(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-09
(45)【発行日】2024-04-17
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/338 20060101AFI20240410BHJP
H01L 29/812 20060101ALI20240410BHJP
H01L 29/778 20060101ALI20240410BHJP
【FI】
H01L29/80 F
H01L29/80 H
(21)【出願番号】P 2020175298
(22)【出願日】2020-10-19
【審査請求日】2023-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】スミス マシュー デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】向井 章
【審査官】恩田 和彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-150141(JP,A)
【文献】特表2017-527988(JP,A)
【文献】特開2018-101667(JP,A)
【文献】特開2008-235347(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0043981(US,A1)
【文献】特表2007-512705(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/338
H01l 29/778
H01L 29/812
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極と、
第2電極と、
第3電極であって、前記第1電極から前記第2電極への第1方向における前記第3電極の位置は、前記第1方向における前記第1電極の位置と、前記第1方向における前記第2電極の位置と、の間にある、前記第3電極と、
第1半導体領域及び第2半導体領域を含む半導体部材であって、
前記第1半導体領域は、Al
x1Ga
1-x1N(0≦x1<1)を含み、前記第1半導体領域は、第1部分領域、第2部分領域、第3部分領域、第4部分領域及び第5部分領域を含み、前記第1部分領域から前記第1電極への第2方向は、前記第1方向と交差し、前記第2部分領域から前記第2電極への方向は、前記第2方向に沿い、前記第3部分領域から前記第3電極への方向は、前記第2方向に沿い、前記第4部分領域の前記第1方向における位置は、前記第1部分領域の前記第1方向における位置と前記第3部分領域の前記第1方向における位置との間にあり、前記第5部分領域の前記第1方向における位置は、前記第3部分領域の前記第1方向における前記位置と前記第2部分領域の前記第1方向における位置との間にあり、
前記第2半導体領域は、Al
x2Ga
1-x2N(0<x2<1、x1<x2)を含み、前記第2半導体領域は、第1半導体部分及び第2半導体部分を含み、前記第4部分領域から前記第1半導体部分への方向は前記第2方向に沿い、前記第5部分領域から前記第2半導体部分への方向は前記第2方向に沿う、前記半導体部材と、
第1絶縁部材であって、前記第1絶縁部材は、第1絶縁領域、第2絶縁領域及び第3絶縁領域を含み、前記第1絶縁領域は、前記第1方向において前記第4部分領域と前記第3電極の少なくとも一部との間にあり、前記第2絶縁領域は、前記第1方向において前記第3電極の前記少なくとも一部と前記第5部分領域との間にあり、前記第3絶縁領域は、前記第2方向において前記第3部分領域と前記第3電極との間にある、前記第1絶縁部材と、
を備え、
前記半導体部材は、第1面と、第1側面と、を含み、
前記第3絶縁領域は、前記第2方向において前記第1面と前記第3電極との間にあり、
前記第1絶縁領域は、前記第1方向において前記第1側面と前記第3電極との間にあり、
前記第1側面は、第1側面部分と第2側面部分とを含み、
前記第1側面部分の前記第2方向における位置は、前記第1面の前記第2方向における位置と、前記第2側面部分の前記第2方向における位置と、の間にあり、
前記第1面を含む第1平面と、前記第1側面部分と、の間の第1角度、及び、前記第1平面と前記第2側面部分との間の第2角度の少なくともいずれかは、90度未満であり、
前記第2角度は、前記第1角度とは異なる、半導体装置。
【請求項2】
前記第1角度は、前記第2角度よりも大きい、請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1角度と前記第2角度との差の絶対値は、2度以上である、請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1角度及び前記第2角度の前記少なくともいずれかは、85度以下である、請求項1~3のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1側面は、第3側面部分をさらに含み、
前記第2側面部分の前記第2方向における前記位置は、前記第1側面部分の前記第2方向における前記位置と、前記第3側面部分の前記第2方向における位置と、の間にあり、
前記第1平面と前記第3側面部分との間の第3角度は、前記第2角度とは異なる、請求項1~4のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第3角度は、90度未満である、請求項5記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1角度は、前記第2角度よりも大きく、
前記第3角度は、前記第1角度よりも大きい、請求項5または6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第2側面部分は、前記第4部分領域の少なくとも一部であり、
前記第3側面部分は、前記第1半導体部分の少なくとも一部である、請求項5~7のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1側面は、第4側面部分をさらに含み、
前記第4側面部分の前記第2方向における位置は、前記第1側面部分の前記第2方向における前記位置と、前記第2側面部分の前記第2方向における前記位置と、の間にあり、
前記第1平面と前記第4側面部分との間の第4角度は、前記第1角度とは異なり、前記第2角度とは異なる、請求項1~8のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第4角度は、90度よりも大きい、請求項
9記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第1平面と、前記第1側面の一部と、の間の角度は、90度よりも大きい、請求項1~9のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項12】
前記半導体部材は、第2側面をさらに含み、
前記第2絶縁領域は、前記第1方向において前記第3電極と前記第2側面との間にあり、
前記第2側面は、第1対向側面部分と第2対向側面部分とを含み、
前記第1対向側面部分の前記第2方向における位置は、前記第1面の前記第2方向における前記位置と、前記第2対向側面部分の前記第2方向における位置と、の間にあり、
前記第1平面と、前記第1対向側面部分と、の間の第1対向角度、及び、前記第1平面と前記第2対向側面部分との間の第2対向角度の少なくともいずれかは、90度未満であり、
前記第2対向角度は、前記第1対向角度とは異なる、請求項1~11のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項13】
前記第2側面は、第3対向側面部分をさらに含み、
前記第2対向側面部分の前記第2方向における前記位置は、前記第1対向側面部分の前記第2方向における前記位置と、前記第3対向側面部分の前記第2方向における位置と、の間にあり、
前記第1平面と前記第3対向側面部分との間の第3対向角度は、前記第2対向角度とは異なる、請求項12記載の半導体装置。
【請求項14】
前記第1対向角度は、前記第2対向角度よりも大きく、
前記第3対向角度は、前記第1対向角度よりも大きい、請求項13記載の半導体装置。
【請求項15】
前記第2側面は、第4対向側面部分をさらに含み、
前記第4対向側面部分の前記第2方向における位置は、前記第1対向側面部分の前記第2方向における前記位置と、前記第2対向側面部分の前記第2方向における前記位置と、の間にあり、
前記第1平面と前記第4対向側面部分との間の第4対向角度は、前記第1対向角度とは異なり、前記第2対向角度とは異なる、請求項12~14のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項16】
前記第1平面と、前記第2側面の一部と、の間の角度は、90度よりも大きい、請求項12~15のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項17】
Al
x3Ga
1-x3N(0<x3<1)を含む窒化物部材をさらに含み、
前記窒化物部材は、第1窒化物領域、第2窒化物領域、第3窒化物領域、第4窒化物領域及び第5窒化物領域を含み、
前記第1窒化物領域は、前記第1方向において、前記第4部分領域と前記第1絶縁領域との間にあり、
前記第2窒化物領域は、前記第1方向において、前記第2絶縁領域と前記第5部分領域との間にあり、
前記第3窒化物領域は、前記第2方向において、前記第3部分領域と前記第3絶縁領域との間にあり、
前記第1半導体部分は、前記第2方向において、前記第4部分領域と前記第4窒化物領域との間にあり、
前記第2半導体部分は、前記第2方向において、前記第5部分領域と前記第5窒化物領域との間にあり、
前記第1窒化物領域の結晶性は、前記第4窒化物領域の結晶性よりも高い、請求項1~16のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項18】
第2絶縁部材をさらに備え、
前記第2絶縁部材は、第1絶縁部分と第2絶縁部分とを含み、
前記第1絶縁部分は、前記第1半導体部分と前記第4窒化物領域との間にあり、
前記第2絶縁部分は、前記第2半導体部分と前記第5窒化物領域との間にあり、
前記第2絶縁部材は窒素を含み、前記第1絶縁部材は酸素を含み、
前記第1絶縁部材は、窒素を含まない、または、前記第1絶縁部材における窒素の濃度は、前記第2絶縁部材における窒素の濃度よりも低い、請求項17記載の半導体装置。
【請求項19】
前記第3窒化物領域の前記第2方向に沿う厚さは、0.5nm以上5nm以下である、請求項17または18に記載の半導体装置。
【請求項20】
前記半導体部材のc軸方向は、前記第2方向に沿う、請求項1~19のいずれか1つに記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば窒化物半導体を用いたトランジスタなどの半導体装置がある。半導体装置において、特性の向上が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2020/0119179号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、特性を向上できる半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、半導体装置は、第1電極、第2電極、第3電極、半導体部材及び第1絶縁部材を含む。前記第1電極から前記第2電極への第1方向における前記第3電極の位置は、前記第1方向における前記第1電極の位置と、前記第1方向における前記第2電極の位置と、の間にある。前記半導体部材は、第1半導体領域及び第2半導体領域を含む。前記第1半導体領域は、Alx1Ga1-x1N(0≦x1<1)を含む。前記第1半導体領域は、第1部分領域、第2部分領域、第3部分領域、第4部分領域及び第5部分領域を含む。前記第1部分領域から前記第1電極への第2方向は、前記第1方向と交差する。前記第2部分領域から前記第2電極への方向は、前記第2方向に沿う。前記第3部分領域から前記第3電極への方向は、前記第2方向に沿う。前記第4部分領域の前記第1方向における位置は、前記第1部分領域の前記第1方向における位置と前記第3部分領域の前記第1方向における位置との間にある。前記第5部分領域の前記第1方向における位置は、前記第3部分領域の前記第1方向における前記位置と前記第2部分領域の前記第1方向における位置との間にある。前記第2半導体領域は、Alx2Ga1-x2N(0<x2<1、x1<x2)を含む。前記第2半導体領域は、第1半導体部分及び第2半導体部分を含む。前記第4部分領域から前記第1半導体部分への方向は前記第2方向に沿う。前記第5部分領域から前記第2半導体部分への方向は前記第2方向に沿う。前記第1絶縁部材は、第1絶縁領域、第2絶縁領域及び第3絶縁領域を含む。前記第1絶縁領域は、前記第1方向において前記第4部分領域と前記第3電極の少なくとも一部との間にある。前記第2絶縁領域は、前記第1方向において前記第3電極の前記少なくとも一部と前記第5部分領域との間にある。前記第3絶縁領域は、前記第2方向において前記第3部分領域と前記第3電極との間にある。前記半導体部材は、第1面と、第1側面と、を含む。前記第3絶縁領域は、前記第2方向において前記第1面と前記第3電極との間にある。前記第1絶縁領域は、前記第1方向において前記第1側面と前記第3電極との間にある。前記第1側面は、第1側面部分と第2側面部分とを含む。前記第1側面部分の前記第2方向における位置は、前記第1面の前記第2方向における位置と、前記第2側面部分の前記第2方向における位置と、の間にある。前記第1面を含む第1平面と、前記第1側面部分と、の間の第1角度、及び、前記第1平面と前記第2側面部分との間の第2角度の少なくともいずれかは、90度未満である。前記第2角度は、前記第1角度とは異なる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
【
図8】
図8(a)~
図8(h)は、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を例示する模式的断面図である。
【
図9】
図9(a)~
図9(d)は、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を例示する模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚さと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図1に示すように、実施形態に係る半導体装置110は、第1電極51、第2電極52、第3電極53、半導体部材10M、及び、第1絶縁部材41を含む。
【0009】
第1電極51から第2電極52への方向を第1方向とする。第1方向は、例えば、X軸方向である。X軸方向に対して垂直な1つの方向をZ軸方向とする。X軸方向及びZ軸方向に対して垂直な方向をY軸方向とする。
【0010】
第1方向(X軸方向)における第3電極53の位置は、第1方向における第1電極51の位置と、第1方向における第2電極52の位置と、の間にある。例えば、第3電極53の少なくとも一部は、第1方向において、第1電極51と第2電極52との間にある。
【0011】
半導体部材10Mは、第1半導体領域10及び第2半導体領域20を含む。
【0012】
第1半導体領域10は、Alx1Ga1-x1N(0≦x1<1)を含む。第1半導体領域10は、例えばGaNを含む。第1半導体領域10におけるAlの組成比は、例えば、0以上0.05以下である。
【0013】
第1半導体領域10は、第1部分領域11、第2部分領域12、第3部分領域13、第4部分領域14及び第5部分領域15を含む。第1部分領域11から第1電極51への第2方向は、第1方向(X軸方向)と交差する。第2方向は、例えば、Z軸方向である。
【0014】
第2部分領域12から第2電極52への方向は、第2方向に沿う。第3部分領域13から第3電極53への方向は、第2方向に沿う。
【0015】
第4部分領域14の第1方向(X軸方向)における位置は、第1部分領域11の第1方向における位置と、第3部分領域13の第1方向における位置との間にある。第5部分領域15の第1方向における位置は、第3部分領域13の第1方向における位置と、第2部分領域12の第1方向における位置との間にある。上記の部分領域は、例えば、連続している。
【0016】
第2半導体領域20は、Alx2Ga1-x2N(0<x2<1、x1<x2)を含む。第2半導体領域20は、例えばAlGaNを含む。第2半導体領域20におけるAlの組成比は、0.15以上0.8以下である。
【0017】
第2半導体領域20は、第1半導体部分21及び第2半導体部分22を含む。第4部分領域14から第1半導体部分21への方向は、第2方向(例えばZ軸方向)に沿う。第5部分領域15から第2半導体部分22への方向は、第2方向に沿う。
【0018】
第1絶縁部材41は、第1絶縁領域41a、第2絶縁領域41b及び第3絶縁領域41cを含む。第1絶縁領域41aは、第1方向(X軸方向)において、第4部分領域14と、第3電極53の少なくとも一部と、の間にある。第2絶縁領域41bは、第1方向(X軸方向)において、第3電極53の少なくとも一部と、第5部分領域15と、の間にある。第3絶縁領域41cは、第2方向(Z軸方向)において、第3部分領域13と第3電極53との間にある。これらの絶縁領域は、互いに連続していて良い。
【0019】
第1電極51と第2電極52との間に流れる電流は、第3電極53の電位により制御される。第3電極53の電位は、例えば、第1電極51の電位を基準とした電位である。第1電極51及び第2電極52の一方は、例えば、ソース電極である。第1電極51及び第2電極52の他方は、例えば、ドレイン電極である。第3電極53は、例えば、ゲート電極である。第1絶縁部材41の少なくとも一部は、例えば、ゲート絶縁膜である。半導体装置110は、例えばトランジスタである。例えば、第1半導体領域10は、第2半導体領域20と対向する部分を含む。この部分に、キャリア領域(例えば2次元電子ガス)が生じる。半導体装置110は、例えば、HEMT(High Electron Mobility Transistor)である。
【0020】
例えば、半導体部材10Mのc軸方向は、第2方向(Z軸方向)に沿う。c軸方向とZ軸方向との間の角度は、10度以下である。第1半導体領域10と第2半導体領域20とにおける組成の差により、上記のキャリア領域が形成される。
【0021】
第1電極51は、例えば、第1半導体部分21と電気的に接続される。第2電極52は、例えば、第2半導体部分22と電気的に接続される。
【0022】
図1に示すように、半導体部材10Mは、第1面F1と、第1側面SF1と、を含む。第3絶縁領域41cは、第2方向(例えば、Z軸方向)において、第1面F1と第3電極53との間にある。第1絶縁領域41aは、第1方向(X軸方向)において、第1側面SF1と第3電極53との間にある。
【0023】
第1面F1は、第1絶縁部材41(または第3電極53)のボトム部分に対向する。第1側面SF1は、第1絶縁部材41(または第3電極53)の側面に対向する。
図1に示すように、半導体部材10Mは、第2側面SF2を含んでも良い。第2絶縁領域41bは、第1方向(X軸方向)において、第3電極53と第2側面SF2との間にある。第2側面SF2は、第1絶縁部材41(または第3電極53)の別の側面に対向する。
【0024】
図1に示すように、実施形態においては、第1側面SF1の少なくとも一部は、逆テーパである。第1側面SF1の一部の角度が、第1側面SF1の別の一部の角度と異なる。
【0025】
例えば、第1側面SF1は、第1側面部分Fp1と第2側面部分Fp2とを含む。第1側面部分Fp1の第2方向(Z軸方向)における位置は、第1面F1の第2方向における位置と、第2側面部分Fp2の第2方向における位置と、の間にある。第1面F1と第1側面部分Fp1との間の角度を第1角度θp1とする。第1面F1に対して平行な平面と、第2側面部分Fp2と、の間の角度を第2角度θp2とする。例えば、第1角度θp1は、第1面F1を含む第1平面PL1と、第1側面部分Fp1と、の間の角度に対応する。第2角度θp2は、第1平面PL1と第2側面部分Fp2との間の角度に対応する。第1平面PL1は、例えば、X-Y平面に対応する。
【0026】
図1に示すように、実施形態においては、第1角度θp1及び第2角度θp2の少なくともいずれかは、90度未満である。例えば、第1側面部分Fp1及び第2側面部分Fp2の少なくともいずれかは、逆テーパである。
【0027】
第2角度θp2は、第1角度θp1とは異なる。この例では、第1角度θp1は、第2角度θp2よりも大きい。
【0028】
第1側面部分Fp1及び第2側面部分Fp2の少なくともいずれかが逆テーパであることで、例えば、高いしきい値電圧が得られる。
【0029】
例えば、第1半導体領域10から第2半導体領域20への向きは、半導体部材10Mの+c軸方向に沿う。これにより、第1半導体領域10の第2半導体領域20と対向する部分にキャリア領域が形成される。例えば、第4部分領域14の上面の近傍にキャリア領域が形成される。一方、第4部分領域14の第3電極53と対向する部分では、+c軸方向とは逆向きの分極が生じると考えられる。これにより、第4部分領域14の第3電極53と対向する部分において、電流が流れ難くなると考えられる。
【0030】
このように、実施形態においては、第1側面SF1の少なくとも一部が逆テーパであることで、高いしきい値電圧が得られる。
【0031】
実施形態において、上記のように、第2角度θp2は、第1角度θp1とは異なる。これにより、これらの角度が同じ場合に比べて、実効的なチャネル長を短くできる。実効的なチャネル長は、例えば、第3絶縁領域41cのX軸方向に沿う長さに対応する。例えば、第1角度θp1が第2角度θp2と同じ場合の第3絶縁領域41cのX軸方向に沿う長さは、第1角度θp1が第2角度θp2よりも大きい場合の第3絶縁領域41cのX軸方向に沿う長さよりも長い。実施形態においては、第3絶縁領域41cのX軸方向に沿う長さを短くできる。これにより、例えば、低いオン抵抗が得られる。
【0032】
実施形態によれば、特性の向上できる半導体装置を提供できる。例えば、高いしきい値電圧が得られる。例えば、低いオン抵抗が得られる。
【0033】
実施形態において、第1角度θp1及び第2角度θp2の少なくともいずれかは、85度以下である。これにより、しきい値電圧を安定して高くできる。
【0034】
実施形態において、第1角度θp1と第2角度θp2との差の絶対値は、2度以上である。差の絶対値は、5度以上でも良い。差の絶対値は、10度以上でも良い。差の絶対値は、例えば60度以下である。しきい値電圧及びオン抵抗を制御し易くなる。
【0035】
図1に示すように、半導体部材10Mは、基体10s及びバッファ層18を含んでも良い。基体10sは、例えば、シリコン、炭化シリコン、サファイア、窒化ガリウム及び窒化アルミニウムよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。基体10sの上にバッファ層18が設けられる。バッファ層18は、例えば、窒化物半導体を含む。バッファ層18の上に第1半導体領域10が設けられる。第1半導体領域10の上に第2半導体領域20が設けられる。
【0036】
この例では、半導体装置110は、窒化物部材30をさらに含む。窒化物部材30は、例えば、Alx3Ga1-x3N(0<x3<1)を含む。窒化物部材30は、例えば、AlNまたはAlGaNを含む。窒化物部材30におけるAlの組成比は、例えば、0.8以上である。例えば、組成比x3は、組成比x1よりも高い。
【0037】
窒化物部材30は、例えば、第1窒化物領域31、第2窒化物領域32、第3窒化物領域33、第4窒化物領域34及び第5窒化物領域35を含む。第1窒化物領域31は、第1方向(X軸方向)において、第4部分領域14と第1絶縁領域41aとの間にある。第2窒化物領域32は、第1方向(X軸方向)において、第2絶縁領域41bと第5部分領域15との間にある。第3窒化物領域33は、第2方向(Z軸方向)において、第3部分領域13と第3絶縁領域41cとの間にある。
【0038】
第1半導体部分21は、第2方向(Z軸方向)において、第4部分領域14と第4窒化物領域34との間にある。第2半導体部分22は、第2方向において、第5部分領域15と第5窒化物領域35との間にある。
【0039】
例えば、第1窒化物領域31の結晶性は、第4窒化物領域34の結晶性よりも高い。例えば、第2窒化物領域32の結晶性及び第3窒化物領域33の結晶性は、第4窒化物領域34の結晶性及び第5窒化物領域35の結晶性よりも高い。例えば、第1窒化物領域31、第2窒化物領域32及び第3窒化物領域33は、結晶(多結晶を含む)を含む。例えば、第4窒化物領域34及び第5窒化物領域35の少なくとも一部は、アモルファス領域を含む。
【0040】
第1窒化物領域31、第2窒化物領域32及び第3窒化物領域33において、結晶性が高いことで、半導体部材10Mにおいて高い結晶性が維持できる。例えば、高い移動度が得られる。
【0041】
第4窒化物領域34及び第5窒化物領域35の少なくとも一部において、結晶性が低いことにより、例えば、高い耐圧が得られる。例えば、小さいリーク電流が得られる。安定した特性が得られる。
【0042】
例えば、第3窒化物領域33の第2方向(Z軸方向)に沿う厚さは、0.5nm以上5nm以下である。このような厚さにより、例えば、電子の散乱が抑制されることで、機械的な歪みの緩和による特性劣化を抑制しつつ、電子移動度が向上できる。
【0043】
図1に示すように、第1絶縁部材41は、第4絶縁領域41d及び第5絶縁領域41eを含んでも良い。例えば、第1半導体部分21は、Z軸方向において、第4部分領域14と第4絶縁領域41dとの間にある。例えば、第2半導体部分22は、Z軸方向において、第5部分領域15と第5絶縁領域41eとの間にある。これらの半導体部分は、例えば、絶縁領域により覆われる。例えば、安定した特性が得られる。例えば、高い信頼性が得られる。
【0044】
第1絶縁部材41は、例えば、シリコンと酸素とを含む。第1絶縁部材41は、例えばSiO2を含む。第1絶縁部材41は、例えばSiOxを含んでも良い。第1絶縁部材41は、例えばSiONを含んでも良い。
【0045】
例えば、第4窒化物領域34は、第1半導体部分21と第4絶縁領域41dとの間にある。例えば、第5窒化物領域35は、第2半導体部分22と第5絶縁領域41eとの間にある。例えば、AlN膜と、酸化シリコン膜と、が積層される。より安定した特性が得易くなる。
【0046】
図1に示すように、半導体装置110は、第2絶縁部材42をさらに含んでも良い。第2絶縁部材42は、第1絶縁部分42pと第2絶縁部分42qとを含む。第1絶縁部分42pは、第1半導体部分21と第4窒化物領域34との間にある。第2絶縁部分42qは、第2半導体部分22と第5窒化物領域35との間にある。
【0047】
例えば、第2絶縁部材42は窒素を含み、第1絶縁部材41は酸素を含む。例えば、第2絶縁部材42は、シリコンと窒素とを含む。例えば、第1絶縁部材41は、シリコンと酸素とを含む。第1絶縁部材41は、窒素を含まない。または、第1絶縁部材41における窒素の濃度は、第2絶縁部材42における窒素の濃度よりも低い。第2絶縁部材42は、例えばSiNを含む。第2絶縁部材42は、例えばSiNxを含んでも良い。例えば、SiN膜と、AlN膜と、酸化シリコン膜と、が積層される。より安定した特性が得易くなる。
【0048】
図2は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図2に示すように、実施形態に係る半導体装置111においては、第1角度θp1は、第2角度θp2よりも小さい。この例では、第1角度θp1は、90度よりも小さく、第2角度θp2は、実質的に90度である。半導体装置111におけるこれ以外の構成は、半導体装置110と同様で良い。半導体装置111においても、例えば、高いしきい値電圧が得られる。例えば、低いオン抵抗が得られる。特性の向上できる半導体装置を提供できる。
【0049】
図3は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図3に示すように、実施形態に係る半導体装置112においては、第1側面SF1は、第1側面部分Fp1及び第2側面部分Fp2に加えて、第3側面部分Fp3をさらに含む。半導体装置112におけるこれ以外の構成は、半導体装置110と同様で良い。
【0050】
図3に示すように、第2側面部分Fp2の第2方向(Z軸方向)における位置は、第1側面部分Fp1の第2方向における位置と、第3側面部分Fp3の第2方向における位置と、の間にある。第1平面PL1と第3側面部分Fp3との間の角度を第3角度θp3とする。第3角度θp3は、第2角度θp2とは異なる。例えば、第1角度θp1は、第2角度θp2よりも大きい。例えば、第3角度θp3は、第1角度θp1よりも大きい。
【0051】
1つの例において、第2側面部分Fp2は、第4部分領域14の少なくとも一部である。第3側面部分Fp3は、第1半導体部分21の少なくとも一部である。
【0052】
半導体装置112においても、例えば、高いしきい値電圧が得られる。例えば、低いオン抵抗が得られる。特性の向上できる半導体装置を提供できる。第3角度θp3は、第1角度θp1と実質的に同じでも良い。例えば、第1角度θp1及び第3角度θp3のそれぞれは、第2角度θp2よりも大きくても良い。
【0053】
図4は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図4に示すように、実施形態に係る半導体装置120においては、第1側面SF1に加えて、第2側面SF2の少なくとも一部が、逆テーパである。半導体装置120におけるこれ以外の構成は、半導体装置110と同様で良い。
【0054】
図4に示すように、第2絶縁領域41bは、第1方向(X軸方向)において、第3電極53と第2側面SF2との間にある。第2側面SF2は、第1対向側面部分Fq1と第2対向側面部分Fq2とを含む。
【0055】
第1対向側面部分Fq1の第2方向(Z軸方向)における位置は、第1面F1の第2方向における位置と、第2対向側面部分Fq2の第2方向における位置と、の間にある。第1面F1と第1対向側面部分Fq1との間の角度を第1対向角度θq1とする。第1面F1に対して平行な平面と、第2対向側面部分Fq2と、の間の角度を第2対向角度θq2とする。第1対向角度θq1は、第1平面PL1(例えばX-Y平面)と、第1対向側面部分Fq1と、の間の角度に対応する。第2対向角度θq2は、第1平面PL1(例えばX-Y平面)と第2対向側面部分Fq2との間の角度に対応する。第1対向角度θq1及び第2対向角度θq2の少なくともいずれかは、90度未満である。例えば、第1対向側面部分Fq1及び第2対向側面部分Fq2の少なくともいずれかは、逆テーパである。例えば、第2対向角度θq2は、第1対向角度θq1とは異なる。この例では、第1対向角度θq1は、第2対向角度θq2よりも大きい。
【0056】
例えば、第1平面PL1(例えば第1面F1)と、第2側面SF2の少なくとも一部と、の間の角度は、90度未満である。このような構成により、例えば、高いしきい値電圧が得られる。例えば、低いオン抵抗が得られる。特性の向上できる半導体装置を提供できる。
【0057】
この例では、第2側面SF2は、第3対向側面部分Fq3をさらに含む。第2対向側面部分Fq2の第2方向(Z軸方向)における位置は、第1対向側面部分Fq1の第2方向における位置と、第3対向側面部分Fq3の第2方向における位置と、の間にある。第1平面PL1と第3対向側面部分Fq3との間の角度を第3対向角度θq3とする。第3対向角度θq3は、第2対向角度θq2とは異なる。
【0058】
この例では、第1対向角度θq1は、第2対向角度θq2よりも大きい。第3対向角度θq3は、第1対向角度θq1よりも大きい。
半導体装置120においては、第1角度θp1、第2角度θp2、第3角度θp3、第1対向角度θq1、第2対向角度θq2及び第3対向角度θq3は、90度未満である。第3角度θp3は、第1角度θp1と実質的に同じでも良い。第1角度θp1及び第3角度θp3のそれぞれは、第2角度θp2よりも大きくても良い。第3対向角度θq3は、第1対向角度θq1と実質的に同じで良い。第1対向角度θq1及び第3対向角度θq3のそれぞれは、第2対向角度θq2よりも大きくても良い。第2側面SF2の形状は、第1側面SF1の形状に対して実質的に対称で良い。
【0059】
図5は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図5に示すように、実施形態に係る半導体装置121における角度は、半導体装置120における角度とは異なる。半導体装置121におけるこれ以外の構成は、半導体装置120と同様で良い。
【0060】
半導体装置121においては、第1角度θp1、第3角度θp3、第1対向角度θq1、及び、第3対向角度θq3は、実質的に90度である。第2角度θp2、及び、第2対向角度θq2は、90度よりも小さい。半導体装置121においても、例えば、高いしきい値電圧が得られる。例えば、低いオン抵抗が得られる。特性の向上できる半導体装置を提供できる。
【0061】
図6は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図6に示すように、実施形態に係る半導体装置122においては、第1側面SF1は、第4側面部分Fp4を含み、第2側面SF2は、第4対向側面部分Fq4を含む。半導体装置122におけるこれ以外の構成は、半導体装置120と同様で良い。
【0062】
第4側面部分Fp4の第2方向(Z軸方向)における位置は、第1側面部分Fp1の第2方向における位置と、第2側面部分Fp2の第2方向における位置と、の間にある。第1平面PL1と第4側面部分Fp4との間の角度を第4角度θp4とする。第4角度θp4は、第1角度θp1とは異なり、第2角度θp2とは異なる。
【0063】
この例では、第4角度θp4は、90度よりも大きい。このような第4角度θp4が設けられることで、例えば、しきい値電圧及びオン抵抗を制御し易くなる。このように、実施形態において、第1平面PL1と、第1側面SF1の一部と、の間の角度は、90度よりも大きくても良い。
【0064】
第4対向側面部分Fq4の第2方向(Z軸方向)における位置は、第1対向側面部分Fq1の第2方向における位置と、第2対向側面部分Fq2の第2方向における位置と、の間にある。第1平面PL1と第4対向側面部分Fq4との間の角度を第4対向角度θq4とする。第4対向角度θq4は、第1対向角度θq1とは異なり、第2対向角度θq2とは異なる。例えば、しきい値電圧及びオン抵抗を制御し易くなる。このように、実施形態において、第1平面PL1と、第2側面SF2の一部と、の間の角度は、90度よりも大きくても良い。
【0065】
半導体装置122において、側面部分の角度が、変化しても良い。例えば、第3側面部分Fp3の一部の角度と、第3側面部分Fp3の別の一部の角度と、が互いに異なっても良い。例えば、対向側面部分の角度が、変化しても良い。例えば、第3対向側面部分Fq3の一部の角度と、第3対向側面部分Fq3の別の一部の角度と、が互いに異なっても良い。
【0066】
図7は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図7に示すように、実施形態に係る半導体装置123においては、第1側面部分Fp1は、第3側面部分Fp3と第2側面部分Fp2との間にある。第1対向側面部分Fq1は、第3対向側面部分Fq3と第2対向側面部分Fq2との間にある。第1角度θp1、第2角度θp2、第1対向角度θq1及び第2対向角度θq2は、90度未満である。この例では、第3角度θp3及び第3対向角度θq3は、90度よりも大きい。半導体装置123において、例えば、高いしきい値電圧が得られる。例えば、低いオン抵抗が得られる。例えば、特性の向上できる半導体装置を提供できる。
【0067】
(第2実施形態)
第2実施形態は、半導体装置の製造方法に係る。
図8(a)~
図8(h)、及び、
図9(a)~
図9(d)は、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を例示する模式的断面図である。
図8(a)に示すように、半導体層10aが準備される。半導体層10aの少なくとも一部が、第1半導体領域10となる。半導体層10aは、例えば、GaNを含む。
【0068】
図8(b)に示すように、半導体層10aの上に、第1層61が形成される。第1層61の上に、第2層62が形成される。第2層62の上に、第3層63が形成される。これらの層のエッチング特性は互いに異なる。例えば、第1層61は、SiO
x、SiN
x、SiON、AlO
x、Al
1-xSi
xO、HfO
x、及び、Al
1-xHf
xOよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。例えば、第2層62は、SiO
x、SiN
x、SiON、AlO
x、Al
1-xSi
xO、HfO
x、及び、Al
1-xHf
xOよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。例えば、第3層63は、SiO
x、SiN
x、SiON、AlO
x、Al
1-xSi
xO、HfO
x、及び、Al
1-xHf
xOよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。
【0069】
図8(c)に示すように、第3層63の一部を除去する。第3層63の側面は、順テーパ状である。第3層63の一部の除去においては、マスクを用いたエッチングなどが行われる。
【0070】
図8(d)に示すように、残った第3層63をマスクとして、第2層62の一部を除去する。この処理において、例えば、フォトレジストなどの他のマスクが用いられても良い。第2層62の側面は、順テーパ状である。
【0071】
図8(e)に示すように、残った第3層63及び残った第2層62をマスクとして、第1層61の一部を除去する。この処理において、例えば、フォトレジストなどの他のマスクが用いられても良い。第1層61の側面は、順テーパ状である。
【0072】
図8(f)に示すように、残った第3層63、残った第2層62、及び、残った第1層61をマスクとして、半導体層10aの一部を除去する。この処理において、例えば、フォトレジストなどの他のマスクが用いられても良い。半導体層10aの一部の側面は、順テーパ状である。第3層63の側面のテーパ角は、第2層62の側面のテーパ角とは異なる。第2層62の側面のテーパ角は、第1層61の側面のテーパ角とは異なる。
【0073】
図8(g)に示すように、半導体層10aの表面の上に、半導体層10bを形成する。半導体層10bは、再成長層である。半導体層10a及び半導体層10bは、第1半導体領域10となる。半導体層10bの上に第2半導体領域20を形成する。第2半導体領域20の上に、第2絶縁部材42を形成する。
【0074】
図8(h)に示すように、第2絶縁部材42の上にマスク65を形成する。マスク65の材料は、例えば、SiO
x、SiN
x、SiON、AlO
x、Al
1-xSi
xO、HfO
x、及び、Al
1-xHf
xOよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。マスク65の材料は、例えばフォトレジストを含んでも良い。マスク65をマスクとして用いて、第3層63が除去される。第3層63の除去においては、例えば、溶液を用いたエッチングが行われる。溶液は、例えば、フッ化水素酸、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、酢酸、ギ酸、過塩素酸、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、アンモニア、フッ化アンモニウム、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、過酸化水素、アセトン、メタノール及びイソプロパノールよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第3層63の除去は、プラズマエッチング処理により行われても良い。プラズマエッチングプロセスでは、例えば、Cl
x、BCl
3、CHF
x、C
xF
y及びSF
xよりなる群から選択された少なくとも1つを含むガスが用いられる。第3層63の除去において、溶液を用いた処理と、プラズマエッチング処理と、を含む処理が行われても良い。
【0075】
図9(a)に示すように、第2層62が除去される。第2層62の除去においては、例えば、溶液を用いたエッチングが行われる。溶液は、例えば、フッ化水素酸、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、酢酸、ギ酸、過塩素酸、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、アンモニア、フッ化アンモニウム、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、過酸化水素、アセトン、メタノール及びイソプロパノールよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第2層62の除去は、プラズマエッチング処理により行われても良い。プラズマエッチングプロセスでは、例えば、Cl
x、BCl
3、CHF
x、C
xF
y及びSF
xよりなる群から選択された少なくとも1つを含むガスが用いられる。第2層62の除去において、溶液を用いた処理と、プラズマエッチング処理と、を含む処理が行われても良い。
【0076】
図9(b)に示すように、第1層61が除去される。第1層61の除去においては、例えば、溶液を用いたエッチングが行われる。溶液は、例えば、フッ化水素酸、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、酢酸、ギ酸、過塩素酸、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、アンモニア、フッ化アンモニウム、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、過酸化水素、アセトン、メタノール及びイソプロパノールよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第1層61の除去は、プラズマエッチング処理により行われても良い。プラズマエッチングプロセスでは、例えば、Cl
x、BCl
3、CHF
x、C
xF
y及びSF
xよりなる群から選択された少なくとも1つを含むガスが用いられる。第1層61の除去において、溶液を用いた処理と、プラズマエッチング処理と、を含む処理が行われても良い。
マスク65は、例えば、上記したような処理で除去しても良い。例えば、マスク65は、第1層61を除去するのに用いた処理と同じ処理を用いて除去しても良い。
【0077】
図9(c)に示すように、窒化物部材30を形成する。
【0078】
図9(d)に示すように、第1絶縁部材41を形成する。この後、第3電極53を形成する。第1絶縁部材41、窒化物部材30及び第2絶縁部材42の一部を除去して、第1電極51及び第2電極52を形成する。これにより、例えば、半導体装置120が形成できる。
【0079】
実施形態に係る製造方法によれば、特性を向上できる半導体装置を製造できる。
【0080】
実施形態によれば、特性を向上できる半導体装置が提供できる。
【0081】
本願明細書において、「垂直」及び「平行」は、厳密な垂直及び厳密な平行だけではなく、例えば製造工程におけるばらつきなどを含むものであり、実質的に垂直及び実質的に平行であれば良い。
【0082】
なお、本明細書において「窒化物半導体」とは、BxInyAlzGa1-x-y-zN(0≦x≦1,0≦y≦1,0≦z≦1,x+y+z≦1)なる化学式において組成比x、y及びzをそれぞれの範囲内で変化させた全ての組成の半導体を含むものとする。またさらに、上記化学式において、N(窒素)以外のV族元素もさらに含むもの、導電形などの各種の物性を制御するために添加される各種の元素をさらに含むもの、及び、意図せずに含まれる各種の元素をさらに含むものも、「窒化物半導体」に含まれるものとする。
【0083】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、半導体装置に含まれる半導体部材、半導体層、電極、絶縁部分、絶縁膜などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0084】
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0085】
その他、本発明の実施の形態として上述した半導体装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての半導体装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0086】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0087】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0088】
10…第1半導体領域、
10M…半導体部材、
10a、10b…半導体層、
10s…基体、
11~15…第1~第5部分領域、
18…バッファ層、
20…第2半導体領域、
21、22…第1、第2半導体部分、
30…窒化物部材、
31~35…第1~第5窒化物領域、
41…第1絶縁部材、
41a~41e…第1~第5絶縁領域、
42…第2絶縁部材、
42p、42q…第1、第2絶縁部分、
51~53…第1~第3電極、
61~63…第1~第3層、
65…マスク、
θp1~θp4…第1~第4角度、
θq1~θq4…第1~第4対向角度、
110、111、112、120、121、122、123…半導体装置、
F1…第1面、
Fp1~Fp4…第1~第4側面部分、
Fq1~Fq4…第1~第4対向側面部分
PL1…第1平面、
SF1、SF2…第1、第2側面