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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-09
(45)【発行日】2024-04-17
(54)【発明の名称】消火システム
(51)【国際特許分類】
   A62C 37/00 20060101AFI20240410BHJP
   A62C 37/50 20060101ALI20240410BHJP
【FI】
A62C37/00
A62C37/50
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020198735
(22)【出願日】2020-11-30
(65)【公開番号】P2022086620
(43)【公開日】2022-06-09
【審査請求日】2023-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】戸賀沢 舟
(72)【発明者】
【氏名】橋本 多賀路
(72)【発明者】
【氏名】岡澤 政志
(72)【発明者】
【氏名】今井 亮輔
【審査官】松永 謙一
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-320174(JP,A)
【文献】特開2019-209155(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 37/00-37/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
消火装置と、
前記消火装置からの放水を指示するための現地制御盤と、
前記現地制御盤と通信可能なように接続自在であり、表示部と操作部を備える可搬型の現地操作ユニットと、
前記消火装置と通信可能に接続された中央操作盤
を備え、
前記現地制御盤は、前記消火装置の状態情報を取得し、
前記現地操作ユニットは、前記現地制御盤から前記状態情報を取得して前記表示部に表示させ、
前記現地操作ユニットは、前記消火装置からの放水を制御するために利用者が前記操作部を操作すると、当該操作を表す操作信号を前記現地制御盤に出力し、
前記現地制御盤は、前記出力された操作信号に応じて前記消火装置からの放水を指示し、
前記現地操作ユニットは、前記中央操作盤と通信可能なように接続自在であり、
前記中央操作盤は、前記現地操作ユニットの通信状態を確認する試験を行い、当該試験の結果を自機の表示部に表示させ
火システム。
【請求項2】
消火装置と、
前記消火装置からの放水を指示するための現地制御盤と、
前記現地制御盤と通信可能なように接続自在であり、表示部と操作部を備える可搬型の現地操作ユニットと、
前記消火装置と通信可能に接続された中央操作盤と
を備え、
前記現地制御盤は、前記消火装置の状態情報を取得し、
前記現地操作ユニットは、前記現地制御盤から前記状態情報を取得して前記表示部に表示させ、
前記現地操作ユニットは、前記消火装置からの放水を制御するために利用者が前記操作部を操作すると、当該操作を表す操作信号を前記現地制御盤に出力し、
前記現地制御盤は、前記出力された操作信号に応じて前記消火装置からの放水を指示し、
前記中央操作盤は、前記消火装置と、前記消火装置が設定された区画とを対応付けてなる区画情報を記憶し、当該区画情報を前記現地操作ユニットに出力して記憶させ
火システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消火システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アトリウムや展示場などの高天井部分に設置されるスプリンクラ設備として、放水型ヘッド等スプリンクラ設備が知られている。例えば、特許文献1には、防護区画に設置される複数の可動式ヘッドと、火災信号に連動して可動式ヘッドを起動して、火源探査や放水を指示する中央操作盤と、可動式ヘッドを手動で遠隔操作するための現地操作盤とを備える放水型ヘッド等スプリンクラ設備が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-230409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の現地操作盤は、操作対象である可動式ヘッドが見える位置に設置される必要があった。なぜなら、現地操作盤の利用者は、操作対象である可動式ヘッドを見ながら現地操作盤を操作する必要があるからである。そのため、従来の現地操作盤には、設置位置が制限されてしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、現地制御盤の設置の自由度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明に係る消火システムは、消火装置と、前記消火装置からの放水を指示するための現地制御盤と、前記現地制御盤と通信可能なように接続自在であり、表示部と操作部を備える可搬型の現地操作ユニットとを備える消火システムであって、前記現地制御盤は、前記消火装置の状態情報を取得し、前記現地操作ユニットは、前記現地制御盤から前記状態情報を取得して前記表示部に表示させ、前記現地操作ユニットは、前記消火装置からの放水を制御するために利用者が前記操作部を操作すると、当該操作を表す操作信号を前記現地制御盤に出力し、前記現地制御盤は、前記出力された操作信号に応じて前記消火装置からの放水を指示することを特徴とする。
【0007】
好ましい態様において、前記消火装置と通信可能に接続された中央操作盤をさらに備え、前記現地操作ユニットは、前記中央操作盤と通信可能なように接続自在であり、前記中央操作盤は、前記現地操作ユニットが自機に接続されている間に、前記現地操作ユニットの動作試験を行い、当該動作試験の結果を自機の表示部に表示させる。
【0008】
さらに好ましい態様において、前記中央操作盤は、前記消火装置と、前記消火装置が設定された区画とを対応付けてなる区画情報を記憶し、前記現地操作ユニットが自機に接続されている間に、当該区画情報を前記現地操作ユニットに出力して記憶させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、現地制御盤の設置の自由度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】消火システム1の構成を示すブロック図
図2】中央操作盤3の内部構成の一例を示すブロック図
図3】点検画面の一例を示す図
図4】ノズルユニット4の火災発生時の動作を示す図
図5】現地制御盤5の内部構成の一例を示すブロック図
図6】現地操作ユニット6の外観の一例を示す図
図7】現地操作ユニット6の内部構成の一例を示すブロック図
図8】ノズル選択画面の一例を示す図
図9】ノズルユニット4の状態表示画面の一例を示す図
図10】操作画面の一例を示す図
図11】操作画面の別の例を示す図
図12】復旧画面の一例を示す図
図13】試験画面の一例を示す図
図14】第1送信モードを示す図
図15】第2送信モードを示す図
図16】自動消火モードを示すシーケンス図
図17】手動消火モードを示すシーケンス図
図18】手動消火モードを示す別のシーケンス図
図19】放水停止・復旧動作を示すシーケンス図
図20】放水停止・復旧動作を示す別のシーケンス図
図21】消火システム10の構成を示す図
図22】散水制御盤14の内部構成の一例を示すブロック図
図23】表示操作パネル143の一例を示す図
図24】現地制御盤15の内部構成の一例を示すブロック図
図25】現地操作ユニット16の内部構成の一例を示すブロック図
図26】表示操作パネル163の一例を示す図
図27】自動放水モードを示すシーケンス図
図28】自動放水モードを示すシーケンス図
図29】手動放水モードを示すシーケンス図
図30】手動放水モードを示すシーケンス図
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.第1実施形態
1-1.構成
本発明の第1実施形態に係る消火システム1について図面を参照して説明する。
本実施形態に係る消火システム1は、建物Bの高天井部分に設置される放水型ヘッド等スプリンクラ設備である。図1は、この消火システム1の構成を示すブロック図である。同図に示す消火システム1は、自動火災報知設備2、中央操作盤3、複数のノズルユニット4、現地制御盤5および現地操作ユニット6を備える。以下、各構成要素について説明する。
【0012】
1-1-1.自動火災報知設備2
自動火災報知設備2は、建物Bの高天井部分に設置される複数の感知器と、建物Bの防災センタに設置されるR型の火災受信機を備える(いずれも図示略)。このうち感知器は、例えば煙感知器や炎感知器であり、測定した物理量を示すアナログ値を火災受信機に送信する。火災受信機は、感知器により測定された物理量が所定の閾値を超え、かつ、その継続時間が所定時間を超えると、感知器発報信号を中央操作盤3に送信する。この感知器発報信号には、発報した感知器の火災区画を示す情報が含まれる。
【0013】
1-1-2.中央操作盤3
中央操作盤3は、ノズルユニット4を自動または手動で遠隔制御するための装置である。この中央操作盤3は、建物Bの防災センタに設置され、信号線L1を介して火災受信機と接続される。図2は、この中央操作盤3の内部構成の一例を示すブロック図である。同図に示す中央操作盤3は、制御部31、記憶部32、表示部33、操作部34および通信部35を備える。
【0014】
このうち制御部31は、プロセッサとメモリにより構成され、プロセッサが、メモリに記憶されるプログラムを実行することにより、各種の機能が実現される。実現される機能には、ノズル制御部311、ノズル情報管理部312、試験部313、表示制御部314、区画情報管理部315および区画情報同期部316が含まれる。
【0015】
このうちノズル制御部311は、火災受信機から送信される感知器発報信号に応じて、またはセンタ要員による操作に応じて、ノズルユニット4を制御する。
【0016】
ノズル情報管理部312は、センタ要員による操作を支援するために、各ノズルユニット4からノズル情報を取得して管理する。ここで言うノズル情報とは、具体的には、ノズルユニット4の状態情報、操作権情報および現地単独情報である。このうち現地単独情報は、現地制御盤5が中央操作盤3からの制御を受け付けない状態(言い換えると、現地単独状態)であるか否かを示す情報である。現地単独状態のノズルユニット4が放水しているときには、他のノズルユニット4の放水は制限される。
【0017】
次に、試験部313は、中央操作盤3に接続されている現地操作ユニット6の動作試験を定期的に行う。ここで言う動作試験とは、現地操作ユニット6の通信状態を確認する試験である。試験部313は、現地操作ユニット6に対して状態確認コマンドを送信し、応答を受信できれば正常と判定し、応答を受信できなければ異常と判定する。このように動作試験を定期的に行うことによって、現地操作ユニット6をいざ使用する際に、使用することができないといった事態を防止することができる。
【0018】
表示制御部314は、中央操作盤3の操作用画面を生成して、表示部33に表示させる。表示される画面には、点検画面が含まれる。この点検画面は、現地操作ユニット6の動作試験の結果を示す画面である。図3は、この点検画面の一例を示す図である。同図に示す点検画面は、現地操作ユニット6Aの通信状態が正常であり、現地操作ユニット6Bの通信状態が異常であることを示している。
【0019】
区画情報管理部315は、センタ要員による操作を支援するために、区画情報を管理する。ここで言う区画情報とは、防護区画の識別情報と、当該防護区画に設定されているノズルユニット4の識別情報とを対応付けてなる情報である。この区画情報は、中央操作盤3の盤面上または中央操作盤3に接続されたPC上で編集される。
【0020】
区画情報同期部316は、現地操作ユニット6に記憶されている区画情報を、中央操作盤3に記憶されている区画情報に同期させる。この同期処理は、中央操作盤3の起動時と、中央操作盤3において区画情報が更新された時に実行される。この同期処理により、現地操作ユニット6に記憶されている区画情報を最新の状態に維持することができる。
【0021】
1-1-3.ノズルユニット4
次に、ノズルユニット4について説明する。
ノズルユニット4は、建物Bの高天井部分に設置される消火装置であり、具体的には可動式ヘッドである。このノズルユニット4は、図1に示すように、ループ状の配線L2を介して中央操作盤3と通信可能に接続されている。また、このノズルユニット4は、ループ状の配線L3を介して現地制御盤5と通信可能に接続されている。すなわち、このノズルユニット4は、中央操作盤3と現地制御盤5に対して個別に接続されていない。そのため、個別に接続する場合と比較して、中央操作盤3と現地制御盤5に接続される配線数が削減される。
【0022】
このノズルユニット4は、放水部41、感知部42、制御部43および信号中継部44を備える(これらのうち、放水部41と感知部42については、図4参照。制御部43と信号中継部44については、図示略)。
【0023】
放水部41は、遠投、中投、近投の3種類のヘッドを一体構造とした組合せノズルである。
【0024】
感知部42は、赤外線リニアセンサ421と炎検知器422を備える。このうち赤外線リニアセンサ421は、警戒区域内の高温点を探査し、その方向を検出する。一方、炎検知器422は、赤外線3波長式炎検知器であり、赤外線リニアセンサ421で検出された方向の火源を検出する。
【0025】
制御部43は、中央操作盤3および現地制御盤5から信号を受信し、受信した信号に応じて放水部41および感知部42を制御する。加えて、受信した信号に応じて当該ノズルユニット4の状態情報、操作権情報および現地単独情報を管理する。これらの情報のうち、状態情報により表される状態には、格納、火源探査中、火源確定、放水中、異常および汚損が含まれる。これらの状態のうち、異常とは、電源異常、旋回異常、検知異常または通信異常である。汚損とは、感知部42の受光窓の汚損である。
【0026】
信号中継部44は、他のノズルユニット4と中央操作盤3または現地制御盤5の間でやり取りされる信号を中継する。
【0027】
図4は、このノズルユニット4の火災発生時の動作を示す図である。
ノズルユニット4は、平常時、壁面に埋め込まれた状態で格納されている(図4(a))。この状態において、中央操作盤3から探査開始信号が入力されると、ノズルユニット4は起動して、放水部41と感知部42が一体となって旋回を開始する(図4(b))。旋回の開始後、赤外線リニアセンサ421は、警戒区域内の高温点を探査し、その方向を検出する(図4(c))。高温点の方向が検出されると、その検出された方向に炎検知器422の正面が向けられ、炎検知器422は当該方向の火源Fを検出する(図4(d))。火源Fが検出されると、制御部43は、旋回角を示す火源位置信号を中央操作盤3に送信する。火災位置信号の送信後、放水部41のノズル口が、その検出された火源Fに向けられ、その状態でノズルユニット4は待機状態となる(図4(e))。その後、中央操作盤3からこのノズルユニット4に対して放水開始信号が送信されると、放水部41から火源Fに対して放水が行われる。
【0028】
1-1-4.現地制御盤5
次に、現地制御盤5について説明する。
現地制御盤5は、ノズルユニット4を手動で遠隔制御するための装置である。この現地制御盤5は、ノズルユニット4が設置されている防護区画内に設置される。この現地制御盤5には、可搬型の現地操作ユニット6が着脱自在に接続される。この現地操作ユニット6は、後述するようにタッチスクリーン62を備え、この現地操作ユニット6を用いて現地制御盤5が操作される。そのため、現地制御盤5は表示部と操作部を備える必要がない。したがって、現地制御盤5は、従来の現地操作盤と比較して小型化することができる。
【0029】
加えて、現地操作ユニット6は可搬型であり、ケーブルを介して現地制御盤5に接続される。そのため、この現地操作ユニット6の利用者は、現地制御盤5から離れた位置で当該制御盤を操作することができる。例えば、利用者は、ノズルユニット4が見える位置に移動して現地制御盤5を操作することができる。したがって、この現地制御盤5は、従来の現地操作盤と異なり、ノズルユニット4が見える位置に設置する必要がない。すなわち、この現地制御盤5は設置の自由度が高い。また、この現地制御盤5は、例えば、目立たない位置に設置することも可能であることから、設置場所の壁の色に合わせて製造するといった配慮が不要となる。
【0030】
次に、現地制御盤5の内部構成について説明する。
図5は、この現地制御盤5の内部構成の一例を示すブロック図である。同図に示す現地制御盤5は、制御部51、記憶部52および通信部53を備える。このうち制御部51は、プロセッサとメモリにより構成され、プロセッサが、メモリに記憶されるプログラムを実行することにより、各種の機能が実現される。実現される機能の中には、ノズル情報管理部511、ノズル情報出力部512およびノズル制御部513が含まれる。
【0031】
ノズル情報管理部511は、センタ要員による操作を支援するために、各ノズルユニット4からノズル情報を取得して管理する。ここで言うノズル情報とは、上記の通り、ノズルユニット4の状態情報、操作権情報および現地単独情報である。
【0032】
ノズル情報出力部512は、現地制御盤5に記憶されているノズル情報を現地操作ユニット6に出力する。
【0033】
ノズル制御部513は、現地操作ユニット6から入力される操作信号に応じてノズルユニット4を制御する。
【0034】
1-1-5.現地操作ユニット6
次に、現地操作ユニット6について説明する。
現地操作ユニット6は、現地制御盤5を操作するために使用される可搬型の情報処理装置である。図6は、この現地操作ユニット6の外観の一例を示す図である。同図に示す現地操作ユニット6は、略直方体状の筐体61と、筐体61の正面に配置されたタッチスクリーン62および通話スイッチ63と、筐体61の底面に配置されたジャック64および端子65を備える。このうち通話スイッチ63は、中央操作盤3との通話を開始するためのスイッチである。中央操作盤3との通話は、中央操作盤3と現地制御盤5を結ぶ図示せぬ通信線を介して行われる。ジャック64は、通話用のヘッドセットの端子が挿入される差込口である。端子65は、現地制御盤5および中央操作盤3とケーブルを介して(またはケーブルとコネクタボックスを介して)通信接続するための器具である。現地操作ユニット6は、この端子65を介して、現地制御盤5および中央操作盤3と着脱自在に通信接続される。現地操作ユニット6は、平常時は中央操作盤3に接続されており、利用時は、中央操作盤3から取り外されて現地に持参され、現地制御盤5に接続される。
【0035】
図7は、この現地操作ユニット6の内部構成の一例を示すブロック図である。同図に示す現地操作ユニット6は、タッチスクリーン62、制御部66、記憶部67および通信部68を備える。このうち制御部66は、プロセッサとメモリにより構成され、プロセッサが、メモリに記憶されるプログラムを実行することにより、各種の機能が実現される。実現される機能の中には、ノズル情報取得部661、表示制御部662および操作信号出力部663が含まれる。
【0036】
ノズル情報取得部661は、現地制御盤5からノズル情報を取得する。このノズル情報の取得は、現地操作ユニット6が現地制御盤5に接続されて起動した時と、現地制御盤5においてノズル情報が更新された時に行われる。
【0037】
表示制御部662は、ノズル情報取得部661により取得されるノズル情報と、記憶部67に記憶される区画情報に基づいて現地制御盤5の操作用画面を生成する。そして、生成した操作用画面をタッチスクリーン62に表示させる。
【0038】
操作信号出力部663は、タッチスクリーン62に操作が入力されると、入力された操作を表す信号を現地制御盤5に出力する。
【0039】
次に、表示制御部662により生成される操作用画面について説明する。図8は、ノズル選択画面の一例を示す図である。同図に示すノズル選択画面は、制御対象のノズルユニット4を選択するための画面である。この画面には、現地制御盤5に接続されている各ノズルユニット4の名称と設置区画が示されている。加えて、各ノズルユニット4の状態が色分けされて示されている。同画面によれば、「SR-01」と「SR-06」は火源確定状態であり、「SR-03」は現地単独状態であり、「SR-10」は放水中であり、「SR-14」は異常または汚損状態であり、その他は格納状態である。センタ要員は、この画面を参照して、制御対象のノズルユニット4を選択する。当該選択操作は、例えば、画面上の各「ノズルユニット4の名称(SR-**)」の箇所をタッチ操作することで行われる。
【0040】
図9は、選択されたノズルユニット4の状態表示画面の一例を示す図である。同図に示す状態表示画面には、タブT1~T4が含まれている。タブT1は、状態表示画面への遷移を指示するためのボタンであり、タブT2は、操作画面への遷移を指示するためのボタンであり、タブT3は、復旧画面への遷移を指示するためのボタンであり、タブT4は、試験画面への遷移を指示するためのボタンである。
【0041】
加えて、同図に示す状態表示画面には、異常灯Lp1と火災灯Lp2が含まれている。このうち異常灯Lp1は、ノズルユニット4が異常状態であるときに点灯し、火災灯Lp2は、火災受信機から感知器発報信号が入力されると点灯する。同画面によれば、「SR-06」は異常状態ではなく、火災発生中である。
【0042】
加えて、同画面には、ノズルの状態情報が示されている。同画面によれば、「SR-06」は火源確定状態である。
【0043】
加えて、同画面には、操作権表示灯B1および操作権ボタンB2が含まれている。このうち操作権表示灯B1は、中央操作盤3が操作権を取得すると点灯し、現地制御盤5が操作権を取得したり、操作権が開放されたりすると消灯する。一方、操作権ボタンB2は、現地制御盤5に操作権を取得させるためのボタンである。
【0044】
加えて、同画面には、操作画面ボタンB3とノズル選択画面ボタンB4が含まれている。操作画面ボタンB3は、操作画面への遷移を指示するためのボタンであり、ノズル選択画面ボタンB4は、ノズル選択画面への遷移を指示するためのボタンである。
【0045】
次に、操作画面について説明する。
図10は、操作画面の一例を示す図である。同図に示す操作画面には、上記のタブT1~T4、異常灯Lp1および火災灯Lp2が含まれている。加えて、同画面には、放水準備ボタンB5が含まれている。この放水準備ボタンB5は、放水準備を指示するためのボタンである。同画面では、この放水準備ボタンB5は未選択の状態となっている。
【0046】
加えて、同画面には、矢印ボタンB6~B9が含まれている。これらの矢印ボタンB6~B9は、ノズルユニット4の放水部41の旋回を指示するためのボタンである。これらのボタンのうち、矢印ボタンB6は、低速左旋回を指示するためのボタンであり、矢印ボタンB7は、高速左旋回を指示するためのボタンであり、矢印ボタンB8は、低速右旋回を指示するためのボタンであり、矢印ボタンB9は、高速右旋回を指示するためのボタンである。同画面では、放水準備ボタンB5が選択されておらず、放水準備が完了していないため、これらの矢印ボタンB6~B9はグレーアウトされている。
【0047】
加えて、同画面には、ノズル画像P1が含まれている。このノズル画像P1は、ノズルユニット4が格納状態であるか否かを示す画像である。同画面によれば、「SR-06」は格納状態である。センタ要員は、このノズル画像P1を見ることで、ノズルユニット4が格納状態であるか否かを知ることができる。
【0048】
加えて、同画面には、インジケータ画像P2が含まれている。このインジケータ画像P2は、ノズルユニット4の放水部41の旋回角を示す画像である。同画面では、「SR-06」は格納状態であるため、バーP21が非表示となっている。
【0049】
加えて、同画面には、放水開始ボタンB10と放水停止ボタンB11が含まれている。放水開始ボタンB10は、放水開始を指示するためのボタンであり、放水停止ボタンB11は、放水停止を指示するためのボタンである。同画面では、放水準備ボタンB5が選択されておらず、放水準備が完了していないため、放水開始ボタンB10はグレーアウトされている。
【0050】
図11は、操作画面の別の例を示す図である。同図に操作画面では、放水準備ボタンB5が選択されており、放水準備が完了している。そのため、同画面では、矢印ボタンB6~B9と放水開始ボタンB10が選択可能となっている。加えて、同画面では、ノズル画像P1に示される通り、「SR-06」は非格納状態となっている。そのため、インジケータ画像P2にバーP21が表示されている。同画面では、このバーP21は中央に位置しており、これは、ノズルユニット4の放水部41が正面を向いていることを示している。なお、このバーP21は、放水部41が左旋回すると左方向に移動し、右旋回すると右方向に移動する。
【0051】
次に、復旧画面について説明する。
図12は、復旧画面の一例を示す図である。同図に示す復旧画面には、上記のタブT1~T4、異常灯Lp1、火災灯Lp2およびノズル選択画面ボタンB4が含まれている。加えて、同画面には、復旧ボタンB12と実行ボタンB13が含まれている。復旧ボタンB12は、ノズルユニット4の復旧を指示するためのボタンであり、実行ボタンB13は、ノズルユニット4を現地単独状態に変更することを指示するためのボタンである。
【0052】
次に、試験画面について説明する。
図13は、試験画面の一例を示す図である。同図に示す試験画面は、上記のタブT1~T4、異常灯Lp1、火災灯Lp2およびノズル選択画面ボタンB4が含まれている。加えて、同画面には、実行ボタンB14が含まれている。この実行ボタンB14は、ノズルユニット4のセルフチェック試験を指示するためのボタンである。
【0053】
1-2.動作
消火システム1の動作について説明する。具体的には、通信動作、消火動作および放水停止・復旧動作について説明する。
【0054】
1-2-1.通信動作
中央操作盤3と現地制御盤5は、各ノズルユニット4とポーリング方式で通信を行う。ここで言うポーリング方式とは、マスタ機器が複数のスレーブ機器に対してデータの送信要求の有無を定期的に問い合わせる通信方式のことである。中央操作盤3と現地制御盤5は、このポーリング方式で通信を行うにあたって、ポーリングごとに第1送信モードと第2送信モードを交互に切り替える。図14は、第1送信モードを示す図であり、図15は、第2送信モードを示す図である。両図において制御盤7は、中央操作盤3と現地制御盤5を示している。
【0055】
図14に示す第1送信モードでは、制御盤7は、時計回りのルートで信号を送信する(矢印A1参照)。これに対して各ノズルユニット4は、反時計回りのルートで信号を返送する(矢印A2参照)。一方、図15に示す第2送信モードでは、制御盤7は、反時計回りのルートで信号を送信する(矢印A3参照)。これに対して各ノズルユニット4は、時計回りのルートで信号を返送する(矢印A4参照)。このように、ポーリングごとに信号の送信ルートを変更することで、ネットワークの一部に通信障害が発生したとしても、制御盤7と各ノズルユニット4間の通信が可能となる。例えば、制御盤7とノズルユニット4aの間の配線が断線した場合、制御盤7は第1送信モードでは各ノズルユニット4と通信を行うことができないが、第2送信モードでは各ノズルユニット4と通信を行うことができる。
【0056】
制御盤7は、探査開始命令や放水命令などのイベントが発生すると、発生したイベントをイベントリストに記憶する。そして、イベントリストにイベントが存在する場合には、通常ポーリングサイクルの2回に1回の割合で割り込んで、イベントに関するポーリングを実施する。一方、イベントリストにイベントが存在しない場合には、各ノズルユニット4に対して状態確認のためのポーリングを実施する。このポーリングでは、各ノズルユニット4の状態と操作権の所在が確認される。
【0057】
1-2-2.消火動作
次に、消火動作について説明する。具体的には、自動消火モードと手動消火モードについて説明する。ここで、自動消火モードとは、火災の感知から放水までの一連の動作を自動で行う消火モードである。これに対して、手動消火モードとは、火災の感知から放水に最適なノズルユニット4の選択までを自動で行い、放水については中央操作盤3または現地操作ユニット6の操作に応じて開始する消火モードである。これら2つの消火モードは、中央操作盤3の盤面操作にて切り替え可能となっている。
【0058】
1-2-2-1.自動消火モード
図16は、自動消火モードを示すシーケンス図である。
中央操作盤3は、火災受信機から感知器発報信号を受信すると(ステップSa1)、発報した感知器の警戒区域内に設置されているノズルユニット4を特定する(ステップSa2)。そして、特定したノズルユニット4に対して探査開始信号を送信する(ステップSa3)。その際、中央操作盤3は、そのノズルユニット4からのACKが確認できない場合、リトライを実施する。リトライ後も確認できない場合には、次回のポーリングサイクル以降も継続する。
【0059】
ノズルユニット4は、探査開始信号を受信すると、火源探査を開始する(ステップSa4)。加えて、自機の状態情報を「格納」から「探査」に更新する。そして、火源探査の結果、火源を検出すると(ステップSa5)、火源検出時の旋回角を示す火源位置信号を中央操作盤3に送信する(ステップSa6)。加えて、自機の状態情報を「探査」から「確定」に更新する。
【0060】
中央操作盤3は、火災区画のすべてのノズルユニット4から火源位置信号を受信するか、または火源位置信号の第1報を受信してから所定の時間が経過すると、受信した火源位置信号に基づいて放水に最適なノズルユニット4を選択する(ステップSa7)。その際のノズルユニット4の選択方法については、例えば、特開2000-093540号公報を参照のこと。中央操作盤3は、放水に最適なノズルユニット4を選択すると、図示せぬ消火ポンプを起動させる(ステップSa8)。加えて、選択したノズルユニット4に対して放水開始信号を送信する(ステップSa9)。その際、中央操作盤3は、そのノズルユニット4からのACKが確認できない場合、リトライを実施する。リトライ後も確認できない場合には、次回のポーリングサイクル以降も継続する。
【0061】
ノズルユニット4は、放水開始信号を受信すると、当該信号を現地制御盤5に転送する(ステップSa10)。現地制御盤5は、この放水開始信号を受信すると、ノズルユニット4に対応する起動弁(図示略)を開放する(ステップSa11)。その結果、ノズルユニット4から火源に対して放水が行われる。
【0062】
起動弁の解放後、現地制御盤5は、当該起動弁の2次側に設置された圧力スイッチ(図示略)からオン信号を受信すると(ステップSa12)、放水が開始されたことを示す放水信号をノズルユニット4に送信する(ステップSa13)。ノズルユニット4は、この放水を受信すると、自機の状態情報を「確定」から「放水」に更新する(ステップSa14)。
以上が、自動消火モードについての説明である。
【0063】
1-2-2-2.手動消火モード
図17は、手動消火モードを示すシーケンス図である。同図に示す手動消火モードでは、中央操作盤3の操作に応じて放水を開始する場合を想定している。
【0064】
中央操作盤3は、上述した放水に最適なノズルユニット4の選択後(ステップSa7)、センタ要員により操作権取得操作が行われると(ステップSb1)、操作要求信号をノズルユニット4に送信する(ステップSb2)。その際、中央操作盤3は、そのノズルユニット4からのACKが確認できない場合、リトライを実施する。リトライ後も確認できない場合には、動作を終了する。ノズルユニット4は、その操作要求信号を受信すると、自機の操作権情報を「中央操作盤」に更新する(ステップSb3)。この操作権情報の更新は、状態確認を通じて、中央操作盤3に記憶される操作権情報にも反映される。その結果、中央操作盤3では、放水準備操作が可能になる。
【0065】
その後、中央操作盤3は、センタ要員により放水準備操作が行われると(ステップSb4)、放水準備信号をノズルユニット4に送信する(ステップSb5)。その際、中央操作盤3は、そのノズルユニット4からのACKが確認できない場合、リトライを実施する。リトライ後も確認できない場合には、動作を終了する。ノズルユニット4は、その放水準備信号を受信すると、自機の状態情報を「確定」から「準備」に更新する(ステップSb6)。この状態情報の更新は、状態確認を通じて、中央操作盤3に記憶される状態情報にも反映される。その結果、中央操作盤3では、旋回操作と放水操作が可能になる。
【0066】
その後、中央操作盤3は、センタ要員により旋回操作が行われると(ステップSb7)、旋回信号をノズルユニット4に送信する(ステップSb8)。ノズルユニット4は、この旋回信号を受信すると、当該信号が示す方向へ放水部41を旋回させる(ステップSb9)。
【0067】
その後、中央操作盤3は、センタ要員により放水操作が行われると(ステップSb10)、消火ポンプを起動させる(ステップSb11)。加えて、ノズルユニット4に対して放水開始信号を送信する(ステップSb12)。その際、中央操作盤3は、そのノズルユニット4からのACKが確認できない場合、リトライを実施する。リトライ後も確認できない場合には、動作を終了する。
【0068】
ノズルユニット4は、放水開始信号を受信すると、当該信号を現地制御盤5に転送する(ステップSb13)。現地制御盤5は、この放水開始信号を受信すると、ノズルユニット4に対応する起動弁を開放する(ステップSb14)。その結果、ノズルユニット4から火源に対して放水が行われる。
【0069】
起動弁の解放後、現地制御盤5は、当該起動弁の2次側に設置された圧力スイッチからオン信号を受信すると(ステップSb15)、放水が開始されたことを示す放水信号をノズルユニット4に送信する(ステップSb16)。ノズルユニット4は、この放水信号を受信すると、自機の状態情報を「確定」から「放水」に更新する(ステップSb17)。
以上が、手動消火モードについての説明である。
【0070】
次に、図18は、手動消火モードを示す別のシーケンス図である。同図に示す手動消火モードでは、現地制御盤5に接続された現地操作ユニット6の操作に応じて放水を開始する場合を想定している。
【0071】
中央操作盤3において放水に最適なノズルユニット4の選択された後(ステップSa7)、センタ要員により現地操作ユニット6に対して操作権取得操作が行われると(ステップSc1)、現地制御盤5は操作要求信号をノズルユニット4に送信する(ステップSc2)。その際、現地制御盤5は、そのノズルユニット4からのACKが確認できない場合、リトライを実施する。リトライ後も確認できない場合には、動作を終了する。ノズルユニット4は、その操作要求信号を受信すると、自機の操作権情報を「現地制御盤」に更新する(ステップSc3)。この操作権情報の更新は、状態確認を通じて、現地制御盤5に記憶される操作権情報にも反映される。その結果、現地操作ユニット6では、放水準備操作が可能になる。
【0072】
その後、センタ要員により現地操作ユニット6に対して放水準備操作が行われると(ステップSc4)、現地制御盤5は放水準備信号をノズルユニット4に送信する(ステップSc5)。その際、現地制御盤5は、そのノズルユニット4からのACKが確認できない場合、リトライを実施する。リトライ後も確認できない場合には、動作を終了する。ノズルユニット4は、その放水準備信号を受信すると、自機の状態情報を「確定」から「準備」に更新する(ステップSc6)。この状態情報の更新は、状態確認を通じて、現地制御盤5に記憶される状態情報にも反映される。その結果、現地操作ユニット6では、旋回操作と放水操作が可能になる。
【0073】
その後、センタ要員により現地操作ユニット6に対して旋回操作が行われると(ステップSc7)、現地制御盤5は旋回信号をノズルユニット4に送信する(ステップSc8)。ノズルユニット4は、この旋回信号を受信すると、当該信号が示す方向へ放水部41を旋回させる(ステップSc9)。
【0074】
その後、センタ要員により現地操作ユニット6に対して放水操作が行われると(ステップSc10)、現地制御盤5は放水要求信号をノズルユニット4に送信する(ステップSc11)。その際、現地制御盤5は、そのノズルユニット4からのACKが確認できない場合、リトライを実施する。リトライ後も確認できない場合には、動作を終了する。
【0075】
ノズルユニット4は、放水要求信号を受信すると、当該信号を中央操作盤3に転送する(ステップSc12)。中央操作盤3は、この放水要求信号を受信すると、消火ポンプを起動させる(ステップSc13)。加えて、放水開始信号をノズルユニット4に送信する(ステップSc14)。ノズルユニット4は、この放水開始信号を受信すると、当該信号を現地制御盤5に転送する(ステップSc15)。現地制御盤5は、この放水開始信号を受信すると、ノズルユニット4に対応する起動弁を開放する(ステップSc16)。その結果、ノズルユニット4から火源に対して放水が行われる。
【0076】
起動弁の解放後、現地制御盤5は、当該起動弁の2次側に設置された圧力スイッチからオン信号を受信すると(ステップSc17)、放水が開始されたことを示す放水信号をノズルユニット4に送信する(ステップSc18)。ノズルユニット4は、この放水信号を受信すると、自機の状態情報を「確定」から「放水」に更新する(ステップSc19)。
以上が、手動消火モードについての説明である。
【0077】
1-2-3.放水停止・復旧動作
次に、放水停止・復旧動作について説明する。図19は、放水停止・復旧動作を示すシーケンス図である。同図に示す動作では、中央操作盤3の操作に応じて放水停止および復旧を行う場合を想定している。
【0078】
中央操作盤3は、センタ要員により放水停止操作が行われると(ステップSd1)、放水停止信号をノズルユニット4に送信する(ステップSd2)。その際、中央操作盤3は、そのノズルユニット4からのACKが確認できない場合、リトライを実施する。リトライ後も確認できない場合には、動作を終了する。ノズルユニット4は、その放水停止信号を受信すると、当該信号を現地制御盤5に転送する(ステップSd3)。現地制御盤5は、この放水停止信号を受信すると、ノズルユニット4に対応する起動弁を閉止する(ステップSd4)。その結果、ノズルユニット4からの放水が停止する。
【0079】
起動弁の閉止後、現地制御盤5は、当該起動弁の2次側に設置された圧力スイッチからオフ信号を受信すると(ステップSd5)、放水が停止したことを示す停止信号をノズルユニット4に送信する(ステップSd6)。ノズルユニット4は、この停止信号を受信すると、自機の状態情報を「放水」から「確定」に更新する(ステップSd7)。
【0080】
その後、中央操作盤3は、センタ要員により全復旧操作が行われると(ステップSd8)、操作要求信号をノズルユニット4に送信する(ステップSd9)。その際、中央操作盤3は、そのノズルユニット4からのACKが確認できない場合、リトライを実施する。リトライ後も確認できない場合には、動作を終了する。ノズルユニット4は、その操作要求信号を受信すると、自機の操作権情報を「開放」に更新する(ステップSd10)。ここで言う「開放」とは、操作権が中央操作盤3と現地制御盤5のいずれにも存在しないことを意味する。加えて、ノズルユニット4は、復旧動作を実行し(ステップSd11)、復旧動作を完了すると、自機の状態情報を「確定」から「格納」に更新する。
【0081】
その後、中央操作盤3は、センタ要員により、図示せぬ消火ポンプ盤のポンプ停止操作が行われると、消火ポンプ運転の表示をOFFする(ステップSd12)。
以上が、放水停止・復旧動作についての説明である。
【0082】
次に、図20は、放水停止・復旧動作を示す別のシーケンス図である。同図に示す動作では、現地制御盤5に接続された現地操作ユニット6の操作に応じて放水停止および復旧を行う場合を想定している。
【0083】
センタ要員により現地操作ユニット6に対して放水停止操作が行われると(ステップSe1)、現地制御盤5は放水停止要求信号をノズルユニット4に送信する(ステップSe2)。その際、現地制御盤5は、そのノズルユニット4からのACKが確認できない場合、リトライを実施する。リトライ後も確認できない場合には、動作を終了する。ノズルユニット4は、その放水停止要求信号を受信すると、当該信号を中央操作盤3に転送する(ステップSe3)。中央操作盤3は、この放水停止要求信号を受信すると、放水停止信号をノズルユニット4に送信する(ステップSe4)。ノズルユニット4は、この放水停止信号を受信すると、当該信号を現地制御盤5に転送する(ステップSe5)。現地制御盤5は、この放水停止信号を受信すると、ノズルユニット4に対応する起動弁を閉止する(ステップSe6)。その結果、ノズルユニット4からの放水が停止する。
【0084】
起動弁の閉止後、現地制御盤5は、当該起動弁の2次側に設置された圧力スイッチからオフ信号を受信すると(ステップSe7)、放水が停止したことを示す停止信号をノズルユニット4に送信する(ステップSe8)。ノズルユニット4は、この停止信号を受信すると、自機の状態情報を「放水」から「確定」に更新する(ステップSe9)。
【0085】
その後、センタ要員により現地操作ユニット6に対して復旧操作が行われると(ステップSe10)、現地制御盤5は操作要求信号をノズルユニット4に送信する(ステップSe11)。その際、現地制御盤5は、そのノズルユニット4からのACKが確認できない場合、リトライを実施する。リトライ後も確認できない場合には、動作を終了する。ノズルユニット4は、その操作要求信号を受信すると、自機の操作権情報を「開放」に更新する(ステップSe12)。加えて、復旧動作を実行し(ステップSe13)、復旧動作を完了すると、自機の状態情報を「確定」から「格納」に更新する。
【0086】
その後、中央操作盤3は、センタ要員により消火ポンプ盤のポンプ停止操作が行われると、消火ポンプ運転の表示をOFFする(ステップSe14)。
以上が、放水停止・復旧動作についての説明である。
なお、上記の放水停止・復旧動作では中央操作盤3が放水停止信号を出力しているが、中央操作盤3の代わりにノズルユニット4が放水停止信号を出力してもよい。その場合、ノズルユニット4は、現地制御盤5から送信される放水停止要求信号を受けて、その現地制御盤5に対して放水停止信号を送信する。
【0087】
2.第1実施形態の変形例
上記の第1実施形態は以下のように変形してもよい。なお、以下の変形例は互いに組み合わせてもよい。
【0088】
2-1.変形例1
ノズルユニット4の感知部42は、上記の通り、赤外線リニアセンサ421と炎検知器422により構成されている。しかし、この構成はあくまで一例である。火源の探査と検出が可能であれば、別のセンサにより構成されてもよい。
【0089】
2-2.変形例2
消火システム1に補助センサを含めてもよい。ここで言う補助センサとは、ノズルユニット4が備える感知部42、制御部43および信号中継部44を備える端末機器のことである。言い換えると、放水部41を備えないノズルユニット4のことである。この補助センサは、建物Bの高天井部分に設置される。
【0090】
補助センサは、ノズルユニット4と同様に、ループ状の配線L2を介して中央操作盤3と通信可能に接続される。加えて、ループ状の配線L3を介して現地制御盤5と通信可能に接続される。
【0091】
この補助センサは、上記の自動消火モードにおいて以下のように動作する。
まず、中央操作盤3は、火災受信機から感知器発報信号を受信すると、発報した感知器の警戒区域内に設置されているノズルユニット4と補助センサを特定する。そして、特定したノズルユニット4と補助センサに対して探査開始信号を送信する。
【0092】
補助センサは、この探査開始信号を受信すると、火源探査を開始する。そして、火源探査の結果、火源を検出すると、火源検出時の旋回角を示す火源位置信号を中央操作盤3に送信する。
【0093】
中央操作盤3は、火災区画のすべてのノズルユニット4と補助センサから火源位置信号を受信するか、または火源位置信号の第1報を受信してから所定の時間が経過すると、受信した火源位置信号に基づいて放水に最適なノズルユニット4を選択する。このように、補助センサから送信される火源位置信号は、放水に最適なノズルユニット4を選択するために参照される。
【0094】
2-3.変形例3
現地操作ユニット6は、表示部および操作部としてタッチスクリーン62を備えている。言い換えると、現地操作ユニット6は、ディスプレイとタッチパネルを備えている。このタッチパネルに代えて、ハードキー等の別の操作部を備えるようにしてもよい。
【0095】
2-4.変形例4
自動火災報知設備2の感知器はアナログ式に限られず、感度固定の感知器であってもよい。また、火災受信機はR型に限られず、P型であってもよい。
【0096】
2-5.変形例5
現地操作ユニット6は、有線ではなく無線で現地制御盤5と通信接続されてもよい。
【0097】
3.第2実施形態
3-1.構成
本発明の第2実施形態に係る消火システム10について図面を参照して説明する。
本実施形態に係る消火システム10は、第1実施形態に係る消火システム1と同様に、放水型ヘッド等スプリンクラ設備である。ただし、第1実施形態とは異なり、消火装置として固定式ヘッドを採用している。
【0098】
図21は、この消火システム10の構成を示す図である。同図に示す消火システム10は、3つの防護区画を有する建物Cに設置されている。
【0099】
建物Cの各防護区画には、煙感知器11が設置されている。この煙感知器11は、信号線を介して、防災センタに設置されている火災受信機12に接続されている。この煙感知器11は、火災を検知すると火災信号を火災受信機12に送信する。
火災受信機12は、信号線を介して、防災センタに設置されている散水制御盤14に接続されており、火災信号を受信すると散水制御盤14に移報する。散水制御盤14は、信号線を介して遠隔操作弁18と接続されており、遠隔操作弁18を自動または手動で制御するための装置である。
【0100】
また、建物Cの各防護区画には、炎感知器13が設置されている。この炎感知器13は、信号線を介して散水制御盤14に接続されている。この炎感知器13は、火災を検知すると火災信号を散水制御盤14に送信する。
【0101】
また、建物Cの各防護区画を見渡せる位置には、現地制御盤15が設置されている。この現地制御盤15は、信号線を介して散水制御盤14に接続されている。この現地制御盤15は、遠隔操作弁18を手動で制御するための装置である。この現地制御盤15には、可搬型の現地操作ユニット16が着脱自在に接続される。この現地操作ユニット16は、現地制御盤15を操作するために使用される情報処理装置である。
【0102】
また、建物Cの各防護区画には、固定式ヘッド17が設置されている。この固定式ヘッド17は、配管を介して遠隔操作弁18の二次側に接続されている。遠隔操作弁18の一次側は、配管を介して、消火ポンプ室に設置されている加圧送水装置19に接続されている。この加圧送水装置19は、ポンプ制御盤20により制御され、ポンプ制御盤20は信号線を介して散水制御盤14に接続されている。
以下、散水制御盤14、現地制御盤15および現地操作ユニット16について、より詳細に説明する。
【0103】
3-1-1.散水制御盤14
図22は、散水制御盤14の内部構成の一例を示すブロック図である。同図に示す散水制御盤14は、制御部141、記憶部142、表示操作パネル143および通信部144を備える。これらの構成要素のうち、まず表示操作パネル143について説明する。
【0104】
図23は、表示操作パネル143の一例を示す図である。同図に示す表示操作パネル143は、火災灯Lp3を備える。この火災灯Lp3は、火災発生時に点灯する表示灯である。また、表示操作パネル143は、防護区画ごとに地区灯を備える。この地区灯は、火災の状況を示すための表示灯であり、区画灯Lp4、自火報灯Lp5および消火専用灯Lp6の3つの表示灯により構成される。
【0105】
また、表示操作パネル143は、キースイッチSw1を備える。このキースイッチSw1は、放水モードを、自動放水モードと手動放水モードの間で切り替えるためのスイッチである。ここで、自動放水モードとは、火災の感知から放水までの一連の動作を自動で行う消火モードであり、手動放水モードとは、火災の感知とその警報までを自動で行い、放水については散水制御盤14または現地操作ユニット16の操作に応じて開始する消火モードである。
【0106】
また、表示操作パネル143は、放水モード表示灯Lp7を備える。この放水モード表示灯Lp7は、選択中の放水モードを示すための表示灯である。また、表示操作パネル143は、音響停止スイッチSw2を備える。この音響停止スイッチSw2は、散水制御盤14の火災警報の音響を停止するためのスイッチである。
【0107】
また、表示操作パネル143は、タイマ作動灯Lp8を備える。このタイマ作動灯Lp8は、火災確定後、放水が開始されるまでの間、点滅する表示灯である。また、表示操作パネル143は、残り時間表示器Dを備える。この残り時間表示器Dは、火災確定後、放水が開始されるまでの残り時間を表示する。
【0108】
また、表示操作パネル143は、防護区画ごとに放水区画選択スイッチSw3を備える。この放水区画選択スイッチSw3は、放水区画を選択するためのスイッチである。また、表示操作パネル143は、放水開始スイッチSw4、放水灯Lp9および放水停止スイッチSw5を備える。このうち、放水開始スイッチSw4は、放水開始を指示するためのスイッチであり、放水灯Lp9は、放水中に点灯する表示灯であり、放水停止スイッチSw5は、放水停止を指示するためのスイッチである。
【0109】
また、表示操作パネル143は、復旧スイッチSw6を備える。この復旧スイッチSw6は、消火システム10を復旧するためのスイッチである。
【0110】
次に、制御部141について説明する。
制御部141は、プロセッサとメモリにより構成され、プロセッサが、メモリに記憶されるプログラムを実行することにより、各種の機能が実現される。実現される機能の中には、図22に示すように、放水制御部1411、表示制御部1412および信号送信部1413が含まれる。
【0111】
このうち、放水制御部1411は、火災受信機12と炎感知器13から受信する火災信号に応じて、または防災要員による操作に応じて、固定式ヘッド17からの放水を制御する。
【0112】
表示制御部1412は、火災受信機12と炎感知器13から受信する火災信号に応じて、または防災要員による操作に応じて、表示操作パネル143の表示を制御する。
【0113】
信号送信部1413は、火災受信機12と炎感知器13から受信する火災信号に応じて、または防災要員による操作に応じて、表示制御信号を現地制御盤15に送信する。送信される表示制御信号は、現地操作ユニット16の表示操作パネル163の表示を制御するための信号である。
【0114】
3-1-2.現地制御盤15
現地制御盤15は、上記の通り、可搬型の現地操作ユニット16が着脱自在に接続可能となっている。可搬型の現地操作ユニット16は、後述するように表示操作パネル163を備えており、この表示操作パネル163を用いて現地制御盤15は操作される。そのため、現地制御盤15は表示操作パネルを備える必要がない。したがって、現地制御盤15は、従来の現地操作盤と比較して小型化することができる。
【0115】
加えて、現地操作ユニット16は可搬型であり、ケーブルを介して現地制御盤15に接続される。そのため、この現地操作ユニット16の利用者は、現地制御盤15から離れた位置で当該制御盤を操作することができる。例えば、利用者は、固定式ヘッド17が見える位置に移動して現地制御盤15を操作することができる。したがって、この現地制御盤15は、従来の現地操作盤と異なり、固定式ヘッド17が見える位置に設置する必要がない。すなわち、この現地制御盤15は設置の自由度が高い。また、この現地制御盤15は、例えば、目立たない位置に設置することも可能であることから、設置場所の壁の色に合わせて製造するといった配慮が不要となる。
【0116】
次に、この現地制御盤15の内部構成について説明する。
図24は、この現地制御盤15の内部構成の一例を示すブロック図である。同図に示す現地制御盤15は、制御部151、記憶部152および通信部153を備える。このうち制御部151は、プロセッサとメモリにより構成され、プロセッサが、メモリに記憶されるプログラムを実行することにより、各種の機能が実現される。実現される機能の中には、表示制御情報管理部1511、表示制御情報出力部1512および信号送信部1513が含まれる。
【0117】
表示制御情報管理部1511は、散水制御盤14から受信する表示制御信号に応じて表示制御情報を管理する。管理される表示制御情報は、現地操作ユニット16の表示操作パネル163の表示を制御するための情報である。具体的には、各表示灯のオンオフを表すフラグである。
【0118】
表示制御情報管理部1511により受信される表示制御信号には、後述する放水灯Lp17を制御するための信号が含まれる。この信号には、放水灯Lp17を点灯するよう指示する信号と、放水灯Lp17を消灯するよう指示する信号の2種類がある。前者の信号は、固定式ヘッド17からの放水が開始されると散水制御盤14から送信され、後者の信号は、固定式ヘッド17からの放水が停止されると散水制御盤14から送信される。したがって、これら2つの信号は、固定式ヘッド17の放水状態を表す情報であると言える。表示制御情報管理部1511は、これら2つの信号のうち、前者の信号を取得すると、放水灯フラグをオンに設定し、後者の信号を取得すると、同フラグをオフに設定する。このようにフラグ設定は信号の種類に応じて行われることから、放水灯フラグもまた、固定式ヘッド17の放水状態を表す情報であると言える。
【0119】
表示制御情報出力部1512は、現地制御盤15に記憶されている表示制御情報を現地操作ユニット16に出力する。
【0120】
信号送信部1513は、現地操作ユニット16から入力される操作信号に応じて、制御信号を散水制御盤14に送信する。
【0121】
3-1-3.現地操作ユニット16
現地操作ユニット16は、略直方体状の筐体と、その筐体の底面に配置された端子を備える(いずれも図示略)。その端子は、現地制御盤15および散水制御盤14とケーブルを介して(またはケーブルとコネクタボックスを介して)通信接続するための器具である。現地操作ユニット16は、この端子を介して、現地制御盤15および散水制御盤14と着脱自在に通信接続される。この現地操作ユニット16は、平常時は散水制御盤14に接続されており、利用時は、散水制御盤14から取り外されて現地に持参され、現地制御盤15に接続される。
【0122】
図25は、この現地操作ユニット16の内部構成の一例を示すブロック図である。同図に示す現地操作ユニット16は、制御部161、記憶部162、表示操作パネル163および通信部164を備える。これらの構成要素のうち、まず表示操作パネル163について説明する。
【0123】
図26は、表示操作パネル163の一例を示す図である。同図に示す表示操作パネル163は、火災灯Lp10を備える。この火災灯Lp10は、火災発生時に点灯する表示灯である。また、表示操作パネル163は、防護区画ごとに地区灯を備える。この地区灯は、火災の状況を示す表示灯であり、区画灯Lp11、自火報灯Lp12および消火専用灯Lp13の3つの表示灯により構成される。
【0124】
また、表示操作パネル163は、キースイッチSw7を備える。このキースイッチSw7は、盤面操作の可否を選択するためのスイッチである。また、表示操作パネル163は、操作可否表示灯を備える。この操作可否表示灯は、盤面操作の可否を示すための表示灯であり、操作可能灯Lp14と操作不可灯Lp15の2つの表示灯により構成される。
【0125】
また、表示操作パネル163は、タイマ作動灯Lp16を備える。このタイマ作動灯Lp16は、火災確定後、放水が開始されるまでの間、点滅する表示灯である。また、表示操作パネル163は、タイマ停止スイッチSw8を備える。このタイマ停止スイッチSw8は、放水開始タイマのカウントダウンを停止させるためのスイッチである。
【0126】
また、表示操作パネル163は、防護区画ごとに放水区画選択スイッチSw9を備える。この放水区画選択スイッチSw9は、放水区画を選択するためのスイッチである。また、表示操作パネル163は、放水開始スイッチSw10、放水灯Lp17および放水停止スイッチSw11を備える。このうち、放水開始スイッチSw10は、放水開始を指示するためのスイッチであり、放水灯Lp17は、放水中に点灯する表示灯であり、放水停止スイッチSw11は、放水停止を指示するためのスイッチである。
【0127】
次に、制御部161について説明する。
制御部161は、プロセッサとメモリにより構成され、プロセッサが、メモリに記憶されるプログラムを実行することにより、各種の機能が実現される。実現される機能の中には、図25に示すように、表示制御情報取得部1611、表示制御部1612および操作信号出力部1613が含まれる。
【0128】
表示制御情報取得部1611は、現地制御盤15から表示制御情報を取得する。この表示制御情報の取得は、現地操作ユニット16が現地制御盤15に接続されて起動した時と、現地制御盤15において表示制御情報が更新された時に行われる。
【0129】
表示制御部1612は、表示制御情報取得部1611により取得される表示制御情報に基づいて表示操作パネル163の表示を制御する。
【0130】
操作信号出力部1613は、表示操作パネル163が操作されると、その操作を表す信号を現地制御盤15に出力する。
【0131】
3-2.動作
消火システム10の消火動作について説明する。具体的には、自動放水モードと手動放水モードについて説明する。
【0132】
3-2-1.自動放水モード
図27および図28は、自動放水モードを示すシーケンス図である。
建物Cで火災が発生し、煙感知器11がその火災を感知すると、火災信号を火災受信機12に送信する。火災受信機12は、その火災信号を受信すると、散水制御盤14に移報する。散水制御盤14は、その移報を受けて(ステップSf1)、火災が発生した防護区画の自火報灯Lp5を点灯させる(ステップSf2)。加えて、自火報灯点灯信号を現地制御盤15に送信する(ステップSf3)。現地制御盤15は、その自火報灯点灯信号を受信すると、火災が発生した防護区画の自火報灯フラグをオンに設定する(ステップSf4)。その結果、この現地制御盤15に現地操作ユニット16が接続されると、現地操作ユニット16は、火災が発生した防護区画の自火報灯Lp12を点灯させる。
【0133】
その後、同火災を炎感知器13が感知すると、炎感知器13は火災信号を散水制御盤14に送信する。散水制御盤14は、その火災信号を受信すると(ステップSf5)、火災が発生した防護区画の消火専用灯Lp6を点灯させる(ステップSf6)。加えて、消火専用灯点灯信号を現地制御盤15に送信する(ステップSf7)。現地制御盤15は、その消火専用灯点灯信号を受信すると、火災が発生した防護区画の消火専用灯フラグをオンに設定する(ステップSf8)。その結果、この現地制御盤15に現地操作ユニット16が接続されると、現地操作ユニット16は、火災が発生した防護区画の消火専用灯Lp13を点灯させる。
【0134】
散水制御盤14は、同じ防護区画に設置されている煙感知器11と炎感知器13が発報したと判定すると、火災が発生したと断定する(ステップSf9)。そして、火災が発生した防護区画の区画灯Lp4と、火災灯Lp3を点灯させる(ステップSf10)。加えて、放水開始タイマのカウントダウンを開始し(ステップSf11)、タイマ作動灯Lp8を点滅させ、残り時間を残り時間表示器Dに表示させる(ステップSf12)。さらに、区画灯等点灯信号を現地制御盤15に送信する(ステップSf13)。現地制御盤15は、その区画灯等点灯信号を受信すると、火災が発生した防護区画の区画灯フラグと、火災灯フラグと、タイマ作動灯フラグと、操作可能灯フラグをオンに設定する(ステップSf14)。その結果、この現地制御盤15に現地操作ユニット16が接続されると、現地操作ユニット16は、火災が発生した防護区画の区画灯Lp11と、火災灯Lp10と、操作可能灯Lp14を点灯させ、タイマ作動灯Lp16を点滅させる。
【0135】
その後、散水制御盤14は、放水開始タイマのカウントダウンが終了すると(ステップSf15)、火災が発生した防護区画の遠隔操作弁18を開放し、ポンプ制御盤20にポンプ起動信号を送信する(ステップSf16)。その結果、火災が発生した防護区画において固定式ヘッド17から放水が行われる。散水制御盤14は、この放水の結果、図示せぬ圧力スイッチからオン信号を受信すると、放水灯Lp9を点灯させる(ステップSf17)。加えて、放水灯点灯信号を現地制御盤15に送信する(ステップSf18)。現地制御盤15は、その放水灯点灯信号を受信すると、放水灯フラグをオンに設定し、タイマ作動灯フラグをオフに設定する(ステップSf19)。その結果、この現地制御盤15に現地操作ユニット16が接続されると、現地操作ユニット16は、放水灯Lp17を点灯させ、タイマ作動灯Lp16を消灯させる。
【0136】
その後、防災要員が消火を確認し、散水制御盤14の放水停止スイッチSw5を押下すると(ステップSf20)、散水制御盤14は、ステップSf16で開放した遠隔操作弁18を閉止する(ステップSf21)。その結果、固定式ヘッド17からの放水が停止する。散水制御盤14は、この放水の結果、上記の圧力スイッチからオフ信号を受信すると、放水灯Lp9を消灯させる(ステップSf22)。加えて、放水灯消灯信号を現地制御盤15に送信する(ステップSf23)。現地制御盤15は、その放水灯消灯信号を受信すると、放水灯フラグをオフに設定する(ステップSf24)。その結果、この現地制御盤15に現地操作ユニット16が接続されると、現地操作ユニット16は、放水灯Lp17を消灯させる。
【0137】
その後、防災要員が、散水制御盤14の復旧スイッチSw6を押下すると(ステップSf25)、散水制御盤14は、すべての防護区画の区画灯Lp4、自火報灯Lp5および消火専用灯Lp6を消灯させる(ステップSf26)。加えて、区画灯等消灯信号を現地制御盤15に送信する(ステップSf27)。現地制御盤15は、その区画灯等消灯信号を受信すると、すべての防護区画の区画灯フラグ、自火報灯フラグおよび消火専用灯フラグをオフに設定する(ステップSf28)。その結果、この現地制御盤15に現地操作ユニット16が接続されると、現地操作ユニット16は、すべての防護区画の区画灯Lp11、自火報灯Lp12および消火専用灯Lp13を消灯させる。
以上が、自動放水モードについての説明である。
【0138】
なお、上記の自動放水モードにおいて、防災要員が現地確認を行って非火災報であると判断した場合には、放水開始タイマのカウントダウンを停止させてもよい。カウントダウンを停止させる方法としては、散水制御盤14のキースイッチSw1を操作して、放水モードを手動放水モードに切り替える方法と、現地操作ユニット16のタイマ停止スイッチSw8を押下する方法の2つがある。これらの2つの方法のうち、後者の方法では、現地操作ユニット16のタイマ停止スイッチSw8が押下されると、現地制御盤15はタイマ停止信号を散水制御盤14に送信する。散水制御盤14は、そのタイマ停止信号を受信すると、カウントダウンを停止する。
【0139】
また、上記の説明では、散水制御盤14を用いて放水停止を指示しているが、散水制御盤14に代えて現地操作ユニット16を用いて放水停止を指示してもよい。その場合、防災要員は、現地操作ユニット16の放水停止スイッチSw11を押下する。現地制御盤15は、この操作を受けて、放水停止信号を散水制御盤14に送信する。散水制御盤14は、その放水停止信号を受信すると、ステップSf16で開放した遠隔操作弁18を閉止する。その結果、固定式ヘッド17からの放水が停止する。
【0140】
3-2-2.手動放水モード
図29および図30は、手動放水モードを示すシーケンス図である。これらの図に示すステップのうち、ステップSf1~Sf10は自動放水モードと共通するため、その説明を省略する。
【0141】
散水制御盤14は、ステップSf10の実行後、区画灯等点灯信号を現地制御盤15に送信する(ステップSg1)。現地制御盤15は、その区画灯等点灯信号を受信すると、火災が発生した防護区画の区画灯フラグと、火災灯フラグと、操作可能灯フラグをオンに設定する(ステップSg2)。その結果、この現地制御盤15に現地操作ユニット16が接続されると、現地操作ユニット16は、火災が発生した防護区画の区画灯Lp11と、火災灯Lp10と、操作可能灯Lp14を点灯させる。
【0142】
その後、防災要員が現地確認を行って火災の発生を確認すると、手動放水を指示する。具体的には、散水制御盤14において、火災が発生した防護区画の放水区画選択スイッチSw3を押下し、その上で放水開始スイッチSw4を押下する。散水制御盤14は、これらの操作が受け付けると(ステップSg3)、選択された防護区画の遠隔操作弁18を開放し、ポンプ制御盤20にポンプ起動信号を送信する(ステップSg4)。その結果、選択された防護区画において固定式ヘッド17から放水が行われる。散水制御盤14は、この放水の結果、図示せぬ圧力スイッチからオン信号を受信すると、放水灯Lp9を点灯させる(ステップSg5)。加えて、放水灯点灯信号を現地制御盤15に送信する(ステップSg6)。現地制御盤15は、その放水灯点灯信号を受信すると、放水灯フラグをオンに設定する(ステップSg7)。その結果、この現地制御盤15に現地操作ユニット16が接続されると、現地操作ユニット16は、放水灯Lp17を点灯させる。
【0143】
その後のステップSf20~Sf28は自動放水モードと共通するため、その説明を省略する。
以上が、手動放水モードについての説明である。
【0144】
なお、上記の説明では、散水制御盤14を用いて手動放水を指示しているが、散水制御盤14に代えて現地操作ユニット16を用いて手動放水を指示してもよい。その場合、防災要員は、現地操作ユニット16において、火災が発生した防護区画の放水区画選択スイッチSw9を押下し、その上で放水開始スイッチSw10を押下する。現地制御盤15は、これらの操作を受けて、放水開始信号を散水制御盤14に送信する。散水制御盤14は、その放水開始信号を受信すると、選択された防護区画の遠隔操作弁18を開放し、ポンプ制御盤20にポンプ起動信号を送信する。その結果、選択された防護区画において固定式ヘッド17から放水が行われる。
【0145】
また、上記の説明では、火災確定後に手動放水が指示されているが、防災要員が火災確定前に火災を発見した場合には、火災確定前に手動放水を指示してもよい。ただし、当該指示を現地操作ユニット16を用いて行う場合には、手動放水を指示する前に、キースイッチSw7を操作して現地操作ユニット16の盤面操作を可能にする必要がある。
【0146】
4.第2実施形態の変形例
上記の第2実施形態は以下のように変形してもよい。なお、以下の変形例は互いに組み合わせてもよい。
【0147】
4-1.変形例1
現地操作ユニット16は、表示部および操作部として表示操作パネル163を備えている。しかし、この表示操作パネル163に代えて、タッチスクリーンを備えてもよい。
【0148】
4-2.変形例2
現地操作ユニット16は、有線ではなく無線で現地制御盤15と通信接続されてもよい。
【符号の説明】
【0149】
1…消火システム、2…自動火災報知設備、3…中央操作盤、4…ノズルユニット、5…現地制御盤、6…現地操作ユニット、7…制御盤、10…消火システム、11…煙感知器、12…火災受信機、13…炎感知器、14…散水制御盤、15…現地制御盤、16…現地操作ユニット、17…固定式ヘッド、18…遠隔操作弁、19…加圧送水装置、20…ポンプ制御盤、31…制御部、32…記憶部、33…表示部、34…操作部、35…通信部、41…放水部、42…感知部、43…制御部、44…信号中継部、51…制御部、52…記憶部、53…通信部、61…筐体、62…タッチスクリーン、63…通話スイッチ、64…ジャック、65…端子、66…制御部、67…記憶部、68…通信部、141…制御部、142…記憶部、143…表示操作パネル、144…通信部、151…制御部、152…記憶部、153…通信部、161…制御部、162…記憶部、163…表示操作パネル、164…通信部、311…ノズル制御部、312…ノズル情報管理部、313…試験部、314…表示制御部、315…区画情報管理部、316…区画情報同期部、421…赤外線リニアセンサ、422…炎検知器、511…ノズル情報管理部、512…ノズル情報出力部、513…ノズル制御部、661…ノズル情報取得部、662…表示制御部、663…操作信号出力部、1411…放水制御部、1412…表示制御部、1413…信号送信部、1511…表示制御情報管理部、1512…表示制御情報出力部、1513…信号送信部、1611…表示制御情報取得部、1612…表示制御部、1613…操作信号出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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