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特許7470004熱硬化性樹脂用の射出成形機およびその制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-09
(45)【発行日】2024-04-17
(54)【発明の名称】熱硬化性樹脂用の射出成形機およびその制御方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/74 20060101AFI20240410BHJP
   B29C 45/78 20060101ALI20240410BHJP
【FI】
B29C45/74
B29C45/78
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020164001
(22)【出願日】2020-09-29
(65)【公開番号】P2022056150
(43)【公開日】2022-04-08
【審査請求日】2023-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000222587
【氏名又は名称】東洋機械金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002608
【氏名又は名称】弁理士法人オーパス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中田 匡英
(72)【発明者】
【氏名】樽家 宏治
(72)【発明者】
【氏名】延近 暢祐
【審査官】和瀬田 芳正
(56)【参考文献】
【文献】実開平5-63817(JP,U)
【文献】特開平3-224711(JP,A)
【文献】特開平9-193226(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/74
B29C 45/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルが先端に設けられた加熱シリンダと、前記加熱シリンダに収容されたスクリューと、を有する熱硬化性樹脂用の射出成形機であって、
前記加熱シリンダに設けられ、前記ノズル側から順に配置された第1流路および第2流路と、
前記第1流路に高温媒体、中温媒体および低温媒体のいずれか1つが流れるように各媒体の流れを切り換える第1切換装置と、
前記高温媒体の温度を調整する高温媒体用温調機と、
制御装置と、を有し、
前記制御装置が、
(1a)前記加熱シリンダにおける前記第1流路が配置された部分(以下、「第1部分」という。)の温度が高温目標温度以下のとき、前記第1流路に前記高温媒体が流れるように前記第1切換装置を制御するとともに、前記高温媒体の温度が前記高温目標温度になるように前記高温媒体用温調機を制御し、
(1b)前記第1部分の温度が前記高温目標温度より高くかつ前記第1部分の温度と前記高温媒体の温度との差分値(以下、「第1差分値」という。)が第1差分上限値より小さいとき、前記高温媒体の温度が前記高温目標温度から前記第1部分の温度と前記高温目標温度との差分値を差し引いた温度になるように前記高温媒体用温調機を制御し、
(1c)前記第1部分の温度が前記高温目標温度より高くかつ前記第1差分値が前記第1差分上限値以上のとき、前記第1流路に前記中温媒体が流れるように前記第1切換装置を制御する、
ことを特徴とする熱硬化性樹脂用の射出成形機。
【請求項2】
さらに、前記第2流路に前記中温媒体および前記低温媒体のいずれか1つが流れるように各媒体の流れを切り換える第2切換装置と、
前記中温媒体の温度を調整する中温媒体用温調機と、を有し、
前記制御装置が
(2a)前記加熱シリンダにおける前記第2流路が配置された部分(以下、「第2部分」という。)の温度が中温目標温度以下のとき、前記第2流路に前記中温媒体が流れるように前記第2切換装置を制御するとともに、前記中温媒体の温度が前記中温目標温度になるように前記中温媒体用温調機を制御し、
(2b)前記第2部分の温度が前記中温目標温度より高くかつ前記第2部分の温度と前記中温媒体の温度との差分値(以下、「第2差分値」という。)が第2差分上限値より小さいとき、前記中温媒体の温度が前記中温目標温度から前記第2部分の温度と前記中温目標温度との差分値を差し引いた温度になるように前記中温媒体用温調機を制御し、
(2c)前記第2部分の温度が前記中温目標温度より高くかつ前記第2差分値が前記第2差分上限値以上のとき、前記第2流路に前記低温媒体が流れるように前記第2切換装置を制御する、
請求項1に記載の熱硬化性樹脂用の射出成形機。
【請求項3】
前記制御装置は、成形サイクルの繰り返し実行が終了したとき、前記第1流路に前記低温媒体が流れるように前記第1切換装置を制御するとともに、前記第2流路に前記低温媒体が流れるように前記第2切換装置を制御する、請求項2に記載の熱硬化性樹脂用の射出成形機。
【請求項4】
前記高温目標温度は、前記中温目標温度に前記第1差分上限値を加えた温度よりも高く、
前記中温目標温度は、前記低温媒体の温度に前記第2差分上限値を加えた温度よりも高い、請求項2または請求項3に記載の熱硬化性樹脂用の射出成形機。
【請求項5】
ノズルが先端に設けられた加熱シリンダと、前記加熱シリンダに収容されたスクリューと、を有する熱硬化性樹脂用の射出成形機の制御方法であって、
前記加熱シリンダに設けられ、前記ノズル側から順に配置された第1流路および第2流路を有し、
(1a)前記加熱シリンダにおける前記第1流路が配置された部分(以下、「第1部分」という。)の温度が高温目標温度以下のとき、前記第1流路に高温媒体を流すとともに、前記高温媒体の温度を前記高温目標温度になるように調整し、
(1b)前記第1部分の温度が前記高温目標温度より高くかつ前記第1部分の温度と前記高温媒体の温度との差分値(以下、「第1差分値」という。)が第1差分上限値より小さいとき、前記高温媒体の温度を前記高温目標温度から前記第1部分の温度と前記高温目標温度との差分値を差し引いた温度になるように調整し、
(1c)前記第1部分の温度が前記高温目標温度より高くかつ前記第1差分値が前記第1差分上限値以上のとき、前記第1流路に中温媒体を流す、
ことを特徴とする熱硬化性樹脂用の射出成形機の制御方法。
【請求項6】
(2a)前記加熱シリンダにおける前記第2流路が配置された部分(以下、「第2部分」という。)の温度が中温目標温度以下のとき、前記第2流路に前記中温媒体を流すとともに、前記中温媒体の温度を前記中温目標温度になるように調整し、
(2b)前記第2部分の温度が前記中温目標温度より高くかつ前記第2部分の温度と前記中温媒体の温度との差分値(以下、「第2差分値」という。)が第2差分上限値より小さいとき、前記中温媒体の温度を前記中温目標温度から前記第2部分の温度と前記中温目標温度との差分値を差し引いた温度になるように調整し、
(2c)前記第2部分の温度が前記中温目標温度より高くかつ前記第2差分値が前記第2差分上限値以上のとき、前記第2流路に低温媒体を流す、
請求項5に記載の熱硬化性樹脂用の射出成形機の制御方法。
【請求項7】
成形サイクルの繰り返し実行が終了したとき、前記第1流路に前記低温媒体を流すとともに、前記第2流路に前記低温媒体を流す、請求項6に記載の熱硬化性樹脂用の射出成形機の制御方法。
【請求項8】
前記高温目標温度は、前記中温目標温度に前記第1差分上限値を加えた温度よりも高く、
前記中温目標温度は、前記低温媒体の温度に前記第2差分上限値を加えた温度よりも高い、請求項6または請求項7に記載の熱硬化性樹脂用の射出成形機の制御方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱硬化性樹脂用の射出成形機、および、熱硬化性樹脂用の射出成形機の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熱硬化性樹脂を用いた射出成形において良好な成形品を得るためには、熱硬化性樹脂に適切な熱量を加えることが重要である。熱硬化性樹脂に必要以上の熱量が加わると硬化反応が進んでしまう。または、熱硬化性樹脂に必要な熱量が加わらないと、その粘度が十分に下がらず、成形性が悪化する。
【0003】
特許文献1に従来の熱硬化性樹脂用の射出成形機が記載されている。この射出成形機では、加熱シリンダをノズル側から順に第1ゾーン、第2ゾーン、第3ゾーンおよび第4ゾーンに区画している。そして、この射出成形機は、各ゾーンに設けた流路に高温媒体および低温媒体を流すことによって、加熱シリンダの温度を調整している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開平5-63817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の射出成形機では、ノズルに最も近い第1ゾーンに常に高温媒体を流している。また、射出成形機は、第2ゾーンに高温媒体または低温媒体を流し、第3ゾーンおよび第4ゾーンに低温媒体を流しまたは低温媒体を遮断して、加熱シリンダの温度を調整している。この射出成形機では、第2ゾーンにおいて、温度の異なる高温媒体または低温媒体を流すことができるので、高温媒体から低温媒体に切り換えることで、第2ゾーンの温度を速やかに低下させることができる。しかしながら、この射出成形機は、温度の異なる冷媒を流すことによって第2ゾーンの温度を調整するため、細かい温度調整をすることができなかった。また、第1ゾーンについては、常に高温媒体が流れるため、温度調整自体ができなかった。
【0006】
そこで、本発明は、加熱シリンダの温度をより細かく調整できるとともに加熱シリンダの温度が大きく上昇した場合でも速やかに温度を下げることができる熱硬化性樹脂用の射出成形機、および、その制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る熱硬化性樹脂用の射出成形機は、ノズルが先端に設けられた加熱シリンダと、前記加熱シリンダに収容されたスクリューと、を有する熱硬化性樹脂用の射出成形機であって、前記加熱シリンダに設けられ、前記ノズル側から順に配置された第1流路および第2流路と、前記第1流路に高温媒体、中温媒体および低温媒体のいずれか1つが流れるように各媒体の流れを切り換える第1切換装置と、前記高温媒体の温度を調整する高温媒体用温調機と、制御装置と、を有し、前記制御装置が、
(1a)前記加熱シリンダにおける前記第1流路が配置された部分(以下、「第1部分」という。)の温度が高温目標温度以下のとき、前記第1流路に前記高温媒体が流れるように前記第1切換装置を制御するとともに、前記高温媒体の温度が前記高温目標温度になるように前記高温媒体用温調機を制御し、
(1b)前記第1部分の温度が前記高温目標温度より高くかつ前記第1部分の温度と前記高温媒体の温度との差分値(以下、「第1差分値」という。)が第1差分上限値より小さいとき、前記高温媒体の温度が前記高温目標温度から前記第1部分の温度と前記高温目標温度との差分値を差し引いた温度になるように前記高温媒体用温調機を制御し、
(1c)前記第1部分の温度が前記高温目標温度より高くかつ前記第1差分値が前記第1差分上限値以上のとき、前記第1流路に前記中温媒体が流れるように前記第1切換装置を制御する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、高温媒体が流れる第1流路に対応する加熱シリンダの第1部分の温度が高温媒体の温度より少し(第1差分上限値未満)だけ高いときには、第1部分の温度と高温媒体の温度との差分値に応じて高温媒体の温度を下げることにより、第1部分の温度を調整する。第1部分の温度が高温媒体の温度より大幅に(第1差分上限値以上)高いときには、高温媒体より温度の低い中温媒体を第1流路に流して、第1部分の温度を調整する。そのため、本発明の射出成形機は、加熱シリンダの温度をより細かく調整できるとともに加熱シリンダの温度が大きく上昇した場合でも速やかに温度を下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る射出成形機の正面図である。
図2図1の射出成形機の加熱シリンダに設けられた第1流路および第2流路と高温媒体用温調機、中温媒体用温調機および工業用水供給装置との接続を説明する図である。
図3図1の射出成形機の機能ブロック図である。
図4図1の射出成形機が実行する成形サイクルに係る動作の一例を示すフローチャートである。
図5図1の射出成形機が実行する加熱シリンダの第1部分に係る加熱制御動作の一例を示すフローチャートである。
図6図1の射出成形機が実行する加熱シリンダの第2部分に係る加熱制御動作の一例を示すフローチャートである。
図7図1の射出成形機が実行する成形サイクルの繰り返し動作終了時の加熱制御動作の一例を示すフローチャートである。
図8図1の射出成形機の加熱制御動作の各状態に関するテーブルである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態に係る熱硬化性樹脂用の射出成形機について、図1図8を参照して説明する。
【0011】
本実施形態に係る射出成形機1は、水平方向に対向する金型である固定側金型81および可動側金型82を型締する。そして、射出成形機1は、固定側金型81および可動側金型82のキャビティ83に熱硬化性樹脂を射出充填し、加熱することで固化させて成形品を得る。
【0012】
図1図3に示すように、射出成形機1は、型締装置10と、射出装置20と、加熱装置30と、制御装置40と、を有している。制御装置40は、高温媒体用温調機51および中温媒体用温調機52と接続されている。高温媒体用温調機51および中温媒体用温調機52は、工場用水供給装置53から供給される低温媒体をヒーターで昇温して、熱硬化性樹脂の加熱に用いられる高温媒体および中温媒体を供給する。本実施形態において、高温媒体、中温媒体および低温媒体は水(HO)である。各媒体として、油などの水以外の液体を用いてもよい。
【0013】
型締装置10は、基台5上に設けられている。型締装置10は、トグルリンク11と、固定ダイプレート12と、可動ダイプレート13と、型締駆動機構14と、を有している。固定ダイプレート12には、固定側金型81が取り付けられる。可動ダイプレート13には、可動側金型82が取り付けられる。型締駆動機構14は、例えば、電動モータなどを有しており、トグルリンク11を曲げ伸ばしして、固定ダイプレート12に対して可動ダイプレート13を進退させる。型締装置10は、固定側金型81および可動側金型82を締め付けて型締力を発生させる。また、型締装置10は、固定側金型81から可動側金型82を離して型開する。
【0014】
射出装置20は、基台5上に設けられている。射出装置20は、加熱シリンダ21と、ノズル22と、樹脂供給部23と、スクリュー24と、スクリュー駆動機構25と、を有している。
【0015】
加熱シリンダ21は、円筒状に形成されている。ノズル22は、加熱シリンダ21の先端(図1において左端)に設けられている。樹脂供給部23は、加熱シリンダ21の基端(図1において右端)に設けられている。樹脂供給部23は、粉体状または粒体状の熱硬化性樹脂が収容されるホッパを有している。スクリュー24は、加熱シリンダ21に回転及び進退可能に収容されている。スクリュー駆動機構25は、例えば、電動モータなどを有しており、スクリュー24を回転および進退させる。
【0016】
加熱装置30は、加熱シリンダ21を加熱して、熱硬化性樹脂に熱量を加えるための装置である。加熱装置30は、第1ウォータージャケット31と、第2ウォータージャケット32と、第1温度センサ33と、第2温度センサ34と、第1切換装置35と、第2切換装置36と、を有している。
【0017】
第1ウォータージャケット31および第2ウォータージャケット32は、円筒形状を有しており、それぞれの内側に加熱シリンダ21が挿入されている。第1ウォータージャケット31および第2ウォータージャケット32は、ノズル22側から樹脂供給部23側に向けて順に並べて配置されている。第1ウォータージャケット31は、第1流路37を有している。第2ウォータージャケット32は、第2流路38を有している。
【0018】
第1流路37には、高温媒体用温調機51から供給される高温媒体、中温媒体用温調機52から供給される中温媒体、および、工場用水供給装置53から供給される低温媒体の中から選択された1つの媒体が流れる。第1流路37を流れる媒体と加熱シリンダ21における第1流路37が配置された部分(以下、「第1部分21a」という。)との熱交換によって、第1部分21aの温度T1が調整される。
【0019】
第2流路38には、中温媒体用温調機52から供給される中温媒体、および、工場用水供給装置53から供給される低温媒体の中から選択された1つの媒体が流れる。第2流路38を流れる媒体と加熱シリンダ21における第2流路38が配置された部分(以下、「第2部分21b」という。)との熱交換によって、第2部分21bの温度T2が調整される。
【0020】
第1温度センサ33は、加熱シリンダ21の第1部分21aの温度T1を検出する。第2温度センサ34は、加熱シリンダ21の第2部分21bの温度T2を検出する。第1温度センサ33および第2温度センサ34は、例えば、熱電対で構成されている。
【0021】
第1切換装置35は、第1流路37に高温媒体、中温媒体および低温媒体のいずれか1つが流れるように各媒体の流れを切り換える。第1切換装置35は、仕切弁35a~35fを有している。
仕切弁35aは、第1流路37の出口部に接続された管路37aと高温媒体用温調機51の媒体戻り部に接続された管路51bとの間に設けられている。
仕切弁35bは、第1流路37の入口部に接続された管路37bと高温媒体用温調機51の媒体供給部に接続された管路51aとの間に設けられている。
仕切弁35cは、第1流路37の出口部に接続された管路37aと中温媒体用温調機52の媒体戻り部に接続された管路52bとの間に設けられている。
仕切弁35dは、第1流路37の入口部に接続された管路37bと中温媒体用温調機52の媒体供給部に接続された管路52aとの間に設けられている。
仕切弁35eは、第1流路37の出口部に接続された管路37aと工場用水供給装置53の戻り部に接続された管路53bとの間に設けられている。
仕切弁35fは、第1流路37の入口部に接続された管路37bと工場用水供給装置53の供給部に接続された管路53aとの間に設けられている。
【0022】
第2切換装置36は、第2流路38に中温媒体および低温媒体のいずれか1つが流れるように各媒体の流れを切り換える。第2切換装置36は、仕切弁36a~36dを有している。
仕切弁36aは、第2流路38の出口部に接続された管路38aと中温媒体用温調機52の媒体戻り部に接続された管路52bとの間に設けられている。
仕切弁36bは、第2流路38の入口部に接続された管路38bと中温媒体用温調機52の媒体供給部に接続された管路52aとの間に設けられている。
仕切弁36cは、第2流路38の出口部に接続された管路38aと工場用水供給装置53の戻り部に接続された管路53bとの間に設けられている。
仕切弁36dは、第2流路38の入口部に接続された管路38bと工場用水供給装置53の供給部に接続された管路53aとの間に設けられている。
【0023】
制御装置40は、射出成形機1全体の動作を司る。制御装置40は、マイクロコンピュータを有して構成されている。制御装置40は、型締駆動機構14、スクリュー駆動機構25、第1温度センサ33、第2温度センサ34、第1切換装置35、第2切換装置36、高温媒体用温調機51および中温媒体用温調機52と信号を送受可能に接続されている。制御装置40は、型閉動作、射出動作、保圧動作、計量動作、硬化待ち動作、型開動作、成形品取り出し動作などの各種動作において、射出成形機1の各駆動機構などを制御する。制御装置40が有するメモリには、各種動作に関する情報が記憶されている。このメモリには、これら情報の一部として、高温目標温度Tht、中温目標温度Tmt、第1差分上限値D1uおよび第2差分上限値D2uが記憶されている。高温目標温度Thtは、中温目標温度Tmtに第1差分上限値D1uを加えた温度(Tmt+D1u)よりも高いことが好ましい。中温目標温度Tmtは、低温媒体の温度Tkに第2差分上限値D2uを加えた温度(Tk+D2u)よりも高いことが好ましい。
【0024】
次に、上述した本実施形態の射出成形機1の制御装置40において実行される成形サイクルに係る動作の一例について、図4を参照して説明する。
【0025】
射出成形機1の制御装置40は、事前にパージ動作および初回射出分の熱硬化性樹脂の計量動作などを実行する。成形サイクルにおいて、固定側金型81および可動側金型82は、所定の樹脂硬化温度(例えば、150℃)となるように、各金型の内部に設けられたヒーター(図示なし)によって加熱されている。射出成形機1は、加熱シリンダ21の温度より固定側金型81および可動側金型82の温度が高くなるように設定されている。
【0026】
成形サイクルにおいて、制御装置40は型締駆動機構14を制御して、固定側金型81に可動側金型82を押し付けて型締する(型閉動作、S110)。次に、制御装置40はスクリュー駆動機構25を制御して、スクリュー24を前進させる(射出動作、S120)。これにより、加熱シリンダ21の先端部の熱硬化性樹脂がキャビティ83に充填される。次に、制御装置40はスクリュー駆動機構25を制御して、キャビティ83内の熱硬化性樹脂に所定の圧力(保圧)が加わるようにスクリュー24を進退させる(保圧動作、S130)。
【0027】
次に、制御装置40はスクリュー駆動機構25を制御して、スクリュー24を回転させながら後退させ、1回の射出に必要となる量の熱硬化性樹脂を加熱シリンダ21の先端部に供給(計量)する(計量動作、S140)。計量動作と並行して、制御装置40はキャビティ83内の熱硬化性樹脂が硬化するまで待つ(硬化待ち動作、S150)。
【0028】
そして、硬化待ち動作が終わると、制御装置40は型締駆動機構14を制御して、固定側金型81および可動側金型82を開き(型開動作、S160)、図示しないエジェクタピンによりキャビティ83から成形品を取り出す(成形品取り出し動作、S170)。
【0029】
以降、上記型閉動作~上記成形品取り出し動作からなる成形サイクルを繰り返し実行して成形品の成形を行う。
【0030】
また、制御装置40は上記成形サイクルに係る動作とは別に、加熱シリンダ21の加熱制御動作を行う。この加熱制御動作について、図5図7を参照して説明する。
【0031】
図5は、加熱シリンダ21の第1部分21aの加熱制御動作に係るフローチャートである。図5に示すように、制御装置40は、第1温度センサ33の信号に基づいて、第1部分21aの温度T1を取得し、温度T1と高温目標温度Thtとを比較する(S210)。温度T1が高温目標温度Tht以下であると(S210でY)、制御装置40は、第1切換装置35を制御し、仕切弁35a、35bを開状態とし、仕切弁35c、35d、35e、35fを閉状態として、第1流路37に高温媒体を流す(S220)。また、制御装置40は、高温媒体用温調機51を制御して、高温媒体の温度Thを高温目標温度Thtになるように調整する(S230)。そして、温度T1を取得する処理に戻る(S210)。
【0032】
温度T1が高温目標温度Thtより高いと(S210でN)、制御装置40は高温媒体用温調機51から高温媒体の温度Thを取得し、温度T1と高温媒体の温度Thとの差分値(第1差分値D1)と第1差分上限値D1uとを比較する(S240)。第1差分値D1が第1差分上限値D1uより小さいと(S240でY)、制御装置40は、高温媒体用温調機51を制御して、高温媒体の温度Thを高温目標温度Thtから第1部分の温度T1と高温目標温度Thtとの差分値(ΔT1=|T1-Tht|)を差し引いた温度(Tht-ΔT1)になるように調整する(S250)。そして、温度T1を取得する処理に戻る(S210)。
【0033】
第1差分値D1が第1差分上限値D1u以上であると(S240でN)、制御装置40は、第1切換装置35を制御し、仕切弁35c、35dを開状態とし、仕切弁35a、35b、35e、35fを閉状態として、第1流路37に中温媒体を流す(S260)。また、制御装置40は、高温媒体用温調機51を制御して、高温媒体の温度Thを高温目標温度Thtになるように調整する(S270)。そして、温度T1を取得する処理に戻る(S210)。
【0034】
図6は、加熱シリンダ21の第2部分21bの加熱制御動作に係るフローチャートである。図6に示すように、制御装置40は、第2温度センサ34の信号に基づいて、第2部分21bの温度T2を取得し、温度T2と中温目標温度Tmtとを比較する(S310)。温度T2が中温目標温度Tmt以下であると(S310でY)、制御装置40は、第2切換装置36を制御し、仕切弁36a、36bを開状態とし、仕切弁36c、36dを閉状態として、第2流路38に中温媒体を流す(S320)。また、制御装置40は、中温媒体用温調機52を制御して、中温媒体の温度Tmを中温目標温度Tmtになるように調整する(S330)。そして、温度T2を取得する処理に戻る(S310)。
【0035】
温度T2が中温目標温度Tmtより高いと(S310でN)、制御装置40は中温媒体用温調機52から中温媒体の温度Tmを取得し、温度T2と中温媒体の温度Tmとの差分値(第2差分値D2)と第2差分上限値D2uとを比較する(S340)。第2差分値D2が第2差分上限値D2uより小さいと(S340でY)、制御装置40は、中温媒体用温調機52を制御して、中温媒体の温度Tmを中温目標温度Tmtから第2部分の温度T2と中温目標温度Tmtとの差分値(ΔT2=|T2-Tmt|)を差し引いた温度(Tmt-ΔT2)になるように調整する(S350)。そして、温度T2を取得する処理に戻る(S310)。
【0036】
第2差分値D2が第2差分上限値D2u以上であると(S340でN)、制御装置40は、第2切換装置36を制御し、仕切弁36c、36dを開状態とし、仕切弁36a、36bを閉状態として、第2流路38に低温媒体を流す(S360)。また、制御装置40は、中温媒体用温調機52を制御して、中温媒体の温度Tmを中温目標温度Tmtになるように調整する(S370)。そして、温度T2を取得する処理に戻る(S310)。
【0037】
図7は、成形サイクルの繰り返し実行が終了したときの加熱シリンダ21の第1部分21aおよび第2部分21bの加熱制御動作に係るフローチャートである。成形サイクルの繰り返し実行が終了すると(S410でY)、制御装置40は、第1切換装置35を制御し、仕切弁35e、35fを開状態とし、仕切弁35a、35b、35c、35dを閉状態として、第1流路37に低温媒体を流す(S420)。また、制御装置40は、第2切換装置36を制御し、仕切弁36c、36dを開状態とし、仕切弁36a、36bを閉状態として、第2流路38に低温媒体を流す(S430)。
【0038】
次に、射出成形機1における加熱制御動作の一例について説明する。高温目標温度Thtを90.0℃とし、中温目標温度Tmtを45.0℃とし、低温冷媒の温度Tkを20℃とする。また、第1差分上限値D1uを4.0℃とし、第2差分上限値D2uを4.0℃とする。
【0039】
射出成形機1の起動直後は、加熱シリンダ21の第1部分21aの温度T1が低いため、第1流路37に高温媒体を流すとともに高温媒体の温度Thが高温目標温度Thtになるよう高温媒体用温調機51を制御する。また、加熱シリンダ21の第2部分21bの温度T2も低いため、第2流路38に中温媒体を流すとともに中温媒体の温度Tmが中温目標温度Tmtになるよう中温媒体用温調機52を制御する。そして、射出成形機1は成形サイクルの繰り返し実行を開始する。
【0040】
成形サイクルの実行中に、熱硬化性樹脂の剪断時に発生する熱によって加熱シリンダ21の温度が上昇することがある。
【0041】
例えば、第1部分21aの温度T1が高温目標温度Tht(90.0℃)を超えて90.5℃になると、射出成形機1は、高温媒体の温度Thが、高温目標温度Thtから温度T1と高温目標温度Thtとの差分値(ΔT1=90.5℃-90.0℃=0.5℃)を差し引いた温度(89.5℃)になるように、高温媒体用温調機51を制御する。同様に、例えば、温度T1が91.0℃になると、射出成形機1は、高温媒体の温度Thが、89.0℃になるように、高温媒体用温調機51を制御する。
【0042】
そして、例えば、第1部分21aの温度T1が92.0℃になり、高温媒体の温度Thが88.0℃になり、温度T1と温度Thとの差分値(第1差分値D1)が第1差分上限値D1u(4.0℃)以上になると、射出成形機1は、第1流路37に中温媒体を流す。
【0043】
また、例えば、第2部分21bの温度T2が中温目標温度Tmt(45.0℃)を超えて45.5℃になると、射出成形機1は、中温媒体の温度Tmが、中温目標温度Tmtから温度T2と中温目標温度Tmtとの差分値(ΔT2=45.5℃-45.0℃=0.5℃)を差し引いた温度(44.5℃)になるように、中温媒体用温調機52を制御する。同様に、例えば、温度T2が46.0℃になると、射出成形機1は、中温媒体の温度Tmが、44.0℃になるように、中温媒体用温調機52を制御する。
【0044】
そして、例えば、第2部分21bの温度T2が47.0℃になり、中温媒体の温度Tmが43.0℃になり、温度T2と温度Tmとの差分値(第2差分値D2)が第2差分上限値D2u(4.0℃)以上になると、射出成形機1は、第2流路38に低温媒体を流す。
【0045】
また、成形サイクルの繰り返し実行が終了すると、射出成形機1は、第1流路37および第2流路38に低温媒体を流して、加熱シリンダ21内の熱硬化性樹脂の温度を低下させる。
【0046】
図8に射出成形機1の加熱制御動作における状態を整理したテーブルを示す。なお、以下に説明する各状態において、低温媒体の温度Tkは常に20℃である。
【0047】
成形サイクルの繰り返し動作実行前(実行前状態)は、第1部分21aの温度T1が、高温目標温度Tht以下であり、第2部分21bの温度T2が、中温目標温度Tmt以下である。この状態では、第1流路37に高温媒体が流れ、第2流路38に中温媒体が流れ、高温媒体の温度Thは高温目標温度Tht(90.0℃)以下であり、中温媒体の温度Tmは中温目標温度Tmt(45.0℃)以下である。
【0048】
成形サイクルの繰り返し動作実行中(実行中1状態)は、第1部分21aの温度T1が、高温目標温度Thtであり、第2部分21bの温度T2が、中温目標温度Tmtである。この状態では、第1流路37に高温媒体が流れ、第2流路38に中温媒体が流れ、高温媒体の温度Thは高温目標温度Tht(90.0℃)であり、中温媒体の温度Tmは中温目標温度Tmt(45.0℃)である。
【0049】
成形サイクルの繰り返し動作実行中(実行中2状態)は、第1部分21aの温度T1が、高温目標温度Thtより大きく、第2部分21bの温度T2が、中温目標温度Tmtであり、第1差分値D1が第1差分上限値D1uより小さい。この状態では、第1流路37に高温媒体が流れ、第2流路38に中温媒体が流れ、高温媒体の温度Thは高温目標温度Thtから第1差分上限値D1uを差し引いた温度より大きくかつ高温目標温度Thtより小さく(86.0℃<Th<90.0℃)、中温媒体の温度Tmは中温目標温度Tmt(45.0℃)である。
【0050】
成形サイクルの繰り返し動作実行中(実行中3状態)は、第1部分21aの温度T1が、高温目標温度Thtより大きく、第2部分21bの温度T2が、中温目標温度Tmtであり、第1差分値D1が第1差分上限値D1u以上である。この状態では、第1流路37に中温媒体が流れ、第2流路38に中温媒体が流れ、高温媒体の温度Thは高温目標温度Tht(90.0℃)であり、中温媒体の温度Tmは中温目標温度Tmt(45.0℃)である。
【0051】
成形サイクルの繰り返し動作実行中(実行中4状態)は、第1部分21aの温度T1が、高温目標温度Thtであり、第2部分21bの温度T2が、中温目標温度Tmtより大きく、第2差分値D2が第2差分上限値D2uより小さい。この状態では、第1流路37に高温媒体が流れ、第2流路38に中温媒体が流れ、高温媒体の温度Thは高温目標温度Tht(90.0℃)であり、中温媒体の温度Tmは中温目標温度Tmtから第2差分上限値D2uを差し引いた温度より大きくかつ中温目標温度Tmtより小さい(41.0℃<Tm<45.0℃)。
【0052】
成形サイクルの繰り返し動作実行中(実行中5状態)は、第1部分21aの温度T1が、高温目標温度Thtであり、第2部分21bの温度T2が、中温目標温度Tmtより大きく、第2差分値D2が第2差分上限値D2u以上である。この状態では、第1流路37に高温媒体が流れ、第2流路38に低温媒体が流れ、高温媒体の温度Thは高温目標温度Tht(90.0℃)であり、中温媒体の温度Tmは中温目標温度Tmt(45.0℃)である。
【0053】
成形サイクルの繰り返し動作実行中(実行中6状態)は、第1部分21aの温度T1が、高温目標温度Thtより大きく、第2部分21bの温度T2が、中温目標温度Tmtより大きく、第1差分値D1が第1差分上限値D1uより小さく、第2差分値D2が第2差分上限値D2uより小さい。この状態では、第1流路37に高温媒体が流れ、第2流路38に中温媒体が流れ、高温媒体の温度Thは高温目標温度Thtから第1差分上限値D1uを差し引いた温度より大きくかつ高温目標温度Thtより小さく(86.0℃<Th<90.0℃)、中温媒体の温度Tmは中温目標温度Tmtから第2差分上限値D2uを差し引いた温度より大きくかつ中温目標温度Tmtより小さい(41.0℃<Tm<45.0℃)。
【0054】
成形サイクルの繰り返し動作実行中(実行中7状態)は、第1部分21aの温度T1が、高温目標温度Thtより大きく、第2部分21bの温度T2が、中温目標温度Tmtより大きく、第1差分値D1が第1差分上限値D1u以上であり、第2差分値D2が第2差分上限値D2uより小さい。この状態では、第1流路37に中温媒体が流れ、第2流路38に中温媒体が流れ、高温媒体の温度Thは高温目標温度Tht(90.0℃)であり、中温媒体の温度Tmは中温目標温度Tmtから第2差分上限値D2uを差し引いた温度より大きくかつ中温目標温度Tmtより小さい(41.0℃<Tm<45.0℃)。
【0055】
成形サイクルの繰り返し動作実行中(実行中8状態)は、第1部分21aの温度T1が、高温目標温度Thtより大きく、第2部分21bの温度T2が、中温目標温度Tmtより大きく、第1差分値D1が第1差分上限値D1uより小さく、第2差分値D2が第2差分上限値D2u以上である。この状態では、第1流路37に高温媒体が流れ、第2流路38に低温媒体が流れ、高温媒体の温度Thは高温目標温度Thtから第1差分上限値D1uを差し引いた温度より大きくかつ高温目標温度Thtより小さく(86.0℃<Th<90.0℃)、中温媒体の温度Tmは中温目標温度Tmt(45.0℃)である。
【0056】
成形サイクルの繰り返し動作実行中(実行中9状態)は、第1部分21aの温度T1が、高温目標温度Thtより大きく、第2部分21bの温度T2が、中温目標温度Tmtより大きく、第1差分値D1が第1差分上限値D1u以上であり、第2差分値D2が第2差分上限値D2u以上である。この状態では、第1流路37に中温媒体が流れ、第2流路38に低温媒体が流れ、高温媒体の温度Thは高温目標温度Tht(90.0℃)であり、中温媒体の温度Tmは中温目標温度Tmt(45.0℃)である。
【0057】
成形サイクルの繰り返し動作終了時(終了時状態)では、第1流路37に低温媒体が流れ、第2流路38に低温媒体が流れる。
【0058】
以上説明したように、本実施形態の射出成形機1によれば、加熱シリンダ21の第1部分21aの温度T1が当該第1部分21aを流れる高温媒体の温度Thより少し(第1差分上限値D1u未満)だけ高いときには、高温媒体の温度Thを下げることにより第1部分21aの温度を調整する。第1部分21aの温度T1が高温媒体の温度Thより大幅に(第1差分上限値D1u以上)高いときには、高温媒体より温度の低い中温媒体を第1流路37に流して、第1部分21aの温度T1を調整する。また、加熱シリンダ21の第2部分21bの温度T2が当該第2部分21bを流れる中温媒体の温度Tmより少し(第2差分上限値D2u未満)だけ高いときには、中温媒体の温度Tmを下げることにより第2部分21bの温度T2を調整する。第2部分21bの温度T2が中温媒体の温度Tmより大幅に(第2差分上限値D2u以上)高いときには、中温媒体より温度の低い低温媒体を第2流路38に流して、第2部分21bの温度を調整する。そのため、射出成形機1は、加熱シリンダ21の温度をより細かく調整できるとともに加熱シリンダ21の温度が大きく上昇した場合でも速やかに温度を下げることができる。
【0059】
また、射出成形機1は、成形サイクルの繰り返し実行が終了したとき、第1流路37に低温媒体を流し、第2流路38に低温媒体を流す。このようにすることで、加熱シリンダ21の温度を速やかに下げて、加熱シリンダ21内の熱硬化性樹脂の硬化が進むことを抑制できる。
【0060】
また、高温目標温度Thtは、中温目標温度Tmtに第1差分上限値D1uを加えた温度(Tmt+D1u)よりも高く、中温目標温度Tmtは、低温媒体の温度Tkに第2差分上限値D2uを加えた温度(Tk+D2u)よりも高い。好ましくは、高温目標温度Thtは、中温目標温度Tmtに第1差分上限値D1uを2倍にした値を加えた温度(Tmt+D1u×2)よりも高く、中温目標温度Tmtは、低温媒体の温度Tkに第2差分上限値D2uを2倍にした値を加えた温度(Tk+D2u×2)よりも高い。このようにすることで、第1流路37に流れる媒体を高温媒体から中温媒体に切り換えたときに、加熱シリンダ21の第1部分21aの温度を速やかに低下させることができる。また、第2流路38に流れる媒体を中温媒体から低温媒体に切り換えたときに、加熱シリンダ21の第2部分21bの温度を速やかに低下させることができる。
【0061】
上記に本発明の実施例を説明したが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。当業者は、本発明の要旨を逸脱することなしに、他の様々な態様で本発明を実施することができる。
【符号の説明】
【0062】
1…射出成形機、5…基台、10…型締装置、11…トグルリンク、12…固定ダイプレート、13…可動ダイプレート、14…型締駆動機構、20…射出装置、21…加熱シリンダ、21a…第1部分、21b…第2部分、22…ノズル、23…樹脂供給部、24…スクリュー、25…スクリュー駆動機構、30…加熱装置、31…第1ウォータージャケット、32…第2ウォータージャケット、33…第1温度センサ、34…第2温度センサ、35…第1切換装置、35a~35f…仕切弁、36…第2切換装置、36a~36d…仕切弁、37…第1流路、38…第2流路、40…制御装置、51…高温媒体用温調機、52…中温媒体用温調機、53…工場用水供給装置、81…固定側金型、82…可動側金型、83…キャビティ

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8