(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-09
(45)【発行日】2024-04-17
(54)【発明の名称】航空機用ターボマシンの取付ストラットの一端と、インターフローコンパートメントを区切る前記ターボマシンのカウリングとの間に配置されるように設計された改良型耐火装置
(51)【国際特許分類】
B64D 33/00 20060101AFI20240410BHJP
B64D 27/12 20060101ALI20240410BHJP
B64D 29/06 20060101ALI20240410BHJP
F02C 7/00 20060101ALI20240410BHJP
F02C 7/20 20060101ALI20240410BHJP
【FI】
B64D33/00 Z
B64D27/12
B64D29/06
F02C7/00 F
F02C7/20 A
(21)【出願番号】P 2020570808
(86)(22)【出願日】2019-06-25
(86)【国際出願番号】 FR2019051554
(87)【国際公開番号】W WO2020002822
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2022-05-31
(32)【優先日】2018-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】516227272
【氏名又は名称】サフラン・エアクラフト・エンジンズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャコン、ブルノ、アレクザンドル、ディディエ
(72)【発明者】
【氏名】アシュバリ、バグダード
(72)【発明者】
【氏名】シモノッティ、エルヴェ
【審査官】結城 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第107849983(CN,A)
【文献】特開2013-193733(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0267363(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0075948(US,A1)
【文献】特開2014-206167(JP,A)
【文献】英国特許出願公告第1279468(GB,A)
【文献】米国特許第5910094(US,A)
【文献】中国特許出願公開第106837557(CN,A)
【文献】国際公開第2018/011486(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64D 33/00,27/10,27/16,29/06,
F02C 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機ツインスプール・ターボマシン(1)の取付ストラット(9)の上流側端部(7)と、このターボマシンに取り付けられた接続カウリング(30)との間に配置されるように設計された耐火装置(50)であって、
前記接続カウリングは、インターフローコンパートメント(8a)の一部を半径方向に区切る上流側リング(10)を、前記ターボマシンのファンフローストリーム(26)を半径方向に通過するアーム(22)に接続するように設計され、
前記耐火装置は、
C字形状の断面を有する第1の接触リップ(52a)を備えた接触構造(73)であって、前記接触構造は、前記第1の接触リップ(52a)の長手方向端部(75a)の1つにビードセグメント(71)を含み、
前記ビードセグメント(71)の軸方向端部(77a)のうち一方は開放されているとともに前記第1の接触リップ(52a)と連続しており、他方の軸方向端部(77b)は閉鎖されており、前記第1の接触リップと前記ビードセグメントは第1の湾曲線(72a)に沿って延びる第1の接触端部(70a)を共同して画定している、接触構造(73)と、
支持部分(60)と、
前記接触構造(73)の前記ビードセグメント(71)を支持する接合ゾーン(62)を介して前記支持部分(60)に支持され、前記第1の湾曲線(72a)とは異なる第2の線(72b)に沿って延びる第2の接触端部(70b)を有する第2の接触リップ(52b)と、
を備え、
前記耐火装置(50)が一体部品である、
耐火装置(50)。
【請求項2】
前記第2の線(72b)は、直線であり、前記第1の湾曲線(72a)が内接する第1の平面の接触面(S1)に直交する、請求項1に記載の耐火装置。
【請求項3】
前記第1の接触リップ(52a)を支持する取付部分(56)をさらに備え、
前記取付部分は、取付要素(54)を通過させるための貫通孔(76)を含む、
請求項1に記載の耐火装置。
【請求項4】
前記支持部分(60)は、前記第2の接触リップ(52b)とその第2の接合ゾーン(62)に対向する細長い取付要素(90)を備える、請求項1に記載の耐火装置。
【請求項5】
前記耐火装置は、シリコーンエラストマー材料であるエラストマー材料(99)の少なくとも1つの層と、セラミック、ガラスまたはメタアラミド製である少なくとも1つの繊維質層(110)との重ね合わせによって形成される、
請求項1に記載の耐火装置。
【請求項6】
航空機用ツインスプール・ターボマシン(1)と、前記航空機の翼要素に固定するのに使用するターボマシン取付ストラット(9)とを備えた
航空機用推進アセンブリ(100)であって、
前記ターボマシン(1)は、
前記ターボマシンのコアエンジンフロー(28)とファンフロー(26)との境界に形成されたインターフローコンパートメント(8a)と、前記ファンフロー(26)を半径方向に通過するアーム(22)とを備え、
前記アーム(22)は、前記インターフローコンパートメント(8a)と連通し、
前記インターフローコンパートメントは、推進アセンブリ(100)の横方向(Y)に沿って、前記取付ストラット(9)の上流側端部(7)のそれぞれの側に1つずつ配置された2つの接続カウリング(30)により前記アームに接続された上流側リング(10)によって半径方向に部分的に区切られ、
前記取付ストラットの前記上流側端部(7)は、2つの側方面(42)と、前記取付ストラットの前記上流側端部(7)の基部(44)の輪郭に沿った周縁支承面(46)とを備え、
前記推進アセンブリ(100)は、請求項1に記載の耐火装置(50)を備え、
前記耐火装置は、前記取付ストラットの前記上流側端部(7)と、耐火装置(50)が固定されている前記接続カウリング(30)との間に配置され、前記2つの接続カウリング(30)のうちの少なくとも1つに関連している、
航空機用推進アセンブリ(100)。
【請求項7】
第1の接触端部(70a)は、前記取付ストラットの前記上流側端部(7)の前記周縁支承面(46)に搭載され、
第2の接触リップ(52b)の第2の接触端部(70b)は、前記取付ストラットの前記上流側端部(7)の対応する前記側方面(42)に搭載される、請求項6に記載のアセンブリ。
【請求項8】
第1の湾曲線(72a)は、前記推進アセンブリ(100)の前記横方向(Y)と長手方向(X)とに平行な第1の平面接触面(S1)に内接し、
前記第2の接触リップ(52b)によって画定される第2の線(72b)は、
前記推進アセンブリ(100)の縦方向(Z)と平行に延びる直線である、
請求項6に記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記第2の接触リップ(52b)は、前記取付ストラット(9)の前記上流側端部(7)の前記側方面(42)とナセルの可動式カバー(82)のシール(40)との間に拘束される、
請求項6に記載の推進アセンブリ。
【請求項10】
前記推進アセンブリ(100)は、
前記取付ストラットの前記上流側端部(7)と、相補型装置(50’)が固定されている前記接続カウリング(30)との間に配置された、前記2つの接続カウリング(30)の他方に関連した相補型耐火装置(50’)をさらに備え、
前記相補型耐火装置は、
前記耐火装置(50)に属する
第1の接触リップ(52a)の他方の長手方向端部(75b)と協働する接続ピン(112’)と一方の長手方向端部(75b’)が嵌合するビードシール(71’)の形態の接触構造を備えている、
請求項6に記載の推進アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機用ツインスプール・ターボマシンのインターフローコンパートメントと、このターボマシンの取付ストラットより上流のゾーンとの間の耐火機能に関するものである。特に、本発明は、インターフローコンパートメントで発生した火災が、取付ストラットより上流のゾーンに伝播することを防止することを目的としている。
【0002】
本発明は、あらゆるタイプのツインスプール・タービンエンジンに適用可能であり、特にターボジェットに適用可能である。
【背景技術】
【0003】
航空機用ツインスプール・ターボマシンでは、通常、ファンの下流側に、ファンのフローストリームの中を半径方向に通過する1つまたは複数のアームが設けられている。このアームは、通常、中間ケーシングの外側シュラウドの周囲に位置するファンコンパートメントを、インターフローコンパートメントに接続するように配置されている。従来、これらの2つのコンパートメントは、機器および補助装置を収容し、その一方で、これら2つの間に配置されたアームは、電気ケーブル、および/または流体パイプ等の異なる要素のための通路を提供する。
【0004】
このようなアームの半径方向内側の端部は、インターフローコンパートメントを半径方向外側に部分的に区切る上流側のリングに接続されている。このリングは、こうして、インターフローコンパートメントの外部エンベロープを形成する一組のカウリングの上流側端部を形成する。アームと上流側リングとの間に、取付ストラットの上流側端部の両側に横方向に2つの接続カウリングを介在させて、アームと上流側リングとの間の接合部を形成することが計画されている。
【0005】
また、ターボマシンを航空機の翼要素に固定するための取付ストラットは、ファンフローストリームを通過するアームとインターフローコンパートメントの上流側リングとの接合部に近い上流側端部を有していてもよい。すると、インターフローコンパートメント内で発生した火炎の伝播を防止すること、特に、近くに位置する取付ストラットの上流側のゾーンにこの火炎が到達するのを防止することが要求されるため、耐火機能の問題が生じる。
(先行技術文献)
(特許文献)
(特許文献1)国際公開第2017/013356号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、必要な機能が保証され、密集した複雑なゾーンの環境に容易に組み込むことができ、製作が容易な設計の耐火装置を作り出すことが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題を解決するために、本発明の主要な目的は、航空機ツインスプール・ターボマシンの取付ストラットの上流側端部と、このターボマシンに取り付けられた接続カウリングとの間に配置されるように設計された耐火装置であって、前記接続カウリングは、インターフローコンパートメントの一部を半径方向外側に区切る上流側リングを、前記ターボマシンのファンフローストリームを半径方向に通過するアームに接続するように設計されている。
本発明によれば、前記耐火装置は、
C字形の断面、好ましくは半円形の断面を有する第1の接触リップを備えた接触構造であって、前記接触構造は、前記第1の接触リップの長手方向端部の1つにビード、好ましくは円形のビードセグメントをも含み、その軸方向端部のうち一方は前記第1のリップと軸方向に連続しており、他方の軸方向端部は閉鎖されており、前記第1のリップと前記ビードセグメントは第1の湾曲線に沿って延びる第1の接触端部を共同して画定している、接触構造と、
支持部分と、
前記接触構造の前記ビードセグメントを支持する接合ゾーンを介して前記支持部分に支持され、前記第1の線とは異なる第2の線に沿って延びる第2の接触端部を有する第2の接触リップと、
を備えている。
【0008】
さらに、本発明の耐火装置は、一体部品である。
【0009】
したがって、本発明は、その環境に完全に統合される、特に効果的な耐火装置を開示するという点で有利であり、その一体部品の性質は、特に必要とされる工具に関して、特に容易且つ安価に製造されるようなものである。
【0010】
一体部品の態様は、本発明に係る装置の単純な形状、特に接触リップの使用により可能である。さらに、これらは、例えばビードまたはモールディング接触ゾーンと呼ばれる管状の接触ゾーンの使用とは異なり、装置の製造中にインサートの使用を必要としない。さらに、リップは通常、容易に変形可能であり、そのため、組立後に特定のプレストレス操作を受ける必要がない。その耐火機能を保証するために必要な変形は、単に、例えば、ゾーン内で圧縮されるように設計されたナセルの可動式カバーシールの支承等の、周囲の要素の支承の結果であり得る。
【0011】
ビードセグメントがその軸方向端部の一方で開いたままであるとすれば、これらの利点は、ビードセグメントの存在によって影響を受けないことに留意されたい。特に、この特徴は、一体部品の製造が容易であることを保証する。第1の接触リップの長手方向端部の1つに配置されたこのビードセグメントは、その断面が、ビードセグメントが延在する第1のC字形リップの断面よりも広い結果として、シールのより容易な局所的な制御を可能にする。
【0012】
さらに、第1の接触リップのC字形状は、その長手方向端部で接続ピンと嵌合するビードを組み込んだ既存の耐火装置と互換性があるという点で有利であることが判っている。したがって、本発明に係る耐火装置の第1の接触リップの長手方向端部は、推進アセンブリに既に取り付けられている相補型耐火装置の接続ピンと完全に協働し得る。このような相補型の形状は、第1の接触リップの開放部におけるピンのネスティングに匹敵し得る2つの装置間の接合を容易にする。
【0013】
言い換えると、第1のリップのC字形状は、本発明に係る装置と、推進アセンブリに既に使用されている従来の装置との接続を容易にする。従って、この推進アセンブリが、互いに連続するように接続された2台の耐火装置を備えている場合には、2台の装置のうち1台のみを交換することが可能となる。そのため、これらの耐火装置のメンテナンスが容易になり、安全性が確保される。
【0014】
最後に、接触構造および第2の接触リップにより、本発明に係る耐火装置は、2つの異なる実質的に連続した物理的バリアを形成できることに留意されたい。一方は、インターフローコンパートメント内の火災が、取付ストラットの側方面に向かって周方向に伝播しないように、またこの取付ストラットの端面に向かって半径方向に伝播しないように、インターフローコンパートメント内の火災を止めるように設計され、他方は、この火災が、この取付ストラットのこの同じ側方面に沿って、下流方向に軸方向に伝播しないように設計されている。
【0015】
本発明は、好ましくは、単独でまたは組み合わせて採択した以下の任意の技術的特徴のうちの少なくとも1つを含む。
【0016】
好ましくは、前記第2の線は直線であり、好ましくは、前記第1の湾曲線が内接する第1の実質的に平面の接触面に実質的に直交する。それにもかかわらず、本発明の枠組みから外れることなく、接触させる支承面に応じて、他の形態の直線および他の傾斜を使用することが可能である。
【0017】
好ましくは、装置は、前記第1の接触リップを支持する取付部分をも含み、前記取付部分は、好ましくは、取付要素を通過させる貫通孔を含む。
【0018】
好ましくは、前記支持部分は、前記第2のリップとその保護ゾーンに対向して、細長い取付要素を担持する。するとこれらの細長い取付要素は、このカウリング上での保持性を高めるために、接続カウリングと容易に協働できる。
【0019】
好ましくは、装置は、好ましくはシリコーンエラストマーであるエラストマー材料の少なくとも1つの層と、好ましくはセラミック、ガラスまたはメタアラミド(ポリ(m-フェニレンイソフタルアミド))製の少なくとも1層の繊維質層との重ね合わせによって形成される。それにもかかわらず、本発明の枠組みから外れることなく他のタイプの層が可能である。セラミック織物層は耐火機能のために特に効率的であり、その一方で、ガラス繊維層は、スタックを剛性化し、層の重ね合わせ方向に直交する平面内で、この方向に沿って機械的応力が加えられた場合にシリコーンエラストマーのクリープを制限できることに留意されたい。最後に、そのような剛性化は、メタアラミド繊維の層を用いても達成され得る。
【0020】
好ましくは、1つまたは複数の繊維質層は、第1の接触リップおよびビードセグメントの全長にわたって延び、1つまたは複数の繊維質層は、第2の接触リップの全長に沿って延びる。
【0021】
本発明の別の目的は、航空機用ツインスプール・ターボマシンと、前記航空機の翼要素に固定するのに使用するターボマシン取付ストラットとを備えた航空機用推進ユニットであって、
前記ターボマシンは、前記ターボマシンのコアエンジンフローとファンフローとの間に形成されたインターフローコンパートメントと、前記ファンフローを半径方向に通過するアームとを備え、前記アームは、前記推進アセンブリの横方向に沿って、前記取付ストラットの上流側端部のそれぞれの側に1つずつ配置された2つの接続カウリングによって前記アームに接続された上流側リングによって半径方向外側に部分的に区切られた前記インターフローコンパートメントと連通し、
前記取付ストラットの前記上流側端部は、2つの側方面と、前記取付ストラットのこの上流側端部の基部の輪郭に沿った周縁支承面とを備えている。
【0022】
本発明によれば、前記推進アセンブリは、前記取付ストラットの前記上流側端部と、耐火装置が固定されている前記接続カウリングとの間に配置された、前記2つの接続カウリングのうちの少なくとも1つに関連した上述の耐火装置をも備えている。
【0023】
好ましくは、第1の接触端部が前記取付ストラットの前記上流側端部の前記周縁支承面に載り、第2の接触リップの前記第2の接触端部が前記取付ストラットの前記上流側端部の対応する前記側方面に載る。
【0024】
好ましくは、第1の湾曲線は、前記アセンブリの前記横方向と長手方向とに実質的に平行な第1の略平面接触面に内接し、前記第2の接触リップによって画定される第2の線は、前記アセンブリの縦方向と略平行に延びる直線である。
【0025】
好ましくは、第2の接触リップは、前記取付ストラットの前記上流側端部の前記側方面とナセルの可動式カバーシールとの間に拘束される。
【0026】
最後に、推進アセンブリはさらに、前記取付ストラットの前記上流側端部と相補型装置が固定されている前記接続カウリングとの間に配置された、前記2つの接続カウリングの他方の接続カウリングに関連した相補型耐火装置を備え、前記相補型装置は、前記耐火装置に属する第1の接触リップの他方の長手方向端部と協働する接続ピンと一方の長手方向端部が嵌合する、ビードシールの形態の接触構造を備えている。上述のように、この特定の特徴は、本発明が、異なる設計であり既に推進アセンブリに装着されている別の既存の装置上に装置を組み立てることを可能にする形態であることを例証するものである。
【0027】
本発明の他の利点および特徴は、以下の非限定的な詳細な説明を読めば明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
以下の添付図面を参照して説明を行う。
【
図1】本発明の好ましい実施形態による推進アセンブリの部分斜視透視図である。
【
図2】
図1に示された推進アセンブリの一部の分解透視図である。
【
図4】耐火装置を破線で示す、
図3で示した図の立面図である。
【
図6a】
図1から
図5で示した耐火装置を異なる視野角で示す透視図である。
【
図6b】
図1から
図5で示した耐火装置を異なる視野角で示す透視図である。
【
図6c】
図6bの平面Pcにおける、ビードセグメントを通る断面図である。
【
図7】
図2から
図4に示す部分の透視図であり、耐火装置によって得られたシールラインを図示した図である。
【
図8】
図2から
図4に示した部分の透視図であり、特に、耐火装置の第2の接触リップを応力状態で示す図である。
【
図9】
図10のIX-IX線に沿った断面図である。
【
図11】
図1から
図10に係る耐火装置と、従来の相補型装置との連携を示す図である。
【
図12】
図11に示した装置の連携の一部を示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
まず、
図1を参照すると、この図は、本発明の好ましい実施形態による推進アセンブリ100の部分図を示している。このアセンブリ100は、航空機用ツインスプール・ターボジェット1と、このターボマシン用の取付ストラット9とを、航空機の翼要素(図示せず)上に配置して備えている。
【0030】
推進アセンブリ100は、長手方向Xを有し、これは、ターボジェット1の長手方向にも、取付ストラット9の長手方向にも対応している。また、推進アセンブリ100は、横方向Yと、高さ方向に対応する縦方向Zとを有する。3つの方向X、Y、Zは互いに直交しており、右手三面体を形成している。
【0031】
好ましくは、取付ストラット9は、ターボジェット1を航空機の翼の下に懸架するために使用される。この取付ストラットは、ターボマシンからの力に抵抗する構造部分を備え、この部分は、通常、一次構造または剛性構造と呼ばれる。これは一般にケーソンの形態であり、そのうち上流側の端部7のみが
図1に示されている。また、取付ストラットには、空力フェアリングの形態での二次構造(図示せず)が備わっている。
【0032】
説明され提示される好ましい実施形態では、ターボジェット1は、ツインスプール・デュアルフローターボジェットである。ターボジェット1は、X方向に平行な長手方向中心軸2を有し、その周りに、その異なる構成要素が周りに延在する。ターボジェット1は、このターボマシンを通るガスの流れの主方向5に沿って上流から下流に向かって、ファン3と、次に、コンプレッサ、燃焼室、タービンからなるガス発生器を含む。ガス発生器のこれらの要素は、インターフローコンパートメント8aの内部を半径方向に区切る、「コア」ケーシングとも呼ばれる中央ケーシング6によって包囲されている。このコンパートメント8aは、
図1に唯一示されている上流側リング10を含む、1つまたは複数のカウリングによって半径方向外側に区切られている。上流側リング10は、ターボジェットの中間ケーシング14のハブ12の下流側連続部に形成されている。中間ケーシング14は、ファンケーシング18の下流側連続部に位置する外側シュラウド16をも備えている。中間ケーシング14はさらに、ファンブレードの下流側に形成され、ハブ12を外側シュラウド16に接続する出口ガイドベーン20を備えている。
【0033】
ファンケーシング18と外側シュラウド16は、半径方向内向きにファンコンパートメント8bを共同して区切る。このコンパートメント8bはまた、ターボジェットのポッドの一部を形成する1つまたは複数のカウリング(図示せず)によって半径方向外側に区切られている。インターフローコンパートメント8aと同様に、このコンパートメント8bは、先行技術で広く知られているように、装置および補助装置を収容する。
【0034】
2つの区画8a,8bを連結するために、1つまたは複数のアーム22が設けられている。例えば、これは、ターボジェットに、それぞれ12時位置および6時位置に配置されて取り付けられた2つのアーム22であってもよい。これらのアーム22は中空であり、例えば、電気ケーブルおよび/または流体パイプを循環させるために使用される。より正確には、これらのアームは、外側シュラウド16の下流側部分を上流側リング10に接続する。これを達成するために、これらのアームはターボジェットのファンフローストリーム26を通過し、このフローストリームは、シュラウド16およびシュラウドの下流に位置するカウリング(図示せず)によって外側方向に部分的に区切られ、また、インターフローコンパートメント8aの上流側リング10によって内側方向に部分的に区切られている。ファンフローストリーム26は、従来はガス発生器を通過するコアエンジンフローストリーム28に追加されている。
【0035】
図2乃至
図5を参照すると、これらの図は、取付ストラット9の上流側端部7、12時の位置に配置されたアーム22、および上流側リング10を含む推進アセンブリ100の一部を提示している。より詳細には、取付ストラット9の上流側端部7の各側で、Y方向に沿って、アーム22と上流側リング10との間に空気力学的な接合部を成す2つの接続カウリング30が存在する。したがって、後者は、360°にわたって完全に閉じられているのではなく、12時の位置を中心とした角度開口を有しており、そこで、2つの接続カウリング30がアーム22の半径方向内側端部との接合部を成している。
【0036】
図では、異なる要素間の組立は、取付ストラットの一方の側についてのみ提示されているが、取付ストラット9の上流側端部7の他方の側には、同一または類似の、好ましくは対称な組立が存在することが理解される。このように、取付ストラット9の各側では、接続カウリング30は、中間ケーシングのハブの下流側連続部に位置することになる上流側端部32を有している。その上端部33は、アーム22の壁に接続され、その一方で、その周方向端部35は、上流側リング10の周方向端部に接続されている。最後に、その下流側端部38は、好ましくはモバイルポッドカバー(
図2~
図5には図示せず)によって支持されるポッドシール40を収容する、角度セクタ溝型ハウジング38を形成している。3アームシールまたは三脚シールとも呼ばれるこのシール40はノードを備え、そのノードから、第1のシール部分40aがハウジング39内で圧縮されてから上流側リング10上に延び、第2のシール部分40bがハウジング39内で圧縮されてからアーム22上に延び、第3のシール部分40cが取付ストラットの側方面42上に圧縮される。シール40の各アームは、管状、ビード、または成形タイプのものである。
【0037】
こうして、シール40は、それが取り付けられたモバイルポッドカバーが閉じられた後で、
図3に示す位置を取り、このカバーはそのとき、接続カウリング30の外部表面34と下流方向に連続する外部表面を有する。
【0038】
取付ストラット9の上流側端部7は基部44を有し、そこから開始して、特に2つの側方面42が延びる。この基部44は、この基部44の輪郭に沿って、略U字形状を有する周縁接触面46に固定されている。それは実質的に平面であり、X方向およびY方向に平行である。その機能は本質的に、インターフローコンパートメント8aと取付ストラットの上流側端部7との間に耐火性バリアを設けることにある。この機能を満たすために、アセンブリ100は、各接続カウリング30に関連した本発明に特有の耐火装置50を備えている。後述する本発明の代替的な実施形態では、アセンブリ100は、2つの接続カウリング30のうちの1つの接続カウリング30に関連した本発明に特有の耐火装置と、他の接続カウリング30に関連したより従来型の相補型耐火装置とを備えている。
【0039】
2つの接続カウリング30は、同一または類似の設計を有していてもよく、例えば、軸2を通る長手方向XZ平面に対して対称に設計されていてもよい。この構成は、
図2に図示されており、
図2は、本発明に特有の2つの装置50が連携してそれらの上流側端部で合流して、それらが圧縮される周縁支承面46のプロファイルに類似したプロファイルを共同して画定することも示している。
【0040】
図2乃至
図5を参照して、例えば、軸2を通る長手方向XZ平面に関して対称となるように設計された同一または類似の設計を有する2つの装置50のうちの1つのみを説明する。
【0041】
耐火装置50は、こうして、取付ストラットの上流側端部7と、この同じ装置が固定されているその関連する接続カウリング30との間に配置される。一般に、装置50は、第1の接触リップ52aと第2の接触リップ52bとを有し、第1の接触リップ52aは、周縁支承面46の半径方向外側の表面に接触して、この支承面の半分の上に載る。この第1の接触リップ52aは、インターフローコンパートメント8aで宣言された火災が、取付ストラットの側方面42に周方向に伝播することなく、また、この取付ストラットの上流側端面に向かって半径方向外方に伝播することがないように構成されている。
【0042】
第2の接触リップ52bは、ポッドシール40の2つの部分40a,40bよりも下流側で取付ストラットの側方面42上に載っている。第2の接触リップ52bは、インターフローコンパートメント8aの火災が、取付ストラットの側方面42に沿って軸線方向下流側へ伝播しないように、火災を止めるように構成されている。
【0043】
そのリップにより、装置50は、航空機の異なる飛行段階の間、ターボジェットと取付ストラットとの間で観察され得る相対運動にもかかわらず、耐火機能を付与するための独創的且つ効果的な解決策を提供する。
【0044】
図5は、ターボマシンと取付ストラットとの相対的な位置関係から生じた、低圧縮レベルでの第1のリップ52aを示している。この第1のリップ52aは、非応力状態での公称形状に対応するC字形の断面、好ましくは半円形の断面を有している。したがって、第1のリップ52aが圧縮されると、その形状は、Z方向に対応する圧縮方向に沿って、その2つの周方向端部53が互いに向かって移動するように、平坦化する/楕円状になる傾向がある。
【0045】
2つの周方向端部53のうちの一方は、この支承面にほぼ正接するように、周縁支承面46と接触している。他方の端部53は、ボルトまたはリベットタイプの取付要素54を通す取付部分56によって支持されている。これらの要素54は、装置50の取付部分56を通過し、接続部カウリング30の第1の支持体58が、接続カウリングと周縁支承面46との間に半径方向内向きに配置されている。第1の支持体58の一般的な形状は、外側に横方向に開いたU字形であり、その一方で、第1の半円形リップ52aは内側に横方向に開いている。
【0046】
したがって、取付部分56は、第1の半円形リップ52aの周方向の一方の端部53を接続する、U58の基部と平行なZ方向に沿って下方に延びている。取付部分56と端部53との間の可撓性連結帯は、Uの基部とその下方分岐部との間の連結帯に近接して配置されている。従って、第1のリップ52aの上部は、好ましくは、第1のU字形支持体58の下部アームに載っている。
【0047】
さらに、
図5のような断面図で見られるように、第1のリップ52aの2つの周方向端部53は、好ましくは、取付部分56を延長する架空の垂直線に沿って内接している。特に、この形状は、第1のリップ52aの非応力状態で観察される。それでも、耐火装置50の設計は、ターボジェットと取付ストラットとの間で観察される相対運動にかかわらず、3方向X、YおよびZそれぞれに沿って、第1のリップ52aと周縁支承面46との間の接触が維持され得るようなものであることに留意すべきである。
【0048】
支承面46と協働する周方向端部53は、取付ストラットと装置50との第1接触端部70aの大部分を画定している。この第1の接触端部70aは、ビードセグメント71から突出した脆弱部分、言い換えれば管状のセグメントであり、
図6a乃至6dで参照され、好ましくは円形の断面を有し、その中空部分は、好ましくは空のままである。このセグメント71は、取付ストラットの周縁支承面46に載るように意図された第1のリップ52aとの接触構造73を形成する。
【0049】
セグメント71は、第1のリップ52aの下流側長手方向端部75aと連続するように配置されている。より詳細には、円形ビードセグメント71は、第1のリップ52aの下流側長手方向端部75と連続する、開放された上流側軸方向端部77aを有している。従って、端部75a,77aによって形成されたリップ52aとセグメント71との間の遷移部において、接触構造73は、円形断面から半円形断面へと、場合によっては漸進的に、しかし好ましくは突然に変化する。より一般的には、リップ52aおよびセグメント71の形状に関係なく、接触構造73は、閉断面(セグメント71内)から、この閉断面の半分(C字形リップ52a内)に変化する。
【0050】
2つの端部75a,77aの外径と内径は実質的に同一である。これらの直径は、例えばプラスまたはマイナス15%の範囲内でのわずかな変動が観察され得るとしても、接触構造73の全体に沿って実質的に一定である。
【0051】
セグメント71の下流側の軸方向端部77bは、例えばドーム状に閉塞されている。この閉塞およびセグメント71の管状形状により、接触構造73のこの下流部分は、このセグメントによって延長された第1のC字形リップ52aの横方向の広がりよりも大きいために、より容易に得られる強化シールを提供する。
【0052】
上述したように、環状ビードセグメント71は、接触構造73の一部、すなわちその下流側端部のみを形成している。好ましくは、その長さは、接触構造73の全長の20%以下、さらに好ましくは15%以下の割合を表す。
【0053】
リップ52aに関して、セグメント71の好ましくは円形の性質が、非応力状態で観察されるその公称形状に対応することに留意されたい。したがって、推進アセンブリ上に配置されると、このセグメント71はまた、3つの方向X、YおよびZのそれぞれにおいて、ターボジェットと取付ストラットとの間の相対運動によって引き起こされる平坦化/楕円化を蒙る。それにもかかわらず、本発明の枠組みから外れることなく、本質的に圧縮状態で負荷されるこのセグメント上で他の変形タイプが観察され得る。
【0054】
第1の接触リップ52aおよびセグメント71の下端部は、周縁支承面46上に第1のシールラインを合同して形成し得る。
図7に提示されているように、それは、接触構造に関連する半支承面部分46のプロファイルに沿った第1の曲線72aである。この接触構造70の第1の接触端部70a(
図7には提示されていないが、
図6aおよび6bには見える)は、この第1の略L字形の湾曲線72aに沿って延びている。
【0055】
本発明の特定の特徴の1つは、装置50が上述した第2のリップを組み込んでおり、その機能は、取付ストラット9の側方面42上に第2のシールライン72bを形成することであるという事実にある。この第2の線は、好ましくは、Z方向に実質的に平行な直線である。好ましくは、
図7に示された2つの線72a,72bは、装置50の半径方向内側下流側端部で合流する。接触構造と第2のリップは、ビードセグメントにおいて直接連続していてもよいが、それらは、セグメント71の閉鎖された下流側軸方向端部77bを第2の接触リップ52bの半径方向内側端部に接続する、
図6bに見られるような材料コネクタ79によって交互に接続されてもよい。
【0056】
次に、装置50を、再び
図6a乃至6dを参照して、より詳細に説明する。これらの図は、主に、第1の湾曲線72を示し、湾曲線72に沿って第1のリップ52aがあり、続いて円形のビードセグメント71がある。線72aは、周縁支承面46の半径方向外側の表面に対応する第1の実質的に平面の接触面S1に内接している。この表面S1は、厳密には平面であってもよいし、1つまたは複数の非常に低い高さレベル、例えば数ミリメートルを超えないレベルを有していてもよい。したがって、表面S1は、好ましくは、推進アセンブリ100のXY平面に対応する。さらに、このXY平面に内接する第1の湾曲線72aは略L字形を有し、Lの基部とLの脚部との間の角部が丸みを帯びていてもよく、且つ脚部の自由端もまた丸みを帯びていてよい。
【0057】
取付部分56は、前記ボルト54が通過する通過孔76が形成された刃状であり、リップ52aからZ方向に沿って上方に延びている。通過孔76は、後に装置50に追加されるインサート81によって補強され得る。
【0058】
第1のリップ52aの下流側長手方向端部75aにおいて、装置50は、このリップの上側周方向端部53から開始して、実質的にZ方向に沿って上方にも延びる支持部分60を備えている。より正確には、この支持部分60は、より厚く、装置50の機械的強度を高めるように設計されたリブ80に隣接して配置されている。リブ80は、取付部分56とブロック状の支持部分60との間に配置されている。リブ80はさらに、第1の湾曲線72aの方向に沿って、そこから分離可能な取付部分56と平行に、実質的にZ方向に沿って上方に延びている。リブ80の厚さは、取付部分56の厚さと支持部分60の厚さとの間の中間である。Z方向に沿った高さについても同様である。
【0059】
支持部分60の機能は、それらの間に配置された接合ゾーン62を通して第2のリップ52bを担持することである。接合ゾーン62の厚さは減らされており、それは、適用される圧縮の程度に関係なく、好ましくは直線状のままであり、変形しないか、または曲げでわずかにしか変形しない、第2のリップ52bのためのヒンジとして機能する。
【0060】
接合ゾーン62は、支持部分60から実質的にX方向に沿って下流方向に延びている。その半径方向内側の端部において、接合ゾーン62は、この接合ゾーン62の下流側の端部によって支持されたリップ52bの上流側に位置するビードセグメント71の上部を支持する。
【0061】
第2のリップ52bの第2の接触端部70bは、第2の好ましくは直線72bに沿って、好ましくは第1の接触面S1に実質的に直交するように延びている。このように、第2の直線72bは、リップ52bが取付ストラットの関連する側方面と接触するように、実質的にZ方向に沿って延びている。
【0062】
要素60、62、52bによって形成されたアセンブリの外側半径方向端部は、
図6bで最もよく見られるように、面取りされている。
【0063】
さらに、第2の接触リップ52bの厚さは、
図6aで参照されるその基部68bから第2の接触端部70bに向かって距離が増加するにつれて増加する。その結果、第2の接触端部は、例えば垂直な帯形状の二次元的なものであってもよい。この
図6dに表される非応力状態では、取付ストラット(図示せず)の側方面に対する法線64bと、基部68bとリップ52bの第2の接触端部70bとの間に画定される第2の略リップ方向66bとの間に、傾斜角B0が観察され得る。
【0064】
装置50の組み立てた状態では、その第2の接触リップ52bは、ポッドシールの第3の部分40cによってY方向に沿って応力を受ける。
図8を参照すると、ポッドカバー82(図示のみで表される)が閉じられているとき、このカバーに固定されたシール40の第3の脚部40cは、第2のリップ52bに載る。後者は、その後、取付ストラットの側方面42とシール40の第3の部分40cとの間で拘束され、その接合ゾーン62におけるリップ52bの枢動を暗示する。このピボットのために、角度B0は、
図6dの非応力状態で観察される角度よりも大きくなる。この角度B0の値は、耐火装置50の圧縮の程度に依存し、耐火装置50の圧縮の程度自体は、ターボジェットと取付ストラットとの間の相対運動の振幅に依存する。
図8はまた、シール40の第3の部分40cがY方向に沿って応力を受けていることを示しており、これは、その管状のシール部分がポッドカバー82とリップ52bとの間で変形していることを暗示している。このように、非応力状態では実質的に円形の断面を有する管状部分は、応力の下で平坦化され、例えば楕円形(elliptical)、楕円状(oval)または類似の形状をとる。
【0065】
この
図8はまた、ビードセグメント71の存在が、角度B0の高い値につながる大きな変形レベルであっても、取付ストラットの側方面42とこのセグメントとの間の漏れ部91を著しく制限していることを示している。このようなビード状の下流側端部が下流方向に設けられ、上流方向に開放されていることは、取付ストラットの側方面42との満足のいく制御されたシールを得ることを容易にするのに役立つ。こうして、第2リップ52bの枢動の値が大きい場合であっても、漏れ部91は、合理的な状態を維持する。
【0066】
再び
図8を参照すると、装置50の支持部分60が、接続カウリング30に、
図2に見られ得るシールハウジング39を形成するその下流側端部38において設けられた第2の支持体86に嵌合することが示されている。
図7に最もよく見える第2の支持体86には、リップ52bおよびその接合ゾーン62が位置する側と反対側の側に、支持部分60に支持された細長い取付要素90が通過する孔88が配設されている。これらの細長い取付要素90は、装置50と一体に形成されているか、またはこの装置50に追加されている。例えば、細長い取付要素90は、ロッドによって形成されてもよく、その端部は、それらが通過する第2の支持部分86に対向する面上で圧縮される。
【0067】
本発明の別の特定の特徴は、耐火装置50の一体部品製造にある。言い換えると、装置50の上述した全ての要素は、好ましくは圧縮成形によって、一体部品で製造される。この一体部品製造は、ビードセグメントがその軸方向端部の一方で開いたままであり、好ましくは非常に短い長さにわたってのみ延在するため、ビードセグメントの存在によって影響を受けない。
【0068】
この一体部品部分は、おそらく細長い取付要素90を含んでもよく、インサート81は、接続部30に対するアタッチメント手段の一部を形成するので、装置の外部に追加された要素であると考えられる。
【0069】
装置50の製造向けに、装置は単純なエラストマーブロックであってもよいが、このブロックは、好ましくは、異なる機能を有する1つまたは複数の層と組み合わされる。
【0070】
図9および
図10に提示される例では、装置50は、エラストマー材料99、好ましくはシリコーンエラストマー材料からなる層と、繊維質機能層110とが、装置50の厚さ92の方向に沿って重ね合わされて形成されている。これらの層は、装置の剛性を補強するガラス繊維層を含んでもよい。その場合、特定の耐火性層、例えばセラミック繊維からなる層が含まれ得る。好ましくは、それらは、装置の、炎に最も曝されるゾーンに配置される。層99のシリコーンエラストマー材料は、厳しい熱の存在下でシリカに劣化するので、使用される生地110のメッシュは、これらの劣化した粒子を保持できる。
【0071】
層の交互配置は、アセンブリの剛性を常に強化するために、繊維質のメタアラミド層110によって完成させ得る。さらに、層のうちの1つは、接触する部品による摩耗および損傷を制限するために、リップの外表面にコーティングを施されてもよい。
【0072】
層99および層110は、好ましくは、装置50のプロファイルに沿って互いに平行である。これらの層のうちの少なくとも1つまたは複数の層は、装置50の全高にわたって、装置の一端から他端まで、前述の第1の湾曲線72aの方向に沿って延びていてもよい。
【0073】
X方向に沿った装置50の長さは30~50cmであり得、Y方向に沿ったこの装置の幅は10~20cm程度である。最後に、Z方向に沿った装置50の最大高さは、15~20cm程度であり得る。各リップ52a,52bは、数センチにわたってのみ延在する。
【0074】
装置50によって与えられる耐火性に関しては、規格ISO2685-1998およびAC20-135の要件に準拠することに加えて、最も厳しい条件、すなわち、飛行中の火災に対する耐性および地上での火災に対する耐性が考慮される。特に、これは、以下の条件の下で耐火機能を実行するためのソリューションの設計を意味する。
-炎の温度:1100±80℃
-振動:50Hzの周波数で±0.4mm
-圧力:火災試験の最初の5分間の間に0.4バール
-試験時間:15分間、2段階に分けて実施:
5分間:正圧印加
10分間:大気圧
-限られた時間内での自己消火
【0075】
上述した実施形態では、本発明に特有の2つの装置50が周縁支承面46に関連している。特に、それらの第1のリップ52aのそれぞれの上流側の長手方向端部75bにおいて、両者の間に接合部を形成することは容易である。2つのC字形の端部75b(そのうちの1つは
図6bに見られる)は、容易に重なり合うことができ、したがって、2つの装置50の間の接合部ゾーンにおける耐火性バリアのための連続性が保証される。
【0076】
しかし、本発明は、このアセンブリ上に既に配置されている2つの従来の装置のうちの1つだけを交換するために、既存の推進アセンブリ上に設置するのにも適している。この機能は、本発明に係る装置50と、従来の設計を有する相補型耐火装置50’との間の連携を示す
図11乃至14に示されている。2つの装置は、推進アセンブリの2つの接続カウリング30に固定されるように設計されている。
【0077】
相補型耐火装置50’の設計は従来型であり、いくつかの要素が互いの上に重ねて追加されている。それは、全体的に、装置50’の全長にわたって実質的に延びるビードシール71’を備え、このシールは、装置50の接触構造73のように、取付ストラットの周縁支承面に押し付けられて接触するように意図されている。
図11乃至14に示す非応力状態では、ビードシール71’の断面は円形状である。
【0078】
このビードシール71’は、こうして、相補型装置50’の接触構造73’を形成し、その上流側の長手方向端部75b’に接続ピン112’が嵌合する。この接続ピン112’は中空であり、それはまた、ビードよりも小さい直径を有する円形のセクションを有し、おそらくはその閉鎖末端部分で面取りされている。装置50に関して、その第1の接触リップ52aの上流側長手方向端部75bは、C字形の断面を有し、この接続ピン112’と協働するように完全に適合されている。Cの内径は、この接続ピンが上流のC字形の長手方向端部75b内に収容され得るように、接続ピン112’の外径と実質的に等しくあり得る。
図12乃至14に見られる、実質的に入れ子になっているこの重なりは、新規の装置50と、推進アセンブリに既に取り付けられている相補型装置50’との間の接合部における耐火性バリアの連続性を保証する。2つの既存の装置のうちの1つだけの交換は、こうして、開示された本発明の設計によって容易になる。
【0079】
本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義される範囲内で、非限定的な例によってのみ記載されているため、明らかに、当該分野の専門家ならば本発明に様々な変更を加えることができる。
【符号の説明】
【0080】
1:航空機ツインスプール・ターボマシン
7:上流側端部
8a:インターフローコンパートメント
9:取付ストラット
10:上流側リング
22:アーム
26:ファンフローストリーム
30:接続カウリング
40:シール
42:側方面
44:基部
50:耐火装置
50’:相補型耐火装置
52a:第1の接触リップ
52b:第2の接触リップ
54:取付要素
56:取付部分
60:支持部分
62:第2の接合部
70a:第1の接触端部
70b:第2の接触端部
71:ビードセグメント
71’:ビードシール
72a:第1の曲線、湾曲線
72b:第2の線
73、73’:接触構造
75a、75b:長手方向端部
76:貫通孔
77a:軸方向端部
82:ナセルの可動式カバー
88:孔
90:細長い取付要素
99:エラストマー材料
100:航空機推進ユニット
110:繊維質層
112’:接続ピン
S1:略平面接触面