(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-09
(45)【発行日】2024-04-17
(54)【発明の名称】6-アミノイソキノリンのモノ酸塩及びその使用
(51)【国際特許分類】
C07D 217/22 20060101AFI20240410BHJP
A61K 31/472 20060101ALI20240410BHJP
A61P 27/06 20060101ALI20240410BHJP
A61P 27/00 20060101ALI20240410BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240410BHJP
【FI】
C07D217/22 CSP
A61K31/472
A61P27/06
A61P27/00
A61P43/00 111
(21)【出願番号】P 2020552892
(86)(22)【出願日】2019-03-29
(86)【国際出願番号】 US2019024954
(87)【国際公開番号】W WO2019191654
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2022-03-28
(32)【優先日】2018-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518023485
【氏名又は名称】アエリエ ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】デロング、ミッチェル エイ
(72)【発明者】
【氏名】スターディバント、ジル エム
(72)【発明者】
【氏名】リコロウィック、シンシア エル
(72)【発明者】
【氏名】リン、チェン-ウェン
【審査官】中島 芳人
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-515520(JP,A)
【文献】国際公開第2018/034702(WO,A1)
【文献】特表2012-525386(JP,A)
【文献】特表2011-529074(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
135℃から140℃の融点を有する、下記の式の化合物のモノ(p-トルエンスルホン酸)塩の固形。
【化1】
【請求項2】
下記の式の化合物のモノ(p-トルエンスルホン酸)塩のエタノール溶液から
請求項1に記載の固形を単離
することを含む、請求項1に記載の固形
を調製するための方法。
【化2】
【請求項3】
請求項
1に記載の固形を含む、組成物。
【請求項4】
請求項
1に記載の固形、及び
下記の式の化合物のモノ(p-トルエンスルホン酸)塩、
【化3】
を含む、組成物。
【請求項5】
ポリマーマトリックスを含む、請求項3又は4に記載の組成物。
【請求項6】
前記固形は前記ポリマーマトリックスに包含される、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記ポリマーマトリックスは生分解性ポリマーマトリックスである、請求項5又は6に記載の組成物。
【請求項8】
50%から99%のポリマーマトリックスを含む、請求項5から7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
90%から99%のポリマーマトリックスを含む、請求項5から7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
下記の式の化合物の前記モノ(p-トルエンスルホン酸)塩に対する前記ポリマーマトリックスの比は99:1から1:1である、請求項5から9のいずれか1項に記載の組成物。
【化4】
【請求項11】
0.01%から50%の下記の式の化合物の前記モノ(p-トルエンスルホン酸)塩を含む、請求項3から10のいずれか1項に記載の組成物。
【化5】
【請求項12】
0.1%から10%の下記の式の化合物の前記モノ(p-トルエンスルホン酸)塩を含む、請求項3から10のいずれか1項に記載の組成物。
【化6】
【請求項13】
少なくとも0.1ngの下記の式の化合物の前記モノ(p-トルエンスルホン酸)塩を含む、請求項3から12のいずれか1項に記載の組成物。
【化7】
【請求項14】
固体組成物である、請求項3から13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
請求項
1に記載の固形又は請求項3から14のいずれか1項に記載の組成物である医薬。
【請求項16】
前記医薬は、疾患のためのものであり、前記疾患は、緑内障、炎症性眼疾患、ドライアイ、高眼圧症、又は神経変性眼疾患を含む、請求項15に記載の医薬。
【請求項17】
前記医薬は、疾患のためのものであり、前記疾患は、糖尿病性眼疾患、ウェット型加齢黄斑変性、又はドライ型加齢黄斑変性を含む、請求項15に記載の医薬。
【請求項18】
前記医薬は、疾患のためのものであり、前記疾患は、眼疾患である、請求項15に記載の医薬。
【請求項19】
前記眼疾患は、緑内障、炎症性眼疾患、ドライアイ、高眼圧症、又は神経変性眼疾患である、請求項18に記載の医薬。
【請求項20】
前記眼疾患は、糖尿病性眼疾患、ウェット型加齢黄斑変性、又はドライ型加齢黄斑変性である、請求項18に記載の医薬。
【請求項21】
請求項
1に記載の固形又は請求項3から14のいずれか1項に記載の組成物である、眼内圧を減少させるのに使用するための医薬。
【請求項22】
対象への局所投与に適している、請求項15から21のいずれか1項に記載の医薬。
【請求項23】
まぶたへの局所投与に適している、請求項15から21のいずれか1項に記載の医薬。
【請求項24】
請求項
1に記載の固形又は請求項3から14のいずれか1項に記載の組成物である、細胞内のキナーゼ活性を調節するのに使用するための医薬。
【請求項25】
前記細胞は対象内にある、請求項24に記載の医薬。
【請求項26】
前記対象はヒト対象である、請求項25に記載の医薬。
【請求項27】
請求項
1に記載の固形又は請求項3から14のいずれか1項に記載の組成物と、その使用のための指示とを含む、キット。
【請求項28】
請求項
1に記載の固形又は請求項3から14のいずれか1項に記載の組成物と、その使用のための指示とを含む、製造物品。
【請求項29】
医薬の製造で使用するための、請求項
1に記載の固形。
【請求項30】
緑内障、炎症性眼疾患、ドライアイ、高眼圧症、又は神経変性眼疾患を含む疾患のための医薬の製造で使用するための、請求項
1に記載の固形。
【請求項31】
糖尿病性眼疾患、ウェット型加齢黄斑変性、又はドライ型加齢黄斑変性を含む疾患のための医薬の製造で使用するための、請求項
1に記載の固形。
【請求項32】
医薬の製造で使用するための、請求項3から14のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項33】
緑内障、炎症性眼疾患、ドライアイ、高眼圧症、又は神経変性眼疾患を含む疾患のための医薬の製造で使用するための、請求項3から14のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項34】
糖尿病性眼疾患、ウェット型加齢黄斑変性、又はドライ型加齢黄斑変性を含む疾患のための医薬の製造で使用するための、請求項3から14のいずれか1項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2018年3月30日に出願した米国仮特許出願第62/650,687号に基づく優先権を主張し、当該仮出願の内容を参照により本明細書で援用する。
【背景技術】
【0002】
様々なホルモン、神経伝達物質、及び生物学的活性物質が、細胞膜内に位置する特定の受容体を介して、生体の機能を、制御、調整、又は適合する。これらの受容体の多くが、受容体が共役するグアニンヌクレオチド結合タンパク質(Gタンパク質)を活性化することにより細胞内シグナル伝達を仲介する。こうした受容体は、一般的に、Gタンパク質共役型受容体(GPCR)と呼ばれ、とりわけ、αアドレナリン受容体、βアドレナリン受容体、オピオイド受容体、カンナビノイド受容体、及びプロスタグランジン受容体を含む。これらの受容体の活性化の生物学的作用は、直接的なものではないが、細胞内タンパク質の『下流』ホストにより仲介される。これらの下流エフェクターの一分類が『キナーゼ』類である。
【0003】
様々なキナーゼが様々な生理機能の調整において役割を担っている。例えば、キナーゼは、これらに限定されるわけではないものの、心臓適応症(狭心症、本態性高血圧症、心筋梗塞、上室性及び心室性不整脈、うっ血性心不全、アテローム性動脈硬化症など)、腎不全、糖尿病、呼吸器適応症(喘息、慢性気管支炎、気管支痙攣、肺気腫、気道閉塞など)、上気道適応症(鼻炎、季節性アレルギーなど)、炎症性疾患、損傷に反応した炎症、関節リウマチを含む数々の疾患又は障害の状態に関与している。他の疾患又は障害として、慢性炎症性腸疾患、緑内障、高ガストリン血症、胃腸適応症(酸/ペプシン障害、びらん性食道炎、胃腸の分泌過多、肥満細胞症、胃腸逆流症、消化性潰瘍、ゾリンジャー・エリソン症候群など)、痛み、肥満、神経性過食症、うつ病、強迫性障害、臓器奇形(例えば、心臓奇形)、神経変性疾患(パーキンソン病、アルツハイマー病、多発性硬化症など)、エプスタイン・バール感染症、及び、がんが挙げられる。他の病態において、キナーゼの役割は今漸く明らかになりつつあるのみである。網膜は、相互に接続された複数の細胞層から構成される複雑な組織であり、光と色を脳に知覚される電気信号に変換するために高度に特殊化している。主要な光検出細胞である光受容体の損傷又は死は、視覚に壊滅的な影響をもたらす。先天性網膜変性を生じる数々の変異が同定されているものの、一次変異から光受容体アポトーシスへとつながる細胞的機構及び分子機構はよくわかっていない。
【0004】
細胞内シグナルの開始及び不活性化の間のバランスが、アゴニストなどの刺激への受容体の応答の強度及び持続時間を決める。脱感作が起きた場合、受容体が共役するGタンパク質により仲介又は調整される生理機能の仲介又は調整が減少又は防止される。例えば、特定の受容体の活性化により疾病又は障害を治療するためにアゴニストが投与される場合、受容体はGRKの活性により比較的迅速にアゴニスト投与がもはや適切な受容体の治療的活性化をもたらし得ない程度に脱感作される。この時点で、アゴニストの投与はもはや治療対象の疾患又は障害への十分な又は有効な制御又は影響を与えることができない。
【0005】
多くの病態についてキナーゼが有する役割を鑑み、キナーゼの活性を阻害又は調節する小分子リガンドに対する差し迫った継続的な需要が存在する。理論に拘束されることを望むものではないものの、本開示のモノ酸塩によるキナーゼの活性の調節がそれらの有益効果の原因であると考えられる。
【0006】
さらに、いくつかの眼障害は、視神経頭への損傷、眼組織の変性、又は上昇した眼内圧(intraocular pressure、IOP)により生じる又は悪化する。例えば、『緑内障』は米国及び他の先進国で不可逆的失明の主因である衰弱性眼疾患である。上昇した眼内圧を制御して望ましくない副作用を伴わずに緑内障の損傷を制限する治療法への継続的な需要が存在する。
【0007】
加えて、眼底に直接投与される化合物は、それらの迅速にすぎる分散を防止する形態であり、容易な注射を可能とする形態であり、かつ、剤形の柱となる賦形剤と適合性(compatible)である必要がある。医薬品は、生分解性ポリマーマトリックス内に包含された小さな有機分子からなる場合、およそ7.4のpHで37℃の温度の水溶液環境内で数ヶ月にわたって、活性剤の継続的な送達を保証するよう膨潤も変形もせずに、適合性である必要がある。
【0008】
本明細書で提供される化合物は、遊離塩基、モノ酸塩、又はジ塩として作ることができるが、予想外なことに、モノ酸塩、特に、非求核性有機強酸のモノ酸塩が、上述の条件下で素晴らしい安定性を有し、そのため、薬剤が数週から数年にわたりヒト又は動物の体内のポリマーマトリックス内で投与される眼疾患及び他の疾患の治療に適していることが見出された。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様では、下記の式(I)の化合物のモノ酸塩が、本明細書で提供される。
【化1】
(ただし、
R
1は、H、ハロゲン、-OH、-C
1-6アルキル、-C
1-6アルキル(R
2)
m、-(CH
2)
nOC(O)-(C
1-6アルキル(R
3)
p)、又は-(CH
2)
nOC(O)-(C
6-10アリール(R
3)
p)であり、
各R
2は、独立して、-OH又はハロゲンであり、
各R
3は、独立して、水素、-OH、ハロゲン、-C
1-6アルキル、モノハロゲン化C
1-6アルキル、ジハロゲン化C
1-6アルキル、又はトリハロゲン化C
1-6アルキルであり、
mは、1、2、3、4、5、又は6であり、
nは、1、2、又は3であり、かつ、
pは、0、1、2、3、4、5、又は6である。)
【0010】
別の態様では、式(I)のモノ酸塩を含む組成物が、本明細書で提供される。
【0011】
別の態様では、式(I)のモノ酸塩と医薬的に許容可能な担体とを含む医薬組成物が、本明細書で提供される。
【0012】
別の態様では、治療を必要とする対象において疾患を治療する方法であって、前記対象に式(I)のモノ酸塩の治療有効量を投与することを含む、方法が、本明細書で提供される。
【0013】
別の態様では、眼内圧の減少を必要とする対象において眼内圧を減少させる方法であって、式(I)のモノ酸塩の治療有効量を前記対象に投与することを含む、方法が、本明細書で提供される。
【0014】
別の態様では、細胞内のキナーゼを阻害する方法であって、キナーゼを阻害するのに有効な量の式(I)のモノ酸塩に前記細胞を接触させることを含む、方法が、本明細書で提供される。
【0015】
別の態様では、適切なポリマーマトリックス内の前述のモノ酸塩を眼底に投薬することにより、DME、ウェット型又はドライ型AMD、ぶどう膜炎、緑内障、及び糖尿病網膜症などの眼底疾患を治療するための方法が、本明細書で提供される。
【0016】
別の態様では、式(I)のモノ酸塩と、その使用のための指示とを含む、キットが、本明細書で提供される。
【0017】
別の態様では、式(I)のモノ酸塩と、その使用のための指示とを含む、製造物品が、本明細書で提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】(S)-4-(3-アミノ-1-(イソキノリン-6-イルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)ベンジル 2,4-ジメチルベンゾエートのジ塩酸塩の粉末X 線回折(XRPD)パターン(File:786391.sumのトレース)と、(S)-4-(3-アミノ-1-(イソキノリン-6-イルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)ベンジル 2,4-ジメチルベンゾエートのモノ塩酸塩のXRPDパターン(File:780626.sumのトレース)との比較。
【発明を実施するための形態】
【0019】
疾患(例えば、Rhoキナーゼ活性に関連する疾患、例えば、眼疾患)の治療及び予防に役立つ、本明細書で提供される式の化合物のモノ酸塩、当該モノ酸塩を含む組成物、当該モノ酸塩を含む医薬組成物が、本明細書で提供される。
【0020】
(定義)
本開示を説明するために用いられる種々の用語の定義を以下に列記する。これらの定義は、個別に又はより広い群の一部として特定の箇所でその他の限定を受けていない限り、本明細書及び請求項を通して用語が使用される際に、当該用語に適用される。
【0021】
特記のない限り、本明細書で用いられる技術的及び科学的用語は、一般的に、本開示の属する分野の当業者により通常理解されるのと同じ意味を有する。一般的に、本明細書で用いられる用語法、並びに、細胞培養、分子遺伝学、有機化学、及びペプチド化学における実験法は、本分野で周知かつ慣用されているものである。
【0022】
本開示の至る所で刊行物及び特許が参照されている。本明細書で引用する米国特許のすべてを参照により本明細書で援用する。本明細書で用いられる百分率、比率、及び割合は、特記のない限り、重量%である。
【0023】
本明細書では、単数の表記は、表記されたものの1つ以上(すなわち、少なくとも1つ)を指す。例を挙げれば、『1つの要素』は、1つの要素又は1つ以上の要素を意味する。さらに、『含む』という用語(並びに『含んでいる』及び『含められた』などの他の表記)の使用は、制限的なものではない。
【0024】
本明細書では、『約』という用語は、当業者により理解されるはずであり、当該用語が用いられる文脈に応じてある程度変化する。本明細書では、量、期間などの測定値を参照する場合、『約』という用語は、特定の値からの(±5%、±1%、及び±1%を含む)±20%又は±10%の変化を、こうした変化が開示した方法を実行するのに適切であるために、包含することを意図する。
【0025】
本明細書では、『アルキル』という用語は、それ自体で又は別の置換手段の一部として、特記のない限り、所定の炭素原子数を有する(例えば、C1-6アルキルは1から6個の炭素原子を意味する)直鎖状又は分枝状の炭化水素を意味し、直鎖及び分枝鎖を含む。例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシルなどを含む。
【0026】
本明細書では、『芳香族』という用語は、芳香族性を有する、すなわち、(4n+2)の非局在化π電子(nは整数)を有する、1つ以上の多価不飽和環をともなう炭素環式化合物を指す。
【0027】
本明細書では、『アリール』という用語は、単独で又は他の用語と組み合わせて、特記のない限り、1つ以上の環(典型的には1つ、2つ、又は3つの環)を含有する炭素環式芳香族系を意味し、これらの環は、ビフェニルなどのように、ペンダント型で一緒に結合していてもよいし、ナフタレンなどのように、縮合していてもよい。アリール基の例は、フェニル、アントラシル、及びナフチルを含む。いくつかの例は、フェニル(例えば、C6-アリール)及びビフェニル(例えば、C12-アリール)である。いくつかの実施形態では、アリール基は1から16個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態では、アリール基は6から12個の炭素原子を有する(例えば、C6-12-アリール)。いくつかの実施形態では、アリール基は6個の炭素原子を有する(例えば、C6-アリール)。
【0028】
本明細書では、『生分解性ポリマーマトリックス』という用語は、生物系において当該系の天然酵素の助けがあるか又は酵素の活性とは無関係であるかのいずれかで分解するポリマーマトリックスを指す。
【0029】
本明細書では、『組成物』又は『医薬組成物』という用語は、本明細書に記載されたように有用な、少なくとも1つのモノ酸塩、すなわち、本明細書で提供される式の化合物のモノ酸塩と、医薬的に許容可能な担体との混合物を指す。医薬組成物は、患者又は対象へのモノ酸塩の投与を助ける。モノ酸塩を投与する複数の技術が本技術分野に存在し、これらに限定されるわけではないものの、静脈内投与、経口投与、エアロゾル投与、非経口投与、眼投与、経肺投与、及び局所投与を含む。
【0030】
本明細書では、『細胞を接触させる』という用語は、インビトロ又はインビボで(即ち、ヒト、ネコ、イヌをはじめとする哺乳類などの対象内で)細胞を接触させることを意味して用いられる。
【0031】
本明細書では、『疾患又は障害を制御する』という用語は、1つ以上のキナーゼの活性を変化させて疾患又は障害に影響を与えることを意味して用いられる。
【0032】
本明細書では、『キナーゼ活性に関連する疾患又は障害』という用語は、1つ以上のキナーゼの阻害により全部又は一部が治療可能な疾患又は障害を意味して用いられる。
【0033】
本明細書では、『有効量』、『医薬有効量』、及び『治療有効量』という用語は、所望の生物学的結果をもたらすのに十分かつ非毒性の剤量を指す。当該結果は、疾患の、兆候、症状、又は原因の、減少又は軽減であってもよい。任意の個別的症例における適切な治療有効量は、当業者によりルーチンの実験を用いて決定され得る。
【0034】
本明細書では、『眼疾患』又は『眼障害』は、これらに限定されるわけではないものの、緑内障、アレルギー、炎症性眼疾患、高眼圧症、眼のがん、糖尿病黄斑浮腫(DME)及びウェット型又はドライ型加齢黄斑変性(AMD)などの神経変性疾患、ぶどう膜炎、糖尿病網膜症、ドライアイを含む。
【0035】
本明細書では、『ハロ』又は『ハロゲン』という用語は、単独で又は別の置換手段の一部として、特記のない限り、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素の原子を、例えば、フッ素、塩素、又は臭素を、例えば、フッ素又は塩素を指す。
【0036】
本明細書では、『ハロアルキル』という用語は、アルキルの炭素原子の1つ以上が上で定義したようなハロで置換されたアルキルラジカルを指す。ハロアルキルは、モノハロアルキルラジカル、ジハロアルキルラジカル、及びポリハロアルキルラジカルを包含する。『ハロアルキル』という用語は、これらに限定されるわけではないものの、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、及びペンタフルオロエチルを含む。
【0037】
本明細書では、『モノ酸塩』という用語は、1)単一の酸(例えば、本明細書で提供される式の1つの化合物と組み合わされる際にイオン化されて単原子又は多原子のアニオンを形成する単分子)及び2)本明細書で提供される式の1つの単一の化合物(例えば、酸と組み合わされる際にイオン化されて、本明細書で提供される式の1つの化合物のカチオンを形成する、本明細書で提供される式の1つの単一の化合物)の組み合わせから形成されるアニオン-カチオン対を指す。そのため、本明細書で提供されるモノ酸塩は、本明細書で提供される式の1つの化合物のモノ酸塩として言及されることもある。
【0038】
本明細書では、『患者』、『個体』、又は『対象』という用語は、ヒト又は非ヒト哺乳類を指す。非ヒト哺乳類は、例えば、ヒツジ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコ、及びネズミといった哺乳類などの、家畜及び愛玩動物を含む。いくつかの実施形態では、患者、対象、又は個体は、ヒトである。
【0039】
本明細書では、『医薬的に許容可能な』という用語は、モノ酸塩の生物学的な活性又は性質を抑制せず、比較的に非毒性である、担体又は希釈剤などの、材料を指し、すなわち、当該材料は、それが含有される組成物のいずれの成分とも有害なやり方で望ましくない生物学的な影響及び相互作用を引き起こさずに、個体に投与され得る。
【0040】
本明細書では、『医薬的に許容可能な担体』という用語は、本明細書に記載されたように有用なモノ酸塩をそれがその意図する機能を実行できるように患者内で又は患者へと運搬又は輸送するのに関与している、液体又は固体の賦形剤、安定剤、分散剤、懸濁剤、希釈剤、添加剤、増粘剤、溶媒、又はカプセル化材料などの、医薬的に許容可能な、材料、組成物、又は担体を意味する。典型的には、こうした構築物は、ある臓器又は体の一部から、別の臓器又は体の一部へと、運搬又は輸送される。各担体は、本明細書で記載されたように有用なモノ酸塩を含め、製剤の他の成分と適合性であるという意味で『許容可能』でなければならず、患者に有害であってはならない。本明細書では、『医薬的に許容可能な担体』は、本明細書に記載されたように有用なモノ酸塩の活性と適合性であり、かつ、患者に対して生理学的に許容可能である、ありとあらゆる、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、並びに、吸収遅延剤なども含む。本開示の実践で用いられる医薬組成物内に含まれ得る他の追加の成分は、例えば、『Remington’s Pharmaceutical Sciences』(Genaro, Ed.、Mack Publishing Co.、1985、ペンシルベニア州イーストン)に記載されており、この内容を参照により本明細書で援用する。
【0041】
本明細書では、『予防』という用語は、何も起きていない場合は、症状又は疾患の発症がないことを、障害又は疾患の発症がすでに起きている場合は、さらなる障害又は疾患の発症がないことを、意味する。また、あるものが障害又は疾患に関連する症状のいくつか又は全てを予防する能力も考慮される。
【0042】
本明細書では、『安全有効量』は、しっかりした医療的判断の範囲で治療される疾患又は障害に正の修正を顕著に誘導するのに十分であるものの重篤な副作用を回避するのに必要なだけ低い(合理的な受益度/危険度割合の)モノ酸塩の量を意味する。モノ酸塩の安全有効量は、治療中の特定の疾患又は障害、治療中の患者の年齢及び体調、疾患又は障害の重症度、治療の期間、同時療法の性質、利用される特定の医薬的に許容可能な担体、及び主治医の知識と経験の範囲にある類似の要因により、変動するだろう。
【0043】
本明細書では、『治療(treatment)』という用語は、疾患若しくは障害、疾患若しくは障害の症状、又は、疾患又は障害を発症する潜在性を、治癒、軽減、緩和、変更、治療(remedy)、寛解、改善する、又はそれらに影響を与えることを目的として、治療剤の投与により治療可能な疾患又は障害を有する、患者への、治療剤の、すなわち、本明細書で提供されるモノ酸塩の適用若しくは投与、又は、患者由来の単離組織又は細胞株への(例えば、診断又は体外適用のための)治療剤の適用若しくは投与として定義される。こうした治療は、ゲノム薬理学の分野から得られた知見に基づき、具体的にあつらえ又は修整することができる。
【0044】
(モノ酸塩)
一態様では、疾患の治療を必要とする対象での疾患の治療に役立つ化合物である、下記の式(I)の化合物のモノ酸塩が、本明細書で提供される。
【化2】
【0045】
一態様では、下記の式(I)の化合物のモノ酸塩が、本明細書で提供される。
【化3】
(ただし、
R
1は、H、ハロゲン、-OH、-C
1-6アルキル、-C
1-6アルキル(R
2)
m、-(CH
2)
nOC(O)-(C
1-6アルキル(R
3)
p)、又は-(CH
2)
nOC(O)-(C
6-10アリール(R
3)
p)であり、
各R
2は、独立して、-OH又はハロゲンであり、
各R
3は、独立して、水素、-OH、ハロゲン、-C
1-6アルキル、モノハロゲン化C
1-6アルキル、ジハロゲン化C
1-6アルキル、又はトリハロゲン化C
1-6アルキルであり、
mは、1、2、3、4、5、又は6であり、
nは、1、2、又は3であり、かつ、
pは、0、1、2、3、4、5、又は6である。)
【0046】
いくつかの実施形態では、前記モノ酸塩は、単一の単原子アニオン及び式(I)の化合物のカチオンから形成されたアニオン-カチオン対である。
【0047】
いくつかの実施形態では、前記モノ酸塩は、単一の多原子アニオン及び式(I)の化合物のカチオンから形成されたアニオン-カチオン対である。
【0048】
いくつかの実施形態では、前記酸は、(-)-L-リンゴ酸、(-)-L-ピログルタミン酸、(+)-カンフル-10-スルホン酸、(+)-カンフル酸、(+)-L-酒石酸、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、2,2-ジクロロ酢酸、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸、2-オキソ-グルタル酸、4-アセトアミド-安息香酸、4-アミノ-サリチル酸、酢酸、アジピン酸、アルギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、炭酸、ケイ皮酸、クエン酸、シクラミン酸、D-グルコヘプトン酸、D-グルコン酸、D-グルクロン酸、DL-乳酸、DL-マンデル酸、ドデシル硫酸、エタン-1,2-ジルスホン酸、エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチジン酸、グルタミン酸、グルタル酸、グリセロリン酸、グリコール酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、イソ酪酸、ラクトビオン酸、L-アスコルビン酸、L-アスパラギン酸、ラウリン酸、マレイン酸、マロン酸、メタンスルホン酸、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、オロト酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、リン酸、プロピオン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、チオシアン酸、又はウンデシレン酸である。
【0049】
いくつかの実施形態では、前記酸は、塩酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、安息香酸、硫酸、酢酸、リン酸、クエン酸、ベンゼンスルホン酸、ソルビン酸、D-アスパラギン酸、L-アスパラギン酸、DL-アスパラギン酸、酒石酸、フマル酸、マレイン酸、2,4-ジメチルベンゼンスルホン酸、フェニルメタンスルホン酸、4-クロロベンゼンスルホン酸、[1,1’-ビフェニル]-4-スルホン酸、又はシクロペンタンスルホン酸である。
【0050】
いくつかの実施形態では、前記酸は、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、2,4-ジメチルベンゼンスルホン酸、フェニルメタンスルホン酸、4-クロロベンゼンスルホン酸、[1,1’-ビフェニル]-4-スルホン酸、又はシクロペンタンスルホン酸である。
【0051】
いくつかの実施形態では、前記式(I)の化合物は、下記の式(Ia)の化合物である。
【化4】
【0052】
いくつかの実施形態では、前記式(I)の化合物は、下記の式(Ib)の化合物である。
【化5】
【0053】
いくつかの実施形態では、前記式(I)の化合物は、下記の式(II)の化合物である。
【化6】
【0054】
いくつかの実施形態では、前記式(II)の化合物は、下記の式(IIa)の化合物である。
【化7】
【0055】
いくつかの実施形態では、前記式(II)の化合物は、下記の式(IIb)の化合物である。
【化8】
【0056】
いくつかの実施形態では、前記式(I)の化合物は、下記の式(III)の化合物である。
【化9】
【0057】
いくつかの実施形態では、前記式(III)の化合物は、下記の式(IIIa)の化合物である。
【化10】
【0058】
いくつかの実施形態では、前記式(III)の化合物は、下記の式(IIIb)の化合物である。
【化11】
【0059】
いくつかの実施形態では、前記式(I)の化合物は、下記の式(IV)の化合物である。
【化12】
(ただし、pは、0、1、2、3、4、又は5である。)
【0060】
いくつかの実施形態では、前記式(IV)の化合物は、下記の式(IVa)の化合物である。
【化13】
【0061】
いくつかの実施形態では、前記式(IV)の化合物は、下記の式(IVb)の化合物である。
【化14】
【0062】
いくつかの実施形態では、pは、1、2、3、4、又は5である。いくつかの実施形態では、pは、0、1、2、又は3である。いくつかの実施形態では、pは、1、2、又は3である。いくつかの実施形態では、pは、2である。
【0063】
いくつかの実施形態では、R1は、H、ハロゲン、-OH、-C1-6アルキル、-C1-6アルキル(R2)m、又は-(CH2)nOC(O)-(C6-10アリール(R3)p)である。いくつかの実施形態では、R1は、H、ハロゲン、-OH、-C1-6アルキル、又は-C1-6アルキル(R2)mである。いくつかの実施形態では、R1は、ハロゲン、-OH、メチル、エチル、-C1アルキル(R2)m、又は-C2アルキル(R2)mである。いくつかの実施形態では、R1は、-(CH2)nOC(O)-(C6-10アリール(R3)p)である。いくつかの実施形態では、R1は、-(CH2)nOC(O)-(フェニル(R3)p)である。
【0064】
いくつかの実施形態では、R2は、-OHである。
【0065】
前述の式のいくつか実施形態では、R1は、-C1-6アルキル(R2)mであり、かつ、R2は、-OHである。
【0066】
いくつかの実施形態では、各R3は、独立して、水素、OH、ハロゲン、又は-C1-6アルキルである。いくつかの実施形態では、各R3は、独立して、水素、ハロゲン、又は-C1-2アルキルである。いくつかの実施形態では、各R3は、メチルである。いくつかの実施形態では、R3は、独立して、-OH、ハロゲン、-C1-6アルキル、モノ-ハロゲンC1-6アルキル、ジ-ハロゲンC1-6アルキル、又はトリ-ハロゲンC1-6アルキルである。
【0067】
いくつかの実施形態では、mは、1、2、3、又は4である。いくつかの実施形態では、mは、1又は2である。
【0068】
いくつかの実施形態では、nは、2である。いくつかの実施形態では、nは、1である。
【0069】
いくつかの実施形態では、前記式(I)の化合物は、下記の式のいずれかである。
【化15】
【化16】
【0070】
いくつかの実施形態では、前記酸は、p-トルエンスルホン酸、安息香酸、ベンゼンスルホン酸、2,4-ジメチルベンゼンスルホン酸、フェニルメタンスルホン酸、4-クロロベンゼンスルホン酸、[1,1’-ビフェニル]-4-スルホン酸、又はシクロペンタンスルホン酸である。
【0071】
いくつかの実施形態では、前記酸は、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、2,4-ジメチルベンゼンスルホン酸、フェニルメタンスルホン酸、4-クロロベンゼンスルホン酸、[1,1’-ビフェニル]-4-スルホン酸、又はシクロペンタンスルホン酸である。
【0072】
本明細書で提供されるモノ酸塩は、1つ以上の立体中心を有し、各立体中心は独立してR又はS配置であり得る。一実施形態では、本明細書で提供されるモノ酸塩は、光学活性体又はラセミ体として存在する。本明細書で提供されるモノ酸塩は、本明細書に記載の治療上有用な性質を有する、ラセミ体、光学活性体、位置異性体、立体異性体、又はこれらの組み合わせを包含することを理解されたい。
【0073】
光学活性体の調製は、非限定的な例として、再結晶技術によるラセミ体の分割、光学活性開始材料からの合成、キラル合成、キラル固定相を用いたクロマトグラフィー分離を含む、任意の適切なやり方で実現される。いくつかの実施形態では、1つ以上の異性体の混合物が、本明細書で提供される治療的モノ酸塩として用いられる。別の実施形態では、本明細書で提供されるモノ酸塩は、1つ以上のキラル中心を有する。こうしたモノ酸塩は、立体選択合成、エナンチオ選択合成、及び/又はエナンチオマー又はジアステレオマーの混合物の分離を含む、任意の手段により調製される。モノ酸塩及びその異性体の分割は、非限定的な例として、化学処理、酵素処理、分別晶析、蒸留、及びクロマトグラフィーを含む、任意の手段により実現される。
【0074】
そのため、いくつかの実施形態では、本明細書で提供される化合物は、本明細書で提供される式のエナンチオマー(例えば、下記のRエナンチオマー又はSエナンチオマー)であってもよい。
【化17】
【0075】
いくつかの実施形態では、化合物は、エナンチオマーを互いに任意の割合(例えば、上述のR:Sが、0.1:99.9、1:99、1:50、1:20、1:10、1:9、1:8、1:7、1:6、1:5、1:4、1:3、1:2、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、20:1、50:1、99:1、又は99.9:0.1)で組み合わせた組成物(例えば、医薬組成物)であってもよい。
【0076】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるモノ酸塩は、互変異性体として存在してもよい。すべての互変異性体が本明細書で提示されたモノ酸塩の範囲に含まれる。
【0077】
本明細書で提示されたモノ酸塩は、原子数は同じだが原子量又は質量数が転園で一般的にみられる原子量又は質量数とはことなる原子で1つ以上の原子が置換されている同位体標識モノ酸塩も含む。本明細書で提示されたモノ酸塩に含めるのに適した同位体の例は、これらに限定されるわけではないものの、2H、3H、11C、13C、14C、36Cl、18F、123I、125I、13N、15N、15O、17O、18O、32P及び35Sを含む。いくつかの実施形態では、同位体標識モノ酸塩は、薬剤又は基質の組織分布の研究に役立つ。いくつかの実施形態では、重水素などのより重い同位体との置換は、より高い代謝安定性(例えば、増加したインビボでの半減期又は減少した必要用量)を提供する。さらに別の実施形態では、11C、18F、15O、及び13Nなどの陽電子放出同位体との置換は、基質受容体占有を調べるための陽電子放出断層撮影(PET)研究に役立つ。同位体標識モノ酸塩は、任意の適切な方法により、又は、通常採用される標識されていない試薬の代わりに適切な同位体で標識された試薬を用いた工程により、調製される。
【0078】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるモノ酸塩は、これらに限定されるわけではないものの、発色団又は蛍光モエティの使用、生物発光標識、又は化学発光標識を含む、他の手段により標識される。
【0079】
本明細書で提供されるモノ酸塩及び異なる置換基を有する他の関連するモノ酸塩は、本明細書に記載の技術及び材料を用いて、並びに、例えば、『Fieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis』の1-17巻(John Wiley and Sons、1991)、『Rodd’s Chemistry of Carbon Compounds』の1-5巻及び補遺(Elsevier Science Publishers、1989)、『Organic Reactions』の1-40巻(John Wiley and Sons、1991)、『Larock’s Comprehensive Organic Transformations』(VCH Publishers Inc.、1989)、Marchの『Advanced Organic Chemistry 4th Ed.』(Wiley 1992)、Carey及びSundbergの『Advanced Organic Chemistry 4th Ed.』の巻A及び巻B(Plenum 2000、2001)、及びGreen及びWutsの『Protective Groups in Organic Synthesis 3rd Ed.』(Wiley 1999)に記載のように、合成される(こうした開示についてこれらの文献の全てを参照により援用する)。本明細書に記載したようなモノ酸塩の調製のための一般的な方法は、本明細書で提供されるような式にみられる様々なモエティの導入のために、適切な試薬及び条件の使用により修正される。
【0080】
本明細書で提供されるモノ酸塩は、商業的供給源から利用可能な化合物から開始する任意の適切な手順を用いて合成される、又は、本明細書に記載の手順を用いて調製される。
【0081】
いくつかの実施形態では、ヒドロキシル基、アミノ基、イミノ基、チオ基、又はカルボキシ基などの反応性官能基は、それらの望ましくない反応への参加を避けるために、保護される。反応モエティのいくつか又は全てを封鎖し、こうした基の化学反応への参加を保護基が取り除かれるまで防ぐために、保護基が用いられる。別の実施形態では、各保護基は異なる手段で除去可能である。全く異なる反応条件のもとで開裂される保護基により異なる除去の要求を満たすことができる。
【0082】
(固体形態)
一態様では、(S)-4-(3-アミノ-1-(イソキノリン-6-イルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)ベンジル 2,4-ジメチルベンゾエートのモノ塩酸塩のI型が、本明細書で提供される。
【0083】
いくつかの実施形態では、固体形態は、2シータを単位として約13.0°のピークを有するX線粉末回折パターンを有する。いくつかの実施形態では、固体形態は、2シータを単位として約13.0°及び22.1°のピークを有するX線粉末回折パターンを有する。いくつかの実施形態では、固体形態は、2シータを単位として約13.0°、13.7°、15.7°、18.7°、及び22.1°のピークを有するX線粉末回折パターンを有する。いくつかの実施形態では、固体形態は、2シータを単位として約13.0°、20.3°、22.1°、22.9°、及び25.8°のピークを有するX線粉末回折パターンを有する。いくつかの実施形態では、固体形態は、実質的に
図1に示すようなX線粉末回折パターンを有する。
【0084】
いくつかの実施形態では、固体形態は、実質的に精製されたものである。いくつかの実施形態では、固体形態は、結晶性である。
【0085】
本明細書で提供される化合物は、その多形も含む。本明細書では、『多形』又は『多形性』という用語は、固体材料が1つ以上の形態又は結晶として存在する能力を指して用いられる。本明細書では、結晶形は、グラフィカルデータにより特徴づけられるものとして参照されてもよい。例えば、こうしたデータは、粉末X線ディフラクトグラム及び固体NMRスペクトルを含む。本技術分野では周知のように、グラフィカルデータは、必ずしも数値又はピーク位置のみを参照する事により記載されるわけではないそれぞれの固体形をさらに定義するための追加の技術的情報(いわゆる、『フィンガープリント』)を潜在的に提供する。
【0086】
(方法)
治療を必要とする対象において疾患を治療する方法であって、前記対象に本明細書で提供される式の化合物のモノ酸塩の治療有効量を投与することを含む、方法が、本明細書で提供される。
【0087】
また、治療を必要とする対象において疾患を治療する方法であって、前記対象に本明細書で提供される組成物の治療有効量を投与することを含む、方法が、本明細書で提供される。
【0088】
また、治療を必要とする対象において疾患を治療する方法であって、前記対象に本明細書で提供される医薬組成物の治療有効量を投与することを含む、方法が、本明細書で提供される。
【0089】
前述の方法のいくつかの実施形態では、前記疾患は、緑内障、炎症性眼疾患、ドライアイ、高眼圧症、又は神経変性眼疾患を含む。
【0090】
前述の方法のいくつかの実施形態では、前記疾患は、糖尿病黄斑浮腫、ウェット型加齢黄斑変性、ドライ型加齢黄斑変性、ぶどう膜炎、緑内障、及び糖尿病網膜症を含む。
【0091】
いくつかの実施形態では、前記疾患は、糖尿病性眼疾患、ウェット型加齢黄斑変性、又はドライ型加齢黄斑変性を含む。
【0092】
いくつかの実施形態では、前記疾患は、眼疾患である。
【0093】
いくつかの実施形態では、前記眼疾患は、緑内障、炎症性眼疾患、ドライアイ、高眼圧症、又は神経変性眼疾患である。
【0094】
いくつかの実施形態では、前記眼疾患は、糖尿病性眼疾患、ウェット型加齢黄斑変性、又はドライ型加齢黄斑変性である。
【0095】
また、眼内圧の減少を必要とする対象において眼内圧を減少させる方法であって、本明細書で提供される式の化合物のモノ酸塩の治療有効量を前記対象に投与することを含む、方法が、本明細書で提供される。
【0096】
また、眼内圧の減少を必要とする対象において眼内圧を減少させる方法であって、本明細書で提供される組成物の治療有効量を前記対象に投与することを含む、方法が、本明細書で提供される。
【0097】
また、眼内圧の減少を必要とする対象において眼内圧を減少させる方法であって、本明細書で提供される医薬組成物の治療有効量を前記対象に投与することを含む、方法が、本明細書で提供される。
【0098】
前述の方法のいくつかの実施形態では、前記対象への投与は、前記対象の眼への局所投与である。
【0099】
前述の方法のいくつかの実施形態では、前記対象への投与は、前記対象のまぶたへの局所投与である。
【0100】
また、細胞内のキナーゼ活性を調節する方法であって、キナーゼを阻害するのに有効な量の本明細書で提供される式の化合物のモノ酸塩に前記細胞を接触させることを含む、方法が、本明細書で提供される。
【0101】
また、細胞内のキナーゼ活性を調節する方法であって、キナーゼを阻害するのに有効な量の本明細書で提供される組成物のモノ酸塩に前記細胞を接触させることを含む、方法が、本明細書で提供される。
【0102】
また、細胞内のキナーゼ活性を調節する方法であって、キナーゼを阻害するのに有効な量の本明細書で提供される医薬組成物のモノ酸塩に前記細胞を接触させることを含む、方法が、本明細書で提供される。
【0103】
したがって、いくつかの実施形態では、治療を必要とする対象において眼疾患を治療する方法であって、前記対象に下記のモノ酸塩の治療有効量を投与することを含む、方法が、本明細書で提供される。
【化18】
【0104】
いくつかの実施形態では、眼内圧の減少を必要とする対象において眼内圧を減少させる方法であって、下記のモノ酸塩の治療有効量を前記対象に投与することを含む、方法が、本明細書で提供される。
【化19】
【0105】
いくつかの実施形態では、細胞内のキナーゼ活性を調節する方法であって、キナーゼを阻害するのに有効な量の下記のモノ酸塩に前記細胞を接触させることを含む、方法が、本明細書で提供される。
【化20】
【0106】
いくつかの実施形態では、前記細胞は対象内にある。
【0107】
前述の方法のいくつかの実施形態では、前記対象はヒト対象である。
【0108】
(組成物)
組成物は、存在する場合、本明細書で提供される式のモノ酸塩の異性体の1つ以上を含んでもよい。ラセミ体が存在する場合、各エナンチオマー又はジアステレオマーは、個別に用いられてもよいし、任意の割合で組み合わせられてもよい。互変異性体が存在する場合、全ての可能な互変異性体が具体的に考慮される。
【0109】
本開示に係る使用のための医薬組成物は、1つ以上の生理学的に許容可能な担体又は添加剤を用いて従来の方法で製剤化され得る。そのため、本明細書で提供される式の化合物のモノ酸塩は、例えば、固体投与、点眼、局所油性製剤、注射、吸入(経口又は経鼻)、インプラント、又は、経口投与、頬側投与、非経口投与、若しくは、直腸投与による、投与向けに、製剤化されてもよい。技術及び処方は、広く、『Remington’s Pharmaceutical Sciences』(Meade Publishing Co.、ペンシルベニア州イーストン)でみつけられるだろう。治療組成物は典型的には製造及び保存条件下で無菌かつ安定でなければならない。
【0110】
そのため、本明細書で提供される式のいずれかのモノ酸塩を含む組成物が、本明細書で提供される。
【0111】
一態様では、本明細書で提供される式の化合物のモノ酸塩又はその組み合わせを含む組成物が、本明細書で提供される。
【0112】
いくつかの実施形態では、前記組成物は、本明細書で提供される式の化合物のモノ酸塩又はその組み合わせと、ポリマーマトリックス(例えば、生分解性ポリマーマトリックス)とを含む。
【0113】
いくつかの実施形態では、前記組成物は、約1重量%から約50重量%(例えば、約1重量%から約40重量%、約1重量%から約30重量%、約1重量%から約20重量%、約1重量%から約10重量%、約10重量%から約40重量%、約10重量%から約30重量%、又は約10重量%から約20重量%)のモノ酸塩を含む。
【0114】
いくつかの実施形態では、前記組成物は、約50%から約99%(例えば、約60%から約99%、約70%から約99%、約80%から約99%、約90%から約99%、約60%から約90%、約70%から約90%、又は約80%から約90%)のポリマーマトリックスを含む。
【0115】
いくつかの実施形態では、前記組成物は、モノ酸塩とポリマーマトリックスとを、それぞれ重量に基づいて、約1:99から約1:1のモノ酸塩:ポリマーマトリックスの比率で、含む。いくつかの実施形態では、前記組成物は、モノ酸塩とポリマーマトリックスとを、それぞれ重量に基づいて、約1:9から約2:3のモノ酸塩:ポリマーマトリックスの比率で、含む。いくつかの実施形態では、前記組成物は、モノ酸塩とポリマーマトリックスとを、それぞれ重量に基づいて、約1:99から約1:9のモノ酸塩:ポリマーマトリックスの比率で、含む。いくつかの実施形態では、前記組成物は、モノ酸塩とポリマーマトリックスとを、それぞれ重量に基づいて、約1:9から約3:7のモノ酸塩:ポリマーマトリックスの比率で、含む。いくつかの実施形態では、前記組成物は、モノ酸塩とポリマーマトリックスとを、それぞれ重量に基づいて、約1:5から約3:7のモノ酸塩:ポリマーマトリックスの比率で、含む。
【0116】
いくつかの実施形態では、前記ポリマーマトリックスは生分解性ポリマーマトリックスである。
【0117】
いくつかの実施形態では、前記組成物は、式(Ia)のモノ酸塩及び式(Ib)のモノ酸塩の組み合わせを含む。
【化21】
【化22】
(ただし、
R
1は、H、ハロゲン、-OH、-C
1-6アルキル、-C
1-6アルキル(R
2)
m、-(CH
2)
nOC(O)-(C
1-6アルキル(R
3)
p)、又は-(CH
2)
nOC(O)-(C
6-10アリール(R
3)
p)であり、
各R
2は、独立して、-OH又はハロゲンであり、
各R
3は、独立して、水素、-OH、ハロゲン、-C
1-6アルキル、モノハロゲン化C
1-6アルキル、ジハロゲン化C
1-6アルキル、又はトリハロゲン化C
1-6アルキルであり、
mは、独立して、1、2、3、4、5、又は6であり、
nは、独立して、1、2、又は3であり、かつ、
pは、独立して、0、1、2、3、4、5、又は6である。)
【0118】
いくつかの実施形態では、式(Ia)のR1と式(Ib)のR1とが同じである。
【0119】
いくつかの実施形態では、前記組成物は、(R)-3-アミノ-2-(4-(ヒドロキシメチル)フェニル)-N-(イソキノリン-6-イル)プロパンアミドのモノ酸塩及び(S)-3-アミノ-2-(4-(ヒドロキシメチル)フェニル)-N-(イソキノリン-6-イル)プロパンアミドのモノ酸塩の組み合わせを含む。
【0120】
いくつかの実施形態では、前記組成物は、(rac)-3-アミノ-2-(4-(ヒドロキシメチル)フェニル)-N-(イソキノリン-6-イル)プロパンアミドのモノ酸塩、(R)-3-アミノ-2-(4-(ヒドロキシメチル)フェニル)-N-(イソキノリン-6-イル)プロパンアミド、又は(S)-3-アミノ-2-(4-(ヒドロキシメチル)フェニル)-N-(イソキノリン-6-イル)プロパンアミドのモノ酸塩を含む。
【0121】
いくつかの実施形態では、前記組成物は、(R)-3-アミノ-2-(4-クロロフェニル)-N-(イソキノリン-6-イル)プロパンアミドのモノ酸塩及び(S)-3-アミノ-2-(4-クロロフェニル)-N-(イソキノリン-6-イル)プロパンアミドのモノ酸塩の組み合わせを含む。
【0122】
いくつかの実施形態では、(rac)-3-アミノ-2-(4-クロロフェニル)-N-(イソキノリン-6-イル)プロパンアミドのモノ酸塩、(R)-3-アミノ-2-(4-クロロフェニル)-N-(イソキノリン-6-イル)プロパンアミド、又は(S)-3-アミノ-2-(4-クロロフェニル)-N-(イソキノリン-6-イル)プロパンアミドのモノ酸塩を含む。
【0123】
いくつかの実施形態では、前記組成物は、(R)-3-アミノ-N-(イソキノリン-6-イル)-2-(p-トリル)プロパンアミドのモノ酸塩及び(S)-3-アミノ-N-(イソキノリン-6-イル)-2-(p-トリル)プロパンアミドのモノ酸塩の組み合わせを含む。
【0124】
いくつかの実施形態では、前記組成物は、(rac)-3-アミノ-N-(イソキノリン-6-イル)-2-(p-トリル)プロパンアミドのモノ酸塩、(R)-3-アミノ-N-(イソキノリン-6-イル)-2-(p-トリル)プロパンアミド、又は(S)-3-アミノ-N-(イソキノリン-6-イル)-2-(p-トリル)プロパンアミドのモノ酸塩を含む。
【0125】
いくつかの実施形態では、前記組成物は、(R)-4-(3-アミノ-1-(イソキノリン-6-イルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)ベンジル 2,4-ジメチルベンゾエートのモノ酸塩及び(S)-4-(3-アミノ-1-(イソキノリン-6-イルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)ベンジル 2,4-ジメチルベンゾエートのモノ酸塩の組み合わせを含む。
【0126】
いくつかの実施形態では、前記組成物は、(rac)-4-(3-アミノ-1-(イソキノリン-6-イルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)ベンジル 2,4-ジメチルベンゾエートのモノ酸塩、(R)-4-(3-アミノ-1-(イソキノリン-6-イルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)ベンジル 2,4-ジメチルベンゾエート、又は(S)-4-(3-アミノ-1-(イソキノリン-6-イルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)ベンジル 2,4-ジメチルベンゾエートのモノ酸塩を含む。
【0127】
いくつかの実施形態では、前記組成物は、(R)-4-(3-アミノ-1-(イソキノリン-6-イルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)ベンジル ベンゾエートのモノ酸塩及び(S)-4-(3-アミノ-1-(イソキノリン-6-イルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)ベンジル ベンゾエートのモノ酸塩の組み合わせを含む。
【0128】
いくつかの実施形態では、前記組成物は、(rac)-4-(3-アミノ-1-(イソキノリン-6-イルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)ベンジル ベンゾエートのモノ酸塩、(R)-4-(3-アミノ-1-(イソキノリン-6-イルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)ベンジル ベンゾエート、又は(S)-4-(3-アミノ-1-(イソキノリン-6-イルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)ベンジル ベンゾエートのモノ酸塩を含む。
【0129】
いくつかの実施形態では、前記組成物は、医薬的に許容可能な担体をさらに含む医薬組成物である。
【0130】
本明細書で提供される組成物は、対象モノ酸塩の安全有効量と医薬的に許容可能な担体とを含んでもよい。
【0131】
本明細書で提供される、モノ酸塩、組成物、又は医薬組成物(構成要素A)が投与される経路、及び、これらの形態が、使用される担体(構成要素B)の種類を規定するはずである。構成要素Aは、例えば、全身投与(例えば、経口、直腸、経鼻、舌下、頬側、インプラント、又は非経口)又は局所投与(例えば、皮膚への局所塗布、眼投与、リポソーム送達系、又はイオン導入)に、適した、広範な形態であり得る。
【0132】
全身投与用の担体は、典型的には、a)希釈剤、b)潤滑剤、c)結合剤、d)崩壊剤、e)着色剤、f)香料、g)甘味料、h)抗酸化剤、j)保存料、k)流動促進剤、m)溶剤、n)懸濁剤、o)湿潤剤、p)界面活性剤、q)生分解性ポリマー、r)可塑剤の少なくとも1種、これらの組み合わせ、及びその他を含む。全ての担体は全身組成物では任意である。
【0133】
全身組成物内の構成要素A及びBの量は、調製される全身組成物の種類、構成要素Aについて選択される特定の誘導体、並びに、構成要素Bの成分に依存して変化するはずだが、一般的に、全身組成物は、0.01%から50%の構成要素Aと、50から99.99%の構成要素Bとを含む。
【0134】
非経口投与用の組成物は、典型的には、A)0.1から10%の本明細書で提供されるモノ酸塩と、B)90から99.9%の担体(a)希釈剤及びm)溶剤を含むもの)とを含む。一実施形態では、構成要素a)はプロピレングリコールを含み、m)はエタノール又はエチルオレエートを含む。
【0135】
経口投与用の組成物は、様々な剤形を有し得る。例えば、固体形態は、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、及びバルク粉末を含む。こうした経口剤形は、普通、少なくとも約5%の、特に、約25%から約50%の、安全有効量の構成要素A)を含む。経口投与組成物は、さらに、約50から約95%の、特に、約50%から約75%の、構成要素B)を含む。
【0136】
錠剤は、圧縮錠剤、湿製錠剤、腸溶性錠剤、糖衣錠剤、フィルムコート錠剤、又は多重圧縮錠剤であり得る。錠剤は、典型的には、構成要素Aと、a)希釈剤、b)潤滑剤、c)結合剤、d)崩壊剤、e)着色剤、f)香料、g)甘味料、k)流動促進剤、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される成分を含む担体である構成要素Bとを含む。
【0137】
カプセル剤(インプラント、徐放性製剤(time release and sustained release formulations)を含む)は、典型的には、構成要素Aと、a)ゼラチンを含むカプセル内の上記の1つ以上の希釈剤を含む担体とを含む。顆粒剤は、典型的には、構成要素Aを含み、好ましくは、さらに、流動特性を改善するためにk)二酸化ケイ素などの流動促進剤を含む。インプラントは、生分解性のものでも、また、非生分解性型のものもでもよい。インプラントは、任意の既知の生体適合性処方を用いて調製され得る。
【0138】
経口組成物用の担体内の成分の選択は、味、費用、及び貯蔵性(shelf stability)などの二次的考慮事項に依存するが、これらは本開示の目的に関しては重要ではない。当業者であれば過度の実験を要せず適切な成分を選択するやり方を知っているだろう。
【0139】
また、固体組成物は、所望の作用を延長するために構成要素Aが所望の適用箇所の近傍の消化管内で又は様々な位置及び時期で放出されるように、従来の方法により、典型的には、pH又は時間依存的コーティングで、コーティングされる。コーティングは、典型的には、セルロースアセテートフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、エチルセルロース、EUDRAGIT(登録商標)コーティング(ドイツのダルムシュタットのRohm&Haas G.M.B.H.から入手可能)、ワックス、及びシェラックからなる群より選択される1つ以上の構成要素を含む。
【0140】
また、経口投与用の組成物は液体形態を有し得る。例えば、適切な液体形態は、水性液剤、乳剤、懸濁剤、非発泡顆粒剤から再構成される液剤、非発泡顆粒剤から再構成される懸濁剤、発泡顆粒剤から再構成される発泡製剤、エリキシル剤、チンキ剤、シロップ剤などを含む。液体経口投与組成物は、典型的には、構成要素Aと、構成要素B、即ち、a)希釈剤、e)着色剤、f)香料、g)甘味料、j)保存料、m)溶剤、n)懸濁剤、及びo)界面活性剤からなる群より選択される成分を含む担体とを含む。経口液体組成物は、好ましくは、e)着色剤、f)香料、及びg)甘味料からなる群より選択される1つ以上の成分を含む。
【0141】
対象モノ酸塩の全身送達を達成するのに役立つ他の組成物は、インプラント剤形、舌下剤形、頬側剤形、及び経鼻剤形を含む。こうした組成物は、典型的には、a)スクロース、ソルビトール、及びマンニトールを含む希釈剤、並びに、c)アカシア、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの結合剤などの、1つ以上の可溶性又は生分解性充填物質を含む。こうした組成物は、さらに、b)潤滑剤、e)着色剤、f)香料、g)甘味料、h)抗酸化剤、及びk)流動促進剤を含んでもよい。インプラント製剤は、典型的には、q)生分解性ポリマーと、任意で、r)可塑剤とを含む。
【0142】
本開示の一実施形態では、本明細書で提供されるモノ酸塩は、局所投与される。眼に局所的に適用できる局所組成物は、本技術分野で既知の任意の形態であってよく、これらの非限定的例は、固体、ゲル化可能点眼剤、スプレー、軟膏剤、又は、眼の結膜円蓋内に、前房空間内に、房水内に、硝子体内に、若しくは別の適切な場所に配置される徐放性若しくは非徐放性単位を含む。
【0143】
皮膚に局所的に適用できる局所組成物は、固体、液剤、オイル、クリーム、軟膏剤、ゲル、ローション、シャンプー、リーブオン型又はリンスアウト型のヘアコンディショナー、ミルク、クレンザー、モイスチャライザー、スプレー、皮膚パッチなどを含む任意の形態であってよい。局所組成物は、本明細書で提供されるモノ酸塩である構成要素Aと、担体である構成要素Bとを含む。局所組成物の担体は、好ましくは、眼へのモノ酸塩の浸透を助ける。構成要素Bは、さらに、1つ以上の任意の成分を含んでもよい。
【0144】
全身投与用のモノ酸塩の用量範囲は、約0.01から約1000μg/kg体重、好ましくは、約0.1から約100μg/kg体重、最も好ましくは、約1から約50μg/kg体重/日である。これらの用量は1日の投与率に基づいているが、1週又は1月の累積用量が臨床要件を計算するために用いられてもよい。
【0145】
徐放性剤形として眼底に直接注射する場合の用量範囲は、1日あたり1つの眼につき約0.1ngから約5μg、好ましくは、1日あたり1つの眼につき約1000ngから約1ng、より好ましくは、約500から50ng/眼/日である。この範囲の投与量は注射が月の最後に意図される場合に望ましいものであるかもしれないことに注意されたい。この投与量は、後に上述の範囲に投与レベルが収まるが、投与の最初の1から10日については1日あたり1つの眼につき約1000ngから約10ngの範囲だろう。
【0146】
用量は、所望の効果を達成するために、治療中の患者、治療中の疾患又は障害、治療中の疾患又は障害の重症度、投与経路などに基づいて、変化させてもよい。
【0147】
本明細書で提供されるモノ酸塩は眼内圧を減少させるのに役立つ。そのため、これらのモノ酸塩は緑内障の治療に役立つ。緑内障を治療するために一つの投与経路は局所である。
【0148】
局所組成物内の各構成要素の正確な量は様々な要因に依存する。局所組成物に添加される構成要素Aの量は、典型的にはナノモル(nM)単位で表される、構成要素AのIC50に依存する。例えば、薬剤のIC50が1nMである場合、構成要素Aの量は約0.001から約0.3%だろう。薬剤のIC50が10nMである場合、構成要素A)の量は約0.01から約1%だろう。薬剤のIC50が100nMである場合、構成要素Aの量は約0.1から約10%だろう。薬剤のIC50が1000nMである場合、構成要素Aの量は、1から100%、好ましくは、5%から50%だろう。構成要素Aの量が上述で特定した範囲の外側である(即ち、より低い)場合、治療の効能は減少し得る。当業者であればIC50を計算し把握するやり方を理解するだろう。100%までの組成物の残余は構成要素Bである。
【0149】
構成要素Aと併用して採用される担体の量は、薬剤の単位用量当たりの投与用組成物実用量を提供するのに十分である。本開示の方法で剤形を作るための技術及び組成物は、『Modern Pharmaceutics』(Banker&Rhodes編、1979)のChapters 9及び10、『Pharmaceutical Dosage Forms: Tablets』 (Lieberman等、1981)、及び『Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms, 2nd Ed.』(Ansel、1976)といった参考文献に記載されている。
【0150】
構成要素Bは、単一の成分を含んでもよいし、2つ以上の成分の組み合わせを含んでもよい。局所組成物内では、構成要素Bは局所担体を含む。
【0151】
局所組成物の担体は、さらに、q)皮膚軟化剤、r)噴射剤、s)溶剤、t)保湿剤、u)増粘剤、v)粉末、w)フレグランス、x)顔料、及びy)保存料からなる群より選択される1つ以上の成分を含む。
【0152】
構成要素Aは、上記の全身若しくは局所組成物又は両方である構成要素Aと、キットの使用が哺乳類(特に、ヒト)において美容的及び医学的な疾患又は障害の治療をもたらすだろうという情報、指示、又は両方とを含むキットに含まれてもよい。情報及び指示は、言葉、絵、又はその両方などの形態であってよい。追加的に又は代替的に、キットは、薬剤、組成物、又は両方と、薬剤又は組成物の適用方法に関する、好ましくは、哺乳類(特に、ヒト)における美容的及び医学的な疾患又は障害の治療又は予防の受益に関する情報、指示、及び両方とを含んでもよい。また、構成要素Aは、本明細書で提供されるモノ酸塩についての本明細書に記載のような使用のための製造物品内に含まれてもよい。
【0153】
そのため、本明細書で提供される任意の式の化合物のモノ酸塩と、その使用のための指示とを含むキットが、本明細書で提供される。また、本明細書で提供される組成物と、その使用のための指示とを含むキットが、本明細書で提供される。また、本明細書で提供される医薬組成物と、その使用のための指示とを含むキットも、本明細書で提供される。
【0154】
また、本明細書で提供される任意の式の化合物のモノ酸塩を含む製造物品も、本明細書で提供される。また、本明細書で提供される組成物と、その使用のための指示とを含む製造物品が、本明細書で提供される。また、本明細書で提供される医薬組成物と、その使用のための指示とを含む製造物品も、本明細書で提供される。
【0155】
(実施例)
以下の例示的実施例は非限定的なものと考えるべきである。本明細書で提供される式のモノ酸塩の調製のための手順を以下の実施例に記す。
【0156】
すべての温度は摂氏である。試薬及び開始材料は、商業的供給源から購入されもの又は公開された文献の手順に従い調製されたものである。
【0157】
特記のない限り、HPLC精製は、適当な場合、少量のDMSOに化合物を再溶解させ、0.45ミクロン(ナイロンディスク)シリンジフィルターを通して濾過することにより行った。この溶液を、その後、例えば、50mm Varian Dynamax HPLC 21.4 mm Microsorb Guard-8 C8 columnを用いて、精製した。40-80% MeOH:H2Oの典型的な初期溶出混合液を標的化合物に対して適宜に選択した。初期勾配を0.5分維持した後に100% MeOH:0% H2Oまで5分掛けて増加させた。初期開始勾配まで戻って再平衡化する前に100% MeOHをさらに2分維持した。典型的な合計ランタイムは8分であった。結果として得られた分画を、分析し、適宜にまとめ、その後、蒸発させて、精製材料を得た。
【0158】
プロトン磁気共鳴(1H NMR)スペクトルをVarian INOVA 600 MHz (1H) NMR spectrometer, Varian INOVA 500 MHz (1H) NMR spectrometer, Varian Mercury 300 MHz (1H) NMR spectrometer, or a Varian Mercury 200 MHz (1H) NMR spectrometerのいずれかで記録した。すべてのスペクトルは表記の溶剤中で求めた。化学シフトがテトラメチルシランの低磁場においてppm単位で報告されるが、これらは1H NMRのそれぞれの溶媒ピークの残留プロトンピークに対して参照される。プロトン間結合定数はヘルツ単位(Hz)で報告される。
【0159】
分析LCMSスペクトルをWaters Acquity QDA MS ESI instrumentをAlliance 2695 HPLC及び998 Photodiode Array Detectorとともに用いて獲得した。スペクトルを254及び230nmで分析した。サンプルを、ガードカラム(Atlantis T3 4.6x 20 mm)のある状態又はない状態で、Waters Atlantis T3 4.6x75 mm Columnに通過させた。勾配は、移動相A:1%ギ酸(H2O中)及び移動相B:1%ギ酸(ACN中)を用いて0.8mL/分の流速で走らせた。勾配A(表1)は分析LCMSのために用いられた勾配の例示である。
【0160】
【0161】
MSプローブの設定は、コーン電圧が15V、キャピラリー電圧が、ポジティブモードで0.8kV、ネガティブモードで0.4kVであった。プローブ温度は600℃であり、ソース温度は120℃である。これらの方法に変更があれば以下に記す。
【0162】
以下の実施例は中間体の調製手順及び本明細書で提供されるモノ酸塩の調製法を示すものである。
【0163】
(実施例1:(S)-4-(3-アミノ-1-(イソキノリン-6-イルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)ベンジル 2,4-ジメチルベンゾエートのモノ塩酸塩の合成(スキーム1))
〈スキーム1〉
【化23】
【0164】
〈(S)-4-(3-アミノ-1-(イソキノリン-6-イルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)ベンジル 2,4-ジメチルベンゾエートの調製〉
(S)-4-(3-アミノ-1-(イソキノリン-6-イルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)ベンジル 2,4-ジメチルベンゾエートのジメシル酸塩(20.5g、31.75mmol)を、水(80mL)に溶かし、pH7.5まで10分以上少しずつNaHCO3飽和溶液(55mL)で処理した。結果として得られたスラリーを、20分撹拌し、その後、CH2Cl2/EtOH(500mL/30mL)及びCH2Cl2(4x100mL)で抽出した。有機層を、ブライン(50mL)で洗い、Na2SO4の上方で乾燥させ、そして、濃縮することで、15.3gの(S)-4-(3-アミノ-1-(イソキノリン-6-イルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)ベンジル 2,4-ジメチルベンゾエートを得た。この生成物を30℃で一晩にわたり高真空で乾燥させた。1H-NMRは生成物中にいくらかの溶媒がまだ存在することを示した。生成物を2つに分け、9gを次の工程に移し、残り(5.1g)を40℃高真空下で3日間乾燥させた。後者により、第1標的化合物である(S)-4-(3-アミノ-1-(イソキノリン-6-イルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)ベンジル 2,4-ジメチルベンゾエート(5g)を得た。この工程の全収率は95%であった。
【0165】
〈(S)-4-(3-アミノ-1-(イソキノリン-6-イルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)ベンジル 2,4-ジメチルベンゾエートのモノ塩酸塩の調製〉
(S)-4-(3-アミノ-1-(イソキノリン-6-イルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)ベンジル 2,4-ジメチルベンゾエート(9.0g、19.84mmol)の無水CH2Cl2(100mL)溶液を、N2及び撹拌下で5分にわたり4N HClのジオキサン溶液(1当量、4.96mL、19.84mmol)で処理した。結果として得られたスラリーを一晩撹拌して放置した。反応混合物を、トルエン(2x50mL)で濃縮し、そして、40℃で3日間にわたり高真空で乾燥させ、(S)-4-(3-アミノ-1-(イソキノリン-6-イルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)ベンジル 2,4-ジメチルベンゾエートのモノ塩酸塩(9.6g、97%)を得た。
【0166】
(実施例2:(S)-4-(3-アミノ-1-(イソキノリン-6-イルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)ベンジル 2,4-ジメチルベンゾエートのモノ塩酸塩の合成(スキーム2))
〈スキーム2〉
【化24】
【0167】
〈(S)-4-(3-アミノ-1-(イソキノリン-6-イルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)ベンジル 2,4-ジメチルベンゾエートの調製〉
(S)-4-(3-アミノ-1-(イソキノリン-6-イルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)ベンジル 2,4-ジメチルベンゾエートのジメシル酸塩(2.5g、3.8mmol)に最小限の水を加え溶かした。その後、NaHCO3(飽和)を加え沈殿させた。水層をCH2Cl2及び微量のMeOHで数回抽出して、(S)-4-(3-アミノ-1-(イソキノリン-6-イルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)ベンジル 2,4-ジメチルベンゾエート(2.7g、94%)を回収した。
【0168】
〈1N HCl-MeOHの調製〉
0℃に冷やしたMeOH(9.3mL)に塩化アセチル(710μL、10mmol)を加え、この溶液を0℃で10分撹拌した。
【0169】
〈(S)-4-(3-アミノ-1-(イソキノリン-6-イルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)ベンジル 2,4-ジメチルベンゾエートのモノ塩酸塩の調製〉
(S)-4-(3-アミノ-1-(イソキノリン-6-イルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)ベンジル 2,4-ジメチルベンゾエート(1.0g、2.2mmol)をCH2Cl2(30mL)中に溶かし、そして、HCl-MeOH(1N、2.2mL、2.2mmol)をこの反応物に(滴下で迅速に)加えた。沈殿が形成され、そして、この混合物をさらに20分撹拌した。溶媒を蒸発させ、そして、化合物を約60時間にわたり高真空で乾燥させ、(S)-4-(3-アミノ-1-(イソキノリン-6-イルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)ベンジル 2,4-ジメチルベンゾエートのモノ塩酸塩(1.04g、97%)を得た。
【0170】
(実施例3:(S)-4-(3-アミノ-1-(イソキノリン-6-イルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)ベンジル 2,4-ジメチルベンゾエートのジ塩酸塩の合成(スキーム3))
〈スキーム3〉
【化25】
【0171】
〈(S)-4-(3-アミノ-1-(イソキノリン-6-イルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)ベンジル 2,4-ジメチルベンゾエートのジ塩酸塩の調製〉
(S)-4-(3-アミノ-1-(イソキノリン-6-イルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)ベンジル 2,4-ジメチルベンゾエート(250mg、0.55mmol)の無水CH2Cl2(3.2mL)溶液を、4N HClのジオキサン溶液(2.5当量、343μL、1.38mmol)で処理した。2時間後、溶媒を蒸発させ、固体をトルエン(3x3mL)とともに共沸し、40℃で4日間にわたり高真空で乾燥させ、(S)-4-(3-アミノ-1-(イソキノリン-6-イルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)ベンジル 2,4-ジメチルベンゾエートのジ塩酸塩(268mg、93%)を得た。
【0172】
(実施例4:融点及びX線粉末回折(X-Ray Powder Diffraction、XRPD))
化合物に関する融点及びXRPDパターンを表2にまとめた。表2からわかるように、モノ酸塩(例えば、(S)-4-(3-アミノ-1-(イソキノリン-6-イルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)ベンジル 2,4-ジメチルベンゾエートのモノ酸塩)は対応するジ塩よりも顕著に高い融点(≧40℃)を有しており、また、モノ酸塩は対応する遊離塩基よりも顕著に高い融点(>150℃)を有していた。さらに、驚くべきことに、対応するジ塩が非晶性でありながら、モノ酸塩は結晶性であることがわかった(
図1参照)。理論に拘束されることを望むわけではないものの、モノ酸塩の増強された熱安定性のためモノ酸塩形態はより厳しい製造方法(例えば、増加した温度、圧力など)に耐えることができるだろうから、前述の予想外の驚くべき性質は対応する遊離塩基形態又は対応するジ塩形態に比べてモノ酸塩形態を製造工程により適したものとするだろう。
【0173】
【0174】
(実施例5:ラセミの4-(3-アミノ-1-(イソキノリン-6-イルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)ベンジル 2,4-ジメチルベンゾエートのモノ酸塩の合成)
〈一般的手順〉
4-(3-アミノ-1-(イソキノリン-6-イルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)ベンジル 2,4-ジメチルベンゾエートのMeOH-EtOAc溶液に、酸(原液のまま(neat)又はEtOAcに溶解したもの)を加え、反応物を0.5-12時間にわたり室温で撹拌した。溶媒を蒸発・乾燥させ、4-(3-アミノ-1-(イソキノリン-6-イルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)ベンジル 2,4-ジメチルベンゾエートの対応するモノ酸塩を得た。この手順により調製されるモノ酸塩の非限定的な例を表3及び表4に示す。
【0175】
【0176】
(実施例6:ラセミの4-(3-アミノ-1-(イソキノリン-6-イルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)ベンジル 2,4-ジメチルベンゾエートのモノ酸塩の合成)
〈一般的手順〉
4-(3-アミノ-1-(イソキノリン-6-イルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)ベンジル 2,4-ジメチルベンゾエートのMeOH溶液に、L-アスパラギン酸の水懸濁液を加え、溶液を室温で一晩撹拌した。溶媒を蒸発させ、固体をベンゼンとともに共沸し、高真空で乾燥させ、4-(3-アミノ-1-(イソキノリン-6-イルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)ベンジル 2,4-ジメチルベンゾエートのモノ(L-アスパラギン酸)塩を得た。この手順により調製されるモノ酸塩の非限定的な例を表5に示す。
【0177】
【0178】
(実施例7:ラセミの4-(3-アミノ-1-(イソキノリン-6-イルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)ベンジル 2,4-ジメチルベンゾエートのモノ酸塩の合成)
〈一般的手順〉
4-(3-アミノ-1-(イソキノリン-6-イルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)ベンジル 2,4-ジメチルベンゾエートのCH2Cl2溶液に、メタンスルホン酸を加えた。この溶液を室温で2時間撹拌した。その後、溶媒を蒸発させ、化合物を高真空で乾燥させ、4-(3-アミノ-1-(イソキノリン-6-イルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)ベンジル 2,4-ジメチルベンゾエートのモノメタンスルホン酸塩を得た。この手順により調製されるモノ酸塩の非限定的な例を表6に示す。
【0179】
【0180】
(実施例8:(S)-3-アミノ-2-(4-(ヒドロキシメチル)フェニル)-N-(イソキノリン-6-イル)プロパンアミドのモノ酸塩の合成)
〈一般的手順〉
0℃の(S)-3-アミノ-2-(4-(ヒドロキシメチル)フェニル)-N-(イソキノリン-6-イル)プロパンアミドのEtOH溶液に、0℃のH2SO4のEtOH溶液を加えた。この溶液を0℃で10分間撹拌し、室温まで5分温めた。溶媒を蒸発させ、固体を50℃で高真空で乾燥させ、(S)-3-アミノ-2-(4-(ヒドロキシメチル)フェニル)-N-(イソキノリン-6-イル)プロパンアミドのモノ硫酸塩を得た。この手順により調製されるモノ酸塩の非限定的な例を表7に示す。
【0181】
【0182】
(実施例9:(S)-3-アミノ-2-(4-(ヒドロキシメチル)フェニル)-N-(イソキノリン-6-イル)プロパンアミドのモノ酸塩の合成)
〈一般的手順〉
0℃の(S)-3-アミノ-2-(4-(ヒドロキシメチル)フェニル)-N-(イソキノリン-6-イル)プロパンアミドのMeOH溶液に、0℃の安息香酸のMeOH溶液を加えた。この溶液を室温まで温め20分間撹拌した。溶媒を蒸発させ、固体を45℃で高真空で乾燥させ、(S)-3-アミノ-2-(4-(ヒドロキシメチル)フェニル)-N-(イソキノリン-6-イル)プロパンアミドのモノ安息香酸塩を得た。この手順により調製されるモノ酸塩の非限定的な例を表8に示す。
【0183】
【0184】
(実施例10:(S)-3-アミノ-2-(4-(ヒドロキシメチル)フェニル)-N-(イソキノリン-6-イル)プロパンアミドのモノ酸塩の合成)
〈一般的手順〉
0℃の(S)-3-アミノ-2-(4-(ヒドロキシメチル)フェニル)-N-(イソキノリン-6-イル)プロパンアミドのEtOH溶液に、ベンゼンスルホン酸を加え、この溶液を室温まで温め、15分間撹拌した。溶媒を蒸発させ、固体を45-50℃で高真空で乾燥させ、(S)-3-アミノ-2-(4-(ヒドロキシメチル)フェニル)-N-(イソキノリン-6-イル)プロパンアミドのモノベンゼンスルホン酸塩を得た。この手順により調製されるモノ酸塩の非限定的な例を表9に示す。
【0185】
【0186】
(実施例11:(S)-3-アミノ-2-(4-(ヒドロキシメチル)フェニル)-N-(イソキノリン-6-イル)プロパンアミドのモノ酸塩の合成)
〈一般的手順〉
0℃の(S)-3-アミノ-2-(4-(ヒドロキシメチル)フェニル)-N-(イソキノリン-6-イル)プロパンアミドのEtOH溶液に、p-トルエンスルホン酸一水和物を加え、この溶液を室温まで温め15分間撹拌した。溶媒を蒸発させ、固体を45-50℃で高真空で乾燥させ、(S)-3-アミノ-2-(4-(ヒドロキシメチル)フェニル)-N-(イソキノリン-6-イル)プロパンアミドのモノ(p-トルエンスルホン酸)塩を得た。この手順により調製されるモノ酸塩の非限定的な例を表10に示す。
【0187】
【0188】
(実施例12:(R)-3-アミノ-2-(4-(ヒドロキシメチル)フェニル)-N-(イソキノリン-6-イル)プロパンアミドのモノ酸塩の合成)
〈一般的手順〉
0℃の(R)-3-アミノ-2-(4-(ヒドロキシメチル)フェニル)-N-(イソキノリン-6-イル)プロパンアミドのEtOH溶液に、p-トルエンスルホン酸一水和物を加え、この溶液を室温まで温め15-20分間撹拌した。溶媒を蒸発させ、固体を45-50℃で高真空で乾燥させ、(R)-3-アミノ-2-(4-(ヒドロキシメチル)フェニル)-N-(イソキノリン-6-イル)プロパンアミドのモノ(p-トルエンスルホン酸)塩を得た。この手順により調製されるモノ酸塩の非限定的な例を表11に示す。
【0189】
【0190】
(実施例13:(S)-3-アミノ-2-(4-(ヒドロキシメチル)フェニル)-N-(イソキノリン-6-イル)プロパンアミドのモノ酸塩の合成)
〈一般的手順〉
0℃の(S)-3-アミノ-2-(4-(ヒドロキシメチル)フェニル)-N-(イソキノリン-6-イル)プロパンアミドのEtOH溶液に、メタンスルホン酸を加え、この溶液を室温まで温め20-30分間撹拌した。この溶媒を蒸発させ、固体を45-50℃で高真空で乾燥させ、1ドラムバイアルに移し、(S)-3-アミノ-2-(4-(ヒドロキシメチル)フェニル)-N-(イソキノリン-6-イル)プロパンアミドのモノメタンスルホン酸塩を得た。この手順により調製されるモノ酸塩の非限定的な例を表12に示す。
【0191】
【0192】
(実施例14:(S)-3-アミノ-2-(4-(ヒドロキシメチル)フェニル)-N-(イソキノリン-6-イル)プロパンアミドのモノ酸塩の合成)
〈一般的手順〉
0℃の(S)-3-アミノ-2-(4-(ヒドロキシメチル)フェニル)-N-(イソキノリン-6-イル)プロパンアミドのEtOH溶液に、2,4-ジメチルベンゼンスルホン酸水和物を加え、この溶液を室温まで温め20-30分間撹拌した。溶媒を蒸発させ、固体を45-50℃で高真空で乾燥させ、1ドラムバイアルに移し、(S)-3-アミノ-2-(4-(ヒドロキシメチル)フェニル)-N-(イソキノリン-6-イル)プロパンアミドのモノ(2,4-ジメチルベンゼンスルホン酸)塩を得た。この手順により調製されるモノ酸塩の非限定的な例を表13に示す。
【0193】
【0194】
(実施例15:(S)-3-アミノ-2-(4-(ヒドロキシメチル)フェニル)-N-(イソキノリン-6-イル)プロパンアミドのモノ酸塩の合成)
〈一般的手順〉
0℃の(S)-3-アミノ-2-(4-(ヒドロキシメチル)フェニル)-N-(イソキノリン-6-イル)プロパンアミドのEtOH溶液に、フェニルメタンスルホン酸を加え、この溶液を室温まで温め20-30分間撹拌した。溶媒を蒸発させ、固体を45-50℃で高真空で乾燥させ、1ドラムバイアルに移し、(S)-3-アミノ-2-(4-(ヒドロキシメチル)フェニル)-N-(イソキノリン-6-イル)プロパンアミドのモノフェニルメタンスルホン酸塩を得た。この手順により調製されるモノ酸塩の非限定的な例を表14に示す。
【0195】
【0196】
(実施例16:(S)-3-アミノ-2-(4-(ヒドロキシメチル)フェニル)-N-(イソキノリン-6-イル)プロパンアミドのモノ酸塩の合成)
〈一般的手順〉
0℃の(S)-3-アミノ-2-(4-(ヒドロキシメチル)フェニル)-N-(イソキノリン-6-イル)プロパンアミドのEtOH溶液に、4-クロロベンゼンスルホン酸水和物を加え、この溶液を室温まで温め20-30分間撹拌した。溶媒を蒸発させ、固体を45-50℃で高真空で乾燥させ、1ドラムバイアルに移し、(S)-3-アミノ-2-(4-(ヒドロキシメチル)フェニル)-N-(イソキノリン-6-イル)プロパンアミドのモノ(4-クロロベンゼンスルホン酸)塩を得た。この手順により調製されるモノ酸塩の非限定的な例を表15に示す。
【0197】
【0198】
(実施例17:(S)-3-アミノ-2-(4-(ヒドロキシメチル)フェニル)-N-(イソキノリン-6-イル)プロパンアミドのモノ酸塩の合成)
〈一般的手順〉
0℃の(S)-3-アミノ-2-(4-(ヒドロキシメチル)フェニル)-N-(イソキノリン-6-イル)プロパンアミドのEtOH溶液に、[1,1’-ビフェニル]-4-スルホン酸を加え、この溶液を室温まで温め20-30分間撹拌した。溶媒を蒸発させ、固体を45-50℃で高真空で乾燥させ、1ドラムバイアルに移し、(S)-3-アミノ-2-(4-(ヒドロキシメチル)フェニル)-N-(イソキノリン-6-イル)プロパンアミドのモノ([1,1’-ビフェニル]-4-スルホン酸)塩を得た。この手順により調製されるモノ酸塩の非限定的な例を表16に示す。
【0199】
【0200】
(実施例18:(S)-3-アミノ-2-(4-(ヒドロキシメチル)フェニル)-N-(イソキノリン-6-イル)プロパンアミドのモノ酸塩の合成)
〈一般的手順〉
0℃の(S)-3-アミノ-2-(4-(ヒドロキシメチル)フェニル)-N-(イソキノリン-6-イル)プロパンアミドのEtOH溶液に、シクロペンタンスルホン酸を加え、この溶液を室温まで温め20-30分間撹拌した。溶媒を蒸発させ、固体を45-50℃で高真空で乾燥させ、1ドラムバイアルに移し、(S)-3-アミノ-2-(4-(ヒドロキシメチル)フェニル)-N-(イソキノリン-6-イル)プロパンアミドのモノシクロペンタンスルホン酸塩を得た。この手順により調製されるモノ酸塩の非限定的な例を表17に示す。
【0201】
【0202】
(実施例19:(S)-3-アミノ-N-(イソキノリン-6-イル)-2-(p-トリル)プロパンアミドのモノ酸塩の合成(スキーム4))
〈スキーム4〉
【化26】
【0203】
〈(S)-3-アミノ-N-(イソキノリン-6-イル)-2-(p-トリル)プロパンアミドの調製〉
(S)-3-アミノ-N-(イソキノリン-6-イル)-2-(p-トリル)プロパンアミドの塩酸塩(1g、2.64mmol)を水(12mL)に溶かし、塩化メチレン(10mL)を加えた。その後、NaHCO3(飽和、15mL)を加え、沈殿させた。CH2Cl2及び最小限のMeOH(固体を溶かすため)で水相を抽出し、その後、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、(S)-3-アミノ-N-(イソキノリン-6-イル)-2-(p-トリル)プロパンアミド(753mg、93%)を得た。
【0204】
〈(S)-3-アミノ-N-(イソキノリン-6-イル)-2-(p-トリル)プロパンアミドのモノ塩酸塩の調製〉
(S)-3-アミノ-N-(イソキノリン-6-イル)-2-(p-トリル)プロパンアミド(357mg、1.2mmol)をCH2Cl2(5.6mL)に溶かし、0℃まで冷やした。1N HCl-MeOH(1N、1.2mL、1.2mmol)を反応物に(滴下で迅速に)加え、この溶液を、0℃で5分間、次に、室温で15分間、撹拌した。溶媒を蒸発させ、化合物を45-50℃でおよそ14時間にわたり高真空で乾燥させ、(S)-3-アミノ-N-(イソキノリン-6-イル)-2-(p-トリル)プロパンアミドのモノ塩酸塩を得た(368mg g、97%、mp=173-180°C)。
【0205】
〈(S)-3-アミノ-N-(イソキノリン-6-イル)-2-(p-トリル)プロパンアミドのモノ(p-トルエンスルホン酸)塩の調製〉
(S)-3-アミノ-N-(イソキノリン-6-イル)-2-(p-トリル)プロパンアミド(298mg、0.98mmol)をEtOH(4.7mL)に溶かし、0℃まで冷やした。p-トルエンスルホン酸一水和物(186mg、0.98mmol)を反応物に加え、この溶液を室温で25分間撹拌した。溶媒を蒸発させ、化合物を45-47℃でおよそ14時間にわたり高真空で乾燥させ、(S)-3-アミノ-N-(イソキノリン-6-イル)-2-(p-トリル)プロパンアミドのモノ(p-トルエンスルホン酸)塩(280mg、60%、融点=134-140°C)を得た。
【0206】
(実施例20:(S)-3-アミノ-2-(4-クロロフェニル)-N-(イソキノリン-6-イル)プロパンアミドのモノ酸塩の合成(スキーム5))
〈スキーム5〉
【化27】
【0207】
〈(S)-3-アミノ-2-(4-クロロフェニル)-N-(イソキノリン-6-イル)プロパンアミドの調製〉
(S)-3-アミノ-2-(4-クロロフェニル)-N-(イソキノリン-6-イル)プロパンアミドのジメシル酸塩(1.6g、2.99mmol)を水(17mL)に溶かした。その後、NaHCO3(飽和、30mL)を加え、沈殿させた。CH2Cl2及び最小限のMeOH(固体を溶かすため)で水相/沈殿物を抽出し、その後、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、(S)-3-アミノ-2-(4-クロロフェニル)-N-(イソキノリン-6-イル)プロパンアミド(885mg、91%)を得た。
【0208】
〈(S)-3-アミノ-2-(4-クロロフェニル)-N-(イソキノリン-6-イル)プロパンアミドのモノ塩酸塩の調製〉
(S)-3-アミノ-2-(4-クロロフェニル)-N-(イソキノリン-6-イル)プロパンアミド(347mg、1.1mmol)をCH2Cl2(5.1mL)に溶かし、0℃まで冷やした。1N HCl-MeOH(1N、1.1mL、1.1mmol)を反応物に(滴下で迅速に)加え、この溶液を、0℃で5分間、次に、室温で15分間、撹拌した。溶媒を蒸発させ、化合物を45-50℃でおよそ14時間にわたり高真空で乾燥させ、(S)-3-アミノ-2-(4-クロロフェニル)-N-(イソキノリン-6-イル)プロパンアミドのモノ塩酸塩(351mg g、91%、融点=179-183°C)を得た。
【0209】
〈(S)-3-アミノ-2-(4-クロロフェニル)-N-(イソキノリン-6-イル)プロパンアミドのモノ(p-トルエンスルホン酸)塩の調製〉
(S)-3-アミノ-2-(4-クロロフェニル)-N-(イソキノリン-6-イル)プロパンアミド(335mg、1.03mmol)をEtOH(5.0mL)に溶かし、0℃まで冷やした。p-トルエンスルホン酸一水和物(196mg、1.03mmol)を反応物に加え、この溶液を室温で15分間撹拌した。溶媒を蒸発させ、化合物を45-47℃でおよそ14時間にわたり高真空で乾燥させ、(S)-3-アミノ-2-(4-クロロフェニル)-N-(イソキノリン-6-イル)プロパンアミドのモノ((p-トルエンスルホン酸)塩(466 mg、91%、融点=195-200°C)を得た。
【0210】
(実施例21:(S)-4-(3-アミノ-1-(イソキノリン-6-イルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)ベンジル ベンゾエートのモノ酸塩の合成(スキーム6))
〈スキーム6〉
【化28】
【0211】
〈(S)-4-(3-アミノ-1-(イソキノリン-6-イルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)ベンジル ベンゾエートの調製〉
(S)-4-(3-アミノ-1-(イソキノリン-6-イルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)ベンジル ベンゾエートのジ塩酸塩(10.8g、21.8mmol)に、最小量の水及び1N HCl(1-1.5mL)を加え、溶かした。その後、NaHCO3(飽和)を加え、沈殿させた。水層をCH2Cl2及び少量のMeOHで数回抽出し、(S)-4-(3-アミノ-1-(イソキノリン-6-イルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)ベンジル ベンゾエート(8.4g、91%)を回収した。
【0212】
〈1N HCl-MeOHの調製〉
0℃まで冷やしたMeOH(30mL)に塩化アセチル(2.1mL、30mmol)を加え、この溶液を0℃で10分間撹拌した。
【0213】
〈(S)-4-(3-アミノ-1-(イソキノリン-6-イルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)ベンジル ベンゾエートのモノ塩酸塩の調製〉
(S)-4-(3-アミノ-1-(イソキノリン-6-イルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)ベンジル ベンゾエート(7.2g、16.9mmol)を、CH2Cl2(230mL)に溶かし、HCl-MeOH(1N、17mL、17mmol)を反応物に(滴下で迅速に)加えた。この反応混合物をさらに40分間撹拌した。溶媒を蒸発させ、化合物をおよそ60時間にわたり高真空で乾燥させ、(S)-4-(3-アミノ-1-(イソキノリン-6-イルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)ベンジル ベンゾエートのモノ塩酸塩(7.7g、98%)を得た。MeOHからの再結晶化及び高真空での乾燥により、(S)-4-(3-アミノ-1-(イソキノリン-6-イルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)ベンジル ベンゾエートのモノ塩酸塩(7g、89%、融点=235-239°C)を得た。
【0214】
[付記]
[付記1]
下記の式(I)の化合物のモノ酸塩。
【化29】
(ただし、
R
1は、H、ハロゲン、-OH、-C
1-6アルキル、-C
1-6アルキル(R
2)
m、-(CH
2)
nOC(O)-(C
1-6アルキル(R
3)
p)、又は-(CH
2)
nOC(O)-(C
6-10アリール(R
3)
p)であり、
各R
2は、独立して、-OH又はハロゲンであり、
各R
3は、独立して、水素、-OH、ハロゲン、-C
1-6アルキル、モノハロゲン化C
1-6アルキル、ジハロゲン化C
1-6アルキル、又はトリハロゲン化C
1-6アルキルであり、
mは、1、2、3、4、5、又は6であり、
nは、1、2、又は3であり、かつ、
pは、0、1、2、3、4、5、又は6である。)
【0215】
[付記2]
前記酸は、(-)-L-リンゴ酸、(-)-L-ピログルタミン酸、(+)-カンフル-10-スルホン酸、(+)-カンフル酸、(+)-L-酒石酸、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、2,2-ジクロロ酢酸、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸、2-オキソ-グルタル酸、4-アセトアミド-安息香酸、4-アミノ-サリチル酸、酢酸、アジピン酸、アルギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、炭酸、ケイ皮酸、クエン酸、シクラミン酸、D-グルコヘプトン酸、D-グルコン酸、D-グルクロン酸、DL-乳酸、DL-マンデル酸、ドデシル硫酸、エタン-1,2-ジルスホン酸、エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチジン酸、グルタミン酸、グルタル酸、グリセロリン酸、グリコール酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、イソ酪酸、ラクトビオン酸、L-アスコルビン酸、L-アスパラギン酸、ラウリン酸、マレイン酸、マロン酸、メタンスルホン酸、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、オロト酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、リン酸、プロピオン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、チオシアン酸、又はウンデシレン酸である、付記1に記載のモノ酸塩。
【0216】
[付記3]
前記酸は、塩酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、安息香酸、硫酸、酢酸、リン酸、クエン酸、ベンゼンスルホン酸、ソルビン酸、D-アスパラギン酸、L-アスパラギン酸、DL-アスパラギン酸、酒石酸、フマル酸、マレイン酸、2,4-ジメチルベンゼンスルホン酸、フェニルメタンスルホン酸、4-クロロベンゼンスルホン酸、[1,1’-ビフェニル]-4-スルホン酸、又はシクロペンタンスルホン酸である、付記1に記載のモノ酸塩。
【0217】
[付記4]
前記式(I)の化合物は、下記の式(Ia)の化合物である、付記1に記載のモノ酸塩。
【化30】
【0218】
[付記5]
前記式(I)の化合物は、下記の式(Ib)の化合物である、付記1に記載のモノ酸塩。
【化31】
【0219】
[付記6]
前記式(I)の化合物は、下記の式(II)の化合物である、付記1に記載のモノ酸塩。
【化32】
【0220】
[付記7]
前記式(II)の化合物は、下記の式(IIa)の化合物である、付記6に記載のモノ酸塩。
【化33】
【0221】
[付記8]
前記式(II)の化合物は、下記の式(IIb)の化合物である、付記6に記載のモノ酸塩。
【化34】
【0222】
[付記9]
前記式(I)の化合物は、下記の式(III)の化合物である、付記1に記載のモノ酸塩。
【化35】
【0223】
[付記10]
前記式(III)の化合物は、下記の式(IIIa)の化合物である、付記9に記載のモノ酸塩。
【化36】
【0224】
[付記11]
前記式(III)の化合物は、下記の式(IIIb)の化合物である、付記9に記載のモノ酸塩。
【化37】
【0225】
[付記12]
前記式(I)の化合物は、下記の式(IV)の化合物である、付記1に記載のモノ酸塩。
【化38】
(ただし、pは、0、1、2、3、4、又は5である。)
【0226】
[付記13]
前記式(IV)の化合物は、下記の式(IVa)の化合物である、付記12に記載のモノ酸塩。
【化39】
【0227】
[付記14]
前記式(IV)の化合物は、下記の式(IVb)の化合物である、付記12に記載のモノ酸塩。
【化40】
【0228】
[付記15]
pは、1、2、3、4、又は5である、付記1から8及び12から14のいずれか1つに記載のモノ酸塩。
【0229】
[付記16]
pは、0、1、2、又は3である、付記1から8及び12から14のいずれか1つに記載のモノ酸塩。
【0230】
[付記17]
pは、1、2、又は3である、付記1から8及び12から14のいずれか1つに記載のモノ酸塩。
【0231】
[付記18]
pは、2である、付記1から8及び12から14のいずれか1つに記載のモノ酸塩。
【0232】
[付記19]
R1は、H、ハロゲン、-OH、-C1-6アルキル、又は-C1-6アルキル(R2)mである、付記1から8のいずれか1つに記載のモノ酸塩。
【0233】
[付記20]
R1は、ハロゲン、-OH、メチル、エチル、-C1アルキル(R2)m、又は-C2アルキル(R2)mである、付記1から8のいずれか1つに記載のモノ酸塩。
【0234】
[付記21]
R1は、-(CH2)nOC(O)-(C6-10アリール(R3)p)である、付記1から8のいずれか1つに記載のモノ酸塩。
【0235】
[付記22]
R1は、-(CH2)nOC(O)-(フェニル(R3)p)である、付記1から8のいずれか1つに記載のモノ酸塩。
【0236】
[付記23]
R2は、-OHである、付記1から8のいずれか1つに記載のモノ酸塩。
【0237】
[付記24]
R1は、-C1-6アルキル(R2)mであり、かつ、
R2は、-OHである、
付記1から8のいずれか1つに記載のモノ酸塩。
【0238】
[付記25]
各R3は、独立して、-OH、ハロゲン、又は-C1-6アルキルである、付記1から8及び12から14のいずれか1つに記載のモノ酸塩。
【0239】
[付記26]
各R3は、独立して、ハロゲン、又は-C1-2アルキルである、付記1から8及び12から14のいずれか1つに記載のモノ酸塩。
【0240】
[付記27]
各R3は、メチルである、付記1から8及び12から14のいずれか1つに記載のモノ酸塩。
【0241】
[付記28]
mは、1、2、3、又は4である、付記1から8のいずれか1つに記載のモノ酸塩。
【0242】
[付記29]
mは、1又は2である、付記1から8のいずれか1つに記載のモノ酸塩。
【0243】
[付記30]
nは、2である、付記1から8のいずれか1つに記載のモノ酸塩。
【0244】
[付記31]
nは、1である、付記1から8のいずれか1つに記載のモノ酸塩。
【0245】
[付記32]
前記式(I)の化合物は、下記の式のいずれかである、付記1に記載のモノ酸塩。
【化41】
【化42】
【0246】
[付記33]
前記酸は、p-トルエンスルホン酸、安息香酸、ベンゼンスルホン酸、2,4-ジメチルベンゼンスルホン酸、フェニルメタンスルホン酸、4-クロロベンゼンスルホン酸、[1,1’-ビフェニル]-4-スルホン酸、又はシクロペンタンスルホン酸である、付記1から14及び32のいずれか1つに記載のモノ酸塩。
【0247】
[付記34]
前記酸は、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、2,4-ジメチルベンゼンスルホン酸、フェニルメタンスルホン酸、4-クロロベンゼンスルホン酸、[1,1’-ビフェニル]-4-スルホン酸、又はシクロペンタンスルホン酸である、付記1から14及び32のいずれか1つに記載のモノ酸塩。
【0248】
[付記35]
付記1から14及び32のいずれか1つに記載のモノ酸塩、又は、それらの組み合わせを含む、組成物。
【0249】
[付記36]
前記組成物は、下記の式(Ia)のモノ酸塩及び下記の式(Ib)のモノ酸塩の組み合わせを含む、付記35に記載の組成物。
【化43】
【化44】
(ただし、
R
1は、H、ハロゲン、-OH、-C
1-6アルキル、-C
1-6アルキル(R
2)
m、-(CH
2)
nOC(O)-(C
1-6アルキル(R
3)
p)、又は-(CH
2)
nOC(O)-(C
6-10アリール(R
3)
p)であり、
各R
2は、独立して、-OH又はハロゲンであり、
各R
3は、独立して、水素、-OH、ハロゲン、-C
1-6アルキル、モノハロゲン化C
1-6アルキル、ジハロゲン化C
1-6アルキル、又はトリハロゲン化C
1-6アルキルであり、
mは、独立して、1、2、3、4、5、又は6であり、
nは、独立して、1、2、又は3であり、かつ、
pは、独立して、0、1、2、3、4、5、又は6である。)
【0250】
[付記37]
式(Ia)のR1と式(Ib)のR1とが同じである、付記36に記載の組成物。
【0251】
[付記38]
前記組成物は、(R)-3-アミノ-2-(4-(ヒドロキシメチル)フェニル)-N-(イソキノリン-6-イル)プロパンアミドのモノ酸塩及び(S)-3-アミノ-2-(4-(ヒドロキシメチル)フェニル)-N-(イソキノリン-6-イル)プロパンアミドのモノ酸塩の組み合わせを含む、付記35に記載の組成物。
【0252】
[付記39]
前記組成物は、(rac)-3-アミノ-2-(4-(ヒドロキシメチル)フェニル)-N-(イソキノリン-6-イル)プロパンアミドのモノ酸塩、(R)-3-アミノ-2-(4-(ヒドロキシメチル)フェニル)-N-(イソキノリン-6-イル)プロパンアミド、又は(S)-3-アミノ-2-(4-(ヒドロキシメチル)フェニル)-N-(イソキノリン-6-イル)プロパンアミドのモノ酸塩を含む、付記35に記載の組成物。
【0253】
[付記40]
前記組成物は、(R)-3-アミノ-2-(4-クロロフェニル)-N-(イソキノリン-6-イル)プロパンアミドのモノ酸塩及び(S)-3-アミノ-2-(4-クロロフェニル)-N-(イソキノリン-6-イル)プロパンアミドのモノ酸塩の組み合わせを含む、付記35に記載の組成物。
【0254】
[付記41]
前記組成物は、(rac)-3-アミノ-2-(4-クロロフェニル)-N-(イソキノリン-6-イル)プロパンアミドのモノ酸塩、(R)-3-アミノ-2-(4-クロロフェニル)-N-(イソキノリン-6-イル)プロパンアミド、又は(S)-3-アミノ-2-(4-クロロフェニル)-N-(イソキノリン-6-イル)プロパンアミドのモノ酸塩を含む、付記35に記載の組成物。
【0255】
[付記42]
前記組成物は、(R)-3-アミノ-N-(イソキノリン-6-イル)-2-(p-トリル)プロパンアミドのモノ酸塩及び(S)-3-アミノ-N-(イソキノリン-6-イル)-2-(p-トリル)プロパンアミドのモノ酸塩の組み合わせを含む、付記35に記載の組成物。
【0256】
[付記43]
前記組成物は、(rac)-3-アミノ-N-(イソキノリン-6-イル)-2-(p-トリル)プロパンアミドのモノ酸塩、(R)-3-アミノ-N-(イソキノリン-6-イル)-2-(p-トリル)プロパンアミド、又は(S)-3-アミノ-N-(イソキノリン-6-イル)-2-(p-トリル)プロパンアミドのモノ酸塩を含む、付記35に記載の組成物。
【0257】
[付記44]
前記組成物は、(R)-4-(3-アミノ-1-(イソキノリン-6-イルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)ベンジル 2,4-ジメチルベンゾエートのモノ酸塩及び(S)-4-(3-アミノ-1-(イソキノリン-6-イルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)ベンジル 2,4-ジメチルベンゾエートのモノ酸塩の組み合わせを含む、付記35に記載の組成物。
【0258】
[付記45]
前記組成物は、(rac)-4-(3-アミノ-1-(イソキノリン-6-イルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)ベンジル 2,4-ジメチルベンゾエートのモノ酸塩、(R)-4-(3-アミノ-1-(イソキノリン-6-イルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)ベンジル 2,4-ジメチルベンゾエート、又は(S)-4-(3-アミノ-1-(イソキノリン-6-イルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)ベンジル 2,4-ジメチルベンゾエートのモノ酸塩を含む、付記35に記載の組成物。
【0259】
[付記46]
前記組成物は、(R)-4-(3-アミノ-1-(イソキノリン-6-イルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)ベンジル ベンゾエートのモノ酸塩及び(S)-4-(3-アミノ-1-(イソキノリン-6-イルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)ベンジル ベンゾエートのモノ酸塩の組み合わせを含む、付記35に記載の組成物。
【0260】
[付記47]
前記組成物は、(rac)-4-(3-アミノ-1-(イソキノリン-6-イルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)ベンジル ベンゾエートのモノ酸塩、(R)-4-(3-アミノ-1-(イソキノリン-6-イルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)ベンジル ベンゾエート、又は(S)-4-(3-アミノ-1-(イソキノリン-6-イルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)ベンジル ベンゾエートのモノ酸塩を含む、付記35に記載の組成物。
【0261】
[付記48]
前記組成物は、医薬的に許容可能な担体をさらに含む医薬組成物である、付記35に記載の組成物。
【0262】
[付記49]
治療を必要とする対象において疾患を治療する方法であって、前記対象に付記1から14のいずれか1つに記載のモノ酸塩の治療有効量を投与することを含む、方法。
【0263】
[付記50]
前記疾患は、緑内障、炎症性眼疾患、ドライアイ、高眼圧症、又は神経変性眼疾患を含む、付記49に記載の方法。
【0264】
[付記51]
前記疾患は、糖尿病性眼疾患、ウェット型加齢黄斑変性、又はドライ型加齢黄斑変性を含む、付記49に記載の方法。
【0265】
[付記52]
前記疾患は、眼疾患である、付記49に記載の方法。
【0266】
[付記53]
前記眼疾患は、緑内障、炎症性眼疾患、ドライアイ、高眼圧症、又は神経変性眼疾患である、付記52に記載の方法。
【0267】
[付記54]
前記眼疾患は、糖尿病性眼疾患、ウェット型加齢黄斑変性、又はドライ型加齢黄斑変性である、付記52に記載の方法。
【0268】
[付記55]
眼内圧の減少を必要とする対象において眼内圧を減少させる方法であって、付記1から14のいずれか1つに記載のモノ酸塩の治療有効量を前記対象に投与することを含む、方法。
【0269】
[付記56]
前記対象への投与は、前記対象の眼への局所投与である、付記49又は55に記載の方法。
【0270】
[付記57]
前記対象への投与は、前記対象のまぶたへの局所投与である、付記49又は55に記載の方法。
【0271】
[付記58]
細胞内のキナーゼ活性を調節する方法であって、キナーゼを阻害するのに有効な量の付記1から14のいずれか1つに記載のモノ酸塩に前記細胞を接触させることを含む、方法。
【0272】
[付記59]
前記細胞は対象内にある、付記58に記載の方法。
【0273】
[付記60]
前記対象はヒト対象である、付記59に記載の方法。
【0274】
[付記61]
付記1から14のいずれか1つに記載のモノ酸塩と、その使用のための指示とを含む、キット。
【0275】
[付記62]
付記1から14のいずれか1つに記載のモノ酸塩と、その使用のための指示とを含む、製造物品。
【0276】
[付記63]
(S)-4-(3-アミノ-1-(イソキノリン-6-イルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)ベンジル 2,4-ジメチルベンゾエートのモノ塩酸塩。
【0277】
[付記64]
(S)-4-(3-アミノ-1-(イソキノリン-6-イルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)ベンジル 2,4-ジメチルベンゾエートのモノ塩酸塩の一水和物。
【0278】
[付記65]
(S)-4-(3-アミノ-1-(イソキノリン-6-イルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)ベンジル 2,4-ジメチルベンゾエートのモノ塩酸塩の半水和物。