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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-09
(45)【発行日】2024-04-17
(54)【発明の名称】電子回路、電子システム及び駆動方法
(51)【国際特許分類】
   H03K 17/16 20060101AFI20240410BHJP
   H02M 1/08 20060101ALN20240410BHJP
【FI】
H03K17/16 D
H02M1/08 A
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021147958
(22)【出願日】2021-09-10
(65)【公開番号】P2023040795
(43)【公開日】2023-03-23
【審査請求日】2023-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118876
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 順生
(72)【発明者】
【氏名】林 祐輔
【審査官】及川 尚人
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-036424(JP,A)
【文献】特開2008-092663(JP,A)
【文献】再公表特許第2015/025512(JP,A1)
【文献】特開2011-120418(JP,A)
【文献】特開2019-187024(JP,A)
【文献】特開2006-054954(JP,A)
【文献】特開2016-105684(JP,A)
【文献】再公表特許第2019/130577(JP,A1)
【文献】特開2012-169906(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 17/00-17/70
H02M 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体スイッチング素子と、
前記半導体スイッチング素子の制御端子に電流を供給し、前記制御端子に供給する前記電流の大きさを前記制御端子の電圧に応じて調整する駆動回路と、
第1電圧を保持する第1容量と、第2電圧を保持する第2容量とのうちの少なくとも第1容量と、を備え、
前記駆動回路は、前記半導体スイッチング素子の前記制御端子に接続された第1回路を備え、
前記第1回路は、
前記第1電圧と前記半導体スイッチング素子の前記制御端子との間に直列に接続された第1抵抗素子と第1スイッチと、
前記第2電圧と前記半導体スイッチング素子の前記制御端子との間に接続された第2スイッチと、
を含み、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチを切り替えることにより、前記制御端子に供給する前記電流の大きさを調整し、
前記第1抵抗素子と前記第1スイッチとが、前記第1容量の第1端子と前記制御端子との間に直列に接続され、
または、
前記第1抵抗素子と前記第1スイッチとが、前記第1容量の第1端子と前記制御端子との間に直列に接続され、かつ前記第2スイッチが、前記第2容量の第1端子と前記制御端子との間に接続され、
前記第1回路は、前記第1容量の第2端子と前記半導体スイッチング素子の第1端子との間に直列に接続された第2抵抗素子と第3スイッチを含む、
電子回路。
【請求項2】
前記駆動回路は、前記制御端子の前記電圧が、前記半導体スイッチング素子の閾値電圧より低い第1基準値に達するまでの第1期間、第1電流を供給し、
前記第1期間の後、前記制御端子に供給する前記電流を前記第1電流より大きい第2電流とする
請求項1に記載の電子回路。
【請求項3】
前記駆動回路は、前記第1期間の後、前記半導体スイッチング素子の前記閾値電圧より高い第2基準値に達するまでの第2期間の間、前記第2電流を維持し、
前記第2期間の経過後、前記制御端子に供給する前記電流を前記第2電流より小さい第3電流とする
請求項2に記載の電子回路。
【請求項4】
前記第1容量の第2端子は、前記半導体スイッチング素子の第1端子に接続され、
前記第2容量の第2端子は、前記半導体スイッチング素子の前記第1端子に接続された
請求項1~3のいずれか一項に記載の電子回路。
【請求項5】
前記第1回路は、前記第2容量の第2端子と前記半導体スイッチング素子の前記第1端子との間に接続された第4スイッチを含む
請求項1~4のいずれか一項に記載の電子回路。
【請求項6】
半導体スイッチング素子と、
前記半導体スイッチング素子の制御端子に電流を供給し、前記制御端子に供給する前記電流の大きさを前記制御端子の電圧に応じて調整する駆動回路と、
第1電圧を保持する第1容量と、第2電圧を保持する第2容量とのうちの少なくとも第1容量と、を備え、
前記駆動回路は、前記半導体スイッチング素子の前記制御端子に接続された第1回路を備え、
前記第1回路は、
前記第1電圧と前記半導体スイッチング素子の前記制御端子との間に直列に接続された第1抵抗素子と第1スイッチと、
前記第2電圧と前記半導体スイッチング素子の前記制御端子との間に接続された第2スイッチと、
を含み、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチを切り替えることにより、前記制御端子に供給する前記電流の大きさを調整し、
前記第1抵抗素子と前記第1スイッチとが、前記第1容量の第1端子と前記制御端子との間に直列に接続され、
または、
前記第1抵抗素子と前記第1スイッチとが、前記第1容量の第1端子と前記制御端子との間に直列に接続され、かつ前記第2スイッチが、前記第2容量の第1端子と前記制御端子との間に接続され、
前記第1回路は、前記第2容量の第2端子と前記半導体スイッチング素子の前記第1端子との間に接続された第4スイッチを含み、
前記第2容量の第2端子と前記半導体スイッチング素子の前記第1端子との間に、前記第4スイッチと第4抵抗素子とが直列に接続された
電子回路。
【請求項7】
前記第2容量の第1端子と前記半導体スイッチング素子の前記制御端子との間に、前記第2スイッチと第3抵抗素子とが直列に接続された
請求項1~6のいずれか一項に記載の電子回路。
【請求項8】
前記第1抵抗素子と前記第1スイッチとの直列接続が複数並列に接続された
請求項1~7のいずれか一項に記載の電子回路。
【請求項9】
前記第2抵抗素子と前記第3スイッチとの直列接続が複数並列に接続された
請求項1~5のいずれか一項に記載の電子回路。
【請求項10】
前記第4スイッチと前記第4抵抗素子との直列接続が複数並列に接続された
請求項に記載の電子回路。
【請求項11】
前記第2スイッチと前記第3抵抗素子との直列接続が複数並列に接続された
請求項に記載の電子回路。
【請求項12】
半導体スイッチング素子と、
前記半導体スイッチング素子の制御端子に電流を供給し、前記制御端子に供給する前記電流の大きさを前記制御端子の電圧に応じて調整する駆動回路と、
第1電圧を保持する第1容量と、第2電圧を保持する第2容量とのうちの少なくとも第1容量と、を備え、
前記駆動回路は、前記半導体スイッチング素子の前記制御端子に接続された第1回路を備え、
前記第1回路は、
前記第1電圧と前記半導体スイッチング素子の前記制御端子との間に直列に接続された第1抵抗素子と第1スイッチと、
前記第2電圧と前記半導体スイッチング素子の前記制御端子との間に接続された第2スイッチと、
を含み、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチを切り替えることにより、前記制御端子に供給する前記電流の大きさを調整し、
前記第1抵抗素子と前記第1スイッチとが、前記第1容量の第1端子と前記制御端子との間に直列に接続され、
または、
前記第1抵抗素子と前記第1スイッチとが、前記第1容量の第1端子と前記制御端子との間に直列に接続され、かつ前記第2スイッチが、前記第2容量の第1端子と前記制御端子との間に接続され、
前記第1容量の第1端子と前記半導体スイッチング素子の前記制御端子との間に、前記第1抵抗素子と前記第1スイッチの直列接続が複数並列に接続され、
前記第2容量の第1端子と前記半導体スイッチング素子の前記制御端子との間に、前記第2スイッチと第3抵抗素子との直列接続が複数並列に接続され、
前記第1容量の第2端子と前記半導体スイッチング素子の第1端子との間に第2抵抗素子と第3スイッチとの直列接続が複数並列に接続され、
前記第2容量の前記第2端子と前記半導体スイッチング素子の前記第1端子との間に、第4スイッチと第4抵抗素子との直列接続が複数並列に接続された
電子回路。
【請求項13】
前記制御端子の電圧を検出し、検出した前記電圧に基づき、前記駆動回路を制御する制御回路
を備えた請求項1~12のいずれか一項に記載の電子回路。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の電子回路と、
前記半導体スイッチング素子の第1端子に接続された負荷装置と、
前記半導体スイッチング素子の第2端子に接続された電源と、
前記駆動回路を制御する制御電源と、
を備えた電子システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子回路、電子システム及び駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体スイッチング素子を半導体リレーとして用いる場合など、低いレート(傾き)で上昇する制御電圧を半導体スイッチング素子の制御端子に供給して、低速でターンオンすることが行われる。これにより、ターンオン時に、半導体スイッチング素子に大電流が流れたり過電圧が発生したりすることを抑制できる。しかしながら、制御電圧が上昇する途中で、閾値電圧の近傍でノイズ信号が混入し、制御電圧のチャタリング(揺らぎ)が発生することがある。チャタリングが発生すると、閾値電圧付近で、半導体スイッチング素子のオン・オフが短時間で繰り返され、半導体スイッチング素子の誤動作となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平9-36724号公報
【文献】特開2006-129593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、半導体スイッチング素子のターンオン時に制御電圧のチャタリングが発生することを抑制する電子回路、電子システム及び駆動方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の電子回路は、半導体スイッチング素子と、前記半導体スイッチング素子の制御端子に電流を供給し、前記制御端子に供給する前記電流の大きさを前記制御端子の電圧に応じて調整する駆動回路と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1の実施形態に係る電子回路のブロック図。
図2】電流の経路の一例を示す図。
図3】電流の経路の他の例を示す図。
図4】制御回路を備えた電子回路の例を示すブロック図。
図5図1の電子回路のタイミングチャートを示す図。
図6図1の電子回路を用いた電子システムの一例を示すブロック図。
図7】第2の実施形態に係る電子回路のブロック図。
図8】第3の実施形態に係る電子回路のブロック図。
図9】第3の実施形態に係る電子回路のブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図面において同一の構成要素は、同じ番号を付し、説明は、適宜省略する。以下、図面を参照して、電力変換装置の実施形態について説明する。以下では、電子回路、電子システムおよび駆動装置の主要な構成部分を中心に説明するが、電子回路、電子システムおよび駆動装置には、図示又は説明されていない構成部分や機能が存在しうる。以下の説明は、図示又は説明されていない構成部分や機能を除外するものではない。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る電子回路1のブロック図である。電子回路1は、半導体スイッチング素子Qと、半導体スイッチング素子Qを駆動する駆動回路110と、駆動回路110に動作電圧を供給する電圧供給回路120とを備えている。駆動回路110は、インピーダンスを調整可能な第1回路150を含み、第1回路150は半導体スイッチング素子Qの制御端子に接続されている。以下では、まず電子回路1の概要を説明する。
【0009】
半導体スイッチング素子Qは、例えば電源と負荷装置(例えばDC-DCコンバータ)との間を接続する配線の途中に接続される半導体リレーとして用いることができる。
【0010】
駆動回路110は、電圧供給回路120から供給される電圧に基づき、半導体スイッチング素子Qの制御端子(ゲート端子G)に供給する電流を生成し、生成した電流を半導体スイッチング素子Qの制御端子に供給する。供給される電流は半導体スイッチング素子Qのゲート・ソース間の寄生容量Cgsを充電する。これにより、半導体スイッチング素子Qの制御端子の電圧は上昇する。上昇のレート(傾き)は、制御端子に供給される電流の大きさに依存する。駆動回路110は、動作の開始時は低い大きさの電流(第1電流)を供給する。これにより制御端子の電圧は、低いレートで上昇する。
【0011】
駆動回路110は、電流の供給開始後、制御端子の電圧が閾値電圧より低い値(第1基準値)になると、すなわち閾値電圧に近づくと、供給する電流を大きくして、第2電流とする。これにより、制御端子の電圧を高いレートで上昇させ、制御端子の電圧は短時間で急上昇する。この間、制御電圧は閾値電圧に達し、半導体スイッチング素子Qはターンオンする。
【0012】
駆動回路110は、制御端子の電圧が閾値電圧より高い値(第2基準値)に達すると、電流を小さくして第3電流とする。第3電流は、元の大きさの電流(第1電流)と同じ大きさでもよい。
【0013】
このように供給する電流の大きさを制御電圧が閾値電圧付近に存在する期間において大きくすることで、制御端子の電圧が閾値電圧付近に滞在する時間を短くできる。これにより、ターンオン動作時に、ノイズ信号等が混入することにより、制御電圧のチャタリングが発生することを抑制できる。よって、半導体スイッチング素子Qが閾値電圧付近で繰り返しオン・オフされる誤作動の発生を防止できる。また、閾値電圧付近以外の期間では、低いレートで制御電圧を上昇させるため、半導体スイッチング素子Qのターンオン時に当該素子に大電流が流れ込むこと等を防止し、半導体スイッチング素子を安全に起動できる。
【0014】
このように、本実施形態に係る電子回路は、低スルーレートで制御電圧を上昇させつつ、閾値電圧の近くでチャタリングの発生を防止することを実現する。以下、図1の電子回路1についてさらに詳細に説明する。
【0015】
図1の電圧供給回路120は、駆動回路110の動作電圧を供給する。供給する動作電圧は、直流電圧である。電圧供給回路120は、図示しない交流電源を整流して、整流した電圧を、降圧又は昇圧することで、駆動回路110に供給する電圧を生成してもよい。あるいは電圧供給回路120は、受信する光信号から電圧(電流)を生成するフォトカプラであってもよい。
【0016】
半導体スイッチング素子Qは、パワーMOSFET等のMOSトランジスタである。ただし、半導体スイッチング素子QはIGBTなど、他の種類の半導体トランジスタでもよい。図1ではN型のパワーMOSFETである例が示されるが、P型のパワーMOSFETでもよい。
【0017】
半導体スイッチング素子Qには、ドレイン端子D(第2端子)及びソース端子S(第1端子)間の寄生ダイオードE、ドレイン端子D・ソース端子S間の寄生容量Cds、ゲート端子G・ソース端子S間の寄生容量Cgs、ゲート端子G・ドレイン端子D間の寄生容量Cgdが存在する。ドレイン端子Dは一例として電源の負出力端子に接続され、ソース端子Sは負荷装置(例えばDC-DCコンバータ)の負入力端子に接続されることができる。
【0018】
駆動回路110は、電圧供給回路120から供給される電圧に基づき、半導体スイッチング素子Qにおけるゲート端子Gの電圧(制御電圧又はゲート電圧)とゲート抵抗Rg1
,Rg2に応じた大きさで、電流を生成する。駆動回路110は、生成した電流をゲート端子Gに供給する。駆動回路110は、半導体スイッチング素子Qのゲート電圧の値に応じて、供給する電流の大きさを調整又は切り替える。供給された電流は、寄生容量Cgsに充電され、ゲート電圧が上昇する。
【0019】
駆動回路110は、ゲート電圧が、半導体スイッチング素子Qの閾値より低い第1基準値に達するまでの期間(第1期間)は、供給する電流を、第1電流とする。
【0020】
駆動回路110は、ゲート電圧が、第1基準値を超えると、電流の大きさを第1電流より大きい第2電流に変更する。駆動回路110は、ゲート電圧が半導体スイッチング素子Qの閾値より高い第2基準値に達するまでの期間(第2期間)の間、第2電流を、維持する。
【0021】
駆動回路110は、ゲート電圧が半導体スイッチング素子Qの閾値より高い第2基準値に達すると、供給する電流を、第2電流より低い第3電流に変更する。第3電流は第1電流と同じ大きさでもよいし、異なる大きさでもよい。第2の期間の後の期間のうち第3電流を用いる期間は第3期間に対応する。第3期間は一例として、第2の期間の後、半導体スイッチング素子Qのオフ動作が開始されるまでの期間でもよいし、第2期間の後、一定時間後の期間でもよい。
【0022】
これにより、閾値電圧付近での期間(領域)ではゲート電圧が高いレートで上昇し、他の領域ではゲート電圧が低いレートで上昇する。これにより、閾値電圧の付近でゲート電圧のチャタリングが発生することを抑制する。以下、駆動回路110の具体的な構成を説明する。
【0023】
駆動回路110は、電圧供給回路120の正端子に接続されるノードPGDと、負端子に接続されるノードNGDとを有する。ノードPGD、NGD間に抵抗(分割抵抗)Rd1、Rd2が直列に接続されている。分割抵抗Rd2、Rd1間の接続ノードはノードN1に対応する。
【0024】
ノードPGD、NGD間に容量Cg1、及び容量Cg2が直列に接続されている。容量Cg1、Cg2間の接続ノードはノードN2に対応する。容量Cg1とCg2とは、それぞれ分割抵抗Rd1とRd2とに並列に接続されている。容量Cg1は第1電圧を保持し、容量Cg2は第2電圧を保持する。
【0025】
ノードPGD、NGD間に、第1回路150が接続されている。第1回路150は、スイッチQg1(第1スイッチ)、抵抗素子Rg1(第1抵抗素子)、スイッチQg3(第2スイッチ)、スイッチQg2(第3スイッチ)、抵抗素子Rg2(第2抵抗素子)、スイッチQg4(第4スイッチ)が直列に接続されている。各スイッチQg1~Qg4のオン・オフを制御することで、第1回路150のインピーダンス(抵抗)を調整可能である。
【0026】
直列接続されたスイッチQg1、抵抗素子Rg1、スイッチQg3は、容量Cg1と並列に接続されている。直列接続されたスイッチQg2、抵抗素子Rg2、スイッチQg4は、容量Cg2と並列に接続されている。スイッチQg3とスイッチQg2の接続ノードはノードN3に対応する。
【0027】
スイッチQg1及び抵抗素子Rg1は、容量Cg1の第1端子(又は容量Cg1の第1端子の電位)とゲート端子Gとの間に直列に接続されている。スイッチQg3は、容量Cg2の第1端子(又は容量Cg2の第1端子の第2電位)とゲート端子Gとの間に接続されている。スイッチQg2及び抵抗素子Rg2は、容量Cg1の第2端子と半導体スイッチング素子Qのソース端子S(第1端子)との間に直列に接続されている。スイッチQg4は、容量Cg2の第2端子と半導体スイッチング素子Qのソース端子Sとの間に接続されている。
【0028】
駆動回路110は、半導体スイッチング素子Qのゲート端子Gに接続されるノードXGDと、半導体スイッチング素子Qのソース端子Sに接続されるノードYGDとを有する。
【0029】
駆動回路110は、スイッチQg1~Qg4のオン・オフを制御することで、第1回路150のインピーダンス(抵抗)を調整し、これにより半導体スイッチング素子Qのゲート端子に供給する電流の大きさを制御する。
【0030】
図2は、スイッチQg1、Qg2をオンにし、スイッチQg3、Qg4をオフにしたときに流れる電流の経路PT1を示す。この経路PT1は、第1回路150のインピーダンスを大きくして、小さい電流を供給する場合に用いられる。この経路PT1は、前述した第1期間(スイッチQ1、Q2にオンの制御信号が入力されてから、ゲート電圧Vgsが第1基準値に達するまでの期間)と、第3期間(ゲート電圧Vgsが第2基準値に達した後の期間)に用いられる。容量Cg1に保持される電圧(第1電圧)に基づき、経路PT1のインピーダンス(抵抗)に応じた大きさの電流が、ゲート端子Gに供給される。経路PT1は、容量Cg1から出力され容量Cgsを充電する電流の往路と復路とにおいて、それぞれ抵抗素子Rg1、Rg2を通る。経路PT1は、抵抗素子Rg1、Rg2を通るため、高い抵抗値又は高いインピーダンス値を有し、ゲート端子Gに供給される電流は小さくなる。これにより半導体スイッチング素子Qの寄生容量Cgsは低速で充電され、この結果、ゲート電圧は低いレートで上昇する。
【0031】
図3は、スイッチQg3、Qg4をオンにし、スイッチQg1、Qg2をオフにしたときに流れる電流の経路PT2を示す。この経路PT2は、第1回路150のインピーダンスを小さくして、大きい電流を供給する場合に用いられる。具体的には、この経路PT2は、前述した第2期間(ゲート電圧Vgsが第1基準値に達してから第2基準値に達するまでの期間)に用いられる。容量Cg2に保持される電圧(第2電圧)に基づき、経路PT2のインピーダンス(抵抗)に応じた電流が、ゲート端子Gに供給される。経路PT2は、抵抗素子Rg1、Rg2を通らない。経路PT2は、経路PT1よりも、低い抵抗値又は低いインピーダンス値を有し、ゲート端子Gに供給される電流は大きくなる。これにより半導体スイッチング素子Qの容量Cgsは高速で充電され、ゲート電圧は高いレートで上昇する。
【0032】
なお、容量Cg2に保持される電圧(電位差)と、容量Cg1に保持される電圧(電位差)は、ゲート端子Gに供給する電流の大きさを所望のものに調整できる限り、同じであっても、異なっていてもよい。
【0033】
駆動回路110は、第1期間及び第3期間では、スイッチQg1~Qg4を図2に示した状態とし、第2期間では図3に示した状態とする。制御電圧に応じてスイッチQg1~Qg4を制御する具体的な構成例として、ゲート電圧を検出し、検出したゲート電圧に基づき駆動回路110を制御する制御回路を設けてもよい。制御回路がゲート電圧を第1基準値及び第2基準値と比較し、比較結果に応じて、スイッチQg1~Qg4を制御する。この場合の構成例を図4に示す。
【0034】
図4は、制御回路130を設けた電子回路1Aの例を示す。制御回路130は、外部の回路から起動信号を受信すると、スイッチQg1、Qg2をオンにし、スイッチQg3、Qg4をオフにする(図2参照)。ゲート電圧が第1基準値(閾値電圧未満の値)に達すると、スイッチQg1、Qg2をオフにし、スイッチQg3、Qg4をオンにする(図3参照)。ゲート電圧が第2基準値(閾値電圧より大きい値)に達すると再度、スイッチQg1、Qg2をオンにし、スイッチQg3、Qg4をオフにする(図2参照)。制御回路130の具体例として、制御回路130が、ゲート電圧を検出する電圧検出回路を備え、さらに、第1基準値とゲート電圧を比較し、比較結果に応じてスイッチQg1~Qg4に対する制御信号を生成する第1比較回路を備えていてもよい。また、制御回路130は、第2基準値とゲート電圧を比較し、比較結果に応じてスイッチQg1~Qg4に対する制御信号を生成する第2比較回路を備えていてもよい。
【0035】
スイッチQg1~Qg4を制御する他の構成例として、第1期間及び第2期間の長さを予め設定しておき、駆動回路110が、動作の開始時からの経過時間に応じて、スイッチQg1~Qg4を制御してもよい。例えば、電子回路1に対して第1期間の経過を検出する第1タイマと、第2期間の経過を検出する第2タイマを設ける。起動信号の入力に応じて、電子回路1は、スイッチQg1、Qg2をオンにし、スイッチQg3、Qg4をオフにするとともに、第1タイマ及び第2タイマを起動する。第1タイマには第1期間の長さを設定し、第2タイマには第1期間と第2期間を合計した長さを設定する。第1タイマがタイムアウトするとタイムアウト信号が出力され、駆動回路110は、タイムアウト信号を受けて、スイッチQg1、Qg2をオフにし、スイッチQg3、Qg4をオンにする。第2タイマがタイムアウトするとタイムアウト信号が出力され、駆動回路110は、タイムアウト信号を受けて、スイッチQg1、Qg2をオンにし、スイッチQg3、Qg4をオフにする。第3期間に対しても同様にして、第3期間の経過を検出するタイマを設けてもよい。
【0036】
上述した方法以外の方法により、スイッチQg1~Qg4を制御する具体的構成を実現してもよい。
【0037】
図5は、図1の電子回路1のタイミングチャートを示す。より詳細には以下の通りである。
図5(A)は、スイッチQg1、Qg2の制御信号(オン/オフ信号)のタイミングチャートを示す。
図5(B)は、スイッチQg3、Qg4の制御信号のタイミングチャートを示す。
図5(C)は、半導体スイッチング素子Qのゲート電圧(Vgs電圧)のタイミングチャートを示す。
図5(D)は、半導体スイッチング素子Qのゲート端子Gに供給される電流のタイミングチャートを示す。
図5(E)は、半導体スイッチング素子Qのドレイン・ソース間電圧Vdsのタイミングチャートを示す。
【0038】
動作開始からゲート電圧が閾値Vthより低い第1基準値Vr1に達するまでの第1期間、スイッチQg1、Qg2をオンにし、Qg3、Qg4をオフにすることで、抵抗素子Rg1、Rg2を介して、半導体スイッチング素子Qの寄生容量Cgsを低速で充電する。すなわちゲート電圧を緩やかに(低レートで)上昇させる。第1期間では、半導体スイッチング素子Qにドレイン電流Idは流れず、ドレイン・ソース間電圧Vdsは高い値に維持される。
【0039】
ゲート電圧が第1基準値Vr1に達したら、短時間の間(第2期間)、スイッチQg1、Qg2をオフにし、スイッチQg3、Qg4をオンにして、半導体スイッチング素子Qの寄生容量Cgsを高速に充電する。ゲート電圧は高レートで上昇し、閾値Vthを短時間で超える。このときドレイン電流Idが大きな傾きで上昇し、これに応じて、ドレイン・ソース間電圧Vdsは大きな傾きで減少する。
【0040】
第2期間の経過後、すなわち、ゲート電圧が閾値Vthより大きい第2基準値Vr2に達した後、第1期間と同様に、スイッチQg1、Qg2をオンにし、Qg3、Qg4をオフにする。これにより、半導体スイッチング素子Qの寄生容量Cgsを低速で充電する。すなわちゲート電圧を緩やかに(低レートで)上昇させる。このときドレイン電流Idの傾きは小さくなり、これに応じて、ドレイン・ソース間電圧Vdsが減少する傾きも小さくなる。なお、この後、半導体スイッチング素子Qの寄生容量Cgsの充電量に応じて、ゲート端子Gに供給される電流の大きさは収束し、ゲート電圧Vgsも所定の値に収束する。
【0041】
図6は、図1の電子回路1を用いた電子システム2の一例を示すブロック図である。図6の例では、商用電源310(分電盤等)から供給される交流電圧を整流する整流器320と、負荷装置であるマルチセルコンバータ330(DC-DCコンバータ)との間に半導体リレー(半導体スイッチング素子Q)をスイッチとして設けている。この際、半導体スイッチング素子Qの制御に図1の駆動回路110を用いている。マルチセルコンバータ330は、整流器320で整流した直流電圧を降圧又は昇圧し、降圧又は昇圧後の電圧を、後段の装置に出力する。マルチセルコンバータ330は、入力された電圧と等しい電圧を出力してもよい。なお商用電源310及び整流器320に代えて、蓄電池等の直流電源を用いてもよい。図6に示すマルチセルコンバータ330の構成は一例であり、その構成は特に限定されない。図6に示すマルチセルコンバータ330の一例は、入力端が直列接続され出力端が並列接続された複数のセルを有する複数のセルブロックを備え、整流器320の端子間に複数のセルブロックの入力端が並列接続され、マルチセルコンバータ330の出力端子の間に複数のセルブロックの出力端が直列接続された構成を有する。
【0042】
制御電源340は、商用電源310から供給される交流電圧を用いて、電子回路1における駆動回路110の動作電圧を生成する。制御電源340は、図1の電圧供給回路120及び図5の制御回路130の少なくとも一方を含んでもよい。制御電源340は生成した動作電圧を駆動回路110に提供する。また制御電源340はマルチセルコンバータ330における各セルを制御する。制御電源340は、駆動回路110の起動を制御する起動信号を駆動回路110又は電子回路1に供給してもよい。
【0043】
半導体スイッチング素子Qのドレイン端子D(第2端子)は、商用電源310の負出力端子NOあるいは整流器320の負出力端子に電気的に接続されている。半導体スイッチング素子Qのソース端子Sはマルチセルコンバータ330の負入力端子NIに接続されている。
【0044】
図6の電子システムの起動時、半導体スイッチング素子Qをターンオンする必要がある。駆動回路110が制御電源340の制御の元、半導体スイッチング素子Qのターンオン動作を開始する(図5参照)。この際、マルチセルコンバータ330又は周辺の図示しない装置からはノイズ信号が発生し、発生したノイズ信号が、半導体スイッチング素子Qのゲート端子G等に入力され得る。ノイズ信号がゲート端子G等に入力された場合であっても、ゲート電圧が閾値電圧の近くに存在する期間では、短時間で高速にゲート電圧が上昇させられるため、ノイズ信号に起因するチャタリングの発生は抑制される。ゲート電圧を高速に上昇させる当該短期間以外の期間では、ゲート電圧を低速に上昇させるため、半導体スイッチング素子Qを安全にターンオンでき、よって、電子システム2を安全に起動させることができる。
【0045】
以上、本実施形態によれば、半導体スイッチング素子のゲート電圧が閾値電圧に近づいたタイミングで、高速にゲート電圧を短時間で上昇させ、この間に閾値電圧を超えさせる。これにより、ゲート電圧が閾値に近い値にあるときにノイズ信号が混入することに起因してチャタリングが発生することを回避できる。
【0046】
(変形例1)
図2の経路PT1には2つの抵抗素子Rg1、Rg2が存在したが、抵抗素子Rg2を除去してもよい。抵抗素子Rg2の代わりに、あるいは、抵抗素子Rg2とともに、抵抗素子Rg1を除去することも可能である。抵抗素子Rg1、Rg2の少なくともいずれか一方を除去する場合、スイッチQg1、Qg2の少なくとも一方の内部抵抗を調整することで、インピーダンスを所望の値に設定し、所望の大きさの電流をゲート端子Gに供給できるようにしてもよい。これにより素子数を削減し、回路面積を低減できる。
(変形例2)
図1において2つの容量Cg1、Cg2を除去してもよい。この場合、分割抵抗Rd1で生成した電圧(第1電圧)、分割抵抗Rd2で生成した電圧(第2電圧)を直接、第1回路150に提供してもよい。これにより素子数を削減し、回路面積を低減できる。
【0047】
(変形例3)
図1において2つの分割抵抗Rd1、Rd2を除去し、容量Cg1及び容量Cg2にそれぞれ直接、第1電圧及び第2電圧を充電してもよい。これにより素子数を削減し、回路面積を低減できる。
【0048】
(第2の実施形態)
図7は、第2の実施形態に係る電子回路1Bのブロック図である。駆動回路110Bに抵抗素子Rg3、Rg4が設けられている。抵抗素子Rg3、Rg4は、上述の図3に示した経路PT2に沿って配置されている。すなわち、抵抗素子Rg3、Rg4は、第2期間においてスイッチQg3、Qg4をオンにするときの電流の経路に存在する。抵抗素子Rg3及びスイッチQg3は、容量Cg2の第1端子とゲート端子Gとの間に直列に接続されている。抵抗素子Rg4及びスイッチQg4は、容量Cg2の第2端子とソース端子S(第1端子)との間に直列に接続されている。
【0049】
抵抗素子Rg3はスイッチQg3とスイッチQg2との間に接続されている。抵抗素子Rg3はノードN3とスイッチQg3との間に接続されている。直列接続されたスイッチQg1、抵抗素子Rg1、スイッチQg3及び抵抗素子Rg3は、容量Cg1と並列に接続されている。抵抗素子Rg4は、スイッチQg4の一端に接続されており、スイッチQg4の他端は抵抗素子Rg2に接続されている。また、直列接続されたスイッチQg2、抵抗素子Rg2、スイッチQg4及び抵抗素子Rg4は容量Cg2と並列に接続されている。
【0050】
経路PT2に沿って抵抗素子Rg3、Rg4を追加することにより、経路PT2の抵抗(インピーダンス)が大きくなる。これにより、第2期間におけるゲート電圧の上昇レート(ゲート端子に供給する電流の大きさ)を所望の値に調整(抑制)することができる。抵抗素子Rg3、Rg4として可変抵抗素子を用い、抵抗素子Rg3、Rg4の抵抗値を調整してもよい。これにより、ゲート電圧の上昇レートを、より柔軟に調整しやすくなる。
【0051】
図7では2つの抵抗素子Rg3、Rg4を追加したが、いずれか一方の抵抗素子のみを追加してもよい。
【0052】
また、2つの抵抗素子を追加する代わりに、スイッチQg3、Qg4の内部抵抗値を調整することで、第1回路150のインピーダンスを調整してもよい。これによっても、第2期間におけるゲート電圧の上昇レート(ゲート端子に供給する電流の大きさ)を調整できる。
【0053】
以上、第2の実施形態によれば、経路PT2に抵抗素子を追加することで、第2期間におけるゲート電圧の上昇レートを所望の値に調整(抑制)することができる。
【0054】
(第3の実施形態)
図8は、第3の実施形態に係る電子回路1Cのブロック図である。駆動回路110Cは複数のスイッチQg1、複数の抵抗素子Rg1、複数のスイッチQg3、複数の抵抗素子Rg3、複数のスイッチQg2、複数の抵抗素子Rg2、複数のスイッチQg4及び複数の抵抗素子Rg4を有する。スイッチQg1~Qg4は、別の同種のスイッチQg1~Qg4のオンまたはオフ状態と独立してオンまたはオフされる。駆動回路110Cにおいて、スイッチQg1、抵抗素子Rg1、スイッチQg3及び抵抗素子Rg3の直列接続が、容量Cg1に対して複数並列に接続されている。同様に、スイッチQg2、抵抗素子Rg2、スイッチQg4及び抵抗素子Rg4の直列接続が、容量Cg2に対して複数並列に接続されている。
【0055】
換言すれば、スイッチQg1、抵抗素子Rg1の直列接続が、容量Cg1の第1端子とゲート端子Gとの間に複数並列に接続されている。スイッチQg3、抵抗素子Rg3の直列接続が、容量Cg2の第1端子とゲート端子Gとの間に複数並列に接続されている。スイッチQg2、抵抗素子Rg2の直列接続が、容量Cg1の第2端子とソース端子Sとの間に複数並列に接続されている。スイッチQg4、抵抗素子Rg4の直列接続が、容量Cg2の第2端子とソース端子Sとの間に複数並列に接続されている。
【0056】
その他の構成は第2の実施形態における図7の電子回路1Aと同様である。
【0057】
図8の構成により、第1期間及び第3期間における電流の経路PT1の抵抗(インピーダンス)、及び、第2期間における電流の経路PT2の抵抗(インピーダンス)をより細かく調整できる。例えば、第2期間におけるゲート電圧の上昇のレート(傾き)を小さくしたい場合は、複数のスイッチQg3及び複数のスイッチQg4の少なくとも一方のスイッチ群においてオンするスイッチの個数を減らせばよい。逆に第2期間におけるゲート電圧の上昇のレート(傾き)を大きくしたい場合は、複数のスイッチQg3及び複数のスイッチQg4の少なくとも一方のスイッチ群においてオンするスイッチの個数を増やせばよい。
【0058】
同様に、第1期間又は第3期間におけるゲート電圧の上昇のレート(傾き)を小さくしたい場合は、複数のスイッチQg1及び複数のスイッチQg2の少なくとも一方のスイッチ群においてオンするスイッチの個数を減らせばよい。逆に第1期間又は第3期間におけるゲート電圧の上昇のレート(傾き)を大きくしたい場合は、複数のスイッチQg1及び複数のスイッチQg2の少なくとも一方のスイッチ群においてオンするスイッチの個数を増やせばよい。
【0059】
以上、第3の実施形態によれば、第1期間及び第3期間におけるゲート電圧の上昇レート、及び第2期間におけるゲート電圧の上昇レートをより柔軟に所望の値に調整することができる。
【0060】
(第4の実施形態)
図9は、第3の実施形態に係る電子回路1Dのブロック図である。第3の実施形態に係る図8の電子回路1Cとの差分を記載する。駆動回路110Dにおいて、分割抵抗Rd2及び容量Cg2が設けられていない。またスイッチQg4及び抵抗素子Rg4が設けられていない。スイッチQg2及び抵抗素子Rg2は、第1期間及び第3期間のみならず、第2期間においても用いられる。
【0061】
一例として、第1期間及び第3期間においてゲート電圧の上昇レートを小さくしたい場合は、複数のスイッチQg2においてオンする数を少なくする。この際、複数のスイッチQg1についても、オンするスイッチの個数を調整することで、第1期間及び第3期間におけるゲート電圧の上昇レートを調整してもよい。複数のスイッチQg1と複数のスイッチQg2の両方についてオンするスイッチ数を調整することで、より柔軟に、第1期間及び第3期間におけるゲート電圧の上昇レートを調整してもよい。抵抗素子Rg1の抵抗値と抵抗素子Rg3の抵抗値は同じであっても、異なってもよい。
【0062】
第2期間においてゲート電圧の上昇レートを、第1期間及び第3期間よりも大きくしたい場合は、複数のスイッチQg2をオンする数を、第1期間及び第3期間よりも多くすればよい。この際、スイッチQg3についても、オンするスイッチの個数を調整することで、第2期間におけるゲート電圧の上昇レートを調整してもよい。スイッチQg2とスイッチQg3の両方についてオンするスイッチ数を調整することで、より柔軟に、第2期間におけるゲート電圧の上昇レートを調整してもよい。抵抗素子Rg2の抵抗値と抵抗素子Rg3の抵抗値は同じであっても、異なってもよい。
【0063】
以上、第4の実施形態によれば、分割抵抗Rd2、容量Cg2、スイッチQg4及び抵抗素子Rg4を除去し、スイッチQg2と抵抗素子Rg2を、第1期間~第3期間で共用する。これにより、素子数を削減して、電子回路のサイズ又は駆動回路のサイズを低減できる。
【0064】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1 電子回路
1A 電子回路
1B 電子回路
1C 電子回路
1D 電子回路
2 電子システム
110 駆動回路
110B 駆動回路
110C 駆動回路
110D 駆動回路
120 電圧供給回路
130 制御回路
150 第1回路
310 商用電源
320 整流器
330 マルチセルコンバータ
340 制御電源
Cg1 容量
Cg2 容量
Cds 寄生容量
Cgd 寄生容量
Cgs 寄生容量
S ソース端子(第1端子)
D ドレイン端子(第2端子)
E 寄生ダイオード
G ゲート端子(制御端子)
Id ドレイン電流
N1 ノード
N2 ノード
N3 ノード
NGD ノード
NI 負入力端子
NO 負出力端子
PGD ノード
PT1 経路
PT2 経路
Q 半導体スイッチング素子
Q1 スイッチ
Q2 スイッチ
Qg1 スイッチ
Qg2 スイッチ
Qg3 スイッチ
Qg4 スイッチ
Rd1 抵抗素子(分割抵抗)
Rd2 抵抗素子(分割抵抗)
Rg1 抵抗素子
Rg2 抵抗素子
Rg3 抵抗素子
Rg4 抵抗素子
Vds ドレイン・ソース間電圧
Vgs ゲート電圧
Vr1 第1基準値
Vr2 第2基準値
Vth 閾値
XGD ノード
YGD ノード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9