(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-09
(45)【発行日】2024-04-17
(54)【発明の名称】洗濯乾燥機
(51)【国際特許分類】
D06F 58/02 20060101AFI20240410BHJP
【FI】
D06F58/02 F
D06F58/02 Q
D06F58/02 J
(21)【出願番号】P 2021008586
(22)【出願日】2021-01-22
【審査請求日】2023-05-22
(73)【特許権者】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】今成 正雄
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 重幸
(72)【発明者】
【氏名】松井 康博
(72)【発明者】
【氏名】山口 龍之介
(72)【発明者】
【氏名】根本 昭夫
【審査官】木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-106566(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0030007(US,A1)
【文献】特開2011-194035(JP,A)
【文献】特開2020-014745(JP,A)
【文献】特開2020-081058(JP,A)
【文献】特開2010-017270(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 58/02
D06F 58/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に液体を貯溜可能な外槽と、前記外槽内に回転可能に支持され、洗濯物が収容される回転ドラム若しくは内槽と、前記回転ドラム若しくは内槽に空気を送風する送風手段と、前記回転ドラム若しくは内槽に送風する空気を加熱する加熱手段と、を備えた洗濯乾燥機であって、
前記外槽と接続され循環空気が流れる循環経路の一部を構成する循環ダクトと、前記循環ダクトと連通し、前記循環空気の全部若しくは一部を機外に排気する排気経路と、前記排気経路内に備えられた排気水冷除湿部と、前記循環ダクト内に備えられた水冷除湿部と、を備え、
前記排気水冷除湿部に冷却水を通水させ
て前記排気経路内を流れる循環空気と熱交換させた後、
熱交換させた前記冷却水を前記水冷除湿部に導
き前記循環ダクト内を流れる循環空気と熱交換させることを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項2】
請求項1
において、
前記排気経路の排気端は前記洗濯乾燥機の機外と連通させたことを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項3】
請求項1において、
前記排気水冷除湿部は前記水冷除湿部よりも上方に位置させたことを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項4】
請求項3において、
前記排気水冷除湿部はフィンチューブ式熱交換器で構成し、前記フィンチューブ式熱交換器のチューブを給水弁と直結させたことを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項5】
請求項4において、
前記水冷除湿部はプレート熱交換器で構成したことを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項6】
内部に液体を貯溜可能な外槽と、前記外槽内に回転可能に支持され、洗濯物が収容される回転ドラム若しくは内槽と、前記回転ドラム若しくは内槽に空気を送風する送風手段と、前記回転ドラム若しくは内槽に送風する空気を加熱する加熱手段と、前記外槽に開口した排水口と、前記排水口に接続された排水ホースと、を備えた洗濯乾燥機であって、
前記外槽と接続され循環空気が流れる循環経路の一部を構成する循環ダクトと、前記排水ホースの外周の一部に備えられ
た冷却除湿部と、前記循環ダクト内に備えられた水冷除湿部と、を備え、
前記冷却除湿部に冷却水を通水させた後、前記冷却水を前記水冷除湿部に導くようにしたことを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項7】
請求項6において、
前記冷却除湿部の一方は、金属製のパイプ若しくは耐圧ホースを介して給水電磁弁と接続され、前記冷却除湿部の他方は、金属製のパイプ若しくは耐圧ホースを介して前記循環ダクトと接続されたことを特徴とする洗濯乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類等の洗濯を行う洗濯機及び洗濯から乾燥まで一貫して行う洗濯乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
洗濯乾燥機による衣類の乾燥は、送風ファンと熱源により高温・低湿度の空気を作り、これを洗濯槽内に吹込み、衣類の温度を高くして衣類から水分を蒸発させ、蒸発した水分を除湿する温風乾燥方式により行う。蒸発した水分の除去方法としては、循環空気を冷却除湿する方式と、循環空気を周囲の低湿な空気と入れ替える方式がある。さらに冷却除湿の冷熱源としては、ヒートポンプを用いる方式と冷却水を用いる方式がある。
【0003】
近年では家庭電化製品においても低環境負荷機器が求められており、具体的には脱フロン、消費電力量の少ない省エネ機器が求められている。
【0004】
水冷除湿方式において、冷却水を増やすなどで除湿を強化すると、循環空気の顕熱を含む熱量を多く奪うため、その後の温風のための加熱量も増え、消費電力量が増加してしまう。これに対して例えば特許文献1に記載の技術がある。特許文献1には、「送風経路の除湿手段と加熱手段の間に前記送風手段からの循環空気を周囲外気と入れ替えるための給排気手段を有し、該給排気手段での給排気量を全量から入替え無にいたるまで調整可能とする構成としたことを特徴とし、乾燥工程において前記加熱手段による加熱量、前記送風手段による風量、前記給排気手段による給排気量、除湿手段での除湿量を調整する制御装置を備えた洗濯乾燥機」が開示されている。
【0005】
しかしながら従来技術では、排気湿度を給気との熱交換により除湿するので、とくに吸排気量の少ないときは、熱交換効率が悪く除湿できず、周囲環境の湿度を上げてしまう。また熱交換効率を上げるために伝熱面積を増やすには、給気経路と排気経路の接する部位を必要とし、このため排気内のリントを取り除くフィルタの設置スペースの確保が困難である。
【0006】
一方、ヒートポンプ方式において例えば特許文献2に記載の技術がある。特許文献2には、ヒ-トポンプの循環空気の一部(ドラム出口)を水冷除湿排気する方式が開示されている。ヒートポンプでの加熱量は、蒸発器で汲み上げた熱量と圧縮機入力が基になるので、除湿排気では、凝縮器での加熱量が干渉し、蒸発器での冷却除湿を排気除湿に対して調整することによる有効活用ができない。具体的には、乾燥負荷や運転工程の制御に対してヒートポンプでの加熱量を抑えると、蒸発器での除湿量も減り、排気水冷除湿部での除湿負荷必要冷却量が増加し、必要な冷却量が増加する。逆に加熱量を上げると、蒸発器での除湿量も増加し、排気除湿部での除湿負荷は減る。よって、乾燥に対する蒸発器での除湿量が変動することで、それに伴い排気除湿負荷が変動するが、排気除湿と循環空気の除湿とは冷却源を共有できず、循環空気の除湿は加熱量と連動するため、安定して排気除湿できない(排気湿度を安定にできない)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2020-014745号公報
【文献】特開2009-106566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載の技術においては、排気除湿の冷却源が周囲外気に依存し、周囲外気の温湿度レベルは排気の影響を受けるので、安定して排気除湿できないといった課題があった。
【0009】
また、特許文献2に記載の技術においては、循環空気の除湿は加熱量と連動するが、排気の除湿量と循環空気の除湿量とは連動していないので、例えば温風レベルを上げて出力を上げた場合、排気除湿量も増加し、消費電力量の増加と冷却水の水量も増加するなど、安定して排気除湿できないといった課題があった。
【0010】
本発明の目的は、環境湿度の変化に対しても安定して除湿排気すると共に、乾燥の消費電力量を低減できる洗濯乾燥機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明は、内部に液体を貯溜可能な外槽と、前記外槽内に回転可能に支持され、洗濯物が収容される回転ドラム若しくは内槽と、前記回転ドラム若しくは内槽に空気を送風する送風手段と、前記回転ドラム若しくは内槽に送風する空気を加熱する加熱手段と、を備えた洗濯乾燥機であって、
前記外槽と接続され循環空気が流れる循環経路の一部を構成する循環ダクトと、前記循環ダクトと連通し、前記循環空気の全部若しくは一部を機外に排気する排気経路と、前記排気経路内に備えられた排気水冷除湿部と、前記循環ダクト内に備えられた水冷除湿部と、を備え、前記排気水冷除湿部に冷却水を通水させて前記排気経路内を流れる循環空気と熱交換させた後、熱交換させた前記冷却水を前記水冷除湿部に導き前記循環ダクト内を流れる循環空気と熱交換させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、環境湿度の変化に対しても安定して除湿排気すると共に、乾燥の消費電力量を低減できる洗濯乾燥機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施例1に係るドラム式洗濯乾燥機の外観斜視図である。
【
図2】本発明の実施例1に係るドラム式洗濯乾燥機の内部構造を示す右側面の概略断面図である。
【
図3】
図2の乾燥における循環空気の排気とそれと同量の周囲外気を給気する基本機構の拡大断面図である。
【
図4】
図3の基本機構の一部を断面とした斜視図である。
【
図5】本発明の実施例1に係るドラム式洗濯乾燥機の制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図6】本発明の実施例1に係るドラム式洗濯乾燥機における洗濯乾燥運転(洗い~乾燥)の動作を説明するフローチャートである。
【
図7】本発明の実施例2に係るドラム式洗濯乾燥機の内部構造を示す右側面の概略断面図である。
【
図8】本発明の実施例3に係るドラム式洗濯乾燥機の内部構造を示す右側面の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施例について添付の図面を参照しつつ説明する。同様の構成要素には同様の符号を付し、同様の説明は繰り返さない。
【0015】
本発明の各種の構成要素は必ずしも個々に独立した存在である必要はなく、一の構成要素が複数の部材から成ること、複数の構成要素が一の部材から成ること、或る構成要素が別の構成要素の一部であること、或る構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複すること、などを許容する。
【実施例1】
【0016】
図1は本発明の実施例1に係るドラム式洗濯乾燥機の外観斜視図であり、
図2は本発明の実施例1に係るドラム式洗濯乾燥機の内部構造を示す右側面の概略断面図である。
【0017】
まず外観について説明する。ドラム式洗濯乾燥機10は、ベース100bの上部に、主に鋼板と樹脂成形品で作られた側板100a及び補強材(図示せず)を組み合わせて骨格を構成し、さらにその上に前面カバー100c、上面カバー100eを取り付けることで筐体100を形成している。前面カバー100cには洗濯物400を出し入れするドア101が設けられており、背面には背面カバー100dがとりつけられている。
【0018】
次に洗濯乾燥機の概略構造について簡単に説明する。筐体100の内側には、内部に液体を貯溜可能な外槽102が備えられる。外槽102は、下部が複数個のサスペンション103により支持されている。外槽102内に回転可能に支持され、外槽102の内側に配置された回転ドラム104には、ドア101を開けて投入される洗濯物400が収容され、回転ドラム104の開口部104aの外周には脱水時の洗濯物400のアンバランスによる振動を低減するための流体バランサー(図示せず)が設けられている。また、回転ドラム104の内側には洗濯物400を掻き揚げる複数個のリフター105が設けられている。回転ドラム104は回転ドラム用金属製フランジ104bに連結された主軸106を介してドラム駆動用モータ(図示せず)に直結されている。なお、本実施例はこの構成に限定されるものでは無く、例えば主軸に固定されたプーリと外槽に固定したモータとをベルトを介して連結させ、ドラムを駆動させるいわゆるベルト駆動構成でもあってもよい。
【0019】
外槽102の開口部には弾性体からなるゴム系のパッキン107が取付けられている。このパッキン107は外槽102内とドア101との水密性を維持する役割をしている。これにより、洗い,すすぎ及び脱水時の水漏れの防止が図られている。
【0020】
回転ドラム104は、側壁に遠心脱水および通風用の多数の小孔(図示せず)を有する。外槽102の水受け部108に開口した排水口109は、排水弁V1を介して排水ホース110に接続する。排水ホース110は、住宅の床面201に取付けられた排水トラップ202に接続されている。またオーバーフローホース111は外槽102の前面に取り付けられており、排水弁V1よりも下流側で排水ホース110と合流している。即ち、排水弁V1の開閉状態に関係なく排水ホース110と連通される構成となっている。ただし、排水弁V1よりも上流で排水ホース110と合流させる構成としても機能上は何ら差し支えない。
【0021】
加熱ユニット115は、回転ドラム104内の洗濯物400に空気を導く送風ダクト112と、送風ダクト112を介して回転ドラム104に空気を送風する送風手段としての送風ファン113と、回転ドラム104に空気を送風する空気を加熱する加熱手段としてのヒータ114とによって構成されている。
【0022】
加熱ユニット115は、外槽102から離して筐体100に固定されている。ヒータ114の出口と吹出しノズル125は、外槽102の最上面から中心までの間であって、且つ外槽102の中心より前面の位置において蛇腹管116を介して外槽102に対し略垂直に接続されている。蛇腹管116は柔軟な構造であるため、外槽102の振動を吸収する。
【0023】
排水口109,送風ファン113の吸気口及び吐出口には温度センサ(図示せず)が設けてある。
【0024】
水受け部108の水は、排水口109から糸屑フィルタ222を介して循環ポンプ223の吸込口(図示せず)に入る。
【0025】
上面カバー100eには、外槽102内に洗剤を投入する洗剤投入部117と、電源や洗濯コース、水量等を選択する操作スイッチ118と、洗濯コース、残り時間等を表示する表示部119が備えられている。
【0026】
図3は
図2の乾燥における循環空気の排気とそれと同量の周囲外気を給気する基本機構の拡大断面図であり、
図4は
図3の基本機構の一部を断面とした斜視図である。
【0027】
温風を除湿する基本機構は、外槽102と接続され循環空気が流れる循環経路の一部を構成すると共に、ドラム出口からの循環空気を水冷除湿する循環ダクト251、給気口252のある給気部253、循環空気フィルタ254、循環空気の一部若しくは全部を排気経路255に導く排気口256、排気フィルタ257、排気水冷除湿部258から主に構成されている。排気経路255は排気口256を介して循環ダクト251と連通している。給気口252は筐体内空間に形成されている。筐体の背面には、筐体内空間と連通する給気端270が形成されており、給気口252は筐体内空間を介して給気端270と連通している。
【0028】
排気水冷除湿部258は排気経路255内に備えられている。本実施例の排気水冷除湿部258は、チューブ内に冷却水(液媒体)を流し、チューブ外面と差し込んだフィン(放熱板)に循環空気を当てて熱交換させるフィンチューブ式熱交換器で構成している。排気水冷除湿部258のチューブは、給水電磁弁120と直結させている。
【0029】
また、排気は乾燥工程を通して安定した排気量とするために、排気端259は解放して洗濯乾燥機の機外と連通させている。給気口252には開度を調整できる給気扉260を設けている。さらに給気扉260は循環経路の断面を縮小させるように可動させることで、循環空気に対して通風抵抗となる。本実施例では、給気扉260の開度を調節することで循環空気の一部若しくは全部を排気端259から排気して、同量の周囲外気を取り入れて循環空気と合流するようにしている。このような構成とすることで、もし乾燥途中で排気経路255へ導く排気量を調整したいときは、循環空気への通風抵抗を増減させることで調整できる。また排気フィルタ257の詰まり具合を検知若しくは予め想定して給気扉260の開度を調整してもよい。一方、排気口256および排気端259は解放とする。もし脱水工程や温風を用いた洗浄工程などで外槽内の圧力が変動した場合でも直ちに圧力変動を緩和できるので、外槽102や筐体100の振動を抑えることができる。
【0030】
送風ファン113は筐体100の上部に固定されているのに対して、循環ダクト251は外槽102に固定されている。よって送風ファン113と外槽102とは運転時に異なる周期で振動することもあるので、循環ダクト251と送風ファン113とは蛇腹ホースを介して接続した構成としている。このような構成とすることで、脱水工程などで異なる振動が生じても蛇腹ホースで振動差を吸収できるので、循環ダクト251と送風ファン113の破損を抑制できる。
【0031】
給水電磁弁120から排気水冷除湿部258へ通水させた冷却水は、循環ダクト251内に導いて通水させる。循環ダクト251内には必要に応じて循環空気との熱交換を促進させるための水冷除湿部261を必要に応じて設ける。このような構成とすることにより、排気水冷除湿部258で熱交換した冷却水で循環空気の除湿を行うため、排気に伴う湿気排気を第一に抑えつつ循環空気の過度の冷却も抑えることができる。また、排気水冷除湿部258は水冷除湿部261よりも上方に位置させているので、冷却水を加圧する加圧手段を用いることなく重力の作用により排気水冷除湿部258から循環ダクト251へ導くことができる。本実施例の水冷除湿部261は、プレートの表面に複数のリブを設け、この表面に冷却水と循環空気を対向するように流して熱交換を行うプレート熱交換器で構成している。
【0032】
環境温度が高い場合には筐体100からの放熱が少なく、循環空気温度レベル(乾燥温度レベル)が上がるので、循環空気の飽和蒸気圧が上がり絶対湿度が上がる。水温一定では、排気水冷除湿部258での熱交換量が上がり、よって排気水冷除湿部258出口の冷却水温度は上がる。ゆえに循環ダクト251内において循環空気温度レベルが高く、冷却水温度も高いため、循環ダクト251内での熱交換量はおおむね一定(冷やしすぎない)にできる。また環境温度が低い場合には筐体100からの放熱が多く、循環空気温度レベル(乾燥温度レベル)が下がる。循環空気の飽和蒸気圧が下がり絶対湿度が下がる。水温一定では、排気水冷除湿部258での熱交換量が下がり、排気水冷除湿部258出口の冷却水温度は下がる。循環空気温度レベルが通常よりも低いが、冷却水温度の上昇も抑えられているので、循環ダクト251内での熱交換量は確保できるので、最終的に排気に対しては安定した除湿量が確保できる。
【0033】
以上のように、排気は循環ダクト251内において除湿された後に、排気経路255に導かれて排気水冷除湿部258にてさらに除湿されるので、つねに冷却水温近くまで冷却除湿されての排気となる。よって周囲環境に放出する湿気を減らすことができる。また冷却水は、排気水冷除湿部258で熱交換させた後に循環ダクト251に通水されるため、2つの除湿部を直列に通水されることになり、排気の除湿を優先させつつ、下流側にあるダクトの水冷除湿部261で熱交換を補わせる構成となっている。冷却水の熱交換量もつねに安定させることができ、循環ダクト251や排水口109に至るまでの外槽102などを過度に冷やす心配がない。
【0034】
排気経路255の排気端259と、給気口252及び筐体内を介して給気口252と通風できる給気端270とを離した配置としている。よって給気は排気経路255の排気水冷除湿部258よりも空間が確保された筐体内背面および上部を通過させて給気口252から給気できるので、ドラムの駆動源や送風ファン113の駆動源の排熱で温まった筐体内空気を取り込むことができる。なお筐体内を通過させて給気口252から給気する周囲外気を取り込む給気端270は、
図3に示す如く筐体背面側下部に設けているが、下部から給気するのに十分な隙間が存在するため特別に給気端を設ける必要がない場合や1か所でなく複数個所に設ける必要がある場合においても、本実施例の効果は本質的に変わらない。
【0035】
以上のように、環境温湿度の変化に対しても常に安定して除湿排気することで周囲環境を悪化させることがなく、循環空気全体を過度に冷やすことをせずに加熱量を抑えつつ、かつ給気に対しては機内の排熱を効率よく回収させることで乾燥の消費電力量を低減できる。
【0036】
排気水冷除湿部258は、冷却水と排気とが伝熱面を介して接触するいわゆるプレートフィン熱交換器としている。このような構成とすることで、冷却水流量の調整や排気量の調整を行った時でも、排気により冷却水を周囲外気へ飛翔させる心配はない。除湿できた除湿水は冷却水とは別経路にて循環ダクト部内を通して機外へ排水してもよい。
【0037】
また排気フィルタ257および循環空気フィルタ254は、一体着脱とした場合は、つけ忘れや紛失の心配を減らせる。個別に着脱できる構成とした場合は、乾燥工程中でもこまめに掃除できるなど、製品コンセプトに応じて構成できる。
【0038】
次に、制御装置の構成について説明する。
図5は本発明の実施例1に係るドラム式洗濯乾燥機の制御装置の構成を示すブロック図である。
【0039】
図5に示すように、制御装置300は、マイクロコンピュータ(以下「マイコン」と称する)310を備える。マイコン310は、使用者の操作(操作スイッチ118)や、洗濯工程、乾燥工程での各種情報信号(水位センサ123,排水温度センサT1、温度センサT2,T3、外気温度センサT4、電導度センサ121)を取得する。
【0040】
また、マイコン310は、駆動回路を介して、給水電磁弁120、排水弁V1、モータM10、温風ヒータ213、送風ファン113,循環ポンプ223、加熱ヒータ122、切替え弁224に接続され、これらの開閉、回転、通電を制御する。さらに、マイコン310は、使用者にドラム式洗濯乾燥機10に関する情報を知らせるために、表示部119やブザー(図示せず)等を制御する。また、マイコン310は、運転パターンデータベース311、工程制御部312、回転速度算出部313、衣類重量算出部314、電導度測定部315、洗剤量・洗い時間決定部316、濁度判定部317、閾値記憶部318を備える。
【0041】
マイコン310は、電源スイッチが押されて電源が投入されると起動し、
図6に示すような洗濯および乾燥の基本的な制御処理プログラムを実行する。
【0042】
図6は、本発明の実施例1に係るドラム式洗濯乾燥機における洗濯乾燥運転(洗い~乾燥)の動作を説明するフローチャートである。以下、ドラム式洗濯乾燥機における洗濯から乾燥までの工程について説明する。
【0043】
図6に示すように、制御装置300は、ステップS1において、ドラム式洗濯乾燥機10の運転工程におけるコース選択の入力を受け付ける(コース選択)。ここで、使用者は、ドア101を開けて、回転ドラム104内に洗濯する衣類を投入し、ドア101を閉じる。そして、使用者は、操作スイッチ118を操作することにより、運転工程のコースを選択し入力する。操作スイッチ118が操作されることにより、選択された運転工程のコースが制御装置300に入力される。制御装置300は、入力された運転工程のコースに基づいて、運転パターンデータベース311から対応する運転パターンを読み込み、ステップS2に進む。なお、以下の説明において、標準コース(洗い~すすぎ2回~脱水~乾燥)が選択されたものとして説明する。
【0044】
ステップS2において、制御装置300は、回転ドラム104に投入された衣類の重量(布量)を検出する工程を実行する(布量センシング)。具体的には、工程制御部312が、モータM10を駆動して回転ドラム104を回転させるとともに、衣類重量算出部314が注水前の洗濯物400の重量(布量)を算出する。
【0045】
ステップS3において、制御装置300は、洗剤量・運転時間を算出する工程を実行する。電導度測定部315は、給水された水の電導度(硬度)を検出する。また、外槽102の下部(例えば、排水口109)に設けた排水温度センサT1で、給水された水の温度を検出する。洗剤量・洗い時間決定部316は、検出した布量、電導度測定部315において電導度センサ121からの検出値を用いて求めた水の電導度(硬度)、水の温度に基づいてマップ検索により、投入する洗剤量と運転時間を決定する。そして、工程制御部312は、決定された洗剤量・運転時間を表示部119に表示する。
【0046】
ステップS4において、制御装置300は、所定時間待機して(洗剤投入待ち工程)、ステップS5に進む。使用者は、待機中に表示部119に表示された洗剤量を参考に、洗剤類投入部(図示せず)内に洗剤類を投入する。
【0047】
洗濯工程は、洗剤溶かし工程(ステップS5)、前洗い工程(ステップS6)、本洗い工程(ステップS7)に大別される。さらに、本洗い工程は、第1本洗い工程(本洗い1工程)とそれにつづく第2本洗い工程(本洗い2工程)に分けられるが、運転経過に対して各々の工程に明確に区別されていなくても機能上はなんら差し支えない。また、後述する工程中の動作の一部を省略しても洗濯工程全体としての機能に変わりはない。
【0048】
ステップS5において、制御装置300は、洗剤溶かし工程を実行する。給水電磁弁120が所定時間開かれ、給水される。給水は洗剤投入口に導かれたのち、外槽102に投入される。外槽102に投入された洗剤液は、給水経路(図示せず)を通って、回転ドラム104の底部に位置する水受け部108(
図2参照)に供給される。洗剤液が投入された後、循環ポンプ223(
図2参照)を駆動すると、水受け部108の水は、排水口109から糸屑フィルタ222を介して循環ポンプ223の吸込口(図示せず)に入る。循環ポンプ223で昇圧された洗濯水は、循環ポンプ223の出口と連通する循環吐出口124(
図4参照)から再び水受け部108に戻される(洗剤溶かし工程の循環経路)。循環を繰り返すことで、少ない水で洗剤を溶かした均一な高濃度洗剤液を生成する。
【0049】
制御装置300は、この時点で水受け部108内にある電導度センサ121(判別手段)において、電導度を検出し、高濃度洗剤水溶液のときの電導度データベースと柔軟剤水溶液のときの電導度データベースとの照合を行う。
【0050】
生成された高濃度洗剤液は洗濯物400に散布される。循環ポンプ223の出力は、最大洗濯負荷に応じた洗濯水を、外槽102の上方に設けた散水ノズル225まで、くみ上げるに十分な仕様となっている。このため、前述の洗剤溶かし工程の循環経路で循環させると、循環ポンプ223の所要動力は最終的には熱エネルギーに変わり、高濃度洗剤液の温度を上昇させる。生成された高濃度洗剤液は、外槽102の上方に設けた散水ノズル225までくみ上げられて、回転ドラム104内の洗濯物400へ散布される。このとき回転ドラム104を回転させて、洗濯物400を攪拌させながら洗濯物400に満遍なく高濃度洗剤液を散布する。
【0051】
ステップS6において、制御装置300は、前洗い工程を実行する。この工程では、通常、外槽102内には洗剤液のしみこんだ洗濯物400と、外槽102の底部の水受け部108に少量の洗剤液が存在する。回転ドラム104を回転させることで、洗濯物400を回転ドラム104の上部に持ち上げた後、重力により底部まで落下させるタンブリング動作に基づくたたき洗いを行う。これにより、洗濯物400に浸み込んだ洗剤液が搾り出てくるので、必要に応じて間欠的に循環ポンプ223を駆動させて、再び洗濯物400に洗剤液を散布する。この動作中においても、洗濯水と洗濯物のいわゆる洗浄温度を上げると、洗浄性能を向上できるので、必要に応じて送風ファン113からの気流を、加熱ヒータにて温めた後に吹き付ける。洗浄温度レベルを上げることで、洗濯物400への高濃度洗剤液の浸透を促進させることもできる。
【0052】
送風ファン113からの気流の吹出しノズル125は
図4に示すように、散水ノズル225や外槽102の後側上部にある給水口とは外槽102の円周上において対向する位置に設けているため、高濃度洗剤液の散布と浸み込みを促進させるための温風の干渉を防ぐことで、効率よく洗浄できる。洗濯物400は高濃度洗剤液を保水した状態であるため、洗濯物400の繊維隙間を空気が占めるよりも熱伝導は良く、効率よく加熱できる。これにより繊維から、より多くの汚れを短時間で分離できる。分離できた汚れは、保水された高濃度洗剤液内に迅速に分散されるので、再び凝集して再付着することを防ぐことができる。
【0053】
また、循環ポンプ223よりも小流量の循環ポンプ(図示せず)を別に設置してもよい。この場合、水受け部108から汲み上げて送風ファン113出口近傍にて温風内に散布することで、温風に液滴を混ぜて、洗濯物400に散布させてもよい。洗濯工程の途中で、通常の循環量レベルを確保できるまで追加給水して、循環ポンプ223にて散布させると、洗濯物400の温度は急激に低下する。そこで、前記のような構成にして、より少量の循環水を温風にのせて散布させれば、洗濯物400に含まれる水を満遍なく且つ僅かずつ入れ替えることができる。このため、洗濯物400の急激な温度低下も抑えることができるので、より洗浄性能を向上させることができる。
【0054】
ステップS7において、制御装置300は、本洗い工程を実行する。本洗い工程では、前洗い工程が終了した時点で追加給水して、水受け部108の水量を増やして、水位を上げる。この水位は、循環ポンプ223により水受け部108から洗濯水をくみ上げて、外槽102の上部の散水ノズル225から連続して散布するのに十分な水位を保つものとする。
【0055】
散水ノズル225からの散布は、連続であっても間欠であってもよい。具体的には、洗濯物400の裏側などに多くの汚れがまだ付着している間は、連続で散布して洗濯水の攪拌を促進する。これにより、洗濯物400が保水する洗濯水を、常に汚れ濃度の低い洗濯水に入れ替えることができる。その後、汚れがほとんど落ちた後は、たたき洗いの機械力を主として、残りの汚れを落とすほうが洗浄効率がよい。よって、後半の散布は、機械力を妨げないように間欠散布とするのが好ましい。また、循環ポンプ223の駆動力を間欠とすることで、消費電力量を抑えられるので、省エネルギーの面からも好ましい。
【0056】
なお、散水ノズル225は、外槽102に、ドラム式洗濯乾燥機の正面からみて回転可能な回転ドラム104の中心軸よりも上側、且つ、ドラム式洗濯乾燥機側面からみて、正面寄りの前側に位置している。これにより、散水ノズル225からの噴出範囲を、回転ドラム104の半径方向に対して広角にして散布する構造としている。この第1本洗い工程では、広範囲の散布とともに、回転ドラム104の回転によって回転ドラム104内の下方に溜まった洗濯物400を持ち上げて、回転ドラム104内の上方から落下させることにより、洗濯物400に機械的な力を与えてたたき洗いをする。ドラム径が大きいほど、広範囲の散布とたたき洗いの相乗効果が得られ、本洗い工程の時間を短縮できる。
【0057】
また必要に応じて制御装置300は第2本洗い工程を実行する。前述の本洗い工程(第1本洗い工程)の終了時に給水することで、第2本洗い工程の水量を、第1本洗い工程の水量よりも多くする。また、第2本洗い工程の循環ポンプ223の循環流量は、第1本洗い工程での循環ポンプ223の循環流量よりも多くする。さらに、第2本洗い工程における回転ドラム104のモータM10の回転速度は、第1本洗い工程のモータM10の回転速度よりも低くする。第1本洗い工程と第2本洗い工程の組み合わせは、洗濯物400の黒ずみ、ごわつきを抑制させる運転アルゴリズムとしている。
【0058】
以上のようにドラム式洗濯乾燥機の場合、回転ドラム104の回転に伴って、リフター105により洗濯物400をドラム上部に持ち上げた後、重力によりドラム底部に落とすたたき洗いが主流となる。オーバーフローホース111が外槽102の前部に接続されているため、場合によっては循環ダクト251のオーバーフローホース111の位置まで洗濯水は流入してくる。また洗濯工程中に、循環ダクト251内のリントを洗い流すために、除湿手段上部に設けた注水具(図示せず)より循環ダクト内に注水する場合もある。本実施例では除湿手段の冷却水の散水具と一体となっており、除湿手段も含めて洗浄できる構成となっている。
循環ダクト251から外槽背面部に向かって下り傾斜251d(
図3参照)をつけてあるため、流入してきた水は、洗濯終了時には、速やかに外槽102から排水口を通して機外へ排水される。
【0059】
ステップS8において、制御装置300は、第1すすぎ工程(すすぎ1工程)を実行する。この工程では、排水弁V1を開けて、洗濯水を排出した後、排水弁V1を閉じて、外槽102内に所定の水位まですすぎ水を供給する。その後、回転ドラム104を回転させて、洗濯物400とすすぎ水を攪拌してすすぐ。
【0060】
ステップS9において、制御装置300は、第2すすぎ工程(すすぎ2工程)を実行する。第2すすぎ工程では、第1すすぎ工程と同様にして、排水弁V1を開けて、すすぎ水を排出した後、排水弁V1を閉じて、外槽102内に所定の水位まですすぎ水を供給する。その後、回転ドラム104を回転させて、洗濯物400とすすぎ水を攪拌してすすぐ。
【0061】
ステップS10において、制御装置300は、脱水工程を実行する。この工程では、排水弁V1を開いて外槽102内のすすぎ水を排水した後、回転ドラム104を回転させて洗濯物400を遠心脱水する。脱水の回転速度は、洗濯物400のバランスがとれずにモータM10の電流値が上限を超えるなどの不具合がない限り、負荷に応じた設定回転速度まで上昇させる。脱水された水の一部が循環ダクト251側に巻き上げられてきても、外槽102の背面部と接続する循環ダクト251の下部は外槽102の背面部に向かって下り傾斜251dをつけてあるため、速やかに外槽102側に戻すことができる。そして、脱水の回転速度を上げて、回転ドラム104が高速回転すると、外槽102にも振動が伝わり、外槽102自身も僅かながら振動する。循環ダクト251は外槽102に固定されているため、この振動により循環ダクト部内壁に残った水滴をふるい落とせる。また、回転ドラム104の高速回転に伴って、振動がドア101側にも伝わることをパッキン107にて吸収できる。送風ファン113への振動も蛇腹管116を設けることによって吸収できる。
【0062】
ステップS11において、制御装置300は、乾燥工程を実行する。乾燥工程では、
図2~
図4に示したように、送風ファン113による昇圧昇温した空気を回転ドラム104内へ吹出しノズル125(
図4参照)を通して送風し、洗濯物400と熱交換させるとともに洗濯物400から水分を蒸発させる。洗濯物400から蒸発した水分の循環空気からの除湿は、循環空気の一部排気(それと同量の周囲外気の給気)と循環ダクト251での水冷除湿により行う。
【0063】
本実施例では排気の水冷除湿に用いた冷却水を循環ダクト251に通水させて循環空気の除湿をおこなうため、循環空気全体は過度に冷やすことがなく、排気を集中して除湿するため、周囲環境への湿気の排出を抑えることができ、周囲環境を悪化させることがない。また乾燥工程内において排気フィルタ257の目詰まりが進んだ場合には、給気扉260の開度を調整することで循環経路の通風抵抗を替えて、安定した排気量を確保することができる。また加熱ヒータ122による加熱量は冷却除湿能力とは個別に調整できるので、例えば給気により回収できる排熱量に変化があった場合などに対して、容易に加熱量を調整しても排気と循環空気の除湿を合わせて安定した除湿が確保できる。
【0064】
乾燥判定は、乾燥開始時若しくはある運転開始からの規定時間において排水温度センサT1によって外槽102の下部排水口温度T1aと外気温度センサT4によって外気温度T4aを測定する(初期温度の設定)。その後、負荷に見合った規定時間経過後に終了判定のための外槽102の下部排水口温度T1bと外気温度T4bを測定し、各々初期温度と終了判定温度との差を求める(ΔT1=T1a-T1b、ΔT4=T4a-T4b)。さらにそれらの温度差(ΔT1-ΔT4)が規定温度以上であるかどうかを確認して乾燥終了を判定する。
【0065】
なお、コース選択(ステップS1)において乾燥工程が設定されていない場合は、ステップS10において運転を終了する。
【0066】
本実施例によれば、乾燥運転中における循環空気の排気量を調節できるので,外槽出口の循環空気の湿度が飽和となるように加熱量を調節してあわせることで温風の温湿度を適切に保つことができる。よって排気湿度を下げつつ、循環ダクトの水冷除湿部で過度に冷却することなく冷却熱量に対する除湿潜熱の割合を最大にできることで、効率よく乾燥ができ,乾燥運転中の累積の排気に伴う湿気量も少なくできる。
【0067】
以上のように、本実施例では、冷却水を排気の水冷除湿部と循環ダクトに対して直列に通水させることで、冷却熱量を補い合うことができるので、環境温湿度の変化に対しても常に安定して除湿排気することで周囲環境の悪化を抑制できる。さらに本実施例では、循環空気全体を過度に冷やすことを抑制し、加えて加熱量を抑制しつつ、給気に対して機内の排熱を効率よく回収させているので、乾燥の消費電力量を低減できる。
【実施例2】
【0068】
次に本発明の実施例2について説明する。実施例1と共通する構成については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0069】
図7は本発明の実施例2に係るドラム式洗濯乾燥機の内部構造を示す右側面の概略断面図である。
【0070】
実施例2では、一部排気を排気経路および排気端を設けずに、排水ホースを介して排気することを基本構成としている。排水ホース110の外周の一部には、給水電磁弁120からの冷却水を通水させるための冷却除湿部262を設け、排水ホース110を通過する排気を冷却することで除湿する。これにより、排水トラップ202を介して排気する住宅の排水管(図示せず)内に対しても多湿の空気を流すことを抑制できる。
【0071】
本実施例の冷却除湿部262は、熱伝導性が高い金属製のパイプとしている。
冷却除湿部262の一方は、金属製のパイプ若しくは耐圧ホースを介して給水電磁弁120と接続されている。また、冷却除湿部262の他方は、金属製のパイプ若しくは耐圧ホースを介して循環ダクト251と接続されている。
【0072】
排水ホース110の冷却除湿部262を通水させた冷却水は、排水ホース110を通過する排気との間で熱交換され、冷却水の水温が上昇する。この冷却水は循環ダクト251内の水冷除湿部261に導き、通水させる。冷却除湿部262は水冷除湿部261よりも低い位置に備えられているが、冷却除湿部262は、金属製のパイプ若しくは耐圧ホース介して給水電磁弁120、循環ダクト251と接続されているので、水道水からの水圧により、冷却除湿部262から水冷除湿部261へ通水させることができる。このように構成することにより、実施例2では、排気の湿気を抑えつつ循環空気を過度に冷やすことなく効率よく乾燥できる。この場合、筐体下部の糸屑フィルタ222を排気フィルタとして共有することができ、排気フィルタ257の清掃作業を低減することができる。
【実施例3】
【0073】
次に本発明の実施例3について説明する。実施例1と共通する構成については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0074】
図8は本発明の実施例3に係るドラム式洗濯乾燥機の内部構造を示す右側面の概略断面図である。
【0075】
実施例3では、一部排気を冷却水が貯水された水フィルタ263内を通した後、液分離器264を介して機外へ排気することを基本構成としている。また、水フィルタ263に冷却水を通水させた後、冷却水を循環ダクト251内の水冷除湿部261に導くようにしている。水フィルタ263は循環ダクト251と連通している。
【0076】
冷却水は水フィルタ263を通過させた後、糸屑フィルタ222を介して循環ポンプ223により循環ダクト251の水冷除湿部261まで揚水する。このような構成とすることで、冷却水内に排気を通すためリントを分離しやすくでき、さらには排気フィルタ257をなくすことができる。なお、循環ポンプ223では流量が多すぎる場合などは、少流量ポンプ(図示せず)を別置しても差し支えない。また水フィルタ263と循環ダクト251との高さ関係から、ヘッド差で冷却水を水フィルタ263から循環ダクト251内へ通水できる場合は、水フィルタ263と循環ダクト251までの水路内に簡易フィルタ(図示せず)を設けても差し支えない。
【0077】
上記した各実施例では一例としてドラム式洗濯乾燥機の構成で説明したが、本発明はドラム式洗濯乾燥機に限らず、回転軸が垂直方向に設置された所謂縦型洗濯乾燥機にも適用可能である。その場合、回転ドラムは内槽に置き換えるようにする。
【符号の説明】
【0078】
10…ドラム式洗濯乾燥機、100…筐体100、100a…側板、100b…ベース、100c…前面カバー、100d…背面カバー、100e…上面カバー、101…ドア、102…外槽、103…サスペンション、104…回転ドラム、104a…開口部、104b…回転ドラム用金属製フランジ、105…リフター、106…主軸、107…パッキン、108…水受け部、109…排水口、110…排水ホース、111…オーバーフローホース、112…送風ダクト、113…送風ファン、114…ヒータ、115…加熱ユニット、116…蛇腹管、117…洗剤投入部、118…操作スイッチ、119…表示部、120…給水電磁弁、121…電導度センサ、122…加熱ヒータ、123…水位センサ、124…循環吐出口、125…吹出しノズル、202…排水トラップ、213…温風ヒータ、222…糸屑フィルタ、223…循環ポンプ、224…切替え弁、225…散水ノズル、251…循環ダクト、251d…傾斜、252…給気口、253…給気部、254…循環空気フィルタ、255…排気経路、256…排気口、257…
排気フィルタ、258…排気水冷除湿部、259…排気端、260…給気扉、261…水冷除湿部、262…冷却除湿部、263…水フィルタ、264…液分離器、270…給気端、300…制御装置、310…マイコン、311…運転パターンデータベース、312…工程制御部、313…回転速度算出部、314…衣類重量算出部、315…電導度測定部、316…洗剤量・洗い時間決定部、317…濁度判定部、318…閾値記憶部、400…洗濯物