(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-09
(45)【発行日】2024-04-17
(54)【発明の名称】窒化物半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/338 20060101AFI20240410BHJP
H01L 29/812 20060101ALI20240410BHJP
H01L 29/778 20060101ALI20240410BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240410BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20240410BHJP
H01L 29/41 20060101ALI20240410BHJP
H01L 21/822 20060101ALI20240410BHJP
H01L 27/04 20060101ALI20240410BHJP
H01L 21/8234 20060101ALI20240410BHJP
H01L 27/06 20060101ALI20240410BHJP
H01L 21/337 20060101ALI20240410BHJP
H01L 29/808 20060101ALI20240410BHJP
【FI】
H01L29/80 E
H01L29/80 H
H01L29/78 301B
H01L29/44 L
H01L29/44 Z
H01L27/04 C
H01L27/06 102A
H01L29/80 W
(21)【出願番号】P 2021152133
(22)【出願日】2021-09-17
【審査請求日】2023-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 啓
(72)【発明者】
【氏名】杉山 亨
【審査官】恩田 和彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/064955(WO,A1)
【文献】特開2013-201262(JP,A)
【文献】特開2008-263088(JP,A)
【文献】特開2005-327952(JP,A)
【文献】特開2012-256930(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/338
H01L 21/336
H01L 29/41
H01L 21/822
H01L 21/8234
H01L 21/337
H01l 29/778
h01l 29/812
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性の基板と、
前記基板上に設けられた窒化物半導体層と、
前記窒化物半導体層上に設けられ、前記窒化物半導体層に接続された第1電極と、
前記窒化物半導体層上に設けられ、前記窒化物半導体層に接続された第2電極と、
前記窒化物半導体層上であって、上方から見て、前記第1電極と前記第2電極の間に設けられた第1制御電極と、
前記窒化物半導体層上であって、前記第1電極、前記第2電極及び前記第1制御電極が配置された領域の周囲に設けられ、前記第1電極との間に第1容量が形成され、前記第2電極との間に第2容量が形成されるガードリングと、
前記ガードリングを前記基板に接続する接続部材と、
を備えた窒化物半導体装置。
【請求項2】
前記窒化物半導体層上であって、上方から見て、前記第1制御電極と前記第2電極の間に設けられた第2制御電極をさらに備えた請求項1に記載の窒化物半導体装置。
【請求項3】
前記窒化物半導体層上に設けられ、前記第1電極、前記第2電極、及び、前記第1制御電極を覆う絶縁膜と、
前記絶縁膜上に設けられ、前記第1電極と接続された第1パッドと、
前記絶縁膜上に設けられ、前記第2電極と接続された第2パッドと、
前記ガードリングに接続され、前記第1パッドの直下に配置され、前記絶縁膜の一部を介して前記第1パッドと対向する第1容量電極と、
前記ガードリングに接続され、前記第2パッドの直下に配置され、前記絶縁膜の一部を介して前記第2パッドと対向する第2容量電極と、
をさらに備え、
前記第1容量は前記第1パッドと前記第1容量電極との間に形成され、前記第2容量は前記第2パッドと前記第2容量電極との間に形成される請求項1または2に記載の窒化物半導体装置。
【請求項4】
前記窒化物半導体層には開口部が形成されており、
前記接続部材は前記開口部を介して前記基板に接続された請求項1~3のいずれか1つに記載の窒化物半導体装置。
【請求項5】
上方から見て、前記開口部は前記窒化物半導体層を囲む請求項4に記載の窒化物半導体装置。
【請求項6】
前記第1電極と前記ガードリングとの間に接続された第1抵抗体と、
前記第2電極と前記ガードリングとの間に接続された第2抵抗体と、
をさらに備えた請求項1~5のいずれか1つに記載の窒化物半導体装置。
【請求項7】
前記第1容量の大きさは前記第2容量の大きさと等しい請求項1~6のいずれか1つに記載の窒化物半導体装置。
【請求項8】
前記窒化物半導体層はガリウム及び窒素を含む請求項1~7のいずれか1つに記載の窒化物半導体装置。
【請求項9】
導電性の基板と、
前記基板上に設けられた窒化物半導体層と、
前記窒化物半導体層上に設けられ、前記窒化物半導体層に電気的に接続された第1電極と、
前記窒化物半導体層上に設けられ、前記窒化物半導体層に電気的に接続された第2電極と、
前記窒化物半導体層上であって、上方から見て、前記第1電極と前記第2電極の間に設けられた第1制御電極と、
前記窒化物半導体層上であって、前記第1電極、前記第2電極及び前記第1制御電極が配置された領域の周囲に設けられるガードリングと、
前記ガードリングを前記基板に接続する接続部材と、
前記ガードリングに接続され、上方から見て、前記ガードリングから前記ガードリングの内側に向かって延出している電極と、
を備えた窒化物半導体装置。
【請求項10】
前記窒化物半導体層上に設けられ、前記第1電極、前記第2電極、及び、前記第1制御電極を覆う絶縁膜と、
前記絶縁膜上に設けられ、前記第1電極と接続された第1パッドと、
をさらに備え、
前記電極は、前記第1パッドの直下に配置され、前記絶縁膜の一部を介して前記第1パッドと対向する請求項9に記載の窒化物半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、窒化物半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電流を制御するスイッチングデバイスとして、窒化物半導体装置が開発されている。窒化ガリウム(GaN)等の窒化物半導体は、シリコン(Si)と比較してキャリア密度と電子移動度が高いため、効率が高いスイッチングデバイスを実現できる可能性がある。窒化物半導体装置においては、動作の安定性の向上が要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態の目的は、動作の安定性を向上可能な窒化物半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る窒化物半導体装置は、導電性の基板と、前記基板上に設けられた窒化物半導体層と、前記窒化物半導体層上に設けられ、前記窒化物半導体層に接続された第1電極と、前記窒化物半導体層上に設けられ、前記窒化物半導体層に接続された第2電極と、前記窒化物半導体層上であって、上方から見て、前記第1電極と前記第2電極の間に設けられた第1制御電極と、前記窒化物半導体層上であって、前記第1電極、前記第2電極及び前記第1制御電極が配置された領域の周囲に設けられ、前記第1電極との間に第1容量が形成され、前記第2電極との間に第2容量が形成されるガードリングと、前記ガードリングを前記基板に接続する接続部材と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る窒化物半導体装置を示す平面図である。
【
図2】
図2(a)は
図1に示すA-A’線による断面図であり、(b)は
図1に示すB-B’線による断面図であり、(c)は
図1に示すC-C’線による断面図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係る窒化物半導体装置における各部の接続関係を模式的に示す図である。
【
図4】
図4は、第2の実施形態に係る窒化物半導体装置を示す平面図である。
【
図6】
図6は、第3の実施形態に係る窒化物半導体装置を示す平面図である。
【
図7】
図7は、第3の実施形態に係る窒化物半導体装置における各部の接続関係を模式的に示す図である。
【
図8】
図8は、第4の実施形態に係る窒化物半導体装置を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
<第1の実施形態>
図1は、本実施形態に係る窒化物半導体装置を示す平面図である。
図2(a)は
図1に示すA-A’線による断面図であり、(b)は
図1に示すB-B’線による断面図であり、(c)は
図1に示すC-C’線による断面図である。
本実施形態に係る窒化物半導体装置1は、例えば、電流制御用のスイッチング素子であり、例えば、一方向スイッチである。
【0008】
図1、
図2(a)~(c)に示すように、本実施形態に係る窒化物半導体装置1においては、基板10、窒化物半導体層20、絶縁膜30、ソースパッド40(第1パッド)、ドレインパッド50(第2パッド)、ゲートパッド60、ソース電極46(第1電極)、ドレイン電極56(第2電極)、ゲート電極66(第1制御電極)、ガードリング70、第1容量電極71、第2容量電極72、配線80、及び、ビア81が設けられている。
【0009】
基板10の形状は例えば矩形の板状である。上方から見て、基板10は窒化物半導体装置1の全体にわたって配置されている。基板10は導電性であり、例えば、単結晶のシリコンからなる。
【0010】
本明細書においては、説明の便宜上、XYZ直交座標系を採用する。基板10の主面に平行で相互に直交する2方向を「X方向」及び「Y方向」とし、基板10の主面に対して垂直な方向を「Z方向」とする。Z方向のうち、基板10から窒化物半導体層20に向かう方向を「上」ともいい、その逆方向を「下」ともいうが、この表現も便宜的なものであり、重力の方向とは無関係である。
【0011】
窒化物半導体層20は基板10上に設けられており、例えば、基板10に接している。窒化物半導体層20は、例えば、窒化ガリウム(GaN)又は窒化ガリウムアルミニウム(AlGaN)からなる。例えば、窒化物半導体層20においては、GaN層上にAlGaN層が積層されている。この場合、窒化物半導体層20は、ガリウム(Ga)、アルミニウム(Al)及び窒素(N)を含む。
【0012】
上方から見て、窒化物半導体層20の外縁は基板10の外縁の内側に位置している。したがって、基板10の外周部は窒化物半導体層20によって覆われていない。換言すれば、基板10の外周部の直上域は、窒化物半導体層20の開口部である。上方から見て、この開口部は窒化物半導体層20を囲んでいる。
【0013】
絶縁膜30は窒化物半導体層20上に設けられており、窒化物半導体層20の略全体を覆っている。絶縁膜30は絶縁性材料により形成されており、例えば、窒化シリコン(SiN)によって形成されている。絶縁膜30上には、ソースパッド40、ドレインパッド50、ゲートパッド60、及び配線80が配置されている。
【0014】
図1に示すように、上方から見て、窒化物半導体装置1の中央部分にはセル領域Rcが設定されている。セル領域Rcはソース・ドレイン電流を流すアクティブエリアである。ソースパッド40、ドレインパッド50、ゲートパッド60、及び、配線80は、セル領域Rcの外部に配置されている。
【0015】
図1に示す例では、ソースパッド40及びゲートパッド60はセル領域Rcから見てY方向に一方側に配置されており、ドレインパッド50はセル領域Rcから見てY方向の他方側に配置されている。ソースパッド40及びゲートパッド60はX方向に沿って配列されている。
【0016】
配線80は例えば4本設けられており、セル領域Rcから見てX方向の両側とY方向の両側にそれぞれ配置されている。各配線80は、絶縁膜30及び窒化物半導体層20の段差部分を越えて、絶縁膜30の上面から基板10の上面に至るように配置されている。但し、各パッド及び配線80の平面レイアウトは、
図1に示す例には限定されない。例えば、ゲートパッド60はドレインパッド50と並んで配置されていてもよい。また、配線80の数は4本には限定されず、3本以下でもよく、5本以上でもよい。配線80が複数本設けられている場合に、配線80の幅は同一でもよく、異なっていてもよい。
【0017】
図1、
図2(a)~(c)に示すように、ソース電極46、ドレイン電極56、ゲート電極66、ガードリング70、第1容量電極71、及び、第2容量電極72は、窒化物半導体層20上に配置されており、絶縁膜30によって覆われている。ソース電極46はソースパッド40に接続されており、ドレイン電極56はドレインパッド50に接続されており、ゲート電極66はゲートパッド60に接続されている。なお、本明細書において「接続」とは電気的な接続をいう。
【0018】
ソース電極46、ドレイン電極56、及び、ゲート電極66は、セル領域Rcの内部に配置されており、それぞれ複数設けられている。例えば、ソース電極46、ドレイン電極56、及び、ゲート電極66の形状は、Y方向に延びるライン状である。セル領域Rcにおいては、ソース電極46とドレイン電極56がX方向に沿って交互に配列されており、上方から見て、隣り合うソース電極46とドレイン電極56との間に、ゲート電極66が配置されている。
【0019】
図2(a)に示すように、ソース電極46及びドレイン電極56は窒化物半導体層20の上面に接しており、窒化物半導体層20に接続されている。ゲート電極66は、絶縁膜30の一部を介して、窒化物半導体層20から離隔している。ゲート電極66はソース電極46寄りに配置されている。すなわち、ソース電極46とゲート電極66との距離は、ドレイン電極56とゲート電極66との距離よりも短い。
【0020】
図1及び
図2(b)に示すように、ガードリング70、第1容量電極71、及び、第2容量電極72は、セル領域Rcの外部に配置されており、例えば、1つずつ設けられている。ガードリング70、第1容量電極71及び第2容量電極72は、窒化物半導体層20と接していてもよく、絶縁膜30の一部を介して離隔していてもよい。
【0021】
上方から見て、ガードリング70の形状は枠状であり、セル領域Rc、並びに、ソースパッド40、ドレインパッド50及びゲートパッド60を含む領域を囲んでいる。第1容量電極71及び第2容量電極72はガードリング70に接続されており、ガードリング70からガードリング70の内側に向かって延出している。
【0022】
第1容量電極71の形状は例えば板状である。第1容量電極71は窒化物半導体層20上であって、ソースパッド40の直下に配置されている。上方から見て、ソースパッド40の一部は第1容量電極71の一部と重なっている。これにより、ソースパッド40の一部は絶縁膜30の一部を介して第1容量電極71の一部と対向し、ソースパッド40と第1容量電極71の間に、第1容量C1が形成される。
【0023】
同様に、第2容量電極72の形状は例えば板状である。第2容量電極72は窒化物半導体層20上であって、ドレインパッド50の直下に配置されている。上方から見て、ドレインパッド50の一部は第2容量電極72の一部と重なっている。これにより、ドレインパッド50の一部は絶縁膜30の一部を介して第2容量電極72の一部と対向し、ドレインパッド50と第2容量電極72の間に、第2容量C2が形成される。
【0024】
第1容量C1の容量の大きさは第2容量C2の容量の大きさと等しいことが好ましい。なお、「等しい」とは設計値において等しいことをいい、例えば、製造プロセスの誤差による相違や、周囲の導電部材との間の寄生容量による相違があっても、設計値が等しければ、「等しい」に含まれる。
【0025】
図2(c)に示すように、配線80の一端部は絶縁膜30上に配置されており、ビア81は絶縁膜30内に配置されている。配線80の一端部はビア81を介してガードリング70に接続されている。配線80の他端部は基板10の外周部、すなわち、窒化物半導体層20の開口部に配置されており、基板10に接続されている。これにより、ガードリング70は、ビア81及び配線80を介して、基板10に接続されている。ビア81及び配線80により、ガードリング70を基板10に接続する接続部材が形成される。
【0026】
次に、本実施形態に係る窒化物半導体装置1の動作について説明する。
図3は、本実施形態に係る窒化物半導体装置における各部の接続関係を模式的に示す図である。
【0027】
図1に示すように、窒化物半導体装置1においては、ソースパッド40と第1容量電極71の間に、第1容量C1が形成される。ソースパッド40はソース電極46に接続されており、第1容量電極71はガードリング70、ビア81及び配線80を介して基板10に接続されている。このため、
図3に示すように、第1容量C1はソース電極46と基板10との間に形成されている。
【0028】
同様に、
図1及び
図2(b)に示すように、窒化物半導体装置1においては、ドレインパッド50と第2容量電極72の間に、第2容量C2が形成される。ドレインパッド50はドレイン電極56に接続されており、第2容量電極72はガードリング70、ビア81及び配線80を介して基板10に接続されている。このため、
図3に示すように、第2容量C2はドレイン電極56と基板10との間に形成されている。
【0029】
このように、基板10は、第1容量C1を介してソース電極46と容量結合されると共に、第2容量C2を介してドレイン電極56と容量結合される。これにより、基板10の電位は、ソース電極46の電位とドレイン電極56の電位の中間の電位となる。例えば、
図3に示すように、第1容量C1の大きさと第2容量C2の大きさが同じであり、ソースパッド40に接地電位GNDが印加され、ドレインパッド50に電源電位VDDが印加された場合は、基板10の電位は約(VDD/2)となる。また、ソース電極46の電位とドレイン電極56の電位が変動すると、それに追従して、基板10の電位も変動する。
【0030】
次に、本実施形態の効果について説明する。
本実施形態においては、基板10の電位を、ソース電極46の電位とドレイン電極56の電位の中間の電位とすることができる。これにより、基板10の電位を安定させて、窒化物半導体装置1の動作を安定させることができる。
【0031】
また、窒化物半導体層20内において、電界集中を抑制し、電界強度を分散させることができる。この結果、窒化物半導体装置1の耐圧を向上させることができる。このとき、第1容量C1の大きさを第2容量C2の大きさと等しくすることにより、基板10とソース電極46との電位差を基板10とドレイン電極56との電位差と略等しくすることができる。これにより、電界強度をより効果的に分散させることができる。
【0032】
なお、仮に、第1容量C1及び第2容量C2を設けずに、基板10を浮遊状態とすると、窒化物半導体装置1の動作に伴って基板10の電位が経時的に変位してしまい、窒化物半導体装置1の動作が不安定になる可能性がある。また、基板10を接地電位GNDに接続すると、基板10の電位は安定するものの、窒化物半導体層20における基板10とドレイン電極56との間に位置する部分に電界が集中し、耐圧が低下する可能性がある。この状態で耐圧を確保しようとすると、窒化物半導体層20を厚くせざるを得ず、コストが増加する。
【0033】
<第2の実施形態>
図4は、本実施形態に係る窒化物半導体装置を示す平面図である。
図5は、
図4に示すD-D’線による断面図である。
【0034】
図4及び
図5に示すように、本実施形態に係る窒化物半導体装置2においては、上方から見て、絶縁膜30の外縁及び窒化物半導体層20の外縁が、基板10の外縁と略一致しており、窒化物半導体層20の外周部は露出していない。
【0035】
絶縁膜30及び窒化物半導体層20には、貫通孔21が形成されている。貫通孔21における窒化物半導体層20内に位置する部分が、窒化物半導体層20の開口部である。貫通孔21内には、ビア82が形成されている。ビア82の下端は基板10に接続されており、上端は配線80に接続されている。
【0036】
これにより、ガードリング70は、ビア81、配線80及びビア82を介して、基板10に接続されている。本実施形態においては、ビア81、配線80及びビア82により、ガードリング70を基板10に接続する接続部材が形成されている。
本実施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、第1の実施形態と同様である。
【0037】
<第3の実施形態>
図6は、本実施形態に係る窒化物半導体装置を示す平面図である。
図7は、本実施形態に係る窒化物半導体装置における各部の接続関係を模式的に示す図である。
【0038】
図6に示すように、本実施形態に係る窒化物半導体装置3においては、第1の実施形態に係る窒化物半導体装置1の構成に加えて、第1抵抗体91及び第2抵抗体92が設けられている。第1抵抗体91はソースパッド40とガードリング70との間に接続されている。第2抵抗体92はドレインパッド50とガードリング70との間に接続されている。
【0039】
第1抵抗体91及び第2抵抗体92は、ガードリング70の材料よりも抵抗率が高い導電性材料からなる部材であり、例えば、ポリシリコンにより形成された部材である。第1抵抗体91によって第1抵抗R1が形成され、第2抵抗体92によって第2抵抗R2が形成される。第1抵抗R1と第2抵抗R2は相互に等しいことが好ましい。なお、上述の如く、「等しい」とは設計値において等しいことをいう。
【0040】
これにより、
図7に示すように、窒化物半導体装置3においては、ソースパッド40と基板10との間に、第1容量C1と並列に第1抵抗R1が接続される。また、ドレインパッド50と基板10との間に、第2容量C2と並列に第2抵抗R2が接続される。
【0041】
本実施形態によれば、基板10が第1容量C1を介してソース電極46と容量結合され、第2容量C2を介してドレイン電極56と容量結合されると共に、第1抵抗R1を介してソース電極46と接続され、第2抵抗R2を介してドレイン電極56と接続される。これにより、基板10の電位をより一層安定化することができる。なお、第1抵抗R1及び第2抵抗R2の抵抗値を調整することにより、ソースパッド40とドレインパッド50との間に流れるリーク電流を抑制することができる。
本実施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、第1の実施形態と同様である。
【0042】
<第4の実施形態>
図8は、本実施形態に係る窒化物半導体装置を示す平面図である。
図9は、
図8に示すE-E’線による断面図である。
【0043】
図8及び
図9に示すように、本実施形態に係る窒化物半導体装置4においては、第3の実施形態に係る窒化物半導体装置3の構成に加えて、ゲートパッド61及びゲート電極66(第2制御電極)が設けられている。ゲートパッド61はゲート電極67に接続されている。
【0044】
また、窒化物半導体装置4においては、第3の実施形態に係る窒化物半導体装置3と比較して、ドレインパッド50の替わりにソースパッド41が設けられており、ドレイン電極56の替わりにソース電極47が設けられている。ソースパッド41はソース電極47に接続されている。窒化物半導体装置4においては、ソースパッド41と第2容量電極72との間に、第2容量C2が形成される。
【0045】
図8に示すように、ゲートパッド61及びソースパッド41は、絶縁膜30上においてX方向に沿って配列されている。また、
図9に示すように、ソース電極47は窒化物半導体層20に接しており、ゲート電極67は絶縁膜30の一部を介して窒化物半導体層20から離隔している。
【0046】
上方から見て、ゲート電極66及びゲート電極67は、ソース電極46とソース電極47との間に配置されている。ゲート電極66はソース電極46寄りに配置されており、ゲート電極67はソース電極47寄りに配置されている。すなわち、ゲート電極66は、ゲート電極67とソース電極46との間に配置されており、ゲート電極67は、ゲート電極66とソース電極47との間に配置されている。
【0047】
本実施形態に係る窒化物半導体装置4においては、2つのソース電極46及び47の間に、2つのゲート電極66及び67が配置されている。そして、ソース電極46からソース電極47に流れる電流はゲート電極67によって制御し、ソース電極47からソース電極46に流れる電流はゲート電極66によって制御する。このように、窒化物半導体装置4は集積型双方向スイッチとして使用可能である。
【0048】
本実施形態によれば、基板10及びガードリング70の電位を、ソース電極46の電位とソース電極47の電位の中間の電位とすることができる。これにより、ソース電極46からソース電極47に電流を流す場合も、ソース電極47からソース電極46に電流を流す場合も、同じ特性を実現することができる。この結果、窒化物半導体装置4を双方向スイッチとして使用する場合に、動作の安定性が向上する。
本実施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、第3の実施形態と同様である。
【0049】
以上説明した実施形態によれば、動作の安定性を向上可能な窒化物半導体装置を実現することができる。
【0050】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明及びその等価物の範囲に含まれる。また、前述の実施形態は、相互に組み合わせて実施することもできる。
【0051】
例えば、上述の各実施形態においては、窒化物半導体層20がGaN又はAlGaNにより形成されている例を示したが、本発明はこれには限定されない。また、ガードリング70、第1容量電極71、及び、第2容量電極72は、それぞれ複数設けられていてもよい。さらに、上述の各実施形態においては、第1容量C1をソースパッド40と第1容量電極71とによって形成し、第2容量C2をドレインパッド50と第2容量電極72とによって形成する例を示したが、第1容量C1及び第2容量C2の形成方法はこれには限定されない。
【符号の説明】
【0052】
1、2、3、4:窒化物半導体装置
10:基板
20:窒化物半導体層
21:貫通孔
30:絶縁膜
40、41:ソースパッド
46、47:ソース電極
50:ドレインパッド
56:ドレイン電極
60、61:ゲートパッド
66、67:ゲート電極
70:ガードリング
71:第1容量電極
72:第2容量電極
80:配線
81、82:ビア
91:第1抵抗体
92:第2抵抗体
C1:第1容量
C2:第2容量
GND:接地電位
R1:第1抵抗
R2:第2抵抗
Rc:セル領域
VDD:電源電位