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特許7470057組み換えAAVベクター及びその使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-09
(45)【発行日】2024-04-17
(54)【発明の名称】組み換えAAVベクター及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 48/00 20060101AFI20240410BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20240410BHJP
   A61K 31/7105 20060101ALI20240410BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20240410BHJP
   C12N 15/864 20060101ALN20240410BHJP
   C12N 15/54 20060101ALN20240410BHJP
   C12N 15/53 20060101ALN20240410BHJP
【FI】
A61K48/00 ZNA
A61K35/76
A61K31/7105
A61P27/02
C12N15/864 100Z
C12N15/54
C12N15/53
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020569147
(86)(22)【出願日】2019-06-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-11
(86)【国際出願番号】 US2019036487
(87)【国際公開番号】W WO2019241206
(87)【国際公開日】2019-12-19
【審査請求日】2022-06-07
(31)【優先権主張番号】62/683,501
(32)【優先日】2018-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520483198
【氏名又は名称】フィトゥシ セルジュ
(73)【特許権者】
【識別番号】520483202
【氏名又は名称】カッツ バレット
(73)【特許権者】
【識別番号】518383437
【氏名又は名称】ジェンサイト バイオロジクス エスアー
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フィトゥシ セルジュ
(72)【発明者】
【氏名】カッツ バレット
【審査官】北村 悠美子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2006/117250(WO,A2)
【文献】Molecular Therapy - Methods & Clinical Development,2015年,Vol.2, 15003 (15 pages),<doi:10.1038/mtm.2015.3>
【文献】Scientific Reports,2016年,Vol.6, 21587 (10 pages),<DOI: 10.1038/srep21587>
【文献】EBioMedicine,2016年,Vol.10, pp.258-268
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
A61P 27/00-27/16
C07K 1/00-19/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療を必要とするヒト患者においてレーベル遺伝性視神経網膜症(LHON)を治療するための組成物であって、以下の配列:
配列番号14を含む3’UTR Cox10配列と、
配列番号13を含むNADHデヒドロゲナーゼ4(ND4)ポリペプチドをコードする核酸配列と、
配列番号12を含むMTS Cox10ポリペプチドをコードする核酸配列、
を含む、治療有効量の組み換えAAV2ベクターを含有し、
前記ヒト患者が、治療前のベースライン時で以下の基準:
視力低下があり、レーベル遺伝性視神経症(LHON)に起因する視力低下の発症からベースライン時までの期間が、6~9ヶ月又は9~12ヶ月である、
を示すように選択される、組成物。
【請求項2】
前記ヒト患者において、レーベル遺伝性視神経症(LHON)に起因する視力低下の発症からベースライン時までの期間が、6~9ヶ月である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
MTS Cox10ポリペプチドをコードする前記核酸配列が、配列番号16の核酸配列である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記組み換えAAV2ベクターが、
配列番号14を含む3’UTR Cox10配列と、
配列番号18を含むND4をコードする核酸配列と、
配列番号16を含むMTS Cox10配列と、
を含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項5】
前記組み換えAAV2ベクターが、
配列番号14からなる3’UTR Cox10配列と、
配列番号18からなるND4をコードする核酸配列と、
配列番号16からなるMTS Cox10配列と、
を含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記組み換えAAV2ベクターが、
配列番号24を含むHBB2イントロン配列と、
配列番号25を含むCMVプロモーター配列と、
配列番号26を含む第1のITR配列と、
配列番号27を含む第2のITR配列と、
を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記組み換えAAV2ベクターが、
配列番号24からなるHBB2イントロン配列と、
配列番号25からなるCMVプロモーター配列と、
配列番号26からなる第1のITR配列と、
配列番号27からなる第2のITR配列と、
を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記組み換えAAV2ベクターが、
配列番号14を含む3’UTR Cox10配列と、
配列番号18を含むND4をコードする配列と、
配列番号16を含むMTS Cox10配列と、
配列番号24からなるHBB2イントロン配列と、
配列番号25からなるCMVプロモーター配列と、
配列番号26からなる第1のITR配列と、
配列番号27からなる第2のITR配列と、
を含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項9】
前記患者が、治療前のベースライン時において、さらに、2.0LogMAR未満の視力を示すように選択される、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項10】
前記患者が、治療前のベースライン時において、さらに、ETDRSチャート上で少なくとも3文字の視力を示すように選択される、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項11】
前記患者が、治療前のベースライン時において、以下の基準:
ミトコンドリアND4遺伝子において、G11778A変異を有する、
を示すように選択される、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項12】
前記患者に対して、片眼への単回の硝子体内注射によって投与されるように用いられる、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記患者に対して、片眼への単回の硝子体内注射によって投与され、注射した眼と注射していない眼の両方で視力の改善が観察されるように用いられる、請求項12に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年6月11日に出願された米国特許出願第62/683,501号に対する優先権を主張し、その内容は、引用することによりその全体が本明細書の一部をなすものとする。
【0002】
本開示は、ヒトND4遺伝子を発現する組み換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、ヒトND4遺伝子を発現する組み換えAAVベクターを作製する方法、及びその使用に関する。本明細書に開示される組み換えAAVベクターは、ND4関連LHONを含むレーベル遺伝性視神経網膜症(LHON)の治療に有用である。
【背景技術】
【0003】
「レーベル遺伝性視神経症」又は「レーベル遺伝性視神経萎縮」としても知られるレーベル遺伝性視神経網膜症(Leber Hereditary Optic Neuroretinopathy:LHON)は、網膜神経節細胞の変性に起因する両側性、急性又は亜急性の中心視力の低下として現れる視神経機能障害である。LHONは、母性遺伝するミトコンドリアDNA(mtDNA)の点突然変異に関係している(非特許文献1)。LHONと関連する最も一般的なmtDNA点突然変異は、G3460A/ND1、G11778A/ND4及びT14484C/ND6である。これらの突然変異は、ミトコンドリアの複合体I(NADHデヒドロゲナーゼ-ユビキノン還元酵素)のサブユニットの欠陥と関係している。
【0004】
NADHデヒドロゲナーゼ4遺伝子(ND4遺伝子)のG11778AミトコンドリアDNA点突然変異は、ミトコンドリア複合体Iの活性を変化させ、酸化的リン酸化を減少させるミスフォールドしたタンパク質の産生をもたらす(非特許文献2)。これは、ATPの産生を減少させ、活性酸素種の生成を増大して、網膜神経節細胞(RGC)の死につながる(非特許文献3、非特許文献4)。G11778AミトコンドリアDNA点突然変異では重度の視力障害が現れる。
【0005】
LHONはウイルスベクター、例えば組み換えアデノ随伴ウイルスベクター(AAV)、例えば血清型2(組み換えAAV2ベクター)の使用を含む遺伝子療法に適している。場合によっては、組み換えAAVベクターの使用により、ヒトの中心窩及び周中心窩の網膜神経節細胞への組み換えDNAの移入が可能となる。ミトコンドリアND4をコードするcDNAの移入は、ミトコンドリアの複合体Iに局在化するND4タンパク質をもたらす。
【0006】
場合によっては、理論に束縛されることを望むものではないが、ND4遺伝子を発現する組み換えAAV2ベクターは、例えば、(1)細胞質への内在化(エンドサイトーシスによる)及びAAV2粒子とヌクレオリン(核シャトルタンパク質)との結合による核内移行によって標的細胞の核に到達する能力、(2)機能的NADHデヒドロゲナーゼ4タンパク質をコードするND4 mRNAを転写する核内エピソームを形成する能力、並びに(3)ミトコンドリア標的配列(Mitochondrial Targeting Sequence:MTS)によってND4 mRNAをミトコンドリアに標的化し、ミトコンドリアへのND4タンパク質発現を可能にする能力によって生物活性を発揮することができる(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許第9,017,999号
【非特許文献】
【0008】
【文献】Orssaud, C., Orphanet Encyclopedia, http://www.orpha.net/data/patho/GB/uk-LHON.pdf, 2003
【文献】Baracca, et al., Arch. Neurol., 62, pp. 730-736 (2005)
【文献】Perier et al., Proc Natl Acad Sci USA, 102, pp. 19126-19131 (2005)
【文献】Qi et al., Arch. Ophthalmol., 125, pp. 268-272 (2007)
【発明の概要】
【0009】
幾つかの態様において、本開示は、以下の実施の形態に関する。
1. 配列番号1を含む3’UTR Cox10配列と、
配列番号13を含むNADHデヒドロゲナーゼ4(ND4)ポリペプチドをコードする核酸配列と、
配列番号11を含むMTS Cox10ポリペプチドをコードする核酸配列と、
を含む組み換えAAV2ベクター。
2. 配列番号1を含む3’UTR Cox10配列と、
配列番号13を含むNADHデヒドロゲナーゼ4(ND4)ポリペプチドをコードする核酸配列と、
配列番号12を含むMTS Cox10ポリペプチドをコードする核酸配列と、
を含む組み換えAAV2ベクター。
3. 配列番号14を含む3’UTR Cox10配列と、
配列番号13を含むNADHデヒドロゲナーゼ4(ND4)ポリペプチドをコードする核酸配列と、
配列番号11を含むMTS Cox10ポリペプチドをコードする核酸配列と、
を含む組み換えAAV2ベクター。
4. 配列番号14を含む3’UTR Cox10配列と、
配列番号13を含むNADHデヒドロゲナーゼ4(ND4)ポリペプチドをコードする核酸配列と、
配列番号12を含むMTS Cox10ポリペプチドをコードする核酸配列と、
を含む組み換えAAV2ベクター。
5. 配列番号1を含む3’UTR Cox10配列と、
配列番号2を含むND4をコードする配列と、
配列番号3を含むMTS Cox10配列と、
を含む組み換えAAV2ベクター。
6. 配列番号1からなる3’UTR Cox10配列と、
配列番号2からなるND4をコードする配列と、
配列番号3からなるMTS Cox10配列と、
を含む組み換えAAV2ベクター。
7. 配列番号1を含む3’UTR Cox10配列と、
配列番号17を含むND4をコードする配列と、
配列番号3を含むMTS Cox10配列と、
を含む組み換えAAV2ベクター。
8. 配列番号1からなる3’UTR Cox10配列と、
配列番号17からなるND4をコードする配列と、
配列番号3からなるMTS Cox10配列と、
を含む組み換えAAV2ベクター。
9. 配列番号14を含む3’UTR Cox10配列と、
配列番号15を含むND4をコードする配列と、
配列番号16を含むMTS Cox10配列と、
を含む組み換えAAV2ベクター。
10. 配列番号14からなる3’UTR Cox10配列と、
配列番号15からなるND4をコードする配列と、
配列番号16からなるMTS Cox10配列と、
を含む組み換えAAV2ベクター。
11. 配列番号14を含む3’UTR Cox10配列と、
配列番号18を含むND4をコードする配列と、
配列番号16を含むMTS Cox10配列と、
を含む組み換えAAV2ベクター。
12. 配列番号14からなる3’UTR Cox10配列と、
配列番号18からなるND4をコードする配列と、
配列番号16からなるMTS Cox10配列と、
を含む組み換えAAV2ベクター。
13. 配列番号4を含むHBB2イントロン配列と、
配列番号5を含むCMVプロモーター配列と、
配列番号6を含む第1のITR配列と、
配列番号7を含む第2のITR配列と、
を更に含む、実施の形態1、2又は5~8のいずれか1つの組み換えAAV2ベクター。
14. 配列番号4からなるHBB2イントロン配列と、
配列番号5からなるCMVプロモーター配列と、
配列番号6からなる第1のITR配列と、
配列番号7からなる第2のITR配列と、
を更に含む、実施の形態1、2又は5~8のいずれか1つの組み換えAAV2ベクター。
15. 配列番号24を含むHBB2イントロン配列と、
配列番号25を含むCMVプロモーター配列と、
配列番号26を含む第1のITR配列と、
配列番号27を含む第2のITR配列と、
を更に含む、実施の形態3、4又は9~12のいずれか1つの組み換えAAV2ベクター。
16. 配列番号24からなるHBB2イントロン配列と、
配列番号25からなるCMVプロモーター配列と、
配列番号26からなる第1のITR配列と、
配列番号27からなる第2のITR配列と、
を更に含む、実施の形態3、4又は9~12のいずれか1つの組み換えAAV2ベクター。
17. 配列番号1を含む3’UTR Cox10配列と、
配列番号17を含むND4をコードする配列と、
配列番号3を含むMTS Cox10配列と、
配列番号4からなるHBB2イントロン配列と、
配列番号5からなるCMVプロモーター配列と、
配列番号6からなる第1のITR配列と、
配列番号7からなる第2のITR配列と、
を含む組み換えAAV2ベクター。
18. 配列番号14を含む3’UTR Cox10配列と、
配列番号18を含むND4をコードする配列と、
配列番号16を含むMTS Cox10配列と、
配列番号24からなるHBB2イントロン配列と、
配列番号25からなるCMVプロモーター配列と、
配列番号26からなる第1のITR配列と、
配列番号27からなる第2のITR配列と、
を含む組み換えAAV2ベクター。
19. 治療を必要とする患者においてレーベル遺伝性視神経網膜症を治療する方法であって、前記患者に実施の形態1~18のいずれか1つによる組み換えAAV2ベクターを有効量投与することを含む、方法。
20. 治療を必要とする患者においてレーベル遺伝性視神経網膜症を治療する方法であって、前記患者に実施の形態1~18のいずれか1つによる組み換えベクターを有効量投与することを含み、該患者が9ヶ月未満の罹病期間を経験している、方法。
21. 治療を必要とする患者においてレーベル遺伝性視神経網膜症を治療する方法であって、前記患者に請求項1~18のいずれか一項に記載の組み換えAAV2ベクターを有効量投与することを含み、該患者が6ヶ月~9ヶ月の罹病期間を経験している、方法。
22. 治療を必要とする患者においてレーベル遺伝性視神経網膜症を治療する方法であって、前記患者に実施の形態1~18のいずれか1つによる組み換えAAV2ベクターを有効量投与することを含み、該患者が約1.6LogMAR未満のベースライン視力を有する、方法。
23. 治療を必要とする患者においてレーベル遺伝性視神経網膜症を治療する方法であって、前記患者に実施の形態1~18のいずれか1つによる組み換えAAV2ベクターを有効量投与することを含み、該患者が9ヶ月未満の罹病期間を経験しており、該患者が約1.6LogMAR未満のベースライン視力を有する、方法。
24. 治療を必要とする患者においてレーベル遺伝性視神経網膜症を治療する方法であって、前記患者に実施の形態1~18のいずれか1つによる組み換えAAV2ベクターを有効量投与することを含み、該患者が6ヶ月~9ヶ月の罹病期間を経験しており、該患者が約1.6LogMAR未満のベースライン視力を有する、方法。
25. 前記レーベル遺伝性視神経網膜症がND4関連レーベル遺伝性視神経網膜症である、実施の形態19~24のいずれか1つによる方法。
26. 前記組み換えAAV2ベクターを硝子体内に投与する、実施の形態19~25のいずれか1つによる方法。
27. 前記組み換えAAV2ベクターを約10ウイルスゲノム/眼~1011ウイルスゲノム/眼の量で硝子体内に投与する、実施の形態19~26のいずれか1つによる方法。
28. 前記組み換えAAV2ベクターを約1010ウイルスゲノム/眼~1011ウイルスゲノム/眼の量で硝子体内に投与する、実施の形態19~27のいずれか1つによる方法。
29. 前記組み換えAAV2ベクターを約5.0×1010ウイルスゲノム/眼~1.0×1011ウイルスゲノム/眼の量で硝子体内に投与する、実施の形態19~28のいずれか1つによる方法。
30. 前記組み換えAAV2ベクターを約9.0×1010ウイルスゲノム/眼の量で硝子体内に投与する、実施の形態19~29のいずれか1つによる方法。
31. 配列番号1を含む3’UTR Cox10配列と、
配列番号2を含むコード配列ND4と、
配列番号3を含むMTS Cox10配列と、
配列番号4を含むHBB2イントロン配列と、
配列番号5を含むCMVプロモーター配列と、
配列番号6を含むITR配列と、
配列番号7を含むITR配列と、
を含むpAAV-ND4トランスファープラスミド。
32. 配列番号1を含む3’UTR Cox10配列と、
配列番号17を含むコード配列ND4と、
配列番号3を含むMTS Cox10配列と、
配列番号4を含むHBB2イントロン配列と、
配列番号5を含むCMVプロモーター配列と、
配列番号6を含むITR配列と、
配列番号7を含むITR配列と、
を含むpAAV-ND4トランスファープラスミド。
33. 配列番号8を含むf1複製起点配列と、
配列番号9を含むカナマイシン耐性遺伝子配列と、
配列番号10を含むColE1複製起点配列と、
を更に含む、実施の形態31又は32のpAAV-ND4トランスファープラスミド。
34. 配列番号1からなる3’UTR Cox10配列と、
配列番号2からなるコード配列ND4と、
配列番号3からなるMTS Cox10配列と、
配列番号4からなるHBB2イントロン配列と、
配列番号5からなるCMVプロモーター配列と、
配列番号6からなるITR配列と、
配列番号7からなるITR配列と、
を含むpAAV-ND4トランスファープラスミド。
35. 配列番号1からなる3’UTR Cox10配列と、
配列番号17からなるコード配列ND4と、
配列番号3からなるMTS Cox10配列と、
配列番号4からなるHBB2イントロン配列と、
配列番号5からなるCMVプロモーター配列と、
配列番号6からなるITR配列と、
配列番号7からなるITR配列と、
を含むpAAV-ND4トランスファープラスミド。
36. 配列番号8からなるf1複製起点配列と、
配列番号9からなるカナマイシン耐性遺伝子配列と、
配列番号10からなるColE1複製起点配列と、
を更に含む、実施の形態34又は35のpAAV-ND4トランスファープラスミド。
37. 配列番号22を含むpAAV-ND4トランスファープラスミド。
38. 配列番号23を含むpAAV-ND4トランスファープラスミド。
39. 実施の形態1~18のいずれか1つによる組み換えAAV2ベクターを作製する方法であって、パッケージング細胞株において、
(i)実施の形態31~38のいずれか1つによるpAAV-ND4トランスファープラスミドと、
(ii)rep/capプラスミドと、
(iii)アデノウイルスヘルパープラスミドと、
を三重トランスフェクトする(tri-transfecting)ことを含む、方法。
40. パッケージング細胞株がヒト胎児腎臓293(HEK 293)細胞株を含む、実施の形態39による方法。
41. rep/capプラスミドがpRep2Cap2プラスミドである、実施の形態38又は40による方法。
42. アデノウイルスヘルパープラスミドがpXX6プラスミドである、実施の形態38~41のいずれか1つによる方法。
【0010】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部をなす添付の図面は、本開示の幾つかの非限定的な実施形態を示し、本明細書と共に本開示の原理を説明する働きをする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】逆方向末端反復(ITR)、イントロン含有発現カセット(ベータグロビンイントロン、HBB2)中のサイトメガロウイルス最初期プロモーター(CMV)、MTS Cox10配列、コード配列ND4及び3’UTR Cox10配列を含む本開示の組み換えAAV2ベクターの一実施形態を示す図である。
図2】本開示のpAAV-ND4プラスミドの一実施形態の構造を示す図である。
図3】本開示のpRep2Cap2プラスミドの一実施形態を示す図である。
図4】本開示のアデノウイルスヘルパーpXX6プラスミドの一実施形態を示す図である。
図5】ペリ-ロブソンチャートの一例を示す図である。
図6】治療によるBCVAの持続的な両側性の改善を示す図である。
図7】研究過程でのコントラスト感度の進展を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ヒトNADHデヒドロゲナーゼ4型(ND4)タンパク質ND4(配列番号13)をコードする遺伝子を発現する組み換えベクターが本明細書の幾つかの実施形態に開示される。ヒトND4タンパク質を発現する組み換えAAV2ベクターの投与によってLHONを治療する方法も本明細書に開示される。
【0013】
「a」、「an」又は「the」という用語は、1つ又は2つ以上の、その冠詞の文法上の対象を指す。この用語は、「1つ」、「1つ以上」、「少なくとも1つ」又は「1つ又は2つ以上」を意味し得る。例として、「要素(an element)」は、1つの要素又は2つ以上の要素を意味する。「又は」という用語は、他に記載のない限り、「及び/又は」を意味する。「含む(including)」又は「含有する(containing)」という用語は、限定的ではない。
【0014】
「コドン」という用語は、アミノ酸をコードする遺伝コードの単位を共に形成する3つのヌクレオチド、例えばデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドの配列を指すことを意図する。「遺伝コード」という用語は、生細胞に用いられるコドンとアミノ酸との完全な一連の関係を指すことを意図する。遺伝コードは、全ての生物で極めて類似しており、「普遍的遺伝コード」又は「標準遺伝コード」という用語が、ヒトを含む殆どの生物に用いられる最も一般的な遺伝コードを指すことを意図することが当業者には理解される。幾つかの実施形態では、普遍的遺伝コードは、真核細胞で用いられる遺伝コードである。幾つかの実施形態では、普遍的遺伝コードは、核遺伝子の遺伝コードである。「ミトコンドリア遺伝コード」という用語は、ミトコンドリアで用いられるコードを指すことを意図し、ミトコンドリアの核酸及びタンパク質のコードを定める。幾つかの実施形態では、ミトコンドリア遺伝コードは、脊椎動物ミトコンドリアのコードである。幾つかの実施形態では、ミトコンドリア遺伝コードは、ヒトミトコンドリアのコードである。普遍的遺伝コードに対するミトコンドリア遺伝コードのコドン使用頻度は、Lewin, Genes V, Oxford University Press; New York 1994(その内容が引用することにより本明細書の一部をなす)に記載されている。
【0015】
ヒトNADHデヒドロゲナーゼ4型(ND4)タンパク質は、ミトコンドリア内膜を標的とし、電子伝達鎖の5つの複合体では最大であるNADHデヒドロゲナーゼ(ユビキノン)のサブユニットである。ミトコンドリアコード化NADHデヒドロゲナーゼ4(MT-ND4)としても知られるND4遺伝子は、ヒトミトコンドリアDNA内にある。ND4タンパク質をコードする例示的な核酸配列としては、NCBI NC_012920.1が挙げられるが、これに限定されない。幾つかの実施形態では、ND4ポリペプチドをコードする核酸配列は、ヒトND4ポリペプチドをコードするミトコンドリアの核酸又は核の核酸であり得る。幾つかの実施形態では、ND4ポリペプチドをコードする核酸配列は、ヒトND4ポリペプチドをコードする任意の核酸配列であり得る。幾つかの実施形態では、ヒトND4タンパク質をコードする核酸配列は、配列番号2、15、17又は18を含む。ヒトND4ポリペプチドの例示的なアミノ酸配列としては、Genbank ACF70814.1が挙げられるが、これに限定されない。幾つかの実施形態では、ヒトND4ポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号13を含む。
【0016】
【表1】
【0017】
理論に束縛されるものではないが、ミトコンドリア遺伝子には、核遺伝子に用いられる普遍的遺伝コードとは異なるミトコンドリア遺伝コードが用いられ得る。ミトコンドリア遺伝子を核内で発現される組み換えベクターに挿入すると、ミトコンドリア核酸配列は、ミトコンドリア外で正確に発現及び/又は翻訳されるように普遍的遺伝コードに従って再コード化され得る。幾つかの実施形態では、ミトコンドリアにコードされる遺伝子を再コード化して、同じ遺伝子の核コードバージョンを形成することができる。幾つかの実施形態では、核コードバージョンは、ミトコンドリア核酸のコドン置換によって作製される。幾つかの実施形態では、核コードバージョンは、ミトコンドリア遺伝コードのコドンを普遍的遺伝コードのコドンに置き換えるコドン置換によって作製される。普遍的遺伝コードに対するミトコンドリア遺伝コードのコドン使用頻度は、Lewin, Genes V, Oxford University Press; New York 1994(その内容が引用することにより本明細書の一部をなす)に記載されている。例示的なコドン置換としては、UGAからUGGへ、AGAからUAA、UAG、又はUGAへ、AGGからUAA、UAG、又はUGAへ、AUAからAUG、CUG、又はGUGへ、AUUからAUG、CUG、又はGUGへ、の置換が挙げられるが、これらに限定されない。幾つかの実施形態では、ヒトND4ポリペプチドをコードする核酸は、普遍的遺伝コードに従って再コード化される自然発生ミトコンドリア核酸の配列である。
【0018】
遺伝コードの縮重のために、殆どのアミノ酸は複数の同義コドンによってコードされ得る(Grantham et al., Nucleic Acids Res., 8(1):r49-r62 (1980))。理論に束縛されるものではないが、同義コドンは、異なる生物において異なる頻度で自然発生する。コドンの選択は、タンパク質の発現、構造及び機能に影響を及ぼし得る。組み換えタンパク質を発現させる場合、好ましいコドン使用頻度を考慮することによって、選択された宿主系での発現、ひいては再コード化について最適化するように特定のコドンを選択することができる。幾つかの実施形態では、再コード化は、哺乳動物細胞の好ましい使用頻度のコドンを考慮して行われる。幾つかの実施形態では、再コード化は、ヒトにおける好ましいコドン使用頻度を考慮して行われる。
【0019】
幾つかの実施形態では、普遍的遺伝コードに従い、ヒトの好ましい使用頻度のコドンを考慮して再コード化されたヒトND4タンパク質をコードする核酸配列は、配列番号2の核酸配列(3’→5’配列)又はその逆相補体、配列番号15(5’→3’配列)を含む。
【0020】
幾つかの実施形態では、普遍的遺伝コードに従い、ヒトの好ましい使用頻度のコドンを考慮して再コード化されたヒトND4タンパク質をコードする核酸配列は、配列番号17の核酸配列(3’→5’配列)又はその逆相補体、配列番号18(5’→3’配列)を含む。
【0021】
「ベクター」という用語は、適当な制御要素に結合している場合に複製が可能であり、細胞間で遺伝子配列を伝達することができる任意の遺伝要素、例えばプラスミド、ファージ、トランスポゾン、コスミド、染色体、ウイルス、ビリオン等を指す。このため、この用語は、クローニングビヒクル及び発現ビヒクル、並びにウイルスベクターを含む。幾つかの実施形態では、ベクターはDNAベクターである。幾つかの実施形態では、ベクターは環状ベクターである。幾つかの実施形態では、ベクターはプラスミドである。幾つかの実施形態では、ベクターは二本鎖である。幾つかの実施形態では、ベクターは一本鎖である。
【0022】
幾つかの実施形態では、本明細書に開示される組み換えベクターは、組み換えウイルスベクターである。幾つかの実施形態では、ウイルスベクターはアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、キメラAAVベクター、アデノウイルスベクター、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、DNAウイルスベクター、単純ヘルペスウイルスベクター、バキュロウイルスベクター、又はそれらの任意の突然変異体若しくは誘導体である。幾つかの実施形態では、組み換えウイルスベクターは、組み換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターである。幾つかの実施形態では、「AAVベクター」とは、限定されるものではないが、AAV-1、AAV-2、AAV-3、AAV-4、AAV-5、AAV-6、AAV-7、AAV-8及びAAV-9を含むアデノ随伴ウイルス血清型に由来するベクターを意味する。AAVベクターは、機能的な隣接逆方向末端反復(ITR)配列を保持した上で、AAV野生型遺伝子の1つ以上、例えばrep及び/又はcap遺伝子の全体又は一部が欠失していてもよい。機能的ITR配列は、AAVビリオンの回復、複製及びパッケージングに必要である。このため、AAVベクターは、シス型でウイルスの複製及びパッケージングをもたらす配列(例えば、機能的ITR)を少なくとも含むことが本明細書で規定される。ITRは野生型ヌクレオチド配列である必要はなく、配列が機能的な回復、複製及びパッケージングをもたらす限りにおいて、例えばヌクレオチドの挿入、欠失又は置換によって変化していてもよい。「AAVベクター」は、標的細胞の核へのベクター核酸の送達に効率的なビヒクルをもたらすタンパク質シェル又はカプシドを指す場合もある。幾つかの実施形態では、組み換えウイルスベクターは、組み換えAAV2ベクターである。幾つかの実施形態では、本開示の組み換えベクターは、血清型2の組み換えAAVベクター(rAAV2/2)である。
【0023】
幾つかの実施形態では、本明細書に開示される組み換えAAVベクターは、ND4タンパク質をコードする核酸配列と、プロモーター、エンハンサー、終結シグナルを含むが、これらに限定されない操作可能に連結した遺伝子調節制御配列とを含む。理論に束縛されるものではないが、サイトメガロウイルス(CMV)最初期プロモーターは、細胞内で操作可能に連結した核酸配列の高い持続発現レベルをもたらすことができる。幾つかの実施形態では、本開示の組み換えAAVベクターは、サイトメガロウイルス(CMV)最初期プロモーターを含む。理論に束縛されるものではないが、組み換え核酸配列又は導入遺伝子に組み込まれるイントロン配列は、mRNAレベルを安定化し、操作可能に連結した核酸配列の発現を高めることができる。幾つかの実施形態では、本開示の組み換えAAV2ベクターは、ベータグロビン(HBB2)由来のイントロン配列を含む。
【0024】
幾つかの実施形態では、本開示の組み換えAAV2ベクターは、イントロン含有発現カセット(ベータグロビンイントロン、HBB2)中のサイトメガロウイルス最初期プロモーター(CMV)の制御下のヒトNADHデヒドロゲナーゼ4(ND4)をコードし、AAV2/2に由来するウイルス逆方向末端反復(ITR)を更に含む組み換えアデノ随伴ウイルス(AAV)血清型2(rAAV2/2)である(図1)。幾つかの実施形態では、CMVプロモーターは、配列番号5又は配列番号25を含む。幾つかの実施形態では、HBB2イントロンは、配列番号4又は配列番号24を含む。幾つかの実施形態では、ITR配列は、配列番号6、7、26又は27を含む。
【0025】
【表2】
【0026】
幾つかの実施形態では、本開示の組み換えAAV2ベクターは、ヒト細胞における発現の改善のためにコドン最適化されたヒトND4のコード配列を含む。
【0027】
幾つかの実施形態では、本開示の組み換えAAVベクターは、ヒトNADHデヒドロゲナーゼ4(ND4)の遺伝子をコードする組み換えアデノ随伴ウイルス(AAV)血清型2(rAAV2/2)であり、
(i)配列番号1を含む3’UTR Cox10配列と、
(ii)配列番号2を含むコード配列ND4と、
(iii)配列番号3を含むMTS Cox10配列と、
を含む。
【0028】
幾つかの実施形態では、本開示の組み換えAAVベクターは、ヒトNADHデヒドロゲナーゼ4(ND4)の遺伝子をコードする組み換えアデノ随伴ウイルス(AAV)血清型2(rAAV2/2)であり、
(i)配列番号1からなる3’UTR Cox10配列と、
(ii)配列番号2からなるコード配列ND4と、
(iii)配列番号3からなるMTS Cox10配列と、
を含む。
【0029】
幾つかの実施形態では、本開示の組み換えAAVベクターは、ヒトNADHデヒドロゲナーゼ4(ND4)の遺伝子をコードする組み換えアデノ随伴ウイルス(AAV)血清型2(rAAV2/2)であり、
(i)配列番号1を含む3’UTR Cox10配列と、
(ii)配列番号17を含むコード配列ND4と、
(iii)配列番号3を含むMTS Cox10配列と、
を含む。
【0030】
幾つかの実施形態では、本開示の組み換えAAVベクターは、ヒトNADHデヒドロゲナーゼ4(ND4)の遺伝子をコードする組み換えアデノ随伴ウイルス(AAV)血清型2(rAAV2/2)であり、
(i)配列番号1からなる3’UTR Cox10配列と、
(ii)配列番号17からなるコード配列ND4と、
(iii)配列番号3からなるMTS Cox10配列と、
を含む。
【0031】
幾つかの実施形態では、本開示の組み換えAAVベクターは、ヒトNADHデヒドロゲナーゼ4(ND4)の遺伝子をコードする組み換えアデノ随伴ウイルス(AAV)血清型2(rAAV2/2)であり、
(i)配列番号14を含む3’UTR Cox10配列と、
(ii)配列番号15を含むコード配列ND4と、
(iii)配列番号16を含むMTS Cox10配列と、
を含む。
【0032】
幾つかの実施形態では、本開示の組み換えAAVベクターは、ヒトNADHデヒドロゲナーゼ4(ND4)の遺伝子をコードする組み換えアデノ随伴ウイルス(AAV)血清型2(rAAV2/2)であり、
(i)配列番号14からなる3’UTR Cox10配列と、
(ii)配列番号15からなるコード配列ND4と、
(iii)配列番号16からなるMTS Cox10配列と、
を含む。
【0033】
幾つかの実施形態では、本開示の組み換えAAVベクターは、ヒトNADHデヒドロゲナーゼ4(ND4)の遺伝子をコードする組み換えアデノ随伴ウイルス(AAV)血清型2(rAAV2/2)であり、
(i)配列番号14を含む3’UTR Cox10配列と、
(ii)配列番号18を含むコード配列ND4と、
(iii)配列番号16を含むMTS Cox10配列と、
を含む。
【0034】
幾つかの実施形態では、本開示の組み換えAAVベクターは、ヒトNADHデヒドロゲナーゼ4(ND4)の遺伝子をコードする組み換えアデノ随伴ウイルス(AAV)血清型2(rAAV2/2)であり、
(i)配列番号14からなる3’UTR Cox10配列と、
(ii)配列番号18からなるコード配列ND4と、
(iii)配列番号16からなるMTS Cox10配列と、
を含む。
【0035】
幾つかの実施形態では、本開示の組み換えAAVベクターは、ヒトNADHデヒドロゲナーゼ4(ND4)の遺伝子をコードする組み換えアデノ随伴ウイルス(AAV)血清型2(rAAV2/2)であり、
(i)
aacatgtggaatccccagtcccagtgcacagcagccgggtcctagctattggtattgttagaaggactatgg ttgagaatgtgtggggtggggaaaaccaaaaatgcaggccctggctcagtcaccaggaagggggtgctc cgaggcctttgagggacctgagctcacagaactacagacagcagatcatgaggctcacactttctggcca ccaagtgccactctgctgggcatgtggagtgtgcgtgtggtgtggtggtaaggatggaaccaaaagagga agctgtgtatgtgtacccccatgtgaggaggaagaaacagaatagagggtggggttggaggagagatgt ataaagaccctcaaagggaaaaataattccttttttgtattcactgactgagctgatgcatttcttatttggggag cattttgggtaatatttaaaaaaaaaaaaaactgtcaagtgatcactgggcaccgaattcgtttataatcttgtt ctaaacccagcaatttctcttcttgtgttccagaattaccacaacatgctcgcctggcagcggagggaaagg ggcggtgggcgtcccagtgctc(配列番号1)の3’UTR Cox10配列と、
(ii)
atgagaaaccagtgataatgtctgggttcagggacagcagcaggatgggagacagatgcataaacatca gggtgttctctctggtgaatgagggcttcatgttattaatgtggtgagtcagtgagccccactgggtagtggtaa acatgtacaggctgtagagggctgtgaccagcatgttcagtcctgtcaggagcagggtgatgttgctccagg agaatgttgtcaccagcactgacagctctcccagcaggttaattgtagggggcagagccaggttggccag actagccaggagccaccagaaagccatcagtgggagcagggtctggagcccctgactcaggatcataat tcttgagtgagttctttcatagttgctatttgccaggcagaacaggaggctgctggtcagcccatgagcaatca tgaggatcactgccccagtaaaggaccagggtgtctgaatcagaatggcagtcaccaccagtgccatgtg gctgatggagctgtaagcaatcaggctcttgaggtcagtctgcctgagacagatggagctggtcatgatcat accccagaggctcagaaccaggaaagggtaagccatgtgctttgtcagagggttcaggatcagggtgag cctcatcataccataaccacccagcttcaggaggacagcagccaggaccatggagccagctattggagct tccacatgagccttggggagccagaggtgcaggccatagaggggcatcttcaccataaaggccattgtat aagccagccacatcaggttgtttgcccaggagttactcagctcctgggcagtcagagtcagcaggaggatg ttcaggctacccagtgtgttgtgggtatagatcagtgcaatcagcaggggcagtgagcccaccagtgtataa aagagaaagtaggtgcctgcattcagcctctcaggctgatttccccacctagtgatgatggccagggttggg atgagagtggtctcaaagaagatatagaacatgatcagctcagtggctgtgaaggtcataatcaggctgatt tgcaggctaatgagcatggacaggtacagctttttccttgacagaggctctgagctgaggtgcctctgactgg ccatgatagtcagaggcagcagccatgtggtcagcatgagcaggggggttgtcaggggatcagaggaa aaggtaggggagcatgaaaagaggttattattaatctggttgaaaaacagcagtgggatgatgctgataat caggctgtgggttgtggtgttaatccaaatcatgtgctttttgctcagccatgtgagaggcagcagcatgatggt tggcacaatcagcttcagca(配列番号2)のコード配列ND4と、
(iii)
agtcctcctttccaggtaccacacactcccccccacacagccagtcaggagcctggatgacagtgtatggg ggctggcagccat(配列番号3)のMTS Cox10配列と、
(iv)
aattctttgccaaagtgatgggccagcacacagaccagcacgttgcccaggagctgtgggaggaagata agaggtatgaacatgattagcaaaagggcctagcttggactcagaataatccagccttatcccaaccataa aataaaagcagaatggtagctggattgtagctgctattagcaatatgaaacctcttacatcagttacaatttat atgcagaaatatttatatgcagaaatattgctattgccttaacccagaaattatcactgttattctttagaatggtg caaagaggcatgatacattgtatcattattgccctgaaagaaagagattagggaaagtattagaaataaga taaacaaaaaagtatattaaaagaagaaagcatttt(配列番号4)のHBB2イントロン配列と、
(v)
ggaggctggatcggtcccggtgtcttctatggaggtcaaaacagcgtggatggcgtctccaggcgatctga cggttcactaaacgagctctgcttatatagacctcccaccgtacacgcctaccgcccatttgcgtcaatgggg cggagttgttacgacattttggaaagtcccgttgattttggtgccaaaacaaactcccattgacgtcaatgggg tggagacttggaaatccccgtgagtcaaaccgctatccacgcccattgatgtactgccaaaaccgcatcac catggtaatagcgatgactaatacgtagatgtactgccaagtaggaaagtcccataaggtcatgtactgggc ataatgccaggcgggccatttaccgtcattgacgtcaatagggggcgtacttggcatatgatacacttgatgtactgccaagtgggcagtttaccgtaaatactccacccattgacgtcaatggaaagtccctattggcgttactat gggaacatacgtcattattgacgtcaatgggcgggggtcgttgggcggtcagccaggcgggccatttaccg taagttatgtaacgcggaactccatatatgggctatgaactaatgaccccgtaattgattactattaataactag(配列番号5)のCMVプロモーター配列と、
(vi)
aggaacccctagtgatggagttggccactccctctctgcgcgctcgctcgctcactgaggccgggcgacca aaggtcgcccgacgcccgggctttgcccgggcggcctcagtgagcgagcgagcgcgc(配列番号6)のITR配列と、
(vii)
ctgcgcgctcgctcgctcactgaggccgcccgggcaaagcccgggcgtcgggcgacctttggtcgcccgg cctcagtgagcgagcgagcgcgcagagagggagtggccaactccatcactaggggttcct(配列番号7)のITR配列と、
を含む。
【0036】
幾つかの実施形態では、本開示の組み換えAAVベクターは、ヒトNADHデヒドロゲナーゼ4(ND4)の遺伝子をコードする組み換えアデノ随伴ウイルス(AAV)血清型2(rAAV2/2)であり、
(i)配列番号1を含む3’UTR Cox10配列と、
(ii)配列番号17を含むコード配列ND4と、
(iii)配列番号3を含むMTS Cox10配列と、
(iv)配列番号4を含むHBB2イントロン配列と、
(v)配列番号5を含むCMVプロモーター配列と、
(vi)配列番号6を含むITR配列と、
(vii)配列番号7を含むITR配列と、
を含む。
【0037】
幾つかの実施形態では、本開示の組み換えAAVベクターは、ヒトNADHデヒドロゲナーゼ4(ND4)の遺伝子をコードする組み換えアデノ随伴ウイルス(AAV)血清型2(rAAV2/2)であり、
(i)配列番号14を含む3’UTR Cox10配列と、
(ii)配列番号15を含むコード配列ND4と、
(iii)配列番号16を含むMTS Cox10配列と、
(iv)配列番号24を含むHBB2イントロン配列と、
(v)配列番号25を含むCMVプロモーター配列と、
(vi)配列番号26を含むITR配列と、
(vii)配列番号27を含むITR配列と、
を含む。
【0038】
幾つかの実施形態では、本開示の組み換えAAVベクターは、ヒトNADHデヒドロゲナーゼ4(ND4)の遺伝子をコードする組み換えアデノ随伴ウイルス(AAV)血清型2(rAAV2/2)であり、
(i)配列番号14を含む3’UTR Cox10配列と、
(ii)配列番号18を含むコード配列ND4と、
(iii)配列番号16を含むMTS Cox10配列と、
(iv)配列番号24を含むHBB2イントロン配列と、
(v)配列番号25を含むCMVプロモーター配列と、
(vi)配列番号26を含むITR配列と、
(vii)配列番号27を含むITR配列と、
を含む。
【0039】
幾つかの実施形態では、本開示の組み換えベクターは、
(i)配列番号4を含むHBB2イントロン配列と、
(ii)配列番号5を含むCMVプロモーター配列と、
(iii)配列番号6を含むITR配列と、
(iv)配列番号7を含むITR配列と、
を更に含む。
【0040】
幾つかの実施形態では、本開示の組み換えベクターは、
(i)配列番号4からなるHBB2イントロン配列と、
(ii)配列番号5からなるCMVプロモーター配列と、
(iii)配列番号6からなるITR配列と、
(iv)配列番号7からなるITR配列と、
を更に含む。
【0041】
幾つかの実施形態では、本開示の組み換えベクターは、
(i)配列番号24を含むHBB2イントロン配列と、
(ii)配列番号25を含むCMVプロモーター配列と、
(iii)配列番号26を含むITR配列と、
(iv)配列番号27を含むITR配列と、
を更に含む。
【0042】
幾つかの実施形態では、本開示の組み換えベクターは、
(i)配列番号24からなるHBB2イントロン配列と、
(ii)配列番号25からなるCMVプロモーター配列と、
(iii)配列番号26からなるITR配列と、
(iv)配列番号27からなるITR配列と、
を更に含む。
【0043】
幾つかの実施形態では、本開示の組み換えベクターは、ND4タンパク質をコードする組み換えアデノ随伴ウイルス(AAV)血清型2(rAAV2/2)であり、
配列番号14を含む3’UTR Cox10配列と、
配列番号13を含むND4ポリペプチドをコードする核酸配列と、
配列番号11を含むMTS Cox10ポリペプチド配列をコードする核酸配列と、
を含む。
【0044】
幾つかの実施形態では、本開示の組み換えベクターは、ND4タンパク質をコードする組み換えアデノ随伴ウイルス(AAV)血清型2(rAAV2/2)であり、
配列番号14を含む3’UTR Cox10配列と、
配列番号13を含むND4ポリペプチドをコードする核酸配列と、
配列番号12を含むMTS Cox10ポリペプチド配列をコードする核酸配列と、
を含む。
【0045】
幾つかの実施形態では、本開示の組み換えベクターは、ND4タンパク質をコードする組み換えアデノ随伴ウイルス(AAV)血清型2(rAAV2/2)であり、
配列番号1を含む3’UTR Cox10配列と、
配列番号13を含むND4ポリペプチドをコードする核酸配列と、
配列番号11を含むMTS Cox10ポリペプチド配列をコードする核酸配列と、
を含む。
【0046】
幾つかの実施形態では、本開示の組み換えベクターは、ND4タンパク質をコードする組み換えアデノ随伴ウイルス(AAV)血清型2(rAAV2/2)であり、
配列番号1を含む3’UTR Cox10配列と、
配列番号13を含むND4ポリペプチドをコードする核酸配列と、
配列番号12を含むMTS Cox10ポリペプチド配列をコードする核酸配列と、
を含む。
【0047】
【表3】
【0048】
プロモーター、イントロン又はITR等の配列が当業者によく知られており、当業者は、それぞれの配列を当該技術分野で既知の他の要素で容易に置き換えることができる。
【0049】
本開示の組み換えベクターは、ND4関連LHONを含むレーベル遺伝性視神経網膜症(LHON)の治療に有用である。
【0050】
幾つかの実施形態では、本開示の組み換えベクターは、それを必要とする患者に硝子体内注射によって投与される。
【0051】
幾つかの実施形態では、本開示の組み換えベクターは、それを必要とする患者に単回硝子体内注射によって投与される。
【0052】
幾つかの実施形態では、本開示の組み換えウイルスベクターは、それを必要とする患者に約10vg(ウイルスゲノム)/眼~1011vg/眼の1つ以上の用量で投与される。幾つかの実施形態では、本開示の組み換えAAV2ベクターは、それを必要とする患者に約1010vg/眼、例えば9×1010vg/眼の1つ以上の用量で投与される。
【0053】
本開示の一態様は、幾つかの実施形態で本開示の組み換えAAV2ベクターの作製に使用することができるpAAV-ND4トランスファープラスミドに関する。
【0054】
幾つかの実施形態では、本開示のpAAV-ND4トランスファープラスミドは、以下の機能要素及び配列を含む:
3’UTR Cox10:nt 11~605=595bp
コーディング配列ND4:nt 618~1997=1380bp
MTS Cox10:nt 1998~2081=84bp
HBB2イントロン:nt 2124~2616=493bp
CMVプロモーター:nt 2624~3283=660bp
ITR:nt 3327~3454=128bp
F1起点:nt 3872~4327=456bp
Kana R遺伝子:nt 4482~5273=792bp
COLE1起点:nt 5488~6102=615bp
ITR:nt 6324~6453=130bp。
【0055】
【表4】
【0056】
幾つかの実施形態では、本開示のpAAV-ND4トランスファープラスミドは、
(i)配列番号1の3’UTR Cox10配列と、
(ii)配列番号2のコード配列ND4と、
(iii)配列番号3のMTS Cox10配列と、
(iv)配列番号4のHBB2イントロン配列と、
(v)配列番号5のCMVプロモーター配列と、
(vi)配列番号6のITR配列と、
(vii)配列番号7のITR配列と、
を含む。
【0057】
幾つかの実施形態では、本開示のpAAV-ND4トランスファープラスミドは、
(i)配列番号1の3’UTR Cox10配列と、
(ii)配列番号17のコード配列ND4と、
(iii)配列番号3のMTS Cox10配列と、
(iv)配列番号4のHBB2イントロン配列と、
(v)配列番号5のCMVプロモーター配列と、
(vi)配列番号6のITR配列と、
(vii)配列番号7のITR配列と、
を含む。
【0058】
幾つかの実施形態では、本開示のpAAV-ND4トランスファープラスミドは、
(i)配列番号14の3’UTR Cox10配列と、
(ii)配列番号15のコード配列ND4と、
(iii)配列番号16のMTS Cox10配列と、
(iv)配列番号24のHBB2イントロン配列と、
(v)配列番号25のCMVプロモーター配列と、
(vi)配列番号26のITR配列と、
(vii)配列番号27のITR配列と、
を含む。
【0059】
幾つかの実施形態では、本開示のpAAV-ND4トランスファープラスミドは、
(i)配列番号14の3’UTR Cox10配列と、
(ii)配列番号18のコード配列ND4と、
(iii)配列番号16のMTS Cox10配列と、
(iv)配列番号24のHBB2イントロン配列と、
(v)配列番号25のCMVプロモーター配列と、
(vi)配列番号26のITR配列と、
(vii)配列番号27のITR配列と、
を含む。
【0060】
幾つかの実施形態では、本開示のpAAV-ND4トランスファープラスミドは、
gctcggtccgaacatgtggaatccccagtcccagtgcacagcagccgggtcctagctattggtattgttaga aggactatggttgagaatgtgtggggtggggaaaaccaaaaatgcaggccctggctcagtcaccaggaa gggggtgctccgaggcctttgagggacctgagctcacagaactacagacagcagatcatgaggctcaca ctttctggccaccaagtgccactctgctgggcatgtggagtgtgcgtgtggtgtggtggtaaggatggaacca aaagaggaagctgtgtatgtgtacccccatgtgaggaggaagaaacagaatagagggtggggttggag gagagatgtataaagaccctcaaagggaaaaataattccttttttgtattcactgactgagctgatgcatttctt atttggggagcattttgggtaatatttaaaaaaaaaaaaaactgtcaagtgatcactgggcaccgaattcgttt ataatcttgttctaaacccagcaatttctcttcttgtgttccagaattaccacaacatgctcgcctggcagcgga gggaaaggggcggtgggcgtcccagtgctcagatctctcgagtcaggatgagaaaccagtgataatgtct gggttcagggacagcagcaggatgggagacagatgcataaacatcagggtgttctctctggtgaatgagg gcttcatgttattaatgtggtgagtcagtgagccccactgggtagtggtaaacatgtacaggctgtagagggc tgtgaccagcatgttcagtcctgtcaggagcagggtgatgttgctccaggagaatgttgtcaccagcactga cagctctcccagcaggttaattgtagggggcagagccaggttggccagactagccaggagccaccagaa 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gaggttattattaatctggttgaaaaacagcagtgggatgatgctgataatcaggctgtgggttgtggtgttaat ccaaatcatgtgctttttgctcagccatgtgagaggcagcagcatgatggttggcacaatcagcttcagcata gtcctcctttccaggtaccacacactcccccccacacagccagtcaggagcctggatgacagtgtatgggg gctggcagccatgtcgactctagaggatccccggggaattcaatcgatgttcgaatcccaattctttgccaaa gtgatgggccagcacacagaccagcacgttgcccaggagctgtgggaggaagataagaggtatgaaca tgattagcaaaagggcctagcttggactcagaataatccagccttatcccaaccataaaataaaagcaga atggtagctggattgtagctgctattagcaatatgaaacctcttacatcagttacaatttatatgcagaaatattt atatgcagaaatattgctattgccttaacccagaaattatcactgttattctttagaatggtgcaaagaggcatg atacattgtatcattattgccctgaaagaaagagattagggaaagtattagaaataagataaacaaaaaag tatattaaaagaagaaagcattttttgtgggcctatagactctataggcggtacttacgtcactcttggcacggg gaatccgcgttccaatgcaccgttcccggccgggattcgaatccgcggaggctggatcggtcccggtgtctt ctatggaggtcaaaacagcgtggatggcgtctccaggcgatctgacggttcactaaacgagctctgcttata tagacctcccaccgtacacgcctaccgcccatttgcgtcaatggggcggagttgttacgacattttggaaagt cccgttgattttggtgccaaaacaaactcccattgacgtcaatggggtggagacttggaaatccccgtgagtc aaaccgctatccacgcccattgatgtactgccaaaaccgcatcaccatggtaatagcgatgactaatacgt agatgtactgccaagtaggaaagtcccataaggtcatgtactgggcataatgccaggcgggccatttaccg tcattgacgtcaatagggggcgtacttggcatatgatacacttgatgtactgccaagtgggcagtttaccgtaaatactccacccattgacgtcaatggaaagtccctattggcgttactatgggaacatacgtcattattgacgtca atgggcgggggtcgttgggcggtcagccaggcgggccatttaccgtaagttatgtaacgcggaactccata tatgggctatgaactaatgaccccgtaattgattactattaataactagacgcgtgcggccgtagataagtag catggcgggttaatcattaactacaaggaacccctagtgatggagttggccactccctctctgcgcgctcgct cgctcactgaggccgggcgaccaaaggtcgcccgacgcccgggctttgcccgggcggcctcagtgagc gagcgagcgcgccagctggcgtaatagcgaagaggcccgcaccgatcgcccttcccaacagttgcgca gcctgaatggcgaatggattccagacgattgagcgtcaaaatgtaggtatttccatgagcgtttttccgttgca atggctggcggtaatattgttctggatattaccagcaaggccgatagtttgagttcttctactcaggcaagtgat gttattactaatcaaagaagtattgcgacaacggttaatttgcgtgatggacagactcttttactcggtggcctc actgattataaaaacacttctcaggattctggcgtaccgttcctgtctaaaatccctttaatcggcctcctgtttag ctcccgctctgattctaacgaggaaagcacgttatacgtgctcgtcaaagcaaccatagtacgcgccctgta gcggcgcattaagcgcggcgggtgtggtggttacgcgcagcgtgaccgctacacttgccagcgccctagc gcccgctcctttcgctttcttcccttcctttctcgccacgttcgccggctttccccgtcaagctctaaatcgggggc tccctttagggttccgatttagtgctttacggcacctcgaccccaaaaaacttgattagggtgatggttcacgta gtgggccatcgccctgatagacggtttttcgccctttgacgttggagtccacgttctttaatagtggactcttgttc caaactggaacaacactcaaccctatctcggtctattcttttgatttataagggattttgccgatttcggcctattg gttaaaaaatgagctgatttaacaaaaatttaacgcgaattttaacaaaatattaacgcttacaatttaggtgg cacttttcggggaaatgtgcgcggaacccctatttgtttatttttctaaatacattcaaatatgtatccgctcatga gacaataaccctgataaatgcttcaataatagcacctagatcaagagacaggatgaggatcgtttcgcatg attgaacaagatggattgcacgcaggttctccggccgcttgggtggagaggctattcggctatgactgggca caacagacaatcggctgctctgatgccgccgtgttccggctgtcagcgcaggggcgcccggttctttttgtca agaccgacctgtccggtgccctgaatgaactgcaagacgaggcagcgcggctatcgtggctggccacga cgggcgttccttgcgcagctgtgctcgacgttgtcactgaagcgggaagggactggctgctattgggcgaa gtgccggggcaggatctcctgtcatctcaccttgctcctgccgagaaagtatccatcatggctgatgcaatgc ggcggctgcatacgcttgatccggctacctgcccattcgaccaccaagcgaaacatcgcatcgagcgagc acgtactcggatggaagccggtcttgtcgatcaggatgatctggacgaagagcatcaggggctcgcgcca gccgaactgttcgccaggctcaaggcgagcatgcccgacggcgaggatctcgtcgtgacccatggcgat gcctgcttgccgaatatcatggtggaaaatggccgcttttctggattcatcgactgtggccggctgggtgtggc ggaccgctatcaggacatagcgttggctacccgtgatattgctgaagagcttggcggcgaatgggctgacc gcttcctcgtgctttacggtatcgccgctcccgattcgcagcgcatcgccttctatcgccttcttgacgagttcttct gaattattaacgcttacaatttcctgatgcggtattttctccttacgcatctgtgcggtatttcacaccgcatcaggt ggcacttttcggggaaatgtgcgcggaacccctatttgtttatttttctaaatacattcaaatatgtatccgctcat gaccaaaatcccttaacgtgagttttcgttccactgagcgtcagaccccgtagaaaagatcaaaggatcttct tgagatcctttttttctgcgcgtaatctgctgcttgcaaacaaaaaaaccaccgctaccagcggtggtttgtttgc cggatcaagagctaccaactctttttccgaaggtaactggcttcagcagagcgcagataccaaatactgtcc ttctagtgtagccgtagttaggccaccacttcaagaactctgtagcaccgcctacatacctcgctctgctaatc ctgttaccagtggctgctgccagtggcgataagtcgtgtcttaccgggttggactcaagacgatagttaccgg ataaggcgcagcggtcgggctgaacggggggttcgtgcacacagcccagcttggagcgaacgacctac accgaactgagatacctacagcgtgagctatgagaaagcgccacgcttcccgaagggagaaaggcgg acaggtatccggtaagcggcagggtcggaacaggagagcgcacgagggagcttccagggggaaacg cctggtatctttatagtcctgtcgggtttcgccacctctgacttgagcgtcgatttttgtgatgctcgtcagggggg cggagcctatggaaaaacgccagcaacgcggcctttttacggttcctggccttttgctggccttttgctcacat gttctttcctgcgttatcccctgattctgtggataaccgtattaccgcctttgagtgagctgataccgctcgccgca gccgaacgaccgagcgcagcgagtcagtgagcgaggaagcggaagagcgcccaatacgcaaaccg cctctccccgcgcgttggccgattcattaatgcagctgcgcgctcgctcgctcactgaggccgcccgggcaa agcccgggcgtcgggcgacctttggtcgcccggcctcagtgagcgagcgagcgcgcagagagggagtg gccaactccatcactaggggttccttgtagttaatgattaacccgccatgctacttatcta(配列番号22)を含む。
【0061】
幾つかの実施形態では、本開示のpAAV-ND4トランスファープラスミドは、以下の機能要素及び配列を含む:
3’UTR Cox10:nt 11~605=595bp
コーディング配列ND4:nt 618~1997=1380bp
MTS Cox10:nt 1998~2081=84bp
HBB2イントロン:nt 2124~2616=493bp
CMVプロモーター:nt 2624~3283=660bp
ITR:nt 3327~3454=128bp
F1起点:nt 3827~4282=456bp
Kana R遺伝子:nt 4437~5228=792bp
COLE1起点:nt 5443~6057=615bp
ITR:nt 6279~6408=130bp。
【0062】
【表5】
【0063】
幾つかの実施形態では、本開示のpAAV-ND4トランスファープラスミドは、
gctcggtccgaacatgtggaatccccagtcccagtgcacagcagccgggtcctagctattggtattgttaga aggactatggttgagaatgtgtggggtggggaaaaccaaaaatgcaggccctggctcagtcaccaggaa gggggtgctccgaggcctttgagggacctgagctcacagaactacagacagcagatcatgaggctcaca ctttctggccaccaagtgccactctgctgggcatgtggagtgtgcgtgtggtgtggtggtaaggatggaacca aaagaggaagctgtgtatgtgtacccccatgtgaggaggaagaaacagaatagagggtggggttggag gagagatgtataaagaccctcaaagggaaaaataattccttttttgtattcactgactgagctgatgcatttctt atttggggagcattttgggtaatatttaaaaaaaaaaaaaactgtcaagtgatcactgggcaccgaattcgttt ataatcttgttctaaacccagcaatttctcttcttgtgttccagaattaccacaacatgctcgcctggcagcgga gggaaaggggcggtgggcgtcccagtgctcagatctctcgagtcaggatgagaaaccagtgataatgtct gggttcagggacagcagcaggatgggagacagatgcataaacatcagggtgttctctctggtgaatgagg gcttcatgttattaatgtggtgagtcagtgagccccactgggtagtggtaaacatgtacaggctgtagagggc tgtgaccagcatgttcagtcctgtcaggagcagggtgatgttgctccaggagaatgttgtcaccagcactga cagctctcccagcaggttaattgtagggggcagagccaggttggccagactagccaggagccaccagaa agccatcagtgggagcagggtctggagcccctgactcaggatcataattcttgagtgagttctttcatagttgc tatttgccaggcagaacaggaggctgctggtcagcccatgagcaatcatgaggatcactgccccagtaaa ggaccagggtgtctgaatcagaatggcagtcaccaccagtgccatgtggctgatggagctgtaagcaatc aggctcttgaggtcagtctgcctgagacagatggagctggtcatgatcataccccagaggctcagaaccag gaaagggtaagccatgtgctttgtcagagggttcaggatcagggtgagcctcatcataccataaccaccca gcttcaggaggacagcagccaggaccatggagccagctattggagcttccacatgagccttggggagcc agaggtgcaggccatagaggggcatcttcaccataaaggccattgtataagccagccacatcaggttgttt gcccaggagttactcagctcctgggcagtcagagtcagcaggaggatgttcaggctacccagtgtgttgtg ggtatagatcagtgcaatcagcaggggcagtgagcccaccagtgtataaaagagaaagtaggtgcctgc attcagcctctcaggctgatttccccacctagtgatgatggccagggttgggatgagagtggtctcaaagaa gatatagaacatgatcagctcagtggctgtgaaggtcataatcaggctgatttgcaggctaatgagcatgga caggtacagctttttccttgacagaggctctgagctgaggtgcctctgactggccatgatagtcagaggcagc agccatgtggtcagcatgagcaggggggttgtcaggggatcagaggaaaaggtaggggagcatgaaaa gaggttattattaatctggttgaaaaacagcagtgggatgatgctgataatcaggctgtgggttgtggtgttaat ccaaatcatgtgctttttgctcagccatgtgagaggcagcagcatgatggttggcacaatcagcttcagcata gtcctcctttccaggtaccacacactcccccccacacagccagtcaggagcctggatgacagtgtatgggg gctggcagccatgtcgactctagaggatccccggggaattcaatcgatgttcgaatcccaattctttgccaaa gtgatgggccagcacacagaccagcacgttgcccaggagctgtgggaggaagataagaggtatgaaca tgattagcaaaagggcctagcttggactcagaataatccagccttatcccaaccataaaataaaagcaga atggtagctggattgtagctgctattagcaatatgaaacctcttacatcagttacaatttatatgcagaaatattt atatgcagaaatattgctattgccttaacccagaaattatcactgttattctttagaatggtgcaaagaggcatg atacattgtatcattattgccctgaaagaaagagattagggaaagtattagaaataagataaacaaaaaag tatattaaaagaagaaagcattttttgtgggcctatagactctataggcggtacttacgtcactcttggcacggg gaatccgcgttccaatgcaccgttcccggccgggattcgaatccgcggaggctggatcggtcccggtgtctt ctatggaggtcaaaacagcgtggatggcgtctccaggcgatctgacggttcactaaacgagctctgcttata tagacctcccaccgtacacgcctaccgcccatttgcgtcaatggggcggagttgttacgacattttggaaagt cccgttgattttggtgccaaaacaaactcccattgacgtcaatggggtggagacttggaaatccccgtgagtc aaaccgctatccacgcccattgatgtactgccaaaaccgcatcaccatggtaatagcgatgactaatacgt agatgtactgccaagtaggaaagtcccataaggtcatgtactgggcataatgccaggcgggccatttaccg tcattgacgtcaatagggggcgtacttggcatatgatacacttgatgtactgccaagtgggcagtttaccgtaa atactccacccattgacgtcaatggaaagtccctattggcgttactatgggaacatacgtcattattgacgtca atgggcgggggtcgttgggcggtcagccaggcgggccatttaccgtaagttatgtaacgcggaactccata tatgggctatgaactaatgaccccgtaattgattactattaataactagacgcgtgcggccgtagataagtag catggcgggttaatcattaactacaaggaacccctagtgatggagttggccactccctctctgcgcgctcgct cgctcactgaggccgggcgaccaaaggtcgcccgacgcccgggctttgcccgggcggcctcagtgagc gagcgagcgcgcagctggcgtaatagcgaagaggcccgcaccgatcgcccttcccaacagttgcgcagcctgaatggcgaatggcgattccgttgcaatggctggcggtaatattgttctggatattaccagcaaggccga tagtttgagttcttctactcaggcaagtgatgttattactaatcaaagaagtattgcgacaacggttaatttgcgt gatggacagactcttttactcggtggcctcactgattataaaaacacttctcaggattctggcgtaccgttcctgt ctaaaatccctttaatcggcctcctgtttagctcccgctctgattctaacgaggaaagcacgttatacgtgctcg tcaaagcaaccatagtacgcgccctgtagcggcgcattaagcgcggcgggtgtggtggttacgcgcagcg tgaccgctacacttgccagcgccctagcgcccgctcctttcgctttcttcccttcctttctcgccacgttcgccgg ctttccccgtcaagctctaaatcgggggctccctttagggttccgatttagtgctttacggcacctcgaccccaa aaaacttgattagggtgatggttcacgtagtgggccatcgccctgatagacggtttttcgccctttgacgttgga gtccacgttctttaatagtggactcttgttccaaactggaacaacactcaaccctatctcggtctattcttttgattt ataagggattttgccgatttcggcctattggttaaaaaatgagctgatttaacaaaaatttaacgcgaattttaa caaaatattaacgcttacaatttaggtggcacttttcggggaaatgtgcgcggaacccctatttgtttatttttcta aatacattcaaatatgtatccgctcatgagacaataaccctgataaatgcttcaataatagcacctagatcaa gagacaggatgaggatcgtttcgcatgattgaacaagatggattgcacgcaggttctccggccgcttgggtg gagaggctattcggctatgactgggcacaacagacaatcggctgctctgatgccgccgtgttccggctgtca gcgcaggggcgcccggttctttttgtcaagaccgacctgtccggtgccctgaatgaactgcaagacgaggc agcgcggctatcgtggctggccacgacgggcgttccttgcgcagctgtgctcgacgttgtcactgaagcgg gaagggactggctgctattgggcgaagtgccggggcaggatctcctgtcatctcaccttgctcctgccgaga aagtatccatcatggctgatgcaatgcggcggctgcatacgcttgatccggctacctgcccattcgaccacc aagcgaaacatcgcatcgagcgagcacgtactcggatggaagccggtcttgtcgatcaggatgatctgga cgaagagcatcaggggctcgcgccagccgaactgttcgccaggctcaaggcgagcatgcccgacggcg aggatctcgtcgtgacccatggcgatgcctgcttgccgaatatcatggtggaaaatggccgcttttctggattc atcgactgtggccggctgggtgtggcggaccgctatcaggacatagcgttggctacccgtgatattgctgaa gagcttggcggcgaatgggctgaccgcttcctcgtgctttacggtatcgccgctcccgattcgcagcgcatcg ccttctatcgccttcttgacgagttcttctgaattattaacgcttacaatttcctgatgcggtattttctccttacgcat ctgtgcggtatttcacaccgcatcaggtggcacttttcggggaaatgtgcgcggaacccctatttgtttatttttct aaatacattcaaatatgtatccgctcatgaccaaaatcccttaacgtgagttttcgttccactgagcgtcagac cccgtagaaaagatcaaaggatcttcttgagatcctttttttctgcgcgtaatctgctgcttgcaaacaaaaaa accaccgctaccagcggtggtttgtttgccggatcaagagctaccaactctttttccgaaggtaactggcttca gcagagcgcagataccaaatactgttcttctagtgtagccgtagttaggccaccacttcaagaactctgtagc accgcctacatacctcgctctgctaatcctgttaccagtggctgctgccagtggcgataagtcgtgtcttaccg ggttggactcaagacgatagttaccggataaggcgcagcggtcgggctgaacgggggggtcgtgcacac agcccagcttggagcgaacgacctacaccgaactgagatacctacagcgtgagctatgagaaagcgcc acgcttcccgaagggagaaaggcggacaggtatccggtaagcggcagggtcggaacaggagagcgc acgagggagcttccagggggaaacgcctggtatctttatagtcctgtcgggtttcgccacctctgacttgagc gtcgatttttgtgatgctcgtcaggggggcggagcctatggaaaaacgccagcaacgcggcctttttacggtt cctggccttttgctggccttttgctcacatgttctttcctgcgttatcccctgattctgtggataaccgtattaccgcct ttgagtgagctgataccgctcgccgcagccgaacgaccgagcgcagcgagtcagtgagcgaggaagcg gaagagcgcccaatacgcaaaccgcctctccccgcgcgttggccgattcattaatgcagctgcgcgctcg ctcgctcactgaggccgcccgggcaaagcccgggcgtcgggcgacctttggtcgcccggcctcagtgag cgagcgagcgcgcagagagggagtggccaactccatcactaggggttccttgtagttaatgattaacccgc catgctacttatctac(配列番号23)を含む。
【0064】
幾つかの実施形態では、本開示のpAAV-ND4トランスファープラスミドは、抗生物質選択を可能にするためにカナマイシン耐性遺伝子を含む。幾つかの実施形態では、本開示のpAAV-ND4トランスファープラスミドは、プラスミドの複製を可能にするためにf1複製起点配列を含む。幾つかの実施形態では、本開示のpAAV-ND4トランスファープラスミドは、プラスミドの複製を可能にするためにColE1複製起点配列を含む。
【0065】
このため、幾つかの実施形態では、本開示のpAAV-ND4トランスファープラスミドは、
(i)
acgcgccctgtagcggcgcattaagcgcggcgggtgtggtggttacgcgcagcgtgaccgctacacttgc cagcgccctagcgcccgctcctttcgctttcttcccttcctttctcgccacgttcgccggctttccccgtcaagctc taaatcgggggctccctttagggttccgatttagtgctttacggcacctcgaccccaaaaaacttgattagggt gatggttcacgtagtgggccatcgccctgatagacggtttttcgccctttgacgttggagtccacgttctttaata gtggactcttgttccaaactggaacaacactcaaccctatctcggtctattcttttgatttataagggattttgccg atttcggcctattggttaaaaaatgagctgatttaacaaaaatttaacgcgaattttaacaaaatattaacgctt acaattt(配列番号8)を含むf1複製起点配列と、
(ii)
attgaacaagatggattgcacgcaggttctccggccgcttgggtggagaggctattcggctatgactgggca caacagacaatcggctgctctgatgccgccgtgttccggctgtcagcgcaggggcgcccggttctttttgtca agaccgacctgtccggtgccctgaatgaactgcaagacgaggcagcgcggctatcgtggctggccacga cgggcgttccttgcgcagctgtgctcgacgttgtcactgaagcgggaagggactggctgctattgggcgaa gtgccggggcaggatctcctgtcatctcaccttgctcctgccgagaaagtatccatcatggctgatgcaatgc ggcggctgcatacgcttgatccggctacctgcccattcgaccaccaagcgaaacatcgcatcgagcgagc acgtactcggatggaagccggtcttgtcgatcaggatgatctggacgaagagcatcaggggctcgcgcca gccgaactgttcgccaggctcaaggcgagcatgcccgacggcgaggatctcgtcgtgacccatggcgat gcctgcttgccgaatatcatggtggaaaatggccgcttttctggattcatcgactgtggccggctgggtgtggc ggaccgctatcaggacatagcgttggctacccgtgatattgctgaagagcttggcggcgaatgggctgacc gcttcctcgtgctttacggtatcgccgctcccgattcgcagcgcatcgccttctatcgccttcttgacgagttcttct ga(配列番号9)を含むカナマイシン耐性遺伝子配列と、
(iii)
aaaggatcttcttgagatcctttttttctgcgcgtaatctgctgcttgcaaacaaaaaaaccaccgctaccagc ggtggtttgtttgccggatcaagagctaccaactctttttccgaaggtaactggcttcagcagagcgcagata ccaaatactgtccttctagtgtagccgtagttaggccaccacttcaagaactctgtagcaccgcctacatacct cgctctgctaatcctgttaccagtggctgctgccagtggcgataagtcgtgtcttaccgggttggactcaagac gatagttaccggataaggcgcagcggtcgggctgaacggggggttcgtgcacacagcccagcttggagc gaacgacctacaccgaactgagatacctacagcgtgagctatgagaaagcgccacgcttcccgaaggg agaaaggcggacaggtatccggtaagcggcagggtcggaacaggagagcgcacgagggagcttccagggggaaacgcctggtatctttatagtcctgtcgggtttcgccacctctgacttgagcgtcgatttttgtgatgctc gtcaggggggcggagcctatggaaaaacgccagcaacgcg(配列番号10)を含むColE1複製起点配列と、
を更に含む。
【0066】
本開示のpAAV-ND4トランスファープラスミドの生成は、当該技術分野で既知の好適な遺伝子工学技術を用いて達成することができる(例えば、Green, et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 4th edition, Cold Spring Harbor Press, (2012)を参照されたい)。
【0067】
幾つかの実施形態では、本開示の組み換えAAVベクターは、一過性パッケージング細胞株における(i)本開示のpAAV-ND4トランスファープラスミド(例えば、図2に示すプラスミド)、(ii)AAV2/2粒子の産生に関与する必須タンパク質(例えば、非限定的な例としては、酵素及び構造タンパク質)の合成をコードする遺伝物質を宿主細胞に与えるrep/capプラスミド、及び(iii)rep/cap遺伝子の発現を誘導するヘルパー機能を与えるアデノウイルスヘルパープラスミドによる三重トランスフェクションによって作製される。
【0068】
幾つかの実施形態では、パッケージング細胞株がヒト胎児腎臓293(HEK 293)細胞株を含む。
【0069】
幾つかの実施形態では、rep/capプラスミドは、pRep2Cap2プラスミドである。幾つかの実施形態では、rep/capプラスミドは、以下の要素:
i. AAV2/2血清型に由来するrep配列(nt 281~2212、1932bp)と、
ii. AAV2/2血清型に由来するcap配列(nt 2163~4370;2208bp)と、
iii. カナマイシン耐性遺伝子(nt 5712~6506、相補的;795bp)と、
iv. 原核生物複製起点(nt 4896~5496;601bp)及びファージf1複製起点(nt 6658~7113;456bp)と、
を含むpRep2Cap2プラスミドである(図3)。
【0070】
幾つかの実施形態では、アデノウイルスヘルパープラスミドは、pXX6プラスミドである。幾つかの実施形態では、アデノウイルスヘルパープラスミドは、以下の要素:
i. アデノウイルスITR(nt 1~85及び18638~18732)と、
ii. カナマイシン耐性遺伝子(nt 1402~2196、795bp)と、
iii. 原核生物複製起点(nt 2411~3025;615bp)及びファージf1複製起点(nt 795~1250;456bp)と、
iv. 13個の特異的アデノウイルス配列(VA1 RNA配列からE4orf2配列まで、nt 4259~17916)と、
を含むpXX6プラスミドである(図4)。
【0071】
LHONを患い、本明細書に開示される組み換えベクターで治療される患者は、例えば視力の改善による治療効果を得ることができる。「治療」という用語は、本明細書で使用される場合、疾患、疾患の1つ以上の症状、又は疾患の素因を治癒する、回復させる、緩和する、軽減する、変化させる、矯正する、寛解させる、改善する、又はそれに影響を及ぼす目的での疾患、疾患の症状又は疾患の素因を有する被験体への治療剤の適用又は投与として定義される。本開示の組成物が単独で又は別の治療剤と組み合わせて、治療されるLHONの少なくとも1つの症状を治療の非存在下でのその症状と比較して治癒する、回復させる、緩和する、軽減する、変化させる、矯正する、寛解させる、改善する、又はそれに影響を及ぼす限りにおいて、障害の全ての症状が治癒する、回復する、緩和する、軽減する、変化する、矯正される、寛解する、改善する又は影響を受けるか否かに関わらず、結果は基礎障害の治療とみなされる。治療は、「有効量」の治療剤を用いて達成することができ、これは部分的及び完全な治療、例えば疾患、疾患の1つ以上の症状、又は疾患の素因を部分的又は完全に治癒する、回復させる、緩和する、軽減する、変化させる、矯正する、寛解させる、改善する、又はそれに影響を及ぼすことを包含すると理解されるものとする。「有効量」は、経験的に決定することができる。同様に、「治療有効量」は、既定の治療効果を達成するのに効果的な濃度である。
【0072】
一実施形態では、「治療する」という用語は、本明細書に開示される核酸、ベクター、組み換えウイルス又は医薬組成物を含む組成物の有効用量又は有効複数回用量(multiple doses)を、それを必要とする動物(ヒトを含む)に投与する工程を含む。用量を障害/疾患の発生前に投与する場合、投与は予防的である。用量を障害/疾患の発生後に投与する場合、投与は治療的である。実施形態では、有効用量は、治療される障害/疾患状態と関連する少なくとも1つの症状を検出可能に緩和する(解消するか又は減少させる)、障害/疾患状態への進行を遅らせる又は防ぐ、障害/疾患状態の進行を遅らせる又は防ぐ、疾患の範囲を減らす、疾患の寛解(部分又は完全)をもたらす、及び/又は生存を延長する用量である。この用語は、完全な治療(すなわち、治癒)及び/又は予防を包含するが、必要とはしない。
【0073】
幾つかの実施形態では、投与される組み換えベクターの力価は、ウイルスゲノム(vg)で測定される。幾つかの実施形態では、投与される組み換えベクターの力価は、定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)によって測定される。幾つかの実施形態では、投与される組み換えベクターの力価は、デジタルドロップレットPCR(ddPCR)によって測定される。幾つかの実施形態では、組み換えAAVベクターは、約1.0×10vg/眼~1.0×1012vg/眼の量で硝子体内に投与される。幾つかの実施形態では、組み換えAAVベクターは、約5.0×10vg/眼~5×1011vg/眼の量で硝子体内に投与される。幾つかの実施形態では、組み換えAAVベクターは、約1.0×1010vg/眼~1×1011vg/眼の量で硝子体内に投与される。幾つかの実施形態では、組み換えAAVベクターは、約9×10110vg/眼の量で硝子体内に投与される。組み換えベクターの力価は、組み換えベクター内にハイブリダイズするプライマーからのPCRによって測定することができる。プライマーの例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:
CTCCATCACTAGGGGTTCCTTG AAV22mers.F(配列番号19)
GTAGATAAGTAGCATGGC AAV18mers.R(配列番号20)
TAGTTAATGATTAACCC AAV_MGB.P(配列番号21)
【0074】
幾つかの実施形態では、ヒトNADHデヒドロゲナーゼ4(ND4)の遺伝子をコードする本開示の組み換えベクター、例えばAAV血清型2(rAAV)は、
配列番号1を含む3’UTR Cox10配列と、
配列番号13を含むND4ポリペプチドをコードする核酸配列と、
配列番号11を含むMTS Cox10ポリペプチドをコードする核酸配列と、
を含み、それを必要とする患者に有効用量で投与される。幾つかの実施形態では、患者はLHONを患う。
【0075】
幾つかの実施形態では、ヒトNADHデヒドロゲナーゼ4(ND4)の遺伝子をコードする本開示の組み換えベクター、例えばAAV血清型2(rAAV)は、
配列番号1を含む3’UTR Cox10配列と、
配列番号13を含むND4ポリペプチドをコードする核酸配列と、
配列番号12を含むMTS Cox10ポリペプチドをコードする核酸配列と、
を含み、それを必要とする患者に有効用量で投与される。幾つかの実施形態では、患者はLHONを患う。
【0076】
幾つかの実施形態では、ヒトNADHデヒドロゲナーゼ4(ND4)の遺伝子をコードする本開示の組み換えベクター、例えばAAV血清型2(rAAV)は、
配列番号14を含む3’UTR Cox10配列と、
配列番号13を含むND4ポリペプチドをコードする核酸配列と、
配列番号11を含むMTS Cox10ポリペプチドをコードする核酸配列と、
を含み、それを必要とする患者に有効用量で投与される。幾つかの実施形態では、患者はLHONを患う。
【0077】
幾つかの実施形態では、ヒトNADHデヒドロゲナーゼ4(ND4)の遺伝子をコードする本開示の組み換えベクター、例えばAAV血清型2(rAAV)は、
配列番号14を含む3’UTR Cox10配列と、
配列番号13を含むND4ポリペプチドをコードする核酸配列と、
配列番号12を含むMTS Cox10ポリペプチドをコードする核酸配列と、
を含み、それを必要とする患者に有効用量で投与される。幾つかの実施形態では、患者はLHONを患う。
【0078】
LHONの発症は、症状の存在によって決定することができる。幾つかの実施形態では、組み換えベクターは9ヶ月未満、例えば6ヶ月~9ヶ月、3ヶ月~6ヶ月又は1ヶ月~3ヶ月の疾患発症を有する患者に投与される。幾つかの実施形態では、組み換えベクターは9ヶ月超、例えば12ヶ月、2年間又は3年間にわたる疾患発症を有する患者に投与される。幾つかの実施形態では、患者はLHONの1つ以上の症状、例えば視力の低下を示す。
【0079】
患者の視力を測定するスケールは、最小分離視角(Minimum Angle of Resolution:MAR)の(10を底とする)対数として表すことができる(Bailey IL, Lovie JE. I, Am. J. Optom. Physiol. Opt., 53 (11): 740-745 (1976))。LogMARスケールにより、従来のチャートの幾何学的配列が線形スケールに変換される。これは視力低下を測定するものであり、正の値は視覚低下(vision loss)を示し、負の値は正常又はより良好な視力を意味する。幾つかの実施形態では、LHONを患う患者の視力は、LogMarスケールによって測定される。幾つかの実施形態では、LHONを患う患者の視力は、スネレンスケールによって測定される。
【0080】
別の一般に用いられる視力の尺度は、非常に低い視覚レベルまで視力を数値化することが可能な早期治療糖尿病性網膜症研究(ETDRS)視力チャートである(Ferris et al., Am. J. Opthalmol., 94:91-96 (1982))。幾つかの実施形態では、LHONを患う患者の視力は、ETDRSチャートによって測定される。
【0081】
コントラストは、同じ視野内の物体と他の物体との色及び明るさの差によって決定される。LHONを患う患者は、コントラストに対する感度の低下を有し得る。視力を測定する別のスケールは、ペリ-ロブソンコントラスト感度チャートであり得る(Pelli et al., Clin. Vision Sci., 2(3):187-199 (1988))。幾つかの実施形態では、LHONを患う患者の視力は、ペリ-ロブソンチャートによって測定される。
【0082】
幾つかの実施形態では、治療は治療前、例えばベースライン時の視力が2.0LogMAR未満、例えば1.8LogMAR未満、1.6LogMAR未満、1.4LogMAR未満、1.2LogMAR未満、1.0LogMAR未満又は0.8LogMAR未満の患者において行われる。幾つかの実施形態では、治療は治療前、例えばベースライン時の視力が少なくとも3文字、例えば少なくとも4文字、5文字、6文字、7文字、8文字、9文字、10文字、11文字又は12文字の患者において行われる。
【0083】
治療に対する有効性又は反応は、疾患症状の好転又は改善によって測定することができる。幾つかの実施形態では、ベースライン視力は、治療を行う前に測定される。幾つかの実施形態では、治療に対する有効性又は反応は、視力の向上によって測定される。幾つかの実施形態では、治療に対する有効性又は反応は、治療前のベースラインと比較した治療後の視力の向上によって測定される。幾つかの実施形態では、治療に対する有効性又は反応は、治療前及び治療後のETDRSスコアの差によって測定される。幾つかの実施形態では、治療に対する有効性又は反応は、ベースラインと比較した治療後の少なくとも+5.0、例えば少なくとも+6.0、+7.0、+8.0、+9.0、+10.0、+11.0、+12.0、+13.0、+14.0、+15.0又は+16.0のETDRSスコアの差によって測定される。幾つかの実施形態では、治療に対する有効性又は反応は、ベースラインと比較した治療後の少なくとも0.05、例えば少なくとも0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9又は1.0のLogMARの差によって測定される。
【0084】
本明細書に開示されるように、理論に束縛されるものではないが、本開示の組み換えベクターによる治療に反応する患者(例えば、視力の向上が観察された患者)は、9ヶ月未満、例えば6ヶ月~9ヶ月のベースライン時の罹病期間(例えば、視覚低下)、及び/又は1.6LogMAR未満のベースライン時の視力を有する患者を含み得る。幾つかの実施形態では、基準(例えば、9ヶ月未満、又は6ヶ月~9ヶ月のベースライン時の視覚低下によって測定される罹病期間、及び/又は1.6LogMAR未満のベースライン時の視力)は、本開示の組み換えベクターによる治療により良好に反応することが予想される患者亜集団(例えば、視力の向上が予想され得る患者集団)の特定に用いることができる。
【0085】
本開示は、(i)9ヶ月未満(例えば、6ヶ月~9ヶ月)のベースライン時の罹病期間、及び/又は(ii)1.6LogMAR未満のベースライン時の視力を有する患者群に対するレーベル遺伝性視神経網膜症(LHON)の治療におけるヒトNADHデヒドロゲナーゼ4(ND4)ポリペプチドをコードし、(i)配列番号11を含むMTS Cox10配列をコードする核酸配列と、(ii)配列番号13を含むNADHデヒドロゲナーゼ4(ND4)ポリペプチドをコードする核酸配列と、(iii)配列番号14を含む3’UTR Cox10配列(又はその逆相補体、配列番号1)とを含む組み換えベクターの使用を更に記載する。
【0086】
本開示は、(i)9ヶ月未満(例えば、6ヶ月~9ヶ月)のベースライン時の罹病期間、及び/又は(ii)1.6LogMAR未満のベースライン時の視力を有するLHONを患う患者を治療する方法であって、ヒトNADHデヒドロゲナーゼ4(ND4)ポリペプチドをコードし、(i)配列番号11を含むMTS Cox10配列をコードする核酸配列と、(ii)配列番号13を含むNADHデヒドロゲナーゼ4(ND4)ポリペプチドをコードする核酸配列と、(iii)配列番号14を含む3’UTR Cox10配列(又はその逆相補体、配列番号1)とを含む組み換えベクターを有効量投与することを含む、方法も記載する。
【0087】
本開示を以下の実施例によって更に説明するが、実施例は限定と解釈されるものではない。本願全体を通して引用される全ての参照文献、特許及び公開特許出願の内容、並びに図面は、その全体があらゆる目的で引用することにより本明細書の一部をなす。
【実施例
【0088】
実施例1
レーベル遺伝性視神経網膜症を有する患者における組み換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター血清型2を含み、ヒトミトコンドリアND4遺伝子を有する本明細書に開示されるベクター(rAAV2/2-ND4)(「ベクターA」)の安全性及び有効性を調査した。
【0089】
研究に参加する患者は、6ヶ月超~1年までの期間にわたって視覚低下を患っていた。登録された被験体では、ND4遺伝子にG11778A突然変異が確認された。また、登録された被験体は、指数弁(Count Fingers)以上のベースライン視覚を有していた。
【0090】
各患者の一方の眼を無作為に選択してベクターAの単回注射を行い、もう一方の眼に偽注射を行った。第1の患者群では、右眼(OD)をベクターAで処置し、左眼(OS)を偽処置した。第2の患者群では、右眼(OD)を偽処置し、左眼(OS)をベクターAで処置した。
【0091】
ベクターAによる処置には、90μLの平衡塩類溶液+0.001%Pluronic F68(商標)中に9×1010ウイルスゲノムを含有する硝子体内注射を用いた。偽処置は、針を有しない注射器の鈍端を用いて通常の硝子体内注射手順の位置で眼に圧力をかけることによって行われる硝子体内注射を含むものであった。
【0092】
ベクターAで処置した眼と偽処置した眼とで、ベースライン(研究前)点からの変化及び処置後48週目に患者がETDRSチャート上で読んだ文字の数から得られる48週目のLogMAR視力(acuity)の比較を行った。別の比較様式で、各患者の視力が良い方の眼を初回来院時の無作為化の前に視覚検査の結果に基づいて決定した。ベクターAを受けた視力が良い方の眼を、偽注射を受けた視力が良い方の眼と比較した。同様の分析を視力が悪い方の眼について行った。当業者には理解されるように、ETDRS(早期治療糖尿病性網膜症研究)は、非常に低い視覚レベルまで視力を数値化することが可能な視力の測定である。
【0093】
当業者には理解されるように、MARは、認識された最小の文字の線幅の最小分離視角(角度の分単位)を指す。MARの対数(LogMAR)、非限定的な例としてLogMARチャートが視力の決定に使用される(Johnston, A., Association of Contact Lens Manufacturers Year Book 2011-2016, pp. 38-39 (2016))。
【0094】
ベースライン時の患者背景を表6に示す。
【0095】
【表6】
【0096】
ベースライン時の患者視力に関するデータを表7に示す。
【0097】
【表7】
【0098】
48週目にベクターAの良好な安全性プロファイルが報告された。有害事象(AE)の75%が眼のものであった。眼AEの50%がベクターAに関連しており、眼AEの48%が手順に関連していた。最も一般的な眼AEは、前房炎症(15%)、硝子体炎(9%)、点状角膜炎(9%)及びIOP上昇(8%)を含んでいた。
【0099】
48週目に、tRNFL(側頭網膜神経線維層(temporal retinal nerve fiber layer))/PM(乳頭黄斑)束の厚さは、処置した眼で有意に保持され、処置していない眼で減少した。ベースラインから48週目までのRNFL側頭象限の変化に関するデータを表8に示す。
【0100】
【表8】
【0101】
48週目に、GCL(神経節細胞層)体積は処置した眼で有意に保持され、処置していない眼で減少した。少なくともこれらの結果から、ベクターAの生物学的標的が首尾よく関与することが示唆された。ベースラインから48週目までのGCL体積及びトポグラフィーマップの変化に関するデータを表9に示す。
【0102】
【表9】
【0103】
48週目に、視力の改善が両眼で観察された(平均して-0.21LogMAR)。ベースラインから48週目までのLogMARの変化に関するデータを表10に示す。処置した眼と処置していない眼との統計的有意差は観察されなかった。
【0104】
【表10】
【0105】
48週目に、Humphrey(商標)視野分析(平均偏差及び中心窩閾値)を用いて視野検査を行った。視野検査に関するデータを表11及び表12に示す。処置した眼と処置していない眼との差は観察されなかった。
【0106】
【表11】
【0107】
【表12】
【0108】
48週目に、ペリ-ロブソンチャートを用いてコントラスト感度を評定した(図5も参照されたい)。ベースライン時には、コントラスト感度は処置した眼でより悪かった(LogMAR視力によって決定される)。48週目に、ベクターAで処置した眼におけるコントラスト感度の測定値は、ほぼ2倍となり、偽処置した眼におけるコントラスト感度の測定値は、一定のままであった。ペリ-ロブソンチャートを用いて評定したコントラスト感度に関するデータを表13に示す。
【0109】
【表13】
【0110】
ファーンスワース-マンセル100ヒュー色試験を用いて色覚を試験した。ベースライン時には、色識別について極めて悪いスコアが観察された。48週目に、処置した眼と処置していない眼との差は観察されなかった。試験した色覚に関するデータを表14に示す。
【0111】
【表14】
【0112】
視覚機能アンケート-25(VFQ-25)を用いて48週目に生活の質を評定した。選択したサブスケールからのデータを表15に示す。スコア間のスコアの差は小さいが、患者の視力が悪い方の眼の処置は、生活の質の測定基準の改善をもたらすようであった。このような傾向がアンケートの全セクションにわたって観察された。
【0113】
【表15】
【0114】
研究データを更に分析して、ベクターAによる処置に特に反応する患者集団(例えば、視力の向上が観察された患者)を特定した。
【0115】
ベクターAで処置したオンチャート(on-chart)の最も視力が良い眼及び偽処置したオンチャートの最も視力が良い眼についてのベースラインからの視力の変化に関するデータを表16に示す。「オンチャート」は、ETDRSチャート上で少なくとも3文字読むことができ、及び/又は1.6LogMAR未満の視力を有する被験体を指す。
【0116】
【表16】
【0117】
ベースラインと比べたETDRSスコアの変化の差を測定した。表17に示されるように、この差は、全てのオンチャートの眼の組と比べてオンチャートの最も視力が良い眼の組で大きかった(+6.1対+4.5)。
【0118】
【表17】
【0119】
ベクターAで処置し、視力の向上が48週目に測定されたオンチャートの眼の組の中で、75%(12/16)が6ヶ月~9ヶ月のベースライン時の罹病期間を有し、25%(4/16)が9ヶ月~12ヶ月のベースライン時の罹病期間を有していた(表18を参照)。視力の向上が48週目に測定されたオンチャートの偽処置した眼の組の中で、50%(8/16)が6ヶ月~9ヶ月のベースライン時の罹病期間を有し、50%(8/16)が9ヶ月~12ヶ月のベースライン時の罹病期間を有していた。
【0120】
【表18】
【0121】
更なる分析では、「レスポンダー」は、少なくとも0.25LogMAR(+12.5のETDRS換算値)のオンチャートの患者における視力の改善を指すものであった。表19に示されるように、ベクターAで処置した全てのオンチャートの眼の24.0%及び偽処置した全てのオンチャートの眼の14.3%が「レスポンダー眼」と特徴付けられた。
【0122】
【表19】
【0123】
更なる分析では、「レスポンダー」は、少なくとも0.25LogMAR(+12.5のETDRS換算値)のオンチャートの患者の最も視力が良い眼における視力の改善を指すものであった。表20に示されるように、ベクターAで処置したオンチャートの最も視力が良い眼の25.0%及び偽処置したオンチャートの最も視力が良い眼の5.6%が「レスポンダー眼」と特徴付けられた。
【0124】
【表20】
【0125】
一般化推定方程式(GEE)モデルを用いて研究データを更に分析して、20/200視力エンドポイントの達成に対するベクターAによる処置の効果を評定した。結果から、ベクターAで処置した眼が偽処置した眼よりも20/200視力エンドポイントを達成する可能性が有意に高いことが示された(p=0.0005)。オッズ比は18.45であった(下側95%境界=3.60)。
【0126】
ベースライン時に法律上失明していた眼の数、及びベースライン時に失明していた眼のうち法律上の失明から回復した眼の数に関するデータを表21に示す。これに関連して、法律上失明している眼は、20/200よりも悪い視力を有すると定義される。
【0127】
【表21】
【0128】
研究データの分析から、ベクターAによる処置により良好に反応した患者の組(例えば、視力の向上が観察された患者)が9ヶ月未満、例えば6ヶ月~9ヶ月のベースライン時の罹病期間(例えば、視覚低下)、及び/又は1.6LogMAR未満のベースライン時の視力を有する患者を含むことが示された。このため、幾つかの実施形態では、これらの基準(9ヶ月未満、例えば6ヶ月~9ヶ月のベースライン時の罹病期間(例えば、視覚低下)、及び/又は1.6LogMAR未満のベースライン時の視力)を用いて、ベクターAによる処置により良好に反応することが予想される患者亜集団(例えば、視力の向上が予想され得る患者集団)を特定することができる。
【0129】
実施例2
試験により、11778-ND4レーベル遺伝性視神経症(LHON)に起因する視力低下が研究処置の6ヶ月前~12ヶ月前に始まった37人の被験体においてベクターA(rAAV2/2-ND4)の単回硝子体内注射の安全性及び有効性を評価した。96週目が予定された最後の試験の読み出しであり、データが明らかになり、個々の患者プロファイルへのアクセスを与える時点を示す。
【0130】
96週目に、ベクターAで処置した眼は、ベースラインと比較して、+15.4のETDRS文字又はETDRS視覚チャート上で3列に等しい-0.308LogMARの平均改善を示した(図6)。この臨床的に意義のあるレベルの視力の改善は、72週目に観察される増加(+14.7のETDRS文字換算値)を維持する。48週目及び72週目の読み出しと同様に、偽処置した眼の最良矯正視力(BCVA)は、比較的並行した軌跡で展開し、96週目にベースラインに対して-0.259LogMARの平均改善、すなわち+12.9のETDRS文字換算値の増加を達成した。大きさはより小さいが、偽処置した眼の平均BCVA改善は、ベクターAで処置した眼と比べて統計的に有意ではなかった。
【0131】
自然史と一致して、被験体に低視力の初期点、すなわち最下点(nadir)が見られた。最下点は、測定の週までにLogMARによって測定される最低の処置後のBCVAとして定義される。試験の被験体の眼は顕著に回復した。96週目までに、ベクターAで処置した眼は、その最下点と比べて+28文字の増加を得た。
【0132】
【表22】
【0133】
96週目に、ペリ-ロブソンチャート上で測定される低コントラスト視力は、ベクターAで処置した眼及び偽処置した眼の両方について同様の改善傾向を示した。偽処置した眼及びベクターAで処置した眼の軌跡は、BCVAほど密接には互いを追わなかった。平均コントラスト感度は、試験を通してより着実なベースラインに対する改善を示した(図7)。
【0134】
96週目にベースラインに対して少なくとも-0.2LogMAR又は+10のETDRS文字換算値の改善を達成した、ベクターAで処置した眼の割合は、対応する偽処置した眼の割合よりも統計的に有意に高かった(65%対46%、p値=0.0348)。また、ベクターAで処置した眼は、偽処置した眼よりも治療成功の別の尺度を達成する可能性が有意に高く、96週目にベースライン時のオンチャート視力から少なくとも15 ETDRS文字改善するか、又は96週目に20/200という米国の法律上の失明の閾値を回避した(32%対16%、p=0.0196)。
【0135】
一般化推定方程式(GEE)モデルに基づくと、ベクターAで処置した眼は、偽処置した眼よりも20/200以上となる可能性が2.8倍高かった(p=0.0094)。厳密に閾値を超えた眼のみを考慮すると、オッズ比は3.6に上昇した(p=0.0032)。
【0136】
さらに、試験の被験体の68%が96週目に少なくとも片方の眼で、(a)オンチャート視力から少なくとも10 ETDRS文字の改善、又は(b)オフチャート(off-chart)視力から少なくとも5 ETDRS文字を読むことが可能となるまでの改善によって定義される、自然な「臨床的に関連する回復(CRR)」を達成した。ベクターAで処置した眼は、これを達成する可能性が偽処置した眼よりも有意に高かった(62%対43%、p=0.0348)。比較すると、先の自然史研究では、同じ11778A突然変異を有する患者の15%のみがCRRを達成した。
【0137】
生活の質の観点では、視覚機能の改善は、試験の被験体によって記入された、有効な視覚特有の生活の質の評価法である国立眼病研究所(National Eye Institute)の視覚機能アンケート-25(NEI VFQ-25)調査でのスコアに反映された。表23に示されるように、平均総合スコア及び関連サブスケールスコアの平均は、特に近見視力による行動及び遠見視力による行動を取る能力についてベースラインに対して改善され続けた。ベースラインに対する平均サブスケールスコアの上昇は、他の眼疾患における15文字のBCVAの改善と関連付けられているものを上回っていた。
【0138】
【表23】
【0139】
構造的測定基準から、GS010で処置した眼が先の読み出しにおいて達成された神経節細胞体積の安定性を維持することが示される。しかしながら、療法の効果差は、先の読み出しでより顕著であった。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【配列表】
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