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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-09
(45)【発行日】2024-04-17
(54)【発明の名称】管理システム、管理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/06 20230101AFI20240410BHJP
   G06Q 10/105 20230101ALI20240410BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20240410BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20240410BHJP
【FI】
G06Q10/06
G06Q10/105
G08G1/00 D
G08G1/09 H
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020045075
(22)【出願日】2020-03-16
(65)【公開番号】P2021149134
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145908
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100136711
【弁理士】
【氏名又は名称】益頭 正一
(72)【発明者】
【氏名】舩木 幹雄
【審査官】加内 慎也
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-128642(JP,A)
【文献】特開2014-199981(JP,A)
【文献】特開2014-235609(JP,A)
【文献】特開2016-197473(JP,A)
【文献】特開2007-251557(JP,A)
【文献】特開2016-194854(JP,A)
【文献】特開2017-151947(JP,A)
【文献】特許第6588140(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G08G 1/09
G08G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に乗る管理対象者に付随し、各々の前記管理対象者に対応する管理対象者ID情報を含む信号を一定時間間隔で発信する発信手段と、
車両に搭載された車載装置に設けられ、前記発信手段から発信された信号を受信する受信手段と、
前記車載装置の電源がONの間、前記受信手段が受信した信号の信号強度に応じて、当該信号が含む前記管理対象者ID情報を一時的に保存するか否かを判断し、判断結果に応じて当該信号が含む前記管理対象者ID情報を一時的に保存する一次判断手段と、
前記一次判断手段により一時的に保存された前記管理対象者ID情報を含む信号が前記受信手段に受信された回数が所定回数に達した場合に、前記管理対象者を特定する二次判断手段と、
前記二次判断手段により特定された前記管理対象者の情報を記録手段に保存する保存手段と
を備える管理システム。
【請求項2】
前記受信手段は、前記発信手段以外の発信器から発信され前記管理対象者に対応しない非対応ID情報を含む信号を受信し、
前記一次判断手段は、前記管理対象者ID情報を前記非対応ID情報よりも優先して一時的に保存する請求項1に記載の管理システム。
【請求項3】
前記管理対象者を認証する認証手段と、
前記認証手段による前記管理対象者の認証が成立した場合には、前記一次判断手段と前記二次判断手段との処理を実行せずに、前記認証手段による認証結果を選択する認証方法選択手段と
を備え、
前記保存手段は、前記認証方法選択手段により前記認証手段による前記認証結果が選択された場合に、前記認証手段により認証された前記管理対象者の情報を前記記録手段に保存する請求項1又は2に記載の管理システム。
【請求項4】
車両に乗る管理対象者に付随し、各々の前記管理対象者に対応する管理対象者ID情報を含む信号を一定時間間隔で発信する発信手段と、車両に搭載された車載装置に設けられ、前記発信手段から発信された信号を受信する受信手段と、コンピュータとを用いて実行する管理方法であって、
前記車載装置の電源がONの間、前記受信手段が受信した信号の信号強度に応じて、当該信号が含む前記管理対象者ID情報を一時的に保存するか否かを判断し、判断結果に応じて当該信号が含む前記管理対象者ID情報を一時的に保存することと、
一時的に保存された前記管理対象者ID情報を含む信号が前記受信手段に受信された回数が所定回数に達した場合に、前記管理対象者を特定することと、
特定された前記管理対象者の情報を記録手段に保存することと
を実行する管理方法。
【請求項5】
車両に乗る管理対象者に付随し、各々の前記管理対象者に対応する管理対象者ID情報を含む信号を一定時間間隔で発信する発信手段と、車両に搭載された車載装置に設けられ、前記発信手段から発信された信号を受信する受信手段と、コンピュータとを備える管理システムにおいて、前記コンピュータを実行させるプログラムであって、
前記車載装置の電源がONの間、前記受信手段が受信した信号の信号強度に応じて、当該信号が含む前記管理対象者ID情報を一時的に保存するか否かを判断し、判断結果に応じて当該信号が含む前記管理対象者ID情報を一時的に保存することと、
一時的に保存された前記管理対象者ID情報を含む信号が前記受信手段に受信された回数が所定回数に達した場合に、前記管理対象者を特定することと、
特定された前記管理対象者の情報を記録手段に保存することと
を前記コンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に乗る管理対象者を管理するための管理システム、管理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザが携帯する携帯端末と車両の車載装置とを関連付ける関連付けシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の関連付けシステムでは、GPSを利用して携帯端末の位置と車両の位置とが取得され、これらの位置の差に基づいて携帯端末のIDと車載装置のIDとが関連付けされ、携帯端末が認証される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-21273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の関連付けシステムは、GPSを利用しているが故に、屋内での利用には不向きである等、利用場所の制約がある。また、特許文献1に記載の関連付けシステムは、車両に乗り続ける者を対象としており、車両に頻繁に乗り降りする者を対象にはしていない。そのため、フォークリフト等のように屋内でも走行する車両に頻繁に乗り降りする管理対象者を管理するための管理システムには適さない。
【0005】
本発明はこのような従来の課題を解決するためになされたものであり、その発明の目的とするところは、利用場所の制約を受けることなく、車両に頻繁に乗り降りする管理対象者を管理することができる管理システム、管理方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の管理システムは、車両に乗る管理対象者に付随し、各々の前記管理対象者に対応する管理対象者ID情報を含む信号を一定時間間隔で発信する発信手段と、車両に搭載された車載装置に設けられ、前記発信手段から発信された信号を受信する受信手段と、前記車載装置の電源がONの間、前記受信手段が受信した信号の信号強度に応じて、当該信号が含む前記管理対象者ID情報を一時的に保存するか否かを判断し、判断結果に応じて当該信号が含む前記管理対象者ID情報を一時的に保存する一次判断手段と、前記一次判断手段により一時的に保存された前記管理対象者ID情報を含む信号が前記受信手段に受信された回数が所定回数に達した場合に、前記管理対象者を特定する二次判断手段と、前記二次判断手段により特定された前記管理対象者の情報を記録手段に保存する保存手段とを備える。
【0007】
本発明の管理方法は、車両に乗る管理対象者に付随し、各々の前記管理対象者に対応する管理対象者ID情報を含む信号を一定時間間隔で発信する発信手段と、車両に搭載された車載装置に設けられ、前記発信手段から発信された信号を受信する受信手段と、コンピュータとを用いて実行する管理方法であって、前記車載装置の電源がONの間、前記受信手段が受信した信号の信号強度に応じて、当該信号が含む前記管理対象者ID情報を一時的に保存するか否かを判断し、判断結果に応じて当該信号が含む前記管理対象者ID情報を一時的に保存することと、一時的に保存された前記管理対象者ID情報を含む信号が前記受信手段に受信された回数が所定回数に達した場合に、前記管理対象者を特定することと、特定された前記管理対象者の情報を記録手段に保存することとを実行する。
【0008】
本発明のプログラムは、車両に乗る管理対象者に付随し、各々の前記管理対象者に対応する管理対象者ID情報を含む信号を一定時間間隔で発信する発信手段と、車両に搭載された車載装置に設けられ、前記発信手段から発信された信号を受信する受信手段と、コンピュータとを備える管理システムにおいて、前記コンピュータを実行させるプログラムであって、前記車載装置の電源がONの間、前記受信手段が受信した信号の信号強度に応じて、当該信号が含む前記管理対象者ID情報を一時的に保存するか否かを判断し、判断結果に応じて当該信号が含む前記管理対象者ID情報を一時的に保存することと、一時的に保存された前記管理対象者ID情報を含む信号が前記受信手段に受信された回数が所定回数に達した場合に、前記管理対象者を特定することと、特定された前記管理対象者の情報を記録手段に保存することとを前記コンピュータに実行させる。
【0009】
これらの管理システム、管理方法及びプログラムによれば、車両に乗る管理対象者に付随する発信手段から受信手段が受信した信号の信号強度に応じた一次判断の結果、当該信号が含む管理対象者ID情報が一時的に保存され、一時的に保存された管理対象者ID情報を含む信号の受信回数に応じた二次判断の結果、車両に乗る管理対象者が特定される。これによって、GPSによる位置情報の取得を要することなく、管理対象者が車両に接近したことを検知でき、且つ、車両に頻繁に乗り降りする管理対象者を、たまたま車両に接近しただけの管理対象者と区別したうえで検知できる。従って、利用場所の制約を受けることなく、車両に頻繁に乗り降りする管理対象者を管理することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、利用場所の制約を受けることなく、車両に頻繁に乗り降りする管理対象者を管理することができる管理システム、管理方法及びプログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る管理システムを示す概念図である。
図2図1に示す管理システムのハードウェア構成を示すブロック図である。
図3図2に示す車載装置のCPUの機能を示すブロック図である。
図4図3に示す一次判断部の処理を説明するためのフローチャートである。
図5図3に示す二次判断部の処理を説明するためのフローチャートである。
図6】本発明の他の実施形態に係る管理システムのハードウェア構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を好適な実施形態に沿って説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す実施形態においては、一部構成の図示や説明を省略している箇所があるが、省略された技術の詳細については、以下に説明する内容と矛盾点が発生しない範囲内において、適宜公知又は周知の技術が適用されていることはいうまでもない。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係る管理システムを示す概念図であり、図2は、図1に示す管理システムのハードウェア構成を示すブロック図である。図1及び図2に示す管理システム1は、フォークリフトを運転する乗務員の労務管理を行うためのシステムである。この管理システム1は、ビーコン10と、車載装置20とを備える。ビーコン10と車載装置20とはそれぞれ複数存在する。なお、複数のビーコン10の構成及び動作は同一であり、複数の車載装置20の構成及び動作は同一である。
【0014】
ビーコン10は、フォークリフトを運転する乗務員を識別するための乗務員ID等の情報を発信する。このビーコン10は、乗務員が携帯する社員証等に内蔵されており、乗務員に付随する。なお、ビーコン10は、社員証に限らず、作業者指示書やかんばん等の作業中の作業者に所持(携帯)されるものであれば、他のもの(ヘルメットや帽子等)に内蔵等されていてもよい。
【0015】
ビーコン10は、CPU11と、ROM12と、RAM13と、ビーコン通信用のアンテナ14と、電源部15とを備える。ROM12には、乗務員ID等の情報や各種の制御プログラムが格納されている。ビーコン通信用のアンテナ14は、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線技術に対応する発信用のアンテナである。電源部15は、ボタン電池等であり、ビーコン10の各部に電力を供給する。CPU11は、乗務員ID等の情報をROM12からRAM13に読み出してアンテナ14から一定時間間隔で発信する。ここで、アンテナ14から発信される信号強度(RSSI値)は一定である。
【0016】
車載装置20は、フォークリフトに搭載されている。この車載装置20は、CPU21と、ROM22と、RAM23と、ビーコン通信用のアンテナ24と、認証装置25と、記録メディア26とを備える。ROM22には、各種の制御プログラムが格納されている。
【0017】
ビーコン通信用のアンテナ24は、Bluetooth等の近距離無線技術に対応する受信用のアンテナである。このアンテナ24は、ビーコン10のアンテナ14から出力された信号を受信する。CPU21は、アンテナ24が受信した乗務員ID等の情報をRAM23に一時的に保存する。ここで、ビーコン10のアンテナ14から発信される信号の信号強度が一定であることから、車載装置20のアンテナ24とビーコン10のアンテナ14との相対距離に応じて、車載装置20のアンテナ24に受信される信号の信号強度(RSSI値)が変動する。
【0018】
認証装置25は、乗務員を認証するための各種の装置である。この認証装置25の一例として、乗務員を撮影するカメラと、カメラの撮影画像を解析する画像解析システムとを備え、登録された乗務員の画像と撮影された乗務員の画像とを照合するものが挙げられる。また、認証装置25の他の例として、指紋読取り装置と、読み取られた指紋を解析する指紋解析システムとを備え、登録された乗務員の指紋と読み取られた乗務員の指紋とを照合するものが挙げられる。さらには、認証装置25の他の例として、非接触IDカードからIDを読み出すリーダーを備え、登録された乗務員のIDと読み取られた乗務員のIDとを照合するものが挙げられる。
【0019】
記録メディア26は、フラッシュメモリー等の外部記録装置である。この記録メディア26は、ユーザにより車載装置20から取り出されてパソコンに挿入される。ユーザは記録メディア26に記録された情報をパソコンで記録メディア26から読み出して確認できる。また、記録メディア26には、乗務員IDが保存されている。なお、以下の説明において、管理対象の乗務員に対応付けて設定されたIDを「乗務員ID」と称し、汎用の携帯端末を識別するためのIDと乗務員IDとの双方を含むものを「ID」と称する。
【0020】
CPU21は、ROM22に格納された制御プログラムをRAM23に読み出して各種の制御及び演算処理を実行する。本実施形態では、CPU21は、管理対象の乗務員を認証する認証処理と、認証結果を集計する集計処理と、乗務員認証の集計結果を記録メディア26に保存する保存処理とを実行する。記録メディア26に保存される乗務員認証の集計結果は、管理対象の乗務員の労務管理に用いられる情報である。当該情報は、乗務員IDによって識別される乗務員がフォークリフトを運転していた日時、時間等を含む。
【0021】
図3は、図2に示す車載装置20のCPU21の機能を示すブロック図である。この図に示すように、CPU21は、一次判断部211と、二次判断部212と、集計保存部213とを備える。一次判断部211は、ID・RSSI値取得部2111と、RSSI値比較部2112と、ID識別部2113と、ID保存部2114とを備える。二次判断部212は、認証方法選択部2121と、ID読出部2122と、受信回数計数部2123と、乗務員確定部2124とを備える。
【0022】
一次判断部211の処理は、車載装置20の電源がONになると連続して実行される。一方、二次判断部211の処理は、一次判断部211の処理が実行されている間、所定時間tの間隔で実行される。この所定時間tとしては、1秒等を例示できる。
【0023】
一次判断部211のID・RSSI値取得部2111は、ビーコン10又はスマートフォン等の汎用の携帯端末から発信されたID情報を含む信号を受信すると共に、その信号強度(RSSI値)を取得する。ID・RSSI値取得部2111は、取得したID情報とRSSI値とをRAM23に記録する。RSSI値比較部2112は、ID・RSSI値取得部2111が今回取得したRSSI値と、RAM23に記録された前回のRSSI値とを比較する。
【0024】
ID識別部2113は、記録メディア26に保存されている乗務員ID情報と、ID・RSSI値取得部2111が取得したID情報とを比較して、取得したID情報がビーコン10(特定機器)から発信された乗務員ID情報であるか汎用の携帯端末から発信されたID情報であるかを識別する。また、ID識別部2113は、前回と今回とで異なる乗務員ID情報が受信された場合に、所定の条件に基づいて、何れか一方の乗務員ID情報に特定する処理を実行する。所定の条件は、値がより小さい乗務員ID情報を優先したり、あるいは、値がより大きい乗務員ID情報を優先したりするものを例示できる。本実施形態では、値がより小さい乗務員ID情報を優先する。
【0025】
ID保存部2114は、RSSI値比較部2112の比較結果が、今回のRSSI値が前回のRSSI値より大きいというものだった場合に、今回のRSSI値に対応するID情報をRAM23に一時保存する。また、ID保存部2114は、ID識別部2113により特定された乗務員ID情報をRAM23に一時保存する。ここで、ID保存部2114は、ID情報をRAM23に一時保存する際に、RAMに一時保存されていたID情報を今回受信されたID情報に書き換える。
【0026】
二次判断部212の認証方法選択部2121は、ビーコン10との通信による乗務員認証を実行するか、車載機器20の認証装置25による乗務員認証を実行するかを選択する。認証方法選択部2121は、認証装置25による乗務員認証が成立した場合には、その認証結果を採用し、認証装置25による乗務員認証が成立しない場合に、ビーコン10との通信による乗務員認証を実行する。
【0027】
ID読出部2122は、認証方法選択部2121によりビーコン10との通信による乗務員認証が実行された場合に、RAM23に一時保存された乗務員IDを読み出す。受信回数計数部2123は、読み出された乗務員ID情報の受信回数を計数する。また、受信回数計数部2123は、後述の乗務員確定部2124による乗務員の確定の後に、乗務員ID情報の受信回数をクリアする。
【0028】
乗務員確定部2124は、受信回数計数部2123が計数した乗務員ID情報の受信回数が、所定回数nに達した場合に、当該乗務員IDを認証する乗務員IDとして確定する。所定回数n回としては、6回等を例示できる。
【0029】
乗務員確定部2124は、所定時間tの間隔で管理対象の乗務員の認証結果を出力する。集計保存部213は、乗務員確定部2124から出力された管理対象の乗務員の認証結果を乗務員ID毎に集計して記録メディア26に保存する。
【0030】
図4は、図3に示す一次判断部211の処理を説明するためのフローチャートである。このフローチャートに示す一次判断部211の処理は、車載装置20の電源がONになると開始され、車載装置20の電源がOFFになるまで連続して実行される。ステップ1において、ID・RSSI値取得部2111は、ビーコン10又は汎用の携帯端末から発信されたID情報を含む信号を受信すると共に、その信号の信号強度(RSSI値)を取得したか否かを判定する(S1)。本ステップにおいて、ID・RSSI値取得部211がID情報及びRSSI値を取得したと判定された場合、ステップ2に進む。
【0031】
ステップ2において、RSSI値比較部2112は、今回取得されたRSSI値が、前回取得されたRSSI値以上であるか否かを判定する(S2)。本ステップにおいて、今回取得されたRSSI値が前回取得されたRSSI値以上と判定された場合にはステップ3に進み、今回取得されたRSSI値が前回取得されたRSSI値より小さいと判定された場合にはステップ1に戻る。
【0032】
ステップ3において、RSSI値比較部2112は、今回取得されたRSSI値が前回取得したRSSI値より大きい値であるか、あるいは、今回取得したRSSI値が前回取得されたRSSI値と同じ値であるかを判定する(S3)。ここで、「RSSI値が同じ値」の状態は、ビーコン10又は汎用の携帯端末と車載装置20との相対距離を不変とみなすことができる状態に相当する。本ステップにおいて、今回取得したRSSI値が前回取得したRSSI値より大きい値と判定された場合にはステップ7に進み、今回取得したRSSI値が前回取得したRSSI値と同じ値と判定された場合にはステップ4に進む。
【0033】
ステップ4において、ID識別部2113は、今回受信したID情報が、ビーコン10から発信された乗務員ID情報であるか否か(汎用の携帯端末から発信されたIDではないか)を判定する(S4)。本ステップにおいて、ビーコン10から発信された乗務員ID情報と判定された場合にはステップ5に進み、ビーコン10から発信された乗務員ID情報ではないと判定された場合にはステップ1に戻る。
【0034】
ステップ5において、ID識別部2113は、前回受信されたID情報は乗務員ID情報ではなく今回受信されたID情報は乗務員ID情報であるか、あるいは、前回受信されたID情報も今回受信されたID情報も乗務員ID情報であるかを判定する(S5)。本ステップにおいて、前回受信されたID情報は乗務員ID情報ではなく今回受信されたID情報は乗務員ID情報であると判定された場合にはステップ7に進み、前回受信されたIDも今回受信されたIDも乗務員ID情報であると判定された場合にはステップ6に進む。
【0035】
ステップ6において、ID識別部2113は、今回受信された乗務員ID情報の値が前回受信された乗務員ID情報の値以下であるか否かを判定する(S6)。本ステップにおいて、今回受信された乗務員ID情報の値が前回受信された乗務員ID情報の値以下と判定された場合にはステップ7に進み、今回受信された乗務員ID情報の値が前回受信された乗務員ID情報の値より大きいと判定された場合にはステップ8に進む。
【0036】
ステップ7において、ID保存部2114は、ステップ3において前回の値よりも大きい値と判定された今回のRSSI値に対応するID情報をRAM23に一時保存する(S7)。このID情報は、乗務員ID情報又は汎用の携帯端末のID情報である。また、本ステップにおいて、ID保存部2114は、ステップ5において前回受信されたID情報は乗務員ID情報ではなく今回受信されたID情報は乗務員ID情報であると判定された場合に、今回の乗務員ID情報をRAM23に一時保存する。さらに、本ステップにおいて、ID保存部2114は、ステップ6において今回受信された乗務員ID情報の値が前回受信された乗務員ID情報の値以下と判定された場合に、今回受信された乗務員ID情報をRAM23に一時保存する。
【0037】
ステップ8において、車載装置20の電源がOFFになるまで、ステップ1~7の処理が繰り返し実行される(S8)。ここで、ステップ6において今回受信された乗務員ID情報の値が前回受信された乗務員ID情報の値より大きい値と判定された場合には、今回受信された乗務員ID情報はRAM23に一時保存されない。
【0038】
図5は、図3に示す二次判断部212の処理を説明するためのフローチャートである。このフローチャートに示す二次判断部212の処理は、一次判断部211の処理が実行されている間、上記の所定時間tの間隔で実行される。ステップ11において、認証方法選択部2121は、認証装置25による乗務員認証が成立しているか否かを判定する(S11)。本ステップにおいて、認証装置25による乗務員認証が成立していると判定された場合にはステップ17に進み、認証装置25による乗務員認証が成立していないと判定された場合にはステップ12に進む。
【0039】
ステップ17において、認証方法選択部2121は、認証装置25による認証結果を集計保存部213に出力する(S17)。集計保存部213は、認証方法選択部2121から出力された認証結果を集計して記録メディア26に保存する。
【0040】
一方、ステップ12において、ID読出部2122は、RAM23に一時保存されている乗務員ID情報を読み出す(S12)。次に、ステップ13において、受信回数計数部2123は、ID読出部2122により読み出された乗務員ID情報の受信回数を計数する(S13)。
【0041】
次に、ステップ14において、乗務員確定部2124は、受信回数計数部2123により計数された受信回数が、所定回数nに達したか否かを判定する(S14)。本ステップにおいて、受信回数計数部2123により計数された受信回数が所定回数nに到達したと判定された場合に、ステップ15に進み、受信回数が所定回数nに到達しなかったと判定された場合には処理を終了する。
【0042】
ステップ15において、乗務員確定部2124は、受信回数が所定回数nに達した乗務員ID情報を、認証する乗務員ID情報として確定し、認証結果を集計保存部213に出力する(S15)。集計保存部213は、乗務員確定部2124から出力された認証結果を集計して記録メディア26に保存する。次に、ステップ16において、受信回数計数部2123は、受信回数がn回に到達した乗務員ID情報の受信回数をクリアする(S16)。ここで、1回の処理ルーチンの実行中に乗務員ID情報の受信回数がn回に到達しなかった場合、当該処理ルーチンでは乗務員ID情報の受信回数がクリアされないので、複数回の処理ルーチンの実行中に乗務員ID情報の受信回数がn回に到達する場合もある。
【0043】
以上説明したように、本実施形態の管理システム10によれば、車載装置20のアンテナ24が管理対象の乗務員に付随するビーコン10から受信した信号の信号強度に応じた一次判断の結果、当該信号が含む乗務員ID情報が一時的に保存され、一時的に保存された乗務員ID情報を含む信号の受信回数に応じた二次判断の結果、管理対象の乗務員が特定される。これによって、GPSによる位置情報の取得を要することなく、管理対象の乗務員がフォークリフトに接近したことを検知できる。また、フォークリフトに乗り降りする管理対象の乗務員を、たまたまフォークリフトに接近しただけの管理対象の乗務員と区別し、且つ、外乱を除去したうえで検知できる。従って、利用場所の制約を受けることなく、フォークリフトに頻繁に乗り降りする管理対象の乗務員を管理することができる。
【0044】
また、本実施形態の管理システム10によれば、汎用の携帯端末から発信され管理対象の乗務員に対応しないID情報を含む信号と、管理対象の乗務員に付随するビーコン10から発信され乗務員ID情報を含む信号とが車載装置20のアンテナ24に受信された場合、一次判断の結果、乗務員ID情報が管理対象の乗務員に対応しないID情報よりも優先して一時的に保存される。これによって、ビーコン10と汎用の携帯端末との双方がフォークリフトの上又は近傍に存在した場合でも、乗務員ID情報の受信回数に応じた二次判断を実行でき、フォークリフトに頻繁に乗り降りする管理対象の乗務員を管理することができる。
【0045】
また、本実施形態の管理システム10によれば、認証装置25による乗務員の認証が成立した場合には、一次判断処理と二次判断処理とが実行されずに、認証装置25による認証結果が選択される。そして、認証装置25による認証結果が選択された場合に、認証装置25により認証された乗務員の情報が記録メディア26に保存される。これによって、より確実な乗務員認証を実現できる。
【0046】
図6は、本発明の他の実施形態に係る管理システムのハードウェア構成を示すブロック図である。この図に示すように、本実施形態に係る管理システム100は、ビーコン10と、車載装置120と、サーバー30とを備える。なお、上述の実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、既に行った説明を援用する。
【0047】
車載装置120は、上述の実施形態の車載装置20と異なり、広域通信用のアンテナ27を備える。広域通信用のアンテナ27は、インターネット等の通信網を介してサーバー30との間で通信する。本実施形態において、CPU21は、乗務員の認証結果を広域通信用のアンテナ27からサーバー30に送信する。なお、広域通信用のアンテナ27は、車載装置120に設けられることは必須ではなく、車載装置120から独立して設けられてもよい。また、車載装置120は、記録メディアを備えてもよい。
【0048】
サーバー30は、CPU31と、ROM32と、RAM33と、通信装置34と、HDD35とを備える。通信装置34は、インターネット等の通信網を介して車載装置120の広域通信用のアンテナ27との間で通信する。CPU31は、ROM32に格納された制御プログラムをRAM33に読み出して各種の処理を実行する。本実施形態では、CPU31は、通信装置34が受信した乗務員の認証結果を集計してHDD35に保存する。
【0049】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよいし、適宜公知や周知の技術を組み合わせてもよい。
【0050】
例えば、上述の実施形態では、車載装置20のCPU21が図4及び図5のフローチャートに示す処理を実行したが、図6に示すサーバー30のCPU31が図4及び図5のフローチャートに示す処理を実行してもよい。
【0051】
また上述の実施形態では、フォークリフトの乗務員を車両に乗る管理対象者としたが、トラックやタクシー等の他の車両に乗る者を管理対象者としてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 :管理システム
10 :ビーコン(発信手段)
20 :車載装置
21 :CPU(コンピュータ)
24 :アンテナ(受信手段)
25 :認証装置(認証手段)
26 :記録メディア(記録手段)
35 :HDD(記録手段)
100 :管理システム
120 :車載装置
211 :一次判断部(一次判断手段)
212 :二次判断部(二次判断手段)
213 :集計保存部(保存手段)
2121:認証方法選択部(認証方法選択手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6