(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-09
(45)【発行日】2024-04-17
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/08 20060101AFI20240410BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20240410BHJP
【FI】
G03G21/08
G03G21/16 104
(21)【出願番号】P 2020088201
(22)【出願日】2020-05-20
【審査請求日】2023-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】川尻 和己
【審査官】市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-275130(JP,A)
【文献】特開2013-033091(JP,A)
【文献】特開2005-114894(JP,A)
【文献】特開2014-055998(JP,A)
【文献】特開平10-123897(JP,A)
【文献】特開平02-013986(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/08
G03G 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体ドラムと、
前記感光体ドラムの軸方向と略平行な方向が長手方向となるように配置され、端部から入射する除電光を前記感光体ドラム側の面である照射端面から出射して、前記感光体ドラムへ照射する導光板と、
前記導光板の前記端部近傍に配置され、前記導光板に入射する除電光を出射する光源と、
前記照射端面を覆うように、前記導光板と前記感光体ドラムとの間に配置されて、前記照射端面から出射された除電光を、前記導光板の長手方向において不均一に制限する遮蔽部材と、を備え、
前記照射端面から出射された除電光のうち、前記導光板の両端部付近に対応する端部領域から出射される除電光は、前記導光板の前記端部領域以外の領域である中央領域に照射される除電光に比べて、前記遮蔽部材による制限が少な
く、
前記遮蔽部材は、前記光源と前記感光体ドラムの間に、前記感光体ドラムの軸方向と略平行に配置され、長手方向位置において高さが異なる遮蔽壁であり、
前記遮蔽壁は、前記照射端面から出射された除電光を遮蔽して制限し、
前記遮蔽壁は、前記端部領域に対応する箇所の高さに比べて前記中央領域に対応する箇所の高さの方が高い、ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項
1に記載の画像形成装置であって、
前記遮蔽壁は階段状であって、高さが複数段階あり、
高さの異なる個所の境界は垂直となっている、ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項
1又は請求項
2に記載の画像形成装置であって、
前記端部領域に対応する箇所には、前記遮蔽壁が設置されていない、ことを特徴とする
画像形成装置。
【請求項4】
請求項
1から請求項
3までの何れか1つに記載の画像形成装置であって、
前記導光板を内部に収納し、前記感光体ドラム側に開口が形成された筐体を備え、
前記筐体の前記開口の縁部上に前記遮蔽壁が設置され、
前記筐体の両端付近には前記遮蔽壁が設置されずに、前記縁部に溝部が形成され、前記開口が広がっている、ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項
1から請求項
4までの何れか1つに記載の画像形成装置であって、
前記遮蔽壁における前記照射端面側の面に配置された、光を拡散反射する反射部材を備える、ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項
1から請求項
5までの何れか1つに記載の画像形成装置であって、
前記遮蔽壁は、前記遮蔽壁が設置されていない状態における前記光源から前記感光体ドラムに照射された除電光の光量分布の光量のピーク位置に対応する位置の高さが最も高く、
前記光量分布に応じて前記遮蔽壁の高さが決定されている、ことを特徴とする画像形成
装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光によって感光体ドラムの除電を行う画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機、ファクシミリ装置、プリンター、複合機等の画像形成装置において、除電ランプの光を感光体ドラムに照射することで、感光体ドラムを除電することが行われている。画像形成装置における画像形成機構としては、例えば、画像形成ユニット(画像形成部)、転写部及び定着部を備えている。そして、画像形成ユニットによってトナー像が形成され、形成されたトナー像は用紙に転写され、定着部において転写されたトナー像が用紙に定着されて、画像が形成された用紙が画像形成装置から排出される。
【0003】
この画像形成ユニットは、感光体ドラム及び現像装置等を有しており、感光体ドラムに形成された静電潜像をトナー像に顕在化させ、このトナー像を感光体ドラムから用紙に転写する。トナー像を用紙に転写した後の感光体ドラムには、除電ランプから光(除電光)が照射されることにより、感光体ドラムの電位を低下させて除電することにより、次の静電潜像の形成を可能にする。
【0004】
除電ランプを備える除電装置は、感光体ドラムに均一に除電光を照射することにより、均一な光量分布による除電を行うことが好ましく、これにより、画像の劣化を防ぐことができる。このような除電装置に関する技術は、種々開示されている。
【0005】
例えば、特許文献1には、除電ランプからの除電光が、感光体ドラムの両端部に当たることを規制する光路規制部材を備えた画像形成装置が開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、導光部材において光源からの光が入射される端面(一端面)とは反対側の端面(他端面)から出射した光を再度導光部材に入射する反射部材と、他端面側の端部を保持する保持部材と、を備え、導光部材は像担持体とは反対側の表面に軸方向に延びるように設けられ、一端面に入射した光を反射する反射部と、像担持体側に設けられ、反射部で反射した光を像担持体に向かって出射する光出射面と、を有し、導光部材には、光出射面から出射した光が像担持体に照射される除電領域と、光出射面から出射した光が保持部材により遮光される遮光領域と、が軸方向に隣接して設けられ、反射部は、除電領域から遮光領域の少なくとも一部に亘って連続して形成されている除電装置が開示されている。
【0007】
これら特許文献1に記載された画像形成装置及び特許文献2に記載された除電装置によると、感光体ドラム(像担持体)における除電を均一に行い、画像の劣化を抑制することを目的としている。また、特許文献1及び特許文献2に記載された発明以外にも、感光体ドラムにおける除電を均一に行うことを目的とした発明は提案されている
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2001-042715号公報
【文献】特開2017-181878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、上記従来の画像形成装置及び除電装置では、均一な除電が十分といえず、さらに高性能の画像形成装置が望まれている。特に、近年では帯電ローラを用いる廉価版モデルの画像形成装置において、コストを抑える観点から片側の単一光源によりフレネルピッチの光導板が用いられるが、このようなフレネルピッチの光導板は、上記特許文献1に記載された発明に適用することは困難である。また、特許文献2に記載された発明に、フレネルピッチの光導板を適用することは可能であるが、像担持体に対して均一な光量分布を実現することは困難であり、像担持体の端部において帯電特性の不均一が生じやすいとの問題がある。
【0010】
本発明は、上述の事情に鑑みて為された発明であり、その目的は、低コストであって、感光体ドラムに対して均一な光量分布による除電を行い、画像の劣化を防ぐことができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様に係る画像形成装置は、感光体ドラムと、前記感光体ドラムの軸方向と略平行な方向が長手方向となるように配置され、端部から入射する除電光を前記感光体ドラム側の面である照射端面から出射して、前記感光体ドラムへ照射する導光板と、前記導光板の前記端部近傍に配置され、前記導光板に入射する除電光を出射する光源と、前記照射端面を覆うように、前記導光板と前記感光体ドラムとの間に配置されて、前記照射端面から出射された除電光を、前記導光板の長手方向において不均一に制限する遮蔽部材と、を備え、前記照射端面から出射された除電光のうち、前記導光板の両端部付近に対応する端部領域から出射される除電光は、前記導光板の前記端部領域以外の領域である中央領域に照射される除電光に比べて、前記遮蔽部材による制限が少なく、
前記遮蔽部材は、前記光源と前記感光体ドラムの間に、前記感光体ドラムの軸方向と略平行に配置され、長手方向位置において高さが異なる遮蔽壁であり、
前記遮蔽壁は、前記照射端面から出射された除電光を遮蔽して制限し、
前記遮蔽壁は、前記端部領域に対応する箇所の高さに比べて前記中央領域に対応する箇所の高さの方が高い、ことを特徴とする。
【0012】
これにより、照射端面から出射される除電光が、遮光部材により制限されて感光体ドラムに対して照射される。また、導光板の両端部付近に対応する端部領域から出射される除電光は、導光板の端部領域以外の領域である中央領域に照射される除電光に比べて、遮蔽部材による制限が少ない。これにより、感光体ドラムに照射される除電光において、感光体ドラムの軸方向(長手方向)にわたってより均一な光量分布が実現される。これにより、感光体ドラムの帯電特性の不均一が抑制され、画像形成における画像ムラも抑制される。
【0014】
これにより、遮蔽壁により照射端面から出射された除電光を制限することから、簡易な構成により確実に除電光を制限できる。
【0016】
これにより、端部領域に比べて、中央領域において照射端面から出射された除電光の制限を大きくすることができる。このため、感光体ドラムに照射される除電光において、感光体ドラムの軸方向(長手方向)にわたってより均一な光量分布が実現される。これにより、感光体ドラムの帯電特性の不均一が抑制され、画像形成における画像ムラも抑制される。
【0017】
また、上述の画像形成装置において、前記遮蔽壁は階段状であって、高さが複数段階あり、高さの異なる個所の境界は垂直となっていることとしてもよい。
【0018】
これにより、遮光壁の高さが異なる領域ごとに、高精度で、除電光の制限の程度を所望のものとすることができる。そのため、感光体ドラムの軸方向(長手方向)にわたる光量分布を、所望の状態とすることが可能である。
【0019】
また、上述の画像形成装置において、前記端部領域に対応する箇所には、前記遮蔽壁が設置されていないこととしてもよい。
【0020】
これにより、端部領域において遮蔽壁を必要としない構造とすることにより、遮蔽壁の製造コストを抑制することができる。また、端部領域に対応する箇所には遮蔽壁が設置されないことから、この箇所における除電光を効率よく使用することとなり、無駄な除電光の消費を低減することができ、消費電力を抑えることができる。
【0021】
また、上述の画像形成装置において、前記導光板を内部に収納し、前記感光体ドラム側に開口が形成された筐体を備え、前記筐体の前記開口の縁部上に前記遮蔽壁が設置され、前記筐体の両端付近には前記遮蔽壁が設置されずに、前記縁部に溝部が形成され、前記開口が広がっていることとしてもよい。
【0022】
これにより、縁部の両端付近の開口が広くなることから、除電光に対する制限が減り、除電光を効率よく使用することができる。また、筐体に溝部を形成することにより、開口を広くして対応することから、異なる機種により同一の筐体を用いて必要に応じて溝部を形成すればよい。そのため、異なる機種において同一の筐体を用いることで、筐体の大量生産が可能となり、コストを抑制することができる。
【0023】
また、上述の画像形成装置において、前記遮蔽壁における前記照射端面側の面に配置された、光を拡散反射する反射部材を備えることとしてもよい。
【0024】
これにより、照射端面から出射された除電光の一部が、反射部材により拡散反射して、散乱光が照射端面で反射して再び出射される。これにより、照射端面から出射されることを繰り返すことにより、フレネルピッチを有する導光板において生じる照射端面から出射された光の不均一を抑制することができる。これにより、形成された画像に縞模様が生じるといった不具合を抑制することができる。
【0025】
また、上述の画像形成装置において、前記遮蔽壁は、前記遮蔽壁が設置されていない状態における前記光源から前記感光体ドラムに照射された除電光の光量分布の光量のピーク位置に対応する位置の高さが最も高く、前記光量分布に応じて前記遮蔽壁の高さが決定されていることとしてもよい。
【0026】
これにより、遮蔽壁の高さを最適のものとすることができる。したがって、感光体ドラムに照射される除電光において、感光体ドラムの軸方向(長手方向)にわたってより均一な光量分布が実現される。これにより、感光体ドラムの帯電特性の不均一が抑制され、画像形成における画像ムラも抑制される。
【発明の効果】
【0027】
本発明によると、低コストであって、感光体ドラムに対して均一な光量分布による除電を行い、画像の劣化を防ぐことができる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る画像形成装置の概略断面図である。
【
図2】本発明の実施の形態1に係る画像形成装置における感光体ドラム及び除電部の配置を示すための拡大概略断面図である。
【
図3】本発明の実施の形態1に係る画像形成装置における除電部を、感光体ドラム側から見た概略図である。
【
図4】本発明の実施例1に係る除電部の構成を示す、感光体ドラム側から見た概略図である。
【
図5】本発明の実施例1に係る感光体ドラムに照射される光の光量分布を示す図である。
【
図6】本発明の実施の形態1に係る画像形成装置における遮蔽壁の他の形態を示す拡大概略図である。
【
図7】本発明の実施の形態2に係る画像形成装置における除電部を、感光体ドラム側から見た概略図である。
【
図8】本発明の実施例2に係る感光体ドラムに照射される光の光量分布を示す図である。
【
図9】本発明の実施の形態2に係る画像形成装置において、遮蔽壁及び溝部の構成を決定するために用いる、遮蔽壁及び溝部が形成されていない状態の感光体ドラムに照射される光の光量分布を示す図である。
【
図10】
図9に基づいて決定された遮蔽壁及び溝部の構成を示す概略図である。
【
図11】
図10に示した遮蔽壁及び溝部を形成した後の感光体ドラムに照射される光の光量分布を示す図である。
【
図12】本発明の実施の形態3に係る画像形成装置における除電部の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
〔実施の形態1〕
以下、本発明の実施の形態1について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態1に係る画像形成装置100の概略断面図である。
【0030】
本実施の形態1の画像形成装置100は、電子写真方式の画像形成装置であり、
図1に示すように、画像読取部1、画像読取部1の下方に配設された画像形成部3、画像形成部3の下方に配設された給紙部2を備えている。
【0031】
画像読取部1は、透明ガラスからなる原稿載置台11、原稿載置台11上へ自動的に原稿を供給するための自動原稿送り装置12(ADF:Auto Document Feeder)、原稿載置台11上に載置された原稿の画像を走査して読み取るための原稿画像読取ユニット13を備えている。画像形成部3は、画像形成装置本体110に設けられている。画像形成部3には、感光体ドラム30(像担持体)を中心に電子写真プロセスを行う各種構成要素が配設されている。
【0032】
画像形成部3は、感光体ドラム30と、帯電部31と、露光部32と、現像部33と、転写部50と、除電部34と、クリーニング部35とを備えている。
【0033】
感光体ドラム30の周囲には、順に帯電部31、露光部32、現像部33、転写部50、除電部34、クリーニング部35が設けられている。
【0034】
帯電部31は、DC電圧印加形のものであり、感光体ドラム30の表面を所定電位に均一に帯電させる。帯電部31は、帯電ローラ31aと、帯電クリーニングローラ31bとを備えている。帯電ローラ31aには、交流電圧成分を含まない直流電圧成分のみが印加される。帯電ローラ31aは、感光体ドラム30の表面に接触しつつ感光体ドラム30の回転(表面移動)に伴い従動回転する。帯電クリーニングローラ31bは、帯電ローラ31aの表面を清掃する。帯電クリーニングローラ31bは、帯電ローラ31aの表面に接触しつつ帯電ローラ31aの回転(表面移動)に伴い従動回転する。
【0035】
露光部32は、画像データに基づいて変調された画像書き込み光をレーザー光源32aから感光体ドラム30に向けて出射する。より具体的には、露光部32(レーザー光源32a)は、所定電位に均一に帯電されて回転される感光体ドラム30の表面に画像書き込み光を主走査方向に走査しながら照射する。これにより、露光部32は、感光体ドラム30上に潜像(静電潜像)を書き込むことができる。
【0036】
現像部33は、感光体ドラム30に形成された潜像をトナーで顕像化する。現像部33は、露光部32により感光体ドラム30に形成された潜像に帯電したトナーを付着させる。これにより、現像部33は、感光体ドラム30上の潜像を顕像化してトナー画像を形成することができる。
【0037】
転写部50は、感光体ドラム30上に形成されたトナー画像を転写用紙等の用紙P上に静電転写する。転写部50は、転写ローラ51(転写部材)を備えている。転写ローラ51は、感光体ドラム30の表面に接触しつつ感光体ドラム30の回転(表面移動)に伴い従動回転する。転写ローラ51には、転写バイアス(電圧)が印加される。
【0038】
除電部34は、転写後に感光体ドラム30に残った残留電位を除電する。除電部34は、感光体ドラム30の回転方向において転写部50よりも下流側かつ帯電部31よりも上流側、この例では、転写部50とクリーニング部35との間に配設されている。詳細は、後述するが、除電部34は、光(除電光)を感光体ドラム30の表面に照射することにより、感光体ドラム30に残った残留電位を除電する。
【0039】
クリーニング部35は、転写部50で転写されずに感光体ドラム30上に残った転写残トナーを除去する。クリーニング部35により除去された転写残トナーは、画像形成装置100の正面キャビネットと画像形成部3の間に設置された廃トナー回収容器(図示せず)に回収される。
【0040】
図1に示すように、画像形成部3は、定着部38を備えている。定着部38は、転写部50で用紙P上に転写されたトナー画像を用紙Pに加熱定着する。定着部38は、加熱ローラ39及び定着ローラ40を備えている。加熱ローラ39は、所定の定着温度に加熱される。定着ローラ40は、加熱ローラ39に向けて所定の定着圧力で圧着される。これにより、定着部38は、用紙P上におけるトナー画像を加熱ローラ39の熱により溶かして定着ローラ40の加熱ローラ39への定着圧力で用紙Pに固定させることができる。
【0041】
画像形成装置100は、給紙部2及び搬送部4をさらに備えている。給紙部2は、複数の給紙装置として、給紙カセット21及び手差給紙トレイ22を備えている。画像形成装置100は、給紙カセット21及び手差給紙トレイ22の中から何れか1つの給紙装置を選択する。さらに、画像形成装置100は、選択された給紙装置に備えられたピックアップローラ23によって用紙Pを1枚ずつ分離して搬送部4に向けて搬送する。搬送部4は、レジストローラ20、排出ローラ25及び搬送ローラ26を備えている。レジストローラ20は、給紙部2から送られてきた用紙Pを転写ニップ部Nに向けて搬送方向Yに搬送する。レジストローラ20は、用紙Pが送り込まれる前は静止している。レジストローラ20は、転写ニップ部Nに用紙Pが突き当たった状態において感光体ドラム30における静電潜像と用紙Pにおける画像形成領域〔ボイド(余白)領域を除く領域〕とが一致するように回転駆動が開始される。
【0042】
画像形成装置100は、搬送経路S1,S2、反転搬送経路S3及び排出トレイ24を備えている。搬送経路S1,S2は、給紙部2から用紙Pを画像形成部3に搬送し、トナー画像が定着された用紙Pを排出トレイ24に搬送する。反転搬送経路S3は、両面印刷時に用いるものである。反転搬送経路S3は、表面にトナー画像が印刷されて排出ローラ25でスイッチバックした用紙Pの表裏を反転させて再度レジストローラ20に導く。これにより、画像形成装置100は、両面印刷時に用紙Pの表面に加えて裏面にもトナー画像を形成することができる。搬送経路S1,S2、反転搬送経路S3の近傍には、用紙Pを搬送するための搬送ローラが適宜配設されている。
【0043】
本実施の形態1に係る画像形成装置100は、レジストローラ20と転写ニップ部Nとの間に転写前ペーパーガイド60,61を有しており、用紙Pの印字面側をガイドする転写前ペーパーガイド60は現像部33によって保持されるものとなる。ここで、“転写前ペーパーガイド60が現像部33によって保持される”とは、現像部33の筐体そのものを転写前ペーパーガイド60として利用する場合と、現像部33の筐体に別部材の転写前ペーパーガイド60を担持させる場合との両方の概念を含む。このように、転写前ペーパーガイド60を現像部33によって保持することで、感光体ドラム30と転写前ペーパーガイド60の先端位置との位置精度を向上させることができ、衝突によるスジやバンディングを抑制できる。また、画像形成装置100の小型化にも寄与する。
【0044】
現像部33の筐体そのものを転写前ペーパーガイド60として利用する場合、転写前ペーパーガイド60は現像部33の筐体と同じく樹脂製(例えば、PC+ABS樹脂)となる。また、現像部33の筐体に別部材の転写前ペーパーガイドを担持させる場合であっても、転写前ペーパーガイド60は樹脂製とすることが好ましい。ここでは、転写前ペーパーガイド60は樹脂製であるとする。
【0045】
次に、除電部34について図面を用いて詳細に説明する。
図2は、本発明の実施の形態1に係る画像形成装置100における感光体ドラム30及び除電部34の配置を示すための拡大概略断面図である。
図3は、本発明の実施の形態1に係る画像形成装置100における除電部34を、感光体ドラム30側から見た概略図である。
【0046】
図2及び
図3に示すように、除電部34は、除電光源34aと、導光板34bと、導光板34bを収納する筐体34cと、を備えている。筐体34cには、感光体ドラム30側に開口34dが形成されている。ここで、導光板34bは、フレネルピッチを有する構成であり、感光体ドラム30と略平行に配置されている。具体的には、導光板34bの長手方向は、感光体ドラム30の回転軸30aと略平行である。なお、感光体ドラム30及び導光板34bは、それぞれ、
図2における紙面に対して垂直な方向に伸びるような形状を有している。
【0047】
また、筐体34cは導光板34bを収納することから、筐体34cも導光板34bと同様に、長手方向が感光体ドラム30の回転軸30a(軸方向)と略平行である。除電光源34aは導光板34bの一方の端部近傍に配置されている。また、上述したように、筐体34cは、感光体ドラム30側に開口34dを有している。なお、開口34dの縁部35上には、感光体ドラム30の長手方向位置において高さが異なる遮蔽壁36が設置されている。つまり、遮蔽壁36は、導光板34bと感光体ドラム30との間に配置される。詳細は後述するが、これにより、遮蔽壁36により開口34dが遮蔽され、導光板34bから出射される光Lが導光板34bの長手方向において不均一に制限されて、感光体ドラム30に照射される。感光体ドラム30は回転方向Dに沿って回転していることから、感光体ドラム30の外周面の全面に光Lが照射される。
【0048】
除電光源34aからは導光板34bに向けて光Lが出射される。除電光源34aは、例えば、LED等の発光素子である。除電光源34aから出射された除電光である光Lは、導光板34bの端面から導光板34b内に入射する。そして、導光板34b内に入射された光Lは、筐体34cの開口34d側の端面である照射端面34eから感光体ドラム30側へ出射される。照射端面34eから出射された光Lは、開口34dを通って感光体ドラム30に照射される。ここで、遮蔽壁36は、導光板34b及び感光体ドラム30の間において、照射端面34eを覆うように配置されていることから、照射端面34eから出射された光Lは遮蔽壁36により制限されて感光体ドラム30に照射される。
【0049】
なお、導光板34bから出射された光が、感光体ドラム30の長手方向の全体に照射されるように、導光板34b(照射端面34e)の長手方向の長さは感光体ドラム30の長さと同程度(略同一)であり、導光板34b及び感光体ドラム30は対向して配置され、照射端面34eの全面から感光体ドラム30に向かって光Lが照射される。なお、上述したように、光Lは導光板34bの照射端面34eから感光体ドラム30に向かって出射されることから、
図3においては、
図3の紙面に対して垂直な方向であり、手前側に向かって照射端面34eから光Lが出射される。
【0050】
除電光源34aから出射された光Lが導光板34bを介して感光体ドラム30に照射されることにより、感光体ドラム30に残った残留電位が除電される。なお、感光体ドラム30における除電は均一に行われることが好ましく、除電にムラが生じると、画像形成において影響が生じ、画像が劣化する可能性がある。そのため、感光体ドラム30における光L(除電光)の光量分布は均一であることが好ましい。
【0051】
図3に示すように、遮蔽壁36は、場所によって高さが異なる。具体的には、領域R1及び領域R2には、遮蔽壁36は配置されていない。つまり、領域R1及び領域R2において遮蔽壁36の高さは「0」である。また、遮蔽壁36が設置されている領域R3のうち、領域R31及び領域R33については高さh1であり、領域R32については高さh2である。ただし、h1<h2である。
【0052】
つまり、遮蔽壁36は、高さが複数段階あり、階段状である。また、遮蔽壁36において、高さが異なる箇所の境界は垂直となっている。具体的には、領域R1と領域R31との境界、領域R31と領域R32との境界、領域R32と領域R33との境界、領域R33と領域R2との境界は、それぞれ垂直に立ち上がる形状である。ここで、領域R1及び領域R2は、導光板34bの両端付近に対応する端部領域であるとしたが、上述したように、感光体ドラム30及び導光板34bは、互いに略同じ長さであり、導光板34bは感光体ドラム30と対向して配置されていることから、互いに対応する領域も同様である。したがって、領域R1及び領域R2は、感光体ドラム30の両端部に位置する端部領域といえる。また、同様に、領域R3(領域R31、領域R32、領域R33)は、感光体ドラム30の端部領域以外の領域である中央領域ともいえる。
【0053】
上述したように、照射端面34eから出射された光Lは、開口34dを通る際に、遮蔽壁36によって制限されて、感光体ドラム30に照射される。制限される度合いは、遮蔽壁36の高さと対応関係がある。具体的には、領域R1及び領域R2における遮蔽壁36の高さは「0」であることから、遮蔽壁36の高さがh1である領域R31、R33に比べて、制限される度合いが少ない。また、領域R1及び領域R2は、遮蔽壁36の高さがh2である領域R32に比べて、制限される度合いが少ない。また、遮蔽壁36の高さがh1である領域R31、R33は、遮蔽壁36の高さがh2である領域R32に比べて制限される度合いが少ない。
【0054】
このように、領域R1及び領域R2における遮蔽壁36の高さを、領域R3(領域R31、領域R32、領域R33)よりも低くして、照射端面34eから出射される光Lの制限を抑えることにより、感光体ドラム30の長手方向にわたってより均一な光量分布が実現されるように感光体ドラム30に光Lが照射される。また、遮蔽壁36の高さが最も高い領域R32は、遮蔽壁36を設置せずに光Lを照射した場合に、感光体ドラム30において最も大きな光量が照射される箇所を含む領域である。このような領域R32における遮蔽壁36の高さを最も高くすることにより、感光体ドラム30の長手方向にわたってより均一な光量分布が実現されるように感光体ドラム30に光Lが照射される。なお、一般的に、光量分布における光量のピークは、感光体ドラム30の長手方向の中央部よりも除電光源34a側寄りに位置する。
【0055】
上述したように、実施の形態1において、導光板34bの両端付近に対応する端部領域である領域R1及び領域R2において、これら領域以外の領域R3に比べて照射端面34eから出射される光Lの制限の度合いを低くすることにより、感光体ドラム30の長手方向にわたってより均一な光量分布が実現されるように感光体ドラム30に光Lが照射される。これにより、感光体ドラム30の帯電特性の不均一が抑制され、用紙Pへの画像形成における画像ムラも抑制される。また、遮蔽壁36を設置せずに光Lを照射した場合の感光体ドラム30において最も大きな光量が照射される箇所を含む領域である領域R32の遮蔽壁36の高さを最も高くして、制限の度合いを大きくすることが好ましい。これにより、感光体ドラム30の長手方向にわたってより均一な光量分布が実現されるように感光体ドラム30に光Lが照射され、感光体ドラム30の帯電特性の不均一が抑制され、用紙Pへの画像形成における画像ムラも抑制される。
【0056】
また、部品等を量産することによりコストを抑えることができるため、画像形成装置において異なる機種であっても、同一の部品を用いる場合がある。このような場合に、異なる機種において同一の部品(例えば、除電光源34a、導光板34b及び筐体34c等)を用いようとすると、感光体ドラム30に照射される光Lの光量分布が異なることとなるが、その機種ごとに特有の遮蔽壁36を用いることとすることで、光量分布の不均一を抑制することができる。つまり、遮蔽壁36については機種ごとに、高さや高さが異なる領域等を変更し、その機種特有の構成とすることで対応し、除電光源34a、導光板34b及び筐体34c等は同一の部品を用いることとし、量産することでコストを抑えることができる。
【0057】
次に、実施の形態1に係る画像形成装置100の除電部34について、実施例1を示して説明する。なお、特に遮蔽壁36について説明する。
【0058】
(実施例1)
図4は、本発明の実施例1に係る除電部34の構成を示す、感光体ドラム30側から見た概略図である。また、
図5は、本発明の実施例1に係る感光体ドラム30に照射される光Lの光量分布を示す図である。なお、すでに説明した部材と同じ機能や働きをする部材については、同じ符号とし、詳細な説明を省略する。
【0059】
実施例1に係る画像形成装置100の除電部34は、
図4に示すように、筐体34cの縁部35上に設置された遮蔽壁36を有している。この縁部35上において、導光板34bの両端付近に対応する端部領域である領域R101及び領域R102には、遮蔽壁36は載置されておらず、領域R101及び領域R102に挟まれた中央領域である領域R103において、遮蔽壁36が設置されている。また、領域R103は、さらに領域R131、領域R132、領域R133に分かれており、これらの領域ごとに高さが異なる。なお、
図4に示す遮蔽壁36の形状は、
図3に示す遮蔽壁36とは形状が異なっており、除電光源34aに近い側の領域である領域R131から、領域R132、領域R133の順に、遮蔽壁36の高さが順に低くなっている。
【0060】
図5において、横軸は導光板34bの長手方向における位置を示しており、縦軸は導光板34bの長手方向の各位置から感光体ドラム30に照射される光Lの光量を示している。ここで、感光体ドラム30に照射される光Lとは、除電部34から外部に出射された光であり、照射端面34eから出射されて開口34dを通って、感光体ドラム30に直接照射される光をいう。
【0061】
図5において、破線で表したグラフは遮蔽壁36を設置していない場合の感光体ドラム30に照射される光Lの光量分布である。また、実線で表したグラフは遮蔽壁36を設置した場合の感光体ドラム30に照射される光Lの光量分布である。なお、設置した遮蔽壁36は、
図5において図示しているように、導光板34bの除電光源34a側の端部から45mm~100mmの範囲(領域R131)において遮蔽壁36の高さは0.6mmであり、導光板34bの除電光源34a側の端部から100mm~150mmの範囲(領域R132)において遮蔽壁36の高さは0.4mmであり、導光板34bの除電光源34a側の端部から150mm~240mmの範囲(領域R133)において遮蔽壁36の高さは0.3mmであるある。なお、導光板34bの除電光源34a側の端部から0mm~50mmの範囲(領域R101)及び240mm~330mmの範囲(領域R102)には遮蔽壁36が設置されていないことから、遮蔽壁36の高さは0mmである。
【0062】
図5が示すように、遮蔽壁36が設置されていない場合は、長手方向において光量分布にムラがあり、不均一であることがわかる。しかし、遮蔽壁36を設置することにより、長手方向における光量分布のムラが抑制され、均一性が向上したことがわかる。ここで、遮蔽壁36の高さの決定においては、まず、遮蔽壁36を設置しない状態での光量分布を求めたうえで、光量がピークとなっている位置を含む領域における遮蔽壁36の高さを最も高くし、光量の状態に応じて他の領域の遮蔽壁36の高さを決定すればよい。なお、導光板34bの両端付近に対応する端部領域における遮蔽壁36の高さに対して、端部領域以外の領域であり、端部領域に挟まれている中央領域における遮蔽壁36の高さを高くすることが好ましい。
【0063】
以上、実施例1について説明したが、本願実施の形態1に係る画像形成装置100は、上記以外の構成であってもよい。例えば、光Lが除電光源34aから出射される際の光量や、除電光源34aから出射される角度によっても光量分布は変化する。そのため、その光量分布に応じて遮蔽壁36の構成を決定することが好ましい。
【0064】
例えば、遮蔽壁36を設置していない状態で長手方向位置の光量分布のピークが、導光板34bの長手方向の中央よりも除電光源34a側にある場合は、遮蔽壁36を以下に示す第1~第3の態様とすればよい。
【0065】
まず、第1の態様として、ピークに対応する領域の遮蔽壁36を最も高くし、この領域を挟むように配置される2つの領域において遮蔽壁36の高さを低くし、これら2つの領域のうち除電光源34a側の領域の範囲が、除電光源34aとは反対側の領域の範囲よりも狭いこととすればよい。
【0066】
次に、第2の態様として、ピークに対応する領域の遮蔽壁36を最も高くし、この領域を挟むように配置される2つの領域において遮蔽壁36の高さを低くし、これらそれぞれの領域は遮蔽壁36が複数段階の高さであって複数の領域に分かれており、これら2つの領域のうち除電光源34a側の領域における段階の数(高さが異なる領域の数)が、除電光源34aとは反対側の領域における段階の数(高さが異なる領域の数)よりも少ないこととすればよい。
【0067】
次に、第3の態様として、ピークに対応する領域の遮蔽壁36を最も高くし、この領域を挟むように配置される2つの領域において遮蔽壁36の高さを低くし、これらそれぞれの領域の遮蔽壁36が複数段階の高さであって複数の領域に分かれており、これら2つの領域における各領域において、除電光源34aから離れるごとに領域の範囲が広くなることとすればよい。なお、この場合の上記2つの領域は、導光板34bの各端部を含む領域は除くこととなる。したがって、上記2つの領域は、導光板34bの各端部を含む領域(最も外側の領域)の内側の領域である。
【0068】
また、例えば、遮蔽壁36を設置していない状態で長手方向位置の光量分布のピークが、導光板34bの長手方向の中央よりも除電光源34aの反対側にある場合は、遮蔽壁36において、上記第1~第3の態様を長手方向の中央において反転させた態様とすればよい。
【0069】
また、例えば、遮蔽壁36を設置していない状態で長手方向位置の光量分布のピークが、導光板34bの長手方向の中央にある場合は、ピークに対応する領域の遮蔽壁36を最も高くし、この領域が中央に配置され、中央から離れる領域ごとに遮蔽壁36の高さを低くすることとし、遮蔽壁36の形状を長手方向の中央に対して左右対称の構成とすればよい。
【0070】
以上、本実施の形態1に係る画像形成装置100について説明したが、本発明は、上記構成に限定されるわけではない。例えば、
図3において説明したように、領域R1と領域R31との境界、領域R31と領域R32との境界、領域R32と領域R33との境界、領域R33と領域R2との境界は、それぞれ垂直に立ち上がる形状であることとしたが、各領域の境界を傾斜状としてもよい。
【0071】
ここで、
図6は、本発明の実施の形態1に係る画像形成装置100における遮蔽壁36の他の形態を示す拡大概略図である。
図6に示すように、遮蔽壁36において高さの異なる各領域の境界B付近において傾斜状に長手方向の位置が変化するにしたがい徐々に高さが変化することとしてもよい。なお、
図6では、境界B付近における遮蔽壁36の傾斜は直線状としたが、曲線状としてもよい。
【0072】
また、除電光源34aから導光板34bに入射する光Lを乱反射させるために筐体34cの内側を白色とすることが好ましい。ただし、筐体34cの内側を白色とすることに限定されるわけではなく、筐体34cの内側が黒色であってもかまわない。また、筐体34cの内側を黒色として、一部分を白色としてもよい。例えば、筐体34cの内側において、少なくとも導光板34bの端部近傍については白色としてもよい。これにより、光Lの反射が促進されることとなり、感光体ドラム30に照射される光Lの長手方向における均一性が向上する。
【0073】
〔実施の形態2〕
以下、本発明の実施の形態2に係る画像形成装置について、図面を参照して詳細に説明する。なお、すでに説明した部材と同じ機能や働きをする部材については、同じ符号とし、詳細な説明を省略する。
【0074】
図7は、本発明の実施の形態2に係る画像形成装置100における除電部34を、感光体ドラム30側から見た概略図である。実施の形態2において、除電部34は、筐体34cの縁部35において導光板34bの両端部に対応する箇所に新たに溝部37が形成されている点が実施の形態1とは異なり、それ以外は実施の形態1と同様である。
【0075】
図7に示すように、筐体34cの縁部35において導光板34bの両端部に対応する各箇所に新たに溝部37が形成されている。つまり、縁部35をさらに削る等の加工を施すことで、この箇所の開口34dを広げている。具体的には、導光板34bの除電光源34a側の端部付近である領域R201において縁部35に溝部37を形成することで開口34dを広げている。また、導光板34bの除電光源34aとは反対側の端部付近である領域R202はさらに領域R221及び領域R222に分けられ、端部側である領域R222において縁部35に溝部37を形成することで開口34dを広げている。これにより、領域R201及び領域R222において照射端面34eから出射される光Lに対する制限が少なくなり、除電部34から出射される光Lの光量が増加する。つまり、溝部37が形成されたことで開口34dが広がり、導光板34bの両方の端部における領域R201及び領域R222の照射端面34eから出射される光Lに対する制限が少なくなり、感光体ドラム30に照射される光Lの光量も増加する。
【0076】
また、領域R201及び領域R202に挟まれた中央領域である領域R203において、遮蔽壁36が設置されている。また、領域R203は、さらに領域R231、領域R232、領域R233に分かれており、これらの領域ごとに高さが異なる。
【0077】
一般的に、導光板34bの両端部付近から出射される光Lの光量は他の部分から出射される光Lの光量より低くなる。そこで、上述のように溝部37を形成することにより、導光板34bの両端部付近における開口34dを広げて、出射される光Lの光量を増加させることができる。
【0078】
例えば、遮蔽壁36を縁部35に設置するだけでは、感光体ドラム30の長手方向にわたって、照射される光Lの光量分布が十分に均一にできない場合は、このように縁部35に溝部37を形成して開口34dを広げて、導光板34bの両方の端部付近における光Lの光量を十分に確保することとすればよい。これにより、感光体ドラム30の長手方向にわたってより均一な光量分布が実現されるように感光体ドラム30に光Lが照射されることとなるため、感光体ドラム30の帯電特性の不均一が抑制され、用紙Pへの画像形成における画像ムラも抑制される。
【0079】
また、異なる機種である画像形成装置において、同一の部品を用いる場合であって、機種ごとに異なる遮蔽壁36を用いるだけでは、感光体ドラム30の長手方向にわたって、照射される光Lの光量分布が十分に均一にできない場合にも、溝部37を形成することで両端部における光量が確保でき、感光体ドラム30の長手方向にわたってより均一な光量分布が実現されることとなる。これにより、異なる機種ごとに異なる筐体34cを製造する必要がなく、溝部37を形成することにより、異なる機種であっても同じ筐体34cを用いることができ、コストを抑えることができる。
【0080】
次に、実施の形態2に係る画像形成装置100の除電部34について、実施例2を示して説明する。なお、特に、導光板34bの除電光源34a側の端部付近における遮蔽壁36について説明する。
【0081】
(実施例2)
図8は、本発明の実施例2に係る感光体ドラム30に照射される光Lの光量分布を示す図である。なお、
図8において、長手方向位置は導光板34bの除電光源34a側の端部である0mm~15mmの範囲としている。なお、この範囲は、
図7における領域R201の領域に相当する。実施例2に係る除電部34は、
図7に示す除電部34に相当する。
【0082】
図8において、横軸は導光板34bの長手方向における位置を示しており、縦軸は導光板34bの長手方向の各位置から感光体ドラム30に照射される光Lの光量を示している。なお、感光体ドラム30に照射される光Lとは、除電部34から外部に出射された光であり、照射端面34eから出射されて開口34dを通って、感光体ドラム30に直接照射される光をいう。
【0083】
図8において、破線で表したグラフは縁部35に溝部37を形成していない状態の感光体ドラム30に照射される光Lの光量分布である。また、実線で表したグラフは、除電光源34a側の端部である0mm~15mmの範囲の縁部35に深さが0.4mmの溝部37を形成した状態の感光体ドラム30に照射される光Lの光量分布である。なお、長手方向位置の範囲は、除電光源34a側の端部である0mm~15mmの範囲(領域R201(
図7参照))である。なお、深さが0.4mmの溝部37を縁部35に形成することにより、溝部37に比べて縁部35は0.4mmの高さとなる。
【0084】
図8に示すように、溝部37が形成されることにより、光量が増加していることがわかる。溝部37が形成されることにより、感光体ドラム30に照射される光Lの光量は、溝部37が形成されていない状態の約1.5倍に増加している。
【0085】
次に、遮蔽壁36における各領域の高さ及び溝部37の深さの決定方法について、図面を参照して説明する。
図9は、本発明の実施の形態2に係る画像形成装置100において、遮蔽壁36及び溝部37の構成を決定するために用いる、遮蔽壁36及び溝部37が形成されていない状態の感光体ドラム30に照射される光Lの光量分布を示す図である。また、
図10は、
図9に基づいて決定された遮蔽壁36及び溝部37の構成を示す概略図である。また、
図11は、
図10に示した遮蔽壁36及び溝部37を形成した後の感光体ドラム30に照射される光Lの光量分布を示す図である。
【0086】
なお、
図9及び
図11において、横軸は導光板34bの長手方向における位置を示しており、縦軸は導光板34bの長手方向の各位置から感光体ドラム30に照射される光Lの光量を示している。ここで、感光体ドラム30に照射される光Lとは、除電部34から外部に出射された光であり、照射端面34eから出射されて開口34dを通って、感光体ドラム30に直接照射される光をいう。
【0087】
遮蔽壁36における各領域の高さ及び溝部37の深さを決定する際は、感光体ドラム30に照射される光Lの光量分布をより均一にすることだけでなく、光疲労による感光体ドラム30の劣化を抑制することについても考慮することが好ましい。ここで、感光体ドラム30に光が照射されることで、感光体ドラム30の有機膜内の電荷を移動させ、これにより感光体ドラム30の電位をコントロールすることで、感光体ドラム30の帯電及び除電が行われる。このように、感光体ドラム30において帯電と除電が繰り返されることにより感光体ドラム30の帯電性能は低下していく。特に、感光体ドラム30に照射される光Lの光量が大きければ大きいほど感光体ドラム30の帯電性能の劣化が増進される。そのため、感光体ドラム30において十分に除電がなされ、かつ、帯電性能の劣化をより抑制できる光量の光Lが感光体ドラム30に照射されることが好ましい。
【0088】
つまり、遮蔽壁36における各領域の高さ及び溝部37の深さは、感光体ドラム30に照射される光Lの光量分布をより均一にして除電が十分になされ、かつ、光疲労による感光体ドラム30の劣化を抑制することが実現できるようにすることが好ましい。
【0089】
遮蔽壁36における各領域の高さ及び溝部37の深さを決定するには、まず、
図9に示すように、遮蔽壁36を設置せず、縁部35に溝部37も形成されていない状態における感光体ドラム30に照射される光Lの光量分布を求める。ここで、
図9における、最大光量とは光劣化許容範囲の最大の光量であり、最低光量とは除電が十分に行われる最小の光量である。なお、これら最大光量及び最低光量は、機種ごとに異なるため、画像形成装置100の機種ごとに実際に測定することにより予め求めておく。そして、これら最大光量と最低光量との中間の値を基準光量とする。
【0090】
図9において、基準光量と略同一の光量である範囲は遮蔽壁36を設置せずに縁部35のままとすればよい。また、
図9において、基準光量よりも大きい光量である範囲は縁部35に遮蔽壁36を設置し、遮蔽壁36の高さは光量に応じて変化させればよい。また、
図9において、基準光量よりも小さい光量である範囲は縁部35に溝部37を形成すればよい。
【0091】
具体的には、
図10に示すように、筐体34cにおいて、導光板34bの両端部の領域の端部領域である領域RO1及び領域RO2には縁部35に溝部37を形成し、端部領域以外の中央領域のうち領域RCには遮蔽壁36を設置し、中央領域のうち領域RSは縁部35のままとすればよい。また、領域RCに設置される遮蔽壁36は、
図9に示す光量に応じて複数段階の高さとすればよい。この例では、遮蔽壁36の高さは3段階としている。
【0092】
筐体34cにおいて、
図10に示す構成の遮蔽壁36及び溝部37を形成することにより感光体ドラム30に照射される光Lの光量分布は、
図11に示すようになる。
図11に示すように、領域RC及び領域RSにおいては感光体ドラム30に照射される光Lは基準光量と略同一であり、領域RO1及び領域RO2では基準光量より少し低いが基準光量に近い値となっている。このように、領域RO1及び領域RO2において縁部35に溝部37を形成し、領域RCにおいて3段階で高さが変化する遮蔽壁36を縁部35上に設置し、領域RSは縁部35のままとすることにより、感光体ドラム30に照射される光Lの光量分布をより均一にでき、除電が十分になされて、かつ、光疲労による感光体ドラム30の劣化を抑制することできる。
【0093】
〔実施の形態3〕
以下、本発明の実施の形態3に係る画像形成装置について、図面を参照して詳細に説明する。なお、すでに説明した部材と同じ機能や働きをする部材については、同じ符号とし、詳細な説明を省略する。
【0094】
図12は、本発明の実施の形態3に係る画像形成装置100における除電部34の概略断面図である。実施の形態3において、遮蔽壁36の導光板34b側に反射部材36aを設けている点が実施の形態1と異なり、それ以外は実施の形態1と同様である。
【0095】
図12に示すように、遮蔽壁36の照射端面34e側の面に、光を拡散反射する反射部材36aが設置されている。これにより、除電光源34aから出射されて導光板34bに入射し、導光板34bの照射端面34eから出射された光Lは遮蔽壁36で制限される際に、反射部材36aにより拡散反射される。反射部材36aにより拡散反射された光Lは、散乱して照射端面34eに入射する。そして、反射部材36aで反射して照射端面34eに入射した光Lは、照射端面34eで反射して照射端面34eから出射される。このように、照射端面34eから出射された光Lの一部が、反射部材36aにより拡散反射して、その散乱光がさらに照射端面34eで反射して再び照射端面34eから出射されることを繰り返すことにより、輝点ムラを抑制することができる。それにより、感光体ドラム30における帯電の不均一を抑制し、形成される画像の不良を抑制することができる。
【0096】
ここで、輝点ムラとは、フレネルピッチを有する導光板34bから出射される光が長手方向にわたって不均一となることであり、フレネル面の分布により生じる。この輝点ムラにより、感光体ドラム30における帯電特性が不均一となり、用紙Pに形成された画像に縞模様が生じる可能性がある。しかし、反射部材36aを設置することにより、輝点ムラを抑制し、このような不具合を抑制することができる。
【0097】
なお、反射部材36aは遮蔽壁36と同様の形状とすればよく、白色の部材であることとすればよい。また、反射部材36aによって光Lが拡散反射されることが好ましいことから、反射部材36aの表面は、光沢がある滑らかな面よりも、粗面であることが好ましい。
【0098】
また、縁部35において遮蔽壁36が設置されていない箇所にも反射部材36aを設けることとしてもよく、この場合は、縁部35の導光板34b側に直接反射部材36aを設置すればよい。反射部材36aの設置箇所は、開口34dの全範囲に渉る縁部35及び遮蔽壁36の導光板34b側とすればよい。また、筐体34c内における導光板34bの設置面に反射部材36aを設置することとしてもよい。これにより、光Lがさらに反射されることとなり、輝点ムラを抑制することができ、感光体ドラム30における帯電の不均一を抑制し、形成される画像の不良を抑制することができる。
【0099】
本発明は、以上説明した実施の形態に限定されるものではなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、かかる実施の形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0100】
30 感光体ドラム
30a 回転軸
34 除電部
34a 除電光源
34b 導光板
34c 筐体
34d 開口
34e 照射端面
35 縁部
36 遮蔽壁(遮蔽部材)
36a 反射部材
37 溝部
100 画像形成装置
L 光(除電光)
R1、R2 領域(端部領域)
R3 領域(中央領域)