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特許7469938情報処理装置、情報処理方法、及び、プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-09
(45)【発行日】2024-04-17
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04B 7/06 20060101AFI20240410BHJP
   H01Q 3/26 20060101ALI20240410BHJP
【FI】
H04B7/06 950
H01Q3/26 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020060580
(22)【出願日】2020-03-30
(65)【公開番号】P2021163976
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-02-20
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和1年度、総務省、令和1年度における異システム間の周波数共用技術の高度化に関する研究開発の委託事業、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金本 英樹
(72)【発明者】
【氏名】守内 祐三
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 嶺
【審査官】原田 聖子
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-249042(JP,A)
【文献】特開2003-174368(JP,A)
【文献】特表2016-530790(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0379440(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/06
H01Q 3/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定エリアの内部に設定された送信点において形成される複数の方向へのビームが、前記特定エリアの外部に与える干渉を評価する評価部と、
前記干渉の評価の結果に基づいて、所定レベル以上の前記干渉に対応する前記複数の方向のうち少なくとも一部のビームを統合したビームのビーム幅を決定する決定部と、
を備えた、情報処理装置。
【請求項2】
前記決定部は、前記決定したビーム幅に基づいて、前記特定エリアにおける品質を評価し、
前記決定部は、前記品質が所定の品質を満たさない場合、前記所定レベルを調整して、前記ビーム幅を再決定する、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項3】
特定エリアの内部に設定された送信点において形成される複数の方向へのビームが、前記特定エリアの外部に与える干渉を評価する評価部と、
前記干渉の評価の結果に基づいて、所定レベル以上の前記干渉に対応する前記複数の方向のうち少なくとも一部の方向のビームが隣り合うビームではない場合、前記少なくとも一部の方向のビームのビーム幅を拡幅する決定部と
を備えた、情報処理装置。
【請求項4】
前記決定部は、前記拡幅したビームが、前記特定エリアの外部に設けられるセンサに検出されるか否かを判定し、
前記拡幅したビームが、前記センサに検出されない場合、前記所定レベルを調整して、前記ビーム幅を再決定する、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
特定エリアの内部に設定された送信点において形成される複数の方向へのビームが、前記特定エリアの外部に与える干渉を評価する評価部と、
前記干渉の評価の結果に基づいて所定レベル以上の前記干渉に対応する前記複数の方向のうち少なくとも一部の方向のビームの第1の幅が、前記所定レベル以上の前記干渉に相当するビーム幅よりも大きい場合、前記少なくとも一部の方向のビームのビーム幅を、前記第1の幅よりも小さい第2の幅に決定する決定部と
を備えた、情報処理装置。
【請求項6】
前記決定部は、前記少なくとも一部の方向のビームのビーム幅を分割する、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
情報処理装置が、
特定エリアの内部に設定された送信点において形成される複数の方向へのビームが、前記特定エリアの外部に与える干渉を評価し、
前記干渉の評価の結果に基づいて、所定レベル以上の前記干渉に対応する前記複数の方向のうち少なくとも一部のビームを統合したビームのビーム幅を決定する、
情報処理方法。
【請求項8】
情報処理装置に、
特定エリアの内部に設定された送信点において形成される複数の方向へのビームが、前記特定エリアの外部に与える干渉を評価し、
前記干渉の評価の結果に基づいて、所定レベル以上の前記干渉に対応する前記複数の方向のうち少なくとも一部のビームを統合したビームのビーム幅を決定する、
処理を実行させる、プログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
或る特定のエリアに無線基地局を配置することによって、当該エリアに無線システムを構築する場合、その特定のエリアにおける通信品質が所望の品質を満たすように無線基地局の配置が決定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-107613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特定のエリアの周辺に与える影響(例えば、与干渉)を考慮した無線システムの構築には、検討の余地がある。
【0005】
本開示の非限定的な実施例は、或るエリアの周辺に対する与干渉を考慮した無線システムを構築できる情報処理装置、情報処理方法、及び、プログラムの提供に資する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施例に係る情報処理装置は、特定エリアの内部に設定された送信点において形成される複数の方向へのビームが、前記特定エリアの外部に与える干渉を評価する評価部と、前記干渉の評価の結果に基づいて、前記複数の方向の少なくとも一部のビームのビーム幅を決定する決定部と、を備える。
【0007】
本開示の一実施例に係る情報処理方法は、情報処理装置が、特定エリアの内部に設定された送信点において形成される複数の方向へのビームが、前記特定エリアの外部に与える干渉を評価し、前記干渉の評価の結果に基づいて、前記複数の方向の少なくとも一部のビームのビーム幅を決定する。
【0008】
本開示の一実施例に係るプログラムは、情報処理装置に、特定エリアの内部に設定された送信点において形成される複数の方向へのビームが、前記特定エリアの外部に与える干渉を評価し、前記干渉の評価の結果に基づいて、前記複数の方向の少なくとも一部のビームのビーム幅を決定する、処理を実行させる。
【0009】
なお、これらの包括的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム、又は、記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本開示の一実施例によれば、或るエリアの周辺に対する与干渉を考慮した無線システムを構築できる。
【0011】
本開示の一実施例における更なる利点及び効果は、明細書及び図面から明らかにされる。かかる利点及び/又は効果は、いくつかの実施形態並びに明細書及び図面に記載された特徴によってそれぞれ提供されるが、1つ又はそれ以上の同一の特徴を得るために必ずしも全てが提供される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】屋内の限定エリアにおいて無線基地局が形成するビームの第1の例を示す図
図2】屋内の限定エリアにおいて無線基地局が形成するビームの第2の例を示す図
図3】無線基地局の一例を示すブロック図
図4】実施の形態1に係る情報処理装置の構成の一例を示すブロック図
図5A】実施の形態1における統合ビームの決定の一例を示す図
図5B】実施の形態1における統合ビームの決定の一例を示す図
図6】実施の形態1における情報処理装置の処理の一例を示すフローチャート
図7】実施の形態2に係る情報処理装置の構成の一例を示すブロック図
図8A】実施の形態2におけるビーム幅調整の一例を示す図
図8B】実施の形態2におけるビーム幅調整の一例を示す図
図9】実施の形態2における情報処理装置の処理の一例を示すフローチャート
図10】実施の形態3に係る情報処理装置の構成の一例を示すブロック図
図11A】実施の形態3におけるビーム幅調整の一例を示す図
図11B】実施の形態3におけるビーム幅調整の一例を示す図
図12】実施の形態3における情報処理装置の処理の一例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施形態について詳細に説明する。尚、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0014】
(実施の形態1)
工場、ショッピングモール等の特定のエリア(以下、「限定エリア」と記載する場合がある)において、特定のエリアをカバーする1以上の無線基地局を配置することによって、無線システムが構築される。この場合、限定エリアにおける無線通信品質がより良好な無線基地局の配置が行われる。
【0015】
なお、限定エリアは、例えば、壁等によって空間的に区分けされたエリアである。あるいは、限定エリアは、個々にエリアオーナー(例えば、無線サービスを提供する主体者)が存在する局所的なエリア等に相当してよい。例えば、壁等によって空間的に区分されないエリアにおいて、互いに異なるエリアオーナーが無線サービスを提供する場合、当該エリアには、エリアオーナーと紐付けられる複数の限定エリアが規定されてもよい。例えば、空間的に区分されず、繋がっている地下街と駅の通路とのそれぞれに無線サービスが提供される場合、地下街のエリアと駅の通路を含むエリアとは、互いに異なる限定エリアに規定されてよい。また、限定エリアは、例えば、緯度、経度など概念的に区分されるエリアに相当する。
【0016】
例えば、或る無線システム(「1次利用システム」と記載される場合がある)が使用する周波数帯の少なくとも一部を共用する無線システム(「2次利用システム」又は「周波数共用システム」と記載される場合がある)を限定エリアにおいて使用することが検討されている。この場合、2次利用システムの無線基地局から放射される電波が、限定エリアの外へ漏れる可能性がある。なお、1次利用システムは、既に運用されている無線システム(「既存無線システム」と記載される場合がある)であってもよいし、これから構築される無線システムであってもよい。また、複数の2次利用システムが、1次利用システムおよび2次利用システムを構成してもよい。
【0017】
また、例えば、2次利用システムでは、例えば、ミリ波帯の周波数帯を用いた、ビームフォーミング技術の利用が検討される。ビームフォーミング技術では、特定の方向への指向性を有するビームを形成し、ビームの幅、ビームの方向、及び、ビームの電力等細かい制御(以下、「ビーム制御」と記載される)することによって、限定エリア内のユーザ端末の受信品質を向上でき、多重数を増加できる。
【0018】
しかしながら、これまでの無線システムの構築方法においては、限定エリア内の無線通信品質(例えば、サービス品質)を確保することを主眼に置いており、限定エリアの外への与干渉については、考慮されていない。
【0019】
例えば、屋内の限定エリアにおいて、ビームフォーミング技術を適用した無線システムを構築する場合、限定エリア内と限定エリア外とを分ける外壁に設けられる窓等から漏れ出る電波が与干渉となる。
【0020】
図1は、屋内の限定エリアにおいて無線基地局が形成するビームの第1の例を示す図である。図1には、屋内の限定エリアAr1と、限定エリアAr1に設けられ、ビーム制御を行う無線基地局B1とが示される。
【0021】
図1の限定エリアAr1は、例示的に、屋内の部屋である。図1の限定エリアAr1には、限定エリアAr1の内部と外部とを分ける壁に、窓W1及び窓W2が設けられる。
【0022】
無線基地局B1は、例示的に、ビーム#0~ビーム#10の11本のビームを形成する。ビーム#0~ビーム#10は、互いに異なる方向に指向性を有する。なお、#0~#10は、ビームを識別する識別番号と称されてもよい。
【0023】
図1では、ビーム#0~ビーム#10のうち、ビーム#0~ビーム#2が、窓W1から限定エリアAr1の外部へ漏れる。例えば、ビーム#0~ビーム#2が限定エリアAr1の外部へ与える干渉(つまり、与干渉)を検出(測定又は監視)する場合、各ビームのビーム幅が狭く、また、電波の直進性が強いため、与干渉の検出が困難となる場合がある。例えば、図1に示すように、限定エリアAr1の外部に、ビーム#0~ビーム#2のそれぞれの方向に対応したセンサ#0~センサ#2を設けることが考えられるが、システム構築のコストが増加してしまう可能性がある。
【0024】
図1に例示したように、構築する無線システムにおいてビームフォーミング技術が適用される場合、与干渉に相当するビームの数が増加することによって、与干渉の検出及び/又は制御が困難になる可能性がある。
【0025】
図2は、屋内の限定エリアにおいて無線基地局が形成するビームの第2の例を示す図である。図2には、屋内の限定エリアAr2と、限定エリアAr2に設けられ、ビーム制御を行う無線基地局B2とが示される。
【0026】
図2の限定エリアAr2は、例示的に、屋内の部屋である。図2の限定エリアAr2には、限定エリアAr2の内部と外部とを分ける壁に、窓W3及び窓W4が設けられる。
【0027】
無線基地局B2は、例示的に、ビーム#0~ビーム#10の11本のビームを形成する。ビーム#0~ビーム#10は、互いに異なる方向に指向性を有する。
【0028】
図2では、ビーム#0~ビーム#10のうち、ビーム#1が、窓W3から限定エリアAr2の外部へ漏れる。窓W3が、ビーム#1のビーム幅(送信時に形成するビームの幅)と比較して狭い場合、窓W3から限定エリアAr2の外部へ漏れる電波の幅(ビームの幅)は、ビーム#1のビーム幅と比較して狭い。例えば、ビーム#1による与干渉がセンサ#4によって検出され、無線基地局B2が検出結果に基づいてビーム#1の電力を低下させる制御を行う場合、電力を低下させることによって、限定エリアAr2内の伝送効率が低下する可能性がある。
【0029】
図2に例示したように、構築する無線システムにおいてビームフォーミング技術が適用される場合、与干渉を抑制するためのビーム制御によって、限定エリア内の伝送効率が低下する可能性がある。
【0030】
本開示の非限定的な実施例は、限定エリアの外への与干渉を考慮したビーム制御(例えば、ビーム幅の制御)を行うことができる無線システムの構築について説明する。
【0031】
以下に示す、実施の形態では、例示的に、ビームフォーミングを行う無線基地局が限定エリアに設けられる場合の、限定エリア外への与干渉を考慮したビーム制御を行うための情報が、情報処理装置によって決定される。例えば、ビーム制御を行うための情報には、無線基地局が形成するビームの数、ビームの方向、ビームの幅、ビームの電力等に関する情報が含まれてよい。
【0032】
図3は、無線基地局10の一例を示すブロック図である。無線基地局10は、例えば、限定エリアに設けられ、限定エリア内に存在する端末と無線通信を行う。無線基地局10は、端末が存在する方向への指向性を有するビームを形成し、形成したビームを用いて、端末へ信号を送信する。無線基地局10は、後述する情報処理装置によって決定されたビーム形成情報に基づいて、ビーム制御を行う。
【0033】
無線基地局10は、ビーム形成情報保持部101と、ビーム形成制御部102と、送信データ生成部103と、送信部104と、アンテナ部105とを有する。なお、図3には、無線基地局10の信号送信に係る構成が示される。
【0034】
ビーム形成情報保持部101は、後述する情報処理装置によって設定されたビーム形成情報を保持する。
【0035】
ビーム形成制御部102は、例えば、ビーム形成保持部101に保持されたビーム形成情報に基づいて、所望の方向への指向性を有するビームを制御する。例えば、所望の方向は、端末が存在する方向であってよい。端末が存在する方向は、例えば、端末の位置情報に基づいて決定されてもよいし、端末と無線基地局10との間で送受信される信号(例えば、ビーコン等の制御信号)によって決定されてもよい。
【0036】
ビーム形成制御部102は、ビーム制御に関する情報を、送信データ生成部103、送信部104、及び、アンテナ部105へ出力する。
【0037】
送信データ生成部103は、送信データを生成し、送信部104へ出力する。なお、送信データ生成部103は、ビーム制御に関する情報に基づいて、送信部104へ出力するデータに対して、重み付けを行ってもよい。また、送信データ生成部103は、時分割でビーム制御を行う場合、データの出力タイミングの調整などを行ってもよい。
【0038】
送信部104は、送信データに対して信号処理(例えば、符号化、変調等)を行い、ベースバンド送信信号を生成する。送信部104は、ベースバンド送信信号に対する周波数変換処理(例えば、アップコンバート)を行い、無線周波数帯(例えば、ミリ波帯)の送信信号を生成し、アンテナ部105を介して、端末へ送信する。なお、送信部104は、ビーム制御に関する情報に基づいて、ベースバンド送信信号に対して重み付け処理を行ってよい。
【0039】
アンテナ部105は、例えば、多数のアンテナ素子を有する。アンテナ部105は、ビーム制御に関する情報に基づいて、無線周波数帯の送信信号に対して重み付け処理を行ってよい。アンテナ部105は、所望の方向への指向性を有するビームを形成し、無線周波数帯の送信信号を送信する。
【0040】
なお、無線基地局10では、ビーム制御に関する情報に基づく重み付けによって、ビームの方向、幅、及び、電力が調整されてよい。例えば、隣り合う複数の方向へ向けられるビームを統合することによって、ビーム幅が拡幅されてよい。あるいは、1つのビームを分割することによって、分割後のビーム幅が縮小されてよい。ビームの方向、幅、及び、電力の調整は、アンテナ部105の多数のアンテナ素子間において、位相あるいは電力の重みづけを制御することによって実現可能である。その重みづけは適応的に算出することも可能であるし、事前に算出したいくつかのパタンから選択することで実現することも可能である。
【0041】
図4は、本実施の形態1に係る情報処理装置20の構成の一例を示すブロック図である。図4に示す情報処理装置20は、与干渉評価指示部201、限定エリア伝搬評価部202、ビーム選択部203、及び、統合ビーム形成部204を有する。なお、情報処理装置20は、例えば、パーソナル・コンピューター(PC)等の計算機によって構成されてよい。
【0042】
例えば、与干渉評価指示部201及び限定エリア伝搬評価部202は、評価部と読み替えられてもよく、ビーム選択部203、及び、統合ビーム形成部204は、決定部と読み替えられてもよい。
【0043】
与干渉評価指示部201は、与干渉に関する評価を、限定エリア伝搬評価部202へ指示する。また、与干渉評価指示部201は、与干渉に関する評価についてのパラメータを限定エリア伝搬評価部202へ出力する。与干渉に関する評価についてのパラメータには、例えば、限定エリアの外に設けられる与干渉境界に関するパラメータが含まれる。与干渉境界とは、与干渉に関する評価における、限定エリアの内部から放射され漏れ出る電波の評価点を配置する境界である。評価点とは、例えば、与干渉を検出するセンサの設置位置であってよい。与干渉境界は、与干渉管理境界、限定エリア境界もしくは敷地境界と称されてもよい。以下、与干渉境界に関する情報は、与干渉境界情報と記載されてよい。
【0044】
また、与干渉評価指示部201は、限定エリアに設ける無線基地局(例えば、無線基地局10)に関する情報を、限定エリア伝搬評価部202へ出力してもよい。無線基地局に関する情報には、例えば、無線基地局が形成可能なビームに関する情報(例えば、ビームの数、ビームの方向、電力、及び、ビーム幅)が含まれてよい。
【0045】
限定エリア伝搬評価部202は、限定エリア情報および与干渉境界情報に基づいて、限定エリア内に設けた仮想送信点から所定の電力で放射された電波の電力分布を決定する。例えば、限定エリア伝搬評価部202は、電波伝搬に関するシミュレーションによって、電力分布を決定してよい。
【0046】
仮想送信点は、例えば、上述した無線基地局10を設置する候補となる位置を示す。限定エリア情報は、例えば、限定エリアにおける電波伝搬の評価に資する2次元(又は、3次元)のモデルに関する情報である。限定エリア情報には、限定エリアを囲む壁の形状及び材質の情報が含まれてよい。また、限定エリア情報には、限定エリアに設けられる窓及びドアの位置、数、形状、材質の情報が含まれてよい。また、限定エリア情報には、限定エリア内の遮蔽物(例えば、限定エリア内を仕切る壁、パーティション等)の位置、サイズ、形状、材質の情報が含まれてよい。
【0047】
例えば、限定エリア伝搬評価部202は、仮想送信点において形成されたビームによって放射される電波の電力分布を、ビーム毎に決定してもよい。
【0048】
ビーム選択部203は、限定エリア伝搬評価部202の評価結果(例えば、ビーム毎の電力分布)に基づいて、限定エリア外への与干渉に対応するビームを選択する(特定する又は識別する)。ビーム選択部203は、選択したビームに関する情報(例えば、選択ビームのインデックス)を統合ビーム形成部204へ出力する。
【0049】
統合ビーム形成部204は、ビーム選択部203によって選択されたビームを統合するか否かを判定する。統合ビーム形成部204は、選択されたビームを統合すると判定した場合、選択されたビームを統合する。ここで、選択されたビームを統合するとは、例えば、選択された複数のビームを、選択された複数のビームに対応する複数の方向を包含する1つのビームに置換することに相当してよい。例えば、置換される1つのビームの半値幅は、選択された複数のビームを束ねた場合の半値幅に相当してよい。なお、置換されるビームと選択された複数のビームとの評価の指標は、半値幅に限定されない。例えば、指標は、ビームのカバー範囲を表してもよい。
【0050】
統合ビーム形成部204は、統合ビームの形成した結果に関する情報を含むビーム形成情報を出力する。出力された情報は、例えば、上述した無線基地局10のビーム形成情報に含まれてよい。例えば、ビーム形成情報には、統合されるビームの情報(ビームの識別番号)、統合ビームのビーム幅、送信電力等に関する情報が含まれてよい。
【0051】
統合ビーム形成部204は、選択されたビームを統合しないと判定した場合、ビーム選択部203へビームの再選択を指示する。ここで、ビームの再選択においては、ビームの選択に関する条件が更新されてよい。
【0052】
<統合ビームの例>
次に、情報処理装置20における、統合ビームの例を説明する。
【0053】
図5A及び図5Bは、本実施の形態1における統合ビームの決定の一例を示す図である。図5A及び図5Bには、それぞれ、限定エリアAr3に設けられ、ビーム制御を行う無線基地局B3が示される。なお、図5Aは、統合ビームを決定する前のビームの例を示し、図5Bは、統合ビームを決定した後のビームの例を示す。
【0054】
限定エリアAr3は、例示的に、屋内の部屋である。図5A及び図5Bの限定エリアAr3には、限定エリアAr3の内部と外部とを分ける壁に、窓W5及び窓W6が設けられる。また、図5A及び図5Bには、与干渉境界Vr3が示される。与干渉境界Vr3は、例えば、情報処理装置20によって設定される。あるいは、与干渉境界Vr3は、周波数共用システムから与干渉レベルとともに指定されてよい。周波数共用システムは、与干渉レベルを指定し、与干渉境界Vr3を指定しなくてもよい。
【0055】
なお、与干渉境界が指定されない場合、与干渉境界は、限定エリアの外周であってもよい。あるいは、限定エリアが屋内エリアであり、与干渉境界が指定されない場合、与干渉境界は、敷地の外周であってもよい。
【0056】
図5Aは、統合ビームを決定する前の無線基地局B3が形成するビームの例を示す。図5Aの無線基地局B3は、例示的に、ビーム#0~ビーム#10の11本のビームを形成する。ビーム#0~ビーム#10は、互いに異なる方向に指向性を有する。なお、#0~#10は、ビームを識別する識別番号と称されてもよい。例えば、2つの隣り合うビームに対しては、連続する2つの識別番号が付される。
【0057】
図5Aでは、ビーム#0~ビーム#10のうち、ビーム#0~ビーム#2が、窓W5から限定エリアAr3の外部へ漏れる電波に相当し、ビーム#9とビーム#10とが、窓W6から限定エリアAr3の外部へ漏れる電波に相当する。図5Aの場合、ビーム#0~ビーム#2及びビーム#9とビーム#10とそれぞれによる与干渉を検出するセンサ#s0~#s4が設けられることが想定される。
【0058】
情報処理装置20は、例えば、限定エリアの外部に漏れる与干渉の電力を、ビーム毎に測定又は評価する。この評価は、例えば、電波伝搬シミュレーションによって実行されてよい。
【0059】
例えば、図5Aでは、ビーム#0~ビーム#2が、与干渉レベル以上の与干渉を示す。この場合、情報処理装置20は、ビーム#0~ビーム#2は、互いに隣り合うビームのため、これらの3つのビームを統合する、と決定してよい。
【0060】
また、例えば、図5Aでは、ビーム#9とビーム#10とが、与干渉レベル以上の与干渉を示す。この場合、情報処理装置20は、ビーム#9とビーム#10とが互いに隣り合うビームのため、これら2つのビームを統合する、と決定してよい。
【0061】
図5Bは、統合ビームを決定した後の無線基地局B3が形成するビームの例を示す。図5Bでは、図5Aに示すビーム#0~ビーム#2を統合したビーム#M0、及び、ビーム#9とビーム#10とを統合したビーム#M1の例が示される。
【0062】
例えば、ビーム#M0の半値幅は、ビーム#0~ビーム#2を束ねた場合の半値幅に相当してよい。また、ビーム#M1の半値幅は、ビーム#9とビーム#10とを束ねた場合の半値幅に相当してよい。
【0063】
ビーム#0~ビーム#2をビーム#M0に代替することによって、図5Bに示すように、ビーム#M0が限定エリアAr3の外部へ与える干渉が、1つのセンサ(センサ#m0)によって検出できる。また、ビーム#9とビーム#10とをビーム#M1に代替することによって、図5Bに示すように、ビーム#M1が限定エリアAr3の外部へ与える干渉が、1つのセンサ(センサ#m1)によって検出できる。図5A図5Bとを比較して示されるように、ビームを統合することによって、与干渉を検出するセンサの数を減らすことができる。
【0064】
次に、本実施の形態1に係る情報処理装置20の処理の流れを説明する。図6は、本実施の形態1における情報処理装置20の処理の一例を示すフローチャートである。
【0065】
図6に示すフローチャートは、例えば、限定エリアに周波数共用システムを構築する管理者(ユーザ)の指示に基づいて開始される。例えば、管理者は、情報処理装置20が有する操作部を介して、無線基地局10のビーム制御に関する情報の決定を開始する指示を行ってよい。操作部を介して情報処理装置20に入力される指示は、例えば、与干渉評価指示部201に与えられる。なお、この場合、管理者は、限定エリア情報等の情報を入力してもよい。
【0066】
与干渉評価指示部201は、限定エリアの周囲の与干渉境界を設定する(S101)。
【0067】
限定エリア伝搬評価部202は、与干渉境界での干渉電力を評価する(S102)。
【0068】
ビーム選択部203は、与干渉が所定レベル(例えば、与干渉レベル)以上となるビームを選択する(S103)。
【0069】
統合ビーム形成部204は、選択されたビームから、統合ビームを決定する(S104)。
【0070】
統合ビーム形成部204は、統合ビームを決定した結果、限定エリア内のサービス品質は所定の品質を満たすか否かを判定する(S105)。例えば、この判定は、統合した後の電力分布を電波伝搬シミュレーションによって決定し、決定した電力分布に基づいて推定されるサービス品質を表す数値(例えば、スループット)が、所定値以上か否かに基づいて行われてよい。
【0071】
サービス品質が所定の品質を満たさない場合(S105にてNO)、統合ビーム形成部204は、所定レベルを調整する(S106)。例えば、統合ビーム形成部204は、所定レベルを低下させてもよいし、増加させてもよい。そして、S103の処理が実行される。
【0072】
サービス品質が所定の品質を満たす場合(S105にてYES)、統合ビーム形成部204は、形成された統合ビームに関する情報を含むビーム形成情報を生成し、図6に示すフローは終了する。
【0073】
以上、実施の形態1では、与干渉となる複数のビームを統合することによって、与干渉の検出及び制御を容易に行うことができ、与干渉を考慮した無線システムを構築できる。例えば、与干渉となる複数のビームを統合することによって、与干渉の検出のために限定エリアの外部に設けられるセンサの数を、複数のビームを統合しない場合よりも減らすことができる。また、統合したビームの電力を低下させることによって、与干渉を効率良く低減でき、与干渉の制御を容易にできる。
【0074】
なお、ビームを統合する対象を決定する所定レベルが調整されることによって、ビームを統合した場合の端末の収容数(多重数)の増減と与干渉の検出及び制御の容易性との間のトレードオフを調整できる。この調整は、限定エリアの構造、限定エリアにおいて望まれるサービス品質に応じて実行されてよい。
【0075】
例えば、ビームを統合する対象の数を減らす方向に所定レベルが調整されることによって(例えば、所定レベルを増加させることによって)、端末の収容数を増加できる。一方で、ビームを統合する対象の数を増やす方向に所定レベルが調整されることによって(例えば、所定レベルを低減させることによって)、統合するビーム数の増加とともに、与干渉の検出及び制御がより容易に行うことができる。
【0076】
例えば、限定エリアにおいて望まれるサービス品質が相対的に低い場合(例えば、収容する端末数が相対的に少なくてよい場合)、与干渉の検出及び制御がより容易になる調整が実行されてよい。
【0077】
なお、上述の例では、与干渉が所定レベル以上か否かに基づいて、ビームを統合する対象を決定したが、本開示はこれに限定されない。例えば、或るビームが見通し環境に相当するか否かに基づいて、ビームを統合する対象を決定してもよい。或るビームの方向が、与干渉境界に対して見通し環境である場合、別言すると、当該ビームの方向が与干渉境界に到達するまでの間に、電波の反射、屈折、減衰等の要因となる障害物が存在しない場合、当該ビームが統合する対象のビームである、と決定してよい。
【0078】
(実施の形態2)
実施の形態2では、ビーム幅を調整することによって与干渉の検出及び制御を容易にする例を説明する。
【0079】
図7は、本実施の形態2に係る情報処理装置30の構成の一例を示すブロック図である。なお、図7において、図4と同様の構成については、同一の符番を付し、説明を省略する場合がある。
【0080】
例えば、図7において、与干渉評価指示部201及び限定エリア伝搬評価部202は、評価部と読み替えられてもよく、ビーム選択部303、統合ビーム形成部304、及び、ビーム幅調整部305は、決定部と読み替えられてもよい。
【0081】
ビーム選択部303は、限定エリア伝搬評価部202の評価結果(例えば、ビーム毎の電力分布)に基づいて、限定エリア外への与干渉に対応するビームを選択する。ビーム選択部303は、選択したビームに関する情報(例えば、選択ビームのインデックス)を統合ビーム形成部304及びビーム幅調整部305へ出力する。
【0082】
統合ビーム形成部304は、ビーム選択部303によって選択されたビームを統合するか否かを判定する。統合ビーム形成部304は、選択されたビームを統合すると判定した場合、図4に示した統合ビーム形成部204と同様に、選択されたビームを統合する。
【0083】
ビーム幅調整部305は、ビーム選択部303によって選択されたビームが互いに隣り合うビームではない場合、選択されたビームのいずれか少なくとも1つのビーム幅を調整する。例えば、ビーム幅調整部305は、ビーム幅を拡幅する方向に、ビーム幅を調整する。
【0084】
ビーム幅調整部305は、調整したビーム幅のビームが所定の条件を満たす場合、調整後のビーム幅の情報を含むビーム形成情報を出力する。ビーム形成情報には、調整の対象のビームに関する情報(例えば、識別番号)と、調整後のビーム幅と送信電力とに関する情報が含まれてよい。
【0085】
<ビーム幅調整の例>
次に、情報処理装置30における、ビーム幅の調整(ビーム幅の拡幅)の例を説明する。
【0086】
図8A及び図8Bは、本実施の形態2におけるビーム幅調整の一例を示す図である。図8A及び図8Bには、それぞれ、限定エリアAr4に設けられ、ビーム制御を行う無線基地局B4が示される。なお、図8Aは、ビーム幅を調整する前のビームの例を示し、図8Bは、ビーム幅を調整した後のビームの例を示す。なお、図8A及び図8Bの例における、ビーム幅の調整は、実施の形態1にて示した統合ビームの決定も含む。
【0087】
限定エリアAr4は、例示的に、屋内の部屋である。図8A及び図8Bの限定エリアAr4には、限定エリアAr4の内部と外部とを分ける壁に、窓W7、窓W8及び窓W9が設けられる。また、図8A及び図8Bには、図5A及び図5Bに示した例と同様に、与干渉境界Vr4が示される。
【0088】
図8Aは、ビーム幅を調整する前の無線基地局B4が形成するビームの例を示す。図8Aの無線基地局B2は、例示的に、ビーム#0~ビーム#10の11本のビームを形成する。ビーム#0~ビーム#10は、互いに異なる方向に指向性を有する。
【0089】
図8Aでは、ビーム#0~ビーム#10のうち、ビーム#0が、窓W7から限定エリアAr4の外部へ漏れる電波に相当し、ビーム#2が、窓W8から限定エリアAr4の外部へ漏れる電波に相当する。また、ビーム#9とビーム#10とが、窓W9から限定エリアAr4の外部へ漏れる電波に相当する。図8Aの場合、ビーム#0、ビーム#2、ビーム#9及びビーム#10のそれぞれによる与干渉を検出するセンサ#s0~#s3が設けられることが想定される。
【0090】
情報処理装置30は、例えば、限定エリアの外部に漏れる与干渉の電力を、ビーム毎に測定又は評価する。この評価は、例えば、電波伝搬シミュレーションによって実行されてよい。
【0091】
例えば、図8Aでは、ビーム#9とビーム#10とが、与干渉レベル以上の与干渉を示す。この場合、情報処理装置30は、実施の形態1と同様に、ビーム#9とビーム#10とが互いに隣り合うビームのため、これら2つのビームを統合する、と決定してよい。
【0092】
例えば、図8Aでは、ビーム#0とビーム#2とが、与干渉レベル以上の与干渉を示す。この場合、情報処理装置30は、ビーム#0とビーム#2とが互いに隣り合うビームではないため、これら2つのビームを統合しない、と決定する。そして、情報処理装置30は、ビーム#0とビーム#2との少なくとも一方のビーム幅を拡幅する、と決定する。そして、情報処理装置30は、ビーム#0とビーム#2との少なくとも一方のビーム幅を拡幅したビーム幅を決定する。
【0093】
図8Bは、ビーム幅を調整した後の無線基地局B2が形成するビームの例を示す。図8Bでは、ビーム#9とビーム#10とを統合したビーム#M3と、ビーム#0のビーム幅を拡幅したビーム#N0と、ビーム#2のビーム幅を拡幅したビーム#N2との例が示される。
【0094】
ビーム幅を拡幅する場合の幅については、特に限定されないが、例えば、ビーム幅を段階的に拡幅し、所定の条件を満たすビーム幅が、拡幅後のビーム幅に決定されてよい。例えば、所定の条件を満たすビーム幅とは、与干渉境界Vr4に設けられるセンサの数が減らせるビーム幅であってもよいし、限定エリアAr4内のサービス品質が所定の品質を満たすビーム幅であってもよいし、これらの組み合わせであってもよい。
【0095】
例えば、図8Bにおいて、ビーム#N0が限定エリアAr4の外部へ与える干渉と、ビーム#N1が限定エリアAr4の外部へ与える干渉とは、同一のセンサ#n0によって検出される。このように、センサの数が減らせるように、ビーム#N0とビーム#N1とのビーム幅が決定されてよい。
【0096】
また、実施の形態1と同様に、ビーム#9とビーム#10とをビーム#M3に代替することによって、図8Bに示すように、ビーム#M3が限定エリアAr2の外部へ与える干渉が、1つのセンサ(センサ#m3)によって検出できる。
【0097】
次に、本実施の形態2に係る情報処理装置30の処理の流れを説明する。図9は、本実施の形態2における情報処理装置30の処理の一例を示すフローチャートである。なお、図9において、図6と同様の処理については、同一の符番を付し、説明を省略する場合がある。
【0098】
図9に示すフローチャートは、例えば、限定エリアに周波数共用システムを構築する管理者(ユーザ)の指示に基づいて開始される。例えば、管理者は、情報処理装置30が有する操作部を介して、無線基地局10のビーム制御に関する情報の決定を開始する指示を行ってよい。操作部を介して情報処理装置30に入力される指示は、例えば、与干渉評価指示部201に与えられる。なお、この場合、管理者は、限定エリア情報等の情報を入力してもよい。
【0099】
ビーム選択部303は、選択されたビームが互いに隣り合うビームか否かを判定する(S201)。
【0100】
選択されたビームが互いに隣り合うビームの場合(S201にてYES)、S104の処理が実行される。
【0101】
選択されたビームが互いに隣り合うビームではない場合(S201にてNO)、ビーム幅調整部305は、選択されたビームの少なくとも1つのビーム幅を拡幅する(S202)。
【0102】
ビーム幅調整部305は、ビーム幅を拡幅したビームが、センサ条件を満たすか否かを判定する(S203)。センサ条件とは、例えば、複数のビームによる与干渉を1つのセンサ(あるいは、ビーム数よりも少ない数のセンサ)で検出できることに相当してよい。別言すると、S203では、ビーム幅を拡幅したビームによる与干渉を検出するセンサの数が、ビーム幅を拡幅する前のビームによる与干渉を検出するセンサの数よりも少ないか否かを判定してよい。さらには、S203では、ビーム幅の拡幅によって、与干渉を検出するセンサの数を減らせるか否かを判定してよい。
【0103】
ビーム幅を拡幅したビームがセンサ条件を満たす場合(S203にてYES)、例えば、ビーム幅の拡幅によって与干渉を検出するセンサの数を減らせる場合、S105の処理が実行される。
【0104】
ビーム幅を拡幅したビームがセンサ条件を満たさない場合(S203にてNO)、例えば、ビーム幅の拡幅によって与干渉を検出するセンサの数を減らせない場合、ビーム幅調整部305は、所定レベルと、ビーム幅とを調整する(S204)。例えば、S204におけるビーム幅の調整では、S202にて拡幅したビーム幅が、拡幅前のビーム幅に戻される。また、S204における所定レベルの調整では、所定レベルを低下させてもよいし、増加させてもよい。そして、S103の処理が実行される。
【0105】
以上、実施の形態2では、与干渉となるビームの幅を制御(例えば、拡幅する制御)によって、与干渉の検出及び制御を容易に行うことができ、与干渉を考慮した無線システムを構築できる。例えば、与干渉となるビームの幅を拡幅することによって、与干渉の検出のために限定エリアの外部に設けられるセンサの数を、ビームを拡幅しない場合よりも減らすことができる。また、ビームの電力を低下させることによって、与干渉を効率良く低減でき、与干渉の制御を容易にできる。
【0106】
(実施の形態3)
実施の形態3では、ビーム幅を調整することによって、限定エリア外への与干渉を低減し、限定エリア内の伝送効率の低下を抑制する例を説明する。
【0107】
図10は、本実施の形態3に係る情報処理装置40の構成の一例を示すブロック図である。なお、図10において、図4と同様の構成については、同一の符番を付し、説明を省略する。
【0108】
例えば、図10において、与干渉評価指示部201及び限定エリア伝搬評価部202は、評価部と読み替えられてもよく、ビーム選択部403、統合ビーム形成部304、ビーム幅調整部305、及び、ビーム分割部406は、決定部と読み替えられてもよい。
【0109】
ビーム選択部403は、限定エリア伝搬評価部202の評価結果(例えば、ビーム毎の電力分布)に基づいて、限定エリア外への与干渉に対応するビームを選択する。ビーム選択部403は、選択したビームに関する情報(例えば、選択ビームのインデックス)を統合ビーム形成部304、ビーム幅調整部305及びビーム分割部406へ出力する。
【0110】
ビーム分割部406は、選択したビームを分割するか否かを判定し、分割する場合は、選択したビームを、ビーム幅がより狭い複数のビームに分割する。例えば、ビーム分割部406は、無線基地局10(仮想送信点)において形成するビームのビーム幅と比較して、与干渉となるビームに相当する信号の幅が狭い場合、選択したビームを分割すると判定してよい。例えば、ビーム分割部406は、送信ビームよりも漏れ出し隙間(例えば、窓のサイズ)のほうが狭い場合、ビームを分割してよい。ビームの分割により、与干渉となるビームの幅が制限される。
【0111】
<ビーム幅調整の例>
次に、情報処理装置40における、ビーム幅の調整(ビーム幅の縮小)の例を説明する。以下では、或る1つのビームを分割することによって、分割後の各ビームのビーム幅を、縮小する例を示す。なお、本開示においては、ビームを分割することなく、或るビームのビーム幅が縮小されてもよい。
【0112】
図11A及び図11Bは、本実施の形態3におけるビーム幅調整の一例を示す図である。図11A及び図11Bには、それぞれ、限定エリアAr5に設けられ、ビーム制御を行う無線基地局B5が示される。
【0113】
限定エリアAr5は、例示的に、屋内の部屋である。図11A及び図11Bの限定エリアAr5には、限定エリアAr5の内部と外部とを分ける壁に、窓W10が設けられる。また、図11A及び図11Bには、図5A及び図5Bに示した例と同様に、与干渉境界Vr5が示される。
【0114】
図11Aは、ビーム幅を調整する前の無線基地局B5が形成するビームの例を示す。図8Aの無線基地局B2は、例示的に、ビーム#0~ビーム#10の11本のビームを形成する。ビーム#0~ビーム#10は、互いに異なる方向に指向性を有する。
【0115】
図11Aでは、ビーム#0~ビーム#10のうち、ビーム#1が、窓W10から限定エリアAr5の外部へ漏れる。図11Aでは、窓W10がビーム#1のビーム幅と比較して狭いため、窓W10から限定エリアAr5の外部へ漏れる電波の幅(ビームの幅)は、ビーム#1のビーム幅(送信時に形成するビームの幅)と比較して狭い。
【0116】
情報処理装置40は、例えば、限定エリアの外部に漏れる与干渉の電力を、ビーム毎に測定又は評価する。例えば、情報処理装置40は、電力のヒートマップを評価し、ヒートマップにおいて、与干渉に該当する部分の幅(例えば、窓W10から漏れるビームの幅)と、送信時に形成するビームの幅とを比較してよい。そして、情報処理装置40は、比較評価に基づいて、ビーム幅を調整する対象のビームを決定し、決定したビームのビーム幅を調整してよい。この評価は、例えば、電波伝搬シミュレーションによって実行されてよい。
【0117】
例えば、図11Aでは、ビーム#1が、与干渉レベル以上の与干渉を示す。そして、窓W10から漏れるビーム#1の幅が、送信時に形成されたビーム#1の幅よりも狭いため、ビーム#1がビーム幅の調整の対象のビームであると決定される。この場合、情報処理装置40は、ビーム#1のビーム幅を縮小することを決定する。例えば、情報処理装置40は、ビーム#1を分割することによって、分割後のビームのビーム幅を分割前のビームのビーム幅よりも、縮小してよい。
【0118】
図11Bでは、図11Aに示した調整前のビーム#1と、調整後のビーム#1とが示される。図11Bに示すように、調整前のビーム#1において、送信時に形成するビーム#1の幅bw1が、与干渉に該当する部分の幅bw2(例えば、窓W10から漏れるビームの幅bw2)よりも大きい。調整後のビーム#1では、ビーム#1が、ビーム#1a(2点鎖線のビームに相当)、ビーム#1b(実線のビームに相当)、及び、ビーム#1c(1点鎖線のビームに相当)に分割される。図11Bにおいて、ビーム#1bの幅bw3は、幅bw1よりも狭く調整される。例えば、ビーム#1bの幅bw3は、幅bw2よりも狭くてよい。なお、図11Bにおける幅bw2は、与干渉の幅に相当してもよい。また、幅bw2は、与干渉に対応する限定エリアAr5の境界(図11A及び図11Bの例では、窓W10)の幅に相当してよい。
【0119】
ビーム幅を縮小する場合の幅については、特に限定されないが、例えば、ビーム幅を段階的に縮小し、所定の条件を満たすビーム幅が、縮小後のビーム幅に決定されてよい。例えば、所定の条件を満たすビーム幅とは、縮小後のビーム幅が、与干渉に該当するビームの幅以下のビーム幅であってもよいし、限定エリアAr5内のサービス品質が所定の品質を満たすビーム幅であってもよいし、これらの組み合わせであってもよい。
【0120】
例えば、図11Bにおいて、ビーム#1bが限定エリアAr5の外部へ干渉を与える可能性が高い一方で、ビーム#1a及びビーム#1cが限定エリアAr5の外部へ干渉を与える可能性が低い。ここで、ビーム#1bの送信電力を低減することによって、限定エリアAr5の外部への与干渉を抑制できる。また、ビーム#1aとビーム#1cとの送信電力を低減せずに与干渉を抑制できるため、限定エリアAr5内のサービス品質(例えば、伝送効率)の低下を抑制できる。
【0121】
次に、本実施の形態3に係る情報処理装置40の処理の流れを説明する。図12は、本実施の形態3における情報処理装置40の処理の一例を示すフローチャートである。なお、図12において、図6と同様の処理については、同一の符番を付し、説明を省略する場合がある。
【0122】
図12に示すフローチャートは、例えば、限定エリアに周波数共用システムを構築する管理者(ユーザ)の指示に基づいて開始される。例えば、管理者は、情報処理装置40が有する操作部を介して、無線基地局10のビーム制御に関する情報の決定を開始する指示を行ってよい。操作部を介して情報処理装置40に入力される指示は、例えば、与干渉評価指示部201に与えられる。なお、この場合、管理者は、限定エリア情報等の情報を入力してもよい。
【0123】
ビーム選択部403は、選択されたビームにおける与干渉に相当するビーム幅が送信時に形成したビームのビーム幅より狭いか否かを判定する(S301)。
【0124】
与干渉に相当するビーム幅が送信時に形成したビームのビーム幅より狭くない場合(S301にてNO)、図12に示すフローは、終了する。
【0125】
与干渉に相当するビーム幅が送信時に形成したビームのビーム幅より狭い場合(S301にてYES)、ビーム分割部406は、選択されたビームを分割することによって、ビーム幅を縮小する(S302)。そして、S103の処理が実行される。
【0126】
なお、図12に示すフローチャートは、ビーム幅を縮小する調整に関する処理の流れを示し、ビーム幅を拡幅する調整については省略される。ビーム幅を拡幅する調整については、図9に示される。図12に示すフローチャートは、図9のフローチャートと組み合わされてよい。例えば、図12に示すフローが終了し、図9のフローチャートのS201の処理が実行されてよい。
【0127】
以上、実施の形態3では、与干渉となるビームの幅を制御(例えば、狭める制御)によって、与干渉の制御を容易に行うことができ、与干渉を考慮した無線システムを構築できる。例えば、与干渉となるビームを分割することによって、限定エリア外へ漏れる部分に該当する分割ビーム部分の電力を抑え、限定エリア外へ漏れる部分に該当しない分割ビーム部分の電力を維持することによって、限定エリア外への与干渉を低減し、限定エリア内の伝送効率の低下を抑制する。
【0128】
なお、上記各実施の形態では、1次利用システムと周波数帯を共用する2次利用システムが、1次利用システムに与える干渉を考慮する例について説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、周波数帯を共用する複数の2次利用システム間の干渉を考慮する場合についても、本開示は適用されてよい。この場合、複数の2次利用システムのそれぞれにおいて、上記の実施の形態と同様に、無線基地局の配置が決定されてよい。
【0129】
なお、上記各実施の形態では、限定エリアを上から見た平面図における、平面的に(2次元的に)形成されるビームの制御を例示したが、本開示はこれに限定されない。例えば、空間的に(3次元的に)形成されるビームが制御されてもよい。この場合も、上記各実施の形態にて示したように、情報処理装置が、与干渉の評価の結果に基づいて、少なくとも一部のビームのビーム幅を決定する。これにより、無線基地局は、情報処理装置によって決定されたビーム幅を含むビーム形成情報に基づいてビーム制御を行うことができるため、与干渉の検出及び制御を容易に行うことができ、与干渉を考慮した無線システムを構築できる。
【0130】
なお、上記各実施の形態における情報処理装置は、プロセッサ、メモリ、ストレージ、通信装置、入力装置、出力装置、バスなどを含むコンピュータ装置として構成されてもよい。
【0131】
なお、上記各実施の形態における「統合する」という表記は、「まとめる」、「合成する」、「結合する」といった他の表記に置換されてもよい。
【0132】
なお、上記各実施の形態における「・・・部」という表記は、「・・・回路(circuitry)」、「・・・デバイス」、「・・・ユニット」、又は、「・・・モジュール」といった他の表記に置換されてもよい。
【0133】
また、上記実施の形態における「周波数帯」という表記は、「周波数」、「周波数チャネル」、「帯域」、「バンド」、「キャリア」、「サブキャリア」、又は、「(周波数)リソース」といった他の表記に置換されてもよい。
【0134】
本開示はソフトウェア、ハードウェア、又は、ハードウェアと連携したソフトウェアで実現することが可能である。
【0135】
上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、部分的に又は全体的に、集積回路であるLSIとして実現され、上記実施の形態で説明した各プロセスは、部分的に又は全体的に、一つのLSI又はLSIの組み合わせによって制御されてもよい。LSIは個々のチップから構成されてもよいし、機能ブロックの一部又は全てを含むように一つのチップから構成されてもよい。LSIはデータの入力と出力を備えてもよい。LSIは、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0136】
集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路、汎用プロセッサ又は専用プロセッサで実現してもよい。また、LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。本開示は、デジタル処理又はアナログ処理として実現されてもよい。
【0137】
さらには、半導体技術の進歩又は派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【0138】
本開示は、通信機能を持つあらゆる種類の装置、デバイス、システム(通信装置と総称)において実施可能である。通信装置の、非限定的な例としては、電話機(携帯電話、スマートフォン等)、タブレット、パーソナル・コンピューター(PC)(ラップトップ、デスクトップ、ノートブック等)、カメラ(デジタル・スチル/ビデオ・カメラ等)、デジタル・プレーヤー(デジタル・オーディオ/ビデオ・プレーヤー等)、着用可能なデバイス(ウェアラブル・カメラ、スマートウオッチ、トラッキングデバイス等)、ゲーム・コンソール、デジタル・ブック・リーダー、テレヘルス・テレメディシン(遠隔ヘルスケア・メディシン処方)デバイス、通信機能付きの乗り物又は移動輸送機関(自動車、飛行機、船等)、及び上述の各種装置の組み合わせがあげられる。
【0139】
通信装置は、持ち運び可能又は移動可能なものに限定されず、持ち運びできない又は固定されている、あらゆる種類の装置、デバイス、システム、例えば、スマート・ホーム・デバイス(家電機器、照明機器、スマートメーター又は計測機器、コントロール・パネル等)、自動販売機、その他IoT(Internet of Things)ネットワーク上に存在し得るあらゆる「モノ(Things)」をも含む。
【0140】
通信には、セルラーシステム、無線LANシステム、通信衛星システム等によるデータ通信に加え、これらの組み合わせによるデータ通信も含まれる。
【0141】
また、通信装置には、本開示に記載される通信機能を実行する通信デバイスに接続又は連結される、コントローラやセンサー等のデバイスも含まれる。例えば、通信装置の通信機能を実行する通信デバイスが使用する制御信号やデータ信号を生成するような、コントローラやセンサーが含まれる。
【0142】
また、通信装置には、上記の非限定的な各種装置と通信を行う、あるいはこれら各種装置を制御する、インフラストラクチャ設備、例えば、基地局、アクセスポイント、その他あらゆる装置、デバイス、システムが含まれる。
【0143】
以上、図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、開示の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0144】
以上、本開示の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0145】
本開示は、無線通信システムに好適である。
【符号の説明】
【0146】
10 無線基地局
20、30、40 情報処理装置
101 ビーム形成情報保持部
102 ビーム形成制御部
103 送信データ生成部
104 送信部
105 アンテナ部
201 与干渉評価指示部
202 限定エリア伝搬評価部
203、303、403 ビーム選択部
204、304 統合ビーム形成部
305 ビーム幅調整部
406 ビーム分割部
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11A
図11B
図12