停止し、第2運転モードでのみ稼働するため、設備費やメンテナンス費の低減のために一般的に沈殿池7に備えられる汚泥掻き寄せ機に代えて集泥排出装置70が設けられている。以下、詳述する。
【0051】
図2(a),(b)に示すように、沈殿池7の基端側つまり汚水の流入側には汚泥ピット7Pが設けられ、汚泥ピット7Pに堆積した汚泥は上述した第4混合液経路(汚泥返送経路)5を介して膜分離活性汚泥処理槽12に返送されるように構成されている。そして沈殿池7の底面は汚泥ピット7Pに向けて下方に傾斜する傾斜底面に形成され、当該傾斜底面に集泥排出装置70が設けられている。
【0052】
集泥排出装置70は、汚泥を案内する複数の汚泥案内路71と、沈殿池7沈降した汚泥を汚泥案内路71に導く汚泥導入孔71hを備えている。汚泥案内路71は、傾斜底面の傾斜方向に沿う姿勢で所定間隔を隔てて互いに平行姿勢となるように複数本(本実施形態では4本)配されている。
【0053】
沈殿池7の底面は、汚泥ピット7Pに向かう方向と交差する方向に凹凸を繰り返し、各凹部7Bおよび凸部7Cが傾斜方向に沿って延在する凹凸床面に形成され、凹部7Bの谷線に沿うように汚泥案内路71が配されている。凸部7Cの頂部である稜線は汚泥の堆積を回避するために平坦ではなく先鋭な形状に形成されることが好ましい。
【0054】
図2(c)に示すように、汚泥案内路71はステンレス鋼などの耐腐食性の金属材料を用いた板状体を曲げ加工した管体で構成され、汚泥ピット7P側の端部が開口され他端が閉口されている。管体の周面には複数の汚泥導入孔71hが形成されている。すなわち、汚泥案内路71は周面に汚泥導入孔71hが形成された多孔管で構成され、汚泥引抜管として機能する。
【0055】
本実施形態では、沈殿池7の横幅は600~800cm、底面の汚泥ピット7Pに向かう傾斜角度は水平面に対して0~3度、凹凸床面の凹凸ピッチは150~200cm、傾斜面7Fの水平面に対する傾斜角度は45~60度程度に設定されている。なお、これらの値は特に限定されるものではなく、適宜設定すればよい値である。
【0056】
汚泥返送用のポンプにより引き抜かれる際の汚泥案内路71内の流速が0.1m/sec.以上1.0m/sec.以下となるように管径が設定され、汚泥導入孔71hから0.05m/sec.以上の通過流速で汚泥が流入するように汚泥導入孔71hの孔径及び開口率が設定されている。なお本実施形態における開口率とは、管体71の表面積に占める汚泥導入孔71hの合計面積の割合のことである。本実施形態では、汚泥導入孔71hの孔径は10mm程度に設定され、開口率が最大40%に設定されている。なお汚泥の閉塞リスクを考慮すると、管径は80mm以上、孔径は3mm以上が望ましい。
【0057】
各汚泥導入孔71hからの汚泥の吸込み速度を0.05m/sec.以上に設定することにより吸込み抵抗をつけて、各汚泥導入孔71hから汚泥を均等に吸い込ませることができる。その一方で、汚泥案内路71の内部流速を低めに設定することで抵抗を低減させ、汚泥案内路71の上流側と下流側で吸込み量の大きな隔たりが生じ難いように設定することが好ましい。なお、管内部抵抗の影響に鑑み、汚泥の沈降量の多い下流側(汚泥ピット7P側)の方が汚泥導入孔71hの分布密度を大きくすることが好ましい。
【0058】
沈殿池7で凹凸床面に向けて沈降した汚泥は凹部7Bおよび凸部7Cを構成する傾斜面7Fに沿って汚泥案内路71に案内され、汚泥導入孔71hを介して汚泥案内路71の内部に導かれる。液分とともに汚泥導入孔71hを介して流入する汚泥は汚泥案内路71に沿って汚泥ピット7Pに集泥排出される。集泥排出装置70は従来の汚泥掻き寄せ機のような機械的な可動部を備えていないため、長期にわたって特別なメンテナンス作業が不要になり、初期コストもメンテナンスコストも大きく低減できる。
【0059】
図3に示すように、汚泥案内路71の開口端部が合流管5Tを介して汚泥返送経路である第4混合液経路5に接続され、第4混合液経路5の合流部より汚泥ピット7P側および合流管5Tに電動弁V1,V2が設けられている。
【0060】
ポンプの稼働時に電動弁V1,V2の開閉を切り替えることにより、汚泥ピット7Pからの汚泥の返送と、汚泥案内路71からの汚泥の返送を切り替えることが好ましい。汚泥案内路71の内部に水路(みずみち)が生じた場合でも、一時的に汚泥の引き抜きを停止することにより、発生した水路が消失し、高濃度の汚泥を引き抜くことができるようになる。
【0061】
第4混合液経路(汚泥返送経路)5の合流部より下流側にMLSS濃度計Gを設置して、計測したMLSS濃度に基づいて電動弁V1,V2の切替時期を調整することで、返送汚泥のMLSS濃度を適切に調整することができる。
【0062】
汚泥案内路71の上流側から汚泥案内路71に洗浄液を供給する洗浄液供給装置9を備えている。洗浄液供給装置9は、沈殿池7の上澄みを処理水として取り出して貯留するタンク90と、タンク90に貯留された処理水を洗浄液として供給する洗浄ポンプ91と、給液管92などを備えている。
【0063】
給液管92を介して汚泥案内路71に洗浄液を供給することにより、汚泥導入孔71hを逆洗浄することで詰まりを解消することができ、また第2運転モードから第1運転モードに移行する際に汚泥案内路71からの汚泥の返送と同時に給液管92からの洗浄液の供給を行なうことにより汚泥案内路71の清掃ができるようになる。
【0064】
なお、複数の汚泥案内路71と合流管5Tとの接続は汚泥返送ヘッダー管を介して行なわれ、複数の汚泥案内路71と給液管92との接続は洗浄液ヘッダー管を介して行なわれる。
【0065】
給液管92に分岐管93を接続し、其々に電動弁V3,V4を取り付けて、傾斜板7Aの上方に設置した傾斜板洗浄装置93にタンク90の洗浄液を選択的に供給するように構成してもよい。例えば、第2運転モードから第1運転モードに移行する際に汚泥案内路71の清掃が完了し、沈殿池7の汚泥が引き抜かれる際に、傾斜板7Aが液面から露出した時期に傾斜板洗浄装置93から傾斜板7Aに洗浄液を吹き付けることで傾斜板7Aに堆積した汚泥や傾斜板7Aに繁殖した藻類を除去することができる。
【0066】
図4(a)から(f)には、第1運転モード中の待機状態から第2運転モードに移行し、さらに待機状態に移行する一連の流れが示されている。
沈殿池7から汚泥が引き抜かれてクリーニングされた待機状態から(図4(a)参照。)第2運転モードに移行すると、沈殿池7に汚泥が流入して沈殿処理が実行され、上澄みが処理水として引き抜かれるとともに、沈降した汚泥は集泥排出装置70により集泥排出され、第4混合液経路5を介して生物処理槽に返送される(図4(b)参照。)。
【0067】
一定時間が経過して第2運転モードを終了すると沈殿池7の汚泥の全量が第4混合液経路5を介して生物処理槽に引き抜かれ(図4(c)参照。)、必要に応じて洗浄液供給装置9(図3参照。)を介して洗浄液が供給されて(図4(d)参照。)、沈殿池7が洗浄された後に第1運転モード中の待機状態となる。
【0068】
再び第2運転モードに移行すると、沈殿池7に汚泥が流入して沈殿処理が実行され、上澄みが処理水として引き抜かれるとともに、沈降した汚泥は集泥排出装置70により集泥排出され、第4混合液経路5を介して生物処理槽に返送され(図4(e)参照。)、その後再び第1運転モード中の待機状態となる(図4(f)参照。)。
【0069】
以上説明したように、本発明による沈殿池7は、し渣が入念に除去され、生物処理槽のMLSS濃度の変動に対して強いMBR方式を採用したハイブリッドMBR方式の水処理設備に好適である。
【0070】
しかし、ハイブリッドMBR方式の水処理設備以外の設備に適用してもよい。
例えば、図7(a)に示すような、天井26が他の処理槽の床となるように他の処理槽の下層に設置されるような態様の沈殿池7にも適用できる。上述と同様に、沈殿池7の底面に汚泥を案内する汚泥案内路と、沈降した汚泥を汚泥案内路に導く汚泥導入孔とを備えた集泥排出装置70を備えればよい。
【0071】
他の処理槽として、脱窒処理を行なう無酸素槽13と、処理水を膜透過液として取り出す膜分離装置15を備え硝化処理を行なう第1好気槽14と、初期吸着処理を行なう第2好気槽11とを備えた構成が例示できる。仕切壁Wを介して上方空間に第1好気槽14が配置され、下方空間に無酸素槽13が配置されている。
【0072】
天井が他の処理槽の床となるように他の処理槽の下層に設置された沈殿池では、処理液を引き抜く以外にメンテナンス空間を確保することが困難である。そのような沈殿池であっても、沈降した汚泥が汚泥導入孔を介して沈殿池の底面に備えた汚泥案内路に導かれ、汚泥案内路に沿って汚泥が沈殿池から集泥排出される。そして、当該集泥排出装置は従来の汚泥掻き寄せ機のような機械的な可動部を備えていないため、長期にわたって特別なメンテナンス作業が不要になり、初期コストもメンテナンスコストも大きく低減できる。
【0073】
他の処理槽には他の沈殿池も含まれ、多階層沈殿設備の下方に設置される沈殿池にも同様に本発明を適用することができる。
【0074】
[別実施形態]
上述した実施形態では、汚泥案内路71が断面円形の管で構成され、周面に複数の汚泥導入孔71hが形成された例を説明したが、図5(a),(b)に示すように、上面に幅の狭いスリット71sが形成された板状体71bを備えた断面が円弧状の管71で構成してもよい。沈殿池7で沈降した汚泥がスリット71sを介して管71に流入し、集泥搬送される。沈殿池7の汚泥を抜き出して大掛かりなメンテナンスを行なう場合に、板状体71bが作業者の足場となる。なお本実施形態における開口率とは、板状体71bの面積に占めるスリット71sの面積の割合である。
【0075】
同様に、図5(c),(d)に示すように、上面に多数の汚泥導入孔71hが形成された板状体71bを備えた断面が円弧状の管71で構成してもよい。沈殿池7で沈降した汚泥が汚泥導入孔71hを介して管71に流入し、集泥搬送される。板状体71bとしてパンチングメタルが好適に用いられる。この態様も、沈殿池7の汚泥を抜き出して大掛かりなメンテナンスを行なう場合に、板状体71bが作業者の足場となる。なお本実施形態における開口率とは、板状体71bの面積に占める汚泥導入孔71hの合計面積の割合である。
【0076】
図6(a)に示すように、沈殿池7の底部に形成された凹凸床面の凹部7Bを覆うように上述したパンチングメタルのような板状体71bを設置し、板状体71bと凹部7Bの谷線側で囲まれた空間を汚泥案内路71として機能させてもよい。すなわち、汚泥案内路71は傾斜面7Fが交差する谷線を含む凹部7Bで構成され、凹部7Bは汚泥導入孔71hが形成された板状体71bで被覆されている。
【0077】
凹凸床面の断面形状は図2(b)に示すような直線直線状の斜面7Fである必要ななく、図6(b)に示すように、曲線状の斜面7Fを備えた凹凸床面であってもよい。
【0078】
また、図6(c)に示すように、凹凸床面の凹部7Bに断面矩形の汚泥案内溝を形成し、当該溝を覆うようにパンチングメタルのような板状体71bを設置し、板状体71bと溝部で囲まれた空間を汚泥案内路71として機能させてもよい。さらに、上述した何れかの態様を組み合わせてもよい。
【0079】
上述した実施形態は、沈殿池7の底面が汚泥ピット7Pに向けて下方に傾斜する傾斜底面に形成された例を説明したが、図7(b)に示すように、沈殿池7の底面が水平に形成されていてもよい。
【0080】
既存の沈殿池7は底面に沈降した汚泥が汚泥掻き寄せ装置によって汚泥ピット7Pに向けて掻き寄せるために汚泥ピット7Pに向けて下方に傾斜する傾斜底面に形成されている。そのため、既存の沈殿池7を改修するような場合には、底面の傾斜状態が維持される。
【0081】
しかし、新規に沈殿池7を構築する場合などでは、沈殿池7の底面を水平に形成してもよい。沈殿池7の底面を水平に形成する場合や、沈殿池7の底面を汚泥ピット7Pに向けて傾斜する傾斜面に形成する場合に底面の傾斜角度が小さい場合には、汚泥案内路71から汚泥を集泥するポンプを設ける必要がある。図3で説明したように、汚泥ピット71から汚泥を引き抜くポンプと汚泥案内路71から汚泥を集泥するポンプを兼用することが好ましいが、個々に設けてもよい。また、汚泥案内路71から汚泥ピット7Pに向けて汚泥を集泥するポンプを備えてもよい。
【0082】
上述した実施形態は本発明の一態様であり、該記載により本発明が限定されるものではなく、各部の具体的構成は本発明の作用効果が奏される範囲で適宜変更設計可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0083】
1:原水供給経路
2:第1混合液経路
3:第2混合液経路
4:第3混合液経路
5:第4混合液経路
6:汚泥返送路
7:沈殿池(最終沈澱池)
7A:傾斜板
7B:凹部
7C:凸部
8:消毒槽
9:洗浄液供給装置
10:最初沈澱池
11:兼用槽
12:無酸素槽
13:好気槽
14:膜分離装置
15:膜分離活性汚泥処理槽
70:集泥排出装置
71:汚泥案内路
71b:板状体
71h:汚泥導入孔
100:水処理設備

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7