(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-09
(45)【発行日】2024-04-17
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/338 20060101AFI20240410BHJP
H01L 29/812 20060101ALI20240410BHJP
H01L 29/778 20060101ALI20240410BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240410BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20240410BHJP
H01L 21/822 20060101ALI20240410BHJP
H01L 27/04 20060101ALI20240410BHJP
H01L 21/8234 20060101ALI20240410BHJP
H01L 27/088 20060101ALI20240410BHJP
H01L 21/8236 20060101ALI20240410BHJP
H01L 25/07 20060101ALI20240410BHJP
H01L 25/065 20230101ALI20240410BHJP
H01L 25/18 20230101ALI20240410BHJP
【FI】
H01L29/80 E
H01L29/80 H
H01L29/78 301B
H01L27/04 U
H01L27/088 E
H01L27/088 311
H01L25/08 B
(21)【出願番号】P 2021148366
(22)【出願日】2021-09-13
【審査請求日】2023-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】杉山 亨
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 啓
(72)【発明者】
【氏名】磯部 康裕
【審査官】恩田 和彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-029588(JP,A)
【文献】国際公開第2019/022206(WO,A1)
【文献】特開2015-056564(JP,A)
【文献】特開平07-142731(JP,A)
【文献】特開2013-211548(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/338
H01L 21/336
H01L 21/822
H01L 21/8234
H01L 21/8236
H01L 25/07
H01L 29/778
H01L 29/812
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、第1導電型の窒化物半導体層を含む第1半導体層と、前記第1面に設けられた第1電極パッドと、前記第1面に設けられた第2電極パッドと、前記第1面に設けられた第1ゲートパッドと、前記第1面に設けられた第3電極パッドと、を有する第1の型の第1チップと、
前記第1チップの前記第1面上に設けられた前記第1の型と異なる第2の型の第2チップであって、前記第1チップの前記第1面に対向する第3面と、前記第3面の反対側の第4面と、第2導電型のチャネルを含む第2半導体層と、前記第4面に設けられた第4電極パッドと、前記第3面に設けられ、前記第1チップの前記第2電極パッドに接合された第5電極パッドと、前記第3面に設けられ、前記第1チップの前記第3電極パッドに接合された第2ゲートパッドとを有する第2チップと、
を備える半導体装置。
【請求項2】
前記第1ゲートパッドと電気的に接続される第1ゲート端子と、前記第2電極パッドと電気的に接続される電源端子と、前記第3電極パッドと電気的に接続される第2ゲート端子と、をさらに備え、
前記第2電極パッドは、前記第1面に平行な第1方向において前記第1ゲートパッドと前記第3電極パッドとの間に位置し、
前記電源端子は、前記第1方向において前記第1ゲート端子と前記第2ゲート端子との間に位置する請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、第1導電型の窒化物半導体層を含む第1半導体層と、前記第1面に設けられた第1電極パッドと、前記第1面に設けられた第2電極パッドと、前記第1面に設けられた第1ゲートパッドと、を有する第1の型の第1チップと、
前記第1チップの前記第1面上に設けられた前記第1の型と異なる第2の型の第2チップであって、前記第1チップの前記第1面に対向する第3面と、前記第3面の反対側の第4面と、第2導電型のチャネルを含む第2半導体層と、前記第3面に設けられ、前記第1チップの前記第2電極パッドに接合された第3電極パッドと、前記第3面に設けられた第2ゲートパッドと、前記第4面に設けられた第4電極パッドと、前記第4面に設けられた第3ゲートパッドと、前記第3面と前記第4面との間を貫通し、前記第2ゲートパッドと前記第3ゲートパッドとを電気的に接続する接続部材とを有する第2チップと、
を備える半導体装置。
【請求項4】
前記第1ゲートパッドと電気的に接続される第1ゲート端子と、前記第2電極パッドと電気的に接続される電源端子と、前記第3ゲートパッドと電気的に接続される第2ゲート端子と、をさらに備え、
前記電源端子は、前記第1面に平行な第1方向において前記第1ゲート端子と前記第2ゲート端子との間に位置する請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1チップは、HEMT(High Electron Mobility Transistor)を含み、
前記第2チップは、pチャネル型のMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)を含む請求項1~4のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項6】
第1接合部を有する第1導電部材と、
第2接合部と第3接合部とを有する第2導電部材と、
第4接合部を有する第3導電部材と、
第1の型の第1チップと、
前記第1の型の第2チップと、
前記第2導電部材の前記第2接合部上に設けられた前記第1の型と異なる第2の型の第3チップと、
前記第3導電部材の前記第4接合部上に設けられた前記第2の型の第4チップと、
を備え、
前記第1チップ及び前記第2チップのそれぞれは、第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、第1導電型の窒化物半導体層を含む第1半導体層と、前記第1面に設けられた第1電極パッドと、前記第1面に設けられた第2電極パッドとを有し、
前記第3チップ及び前記第4チップのそれぞれは、前記第1面に対向する第3面と、前記第3面の反対側の第4面と、第2導電型のチャネルを含む第2半導体層と、前記第4面に設けられた第3電極パッドと、前記第3面に設けられた第4電極パッドとを有し、
前記第1チップの前記第1電極パッドは、前記第1導電部材の前記第1接合部に接合され、
前記第3チップの前記第3電極パッドは、前記第2導電部材の前記第2接合部に接合され、
前記第1チップの前記第2電極パッドは、前記第3チップの前記第4電極パッドに接合され、
前記第2チップの前記第1電極パッドは、前記第2導電部材の前記第3接合部に接合され、
前記第4チップの前記第3電極パッドは、前記第3導電部材の前記第4接合部に接合され、
前記第2チップの前記第2電極パッドは、前記第4チップの前記第4電極パッドに接合されている半導体装置。
【請求項7】
前記第1チップの前記第2面上及び前記第2チップの前記第2面上に設けられた放熱部材をさらに備える請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
第4導電部材をさらに備え、
前記第3チップ及び前記第4チップのそれぞれは、前記第3面に設けられ、ワイヤによって前記第4導電部材と電気的に接続されたゲートパッドをさらに有する請求項6または7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1チップ及び前記第2チップは、HEMT(High Electron Mobility Transistor)を含み、
前記第3チップ及び前記第4チップは、pチャネル型のMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)を含む請求項6~8のいずれか1つに記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にパワーデバイスでは、ゲートに入力信号がない場合にオフの状態(ノーマリオフ)であることが求められる。例えば窒化ガリウム(GaN)を用いたHEMT(High Electron Mobility Transistor)は構造上、ゲートに入力信号がない場合にオンの状態(ノーマリオン)という特性がある。そのため、GaNHEMTと、ノーマリオフのシリコンMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)とをカスコード接続してパッケージ内で組み合わせたパワーデバイスが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-222361号公報
【文献】特開2012-222360号公報
【文献】特開2013-211548号公報
【文献】特開2013-206942号公報
【文献】特開2019-91783号公報
【文献】特開2014-131027号公報
【文献】特開2013-222905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態は、寄生インダクタンスを低減できる半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態によれば、半導体装置は、第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、第1導電型の窒化物半導体層を含む第1半導体層と、前記第1面に設けられた第1電極パッドと、前記第1面に設けられた第2電極パッドと、前記第1面に設けられた第1ゲートパッドと、前記第1面に設けられた第3電極パッドと、を有する第1の型の第1チップと、前記第1チップの前記第1面上に設けられた前記第1の型と異なる第2の型の第2チップであって、前記第1チップの前記第1面に対向する第3面と、前記第3面の反対側の第4面と、第2導電型のチャネルを含む第2半導体層と、前記第4面に設けられた第4電極パッドと、前記第3面に設けられ、前記第1チップの前記第2電極パッドに接合された第5電極パッドと、前記第3面に設けられ、前記第1チップの前記第3電極パッドに接合された第2ゲートパッドとを有する第2チップと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態及び第2実施形態の半導体装置の等価回路図である。
【
図2】第1実施形態の半導体装置の模式斜視図である。
【
図3】第1実施形態の半導体装置の模式断面図である。
【
図4】第1実施形態の半導体装置の模式平面図である。
【
図6】第2実施形態の半導体装置の模式斜視図である。
【
図7】第2実施形態の半導体装置の模式断面図である。
【
図8】第2実施形態の半導体装置の模式平面図である。
【
図9】第3実施形態の半導体装置の等価回路図である。
【
図10】第3実施形態の半導体装置の模式断面図である。
【
図11】第3実施形態の半導体装置の模式平面図である。
【
図12】第3実施形態の第1チップ(第2チップ)の第1面の模式平面図である。
【
図13】(a)及び(b)は、第3実施形態の半導体装置の製造方法を示す模式断面図である。
【
図14】(a)及び(b)は、第3実施形態の半導体装置の製造方法を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照し、実施形態について説明する。なお、各図面中、同じ構成には同じ符号を付している。以下の説明では第1導電型をn型、第2導電型をp型として説明するが、第1導電型をp型、第2導電型をn型としてもよい。
【0008】
[第1実施形態]
第1実施形態の半導体装置1について、
図1~
図5を参照して説明する。
【0009】
図2に示すように、半導体装置1は、第1チップ10と、第2チップ20と、リードフレーム90とを有する。リードフレーム90は、ダイパッド91、ドレイン端子D、ソース端子S、第1ゲート端子G1、第2ゲート端子G2、及び電源端子VDDを含む金属部材である。第1チップ10は、ダイパッド91上に搭載されている。第2チップ20は、第1チップ10上に搭載されている。
図1に示すように、第1チップ10と第2チップ20は、ドレイン端子Dとソース端子Sとの間にカスコード接続されている。
【0010】
第1チップ10は、例えば、ゲートに入力信号がない場合にオンとなるノーマリオン型(第1の型)のHEMTを含む。
図5は、第1チップ10におけるHEMTを含む素子部30の一例を示す模式断面図である。
【0011】
第1チップ10は、第1半導体層40を有する。第1半導体層40は、第1窒化物半導体層41と第2窒化物半導体層42とのヘテロ接合構造を有する。基板31上に第1窒化物半導体層41が設けられ、第1窒化物半導体層41上に第2窒化物半導体層42が設けられている。第2窒化物半導体層42は、第1窒化物半導体層41よりもバンドギャップが大きい。例えば、第1窒化物半導体層41はアンドープのGaN層であり、第2窒化物半導体層42はAlGaN層である。第1窒化物半導体層41における第2窒化物半導体層42との界面付近に二次元電子ガス36が形成される。
【0012】
第2窒化物半導体層42上に、ドレイン電極32とソース電極33が設けられている。ドレイン電極32及びソース電極33は、第2窒化物半導体層42に接している。第2窒化物半導体層42上であってドレイン電極32とソース電極33との間の領域に、絶縁膜35を介して、ゲート電極34が設けられている。
【0013】
図2~
図4に示すように、第1チップ10は、第1面11と、第1面11の反対側の第2面12と、第1電極パッド13と、第2電極パッド14と、第1ゲートパッド15と、第3電極パッド16とを有する。第1電極パッド13、第2電極パッド14、第1ゲートパッド15、及び第3電極パッド16は、第1面11に設けられている。
【0014】
第2面12は、例えば、
図5に示す素子部30の基板31の裏面である。素子部30における第2窒化物半導体層42上に、ドレイン電極32、ソース電極33、及びゲート電極34を覆う絶縁膜が設けられ、その絶縁膜上に第1電極パッド13、第2電極パッド14、第1ゲートパッド15、及び第3電極パッド16が設けられている。
【0015】
第1電極パッド13は、ドレイン電極32と電気的に接続されたドレインパッドである。第2電極パッド14は、ソース電極33と電気的に接続されたソースパッドである。第1ゲートパッド15は、ゲート電極34と電気的に接続されている。第3電極パッド16は、ドレイン電極32、ソース電極33、及びゲート電極34のいずれとも電気的に接続されていない。
【0016】
図2に示すように、第1チップ10は、リードフレーム90のダイパッド91上に搭載されている。第1チップ10の第2面12がダイパッド91の上面に接合されている。
【0017】
第1電極パッド13は、ワイヤWによって、ドレイン端子Dと電気的に接続されている。第2電極パッド14は、ワイヤWによって、電源端子VDDと電気的に接続されている。第1ゲートパッド15は、ワイヤWによって、第1ゲート端子G1と電気的に接続されている。第3電極パッド16は、ワイヤWによって、第2ゲート端子G2と電気的に接続されている。
【0018】
第2チップ20は、ゲートに入力信号がない場合にオフとなるノーマリオフ型(第2の型)であり、例えば、pチャネル型のMOSFETを含む。
図2及び
図3に示すように、第2チップ20は、第1チップ10の第1面11上に搭載されている。
【0019】
第2チップ20は、第1チップ10の第1面11に対向する第3面23と、第3面23の反対側の第4面24と、第2半導体層21と、第4面24に設けられた第4電極パッド(ドレインパッド)25と、第3面23に設けられた第5電極パッド(ソースパッド)26と、第3面23に設けられた第2ゲートパッド27とを有する。第1チップ10の第1面11の面積は、第2チップ20の第3面23の面積よりも広い。
【0020】
第2半導体層21は、例えばシリコン層であり、p型のチャネルを含む。第2チップ20は、第2半導体層21の厚さ方向(第4電極パッド25と第5電極パッド26とを結ぶ縦方向)に電流が流れる縦型デバイスである。第4電極パッド25は、MOSFETのドレイン電極として機能する。第5電極パッド26は、MOSFETのソース電極として機能する。第2ゲートパッド27は、MOSFETのゲート電極と電気的に接続されている。
【0021】
図3に示すように、第2チップ20の第5電極パッド(ソースパッド)26は、第1チップ10の第2電極パッド(ソースパッド)14に対向する。第2チップ20の第5電極パッド26と第1チップ10の第2電極パッド14との間に、例えばはんだ等の導電性バンプ(または接合材)51が設けられる。第2チップ20の第5電極パッド26は、導電性バンプ51を介して、第1チップ10の第2電極パッド14に接合され、第2電極パッド14と電気的に接続されている。すなわち、第1チップ10と第2チップ20のソース電極どうしが電気的に接続されている。
【0022】
第2チップ20の第2ゲートパッド27は、第1チップ10の第3電極パッド16に対向する。第2チップ20の第2ゲートパッド27と第1チップ10の第3電極パッド16との間に、例えばはんだ等の導電性バンプ(または接合材)52が設けられる。第2チップ20の第2ゲートパッド27は、導電性バンプ52を介して、第1チップ10の第3電極パッド16に接合され、第3電極パッド16と電気的に接続されている。すなわち、第2チップ20のMOSFETのゲート電極が、第1チップ10の第1面11上に設けられた第3電極パッド16と電気的に接続されている。
【0023】
図2に示すように、第2チップ20の第4電極パッド(ドレインパッド)25は、ワイヤWによって、ソース端子Sと電気的に接続されている。
【0024】
第1チップ10及び第2チップ20を搭載したリードフレーム90は、配線基板上に実装される。第1チップ10、第2チップ20、及びリードフレーム90は、樹脂に覆われ、パッケージ化される。
図2において、配線層53、54、55は配線基板に設けられた配線層を示す。配線層53は、第1ゲート端子G1と電気的に接続されている。配線層54は、電源端子VDDと電気的に接続されている。配線層55は、第2ゲート端子G2と電気的に接続されている。
【0025】
図4に示すように、第1チップ10の第1ゲートパッド15は、配線63によって、ゲートドライバ61と電気的に接続されている。配線63は、
図2に示すワイヤW、第1ゲート端子G1、及び配線層53などを含む。
【0026】
第1チップ10のソース電極及び第2チップ20のソース電極と電気的に接続された第2電極パッド14には、配線64を介して、電圧VDDが与えられる。配線64は、
図2に示すワイヤW、電源端子VDD、及び配線層54などを含む。
【0027】
第2チップ20の第2ゲートパッド27と電気的に接続された第3電極パッド16は、配線65によって、第2チップ駆動回路62と電気的に接続されている。配線65は、
図2に示すワイヤW、第2ゲート端子G2、及び配線層55などを含む。
【0028】
第1実施形態の半導体装置1によれば、第2チップ20を第1チップ10上に搭載することで、パッケージ内の第1チップ10を搭載可能な領域が広がる。これにより、第1チップ10のチップサイズを大きくでき、オン抵抗の低減が可能になる。
【0029】
第1チップ10の第2電極パッド(ソースパッド)14と、第2チップ20の第5電極パッド(ソースパッド)26とは、ワイヤを介さずに、導電性バンプ51によって接続される。これにより、第1チップ10と第2チップ20のソース電極どうしの接続部における寄生インダクタンスを低減でき、パワー電流ループにおけるリンギングの低減が可能になる。
【0030】
第2チップ20の第5電極パッド26を第1チップ10の第2電極パッド14に接合させるにあたって、第2チップ20における第5電極パッド26が設けられた第3面23を、第1チップ10における第2電極パッド14が設けられた第1面11に対向させる。第2チップ20の第3面23には、第2ゲートパッド27も設けられている。第1実施形態によれば、第1チップ10の第1面11に、第1チップ10の各電極とは電気的に接続されない第3電極パッド16を設け、その第3電極パッド16に第2チップ20の第2ゲートパッド27を接合させる。これにより、第3電極パッド16に接続されるワイヤW等を介して、第2チップ20のゲート電極を外部回路に電気的に接続させることができる。
【0031】
pチャネル型MOSFETを含む第2チップ20は、第1チップ10とのカスコード接続において理想的なケルビン接続をとれる。すなわち、第1チップ10と第2チップ20のソース電極どうしの接続部(第2電極パッド14、電源端子VDD)が、第1チップ10のゲート電流ループ(
図4において白い太矢印で表す)のリターン線と接続されたドライバソース端子として機能する。これにより、nチャネル型MOSFETを第1チップ10とカスコード接続した構成に比べて、ゲート電流ループを短くすることができ、ゲート電流ループにおける寄生インダクタンスの低減によるリンギングの低減が可能になる。
【0032】
図4に示すように、第2電極パッド14は、第1面11に平行な第1方向d1において、第1ゲートパッド15と第3電極パッド16との間に位置する。
図2に示すように、第2電極パッド14と電気的に接続される電源端子VDDは、第1方向d1において、第1ゲートパッド15と電気的に接続される第1ゲート端子G1と、第3電極パッド16と電気的に接続される第2ゲート端子G2との間に位置する。これにより、
図4に示すように、ゲート電流ループを形成する配線63と配線64を、第1方向d1に交差する方向に沿って平行に近接配置することができ、ゲート信号におけるノイズの低減が可能となる。
【0033】
[第2実施形態]
第2実施形態の半導体装置2について、
図6~
図8を参照して説明する。第2実施形態において、第1実施形態と同じ構成には同じ符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0034】
図6に示すように、半導体装置2は、第1チップ70と、第2チップ80と、リードフレーム90とを有する。第1チップ70は、リードフレーム90のダイパッド91上に搭載されている。第2チップ80は、第1チップ70上に搭載されている。第1実施形態と同様、
図1に示すように、第1チップ70と第2チップ80は、ドレイン端子Dとソース端子Sとの間にカスコード接続されている。
【0035】
第1チップ70は、例えば、ゲートに入力信号がない場合にオンとなるノーマリオン型のHEMTを含む。第1チップ70は、第1実施形態の第1チップ10と同様の
図5に示す素子部30を含むことができる。
【0036】
第1チップ70は、第1面71と、第1面71の反対側の第2面72と、第1電極パッド73と、第2電極パッド74と、第1ゲートパッド75とを有する。第1電極パッド73、第2電極パッド74、及び第1ゲートパッド75は、第1面71に設けられている。
【0037】
第2面72は、例えば、
図5に示す素子部30の基板31の裏面である。素子部30における第2窒化物半導体層42上に、ドレイン電極32、ソース電極33、及びゲート電極34を覆う絶縁膜が設けられ、その絶縁膜上に第1電極パッド73、第2電極パッド74、及び第1ゲートパッド75が設けられている。
【0038】
第1電極パッド73は、ドレイン電極32と電気的に接続されたドレインパッドである。第2電極パッド74は、ソース電極33と電気的に接続されたソースパッドである。第1ゲートパッド75は、ゲート電極34と電気的に接続されている。
【0039】
図6に示すように、第1チップ70は、リードフレーム90のダイパッド91上に搭載されている。第1チップ70の第2面72がダイパッド91の上面に接合されている。第1電極パッド73は、ワイヤWによって、ドレイン端子Dと電気的に接続されている。第2電極パッド74は、ワイヤWによって、電源端子VDDと電気的に接続されている。第1ゲートパッド75は、ワイヤWによって、第1ゲート端子G1と電気的に接続されている。
【0040】
第2チップ80は、ゲートに入力信号がない場合にオフとなるノーマリオフ型であり、例えば、pチャネル型のMOSFETを含む。
図6及び
図7に示すように、第2チップ80は、第1チップ70の第1面71上に搭載されている。
【0041】
第2チップ80は、第1チップ70の第1面71に対向する第3面83と、第3面83の反対側の第4面84とを有する。第1チップ70の第1面71の面積は、第2チップ80の第3面83の面積よりも広い。また、第2チップ80は、第2半導体層81と、第3電極パッド(ソースパッド)86と、第2ゲートパッド87と、第4電極パッド(ドレインパッド)85と、第3ゲートパッド88と、接続部材89とを有する。
【0042】
第3電極パッド(ソースパッド)86と第2ゲートパッド87は、第3面83に設けられている。第4電極パッド(ドレインパッド)85と第3ゲートパッド88は、第4面84に設けられている。接続部材89は、第3面83と第4面84との間を貫通する貫通孔内に設けられた導電性部材である。接続部材89は、第3面83と第4面84との間を貫通し、第2ゲートパッド87と第3ゲートパッド88とを電気的に接続している。
【0043】
第2半導体層81は、例えばシリコン層であり、p型のチャネルを含む。第2チップ80は、第2半導体層81の厚さ方向(第4電極パッド85と第3電極パッド86とを結ぶ縦方向)に電流が流れる縦型デバイスである。第4電極パッド85は、MOSFETのドレイン電極として機能する。第3電極パッド86は、MOSFETのソース電極として機能する。第2ゲートパッド87は、MOSFETのゲート電極と電気的に接続されている。
【0044】
第2チップ80の第3電極パッド(ソースパッド)86は、第1チップ70の第2電極パッド(ソースパッド)74に対向する。第2チップ80の第3電極パッド86と第1チップ70の第2電極パッド74との間に、例えばはんだ等の導電性バンプ(または接合材)51が設けられる。第2チップ80の第3電極パッド86は、導電性バンプ51を介して、第1チップ70の第2電極パッド74に接合され、第2電極パッド74と電気的に接続されている。すなわち、第1チップ70と第2チップ80のソース電極どうしが電気的に接続されている。
【0045】
図6に示すように、第2チップ80の第4電極パッド(ドレインパッド)85は、ワイヤWによって、ソース端子Sと電気的に接続されている。第2チップ80の第3ゲートパッド88は、ワイヤWによって、第2ゲート端子G2と電気的に接続されている。すなわち、第2チップ80のMOSFETのゲート電極は、第2ゲートパッド87、接続部材89、第3ゲートパッド88、及びワイヤWを介して、第2ゲート端子G2と電気的に接続されている。
【0046】
第1チップ70及び第2チップ80を搭載したリードフレーム90は、配線基板上に実装される。第1チップ70、第2チップ80、及びリードフレーム90は、樹脂に覆われ、パッケージ化される。
図6において、配線層53、54、55は配線基板に設けられた配線層を示す。配線層53は、第1ゲート端子G1と電気的に接続されている。配線層54は、電源端子VDDと電気的に接続されている。配線層55は、第2ゲート端子G2と電気的に接続されている。
【0047】
図8に示すように、第1チップ70の第1ゲートパッド75は、配線63によって、ゲートドライバ61と電気的に接続されている。配線63は、
図6に示すワイヤW、第1ゲート端子G1、及び配線層53などを含む。
【0048】
第1チップ70のソース電極及び第2チップ80のソース電極と電気的に接続された第2電極パッド74には、配線64を介して、電圧VDDが与えられる。配線64は、
図6に示すワイヤW、電源端子VDD、及び配線層54などを含む。
【0049】
第2チップ80の第3ゲートパッド88は、配線65によって、第2チップ駆動回路62と電気的に接続されている。配線65は、
図6に示すワイヤW、第2ゲート端子G2、及び配線層55などを含む。
【0050】
第2実施形態の半導体装置2によれば、第2チップ80を第1チップ70上に搭載することで、パッケージ内の第1チップ70を搭載可能な領域が広がる。これにより、第1チップ70のチップサイズを大きくでき、オン抵抗の低減が可能になる。
【0051】
第1チップ70の第2電極パッド(ソースパッド)74と、第2チップ80の第3電極パッド(ソースパッド)86とは、ワイヤを介さずに、導電性バンプ51によって接続される。これにより、第1チップ70と第2チップ80のソース電極どうしの接続部における寄生インダクタンスを低減でき、パワー電流ループにおけるリンギングの低減が可能になる。
【0052】
第2チップ80の第3電極パッド86を第1チップ70の第2電極パッド74に接合させるにあたって、第2チップ80における第3電極パッド86が設けられた第3面83を、第1チップ70における第2電極パッド74が設けられた第1面71に対向させる。第2チップ80の第3面83には、第2ゲートパッド87も設けられている。第2実施形態によれば、第2チップ80における第3面83の反対側の第4面84に第3ゲートパッド88を設け、接続部材89によって、第4面84の第3ゲートパッド88を第3面83の第2ゲートパッド87と接続している。これにより、第2チップ80における第1チップ70に対向しない第4面84に設けられた第3ゲートパッド88にワイヤWを接続して、第2チップ80のゲート電極を外部回路に電気的に接続させることができる。
【0053】
pチャネル型MOSFETを含む第2チップ80は、第1チップ70とのカスコード接続において理想的なケルビン接続をとれる。すなわち、第1チップ70と第2チップ80のソース電極どうしの接続部(第2電極パッド74、電源端子VDD)が、第1チップ70のゲート電流ループ(
図8において白い太矢印で表す)のリターン線と接続されたドライバソース端子として機能する。これにより、nチャネル型MOSFETを第1チップ70とカスコード接続した構成に比べて、ゲート電流ループを短くすることができ、ゲート電流ループにおける寄生インダクタンスの低減によるリンギングの低減が可能になる。
【0054】
図6に示すように、第2電極パッド74と電気的に接続される電源端子VDDは、第1面71に平行な第1方向d1において、第1ゲートパッド75と電気的に接続される第1ゲート端子G1と、第3ゲートパッド88と電気的に接続される第2ゲート端子G2との間に位置する。これにより、
図8に示すように、ゲート電流ループを形成する配線63と配線64を、第1方向d1に交差する方向に沿って平行に近接配置することができ、ゲート信号におけるノイズの低減が可能となる。
【0055】
[第3実施形態]
第3実施形態の半導体装置3について、
図9~
図14(b)を参照して説明する。
【0056】
半導体装置3は、配線基板100と、第1導電部材141と、第2導電部材142と、第3導電部材143と、第1チップ111Aと、第2チップ111Bと、第3チップ112Aと、第4チップ112Bとを備える。
【0057】
図9に示すように、第1端子101と第2端子102との間に、ハイサイドデバイス110Aとローサイドデバイス110Bが直列接続されている。ハイサイドデバイス110Aは、カスコード接続された第1チップ111Aと第3チップ112Aを含む。ローサイドデバイス110Bは、カスコード接続された第2チップ111Bと第4チップ112Bを含む。
【0058】
第1導電部材141、第2導電部材142、及び第3導電部材143は、金属部材であり、例えば銅を含む。第1導電部材141、第2導電部材142、及び第3導電部材143は、配線基板100上に設けられ、配線基板100に形成された配線層を介して外部回路と接続される。
【0059】
図10に示すように、第1導電部材141は、第1接合部141aを有する。第2導電部材142は、第2接合部142aと第3接合部142bとを有する。第3導電部材143は、第4接合部143aを有する。第1接合部141aの上面の高さ及び第3接合部142bの上面の高さは、第2接合部142aの上面の高さ及び第4接合部143aの上面の高さよりも高い。本明細書において、「高さ」は、配線基板100の上面からの高さを表す。第1接合部141a及び第3接合部142bは、例えばシリコンチップを含む構成であってもよい。
【0060】
第1チップ111A及び第2チップ111Bは、例えば、ゲートに入力信号がない場合にオンとなるノーマリオン型のHEMTを含む。第1チップ111A及び第2チップ111Bは、第1実施形態の第1チップ10と同様の
図5に示す素子部30を含むことができる。すなわち、第1チップ111A及び第2チップ111Bのそれぞれは、n型の窒化物半導体層42を含む第1半導体層40を含む。
【0061】
第1チップ111A及び第2チップ111Bのそれぞれは、配線基板100の上面に対向する第1面121と、第1面121の反対側の第2面122と、第1面121に設けられた第1電極パッド131と、第1面121に設けられた第2電極パッド132とを有する。また、第1チップ111A及び第2チップ111Bのそれぞれは、
図12に示すように、第1面121に設けられた第1ゲートパッド136を有する。
【0062】
第2面122は、例えば、
図5に示す素子部30の基板31の裏面である。素子部30における第2窒化物半導体層42上に、ドレイン電極32、ソース電極33、及びゲート電極34を覆う絶縁膜が設けられ、その絶縁膜上に第1電極パッド131、第2電極パッド132、及び第1ゲートパッド136が設けられている。
【0063】
第1電極パッド131は、ドレイン電極32と電気的に接続されたドレインパッドである。第2電極パッド132は、ソース電極33と電気的に接続されたソースパッドである。第1ゲートパッド136は、ゲート電極34と電気的に接続されている。
【0064】
第3チップ112A及び第4チップ112Bは、ゲートに入力信号がない場合にオフとなるノーマリオフ型であり、例えば、pチャネル型のMOSFETを含む。第3チップ112A及び第4チップ112Bのそれぞれは、第3面123と、第3面123の反対側の第4面124と、p型のチャネルを含む第2半導体層135と、第4面124に設けられた第3電極パッド133と、第3面123に設けられた第4電極パッド134とを有する。
【0065】
第3チップ112Aは、第2導電部材142の第2接合部142a上に設けられている。第4チップ112Bは、第3導電部材143の第4接合部143a上に設けられている。第3チップ112Aの第3面123は、第1チップ111Aの第1面121に対向している。第4チップ112Bの第3面123は、第2チップ111Bの第1面121に対向している。
【0066】
第2半導体層135は、例えばシリコン層であり、p型のチャネルを含む。第3チップ112A及び第4チップ112Bは、第2半導体層135の厚さ方向(第3電極パッド133と第4電極パッド134とを結ぶ縦方向)に電流が流れる縦型デバイスである。第3電極パッド133は、MOSFETのドレイン電極として機能する。第4電極パッド134は、MOSFETのソース電極として機能する。
【0067】
また、
図11に示すように、第3チップ112A及び第4チップ112Bのそれぞれは、第3面123に設けられた第2ゲートパッド137を有する。第2ゲートパッド137は、MOSFETのゲート電極と電気的に接続されている。
【0068】
図10に示すように、第1チップ111Aの第1電極パッド131は、第1導電部材141の第1接合部141aの上面に対向している。第1チップ111Aの第1電極パッド131は、例えばはんだ等の導電性の接合材151によって、第1導電部材141の第1接合部141aの上面に接合され、第1導電部材141と電気的に接続されている。
【0069】
第3チップ112Aの第3電極パッド133は、例えば、はんだや銀ペーストなどの導電性の接合材152によって、第2導電部材142の第2接合部142aに接合され、第2導電部材142と電気的に接続されている。
【0070】
第1チップ111Aの第2電極パッド132は、第3チップ112Aの第4電極パッド134に対向し、例えばはんだ等の導電性の接合材153によって、第3チップ112Aの第4電極パッド134に接合されている。すなわち、第1チップ111Aと第3チップ112Aのソース電極どうしが電気的に接続されている。
【0071】
第2チップ111Bの第1電極パッド131は、第2導電部材142の第3接合部142bの上面に対向している。第2チップ111Bの第1電極パッド131は、例えばはんだ等の導電性の接合材154によって、第2導電部材142の第3接合部142bの上面に接合され、第2導電部材142と電気的に接続されている。第2導電部材142を通じて、第3チップ112Aの第3電極パッド133と、第2チップ111Bの第1電極パッド131とが電気的に接続されている。
【0072】
第4チップ112Bの第3電極パッド133は、例えば、はんだや銀ペーストなどの導電性の接合材156によって、第3導電部材143の第4接合部143aに接合され、第3導電部材143と電気的に接続されている。
【0073】
第2チップ111Bの第2電極パッド132は、第4チップ112Bの第4電極パッド134に対向し、例えばはんだ等の導電性の接合材157によって、第4チップ112Bの第4電極パッド134に接合されている。すなわち、第2チップ111Bと第4チップ112Bのソース電極どうしが電気的に接続されている。
【0074】
図11に示すように、半導体装置3は、第4導電部材144と第5導電部材145をさらに備える。第4導電部材144及び第5導電部材145は、金属部材であり、例えば銅を含む。第4導電部材144及び第5導電部材145は、配線基板100上に設けられ、配線基板100に形成された配線層を介して外部回路と接続される。
【0075】
第3チップ112Aの第2ゲートパッド137と第4チップ112Bの第2ゲートパッド137に対応して、2つの第4導電部材144が配線基板100上に設けられている。第1チップ111Aの第1ゲートパッド136と第2チップ111Bの第1ゲートパッド136に対応して、2つの第5導電部材145が配線基板100上に設けられている。
【0076】
第1チップ111Aは、第3チップ112Aの第2ゲートパッド137の上に重なっていない。第2チップ111Bは、第4チップ112Bの第2ゲートパッド137の上に重なっていない。第3チップ112A及び第4チップ112Bのそれぞれの第2ゲートパッド137は、ワイヤWによって、それぞれの第4導電部材144と電気的に接続されている。
【0077】
第1チップ111A及び第2チップ111Bのそれぞれの第1ゲートパッド136は、それぞれの第5導電部材145の上面に対向している。第1チップ111A及び第2チップ111Bのそれぞれの第1ゲートパッド136は、例えばはんだ等の導電性の接合材によって、それぞれの第5導電部材145の上面に接合され、第5導電部材145と電気的に接続されている。
【0078】
図10に示すように、半導体装置3は、金属部材161A、161Bと、絶縁シート162と、放熱部材200とをさらに備える。金属部材161A、161B、絶縁シート162、及び放熱部材200は、第1チップ111Aの第2面122上及び第2チップ111Bの第2面122上に設けられている。
【0079】
金属部材161A、161Bは、例えば銅を含む。第1チップ111A及び第2チップ111Bのそれぞれの第2面122は、例えば、はんだや銀ペーストなどの熱伝導性に優れた接合材158によって、金属部材161A、161Bに接合されている。第1チップ111Aの第2面122上に設けられた金属部材161Aと、第2チップ111Bの第2面122上に設けられた金属部材161Bとは互いに分離している。
【0080】
金属部材161A、161B上に、熱伝導性に優れた絶縁シート162を介して、放熱部材200が設けられている。放熱部材200は、例えば複数のフィンを有する金属部材である。放熱部材200と配線基板100とは、例えば複数のピン165によって、相互に固定される。金属部材161A、161B、絶縁シート162、及び放熱部材200は、互いに密着している。
【0081】
半導体装置3は、配線基板100と絶縁シート162との間に設けられた樹脂部材300(
図10において1点鎖線で示す)をさらに備える。樹脂部材300は、第1導電部材141、第2導電部材142、第3導電部材143、第4導電部材144、第5導電部材145、第1チップ111A、第2チップ111B、第3チップ112A、第4チップ112B、及び金属部材161A、161Bを覆っている。
【0082】
第3実施形態の半導体装置3によれば、ハイサイドデバイス110Aとローサイドデバイス110Bを1パッケージ化し、ハイサイドデバイス110Aとローサイドデバイス110Bはパッケージ内で第2導電部材142により電気的に接続されている。これにより、ハイサイドデバイス110Aとローサイドデバイス110Bとの電気的接続部における寄生インダクタンス及び抵抗を低減することができる。
【0083】
第1チップ111A及び第2チップ111Bの第2面122は、配線基板100に接合されず、配線基板100の上方に向けられる。そのため、第2面122に金属部材161A、161Bや放熱部材200を設けることができる。これにより、第1チップ111A及び第2チップ111Bの放熱性を高くすることができ、特に高出力時の効率低下を抑制することが可能となる。
【0084】
次に、第3実施形態の半導体装置3の製造方法の一例について説明する。
【0085】
図13(a)に示すように、テープ501上に第1導電部材141及び第2導電部材142を搭載する。また、テープ501上には第3導電部材143も搭載される。第2導電部材142の第2接合部142a上には、例えば、はんだや銀ペーストなどの導電性の接合材152を介して、第3チップ112Aが搭載される。第3チップ112Aの第3電極パッド133が、接合材152を介して、第2導電部材142の第2接合部142aの上面に接合される。また、第3導電部材143の第4接合部143a上には、例えば、はんだや銀ペーストなどの導電性の接合材156を介して、第4チップ112Bが搭載される。第4チップ112Bの第3電極パッド133が、接合材156を介して、第3導電部材143の第4接合部143aの上面に接合される。
【0086】
次に、
図13(b)に示すように、第1チップ111Aが、第1導電部材141上及び第2導電部材142上に搭載される。第1チップ111Aの第1電極パッド131が、例えばはんだ等の導電性の接合材151によって、第1導電部材141の第1接合部141aの上面に接合される。第1チップ111Aの第2電極パッド132が、例えばはんだ等の導電性の接合材153によって、第3チップ112Aの第4電極パッド134に接合される。第1チップ111Aと同様に、第2チップ111Bの第1電極パッド131が、例えばはんだ等の導電性の接合材154によって、第2導電部材142の第3接合部142bの上面に接合される。第2チップ111Bの第2電極パッド132が、例えばはんだ等の導電性の接合材157によって、第4チップ112Bの第4電極パッド134に接合される。
【0087】
この後、第1チップ111Aの第2面122上に金属部材161Aが接合され、第2チップ111Bの第2面122上に金属部材161Bが接合される。この後、樹脂部材300で、第1導電部材141、第2導電部材142、第3導電部材143、第1チップ111A、第2チップ111B、第3チップ112A、第4チップ112B、金属部材161A、161Bなどを封止する。樹脂部材300は、金属部材161A、161Bの上面を覆うように形成された後、研磨され、金属部材161A、161Bの上面が露出される。テープ501を剥離することで、パッケージングされた半導体装置を配線基板100上に実装することができる。金属部材161A、161Bの上面上には、必要に応じて、絶縁シート162を介して放熱部材200が設けられる。
【0088】
図14(a)及び
図14(b)は、第3実施形態の半導体装置3の製造方法の他の例を示す。
【0089】
図14(a)に示すように、テープ502上に金属部材161Aを搭載する。その金属部材161A上に、第1チップ111Aが搭載される。第1チップ111Aの第2面122が、例えば、はんだや銀ペーストなどの接合材158によって、金属部材161Aに接合される。同様に、テープ502上に金属部材161Bが搭載される。その金属部材161B上に、第2チップ111Bが搭載される。第2チップ111Bの第2面122が、例えば、はんだや銀ペーストなどの接合材158によって、金属部材161Bに接合される。
【0090】
一方で、
図14(b)に示すように、テープ501上に第1導電部材141及び第2導電部材142を搭載する。また、テープ501上には第3導電部材143も搭載される。第2導電部材142の第2接合部142a上には、接合材152を介して、第3チップ112Aが搭載される。第3チップ112Aの第3電極パッド133が、接合材152を介して、第2導電部材142の第2接合部142aの上面に接合される。また、第3導電部材143の第4接合部143a上には、接合材156を介して、第4チップ112Bが搭載される。第4チップ112Bの第3電極パッド133が、接合材156を介して、第3導電部材143の第4接合部143aの上面に接合される。
【0091】
そして、テープ502に支持された第1チップ111A及び第2チップ111Bを、テープ501に支持された第1導電部材141、第2導電部材142、及び第3導電部材143上に搭載する。第1チップ111Aが、第1導電部材141上及び第2導電部材142上に搭載される。第1チップ111Aの第1電極パッド131が、接合材151によって、第1導電部材141の第1接合部141aの上面に接合される。第1チップ111Aの第2電極パッド132が、接合材153によって、第3チップ112Aの第4電極パッド134に接合される。第1チップ111Aと同様に、第2チップ111Bの第1電極パッド131が、接合材154によって、第2導電部材142の第3接合部142bの上面に接合される。第2チップ111Bの第2電極パッド132が、接合材157によって、第4チップ112Bの第4電極パッド134に接合される。
【0092】
テープ502を剥離した後、第1チップ111Aの第2面122上に金属部材161Aを接合し、第2チップ111Bの第2面122上に金属部材161Bを接合する。この後、樹脂部材300で、第1導電部材141、第2導電部材142、第3導電部材143、第1チップ111A、第2チップ111B、第3チップ112A、第4チップ112B、金属部材161A、161Bなどを封止する。樹脂部材300は、金属部材161A、161Bの上面を覆うように形成された後、研磨され、金属部材161A、161Bの上面が露出される。テープ501を剥離することで、パッケージングされた半導体装置を配線基板100上に実装することができる。金属部材161A、161Bの上面上には、必要に応じて、絶縁シート162を介して放熱部材200が設けられる。
【0093】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0094】
1~3…半導体装置、10…第1チップ、11…第1面、12…第2面、13…第1電極パッド、14…第2電極パッド、15…第1ゲートパッド、16…第3電極パッド、20…第2チップ、21…第2半導体層、23…第3面、24…第4面、25…第4電極パッド、26…第5電極パッド、27…第2ゲートパッド、30…第1チップの素子部、40…第1半導体層、70…第1チップ、71…第1面、72…第2面、73…第1電極パッド、74…第2電極パッド、75…第1ゲートパッド、80…第2チップ、81…第2半導体層、83…第3面、84…第4面、85…第4電極パッド、86…第3電極パッド、87…第2ゲートパッド、88…第3ゲートパッド、89…接続部材、90…リードフレーム、100…配線基板、111A…第1チップ、111B…第2チップ、112A…第3チップ、112B…第4チップ、121…第1面、122…第2面、123…第3面、124…第4面、131…第1電極パッド、132…第2電極パッド、133…第3電極パッド、134…第4電極パッド、135…第2半導体層、136…第1ゲートパッド、137…第2ゲートパッド、141…第1導電部材、141a…第1接合部、142…第2導電部材、142a…第2接合部、142b…第3接合部、143…第3導電部材、143a…第4接合部、144…第4導電部材、145…第5導電部材、161A,161B…金属部材、162…絶縁シート、200…放熱部材、300…樹脂部材