(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-09
(45)【発行日】2024-04-17
(54)【発明の名称】コーティング組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 63/00 20060101AFI20240410BHJP
C08L 63/02 20060101ALI20240410BHJP
C08L 63/04 20060101ALI20240410BHJP
C08L 21/00 20060101ALI20240410BHJP
C08K 5/31 20060101ALI20240410BHJP
C08K 5/315 20060101ALI20240410BHJP
C09D 163/00 20060101ALI20240410BHJP
C09D 163/02 20060101ALI20240410BHJP
C09D 163/04 20060101ALI20240410BHJP
C09D 7/65 20180101ALI20240410BHJP
C09D 7/63 20180101ALI20240410BHJP
C09J 163/00 20060101ALI20240410BHJP
C09J 163/02 20060101ALI20240410BHJP
C09J 163/04 20060101ALI20240410BHJP
C09J 11/08 20060101ALI20240410BHJP
C09K 3/10 20060101ALI20240410BHJP
D06M 15/55 20060101ALI20240410BHJP
【FI】
C08L63/00 C
C08L63/02
C08L63/04
C08L21/00
C08K5/31
C08K5/315
C09D163/00
C09D163/02
C09D163/04
C09D7/65
C09D7/63
C09J163/00
C09J163/02
C09J163/04
C09J11/08
C09K3/10 L
D06M15/55
(21)【出願番号】P 2020542888
(86)(22)【出願日】2018-12-10
(86)【国際出願番号】 US2018064695
(87)【国際公開番号】W WO2019164568
(87)【国際公開日】2019-08-29
【審査請求日】2021-10-05
(32)【優先日】2018-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】399074983
【氏名又は名称】ピーピージー・インダストリーズ・オハイオ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】PPG Industries Ohio,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ポーラム、ジュニア、マービン エム.
(72)【発明者】
【氏名】クリリー、ジョセフ ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ナカジマ マサユキ
(72)【発明者】
【氏名】マクシモビック、リリヤナ
(72)【発明者】
【氏名】リアリック、ブライアン ケイ.
(72)【発明者】
【氏名】パウエル、アダム ビー.
(72)【発明者】
【氏名】フォートマン、デイビッド ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】パグノッティ、ローブナ
【審査官】常見 優
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-157491(JP,A)
【文献】特開2016-199673(JP,A)
【文献】特表2009-506169(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0188609(US,A1)
【文献】特開昭58-021419(JP,A)
【文献】特開昭58-168619(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0083633(US,A1)
【文献】特開昭57-089875(JP,A)
【文献】国際公開第2019/065663(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/16
C08K 3/00- 13/08
C08G 59/00- 59/72
C09J 1/00- 5/10
C09J 9/00-201/10
C09D 1/00- 10/00
C09D 101/00-201/10
C09K 3/10
D06M 15/55
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物であって、
該組成物の総重量に基づいて、45重量%~90重量%のエポキシ含有成分
であって、1.0超~3.2未満の平均エポキシド官能価を有するエポキシ含有成分と、
前記組成物の総重量に基づいて、11重量%超~25重量%の量のエラストマー粒子
であって、20nm~400nmの平均粒径を有するエラストマー粒子と、
外部エネルギー源によって活性化可能な硬化成分と、を含み、前記硬化成分が、動的光散乱によって測定された25μmのD90粒径を有する
グアニジン粒子を含む該組成物の総重量に基づいて、2重量%~20重量%のグアニジンを含み、
前記エラストマー粒子の総重量に基づいて、前記エラストマー粒子の少なくとも50重量%が、スチレンブタジエンコアを含む、
組成物。
【請求項2】
前記エラストマー粒子が、前記エポキシ含有成分から相分離される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記エポキシ含有成分が、ビスフェノールAポリエポキシド、ビスフェノールFポリエポキシド、ノボラック樹脂、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記エラストマー粒子の少なくとも50%が、透過電子顕微鏡によって測定した際、150nm未満の平均粒径を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記エラストマー粒子の50重量%以下が、前記エラストマー粒子の総重量に基づいて、ポリブタジエンコアおよび/またはポリシロキサンコアを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1つのグアニジンが、ジシアンジアミドを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物の総重量に基づいて、20重量%以下の量でフィラーをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物の総重量に基づいて、20重量%以下の量で添加剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物が、実質的に添加剤を含まない、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物が、板状フィラーおよび/またはフリーラジカル開始剤を実質的に含まない、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
第2の硬化剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記第2の硬化剤が、潜硬化触媒、活性硬化触媒、またはそれらの組み合わせである、請求項
11に記載の組成物。
【請求項13】
前記組成物が、コーティング組成物、接着剤組成物、またはシーラント組成物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
コーティングされた基材であって、前記基材の少なくとも1つの表面が、請求項1に記載の組成物で少なくとも部分的にコーティングされる、コーティングされた基材。
【請求項15】
前記コーティングされた基材の前記表面のうちの少なくとも1つが、100%のウォーターブレイクフリーである、請求項
14に記載のコーティングされた基材。
【請求項16】
前記コーティングされた基材の前記表面のうちの少なくとも1つが、非ウォーターブレイクフリーである、請求項
14に記載のコーティングされた基材。
【請求項17】
前記組成物が、少なくとも部分的に硬化した状態で、100N/mm
2超の硬度および少なくとも40%の伸び率を有する、請求項
14に記載のコーティングされた基材。
【請求項18】
請求項
15に記載のコーティングされた基材を有する防護服。
【請求項19】
請求項1に記載の組成物で少なくとも部分的にコーティングされた、部品。
【請求項20】
物品であって、
第1の基材と、
第2の基材と、
前記第1の基材と第2の基材との間に配置された請求項1に記載の組成物と、を含む、物品。
【請求項21】
前記組成物が、少なくとも部分的に硬化した状態で、ISO11003-2に従って測定された少なくとも33.0MPaのバルクせん断応力および少なくとも34.5%のバルクせん断ひずみを有する、請求項
20に記載の物品。
【請求項22】
前記組成物が、少なくとも部分的に硬化した状態で、引き上げ速度が1.3mm/分の引張モードで、INSTRON5567機械によって測定した際に、厚さ1.6mmの2024-T3アルミニウム基材を使用するASTM D1002-10に従って測定された30.0MPa超のラップせん断強度と、オーバーラップ長さの少なくとも15%の破壊時のラップせん断変位と、を有する、請求項
20に記載の物品。
【請求項23】
基材表面上にコーティングを形成するための方法であって、
請求項1に記載の組成物を第1の基材の表面に適用することと、
外部エネルギー源を適用して、前記組成物を少なくとも部分的に硬化させることと、を含む、方法。
【請求項24】
前記組成物が、前記第1の基材と第2の基材との間に位置するように、前記第2の基材の表面を前記組成物に接触させることをさらに含む、請求項
23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
政府契約
本発明は、TARDECによって付与された政府契約第13-02-0046TARDEC Fastener/Lightweightに基づく政府の支援を受けて行われた。米国政府は、本発明において特定の権利を有する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年2月9日に出願された「Adhesive Composition」と題する米国仮特許出願第62/628,540号、および2018年2月14日に出願された「Adhesive Composition」と題する米国仮特許出願第62/630,473号に対する優先権を主張し、これらの両方は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0003】
本発明は、組成物、例えば、シーラント、接着剤、およびコーティング組成物に関し、シーラント、接着剤、およびコーティングに関する。
【背景技術】
【0004】
シーラントおよび接着剤を含むコーティング組成物は、多種多様な用途において利用され、種々の基材を処理するか、または2つ以上の基材材料を一緒に結合する。
【0005】
本発明は、十分な結合強度を提供し、基材材料を一緒に結合する際の使用に適用しやすい接着剤組成物を含む、一成分組成物を対象とする。
【発明の概要】
【0006】
エポキシ含有成分と、組成物の総重量に基づいて、11重量%超~25重量%の量のエラストマー粒子と、外部エネルギー源によって活性化可能な硬化成分と、を含む、組成物であって、硬化成分が、動的光散乱によって測定された25μmのD90粒径を有する少なくとも1つのグアニジンを含む、組成物が本明細書において開示される。
【0007】
少なくとも部分的に硬化した状態で組成物から形成されたコーティング、シーラント、および接着剤も開示される。
【0008】
基材の表面の少なくとも一部が、エポキシ含有成分、組成物の総重量に基づいて、11重量%超~25重量%の量のエラストマー粒子、および外部エネルギー源によって活性化可能な硬化成分を含む組成物で少なくとも部分的にコーティングされ、硬化成分が、動的光散乱によって測定された25μmのD90粒径を有する少なくとも1つのグアニジンを含む、コーティングされた基材も開示される。
【0009】
第1および第2の基材と、それらの間に配置され、少なくとも部分的に硬化した状態にある組成物と、を含む物品であって、組成物が、エポキシ含有成分、組成物の総重量に基づいて、11重量%超~25重量%の量のエラストマー粒子、および外部エネルギー源によって活性化可能な硬化成分を含み、硬化成分が、動的光散乱によって測定された25μmのD90粒径を有する少なくとも1つのグアニジンを含む、物品も開示される。
【0010】
組成物を基材表面の少なくとも一部に適用することを含む、基材表面上にコーティングを形成するための方法であって、組成物が、エポキシ含有成分、組成物の総重量に基づいて、11重量%超~25重量%の量のエラストマー粒子、および外部エネルギー源によって活性化可能な硬化成分を含み、硬化成分が、動的光散乱によって測定された25μmのD90粒径を有する少なくとも1つのグアニジンを含む、方法も開示される。
【0011】
エポキシ含有成分、組成物の総重量に基づいて、11重量%超~25重量%の量のエラストマー粒子、および外部エネルギー源によって活性化可能な硬化成分を含む組成物を適用することであって、硬化成分が、組成物が第1の基材と第2の基材との間に位置するように、動的光散乱によって測定された25μmのD90粒径を有する少なくとも1つのグアニジンを含む、適用することと、外部エネルギー源を適用して、組成物を硬化させることと、を含む、2つの基材間の結合を形成するための方法も開示される。
【0012】
本発明の方法によって形成された基材も開示される。
なお、下記[1]から[28]は、いずれも本発明の一形態又は一態様である。
[1]
組成物であって、
エポキシ含有成分と、
前記組成物の総重量に基づいて、11重量%超~25重量%の量のエラストマー粒子と、
外部エネルギー源によって活性化可能な硬化成分と、を含み、前記硬化成分が、動的光散乱によって測定された25μmのD90粒径を有する少なくとも1つのグアニジンを含む、組成物。
[2]
前記エラストマー粒子が、前記エポキシ含有成分から相分離される、[1]に記載の組成物。
[3]
前記エポキシ含有成分が、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ノボラック樹脂、またはそれらの組み合わせを含む、[1]に記載の組成物。
[4]
前記エポキシ含有成分が、前記組成物の総重量に基づいて、45重量%~90重量%の量で存在する、[1]に記載の組成物。
[5]
前記エポキシ含有成分が、1.0超かつ3.2未満の平均エポキシド官能価を有する、[1]に記載の組成物。
[6]
前記エラストマー粒子の少なくとも50重量%が、前記エラストマー粒子の総重量に基づいて、スチレンブタジエンコアを含む、[1]に記載の組成物。
[7]
前記エラストマー粒子の少なくとも50%が、透過電子顕微鏡によって測定した際、150nm未満の平均粒径を有する、[1]に記載の組成物。
[8]
前記エラストマー粒子の50重量%以下が、前記エラストマー粒子の総重量に基づいて、ポリブタジエンコアおよび/またはポリシロキサンコアを含む、[1]に記載の組成物。
[9]
前記少なくとも1つのグアニジンが、ジシアンジアミドを含む、[1]に記載の組成物。
[10]
前記少なくとも1つのグアニジンが、前記組成物の総重量に基づいて、2%~20%の量で存在する、[1]に記載の組成物。
[11]
前記組成物の総重量に基づいて、20重量%以下の量でフィラーをさらに含む、[1]に記載の組成物。
[12]
前記組成物の総重量に基づいて、20重量%以下の量で添加剤をさらに含む、[1]に記載の組成物。
[13]
前記組成物が、実質的に添加剤を含まない、[1]に記載の組成物。
[14]
前記組成物が、板状フィラーおよび/またはフリーラジカル開始剤を実質的に含まない、[1]に記載の組成物。
[15]
第2の硬化剤をさらに含む、[1]に記載の組成物。
[16]
前記第2の硬化触媒が、潜硬化触媒、活性硬化触媒、またはそれらの組み合わせである、[15]に記載の組成物。
[17]
前記組成物が、コーティング組成物、接着剤組成物、またはシーラント組成物を含む、[1]に記載の組成物。
[18]
前記基材の少なくとも1つの表面が、[1]に記載の組成物で少なくとも部分的にコーティングされる、コーティングされた基材。
[19]
前記コーティングされた基材の前記表面のうちの少なくとも1つが、100%のウォーターブレイクフリーである、[18]に記載のコーティングされた基材。
[20]
前記コーティングされた基材の前記表面のうちの少なくとも1つが、非ウォーターブレイクフリーである、[18]に記載のコーティングされた基材。
[21]
前記組成物が、少なくとも部分的に硬化した状態で、100N/mm
2
超の硬度および少なくとも40%の伸び率を有する、[18]に記載のコーティングされた基材。
[22]
前記基材が、防護服を含む、[19]に記載のコーティングされた基材。
[23]
[1]に記載の組成物で少なくとも部分的にコーティングされた、部品。
[24]
物品であって、
第1の基材と、
第2の基材と、
前記第1の基材と第2の基材との間に配置された[1]に記載の組成物と、を含む、物品。
[25]
前記組成物が、少なくとも部分的に硬化した状態で、ISO11003-2に従って測定された少なくとも33.0MPaのバルクせん断応力および少なくとも34.5%のバルクせん断ひずみを有する、[24]に記載の物品。
[26]
前記組成物が、少なくとも部分的に硬化した状態で、引き上げ速度が1.3mm/分の引張モードで、INSTRON5567機械によって測定した際に、厚さ1.6mmの2024-T3アルミニウム基材を使用するASTM D1002-10に従って測定された30.0MPa超のラップせん断強度と、オーバーラップ長さの少なくとも15%の破壊時のラップせん断変位と、を有する、[24]に記載の物品。
[27]
基材表面上にコーティングを形成するための方法であって、
[1]に記載の組成物を第1の基材の表面に適用することと、
外部エネルギー源を適用して、前記組成物を少なくとも部分的に硬化させることと、を含む、方法。
[28]
前記組成物が、前記第1の基材と第2の基材との間に位置するように、前記第2の基材の表面を前記組成物に接触させることをさらに含む、[27]に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】ISO11003-2に従って収集された組成物I~VIII(実施例1)のせん断応力対せん断ひずみ曲線を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の詳細な説明の目的のために、本発明が、相反することが明示的に指定されている場合を除き、様々な代替的な変形およびステップシーケンスが想定され得ることが理解されるべきである。さらに、任意の動作例以外、または別途示される場合、値、量、パーセンテージ、範囲、部分範囲、および端数を表すものなどのすべての数は、用語が明示的に現れなくても、「約」という語によって前置きされているかのように読み取られ得る。したがって、相反することが示されない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、本発明によって得られる所望の特性に応じて変動し得る近似値である。少なくとも、かつ、等価物の見解の適用を特許請求の範囲に限定しようとするものではなく、各数値パラメータは、少なくとも報告された有意な桁の数に照らし合わせて、かつ通常の四捨五入技法を適用することによって解釈されるべきである。クローズまたはオープンエンドの数値範囲が本明細書に記載される場合、数値範囲内または数値範囲に包含されるのすべての数、値、量、パーセンテージ、部分範囲、および端数は、これらの数、値、量、パーセンテージ、部分範囲、および端数がそれらの全体が明示的に書き出されたかのように、本出願の元の開示に特異的に含まれ、かつそれに属するものとみなされるべきである。
【0015】
本発明の広い範囲を記載する数値範囲およびパラメータは近似値であるにもかかわらず、特定の実施例において記載される数値は、可能な限り正確に報告される。しかしながら、任意の数値は元来、それぞれの試験測定に見られる標準的な変動から必然的に生じるある特定の誤差を含む。
【0016】
本明細書で使用される場合、別途示されない限り、複数の用語は、別途示されない限り、その単数の対応物を包含することができ、その逆もまた同様である。例えば、本明細書では、「1つ(an)」のエポキシおよび「1つ(a)」の硬化剤を参照するが、これらの成分の組み合わせ(すなわち、複数)を使用することができる。
【0017】
加えて、本明細書では、「および/または」がある特定の例で明示的に使用され得るが、別段の明記がない限り、「または」の使用は、「および/または」を意味する。
【0018】
本明細書で使用される場合、「含む(including)」、「含有する」、および同様の用語は、本出願の文脈において「含む(comprising)」と同義であることが理解され、したがって、オープンエンドであり、追加の非記載または非列挙の要素、材料、構成成分、または方法ステップの存在を除外しない。本明細書で使用される場合、「からなる」は、任意の不特定の要素、構成成分、または方法ステップの存在を除外するために、本出願の文脈において理解される。本明細書で使用される場合、「から本質的になる」は、特定の要素、材料、構成成分、または方法ステップ、記載されているものの「基本的かつ新規の特徴(複数可)に物質的に影響を及ぼさないもの」を含むように、本出願の文脈において理解される。
【0019】
本明細書で使用される場合、「上」、「上に」、「上に適用される(applied on)」、「上に適用される(applied onto)」、「上に形成される」、「上に堆積される(deposited on)」、「上に堆積される(deposited onto)」という用語は、表面上に形成される、重ねられる、堆積される、または提供されるが必ずしも表面と接触しないことを意味する。例えば、基材「上に適用される」コーティング組成物は、コーティング組成物と基材との間に位置する同じまたは異なる組成物の1つ以上の他の介在コーティング層の存在を排除しない。
【0020】
本明細書で使用される場合、「コーティング組成物」は、少なくとも部分的に乾燥または硬化した状態で、基材表面の少なくとも一部分上にフィルム、層などを生成することができる組成物、例えば、溶液、混合物、または分散体を指す。
【0021】
本明細書で使用される場合、「シーラント組成物」は、少なくとも部分的に乾燥または硬化した状態で、水分および温度などの大気質条件および粒子状物質に抵抗し、粒子、水、燃料、または他の液体およびガスなどの材料の伝達を少なくとも部分的に遮断する能力を有するコーティング組成物、例えば、溶液、混合物、または分散体を指す。
【0022】
本明細書で使用される場合、「構造用接着剤」という用語は、引き込み速度が1.3mm/分の引張モードで、INSTRON5567機械によって測定した際に、厚さ1.6mmの2024-T3アルミニウム基材を使用するASTM D1002-10に従って測定された30.0MPa超のラップせん断強度およびオーバーラップ長さの少なくとも15%の破壊時のラップせん断変位の両方を有する耐荷重性ジョイントを生成する接着剤を意味する。本明細書で定義されるように、「1K」または「一成分」コーティング組成物は、すべての構成成分が予め混合され、保存されてもよく、反応性成分が周囲またはわずかな熱条件で容易に反応するのではなく、代わりに外部エネルギー源による活性化時にのみ反応する組成物である。外部エネルギー源からの活性化がない場合、組成物は、ほとんど反応しないままである(未硬化の状態で十分な加工性および25℃で8ヶ月保存後の硬化した状態で70%超の組成物の初期ラップせん断強度を維持する)。硬化反応(すなわち、エポキシ成分および硬化剤の架橋)を促進するために使用され得る外部エネルギー源には、例えば、放射線(すなわち、アクチン放射線)ならびに/または熱が含まれる。
【0023】
本明細書でさらに定義されるように、周囲条件は、一般に、例えば、10℃~40℃および5%~80%の相対湿度で、接着剤が基材に適用されている領域で典型的に見られる室温および湿度条件または温度および湿度条件を指すが、わずかな熱条件は、周囲温度をわずかに上回るが、一般にコーティング組成物についての硬化温度を下回る温度である(すなわち、言い換えれば、反応性成分が容易に反応し硬化する温度および湿度条件、例えば、5%~80%の相対湿度で、40℃超かつ100℃未満で)。
【0024】
本明細書で使用される場合、「Mw」は、重量平均分子量を指し、Waters410差動屈折計(RI検出器)およびポリスチレン標準を用いたWaters2695分離モジュールを使用してゲル透過クロマトグラフィーによって決定される理論値を意味する。1ml分-1の流速で溶出剤として使用されるテトラヒドロフラン(THF)、および分離に使用される2つのPLゲル混合Cカラム。
【0025】
本明細書で使用される場合、「触媒」という用語は、それ自体がいかなる永続的な化学変化を受けることなく、化学反応の速度を増加させるか、または活性化エネルギーを減少させる物質を意味する。
【0026】
本明細書で使用される場合、「潜硬化剤」または「ブロック化硬化剤」または「封入硬化剤」という用語は、反応前に、または触媒効果を有する前に外部エネルギー源によって活性化される分子もしくは化合物を意味する。例えば、潜硬化剤は、室温で固体の形態であってもよく、それが加熱されて溶融するまで触媒効果を有さず、または潜硬化剤は、熱の印加によって可逆反応が反転し、第2の化合物が除去されるまで、任意の触媒効果を防止する第2の化合物と可逆反応させて、硬化剤を遊離させて反応させる、もしくは反応を触媒し得る。
【0027】
本明細書で使用される場合、「第2の硬化剤」という用語は、本明細書に記載の少なくとも1つのグアニジンを含む硬化成分に加えて、コーティング組成物中の硬化剤または触媒を意味する。
【0028】
本明細書で使用される場合、「硬化する」、「硬化した」という用語、または同様の用語は、本明細書に記載の組成物と関連して使用される場合、組成物を形成する成分の少なくとも一部が架橋して、コーティング、フィルム、層、または結合を形成することを意味する。追加的に、組成物の硬化は、組成物の成分の反応性官能基の反応につながる硬化条件(例えば、温度上昇)に該組成物を供することと、組成物の成分の架橋および少なくとも部分的に硬化したコーティングの形成をもたらすことと、を指す。本明細書で使用される場合、コーティングに関する「少なくとも部分的に硬化した」という用語は、組成物の成分の反応性基の少なくとも一部の化学反応が、コーティング、フィルム、層、または結合を形成するように、硬化条件に組成物を供することによって形成されるコーティングを指す。コーティング組成物は、少なくとも1MPaのラップせん断強度(ASTM D1002-10に従って測定)を有する場合、「少なくとも部分的に硬化した」とみなされ得る。コーティング組成物はまた、実質的に完全な硬化が達成されるように硬化条件に供されてもよく、さらなる硬化は、例えば、増加したラップせん断性能などのコーティング特性での有意なさらなる改善をもたらさない。
【0029】
本明細書で使用される場合、別途示されない限り、「実質的に含まない」という用語は、特定の材料が、それぞれ意図的に混合物または組成物に添加されず、それぞれ混合物または組成物の総重量に基づいて、5重量%未満の微量でのみ不純物として存在することを意味する。本明細書で使用される場合、別途示されない限り、「本質的に含まない」という用語は、特定の材料が、それぞれ混合物または組成物の総重量に基づいて、2重量%未満の量でのみ存在することを意味する。本明細書で使用される場合、別途示されない限り、「完全に含まない」という用語は、混合物または組成物が、それぞれ、特定の材料を含まない、すなわち、混合物または組成物が、0重量%のそのような材料を含むことを意味する。
【0030】
本発明は、エポキシ含有成分と、組成物の総重量に基づいて、11重量%超~25重量%の量のエラストマー粒子と、外部エネルギー源によって活性化可能な硬化成分と、を含むか、または本質的にそれらからなるか、またはそれらからなる組成物であって、硬化成分が、動的光散乱によって測定された25μmのD90粒径を有する少なくとも1つのグアニジンを含む、組成物を対象とする。本明細書で使用される場合、「D90」という用語は、試料中の材料の総体積の90パーセント以上が含有されるサイズ分布中の点を意味する。例えば、25μmのD90とは、試料の粒子の90%が25μm以下のサイズを有することを意味する。組成物は、少なくとも部分的に硬化した状態で、接着剤またはシーラントなどのコーティングを形成し得る、シーラント組成物または接着剤組成物などのコーティング組成物であり得る。
【0031】
基材表面の少なくとも一部に組成物を適用することを含むか、または本質的にそれからなるか、またはそれからなる、基材表面上にコーティングを形成するための方法も開示される。組成物は、エポキシ含有成分と、組成物の総重量に基づいて、11重量%超~25重量%の量のエラストマー粒子と、外部エネルギー源によって活性化可能な硬化成分と、を含み得るか、またはそれらから本質的になり得るか、またはそれらからなり得、硬化成分は、動的光散乱によって測定された25μmのD90粒径を有する少なくとも1つのグアニジンを含む。
【0032】
組成物が、第1の基材と第2の基材との間に位置するように、第1の基材の表面の少なくとも一部に組成物を適用することと、外部エネルギー源を適用して、組成物を硬化させることと、を含むか、または本質的にそれらからなるか、またはそれらからなる、2つの基材間の結合を形成するための方法も開示される。組成物は、エポキシ含有成分と、組成物の総重量に基づいて、11重量%超~25重量%の量のエラストマー粒子と、外部エネルギー源によって活性化可能な硬化成分と、を含み得るか、またはそれらから本質的になり得るか、またはそれらからなり得、硬化成分は、動的光散乱によって測定された25μmのD90粒径を有する少なくとも1つのグアニジンを含む。
【0033】
本発明の組成物から形成されたコーティングを含むか、または本質的にそれからなるか、またはそれからなる基材および物品も開示される。例えば、基材の表面の少なくとも一部が、エポキシ含有成分、組成物の総重量に基づいて、11重量%超~25重量%の量のエラストマー粒子、および外部エネルギー源によって活性化可能な硬化成分を含むか、または本質的にそれらからなるか、またはそれらからなる組成物で少なくとも部分的にコーティングされ、硬化成分が、動的光散乱によって測定された25μmのD90粒径を有する少なくとも1つのグアニジンを含む、コーティングされた基材も開示される。第1および第2の基材と、それらの間に配置され、少なくとも部分的に硬化した状態にある組成物と、を含むか、または本質的にそれらからなるか、またはそれらからなる物品であって、組成物が、エポキシ含有成分、組成物の総重量に基づいて、11重量%超~25重量%の量のエラストマー粒子、および外部エネルギー源によって活性化可能な硬化成分を含むか、または本質的にそれらからなるか、またはそれらからなり、硬化成分が、動的光散乱によって測定された25μmのD90粒径を有する少なくとも1つのグアニジンを含む、物品も開示される。
【0034】
コーティング組成物は、エポキシ化合物を含み得る。使用され得る好適なエポキシ化合物には、モノエポキシド、ポリエポキシド、またはそれらの組み合わせが含まれる。
【0035】
使用され得る好適なモノエポキシドには、フェニルグリシジルエーテル、n-ブチルグリシジルエーテル、クレシルグリシジルエーテル、イソプロピルグリシジルエーテル、グリシジルバーサテート、例えば、Shell Chemical Co.から入手可能なCARDURA E、およびグリシジルネオデカノエートなどのモノカルボン酸のグリシジルエステル、ならびに上述のいずれかの混合物などのアルコールおよびフェノールのモノグリシジルエーテルが含まれる。
【0036】
使用することができる有用なエポキシ含有成分には、ポリエポキシド(1超のエポキシ官能価を有する)、エポキシ付加物、またはそれらの組み合わせが含まれる。好適なポリエポキシドには、Epon(登録商標)828および1001エポキシ樹脂などのビスフェノールAのポリグリシジルエーテルならびにHexion Specialty Chemicals,Inc.から市販されているEpon(登録商標)862などのビスフェノールFポリエポキシドが含まれる。他の有用なポリエポキシドには、多価アルコールのポリグリシジルエーテル、ポリカルボン酸のポリグリシジルエステル、オレフィン性不飽和脂肪環式化合物のエポキシド化から誘導されたポリエポキシド、エポキシ分子中にオキシアルキレン基を含有するポリエポキシド、およびエポキシノボラック樹脂が含まれる。さらに他の非限定的なエポキシ化合物には、エポキシド化ビスフェノールAノボラック、エポキシド化フェノールノボラック、エポキシド化クレシルノボラック、イソソルビドジグリシジルエーテル、トリグリシジルp-アミノフェノール、およびトリグリシジルp-アミノフェノールビスマレイミド、トリグリシジルイソシアヌレート、テトラグリシジル4,4’-ジアミノジフェニルメタン、ならびにテトラグリシジル4,4’-ジアミノジフェニルスルホンが含まれる。エポキシ含有化合物はまた、エポキシ二量体酸付加物を含み得る。エポキシ二量体酸付加物は、ジエポキシド化合物(ビスフェノールAのポリグリシジルエーテルなど)および二量体酸(C36二量体酸など)を含む反応物質の反応生成物として形成され得る。エポキシ含有化合物はまた、カルボキシル末端ブタジエン-アクリロニトリルコポリマー修飾エポキシ含有化合物を含み得る。エポキシ含有化合物はまた、エポキシド化ヒマシ油を含み得る。エポキシ含有化合物はまた、グリシジルメタクリレートなどのエポキシ含有アクリルを含み得る。
【0037】
エポキシ含有化合物は、エポキシ付加物を含み得る。組成物は、1つ以上のエポキシ付加物を含み得る。本明細書で使用される場合、「エポキシ付加物」という用語は、エポキシ化合物およびエポキシド官能基を含まない少なくとも1つの他の化合物の残基を含む反応生成物を指す。例えば、エポキシ付加物は、(1)エポキシ化合物、ポリオール、および無水物、(2)エポキシ化合物、ポリオール、および二塩基酸、または(3)エポキシ化合物、ポリオール、無水物、および二塩基酸、を含む、反応物質の反応生成物を含み得る。
【0038】
エポキシ付加物を形成するために使用されるエポキシ化合物は、組成物に含まれ得る上記のエポキシ含有化合物のいずれかを含み得る。
【0039】
エポキシ付加物を形成するために使用されるポリオールには、ジオール、トリオール、テトラオール、およびより高い官能性のポリオールが含まれ得る。そのようなポリオールの組み合わせも使用され得る。ポリオールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコールなどから誘導されたポリエーテル鎖ならびにそれらの混合物に基づき得る。ポリオールはまた、カプロラクトン(以下、ポリカプロラクトン系ポリオールと称される)の環開口重合から誘導されたポリエステル鎖に基づき得る。好適なポリオールには、ポリエーテルポリオール、ポリウレタンポリオール、ポリウレアポリオール、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリブタジエンポリオール、水素化ポリブタジエンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリシロキサンポリオール、およびそれらの組み合わせも含まれ得る。ポリオールに対応するポリアミンも使用され得、この場合、カルボン酸エステルの代わりにアミドが、二塩基酸および無水物と共に形成される。
【0040】
ポリオールは、ポリカプロラクトン系ポリオールを含み得る。ポリカプロラクトン系ポリオールは、一次ヒドロキシル基で終端したジオール、トリオール、またはテトラオールを含み得る。市販のポリカプロラクトン系ポリオールには、例えば、Capa2054、Capa2077A、Capa2085、Capa2205、Capa3031、Capa3050、Capa3091、およびCapa4101などのPerstorp GroupからCapa(商標)の商品名で販売されるものが含まれる。
【0041】
ポリオールは、ポリテトラヒドロフラン系ポリオールを含み得る。ポリテトラヒドロフラン系ポリオールは、一次ヒドロキシル基で終端したジオール、トリオール、またはテトラオールを含み得る。市販のポリテトラヒドロフラン系ポリオールには、Invistaから入手可能なテトラメチレンエーテル基を繰り返すことによってヒドロキシル基が分離される直鎖ジオールのブレンドであるTerathane(登録商標)PTMEG250およびTerathane(登録商標)PTMEG650などのTerathane(登録商標)の商品名で販売されるものが含まれる。加えて、Cognis Corporationから入手可能なPripol(登録商標)、Solvermol(商標)、およびEmpol(登録商標)の商品名で販売される二量体ジオールに基づくポリオール、またはBiobased Technologiesから入手可能な四官能性ポリオールAgrol4.0などのバイオベースのポリオールも利用され得る。
【0042】
エポキシ付加物を形成するために使用され得る無水物は、当技術分野で既知の任意の好適な酸無水物を含み得る。例えば、無水物は、ヘキサヒドロフタル酸無水物およびその誘導体(例えば、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物)、フタル酸無水物およびその誘導体(例えば、メチルフタル酸無水物)、無水マレイン酸、無水コハク酸、トリメレチン酸無水物、二水素化ピロメル酸(PMDA)、3,3’,4,4’-オキシ二フタル二水素化物(ODPA)、3,3’,4,4’-ベンゾフェロンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、ならびに4,4’-二フタル酸(ヘキサフルオロイソプロピリデン)無水物(6FDA)を含み得る。
【0043】
エポキシ付加物を形成するために使用される二塩基酸は、当技術分野で既知の任意の好適な二塩基酸を含み得る。例えば、二塩基酸は、フタル酸およびその誘導体(例えば、メチルフタル酸)、ヘキサヒドロフタル酸およびその誘導体(例えば、メチルヘキサヒドロフタル酸)、マレイン酸、コハク酸、アジピン酸などを含み得る。
【0044】
エポキシ付加物は、ジオール、一無水物または二塩基酸、およびジエポキシ化合物を含み得、エポキシ付加物中のジオール、一無水物(または二塩基酸)、およびジエポキシ化合物のモル比は、0.5:0.8:1.0~0.5:1.0:6.0で変動し得る。
【0045】
エポキシ付加物は、トリオール、一無水物または二塩基酸、およびジエポキシ化合物を含み得、エポキシ付加物中のトリオール、一無水物(または二塩基酸)、およびジエポキシ化合物のモル比は、0.5:0.8:1.0~0.5:1.0:6.0で変動し得る。
【0046】
エポキシ付加物は、テトラオール、一無水物または二塩基酸、およびジエポキシ化合物を含み得、エポキシ付加物中のテトラオール、一無水物(または二塩基酸)、およびジエポキシ化合物のモル比は、0.5:0.8:1.0~0.5:1.0:6.0で変動し得る。
【0047】
他の好適なエポキシ含有成分には、米国特許第8,796,361号、第3項、第42行~第4項、第65行に記載されるように、エポキシ含有化合物、ポリオール、および無水物を含む反応物質の反応生成物として形成されるエポキシポリエステルなどのエポキシ付加物が含まれ、その引用部分は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0048】
エポキシ含有成分は、1.0超、例えば、少なくとも1.8の平均エポキシド官能価を有し得、かつ3.2未満、例えば、2.8以下の平均エポキシド官能価を有し得る。エポキシ含有成分は、1.0超~3.2未満、例えば、1.8~2.8の平均エポキシド官能価を有し得る。本明細書で使用される場合、「平均エポキシド官能価」という用語は、組成物中のエポキシド官能基対エポキシド含有分子のモル比を意味する。
【0049】
本発明によれば、エポキシ含有成分は、総組成物重量に基づいて、少なくとも45重量%、例えば、少なくとも55重量%の量で組成物中に存在し得、場合によっては、総組成物重量に基づいて、90重量%以下、例えば、85重量%以下の量でコーティング組成物中に存在し得る。本発明によれば、エポキシ含有成分は、総組成物重量に基づいて、45重量%~90重量%、例えば、55重量%~85重量%の量でコーティング組成物中に存在し得る。
【0050】
本発明によれば、コーティング組成物のエポキシ含有成分のエポキシ当量は、少なくとも40g/当量、例えば、少なくとも74g/当量、例えば、少なくとも160g/当量、例えば、少なくとも200g/当量、例えば、少なくとも500g/当量、例えば、少なくとも1,000g/当量であり得、場合によっては、2,000g/当量以下、例えば、1,000g/当量以下、例えば、500g/当量以下、例えば、200g/当量以下であり得る。本発明によれば、コーティング組成物のエポキシ含有成分のエポキシ当量は、40g/当量~2,000g/当量、例えば、100g/当量~1000g/当量、例えば、160g/当量~500g/当量の範囲であり得る。本明細書で使用される場合、「エポキシ当量」は、エポキシ含有成分の分子量をエポキシ含有成分中に存在するエポキシ基の数で除算することによって決定される。
【0051】
本発明によれば、コーティング組成物のエポキシ含有成分の分子量(Mw)は、少なくとも40g/mol、例えば、少なくとも74g/mol、例えば、少なくとも198g/mol、例えば、少なくとも310g/mol、例えば、少なくとも500g/mol、例えば、少なくとも1,000g/mol、場合によっては20,000g/mol以下、例えば、4,000g/mol以下、例えば、2,000g/mol以下、例えば、400g/mol以下、例えば、300g/mol以下であり得る。本発明によれば、コーティング組成物のエポキシ含有成分の分子量は、40g/mol~20,000g/mol、例えば、198g/mol~4,000g/mol、例えば、310g/mol~2,000g/mol、例えば、500g/mol~1,000g/molの範囲であり得る。
【0052】
本発明によるコーティング組成物は、エラストマー粒子をさらに含む。本明細書で使用される場合、「エラストマー粒子」は、例えば、Fox方程式を使用して計算された、-150℃超かつ30℃未満の少なくとも1つのガラス転移温度(Tg)を有する1つ以上の材料から構成される粒子を指す。エラストマー粒子は、エポキシ含有成分から相分離され得る。本明細書で使用される場合、「相分離」という用語は、エポキシ含有成分のマトリックス内に離散ドメインを形成することを意味する。
【0053】
エラストマー粒子は、コア/シェル構造を有し得る。好適なコアシェルエラストマー粒子は、アクリルシェルおよびエラストマーコアから構成され得る。コアは、天然または合成ゴム、ポリブタジエン、スチレン-ブタジエン、ポリイソプレン、クロロプレン、アクリロニトリルブタジエン、ブチルゴム、ポリシロキサン、ポリスルフィド、エチレン-酢酸ビニル、フルオロエラストマー、ポリオレフィン、またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0054】
本発明によれば、エラストマー粒子の平均粒径は、透過電子顕微鏡(TEM)によって測定した際、少なくとも20nm、例えば、少なくとも30nm、例えば、少なくとも40nm、例えば、少なくとも50nmであり得、かつ400nm以下、例えば、300nm以下、例えば、200nm以下、例えば、150nm以下であり得る。本発明によれば、エラストマー粒子の平均粒径は、TEMによって測定した際、20nm~400nm、例えば、30nm~300nm、例えば、40nm~200nm、例えば、50nm~150nmであり得る。TEMによって粒径を測定する好適な方法は、粒子が膨張しないように選択された溶媒中にエラストマー粒子を懸濁すること、および次いで、懸濁液を周囲条件下で乾燥させるTEMグリッド上にドロップキャストすることを含む。例えば、Kaneka Texas Corporationからのコアシェルゴムエラストマー粒子を含有するエポキシ樹脂を、ドロップキャストするために酢酸ブチル中で希釈することができる。200kVで動作するTecnai T20 TEMを使用して取得し、ImageJソフトウェアまたは同等の器具およびソフトウェアを使用して分析した画像から粒径測定値を得てもよい。
【0055】
本発明によれば、エラストマー粒子は、任意選択的に、コーティング組成物に導入するためのエポキシキャリア樹脂中に含まれてもよい。20nm~400nmの範囲の平均粒径での好適な細かく分散したコアシェルエラストマー粒子は、芳香族エポキシド、フェノールノボラックエポキシ樹脂、ビスフェノールAおよび/もしくはビスフェノールFジエポキシド、ならびに/または脂肪族エポキシドなどのエポキシ樹脂中でマスターバッチされ得、エラストマー分散体の総重量に基づいて、1重量%~80重量%、例えば、5重量%~50重量%、例えば、15重量%~35重量%のコアシェルエラストマー粒子の範囲の濃度で、シクロ脂肪族エポキシドを含む。好適なエポキシ樹脂には、エポキシ樹脂の混合物も含まれ得る。利用時に、エポキシキャリア樹脂は、コーティング組成物中に存在するエポキシ含有成分の重量が、エポキシキャリア樹脂の重量を含むように、本発明のエポキシ含有成分であり得る。
【0056】
本発明のコーティング組成物に利用され得るポリ(ブタジエン)ゴム粒子を使用した例示的な非限定的な市販のコアシェルエラストマー粒子製品には、コアシェルポリ(ブタジエン)ゴム粉末(Dow ChemicalからPARALOID(商標)EXL2650Aとして市販されている)、ビスフェノールFジグリシジルエーテル(Kane Ace MX136として市販されている)中のコアシェルポリ(ブタジエン)ゴム分散体(25重量%のコアシェルゴム)、Epon(登録商標)828(Kane Ace MX153として市販されている)中のコアシェルポリ(ブタジエン)ゴム分散体(33重量%のコアシェルゴム)、Epiclon(登録商標)EXA-835LV(Kane Ace MX139として市販されている)中のコアシェルポリ(ブタジエン)ゴム分散体(33重量%のコアシェルゴム)、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(Kane Ace MX257として市販されている)中のコアシェルポリ(ブタジエン)ゴム分散体(37重量%のコアシェルゴム)、およびEpon(登録商標)863(Kane Ace MX267として市販されている)中のコアシェルポリ(ブタジエン)ゴム分散体(37重量%のコアシェルゴム)が含まれ、Kaneka Texas Corporationから各々入手可能である。
【0057】
コーティング組成物中で利用され得るスチレン-ブタジエンゴム粒子を使用した例示的な非限定的な市販のコアシェルエラストマー粒子製品には、コアシェルスチレン-ブタジエンゴム粉末(ArkemaからCLEARSTRENGTH(登録商標)XT100として市販されている)、コアシェルスチレン-ブタジエンゴム粉末(PARALOID(商標)EXL2650Jとして市販されている)、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(Olin(商標)からFortegra(商標)352として市販されている)中のコアシェルスチレン-ブタジエンゴム分散体(33重量%のコアシェルゴム)、低粘度ビスフェノールAジグリシジルエーテル(Kane Ace MX113として市販されている)中のコアシェルスチレン-ブタジエンゴム分散体(33重量%のゴム)、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(Kane Ace MX125として市販されている)中のコアシェルスチレン-ブタジエンゴム分散体(25重量%のコアシェルゴム)、ビスフェノールFジグリシジルエーテル(Kane Ace MX 135として市販されている)中のコアシェルスチレン-ブタジエンゴム分散体(25重量%のコアシェルゴム)、D.E.N.(商標)-438フェノールノボラックエポキシ(Kane Ace MX215として市販されている)中のコアシェルスチレン-ブタジエンゴム分散体(25重量%のコアシェルゴム)、Araldite(登録商標)MY-721多官能性エポキシ(Kane Ace MX416として市販されている)中のコアシェルスチレン-ブタジエンゴム分散体(25%重量のコアシェルゴム)、MY-0510多官能性エポキシ(Kane Ace MX451として市販されている)中のコアシェルスチレン-ブタジエンゴム分散体(25%重量のコアシェルゴム)、SynasiaからのSynaエポキシ21シクロ-脂肪族エポキシ(Kane Ace MX551として市販されている)中のコアシェルスチレン-ブタジエンゴム分散体(25%重量のコアシェルゴム)、およびポリプロピレングリコール(MW400)(Kane Ace MX715として市販されている)中のコアシェルスチレン-ブタジエンゴム分散体(25重量%のコアシェルゴム)が含まれ、Kaneka Texas Corporationから各々入手可能である。
【0058】
本発明のコーティング組成物に利用され得るポリシロキサンゴム粒子を使用した例示的な非限定的な市販のコアシェルエラストマー粒子製品には、コアシェルポリシロキサンゴム粉末(WackerからGENIOPERL(登録商標)P52として市販されている)、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(EvonickからALBIDUR(登録商標)EP2240Aとして市販されている)中のコアシェルポリシロキサンゴム分散体(40重量%のコアシェルゴム)、jER(商標)828(Kane Ace MX960として市販されている)中のコアシェルポリシロキサンゴム分散体(25重量%のコアシェルゴム)、Epon(登録商標)863(Kane Ace MX965として市販されている)中のコアシェルポリシロキサンゴム分散体(25重量%のコアシェルゴム)が含まれ、Kaneka Texas Corporationから各々入手可能である。
【0059】
エラストマー粒子は、総組成物重量に基づいて、11重量%超、例えば、少なくとも15重量%の量で組成物中に存在し得、場合によっては、総組成物重量に基づいて、40重量%以下、例えば、35重量%以下、例えば、25重量%以下の量で組成物中に存在し得る。本発明によれば、エラストマー粒子は、総組成物重量に基づいて、11重量%超~40重量%、例えば、11重量%超~25重量%、例えば、15重量%~25重量%の量で組成物中に存在し得る。
【0060】
本発明によれば、少なくとも50重量%のエラストマー粒子は、コーティング組成物中のエラストマー粒子の総重量に基づいて、スチレンブタジエンコアを含む。例えば、スチレンブタジエンコアを含むエラストマー粒子は、エラストマー粒子の総重量に基づいて、少なくとも50重量%、例えば、少なくとも65重量%、例えば、少なくとも75重量%の量でコーティング組成物中に存在し得、かつコーティング組成物中のエラストマー粒子の総重量に基づいて、100重量%、例えば、95重量%以下、例えば、90重量%以下の量で存在し得る。スチレンブタジエンコアを含むエラストマー粒子は、コーティング組成物中のエラストマー粒子の総重量に基づいて、50重量%~100重量%、例えば、65重量%~90重量%、例えば、75重量%~95重量%の量でコーティング組成物中に存在し得る。
【0061】
本発明によれば、少なくとも50重量%のエラストマー粒子は、コーティング組成物中のエラストマー粒子の総重量に基づいて、150nm以下、例えば、50nm~150nmの平均粒径(本明細書に記載のTEMに基づく)を有する。例えば、150nm以下、例えば、50nm~150nmの平均粒径(本明細書に記載のTEMに基づく)を有するエラストマー粒子は、エラストマー粒子の総重量に基づいて、少なくとも50重量%、例えば、少なくとも65重量%、例えば、少なくとも75重量%の量でコーティング組成物中に存在し得、かつコーティング組成物中のエラストマー粒子の総重量に基づいて、100重量%、例えば、95重量%以下、例えば、90重量%以下の量で存在し得る。150nm、例えば、50nm~150nmの平均粒径(本明細書に記載のTEMに基づく)を有するエラストマー粒子は、コーティング組成物中のエラストマー粒子の総重量に基づいて、50重量%~100重量%、例えば、65重量%~95重量%、例えば、75重量%~90重量%の量でコーティング組成物中に存在し得る。
【0062】
本発明によれば、50重量%以下のエラストマー粒子は、コーティング組成物中のエラストマー粒子の総重量に基づいて、ポリブタジエンコアを含む。例えば、ポリブタジエンコアを含有するエラストマー粒子が、少なくとも存在する場合、それらは、エラストマー粒子の総重量に基づいて、少なくとも5重量%、例えば、少なくとも10重量%の量で存在し得、かつエラストマー粒子の総重量に基づいて、50重量%以下、例えば、35重量%以下、例えば、25重量%以下の量で存在し得る。ポリブタジエンコアを含有するエラストマー粒子は、エラストマー粒子の総重量に基づいて、0重量%~50重量%、例えば、5重量%~35重量%、例えば、10重量%~25重量%の量で本発明のコーティング組成物中に存在し得る。
【0063】
本発明によれば、50重量%以下のエラストマー粒子は、コーティング組成物中のエラストマー粒子の総重量に基づいて、ポリシロキサンコアを含む。例えば、ポリシロキサンを含有するエラストマー粒子が、少しでも存在する場合、それらは、エラストマー粒子の総重量に基づいて、少なくとも5重量%、例えば、少なくとも10重量%の量で存在し得、かつエラストマー粒子の総重量に基づいて、50重量%以下、例えば、35重量%以下、例えば、25重量%以下の量で存在し得る。ポリシロキサンを含むエラストマー粒子は、エラストマー粒子の総重量に基づいて、0重量%~50重量%、例えば、5重量%~35重量%、例えば、10重量%~25重量%の量で本発明のコーティング組成物中に存在し得る。
【0064】
本発明の組成物は、外部エネルギー源によって活性化可能な硬化成分をさらに含み、硬化成分は、グアニジンを含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなる。本明細書で使用される場合、「グアニジン」は、グアニジンおよびその誘導体を指すことが理解されよう。例えば、使用され得る硬化成分には、グアニジン、置換グアニジン、置換尿素、メラミン樹脂、グアナミン誘導体、熱活性化環状三級アミン、芳香族アミン、および/またはそれらの混合物が含まれる。置換グアニジンの例は、メチルグアニジン、ジメチルグアニジン、トリメチルグアニジン、テトラメチルグアニジン、メチルイソビグアニジン、ジメチルイソビグアニジン、テトラメチルイソビグアニジン、ヘキサメチルイソビグアニジン、ヘプタメチルイソビグアニジン、より特にシアノグアニジン(ジヤンジアミド、例えば、AlzChemから入手可能なDyhard(登録商標))である。言及され得る好適なグアナミン誘導体の代表は、アルキル化ベンゾグアナミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、またはメトキシメチルエトキシメチルベンゾグアナミンである。
【0065】
例えば、グアニジンは、以下の一般構造を有する化合物、部分、および/または残基を含んでもよい:
【化1】
式中、R1、R2、R3、R4、およびR5(すなわち、構造(I)の置換基)の各々は、水素、(シクロ)アルキル、アリール、芳香族、有機金属、ポリマー構造、または一緒に、シクロアルキル、アリール、もしくは芳香族構造を形成することができ、式中、R1、R2、R3、R4、およびR5は、同じであっても異なってもよい。本明細書で使用される場合、「(シクロ)アルキル」は、アルキルおよびシクロアルキルの両方を指す。R基のいずれかが「一緒に(シクロ)アルキル、アリール、および/または芳香族基を形成することができる」とき、任意の2つの隣接するR基が連結されて、以下の構造(II)~(V)中の環などの環状部分を形成することを意味する。
【0066】
構造(I)に示される炭素原子と窒素原子との間の二重結合が、構造(I)の炭素原子と別の窒素原子との間に位置し得ることが理解されるであろう。したがって、構造(I)の様々な置換基は、二重結合が構造内に位置する場所に応じて、異なる窒素原子に付着し得る。
【0067】
グアニジンは、構造(I)のグアニジンなどの環状グアニジンを含んでもよく、構造(I)の2つ以上のR基は、一緒に1つ以上の環を形成する。言い換えれば、環状グアニジンは、1つ超の環(複数可)を含み得る。例えば、環状グアニジンは、以下の構造(II)および(III)に示されるような単環式グアニジン(1つの環)のいずれかであってもよく、または環状グアニジンは、以下の構造(IV)および(V)に示されるような二環式もしくは多環式グアニジン(2つ超の環)であってもよい。
【化2】
【0068】
構造(II)および/または(III)、R1~R7の各置換基は、水素、(シクロ)アルキル、アリール、芳香族、有機金属、ポリマー構造を含んでもよく、または一緒にシクロアルキル、アリール、もしくは芳香族構造を形成してもよく、式中、R1~R7は、同じであっても異なってもよい。同様に、構造(IV)および(V)、R1~R9の各置換基は、水素、アルキル、アリール、芳香族、有機金属、ポリマー構造であってもよく、または一緒にシクロアルキル、アリール、もしくは芳香族構造を形成してもよく、式中、R1~R9は、同じであっても異なってもよい。さらに、構造(II)および/または(III)のいくつかの例では、R1~R7の特定の組み合わせは、同じ環構造の一部であり得る。例えば、構造(II)のR1およびR7は、単一の環構造の一部を形成し得る。さらに、置換基の任意の組み合わせ(構造(II)および/または(III)のR1~R7ならびに構造(IV)および/または(V)のR1~R9)は、置換基が環状グアニジンの触媒活性に実質的に干渉しない限り選ばれ得ることが理解されるであろう。
【0069】
環状グアニジン中の各環は、5つ超の員から構成され得る。例えば、環状グアニジンは、5員環、6員環、および/または7員環を含み得る。本明細書で使用される場合、「員」という用語は、環構造中に位置する原子を指す。したがって、5員環は、環構造中に5つの原子を有し(構造(II)~(V)中の「n」および/または「m」=1)、6員環は、環構造中に6つの原子を有し(構造(II)~(V)中の「n」および/または「m」=2)、7員環は、環構造中に7つの原子を有する(構造(II)~(V)中の「n」および/または「m」=3)。環状グアニジンが、2つ超の環(例えば、構造(IV)および(V))から構成される場合、環状グアニジンの各環中の員の数は、同じまたは異なるのいずれかであり得ることが理解されるであろう。例えば、一方の環は、5員環であってもよく、他方の環は、6員環であってもよい。環状グアニジンが、3つ超の環から構成される場合、次いで前文で引用される組み合わせに加えて、環状グアニジンの第1の環中の員の数は、環状グアニジンの任意の他の環中の員の数とは異なり得る。
【0070】
構造(II)~(V)の窒素原子が、それらに付着する追加の原子をさらに有し得ることも理解されるであろう。さらに、環状グアニジンは、置換または非置換のいずれかであり得る。例えば、本明細書で環状グアニジンと併用される場合、「置換」という用語は、環状グアニジンを指し、構造(II)および/もしくは(III)のR5、R6、および/もしくはR7、ならびに/または構造(IV)および/もしくは(V)のR9は、水素ではない。本明細書で環状グアニジンと併用される場合、「非置換」という用語は、環状グアニジンを指し、構造(II)および/もしくは(III)のR1~R7、ならびに/または構造(IV)および/もしくは(V)のR1~R9は、水素である。
【0071】
環状グアニジンは、二環式グアニジンを含んでもよく、二環式グアニジンは、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン(「TBD」または「BCG」)を含んでもよい。
【0072】
グアニジンは、組成物の総重量に基づいて、少なくとも2重量%、例えば、少なくとも5重量%の量で組成物中に存在し得、かつ組成物の総重量に基づいて、20重量%以下、例えば、15重量%以下、例えば、10重量%以下の量で存在し得る。グアニジンは、組成物の総重量に基づいて、2重量%~20重量%、例えば、5重量%~15重量%、例えば、7重量%~12重量%の量で組成物中に存在し得る。
【0073】
グアニジン粒子は、動的光散乱によって測定された際、25μmのD90粒径、例えば、20μmのD90粒径、例えば、15μmのD90粒径を有し得る。D90の測定に有用な有用な器具には、LS13 320レーザ回折粒径分析器(Beckman Coulterから入手可能)または同様の器具が含まれる。
【0074】
本発明によれば、コーティング組成物は、任意選択的に、第2の硬化剤をさらに含み得る。硬化剤は、潜硬化剤、ブロック化硬化剤、封入硬化剤、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0075】
有用な第2の硬化剤は、アミドアミンもしくはポリアミド触媒、例えば、Air Productsから入手可能なAncamide(登録商標)製品のうちの1つなど、アミン、ジヒドラジド、もしくはジシアンジアミド付加物および複合体、例えば、Ajinomoto Fine Techno Companyから入手可能なAjicuRe(登録商標)製品のうちの1つなど、Alz Chemから入手可能な3,4-ジクロロフェニル-N,N-ジメチル尿素(別名Diuron)、またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0076】
本発明によれば、利用時、第2の硬化剤は、総組成物重量に基づいて、少なくとも0.01重量%、例えば、少なくとも1重量%、例えば、少なくとも5重量%の量でコーティング組成物中に存在し得、場合によっては、総組成物重量に基づいて、10重量%以下、例えば、5重量%以下、例えば、1重量%以下の量でコーティング組成物中に存在し得る。本発明によれば、利用時、第2の硬化剤は、総組成物重量に基づいて、0.01重量%~10重量%、例えば、1重量%~5重量%の量でコーティング組成物中に存在し得る。
【0077】
本発明によれば、補強フィラーは、任意選択的にコーティング組成物に添加され得る。本発明のコーティング組成物に導入して、ガラス繊維、二酸化チタン繊維、ウイスカー型炭酸カルシウム(アラゴナイト)、ならびに炭素繊維(黒鉛およびカーボンナノチューブを含む)などの改善された機械材料を提供し得る有用な強化フィラー。加えて、5ミクロン以上の幅および50ミクロン以上の長さに粉砕したガラス繊維も追加の引張強度を提供し得る。
【0078】
本発明によれば、実質的に球状であるものなどの有機および/または無機フィラーは、任意選択的にコーティング組成物に添加されてもよい。導入され得る有用な有機フィラーには、セルロース、デンプン、およびアクリルが含まれる。導入され得る有用な無機フィラーには、ボロシリケート、アルミノシリケート、および炭酸カルシウムが含まれる。有機フィラーおよび無機フィラーは、組成物中で固体であっても、中空であっても、または層状であってもよく、少なくとも1つの次元において10nm~1mmのサイズの範囲であり得る。
【0079】
任意選択的に、本発明によれば、追加のフィラー、チキソトロープ、着色料、ティント、および/または他の材料もコーティング組成物に添加され得る。
【0080】
使用され得る有用なチキソトロープには、未処理のヒュームドシリカおよび処理されたヒュームドシリカ、キャスターワックス、粘土、有機粘土、ならびにそれらの組み合わせが含まれる。加えて、Aramid(登録商標)繊維およびKevlar(登録商標)繊維、アクリル繊維、および/または改変セルロース繊維などの合成繊維などの繊維も利用され得る。
【0081】
有用な着色料、染料、またはティントは、赤い鉄顔料、二酸化チタン、炭酸カルシウム、およびフタロシアニンブルー、ならびにそれらの組み合わせを含み得る。
【0082】
チキソトロープと併用され得る有用なフィラーには、無機粘土またはシリカなどの無機フィラー、およびそれらの組み合わせが含まれ得る。
【0083】
利用され得る例示的な他の材料には、例えば、酸化カルシウムおよびカーボンブラック、ならびにそれらの組み合わせが含まれる。
【0084】
そのようなフィラーは、少しでも存在する場合、組成物の総重量に基づいて、20重量%以下、例えば、10重量%以下、例えば、5重量%以下の量で存在し得る。そのようなフィラーは、少しでも存在する場合、組成物の総重量に基づいて、0.1重量%~20重量%、例えば、1重量%~15重量%、例えば、5重量%~10重量%の量で存在し得る。
【0085】
任意選択的に、組成物は、マイカ、タルク、ピロフィラーイト、クロライト、バーミキュライト、またはそれらの組み合わせなどの板状フィラーを実質的に含まない場合があるか、または本質的にそれを含まない場合があるか、または完全にそれを含まない場合がある。
【0086】
任意選択的に、組成物は、フリーラジカル開始剤を実質的に含まない場合があるか、または本質的にそれを含まない場合があるか、または完全にそれを含まない場合がある。
【0087】
驚くべきことに、総組成物重量に基づいて、20重量%超の集計量で、組成物に添加剤を添加することにより、例えば、15重量%超、例えば、10重量%超のラップせん断強度および変位を著しく低減することが発見された。すなわち、組成物は、総組成物重量に基づいて、最大20重量%、例えば、最大15重量%、例えば、最大10重量%の添加剤を含有し得る。実施例では、組成物は、添加剤を実質的に含まない場合があるか、または本質的にそれを含まない場合があるか、または完全にそれを含まない場合がある。本明細書で使用される場合、「添加剤」という用語は、本明細書に記載のエポキシ含有成分、エラストマー粒子、グアニジン硬化成分、第2の硬化剤、およびフィラーに加えて、コーティング組成物に含まれる構成成分または成分を指す。そのような添加剤の例示的な非限定的な例には、Huntsman CorporationからのFlexibilzer(登録商標)DY965などの軟化剤、反応性液体ゴム、非反応性液体ゴム、エポキシアミン付加物(上述されているが、存在する場合、コーティング組成物中に存在するエポキシ含有成分とは異なるものなど)、エポキシチオール付加物、ブロック化イソシアネート、キャップドイソシアネート、エポキシウレタン、エポキシ尿素、Hexionからの修飾エポキシ、HexionからのHELOXY(商標)改質剤、接着促進剤、MomentiveからのSilquest A-187などのシランカップリング剤、難燃剤、EvonikからのNANOPOX(登録商標)分散体などのコロイドシリカ、熱可塑性樹脂、AICA Kogyo CoからのZEFIAC(登録商標)ビーズなどのアクリルポリマービーズ、またはそれらの組み合わせが含まれる。
【0088】
本発明はまた、基材の表面の少なくとも一部分を上記の本発明の組成物のうちの1つと接触させることを含むか、または本質的にそれからなるか、またはそれからなる基材を処理するための方法を対象とする。組成物は、本明細書に記載のように、外部エネルギー源に曝露することによって、基材表面上にコーティング、層、またはフィルムを形成するように硬化され得る。コーティング、層、またはフィルムは、例えば、シーラントまたは接着剤であり得る。
【0089】
本発明は、基材間の結合がラップせん断強度および変位の両方に関する特定の機械的特性を提供する、多種多様な潜在的用途のための2つの基材間の結合を形成するための方法も対象とする。本方法は、上記の組成物を第1の基材に適用することと、組成物が第1の基材と第2の基材との間に位置するように第2の基材を組成物に接触させることと、本明細書に記載のように外部エネルギー源に曝露することによって組成物を硬化させることと、を含み得るか、または本質的にそれらからなり得るか、またはそれらからなり得る。例えば、組成物は、結合されている基材材料のうちの一方または両方のいずれかに適用されて、その間に接着結合を形成してもよく、基材が整列されてもよく、圧力および/またはスペーサを追加して、結合厚を制御してもよい。組成物は、洗浄または未洗浄(すなわち、油性または油を塗ったを含む)基材表面に適用され得る。
【0090】
上述のように、本開示の組成物はまた、基材または基材表面上にシーラントなどのコーティングを形成し得る。コーティング組成物は、非限定的な例として、自動車フレームもしくは飛行機の車体もしくは構成要素を含む基材表面、またはタンク上のものなどの装甲アセンブリ、またはボディアーマー、パーソナルアーマー、装甲のスーツなどの防護服に適用され得る。本発明の組成物によって形成されるシーラントは、十分なラップせん断強度および変位を提供する。組成物は、洗浄または未洗浄(すなわち、油性または油を塗ったを含む)基材表面に適用され得る。また、前処理された基材に適用され、電気沈着性コーティングでコーティングされ、プライマー、ベースコート、またはトップコートなどの追加の層でコーティングされてもよい。その後、オーブンでの焼き付けなどのコーティング組成物を硬化させるために外部エネルギー源を適用し得る。
【0091】
上記の組成物は、単独で、またはいくつかの異なる方法でいくつかの異なる基材上に堆積することができるコーティングシステムの一部として適用され得る。システムは、いくつかの同じまたは異なる層を含んでもよく、例えば、前処理組成物、プライマーなどの他のコーティング組成物をさらに含んでもよい。コーティング、フィルム、層などは、典型的には、基材上に堆積される組成物が、当業者に既知の方法(例えば、熱加熱または放射線への曝露によって)によって少なくとも部分的に硬化されるときに形成される。
【0092】
組成物は、任意の数の異なる方法で基材の表面に適用することができ、その非限定的な例には、ブラシ、ローラ、フィルム、ペレット、圧力噴射器、スプレーガン、およびアプリケータガンが含まれる。任意選択的に、基材は、100%のウォーターブレイクフリーであり得る。任意選択的に、基材は、非ウォーターブレイクフリーであり得る。本明細書で使用される場合、「ウォーターブレイクフリー」とは、水が表面上に均等に広がり、ビーズアップしないことを意味する。本明細書で使用される場合、「非ウォーターブレイクフリー」とは、表面上にウォータービーズが上昇することを意味する。
【0093】
基材に適用後、組成物は、例えば、オーブンもしくは他の熱手段などの外部エネルギー源を使用するか、またはアクチン放射線を使用することによって、コーティング、層、またはフィルムを形成するように硬化することができる。例えば、組成物は、高温、例えば、少なくとも80℃、例えば、少なくとも100℃、例えば、少なくとも120℃、例えば、少なくとも125℃、例えば、少なくとも130℃、場合によっては、250℃以下、例えば、210℃以下、例えば、185℃以下、例えば、170℃以下、例えば、165℃以下の温度、場合によっては、80℃~250℃、120℃~185℃、125~170℃、130℃~165℃の温度で、基材(複数可)上のコーティング組成物を少なくとも部分的に硬化するのに十分である任意の所望の期間(例えば、5分~5時間)、焼き付けおよび/または硬化することにより硬化させることができる。しかしながら、当業者は、温度と共に硬化の時間が変動することを理解している。コーティング、層、またはフィルムは、例えば、上記のように、シーラントまたは接着剤であり得る。
【0094】
上述のように、本開示は、基材材料間の結合が、組み合わされたラップせん断強度および変位に関する特定の機械的特性を提供する、多種多様な潜在的用途のための2つの基材材料を一緒に結合するために使用される接着剤組成物を対象とする。接着剤組成物は、例えば、車両の構成要素の非限定的な例として、結合される基材材料の一方または両方のいずれかに適用され得る。ピースを整列させ、圧力および/またはスペーサを追加して、結合厚を制御し得る。
【0095】
上述のように、本開示はまた、強度および伸び率を含む特定の機械的特性を提供するために、基材の表面をコーティングするために使用されるコーティング組成物を対象とする。コーティング組成物は、本明細書に記載の基材のいずれかなどの基材表面の少なくとも一部分に適用され得る。
【0096】
驚くべきことに、本発明のコーティング組成物が、少なくとも部分的に硬化した状態で、増加した強度および増加したひずみの両方、変位、または伸び率を含む特定の機械的特性を提供するコーティングを提供することが発見された。
【0097】
驚くべきことに、本発明のコーティング組成物が、少なくとも部分的に硬化した状態(すなわち、本発明のコーティング)で、100N/mm2超の硬度および少なくとも40%の伸び率を有することが発見された。
【0098】
驚くべきことに、本発明のコーティング組成物が、少なくとも部分的に硬化した状態(すなわち、本発明の接着剤)で、ISO11003-2に従って測定した少なくとも33.0MPaのせん断応力および少なくとも34.5%のせん断ひずみの両方を有することが発見された。
【0099】
驚くべきことに、本発明のコーティング組成物が、少なくとも部分的に硬化した状態(すなわち、本発明の接着剤)で、引き上げ速度が1.3mm/分の引張モードで、INSTRON5567機械によって測定した際に、厚さ1.6mmの2024-T3アルミニウム基材を使用してASTM D1002-10に従って測定された30.0MPa超のラップせん断強度、およびオーバーラップ長の少なくとも15%の破壊時のラップせん断変位の両方を有することも発見された。
【0100】
本発明の組成物によってコーティングされ得る基材は、限定されない。本発明において有用な好適な基材には、金属もしくは金属合金などの材料、炭化ホウ素もしくは炭化ケイ素などのセラミック材料、充填剤入りおよび充填剤なしの熱可塑性材料もしくは熱硬化性材料を含む硬質プラスチックなどの高分子材料、または複合材料が含まれるが、これらに限定されない。本発明において有用な他の好適な基材には、ガラスまたは木材などの天然材料が含まれるが、これらに限定されない。例えば、好適な基材には、剛性金属基材、例えば、鉄金属、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウムチタン、銅、ならびに他の金属および合金基材が含まれる。本発明の実施において使用される鉄金属基材は、鉄、鉄鋼、およびそれらの合金を含み得る。有用な鋼材料の非限定的な例には、冷間圧延鋼、亜鉛めっき(亜鉛コーティング)鋼、電気亜鉛めっき鋼、ステンレス鋼、酸洗鋼、GALVANNEALなどの亜鉛鉄合金、およびそれらの組み合わせが含まれる。鉄金属と非鉄金属との組み合わせまたは複合体も使用することができる。1XXX、2XXX、3XXX、4XXX、5XXX、6XXX、7XXX、または8XXXシリーズのアルミニウム合金ならびにA356、1XX.X、2XX.X、3XX.X、4XX.X、5XX.X、6XX.X、7XX.X、または8XX.Xシリーズのクラッドアルミニウム合金および鋳造アルミニウム合金も基材として使用され得る。AZ31B、AZ91C、AM60B、またはEV31Aシリーズのマグネシウム合金も基材として使用され得る。本発明で使用される基材は、Hグレード変形を含むグレード1~36のチタンおよび/またはチタン合金も含み得る。他の好適な非鉄金属には、銅およびマグネシウム、ならびにこれらの材料の合金が含まれる。本発明における使用に好適な金属基材には、車両本体(例えば、限定されないが、ドア、車体パネル、トランクデッキ蓋、屋根パネル、フード、屋根および/もしくはストリンガ、リベット、着陸歯車部品、ならびに/または航空機上で使用されるスキン)、車両フレーム、車両部品、バイク、車輪、ならびに産業構造および構成要素の組立品に使用されるものが含まれる。本明細書で使用される場合、「車両」またはその変形形態には、民間、商用、および軍用航空機、ならびに/または車、バイク、および/もしくはトラックなどの陸上車両が含まれるが、これらに限定されない。金属基材はまた、例えば、金属シートまたは加工部品の形態であり得る。基材が、例えば、米国特許第4,793,867号および同第5,588,989号に記載されるものなどのリン酸亜鉛前処理溶液を含む前処理溶液、または例えば、米国特許第7,749,368号および同第8,673,091号に記載されるものなどの前処理溶液を含有するジルコニウムで前処理され得ることも理解されたい。基材は、プラスチックまたはガラス繊維複合体などの複合材料を含み得る。基材は、ガラス繊維および/または炭素繊維複合体であり得る。本発明の組成物は、特に、自動車、軽および重商用車両、船舶、または航空宇宙を含む様々な産業または輸送用途での使用に好適である。
【0101】
本発明の態様
以下では、本発明のいくつかの非限定的な態様を要約する:
【0102】
態様1.組成物であって、
エポキシ含有成分と、
組成物の総重量に基づいて、11重量%超~25重量%の量のエラストマー粒子と、
外部エネルギー源によって活性化可能な硬化成分と、を含み、硬化成分が、動的光散乱によって測定された25μmのD90粒径を有する少なくとも1つのグアニジンを含む、組成物。
【0103】
態様2.エラストマー粒子が、エポキシ含有成分から相分離される、態様1に記載の組成物。
【0104】
態様3.エポキシ含有成分が、ビスフェノールAポリエポキシド、ビスフェノールFポリエポキシド、ノボラック樹脂、またはそれらの組み合わせを含む、態様1または態様2に記載の組成物。
【0105】
態様4.エポキシ含有成分が、組成物の総重量に基づいて、45重量%~90重量%の量で存在する、態様1~3のいずれかに記載の組成物。
【0106】
態様5.エポキシ含有成分が、1.0超かつ3.2未満の平均エポキシド官能価を有する、態様1~4のいずれかに記載の組成物。
【0107】
態様6.エラストマー粒子が、コア/シェル構造を有する、態様1~5のいずれかに記載の組成物。
【0108】
態様7.エラストマー粒子が、アクリルシェルおよびブタジエンコアを含む、態様6に記載の組成物。
【0109】
態様8.ブタジエンコアが、スチレンブタジエン、ポリブタジエン、またはそれらの組み合わせを含む、態様6または態様7に記載の組成物。
【0110】
態様9.エラストマー粒子の少なくとも50重量%が、エラストマー粒子の総重量に基づいて、スチレンブタジエンコアを含む、態様1~8のいずれかに記載の組成物。
【0111】
態様10.エラストマー粒子の少なくとも50%が、透過電子顕微鏡によって測定した際、150nm未満の平均粒径を有する、態様1~9のいずれかに記載の組成物。
【0112】
態様11.エラストマー粒子の50重量%以下が、エラストマー粒子の総重量に基づいて、ポリブタジエンコアおよび/またはポリシロキサンコアを含む、態様1~10のいずれかに記載の組成物。
【0113】
態様12.エラストマー粒子の50%未満が、透過電子顕微鏡によって測定した際、150nm超の平均粒径を有する、態様1~11のいずれかに記載の組成物。
【0114】
態様13.少なくとも1つのグアニジンが、ジシアンジアミドを含む、態様1~12のいずれかに記載の組成物。
【0115】
態様14.少なくとも1つのグアニジンが、組成物の総重量に基づいて、2%~20%の量で存在する、態様1~13のいずれかに記載の組成物。
【0116】
態様15.少なくとも1つのグアニジンが、20μmのD90粒径を有する粒子を含む、態様1~14のいずれかに記載の組成物。
【0117】
態様16.フィラーをさらに含む、態様1~15のいずれかに記載の組成物。
【0118】
態様17.フィラーが、組成物の総重量に基づいて、20重量%以下の量で存在する、態様16に記載の組成物。
【0119】
態様18.組成物が、板状フィラーを実質的に含まない、態様1~15のいずれかに記載の組成物。
【0120】
態様19.添加剤をさらに含む、態様1~18のいずれかに記載の組成物。
【0121】
態様20.添加剤が、組成物の総重量に基づいて、20重量%以下の量で存在する、態様19に記載の組成物。
【0122】
態様21.組成物が、添加剤を実質的に含まない、態様1~18のいずれかに記載の組成物。
【0123】
態様22.組成物が、フリーラジカル開始剤を実質的に含まない、態様1~18のいずれかに記載の組成物。
【0124】
態様23.第2の硬化剤をさらに含む、態様1~22のいずれかに記載の組成物。
【0125】
態様24.第2の硬化剤が、潜硬化剤、硬化触媒、またはそれらの組み合わせである、態様23に記載の組成物。
【0126】
態様25.組成物が、コーティング組成物、接着剤組成物、またはシーラント組成物を含む、態様1~24のいずれかに記載の組成物。
【0127】
態様26.少なくとも部分的に硬化した状態で、態様25に記載のコーティング組成物を含む、基材。
【0128】
態様27.基材の表面のうちの少なくとも1つが、100%のウォーターブレイクフリーである、態様26に記載の基材。
【0129】
態様28.基材の表面のうちの少なくとも1つが、非ウォーターブレイクフリーである、態様26に記載の基材。
【0130】
態様29.基材が、車体の表面、車両フレームの構成要素、組立品、またはそれらの組み合わせを含む、態様26~28のいずれかに記載の基材。
【0131】
態様30.車両が、自動車、航空宇宙車両、またはタンクを含む、態様29に記載の基材。
【0132】
態様31.基材が、防護服を含む、態様26~28のいずれかに記載の基材。
【0133】
態様32.態様1~24のいずれかに記載の組成物で少なくとも部分的にコーティングされた、部品。
【0134】
態様33.物品であって、
第1の基材と、
第2の基材と、
第1の基材と第2の基材との間に配置された態様1~24のいずれかに記載の組成物と、を含む、物品。
【0135】
態様34.組成物が、少なくとも部分的に硬化した状態で、100N/mm2超の硬度および少なくとも40%の伸び率を有する、態様26~33のいずれかに記載の基材、部分、または物品。
【0136】
態様35.組成物が、少なくとも部分的に硬化した状態で、ISO11003-2に従って測定された少なくとも33.0MPaのせん断応力および少なくとも34.5%のせん断ひずみを有する、態様26~34のいずれかに記載の基材、部分、または物品。
【0137】
態様36.組成物が、少なくとも部分的に硬化した状態で、引き上げ速度が1.3mm/分の引張モードで、INSTRON5567機械によって測定した際に、厚さ1.6mmの2024-T3アルミニウム基材を使用するASTM D1002-10に従って測定された30.0MPa超のラップせん断強度およびオーバーラップ長さの少なくとも15%の破壊時のラップせん断変位を有する、態様26~35のいずれかに記載の基材、部分、または物品。
【0138】
態様37.基材表面上にコーティングを形成するための方法であって、
第1の基材の表面に、態様1~24のいずれかに記載の組成物を適用することと、
外部エネルギー源を適用して、組成物を少なくとも部分的に硬化させることと、を含む、方法。
【0139】
態様38.組成物が、第1の基材と第2の基材との間に位置するように、第2の基材の表面を組成物に接触させることをさらに含む、態様37に記載の方法。
【0140】
本発明を例示することは、以下の実施例であるが、本発明をそれらの詳細に限定するとみなすべきではない。実施例における、ならびに本明細書の全体を通して、すべての部およびパーセンテージは、別途示されない限り、重量によるものである。
【実施例】
【0141】
実施例1
8つの組成物を、表1に示される構成成分の混合物から調製した。すべての組成物を、1.4:1.0のアミン-水素対エポキシ当量比で調製した。
【表1】
【0142】
上記の組成物I~VIIIを使用して、厚着せん断試験片を調製した。厚被着体は、ISO11003-2の
図1bにおいて段付き被着体に指定された寸法に加工された2024-T3アルミニウム合金であった。各パネルの段付き端部を、54-グリット酸化アルミニウム媒体(Grainger(登録商標)から入手可能)でグリットブラストした。続いて、グリットブラストした領域を洗浄し、ChemKleen 490MX(PPG Industries,Inc.,Cleveland,OHから入手可能なアルカリ洗浄液)で脱酸化した。組成物を、25mm×5mmの結合領域を覆う両方の被着体に適用した。次いで、被着体を加工された固定具にしっかりと接合し、5mmの整列および均一な結合長さ、ならびに0.6225mmの結合厚を確保した。余分な組成物を段付き被着体の隙間および側面から洗浄し、1.5mm厚のポリテトラフルオロエチレン片を隙間に挿入して、十分に定義された結合長を維持した。次いで、厚着ラップジョイントを含有する固定具を170℃で3.5時間焼き付けた。
【0143】
INSTRON5567機械に焼き付けた厚着ラップせん断試験片を装填し、ISO11003-2に指定されたように、ピン分離距離4mmのEpsilon Technology CorporationからのD5656平均延長計をボンドライン周辺に置いた。試験片を0.5mm/分の速度で引き上げた。表2は、測定値および接着物(MatWeb,LLC)のせん断モジュールとして28GPaを使用して、ISO11003-2に示される方程式に基づいて算出した値を報告しており、ひずみエネルギー密度は、応力ひずみ曲線下面積である(
図1)。
【0144】
ASTM D1002-10に従って、上記の組成物I~VIIIでラップせん断試験片を調製した。使用した基材は、25.4mm×101.6mm×1.6mmの2024-T3アルミニウム合金パネルであった。幅全体(25.4mm)および片端から少なくとも25.4mmを含む各パネルの片端を、54-グリット酸化アルミニウム媒体(Grainger(登録商標)から入手可能)でグリットブラストした。続いて、グリットブラストした領域を洗浄し、ChemKleen 490MX(PPG Industries,Inc.,Cleveland,OHから入手可能なアルカリ洗浄液)で脱酸化した。組成物を、全幅25.4mmおよび片端から≧12.7mmを覆うパネルの片端に適用した。直径が平均0.25mmのガラスビーズを、組成物の総重量に基づいて、2重量%の量で組成物に混合した。次いで、第2のグリットブラストおよび洗浄されたアルミニウムパネルを組成物層の上に端から端となるように置き、25.4mm×12.7mmの結合面積となった。ラップジョイントを金属クリップで固定し、余分な組成物を洗浄し、45°フィレットを残した。ラップジョイントを90℃で60分間焼き付けし、次いで温度を1℃/分で160℃に傾斜させ、最後に160℃で90分間保持した。焼き付けたラップジョイント試験片を、各グリップに25.4mmのアルミニウム基材を用いた引張モードでINSTRON5567機械を使用して、1.3mm/分の引き上げ速度で試験した(ASTM D1002-10に従って)。
【表2】
【0145】
実施例1からのデータは、100nm未満の平均粒径を有するスチレンブタジエン粒子を含むことが、改善されたせん断特性(少なくとも33.0MPaの最大せん断応力および少なくとも34.5%のせん断ひずみ)ならびに/または改善されたラップせん断強度(少なくとも30.0MPa)と、破壊時の改善されたラップせん断変位(この実施例では、オーバーラップの少なくとも15%、1.905mm)と、を有する接着剤をもたらしたことを実証する。
【0146】
実施例2
実施例2(組成物IX~XIII)は、グアニジン粒径の効果およびエラストマー粒子濃度の効果を例示する。組成物に混合する前に、Beckman Coulterから入手可能なLS 13 320レーザ回折粒径分析器を使用して、グアニジンの粒径をそれらの乾燥状態で測定した。少なくとも3グラムの材料を使用し、周囲条件下で3回に分けて測定を実行した。Dyhard100およびDyhard100Sは、それぞれ20μmおよび10μmのD90粒径を有することを測定した。上記のように、ASTM D1002-10に従ってラップジョイントを調製し、試験した。
【表3】
【0147】
実施例2からのデータは、25μm未満のD90粒径を有するグアニジンを含むことが、接着剤の強度および変位の両方を改善することを例示する。データはまた、組成物の総重量に基づいて、11重量%超のエラストマー粒子を含むことが、接着剤の強度および変位を改善することを実証する。
【0148】
実施例3
実施例3は、組成物へのマイカの添加の効果を例示する。上記のように、ASTM D1002-10に従ってラップジョイントを調製し、硬化させ、試験した。
【表4】
【0149】
実施例3からのデータは、組成物中にマイカを含むことが、接着剤のラップせん断強度および変位の両方を低減することを例示する。
【0150】
実施例4
組成物XVI~XXIを、実施例1に記載されるように、および表5に示されるように調製したが、1.1:1.0のアミン-水素対エポキシ当量比で調製した。実施例1に記載されるように、ラップジョイントを調製し、硬化させ、試験した。
【表5】
【0151】
実施例4からのデータは、エポキシ含有成分の平均エポキシド官能価が3.2超であるとき、接着剤のラップせん断強度および変位が低減されることを例示する。
【0152】
実施例5
2つの組成物を、表6に示される構成成分の混合物から調製した。すべての組成物を、総組成物重量に基づいて、等量%のジシアンジアミドで調製した。実施例1に記載されるように、ラップジョイントを調製し、硬化させ、試験した。
【表6】
【0153】
実施例6からのデータは、軟化剤を組成物中に含むことが、接着剤のラップせん断強度および変位を改善しないことを例示する(上記の組成物XIIの強度および変位を参照)。
【0154】
実施例6
ラップジョイント試験片を、EC-1386の技術データシートに指定された最適な条件下で、Scotch-Weld(商標)エポキシ接着剤EC-1386および組成物XIV(上記の実施例3)と共に、以下のように調製した。すべての2024-T3アルミニウム基材(1.6mm厚)を、アルカリ脱脂剤および酸エッチング剤を使用して調製した。ASTM D1002-10に従ってラップジョイント試験片を調製した。EC-1386(2~5ミル)のために指定された最適な性能範囲内でボンドラインの厚さを維持するために、組成物の総重量に基づいて、2重量%で3ミルのガラスビーズを各組成物に添加した。ラップジョイント試験片を、EC-1386の最適な結合特性を得るために推奨される硬化サイクルである177℃で90分間焼き付けた。ASTM D1002-10に従って試験を実施した。
【表7】
【0155】
実施例6からのデータは、TEMによって測定した際に、150nm未満の平均粒径を有する少なくとも50%のエラストマー粒子を接着剤組成物に含めることの重要性を例示する。
【0156】
実施例7
組成物I~VIIを使用して、鋼およびアルミニウム上に熱硬化コーティングを調製した。アセトン洗浄金属基材上の0.10mmのドローダウンバーを使用してコーティングを調製し、90℃で60分間、続いて1℃/分で160℃へ傾斜を行い、最後に160℃で90分間保持した。冷間圧延鋼(0.81mm厚)上で調製したコーティングを、100mN/10sの速度でFischerscope HM2000Sを使用して硬度について試験した。Gardco GEユニバーサル衝撃試験機IM-172-GE/1を用いてASTM D6905に従って、逆衝撃伸び率試験にT0-2024アルミニウム(0.81mm厚)上で調製したコーティングを使用した。結果を表8にまとめ、少なくとも3つの測定値の平均値である。
【表8】
【0157】
実施例7からのデータは、100nm未満の粒径を有するスチレンブタジエン粒子を含むことが、100N/mm2超の硬度および少なくとも40%の逆衝撃伸び率を有するコーティングをもたらしたことを実証する。