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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-09
(45)【発行日】2024-04-17
(54)【発明の名称】地下構造物の構築方法および吊り具
(51)【国際特許分類】
   E02D 29/05 20060101AFI20240410BHJP
   E02D 17/08 20060101ALI20240410BHJP
   E02D 27/32 20060101ALI20240410BHJP
   E04G 21/14 20060101ALI20240410BHJP
【FI】
E02D29/05 F
E02D17/08 Z
E02D27/32 A
E04G21/14
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020176823
(22)【出願日】2020-10-21
(65)【公開番号】P2022067941
(43)【公開日】2022-05-09
【審査請求日】2023-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096091
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 誠一
(72)【発明者】
【氏名】戸張 正利
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 忠宏
(72)【発明者】
【氏名】矢野 一正
(72)【発明者】
【氏名】柑本 慎一郎
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-138488(JP,A)
【文献】特開2015-034412(JP,A)
【文献】特開2019-060408(JP,A)
【文献】実開平04-075887(JP,U)
【文献】特開平07-259182(JP,A)
【文献】特開平08-093054(JP,A)
【文献】特開2009-114649(JP,A)
【文献】特開平06-306864(JP,A)
【文献】特開平10-184018(JP,A)
【文献】実開昭48-004527(JP,U)
【文献】実開平4-75887(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 29/05
E02D 17/08
E02D 27/32
E04G 21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地下構造物の構築方法であって、
地盤に形成した立坑内に下段の形鋼を配置する工程(a)と、
吊り具に取り付けてユニット化された複数の添接板を前記立坑内に吊り込み、下段の前記形鋼の上端を挟むように配置する工程(b)と、
下段の前記形鋼の上端と、前記立坑内に配置した上段の形鋼の下端を、前記複数の添接板を用いて連結する工程(c)と、
前記立坑内にコンクリートを打設する工程(d)と、
を有し、
前記工程(b)において、前記複数の添接板の上部を、前記形鋼と対応する断面形状を有する前記吊り具の断面を挟むように前記吊り具に取り付け、当該吊り具を用いて前記複数の添接板を前記立坑内に吊り込むことを特徴とする地下構造物の構築方法。
【請求項2】
前記工程(b)において、前記複数の添接板を、下段の前記形鋼の上端を前記複数の添接板の下部で挟むように配置し、
前記工程(c)において、上段の前記形鋼の下端を前記複数の添接板の上部の間に挿入し、前記複数の添接板を用いた連結を行うことを特徴とする請求項記載の地下構造物の構築方法。
【請求項3】
地下構造物の構築方法であって、
地盤に形成した立坑内に下段の形鋼を配置する工程(a)と、
吊り具に取り付けてユニット化された複数の添接板を前記立坑内に吊り込み、下段の前記形鋼の上端を挟むように配置する工程(b)と、
下段の前記形鋼の上端と、前記立坑内に配置した上段の形鋼の下端を、前記複数の添接板を用いて連結する工程(c)と、
前記立坑内にコンクリートを打設する工程(d)と、
を有し、
前記工程(b)の前に、
前記形鋼と対応する断面形状を有するガイド材の両側にガイド支柱を設けた架台を用い、前記ガイド材の両側で、前記ガイド材と前記ガイド支柱の間に前記添接板を配置し、
前記架台に配置した複数の前記添接板を前記吊り具に取り付けることを特徴とする地下構造物の構築方法。
【請求項4】
上下の形鋼を連結するための複数の添接板をユニット化して吊り込むための吊り具であって、
前記形鋼と対応する断面形状を有し、
前記吊り具の断面を挟むように前記複数の添接板が取り付けられることを特徴とする吊り具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地下構造物の構築方法およびこれに用いる吊り具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、深礎基礎は、地盤に立坑を掘削し、立坑の内部に鉄筋篭を組み立ててコンクリートを打設することによって構築されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-114649号公報
【文献】特開平06-306864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の方法で大規模な深礎基礎を構築すると、多くの鉄筋が必要となり配筋作業に大変な手間がかかる。そのため、配筋作業を省力化して施工作業を効率化できる手法が望まれていた。
【0005】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、施工作業を効率化できる地下構造物の構築方法等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するための第1の発明は、地下構造物の構築方法であって、地盤に形成した立坑内に下段の形鋼を配置する工程(a)と、吊り具に取り付けてユニット化された複数の添接板を前記立坑内に吊り込み、下段の前記形鋼の上端を挟むように配置する工程(b)と、下段の前記形鋼の上端と、前記立坑内に配置した上段の形鋼の下端を、前記複数の添接板を用いて連結する工程(c)と、前記立坑内にコンクリートを打設する工程(d)と、を有し、前記工程(b)において、前記複数の添接板の上部を、前記形鋼と対応する断面形状を有する前記吊り具の断面を挟むように前記吊り具に取り付け、当該吊り具を用いて前記複数の添接板を前記立坑内に吊り込むことを特徴とする地下構造物の構築方法である。
【0007】
本発明では、深礎基礎などの地下構造物を構築する際に、地下構造物の補強材として形鋼を用いる。強度の高い形鋼を用いることで、多量の鉄筋を配置する場合に比べて配筋作業を省力化することができる。また上下の形鋼の連結に用いる複数の添接板をユニット化し一括して吊り込み、下段の形鋼にセットすることで、形鋼の連結作業が容易になる。
【0008】
また、複数の添接板は、吊り具の断面を挟むように取り付けることでユニット化でき、吊り具の断面形状が形鋼の断面形状に対応していることで、吊り具を形鋼の上に設置するだけで、複数の添接板をその下部で形鋼を挟むようにセットすることができる。
【0009】
前記工程(b)において、前記複数の添接板を、下段の前記形鋼の上端を前記複数の添接板の下部で挟むように配置し、前記工程(c)において、上段の前記形鋼の下端を前記複数の添接板の上部の間に挿入し、前記複数の添接板を用いた連結を行うことが望ましい。
これにより、上下の形鋼を添接板を介して好適に連結することができる。
【0010】
第2の発明は、地下構造物の構築方法であって、地盤に形成した立坑内に下段の形鋼を配置する工程(a)と、吊り具に取り付けてユニット化された複数の添接板を前記立坑内に吊り込み、下段の前記形鋼の上端を挟むように配置する工程(b)と、下段の前記形鋼の上端と、前記立坑内に配置した上段の形鋼の下端を、前記複数の添接板を用いて連結する工程(c)と、前記立坑内にコンクリートを打設する工程(d)と、を有し、前記工程(b)の前に、前記形鋼と対応する断面形状を有するガイド材の両側にガイド支柱を設けた架台を用い、前記ガイド材の両側で、前記ガイド材と前記ガイド支柱の間に前記添接板を配置し、前記架台に配置した複数の前記添接板を前記吊り具に取り付けることを特徴とする地下構造物の構築方法である
これにより、複数の添接板をユニット化する際に、架台を用いて複数の添接板を適切な位置関係で配置し、吊り具を用いて当該複数の添接板を容易にユニット化することができる。
【0011】
の発明は、上下の形鋼を連結するための複数の添接板をユニット化して吊り込むための吊り具であって、前記形鋼と対応する断面形状を有し、前記吊り具の断面を挟むように前記複数の添接板が取り付けられることを特徴とする吊り具である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、施工作業を効率化できる地下構造物の構築方法等を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】深礎基礎10を示す図。
図2】ストライプH形鋼を示す図。
図3】上下の外側鉄骨6の添接板63による連結部を示す図。
図4】深礎基礎10の構築方法について説明する図。
図5】深礎基礎10の構築方法について説明する図。
図6】深礎基礎10の構築方法について説明する図。
図7】深礎基礎10の構築方法について説明する図。
図8】架台100を示す図。
図9】架台100による添接板63の配置について示す図。
図10】吊り具200を示す図。
図11】添接板63の吊り具200への取付について示す図。
図12】ユニット化した添接板63の吊り上げについて示す図。
図13】添接板ユニットUの吊り込みについて説明する図。
図14】添接板63による上下の外側鉄骨6の連結について示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に基づいて本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0015】
(1.深礎基礎10)
図1は本発明の実施形態に係る構築方法で構築された地下構造物である深礎基礎10を示す図である。
【0016】
深礎基礎10は、径の大きな大口径深礎基礎であり、橋脚等の基礎として用いられる。
【0017】
深礎基礎10は、地盤1に形成された立坑2内にコンクリート9を打設することで構築される。立坑2および深礎基礎10は円形平面を有する。立坑2の壁面には図示しない鋼製リングが設けられ、吹付材が吹付けられる。あるいは、壁面にライナープレートを設ける場合や、壁面に吹付けを行いロックボルトを設ける場合もある。
【0018】
深礎基礎10の外周部では、外側帯鉄筋5、外側鉄骨6、内側帯鉄筋7、内側鉄骨8等がコンクリート9に埋設される。なお外側とは立坑2の壁面に近い側をいい、内側とは立坑2の平面の中心に近い側をいうものとする。
【0019】
外側帯鉄筋5は、立坑2(深礎基礎10)の最外部に位置し、立坑2の周方向に沿って配置される鉄筋である。外側帯鉄筋5は、立坑2内の平面において円周状に配置される。外側帯鉄筋5は、鉛直方向に所定の間隔を空けて設置される。
【0020】
外側鉄骨6は、外側帯鉄筋5の内側に配置される鉛直方向の形鋼であり、本実施形態ではストライプH形鋼が用いられる。ストライプH形鋼は、図2に示すようにフランジ幅方向の凸条aをフランジ表面に設けたH形鋼である。
【0021】
外側鉄骨6は、ウェブの幅方向を立坑2の径方向に合わせ、立坑2の周方向に沿って所定の間隔を空けて複数設置される。また本実施形態では、複数本の外側鉄骨6が添接板63を用いたボルト接合により上下に連結して用いられる。
【0022】
図3は添接板63を用いた上下の外側鉄骨6の連結部を示す図である。図3に示すように、添接板63は、外側鉄骨6のフランジの表面に沿って配置される添接板63-1、フランジの裏面(ウェブ側の面)に沿って配置される添接板63-2、ウェブに沿って配置される添接板63-3を含む。添接板63-3はウェブの両面に設けられる。これらの添接板63-1~63-3は上下の外側鉄骨6に跨るように設けられ、ウェブの添接板63-3はフランジの添接板63-1、63-2よりも上下に長い。
【0023】
これらの添接板63-1~63-3は、ボルトとナットによる締結具67を用いて上下の外側鉄骨6のフランジとウェブに取り付けられる。添接板63-1~63-3と外側鉄骨6にはボルトを通すための孔が設けられる。ボルトにはトルシアボルト等の高力ボルトを用いることができる。
【0024】
図1の説明に戻る。内側帯鉄筋7は、外側鉄骨6の内側に位置し、立坑2の周方向に沿って配置される鉄筋である。内側帯鉄筋7は、立坑2内の平面において内外二重の同心円状に配置される。内側帯鉄筋7は、鉛直方向に所定の間隔を空けて設置される。
【0025】
内側鉄骨8は、内側帯鉄筋7の内側に配置される鉛直方向の形鋼であり、本実施形態ではストライプH形鋼が用いられる。内側鉄骨8は、ウェブの幅方向を立坑2の径方向に合わせ、立坑2の周方向に沿って所定の間隔を空けて複数設置される。また本実施形態では、複数本の内側鉄骨8が、図3の例と同様、添接板83を用いたボルト接合により上下に連結して用いられる。
【0026】
なお、図1の符号3は外側鉄骨6と内側鉄骨8の設置に用いる設置台3であり、深礎基礎10では設置台3もコンクリート9に埋設される。また図1の符号4は設置台3の位置を固定するための底部コンクリートであり、上記のコンクリート9は底部コンクリート4の上に打設される。
【0027】
(2.深礎基礎10の構築方法)
次に、図4図7等を参照して深礎基礎10の構築方法について説明する。
【0028】
本実施形態では、地盤1を掘削して立坑2を形成した後、図4に示すように立坑2の底部に設置台3を設ける。設置台3は、H形鋼30と繋ぎ材31を有する。なお、図4において(a)は立坑2を上から見た図、(b)は立坑2の底部の鉛直断面を示す図である。これは以降の図5、6においても同様である。
【0029】
H形鋼30は、ウェブの幅方向を鉛直方向に合わせ、立坑2の径方向に沿って配置される。H形鋼30は、立坑2の周方向に沿って間隔を空けて複数本放射状に設けられる。H形鋼30の上フランジには、後述する外側鉄骨6や内側鉄骨8の固定に用いる孔(不図示)が設けられる。
【0030】
繋ぎ材31は、立坑2の周方向に並んだ複数のH形鋼30を連結し、隣り合うH形鋼30同士の間隔を保持する。繋ぎ材31には例えばアングル材が用いられ、立坑2内の平面において内外二重の同心円状に配置される。繋ぎ材31はH形鋼30の上フランジにボルト等で接合される。
【0031】
立坑2の底部では、必要に応じて立坑2の外周部に均しコンクリート33を打設し、不陸を調整する。H形鋼30は均しコンクリート33上に墨出しを行って均しコンクリート33上の所定位置に設置される。H形鋼30は、アンカー34により均しコンクリート33やその下方の地盤1に固定される。
【0032】
本実施形態では、次に、図5に示すように外側帯鉄筋5と外側鉄骨6を設置する。ここでは、まず立坑2の底部に底部コンクリート4を打設し、設置台3の位置を固定する。底部コンクリート4は、後述する外側鉄骨6や内側鉄骨8の固定作業を考慮して、H形鋼30の上部が露出するように打設する。
【0033】
底部コンクリート4を打設したら、立坑2の外周部に外側帯鉄筋5と外側鉄骨6を配置する。外側帯鉄筋5は、立坑2の壁面に設置した取付材(不図示)に固定して配置する。外側鉄骨6は外側帯鉄筋5の内側に設置する。
【0034】
図5(b)に示すように、外側鉄骨6の下端にはエンドプレート61が設けられており、外側鉄骨6の設置時には、エンドプレート61の孔(不図示)をH形鋼30の上フランジの孔と連通させ、これらの孔に頭付きボルト64の軸部を下から挿入し、エンドプレート61から突出する軸部の先端にナット65を締め込む。これにより、外側鉄骨6がH形鋼30の上フランジに固定される。
【0035】
こうして立坑2の周方向に複数の外側鉄骨6が配置される。これらの外側鉄骨6の上端部同士は、立坑2の周方向に沿って配置された繋ぎ材62によって連結される。
【0036】
繋ぎ材62は例えばアングル材であり、内外二重の同心円状に配置される。内外の繋ぎ材62は、立坑2の周方向に並んだ複数の外側鉄骨6の内側フランジと外側フランジにそれぞれボルト等で接合され、これにより複数の外側鉄骨6の上端部同士が繋ぎ材62により連結される。繋ぎ材62により隣り合う外側鉄骨6同士の間隔が保持され、外側鉄骨6の設置精度が高まる。
【0037】
次に、図6に示すように、外側鉄骨6から所定の間隔を空けて、外側鉄骨6の内側に内側帯鉄筋7と内側鉄骨8を設置する。内側帯鉄筋7は、外側鉄骨6に設けた架台(不図示)に固定することができる。内側鉄骨8は内側帯鉄筋7の内側に設置する。内側鉄骨8の下端にはエンドプレート81が設けられており、当該エンドプレート81を先程と同様に頭付ボルト84とナット85を用いてH形鋼30の上フランジに固定する。
【0038】
内側鉄骨8は、立坑2の周方向に複数配置される。これらの内側鉄骨8の上端部同士は、先程の繋ぎ材62と同様の繋ぎ材82を用いて、外側鉄骨6と同様に連結される。
【0039】
こうして図7(a)に示すように立坑2内に外側帯鉄筋5、外側鉄骨6、内側帯鉄筋7、内側鉄骨8が設置される。その後、図7(b)に示すように立坑2内にコンクリート9を打設することで、深礎基礎10の一部が構築される。なおコンクリート9は外側鉄骨6や内側鉄骨8の上端部が露出するように打設し、前記の繋ぎ材62、82はコンクリート9の打設後に取り外して後の工程で転用する。
【0040】
その後、図7(c)に示すように、先程設置した外側帯鉄筋5、外側鉄骨6、内側帯鉄筋7、内側鉄骨8の上方に、新たな外側帯鉄筋5、外側鉄骨6、内側帯鉄筋7、内側鉄骨8を先程と同様に設置する。ただし、外側鉄骨6、内側鉄骨8の下端は、設置台3に固定されるのではなく、その下段の外側鉄骨6、内側鉄骨8の上端に添接板63、83を用いて連結される。
【0041】
その後、先程打設したコンクリート9の上方に、図7(d)に示すように新たなコンクリート9を打設する。以下図7(c)、(d)の工程を繰り返すことで図1に示す深礎基礎10が構築される。
【0042】
(3.上下の外側鉄骨6、内側鉄骨8の連結)
次に、添接板63、83を用いた上下の外側鉄骨6、内側鉄骨8の連結方法について、図8図14等を参照して説明する。連結方法の説明は外側鉄骨6について行うが、内側鉄骨8についても同様の方法で連結される。
【0043】
本実施形態では、上下の外側鉄骨6を連結するに当たって、まず図8に示す架台100を用い、下段の外側鉄骨6にセットする複数の添接板63(図3の添接板63-1~63-3)をユニット化する。図8(a)は架台100の立面図、図8(b)は架台100を上から見た図である。
【0044】
図8に示すように、架台100は、ガイド材102、ガイド支柱103、104、添接板受材105、106等を有する。架台100は例えば横置きしたH形鋼を土台とし、そのフランジ表面上に配置され、ボルト等で固定される。
【0045】
ガイド材102は、外側鉄骨6と対応する断面形状を有するH形鋼であり、その軸方向が鉛直方向となるように配置される。
【0046】
ガイド支柱103、104は、ガイド材102のフランジの両側に配置される。
【0047】
ガイド支柱103は例えば山形鋼であり、その軸方向が鉛直方向となるように配置される。ガイド支柱103は、ガイド材102のフランジの表面との間に隙間を空けて配置される。
【0048】
ガイド支柱104は例えば溝形鋼であり、その軸方向が鉛直方向となるように配置される。ガイド支柱104は、ガイド材102のフランジの裏面との間に隙間を空けて配置される。
【0049】
ガイド支柱104は、ガイド材102のウェブの両側で配置される。これらのガイド支柱104は、ガイド材102のウェブの側面との間に隙間を空けて配置される。
【0050】
添接板受材105、106は例えば山形鋼であり、添接板受材105はガイド材102のフランジの表面に固定される。添接板受材106はガイド支柱104に固定してガイド支柱104とガイド材102のフランジの裏面の間に配置される。添接板受材105、106は、天端が同じ高さとなるように配置される。
【0051】
なお、図中符号107はガイド支柱103、104を連結する連結材であり、これによりガイド支柱103、104の間隔が保持される。
【0052】
ユニット化する複数の添接板63(63-1~63-3)は、この架台100を用いて配置する。この際、図9に示すように、添接板63-1を添接板受材105の上に載せて、ガイド材102のフランジの表面とガイド支柱103の間に配置する。また添接板63-2を添接板受材106の上に載せて、ガイド材102のフランジの裏面とガイド支柱104の間に配置する。これにより、添接板63-1、63-2の下部が、ガイド材102のフランジの両側に配置される。
【0053】
添接板63-3は、ガイド材102のウェブとその両側のガイド支柱104の間で、土台上に配置する。これにより、2枚の添接板63-3の下部が、ガイド材102のウェブの両側に配置される。このように架台100を用いて複数の添接板63(63-1~63-3)を配置することで、これらの添接板63(63-1~63-3)が正しい位置関係で配置される。
【0054】
その後、図10に示す吊り具200をこれら複数の添接板63(63-1~63-3)に取り付ける。吊り具200はフランジ201とウェブ202を有し、フランジ201とウェブ202が、外側鉄骨6および架台100のガイド材102と対応するH形の断面を構成する。ウェブ202はフランジ201の上下に突出している。
【0055】
ウェブ202を挟んだ両フランジ201の上端の間には、板状のストッパ203が架け渡される。ストッパ203は、ウェブ202の両側で設けられる。
【0056】
またウェブ202の上端付近では、ウェブ202の両面に板状のストッパ204が固定される。ストッパ204からウェブ202の下端までの長さは、図3に示す添接板63-3の上端から下段の外側鉄骨6の上端(上段の外側鉄骨6の下端)までの長さに対応する。またウェブ202において、ストッパ204の上方には吊り孔205が設けられる。
【0057】
この吊り具200のフランジ201を、図11に示すように添接板63-1、63-2の間に配置してストッパ203を添接板63-1、63-2の上端に当接させると同時に、吊り具200のウェブ202を2枚の添接板63-3の間に配置してストッパ204を添接板63-3の上端に当接させる。
【0058】
これにより、添接板63-1、63-2の上部が吊り具200のフランジ201を挟むように配置され、2枚の添接板63-3の上部が吊り具200のウェブ202を挟むように配置される。
【0059】
この時、フランジ201に設けられた孔211(図10参照)と添接板63-1、63-2の孔(外側鉄骨6へのボルト接合に用いる孔)が連通し、ウェブ202に設けられた孔221(図10参照)と2枚の添接板63-3の孔631(図9参照。外側鉄骨6へのボルト接合に用いる孔)とが連通する。
【0060】
これら連通した孔のそれぞれに締結具206のボルトを通し、その先端にナットを締め込むことで、添接板63-1~63-3の上部が吊り具200に取り付けられ、これら複数の添接板63(63-1~63-3)がユニット化される。以降、ユニット化された複数の添接板63(63-1~63-3)を、添接板ユニットということがある。
【0061】
以上のユニット化作業は、立坑2の周方向に並んだ複数の外側鉄骨6のそれぞれにセットする複数の添接板63(63-1~63-3)に対して行われ、これにより複数の添接板ユニットが形成される。
【0062】
その後、各添接板ユニットの吊り具200の吊り孔205を用い、ワイヤによって図12に示すように各添接板ユニットを吊り上げる。このワイヤは、図13(a)に示す吊りフレーム66から垂下したものであり、クレーン(不図示)によって吊りフレーム66を吊り降ろすことで、立坑2の周方向に並んだ複数の外側鉄骨6にセットする複数の添接板ユニットUを立坑2内に同時に吊り込む。
【0063】
吊りフレーム66は、図13(b)に上面を示すように、直線状の本体661の上面から、本体661と平面において直交する3本の直線状の張出部662が張り出したものである。添接板ユニットUは、図中位置bで示す、本体661の両端と張出部662の先端の計5箇所のそれぞれからワイヤにより吊り下げられる。
【0064】
これらの吊り位置bは、立坑2の周方向に並んだ複数の外側鉄骨6のそれぞれに対応する位置に定められ、この吊りフレーム66を用いることで、各添接板ユニットUを、上記複数の外側鉄骨6のそれぞれに対応する位置で同時に吊り降ろし、各添接板ユニットUの添接板63を各外側鉄骨6へ容易にセットすることができる。
【0065】
添接板63を外側鉄骨6にセットする際は、図14(a)に示すように、吊り具200のウェブ202の下端を外側鉄骨6のウェブの上端に当接させる。
【0066】
これにより、添接板63-1、63-2の下部が外側鉄骨6のフランジの上端を挟むように配置され、2枚の添接板63-3の下部が、外側鉄骨6のウェブの上端を挟むように配置される。こうして添接板63-1~63-3のセットを行った後、締結具206を取り外して図14(b)に示すように吊り具200を撤去する。
【0067】
その後、上段の外側鉄骨6を立坑2内に吊り込み、図14(c)に示すように、当該外側鉄骨6の下端を下段の外側鉄骨6の上端に当接させて配置する。この時、上段の外側鉄骨6のフランジの下端が添接板63-1、63-2の上部の間に挿入され、上段の外側鉄骨6のウェブの下端が2枚の添接板63-3の上部の間に挿入される。
【0068】
その後、必要に応じて添接板63-1~63-3の孔が上下の外側鉄骨6のフランジやウェブの孔に連通するように位置合わせを行い、図14(d)に示すように、これら連通した孔のそれぞれに締結具67のボルトを通し、その先端にナットを締め込む。これにより、添接板63-1~63-3の下部がボルト接合により下段の外側鉄骨6に取り付けられ、添接板63-1~63-3の上部がボルト接合により上段の外側鉄骨6に取り付けられる。
【0069】
以上の手順により、複数の添接板63(63-1~63-3)を介して上下の外側鉄骨6が連結される。上記の作業は、立坑2の周方向に並んだ複数の外側鉄骨6のそれぞれについて行われる。
【0070】
このように、本実施形態によれば、深礎基礎10を構築する際に、深礎基礎10の補強材として形鋼(外側鉄骨6、内側鉄骨8)を用いる。強度の高い形鋼を用いることで、多量の鉄筋を配置する場合に比べて配筋作業を省力化することができる。また上下の形鋼の連結に用いる複数の添接板63(83)をユニット化し一括して吊り込み、下段の形鋼にセットすることで、形鋼の連結作業が容易になる。
【0071】
また複数の添接板63(83)は、吊り具200の断面を挟むように取り付けることでユニット化でき、吊り具200の断面形状が形鋼の断面形状に対応していることで、吊り具200を形鋼の上に設置するだけで、複数の添接板63(83)をその下部で形鋼を挟むようにセットすることができる。
【0072】
また、複数の添接板63(83)を、下段の形鋼の上端を複数の添接板63(83)の下部で挟むように配置した後、上段の形鋼の下端を複数の添接板63(83)の上部の間に挿入することで、上下の形鋼を添接板63(83)を介して好適に連結することができる。
【0073】
また本実施形態では、複数の添接板63(83)をユニット化する際に、前記した架台100を用いて複数の添接板63(83)を適切な位置関係で配置し、吊り具200を用いて当該複数の添接板63(83)を容易にユニット化することができる。
【0074】
しかしながら、本発明は以上の実施形態に限らない。例えば、深礎基礎10内の配筋は前記に限らず、内側鉄骨8を省略すること等も可能である。また外側帯鉄筋5や内側帯鉄筋7の段数も変えることができる。
【0075】
また外側鉄骨6や内側鉄骨8として、ストライプH形鋼以外の形鋼を用いることも可能である。架台100のガイド材102や吊り具200は、これらの形鋼の断面形状に合わせたものが用いられ、ガイド材102や吊り具200の断面を両側から挟むように添接板63が配置される。
【0076】
また本実施形態では、地下構造物として深礎基礎10を構築する例を説明したが、本実施形態の構築方法は、その他の地下構造物を構築する場合にも適用することができる。
【0077】
以上、添付図面を参照しながら、本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0078】
1:地盤
2:立坑
5:外側帯鉄筋
6:外側鉄骨
7:内側帯鉄筋
8:内側鉄骨
9:コンクリート
10:深礎基礎
63、63-1、63-2、63-3:添接板
100:架台
102:ガイド材
103、104:ガイド支柱
105、106:添接板受材
200:吊り具
201:フランジ
202:ウェブ
203、204:ストッパ
205:吊り孔
図1
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