(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-09
(45)【発行日】2024-04-17
(54)【発明の名称】コンセント
(51)【国際特許分類】
H01R 25/00 20060101AFI20240410BHJP
【FI】
H01R25/00 A
(21)【出願番号】P 2020168736
(22)【出願日】2020-10-05
【審査請求日】2023-06-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】豊田 一郎
(72)【発明者】
【氏名】氏原 秀哲
(72)【発明者】
【氏名】工藤 弘行
【審査官】鎌田 哲生
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-053247(JP,A)
【文献】特開平05-266943(JP,A)
【文献】実開昭61-124970(JP,U)
【文献】特開平06-283219(JP,A)
【文献】実開平03-013685(JP,U)
【文献】特開2014-099460(JP,A)
【文献】特開2006-331888(JP,A)
【文献】特開2019-179721(JP,A)
【文献】中国実用新案第208461156(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 4/48- 4/56
H01R 13/56-13/72
H01R 25/00-31/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラグの第1栓刃及び第2栓刃がそれぞれ着脱可能に接続される第1刃受け部材及び第2刃受け部材と、
第1給電線及び第2給電線がそれぞれ接続される第1端子部材及び第2端子部材と、
前記第1刃受け部材と前記第1端子部材とを繋ぐ第1電路
及び前記第2刃受け部材と前記第2端子部材とを繋ぐ第2電路を導通及び遮断する
接点装置と、を備え、
前記接点装置は、
前記第1電路を導通及び遮断する第1開閉部と、
前記第2電路を導通及び遮断する第2開閉部と、を備え、
前記第1端子部材及び
前記第2端子部材の少なくとも一方の端子部材は、
互いに間隔を空けて配置され、前記第1給電線又は
前記第2給電線と接続するための2つの端子片と、
前記2つの端子片のうちの一方の端子片から他方の端子片に向かって延びた金属板と、を有し、
前記第1電路において前記第1刃受け部材からの第1範囲部分は、導電板で構成され、
前記第1電路のうちの少なくとも前記接点装置の外側の部分を含み、
前記第2電路において前記第2刃受け部材からの第2範囲部分は、第1編組線で構成され
、前記第2電路のうちの少なくとも前記接点装置の外側の部分を含む、
コンセント。
【請求項2】
前記金属板は、前記他方の端子片まで延びている、
請求項1に記載のコンセント。
【請求項3】
前記第1開閉部は、固定接点と、前記固定接点に接離する可動接点と、前記可動接点が固定されて前記可動接点と共に変位する可動接触子と、を有し、
前記第1電路は、前記導電板と前記可動接触子とを繋ぐ第2編組線を含み、
前記第2編組線は、前記可動接触子の変位可能範囲にわたる前記可動接触子の変位を吸収する可撓性を有する、
請求項1又は2に記載のコンセント。
【請求項4】
前記導電板は、前記第2編組線と接続される接続板を有し、
前記可動接触子の一端部の変位方向において、前記接続板の一端部は、前記接続板の他端部よりも前記可動接触子の前記一端部から離れており、
前記第2編組線の一端部は、前記可動接触子の前記一端部に接続され、前記第2編組線の他端部は、前記接続板の前記一端部に接続されている、
請求項3に記載のコンセント。
【請求項5】
前記第1端子部材及び前記第2端子部材のうち、一方の端子部材の前記金属板は、前記一方の端子片において、他方の端子部材の側の端部に設けられている、
請求項1~4の何れか1項に記載のコンセント。
【請求項6】
前記少なくとも一方の端子部材は、前記2つの端子片のうちの一方の端子片において隣り合って設けられた第1接続片及び第2接続片を有し、
前記第1接続片及び前記第2接続片は、互いに異なる回路部品と電気的に接続され、
前記第1接続片の基部と
前記第2接続片の基部との間には、前記一方の端子片に向かってくびれたくびれ部が設けられている、
請求項1~5の何れか1項に記載のコンセント。
【請求項7】
前記第1接続片は、前記第1開閉部又は前記第2開閉部と電気的に接続され、
前記第2接続片は、前記第1開閉部及び
前記第2開閉部を制御するための回路基板と電気的に接続される、
請求項6に記載のコンセント。
【請求項8】
前記第1編組線の直径は、前記第2編組線の直径よりも大きい、
請求項3又は4に記載のコンセント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般にコンセントに関し、より詳細には、電気機器からのプラグが着脱可能に接続されるコンセントに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の配線装置(コンセント)は、外部電源からの給電線が電気的に接続される第1接続部(端子部材)と、電気機器からの差込プラグが着脱自在に接続される第2接続部(刃受け部材)と、を備えている。また、この配線装置は、第1接続部及び第2接続部に取り付けられた温度測定部と、第1接続部と第2接続部とを繋ぐ電路を開閉する接点装置(開閉部)と、を備えている。特許文献1に記載の配線装置は、温度測定部の測定温度が閾値を超えると、接点装置の接点をオフにして上記の電路を遮断する。これにより、配線装置内の給電経路(電路、第1接続部及び第2接続部)での発熱を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の配線装置では、接点装置の接点をオフにすると、コンセントが使用できなくなる。このため、接点装置の接点をオフにすることなく、配線装置内の給電経路での発熱を抑制する発熱対策が求められている。
【0005】
本開示は、上記事由に鑑みてなされており、コンセント内の給電経路を遮断することなく、上記の給電経路の発熱対策を行うことが可能なコンセントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るコンセントは、第1刃受け部材及び第2刃受け部材と、第1端子部材及び第2端子部材と、接点装置と、を備える。前記第1刃受け部材及び前記第2刃受け部材はそれぞれ、プラグの第1栓刃及び第2栓刃が着脱可能に接続される。前記第1端子部材及び前記第2端子部材はそれぞれ、第1給電線及び第2給電線がそれぞれ接続される。前記接点装置は、前記第1刃受け部材と前記第1端子部材とを繋ぐ第1電路及び前記第2刃受け部材と前記第2端子部材とを繋ぐ第2電路を導通及び遮断する。前記接点装置は、前記第1電路を導通及び遮断する第1開閉部と、前記第2電路を導通及び遮断する第2開閉部と、を備える。前記第1開閉部は、前記第1電路を導通及び遮断する。前記第2開閉部は、前記第2電路を導通及び遮断する。前記第1端子部材及び第2端子部材の少なくとも一方の端子部材は、2つの端子片と、金属板と、を有する。前記2つの端子片は、互いに間隔を空けて配置され、前記第1給電線又は前記第2給電線と接続する。前記金属板は、前記2つの端子片のうちの一方の端子片から他方の端子片に向かって延びている。前記第1電路において前記第1刃受け部材からの第1範囲部分は、導電板で構成され、前記第1電路のうちの少なくとも前記接点装置の外側の部分を含む。前記第2電路において前記第2刃受け部材からの第2範囲部分は、第1編組線で構成され、前記第2電路のうちの少なくとも前記接点装置の外側の部分を含む。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、コンセント内の給電経路を遮断することなく、上記の給電経路の発熱対策を行うことが可能である、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係るコンセントを前から見た斜視図である。
【
図2】
図2は、同上のコンセントを後から見た斜視図である。
【
図3】
図3は、同上のコンセントを示す分解斜視図である。
【
図4】
図4は、コンセントの内部の要部(接点装置、刃受け部材及び端子部材)を前から見た斜視図である。
【
図5】
図5は、
図4の方向X1から接点装置の内部を透視した側面図である。
【
図6】
図6は、
図5の断面図において接点装置を遮断状態に切り換えた場合の断面図である。
【
図7】
図7は、同上の要部を右から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本実施形態に係るコンセント1について図面を参照して説明する。以下の説明では、特に断りのない限り、コンセント1の上下、左右、前後の方向を、
図1等に図示した上下、左右、前後の矢印が示す方向と規定する。これらの矢印は、単に説明を補助する目的で記載しているに過ぎず、実体を伴わない。また、上記の方向の規定は、本実施形態のコンセント1の使用形態を限定する趣旨ではない。
【0010】
(1)コンセントの概要
図1及び
図2に示すように、本実施形態に係るコンセント1は、電気機器からのプラグが接続されて電気機器への電力供給を行う配線器具である。より詳細には、コンセント1は、例えば系統電源からの電力供給を受け、その電力を、コンセント1にプラグを介して接続された電気機器に供給する配線器具である。コンセント1は、例えば、建物(例えば施設)の壁面等の造営面に配置される。
【0011】
コンセント1は、例えば、日本産業規格によって規格化された大角形連用配線器具の取付枠2に取り付けられる埋込形配線器具である。すなわち、コンセント1は、取付枠2を介して造営面に配置される。ここで、取付枠2は、埋込ボックスを介して又は直接的に、造営面に固定される。つまり、取付枠2が造営面に固定されることで、コンセント1が取付枠2を介して造営面に取り付けられる。
【0012】
本実施形態では、コンセント1は、例えば、1つのプラグを接続可能な1個口タイプのコンセントであるが、複数のプラグを接続可能な複数口タイプのコンセントであってもよい。また、本実施形態では、コンセント1は、遮断機能を有するが、遮断機能は無くてもよい。なお、上記の「遮断機能」とは、コンセント1内の給電経路で所定温度以上の熱が発生したとき、当該給電経路を自動的に遮断する機能である。
【0013】
以下の説明では、コンセント1の遮断機能によってコンセント1内の給電経路が遮断された状態を「コンセント1の遮断状態」と記載する場合がある。また、コンセント1の遮断機能によってコンセント1内の給電経路が遮断されていない状態を「コンセント1の導通状態」と記載する場合がある。
【0014】
図1及び
図2を参照して、コンセント1の構成について説明する。
【0015】
図1に示すように、コンセント1は、筐体3を有する。筐体3は、コンセント1の内部部品(電気部品など)を収容する部材である。筐体3は、例えば直方体形の箱状である。筐体3の外周には、取付枠2が取り付けられている。取付枠2は、例えば、中央に矩形の開口を有する矩形の枠体である。筐体3は、取付枠2の中央の開口に嵌め込まれて固定される。
【0016】
筐体3の前面には、1つ以上(
図1の例では1つ)の接続口4と、操作部材5とが設けられている。
【0017】
接続口4は、電気機器からのプラグが着脱可能に差し込まれる部分である。接続口4の極配置は、例えば、接地極有りの2極配置であるが、接地極無しの2極配置であってもよい。電気機器からのプラグは、接地ピン付きのプラグを想定するが、接地ピン無しのプラグであってもよい。なお、接地ピン付きプラグとは、一対の栓刃と1つの接地ピンとを有するプラグであり、接地無しプラグとは、接地ピン付きプラグにおいて接地ピンを省略したプラグである。
【0018】
接続口4は、複数(
図1の例では3つ)の挿入孔41~43を有する。3つの挿入孔41~43は、一対の栓刃挿入孔41,42と、1つの接地挿入孔43とを含む。接続口4は、筐体3の前面における右上部に設けられている。
【0019】
一対の栓刃挿入孔41,42は、電気機器からのプラグの一対の栓刃が挿入される孔である。一対の栓刃挿入孔41,42は、例えば、筐体3の前面において上下方向に並んで配置されている。筐体3の内部における一対の栓刃挿入孔41,42の後側には、プラグの一対の栓刃と電気的に接続する一対の刃受け部材10,11(
図3参照)が配置されている。プラグの一対の栓刃はそれぞれ、一対の刃受け部材10,11と電気的に接続することで、コンセント1の内部の給電経路に電気的に接続される。
【0020】
接地挿入孔43は、電気機器からのプラグの接地ピンが挿入される孔である。接地挿入孔43は、例えば、一対の栓刃挿入孔41,42の横(例えば右隣)に配置されている。筐体3の内部において、接地挿入孔43の後には、プラグの接地ピンと電気的に接続する接地刃受け部材12(
図3参照)が配置されている。プラグの接地ピンは、接地刃受け部材12に電気的に接続することで、コンセント1内の後述の接地部材15(
図3参照)に電気的に接続される。
【0021】
操作部材5は、操作者の操作によってコンセント1の遮断状態及び導通状態を切り換えるための部材である。操作部材5は、例えば操作レバーである。操作部材5の操作によって、後述の接点装置17(
図3参照)が導通状態と遮断状態に切り換えられることで、コンセント1が導通状態及び遮断状態に切り換えられる。筐体3の前面に開口部322が設けられており、操作部材5は、その開口部322の内部に突出状態及び転倒状態に切り替り可能に配置されている。操作部材5の突出状態とは、操作部材5が筐体3の前面から前方に突出する状態である。操作部材5の転倒状態とは、操作部材5が筐体3の前面に沿って倒れた状態である。操作部材5は、例えば、コンセント1の導通状態(すなわち接点装置17の導通状態)では転倒状態となり、コンセント1の遮断状態(すなわち接点装置17の遮断状態)では突出状態となる。操作者が操作部材5を突出状態から転倒状態に切り換えることで、手動でコンセント1を遮断状態から導通状態に復帰させることができる。
【0022】
また、筐体3は、前面にアース扉6を有する。アース扉6は、開閉(開扉及び閉扉)することで、筐体3内に配置された接地端子16(
図3参照)を露出及び被覆するための部材である。より詳細には、筐体3の前面には、筐体3内の接地端子16を露出するための開口部321が設けられている。そして、アース扉6は、その開口部321を開放及び閉塞することで、接地端子16を露出及び被覆する。接地端子16は、電気機器からの接地線が接続される端子である。接地端子16は、接地部材15に電気的に接続されている。すなわち、電気機器からの接地線は、接地端子16に接続されることで、接地部材15に電気的に接続される。
【0023】
図2に示すように、筐体3の後面には、一対の給電線挿入孔7,8と、接地挿入孔9とが設けられている。
【0024】
一対の給電線挿入孔7,8は、系統電源からの電力が送電される一対の給電線の各々の一端部が挿入される孔である。一対の給電線挿入孔7,8は、例えば、筐体3の後面の下部に配置されている。筐体3の内部における一対の給電線挿入孔7,8の前側には、一対の給電線の各々の一端部と電気的と接続する一対の端子部材13,14(
図3参照)が配置されている。上記の一対の給電線の各々の一端部はそれぞれ、一対の端子部材13,14に電気的に接続されることで、コンセント1内の上記の給電経路に電気的に接続される。
【0025】
接地挿入孔9は、地面などの接地点と電気的に接続される接地線の一端部が挿入される孔である。接地挿入孔9は、例えば、筐体3の後面において、一対の給電線挿入孔7,8の横(例えば右隣)に配置されている。筐体3の内部における接地挿入孔9の前には、接地線の一端部と電気的に接触する接地部材15(
図3参照)が配置されている。接地部材15は、接地端子16及び接地刃受け部材12と電気的に接続されている。地面などの接地点からの接地線の一端部が接地部材15に接続されることで、接地端子16及び接地刃受け部材12が接地点に電気的に接続される。
【0026】
本実施形態では、コンセント1の接続口4から電気機器に電力が供給されているときに、コンセント1内の給電経路で所定温度以上の熱が発生する場合がある。本実施形態では、コンセント1の遮断機能で上記の給電経路を遮断することなく、上記の給電経路での発熱を抑制する工夫が施されている。以下、この工夫について詳しく説明する。
【0027】
(2)コンセントの詳細構成
図3を参照して、上記の工夫を説明する前にコンセント1の構成をもう少し詳しく説明する。
図3に示すように、コンセント1は、上述した筐体3と、筐体3に収納される内部部品と、を備えている。
【0028】
筐体3は、ボディ31と、カバー32と、刃受けブロック33と、端子ブロック34とを有している。これらボディ31、カバー32、刃受けブロック33及び端子ブロック34が組み合わされることで、筐体3が構成されている。筐体3は、電気絶縁性を有する合成樹脂製である。
【0029】
(2-1)ボディ
ボディ31は、前面が開口された箱状(例えば略直方体形の箱状)であり、後壁及び周壁を有する。ボディ31の開口面(前面)は、例えば矩形状である。ボディ31の後面には、例えば下部に、一対の給電線挿入孔7,8及び接地挿入孔9が左右方向に並んで設けられている(
図2参照)。
【0030】
ボディ31の内部には、内部部品、刃受けブロック34及び端子ブロック34が収容されている。内部部品は、一対の刃受け部材10,11、接地刃受け部材12、一対の端子部材13,14、接地部材15、接地端子16、接点装置17、温度検出部18~20、伝熱シート21、及び回路基板22(
図4参照)を含む。
【0031】
一対の刃受け部材10,11は、電気機器からのプラグの一対の栓刃と接触する部材である。接地刃受け部材12は、電気機器からのプラグの接地ピンがと接触する部材である。一対の刃受け部材10,11及び接地刃受け部材12は、導電性及び弾性を有する金属、例えば、銅又は銅合金等からなる。一対の刃受け部材10,11及び接地刃受け部材12は、刃受けブロック33に保持された状態で、ボディ31に収容されている。
【0032】
刃受けブロック33は、例えば、ボディ31内の右上領域に収容されている。一対の刃受け部材10,11は、例えば、刃受けブロック33の内部の左側において上下方向に並んで配置されている。接地刃受け部材12は、刃受けブロック34の内部において一対の刃受け部材10,11の横側(右側)に配置されている。
【0033】
一対の端子部材13,14は、一対の給電線の各々の一端部が差し込まれる、差込式の速結端子である。接地部材15は、接地点と接続される接地線の一端部が差し込まれる、差込式の速結端子である。一対の端子部材13,14及び接地部材15は、導電性及び弾性を有する金属、例えば、銅又は銅合金等からなる。本実施形態では、接地部材15は、接地端子16と一体に形成されている。接地端子16は、電気機器からの接地線の一端部が接続される、ネジ式の端子である。一対の端子部材13,14、接地部材15及び接地端子16は、端子ブロック34に保持された状態で、ボディ31に収容されている。
【0034】
端子ブロック34は、例えば、ボディ31内の下部領域に収容されている。一対の端子部材13,14は、例えば、端子ブロック34の左半部において左右方向に並んで配置されている。接地端子16及び接地部材15は、例えば、端子ブロック34の右半部において上下方向に並んで配置されている。一対の端子部材13,14及び接地部材15はそれぞれ、ボディ31の後面の一対の給電線挿入孔7,8及び接地挿入孔9(
図2参照)に対応するように、ボディ31内に収容されている。
【0035】
接点装置17は、一対の刃受け部材10,11と一対の端子部材13,14とを繋ぐ一対の電路60,70(
図5及び
図7参照)を導通及び遮断する装置である。接点装置17は、上記の遮断機能を担う装置である。一対の電路60,70は、刃受け部材10と端子部材13とを繋ぐ電路60と、刃受け部材11と端子部材14とを繋ぐ電路70とを有する。接点装置17は、一対の開閉部50,51(
図5参照)を有する。一対の開閉部50,51は、上記の一対の電路60,70に一対一に対応し、対応する電路を導通及び遮断する。接点装置17は、導通状態及び遮断状態の2つの状態に切り替わる。すなわち、接点装置17の導通状態では、一対の開閉部50,51の各々が導通状態であり、一対の電路60,70の各々が導通している。他方、接点装置17の遮断状態では、一対の開閉部50,51の各々が遮断状態であり、一対の電路60,70の各々が遮断している。
【0036】
接点装置17は、回路基板22に実装された制御回路の制御信号に応じて、導通状態及び遮断状態を切り換える。すなわち、接点装置17は、一対の電路60,70が所定温度以上の発熱状態でない時(定常時)では、制御回路からの制御信号を受信しないため、導通状態となって一対の電路60,70の各々を導通させる。他方、接点装置17は、一対の電路60,70が所定温度以上に発熱状態である時は、制御回路からの制御信号を受信することで、導通状態から遮断状態に切り替わって一対の電路を遮断する。
【0037】
また、接点装置17の前面には、操作部材5が設けられている。操作部材5は、接点装置17に機械的に連結されている。操作部材5は、上述のように、接点装置17の前面において転倒状態及び突出状態に切替可能に設けられている。
【0038】
接点装置17は、ボディ31の内部の左上領域に配置されている。
【0039】
温度検出部18~20は、端子部材13,14及び刃受け部材10,11の少なくとも1つの温度を検出する。本実施形態では、温度検出部18,19はそれぞれ、一対の刃受け部材10,11の温度を検出する。そのため、温度検出部18,19はそれぞれ、一対の刃受け部材10,11に熱的に結合されている。温度検出部20は、例えば、一対の端子部材13,14の両方の温度を検出する。より詳細には、温度検出部20は、一対の端子部材13,14のうちの温度の高い方の温度を検出する。このため、温度検出部20は、例えば伝熱シート21を介して一対の端子部材13,14の両方に熱的に結合されている。温度検出部20は、例えば、回路基板に実装されて構成されている。温度検出部20は、例えば、一対の端子部材13,14の前側に配置される。温度検出部19~20は、例えば、サーミスタ、熱電対、バイメタル又はサーモパイル等で実現される。
【0040】
回路基板22(
図4参照)は、上記の制御回路を実装している。回路基板22は、刃受けブロック33の後に配置されている。制御回路は、一対の端子部材13,14から電力供給を受けて動作する。制御回路は、温度検出部18~20の検出結果に基づいて、接点装置17を制御する。より詳細には、制御回路は、刃受け部材10,11及び端子部材13,14のうちの少なくとも1つの温度が所定温度を超えたか否かを判定する。そして、制御回路は、刃受け部材10,11及び端子部材13,14のうちの少なくとも1つの温度が所定温度を超える場合は、コンセント1内の給電経路が発熱状態であると判定する。この場合、制御回路は、接点装置17の遮断状態に切り換えて、上記の給電経路(例えば一対の電路60,70)を遮断する。また、制御回路は、刃受け部材10,11及び端子部材13,14のうちの全ての温度が所定温度を超えない場合は、コンセント1の上記の給電経路は発熱状態ではないと判定する。この場合、制御回路は、接点装置17の導通状態を維持して、一対の電路60,70の導通状態を維持する。
【0041】
(2-2)カバー
図3に示すように、カバー32は、ボディ31の前面(開口面)を被覆する部材であり、ボディ31の前面に取り付けられる。カバー32は、後面が開口された箱状(例えば略直方体形の箱状)であり、前壁及び周壁を有する。カバー32の前面は、筐体3の前面を構成している。したがって、カバー32の前面には、上述した接続口4(すなわち一対の栓刃挿入孔41,42及び接地挿入孔43)と、操作部材5を露出するため、開口部と、アース扉6とが設けられている。
【0042】
カバー32の周壁には、周壁の周方向に並びかつ周壁の後方に突出する複数の引掛片32aが設けられている。また、ボディ31の外周面には、外周面の周方向に並んだ複数の引掛部31aが設けられている。カバー32がボディ31の前面に取り付けられた状態で、複数の引掛片32aが複数の引掛部31aに引っ掛かる。これにより、カバー32はボディ31の前面に取り付けられる。
【0043】
(2-3)コンセント内の給電経路
(2-3-1)コンセント内の給電経路の構成
コンセント1内の給電経路は、一対の刃受け部材10,11(
図4参照)と、一対の端子部材13,14(
図4参照)と、一対の電路60,70(
図5及び
図7参照)とを含む。一対の電路60,70は、一対の刃受け部材10,11と一対の端子部材13,14とを繋ぐ。
【0044】
図4に示すように、一対の刃受け部材10,11及び一対の端子部材13,14は、接点装置17の周囲に配置されている。より詳細には、一対の刃受け部材10,11は、接点装置17の左右両側の一方の側(
図4の例では右側)において上下方向に並んで配置されている。一対の端子部材13,14は、接点装置17の上下両側の一方の側(
図4の例では下側)において左右方向に並んで配置されている。
【0045】
以下の説明では、一対の刃受け部材10,11をそれぞれ、第1刃受け部材10及び第2刃受け部材11と記載する場合がある。また、一対の端子部材13,14をそれぞれ、第1端子部材13及び第2端子部材14と記載する場合がある。また、一対の電路60,70をそれぞれ、第1電路60及び第2電路70と記載する場合がある。第1電路60は、第1刃受け部材10と第1端子部材13とを繋ぐ電路であり、第2電路70は、第2刃受け部材11と第2端子部材14とを繋ぐ電路である。
【0046】
(2-3-2)一対の電路
一対の電路60,70の構成を詳しく説明する。
【0047】
(2-3-2-1)接点装置の構成
先ず
図5を参照して、接点装置17の構成について説明する。接点装置17は、一対の開閉部(第1開閉部50及び第2開閉部51)と、電磁釈放装置52(521~528)と、筐体53とを有する。
【0048】
筐体53は、第1開閉部50、第2開閉部51及び電磁釈放装置52を収容する部材であり、例えば略直方体形の箱状である。筐体53は、絶縁性樹脂で形成されている。筐体53の周囲(すなわち接点装置17の周囲)には、上述のように、一対の刃受け部材10,11及び一対の端子部材13,14はが配置されている(
図4参照)。また、筐体53の前面には、操作部材5が配置されている(
図5参照)。
【0049】
第1開閉部50は、第1電路60に設けられており、開閉することで第1電路60を導通及び遮断する。第1開閉部50は、筐体35の内部において、例えば、前後方向の中央でかつ上下方向の下側に配置されている。第2開閉部51は、第2電路70に設けられており、開閉することで第2電路70を導通及び遮断する。第2開閉部51は、筐体35の内部において、例えば、第1開閉部50の後側に配置に配置されている。電磁釈放装置52は、上記の制御回路からの制御信号に応じて、第1開閉部50及び第2開閉部51を開閉する。
【0050】
より詳細には、第1開閉部50は、第1固定接点50aと、第1可動接点50bと、第1可動接触子50cとを有する。
【0051】
第1固定接点50aは、第1端子部材13に固定(すなわち電気的に接続)されている。より詳細には、第1端子部材13は、第1固定接点50aが固定される接続片134を有する。第1端子部材13は、筐体53の下側に隣接して配置されており、接続片134は、筐体53の下側から筐体53の内部に引き込まれている。第1固定接点50aは、筐体53の内部の下側に配置されており、筐体53の内部に引き込まれた接続片134に固定されている。このように、第1固定接点50aは、第1端子部材13に固定されている。
【0052】
第1可動接点50bは、第1固定接点50aと接離(接触及び離間)する部材であり、閉位置と開位置との間で変位可能である。上記の閉位置とは、第1可動接点50bが第1固定接点50aと接触する位置であり、上記の開位置とは、第1可動接点50bが第1固定接点50aから離れた位置である。第1可動接点50bは、第1固定接点50aの付近(例えば前側)に配置されている。
【0053】
第1可動接触子50cは、第1可動接点50bを支持する部材であり、第1可動接点50bと共に変位する。第1可動接触子50cは、例えば略細長板状である。第1可動接触子50cは、筐体53内において、前後方向の略中央において略上下方向に延びて配置されている。第1可動接触子50cの一端部50dは、筐体53内の下部付近に配置されており、第1可動接触子50cの一端部50dには、第1可動接点50bが固定されている。第1可動接触子50cの他端部50eは、筐体53内において略中央に配置されており、第1電路60を介して第1刃受け部材10に電気的に接続されている。
【0054】
第2開閉部51は、第2固定接点51aと、第2可動接点51bと、第2可動接触子51cとを有する。
【0055】
第2固定接点51aは、第2端子部材14に固定(電気的に接続)されている。より詳細には、第2端子部材14は、第2固定接点51aが固定される接続片144を有する。端子部材14は、筐体53の下側に隣接して配置されており、接続片144は、筐体53の下側から筐体53の内部に引き込まれている。第2固定接点51aは、筐体53の内部において、第1固定接点50aの後方に配置されており、筐体53の内部に引き込まれた接続片144に固定されている。
【0056】
第2可動接点51bは、第2固定接点51aと接離(接触及び離間)する部材であり、閉位置と開位置との間で変位可能である。上記の閉位置とは、第2可動接点51bが第2固定接点51aと接触する位置であり、上記の開位置とは、第2可動接点51bが第2固定接点51aから離れた位置である。第2可動接点51bは、前後方向において第1固定接点50aと第2固定接点51aとの間に配置されている。
【0057】
第2可動接触子51cは、第2可動接点51bを支持する部材であり、第2可動接点51bと共に変位する。第2可動接触子51cは、例えば略細長板状である。第2可動接触子51cは、筐体53内において、第1可動接触子50cの後側において略上下方向に沿って配置されている。第2可動接触子51cの一端部51dは、筐体53内の下部付近に配置されており、第2可動接触子51cの一端部51dには、第2可動接点51bが固定されている。第2可動接触子51cの他端部51eは、筐体53の上面の開口部から露出されており、第2可動接触子51cの他端部51eには、第2電路70を介して第2刃受け部材11に電気的に接続されている。
【0058】
以下の説明では、第1可動接点50b及び第2可動接点51bの両方が閉位置にあるときの接点装置17の状態を「導通状態」と記載する。また、第1可動接点50b及び第2可動接点51bの両方が開位置にあるときの接点装置17の状態を「遮断状態」と記載する。
【0059】
電磁釈放装置52は、上記の制御回路からの制御信号に応じて、第1可動接触子50c及び第2可動接触子51cを変位させる。この変位により、第1可動接点50b及び第2可動接点51bがそれぞれ、閉位置と開位置の間を移動する。
【0060】
電磁釈放装置52は、電磁押下部521、トリガーレバー522、支持レバー523、作動板524、作動部材525、巻きばね526、U字ばね527、及び巻きばね528を有する。トリガーレバー522、支持レバー523及び作動部材525はそれぞれ、軸B1~B3周りに回転可能に配置されている。第1可動接触子50c及び第2可動接触子51cはそれぞれ、作動部材525に固定されており、作動部材525の回転に応じて変位する。この変位によって、第1可動接点50b及び第2可動接点51bが閉位置と開位置との間を移動する。作動板524は、U字ばね527によって操作部材5と連結されている。巻きばね528は、操作部材5を転倒状態から突出状態になるように付勢する。
【0061】
接点装置17の導通状態では、
図6に示すように、第1開閉部50及び第2開閉部51は、閉状態である。より詳細には、作動板524の両端部はそれぞれ、U字ばね527の弾性力によって、支持レバー523の前端部及び作動部材525の作用部525aを後方に押圧する。この状態で、第1可動接点50b及び第2可動接点51bはそれぞれ、閉位置に配置して第1固定接点50a及び第2固定接点51aに電気的に接触する。また、操作部材5は、転倒状態である。
【0062】
そして、
図5に示すように、電磁押下部521が、上記の制御回路からの制御信号に応じてトリガーレバー522の上端部を前側に押し動かすと、トリガーレバー522が、軸B1を中心に時計回りに回転する。これにより、トリガーレバー522の前端部が支持レバー523の後端部を下側に押し動かす。これにより、支持レバーの523が軸B2を中心に反時計回りに回転する。これにより、支持レバー523の前端部が作動板524から外れる。これにより、作動板524による作動部材525の作用部525aへの押圧が解除される。これにより、作動部材525は、巻きばね526の圧縮反発力によって、軸B3を中心に反時計回りに回転する。これにより、第1可動接触子50c及び第2可動接触子51cが反時計回りに回転して、第1可動接点50b及び第2可動接点51bが閉位置から開位置に変位する。これにより、第1開閉部50及び第2開閉部51の両方が開状態となって、接点装置17が遮断状態になる。
【0063】
(2-3-2-2)第1電路の構成
次に
図5及び
図7を参照して、第1電路60の構成について詳しく説明する。
【0064】
第1電路60は、第1端子部材13と第1刃受け部材10とを繋ぐ電路である。第1電路60の一端部60aは、接点装置17の筐体53内に配置されており、第1開閉部50を介して第1端子部材13に接続されている(
図5参照)。第1電路60の他端部60bは、接点装置17の筐体53の内部から筐体53の右壁53Rを貫通して筐体53の外部に引き出されており、第1刃受け部材10に電気的に接続されている(
図7参照)。
【0065】
第1電路60は、編組線61(第2編組線、
図5参照)と、導電板62(
図5参照)と、導電板63(
図7参照)と、を有する。導電板62及び編組線61は、第1電路60における接点装置17の内部に配置される部分を構成する。導電板63は、第1電路60における接点装置17の外側に配置される部分を構成する。
【0066】
編組線61は、第1可動接触子50cと導電板62とを繋ぐ導電部材である。より詳細には、編組線61は、第1可動接触子50cの他端部50eと導電板62の一端部62aとを繋ぐ。編組線61は、導電性を有する金属線(例えば銅線)が編み組みされて構成されている。編組線61の外周には、編組線61を被覆する絶縁被覆部が設けられていてもよい。
【0067】
編組線61の一端部61aは、第1電路60の一端部60aを構成しており、第1可動接触子50cの他端部50eに溶接などで接続されている。編組線61の他端部61bは、導電板62に溶接などで接続されている。
【0068】
編組線61は、第1可動接触子50cの変位可能範囲にわたる第1可動接触子50cの変位を吸収する可撓性を有する。より詳細には、第1可動接触子50cの他端部50eは、第1可動接触子50cの変位に応じて前後方向に変位する。編組線61は、第1可動接触子50cの他端部50eの変位可能範囲にわたる他端部50eの変位を吸収する可撓性を有する。
【0069】
導電板62は、接点装置17の内部に配置されており、編組線61と導電板63とを繋ぐための電路である。導電板62は、導電性を有する部材(例えば銅)で形成されており、例えば略L字形の平板状である。導電板62の一端部62aは、編組線61の他端部61bに接続されている(
図5参照)。導電板62の他端部62bは、接点装置17の側壁(右壁53R)の外側に突出されており、導電板63の他端部63bと例えば鋲カシメなどで接続されている(
図7参照)。
【0070】
より詳細には、導電板62は、第1片部621(接続板、
図5参照)と第2片部622(
図7参照)とを有する。第1片部621は、編組線61が接続される部分であり、接点装置17の筐体53の内部に配置されており、前後方向に延びている。すなわち、第1片部621は、編組線61と接続する接続板として機能する。第1片部621の前端部621aは、導電板62の一端部62aを構成する。第2片部622は、第1片部621の後端部から右方向(
図5の紙面奥側、すなわち第1片部621の長手方向(前後方向)に直交する方向であって一対の刃受け部材10,11の側)に延びている。第2片部622の右端部622b(
図5の紙面奥側の端部)は、筐体53の側壁(例えば右壁53R)を貫通して接点装置17の右側に突出している(
図7参照)。第2片部622の右端部622bは、導電板62の他端部62bを構成する。
【0071】
更に詳細には、第1可動接触子50cの他端部50eの変位方向(前後方向)において、第1片部621(すなわち導電板62)の一端部621aは、第1片部621の他端部621bよりも第1可動接触子50cの他端部50eから離れている。編組線61の一部は、第1片部621に沿って配置されている。編組線61の一端部61aは、第1可動接触子50cの他端部50eに接続されている。編組線61の他端部61bは、第1片部621の一端部621aに接続されている。
【0072】
このように、編組線61の他端部61bは、第1片部621の両端部621a,621bのうち、第1可動接触子50cの他端部50eからより遠くに離れた方の端部621aに接続される。これにより、編組線61は、ある程度の長さを確保するように配置される。この結果、編組線61の可撓性を十分に(すなわち第1可動接触子50cの変位を吸収可能な程度に)確保できる。
【0073】
導電板63は、第1電路60のうち接点装置17の外側に配置された部分である(
図7参照)。導電板63は、導電性を有する部材(例えば銅)で形成されており、例えば帯形の平板状である。導電板63の一端部63aは、刃受け部材10に接続されている。本実施形態では、導電板63の一端部63aは、刃受け部材10と一体に形成されている。また、導電板63の他端部63bは、導電板62の他端部62bに例えば鋲カシメなどで接続されている。
【0074】
より詳細には、導電板62の他端部62bは、第1刃受け部材10よりも後側に配置されかつ第1刃受け部材10よりも上側に配置されている。導電板63は、上下方向に延びており、導電板63の一端部63aは、例えば、前方に折れ曲がって第1刃受け部材10の上壁部の後端に接続されている。また、導電板63の他端部63bは、例えば、後方に折れ曲がって導電板62の他端部63bに接続されている。
【0075】
(2-3-2-3)第2電路の構成
次に
図7を参照して、第2電路70の構成について詳しく説明する。
【0076】
第2電路70は、第2端子部材14と第2刃受け部材11とを繋ぐ電路である。第2電路70の一端部70aは、第2開閉部51を介して第2端子部材14に接続されている(
図5参照)。また、第2電路70の他端部70bは、第2刃受け部材11に接続されている(
図7参照)。
【0077】
第2電路70は、編組線71で構成されている。編組線71は、導電性を有する金属線(例えば銅線)が編み組みされて構成されている。編組線71は、可撓性を有している。編組線71の外周には、編組線71を被覆する絶縁被覆部が設けられていてもよい。第2電路70の一端部70aは、第2可動接触子51cの他端部51eに溶接などで接続されている。第2電路70の他端部70bは、第2刃受け部材11に溶接などで接続されている。
【0078】
より詳細には、第2可動接触子51cの他端部51eは、接点装置17の上面の後部に配置されている。また、第2刃受け部材11は、接点装置17の右面の前上部に配置されている。第2電路70は、例えば接点装置17の右面の上縁に沿って配置されており、第2電路70の一端部70aは、接点装置17の上面に沿って左側に折れ曲げられて第2可動接触子51cの他端部51eに接続されている。また、第2電路70の他端部70bは、第2刃受け部材11の後端部の上部側の部位Q1まで引き延ばされて、刃受け部材11に接続されている。
【0079】
(3)コンセント内の給電経路の発熱対策
次に
図8~
図12を参照して、コンセント1内の上記の給電経路の発熱対策について説明する。
【0080】
(3-1)端子部材の発熱対策
コンセント1では、上記の発熱対策として、一対の端子部材13,14の放熱性を向上させる工夫が施されている。以下、一対の端子部材13,14の構成について詳しく説明する。
【0081】
先ず
図8を参照して、第1端子部材13の構成を説明する。
図8に示すように、第1端子部材13は、端子板131と鎖錠ばね132とを有する。
【0082】
端子板131は、導電性を有する金属、例えば、銅又は銅合金等からなる。端子板131は、一枚の金属板を曲げ加工によって一体に形成されている。鎖錠ばね132は、弾性を有する金属、例えば、ステンレス等からなる。筐体3の給電線挿入孔7(
図2参照)に給電線25が挿入されると、端子板131と鎖錠ばね132との間に給電線25の一端部(心線)が挿入されて挟まれる。これにより、第1端子部材13に給電線25の一端部が電気的に接続される。
【0083】
端子板131は、端子板本体133と、2つの接続片134,135と、放熱板136(金属板)とを有する。
【0084】
端子板本体133は、鎖錠ばね132を保持し、鎖錠ばね132との間で、筐体3の給電線挿入孔7に挿入された給電線25の一端部を挟む部分である。
【0085】
端子板本体133は、2つの端子片137,138と連結部139とを有する。2つの端子片137,138は、互いに間隔を空けかつ互いに対向して配置している。2つの端子片137,138の各々の一端部は、連結部139を介して連結されている。2つの端子片137,138と連結部139は、略U字状の形を形成している。
【0086】
第1接続片134及び第2接続片135は、互いに異なる回路部品と電気的に接続される部分である。より詳細には、第1接続片134は、第1開閉部50の第1固定接点50aと溶接などによって電気的に接続される。この接続状態では、第1固定接点50aは、第1接続片134に固定される。第2接続片135は、例えば回路基板22からの配線と半田付けなどによって電気的に接続される。回路基板22は、第2接続片135から供給される電力によって動作する。
【0087】
2つの接続片134,135は、2つの端子片137,138のうちの一方の端子片(例えば端子片138)において、互いに隣り合って設けられている。より詳細には、2つの接続片134,135は、一方の端子片138における幅方向(左右方向)の一端部から、2つの端子片137,138の対向方向(上下方向)の外側に延びている。
【0088】
放熱板136は、第1端子部材13で発生した熱を放熱する部分である。放熱板136は、例えば略矩形の平板状である。より詳細には、放熱板136は、例えば、端子板本体133の右側面の前半部分を覆う大きさの平板状である。放熱板136は、2つの端子片137,138のうちの一方の端子片(例えば端子片137)の幅方向の一端部(例えば右端部)に設けられている。また、放熱板136は、2つの端子片137,138のうちの上記の一方の端子片137から他方の端子片138に向かって延びている。本実施形態では、放熱板136は、他方の端子片138まで達している。放熱板136は、他方の端子片138及び連結部139と接触してもよいし、接触しなくてもよい。放熱板136によって、第1端子部材13の放熱性を向上させることができる。
【0089】
また、第1端子部材13では、2つの接続片134,135の各々の基部の間には、くびれ部140が設けられている。接続片134,135の基部とは、接続片134,135のうち端子片138からの一定範囲(例えば端子片138の近傍)の部分である。くびれ部140は、2つの接続片134,135の各々の基部の先端側から端子片138側に向かって延びている。本実施形態では、くびれ部140は、端子片138に達している。
【0090】
本実施形態では、くびれ部140によって、2つの接続片134,135の間隔(より詳細には2つの接続片134,135の各々の基部の間隔)が確保されている。これにより、2つの接続片134,135の間の熱伝達経路は、端子片138まで遠回りすることになって長くなる。この結果、一方の接続片135と回路部品とを半田付けするとき、一方の接続片135に加えた熱が他方の接続片134に伝達することが抑制され、一方の接続片135を速やかに半田溶融温度まで加熱できる。
【0091】
また、第1端子部材13では、放熱板136は、端子片137の右端部(すなわち第2端子部材14の側の端部)に設けられている。すなわち、金属板136は、第1端子部材13と第2端子部材14との間に配置されている。したがって、第1端子部材13及び第2端子部材14に一対の給電線25,26の各々の一端部が接続されたとき、金属板136によって、一対の給電線25,26の各々の上記の一端部の相互接触が防止される。
【0092】
次に
図9を参照して、第2端子部材14の構成を説明する。第2端子部材14は、第1端子部材13と比べて、主に、端子片148に対する2つの接続片144,145の配設位置が異なる点、及び、端子片147における放熱板146の配設位置が左右逆である点が異なる以外は、同様に構成されている。
【0093】
より詳細には、第2端子部材14は、端子板141と鎖錠ばね142とを有する。端子板141は、端子板本体143と、2つの接続片144,145と、放熱板146とを有する。端子板本体143は、2つの端子片147,148と、連結部149とを有する。端子板本体143及び鎖錠ばね142は、第1端子部材13の端子板本体133及び鎖錠ばね132と同様に形成されている。
【0094】
第2端子部材14では、2つの接続片144,145のうち、一方の接続片144は、端子片148における幅方向の一端部(例えば左端部)に設けられており、他方の接続片145は、一方の接続片144の基部に設けられている。また、第2端子部材14では、放熱板146は、端子片147の左端部(第1端子部材13の側の端部)に設けられている。第2端子部材14においても、第1端子部材13と同様の効果(くびれ部140に関する効果以外の効果)を奏することができる。
【0095】
なお、本実施形態では、第1端子部材13及び第2端子部材14の両方が放熱板136,146を有するが、第1端子部材13及び第2端子部材14の少なくとも一方の端子部材が放熱板を有すればよい。
【0096】
(3-2)一対の電路の発熱対策
コンセント1では、上記の発熱対策として、一対の電路60,70での発熱を抑制する工夫が施されている。以下、この工夫について説明する。
【0097】
図7に示すように、コンセント1では、第1電路60における第1刃受け部材10からの一定範囲の部分(第1範囲部分R1)は、導電板で構成されている。また、第2電路70における第2刃受け部材11からの一定範囲の部分(第2範囲部分R2)は、編組線で構成されている。
【0098】
より詳細には、第1範囲部分R1は、第1電路60のうちの少なくとも接点装置17の外側の部分を含む。本実施形態では、第1範囲部分R1は、第1電路60のうち、接点装置17の外側部分である導電板63と、接点装置17の内側部分の一部である導電板62で構成されている。また、第2範囲部分R2は、第2電路70のうちの少なくとも接点装置17の外側の部分を含む。本実施形態では、第2範囲部分R2は、第2電路70のうちの接点装置17の外側部分である編組線71(第1編組線)で構成されている。
【0099】
一般に、導電板は、編組線よりも熱的及び電気的な伝導率が高いため、発熱量が少ない。このため、第1電路60の第1範囲部分R1が導電板(すなわち導電板63,62)で構成されることで、第1電路60での発熱が抑制されている。他方、第2電路70の第2範囲部分R2は、導電板ではなくて編組線(すなわち編組線71)で構成されている。
【0100】
第2電路70の第2範囲部分R2が編組線71で構成されるのは、第2電路70の取付作業性を考慮している。すなわち、第1電路60の第1範囲部分R1は、接点装置17の右面(すなわち平面)に配置されるため、第1電路60の第1範囲部分R1が導電板で構成されることは、第1電路60の第1範囲部分R1を接点装置17に取り付ける際の作業性には殆ど影響しない。しかし、第2電路70の第2範囲部分R2は、接点装置17の上面と右面との角部に跨って配置される。このため、第2電路70の第2範囲部分R2が導電板で構成されると、第2電路70の第2範囲部分R2を接点装置17に取り付ける際の作業性が低下する。このため、第2電路70の第2範囲部分R2は、導電板よりも作業性の良好な編組線で構成されている。
【0101】
また、第2電路70の他端部70bは、第2刃受け部材11の後端部の上部側の部位Q1まで引き延ばされて第2刃受け部材11に接続されている。なお、刃受け部材11の部位Q1は、刃受け部材11のうち、第2電路70の他端部70bに比較的近い部位(例えば一番近い部位)である。これにより、第2電路70の第2範囲部分R2の編組線の長さは、下記の比較例(従来例)と比べて短くなる。この結果、第2電路70の通電抵抗を低減できて発熱を抑制できる。
【0102】
図7の符号70T(点線部分)は、比較例の第2電路700のうち、本実施形態の第2電路70と異なる部分を示す。比較例の第2電路700も、本実施形態の第2電路70と同様に編組線で構成されている。比較例の第2電路700の一端部702は、本実施形態の第2電路70の一端部70aと同様に、第2可動接触子51cの他端部51eに接続される。他方、比較例の第2電路700の他端部701は、第2刃受け部材11の上端部の前部側の部位Q2まで引き延ばされて第2刃受け部材11に接続されている。すなわち、本実施形態の第2電路70の他端部70bは、比較例の第2電路700の他端部701よりも、第2可動接触子51cの他端部51eに近い部位Q1に引き延ばされている。このため、本実施形態の第2電路70の第2範囲部分R2の編組線の長さは、比較例の第2電路700と比べて短い。この結果、第2電路70は、比較例の第2電路700と比べて、通電抵抗を低減できて発熱を抑制できる。
【0103】
また、第2電路70の第2範囲部分R2の編組線71の直径は、例えば第1電路60の編組線61(
図5参照)の直径よりも大きい。これにより、第2範囲部分R2の通電抵抗を低減できて発熱を抑制できる。
【0104】
(3-3)一対の刃受け部材の発熱対策
コンセント1では、上記の発熱対策として、一対の刃受け部材10,11での発熱を抑制する工夫が施されている。以下、この工夫について説明する。
【0105】
図10を参照して、第1刃受け部材10の構成を説明する。
図10に示すように、第1刃受け部材10は、刃受け本体101と、センサ固定部102とを有する。
【0106】
刃受け本体101及びセンサ固定部102は、一体に形成されている。また、第1刃受け部材10は、第1電路60の導電板63とも一体に形成されている。刃受け本体101、センサ固定部102、導電板63及び導電板63は、導電性及び弾性を有する金属、例えば、銅又は銅合金等からなる。刃受け本体101、センサ固定部102及び導電板63は、一枚の金属板を曲げ加工によって一体に形成されている。
【0107】
刃受け本体101は、3つの挟み片103と、支持部104とを有する。
【0108】
支持部104は、3つの挟み片103を支持する部分である。支持部104は、板状であり、その長さ方向に進むに連れてその厚さ方向に略U字に湾曲している。3つの挟み片103は、電気機器からのプラグの栓刃を挟み込む部分である。3つの挟み片103は、支持部104において、支持部104の幅方向(前後方向)の一側(前側)に突出しかつ支持部104の長さ方向に沿ってU字状に並ぶように設けられている。3つの挟み片103のうち、2つの挟み片103は、互いに対向するように配置しており、残り1つの挟み片103は、上記の2つ挟み片103の側方に対向するように配置している。プラグの栓刃は、3つの挟み片の間に挟み込まれることで、第1刃受け部材10に電気的に接続される。
【0109】
センサ固定部102は、第1刃受け部材10の温度を検出する温度検出部18が固定される部分であり、略U字状に形成されている。センサ固定部102は、支持部104に連結されている。より詳細には、センサ固定部102は、支持部104の長手方向の一端部に連結されている。
【0110】
導電板63は、支持部104に接続されている。より詳細には、導電板63は、支持部104における3つの挟み片103側(前側)とは反対側(後側)の端部において、上記の残り1つの挟み片103に対向する部位に連結されている。当該部位は、第1刃受け部材10のうちで、第1電路60の導電板62の端部62b(
図7参照)に一番近い部分である。導電板63は、支持部104において3つの挟み片103が突出する方向(前方)に交差する方向(例えば上方向)に延びている。
【0111】
この第1刃受け部材10では、刃受け本体101及びセンサ固定部102が一体に形成されている。これにより、刃受け本体101とセンサ固定部102との接続部分の通電抵抗を低減できて、第1刃受け部材10での発熱を抑制できる。また、第1刃受け部材10及び第1電路60の導電板63も一体に形成されている。これにより、第1刃受け部材10と導電板63との接続部分の通電抵抗を低減できて、第1刃受け部材10での発熱を更に抑制できる。
【0112】
次に
図11を参照して、第2刃受け部材11の構成を説明する。
図11に示すように、第2刃受け部材11は、第1刃受け部材10と比べて、導電板63と一体に形成されていない点が異なる以外は、基本的に同じ構成である。より詳細には、第2刃受け部材11は、刃受け本体111と、センサ固定部112とを有する。刃受け本体111は、3つの挟み片113と支持部114とを有する。刃受け本体111とセンサ固定部112の各々の構成は、基本的には第1刃受け部材10の場合と同じである。第2刃受け部材11も、第1刃受け部材10の場合と同様に、刃受け本体111及びセンサ固定部112が一体に形成されている。これにより、刃受け本体111とセンサ固定部112との接続部分の通電抵抗を低減できて、第2刃受け部材11での発熱を抑制できる。
【0113】
(3-4)第2可動接触子の発熱対策
コンセント1では、上記の発熱対策として、第2可動接触子51cでの発熱を抑制する工夫が施されている。以下、この工夫について説明する。
【0114】
図12に示すように、第2可動接触子51cは、基部511とU字状部512とを有する。基部511及びU字状部512は一体に形成されている。
【0115】
基部511は、細長の板状である。基部511の一端部511aに第2可動接点51bが固定される。基部511の他端部には、U字状部512が連結されている。
【0116】
U字状部512の一端部は、基部511の他端部に連結されている。U字状部512の他端部は、第2電路70の一端部70aが接続される部分であり、第2可動接触子51cの他端部51eを構成している。U字状部512は、第1板部514と第2板部515と第3板部516とを有する。第2板部515の両端部に第1板部514の一端部と第3板部516の一端部とが連結されている。これにより、U字状部512は、略U字状に形成されている。第1板部514は、基部511と連結される部分である。第3板部516は、第2可動接触子51cの他端部51eを構成している。
【0117】
第2可動接触子51cでは、U字状部512のうち、少なくとも第1板部514及び第2板部515の各々の幅N2,N3が基部511の幅N1よりも大きい。これにより、第2可動接触子51cの放熱性を向上させている。なお、本実施形態では、第1板部514は、その幅方向に段差が形成されているが、この場合の幅N2は、段差に沿った幅である。
【0118】
(4)主要な効果
本実施形態のコンセント1は、第1刃受け部材10及び第2刃受け部材11と、第1端子部材13及び第2端子部材14と、第1開閉部50と、第2開閉部51と、を備える。第1刃受け部材10及び第2刃受け部材11はそれぞれ、プラグの第1栓刃及び第2栓刃が着脱可能に接続される。第1端子部材13及び第2端子部材14はそれぞれ、第1給電線25及び第2給電線26が接続される。第1開閉部50は、第1刃受け部材10と第1端子部材13とを繋ぐ第1電路60を導通及び遮断する。第2開閉部51は、第2刃受け部材11と第2端子部材14とを繋ぐ第2電路70を導通及び遮断する。第1端子部材13及び第2端子部材14の少なくとも一方の端子部材(本実施形態では両方の端子部材13,14)は、2つの端子片(137と138,147と148)と、放熱板136,146と、を有する。2つの端子片は、互いに間隔を空けて配置され、第1給電線25又は第2給電線26と接続する。放熱板136,146は、2つの端子片のうちの一方の端子片137,147から他方の端子片138,148に向かって延びている。第1電路60において第1刃受け部材10からの第1範囲部分R1は、導電板63,62で構成されている。第2電路70において第2刃受け部材11からの第2範囲部分R2は、編組線71で構成されている。
【0119】
この構成によれば、放熱板136,146によって、第1端子部材13及び第2端子部材14の少なくとも一方の端子部材(本実施形態では両方の端子部材13,14)に発生する熱の放熱性を向上できる。また、第1電路60の第1範囲部分R1は、一般に編組線よりも熱的及び電気的な伝導率の高い導電板で構成されるため、第1電路60での発熱を抑制できる。その際、第2電路70の第2範囲部分R2は、編組線で構成されるため、コンセントの組立性を確保できる。このように、コンセント1内の給電経路を開閉部(第1開閉部50及び第2開閉部51)で遮断することなく、上記の給電経路の発熱対策を行うことができる。
【0120】
(5)まとめ
以上説明した実施形態から明らかなように、以下の態様を取り得る。
【0121】
第1の態様のコンセント(1)は、第1刃受け部材(10)及び第2刃受け部材(11)と、第1端子部材(13)及び第2端子部材(14)と、第1開閉部(50)と、第2開閉部(51)と、を備える。第1刃受け部材(10)及び第2刃受け部材(11)はそれぞれ、プラグの第1栓刃及び第2栓刃が着脱可能に接続される。第1端子部材(13)及び第2端子部材(14)はそれぞれ、第1給電線(25)及び第2給電線(26)がそれぞれ接続される。第1開閉部(50)は、第1刃受け部材(10)と第1端子部材(13)とを繋ぐ第1電路(60)を導通及び遮断する。第2開閉部(51)は、第2刃受け部材(11)と第2端子部材(14)とを繋ぐ第2電路(70)を導通及び遮断する。第1端子部材(13)及び第2端子部材(14)の少なくとも一方の端子部材(例えば両方の端子部材13,14)は、2つの端子片(137と138、147と148)と、金属板(136,146)と、を有する。2つの端子片(137と138、147と148)は、互いに間隔を空けて配置され、第1給電線(25)又は第2給電線(26)と接続する。金属板は、2つの端子片(137と138、147と148)のうちの一方の端子片(137,147)から他方の端子片(138,148)に向かって延びている。第1電路(60)において第1刃受け部材(10)からの第1範囲部分(R1)は、導電板(63,62)で構成されている。第2電路(70)において第2刃受け部材(11)からの第2範囲部分(R2)は、第1編組線(71)で構成されている。
【0122】
この構成によれば、金属板(136,146)によって、第1端子部材(13)及び第2端子部材(14)の少なくとも一方の端子部材に発生する熱の放熱性を向上できる。また、第1電路(60)の第1範囲部分(R1)は、一般に編組線よりも熱的及び電気的な伝導率の高い導電板(63,62)で構成されるため、第1電路(60)での発熱を抑制できる。第2電路(70)の第2範囲部分(R2)は、第1編組線(71)で構成されるため、コンセント(1)の組立性を確保できる。このように、組立性を損なうことなく、コンセント1内の給電経路の発熱対策を行うことができる。この結果、コンセント(1)内の給電経路を開閉部(第1開閉部(50)及び第2開閉部(51))で遮断することなく、上記の給電経路の発熱対策を行うことができる。
【0123】
第2の態様のコンセント(1)では、第1の態様において、金属板(136,146)は、他方の端子片(138,148)まで延びている。
【0124】
この構成によれば、金属板(136,146)は、他方の端子片(138,148)まで延びているため、金属板(136,146)の長さを十分に確保でき、少なくとも一方の端子部材(例えば両方の端子部材13,14)の放熱性を向上させることができる。
【0125】
第3の態様のコンセント(1)では、第1又は第2の態様において、第1開閉部(50)は、固定接点(50a)と、可動接点(50b)と、可動接触子(50c)と、を有する。可動接点(50b)は、固定接点(50a)に接離する。可動接触子(50c)は、可動接点(50b)が固定されて可動接点(50b)と共に変位する。第1電路(60)は、導電板(62)と可動接触子(50c)とを繋ぐ第2編組線(61)を含む。第2編組線(61)は、可動接触子(50c)の変位可能範囲にわたる可動接触子(50c)の変位を吸収する可撓性を有する。
【0126】
この構成によれば、第2編組線(61)の可撓性によって、第1開閉部(50)の可動接触子(50c)の変位可能範囲にわたる可動接触子(50c)の変位を吸収できる。これにより、変位する可動接触子(50c)と、変位しない導電板(62)との電気的な接続を良好に行うことができる。
【0127】
第4の態様のコンセント(1)では、第3の態様において、導電板(63,62)は、第2編組線(61)と接続される接続板(621)を有する。可動接触子(50c)の一端部(50e)の変位方向(前後方向)において、接続板(621)の一端部(621a)は、接続板(621)の他端部(621b)よりも可動接触子(50c)の一端部(50e)から離れている。第2編組線(61)の一端部(61a)は、可動接触子(50c)の一端部(50e)に接続されている。第2編組線(61)の他端部(61b)は、接続板(62)の一端部(621a)に接続されている。
【0128】
この構成によれば、第2編組線(61)の一端部(61a)は、可動接触子(50c)の一端部(50e)に接続される。また、第2編組線(61)の他端部(61b)は、接続板(621)の他端部(621a)(すなわち接続板(621)の両端部のうち可動接触子(50c)の一端部(50e)からより遠くに離れた方の端部)に接続される。このため、第2編組線(61)は、ある程度の長さを確保するように配置される。これにより、第2編組線(61)の可撓性を十分(すなわち可動接触子(50c)の変位を吸収可能な程度)に確保できる。
【0129】
第5の態様のコンセント(1)では、第1~第4の態様の何れか1つにおいて、第1端子部材(13)及び第2端子部材(14)のうち、一方の端子部材の金属板(136,146)は、一方の端子片(137,138)において、他方の端子部材の側の端部に設けられている。
【0130】
この構成によれば、金属板(136,146)は、第1端子部材(13)と第2端子部材(14)との間に配置される。これにより、第1給電線(25)及び第2給電線(26)の各々の一端部がそれぞれ第1端子部材(13)及び第2端子部材(14)に接続されたとき、金属板(136,146)によって、第1給電線(25)及び第2給電線(26)の各々の一端部が互いに接触することを防止できる。
【0131】
第6の態様のコンセント(1)では、第1~第5の態様の何れか1つにおいて、少なくとも一方の端子部材(例えば13)は、第1接続片(134)及び第2接続片(135)を有する。第1接続片(134)及び第2接続片(135)は、2つの端子片(137,138)のうちの一方の端子片(例えば138)において隣合って設けられている。第1接続片(134)及び第2接続片(135)は、互いに異なる回路部品と電気的に接続される。第1接続片(134)の基部と第2接続片(145)の基部との間には、一方の端子片(138)に向かってくびれたくびれ部(140)が設けられている。
【0132】
この構成によれば、コンセント(1)は、一方の端子片(138)において隣り合って設けられた第1接続片(134)の基部と第2接続片(135)の基部との間に、一方の端子片(138)に向かってくびれたくびれ部(140)を有する。このため、第1接続片(134)及び第2接続片(135)のうちの一方の接続片(例えば134)と回路部品とを半田付けするとき、くびれ部(140)によって、一方の接続片(134)に加えた熱が他方の接続片(145)に逃げることを抑制できる。この結果、一方の接続片(134)を速やかに半田溶融温度まで加熱できる。
【0133】
第7の態様のコンセント(1)では、第6の態様において、第1接続片(134)は、第1開閉部(50)又は第2開閉部(51)と電気的に接続される。第2接続片(135)は、第1開閉部(50)及び第2開閉部(51)を制御するための回路基板(22)と電気的に接続される。
【0134】
この構成によれば、第1接続片(134)が第1開閉部(50)又は第2開閉部(51)と電気的に接続され、第2接続片(135)が第1開閉部(50)及び第2開閉部(51)を制御するための回路基板(22)と電気的に接続される構成に適用可能である。
【0135】
第8の態様のコンセント(1)では、第3又は第4の態様において、第1編組線(71)の直径は、第2編組線(61)の直径よりも大きい。
【0136】
この構成によれば、第1編組線(71)での発熱を抑制できる。この結果、第2電路(70)での発熱を低減できる。
【符号の説明】
【0137】
1 コンセント
13 第1端子部材
14 第2端子部材
22 回路基板
25 第1給電線
26 第2給電線
50 第1開閉部
50a 第1固定接点
50b 第1可動接点
50c 第1可動接触子
50d 一端部
50e 他端部(一端部)
51 第2開閉部
60 第1電路
61 第2編組線
62 導電板
63 導電板
70 第2電路
71 第1編組線
136 放熱板(金属板)
137,138 2つの端子片
140 くびれ部
147,148 2つの端子片
146 放熱板(金属板)
621 第1片部(接続板)
621a 一端部
621b 他端部
R1 第1範囲部分
R2 第2範囲部分