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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-09
(45)【発行日】2024-04-17
(54)【発明の名称】電力供給システム、及び電力供給装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20240410BHJP
   H02J 7/35 20060101ALI20240410BHJP
   H02J 7/10 20060101ALI20240410BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20240410BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20240410BHJP
   B60L 53/51 20190101ALI20240410BHJP
   B60L 53/66 20190101ALI20240410BHJP
【FI】
H02J7/00 P
H02J7/35 K
H02J7/10 H
H02J7/10 B
H01M10/44 P
H01M10/48 P
B60L53/51
B60L53/66
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021052820
(22)【出願日】2021-03-26
(65)【公開番号】P2022150278
(43)【公開日】2022-10-07
【審査請求日】2023-05-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000233044
【氏名又は名称】株式会社日立パワーソリューションズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】吉田 直充
(72)【発明者】
【氏名】叶田 玲彦
(72)【発明者】
【氏名】菊池 輝
(72)【発明者】
【氏名】井出 一正
(72)【発明者】
【氏名】石川 拓也
【審査官】佐藤 卓馬
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-118210(JP,A)
【文献】特開2011-130647(JP,A)
【文献】特開2021-044972(JP,A)
【文献】特開2021-027657(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H02J 7/35
H02J 7/10
H01M 10/44
H01M 10/48
B60L 53/51
B60L 53/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力供給装置と、電動移動体と、を備え、
前記電力供給装置は、
直流電力を発電する太陽光発電設備と、
前記直流電力を直流バスに出力する制御を行う太陽光発電用電力変換器と、
前記電動移動体と電気的に接続可能であり、前記直流バスに出力された前記直流電力を前記電動移動体に供給することができる電力供給装置側接続部と、
を備え、
前記電動移動体は、
電荷を蓄積して充放電することができる電荷蓄積装置と、
前記電荷蓄積装置に対する電荷充放電機能を有する回路と、
を備え、
前記電動移動体は、前記電力供給装置側接続部に接続しているときに、前記直流バスの電圧に応じて前記回路を動作させて前記電荷蓄積装置を充電または放電させることで、前記直流バスの電圧を予め設定された範囲に収める、
ことを特徴とする電力供給システム。
【請求項2】
前記太陽光発電用電力変換器は、最大電力点追従制御を実行し、前記直流電力を前記直流バスに出力する、
請求項1に記載の電力供給システム。
【請求項3】
前記電力供給装置は、交流電源と、前記交流電源が出力した交流電力を直流電力に変換して前記直流バスに出力する整流器と、を備え、
前記整流器は、前記直流バスの電圧値が予め設定された電圧値以下であると、前記交流電源の電力を前記直流バスに出力する、
請求項1に記載の電力供給システム。
【請求項4】
前記電動移動体は、
電動機と、
前記電力供給装置側接続部と電気的に接続可能な電動移動体側接続部と、
前記回路を制御する回路制御部と、
を備え、
電圧制御モードと充電制御モードと走行制御モードのうち1つのモードを選択して実行し、
前記電圧制御モードは、前記電荷蓄積装置の充放電により前記直流バスの電圧を制御するモードであり、
前記充電制御モードは、前記電荷蓄積装置を定電流充電させるモードであり、
前記走行制御モードは、前記電動機を駆動させるためのモードであり、
前記回路制御部は、前記電動移動体側接続部が前記電力供給装置側接続部に接続しているときには、前記電圧制御モードまたは前記充電制御モードを選択し、前記電動移動体側接続部が前記電力供給装置側接続部に接続していないときには、前記走行制御モードを選択する、
請求項1に記載の電力供給システム。
【請求項5】
前記電動移動体は、
前記回路に、前記電荷蓄積装置に接続された電力変換回路を備え、
前記回路制御部は、
前記電圧制御モードと前記充電制御モードの場合には、前記電力変換回路を制御することにより前記回路を制御して、前記電荷蓄積装置を前記電力供給装置との間で充電または放電させ、
前記走行制御モードの場合には、前記回路を制御して、前記電力変換回路と前記電動機とを接続することで、前記電荷蓄積装置から前記電動機へ電力を供給させる、
請求項4に記載の電力供給システム。
【請求項6】
前記回路制御部は、前記電動移動体側接続部が前記電力供給装置側接続部に接続しているときには、前記電圧制御モードと前記充電制御モードの一方を、前記電動移動体の走行スケジュールまたは前記直流バスの電圧の変化に基づいて選択する、
請求項4に記載の電力供給システム。
【請求項7】
前記電力供給装置は、前記回路制御部と通信可能な制御モード指令部を備え、
前記回路制御部は、前記電動移動体側接続部が前記電力供給装置側接続部に接続しているときには、前記制御モード指令部からの指令により前記電圧制御モードまたは前記充電制御モードを選択する、
請求項4に記載の電力供給システム。
【請求項8】
電荷を蓄積して充放電することができる電荷蓄積装置を備える電動移動体に接続可能であって、
直流電力を発電する太陽光発電設備と、
前記直流電力を出力する制御を行う太陽光発電用電力変換器と、
前記太陽光発電用電力変換器に接続され、前記直流電力が前記太陽光発電用電力変換器から出力される直流バスと、
直流バスに接続され、前記電動移動体と電気的に接続可能であり、前記直流バスに出力された前記直流電力を前記電動移動体に供給することができる電力供給装置側接続部と、
を備え、
前記直流バスの電圧は、前記電力供給装置側接続部に接続された前記電動移動体の前記電荷蓄積装置を、前記直流バスの電圧に応じて充電または放電させることで、予め設定された範囲に収められる、
ことを特徴とする電力供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動移動体に電力を供給する電力供給装置と、この電力供給装置を備える電力供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電動自動車、電動農機、及びドローンなどの電動移動体は、供給された電力を蓄積し、蓄積した電力を用いて移動する。電動移動体へ電力を供給する電力供給装置の例は、特許文献1に記載されている。電力供給装置により電力が供給される電動移動体と、電動移動体の充電方法の例は、特許文献2に記載されている。
【0003】
特許文献1に記載された電力供給装置は、直流電力を供給する電力供給手段と、電力供給手段からの直流電力を貯蔵し純粋直流電力を出力する第一の蓄電手段と、第一の蓄電手段からの直流電力が貯蔵可能な第二の蓄電手段が搭載される移動体に第一の蓄電手段からの純粋直流電力を直送する充電回路と、第一の蓄電手段からの電力供給による第二の蓄電手段の充電時には電力供給手段から第一の蓄電手段への給電を中止する給電制御手段を備える。
【0004】
特許文献2に記載された電動移動体は、外部の電力供給装置から供給される直流電力を貯蔵する蓄電手段を搭載し、蓄電手段に貯蔵された直流電力を利用して移動する電動式移動体であって、電力供給装置から供給される直流電力を蓄電手段の急速充電に適合した電圧および電流に制御する充電制御手段と、電力供給装置から供給される直流電力を利用して蓄電手段の充電系統の強制冷却を行う冷却手段を備える。特許文献2に記載された充電方法では、外部の電力供給装置から供給される電力を蓄電手段の急速充電に適合した電圧および電流に制御し、電力供給装置から供給される電力を利用して蓄電手段の充電系統の強制冷却を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2008/102543号
【文献】国際公開第2008/132782号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電動移動体に電力を供給する電力供給装置には、電動移動体へ安定して電力を供給できるとともに、設置や維持のコストが低いことが望まれている。
【0007】
特許文献1に記載された電力供給装置は、電力供給手段からの直流電力を貯蔵する第一の蓄電手段と、電動移動体に搭載されて第一の蓄電手段からの直流電力を貯蔵可能な第二の蓄電手段を備える。特許文献1の電力供給装置では、電源である電力供給手段と電動移動体との間に蓄電手段(第一の蓄電手段)が必要であり、電動移動体の外部に蓄電手段を設置するためのコストと場所が必要であるという課題がある。
【0008】
特許文献2に記載された電動移動体の充電方法では、外部の電力供給装置から供給される電力を、電動移動体が搭載する蓄電手段の急速充電に適合した電圧および電流に制御する。特許文献2の充電方法では、電動移動体に供給される直流電力の電圧が外部の電力供給装置に依存するため、電動移動体への供給電圧が不安定になり電動移動体を安定して充電できない可能性があるという課題がある。
【0009】
本発明は、低コストで電動移動体へ安定して電力を供給できる電力供給システム及び電力供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による電力供給システムは、電力供給装置と電動移動体とを備える。前記電力供給装置は、直流電力を発電する太陽光発電設備と、前記直流電力を直流バスに出力する制御を行う太陽光発電用電力変換器と、前記電動移動体と電気的に接続可能であり、前記直流バスに出力された前記直流電力を前記電動移動体に供給することができる電力供給装置側接続部とを備える。前記電動移動体は、電荷を蓄積して充放電することができる電荷蓄積装置と、前記電荷蓄積装置に対する電荷充放電機能を有する回路とを備える。前記電動移動体は、前記電力供給装置側接続部に接続しているときに、前記直流バスの電圧に応じて前記回路を動作させて前記電荷蓄積装置を充電または放電させることで、前記直流バスの電圧を予め設定された範囲に収める。
【0011】
本発明による電力供給装置は、電荷を蓄積して充放電することができる電荷蓄積装置を備える電動移動体に接続可能であって、直流電力を発電する太陽光発電設備と、前記直流電力を出力する制御を行う太陽光発電用電力変換器と、前記太陽光発電用電力変換器に接続され、前記直流電力が前記太陽光発電用電力変換器から出力される直流バスと、直流バスに接続され、前記電動移動体と電気的に接続可能であり、前記直流バスに出力された前記直流電力を前記電動移動体に供給することができる電力供給装置側接続部とを備える。前記直流バスの電圧は、前記電力供給装置側接続部に接続された前記電動移動体の前記電荷蓄積装置を、前記直流バスの電圧に応じて充電または放電させることで、予め設定された範囲に収められる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、低コストで電動移動体へ安定して電力を供給できる電力供給システム及び電力供給装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施例1による電力供給システムと電力供給装置の構成例を示す図。
図2】本発明の実施例1による電力供給システムにおける電動移動体の構成例を示す図。
図3】本発明の実施例1による電力供給システムにおける電動移動体の別の構成例を示す図。
図4】本発明の実施例1による電力供給システムにおける、充電制御モードの制御フローの例を示す図。
図5】本発明の実施例1による電力供給システムにおける、電圧制御モードの制御フローの例を示す図。
図6】本発明の実施例1において、直流バスの電圧と電動移動体の制御モードとの関係の例を示す図。
図7】本発明の実施例2による電力供給システムと電力供給装置の構成例を示す図。
図8】本発明の実施例2による電力供給システムにおいて、制御モード指令部が制御モードの指令を生成するフローの例を示す図。
図9】本発明の実施例3による電力供給システムと電力供給装置の構成例を示す図。
図10】本発明の実施例3による電力供給システムにおいて、制御モード指令部が、電動移動体の走行スケジュールについての情報を用いて制御モードの指令を生成するフローの例を示す図。
図11】本発明の実施例4による電力供給システムと電力供給装置の構成例を示す図。
図12】本発明の実施例4による電力供給システムと電力供給装置の構成例を示す図で、電力供給装置が制御モード指令部を備える構成を示す図。
図13】本発明の実施例4による電力供給システムにおいて、制御モード指令部が制御モードの指令を生成するフローの例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明による電力供給システムと電力供給装置は、太陽光で発電し、電動移動体自体が持つ電荷蓄積装置の電荷充放電機能を利用することにより、電力供給装置が出力する電圧を制御して、電動移動体に電力を供給する。より具体的には、本発明による電力供給システムと電力供給装置は、電源と電動移動体との間に電荷蓄積装置を備えず、電動移動体自体が持つ電荷蓄積装置以外の電荷蓄積装置を用いずに、電動移動体への供給電圧を安定化して電動移動体を充電させることができる。
【0015】
以下、本発明の実施例による電力供給システムと電力供給装置について、図面を参照して説明する。なお、本明細書で用いる図面において、同一のまたは対応する構成要素には同一の符号を付け、これらの構成要素については繰り返しの説明を省略する場合がある。
【実施例1】
【0016】
図1は、本発明の実施例1による電力供給システム50と電力供給装置1の構成例を示す図である。本実施例による電力供給システム50は、電力供給装置1と電動移動体100を備える。電力供給装置1は、電動移動体100を接続可能であり、接続した電動移動体100に電力を供給することができる。図1には、一例として、電動移動体100を最大3台接続できる電力供給装置1を示しており、電力供給装置1に2つの電動移動体100(100A、100C)が接続されている状態を示している。
【0017】
電力供給装置1は、太陽光発電設備2と、接続箱3と、太陽光発電用電力変換器4と、直流バス5と、電力供給装置側接続部6を備える。図1には、一例として、電力供給装置1が3つの電力供給装置側接続部6(6A、6B、6C)を備える構成を示している。
【0018】
太陽光発電設備2は、太陽電池により直流電力を発電する設備であり、接続箱3を介して太陽光発電用電力変換器4に接続されている。太陽光発電設備2は、発電した直流電力を、接続箱3を介して太陽光発電用電力変換器4に供給する。
【0019】
太陽光発電用電力変換器4は、接続箱3に接続され、太陽光発電設備2が発電した直流電力を直流バス5に出力する制御を行う。例えば、太陽光発電用電力変換器4は、太陽光発電設備2の発電する直流電力が最大値を取るように最大電力点追従制御(MPPT制御)を実行し、直流電力を直流バス5に出力する。
【0020】
接続箱3は、太陽光発電設備2と太陽光発電用電力変換器4の間に接続され、太陽光発電設備2と太陽光発電用電力変換器4を電気的に接続または遮断する機能と、太陽光発電設備2への電力の逆流防止機能とを有する装置である。
【0021】
直流バス5は、複数の電力供給装置側接続部6(6A、6B、6C)を太陽光発電用電力変換器4に並列に接続する。直流バス5は、太陽光発電用電力変換器4が出力した直流電力を電力供給装置側接続部6に伝達する。なお、直流バス5の電圧は、電力供給装置側接続部6の電圧と等しい。
【0022】
電力供給装置側接続部6(6A、6B、6C)は、電動移動体100と電気的に接続可能であり、電力供給装置1の電動移動体100との電気的接続部である。すなわち、電力供給装置側接続部6は、直流バス5に接続されており、直流バス5と電動移動体100との間の電気的接点である。電力供給装置側接続部6は、太陽光発電用電力変換器4から直流バス5に出力された電力を電動移動体100に供給することができる。
【0023】
図1に示す例では、電力供給装置側接続部6A、6Cに電動移動体100A、100Cがそれぞれ接続されている。電力供給装置側接続部6Bは、図1の例では電動移動体100が接続されていないが、電力供給装置側接続部6A、6Cと同様に電動移動体100が接続可能である。電力供給装置1に接続できる電動移動体100の最大台数は、直流バス5に接続する電力供給装置側接続部6の個数により定められる。
【0024】
電動移動体100(100A、100C)は、供給された電力を蓄積し、蓄積した電力を用いて移動する移動体であり、例えば電動自動車、電動農機、及びドローンなどである。以下では、電動移動体100の移動を、「走行」と呼ぶこともある。
【0025】
電動移動体100は、電動移動体側接続部101を備える。電動移動体側接続部101は、電力供給装置1と電気的に接続可能であり、電動移動体100の電力供給装置1との電気的接続部である。図1に示す例では、電動移動体100Aの電動移動体側接続部101Aは、電力供給装置側接続部6Aに接続されており、電動移動体100Cの電動移動体側接続部101Cは、電力供給装置側接続部6Cに接続されている。
【0026】
電動移動体100(100A、100C)は、後述するように、充放電回路110(110A、110C)と、電荷蓄積装置102(102A、102C)と、回路制御部103(103A、103C)を備える。
【0027】
図2は、本実施例による電力供給システム50における電動移動体100の構成例を示す図である。図2に示す電動移動体100は、1基の電動機121を備える。
【0028】
電動移動体100は、電動移動体側接続部101と、電荷蓄積装置102と、回路制御部103と、回路切換部113、114と、駆動用電力変換回路111、112と、変圧器104と、電動機121を備える。駆動用電力変換回路111、112は、例えばインバータである。本実施例では、電動機121が三相電動機であり、駆動用電力変換回路111、112が三相フルブリッジインバータであり、変圧器104が三相変圧器である電動移動体100を説明する。
【0029】
電動移動体側接続部101は、電力供給装置1の電力供給装置側接続部6と電気的に接続することができる。
【0030】
電荷蓄積装置102は、電荷を蓄積して充放電することができる。電荷蓄積装置102が蓄積した電荷は、電動移動体100の駆動や、電力供給装置1の直流バス5(図1)の電圧安定化などに用いられる。電荷蓄積装置102には、例えば、リチウムイオン電池やニッケル水素電池などの2次電池を用いることができる。
【0031】
回路制御部103は、駆動用電力変換回路111、112と回路切換部113、114に制御信号を送信し、駆動用電力変換回路111、112と回路切換部113、114をそれぞれ制御する。この制御により、回路制御部103は、電動移動体100内の電力回路構成を切り換え、電動移動体100内の電力回路を制御できる。
【0032】
回路切換部113は、開と閉の2つの状態を有する。回路切換部114は、駆動用電力変換回路111と電動機121とを接続する状態と、駆動用電力変換回路111と変圧器104とを接続する状態(すなわち、電動機121に電力を供給しない状態)という2つの状態を有する。
【0033】
駆動用電力変換回路111は、電荷蓄積装置102に接続されている。また、駆動用電力変換回路111は、回路切換部114の制御により、変圧器104と電動機121のいずれか一方に接続される。
【0034】
駆動用電力変換回路112は、電動移動体側接続部101に接続されている。また、駆動用電力変換回路112は、回路切換部114の制御により、駆動用電力変換回路111に接続できる。また、駆動用電力変換回路112は、回路切換部113の制御により、電荷蓄積装置102に接続できる。
【0035】
電動機121は、電荷蓄積装置102から電力を供給されて、電動移動体100を駆動させる。また、電動機121は、生成した回生電力を電荷蓄積装置102に蓄積することができる。
【0036】
駆動用電力変換回路111、112、回路切換部114、及び変圧器104は、充放電回路110を構成する。充放電回路110は、電荷蓄積装置102に対する電荷充放電機能を有する回路である。回路制御部103は、充放電回路110を制御する。
【0037】
図3は、本実施例による電力供給システム50における電動移動体100の別の構成例を示す図である。図3に示す電動移動体100は、2基の電動機121、122を備える。
【0038】
図3に示す電動移動体100は、図2に示す電動移動体100において、回路切換部115と、電動機122をさらに備える。
【0039】
回路制御部103は、回路切換部115に制御信号を送信し、回路切換部115を制御する。
【0040】
回路切換部115は、駆動用電力変換回路112と電動機122とを接続する状態と、駆動用電力変換回路112と変圧器104とを接続する状態(すなわち、電動機122に電力を供給しない状態)という2つの状態を有する。
【0041】
駆動用電力変換回路112は、回路切換部115の制御により、変圧器104と電動機122のいずれか一方に接続される。また、駆動用電力変換回路112は、回路切換部113の制御により、電荷蓄積装置102に接続できる。
【0042】
図1に示した電動移動体100A、100Cは、図2に示した1基の電動機121を備える電動移動体100であってもよく、図3に示した2基の電動機121、122を備える電動移動体100であってもよい。
【0043】
電動移動体100は、電圧制御モードと充電制御モードと走行制御モードのうち1つの制御モードを選択して実行することができる。電圧制御モードは、電荷蓄積装置102の充放電により直流バス5(図1)の電圧を制御するモードである。充電制御モードは、電荷蓄積装置102を定電流充電させるモードである。走行制御モードは、電動機121、122を駆動させるためのモードである。
【0044】
回路制御部103は、電動移動体側接続部101が電力供給装置側接続部6に接続しているときには、電圧制御モードまたは充電制御モードを選択でき、電動移動体側接続部101が電力供給装置側接続部6に接続していないときには、走行制御モードを選択する。
【0045】
図2に示した1基の電動機121を備える電動移動体100において、電圧制御モードの場合と充電制御モードの場合には、回路制御部103は、回路切換部113を開にするとともに、回路切換部114を制御して駆動用電力変換回路111と変圧器104とを接続させる。駆動用電力変換回路111と変圧器104とが接続すると、駆動用電力変換回路111と、変圧器104と、駆動用電力変換回路112とが直列に接続した回路が、充放電回路110として構成される。回路制御部103は、駆動用電力変換回路111、112を制御することにより、この充放電回路110を制御する。
【0046】
図3に示した2基の電動機121、122を備える電動移動体100において、電圧制御モードの場合と充電制御モードの場合には、回路制御部103は、図2について説明した制御に加えて、回路切換部115を制御して駆動用電力変換回路112と変圧器104とを接続させる制御を行う。これらの制御により、駆動用電力変換回路111と、変圧器104と、駆動用電力変換回路112とが直列に接続した回路が、充放電回路110として構成される。回路制御部103は、駆動用電力変換回路111、112を制御することにより、この充放電回路110を制御する。
【0047】
充放電回路110は、本実施例では、三相デュアルアクティブブリッジ回路の構成を備える。三相デュアルアクティブブリッジ回路の伝送電力は、回路の両端の電圧である、電動移動体側接続部101での電圧と電荷蓄積装置102での電圧に比例する。また、この伝送電力は、三相フルブリッジインバータである駆動用電力変換回路111、112の間の、スイッチング素子の駆動の位相差φにより制御できる。例えば、駆動用電力変換回路112に対して駆動用電力変換回路111のスイッチング素子の駆動が遅いと、位相差φ>0であり、電荷蓄積装置102が充電される。また、駆動用電力変換回路112に対して駆動用電力変換回路111のスイッチング素子の駆動が早いと、位相差φ<0であり、電荷蓄積装置102が放電される。位相差φ=0のときには、電荷蓄積装置102の充放電は行われない。
【0048】
なお、充放電回路110が動作するのは、電動移動体側接続部101が電力供給装置側接続部6に接続されているときである。このため、電動移動体側接続部101の電圧は、電力供給装置1の電力供給装置側接続部6と直流バス5(図1)の電圧と等しい。
【0049】
図4は、本実施例による電力供給システム50における、充電制御モードの制御フローの例を示す図である。
【0050】
充電制御モードでは、電荷蓄積装置102の電圧に対して上限値Vch(例えば400V)が予め設定されている。充電制御モードでは、回路制御部103は、電荷蓄積装置102の電圧を監視する。電荷蓄積装置102の電圧が上限値Vchより大きい場合は、電荷蓄積装置102を充電させることが禁止される。上限値Vchは、任意に定めることができ、例えば、電荷蓄積装置102が使用するSOC(State of charge)の範囲における電荷蓄積装置102の端子電圧値を基に定めることができる。
【0051】
ステップS101で、回路制御部103は、電荷蓄積装置102の電圧が上限値Vch未満であるか否かを判定する。電荷蓄積装置102の電圧が上限値Vch未満である場合には、ステップS102の処理を実行する。
【0052】
ステップS102で、回路制御部103は、充放電回路110を制御し、電荷蓄積装置102を電力供給装置1から定電流充電させる。回路制御部103は、駆動用電力変換回路111、112の間の、スイッチング素子の駆動の位相差φをφ>0の値に固定し、充放電回路110を動作させて、電荷蓄積装置102を定電流充電させる。
【0053】
ステップS103で、回路制御部103は、電荷蓄積装置102の電圧が上限値Vch未満であるか否かを判定する。電荷蓄積装置102の電圧が上限値Vch未満である場合には、ステップS102での定電流充電を継続する。
【0054】
ステップS104は、ステップS101で、電荷蓄積装置102の電圧が上限値Vch以上である場合と、ステップS103で、ステップS102での充電に伴い電荷蓄積装置102の電圧が上昇して上限値Vchに到達した場合の処理である。ステップS104で、回路制御部103は、充放電回路110の全スイッチング素子をオフにする制御(例えば、駆動用電力変換回路111、112のスイッチング素子を全てオフにする制御)を実施し、電荷蓄積装置102の充電を終了する。
【0055】
充放電回路110の充放電電力は、電荷蓄積装置102の電圧に比例する。このため、電動移動体側接続部101の電圧が一定値であれば、充放電回路110における駆動用電力変換回路111、112の間の、スイッチング素子の駆動の位相差φを固定する制御により、電荷蓄積装置102を定電流充電させることができる。位相差φの固定された値は、任意に定めることができ、例えばπ/6[rad]とすることができる。
【0056】
図5は、本実施例による電力供給システム50における、電圧制御モードの制御フローの例を示す図である。
【0057】
電圧制御モードでは、電荷蓄積装置102の電圧に対して上限値Vch(例えば400V)と下限値Vcl(例えば270V)が予め設定されている。電圧制御モードでは、回路制御部103は、電荷蓄積装置102の電圧を監視する。電荷蓄積装置102の電圧が上限値Vchより大きい間は、電荷蓄積装置102を充電させることが禁止される。電荷蓄積装置102の電圧が下限値Vcl未満である間は、電荷蓄積装置102を放電させることが禁止される。上限値Vchと下限値Vclは、任意に定めることができ、例えば、電荷蓄積装置102が使用するSOCの範囲における電荷蓄積装置102の端子電圧値を基に定めることができる。
【0058】
電圧制御モードでは、電力供給装置1の直流バス5(図1)の電圧に対して範囲(例えば350V±3.5V)が予め設定されている。すなわち、直流バス5の電圧に対して、上限値Vbh(例えば353.5V)と下限値Vbl(例えば346.5V)が予め設定されている。なお、上述したように、電動移動体側接続部101の電圧は、直流バス5の電圧と等しいので、電動移動体側接続部101の電圧にも、直流バス5の電圧の上限値Vbhと下限値Vblと等しい上限値と下限値が設定されていることになる。
【0059】
太陽光発電設備2は、MPPT制御により、発電可能な電力の最大値を出力するので、直流バス5には、太陽光発電設備2の最大電力が出力される。一方で、日射の変動により太陽光発電設備2の最大電力が変動するために、太陽光発電用電力変換器4から出力される直流バス5の電圧が変動するので、電動移動体100へ供給される電圧が変動する。そこで、電動移動体100へ供給される電圧の変動を抑制し、電動移動体100へ安定して電力を供給するために、電圧制御モードでは、直流バス5の電圧に対して範囲(上限値Vbhと下限値Vbl)が設定されている。
【0060】
上限値Vbhと下限値Vblは、任意に定めることができ、例えば、電動移動体100へ安定して電力を供給できると考えられる直流バス5の電圧の範囲を基に定めることができる。
【0061】
電圧制御モードでは、回路制御部103は、電荷蓄積装置102の電圧と、電動移動体側接続部101の電圧すなわち直流バス5の電圧とを監視する。そして、回路制御部103は、直流バス5の電圧(すなわち電動移動体側接続部101の電圧)に応じて充放電回路110を動作させて電荷蓄積装置102を充電または放電させることで、直流バス5の電圧を予め設定された範囲に収めるような制御を実行する。
【0062】
ステップS201で、回路制御部103は、電動移動体側接続部101の電圧が上限値Vbhより大きいか否かを判定する。電動移動体側接続部101の電圧が上限値Vbhより大きい場合には、ステップS202の処理を実行する。
【0063】
ステップS202で、回路制御部103は、電荷蓄積装置102の電圧が上限値Vch未満であるか否かを判定する。電荷蓄積装置102の電圧が上限値Vch未満である場合には、ステップS203の処理を実行する。
【0064】
ステップS203で、回路制御部103は、充放電回路110を制御し、電荷蓄積装置102を電力供給装置1から定電流充電させる。回路制御部103は、駆動用電力変換回路111、112の間の、スイッチング素子の駆動の位相差φをφ>0の値に固定し、充放電回路110を動作させて、電荷蓄積装置102を定電流充電させる。
【0065】
ステップS204は、ステップS201で、電動移動体側接続部101の電圧が上限値Vbh以下である場合に実行する処理である。ステップS204で、回路制御部103は、電動移動体側接続部101の電圧が下限値Vbl未満であるか否かを判定する。電動移動体側接続部101の電圧が下限値Vbl未満である場合には、ステップS205の処理を実行する。
【0066】
ステップS205で、回路制御部103は、電荷蓄積装置102の電圧が下限値Vclより大きいか否かを判定する。電荷蓄積装置102の電圧が下限値Vclより大きい場合には、ステップS206の処理を実行する。
【0067】
ステップS206で、回路制御部103は、充放電回路110を制御し、電荷蓄積装置102を電力供給装置1に放電させる。回路制御部103は、駆動用電力変換回路111、112の間の、スイッチング素子の駆動の位相差φをφ<0の値に固定し、充放電回路110を動作させて、電荷蓄積装置102を放電させる。
【0068】
ステップS207は、ステップS202で電荷蓄積装置102の電圧が上限値Vch以上である場合と、ステップS204で電動移動体側接続部101の電圧が下限値Vbl以上である場合と、ステップS205で電荷蓄積装置102の電圧が下限値Vcl以下である場合に実行する処理である。ステップS207で、回路制御部103は、充放電回路110の全スイッチング素子をオフにする制御を実施し、電荷蓄積装置102の充放電を停止する。
【0069】
ステップS208で、回路制御部103は、電圧制御モードが継続されているか否かを判定する。電圧制御モードが継続されている場合には、回路制御部103は、ステップS201に戻り、充放電回路110を制御して電圧制御モードの処理を続ける。電圧制御モードが継続されていない場合、すなわち電圧制御モードから充電制御モードまたは走行制御モードに切り換えられた場合には、回路制御部103は、図5に示す電圧制御モードの制御フローの実行を終了する。
【0070】
図5に示す電圧制御モードの制御フローでは、直流バス5の電圧(すなわち、電動移動体側接続部101の電圧)が上限値Vbhより大きい場合には、直流バス5の電圧が高くて直流バス5の電力に余裕があるので、電荷蓄積装置102が充電可能であれば電荷蓄積装置102を電力供給装置1(直流バス5)から充電させる(ステップS201からステップS203)。また、直流バス5の電圧が下限値Vbl未満であるときには、直流バス5の電圧が低くて直流バス5の電力が不足しているので、電荷蓄積装置102が放電可能であれば電荷蓄積装置102を電力供給装置1(直流バス5)に放電させる(ステップS204からステップS206)。
【0071】
電圧制御モードでは、回路制御部103がこのように充放電回路110を制御して電荷蓄積装置102の充放電を実施することにより、直流バス5の電圧を予め設定された範囲(上限値Vbhと下限値Vblの間の範囲、例えば350V±3.5V)に収めることができる。このため、本実施例による電力供給システム50では、電力供給装置1に接続されている電動移動体100により直流バス5の電圧を安定させることができるので、他の電動移動体100に対して直流バス5(すなわち、電力供給装置1)から安定して電力を供給できる。また、本実施例による電力供給システム50では、電動移動体100が備える電荷蓄積装置102以外に電荷蓄積装置を必要としないので、電力供給システム50にかかるコストを低くすることができる。
【0072】
電圧制御モードについて説明を補足する。電圧制御モードにおいて、充放電回路110を動作させるときの充放電電力、すなわち直流バス5の電圧を予め設定された範囲(上限値Vbhと下限値Vblの間の範囲)に収めるために必要な充放電電力をPで表すとする(但し、電荷蓄積装置102を充電させるときにはP>0)。充放電電力Pは、任意の方法で求めることができ、例えば電動移動体側接続部101の電圧に基づくドループ制御を用いて決定することができる。電動移動体側接続部101の電圧(すなわち直流バス5の電圧)が、上限値Vbhと下限値Vblの中間値であるときにはP=0と設定し、上限値Vbh以上のときにはP=P_0と設定し、下限値Vbl以下のときにはP=-P_0と設定する。ただし、P_0は、充放電回路110の定格電力である。
【0073】
走行制御モードについて説明する。走行制御モードは、電動移動体100の電動機121、122を駆動させるためのモードである。走行制御モードでは、電動移動体100は、電力による電動機121、122の駆動により、移動することができる。回路制御部103は、電動移動体側接続部101が電力供給装置側接続部6に接続されていないときには、走行制御モードを選択する。
【0074】
図2に示した、1基の電動機121を備える電動移動体100において、走行制御モードの場合には、回路制御部103は、回路切換部113を開とする。また、回路制御部103は、回路切換部114を制御することで充放電回路110を制御して、駆動用電力変換回路111と電動機121とを接続する。充放電回路110がこのように構成されると、電荷蓄積装置102は、電動機121へ電力を供給できる。回路制御部103は、電動移動体100の走行状態に合わせて駆動用電力変換回路111を制御し、電動機121に必要な電力を供給することで、電動移動体100の走行を制御する。また、充放電回路110がこのように構成されると、電動機121の回生電力を電荷蓄積装置102に蓄積することができる。
【0075】
図3に示した、2基の電動機121、122を備える電動移動体100において、走行制御モードの場合には、回路制御部103は、回路切換部113を閉とする。また、回路制御部103は、回路切換部114を制御して、駆動用電力変換回路111と電動機121とを接続し、回路切換部115を制御して、駆動用電力変換回路112と電動機122とを接続する。充放電回路110がこのように構成されると、電荷蓄積装置102は、電動機121、122へ電力を供給できる。電動機121、122に供給される電力は、回路制御部103が駆動用電力変換回路111、112を制御することにより、それぞれ個別に制御できる。
【0076】
次に、電動移動体100の電圧制御モードと充電制御モードの選択と切換について説明する。本実施例では、電力供給装置側接続部6に接続された電動移動体100が、自律的に電圧制御モードまたは充電制御モードを選択し、選択した制御モードに切り換わる。制御モードの選択と切換は、電動移動体100の回路制御部103が実施する。本実施例では、電動移動体100が自律的に制御モードの選択と切換を実施するので、電力供給装置1で集中制御をしたり、電力供給装置1と電動移動体100とで通信をしたりする必要がなく、電力供給装置1に制御設備や通信設備を設置したり、電動移動体100に通信機器を搭載したりしなくてもよい。
【0077】
電動移動体100が、自律的に電圧制御モードまたは充電制御モードを選択し、選択した制御モードに切り換わる方法には、例えば、電動移動体100の走行スケジュールに基づいて制御モードが切り換わる方法や、直流バス5の電圧の変化に基づいて制御モードが切り換わる方法がある。直流バス5の電圧の変化に基づいて制御モードが切り換わる方法には、例えば、直流バス5の電圧が予め設定された範囲に維持された時間と、この設定範囲から逸脱した時間とに基づいて制御モードが切り換わる方法がある。
【0078】
走行スケジュールに基づいて制御モードが切り換わる方法について説明する。走行スケジュールに基づく制御モードの切換方法では、作業者は、電力供給装置側接続部6に電動移動体100を接続する際、任意の入力装置を用いて電動移動体100に次回走行の開始時刻を入力する。作業者が電動移動体100に入力した次回走行の開始時刻は、回路制御部103に入力される。
【0079】
回路制御部103は、現在時刻における電荷蓄積装置102のSOCであるSOC_nowと、SOC_nowから充電完了時のSOC(例えば80%)まで定電流充電させる際の所要時間T’を常に演算する。そして、回路制御部103は、入力した次回走行の開始時刻から所要時間T’だけ前の時刻を、充電制御モード移行時刻とする。
【0080】
回路制御部103は、充電制御モード移行時刻より前の時間帯では電圧制御モードを選択し、充電制御モード移行時刻より後の時間帯では充電制御モードを選択し、選択した制御モードを図5または図4の制御フローに従って実行する。回路制御部103は、充電制御モード移行時刻より前の時間帯では、電圧制御モードを実行して、直流バス5の電圧を安定させる。回路制御部103は、充電制御モード移行時刻より後の時間帯では、充電制御モードを実行して、直流バス5の電圧を安定させるのよりも電動移動体100の充電を優先的に行い、電動移動体100がいつでも移動できるようにする。
【0081】
直流バス5の電圧が設定範囲に対して維持された時間と逸脱した時間に基づいて制御モードが切り換わる方法について説明する。なお、以下の説明では、図1に示すように、電力供給装置側接続部6A、6Cに電動移動体100A、100Cがそれぞれ接続されているとする。そして、電動移動体100Aの回路制御部103と電荷蓄積装置102を、それぞれ回路制御部103Aと電荷蓄積装置102Aとし、電動移動体100Cの回路制御部103と電荷蓄積装置102を、それぞれ回路制御部103Cと電荷蓄積装置102Cとする。
【0082】
直流バス5の電圧が設定範囲に対して維持された時間と逸脱した時間に基づいて制御モードが切り換わる方法では、電動移動体100A、100Cが電力供給装置側接続部6A、6Cに接続されたとき、直流バス5の電圧が設定範囲内であれば回路制御部103A、103Cは充電制御モードを選択し、直流バス5の電圧が設定範囲外であれば回路制御部103A、103Cは電圧制御モードを選択する。そして、回路制御部103A、103Cは、選択した制御モードを図4または図5の制御フローに従って実行する。
【0083】
電動移動体100A、100Cが電力供給装置側接続部6A、6Cに接続された後は、制御モードが電圧制御モードであり、かつ直流バス5の電圧が時間T1の間連続して設定範囲内に維持された場合には、回路制御部103A、103Cは、電圧制御モードから充電制御モードに切り換え、充電制御モードを実行する。
【0084】
電動移動体100A、100Cの制御モードが充電制御モードであって、電動移動体100A、100Cが電圧制御モードを実行したことがあり、かつ直流バス5の電圧が時間T2の間連続して設定範囲から逸脱した場合には、回路制御部103A、103Cは、充電制御モードから電圧制御モードに切り換え、電圧制御モードを実行する。
【0085】
電動移動体100A、100Cの制御モードが充電制御モードであって、電動移動体100A、100Cが電圧制御モードを実行したことがなく、かつ直流バス5の電圧が時間T3(但しT3>T2)の間連続して設定範囲から逸脱した場合には、回路制御部103A、103Cは、充電制御モードから電圧制御モードに切り換え、電圧制御モードを実行する。
【0086】
時間T1、T2、T3は、予め任意に定めることができる。但し、T3>T2である。
【0087】
太陽光発電用電力変換器4は、太陽光発電設備2および接続箱3が接続される入力側に動作電圧範囲が設定されており、直流バス5が接続される出力側に動作開始基準値が設定されている。動作開始基準値は、直流バス5の電圧に設定された範囲の下限値Vbl以下の値(例えば280V)である。
【0088】
太陽光発電用電力変換器4は、太陽光発電設備2の発電電圧が太陽光発電用電力変換器4の動作電圧範囲内にあり、かつ直流バス5の電圧が動作開始基準値以上の場合に動作して、太陽光発電設備2の発電する直流電力が最大値を取るようにMPPT制御を実行する。MPPT制御を実行する条件に直流バス5の電圧を含めることにより、電動移動体が1台も電力供給装置1に接続されていないときに太陽光発電設備2の発電電力が直流バス5に供給されることを防止する。
【0089】
直流バス5の電圧が時間T4(但しT4>T3)の間連続して設定範囲の上限値Vbhより大きい場合には、太陽光発電用電力変換器4は、MPPT制御を停止し、太陽光発電設備2の電圧を一定の割合で減じる制御を行う。MPPT制御を停止した状態で直流バス5の電圧が時間T5(但しT5>T1)の間連続して設定範囲内に維持された場合には、太陽光発電用電力変換器4は、MPPT制御を再開する。
【0090】
また、太陽光発電用電力変換器4は、太陽光発電設備2の発電電圧が太陽光発電用電力変換器4の動作電圧範囲を逸脱した場合、または直流バス5の電圧が動作開始基準値より小さくなった場合には、動作を停止し、太陽光発電設備2の発電を停止する。
【0091】
図6は、本実施例において、直流バス5の電圧と電動移動体100A、100Cの制御モードとの関係の例を示す図である。図6の上部には、直流バス5の電圧の時間変化を、直流バス5の電圧に設定された上限値Vbhと下限値Vblとともに示している。すなわち、直流バス5の電圧に対して設定された範囲は、上限値がVbhで、下限値がVblである。図6の下部には、電動移動体100Aと電動移動体100Cの制御モードの時間変化を示している。
【0092】
まず、電動移動体100Aの制御モードについて説明する。電動移動体100Aは、時刻t0で、電力供給装置1の電力供給装置側接続部6Aに接続される。
【0093】
時刻t0で電動移動体100Aが電力供給装置側接続部6Aに接続されたとき、直流バス5の電圧は、下限値Vbl未満である。回路制御部103Aは、直流バス5の電圧が設定範囲外であるため、電圧制御モードを選択する。
【0094】
直流バス5の電圧は、時刻t1で下限値Vblより大きくなり、時刻t1から時刻t2(時刻t1から時間T1を経過した時刻)まで継続して設定された範囲内の値を取る。このため、回路制御部103Aは、時刻t2で電圧制御モードから充電制御モードに切り換える。
【0095】
直流バス5の電圧は、時刻t3で下限値Vbl未満になり、時刻t3から時刻t4(時刻t3から時間T2を経過した時刻)まで継続して下限値Vbl未満である。このため、回路制御部103Aは、時刻t4で充電制御モードから電圧制御モードに切り換える。
【0096】
回路制御部103Aは、時刻t4の後も同様にして、直流バス5の電圧に応じて制御モードを切り換える。例えば、回路制御部103Aは、時刻t7で電圧制御モードから充電制御モードに切り換え、時刻t10で充電制御モードから電圧制御モードに切り換え、時刻t13で電圧制御モードから充電制御モードに切り換え、時刻t15で充電制御モードから電圧制御モードに切り換える。
【0097】
次に、電動移動体100Cの制御モードについて説明する。電動移動体100Cは、時刻t0から時刻t8まで電力供給装置1に接続されてなくて走行制御モードが選択されており、時刻t8で電力供給装置側接続部6Cに接続される。
【0098】
時刻t8で、電動移動体100Cが電力供給装置側接続部6Cに接続されたとき、直流バス5の電圧は、設定された範囲内の値を取っている。このため、回路制御部103Cは、充電制御モードを選択する。
【0099】
直流バス5の電圧は、時刻t9で下限値Vbl未満になり、時刻t12(時刻t9から時間T3を経過した時刻)よりも早い時刻t11で下限値Vblより大きくなる。このため、回路制御部103Cは、時刻t12で電圧制御モードに切り換えず、充電制御モードを継続する。回路制御部103Cは、同様にして、時刻t16でも充電制御モードを継続する。
【0100】
本実施例による電力供給システム50では、電力供給装置1に接続されている電動移動体100(例えば、図6の電動移動体100A)により直流バス5の電圧を安定させることができるので、充電のために電力供給装置1に新たに接続された他の電動移動体100(例えば、図6の電動移動体100C)に対して、安定して充電をすることができる。
【0101】
電動移動体100は、以上に述べたように電圧制御モードと充電制御モードを選択して実行することにより、直流バス5の電圧が設定された範囲内に収まるように制御しつつ、電荷蓄積装置102を充電させる。回路制御部103は、特に、電動移動体100の制御モードを電圧制御モードに切り替えることで、電動移動体100の電荷蓄積装置102の電荷充放電機能を利用して、直流バス5の電圧を設定された範囲内に収めて安定させることができる。このため、本実施例による電力供給システム50では、電動移動体100が備える電荷蓄積装置102以外の電荷蓄積装置を必要とせず低コストで、電動移動体100へ安定して電力を供給できる。
【実施例2】
【0102】
図7は、本発明の実施例2による電力供給システム50と電力供給装置1の構成例を示す図である。以下では、本実施例による電力供給システム50について、実施例1による電力供給システム50と異なる点を主に説明する。
【0103】
本実施例による電力供給システム50は、電力供給装置1が制御モード指令部7を備える。制御モード指令部7は、電動移動体100の電荷蓄積装置102の状態に基づいて、電動移動体100に対する制御モードの指令を生成し、生成した指令に基づいて回路制御部103に制御モードを実行させる。
【0104】
制御モード指令部7は、電動移動体100の回路制御部103と通信することができる。制御モード指令部7と回路制御部103との間の通信は、有線通信でも無線通信でもよい。本実施例では、制御モード指令部7が回路制御部103と有線で通信する。
【0105】
制御モード指令部7は、電力供給装置側接続部6A、6Cを介して回路制御部103A、103Cと通信し、回路制御部103A、103Cに対して制御モードを指令する。図7では、通信線を破線で示している。
【0106】
回路制御部103は、制御モード指令部7からの指令により電圧制御モードまたは充電制御モードを選択し、選択した制御モードを実行する。
【0107】
図8は、本実施例による電力供給システム50において、制御モード指令部7が制御モードの指令を生成するフローの例を示す図である。制御モード指令部7は、制御モードの指令の生成を、一定周期(例えば1秒の周期)で実施する。
【0108】
ステップS301で、制御モード指令部7は、電力供給装置1の電力供給装置側接続部6に接続されている全ての電動移動体100に対し、電荷蓄積装置102のSOCと端子電圧と、現在の制御モードを取得する。
【0109】
ステップS302で、制御モード指令部7は、電力供給装置側接続部6に接続されている電動移動体100が1台か否かを判定する。接続されている電動移動体100が1台のみの場合には、ステップS306の処理を実行する。接続されている電動移動体100が2台以上の場合には、ステップS303の処理を実行する。
【0110】
ステップS306で、制御モード指令部7は、電力供給装置側接続部6に接続されている全ての電動移動体100の回路制御部103に充電制御モードを指令する。
【0111】
ステップS303で、制御モード指令部7は、電動移動体100のそれぞれを充電制御モードで定電流充電する際に必要な電力p_n(nは、電動移動体100を識別する添え字であり、例えばA、B、C)と、これらの電力の和Σp_nを求める。制御モード指令部7は、電力p_nを、電荷蓄積装置102の端子電圧と充電電流との積から求めることができる。
【0112】
ステップS304で、制御モード指令部7は、太陽光発電設備2の発電電力p_PVを取得する。
【0113】
ステップS305で、制御モード指令部7は、p_PVとΣp_nを比較する。p_PV≧Σp_nであれば、ステップS306の処理を実行する。p_PV<Σp_nであれば、ステップS307の処理を実行する。
【0114】
ステップS306で、制御モード指令部7は、上述したように、電力供給装置側接続部6に接続されている全ての電動移動体100の回路制御部103に充電制御モードを指令する。
【0115】
ステップS307で、制御モード指令部7は、現在の制御モードが電圧制御モードである電動移動体100のうち、SOCが予め定めた値Stに最も近い電動移動体100をM1とする。この値Stは、任意に定めることができ、例えば50%とすることができる。そして、制御モード指令部7は、M1以外の全ての電動移動体100を定電流充電する際に必要な電力p_nの和(Σp_n)’を求める。なお、電圧制御モードの電動移動体100が存在しない場合には、SOCが値Stに最も近い充電制御モードの電動移動体100をM1とする。
【0116】
ステップS308で、制御モード指令部7は、p_PVと(Σp_n)’を比較する。p_PV≧(Σp_n)’であれば、ステップS309の処理を実行する。p_PV<(Σp_n)’であれば、ステップS310の処理を実行する。
【0117】
ステップS309で、制御モード指令部7は、電動移動体M1の回路制御部103に電圧制御モードを指令し、M1以外の電動移動体100の回路制御部103に充電制御モードを指令する。すなわち、制御モード指令部7は、SOCが値Stに最も近い電動移動体M1に電圧制御モードを指令し、M1以外の電動移動体100を定電流充電する。
【0118】
ステップS310で、制御モード指令部7は、M1以外の全ての電動移動体100のうち最もSOCが大きい電動移動体100の回路制御部103と、電動移動体M1の回路制御部103に電圧制御モードを指令し、残りの他の電動移動体100の回路制御部103に充電制御モードを指令する。すなわち、制御モード指令部7は、電圧制御モードを指令する電動移動体100を、ステップS309での処理よりも1台増やし、充電制御モードを指令する電動移動体100を、ステップS309での処理よりも1台減らす。
【0119】
なお、ステップS307で、SOCが値Stに最も近い電動移動体M1を除いて電力p_nの和(Σp_n)’を求めるのは、電動移動体M1は、充電と放電のどちらにも容易に対応でき、電圧制御モードを実施するのに適している電動移動体100であるからである。例えば、値Stが50%であると、電動移動体M1は、SOCが50%に最も近いので、電圧制御モードを実施して充電したり放電したりするのに適している。
【0120】
以上説明したように、本実施例による電力供給システム50では、制御モード指令部7は、電動移動体100の電荷蓄積装置102の状態に基づいて、電動移動体100に対する制御モードの指令を生成し、生成した指令に基づいて回路制御部103に制御モードを実行させることができる。
【実施例3】
【0121】
図9は、本発明の実施例3による電力供給システム50と電力供給装置1の構成例を示す図である。以下では、本実施例による電力供給システム50について、実施例2による電力供給システム50と異なる点を主に説明する。
【0122】
本実施例による電力供給システム50は、実施例2による電力供給システム50(図7)において、電力供給装置1がデータ入力部8を備える。データ入力部8は、制御モード指令部7に接続されており、作業者によって電力供給装置1に入力されたデータを入力する。作業者は、任意の入力装置を用いて、電力供給装置1にデータを入力することができる。データ入力部8が入力したデータは、制御モード指令部7へ送信され、制御モード指令部7が電動移動体100に対する制御モードの指令を生成するのに利用される。データ入力部8が入力するデータは、例えば、電動移動体100の走行スケジュールや、太陽光発電設備2の発電電力の予測である。
【0123】
以下では、制御モード指令部7が、データ入力部8が入力した電動移動体100の走行スケジュールに基づいて、電動移動体100に対する制御モードの指令を生成し、生成した指令に基づいて回路制御部103に制御モードを実行させる例を説明する。
【0124】
図10は、本実施例による電力供給システム50において、制御モード指令部7が、電動移動体100の走行スケジュールについての情報を用いて制御モードの指令を生成するフローの例を示す図である。制御モード指令部7は、制御モードの指令の生成を、一定周期(例えば1秒の周期)で実施する。
【0125】
ステップS401からS406では、実施例2において制御モード指令部7が制御モードの指令を生成するフローの例(図8)の、ステップS301からS306と同様の処理を実施する。
【0126】
ステップS405で、制御モード指令部7は、p_PVとΣp_nを比較し、p_PV<Σp_nであれば、ステップS407の処理を実行する。
【0127】
ステップS407で、制御モード指令部7は、データ入力部8から入力した電動移動体100の走行スケジュールを参照し、走行を開始する時間が最も遅い電動移動体をM2とする。そして、制御モード指令部7は、M2以外の全ての電動移動体100を定電流充電する際に必要な電力p_nの和(Σp_n)’を求める。
【0128】
ステップS408で、制御モード指令部7は、p_PVと(Σp_n)’を比較する。p_PV≧(Σp_n)’であれば、ステップS409の処理を実行する。p_PV<(Σp_n)’であれば、ステップS410の処理を実行する。
【0129】
ステップS409で、制御モード指令部7は、電動移動体M2の回路制御部103に電圧制御モードを指令し、M2以外の電動移動体100の回路制御部103に充電制御モードを指令する。すなわち、制御モード指令部7は、走行を開始する時間が最も遅い電動移動体M2に電圧制御モードを指令し、M2以外の電動移動体100を定電流充電する。
【0130】
ステップS410で、制御モード指令部7は、走行を開始する時間が電動移動体M2の次に最も遅い電動移動体100の回路制御部103と、電動移動体M2の回路制御部103に電圧制御モードを指令し、残りの他の電動移動体100の回路制御部103に充電制御モードを指令する。すなわち、制御モード指令部7は、電圧制御モードを指令する電動移動体100を、ステップS409での処理よりも1台増やし、充電制御モードを指令する電動移動体100を、ステップS409での処理よりも1台減らす。
【0131】
以上説明したように、本実施例による電力供給システム50では、制御モード指令部7は、データ入力部8が入力したデータ(すなわち、作業者が電力供給装置1に入力したデータ)に基づいて、電動移動体100に対する制御モードの指令を生成し、生成した指令に基づいて回路制御部103に制御モードを実行させることができる。
【実施例4】
【0132】
図11図12は、本発明の実施例4による電力供給システム50と電力供給装置1の構成例を示す図である。本実施例による電力供給システム50は、実施例1から3による電力供給システム50において、電力供給装置1が交流電源9と整流器10を備える。図11は、実施例1による電力供給システム50の電力供給装置1(図1)が交流電源9と整流器10を備える例を示す。図12は、実施例3による電力供給システム50の電力供給装置1(図9)、すなわち制御モード指令部7を備える電力供給装置1が交流電源9と整流器10を備える例を示す。図12に示した電力供給システム50は、実施例2による電力供給システム50の電力供給装置1(図7)と同様に、データ入力部8を備えなくてもよい。
【0133】
交流電源9は、任意の装置で構成することができ、例えば商用電力系統や自家発電機で構成することができる。交流電源9は、整流器10に接続される。
【0134】
整流器10は、直流バス5に接続され、交流電源9が出力した交流電力を直流電力に変換して直流バス5に出力する。整流器10には、直流電力を出力可能な電圧値が予め設定されている。整流器10は、直流バス5の電圧値がこの予め設定された電圧値以下であると、交流電源9の電力を直流に変換して直流バス5に出力する。
【0135】
交流電源9の電力は、直流バス5の電圧が整流器10の出力可能な電圧値まで低下すると、整流器10を介して直流バス5に供給される。交流電源9により、直流バス5の電圧を整流器10の出力電圧値(例えば、280V)にして安定させることができる。
【0136】
本実施例では、一例として、交流電源9が実効値200Vの商用電力系統であり、整流器10がダイオード整流器であって直流280Vの電力を直流バス5に出力するものとする。
【0137】
図11に示す本実施例による電力供給システム50の構成において、交流電源9と整流器10以外の構成要素は、実施例1による電力供給システム50と同様の構成を備えるので、これらの構成要素についての説明を省略する。また、図12に示す本実施例による電力供給システム50の構成において、交流電源9と整流器10以外の構成要素は、実施例2または3による電力供給システム50と同様の構成を備えるので、これらの構成要素についての説明を省略する。
【0138】
太陽光発電設備2が発電し、直流バス5が予め設定された範囲(上限値Vbhと下限値Vblの間の範囲、例えば350V±3.5V)を満たす電圧を維持して電動移動体100が充放電されているときには、(整流器10の出力可能な電圧値)<(直流バス5の電圧値)の関係を満たすので、交流電源9の電力は、直流バス5に供給されない。しかし、太陽光発電設備2の発電電力が減少すること、または電力供給装置側接続部6に接続された電動移動体100の充電する電力が増加することにより、直流バス5の電圧は、低下して設定範囲を逸脱し、整流器10の出力可能な電圧値(例えば、280V)まで降下する場合がある。この場合には、交流電源9の電力が直流バス5に供給される。
【0139】
また、太陽光発電設備2の発電電力が電動移動体100の充電する電力未満の場合でも、電力供給装置側接続部6に接続された電動移動体100は、以上に説明したような整流器10の作用により、交流電源9の電力により充電される。
【0140】
図13は、図12に示した本実施例による電力供給システム50において、制御モード指令部7が制御モードの指令を生成するフローの例を示す図である。制御モード指令部7は、制御モードの指令の生成を、一定周期(例えば1秒の周期)で実施する。
【0141】
図13に示すフローは、実施例2において制御モード指令部7が制御モードの指令を生成するフローの例(図8)に、ステップS300の処理が追加されたフローである。
【0142】
ステップS300で、制御モード指令部7は、直流バス5の電圧を取得し、直流バス5の電圧と、整流器10の出力電圧値Vdに係数Cをかけた値VdCとを比較する。本実施例では、整流器10の出力電圧値Vdは、280Vである。係数Cは、予め定めた任意の値であり、例えば1.05である。直流バス5の電圧がVdC(本実施例では、280V×1.05)未満であれば、ステップS306の処理を実行する。直流バス5の電圧がVdC以上であれば、ステップS301の処理を実行する。
【0143】
ステップS306で、制御モード指令部7は、電力供給装置側接続部6に接続されている全ての電動移動体100の回路制御部103に充電制御モードを指令する。
【0144】
制御モード指令部7は、ステップS300で、直流バス5の電圧が低下して整流器10の出力電圧値Vd(例えば、280V)に近づいたことを検知し、直流バス5の電圧が整流器10の出力電圧値Vdに近づいたら、ステップS306の処理を実行する。直流バス5の電圧が整流器10の出力電圧値Vdまで降下すると、交流電源9の電力が直流バス5に出力される。従って、ステップS306では、充電制御モードを実施し、直流バス5に出力された交流電源9の電力によって電動移動体100の電荷蓄積装置102を定電流充電させる。
【0145】
係数Cは、直流バス5の電圧が整流器10の出力電圧値Vdに近づいたことを判定するための値である。係数Cにより、交流電源9の電力によって電動移動体100を充電制御モードで定電流充電させる条件を定めることができる。
【0146】
なお、太陽光発電用電力変換器4は、実施例1で説明した動作を行っている。すなわち、太陽光発電用電力変換器4は、MPPT制御を実行して太陽光発電設備2の発電電力を直流バス5へ出力しているか、動作を停止して太陽光発電設備2の発電を停止している。
【0147】
本実施例による電力供給システム50では、直流バス5の電圧が低下しても、交流電源9の電力が直流バス5に供給されるので、直流バス5の電圧を整流器10の出力電圧値Vdと等しくして安定させることができる。
【0148】
なお、本発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、上記の実施例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、本発明は、必ずしも説明した全ての構成を備える態様に限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能である。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、削除したり、他の構成を追加・置換したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0149】
1…電力供給装置、2…太陽光発電設備、3…接続箱、4…太陽光発電用電力変換器、5…直流バス、6、6A、6B、6C…電力供給装置側接続部、7…制御モード指令部、8…データ入力部、9…交流電源、10…整流器、50…電力供給システム、100、100A、100C…電動移動体、101、101A、101C…電動移動体側接続部、102、102A、102C…電荷蓄積装置、103、103A、103C…回路制御部、104…変圧器、110、110A、110C…充放電回路、111、112…駆動用電力変換回路、113、114、115…回路切換部、121、122…電動機。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13