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特許7469916ストロボ制御装置及び方法、撮像装置、プログラム、記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-09
(45)【発行日】2024-04-17
(54)【発明の名称】ストロボ制御装置及び方法、撮像装置、プログラム、記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   G03B 15/05 20210101AFI20240410BHJP
   H04N 23/66 20230101ALI20240410BHJP
   H04N 23/74 20230101ALI20240410BHJP
【FI】
G03B15/05
H04N23/66
H04N23/74
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020041220
(22)【出願日】2020-03-10
(65)【公開番号】P2021144090
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2023-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菅原 梓
【審査官】越河 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-197974(JP,A)
【文献】特開2010-185958(JP,A)
【文献】特開2019-197089(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0349505(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 15/05
H04N 23/66
H04N 23/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置の露光期間が終了するタイミングに応じて発光するようにストロボを制御するストロボ制御装置であって、
前記ストロボと無線通信する無線通信手段と、
前記撮像装置の露光期間中において、前記無線通信手段を制御して、前記ストロボに定期的にビーコン信号を送信する制御手段と、
を備え
前記無線通信手段は、前記露光期間の終了の直前に前記ビーコン信号を停止し、発光トリガ信号を前記ストロボに送信することを特徴とするストロボ制御装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記露光期間の開始の直前に前記ビーコン信号を停止し、前記露光期間が開始された後に前記ビーコン信号の送信を再開し、前記露光期間の終了の直前に前記ビーコン信号を再び停止し、発光トリガ信号を前記ストロボに送信することを特徴とする請求項1に記載のストロボ制御装置。
【請求項3】
前記ビーコン信号の送信の再開は前記露光期間が所定の時間より長い場合に行われることを特徴とする請求項に記載のストロボ制御装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記撮像装置からの通知に基づいて、前記ビーコン信号の停止のタイミングを設定することを特徴とする請求項またはに記載のストロボ制御装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記撮像装置で設定されたシャッタースピードの値に基づいて、前記露光期間の終了の直前における前記ビーコン信号の停止のタイミングを設定することを特徴とする請求項またはに記載のストロボ制御装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記撮像装置のレリーズスイッチのオンが解除されたタイミングに基づいて、前記露光期間の終了の直前における前記ビーコン信号の停止のタイミングを設定することを特徴とする請求項またはに記載のストロボ制御装置。
【請求項7】
前記撮像装置に接続されるトランスミッターであることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のストロボ制御装置。
【請求項8】
前記撮像装置に接続される、前記ストロボとは異なる第2のストロボであることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のストロボ制御装置。
【請求項9】
請求項1乃至のいずれか1項に記載のストロボ制御装置を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項10】
撮像装置の露光期間が終了するタイミングに応じて発光するようにストロボを制御するストロボ制御方法であって、
前記ストロボと無線通信する無線通信工程と、
前記撮像装置の露光期間中において、前記無線通信工程を制御して、前記ストロボに定期的にビーコン信号を送信する制御工程と、
を有し、
前記無線通信工程では、前記露光期間の終了の直前に前記ビーコン信号を停止し、発光トリガ信号を前記ストロボに送信することを特徴とするストロボ制御方法。
【請求項11】
コンピュータを、請求項1乃至のいずれか1項に記載のストロボ制御装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項12】
コンピュータを、請求項1乃至のいずれか1項に記載のストロボ制御装置の各手段として機能させるためのプログラムを記憶したコンピュータが読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はストロボを制御する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、撮像装置との無線通信により制御される閃光装置(ワイヤレスストロボ)が知られている。ワイヤレスストロボは有線接続のストロボよりも設置が容易であるという利点がある。一方で、有線通信よりも信頼性が低いことや遅延が大きいことについて対処する必要がある。
【0003】
特許文献1には、発光タイミングを指示するタイミング情報を撮像装置からワイヤレスストロボに複数回送信することにより、通信の信頼性を確保する技術が開示されている。また、特許文献1では、複数回送信されるタイミング情報のうち、どのタイミング情報に基づいてもワイヤレスストロボが同じタイミングで発光するように、タイミング情報ごとに、指示する発光タイミングを異ならせている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-185961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
シャッタースピードまたは露光期間が撮影前に決まっていれば、通信に要する遅延や、シャッターの動作タイミングなどを考慮して発光タイミングを指示することにより、特許文献1に開示された方法でシャッターに同期させて発光させることが可能である。特許文献1に開示された方法では、フォーカルプレーンシャッター、または電子シャッターの組み合わせにおいて、先幕が全開した直後にストロボを発光させる先幕同期発光制御、および、後幕が閉じる直前にストロボを発光させる後幕同期発光制御を実現できる。
【0006】
しかしながら、電波制御による後幕同期発光制御では、発光シーケンス開始から発光終了までの動作がシャッターの後幕が閉じるタイミングに連動する。そのため、長時間露光が行われた場合、露光が開始されてから後幕が閉じる直前の発光タイミングまでの間に通信装置とワイヤレスストロボとの通信リンクが切れてしまい、ワイヤレスストロボを後幕に同期して発光させることができない場合がある。
【0007】
具体的には、撮像装置の撮影開始の合図からワイヤレスストロボ発光終了までの間は、通信装置はワイヤレスストロボに対して充電完了情報の取得、発光量設定の通知、発光トリガ設定をずれなく指示する必要がある。そのため、ビーコンパケットの発行を停止している。
【0008】
ビーコンとは、通信装置とワイヤレスストロボの通信を確保するための信号で、通常、通信装置の送信側が例えば1秒間隔で定期的にビーコンパケットを発行し、ワイヤレスストロボが受信することでリンクを保持している。ワイヤレスストロボは、所定の時間、例えば、5秒以内に1回もビーコンを受信できなければリンクが切れる仕様である。そのため、露光時間が5秒を超えるような長秒となった場合、リンク切れが発生し、ワイヤレスストロボは後幕に同期して発光することができない。
【0009】
本発明は上述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、無線でストロボを制御する場合に、発光制御の確実性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係わるストロボ制御装置は、撮像装置の露光期間が終了するタイミングに応じて発光するようにストロボを制御するストロボ制御装置であって、前記ストロボと無線通信する無線通信手段と、前記撮像装置の露光期間中において、前記無線通信手段を制御して、前記ストロボに定期的にビーコン信号を送信する制御手段と、を備え、前記無線通信手段は、前記露光期間の終了の直前に前記ビーコン信号を停止し、発光トリガ信号を前記ストロボに送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、無線でストロボを制御する場合に、発光制御の確実性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1の実施形態に係わるストロボ制御カメラシステムの模式図。
図2】カメラとトランミッターの模式的な垂直断面図および背面図。
図3図2に示したカメラとトランスミッターの機能構成例を示すブロック図。
図4】ワイヤレスストロボの構成を示す模式図。
図5】ワイヤレスストロボの構成を示すブロック図。
図6】発光制御方法の選択処理を示すフローチャート。
図7】第1の実施形態におけるカメラの後幕同期発光撮影動作のフローチャート。
図8】第1の実施形態におけるトランスミッターの後幕同期発光撮影動作のフローチャート。
図9】第1の実施形態におけるストロボの後幕同期発光撮影動作のフローチャート。
図10図7図9のフローチャートに対応するタイミングチャート。
図11】第2の実施形態におけるカメラの後幕同期発光撮影動作のフローチャート。
図12図11のフローチャートに対応するタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0014】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係わるストロボ制御カメラシステムを示す模式図である。本実施形態のストロボ制御カメラシステムは、デジタル一眼レフレックスカメラ(以下、カメラと称する)100と、カメラ100に直接接続される通信装置(以下、トランスミッターと称する)500と、カメラ100から独立したストロボ(閃光装置)300とから構成されるワイヤレスストロボシステムである。
【0015】
カメラ100の外部アクセサリ装着部111と直接接続されるトランスミッター500は、外部アクセサリ装着部111を介してカメラ100と相互通信可能であり、無線通信回路及び無線アンテナを内蔵している。一方、カメラ100とは独立したストロボ300も、トランスミッター500と同様に、無線通信回路及び無線アンテナを内蔵している。トランスミッター500とストロボ300とは、既知の無線通信規格であるIEEE802.15.4等の方法によって無線通信を行う。
【0016】
図1は、写真スタジオでのストロボ撮影を想定しており、被写体401、スクリーン402に対して、カメラ100が三脚403により固定されている様子を示している。本実施形態では、カメラ100に接続されたトランスミッター500がマスター機器となり、カメラ100から独立したストロボ300がスレーブ機器となって、カメラ100のシャッタータイミングにストロボ300の発光タイミングを同期させる。これにより、ストロボ同調撮影を行う。
【0017】
なお、本実施形態では、カメラ100に接続されるトランスミッター500をマスターとして説明しているが、トランスミッター500の代わりに、無線通信可能なストロボをマスターとして用いることも可能である。また、カメラ自身が無線通信回路及び無線アンテナを内蔵し、無線通信可能であれば、カメラをマスターとしてストロボ300に直接無線通信で指示を送るようにしてもよい。
【0018】
図2は、本実施形態におけるカメラ100およびトランスミッター500の模式的な垂直断面図(光軸を含む鉛直断面図)および背面図である。なお、図2においては、カメラ100が有する構成のうち、実施形態の説明に必要な構成を示している。
【0019】
カメラ100と撮影レンズ200は、マウント105を介して接続されており、撮影レンズ200はカメラ100から取り外し可能な交換レンズである。撮影レンズ200はレンズ群208を有し、撮像素子101の撮像面に被写体の光学像を形成する。
【0020】
撮像素子101は、例えばCMOSイメージセンサであり、2次元状に配列された複数の光電変換素子を有する。撮像素子101は、撮影レンズ200が形成した光学像を複数の光電変換素子で電気信号(画像信号)に変換する。撮像素子101の感度を変更することにより、同一受光量に対する電気信号の量(電圧値)を変更することができる。
【0021】
シャッター102は、撮像素子101の前方に配置され、上下に走行する先幕と後幕とを有する。先幕は第1幕、後幕は第2幕とも呼ばれる。光路を遮断している状態を全閉、光路を開放している状態を全開とすると、後幕が全開、先幕が全閉の状態から、先幕を開く方向に走行させると、撮像素子101の露光が開始される。その後、所定時間経過後、後幕を全閉とすると、撮像素子101の露光が終了する。露光時間が短くなると、先幕が全開になる前に後幕の走行を開始させ、先幕と後幕との間に形成されるスリット状の開口によって撮像素子101を露光する。
【0022】
カメラマイコン104は、例えばプログラマブルプロセッサとメモリとを有し、不揮発性メモリに記憶されたプログラムをシステムメモリに読み込んで実行することにより、カメラ100および撮影レンズ200、外部アクセサリの動作を制御する。
【0023】
撮影レンズ200のレンズ制御部206は、例えばプログラマブルプロセッサとメモリとを有し、不揮発性メモリに記憶されたプログラムをシステムメモリに読み込んで実行することにより、撮影レンズ200の動作を制御する。撮影レンズ200の動作には、絞り207の駆動や、レンズ群208に含まれる可動レンズの駆動などが含まれる。可動レンズにはフォーカスレンズや変倍レンズなどが含まれる。レンズ制御部206は、マウント105を通じてカメラマイコン104と通信可能であり、カメラマイコン104からの指示や要求に応じて撮影レンズ200の動作を制御したり、撮影レンズ200の情報をカメラマイコン104に送信したりする。
【0024】
カメラマイコン104は、例えば撮像素子101で撮影した画像の輝度情報に基づいて、露出制御値(絞り値、シャッタースピード、撮影感度)を決定する自動露出制御(以下AE)を実行することができる。また、カメラマイコン104は、撮像素子101で撮影した画像のコントラスト情報に基づいて、撮像範囲内の所定領域に合焦するように撮影レンズ200の合焦距離を制御する自動焦点調節(以下AF)を実行することができる。
【0025】
なお、カメラマイコン104がAEおよびAFを実現するための構成はこれらに限定されず、AE用のセンサやAF用のセンサを用いる構成など、公知の任意の構成を用いることができる。
【0026】
表示部103は液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどからなり、撮像素子101で撮影した画像を表示したり、カメラ100の情報(各種の設定値、電池残量、記録可能枚数など)を表示したり、GUIを表示したりする。表示部103はタッチディスプレイであってもよい。
【0027】
モード選択部109は、カメラ100の撮影モードを選択するための操作部材である。撮影モードとは、露出制御値の設定方法が異なるモードであり、絞り優先モード、シャッタースピード優先モード、プログラムモード、オートモードなどがある。また、動体の撮影や人物の撮影など、特定の被写体や状況に適した露出制御値を設定するための撮影モードが含まれる場合もある。
【0028】
撮影指示部(以下シャッターボタン)110は、半押し状態でオンするスイッチ(レリーズスイッチ)SW1と、全押し状態でオンするスイッチ(レリーズスイッチ)SW2とを有する。カメラマイコン104は、半押し状態(スイッチSW1のオン)を撮影準備指示、全押し状態(スイッチSW2のオン)を撮影開始指示として認識する。撮影準備指示を認識すると、カメラマイコン104は、AEおよびAFを実行する。また、撮影開始指示を認識すると、カメラマイコン104は、シャッター102の駆動やストロボ点灯制御を始めとした静止画撮影処理を開始する。
【0029】
モード選択部109やシャッターボタン110を始め、カメラ100が有する操作部材は、カメラマイコン104と電気的に接続されている。カメラマイコン104は各操作部材の状態を監視しており、操作部材の状態の変化を検出すると、検出に応じた動作を実行する。
【0030】
モード選択部109によって、長時間露光モード(バルブモード)が選択されている場合、カメラマイコン104は、撮影開始指示を認識するとシャッター102を駆動し、先幕および後幕を全開として撮像素子101を露光させる。撮影開始指示が継続して認識されている間、カメラマイコン104は撮像素子101の露光を継続する。撮影開始指示が認識されなくなると、カメラマイコン104はシャッター102の先幕および後幕を全閉として撮像素子101の露光を終了させる。他の撮影モードにおいては、カメラマイコン104は、撮像素子101の露光時間を、自動露出制御により、もしくはユーザーにより設定されたシャッタースピードにより制御する。
【0031】
外部アクセサリ装着部111は、所謂ホットシューであり、トランスミッター500や外部ストロボ、マイクなどの外部アクセサリが機械的および電気的に接続される。外部アクセサリ装着部111に装着されたトランスミッター500やストロボ300などの外部アクセサリとカメラマイコン104とは通信可能であり、カメラマイコン104から外部アクセサリーの設定や動作を制御することができる。
【0032】
トランスミッター500のトランスミッターマイコン502は、例えばプログラマブルプロセッサとメモリとを有し、不揮発性メモリに記憶されたプログラムをシステムメモリに読み込んで実行することにより、トランスミッター500の動作を制御する。トランスミッター500のカメラ装着部501は、カメラ100の外部アクセサリ装着部111と接続されることで、カメラ100と機械的および電気的に接続され、トランスミッターマイコン502とカメラマイコン104とが通信可能となる。
【0033】
図3は、図2に示したカメラ100とトランスミッター500の機能構成例を示すブロック図である。図2に示した構成については同一の参照番号を付し、重複する説明を省略する。
【0034】
撮影レンズ200において、絞り駆動部201は、撮影レンズ200の絞り207を駆動するモータやアクチュエータを有し、レンズ制御部206の制御に従って絞り207を駆動し、絞り207の開口の大きさを調整する。
【0035】
レンズ駆動部202は撮影レンズ200のレンズ群208が有する可動レンズを駆動するモータやアクチュエータを有し、レンズ制御部206の制御に従って可動レンズを駆動し、撮影レンズ200の合焦距離や焦点距離(画角)を調整する。
【0036】
カメラ100において、シャッター駆動部106は、シャッター102の先幕および後幕を駆動するモータやバネなどを有し、カメラマイコン104の制御に従ってシャッターチャージを実行したり、シャッター幕を走行させたりする。
【0037】
信号処理部112は、撮像素子101が出力する画像信号に対し、ノイズ除去、ホワイトバランス調整、色補間、各種の補正、解像度の変換、AFやAEに用いる評価値の生成など、さまざまな処理を適用する。信号処理部112は、表示用の画像信号を生成して表示部103に出力したり、記録用の画像データファイルを生成してカメラマイコン104に出力したりする。信号処理部112はまた、人物の顔などの予め定められた被写体の領域を検出したり、被写体の動きを検出したりする。信号処理部112ではまた、必要に応じて画像データの符号化や復号を行う。
【0038】
記録部113は、例えばメモリカードであり、カメラマイコン104は信号処理部112から取得した記録用の画像データファイルを記録部113に記録する。記録フォーマットや画像データファイルの形式は予め定められている。
【0039】
トランスミッター500において、無線回路503は、無線アンテナ部504を介して後述するストロボ300と無線通信を行う。トランスミッターマイコン502は、カメラマイコン104と外部アクセサリ装着部111を介して通信する。そして、カメラ100の発光タイミングの指示に基づいて、無線回路503と無線アンテナ部504を通じた無線通信により、ストロボ300の発光タイミングを制御する。
【0040】
図4は、カメラ100と無線通信可能なストロボ300の模式的な構成例を示す垂直断面図であり、図5はストロボ300の模式的な機能構成例を示すブロック図である。いずれの図においても、ストロボ300が有する構成の一部が記載されている。
【0041】
発光部301は閃光ランプやコンデンサなどを有し、ストロボマイコン302の制御に従って発光する。ストロボマイコン302は、外部装置からの指示や操作部材を通じた指示に基づき、発光部301の発光タイミングや発光量を制御する。カメラ装着部305はカメラ100の外部アクセサリ装着部111と機械的および電気的に接続可能である。カメラ装着部305を介してカメラマイコン104と通信可能であり、カメラマイコン104からストロボの設定や動作を制御することができる。スタンド310は、ストロボ300を自立させるための支持部材であり、ストロボ300のカメラ装着部305を支持する構成を有する。
【0042】
図5において、ストロボ300の無線回路303は、無線アンテナ部304を介してトランスミッター500と無線通信を行う。ストロボマイコン302は、無線回路303と、無線アンテナ部304と、トランスミッター500とを介して、カメラ100から発光タイミングや発光量を制御する情報(指示)を受信する。
【0043】
トランスミッター500とストロボ300との無線通信方法に特に制限は無いが、本実施形態では、2.4GHz帯を用いる電波式無線通信を用いるものとする。以下、カメラ100、トランスミッター500、ストロボ300が無線通信可能に構成される撮像システムの動作に関して説明する。
【0044】
図6は、カメラマイコン104が実施する発光制御方法の選択処理に関するフローチャートである。この処理は、撮影開始指示を認識する前の任意のタイミングで実行することができる。
【0045】
ステップS101では、カメラマイコン104は、通常の先幕同期発光制御と、後幕同期発光制御のどちらを行うかを判断する。先幕同期発光制御とは、シャッター先幕が全開となった直後にストロボを発光させるストロボ同期発光制御のことである。後幕同期発光制御とは、シャッター後幕が走行する直前にストロボを発光させるストロボ同期発光制御のことである。どちらの発光制御を行うかは、ユーザーの操作により設定されるものとする。
【0046】
先幕同期発光制御の場合は、ステップS102において先幕同期撮影としてカメラマイコン104に登録され、発光制御方法の選択を終了する。
【0047】
ステップS101において、後幕同期発光制御と判断された場合は、カメラマイコン104は、ステップS103において撮影方法を確認する。具体的には、カメラマイコン104は、設定されている撮影モードが、露光期間が不定な撮影が行われるバルブ撮影モードであるか、他の撮影モードであるかを確認する。バルブモード以外の撮影モードをまとめて通常撮影モードと呼ぶこととする。
【0048】
バルブ撮影の場合は、ステップS104において、バルブ撮影、且つ、後幕同期発光制御としてカメラマイコン104に登録され、撮影方法選択を終了する。
【0049】
通常撮影の場合は、ステップS105において、通常撮影の後幕同期発光制御としてカメラマイコン104に登録され、撮影方法選択を終了する。
【0050】
(通常撮影の後幕同期発光制御)
次に、カメラ100の撮影モードが、通常撮影でストロボ300に後幕同期発光を行わせるモードである場合(ステップS105)の動作について、図7図9のフローチャートを用いて説明する。図7はカメラ100の動作、図8はトランスミッター500の動作、図9はストロボ300の動作をそれぞれ示す。
【0051】
本実施形態では、説明を分かりやすくするために、撮影前にシャッタースピードTv、絞り値Av、ISO感度、ストロボ発光量は全てマニュアルで決められているものとして説明する。しかし、これらの値は、AE(自動露出)、ストロボ自動調光システムを利用して決定してもよい。
【0052】
また、本実施形態では、図1に示すように、カメラ100と接続されたトランスミッター500とストロボ300が1対1の関係の場合のストロボ同調撮影について説明する。そして、既知の無線ペアリングによって、トランスミッター500とストロボ300とは、予め通信相手としてお互いに登録されているものとする。
【0053】
トランスミッター500の電源がオンされ、ストロボ発光モードに設定されている場合、トランスミッター500のトランスミッターマイコン502は無線回路503を制御し、無線周波数を振ってチャンネルをスキャンする。これにより、通信相手であるストロボ300を検索する。ストロボ300は、電源がオンされると、トランスミッター500と同様に無線回路303を制御し、使用するチャンネルを設定して、トランスミッター500からの検索に応答できる状態に設定される。
【0054】
トランスミッター500が検索によってストロボ300を見つけると、トランスミッター500はネットワークコーディネータとして、定期的なビーコンパケット(ビーコン信号)の発行を開始することでネットワークを立ち上げる。ストロボ300はネットワークデバイスの役割を担い、トランスミッター500の通信相手としてお互いにリンクを張ることで、いつでも通信可能な状態となる。
【0055】
このようにして、トランスミッター500とストロボ300とからなる無線通信システムが起動した後のカメラ100の動作について、図7のフローチャートを用いて説明する。
【0056】
ステップS201において、カメラ100はユーザーからのレリーズ操作待ちの状態(スイッチSW1のオン待ちの状態)となる。
【0057】
ステップS201においてスイッチSW1がオンになると、ステップS202において焦点調節動作に入るとともに、ステップS203において、スイッチSW2のオン待ちの状態となる。
【0058】
ステップS203において、カメラマイコン104は、ユーザーの操作によってスイッチSW2がオンになったか否かを判定する。スイッチSW2がオンなると、ステップS204において、カメラ100の外部アクセサリ装着部111とトランスミッター500のカメラ装着部501からなる接続部を介してトランスミッター500にスイッチSW2がオンした旨が通知される。スイッチSW2のオンの通知は、同時にトランスミッター500とストロボ300の無線通信を介したストロボ300の充電状態を示す充電情報の取得をトランスミッター500へ指示するトリガーとなる。
【0059】
ステップS205において、カメラ100はトランスミッター500を介してストロボ300の充電状態を示す充電情報を受信する。そして、ステップS206において、ストロボ発光可能か否かの判断を行う。
【0060】
ステップS206において発光可能であった場合、ステップS207において、カメラ100がカメラマイコン104の制御下で、トランスミッター500を介してストロボ300に対して予め設定していた発光量の設定通信を行う。発光量の設定を受け取ったストロボ300は、受け取った旨を知らせるためのAck(Acknowledgement)パケットを返信し、カメラ100はトランスミッター500を介して、受信する。ステップS206で発光不可であった場合は、ステップS203まで戻り、再びスイッチSW2がオンになるのを待機する。
【0061】
続いて、ステップS208において、カメラ100はカメラマイコン104の制御下で、絞り207を制御し、シャッター102の先幕走行を開始させるとともに、撮像素子101を制御して蓄積を開始させる。
【0062】
ステップS209において、カメラ100がカメラマイコン104の制御下でシャッター102の後幕走行開始時刻の通知を行う。この通知のタイミングは、後幕走行直前に通知される。具体的には、撮影開始前に設定したシャッタースピードTv値、カメラ内のファームウェアの処理時間、カメラからの発光指示からストロボ300が発光終了するまでの時間を考慮した処理時間を算出し、後幕走行開始よりもこの処理時間以上前に設定される。
【0063】
ステップS210において、カメラ100がカメラマイコン104の制御下でトランスミッター500に発光トリガを設定するように通知する。トラスミッター500が発光トリガの設定通知を受けてから、ストロボ300が閃光発光するまでの動作の詳細については図8図9を用いて後述するが、ステップS210の発光トリガの設定通知(発光トリガ信号)を起点にしてストロボ300が閃光発光する。
【0064】
ストロボ300の発光後、ステップS211において、カメラ100は後幕走行開始時刻通知(ステップS209)どおり、カメラマイコン104の制御下でシャッター102の後幕走行を行う。
【0065】
その後、ステップS212において、撮像素子101を蓄積状態から読み出し状態に制御して、撮影画像データの読み出しが開始される。同時にステップS213において、ストロボ同調撮影のカメラ撮影シーケンスが完了することが、トランスミッター500を介してストロボ300へ通知される。また、ストロボ300からは正常発光した旨が返信される。
【0066】
このようにして、カメラ撮影シーケンスは終了し、カメラ100はアイドル状態に戻る。
【0067】
次にトランスミッター500の動作について図8を用いて説明する。
【0068】
ステップS301では、トランスミッター500とストロボ300からなる無線通信システムが起動した状態下で、トランスミッター500がビーコンパケットを1秒間隔で発行し、ストロボ300との通信を確保する。発行するビーコンパケットの間隔を1秒といった比較的長い間隔に設定しておくことにより、ストロボ300の無線回路303の受信動作頻度を低減することができる。その結果、ストロボ300の省電力化を図ることが可能となる。
【0069】
ステップS302において、トランスミッター500はカメラ100のスイッチSW2がオンになった通知、つまり、ストロボ300の充電情報取得の指示を受け、発光シーケンスが開始される。発光シーケンスとは、カメラ100の撮影開始指示、つまりスイッチSW2のオン(ステップS203)を合図にスタートし、ストロボが発光するまでの間のトランスミッター500とストロボ300の間の通信を含むトランスミッター500の一連の手順を指す。
【0070】
ステップS303において、スイッチSW2のオンの通知を受け、トランスミッター500がビーコンパケットの発行を停止する。
【0071】
ステップS304において、トランミッターマイコン502はビーコン停止時間のカウントを始める。
【0072】
ステップS305において、カメラ100からストロボ300の充電状態を示す充電情報を取得する指示(ステップS204)に基づいて、トランスミッター500はストロボ300に充電情報を無線通信で問い合わせる。ストロボ300から充電情報が返信されると(ステップS402、図9参照)、トランスミッター500はカメラ100へストロボの充電情報を接続部を介して返信する。
【0073】
続いて、ステップS306において、トランスミッター500はカメラ100からステップS207における発光量設定の通知を受けて、発光量の設定値をストロボ300へ無線通信で送信する。ストロボ300からは発光量設定を正常に受信した旨を伝える通信を受ける。
【0074】
ステップS307において、トランスミッターマイコン502は、ステップS304でカウントを始めたビーコン停止時間が所定の時間以上か否かを判定する。所定の時間はビーコン停止によって露光期間中に無線ネットワークが切れない(接続状態を維持する)時間設定にする。例えば、無線ネットワークが5秒で切れる設定の場合は、所定の時間は4秒に設定する。
【0075】
ステップS307で、ビーコンの停止時間が所定の時間以上になった場合は、ステップS308において、トランスミッター500は発光シーケンスを中断し、ビーコンパケットの発行を再開する。
【0076】
ステップS309において、カメラ100からステップS210における発光トリガの設定通知を受け、ステップS310で、トランスミッター500は、ビーコンパケットの発行を停止し、発光シーケンスを再開させる。
【0077】
ステップS311において、トランスミッター500はストロボ300にタイミング情報を含む複数の発光トリガを順次送信するとともに、その送信順に応じて各発光トリガに含めるタイミング情報を異ならせる。ストロボ300は、トランスミッター500から順次送信される複数の発光トリガのうち、最初に受信できた発光トリガに含まれるタイミング情報に従って発光を行う。いずれか一つの発光コマンドパケットを受信した時点で、以降の残りの発光コマンドパケットは受信する必要がなくなるため、ストロボ300の受信動作を終了する。
【0078】
ステップS307において、ビーコンの停止時間が所定の時間未満の場合は、ステップS314へ進む。ステップS314では、ビーコンの再開を行う前に、カメラ100からステップS210における発光トリガの設定通知を受けとる。ビーコンは再開していないので、そのままステップS311へ進む。
【0079】
ステップS312において、カメラ100からステップS213におけるカメラ撮影シーケンス終了の通知を受け、トランスミッター500は、ストロボ300に対して無線通信でカメラ撮影シーケンス終了を通知する。次に、ストロボ300から正常発光したか否かのAck信号を受け取り、カメラへ通知し、発光シーケンスを終了させる。
【0080】
ステップS313において、トランスミッター500は、1秒間隔で定期的にビーコンパケットを発行する動作を再開し、スイッチSW2のオンを待つアイドル状態に戻る。
【0081】
次にストロボ300の動作について図9を用いて説明する。トランスミッター500とストロボ300からなる無線通信システムが起動したところからスタートする。
【0082】
ステップS401において、ストロボ300は通信が切れないように、トランスミッター500から送信されるビーコンパケットを受信し続ける。
【0083】
ステップS402において、トランスミッター500より無線通信を介してストロボ300の充電情報の問い合わせがあり、ストロボマイコン302は、ストロボ自身の充電情報を調べ、トランスミッター500へ返信する。
【0084】
ステップS403において、カメラ100からトランスミッター500の無線通信を介して、発光量の通知を受け取る。
【0085】
ステップS404において、カメラ100からトランスミッター500の無線通信を介して、ストロボ300は発光コマンドを受信する。ストロボ300は、受信を完了次第、本発光を行うように制御する。
【0086】
この発光コマンドの受信では、通常の通信と異なり、発光コマンドのパケットを受信した後は、ストロボ300は本発光の準備に入り、余計な動作は行わないようにするため、カメラ100に対してAckパケットを返信しない。しかしながら、Ackパケットを返信するようにしてもかまわない。Ackパケットを返信することで、カメラ100側でそれ以降の発光コマンドパケットの送信を中止し、無駄な無線通信を削減することができる。
【0087】
ステップS405において、トランスミッター500が送信した複数の発光コマンドパケットのうち、最初に受信できたパケットを解析し、そのパケットに含まれるタイミング情報によって、クロックカウント数を変えることで本発光のタイミングを制御する。最終的にどのパケットを受信しても、同じタイミングでストロボ300を本発光させることができるので、正確なタイミングでカメラ100とストロボ300の同調撮影が可能である。
【0088】
ステップS406において、ストロボ300はカメラ100から撮影シーケンス終了の通知をトランスミッター500を介して受け取り、発光が正常終了したことを示すAckパケットを送信する。
【0089】
図10は、図7図8図9のフローチャートの動作をタイミングチャートの形で表した図である。トランスミッター500とストロボ300とからなる無線通信システムが起動している状態からスタートするものとする。
【0090】
トランスミッター500は1秒間隔でビーコンパケットを発行している。ストロボ300は、それに合わせて1秒間隔で無線回路303を受信動作させ、ビーコンパケットを常に受信できるように制御している。ビーコンパケットの受信に要する時間は数ミリ秒であり、特に通信する必要がないアイドル状態のときには、受信動作が終わってから次の受信動作までの間、ストロボ側の無線回路303は動作する必要が無く、省電力化を図ることが可能である(スタート~T0)。
【0091】
スイッチSW1がオンになると(T0)、カメラ100は焦点調節(ステップS202)を行う。
【0092】
カメラ100のスイッチSW2がオンになると(ステップS203)、外部アクセサリ装着部111を介してトランスミッター500がスイッチSW2のオンを検知し、ビーコンパケットの発行を停止する(T1)。続いて、トランスミッター500がストロボ300に充電情報を求めるパケットを送信する。ストロボ300は、自身の充電状態をチェックして、発光可能な状態であれば、トランスミッター500にその旨を通知する。そして、ストロボ300の充電情報はトランスミッター500を介してカメラ100に伝達される。また、ストロボ300は常に無線パケットを受信可能な状態に設定される。
【0093】
このような状態になった後、カメラ100は、事前に設定したストロボ発光の光量通知をトランスミッター500を介して無線通信によりストロボ300に伝える。その後、後幕同期発光に設定されている場合は、トランスミッター500の発光シーケンスを一時中断し、ビーコンパケットの発行が再開される。
【0094】
続いて、カメラ100は、シャッター102の先幕走行開始(T2)とともに、撮像素子101を蓄積状態に制御する(ステップS208)
後幕走行時間が近くなると、カメラ100内で後幕走行開始時間通知がなされ、カメラ100からトランスミッター500へ発光トリガ設定通知がなされる(T3)。トランスミッター500はカメラ100からの発光トリガ通知を受けて、発光シーケンスを再開するためにビーコンパケットの発行を停止し(ステップS310)、ストロボ300へ発光カウントダウンを送信する。
【0095】
ストロボ300は、トランスミッター500からの複数の発光コマンドパケットのうち、いずれか一つの発光コマンドパケットを受信することができれば、本発光を行う。いずれか一つの発光コマンドパケットを受信した時点で、以降の残りの発光コマンドパケットは受信する必要がなくなるため、ストロボ300は受信動作を終了する。
【0096】
カメラマイコン104は、ストロボ300に最後に送信した発光コマンドで通知した発光タイミングに基づいてストロボ300を発光させ(T4)、シャッター駆動部106を通じてシャッター102の後幕を走行させる(T5)。これにより、撮像素子101の露光が終了される。なお、確実にストロボ300の発光後に露光を終了させるために、ストロボ300から発光完了の応答を受信してから後幕の走行を開始させてもよい。
【0097】
そして、シャッター102の後幕走行完了とともに、撮像素子101を蓄積状態から読み出し状態に制御して、画像データの読み出しを開始する。それと同時に、ストロボ300に対して、カメラ撮影シーケンスが終了したことを通知するパケットをトランスミッター500を介して送信する。ストロボ300は、発光コマンドパケットを受信して正常に発光できた場合には、カメラ100に対してその旨を伝える通信を行う。カメラ100は、今撮影した画像が、正常にストロボ発光したときの撮影画像であると判断し、その旨を撮影条件の情報として画像データに添付し、画像ファイルとして記録する。反対にストロボ撮影が正常に行われなかった場合には、その旨を画像データに添付して画像ファイルとして記録する。
【0098】
このようにしてカメラ撮影シーケンスが終了すると、カメラ100とストロボ300はスイッチSW1のオンを待つアイドル状態に戻る。すなわち、トランスミッター500は再度1秒間隔で定期的にビーコンパケットを発行し、ストロボ300はそれに応じて1秒間隔で無線回路303を受信動作させる。
【0099】
以上説明したように、本実施形態では、後幕同期発光での撮影である場合、トランスミッター500は、発光シーケンスの動作に連動して、ビーコンパケットの発行の停止、再開、再停止を行い、後幕走行直前までビーコンパケットの発行を行う。ストロボ300はそれに応じて無線回路303を受信動作させることにより、露光時間が長時間となった場合でもトランスミッター500との無線通信システムを維持することが可能となり、ワイヤレスストロボ300の後幕同期発光が可能となる。
【0100】
また、ビーコンパケットと発光コマンドのパケットを同時に発行すると、受信側のストロボ300で発光コマンドのパケット受信を優先させるべきところをビーコンパケットが割込みし、発光タイミングがズレる恐れがあった。しかし、後幕走行直前のタイミングでビーコンを停止し、発光コマンドパケットのみを発行するシーケンスとすることにより、確実なタイミングで後幕に同期してストロボ300を発光させることが可能となる。
【0101】
なお、上記の実施形態では、機械的な先幕、後幕を有するシャッタを用いることを前提にして説明しているが、先幕を撮像素子の蓄積開始を行ごとに開始するローリングシャッタ(電子先幕)で構成してもかまわない。または、先幕、後幕の代わりに蓄積開始、蓄積終了制御を電子化したグローバル電子シャッタを用いてもかまわない。
【0102】
(第2の実施形態)
この第2の実施形態では、バルブ撮影での後幕同期発光制御について説明する。第2の実施形態では、カメラ100(カメラマイコン104)の動作だけが第1の実施形態と異なるため、カメラ100、トランスミッター500およびストロボ300の構成に関する説明は省略する。
【0103】
以下、カメラ100の撮影モードがバルブ撮影モードで、ストロボ300を後幕同期発光制御で発光させる場合(図6のステップS104の場合)のカメラ100の動作について、図11のフローチャートを用いて説明する。本実施形態のバルブモードでの後幕シンクロ発光制御では、ユーザーが任意のタイミングで撮影を完了させることができるため、カメラマイコン104が予め撮影完了のタイミングを知ることができない。よって、自動調光を行うことが出来ず、ユーザーがバルブ撮影前に発光量、絞り値、ISO感度などを全てマニュアルで設定するものとして説明する。
【0104】
図11において、第1の実施形態と同様の動作を行うステップについては、図7と同じ参照番号を付し、説明を省略する。本実施形態においては、ステップS201~ステップS208までの処理は第1の実施形態のステップS201~ステップS208と同様であるため説明を省略する。
【0105】
ステップS208において、第1の実施形態と同様に、カメラ100はカメラマイコン104の制御下で、絞り207を制御し、シャッター102の先幕走行を開始させるとともに、撮像素子101を制御して蓄積を開始させる。但し、バルブモードでは撮影の終了は撮影者が決めるため、この時点では、撮影の終了タイミングはカメラ100側からすると不明である。
【0106】
続いて、ステップS1201において、カメラ100のスイッチSW2のオンが解除される。バルブモードにおいてはスイッチSW2のオンの解除が、後幕走行開始時刻通知のタイミングとなり、ステップS1202において、カメラ内で後幕走行開始時刻通知が行われる。後幕走行開始時刻は、カメラ内のファームウェアの処理時間、カメラからの発光指示からストロボ300が発光終了するまでの時間を考慮し、後幕走行までに必要な処理時間を算出して決定される。なお、シャッタースピードTv値は計算に含まれない。
【0107】
その後、ステップS210~ステップS213の動作は、第1の実施形態のステップS210~ステップS213と同様であるため説明を省略する。
【0108】
バルブ撮影時のトランスミッター500とストロボ300の動作は、非バルブ撮影時と変わらない。
【0109】
図12は、図8図9図11のフローチャートをタイミングチャートの形で表した図である。第1の実施形態と同様の処理部分については説明を省略する。
【0110】
カメラ100は、シャッター102の先幕走行開始(T2)とともに、撮像素子101を蓄積状態に制御する(ステップS208)。
【0111】
ユーザーが撮影の終了のためにスイッチSW2のオンを解除すると同時に、カメラ内で後幕走行開始時間通知がなされる(ステップS1201、T3’)。
【0112】
後幕走行開始時間通知がなされると同時に、カメラ100からトランスミッター500へ発光トリガ設定通知がなされる。トランスミッター500は、カメラ100からの発光トリガ通知を受けて、発光シーケンスを再開するためにビーコンの発行を停止し(ステップS310)、ストロボ300へ発光カウントダウンを送信する。以降の動作は第1の実施形態と同様の処理となる。
【0113】
以上の第1及び第2の実施形態では、トランスミッター500がマスターとなりストロボ300がスレーブとなるワイヤレスストロボシステムについて説明した。しかし、カメラ100に直接取り付けられるストロボをマスターとし、ストロボ300をスレーブとして制御可能なワイヤレスストロボシステムであってもよい。
【0114】
(他の実施形態)
また本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読み出し実行する処理でも実現できる。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現できる。
【0115】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0116】
100:カメラ、101:撮像素子、102:シャッター、103:表示部、104:カメラマイコン、110:シャッターボタン、200:撮影レンズ、300:ストロボ、301:発光部、302:ストロボマイコン、303:無線回路、500:トランスミッター、502:トランスミッターマイコン、503:無線回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12