(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-09
(45)【発行日】2024-04-17
(54)【発明の名称】アルドステロン症の治療における使用のためのR-ファドロゾール
(51)【国際特許分類】
A61K 31/437 20060101AFI20240410BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20240410BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20240410BHJP
A61P 5/38 20060101ALI20240410BHJP
A61P 5/42 20060101ALI20240410BHJP
A61P 7/10 20060101ALI20240410BHJP
A61P 9/04 20060101ALI20240410BHJP
A61P 9/06 20060101ALI20240410BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20240410BHJP
A61P 9/12 20060101ALI20240410BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20240410BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240410BHJP
【FI】
A61K31/437
A61P3/00
A61P3/04
A61P5/38
A61P5/42
A61P7/10
A61P9/04
A61P9/06
A61P9/10
A61P9/12
A61P13/12
A61P43/00 105
(21)【出願番号】P 2020560487
(86)(22)【出願日】2019-05-02
(86)【国際出願番号】 EP2019061283
(87)【国際公開番号】W WO2019211394
(87)【国際公開日】2019-11-07
【審査請求日】2022-04-27
(32)【優先日】2018-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519150359
【氏名又は名称】ダミアン ファーマ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】スティール, ロナルド エドワード
(72)【発明者】
【氏名】シューマッハー, クリストフ
【審査官】春日 淳一
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-530343(JP,A)
【文献】国際公開第2018/078049(WO,A1)
【文献】Circulation,2005年06月14日,Vol.111,No.23,p3087-3094,doi:10.1161/CIRCULATIONAHA.104.521625
【文献】ClinicalTrials.gov NCT03046589,2018年04月17日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K,A61P
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
疾患または障害の治療
のための医薬の製造における組成物の使
用であって
、
前記組成物が、それを必要とする
ヒト対象に
1mg~16mgの投薬量
で1日1回
経口投与され、
かつ前記組成物が、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンである化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、前記化合物が、
99%以上の前記(R)形態の鏡像体過剰率(ee)を有する、使
用。
【請求項2】
前記組成物が、2mg~16mg
、好ましくは4mg~16mgの投薬量で投与される、請求項
1に記載の
使用。
【請求項3】
前記組成物が、1、2、4、8、12または16mgの投薬量で投与される、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
好ましくは質量分析(LC-MS/MS)によって測定して、前記化合物の排出半減期(T
1/2)が、8時間超であり、好ましくは前記化合物の排出半減期(T
1/2)が、8時間~11時間
の間であり、さらに好ましくは前記化合物の排出半減期(T
1/2)が、約8時間~約10時間
の間である、請求項1~3のいずれか
一項に記載の
使用。
【請求項5】
前記化合物が、
99.5%
以上、好ましくは99.8%以上の前記(R)形態の鏡像体過剰率(ee)を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の
使用。
【請求項6】
前記化合物が、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩である、請求項1~5のいずれか
一項に記載の
使用。
【請求項7】
前記(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩が、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩の結晶形態Iであり、前記結晶形態Iが、CuKα放射線を使用して測定して、次の2θ値:19.504、21.919、および24.159を含むX線粉末回折パターンを有し、各ピークが、±0.5度、または好ましくは±0.2度変動し得る、請求項6に記載の
使用。
【請求項8】
前記疾患または障害が、アルドステロンの過剰曝露が前記疾患または障害の症状に寄与する疾患または障害である、請求項1~7のいずれか一項に記載の
使用。
【請求項9】
前記疾患または障害が、原発性アルドステロン症、続発性アルドステロン症、心不全、慢性腎不全、高血圧症、再狭窄、肥満症、腎障害、心筋梗塞後、腎線維症、冠動脈心疾患、ナトリウム貯留、水分貯留、低カリウム血症、低マグネシウム血症、高血圧症、左室肥大、心筋線維症、心血管損傷、血漿レニンの抑制、腎線維症、不整脈、腎障害、浮腫、低カリウム血症による筋力低下、心細動、および心筋収縮の衰弱から選択され、好ましくは前記疾患または障害が、原発性アルドステロン症または続発性アルドステロン症である、請求項1~8のいずれか
一項に記載の
使用。
【請求項10】
前記疾患または障害が、原発性アルドステロン症である、請求項1~9のいずれか一項に記載の
使用。
【請求項11】
単回固定単位剤形の化合物の
1回の1日投薬量を含む薬学的組成物であって、前記化合物が、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンまたはその薬学的に許容される塩であり、前記化合物が、
99%以上の前記(R)形態の鏡像体過剰率(ee)を有
し、
前記薬学的組成物は、経口投与用に製剤化され、かつ前記化合物の1日投薬量は1mg~16mgである、薬学的組成物。
【請求項12】
前記化合物が、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩であり、好ましくは前記化合物が、
99.5%以上の前記(R)形態の鏡像体過剰率(ee)を有する、請求項11に記載の薬学的組成物。
【請求項13】
前記薬学的組成物が、錠剤の形態である、請求項11または請求項12に記載の薬学的組成物。
【請求項14】
前記化合物の前記1日投薬量が
、4mg~16mg
、好ましくは4mg、8mg、または16mgである、請求項11~13のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項15】
組み合わせであって、
(i)請求項11~14のいずれか一項に記載の薬学的組成物、または
(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンである化合物もしくはその薬学的に許容される塩であって、前記化合物が
、99%以上
、好ましくは99.5%以上
、より好ましくは99.8%以上、さらにより好ましくは99.9%以上の前記(R)形態の鏡像体過剰率(ee)を有し、好ましくは前記化合物が、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩である、化合物もしくはその薬学的に許容される塩と、
(ii)前記薬学的組成物または前記化合物を1日1回
経口投与するための説明書と、を含
み、前記化合物の1日投薬量は1mg~16mgである、組み合わせ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、疾患または障害の治療における使用のための組成物であって、該疾患または障害が、好ましくはアルドステロンの過剰曝露が該疾患または障害の症状に寄与する疾患または障害であり、該組成物が、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンである化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、好ましくは該化合物が、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩であり、該化合物が、97%以上の(R)形態の鏡像体過剰率(ee)を有し、該組成物が、それを必要とする対象に1日1回投与される、使用のための組成物に関する。本発明はさらに、固定単位剤形の該化合物の1日投薬量を含む薬学的組成物と、(i)該薬学的組成物または該化合物、および(ii)該薬学的組成物または該化合物を1日1回投与するための説明書を含む組み合わせとに関する。
【背景技術】
【0002】
アルドステロン過剰は、ナトリウム貯留および水分貯留、低カリウム血症、低マグネシウム血症、高血圧、左室肥大、および心筋線維症を含む、様々な有害な代謝および心血管構造効果と関連しており、原発性アルドステロン症は、本態性高血圧症と比較して、実質的に有害な結果を有する。したがって、血圧の低下、および鉱質コルチコイド受容体の過剰活性化の拮抗の両方を行うための有効な医学療法は、重要な治療目的である(Parthasarathy et al.,2011,J Hypertens29:980-990)。
【0003】
従来技術では、原発性アルドステロン症(PA)は、アルドステロン産生がナトリウム状態に対して不適切に高く、主要な分泌制御因子(アンギオテンシンII、血漿カリウム濃度)から比較的自律的であり、かつナトリウム負荷によって抑制不能である、一群の障害と定義されている。アルドステロンのそのような不適切な産生は、高血圧症、心血管損傷、ナトリウム貯留、血漿レニンの抑制、およびカリウム排泄の増加を引き起こし、これは、(長期的かつ重度の場合)低カリウム血症をもたらし得る。PAは一般的に、副腎腺腫、一側性もしくは両側性副腎皮質過形成症(BAH)、またはまれな事例では副腎がんもしくは家族性高アルドステロン症の遺伝性病態によって引き起こされる。PAはまた、コン症候群としても知られている(Funder et al.,2016,J Clin Endocrinol Metab101:1889-1916)。
【0004】
副腎球状層細胞がアルドステロンを産生する能力は、アルドステロンシンターゼをコードする遺伝子である、CYP11B2の制御された転写によって、大部分が調節される。アルドステロンシンターゼ阻害は、鉱質コルチコイド受容体(MR)遮断に加えて、高血圧症、心不全、および腎障害の治療の選択肢として現れている。この目的は、血漿および組織の両方におけるアルドステロン濃度を低下させ、それによって心臓、血管、および腎臓の標的器官におけるMR依存性効果およびMR非依存性効果を減少させることである。アルドステロンの合成は、コルチゾールの合成と密接に関連しており、アルドステロンシンターゼは、コルチゾール合成の最終ステップを触媒する11-β-ヒドロキシラーゼに類似しているため、高度に選択的なCYP11B2阻害剤の検索は、複雑化している(Azizi et al.,2013,Nephrol Dial Transplant28:36-43)。
【0005】
進行乳がんの治療に有効な非ステロイド性アロマターゼ阻害剤として知られているファドロゾール塩酸塩水和物(CGS16949A、INN:ファドロゾール、US4,617,307、US4,728,645、US5,098,911、Trunet et al.,1992,J Clin Endocrinol Metab74(3):571-576)は、健康な男性対象に1日2回投与した場合、血清カリウムを有意に上昇させることなく、基礎血漿アルドステロンレベルにわずかな影響しか及ぼさないことが見出されている。
【0006】
その後の前臨床研究により、ファドロゾールのR-鏡像体、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン塩化物(CGS20286、FAD286A)が、CYP11B2の強力な阻害剤である一方で、S-鏡像体が、ファドロゾールの強度かつ強力なアロマターゼ(CYP19)阻害活性に関与していることが実証された(J.Menard et al.,J Hypertens(2006)24:993、Fiebeler et al.,Circulation(2005)111:3078-94、Furet et al.,J Med Chem(1993)36:1393-1400、US5,057,521)。
【0007】
一方では、その早期発見およびさらなる前臨床調査にも関わらず(J.Menard et al.,J Hypertens(2006)24:993、Amar et al.(2010),Hypertension56:831-838、US4,889,861、US5,057,521、Rigel et al.,2010,JPET334(1):232-243)、ヒトにおける(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン塩化物の臨床開発は、これまでに報告されておらず、R-鏡像体の商業的に実行可能な合成も、その満足のいくキラル純度も開示されていない。
【0008】
実際、FAD286Aのキラル純度は、対応する(S)鏡像体の強度かつ強力なアロマターゼ阻害活性に照らして、特に重要であると考えられているが、これは、臨床試験におけるアロマターゼ阻害剤の広範な評価により、アロマターゼの多数の有害な結果が明らかになったためである。例えば、30,023人の乳がんを有する閉経後女性を登録し、アロマターゼ阻害剤で治療した7件の試験からなる、系統的再評価およびメタ分析により、骨折および心血管疾患の発生率の有意な増加が明らかになった(Amir et al.,2011,J Natl Cancer Inst103:1299-1309)。
【0009】
FAD286と構造が類似した経口活性アルドステロンシンターゼ阻害剤であるLCI699が、ヒト使用のために開発され、原発性アルドステロン症を有する患者におけるPOC研究に適用されており、この研究では、LCIを、各0.5mgの用量で患者に1日2回投与した(Amar et al.,2010,Hypertension56:831-838)。この第I相研究で観察されたLCI699の薬物動態パラメータ(1時間のピーク濃度までの時間、および約4時間の排泄半減期)、ならびに原発性アルドステロン症を有する患者に予想される高いアルドステロンレベルに基づいて、1日2回の投薬スキームが選択された。
【発明の概要】
【0010】
健康な男性患者における第I相、プラセボ対照、安全性、忍容性、薬力学、および薬物動態研究では、本発明者らは、驚くべきことに、本発明の非常に好ましい化合物が、治療前の値およびプラセボで治療した対照の値と比較して、該患者における血漿アルドステロンレベルを効果的に抑制することができることを発見した。それが、単回および複数回の漸増用量試験で健康な男性対象において実証されたように、好ましい化合物の1日1回の投与後に観察されたため、この発見はさらに、特に注目に値する。さらに、薬力学的データにより、驚くべきことに、本発明の好ましい化合物が、血清コルチゾールまたは生殖ホルモン濃度(LH、FSH、テストステロン、エストラジオール)に悪影響を及ぼさない用量で、24時間にわたって血漿アルドステロン濃度を劇的に抑制することが明らかになった。さらに、上昇する血清カリウムレベルが強力なアルドステロン抑制の特徴と等しくなっている間でさえ、血漿アルドステロンの該劇的な抑制が得られることが示された。
【0011】
したがって、かつ特に、本発明者らは、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンである化合物またはその薬学的に許容される塩を含むか、またはそれからなる組成物のための新たな投薬レジメンであって、好ましくは該化合物が、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩であり、該化合物が、アルドステロンの過剰曝露が該疾患または障害の症状に寄与する疾患および障害の治療のための、97%以上の(R)形態の鏡像体過剰率(ee)を有する、投薬レジメンを開発した。1日1回投与した場合、該組成物は、治療前の値およびプラセボで治療した対照の値と比較して、血漿アルドステロンレベルを効果的に抑制する(表1)。アルドステロン濃度を測定した全ての時点で、本発明の組成物中に含まれる該化合物の1日1回用量は、治療前の値およびプラセボ対照の値の両方と比較して、濃度を有意に抑制した。本発明の該化合物の最後の1日1回用量の24時間後、用量は依然として、治療前の値と比較して、血漿アルドステロンをそれぞれ32%および50%だけ抑制した。
【0012】
1日1回の投薬レジメンはまた、投薬の1日目および8日目に決定される本発明の化合物の排出半減期を記載する薬物動態データによって支持され、各用量の平均は、4mgの用量で1日目の低い8.47から、16mgの用量で8日目に測定した9.67までの範囲である(表5)。全ての用量レベルのCmaxおよびAUC0-∞の両方が、用量に比例していた。Tmaxは、本発明の化合物が、全ての用量レベルで急速に吸収され、1日目および8日目で同等であることを示している。8日目には、血漿中のDP13の蓄積はほとんどなく、AUC0-tauの幾何平均蓄積率(RAObs)は1.18であった。
【0013】
本発明の該化合物が、複数回の1日用量と比較して、1日1回の投薬で治療利益を提供する能力は、いくつかの利益を提供する。特に、レジメンの単純性および利便性、ならびに結果として改善された患者の服薬遵守が非常に望ましく、高い医学的利益がある。したがって、服薬遵守は、観察可能な身体的知覚を発揮せず、したがって服薬遵守の逸脱に苦しむ可能性が高い高血圧性障害の治療における特定の利点である。加えて、1日に複数回の最大濃度の薬物への曝露の増加の結果として、副作用の経験の増加に寄与する可能性がより高い。経口薬物摂取後、循環中の薬物の濃度は、薬物吸収の程度および速度、ならびに薬物の処分プロファイルに依存する、最大値(Cmax)に達する。短期間の薬物の副作用(胃刺激、悪心、めまい、心拍数の増加、心房細動、低血圧など)は、Cmaxまたはその近くで発生する可能性が最も高い一方で、持続した作用継続時間を有する薬物の治療効果は通常、Cminをわずかに超えた濃度で発生する。したがって、その有効なアルドステロンシンターゼ活性を有する本発明の化合物を1日1回のみ適用し、したがって本発明の化合物へのピーク薬物曝露を複数回ではなく1日1回に制限することが有利である。
【0014】
本発明の化合物はさらに、所望の非常に高いアルドステロンシンターゼ活性に加えて、非常に減少した非常に低いアロマターゼ活性を有し、これにより、本発明の化合物を1日1回のみ単回用量で投与することが可能になる。非常に低いアロマターゼ活性は、本発明の化合物および組成物の安全性に関して最も重要であり、それは、特に閉経前女性、およびしたがって妊娠可能な女性、ならびに小児患者の、アルドステロンの過剰曝露に関連する疾患および障害を治療するための薬物としての臨床開発および登録された使用の前提条件であると考えられている。以来、後者は、特に当てはまり、アロマターゼの量およびアンドロゲンからエストロゲンへの変換パーセンテージは、性腺外組織中では定量的に少なく、いずれの組織中でも1%未満であることが多いが、ホルモン作用に関する効果は、依然として優れている(Blakemore and Naftolin,Physiology(2016)31:258-269)。該疾患および障害の生涯治療に対する典型的な必要性は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンまたはその薬学的に許容される塩を阻害する有益なアルドステロンシンターゼの汚染を最小化するという、本発明の化合物の利点を強化する。したがって、本発明の化合物は、強力なアロマターゼ阻害(S)-鏡像体によって引き起こされる汚染および悪影響を最小化することにより、アルドステロン産生によって悪影響を受ける障害の治療のための高い患者の服薬遵守を有する生涯薬物の可能性を提供する。
【0015】
したがって、第1の態様では、本発明は、疾患または障害の治療における使用のための組成物であって、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンである化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、該化合物が、97%以上の(R)形態の鏡像体過剰率(ee)を有し、該組成物が、それを必要とする対象に1日1回投与される、使用のための組成物を提供する。
【0016】
さらなる態様では、本発明は、疾患または障害の治療における使用のための組成物であって、該疾患または障害が、好ましくは原発性アルドステロン症または続発性アルドステロン症、さらに好ましくは原発性アルドステロン症であり、該組成物が、それを必要とする対象に1日1回投与され、該組成物が、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンである化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、該化合物が、97%以上の(R)形態の鏡像体過剰率(ee)を有する、使用のための組成物を提供する。
【0017】
さらなる態様では、本発明は、疾患または障害の治療における使用のための組成物であって、該疾患または障害が、アルドステロンの過剰曝露が該疾患または障害の症状に寄与する疾患または障害であり、該組成物が、それを必要とする対象に1日1回投与され、該組成物が、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンである化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、該化合物が、97%以上の(R)形態の鏡像体過剰率(ee)を有する、使用のための組成物を提供する。
【0018】
さらなる態様では、本発明は、疾患または障害の治療における使用のための組成物であって、該疾患または障害が、原発性アルドステロン症、続発性アルドステロン症、心不全、慢性腎不全、高血圧症、再狭窄、肥満症、腎障害、心筋梗塞後、腎線維症、冠動脈心疾患、ナトリウム貯留、水分貯留、低カリウム血症、低マグネシウム血症、高血圧症、左室肥大および心筋線維症、心血管損傷、血漿レニンの抑制、腎線維症、不整脈、腎障害、浮腫、および低カリウム血症による筋力低下、心細動、ならびに心筋収縮の衰弱から選択され、好ましくは該疾患または障害が、原発性アルドステロン症または続発性アルドステロン症であり、さらにより好ましくは該疾患または障害が、原発性アルドステロン症であり、該組成物が、それを必要とする対象に1日1回投与され、該組成物が、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンである化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、該化合物が、97%以上の(R)形態の鏡像体過剰率(ee)を有する、使用のための組成物を提供する。
【0019】
本発明者らは、本発明のプロセスによって調製した(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジン、薬学的に許容される塩、特にそのリン酸塩または二水素リン酸塩が、アロマターゼに対して前例のない低い阻害活性を示すことを発見した。実施例5、表8~表10に実証されるように、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンはそれぞれ、8.1nMおよび5760nMのIC50で、NCI-H295R副腎細胞によるアルドステロン産生(アルドステロンシンターゼ活性)およびエストラジオール産生(アロマターゼ活性)を阻害し、したがってアロマターゼ活性と比較して、アルドステロンシンターゼ活性の700倍超より大きな阻害を実証し、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンの本発明のリン酸塩、およびさらに(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩の非常に有益な安全性プロファイルを証明する。したがって、本発明は、特にヒトにおける適用に適している。
【0020】
さらなる態様では、本発明は、固定単位剤形の化合物の1日投薬量を含む薬学的組成物であって、該化合物が、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンまたはその薬学的に許容される塩であり、該化合物が、97%以上の(R)形態のeeを有し、好ましくは該化合物が、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩である、薬学的組成物を提供する。
【0021】
さらなる態様では、本発明は、疾患または障害の治療における使用のための薬学的組成物であって、好ましくは該疾患または障害が、原発性アルドステロン症または続発性アルドステロン症であり、さらに好ましくは該疾患または障害が、原発性アルドステロン症であり、該薬学的組成物が、固定単位剤形の化合物の1日投薬量を含み、該化合物が、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンまたはその薬学的に許容される塩であり、該化合物が、97%以上の(R)形態のeeを有し、好ましくは該化合物が、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩である、使用のための薬学的組成物を提供する。
【0022】
さらなる態様では、本発明は、組み合わせであって、
(i)本発明による薬学的組成物、または(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンである化合物もしくはその薬学的に許容される塩であって、該化合物が、97%以上、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上、およびさらにより好ましくは99.5%以上、さらにより好ましくは99.8%以上、さらにより好ましくは99.9%以上の(R)形態のeeを有し、好ましくは該化合物が、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩である、化合物もしくはその薬学的に許容される塩と、
(ii)該薬学的組成物または該化合物を1日1回投与するための説明書と、を含む、組み合わせを提供する。好ましくは、該薬学的組成物または該化合物を投与するための該説明書は、好ましくは原発性アルドステロン症または続発性アルドステロン症であり、さらに好ましくは原発性アルドステロン症である、疾患または障害を治療するための方法で使用するための、該薬学的組成物または該化合物の説明書である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
別段定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0024】
使用される場合、「約」という用語は、別段示されない限り、特に±10%、±5%、または±3%(それぞれ所定の数値を指す)を意味する。本発明の実施形態の各々では、「約」は、削除されることがある。本明細書に開示される値の全ての範囲は、範囲を定義する値を含む該範囲内にあるありとあらゆる値を指し、含むものとする。明確にするために、例えば、12~13の値は、12もしくは13の値、または12および13の範囲内にあるありとあらゆる値を指すものとし、例えば、1mg~16mgの1日投薬量は、1mgもしくは16mg、または1mgおよび16mgの範囲内にあるありとあらゆる値の1日用量を指すものとする。
【0025】
本明細書で使用される場合、「キラル純度」という用語は、キラルHPLC(詳細については実施例を参照されたい)によって決定され、等式:
ee=(AR-AS)/(AR+AS)×100%、
(式中、ARは、試料溶液のHPLCクロマトグラムにおける(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンピークの面積であり、ASは、試料溶液のHPLCクロマトグラムにおける(S)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンピークの面積である)によって計算される、鏡像体過剰率(ee)によって定義される。
【0026】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される塩」という用語は、薬学的に許容され、親化合物の所望の薬理学的活性を有する塩を指す。そのような塩には、当業者に知られている無機酸または有機酸で形成される酸付加塩が含まれる(P.Heinrich Stahl(Editor),Camille G.Wermuth(Editor);Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use,2nd Revised Edition,March2011,Wiley-VCH,ISBN:978-3-90639-051-2)。本発明において特に好ましい薬学的に許容される塩は、例えば、リン酸で形成される、塩酸塩またはリン酸塩などの酸付加塩、すなわち二水素リン酸塩である。
【0027】
本出願で使用される場合、「リン酸塩」という用語は、そのプロトン化形態の(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジン、すなわち(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジンカチオンを含み、リン酸に由来するアニオンをさらに含む、化合物であって、該アニオンが、典型的にかつ好ましくは二水素リン酸塩[H2PO4]-または水素リン酸塩[HPO4]2-である、化合物を指す。好ましくは、本出願で使用される場合、「リン酸塩」という用語は、式(I)の二水素リン酸塩を指し、つまり式(I)の化合物は、1回プロトン化されており、対イオンは、[H2PO4]-であり、したがってモノプロトン化(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジン対二水素リン酸塩の化学量論は、1:1である。後者の化合物は、本明細書では、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩と称される。
【0028】
本出願で互換的に使用される場合、「塩酸塩」または「塩化物塩」という用語は、そのプロトン化形態の(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラ-ヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジン、すなわち(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジンカチオンを含み、塩化物アニオン(Cl-)をさらに含む、化合物を指す。
【0029】
本明細書で使用される場合、「無晶性」という用語は、固体のように見えるが、長い範囲にわたって維持され、融点を有さず、むしろ軟化するか、またはそのガラス転移温度を超えて流動する、分子の規則的に反復する配置を有しない、過冷却液体または粘性液体を意味する。
【0030】
本明細書で互換的に使用され、本発明の化合物に関連する場合、「結晶性」および「結晶性純度」という用語は、分子または外部表面平面の規則的に反復する配置を有する固体を指す。好ましくは、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩を含む(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩を指す場合、「結晶性」および「結晶純度」という用語は、結晶形態Iを指し、該結晶形態Iは、少なくとも総重量によって60%で、好ましくは少なくとも総重量によって70%で、さらに好ましくは少なくとも総重量によって80%で、さらにより好ましくは少なくとも総重量によって90重量%で、およびさらにより好ましくは少なくとも総重量によって95重量%で存在する。さらなる構成成分は、例えば、無晶性(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩であってもよい。結晶純度は、本明細書に記載のようにXRPDの手段によって決定することができる。したがって、好ましい実施形態では、該XRPDは、次のデバイス、パラメータ、および測定条件:機器:Bruker AXS D2PHASER、照射:CuKα(30kV、10mA)、走査範囲:5~45°(2シータ値)、試料回転5rpm、0.5秒/ステップ、0.010°/ステップ、3.0mmの検出器スリットを使用して決定することができる。
【0031】
本明細書で使用される場合、「結晶形態I」という用語は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩を指し、該(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩は、CuKα放射線を使用して測定して、次の2θ値:19.504、21.919、および24.159を含むX線粉末回折パターンを有し、各ピークは、±1度だけ、または好ましくは±0.5度だけ、またはさらに好ましくは±0.2度だけ変動し得る。好ましい実施形態では、本明細書で使用される場合、「結晶形態I」は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジンを指し、該(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩は、CuKα放射線を使用して測定して、次の2θ値:19.504、21.919、および24.159を含むX線粉末回折パターンを有し、各ピークは、±1度だけ、または好ましくは±0.5度だけ、またはさらに好ましくは±0.2度だけ変動し得る。さらに好ましい実施形態では、本明細書で使用される場合、「結晶形態I」は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩を指し、該(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩は、CuKα放射線を使用して測定して、次の2θ値:19.504、21.919、および24.159を含むX線粉末回折パターンを有し、各ピークは、±0.5度だけ、または好ましくは±0.2度だけ変動し得る。さらに好ましい実施形態では、本明細書で使用される場合、「結晶形態I」という用語は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩を指し、該(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩は、CuKα放射線を使用して測定して、次の2θ値、19.504、21.919、および24.159を含むX線粉末回折パターンを有し、各ピークは、±0.2度だけ変動し得る。別の好ましい実施形態では、本明細書で使用される場合、「結晶形態I」は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジンを指し、該(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩は、CuKα放射線を使用して測定して、次の2θ値:19.504、21.919、24.159、16.003、26.101、27.168、27.542、および29.029を含むX線粉末回折パターンを有し、各ピークは、±1度だけ、または好ましくは±0.5度だけ、またはさらに好ましくは±0.2度だけ変動し得る。別の好ましい実施形態では、本明細書で使用される場合、「結晶形態I」は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩を指し、該(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩は、CuKα放射線を使用して測定して、次の2θ値:19.504、21.919、24.159、16.003、26.101、27.168、27.542、および29.029を含むX線粉末回折パターンを有し、各ピークは、±0.5度だけ、または好ましくは±0.2度だけ変動し得る。
【0032】
本明細書で使用される場合、「無水」という用語は、3%未満、好ましくは2.5%未満、より好ましくは2%未満、より好ましくは1.5%未満、最も好ましくは1%未満の水和物水を含有する結晶形態を指す。
【0033】
「非吸湿性」という用語は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンの本発明の薬学的に許容される塩、および特に(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンのリン酸塩、より好ましくは(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩が、それらが粉末または顆粒として存在するときに、商業使用の前提として、凝集、集塊、吸水、または潮解の有害現象を生じることなく、24時間、数週間、数ヶ月間、または数年間にわたって、周囲雰囲気の水蒸気への曝露に耐える能力を意味する。典型的にかつ好ましくは、本明細書で使用され、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンのリン酸塩を指す場合、および好ましくは(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩を指す場合、「非吸湿性」という用語は、開放された通常の周囲条件下、典型的にかつ好ましくは20~25℃、および20%~80%、好ましくは30%~60%の相対湿度での屋外での保管では、それが、少なくとも1日間、好ましくは1週間、さらに好ましくは1ヶ月間の期間にわたって、さらにより好ましくは少なくとも3ヶ月間にわたって、およびさらにより好ましくは少なくとも6ヶ月間の期間にわたって、およびさらにより好ましくは少なくとも1年間以上の期間にわたって、(好ましくは自由流動性)粉末または顆粒としてのその稠度を保つことで、規制ICH基準を満たすことを意味する。さらに好ましくは、本明細書で使用され、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンのリン酸塩を指す場合、および好ましくは(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩を指す場合、「非吸湿性」という用語は、典型的にかつ好ましくは実施例5において決定されるように、開放された通常の周囲条件下、典型的にかつ好ましくは20~25℃、および20%~80%、好ましくは30%~60%の相対湿度での屋外での保管では、24時間の期間にわたって、それが、5%未満、好ましくは3%未満、さらに好ましくは2%未満、さらにより好ましくは1%未満の重量増加を示すことを意味する。さらに好ましくは、本明細書で使用され、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンのリン酸塩を指す場合、および好ましくは(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩を指す場合、「非吸湿性」という用語は、典型的にかつ好ましくは実施例5において決定されるように、開放された通常の周囲条件下、典型的にかつ好ましくは室温、最も好ましくは20~25℃、および20%~80%、好ましくは30%~60%の相対湿度での屋外での保管では、24時間の期間にわたって、該リン酸塩、好ましくは該(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩が、5%(wt/wt)未満、好ましくは3%(wt/wt)未満、さらに好ましくは2%(wt/wt)未満、さらにより好ましくは1%(wt/wt)未満の水取り込みを示すことを意味する。あるいは、本明細書で使用され、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンのリン酸塩を指す場合、および好ましくは(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩を指す場合、「非吸湿性」という用語は、典型的にかつ好ましくは実施例9において決定されるように、開放された通常の周囲条件下、典型的にかつ好ましくは25℃、および約60%の相対湿度での屋外での保管では、24時間の期間にわたって、好ましくは1ヶ月間の期間にわたって、より好ましくは少なくとも3ヶ月間の期間にわたって、およびさらにより好ましくは少なくとも6ヶ月間の期間にわたって、およびさらにより好ましくは少なくとも1年間の期間にわたって、水含有量が、0.5wt/wt%未満、好ましくは0.4w/w%未満、およびさらに好ましくは0.3w/w%未満であることを意味する。
【0034】
本明細書で使用される場合、「比旋光度」という用語は、溶媒中のそれぞれの化合物の溶液の比旋光度を指し、該溶媒は、典型的にかつ好ましくはエタノールまたは1:1(v/v)のCH3CN:H2O、さらに好ましくは1:1(v/v)のCH3CN:H2Oであり、該比旋光度は、式:100×α/(lxc)(式中、α=観察される旋光度(度)であり、l=セルパスの長さ(デシメートル)であり、c=100mlあたりのグラムでの濃度である)によって計算され、測定は、ナトリウムDライン(すなわち589.3nm)で、室温、典型的にかつ好ましくは20℃または25℃で実行される。「比旋光度」という用語は、[α]D
20または[α]D
25と略記される。典型的には、[α]D
20または[α]D
25について、旋光度の符号(+もしくは-)およびその実際の値が本明細書に示されるか、または[α]D
20もしくは[α]D
25が旋光度のその符号(+もしくは-)および度(°)で示されるその実際の値によって提供されるかのいずれかである。上記に決定される完全な単位(deg dm-1cm3g-1)は、典型的には明確にするために省略されている。
【0035】
本明細書で使用される場合、「溶解度」という用語は、U.S.Pharmacopoeia,Chapter,“General Notices”,§5.30“Description and Solubility”による(かつ以下に定義される)、(例えば、水中での)簡略化された記述的溶解度を指す。
【0036】
「アロマターゼ」という用語は、シトクロムP450スーパーファミリーのメンバーであるCYP19を指し、エストロゲンシンターゼとしても知られている。
【0037】
「アルドステロンシンターゼ」という用語は、ステロイドヒドロキシラーゼシトクロムP450酵素CYP11B2を指す。
【0038】
「IC50」という表現は、当該技術分野で一般的に知られている最大阻害濃度の半分を指す。アロマターゼのIC50は、実施例5に記載の無細胞ヒト組換えアロマターゼアッセイによって決定される。アルドステロンシンターゼのIC50は、実施例5に記載のヒトNCI-H295R細胞アッセイによって決定される。
【0039】
本明細書で使用される場合、「妊娠可能な女性」という用語は、妊娠することができる閉経前女性を指す。
【0040】
本明細書で使用される場合、「小児患者」という用語は、0~18歳、好ましくは0~16歳の年齢カテゴリーの患者を指し、早産および満期の新生児(0~27日)、乳児および幼児(28日~23ヶ月)、子供(2~11歳)、ならびに青年(2~16/18歳)を含む。
【0041】
「アロマターゼを超えるアルドステロンシンターゼに対する選択性」に言及する場合、次の比率:
を意味し、アルドステロンシンターゼのIC
50およびアロマターゼのIC
50の両方は、好ましくは同時に、実施例5に記載のヒトNCI-H295R細胞アッセイによって決定される。
【0042】
上記に概説したように、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンのリン酸塩、好ましくは(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩はそれぞれ、8.1nMおよび5760nMのIC50で、NCI-H295R副腎細胞によるアルドステロン産生(アルドステロンシンターゼ活性)およびエストラジオール産生(アロマターゼ活性)を阻害し(実施例5、表8および表9)、したがってアロマターゼを超えるアルドステロンシンターゼに対する約700の選択性を実証する。
【0043】
「疾患」および「障害」という用語は、本明細書では互換的に使用され、任意の撹乱または異常な病態もしくは機能、あるいは病的な身体的または精神的状態、特に組織、器官、または個体が、その機能を効率的に果たすことができない、疾病または傷害などの異常な医学的病態を指す。Dorland’s Illustrated Medical Dictionary(VSIB,Saunders Co.,27th ed.,1988)を参照されたい。典型的には、疾患は、そのような疾患の存在を示す特定の症状または徴候に関連しているが、必ずしもそうとは限らない。したがって、そのような症状または徴候の存在は、疾患に苦しむ組織、器官、または個体を示す可能性がある。好ましくは、「発症するリスクがある」組織、器官、または個体は、出現する疾患がまた、「疾患」または「障害」という用語によっても網羅される潜在性を示す。典型的には、疾患を発症するリスクは、そのような病気の初期または弱い兆候または症状に関連している。
【0044】
本明細書で使用される場合、「アルドステロンの過剰曝露が該疾患または障害の症状に寄与する疾患または障害」という表現は、好ましくはアルドステロンシンターゼの異常または不適切な活性/発現による疾患または障害、およびアルドステロンシンターゼの異常または不適切な発現に関連する生物学的活性またはプロセスを指す。アルドステロンシンターゼの異常または不適切な活性/発現による疾患または障害の典型的な例は、原発性アルドステロン症、続発性アルドステロン症、心不全、慢性腎不全、高血圧症、再狭窄、肥満症、腎障害、心筋梗塞後、腎線維症、冠動脈心疾患、ナトリウム貯留、水分貯留、低カリウム血症、低マグネシウム血症、高血圧症、左室肥大および心筋線維症、心血管損傷、血漿レニンの抑制、腎線維症、不整脈、腎障害、浮腫、ならびに低カリウム血症による筋力低下、心細動、ならびに心筋収縮の衰弱である。好ましくは、アルドステロンシンターゼの異常または不適切な活性/発現による該疾患または障害は、原発性アルドステロン症、続発性アルドステロン症、心不全、慢性腎不全、高血圧症、再狭窄、肥満症、腎障害、心筋梗塞後、腎線維症、冠動脈心疾患、ナトリウム貯留、水分貯留、低カリウム血症、低マグネシウム血症、高血圧症、左室肥大および心筋線維症、心血管損傷、血漿レニンの抑制、腎線維症、不整脈、腎障害、浮腫である。
【0045】
「原発性アルドステロン症」(PA)という用語は、本明細書では、レニンレベルの抑制をもたらす自律的なアルドステロン過剰を特徴とする、一群の障害と定義される。提唱されているスクリーニング検査は、PAにおいて病理学的に増加した値を有するアルドステロン対レニンの比率である。したがって、PAはまた、アルドステロン産生がナトリウム状態に対して不適切に高く、主要な分泌制御因子(アンギオテンシンII、血漿カリウム濃度)から比較的自律的であり、かつナトリウム負荷によって抑制不能である、障害も網羅する。「原発性アルドステロン症」という用語はまた、高アルドステロン症ならびにアルドステロンの不適切な産生の結果である疾患および障害も網羅し、これらは、典型的にかつ好ましくは高血圧症、心血管損傷、ナトリウム貯留、水分貯留、血漿レニンの抑制、ならびにカリウム排泄の増加および低カリウム血症、低マグネシウム血症、左室肥大、心筋線維症および腎線維症、心不全、不整脈、腎障害、浮腫、ならびに低カリウム血症による筋力低下、心細動、心筋収縮の衰弱、ならびに心不全から選択される。「原発性アルドステロン症」という用語はまた、PAを引き起こす疾患または障害も網羅し、これらは、典型的にかつ好ましくは副腎腺腫、一側性および両側性副腎皮質過形成症(BAH)(例えば、両側性特発性(微小結節型)副腎皮質過形成症および原発性(一側性)副腎皮質過形成症)、副腎がん(例えば、アルドステロン産生副腎皮質がんおよび異所性アルドステロン産生腺腫または癌腫)、グルココルチコイド治療可能アルドステロン症、家族性アルドステロン症の遺伝性病態、ならびにII型FHである。PAはまた、コン症候群としても知られている。PAにおけるアルドステロン産生の過剰な増加は、アルドステロン-レニン-アルドステロンの正常な制御的調節から副腎球状層細胞集団が逃れた結果である。
【0046】
本明細書で使用される場合、「続発性アルドステロン症」(SA)(高レニン症、または高レニン血症性高アルドステロン症)という用語は、副腎外の供給源からの刺激に続発するアルドステロンの過剰分泌を指す。副腎外刺激は、例えば、腎血流低下である。SAは、レニン-アンギオテンシン-アルドステロン系の活動過剰によるものである。「続発性アルドステロン症」という用語は、アルドステロンおよびレニンの不適切な産生の結果である疾患および障害を網羅し、これらは、典型的にかつ好ましくは高血漿アルドステロンレベル、高血漿レニンレベル、高血圧症、突発性衰弱を引き起こす低カリウム性アルカローシス、異常知覚、一過性麻痺、テタニー、および末梢性浮腫から選択される。「続発性アルドステロン症」という用語はまた、腎血流の低減、閉塞性腎動脈疾患(例えば、アテローム、狭窄)、腎血管収縮、浮腫性障害(例えば、心不全、腹水を伴う肝硬変、ネフローゼ症候群)、レニン産生腫瘍、傍糸球体細胞腫瘍、線維筋性異形成、(バーター症候群およびギテルマン症候群に見られる)ナトリウムの再吸収低下、血液量減少/低血圧症などの、SAを引き起こす疾患または障害も網羅する。「続発性アルドステロン症」という用語はまた、続発性高アルドステロン症も網羅する。
【0047】
本明細書で使用される場合、「症状」という用語は、異常な状態、疾患、または障害の任意の兆候を指し、対象、好ましくは患者が気付くか、または異常な状態、障害、もしくは疾患の存在を反映して客観的に観察可能な(効果もしくは徴候)、正常な機能または正常な感覚からの逸脱を含む。
【0048】
本明細書で使用される場合、「日」または「1日」という用語は、1暦日または1つの24時間期間のいずれかを指し、好ましくは「日」または「1日」という用語は、1暦日を指す。
【0049】
本明細書で使用される場合、「アルドステロンシンターゼの異常な活性」という用語は、野生型もしくは天然の遺伝子もしくはタンパク質の活性とは異なるか、または健康な対象における遺伝子もしくはタンパク質の活性とは異なる、アルドステロンシンターゼの活性を指す。異常な活性は、正常な活性よりも強い場合および弱い場合がある。
【0050】
本明細書で使用される場合、「アルドステロンシンターゼの不適切な活性」という用語は、野生型もしくは天然の遺伝子もしくはタンパク質のアルドステロンシンターゼの活性、または健康な対象における遺伝子もしくはタンパク質の活性を指し、これは、健康な対象では適切であると考えられるが、同じ該活性は、罹患した対象には不適切であると考えられ、すなわち該活性は、罹患した対象には強すぎるか、または弱すぎる。
【0051】
本明細書で使用される場合、「治療すること」および/または「治療」という用語は、対象、好ましくは、それらの病態の症状および合併症と闘うか、またはそれらを緩和する目的のために、1つ以上の治療化合物または組成物の投与の必要が示される疾患または障害を有する患者の管理およびケアを指す。治療には、1つ以上の本発明の製剤を投与して、症状もしくは合併症の発症を予防すること、症状もしくは合併症を緩和すること、または疾患もしくは障害を排除することが含まれる。本明細書で使用される場合、「治療」(または本明細書で互換的に使用される「療法」)という用語は、療法的治療および防止的または予防的手段の両方を指す。好ましくは、「治療」または「療法」は、療法的治療を指す。
【0052】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される賦形剤」という用語は、薬学的剤形で日常的に使用される任意の生理学的に不活性な添加剤を含む。薬学的に許容される賦形剤は、結合剤、希釈剤、担体、潤滑剤、滑剤、コーティング添加剤、またはそれらの組み合わせを含む群から選択される。本発明の活性塩の製剤に好適な追加の担体は、Remington,The Science and Practice of Pharmacy,2006,Lippincott Williams&Wilkins,Philadelphiaに見出すことができる。
【0053】
本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、動物、好ましくはヒトを含む哺乳動物を意味するために使用される。哺乳動物の例には、ヒト、イヌ、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ネコが含まれる。特に好ましい実施形態では、該対象は、ヒトである。本明細書で使用される場合、「患者」および「ヒト」という用語は、互換的に使用される。
【0054】
本明細書で使用される場合、「投与する」という用語は、治療剤を、対象、好ましくはそれを必要とする患者の体内または体に対して導入または適用して、疾患または病態を治療することを意味する。
【0055】
「治療有効量」という用語は、疾患もしくは障害の少なくとも1つの徴候もしくは症状を治療するために、または活性剤が投与される特定の薬理学的応答を提供するために、有効であると見なされる活性剤の投薬量を指す。投与用の薬剤の量は、状況、例えば、治療される対象、好ましくは患者の病状、剤形、投与方法、対象因子、好ましくは患者因子などに基づいて変動し得る。特定の場合に特定の対象に投与される治療有効量の活性剤は、そのような投薬量が当業者によって治療有効量であると見なされたとしても、本明細書に記載の病態を治療するのに常に有効であるとは限らない。
【0056】
「薬学的組成物」という用語は、対象、好ましくは患者に影響を及ぼす特定の疾患または病態を予防または治療するために、対象、好ましくは患者に投与される少なくとも1つの治療剤を含有する混合物を指す。
【0057】
第1の態様では、本発明は、疾患または障害の治療における使用のための組成物であって、該疾患または障害が、好ましくは原発性および続発性アルドステロン症であり、該組成物が、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンである化合物またはその薬学的に許容される塩であって、該化合物が、97%以上、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上、およびさらにより好ましくは99.5%以上、さらにより好ましくは99.8%以上、さらにより好ましくは99.9%以上の(R)形態の鏡像体過剰率(ee)を有し、該組成物が、それを必要とする対象に1日あたり1回(すなわち1日1回)投与される、使用のための組成物を提供する。
【0058】
本発明による該化合物は、97%以上の(R)形態のeeを有する。好ましい実施形態では、本発明による該化合物は、98%以上、より好ましくは99%以上、およびさらにより好ましくは99.5%以上、さらにより好ましくは99.8%以上、さらにより好ましくは99.9%以上の(R)形態のeeを有する。好ましい実施形態では、本発明による該化合物は、99.9%以上の(R)形態のeeを有する。
【0059】
本発明はさらに、疾患または障害、好ましくは原発性および続発性アルドステロン症の治療のための方法であって、組成物を、それを必要とする対象に1日1回投与することを含み、該組成物が、治療有効量の(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンである化合物、またはその薬学的に許容される塩、好ましくはそのリン酸塩、もしくはより好ましくはその二水素リン酸塩を含むか、またはそれからなり、該化合物が、97%以上、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上、およびさらにより好ましくは99.5%以上、さらにより好ましくは99.8%以上、さらにより好ましくは99.9%以上の(R)形態のeeを有する、方法を提供する。
【0060】
本発明はさらに、薬物としての、すなわち疾患または障害、好ましくは原発性および続発性アルドステロン症の治療のための組成物の使用であって、該組成物が、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンである化合物、またはその薬学的に許容される塩、好ましくはそのリン酸塩、より好ましくはもしくはその二水素リン酸塩を含むか、またはそれからなり、該化合物が、97%以上、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上、およびさらにより好ましくは99.5%以上、さらにより好ましくは99.8%以上、さらにより好ましくは99.9%以上の(R)形態のeeを有し、該組成物が、それを必要とする対象に1日1回投与される、使用に関する。
【0061】
本発明はさらに、疾患または障害、好ましくは原発性および続発性アルドステロン症の治療のための薬物の製造のための組成物の使用であって、該組成物が、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンである化合物、またはその薬学的に許容される塩、好ましくはそのリン酸塩、もしくはより好ましくはその二水素リン酸塩を含むか、またはそれからなり、該化合物が、97%以上、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上、およびさらにより好ましくは99.5%以上、さらにより好ましくは99.8%以上、さらにより好ましくは99.9%以上の(R)形態のeeを有し、該組成物が、それを必要とする対象に1日1回投与される、使用に関する。
【0062】
本発明はさらに、疾患または障害の治療における本発明による組成物の使用であって、該疾患または障害が、好ましくは原発性アルドステロン症または続発性アルドステロン症、さらに好ましくは原発性アルドステロン症であり、該組成物が、それを必要とする対象に1日1回投与され、該組成物が、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンである化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、該化合物が、97%以上の(R)形態の鏡像体過剰率(ee)を有する、使用に関する。
【0063】
本発明はさらに、疾患または障害の治療における本発明による組成物の使用であって、該疾患または障害が、アルドステロンの過剰曝露が該疾患または障害の症状に寄与する疾患または障害であり、該組成物が、それを必要とする対象に1日1回投与され、該組成物が、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンである化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、該化合物が、97%以上の(R)形態の鏡像体過剰率(ee)を有する、使用に関する。
【0064】
本発明はさらに、疾患または障害の治療における本発明による組成物の使用であって、該疾患または障害が、原発性アルドステロン症、続発性アルドステロン症、心不全、慢性腎不全、高血圧症、再狭窄、肥満症、腎障害、心筋梗塞後、腎線維症、冠動脈心疾患、ナトリウム貯留、水分貯留、低カリウム血症、低マグネシウム血症、高血圧症、左室肥大および心筋線維症、心血管損傷、血漿レニンの抑制、腎線維症、不整脈、腎障害、浮腫、および低カリウム血症による筋力低下、心細動、ならびに心筋収縮の衰弱から選択され、好ましくは該疾患または障害が、原発性アルドステロン症または続発性アルドステロン症であり、さらにより好ましくは該疾患または障害が、原発性アルドステロン症であり、該組成物が、それを必要とする対象に1日1回投与され、該組成物が、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンである化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、該化合物が、97%以上の(R)形態の鏡像体過剰率(ee)を有する、使用に関する。
【0065】
好ましい実施形態では、本発明による使用のための該組成物は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンである化合物、またはその薬学的に許容される塩、好ましくはそのリン酸塩、もしくはより好ましくはその二水素リン酸塩からなる。
【0066】
好ましい実施形態では、本発明による該化合物は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジン塩酸塩、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩、および(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジン水素リン酸塩からなる群から選択される。
【0067】
好ましい実施形態では、本発明による該化合物は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジンの薬学的に許容される塩である。好ましい実施形態では、本発明による該化合物は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジン塩酸塩、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩、および(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジン水素リン酸塩からなる群から選択される。
【0068】
(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジンの急速かつ高い吸収に特に適した塩は、リン酸塩、より好ましくは、そのリン酸二水素塩である。吸収されると、本発明の化合物の寿命(または半減期T1/2)は、塩には依存しないが、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンの(R)形態のeeには依存する。別の好ましい実施形態では、該薬学的に許容される塩は、結晶性である。別の好ましい実施形態では、該薬学的に許容される塩は、無水である。別の好ましい実施形態では、該薬学的に許容される塩は、非吸湿性である。別の好ましい実施形態では、該薬学的に許容される塩は、非吸湿性かつ無水である。別の好ましい実施形態では、該薬学的に許容される塩は、非吸湿性かつ結晶性である。別の好ましい実施形態では、該薬学的に許容される塩は、非吸湿性、無水、かつ結晶性である。
【0069】
非常に好ましい実施形態では、本発明による該化合物は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジンのリン酸塩、より好ましくは、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジンのリン酸二水素塩である。別の好ましい実施形態では、該化合物は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジンのリン酸二水素塩であり、該化合物は、99%以上の(R)形態のeeを有する。別の好ましい実施形態では、該化合物は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジンのリン酸二水素塩であり、該化合物は、99.9%以上の(R)形態のeeを有する。
【0070】
したがって、非常に好ましい実施形態では、該化合物は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩である。
【0071】
別の好ましい実施形態では、該化合物は、結晶性(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩である。別の好ましい実施形態では、該化合物は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩の結晶形態Iである、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩であり、該結晶形態Iは、CuKα放射線を使用して測定して、次の2θ値:19.504、21.919、および24.159を含むX線粉末回折パターンを有し、各ピークは、±0.5度だけ、または好ましくは±0.2度だけ変動し得る。
【0072】
該組成物は、それを必要とする対象に1日1回(q.d.)投与される。好ましくは、本発明による使用のための該組成物は、約24時間の期間内に1回、対象に投与される。別の好ましい実施形態では、本発明の該組成物は、対象に、同じ時間に1日1回、例えば、朝、正午、夕方、または夜に1日1回投与される。別の好ましい実施形態では、本発明の組成物の2回の投与の間の期間は、約24時間である。
【0073】
本発明者らは、1日1回1、2、4、8、および16mgの経口用量で投与した(組成物中に製剤化されていないか、または製剤化された)本発明の該化合物が、治療前の値およびプラセボで治療した対照の値(表1および表4)と比較して、正常な男性における血漿アルドステロンレベルを効果的に抑制することを発見した。(実施例6に従って調製した(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩である)DP13に対する正常な個体の応答を評価し、それらの血漿アルドステロンおよびカリウム反応を、互いに対して、およびプラセボで治療した個体に対して比較した。アルドステロン濃度を測定した全ての時点で、8mgおよび16mgの1日1回用量は、治療前の値およびプラセボ対照の値の両方と比較して、濃度を有意に抑制した。8日目のDP13の最後の1日1回用量の24時間後、8mgおよび16mgの用量は、治療前の値と比較して、血漿アルドステロンをそれぞれ32%および50%だけ抑制した。DP13の1mgおよび2mgの用量は、血漿アルドステロンをそれぞれ52%および61%だけ抑制した。DP13の1mgおよび2mgの用量は、プラセボと比較して、血漿アルドステロンをそれぞれ52%および61%だけ抑制した。8日目のDP13の最後の1日1回用量の18および24時間後、1mgおよび2mgの用量は、治療前の値と比較して、血漿アルドステロンをそれぞれ18%および39%だけ抑制した。
【0074】
したがって、好ましい実施形態では、本発明の組成物の1日1回用量の投与の24時間後、血漿アルドステロンは、治療前の値と比較して、少なくとも約30%だけ、好ましくは少なくとも約50%だけ、好ましくは少なくとも約60%だけ抑制され、好ましくは血漿アルドステロンレベルは、Covance Clinical Research Unit Ltd.によって実施された第I相臨床研究(以下の材料および方法を参照されたい)に記載のように測定し、特に、血漿試料は、DiaSorin S.p.A.、Italyによって供給されるLiaison(登録商標)化学発光イムノアッセイキットを使用してアルドステロンについて測定し、アッセイは、製造業者によって提供される説明書に従って実行し、分析感度は、0.97ng/ml未満であった。このアッセイシステムは、アルドステロンに対するモノクローナル抗体を使用しているため、血清試料中の他の主要な潜在的反応物との交差反応はない。このアッセイは、0.97~100ng/mlの広い測定範囲を有し、アルドステロンを評価して、PAの治療を診断および評価するために設計された。
【0075】
1日1回の投薬は、投薬の1日目および8日目に決定される本発明の化合物の排出半減期を記載する薬物動態データによって支持され、各用量の平均は、1mgの用量で1日目の低い8.19または4mgの用量で1日目の低い8.47から、16mgの用量で8日目に測定した9.67までの範囲である(表5)。
【0076】
したがって、好ましい実施形態では、本発明の該化合物の排出半減期(T1/2)は、約8時間~約11時間、より好ましくは8時間~10時間である。好ましくは、本発明の該化合物の排出半減期(T1/2)は、質量分析(LC-MS/MS)を介して精製された試料中で測定する(表5)。該試料は、好ましくはGemini3μm NX-C18、5×2mmカラムを有するWaters、Acquity、UPLCを使用する液体クロマトグラフィーを介して精製する。試料は、材料および方法、薬物動態研究に後述されるように調製する。
【0077】
DP13および本発明の該化合物の全ての用量レベルについてのCmaxおよびAUC0-∞の両方が、用量に比例していた(表5)。好ましい実施形態では、本発明の該化合物のCmaxは、約5ng/mlから、好ましくは約12ng/mlから、より好ましくは約14.0ng/mlから、さらにより好ましくは約30ng/mlから、約77ng/mlまでである。別のより好ましい実施形態では、本発明の該化合物のCmaxは、約14ng/ml~約77ng/mlである。別のより好ましい実施形態では、本発明の該化合物のCmaxは、投与の第1日目に約14ng/ml~約67ng/ml、または投与の8日目に約15ng/ml~約77ng/mlである。該Cmax値は、好ましくは質量分析(LC-MS/MS)を介して精製された試料中で測定する。該試料は、好ましくはGemini3μm NX-C18、5×2mmカラムを有するWaters、Acquity、UPLCを使用する液体クロマトグラフィーを介して精製する。試料は、材料および方法、薬物動態研究に後述されるように調製する。
【0078】
Tmaxは、DP13が、全ての用量レベルで急速に吸収され、Tmaxは、1日目および8日目で同等であることを示している。8日目には、血漿中のDP13の蓄積はほとんどなく、AUC0-tauの幾何平均蓄積率(RAObs)は1.18であった(個々の範囲:1.04~1.31)。
【0079】
別の好ましい実施形態では、本発明の該化合物のAUC0-∞は、約167ng.h/ml、好ましくは約335ng.h/ml~約725ng.h/mlである。AUC0-tは、46ng.h/mlから、好ましくは133ng.h/mlから、より好ましくは139ng.h/mlから、さらにより好ましくは約281ng.h/mlから、約725ng.h/mlまでである。該AUC0-∞値は、好ましくは質量分析(LC-MS/MS)を介して精製された試料中で測定される。該試料は、好ましくはGemini3μm NX-C18、5×2mmカラムを有するWaters、Acquity、UPLCを使用する液体クロマトグラフィーを介して精製される。試料は、材料と方法、「材料および方法、薬物動態研究」に後述されるように調製される。
【0080】
本明細書で表7に提示されるデータによって支持されるように、本発明の1日1回投薬はまた、11β-デオキシコルチコステロン(DOC)のその限られた産生のために、より大きな有効性を証明し得る。本発明の化合物は、プラセボのレベルおよび治療前のレベルの両方と比較して、全ての用量でDOCレベルを上昇させた(表7)。しかしながら、他のアルドステロンシンターゼ(CYP11B2)阻害剤とは異なり、DP13の1日1回の投与によって誘発されるDOCの増加は、本発明に従って使用される組成物ではかなり低かった。1日2回服用した0.5および1.0mgの用量のLCI699は、PA患者における血漿アルドステロンを70~80%だけ減少させたが、DOCを700%以上、9.8ng/mlの平均レベルまで増加させ、個々のレベルは、1.0mgを1日2回用量で8.0~120.4ng/mlの範囲であった(Amar et al.,Hypertension(2010)56:831)。対照的に、DOCの最大平均増加は、LCI699について見られたものよりほぼ20分の1少ない、わずか0.52ng/mlであり、最大の個々の値は、本発明による組成物を使用したときにLCI699について見られたものより50分の1超少ない、1.92ng/mlであった。本発明による組成物を1日1回投与したときに観察されるDOC濃度は、有意なミネラルコルチコイド活性を発揮すると予想される臨界範囲、0.5ng/ml~0.7ng/mlをはるかに下回っている(Amar et al.,Hypertension(2010)56:831、Baxter et al.,1976,J.Clin.Invest.58:579)。したがって、一実施形態では、本発明に従って使用される組成物によって誘発されるDOC濃度は、0.5ng/ml未満である。DOCは、好ましくはLC-MS/MS方法論によって定量化する。より好ましくは、調製において、ステロイドを、Biocrates Life Sciences AG、Innsbruck,AustriaのAbsolute/DQStereo17キットを使用して抽出し、ステロイドを抽出し、製造業者の説明書に従ってLC-MS/MS分析に供し、三連四重極型質量分析計(Waters1-Class2D UPLC Xevo TQ-S)を、キットに提供される標準物を使用して較正し、アッセイを製造業者によって提供されるように実行する。
【0081】
アルドステロン媒介性障害の治療としてのファドロゾールの使用は、エストロゲンの抑制をもたらすアロマターゼ活性を阻害するその効果のために、支持されない。乳がんの治療としてのその有用性の基礎であるファドロゾールによるアロマターゼ阻害は、エストラジオールのその抑制から、ならびに健康な男性について報告される血漿テストステロン濃度および卵胞刺激ホルモン(FSH)濃度のその上昇から間接的に、明らかである(Bhatnagar et al.,1992,J.Steroid Biochem.Molec.Biol.41(3-8):437-443)。ファドロゾールとは異なり、DP13は、4、8、または16mgで1日1回経口投薬した後に、エストラジオールの阻害も、循環テストステロンまたはFSHの増加もさせなかった。エストラジオールは、DP13治療の8日後に、4および8mgの用量でわずかに増加した。したがって、DP13で治療した正常な健康な男性におけるエストロゲン抑制(アロマターゼ阻害)の証拠はない。
【0082】
したがって、好ましい実施形態では、本発明の該化合物は、1日1回の投与後に、循環テストステロンまたはFSHを増加させない。好ましくは、本発明の該化合物は、4mg、8mg、または16mgの本発明の化合物の1日経口用量で1日1回投与した後に、循環テストステロンまたはFSHのレベルを増加させない。さらに好ましい実施形態では、本発明の該化合物は、循環エストラジオールのレベルを増加させる。さらに好ましい実施形態では、本発明の該化合物は、循環エストラジオールのレベルを、約15%以上だけ、好ましくは約17%以上だけ、より好ましくは約25%以上だけ、さらにより好ましくは約30%以上だけ増加させる。好ましくは、血清エストラジオール、テストステロン、および卵胞刺激ホルモン(FSH)のレベルは、10pg/mlの感度を有するADVIA Centaur(登録商標)CPシステム(Siemens AG)を用いて、Covanceの診断ユニット(Harrogate,UK)によって測定される。ADVIA Centaur(登録商標)CP FSHアッセイは、直接化学発光技術を使用する2部位サンドイッチイムノアッセイであり、これは、インタクトなFSH分子に対する特異性を有する2つの抗体を使用する。ADVIA Centaur(登録商標)CPテストステロンアッセイは、直接化学発光技術を使用する競合固相イムノアッセイである。血清エストラジオール、テストステロン、およびFSHのレベルの測定に使用される上記のアッセイの全ては、製造業者によって記載のように実施した。
【0083】
好ましい実施形態では、本発明の組成物を必要とする該対象は、哺乳動物である。より好ましくは、該対象は、ヒトである。好ましくは、該ヒトには、妊娠可能な女性および小児患者が含まれる。好ましい実施形態では、該ヒトは、妊娠可能な女性および小児患者である。
【0084】
好ましい実施形態では、本発明の組成物を必要とする該対象は、ヒトであり、該化合物は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジンのリン酸塩であり、より好ましくは該化合物は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩である。
【0085】
好ましい実施形態では、本発明の該組成物は、該疾患または障害の症状に寄与するアルドステロンの過剰曝露を特徴とする疾患または障害の治療に使用される。より好ましくは、該疾患または障害は、原発性アルドステロン症、続発性アルドステロン症、心不全、慢性腎不全、高血圧症、再狭窄、肥満症、腎障害、心筋梗塞後、腎線維症、冠動脈心疾患、ナトリウム貯留、水分貯留、低カリウム血症、低マグネシウム血症、高血圧症、左室肥大、心筋線維症、心血管損傷、血漿レニンの抑制、腎線維症、不整脈、腎障害、浮腫、および低カリウム血症による筋力低下、心細動、および心筋収縮の衰弱からなる群から選択される。別の好ましい実施形態では、該疾患または障害は、原発性および続発性アルドステロン症、ナトリウム貯留、水分貯留、低カリウム血症、低マグネシウム血症、高血圧症、左室肥大、心筋線維症、ならびに腎線維症からなる群から選択される。別の好ましい実施形態では、原発性アルドステロン症、続発性アルドステロン症、心不全、慢性腎不全、高血圧症、再狭窄、肥満症、腎障害、心筋梗塞後、腎線維症、冠動脈心疾患、ナトリウム貯留、水分貯留、低カリウム血症、低マグネシウム血症、高血圧症、左室肥大、心筋線維症、心血管損傷、血漿レニンの抑制、腎線維症、不整脈、腎障害、および浮腫からなる群から選択される。さらにより好ましくは、該疾患または障害は、原発性および続発性アルドステロン症である。最も好ましくは、該疾患または障害は、原発性アルドステロン症である。
【0086】
原発性アルドステロン症におけるアルドステロン産生の過剰な増加は、アルドステロン-レニン-アルドステロンの正常な制御的調節から副腎球状層細胞集団が逃れた結果であると考えられている。したがって、アルドステロンシンターゼ阻害剤は、適切な活性期間をもって適切な用量で提供した場合、過剰なアルドステロン合成の後遺症を予防する潜在性を有するとさらに考えられている。好ましい実施形態では、本発明に従って治療される該疾患または障害は、アルドステロンの過剰曝露に続くか、またはその結果として生じる病態である。
【0087】
好ましい実施形態では、該疾患または障害は、原発性および続発性アルドステロン症であり、該化合物は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジンのリン酸塩であり、より好ましくは該化合物は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩である。好ましい実施形態では、該疾患または障害は、原発性および続発性アルドステロン症であり、該対象は、ヒトであり、該化合物は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジンのリン酸塩であり、より好ましくは該化合物は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩である。さらにより好ましくは、これらの実施形態の該(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩の結晶形態Iであり、該結晶形態Iは、CuKα放射線を使用して測定して、次の2θ値:19.504、21.919、および24.159を含むX線粉末回折パターンを有し、各ピークは、±0.5度だけ、または好ましくは±0.2度だけ変動し得る。
【0088】
好ましい実施形態では、本発明による使用のための該組成物は、1日1回経口投与される。また好ましい実施形態では、本発明による使用のための該組成物は、経口投与用に製剤化される(経口製剤)。該経口製剤は、好ましくは固体である。より好ましくは、該経口製剤は、錠剤、ピル、分散性顆粒、カシェ、カプセル、粉末、トローチ、坐剤、および停留浣腸からなる群から選択され、最も好ましくは錠剤のものである。
【0089】
好ましい実施形態では、本発明による使用のための該組成物は、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤をさらに含む。
【0090】
好ましい実施形態では、本発明による使用のための該組成物は、連続したn日間にわたって投与され、nは、好ましくは1超である。好ましい実施形態では、本発明による使用のための該組成物は、ある期間にわたって連続して1日1回投与される。非常に好ましい実施形態では、本発明による使用のための該組成物は、慢性的に投与される。別の好ましい実施形態では、本発明による使用のための該組成物は、少なくとも1ヶ月間、好ましくは少なくとも2ヶ月間、より好ましくは少なくとも3ヶ月間、さらにより好ましくは少なくとも半年間、さらにより好ましくは少なくとも1年間、さらにより好ましくは少なくとも2年間、さらにより好ましくは少なくとも5年間、さらにより好ましくは少なくとも10年間にわたって投与される。非常に好ましい実施形態では、本発明による使用のための該組成物は、生涯治療である。
【0091】
好ましい実施形態では、本発明による使用のための該組成物は、本発明の該化合物の、すなわち(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンである化合物、またはその薬学的に許容される塩、好ましくはそのリン酸塩、もしくはより好ましくはその二水素リン酸塩の、治療的に有効な1日1回投薬量を含むか、または好ましくはそれからなり、該化合物は、97%以上、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上、およびさらにより好ましくは99.5%以上、さらにより好ましくは99.8%以上、さらにより好ましくは99.9%以上の(R)形態のeeを有する。
【0092】
好ましい実施形態では、本発明による使用のための該組成物は、1mg以上の本発明の該化合物の投薬量で1日1回投与される。別の好ましい実施形態では、本発明による使用のための該組成物は、1mg~16mg、好ましくは2mg~16mg、より好ましくは4mg~16mg、さらにより好ましくは8mg~16mg、さらにより好ましくは12mg~16mgの本発明の該化合物の投薬量で1日1回投与される。特定の好ましい実施形態では、本発明による使用のための該組成物は、1mg~16mgの本発明の該化合物の投薬量で1日1回投与される。別のさらに好ましい実施形態では、本発明による使用のための該組成物は、1、2、4、8、12、または16mgの本発明の該化合物の投薬量で1日1回投与される。
【0093】
好ましい実施形態では、本発明による使用のための該組成物は、1mg以上の本発明の該化合物の投薬量で1日1回経口投与される。特定の好ましい実施形態では、本発明による使用のための該組成物は、1mg~16mgの本発明の該化合物の投薬量で1日1回経口投与される。
【0094】
好ましい実施形態では、本発明による使用のための該組成物は、1mg以上の本発明の該化合物の投薬量で1日1回投与され、該化合物は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジンのリン酸塩であり、好ましくは該化合物は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7、8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩であり、該疾患または障害は、原発性および続発性アルドステロン症である。
【0095】
好ましい実施形態では、本発明による使用のための該組成物は、約1mg~約16mgの本発明の該化合物の投薬量で1日1回投与され、該化合物は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジンのリン酸塩であり、好ましくは該化合物は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7、8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩であり、該疾患または障害は、原発性および続発性アルドステロン症である。好ましい実施形態では、本発明による使用のための該組成物は、約4mg~約16mgの本発明の該化合物の投薬量で1日1回投与され、該化合物は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジンのリン酸塩であり、好ましくは該化合物は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7、8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩であり、該疾患または障害は、原発性および続発性アルドステロン症である。好ましい実施形態では、本発明による使用のための該組成物は、約8mg~約16mgの本発明の該化合物の投薬量で1日1回投与され、該化合物は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジンのリン酸塩であり、好ましくは該化合物は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7、8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩であり、該疾患または障害は、原発性および続発性アルドステロン症である。好ましい実施形態では、本発明による使用のための該組成物は、約8mg~約16mgの本発明の該化合物の投薬量で1日1回投与され、該化合物は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジンのリン酸塩であり、好ましくは該化合物は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7、8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩であり、該疾患または障害は、原発性および続発性アルドステロン症である。より好ましくは、これらの実施形態における該(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩は、結晶性であり、さらにより好ましくは該(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩の結晶形態Iであり、該結晶形態Iは、CuKα放射線を使用して測定して、次の2θ値:19.504、21.919、および24.159を含むX線粉末回折パターンを有し、各ピークは、±0.5度だけ、または好ましくは±0.2度だけ変動し得る。
【0096】
4mg/日のDP13の経口用量は、最後の8回の1日用量から24時間後の9日目に、血漿アルドステロンを低下させることができなかった。この失敗は、用量前の日(08:00時)に明らかな血漿カリウムレベルの有意な増加に起因する(表2)。血漿カリウムは、8日目までのより初期の時点でのアルドステロンの低減から生じる腎尿細管によるカリウムのナトリウムへの交換の減少に応答して増加し、循環カリウムの増加は、アルドステロン合成を刺激する。8mgおよび16mgの2つのより高い用量は、循環カリウムの増加が見られる場合、8日目の最終用量から24時間後の9日目でさえ、血漿アルドステロンの抑制を維持するのに十分に強力である(表2)。これらのデータは、本発明の該化合物が、高カリウムレベルでさえ、アルドステロンを長期間抑制することができることを示している。
【0097】
低カリウム血症は、PAの特徴であり、重大な潜在的結果を有するため、4mgの用量のDP13が、投薬間隔全体を通してアルドステロンの抑制を持続することができないことは、原発性アルドステロン症(PA)を治療するための有効用量としてのその潜在的な利益を否定しない。したがって、4mgの用量での循環カリウムの増加は、PA患者集団に対して有意な利益がある可能性がある。加えて、原発性アルドステロン症は、二次性高血圧の最も一般的な原因であり、この臨床病態における過剰なアルドステロンは、低カリウム血症および血圧上昇に関与していると考えられている(Amar et al.,2010,op.cit.)。
【0098】
さらに、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)を本発明の化合物と同時投与した場合、1日1回与えられる4、8、または16mgのDP13の経口用量は、1日用量のプラセボを受けるだけの個体においてACTHによって誘発されるアルドステロンの増加を予防することができた(表3)。例えば、ACTHは、本発明の化合物を用いた治療の7日目、08:00時の1日1回用量の本発明の化合物の2時間後に、静脈内(i.v.)に同時投与することができる。ACTHに応答したプラセボ群の血漿アルドステロン濃度は、432pmol/L~825pmol/Lの範囲であった。これらの値は、PA患者について公開されている範囲である、359~997pmol/Lと同等である(Amar et al.,2010,op.cit.)。加えて、この研究の単回用量部分では、1mgほど低い用量でさえ、ACTH刺激アルドステロン応答を阻害した(表4)。
【0099】
好ましい実施形態では、本発明による使用のための該組成物は、1mg~16mg、好ましくは2mg~16mg、より好ましくは4mg~16mg、さらにより好ましくは8mg~16mg、さらにより好ましくは12mg~16mgの1日1回投薬量で投与され、該疾患または障害は、原発性および続発性アルドステロン症ならびに高血圧症からなる群から選択され、好ましくは該1日1回用量は、ヒトに経口投与される。好ましい実施形態では、本発明による使用のための該組成物は、8mg~16mg、さらにより好ましくは12mg~16mgの1日1回用量で投与され、該疾患または障害は、原発性および続発性アルドステロン症であり、好ましくは1日1回用量は、ヒトに経口投与される。好ましくは、これらの実施形態における該化合物は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩である。
【0100】
好ましい実施形態では、本発明による使用のための(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジンの該薬学的に許容される塩は、非吸湿性塩である。より好ましくは、該非吸湿性塩は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジンの非吸湿性リン酸塩、より好ましくは(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジンの非吸湿性二水素リン酸塩である。該リン酸塩、および特に該二水素リン酸塩は、非吸湿性であり、長期間にわたって安定しており、これにより純度、含水量、およびキラル純度に関して有利であることが見出されている。吸湿性は、典型的には薬学的有効成分の安定性に悪影響を及ぼすため、これは特に重要である。
【0101】
さらにかつ重要なことに、本発明による使用のための(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンのリン酸塩、および特に(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩は、1つの安定した形態で、典型的にかつ好ましくは該結晶形態Iで、結晶性である。不安定な多形形態は、典型的には薬学的な有効性特性に悪影響を及ぼす。
【0102】
好ましい実施形態では、本発明による該化合物は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジンの薬学的に許容される無水塩である。より好ましくは、該薬学的に許容される無水塩は、無水リン酸塩であり、さらにより好ましくは本発明による使用のための(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジンの無水二水素リン酸塩である。動的蒸気収着研究によって測定される(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩の水取り込みは、90%超の湿度では1%未満であり、加えて、水取り込みは、可逆的である。さらに、225℃の温度まで加熱時の質量損失は、わずか1.4%であった。結論として、本発明のリン酸塩、好ましくは(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩は、吸湿性ではない。結果として、本発明の(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩は、周囲条件で、通例の薬学的封じ込め容器内で大量に保管することができる。
【0103】
さらに好ましい実施形態では、本発明による該化合物は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジンの結晶性の薬学的に許容される塩、好ましくは結晶性リン酸塩、およびより好ましくは(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジンの結晶性二水素リン酸塩である。本発明による(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジンのリン酸塩、および特に二水素リン酸塩は、高度に結晶性であり、高レベルの結晶純度を有することが見出されている。さらに、記載の例外的なキラル純度を有する、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩のリン酸塩、および特に二水素リン酸塩は、定義されたX線構造およびそのキラル中心である炭素5上のR-(+)-絶対配置を有する単一の結晶形態で存在する。多形性は、安全で効果的な形態の薬物を提供する場合に、重大な懸念である。これにも関わらず、本発明者らは、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩の結晶形態Iが物理的に安定していること、多形性が観察されず、予測可能かつ確実に得ることができることを発見した(実施例6、ステップ4)。さらに、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩のXRPD分析は、この物質が、実質的に無晶性材料を含まない(すなわち無晶性材料が検出不能である)ことを示した。XRPDは、別段記載されない限り、実施例の節に記載のように実行した。
【0104】
さらに好ましい実施形態では、本発明による該化合物は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジンの薬学的に許容される無水結晶性塩である。より好ましくは、該薬学的に許容される無水結晶性塩は、無水リン酸塩であり、さらにより好ましくは本発明による使用のための(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジンの無水結晶性二水素リン酸塩である。
【0105】
一実施形態では、本発明による化合物は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩の結晶形態Iであり、該結晶形態Iは、実施例のセクションに記載されているように測定された次の2θ値:19.504、21.919、および24.159を含むX線粉末回折パターンを特徴とする。一実施形態では、本発明による使用のための(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩の結晶形態Iが提供され、該結晶形態Iは、実施例の節に記載のように測定して、次の2θ値:19.504、21.919、および24.159を含むX線粉末回折パターンを特徴とし、各ピークは、±1度だけ、または好ましくは±0.5度だけ、またはさらに好ましくは±0.2度だけ変動し得る。好ましい実施形態では、該X線粉末回折パターンは、次の2θ値:16.003、26.101、27.168、27.542、および29.029をさらに含む。好ましい実施形態では、該X線粉末回折パターンは、次の2θ値:16.003、26.101、27.168、27.542、および29.029をさらに含み、各ピークは、±1度だけ、または好ましくは±0.5度だけ、またはさらに好ましくは±0.2度だけ変動し得る。特に好ましい実施形態では、本発明による使用のための(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩の結晶形態Iが提供され、該結晶形態Iは、次の2θ値:6.023129、9.969034、11.26224、11.22848、11.96566、12.77761、13.79347、14.39314、15.3394、16.00317、16.27337、17.07502、17.27593、17.9904、18.38238、18.65471、18.96096、19.14281、19.504、20.01265、20.58808、20.43302、20.72112、21.12683、21.91906、22.59202、24.44788、24.15917、24.48119、25.70071、26.10094、26.58127、27.16767、27.54165、27.71408、28.27603、28.09725、28.54909、29.02939、29.71314、30.07578、30.68808、30.92867、31.6379、32.27005、32.79806、33.20638、33.23304、33.65808、34.41793、34.35512、35.02142、35.06671、35.68978、35.93622、36.50305、36.56591、36.92023、37.14021、39.60815、37.89624、および40.22464のうちの少なくとも1つ、より好ましくは2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16個、または全てを含むX線粉末回折パターンを特徴とする。別の特に好ましい実施形態では、本発明による使用のための(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩の結晶形態Iが提供され、該結晶形態Iは、次の2θ値:6.023129、9.969034、11.26224、11.22848、11.96566、12.77761、13.79347、14.39314、15.3394、16.00317、16.27337、17.07502、17.27593、17.9904、18.38238、18.65471、18.96096、19.14281、19.504、20.01265、20.58808、20.43302、20.72112、21.12683、21.91906、22.59202、24.44788、24.15917、24.48119、25.70071、26.10094、26.58127、27.16767、27.54165、27.71408、28.27603、28.09725、28.54909、29.02939、29.71314、30.07578、30.68808、30.92867、31.6379、32.27005、32.79806、33.20638、33.23304、33.65808、34.41793、34.35512、35.02142、35.06671、35.68978、35.93622、36.50305、36.56591、36.92023、37.14021、39.60815、37.89624、および40.22464のうちの少なくとも1つ、より好ましくは2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16個、または全てを含むX線粉末回折パターンを特徴とし、各ピークは、±1度だけ、または好ましくは±0.5度だけ、またはさらに好ましくは±0.2度だけ変動し得る。別の特に好ましい実施形態では、次の2θ値:6.023129、9.969034、11.26224、11.22848、11.96566、12.77761、13.79347、14.39314、15.3394、16.00317、16.27337、17.07502、17.27593、17.9904、18.38238、18.65471、18.96096、19.14281、19.504、20.01265、20.58808、20.43302、20.72112、21.12683、21.91906、22.59202、24.44788、24.15917、24.48119、25.70071、26.10094、26.58127、27.16767、27.54165、27.71408、28.27603、28.09725、28.54909、29.02939、29.71314、30.07578、30.68808、30.92867、31.6379、32.27005、32.79806、33.20638、33.23304、33.65808、34.41793、34.35512、35.02142、35.06671、35.68978、35.93622、36.50305、36.56591、36.92023、37.14021、39.60815、37.89624、および40.22464のうちの少なくとも1つ、より好ましくは2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16個、または全てを含むX線粉末回折パターンを特徴とする、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩の結晶形態Iが提供され、各ピークは、±0.5度だけ、または好ましくは±0.2度だけ変動し得る。一実施形態では、XRPD回折図中の結晶形態Iの3つの最大ピークは、1:0.85:0.55、特に1:0.9:0.6、より特に1:0.95:0.65、例えば、1:0.97:0.68の相対強度を有する(XRPD図中のピークの各々の積分によって得ることができる)。特定の実施形態では、それぞれ、最大ピークは、約21.919の2シータ(θ)値にあり、2番目に大きなピークは、約19.504の2シータ(θ)値にあり、3番目に大きいピークは、約24.159の2シータ(θ)値にある。さらに特定の実施形態では、最大ピークは、約21.919±0.5、または好ましくは±0.2度の2シータ(θ)値にあり、2番目に大きいピークは、約19.504±0.5、または好ましくは±0.2度の2シータ(θ)値にあり、3番目に大きいピークは、それぞれ約24.159±0.5、または好ましくは±0.2度の2シータ(θ)値にある。
【0106】
さらに、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩(結晶形態I)は、DSCによって測定して、189℃の単一の鋭く高い融点を有することが見出され、これは再び、高い物理的安定性を示しており、これはさらに、薬物の製造、保管、および薬学的製剤への加工に関して非常に有益である。したがって、一実施形態では、184℃~193℃と等しいか、またはその間にある融点を有する、本発明による使用のための(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩であって、典型的にかつ好ましくは熱重量分析/示差走査熱量測定(TGA/DSC)を使用して、好ましくは188℃~190℃と等しいか、またはその間にある融点を有する、該(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩が提供される。さらなる実施形態では、184℃、185℃、186℃、187℃、188℃、189℃、190℃、191℃、192℃、193℃、または194℃、最も好ましくは189℃の融点を有する、本発明による使用のための(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩が提供される。さらなる実施形態では、本発明による化合物は、189±5℃、189±2℃、189±1℃、または189±0.5℃の融点を有する、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩である。本明細書の溶融温度は、別段記載されない限り、実施例の節に記載のようにTGA/DSCよって得られる。
【0107】
本明細書に記載の鏡像体的に純粋な(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジン遊離塩基から調製され、したがって99.9%超のeeを有する、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩は、+98.1°の比旋光度([α]D
20)を有する(CH3CN:H2O1:1(v/v)、実施例6)ことが見出されている。したがって、本発明の非常に好ましい一実施形態では、本発明による化合物は、少なくとも+94°、好ましくは少なくとも+95°、さらに好ましくは少なくとも+96°、より好ましくは少なくとも+97°、さらにより好ましくは少なくとも+98°の比旋光度([α]D
20)(CH3CN:H2O1:1(v/v))を有する(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩である。さらなる実施形態では、本発明による該化合物は、少なくとも+120°、好ましくは少なくとも+121°、さらに好ましくは少なくとも+122°、さらにより好ましくは少なくとも+123°、さらにより好ましくは少なくとも+124°、さらにより好ましくは少なくとも+125°、さらにより好ましくは少なくとも+126°、およびさらにより好ましくは少なくとも+127°の比旋光度[α]D
25(エタノール)を有する(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンである。別の実施形態では、本発明による該化合物は、少なくとも+95°、好ましくは少なくとも+96°、さらに好ましくは少なくとも+97°、より好ましくは少なくとも+98°、さらにより好ましくは少なくとも+99°、さらに好ましくは少なくとも+100°、より好ましくは少なくとも+101°、さらにより好ましくは少なくとも+102°、およびさらにより好ましくは少なくとも+103°、さらにより好ましくは少なくとも+104°の比旋光度[α]D
20(エタノール)を有する、本発明による使用のための(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジンの塩化物塩である。
【0108】
一実施形態では、本発明による化合物は、式(I)の(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジン、またはその薬学的に許容される塩由来のもの、特に(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩であり、該化合物は、50%vol/vol超の水への溶解度を有する。
【0109】
本発明者らは、驚くべきことに、本発明のプロセスによって調製した(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジン(実施例6)、およびそのリン酸塩、好ましくは(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロ-イミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩が、アロマターゼに対する前例のない低い阻害活性を示す(実施例5)ことを発見し、これは、アルドステロンシンターゼ活性の増強および/またはアルドステロンのレベルの増強に関連する疾患または障害を治療する方法において本発明の化合物を使用する場合、特に、妊娠可能な女性および小児患者に使用する場合に、アロマターゼの阻害に関連する副作用を回避するために重要である。
【0110】
したがって、好ましい実施形態では、本発明による該化合物は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンまたはその薬学的に許容される塩、好ましくはそのリン酸塩、さらに好ましくは(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩であり、該化合物は、実施例5に記載の無細胞ヒト組換えアロマターゼ酵素アッセイにおいて、700nM以上、好ましくは750nM以上、より好ましくは800nM以上、より好ましくは850nM以上、より好ましくは900nM以上、より好ましくは950nM以上、より好ましくは1000nM以上、より好ましくは1050nM以上、より好ましくは1100nM以上、より好ましくは1150nM以上、より好ましくは1200nM以上、より好ましくは1250nM以上、より好ましくは1300nM以上、より好ましくは1350nM以上、より好ましくは1400nM以上、より好ましくは1450nM以上、より好ましくは1500nM以上、より好ましくは1550nM以上、最も好ましくは少なくとも1600nM、例えば、1610nMもしくは1620nMもしくは1630nMもしくは1640nM、または少なくとも1650nMのIC50で、アロマターゼ活性を阻害する。より好ましい実施形態では、本発明による該化合物は、実施例5に記載の無細胞ヒト組換えアロマターゼ酵素アッセイにおいて、700nM以上、好ましくは1000nM以上、およびより好ましくは1500nM以上のIC50で、アロマターゼ活性を阻害し、さらに好ましくは該化合物は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩である。
【0111】
さらに好ましい実施形態では、本発明による該化合物は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンまたはその薬学的に許容される塩、好ましくはそのリン酸塩、さらに好ましくは(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩であり、本発明の該化合物は、実施例5に記載のNCI-H295R副腎細胞アッセイにおいて、100nM以下のIC50で、アルドステロンシンターゼを阻害する。一実施形態では、本発明の化合物は、実施例5に記載のNCI-H295R副腎細胞アッセイにおいて、90nM以下、80nM以下、70nM以下、60nM以下、50nM以下、40nM以下、35nM以下、30nM以下、25nM以下、または20nM以下、特に15nM以下、例えば、15nM、14nM、13nM、12nM、11nM、10nM、9nM、8nM、7nM、6nM、5nM、4nM、3nM、2nM、または1nM以下のIC50で、アルドステロンシンターゼを阻害する。好ましい実施形態では、本発明の化合物は、実施例5に記載のNCI-H295R副腎細胞アッセイにおいて、10nM以下のIC50で、アルドステロンシンターゼを阻害する。より好ましい実施形態では、本発明による該化合物は、実施例5に記載のNCI-H295R副腎細胞アッセイにおいて、100nM以下、好ましくは50nM以下、およびより好ましくは10nM以下のIC50で、アルドステロンシンターゼを阻害し、さらに好ましくは、該化合物は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩である。
【0112】
さらに好ましい実施形態では、本発明による該化合物は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンまたはその薬学的に許容される塩、好ましくはそのリン酸塩、さらに好ましくは(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩であり、本発明の該化合物は、30以上、好ましくは50以上、より好ましくは100以上、より好ましくは150以上、より好ましくは200以上、より好ましくは250以上、より好ましくは300以上、より好ましくは350以上、より好ましくは400以上、より好ましくは450以上、より好ましくは500以上、より好ましくは550以上、より好ましくは600以上、より好ましくは650以上、最も好ましくは700以上の、アロマターゼを超えるアルドステロンシンターゼに対する選択性を有し、該選択性は、アロマターゼおよびアルドステロンシンターゼの阻害のIC50値の比率によって決定され、アルドステロンシンターゼおよびアロマターゼの阻害のIC50値は両方とも、実施例5に記載のNCI-H295R副腎細胞アッセイにおいて、好ましくは同時に測定される。より好ましい実施形態では、本発明による該化合物は、50以上、好ましくは100以上、最も好ましくは700以上の、アロマターゼを超えるアルドステロンシンターゼに対する選択性を有し、該選択性は、アロマターゼおよびアルドステロンシンターゼの阻害のIC50値の比率によって決定され、アルドステロンシンターゼおよびアロマターゼの阻害のIC50値は両方とも、実施例5に記載のNCI-H295R副腎細胞アッセイにおいて、好ましくは同時に測定され、さらに好ましくは、該化合物は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩である。
【0113】
さらに非常に好ましい実施形態では、本発明による化合物は、97%以上、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上、およびさらにより好ましくは99.5%以上、さらにより好ましくは99.8%以上、さらにより好ましくは99.9%以上の(R)形態のeeを有する、ヒトにおける疾患または障害を治療する方法で使用するための、結晶性(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩、好ましくは無水結晶性(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩であり、該疾患または障害は、原発性アルドステロン症、続発性アルドステロン症、心不全、慢性腎不全、高血圧症、再狭窄、肥満症、腎障害、心筋梗塞後、腎線維症、冠動脈心疾患、ナトリウム貯留、水分貯留、低カリウム血症、低マグネシウム血症、高血圧症、左室肥大および心筋線維症、心血管損傷、血漿レニンの抑制、腎線維症、不整脈、腎障害、浮腫、および低カリウム血症による筋力低下、心細動、ならびに心筋収縮の衰弱から選択され、好ましくは該疾患または障害は、原発性または続発性アルドステロン症であり、好ましくは該ヒトは、妊娠可能な女性または小児患者であり、該(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩は、実施例5に記載の無細胞ヒト組換えアロマターゼ酵素アッセイにおいて、700nM以上、好ましくは750nM以上、より好ましくは800nM以上、より好ましくは850nM以上、より好ましくは900nM以上、より好ましくは950nM以上、より好ましくは1000nM以上、より好ましくは1050nM以上、より好ましくは1100nM以上、より好ましくは1150nM以上、より好ましくは1200nM以上、より好ましくは1250nM以上、より好ましくは1300nM以上、より好ましくは1350nM以上、より好ましくは1400nM以上、より好ましくは1450nM以上、より好ましくは1500nM以上、より好ましくは1550nM以上、最も好ましくは少なくとも1600nM、例えば、1610nMもしくは1620nMもしくは1630nMもしくは1640nM、または少なくとも1650nMのIC50で、アロマターゼ活性を阻害する。
【0114】
さらに非常に好ましい実施形態では、本発明による化合物は、97%以上、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上、およびさらにより好ましくは99.5%以上、さらにより好ましくは99.8%以上、さらにより好ましくは99.9%以上の(R)形態のeeを有する、ヒトにおける疾患または障害を治療する方法で使用するための、結晶性(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩、好ましくは無水結晶性(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩であり、該疾患または障害は、原発性アルドステロン症、続発性アルドステロン症、心不全、慢性腎不全、高血圧症、再狭窄、肥満症、腎障害、心筋梗塞後、腎線維症、冠動脈心疾患、ナトリウム貯留、水分貯留、低カリウム血症、低マグネシウム血症、高血圧症、左室肥大および心筋線維症、心血管損傷、血漿レニンの抑制、腎線維症、不整脈、腎障害、浮腫、および低カリウム血症による筋力低下、心細動、ならびに心筋収縮の衰弱から選択され、好ましくは該疾患または障害は、原発性または続発性アルドステロン症であり、好ましくは該ヒトは、妊娠可能な女性または小児患者であり、本発明による該化合物は、50以上、好ましくは100以上、最も好ましくは700以上の、アロマターゼを超えるアルドステロンシンターゼに対する選択性を有し、該選択性は、アロマターゼおよびアルドステロンシンターゼの阻害のIC50値の比率によって決定され、アルドステロンシンターゼおよびアロマターゼの阻害のIC50値は両方とも、実施例5に記載のNCI-H295R副腎細胞アッセイにおいて、好ましくは同時に測定される。
【0115】
さらに非常に好ましい実施形態では、本発明による化合物は、97%以上、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上、およびさらにより好ましくは99.5%以上、さらにより好ましくは99.8%以上、さらにより好ましくは99.9%以上の(R)形態のeeを有する、ヒトにおける疾患または障害を治療する方法で使用するための、結晶性(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩、好ましくは無水結晶性(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩であり、該疾患または障害は、原発性および原発性アルドステロン症、続発性アルドステロン症、心不全、慢性腎不全、高血圧症、再狭窄、肥満症、腎障害、心筋梗塞後、腎線維症、冠動脈心疾患、ナトリウム貯留、水分貯留、低カリウム血症、低マグネシウム血症、高血圧症、左室肥大および心筋線維症、心血管損傷、血漿レニンの抑制、腎線維症、不整脈、腎障害、浮腫、および低カリウム血症による筋力低下、心細動、ならびに心筋収縮の衰弱から選択され、好ましくは該疾患または障害は、原発性または続発性アルドステロン症であり、好ましくは該ヒトは、妊娠可能な女性または小児患者であり、本発明による該化合物は、実施例5に記載のNCI-H295R副腎細胞アッセイにおいて、100nM以下、好ましくは50nM以下、およびより好ましくは10nM以下のIC50で、アルドステロンシンターゼを阻害する。
【0116】
好ましい実施形態では、本発明による使用のための該組成物は、1mg~16mg、好ましくは2mg~16mg、より好ましくは4mg~16mg、さらにより好ましくは8mg~16mg、さらにより好ましくは12mg~16mgの1日1回投薬量で投与され、該疾患または障害は、原発性および続発性アルドステロン症ならびに高血圧症からなる群から選択され、好ましくは該1日1回用量は、ヒトに経口投与され、本発明による該化合物は、実施例5に記載のNCI-H295R副腎細胞アッセイにおいて、100nM以下、好ましくは50nM以下、およびより好ましくは10nM以下のIC50で、アルドステロンシンターゼを阻害する。
【0117】
さらなる態様では、本発明は、固定単位剤形の本発明の該化合物の1日投薬量を含む薬学的組成物であって、本発明の該化合物が、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンまたはその薬学的に許容される塩であり、該化合物が、97%以上、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上、およびさらにより好ましくは99.5%以上、さらにより好ましくは99.8%以上、さらにより好ましくは99.9%以上の(R)形態のeeを有する、薬学的組成物を提供する。したがって、有効成分である本発明の化合物の該1日1回投薬量は、単回固定単位剤形で薬学的組成物中に存在する。
【0118】
好ましくは、本発明の該薬学的組成物は、1日固定単位剤形である。該1日固定単位剤形は、固定1日用量の量の本発明の化合物を含む。
【0119】
好ましい実施形態では、本発明による該化合物は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジン塩酸塩、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩、および(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジン水素リン酸塩からなる群から選択される。
【0120】
好ましい実施形態では、本発明による該化合物は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジンの薬学的に許容される塩である。好ましい実施形態では、本発明による該化合物は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジン塩酸塩、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩、および(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジン水素リン酸塩からなる群から選択される。
【0121】
別の好ましい実施形態では、該薬学的に許容される塩は、結晶性である。別の好ましい実施形態では、該薬学的に許容される塩は、無水である。別の好ましい実施形態では、該薬学的に許容される塩は、非吸湿性である。別の好ましい実施形態では、該薬学的に許容される塩は、非吸湿性かつ無水である。別の好ましい実施形態では、該薬学的に許容される塩は、非吸湿性かつ結晶性である。別の好ましい実施形態では、該薬学的に許容される塩は、非吸湿性、無水、かつ結晶性である。
【0122】
非常に好ましい実施形態では、本発明による該化合物は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジンのリン酸塩、より好ましくは、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジンのリン酸二水素塩である。別の好ましい実施形態では、該化合物は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジンのリン酸二水素塩であり、該化合物は、99%以上の(R)形態のeeを有する。別の好ましい実施形態では、該化合物は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジンのリン酸二水素塩であり、該化合物は、99.9%以上の(R)形態のeeを有する。
【0123】
したがって、非常に好ましい実施形態では、該化合物は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩である。
【0124】
別の好ましい実施形態では、該化合物は、結晶性(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩である。別の好ましい実施形態では、該化合物は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩の結晶形態Iである、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩であり、該結晶形態Iは、CuKα放射線を使用して測定して、次の2θ値:19.504、21.919、および24.159を含むX線粉末回折パターンを有し、各ピークは、±0.5度だけ、または好ましくは±0.2度だけ変動し得る。
【0125】
一実施形態では、該薬学的組成物は、経口投与用に製剤化される。該経口製剤は、好ましくは固体である。より好ましくは、該経口製剤は、錠剤、ピル、分散性顆粒、カシェ、カプセル、粉末、トローチ、坐剤、および停留浣腸からなる群から選択される。
【0126】
一実施形態では、該薬学的組成物は、経口単位剤形である。さらなる実施形態では、該薬学的組成物は、経口固形単位剤形、例えば、錠剤およびカプセルなどである。
【0127】
好ましい実施形態では、該薬学的組成物は、1mg以上の1日投薬量の本発明の化合物を含む。別の好ましい実施形態では、該薬学的組成物は、1mg~16mg、より好ましくは2mg~16mg、さらにより好ましくは4mg~16mg、さらにより好ましくは8mg~16mg、さらにより好ましくは12mg~16mgの1日投薬量の本発明の化合物を含む。特定の好ましい実施形態では、該薬学的組成物は、1mg~16mgの本発明の該化合物の1日投薬量の本発明の化合物を含む。別のさらに好ましい実施形態では、該薬学的組成物は、1、2、4、8、12、または16mgの1日投薬量の本発明の化合物を含む。
【0128】
好ましい実施形態では、該薬学的組成物は、経口投与用に製剤化され、1mg以上の本発明の該化合物の1日投薬量の本発明の化合物を含む。特定の好ましい実施形態では、該薬学的組成物は、経口投与用に製剤化され、1mg~16mgの1日投薬量の本発明の化合物を含む。
【0129】
さらなる態様では、本発明は、(i)本発明による薬学的組成物、または(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンである化合物もしくはその薬学的に許容される塩と、(ii)該薬学的組成物または該化合物を1日1回投与するための説明書と、を含む、組み合わせを提供し、該化合物は、97%以上、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上、およびさらにより好ましくは99.5%以上、さらにより好ましくは99.8%以上、さらにより好ましくは99.9%以上の(R)形態のeeを有する。
【0130】
好ましい実施形態では、本発明による該化合物は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジン塩酸塩、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩、および(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジン水素リン酸塩からなる群から選択される。
【0131】
好ましい実施形態では、本発明による該化合物は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジンの薬学的に許容される塩である。好ましい実施形態では、本発明による該化合物は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジン塩酸塩、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩、および(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジン水素リン酸塩からなる群から選択される。
【0132】
別の好ましい実施形態では、本発明による該化合物は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジンのリン酸塩、より好ましくは、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジンのリン酸二水素塩である。
【0133】
より好ましくは、本発明の該薬学的組成物は、固定単位剤形の本発明の化合物の1日投薬量を含む。より好ましくは、本発明の該薬学的組成物は、1日固定単位剤形である。
【0134】
さらなる態様では、本発明は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンである化合物またはその薬学的に許容される塩を調製するためのプロセスであって、非常に好ましくは該薬学的に許容される塩が、そのリン酸塩、さらに好ましくは(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩である、プロセスを提供する。本発明のプロセスは、(i)ラセミ5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンを(-)-O,O’-アシル化L-酒石酸、特に(-)-O,O’-ジベンゾイル-L-酒石酸と反応させて、ジアステレオ異性(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンジベンゾイル-L-酒石酸塩を形成するステップと、(ii)ステップiで得られた酒石酸塩を少なくとも1回再結晶化するステップと、(iii)ステップiiで得られた該酒石酸塩の溶液に塩基を添加することによって、遊離塩基(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンを遊離させるステップと、任意で(iv)該遊離塩基を、酸、好ましくはリン酸(H3PO4)と反応させることによって、薬学的に許容される塩を形成するステップと、を含む。一実施形態では、該(i)ラセミ5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンを(-)-O,O’-アシル化L-酒石酸、特に(-)-O,O’-ジベンゾイル-L-酒石酸と反応させて、ジアステレオ異性(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンジベンゾイル-L-酒石酸塩を形成するステップは、アルコール溶液中、好ましくはエタノール溶液中で、約50℃未満、好ましくは約45℃未満、およびさらに好ましくは約40℃未満の温度でもたらされる。一実施形態では、該(ii)ステップ(i)で得られた酒石酸塩を少なくとも1回再結晶化するステップは、アルコール水溶液、好ましくはエタノール水溶液中でもたらされ、好ましくは水:エタノールの比率は、約2.4:約10である。
【0135】
一実施形態では、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンである化合物またはその薬学的に許容される塩を調製するための本発明のプロセスは、キラル分取HPLCによる5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジン(ファドロゾール)のキラル分割のステップを含まず、本発明の(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンである化合物またはその薬学的に許容される塩を調製するための該プロセスは、キラルHPLCによる5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジン(ファドロゾール)ののキラル分割のステップを含まない。キラルHPLCによるキラル分割のそのようなステップは、典型的には(i)低容量カラムでの反復キラルHPLC、または(ii)高容量カラムでの分取HPLCを含み得る。
【0136】
好ましい実施形態では、本発明のプロセスは、97%以上、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上、およびさらにより好ましくは99.5%以上、さらにより好ましくはより高いまたは99.8%以上、さらにより好ましくは以上、さらにより好ましくは以上、さらにより好ましくは99.9%以上の(R)形態のeeを有する、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンおよびその薬学的に許容される塩、特にそのリン酸塩、さらに好ましくは(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩を生じる。
【0137】
さらに好ましい実施形態では、本発明のプロセスは、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンおよびその薬学的に許容される塩、特にそのリン酸塩、さらに好ましくは(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩を生じ、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンおよびその薬学的に許容される塩は、実施例5に記載の無細胞ヒト組換えアロマターゼ酵素アッセイにおいて、700nM以上、好ましくは750nM以上、より好ましくは800nM以上、より好ましくは850nM以上、より好ましくは900nM以上、より好ましくは950nM以上、より好ましくは1000nM以上、より好ましくは1050nM以上、より好ましくは1100nM以上、より好ましくは1150nM以上、より好ましくは1200nM以上、より好ましくは1250nM以上、より好ましくは1300nM以上、より好ましくは1350nM以上、より好ましくは1400nM以上、より好ましくは1450nM以上、より好ましくは1500nM以上、より好ましくは1550nM以上、最も好ましくは少なくとも1600nM、例えば、1610nMまたは1620nMまたは1630nMまたは1640nMまたは少なくとも1650nM以上のIC50で、アロマターゼ活性を阻害する。
【0138】
したがって、本発明のプロセスは、結晶化を利用して、薬学的商業使用のための例外的に高いキラル純度の、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンおよびその薬学的に許容される塩、ならびに非常に好ましくはそのリン酸塩、ならびにさらにより(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩を得る。商業規模では、結晶化は、より大きなバッチ調製、より安価な装置および設備を可能にし、専門知識を必要としないことによって、クロマトグラフィー分割よりも経済的であり、はるかに有利である。
【0139】
本発明のさらに好ましい態様および実施形態は次の通りである。
1.疾患または障害の治療における使用のための組成物であって、該疾患または障害が、好ましくは原発性アルドステロン症または続発性アルドステロン症、さらに好ましくは原発性アルドステロン症であり、該組成物が、それを必要とする対象に1日1回投与され、該組成物が、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンである化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、該化合物が、97%以上の(R)形態の鏡像体過剰率(ee)を有する、使用のための組成物。
【0140】
2.疾患または障害の治療における使用のための組成物であって、該疾患または障害が、アルドステロンの過剰曝露が該疾患または障害の症状に寄与する疾患または障害であり、該組成物が、それを必要とする対象に1日1回投与され、該組成物が、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンである化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、該化合物が、97%以上の(R)形態の鏡像体過剰率(ee)を有する、使用のための組成物。
【0141】
3.疾患または障害の治療における使用のための組成物であって、該疾患または障害が、原発性アルドステロン症、続発性アルドステロン症、心不全、慢性腎不全、高血圧症、再狭窄、肥満症、腎障害、心筋梗塞後、腎線維症、冠動脈心疾患、ナトリウム貯留、水分貯留、低カリウム血症、低マグネシウム血症、高血圧症、左室肥大および心筋線維症、心血管損傷、血漿レニンの抑制、腎線維症、不整脈、腎障害、浮腫、および低カリウム血症による筋力低下、心細動、ならびに心筋収縮の衰弱から選択され、好ましくは該疾患または障害が、原発性アルドステロン症または続発性アルドステロン症であり、さらにより好ましくは該疾患または障害が、原発性アルドステロン症であり、該組成物が、それを必要とする対象に1日1回投与され、該組成物が、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンである化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、該化合物が、97%以上の(R)形態の鏡像体過剰率(ee)を有する、使用のための組成物。
【0142】
4.該化合物が、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジン塩酸塩、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩、および(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジン水素リン酸塩からなる群から選択される、実施形態1~3のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【0143】
5.該化合物が、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩である、実施形態1~4のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【0144】
6.該薬学的に許容される塩が、結晶性である、実施形態1~5のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【0145】
7.該薬学的に許容される塩が、無水である、実施形態1~6のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【0146】
8.該薬学的に許容される塩が、非吸湿性である、実施形態1~7のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【0147】
9.該(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩が、184℃~193℃と等しいか、またはその間にある融点を有し、好ましくは該(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩が、熱重量分析/示差走査熱量測定(TGA/DSC)によって決定して、188℃~190℃と等しいか、またはその間にある融点を有する、実施形態5~8のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【0148】
10.該(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩が、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩の結晶形態Iであり、該結晶形態Iが、CuKα放射線を使用して測定して、次の2θ値:19.504、21.919、および24.159を含むX線粉末回折パターンを有し、各ピークが、±0.5度だけ、または好ましくは±0.2度だけ変動し得る、実施形態5~9のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【0149】
11.該化合物が、無細胞ヒト組換えアロマターゼ酵素アッセイにおいて、700nM以上、好ましくは1000nM以上、およびより好ましくは1500nM以上のIC50で、アロマターゼ活性を阻害する、実施形態1~10のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【0150】
12.該化合物が、NCI-H295R副腎細胞アッセイにおいて、100nM以下、好ましくは50nM以下、およびより好ましくは10nM以下のIC50で、アルドステロンシンターゼを阻害する、実施形態1~11のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0151】
13.該化合物が、50以上、好ましくは100以上、最も好ましくは700以上の、アロマターゼを超えるアルドステロンシンターゼに対する選択性を有し、該選択性が、アロマターゼおよびアルドステロンシンターゼの阻害のIC50値の比率によって決定され、アルドステロンシンターゼおよびアロマターゼの阻害のIC50値が両方とも、NCI-H295R副腎細胞アッセイにおいて測定される、実施形態1~12のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0152】
14.好ましくは質量分析(LC-MS/MS)によって測定して、該化合物の排出半減期(T1/2)が、8時間超であり、好ましくは該化合物の排出半減期(T1/2)が、8時間~11時間であり、さらに好ましくは該化合物の排出半減期(T1/2)が、約8時間~約10時間である、実施形態1~13のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0153】
15.該化合物のCmaxが、好ましくは質量分析(LC-MS/MS)によって測定して、約5ng/ml~約90ng/ml、好ましくは約10ng/ml~約80ng/ml、さらに好ましくは約14ng/ml~約77ng/mlである、実施形態1~14のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0154】
16.該対象が、ヒトである、実施形態1~15のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0155】
17.該対象が、妊娠可能な女性または小児患者である、実施形態1~16のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0156】
18.アルドステロンの過剰曝露が、該疾患または障害の症状に寄与する疾患または障害の治療における、実施形態1~17のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0157】
19.該疾患または障害が、原発性アルドステロン症、続発性アルドステロン症、心不全、慢性腎不全、高血圧症、再狭窄、肥満症、腎障害、心筋梗塞後、腎線維症、冠動脈心疾患、ナトリウム貯留、水分貯留、低カリウム血症、低マグネシウム血症、高血圧症、左室肥大および心筋線維症、心血管損傷、血漿レニンの抑制、腎線維症、不整脈、腎障害、浮腫、ならびに低カリウム血症による筋力低下、心細動、および心筋収縮の衰弱から選択され、好ましくは該疾患または障害が、原発性アルドステロン症または続発性アルドステロン症であり、さらにより好ましくは該疾患または障害が、原発性アルドステロン症である、実施形態1~18のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0158】
20.該組成物が、経口投与される、実施形態1~19のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0159】
21.該組成物が、好ましくは経口投与を介して、1mg以上の本発明の該化合物の投薬量で1日1回投与される、実施形態1~20のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0160】
22.該組成物が、1mg~16mg、好ましくは2mg~16mg、より好ましくは4mg~16mg、さらにより好ましくは8mg~16mg、さらにより好ましくは12mg~16mgの該化合物の用量で1日1回投与される、実施形態1~21のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0161】
23.該疾患または障害が、好ましくは原発性アルドステロン症、さらに好ましくはヒトにおける原発性アルドステロン症であり、該治療が、そのような治療がもたらされない場合と比較して、血漿中のアルドステロンのレベルを減少させる、実施形態1~22のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0162】
24.該疾患または障害が、好ましくは原発性アルドステロン症、さらに好ましくはヒトにおける原発性アルドステロン症であり、該治療が、そのような治療がもたらされない場合と比較して、該1日1回の投与後に、少なくとも18時間、好ましくは約24時間の期間にわたって、血漿中のアルドステロンのレベルを少なくとも20%だけ、好ましくは25%だけ、さらにより好ましくは少なくとも30%だけ減少させる、実施形態1~23のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0163】
25.該疾患または障害が、好ましくは原発性アルドステロン症、さらに好ましくはヒトにおける原発性アルドステロン症であり、該治療が、治療前の値と比較して、該1日1回の投与後に、少なくとも18時間、好ましくは24時間の期間にわたって、血漿中のアルドステロンのレベルを少なくとも約20%だけ、好ましくは少なくとも約25%だけ、より好ましくは少なくとも約30%だけ、さらにより好ましくは少なくとも約50%だけ減少させる、実施形態1~24のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0164】
26.固定単位剤形の化合物の1日投薬量を含む薬学的組成物であって、該化合物が、化合物が、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンまたはその薬学的に許容される塩であり、該化合物が、97%以上の(R)形態のeeを有し、好ましくは該化合物が、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩である、薬学的組成物。
【0165】
27.経口投与用に製剤化される、実施形態26に記載の薬学的組成物。
【0166】
28.該1日投薬量が、1mg以上、好ましくは1mg~16mg、さらに好ましくは2mg~16mg、より好ましくは4mg~16mg、さらにより好ましくは8mg~16mg、さらにより好ましくは12mg~16mgである、実施形態26または27に記載の薬学的組成物。
【0167】
29.該1日投薬量が、1mg、2mg、4mg、8mg、12mg、または16mgであり、好ましくは該1日投薬量が、4mg、8mg、12mg、または16mgである、実施形態26または27に記載の薬学的組成物。
【0168】
30.該薬学的組成物が、錠剤、ピル、分散性顆粒、カシェ、カプセル、粉末、トローチ、坐剤、または保停留浣腸の形態であり、好ましくは該薬学的組成物が、錠剤の形態である、実施形態26~29のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【0169】
31.組み合わせであって、
(i)実施形態26~30に記載の薬学的組成物、または
(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンである化合物もしくはその薬学的に許容される塩であって、該化合物が、97%以上、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上、およびさらにより好ましくは99.5%以上、さらにより好ましくは99.8%以上、さらにより好ましくは99.9%以上の(R)形態のeeを有し、好ましくは該化合物が、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩である、化合物もしくはその薬学的に許容される塩と、
(ii)該薬学的組成物または該化合物を1日1回投与するための説明書とを含む、組み合わせ。
【実施例】
【0170】
装置、材料、および方法
DP13の投与
本明細書に提示されるDP13データは、Covance Clinical Research Unit Ltd.、Leeds,UKによって実施された、健康な男性対象におけるDP13の第I相、二重盲検、プラセボ対照、単回および複数回の漸増用量、安全性、忍容性、薬力学、および薬物動態研究で収集した。
【0171】
研究の単回用量部分では、個体は、1日目の08:00時に、1、2、4、8、12、または16mgのDP13を受けた。各用量で治療した6人の対象、およびプラセボで治療した12人の対象がいた(2人のプラセボで治療した対象は、各用量群に含まれる)。研究の複数回用量部分では、32人の個体を、DP13の用量あたり8人の対象を有する3つの群で研究し、残りの8人の対象はプラセボを受けた。対象は、4、8、または16mgのDP13またはプラセボのいずれかの1日経口用量を、08:00時に絶食状態で8日間毎日受けた。
【0172】
研究の複数回用量部分および単回用量部分の両方では、参加者は、DP13またはプラセボのいずれかを用いた第1の経口治療の5日前からナトリウム/カリウム食に従うことが必要とされた。食事は、70~80mEq/日のナトリウムおよび80~90mEq/日のカリウムからなった。アルドステロン、11β-デオキシコルチコステロン(DOC)、およびカリウム(K+)の測定のために、添付の表に示される時点で、血液試料を毎日得た。血液試料の全ては、対象が安静状態で座っている間に得た。
【0173】
ストレス試験のために、研究の単回用量相の1日目、または研究の複数回用量相の7日目に、ACTH(シナクテン)ストレス試験を次のように開始した。1日目または7日目のDP13またはプラセボの1日用量の1時間半後に、血液試料を採取し(Synactenに対する応答のベースライン)、30分後に、Synactenの静脈内用量(250μg)を投与した。Synactenの60分後に、血液試料を得た。Clinical Chemistry Unit at the University Hospital Inselspital Bern,Bern Switzerlandによって、アルドステロンおよび11β-デオキシコルチコステロン(DOC)について、試料を分析した。アルドステロンは、DiaSorin S.p.A.Italyによって供給されるLiaison(登録商標)化学発光イムノアッセイキットを使用して測定した。このアッセイシステムは、アルドステロンに対するモノクローナル抗体を使用しているため、血清試料中の他の主要な潜在的反応物との交差反応はない。アッセイは、製造業者によって提供される説明書に従って実行した。このアッセイは、0.97~100ng/mlの広い測定範囲を有し、アルドステロンを評価して、PAの治療を診断および評価するために設計された。分析感度は、0.97ng/ml未満であった。
【0174】
DOCは、LC-MS/MS方法論によって定量化した。調製において、ステロイドを、Biocrates Life Sciences AG,Innsbruck,AustriaのAbsolute/DQStereo17キットを使用して抽出した。ステロイドを抽出し、製造業者の説明書に従ってLC-MS/MS分析に供した。三連四重極型質量分析計(Waters1-Class2D UPLC Xevo TQ-S)を、キットに含まれている標準物を使用して較正した。アッセイを、製造業者によって提供されるように実行した。
【0175】
血清コルチゾール、エストラジオール、テストステロン、および卵胞刺激ホルモン(FSH)を、ADVIA Centaur(登録商標)CPシステム(Siemens AG)を用いて、Covanceの診断ユニット(Harrogate,UK)によって測定した。ADVIA Centaur(登録商標)CPコルチゾールアッセイは、検出に化学発光技術を使用する競合二重抗体固相イムノアッセイであり、0.20μg/dLの分析感度を有する。ADVIA Centaur増強エストラジオールアッセイは、完全に自動化されたモノクローナル競合化学発光イムノアッセイであり、10pg/mlの感度を有する。ADVIA Centaur(登録商標)CP FSHアッセイは、直接化学発光技術を使用する2部位サンドイッチイムノアッセイであり、これは、インタクトなFSH分子に対する特異性を有する2つの抗体を使用する。ADVIA Centaur(登録商標)CPテストステロンアッセイは、直接化学発光技術を使用する競合固相イムノアッセイである。上記のアッセイの全ては、製造業者によって記載のように実施した。
【0176】
両側の対応のあるスチューデントt検定を使用して、ホルモン応答の統計的評価を実行して、治療群内のデータを評価し、治療群間のデータは、両側のt検定の等分散モデルを利用した。
【0177】
薬物動態研究
上記、特に実施例3に言及した薬物動態研究およびデータについて、投与の1日前および投与の0.5、1、1.5、2、3、4、6、8、12、および16時間後、ならびに投与の2~7日前および8日目の投与の0.5、1、1.5、2、3、4、6、8、12、16、および24時間後に、血液試料を得た。DP13は、Covance Clinical Pharmacokinetic Unitによって開発された手順によって次のように測定した。血液試料をK2EDTAに収集し、遠心分離し、血漿を-80℃で保管した。試料は、次のように、液体/液体抽出による分析のために調製した。50μLのアリコートを、25μLのメタノール:水(50:50)で抽出し、混合し、続いて250μLの酢酸アンモニウム100mM:水酸化アンモニウム(95:5)を添加し、溶液を混合した。次に、750μLの酢酸エチルを添加し、吸引によって混合し、約2500×gで5分間遠心分離した。400μLの有機層を収集し、40℃、窒素下で蒸発させた。乾燥した試料を、200μLの酢酸アンモニア10mM:メタノール:水酸化アンモニウム(70:30:0.35)中で再構成し、室温、2000×gで5分間遠心分離した。次に、抽出した試料を、Gemini3μm NX-C18、5×2mmカラムを有するWaters、Acquity、UPLCを使用する液体クロマトグラフィーに供した。酢酸アンモニウム10mM:水酸化アンモニウム(100:0.5)からなる移動相Aおよびメタノールからなる移動相Bを使用して、注入体積8μLを分析した。次に、精製した試料を、質量分析(LC-MS/MS)によって分析した。99.87の純度(HPLC)および99.5以上の鏡像体純度を有するDP13の対照精製試料標準物は、Alcami Corporation、The Netherlandsによって提供された。有効較正範囲は、0.2~200ng/mlであった。
【0178】
比旋光度[α]D
比旋光度[α]Dの測定は、標準的なPerkin Elmer Polarimeter343の589.3nmでのナトリウムD線を使用して、溶液中で実行した。測定のために、1グラムの(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジン-二水素-リン酸塩を、100mlのそれぞれの溶媒中に溶解し、この溶液を、1デシメートルの長さの光学キュベットに移した。測定はそれぞれ、20℃または25℃の温度で行った。比旋光度[α]Dを、式100×α/(lxc)(式中、α=観察される旋光度(度)であり、l=セルパスの長さ(デシメートル)であり、c=100mlあたりのグラムでの濃度である)によって計算する。
【0179】
元素分析
元素分析は、標準的な装置(例えば、vario ELキューブ元素分析機)で実行し、炭素、水素、および窒素の値を決定した。
【0180】
キラルHPLC
キラルHPLCは、Agilent1100シリーズLC22機器で、次のカラム仕様および条件で実行した。
カラム:Chiralpack AD-H、粒度分析:5μm、250×4.6mm、n°ADH0CE-TF087
移動相:エタノール+0.1%のジエチルアミン(DEA)
検出器の波長:230nm
オーブン温度:25℃
流量:0.5mL/分
注入体積:5μL
試料調製:エタノール中0.5mg/mL+0.1%のDEA
【0181】
XRPD
X線粉末回折研究は、Bragg-Brentano構成のBruker AXS D2PHASERを使用して実行した。30kV、10mAでCuアノードを使用、試料ステージ標準回転、Kβフィルター(0.5%のNi)による単色化。スリット:固定発散スリット1.0mm(=0.61°)、一次軸ソーラスリット2.5°、二次軸ソーラスリット2.5°。検出器:受信スリット5°検出器開口部を有する線形検出器LYNXEYE。標準的な試料ホルダー((510)シリコンウェーハ内の0.1mmの空洞)は、バックグラウンド信号に対する最小限の寄与を有した。測定条件:走査範囲5~45°2シータ、試料回転5rpm、0.5秒/ステップ、0.010°/ステップ、3.0mmの検出器スリット、全ての測定条件を機器調節ファイルに記録した。システムの適合性として、コランダム試料A26-826-S(NIST標準)を毎日測定した。
【0182】
データ収集に使用したソフトウェアは、Diffrac Commander v2.0.26であった。データ分析は、Diffrac.Eva v1.4を使用して行った。パターンには、バックグラウンド補正またはスムージングは適用しなかった。
【0183】
単結晶X線分析
(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン-二水素-リン酸塩の単結晶を、n-プロパノール/水混合物を溶媒として使用して成長させた。好適な単結晶を母液から取り出し、直ちに高粘度油でコーティングし、サイズに切断してMitagen Microloopにマウントし、150Kに衝撃凍結した。φスキャンおよびωスキャンを使用して、Bruker D8Quest機器でMoKα放射線を用いて測定を実行した。その後、直接法(SHELXTソフトウェア)によって分子構造を解析した。全ての非水素原子を、異方性温度因子で精製した。完成したモデルにBijovoet分析を実行して、絶対配置を決定した。
【0184】
TGA/DSC
熱重量分析および示差走査熱量測定(TGA/DSC)研究は、34位置のオートサンプラーを有するMettler Toledo TGA/DSC1STAReシステムを使用して実行した。AIるつぼ(40μL、穿孔)を使用して、試料を作製した。典型的には、5~10mgの試料を事前に計量したAlるつぼに充填し、30℃で5分間保持した後、それを10℃/分で30℃から350℃に加熱した。試料全体にわたって、40ml/分の窒素パージを維持した。データの収集および評価に使用したソフトウェアは、STAReソフトウェアv12.10ビルド5937であった。温度記録には、補正は適用しなかった。
【0185】
DSC
DSC研究は、Mettler Toledo DSC1STAReシステムを使用して実行した。Alるつぼ(40μL、穿孔)を使用して、試料を作製した。典型的には、1~8mgの試料を事前に計量したAlるつぼに充填し、30℃で5分間保持した後、それを10℃/分で30℃から350℃に加熱し、350℃で1分間保持した。試料全体にわたって、40ml/分の窒素パージを維持した。システムの適合性確認として、インジウムおよび亜鉛を参照として使用した。データの収集および評価に使用したソフトウェアは、STAReソフトウェアv12.10ビルド5937であった。温度記録には、補正は適用しなかった。
【0186】
DVS
動的蒸気収着(DVS)研究は、Surface Measurement Systems Ltd.DVS-1No Videoを使用して実行した。試料を天秤皿(典型的には20~30mg)に充填し、0%のRHで平衡化した。材料が乾燥した後、RHを、増分あたり1時間かけて、ステップあたり10%で増加させ、95%のRHで終了した。収着サイクルの完了後、同じ方法を使用して試料を乾燥させた。データ収集に使用したソフトウェアは、DVSWin v3.01No Videoであった。DVS Standard Analysis Suite v6.3.0(標準)を使用して、データ分析を実行した。
【0187】
溶解度
溶解度は、振盪フラスコ法を使用して決定し、溶解度は、20℃で目視によって決定した。列挙される溶媒を、完全な溶解が得られるか、または0.05mg/ml未満の溶解度に達するまで、添加の間に15分間あけて、10mgの化合物に段階的に添加した。
【0188】
ハイスループット実験
ハイスループット実験は、冷却結晶化実験の温度調節用のJulabo FPSOを備えた結晶化構成のFreeslate Core Module2を使用して、ウェルプレート形式で実行した。
【0189】
固体分注システム
固体は、Sartorius天秤を有する古典的およびSVホッパー構成のFreeslate Core Module Protege固体分注システムを使用して分注した。使用したホッパーは、8mmのバルブサイズおよび4~3mmの漏斗サイズを有する25mlの古典的ホッパー、8mmのバルブサイズおよび4~3mmの漏斗サイズを有する10mlの古典的ホッパー、ならびに標準的な4mlのガラスバイアルを有するSVホッパーであった。
【0190】
ラセミ5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジン
表題化合物(ファドロゾール)は、例えば、L.J.Browneら(J.Med.Chem.1991,34,725.)によって記載の手順に従って調製しても、Sigma-Aldrichなどの商業供給業者によって得てもよい。
【0191】
実施例1
DP13の1日1回投与
DP13は、本明細書では、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンの二水素リン酸塩を指して略記される。(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンの二水素リン酸塩の合成は、本明細書の実施例6および7に記載されている。参照により本明細書に組み込まれる、本出願人の出願PCT/EP2017/077511をさらに参照する。
【0192】
我々は、1日1回4、8、および16mgの経口用量で投与したDP13が、治療前の値およびプラセボで治療した対照の値と比較して、正常な男性における血漿アルドステロンレベルを効果的に抑制することを発見した(表1)。1日1回4、8、および16mgの経口用量(8人の対象/用量)でのDP13に対する24人の正常な個体の応答を評価し、それらの血漿アルドステロン応答およびカリウム応答を互いに対して、および8人のプラセボで治療した個体に対して比較した。アルドステロン濃度を測定した全ての時点で、8および16mgの用量は、治療前の値およびプラセボ対照の値の両方と比較して、濃度を有意に抑制した。8日目のDP13の最後の用量の24時間後、8および16mgの用量は、治療前の値と比較して、血漿アルドステロンをそれぞれ32%および50%だけ抑制した。
【0193】
これらのデータは、DP13を用いた1日1回の投薬が、正常に機能するレニン-アンギオテンシン-アルドステロンフィードバックシステムを有する正常な個体における血漿アルドステロンレベルを効果的に抑制することができることを実証する。
【0194】
4mg/日のDP13の経口用量は、最後の8回の1日用量から24時間後の9日目に、血漿アルドステロンレベルをプラセボ対照のレベル未満に低下させることができなかった。この失敗は、用量の8日前(0800時)に明らかな血漿カリウムレベルの有意な増加に起因する(表2)。血漿カリウムは、8日目までのより初期の時点でのアルドステロンの低減から生じる腎尿細管によるカリウムのナトリウムへの交換の減少に応答して増加し、循環カリウムの増加は、アルドステロン合成を刺激する。DP13の8mgおよび16mgの2つのより高い用量さえも、循環カリウムの増加が見られる場合、8日目の最終用量から24時間後の9日目でさえ、血漿アルドステロンの抑制を維持するのに十分に強力である(表2)。これらのデータは、所与の1日1回の投与用量でのDP13が、アルドステロン合成の代償的な刺激を発揮することが知られている増加する循環カリウムレベルの存在下でさえ、より長い時間および継続期間にわたってアルドステロンレベルを抑制することができることを示している。
【0195】
実施例2
ACTH投与後のアルドステロンの血漿レベル
1日1回与えられるDP13の用量が、PA患者に見られるように、自律的に分泌されるアルドステロンの上昇を抑制する潜在性を有することを実証するために、上記で評価した同じ32人の正常な個体にACTHを外因的に投与した。ACTHは、08:00時の1日用量のDP13の2時間後の、DP13の7日目に静脈内(i.v.)投与し、アルドステロン測定のための血液試料を、ACTHの1時間後に採取し、ACTHの30分前(DP13投与の1時間半後)に採取した血液試料のそれと比較した。「ACTHストレス試験」と呼ばれるこのプロセスは、1日1回与えられる4、8、または16mgのDP13の経口用量が、プラセボの1日用量のみを受ける個体において、ACTHによって誘発されるアルドステロンの2~3倍の増加を予防することができることを実証した(表3)。ACTHに応答したプラセボ群の血漿アルドステロン濃度は、432~825pmol/Lの範囲であった。これらの値は、PA患者について公開されている範囲である、359~997pmol/Lと同等である(Amar et al.,2010,op.cit.)。
【0196】
この研究の単回用量部分では、1mgほど低い用量でさえ、ACTH刺激アルドステロン応答を阻害した(表4)。
【0197】
実施例3
1日1回の投薬の薬物動態データ
1日1回の投薬は、投薬の1日目および8日目に決定されるDP13の排出半減期を記載する薬物動態データによって支持され、各用量の平均は、4mgの用量で1日目の低い8.47から、16mgの用量で8日目に測定した9.67までの範囲である(表5)。DP13の1および2mg用量のAUC
0-t、C
max、T
max、およびT
1/2を、単回用量の薬物動態研究で決定した(表5)。
【0198】
全ての用量レベルのCmaxおよびAUC0-∞の両方が、用量に比例していた。Tmaxは、薬物が、全ての用量レベルで急速に吸収され、1日目および8日目で同等であることを示している。8日目には、血漿中のDP13の蓄積はほとんどなく、AUC0-tauの幾何平均蓄積率(RAObs)は1.18であった(個々の範囲:1.04~1.31)。
【0199】
実施例4
ACTH刺激に応答したコルチゾール濃度
1日1回の投薬は、アルドステロンシンターゼ阻害剤に関連するため、特定の利点を有する。アルドステロンシンターゼ(CYP11B2)は、CYP11B1の遺伝子を有するコード領域と95%の同一性を共有し、これは、CYP11B1と同様に11β-デオキシコルチコステロン(DOC)をコルチコステロンに変換することができる。これら2つの11-βヒドロキシル化酵素の遺伝暗号の類似性の結果として、アルドステロンシンターゼ(CYP11B2)の阻害に完全に選択的な化合物を特定することはこれまで困難であった。したがって、これまでに特定されたアルドステロンシンターゼ阻害剤は、CYP11B1およびCYP11B2の両方を様々な程度で阻害し、これは、これらの酵素、特にDOCの基質の増加をもたらす。DOCは、アルドステロンと同じ薬理学的活性を共有するミネラルコルチコイドであり、アルドステロンと同様に、ナトリウムおよびカリウムの恒常性を変化させ、その正常の血漿濃度をはるかに超えるレベルで存在する場合に、血圧を上昇させることができる(Baxter et al.,J.Clin.Invest.(1976)58:579)。11β-または17-ヒドロキシラーゼ欠損に続発する高血圧症および低い血漿レニン活性を有する患者は、正常レベルの10倍を超える上昇したDOCレベルを有し、この上昇が、これらの患者が経験する高血圧症に関与しているようである(Brown and Strott,J.Clin.Endocr.(1971)。
【0200】
上記で実証されるように、DP13の半減期は、1日1回の投薬を支持する。したがって、本明細書に提示されるデータによって支持される、そのより少ないDOC産生のために、より大きな有効性を証明する可能性がある(表7)。DP13は、プラセボのレベルおよび治療前のレベルの両方と比較して、全ての用量でDOCレベルを上昇させた(表7)。しかしながら、LCI699とは異なり、DP13の1日1回の投与によって誘発されるDOCの増加は、かなり低かった。1日2回服用した0.5および1.0mgの用量のLCI699は、PA患者における血漿アルドステロンを70~80%だけ減少させたが、DOCを700%以上、9.8ng/mlの平均レベルまで増加させ、個々のレベルは、1.0mgを1日2回用量で8.0~120.4ng/mlの範囲であった(Amar et al.,Hypertension(2010)56:831)。対照的に、DOCの最大平均増加は、LCI699について見られたものよりほぼ20分の1少ない、わずか0.52ng/mlであり、最大の個々の値は、LCI699について見られたものより50分の1超少ない、1.92ng/mlであった。DP13について観察されたDOC濃度は、臨界範囲である5~7ng/mlをはるかに下回っており、有意なミネラルコルチコイド活性を発揮することが予想される(Amar et al.,Hypertension(2010)56:831)。
【0201】
アルドステロンシンターゼ阻害剤によるCYP11B1およびCYP11B2の両方の潜在的な二重阻害のため、CYP11B1の阻害が、ストレスの多い状況の要求を満たすために必要な副腎のコルチゾール分泌応答の欠損をもたらし得るという懸念がある。前述のACTH(Synacten)ストレス試験は、応答の正常性を評価するための標準的な尺度である。コルチゾール濃度を552nmol/L以上の値に上昇させるACTH刺激応答は、全身麻酔および大手術のストレスに対する正常な応答を予測する(Santen et al.,(1989)68:99)。DP13を受ける24人の対象のうち、1人の対象のみがこのレベルを下回るコルチゾール値を有した。彼の値は、552nmol/Lのガイドライン値のすぐ下のACTHに応答して、324から504nmol/Lに増加した。この対象は、最高用量のDP13(16mg/日)を受けていた。
【0202】
実施例5
(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩によるアロマターゼおよびアルドステロンシンターゼ阻害の評価
アルドステロンシンターゼ(CYP11B2)およびアロマターゼ(CYP19)活性のヒトNCI-H295R細胞アッセイ
【0203】
浸潤性原発性副腎皮質がんに由来する連続細胞株であるNCI-H295R細胞は、CLS細胞株サービスGmbH(カタログ番号300483)から得た。NCI-H295R細胞は、アルドステロンおよびエストラジオールの両方を産生するため、同一の条件下でアルドステロンシンターゼ活性およびアロマターゼ活性の測定を可能にする。アッセイに使用する前に、細胞を、5%の無ステロイド血清代替物であるPanexin BMM(PAN Biotech、Aldenbach,Germany、カタログ番号PO4-9515A2)、1%のペニシリン/ストレプトマイシン、1.25%のL-グルタミン、および6.25μg/mlのインスリン、6.25ng/mlのセレン、5.35μg/mlのリノール酸、および1.25mg/mlのウシ血清アルブミンを補充した、15mMのHEPESおよび1.2gのNaHCO3を有するDMEM/Ham培地中に維持した。細胞を、95%の空気/5%のCO2の雰囲気下で37℃に維持した。アッセイのために、細胞を、24ウェルプレート内でウェルあたり5×105個の細胞の密度で継代培養し、50~60%の集密度まで成長させた(48時間)。次に、成長培地を、エタノール/水1:1(v/v)中に溶解した試験化合物を含有する500μlの無血清DMEM:HamのF12と交換して、アッセイの最終濃度が、0.5%のエタノールからなるようにした。6つの濃度を評価し、化合物を有しない対照試料に0.5%のエタノールを補充した。化合物を有する細胞を、95%の空気/5%のCO2下、37℃で6時間インキュベートした。その後、上清を除去し、分析まで-20℃で保管した。上清を除去した後、形態学的変化について位相差顕微鏡検査を利用する光学的評価によって、およびレサズリンの蛍光最終産物レゾルフィンへの変換を測定するレサズリン法によって、細胞を評価して、生存率を保証した。生存不能な細胞は、変換を行うための代謝能力を欠いている。Wallac1420Multiple Counter Victor Fluorometer/Luminator(Perkin Elmer、Wlatham,MA)を使用して、それぞれ544nm/590nm(消光/発光)での蛍光を測定することによって、変換を定量化した。
【0204】
アルドステロンシンターゼ活性の尺度としてのアルドステロン濃度の定量化は、次のようにLC-MSによって達成した。分析の前に、アセトニトリルを使用して、試料タンパク質を沈殿させ、遠心分離後、無粒子上清をLC-MSに供した。HPLCシステムは、Accela U-HPLCポンプおよびAccela Openオートサンプラー(Thermo Fisher Scientific、Waltham,MA)からなった。標準的なXcaliburソフトウェア2.2(Thermo Fisher Scientific、Waltham,MA)を実行しているPCに接続された加熱エレクトロスプレー(H-ESI)インターフェイスを備えたQ-Exactive MS(Orbitrap)を使用して、質量分析を実行した。LCは、0.1%のギ酸(溶媒A)および0.1%の水溶性ギ酸溶媒Bを有するアセトニトリルを使用して、勾配モードで実行した。ポンプ流量は600μl/分に設定し、Kinetex Phenyl-Hexyl2.6μm、C6-フェニルを有する50×2.1mmの分析カラム(Phenomenex、Germany)、定量化用の4×2.0mmのIDプレカラムで分離を実行した。MSチューンファイルとして、一般的なチューンファイルを使用し、内部較正のロックマスとして、溶媒系に存在するフタル酸ジイソオクチル(m/z391.28492)の[M+H]+イオンを使用した。Orbitrap(商標)の質量分解能を35,000に設定して、完全なMS-SIM分析(m/z:250-400)を適用した。試料注入体積は、全ての試料について20μlであった。結果を、ng/mlとして表示し、アルドステロン産生の阻害を、未治療の対照と比較した、すなわちあらゆる阻害剤の非存在下での阻害パーセントとして表した(表8)。以下に示されるように、50%のすぐ上および下にある試験化合物の濃度および対応する阻害パーセンテージを使用する線形補間を使用して、IC
50値を計算した。
IC
50=(50%-低
inh%)/(高
inh%-低
inh%)×(高
conc-低
conc)+低
conc
式中、「inh」は、阻害であり、「conc」は、濃度である。
【0205】
アロマターゼ活性は、以下に示されるはるかに高い濃度の阻害剤を使用して、IC50を得たことを除いて、アルドステロンシンターゼ活性の決定のための、上記のNCI-H295R細胞のインキュベーションからの上清中のエストラジオール濃度の定量化によって測定した。エストラジオール濃度の定量化は、IBL-Hamburg(Hamburg,Germany)の17-ベータ-エストラジオールELISAキットを製造業者の説明書に従って使用して達成した。各参照標準の吸光度(y軸)を対応する対数濃度(x軸)に対してプロットすることによって、検量線を生成した。各試料の吸光度を使用して、GraphPad Prism5.04ソフトウェア(GraphPad Software Inc.、San Diego,CA)を使用して検量線から補間することによって、対応する値を決定した。
【0206】
IC
50は、本明細書では、表9に開示されるアルドステロンシンターゼデータについて上記の式を使用して計算した。
【0207】
無細胞ヒト組換えアロマターゼアッセイ
アロマターゼ(CYP19)活性は、ヒトCYP19アッセイキット(Corning(登録商標)、Corning,NY、製品番号456260)を製造業者の説明書に従って使用して測定した。アッセイシステムは、組換えヒト酵素、蛍光基質MFC(7-メチル-4-トリフルオロ-メチル-クマリン)、ならびにグルコース-6-リン酸塩デヒドロゲナーゼ、NADP
+、およびグルコース-6-ホスパヘート(phospahate)からなるNADPH再生システムを利用した。酵素活性を50%だけ阻害した試験化合物の濃度(IC
50)を決定するために、8つの試験濃度を試験した。試験化合物をエタノール/水1:1(v/v)中に溶解して、アッセイの最終エタノール濃度が1%になるようにした。NADPH再生システムとともに、様々な濃度の試験化合物を96ウェルプレートに添加した。10分間のプレインキュベーション後、予熱した酵素基質混合物の添加によって反応を開始し、37℃でさらに30分間継続させた。次に、80%のアセトニトリルの溶液および20%の0.5MのTris塩基(停止溶液)の添加によって反応を停止させた。バックグラウンド蛍光を調節するために、(試験試料を含有しない)ブランクウェルもアッセイしたが、これらのウェルには、酵素基質混合物を添加する前に停止溶液を添加した。Wallac1420Multiple Counter Victor Fluorometer/Luminator(Perkin Elmer、Wlatham,MA)を使用して、形成された蛍光産物である7-ヒドロキシ-4-トリフルオロ-メチル-クマリン(HFC)を検出した。励起および発光の波長はそれぞれ、405nmおよび535nmであった。標準的なソフトウェアWallac1420Manager3.0を用いて、データをコンパイルした。上記に示されるブランクウェル試料を差し引くことに加えて、各試験物質を、自家蛍光について事前に試験した。この目的のために、NADPH生成システム(補因子混合物)および酵素/基質混合物を、対照タンパク質、アッセイ緩衝液、および試験化合物溶媒の同等の混合物に交換した。次に、これらの対照試料を、上記のようにプレインキュベートおよびアッセイした。IC
50の3つの独立した決定は、阻害%対阻害剤濃度の最良適合プロットの線から行った(表10)。
【0208】
実施例6
(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩(結晶形態I)の調製
ステップ1:(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジンジベンゾイル-L-酒石酸塩の調製
10Lの反応器に、20℃で、ラセミ5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジン(328g、=1.0当量)およびエタノール(2.3L)を充填した。混合物を40℃に加熱し、次にエタノール(1L)中の(-)-O,O’-ジベンゾイル-L-酒石酸(276.4g、0.5当量)の溶液を添加した。混合物を40℃で1時間維持し、次に2時間かけて20℃に冷却し、この温度で1時間維持し、次に0.5時間かけて10℃に冷却し、最後に10℃で一晩維持した。その後、沈殿物を濾別し、フィルターケーキを冷(0℃)エタノール(1L)で洗浄して、表題化合物を白色の湿った粉末として得た(485g、=413.7gの乾燥推定値、乾燥損失による、48.4%、ee=87%)。
【0209】
ステップ2:(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジンジベンゾイル-L-酒石酸塩の再結晶化
10Lの反応器に、20℃で、ステップ1から得られた(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジンジベンゾイル-L-酒石酸塩(485g、ee=87%、=413.7gの乾燥推定値、乾燥損失による、=1.0当量)、エタノール(10L、24V)、および水(2.4L、6V)を充填した。得られた混合物を加熱して、還流させたところ、溶液が形成された。次に、溶液を50℃に冷却し、この温度で1時間維持した。続いて、混合物を2時間かけて10℃に冷却し、次にこの温度で一晩維持した。沈殿物を濾別し、フィルターケーキを冷(0℃)エタノール(1.2L)で洗浄した。生成物を、減圧下、40℃で乾燥させて、表題化合物を白色粉末として得た(294.8g、71%、単一鏡像体)。
鏡像体過剰率:HPLCによって決定して、99.9%超
【0210】
ステップ3:(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジン(遊離塩基)の調製
2Lの反応器に、ステップ2から得られた(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジンジベンゾイル-L-酒石酸塩(177g、単一鏡像体)およびジクロロメタン(1.77L、10V)を充填した。次に、Na2CO3(71g、2.2当量)の水溶液(875mL)を添加した。室温で0.25時間撹拌した後、混合物をデカントした。このようにして得られた液相は、澄んでおり、水相は、8~9のpHを有した。有機相を水(2×875mL)で洗浄し、次に真空下で濃縮した。残留物をエタノール中に溶解し、再び真空下で濃縮して、表題化合物を油として得(70g、定量的)、これは、静置すると固化した。
【0211】
ステップ4:(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩
1Lの反応器内に、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジン(94g、1.0当量)およびエタノール(564mL)を充填し、混合物を35℃に加熱した。溶液を濾過し、反応器をエタノール(94mL)で濯いだ。エタノール(235mL)中のH3PO4(97g、H2O中85%wt/wt)の溶液を同じ温度で添加し、エタノール(47mL)で濯いだ。35℃で1時間撹拌した後、混合物を(-20℃/時の速度で)10℃に冷却し、この温度で10時間維持した。得られた固体を濾別し、フィルターケーキを冷(10℃)エタノール(3×94mL)で洗浄した。減圧下、50℃で乾燥した後、表題化合物を白色の結晶性自由流動性粉末(100g、74%)として得た。
【0212】
その全体が参照により本明細書に組み込まれる、本出願人の出願PCT/EP2017/077511の表1および
図7に記載のXRPD。特に、該XRPDデータについては、この特定の開示が参照により本明細書に組み込まれる、本出願人の出願PCT/EP2017/077511の表1および
図7を参照する必要がある。
【0213】
融点:TGA/DSCによって決定して、かつその全体が参照により本明細書に組み込まれるが、特に、該
図7の特定の開示が参照により本明細書に組み込まれる、本出願人の出願PCT/EP2017/077511の
図7に示されるように、189℃。
【0214】
鏡像体過剰率(ee):(その全体が参照により本明細書に組み込まれるが、特に、該
図3の特定の開示が参照により本明細書に組み込まれる、本出願人の出願PCT/EP2017/077511の
図3に示されるように)99.9%超。調製物の鏡像体過剰率を測定するためのキラルHPLCは、R-(+)-鏡像体で14.459分、およびS-(-)-鏡像体で9.814分の保持時間(tr)を特徴とした。
【0215】
絶対配置:単結晶X線によって決定して、炭素5上のR-(+)-。比旋光度(CH3CN:H2O1:1(v/v)):[α]D
20=+98.1。
【0216】
吸湿性:DVSによって決定して、90%以上の相対湿度(RH)で1.0%。(その全体が参照により本明細書に組み込まれるが、特に、該
図4~
図6の特定の開示が参照により本明細書に組み込まれる、本出願人の出願PCT/EP2017/077511の
図4~
図6に示されるように)水取り込みは可逆的であり、結晶形態はDVS処理時に変化しない。最大225℃まで加熱したときの質量損失は、TGA/DSCによって決定して、1.4%である(上記を参照されたい)。(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩の結晶を、それらの元素分析によってさらに特性評価し、これは、分子式C
14H
16N
3O
4P(MW:321.27):C52.4%、H5.1%、N13.03%から計算した値と一致したものである。
【0217】
実施例7
遊離塩基を介した(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロ-イミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩からの(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン-塩化物の調製
実施例3で調製した(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロ-イミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩(1000mg、3.11mmol)を、Et2O(30ml)中に懸濁し、飽和NaHCO3水溶液(30ml)で抽出した。水層をジエチルエーテル(2×20ml)で抽出し、合わせた有機層をブライン(10ml)および蒸留水(10ml)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、遊離塩基(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンを白色固体として得、これを、50℃、一晩真空乾燥した(530mg)。
融点:101~102℃、比旋光度(エタノール):[α]D
25=+127.3
【0218】
このようにして得られた(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジン(100mg、0.447mmol、1当量)を塩化メチレン(2.2ml)中に溶解し、HCl(ジエチルエーテル中2M、0.34ml、0.76mmol、1.5当量)を添加し、混合物を室温で30分間撹拌し、次に蒸発させ、80℃で真空乾燥した。(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロ-イミダゾリウム[1,5-a]ピリジン塩化物を、結晶性固体として単離した。
融点:240~243℃、比旋光度(エタノール):[α]D
20=+104.8、比旋光度(CH3CN:H2O1:1(v/v)):[α]D
20=+124.4。
【0219】
実施例8
DP13治療後の血清エストラジオール、テストステロン、および卵胞刺激ホルモン濃度
上記のように、ファドロゾールとは異なり、DP13は、4、8、または16mgで1日1回経口投薬した後に、エストラジオールの阻害も、循環テストステロンまたはFSHの増加もさせなかった。エストラジオールは、DP13治療の8日後に、4および8mgの用量でわずかに増加した。したがって、DP13で治療した正常な健康な男性におけるエストロゲン抑制(アロマターゼ阻害)の証拠はない。
【0220】
血清エストラジオール、テストステロン、および卵胞刺激ホルモン(FSH)レベルを、ADVIA Centaur(登録商標)CPシステム(Siemens AG)を用いて、Covanceの診断ユニット(Harrogate,UK)によって測定した。ADVIA Centaur増強エストラジオールアッセイは、完全に自動化されたモノクローナル競合化学発光イムノアッセイであり、10pg/mlの感度を有する。ADVIA Centaur(登録商標)CP FSHアッセイは、直接化学発光技術を使用する2部位サンドイッチイムノアッセイであり、これは、インタクトなFSH分子に対する特異性を有する2つの抗体を使用する。ADVIA Centaur(登録商標)CPテストステロンアッセイは、直接化学発光技術を使用する競合固相イムノアッセイである。血清エストラジオール、テストステロン、およびFSHのレベルの測定に使用される上記のアッセイの全ては、製造業者によって記載のように実施した。
【0221】
その全体が参照により本明細書に組み込まれる、PCT/EP2017/077511、ならびに特に実施例および図、特に実施例3~5および8をさらに参照する。