(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-09
(45)【発行日】2024-04-17
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
D06F 33/00 20200101AFI20240410BHJP
D06F 33/06 20060101ALI20240410BHJP
【FI】
D06F33/00 Z
D06F33/06
(21)【出願番号】P 2020104558
(22)【出願日】2020-06-17
【審査請求日】2023-04-04
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】細糸 強志
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-058144(JP,A)
【文献】特開2014-068854(JP,A)
【文献】特開平06-023197(JP,A)
【文献】特開平11-019380(JP,A)
【文献】特開2017-051266(JP,A)
【文献】特開2006-043184(JP,A)
【文献】特開2007-307236(JP,A)
【文献】特開2013-132340(JP,A)
【文献】特開2006-340743(JP,A)
【文献】特開2008-264375(JP,A)
【文献】特開2009-061164(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 33/00ー34/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣類が収容される回転槽と、
前記回転槽を回転駆動するブラシレスDCモータであるモータと、
前記モータに流れる電流を検出する電流検出部と
、
前記モータのロータの回転位置を検出してセンサ信号を出力する1つの位置センサと、
前記センサ信号を用いることなく前記電流検出部により検出される電流に基づいて前記モータをベクトル制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記センサ信号に基づいて所定の検知制御を実行する洗濯機。
【請求項2】
前記制御部は、前記所定の検知制御として、前記モータの回転に関する異常を検知する異常検知制御およびブレーキによる前記モータの停止を検知する停止検知制御の一方または双方を実行する請求項1に記載の洗濯機。
【請求項3】
前記制御部は、
前記異常検知制御では、前記モータを回転させるように制御する回転制御中における前記センサ信号が所定の判定時間以上変化しない場合に前記モータの回転に関連する異常が発生したことを検知する請求項2に記載の洗濯機。
【請求項4】
前記制御部は、
前記モータの回転速度が所望の目標速度に追従するように前記モータを制御するようになっており、
前記異常検知制御では、前記モータを回転させるように制御する回転制御中における前記センサ信号に基づいて算出される前記モータの回転速度と前記目標速度との差が所定の閾値速度以上である場合に前記モータの回転に関連する異常が発生したことを検知する請求項2または3に記載の洗濯機。
【請求項5】
さらに、前記回転槽の内部に回転可能に設けられるパルセータを備え、
前記制御部は、
前記所定の検知制御として、前記回転槽に衣類が投入された後、前記パルセータを回転させたときにおける前記センサ信号に基づいて前記回転槽の回転数を算出し、その算出した回転数に基づいて前記衣類の量を判定する重量検知制御を実行する請求項1から4のいずれか一項に記載の洗濯機。
【請求項6】
前記制御部は、
前記所定の検知制御として、前記衣類を脱水する脱水行程において前記回転槽を回転させる際に、前記センサ信号に基づいて前記モータの回転数を取得し、その取得した回転数の変動に基づいて前記回転槽内における前記衣類の偏りによるアンバランスを検知するアンバランス検知制御を実行する請求項1から5のいずれか一項に記載の洗濯機。
【請求項7】
前記モータは、複数の磁石が設けられたロータと、前記位置センサが設けられたステータと、を備え、
前記位置センサは
、磁気センサである請求項6に記載の洗濯機。
【請求項8】
前記制御部は、
前記アンバランス検知制御では、取得した前記モータの回転数に加え、前記電流検出部により検出される電流にも基づいて、前記アンバランスを検知する請求項6または7に記載の洗濯機。
【請求項9】
前記制御部は、
前記アンバランス検知制御では、取得した前記モータの回転数に対してデジタルフィルタ処理を行うことにより前記モータの1回転中の変動に相当する周波数成分の信号を抽出し、その抽出した周波数成分の信号に基づいて前記アンバランスを検知する請求項6から8のいずれか一項に記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
洗濯機において、衣類が収容される回転槽を回転駆動するためのモータとして、ブラシレスDCモータが用いられる構成がある。従来、このようなモータの駆動を制御する手法としては、モータのロータの回転位置を検出する位置センサを複数設け、それら複数の位置センサから出力されるセンサ信号に基づいてモータを駆動するセンサ駆動の構成と、位置センサを設けることなくモータの電流を検出してベクトル制御するセンサレス駆動の構成と、が挙げられる。センサレス駆動の構成は、センサ駆動の構成に対し、位置センサを必要としないことから、構成を簡素化することができるとともに製造コストを低く抑えることができるというメリットがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4795628号公報
【文献】特許第6295407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
センサレス駆動の構成では、例えば脱調などのモータの回転に関する異常を検知する異常検知制御、ブレーキによるモータの停止を検知する停止検知制御、回転槽内における衣類の偏りによるアンバランスを検知するアンバランス検知制御などの各種の検知制御の精度が十分に高められないという課題がある。すなわち、センサレス駆動の構成では、モータに流れる電流であるモータ電流の検出結果に基づいて各種の検知制御を行うことが想定される。
【0005】
しかし、モータ電流の検出精度は、例えばA/D変換時に混入するノイズなどの影響を受けて低くなる可能性があり、そうすると、異常検知制御および停止検知制御の精度が低くなったり、誤検知が生じたりするおそれがある。また、各種の動作条件などによっては、モータ電流がアンバランスの有無に応じて変動しないことがあり、そうすると、アンバランス検知制御の精度が低くなったり、誤検知が生じたりするおそれがある。
【0006】
そこで、構成の複雑化およびコストの増大を抑えつつ、各種の検知制御を精度良く行うことができる洗濯機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の洗濯機は、衣類が収容される回転槽と、前記回転槽を回転駆動するブラシレスDCモータであるモータと、前記モータに流れる電流を検出する電流検出部と、前記モータのロータの回転位置を検出してセンサ信号を出力する1つの位置センサと、前記センサ信号を用いることなく前記電流検出部により検出される電流に基づいて前記モータをベクトル制御する制御部と、を備える。前記制御部は、前記センサ信号に基づいて所定の検知制御を実行する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る洗濯機の構成を模式的に示す一部の縦断側面図
【
図2】第1実施形態に係る洗濯機の電気的構成を模式的に示す回路図
【
図3】第1実施形態に係るモータの構成を模式的に示す図
【
図4】第1実施形態に係るモータのロータの構成を模式的に示す図
【
図5】第1実施形態に係る制御回路の具体的な構成を模式的に示すブロック図
【
図6】第1実施形態に係る制御回路によるモータ制御の内容を模式的に示す図
【
図7】第1実施形態に係る停止検知制御に関する具体的な処理内容を模式的に示す図
【
図8】第1実施形態に係る異常検知制御に関する具体的な処理内容を模式的に示す図その1
【
図9】第1実施形態に係る異常検知制御に関する具体的な処理内容を模式的に示す図その2
【
図10】第1実施形態に係る重量検知制御に関する具体的な処理内容を模式的に示す図
【
図11】第2実施形態に係るアンバランスが無いときのモータの相電流波形を模式的に示す図
【
図12】第2実施形態に係るアンバランスが有るときのモータの相電流波形を模式的に示す図
【
図13】第2実施形態に係る脱水行程におけるモータの回転数の推移を模式的に示す図
【
図14】第2実施形態に係る位置センサから出力されるセンサ信号の波形を模式的に示す図
【
図15】第2実施形態に係るアンバランスが無いときの検出回転数信号および判定値信号の波形を模式的に示す図
【
図16】第2実施形態に係るアンバランスが有るときの検出回転数信号および判定値信号の波形を模式的に示す図
【
図17】第2実施形態に係るデジタルフィルタ処理の内容を説明するための図
【
図18】第2実施形態に係るアンバランス検知制御に関する具体的な処理内容を模式的に示す図
【
図19】第3実施形態に係るデジタルフィルタ処理の内容を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、複数の実施形態について図面を参照して説明する。なお、各実施形態において実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
(第1実施形態)
以下、第1実施形態について
図1~
図10を参照して説明する。
【0010】
<洗濯機の構成>
図1に示すように、洗濯機100は、その外郭を構成する外箱101の内部に、上面が開放した有底円筒状の水槽102が弾性吊持機構103によって弾性的に支持されている。水槽102の内部には、上面が開放した有底円筒状の回転槽104が回転可能に設けられている。回転槽104は、その内部に洗濯物となる衣類を出し入れ可能に収容されるものである。
【0011】
回転槽104の底部には、当該回転槽104の底部を補強するための補強部材105が設けられている。回転槽104は、垂直な軸線を中心に回転するように構成されており、洗濯物を洗う洗い運転が行われる洗い行程および洗濯物をすすぐすすぎ運転が行われるすすぎ行程における洗濯槽、および、洗濯物を脱水する脱水運転が行われる脱水行程における脱水槽として兼用される。つまり、洗濯機100は、回転槽104の回転中心軸が垂直方向に延びるいわゆる縦軸型洗濯機である。
【0012】
回転槽104は、その周壁部に多数の孔106を有している。これらの孔106は貫通しており、通水および通気が可能である。なお、
図1には多数の孔106のうち一部だけを示している。回転槽104の上部には、例えば塩水などの液体が封入された合成樹脂製のバランスリング107が取り付けられている。回転槽104の内部、具体的には内底部には、撹拌体として例えば合成樹脂で形成されたパルセータ108が回転可能に設けられている。水槽102の下部には排水経路109が設けられている。排水経路109には排水弁110が設けられており、排水弁110が開放されることにより、水槽102内の水が機外に排出される。また、水槽102の底部には、水位検知用のエアトラップ111が設けられている。
【0013】
水槽102の下部の中央部には駆動機構部112が設けられている。駆動機構部112は、回転槽104を回転駆動するモータ113およびクラッチ兼減速ギアが含まれたクラッチ機構部112aなどを備えている。駆動機構部112は、洗い行程時またはすすぎ行程時においては、クラッチ機構部112aにより回転力をパルセータ108に伝達する。このため、洗い行程時またはすすぎ行程時に回転槽104は回転駆動されず、パルセータ108だけが回転駆動される。このとき、パルセータ108は、1/5減速されて回転駆動される。また、駆動機構部112は、脱水行程時においては、モータ113の回転力をクラッチ機構部112aによりパルセータ108および回転槽104に伝達する。このため、脱水行程時にパルセータ108は、回転槽104と一体に回転駆動される。このとき、回転槽104は減速無しで回転駆動される。
【0014】
外箱101の上部には、トップカバー114が設けられている。トップカバー114には、洗濯物出入口を開閉する例えば二つ折り式の蓋115が開閉可能に設けられている。なお、水槽102の上部には、図示しない槽カバーが開閉可能に取り付けられている。トップカバー114の前部には、操作パネル116が設けられている。操作パネル116の裏側には、洗濯機100の動作全般を制御する制御ユニット117が配置されている。トップカバー114内の後部には、水源からの水を水槽102内に供給する給水機構部118が設けられている。給水機構部118は、図示しない給水弁や水槽102に連通する図示しない給水経路などを備えており、制御ユニット117が給水弁の開閉を制御することにより、水槽102内への給水が制御される。
【0015】
<洗濯機の制御系に係る電気的構成>
図2は、モータ113の駆動制御系を示す機能ブロック図である。この場合、制御ユニット117は、PWM制御方式インバータであるインバータ回路1を備えている。なお、PWMは、Pulse Width Modulationの略称である。インバータ回路1は、半導体スイッチング素子である6個のIGBT2a~2fを三相ブリッジ接続して構成されており、各IGBT2a~2fのコレクタ-エミッタ間には、フライホイールダイオード3a~3fが接続されている。インバータ回路1の各相出力端子は、モータ113の各モータ巻線113u、113v、113wにそれぞれ接続されている。本実施形態では、モータ113として、例えばアウタロータ型の三相ブラシレスDCモータを採用している。
【0016】
下アーム側のIGBT2d、2e、2fのエミッタは、電流検出素子であるシャント抵抗4を介してグランドに接続されている。また、IGBT2d、2e、2fのエミッタとシャント抵抗4との共通接続点は、抵抗素子5およびコンデンサ6を介してグランドに接続されている。抵抗素子5およびコンデンサ6の共通接続点は、制御回路7のA/D入力2端子に接続されているとともに、過電流判定回路8の入力端子に接続されている。過電流判定回路8は、コンパレータなどを用いて構成されている。過電流判定回路8の出力信号は過電流検出に基づく緊急停止信号となり、制御回路7は、緊急停止信号の入力があるとインバータ回路1に対するPWM信号の出力を停止する。
【0017】
モータ113には、ロータの回転位置を検出する1つの位置センサ9が配置されている。位置センサ9は、磁気センサであり、例えばホールICで構成され、回転位置の検出結果に対応するデジタル信号であるセンサ信号を出力する。位置センサ9から出力されるセンサ信号は、NOTゲート10を介して制御回路7に入力される。NOTゲート10の出力端子は、コンデンサ11を介してグランドに接続されている。
【0018】
インバータ回路1の入力側には駆動用電源回路12が接続されている。駆動用電源回路12は、100Vの交流電源13を、ダイオードブリッジで構成される全波整流回路14および直列接続された2個のコンデンサ15a、15bにより倍電圧全波整流し、約280Vの直流電圧をインバータ回路1に供給する。インバータ回路1の各相出力端子は、モータ113の各相巻線113u、113v、113wに接続されている。第1電源回路16は、インバータ回路1に供給される約280Vの駆動用電源を降圧して15V電源を生成すると、駆動回路17および高圧ドライバ回路19に供給する。第2電源回路18は、上記駆動用電源を降圧して5Vの制御用電源を生成し、制御回路7、回転位置センサ9および第3電源回路20などに供給する三端子レギュレータである。
【0019】
高圧ドライバ回路19は、インバータ回路1における上アーム側のIGBT2a~2cを駆動するために配置されている。第3電源回路20は、上記の5Vより3.3V電源を生成し、その電源を過電流判定回路8に供給する。制御回路7のA/D入力2端子は、抵抗素子21により3.3V電源にプルアップされている。駆動用電源回路12の出力端子、インバータ回路1の正側直流母線とグランドとの間には、抵抗素子22a、22bの直列回路が接続されており、両者の共通接続点は、制御回路7のA/D入力1端子に接続されている。
【0020】
制御回路7は、シャント抵抗4の端子電圧に基づきモータ113に通電される3相電流を検出し、ベクトル制御を行うことで電圧率が正弦波状に変化する三相上下分のPWM信号を生成する。制御回路7は、PWW信号を、駆動回路17および上側については高圧ドライバ回路19をも介して、インバータ回路1を構成する各IGBT2a~2fのゲートに出力する。駆動回路17において各PWM信号を入力するための各入力端子は、抵抗23によりグランドにプルダウンされている。
【0021】
上記構成において、下アーム側のIGBT2d、2e、2fの各エミッタと、高圧ドライバ回路19との間には、ブートストラップコンデンサ24d、24e、24fがそれぞれ接続されている。上記構成では、IGBT2a~2fのスイッチング動作に伴ってブートストラップコンデンサ24d~24fが充電されることで、高圧ドライバ回路19が上アーム側のIGBT2a~2cのゲートを駆動するための電源電圧が生成されるようになっている。
【0022】
本実施形態において、制御回路7は、モータ113に流れる電流を検出する電流検出部として機能するとともに、その電流検出部により検出される電流に基づいてモータ113をベクトル制御する制御部として機能する。この場合、制御回路7は、モータ113の回転速度が所望の目標速度に追従するようにモータ113を制御するようになっている。制御回路7は、センサ信号に基づいて所定の検知制御を実行する。具体的には、制御回路7は、所定の検知制御として、異常検知制御および停止検知制御の一方または双方を実行する。また、制御回路7は、所定の検知制御として、重量検知制御を実行する。
【0023】
異常検知制御は、例えば脱調など、モータ113の回転に関する異常を検知する制御である。停止検知制御は、例えば摩擦ブレーキ、電磁ブレーキなどのブレーキによるモータ113の停止を検知する制御である。重量検知制御は、回転槽104に衣類が投入された後、パルセータ108を回転させたときにおけるセンサ信号に基づいて回転槽104の回転数を算出し、その算出した回転数に基づいて衣類の量を判定する制御である。
【0024】
<モータの構成>
モータ113の具体的な構成としては、例えば
図3および
図4に示すような構成を採用することができる。
図3に示すように、モータ113は、ステータ31と、その外周に配置されるロータ32と、を備えている。ステータ31は、ステータコアおよびステータ巻線をモールド樹脂により一体化した構成となっている。ロータ32は、フレーム、ロータコアおよび複数の磁石をモールド樹脂により一体化した構成となっている。
【0025】
この場合、
図3および
図4に示すように、ロータには、その1周にわたって等間隔で12個の永久磁石である磁石33が設けられている。
図3に示すように、ステータ31において、磁石33の端側の位置には、1つの位置センサ9が取り付けられている。位置センサ9は、前述したように磁気を感知するホールICであり、磁石33のN極およびS極毎にレベルが反転するセンサ信号を出力する。上記構成によれば、位置センサ9から出力されるセンサ信号には、ロータ32が1周する毎に、磁石33と同数、つまり12のパルスエッジが現れることになる。
【0026】
<制御回路の具体的な構成および機能>
モータ113をベクトル制御する機能を有する制御回路7の具体的な構成としては、例えば
図5に示すような構成を採用することができる。
図5において、(α,β)は、三相ブラシレスDCモータであるモータ113の各相に対応する電機角120度間隔の三相(UVW)座標系を直交変換した直交座標系を示すものである。また、(d,q)は、モータ113のロータの回転に伴って回転している2次磁束の座標系を示すものである。
【0027】
マイクロコンピュータ41から出力された目標速度指令ωrefは、被減算値として減算器42に与えられるように構成されている。なお、本明細書では、マイクロコンピュータのことをマイコンと省略することがある。また、減算器42には、エスティメータ43によって検出されたモータ113の検出速度ωが減算値として与えられる。そして、減算器42の減算結果は、速度PI制御部44に与えられる。速度PI制御部44は、目標速度指令ωrefと検出速度ωとの差分量に基づいてPI制御を行い、q軸電流指令値Iqrefとd軸電流指令値Idrefとを生成して、切換えスイッチ45q、45dの一方の固定接点45qa、45daにそれぞれ与えるように構成されている。
【0028】
切換えスイッチ45q、45dの他方の固定接点45qb、45dbには、電流制御初期パターン出力部46によって出力される起動用の電流指令値Iqs、Idsが与えられる。そして、切換えスイッチ45q、45dの可動接点45qc、45dcは、減算器47、48の被減算値用の入力端子に接続されている。各切換えスイッチ45q、45dは、マイコン41によって切換え制御されるように構成されている。なお、洗いまたはすすぎ運転時には、d軸電流指令値Idrefは“0”に設定され、脱水運転時には、弱め界磁制御を行うため、d軸電流指令値Idrefは所定値に設定される。
【0029】
減算器47、48には、αβ/dq変換部49より出力されるq軸電流値Iq、d軸電流値Idが減算値としてそれぞれ与えられており、各減算結果は、電流PI制御部50q、50dにそれぞれ与えられている。そして、電流PI制御部50q、50dは、q軸電流指令値Iqrefとd軸電流指令値Idrefとの差分量に基づいてPI制御を行い、q軸電圧指令値Vqおよびd軸電圧指令値Vdを生成して、切換えスイッチ51q、51dの一方の固定接点51qa、51daにそれぞれ与える。
【0030】
切換えスイッチ51q、51dの他方の固定接点51qb、51dbには、電圧制御初期パターン出力部52によって出力される起動用の電圧指令値Vqs、Vdsが与えられている。そして、切換えスイッチ51q、51dの可動接点51qc、51dcは、dq/αβ変換部53の入力端子に接続されている。なお、切換えスイッチ51q、51dは、マイコン41によって切換え制御されるように構成されている。
【0031】
dq/αβ変換部53には、エスティメータ43によって検出されたモータ113における2次磁束のロータ位置角である回転位相角θが与えられており、その回転位相角θに基づいて電圧指令値Vd、Vqを電圧指令値Vα、Vβに変換するように構成されている。dq/αβ変換部53が出力する電圧指令値Vα、Vβは、αβ/UVW変換部54に与えられる。αβ/UVW変換部54は、電圧指令値Vα、Vβを三相の電圧指令値Vu、Vv、Vwに変換して出力する機能を有している。電圧指令値Vu、Vv、Vwは、PWM形成部55に与えられるように構成されている。
【0032】
PWM形成部55は、電圧指令値Vu、Vv、Vwに基づいて16kHzの三角波である搬送波を変調した各相のPWM信号Vup(+,-)、Vvp(+,-)、Vwp(+,-)をインバータ回路1に出力するように構成されている。PWM信号Vup~Vwpは、例えばモータ113の各相巻線113u、113v、113wに正弦波状の電流が通電されるように正弦波に基づいた電圧振幅に対応するパルス幅の信号として出力されるものである。
【0033】
この場合、トルク制御を行うためのモータ113に流れる電流をシャント抵抗4により検出している。すなわち、A/D変換部56は、抵抗素子5およびコンデンサ6の共通接続点の信号をA/D変換するなどして得られる電流データIu、IvをUVW/αβ変換部57に出力する。UVW/αβ変換部57は、電流データIu、IvからW相の電流データIwを推定し、三相の電流データIu、Iv、Iwを直交座標系の2軸電流データIα、Iβに変換する機能を有している。なお、このような変換の具体的な手法は、特許文献1に開示されている手法など既知の各手法を採用することができる。
【0034】
そして、UVW/αβ変換部57は、2軸電流データIα、Iβをαβ/dq変換部49に出力する。αβ/dq変換部49は、ベクトル制御時にはエスティメータ43よりモータ113のロータ位置角θを得ることで、2軸電流データIα、Iβを回転座標系(d,q)上のd軸電流値Id、q軸電流値Iqに変換する機能を有している。なお、このような変換の具体的な手法は、特許文献1に開示されている手法など既知の手法を採用することができる。
【0035】
そして、αβ/dq変換部49は、d軸電流値Id、q軸電流値Iqを、前述したようにエスティメータ43および減算器47、48に出力するように構成されている。エスティメータ43は、d軸電流値Id、q軸電流値Iqに基づいてモータ113のロータ位置角θおよび回転速度ωを推定し、各部に出力する。ここで、モータ113は、起動時には直流励磁が行われてロータの回転位置が初期化された後、つまり初期値に位置決めされた後、起動パターンが印加されて強制転流が行われる。この起動パターンの印加による強制転流時においては、位置角θは推定するまでもなく明らかである。
【0036】
ベクトル制御の開始以降は、エスティメータ43が起動されてモータ113のロータ位置角θおよび回転速度ωが推定される。この場合、エスティメータ43がαβ/dq変換部49に出力するロータ位置角θnとすると、エスティメータ43は、電流値Id、Iqに基づいてベクトル演算により推定したロータ位置角θn-1とその一周期前に推定したロータ位置角θn-2との相関に基づいてロータ位置角θnを推定するように構成されている。
【0037】
上記構成において、マイコン41を主体として行われる制御の概要は、
図6に示すようなものとなる。まず、マイコン41は、例えば洗い運転、すすぎ運転または脱水運転を開始させる場合、ステップS101~S105の処理であるモータ113の起動処理を実行する。具体的には、ステップS101において、モータ2のロータの位置決め制御を開始する。この場合、マイコン41によって、切替えスイッチ51q、51dの可動接点51qc、51dcを固定接点51qb、51dbに接続することにより、電圧制御初期パターン出力部52により、直流励磁用の初期パターンの電圧指令値がdq/αβ変換部53へ与えられる。
【0038】
これにより、ステップS102の処理が実行され、直流励磁用の電圧がインバータ回路1からモータ113の巻線に出力される。この構成の場合、出力電圧を、例えば0Vから80Vまで2秒間で直線的に増加させるように構成されている。すなわち、このような直線的な出力電圧がインバータ回路1から出力されるために必要な電圧指令値が、直流励磁用の初期パターンの電圧指令値として電圧制御初期パターン出力部52からdq/αβ変換部53へ与えられるように構成されている。上述した直流励磁の実行により、ステップS103にてモータ113のロータの回転位置が初期化されて位置決めされる。このような位置決め制御が行われる期間においては、モータ113の回転数、つまり回転速度は0rpm、d軸電流は0Aから増加するように変化し、q軸電流は0Aとなる。
【0039】
続いて、ステップS104へ進み、強制転流制御が開始される。この場合、マイコン41によって、切替えスイッチ45q、45dの可動接点45qc、45dcを固定接点45qb、45dbに接続することにより、電流制御初期パターン出力部46により、強制転流用の電流指令値が減算器47、48へ与えられるように構成されている。なお、切替えスイッチ51q、51dについては、その可動接点51qc、51dcを固定接点51qa、51daに接続することにより、電流PI制御部50q、50dからのq軸電圧指令値Vqおよびd軸電圧指令値Vdがdq/αβ変換部53へ与えられるように構成されている。
【0040】
これにより、モータ113が強制転流されて、回転を開始し、回転速度、つまり回転数が徐々に上昇していく。この構成の場合、ステップS105に示すように、モータ113の回転数を0rpmから例えば30rpmまで、つまり出力周波数を0rpmから30rpmに相当する周波数まで、例えば3秒間で直線的に増加させながら、d軸電流を例えば7Aなどの予め決められた一定値に固定するようにPI制御する、つまり電流制御する構成となっている。なお、q軸電流は0Aに固定される。
【0041】
つまり、このようなd軸電流およびq軸電流が得られる強制転流制御を実行するために必要な電流指令値が、強制転流用の初期パターンの電流指令値として電流制御初期パターン出力部46から減算器47、48へ与えられるように構成されている。そして、上記した強制転流制御が行われる期間においては、モータ113の回転数、つまり回転速度は0rpmから30rpmまで上昇し、d軸電流はほぼ7Aに保持され、q軸電流は0Aとなる。なお、本実施形態において、モータ113は、機械角1周期に対して電気角12周期になる構成であるので、強制転流30rpmは出力周波数150Hzに相当している。
【0042】
次に、ステップS106へ進み、強制転流制御をトルク制御、つまりベクトル制御へ切り換える制御が実行される。この構成の場合、マイコン41によって、切替えスイッチ45q、45dの可動接点45qc、45dcを固定接点45qa、45daに接続することにより、速度PI制御部44からの電流指令値が減算器47、48へ与えられるようにする。そして、上記切換制御は、徐々に進められるように構成されている。具体的には、d軸電流を7Aから0Aに徐々に低下させるように電流制御、つまりPI制御するとともに、q軸電流を0Aから予め決められた値である例えば7Aに上昇させるように電流制御、つまりPI制御する。
【0043】
そして、この後は、ステップS107へ進み、現実の回転数と目標の回転数との差に基づいてq軸電流をPI制御するように構成されている。これにより、目標の回転数にすばやく応答させることができ、良好な制御応答性が得られる。このような回転数制御が行われる期間においては、モータ113の回転数、つまり回転速度は目標回転数になるように上昇していく。そして、d軸電流は0Aに保持され、q軸電流は現実の回転数と目標の回転数との差に基づいて加減される。
【0044】
次に、上記構成の制御回路7により行われる各種の検知制御に関する具体的な処理内容について
図7~
図10を参照して説明する。
[1]停止検知制御に関する具体的な処理内容
制御回路7は、脱水運転時、より具体的には最終の脱水運転時、
図7に示すような内容の処理を行う。まず、ステップS201において脱水運転が開始されると、ステップS202に進み、蓋ロックが実行される。蓋ロックが実行されると、蓋115を開けることができない状態となる。
【0045】
ステップS202の実行後はステップS203に進み、脱水運転が終了したか否かが判断される。脱水運転が継続中であるとき、ステップS203で「NO」となり、再びステップS203の判断が行われる。脱水運転が終了すると、ステップS203で「YES」となり、ステップS204に進む。ステップS204では、モータ113の回転を停止させるためのブレーキの実行が開始される。
【0046】
ブレーキが実行されることによりモータ113の回転が停止し始めると、1回転中にロータ32の磁石33が位置センサ9を横切る回数が減少してゆき、最終的には磁石33が位置センサ9を横切らなくなり、センサ信号に変化がなくなる、つまりセンサ信号のレベルがハイレベルまたはロウレベルで固定となる。そこで、本実施形態では、このような点を考慮し、ステップS204の実行後にモータ113の停止を検知する停止検知制御に対応する処理であるステップS205が実行される。すなわち、ステップS205では、センサ信号が所定の判定時間Ta以上変化しないか否かが判断される。
【0047】
本実施形態では、停止検知のための閾値となる判定時間Taは、ユーザの安全性および利便性の双方が確保できるような時間、例えば1.2秒に設定されている。安全性の確保としては、モータ113の回転が完全に停止すること、または、仮にユーザが回転槽104などに触れても問題が無い程度にモータ113の回転が抑制されることに相当する。利便性の確保としては、脱水運転の終了後に洗濯物を取り出すことができるようになるまでの時間が、ユーザが不便を感じるような長さにならないようにすることに相当する。このような判定時間Taの最適値は、ロータ32の極数、つまり磁石33の数などに応じて変わることになるため、ロータ32の極数などに応じて適宜変更すればよい。
【0048】
センサ信号のレベルが変化しない状態が判定時間Ta未満である場合、ステップS205で「NO」となり、再びステップS205の判断が行われる。センサ信号のレベルが変化しない状態が判定時間Ta以上継続した場合、ステップS205で「YES」となり、ステップS206に進む。ステップS206では、蓋ロックが解除され、蓋115を開けることができる状態となる。ステップS206の実行後、本処理が終了となる。
【0049】
[2]異常検知制御に関する具体的な処理内容
制御回路7は、洗い運転時、すすぎ運転時または脱水運転時、
図8に示すような内容の第1具体処理および
図9に示すような内容の第2具体処理のうちいずれかを行う。
図8に示すように、第1具体処理では、まず、ステップS301において回転槽104を回転させるためにモータ113の回転が開始される。脱調などのモータ113の回転に関する異常が発生すると、モータ113の回転数、つまり回転速度が本来あるべき値である目標速度よりも減少することから、1回転中にロータ32の磁石33が位置センサ9を横切る回数も減少してセンサ信号に変化がなくなる状態が正常時よりも長い時間となる。
【0050】
そこで、第1具体処理では、このような点を考慮し、ステップS301の実行後にモータ113の回転に関する異常を検知する異常検知制御に対応する処理であるステップS302が実行される。すなわち、ステップS302では、センサ信号が所定の判定時間Tb以上変化しないか否かが判断される。本実施形態では、異常検知のための閾値となる判定時間Tbは、例えば0.2秒に設定されている。なお、判定時間Tbは、そのときに実行されている運転において想定されるモータ113の最低の回転数でモータ113が回転駆動されるときにセンサ信号に変化が現れない状態が継続する時間よりも十分に長い時間であり、且つ脱調などの異常発生から異常検知までの時間がむやみに長くならない程度の時間であればよく、適宜変更することができる。
【0051】
センサ信号のレベルが変化しない状態が判定時間Tb未満である場合、ステップS302で「NO」となり、再びステップS302の判断が行われる。センサ信号のレベルが変化しない状態が判定時間Tb以上継続した場合、ステップS302で「YES」となり、ステップS303に進む。ステップS303では、脱調などの異常が発生したことが検知され、モータ113に対する通電が停止される。ステップS303の実行後、第1具体処理が終了となる。このように、第1具体処理に含まれる異常検知制御では、制御回路7は、モータ113を回転させるように制御する回転制御中におけるセンサ信号が所定の判定時間Tb以上変化しない場合にモータ113の回転に関連する異常が発生したことを検知するようになっている。
【0052】
図9に示すように、第2具体処理は、第1具体処理に対し、異常検知制御に対応する処理であるステップS302に代えてステップS312が設けられている点が異なっている。前述したように、脱調などのモータ113の回転に関する異常が発生すると、モータ113の回転速度が目標速度よりも減少する。そこで、第2処理のステップS312では、モータ113の回転速度と目標速度との差が所定の閾値速度以上であるか否かが判断される。
【0053】
モータ113の回転速度は、センサ信号に基づいて算出することができる。本実施形態では、上記した差が閾値速度以上であるか否かを判断する一例として、モータ113の回転速度が目標速度の半分以下であるか否かを判断するようになっている。そのため、本実施形態では、異常検知のための閾値となる閾値速度は、モータ113の回転速度および目標速度に応じて変化する値となる。
【0054】
モータ113の回転速度と目標速度との差が閾値速度未満である場合、つまりモータ113の回転速度が目標速度の半分を超える場合、ステップS312で「NO」となり、再びステップS312の判断が行われる。モータ113の回転速度と目標速度との差が閾値速度以上である場合、つまりモータ113の回転速度が目標速度の半分以下である場合、ステップS312で「YES」となり、ステップS303に進む。このように、第2具体処理に含まれる異常検知制御では、制御回路7は、モータ113を回転させるように制御する回転制御中におけるセンサ信号に基づいて算出されるモータ113の回転速度と目標速度との差が所定の閾値速度以上である場合にモータ113の回転に関連する異常が発生したことを検知するようになっている。
【0055】
[3]重量検知制御に関する具体的な処理内容
制御回路7は、洗濯運転などを開始する際、
図10に示すような内容の処理を行い、回転槽104に投入された衣類の量を判定する。この場合、
図10に示す一連の処理が前述した重量検知制御に対応する。まず、ステップS401においてセンサ信号の検知が開始され、これ以降、センサ信号のパルスの数が計測される。
【0056】
ステップS401の実行後はステップS402に進み、回転槽104が正転方向に回転するようにモータ113が1秒間駆動される、つまり正転駆動が1秒間行われる。ステップS402の実行後はステップS403に進み、モータ113の駆動を停止させて3秒間経過させる、つまり駆動停止が3秒間継続される。このとき、回転槽104には、モータ113の駆動力は与えられないが、惰性で正転方向に回転する、つまり正転方向に空走する。
【0057】
ステップS403の実行後はステップS404に進み、回転槽104の回転が停止したか否かが判断される。回転槽104の回転が停止していない場合、ステップS404で「NO」となり、再びステップS404の判断が行われる。回転槽104の回転が停止した場合、ステップS404で「YES」となり、ステップS405に進む。ステップS405では、回転槽104が正転方向に回転している期間におけるセンサ信号のパルス数が記憶される。ステップS405で記憶されるパルス数は、回転槽104の正転方向への回転の数、つまり正転方向の回転数に対応する。
【0058】
ステップS405の実行後はステップS406に進み、回転槽104が正転方向とは逆方向である反転方向に回転するようにモータ113が1秒間駆動される、つまり反転駆動が1秒間行われる。ステップS406の実行後はステップS407に進み、モータ113の駆動を停止させて3秒間経過させる、つまり駆動停止が3秒間継続される。このとき、回転槽104には、モータ113の駆動力は与えられないが、惰性で反転方向に回転する、つまり反転方向に空走する。
【0059】
ステップS407の実行後はステップS408に進み、回転槽104の回転が停止したか否かが判断される。回転槽104の回転が停止していない場合、ステップS408で「NO」となり、再びステップS408の判断が行われる。回転槽104の回転が停止した場合、ステップS408で「YES」となり、ステップS409に進む。ステップS409では、回転槽104が反転方向に回転している期間におけるセンサ信号のパルス数が記憶される。ステップS409で記憶されるパルス数は、回転槽104の反転方向への回転の数、つまり反転方向の回転数に対応する。ステップS409の実行後はステップS410に進む。
【0060】
ステップS410では、ステップS405で記憶されたパルス数およびステップS409で記憶されたパルス数、つまり正転方向の回転数に対応するパルス数および反転方向の回転数に対応するパルス数に基づいて衣類の重量が推定される。ここでの推定は、次のような考え方に基づいて行われる。すなわち、回転槽104に投入された衣類が多いと、つまり衣類の重量が大きいと、惰性での回転が止まるまでの時間が短くなるが、回転槽104に投入された衣類が少ないと、つまり衣類の重量が小さいと惰性での回転が止まるまでの時間が長くなる。
【0061】
したがって、ステップS405およびS409で記憶された各パルス数が多いほど衣類の重量が小さいと推定することができるとともに、ステップS405およびS409で記憶された各パルス数が少ないほど衣類の重量が小さいと推定することができる。また、予め実験などを行うことにより、このようなパルス数と衣類の重量との関係を表すテーブルなどを作成して記憶しておき、ステップS410において、そのテーブルを参照するようにすれば、衣類の重量の大小だけでなく、重量の値を推定することができる。ステップS410の実行後、本処理が終了となる。
【0062】
本実施形態では、正転方向の回転数に対応するパルス数と反転方向の回転数に対応するパルス数との平均で重量推定を行うようになっているが、このようにする理由は、次の通り。すなわち、当然であるが、正転方向の回転数に対応するパルス数および反転方向の回転数に対応するパルス数の一方だけで重量推定するよりも、それらパルス数の双方の平均で重量推定するほうが、推定精度が向上する。
【0063】
また、洗濯機の種類にもよるが正転方向への回転時と反転方向への回転時とでは惰性での回転が止まるまでの時間が異なるような構造になっている場合がある。そのため、正転方向の回転数に対応するパルス数または反転方向の回転数に対応するパルス数のうちいずれか一方を2回取得し、その平均で重量推定するよりも、本実施形態のように正転方向の回転数に対応するパルス数と反転方向の回転数に対応するパルス数との平均で重量推定を行うほうが、推定精度が向上する。
【0064】
以上説明した本実施形態によれば、次のような効果が得られる。
本実施形態の洗濯機100において、回転槽104を回転駆動するモータ113の駆動を制御する制御回路7は、モータ113に流れる電流を検出してベクトル制御するようになっている、つまり本実施形態ではセンサレス駆動の構成が採用されている。ただし、本実施形態では、モータ113のロータ32の回転位置を検出してセンサ信号を出力する1つの位置センサ9が設けられている。1つの位置センサ9では、磁極位置の誤差が大きくなるため、トルクの発生や回転駆動には使用できないが、各種の検知制御であれば十分に用いることが可能となる。
【0065】
そこで、制御回路7は、1つの位置センサ9から出力されるセンサ信号に基づいて所定の検知制御を実行するようになっている。このようにすれば、モータに流れる電流であるモータ電流の検出結果に基づいて各種の検知制御を行う場合に生じる可能性がある精度の低下、誤検知などが生じることを抑制でき、各種の検知制御の信頼性を高められる。この場合、一般的なセンサレス駆動の構成に対し、1つの位置センサ9が追加されるものの、3つの位置センサが設けられるセンサ駆動の構成に対し、構成が簡素化されるとともに製造コストが低減される。したがって、本実施形態によれば、構成の複雑化およびコストの増大を抑えつつ、各種の検知制御を精度良く行うことができるという優れた効果が得られる。
【0066】
本実施形態では、制御回路7は、所定の検知制御として、ブレーキによるモータ113の停止を検知する停止検知制御を実行する。制御回路7は、停止検知制御では、センサ信号が所定の判定時間Ta以上変化しない場合にブレーキによるモータ11の停止を検知する。この場合、制御回路7は、ブレーキによるモータ113の停止を検知した後、蓋ロックを解除するようになっている。このようにすれば、ブレーキによるモータ113の停止を確実に検知することができるため、蓋ロックの安全性が向上する。
【0067】
また、本実施形態では、制御回路7は、所定の検知制御として、モータ113の回転に関する異常を検知する異常検知制御を実行する。制御回路7は、異常検知制御として、モータ113を回転させるように制御する回転制御中におけるセンサ信号が所定の判定時間Tb以上変化しない場合にモータ113の回転に関連する異常が発生したことを検知する第1具体処理を行うことができる。また、制御回路7は、異常検知制御として、モータ113を回転させるように制御する回転制御中におけるセンサ信号に基づいて算出されるモータ113の回転速度と目標速度との差が所定の閾値速度以上である場合にモータ113の回転に関連する異常が発生したことを検知する第2具体処理を行うことができる。
【0068】
このような第1具体処理および第2具体処理によれば、モータ113の回転に関連する異常を素早く且つ確実に検知することができる。このようにすれば、脱調などを素早く且つ確実に検知することが可能となるため、過大な電流が流れることによる過熱の発生が防止されて安全性が向上する。本実施形態では、第2具体処理における上記差が閾値速度以上であるか否かを判断する具体的な手法として、モータ113の回転速度が目標速度の半分以下であるか否かを判断することが採用されている。
【0069】
このような具体的な手法によれば、異常検知のための閾値となる閾値速度は、モータ113の回転速度および目標速度に応じて変化する値となる。つまり、この場合、洗濯機100の運転状態に応じてモータ113の回転速度が変化したとしても、その変化に応じて閾値速度も同様に変化するようになっているため、回転速度の変化に伴う異常検知の精度低下の問題は発生しない。言い換えると、上記手法によれば、モータ113の回転速度が変化したとしても、異常検知の精度を良好に維持することができる。
【0070】
本実施形態では、制御回路7は、所定の検知制御として、回転槽104に衣類が投入された後、パルセータ108を回転させたときにおけるセンサ信号に基づいて回転槽104の回転数を算出し、その算出した回転数に基づいて衣類の量を判定する重量検知制御を実行する。このようにすれば、一般的なセンサレス駆動の構成では検知が困難となるモータ113の回転量を確実に検知することが可能となって衣類量の検知精度が向上し、その結果、洗濯に用いる水、洗剤などが節約されるといった効果が得られる。
【0071】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態について
図11~
図18を参照して説明する。
第2実施形態では、制御回路7による制御の内容が第1実施形態と異なっている。なお、洗濯機100の構成は、第1実施形態と共通するため、
図1~
図5などの第1実施形態に係る図面も参照して説明する。
【0072】
センサレス駆動の構成では、次のような課題がある。すなわち、回転槽内における衣類の偏りによるアンバランスが生じていても、モータの各相に流れる電流、つまりモータの相電流には、アンバランスに伴う変動が現れないことがある。
図11には、本実施形態の構成において、アンバランスが無いときのモータ113の相電流波形を示している。また、
図12には、本実施形態の構成において、例えば下アンバラ3000g程度のアンバランスが有るときのモータ113の相電流波形を示している。
【0073】
本実施形態では、衣類を脱水する脱水行程において回転槽104を回転させる際、モータ113の回転数は、
図13に示すように推移する。すなわち、モータ113の回転数は、脱水運転が開始されると一旦所定の傾きで増加し、その後、例えば130rpmで一定となる定速期間を経て加速期間になると、最初の傾きよりも急峻な傾きで増加する。
図11および
図12のモータ113の相電流波形は、このような加速期間における波形を示している。
【0074】
図11および
図12に示すように、モータ113の相電流波形には、加速による電流の単調増加はあるものの、アンバランスの有無による1回転毎の増減はなく、アンバランスの有無による大きな差異は見られない。このようなことから、センサレス駆動の構成において、モータ113に流れる電流の検出結果に基づいてアンバランスを精度良く検知することは困難であった。
【0075】
そこで、本実施形態の制御回路7は、所定の検知制御として、衣類を脱水する脱水行程において回転槽104を回転させる際に、位置センサ9から出力されるセンサ信号に基づいてモータ113の回転数を取得し、その取得した回転数の変動に基づいて回転槽104内における衣類の偏りによるアンバランスを検知するアンバランス検知制御を実行するようになっている。
【0076】
位置センサ9から出力されるセンサ信号は、例えば
図14に示すようなパルス波形となっている。この場合、例えばセンサ信号の立ち下がりエッジから次の立ち上がりエッジとの間の時間tx、つまりエッジ間の時間によりモータ113の回転数、つまり回転速度が検出される。本実施形態の構成では、モータ113が多極モータであるため、センサ信号としては、1回転中に複数のパルスが現れる波形となる。そのため、本実施形態の構成では、1回転中に複数の回転数の検出値が得られることになる。
【0077】
このようなセンサ信号のエッジ間の時間tx、つまりセンサ信号に基づいて検出されるモータ113の回転数は、アンバランスの有無に応じて大きな差異が生じる。その理由は、次の通りである。すなわち、モータ113では、ロータ32に複数の磁石33が等間隔に配置されている。そのため、センサ信号のエッジ間の時間txは、アンバランスが生じていないときには等間隔なものとなるが、アンバランスが生じているときには等間隔にはならずにばらつきが生じる。その結果、センサ信号に基づいて検出されるモータ113の回転数は、アンバランスの有無に応じて大きな差異が生じることになる。
【0078】
このような差異について、
図15および
図16を参照して説明する。なお、以下の説明では、センサ信号に基づいて検出されるモータ113の回転数のことを、検出回転数と省略することがある。
図15には、アンバランスが無いときの検出回転数を表す信号である検出回転数信号と、検出回転数信号に対して後述する各種の信号処理を含むデジタルフィルタ処理を施すことで得られる判定値信号と、を示している。また、
図16には、アンバランスが有るときの検出回転数信号および判定値信号を示している。
図15および
図16に示すように、アンバランス有りのときの検出回転数信号は、アンバランス無しのときの検出回転数信号に比べ、1回転毎に大きく変動する波形となっている。
【0079】
このように、検出回転数信号の波形によれば、アンバランス有無による差異は一目瞭然であるが、このような波形をそのままデジタル処理することでアンバランスの有無を判別することは難しい。そこで、本実施形態では、制御回路7は、アンバランス検知制御では、検出回転数信号に対してデジタルフィルタ処理を行うことによりモータ113の1回転中の変動に相当する周波数成分の信号である判定値信号を抽出する。そして、制御回路7は、その抽出した判定値信号に基づいて、具体的には、判定値信号を所定の閾値を表す閾値信号と比較することによりアンバランスを検知するようになっている。
【0080】
本実施形態において、上記したデジタルフィルタ処理には、ローパスフィルタの処理である第1処理、バンドパスフィルタの処理である第2処理、二乗処理である第3処理およびローパスフィルタの処理である第4処理が含まれている。なお、以下の説明および
図17などでは、ローパスフィルタのことをLPFと省略するとともに、バンドパスフィルタのことをBPFと省略することとする。
【0081】
図17に示すように、検出回転数信号の波形には、比較的高い周波数の高周波ノイズが含まれている。そこで、第1処理では、検出回転数信号に対してLPFの処理が行われる。第1処理におけるLPFのカットオフ周波数は、後述する第4処理におけるLPFのカットオフ周波数よりも高い周波数であり、且つ上記した高周波ノイズを除去できる程度の比較的高い周波数に設定されている。なお、以下の説明および
図17などでは、第1処理および第4処理における各LPFの処理のことを、それぞれLPF「弱」およびLPF「強」と称して区別することとする。
【0082】
このようなLPF「弱」の処理である第1処理後の信号は、
図17に示すように、検出回転数信号から高周波ノイズが除去された信号となる。第2処理におけるBPFは、回転槽104の1回転に対応する周波数帯を通過させるように、その通過帯域が設定されている。このようなBPFの処理である第2処理後の信号は、
図17に示すように、第1処理後の信号から直流成分が除去されて回転槽104の1回転に対応する周波数帯の交流成分が取り出された信号となる。
【0083】
BPFの処理では、計算上、マイナスの値も出力されることになる。そこで、第3処理では、二乗処理が行われる。そのため、第3処理後の信号は、
図17に示すように、マイナス成分が除去された信号となる。第4処理におけるLPF「強」のカットオフ周波数は、第1処理におけるLPF「弱」のカットオフ周波数より低い周波数であり、概ね直流成分だけを通過させるような周波数に設定されている。このようなLPF「強」の処理である第4処理後の信号は、
図17に示すように、ほぼ直流成分だけを有する信号となっており、この信号が前述した判定値信号に相当する。
【0084】
次に、上記構成の制御回路7により行われるアンバランス検知制御に関する具体的な処理内容について
図19を参照して説明する。制御回路7は、脱水運転時、
図19に示すような内容の処理を行う。まず、ステップS501において脱水運転が開始されると、ステップS502に進み、定速期間であるか否かが判断される。定速期間である場合、ステップS502で「YES」となり、ステップS503に進む。ステップS503では、定速期間の後半における判定値の平均値が計算される。このようにする理由は、定速期間の前半では、検出回転数信号、ひいては判定値信号が不安定になる可能性があり、そのような信号を用いて判定を行うと誤検知が生じるおそれがあるためである。
【0085】
ステップS503の実行後はステップS504に進み、ステップS503で計算された判定値の平均値と所定の閾値との大小比較が行われる、具体的には判定値の平均値が閾値以上であるか否かが判断される。判定値の平均値が閾値未満である場合、ステップS504で「NO」となり、ステップS502に戻る。一方、判定値の平均値が閾値以上である場合、ステップS504で「YES」となり、ステップS505に進む。ステップS505では、モータ113、ひいては回転槽104の回転が停止され、注水によるアンバランス修正が行われる。ステップS505の実行後、ステップS502に戻る。
【0086】
定速期間が終了して加速期間に遷移すると、ステップS502で「NO」となり、ステップS506に進む。ステップS506は、加速期間の前半および後半のいずれであるかを判断するための処理であり、検出回転数が所定数以下であるか否かが判断される。所定回転数は、加速期間の前半および後半のいずれであるかを判断できるような回転数に設定されている。加速期間の後半であり検出回転数が所定数を超える場合、ステップS506で「NO」となり、本処理が終了となる。
【0087】
一方、加速期間の前半であり検出回転数が所定数以下である場合、ステップS506で「YES」となり、ステップS507に進む。ステップS507では、判定値と所定の閾値との大小比較が行われる、具体的には判定値が閾値以上であるか否かが判断される。判定値が閾値未満である場合、ステップS507で「NO」となり、ステップS506に戻る。一方、判定値が閾値以上である場合、ステップS507で「YES」となり、ステップS508に進む。
【0088】
ステップS508では、モータ113、ひいては回転槽104の回転が停止され、注水によるアンバランス修正が行われる。ステップS508の実行後、ステップS506に戻る。このように、本実施形態では、定速期間と、検出回転数が所定数以下である加速期間の前半において回転槽104内における衣類の偏りによるアンバランスを検知するアンバランス検知制御が行われるようになっているが、検出回転数が所定数を超える加速期間の後半においてはアンバランス検知制御が行われないようになっている。
【0089】
以上説明した本実施形態によれば、制御回路7は、所定の検知制御として、衣類を脱水する脱水行程において回転槽104を回転させる際に、センサ信号に基づいてモータ113の回転数を取得し、その取得した回転数の変動に基づいてアンバランスを検知するアンバランス検知制御を実行する。本実施形態の構成においては、アンバランスが生じていてもモータ113の相電流にアンバランスに伴う変動が現れないことがあるものの、センサ信号に基づいて検出される回転数にはアンバランスの有無による大きな変動が現れる。
【0090】
本実施形態では、このようにアンバランスの有無による大きな変動が現れる回転数に基づいてアンバランス検知を行うようになっているため、その検知精度を良好にすることができるという優れた効果が得られる。また、本実施形態では、制御回路7は、モータ113をベクトル制御して所定の回転数に制御しつつ、センサ信号に基づくアンバランス検知制御を行うようになっている。このようにすれば、回転変動が大きくなって振動および騒音が増大することを抑制しつつ、アンバランス検知制御を実行することができる。
【0091】
上記構成において、モータ113は複数の磁石33が設けられたロータ32を備えた多極モータである。また、モータ113のステータ31には、磁気センサである1つの位置センサ9が設けられ、その1つの位置センサ9から出力されるセンサ信号に基づいて取得される回転数の変動に基づいてアンバランス検知制御が行われるようになっている。このような構成によれば、1つの位置センサ9から出力されるセンサ信号によって1回転中に複数の回転数の検出値が得られることになる。そのため、本実施形態によれば、位置センサ9を1つ設けるだけでよいことから構成の複雑化およびコストの増大を抑えつつ、アンバランスを精度良く検知することができる。
【0092】
本実施形態では、制御回路7は、アンバランス検知制御では、取得したモータ113の回転数に対してデジタルフィルタ処理を行うことによりモータ113の1回転中の変動に相当する周波数成分の信号を抽出し、その抽出した周波数成分の信号に基づいてアンバランスを検知するようになっている。このようにすれば、位置センサ9、磁石33などの取り付け誤差に起因するノイズおよび位置センサ9から出力されるセンサ信号に重畳する電気的なノイズなどの影響を排除したうえでアンバランスの検知を行うことができるため、その検知精度が一層向上する。
【0093】
(第3実施形態)
以下、第2実施形態に対してアンバランス検知制御の内容に変更が加えられた第3実施形態について
図19を参照して説明する。
本実施形態の制御回路7は、アンバランス検知制御では、取得したモータ113の回転数に加え、検出されるモータ113に流れる電流にも基づいて、アンバランスを検知するようになっている。そのため、本実施形態では、第2実施形態に対し、デジタルフィルタ処理の内容が異なっている。
図19に示すように、本実施形態のデジタルフィルタ処理には、第2実施形態のデジタルフィルタ処理に含まれる各処理に加え、第1処理の前に実行される乗算処理が加えられている。
【0094】
乗算処理では、検出回転数信号と、モータ113に流れる電流、つまりトルク電流の検出値に対応するモータ電流信号と、を乗算する処理が行われる。このような乗算処理後の信号は、
図19に示すような信号となる。この場合、第1処理では、このような検出回転数信号とモータ電流信号とを乗算することで得られる乗算処理後の信号に対してLPF「弱」の処理が行われる。
【0095】
以上説明した本実施形態によれば、制御回路7は、アンバランス検知制御では、検出回転数に加え、モータ電流にも基づいて、アンバランスを検知するようになっている。このようにすれば、モータ電流、つまりトルク電流がアンバランスの有無に応じて少なからず変動するような場合には、最終的に得られる判定値がアンバランスの有無に応じて大きく変化することになり、閾値との比較に基づくアンバランスの有無の検知精度が一層向上する。
【0096】
また、モータ113の回転数制御の応答性が良くない場合には検出回転数にアンバランスの有無に起因する変動が現れるとともに、モータ113の回転数制御の応答性が良い場合にはモータ電流にアンバランスの有無による変動が現れる。そのため、本実施形態のアンバランス検知制御によれば、検出回転数およびモータ電流の両方に基づいてアンバランスを検知するようになっていることから、モータ113の回転数制御の応答性の良否に関係なく、アンバランスを精度良く検知することができる。
【0097】
なお、本実施形態では、検出回転数に対応する検出回転数信号およびモータ電流に対応するモータ電流信号の両方をアンバランスの検知に用いるようにしているが、例えば重量センサなどにより回転槽104に投入された衣類の量を計測し、その計測結果に基づいて検出回転数信号およびモータ電流信号のいずれかを選択してアンバランスの検知に用いるようにしてもよい。
【0098】
(その他の実施形態)
なお、本発明は上記し且つ図面に記載した各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で任意に変形、組み合わせ、あるいは拡張することができる。
上記実施形態で示した数値などは例示であり、それに限定されるものではない。
本発明は、縦軸型の洗濯機100に限らず、例えばドラム式洗濯機など、洗濯機全般に適用することができる。
位置センサ9としては、ホールICなどの磁気センサに限らずともよく、モータ113のロータ32の回転位置を検出してセンサ信号を出力する構成の各種センサを採用することができる。
【0099】
以上、本発明の複数の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0100】
図面中、7は制御回路、9は位置センサ、31はステータ、32はロータ、33は磁石、100は洗濯機、104は回転槽、108はパルセータ、113はモータを示す。