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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-09
(45)【発行日】2024-04-17
(54)【発明の名称】作業車のアウトリガ装置
(51)【国際特許分類】
   B60S 9/12 20060101AFI20240410BHJP
   E04G 21/04 20060101ALI20240410BHJP
   B66C 23/78 20060101ALI20240410BHJP
   B66F 11/04 20060101ALI20240410BHJP
   B66F 9/075 20060101ALI20240410BHJP
【FI】
B60S9/12
E04G21/04
B66C23/78 C
B66F11/04
B66F9/075 L
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021163263
(22)【出願日】2021-10-04
(62)【分割の表示】P 2017251076の分割
【原出願日】2017-12-27
(65)【公開番号】P2022002958
(43)【公開日】2022-01-11
【審査請求日】2021-10-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000163095
【氏名又は名称】極東開発工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】井上 幹也
(72)【発明者】
【氏名】入江 晃由
(72)【発明者】
【氏名】荻野 裕行
(72)【発明者】
【氏名】林 和也
(72)【発明者】
【氏名】中島 千鶴
【審査官】神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】実開平04-005478(JP,U)
【文献】実開昭54-092510(JP,U)
【文献】実開平03-107253(JP,U)
【文献】実開平04-005479(JP,U)
【文献】特開2000-233726(JP,A)
【文献】実開昭58-056786(JP,U)
【文献】実開平03-100287(JP,U)
【文献】特開平10-265178(JP,A)
【文献】特開2000-143166(JP,A)
【文献】実開昭53-147017(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 9/00 - 9/22
B66C 23/00 - 23/94
F15B 15/00 - 15/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の車幅方向両外側方に張り出して使用される一対のアウトリガを備えた作業車のアウトリガ装置であって、
前記各アウトリガを構成するアームが、4つの板部材で構成される略角筒状であり、対向配置される2つの板部材が他の2つの板部材に対して幅方向にはみ出すように構成され、前記対向配置される2つの板部材のうちの少なくとも1つの板部材が、一定厚みの板部材であって、車体側に幅広部を有し、車体側とは反対側の先端側に該幅広部よりも幅の狭い幅狭部を有する板部材であることを特徴とする作業車のアウトリガ装置。
【請求項2】
前記各アウトリガは、少なくとも3つのアームを備え、前記3つのアームが、上下方向に対向する天板及び底板と天板及び底板を上下方向で連結する左右一対の側板と、を含む略角筒状に形成され、前記天板と前記底板が前記左右一対の側板に対して左右の幅方向にはみ出すように構成され、車体側に固定される第1アーム、該第1アームから車幅方向外側に張り出す第2アーム、該第2アームから車幅方向外側に張り出す第3アームを備え、前記3つのアームが長さ方向に伸縮可能な入れ子式に構成され、前記第1アーム~第3アームのうちの少なくとも1つのアームを構成する底板が、一定厚みの板から構成され、かつ、車体側に前記幅広部を備えるとともに先端側に前記幅狭部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の作業車のアウトリガ装置。
【請求項3】
前記幅広部と前記幅狭部との境界部には、該幅狭部側ほど幅が狭くなるテーパー部を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の作業車のアウトリガ装置。
【請求項4】
前記底板は、車体側に位置する第1底板と、該第1底板の車体から離間する端から先端までの範囲に位置する第2底板と、を備え、該第2底板は、前記幅狭部と同一幅で、かつ、前記第1底板の厚みよりも薄い一定厚みで構成されていることを特徴とする請求項に記載の作業車のアウトリガ装置。
【請求項5】
前記アームは、天板を備え、該天板は、アームの長さ方向で分割した3枚の板部から構成され、車体側の板部が最も厚みが厚く、先端側の板部が最も厚みが薄くなっていることを特徴とする請求項1~4のうちのいずれか1項に記載の作業車のアウトリガ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体の車幅方向両外側方に張り出して使用される一対のアウトリガを備えた作業車のアウトリガ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、コンクリートポンプ車等の作業車では、作業中の作業車を地上に安定よく支持させるためにアウトリガ装置を備えている。このアウトリガ装置は、車体の車幅方向両外側方に張り出して使用される一対のアウトリガを備え、各アウトリガが、車体側に固定される第1アーム(外筒)と、該第1アームから車幅方向外側に張り出す第2アーム(中筒)と、該第2アームから車幅方向外側に張り出す第3アーム(内筒)と、第3アームの先端部に固定されジャッキシリンダによって鉛直方向に伸縮するジャッキ装置と、を備えている。そして、各アームは、車体側から先端までの断面積が同一の角パイプ形状に構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第3990062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の構成では、重量の増大を招くという不都合があった。
【0005】
そこで本発明は、軽量化を実現しながら、部品点数の削減を図ることができる作業車のアウトリガ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の作業車のアウトリガ装置は、車体の車幅方向両外側方に張り出して使用される一対のアウトリガを備えた作業車のアウトリガ装置であって、前記各アウトリガを構成するアームが、断面形状が略角筒状のボックス型に構成されており、一定厚みの板から構成され、かつ、車体側に幅広部を備えるとともに車体側と反対側の先端側に該幅広部よりも幅の狭い幅狭部を備えていることを特徴としている。
【0007】
また、本発明の作業車のアウトリガ装置は、前記各アウトリガは、少なくとも3つのアームを備え、前記3つのアームが、車体側に固定される第1アーム、該第1アームから車幅方向外側に張り出す第2アーム、該第2アームから車幅方向外側に張り出す第3アームを備え、前記3つのアームが長さ方向に伸縮可能な入れ子式に構成され、前記第1アーム~第3アームのうちの少なくとも1つのアームを構成する底板が、前記一定厚みの板から構成され、かつ、車体側に前記幅広部を備えるとともに先端側に前記幅狭部を備えていてもよい。
【0008】
また、本発明の作業車のアウトリガ装置は、前記幅広部と前記幅狭部との境界部には、該幅狭部側ほど幅が狭くなるテーパー部を備えていてもよい。
【0009】
また、本発明の作業車のアウトリガ装置は、前記底板は、車体側に位置する第1底板と、該第1底板の車体から離間する端から先端までの範囲に位置する第2底板と、を備え、該第2底板は、前記幅狭部と同一幅で、かつ、前記第1底板の厚みよりも薄い一定厚みで構成されていてもよい。
【0010】
また、本発明の作業車のアウトリガ装置は、前記アームは、天板を備え、該天板は、アームの長さ方向で分割した3枚の板部から構成され、車体側の板部が最も厚みが厚く、先端側の板部が最も厚みが薄くなっていてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、アームが、幅広部と幅狭部を備えることによって、軽量化を実現しながら、部品点数の削減を図ることができる作業車のアウトリガ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】アウトリガ装置を備えたコンクリートポンプ車の側面図である。
図2】同コンクリートポンプ車の平面図である。
図3A】アウトリガ装置を構成する左側のアームを伸長させた状態を示す平面図である。
図3B】アウトリガ装置を構成する左側のアームを伸長させた状態を示す側面図である。
図4】アウトリガ装置を構成する左側のアームを収縮させた状態を示す側面図である。
図5】支持部の斜視図である。
図6】伝達部材の斜視図である。
図7】シリンダの油の流れを示す断面図である。
図8A】第3アームを示す平面図である。
図8B】第3アームを示す縦断側面図である。
図9】(a),(b),(c)は、上下のシリンダの固定部と支持部と伝達部材の位置関係を示す他の実施形態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のアウトリガ装置を備えたコンクリートポンプ車の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の方向の説明において、前後の方向は、コンクリートポンプ車の走行方向の前後の方向である。また、幅方向とは、コンクリートポンプ車から見た場合の左右方向のことである。
【0014】
図1及び図2に示すコンクリートポンプ車は、車体フレーム1の前部に、キャビン2及びキャビン2の直後方に土台3がそれぞれ固定され、その土台3上に支持柱4が取り付けられ、支持柱4の上部に多段式の伸縮ブーム5の基端部が取り付けられている。土台3は、後述する第1アーム8の上面に固定されている。図3Bに示すサブフレーム44は、シャーシフレーム(図示していない)上に設けられ、その一部が後述する第1アーム8の下面に接触して、第1アーム8を支持している。
【0015】
車体フレーム1には、車体の車幅方向両外側方に張り出して使用される左右一対のアウトリガ6,7を備えたアウトリガ装置が固定されている。これら左右一対のアウトリガ6,7は、車体から斜め前方に張り出すように構成されている。また、左側から斜め前方に張り出す左側のアウトリガ6が、右側から斜め前方に張り出す右側のアウトリガ7の上に配置されている。また、車体フレーム1の前後方向略中央部の両側のそれぞれには、基端部が縦軸芯回りで揺動自在なスイングアウトリガ40を備えている。
【0016】
左右一対のアウトリガ6,7は、略左右対称形状になっているため、以下、左側のアウトリガ6について説明する。アウトリガ6は、車体側に固定される断面形状が略角筒状の第1アーム(アウタアームともいう)8と、第1アーム8から車幅方向外側に張り出す断面形状が略角筒状の第2アーム(インナアームともいう)9と、第2アーム9から車幅方向外側に張り出す断面形状が略角筒状の第3アーム(ジャッキアームともいう)10と、を備え、それら3つのアーム8,9,10を伸縮可能な入れ子式に構成している。つまり、第1アーム8の内部に第2アーム9が入り込み可能で、かつ、第2アーム9の内部に第3アーム10が入り込み可能となるように第1アーム8~第3アーム10の内径を設定している。
【0017】
第1アーム8~第3アーム10のそれぞれは、天板、底板、天板と底板とを上下方向で連結する左右一対の側板を備えたボックス型に構成されている。図3Aに示すように、第1アーム8の本体側端部には、本体に軸支するための軸(図示せず)が貫通する縦向きの貫通孔8aが形成された軸支持部8Aを備えている。また、図3Bに示すように、第1アーム8には、2つの補強板11,12を備えている。第2アーム9にも、補強板13を備えている。また、第3アーム10は、第2アーム9の内部に入り込む水平筒部10Aと、水平筒部10Aの先端から下方に向かう縦筒部10Bとを備えている。この縦筒部10Bには、上下に伸縮可能な可動脚部14を備え、その可動脚部14の下端に地面に接地する接地体15が取り付けられている。第1アーム8~第3アーム10を伸長させた後、可動脚部14を伸長させて地面に接地体15を接地させることになる。また、第3アーム10の第2アーム側端には、後述する下側のシリンダ18のピストンロッド18Aの通過を許容する貫通孔が形成された縦板16を備えている。
【0018】
また、アーム長手方向で真ん中に位置する第2アーム9の内部には、図3A及び図3Bに示すように、アーム長手方向に沿う状態でかつ伸縮方向が反対方向となるように上下平行に並べた上下一対のシリンダ17,18を備えている。これら上下一対のシリンダ17,18は、上下方向で重複し、かつ、アーム長手方向と直交する幅方向の略中央に位置させている。
【0019】
上側のシリンダ17は、ピストンロッド17Aと、シリンダチューブ17Bと、を備え、ピストンロッド17Aの先端部を第1アーム8に固定し、かつ、シリンダチューブ17Bを第2アーム9に固定している。詳述すれば、ピストンロッド17Aの先端部は、第1アーム8の本体側端部の内部に取り付けられた部材であるブラケット19に水平方向に挿入されるピン20を介して連結されている。シリンダチューブ17Bは、シリンダチューブ17Bの左右両側に備える水平方向外方側へ延びる一対のピン21,21を第2アーム9の左右側壁の第1アーム8側端部に突設したボス部(図せず)に嵌合することにより連結されている。
【0020】
下側のシリンダ18は、上側のシリンダ17と同様に、ピストンロッド18Aと、シリンダチューブ18Bと、を備え、ピストンロッド18Aの先端部を第3アーム10に固定し、かつ、シリンダチューブ18Bを第2アーム9に固定している。詳述すれば、ピストンロッド18Aの先端部は、先端部に備える水平方向のピン22を第3アーム10の左右側壁の先端部に突設したボス部(図せず)に嵌合することにより連結され、シリンダチューブ18Bの第3アーム側端部に備えた左右から突出するピン23を第2アーム9の左右側壁の第1アーム8側端部に突設したボス部(図せず)に嵌合することにより連結されている。
【0021】
また、図3A図4に示すように、下側のシリンダ18のシリンダチューブ18Bの第3アーム10側端部を下方から支持する合成樹脂製の支持部24が、第3アーム10側端に備えている縦板16にボルト止めされているブラケット25に取り付けられている。支持部24は、図5に示すように、下側のシリンダ18のシリンダチューブ18Bを下方から受ける上面がフラットでアーム長手方向と直交する幅方向に長い板状の支持部本体24Aと、支持部本体24Aのアーム長手方向と直交する幅方向両側から上方に突出する一対の壁部24B,24Bと、を備えている。壁部24B,24Bの互いに対向する内面が、上方側ほど幅方向外側に位置する傾斜面24b,24bに形成されている。この支持部24を設けることにより、下側のシリンダ18のシリンダチューブ18Bを下方から支持部本体24Aにより確実に支持しながら、一対の壁部24B,24Bによりシリンダチューブ18Bがアーム長手方向と直交する方向に位置ずれすることを抑制することができる。一対の壁部24B,24Bには、ブラケット25にビス止めするための上下方向に貫通する2個のビス孔24K,24Kが形成されている。支持部24は、下側のシリンダ18のシリンダチューブ18Bの下方の移動のみを禁止しているので、シリンダチューブ18Bを移動させながら支持できる。この支持部24は、下側のシリンダ18が伸長して撓んだ時にシリンダチューブ18Bに当接してシリンダチューブ18Bを支持するようにしているが、下側のシリンダ18が伸長していない状態で支持部24に下側のシリンダチューブ18Bが当接した状態になるように支持部24を設けてもよい。
【0022】
また、上側のシリンダ17に当接して上側のシリンダ17の荷重を下側のシリンダ18に伝達するための伝達部材26を備えている。伝達部材26は、上側のシリンダ17が伸長して撓んだ時に上側のシリンダ17が当たって下側のシリンダ18に上側のシリンダ17の荷重を伝達するようにしているが、上側のシリンダ17が伸長していない状態で上側のシリンダ17が伝達部材26に当接した状態になるように伝達部材26を設けてもよい。この伝達部材26は、上側のシリンダ17のシリンダチューブ17Bにおける第2アーム9への固定位置(ピン21で固定されている位置)に対してシリンダ軸方向でずれた位置で、かつ、上下のシリンダチューブ17B,18Bの間にあって上側のシリンダ17の荷重を下側のシリンダ18へ伝達するように設けられている。具体的には、伝達部材26は、下側のシリンダ18の長手方向略中央部と該中央部と第1アーム8側端との間の2箇所に設けられた台座27上にそれぞれビス止めされている。各伝達部材26は、図6に示すように、上側のシリンダチューブ17Bを下方から受ける上面がフラットでアーム長手方向に長い板状の受け部26Aと、受け部26Aのアーム長手方向と直交する幅方向両側から上方に突出する一対の壁部26B,26Bと、を備えている。一対の壁部26B,26Bの互いに対向する内面が上方側ほど幅方向外側に位置する傾斜面26b,26bに形成されている。この伝達部材26を設けることにより、上側のシリンダ17を受け止めることにより上側のシリンダ17の荷重を下側のシリンダ18に伝達することができる。受け部26Aには、台座27にビス止めするための2個のビス孔26K,26Kが形成されている。2つの伝達部材26は、下側のシリンダ18の軸方向において、支持部24の真上から下側のシリンダ18のシリンダチューブ18Bの固定位置の真上の間に配置している。このため、上側のシリンダ17の荷重を下側のシリンダ18に伝達したとき、荷重を支持部24と下側のシリンダ18の固定部に分散できる。また2つの伝達部材26は、上側のシリンダ17と下側のシリンダ18の間でかつ軸方向中途部分に配置されている。ここでは、2つの伝達部材26を設けているが、1つまたは3つ以上設けてもよい。ここでは、上方に突出する一対の壁部26B,26Bを備えた伝達部材26を下側のシリンダチューブ18Bに固定することによって、下側のシリンダチューブ18Bに対して上側のシリンダチューブ17Bがアーム長手方向と直交する幅方向に位置ずれすることを伝達部材26で阻止することができるが、第2伝達部材又は第3伝達部材であってもよい。第2伝達部材は、アーム長手方向と直交する幅方向両側から下方に突出する一対の壁部を備えた部材(前記伝達部材26を上下が逆となる姿勢にした伝達部材でもよい)から構成し、その第2伝達部材を、上側のシリンダチューブ17Bに固定することによって、下側のシリンダチューブ18Bに対して上側のシリンダチューブ17Bがアーム長手方向と直交する幅方向に位置ずれすることを伝達部材で阻止するようにしてもよい。第3伝達部材は、アーム長手方向と直交する幅方向両側から上方及び下方の両方に突出する2組の壁部を備えた部材から構成し、その第3伝達部材を、上下のシリンダチューブ17B,18Bの間に挟むことによって、下側のシリンダチューブ18Bに対して上側のシリンダチューブ17Bがアーム長手方向と直交する幅方向に位置ずれすることを第3伝達部材で阻止するようにしてもよい。このように構成することによって、下側のシリンダチューブ18Bに対して上側のシリンダチューブ17Bがアーム長手方向と直交する幅方向に位置ずれすることを阻止することができ、上側のシリンダ17の伸縮動作をよりスムーズに行うことができる。
【0023】
前記のように構成することによって、上下のシリンダ17,18を伸長させた状態で支える荷重、あるいはその反力を、上下のシリンダ17,18それぞれにおいてピストンロッド17A,18Aが固定される先端部と、シリンダチューブ17B,18Bの固定部(ピン21,23で固定される固定部)の他に、伝達部材26で上側のシリンダ17の荷重を下側のシリンダ18に伝え、支持部24で下側のシリンダ18を支持することによって、上側のシリンダ17も下側のシリンダ18も3箇所でそれぞれ支えることができるので、一対のシリンダ17,18の伸縮動作をスムーズに行うことができる。なお、シリンダ17,18をアーム8,9,10に固定するとは、シリンダ17,18の下方向と軸方向の移動を禁止することである。また、支持部24でシリンダ18を支持するとは、シリンダ18の下方向の移動を禁止することである。
【0024】
図7に示すように、各シリンダ17又は18は、ピストンロッド17A又は18Aのピストン17a又は18aによりシリンダチューブ17B又は18B内を伸長側駆動室28又は29と収縮側駆動室30又は31とに区分けされる流体圧シリンダから構成されている。そして、上下一対のシリンダ17,18の伸長側駆動室28,29同士が接続され、かつ、上下一対のシリンダ17,18の収縮側駆動室30,31同士が接続される構成としている。また、上側のシリンダ17のピストンロッド17Aに、上側のシリンダ17の伸長側駆動室28へ流体(ここでは油であるが、エア等でもよい)を供給するための第1流路32及び伸長側駆動室28への流体の供給により下側のシリンダ18の収縮側駆動室31から排出される流体をタンクTへ戻すための第2流路33を形成し、上側のシリンダ17の最大伸長位置において下側のシリンダ18の収縮側駆動室31から排出される流体を収縮側駆動室30を介して第2流路33へ流すためのバイパス用流路34を上側のシリンダ17のピストン17aに形成している。また、図3Bに示したように、支持部24を下側のシリンダ18のシリンダチューブ18Bのピストンロッド18A側端部を支持するように配置されている。このように構成することによって、一対のシリンダ17,18を伸長作動させた時に、上側のシリンダ17が下側のシリンダ18よりも先に最大伸長位置に位置した時でも、バイパス用流路34を通して下側のシリンダ18の収縮側駆動室31から排出される流体を収縮側駆動室30を介して第2流路33へ流すことができるので、下側のシリンダ18を最大伸長位置に確実に位置させることかできる。しかも、一対のシリンダ17,18が最大伸長位置に位置した時に、下側のシリンダ18のピストンロッド18Aとシリンダチューブ18Bとが屈曲し易い部分となる下側のシリンダ18のシリンダチューブ18Bのピストンロッド18A側端部を支持部24で確実に支えることで、下側のシリンダ18の伸縮動作をよりスムーズに行うことができる。なお、図7に示すVは、油の供給を変更するための電磁バルブである。支持部24が支持するシリンダチューブ18Bの端部とは、伸長したときのシリンダ18のピストン18aが位置する真下の範囲である。
【0025】
また、図8A及び図8Bに示すように、第3アーム10は、天板35と、底板36と、天板35と底板36とを上下方向で連結する左右一対の側板37,37と、を備えている。天板35は、アーム長手方向で分割した3枚の板部35A,35B,35Cから構成され、第2アーム側の板部35Aが最も板厚が厚く、先端側の板部35Bが最も板厚が薄くなっている。また、底板36は、第2アーム側に位置する第1底板38と、第1底板38の第2アーム側から離間する端から先端までの範囲に位置する第2底板39と、を備えている。第1底板38は、一定厚みの板から構成され、かつ、基端側に幅広部38Aを備えるとともに先端側に基端側(幅広部38A)よりも板幅の狭い幅狭部38Bを備えている。これら幅広部38Aと幅狭部38Bとの境界部は、先端側ほど細くなるテーパー部38Cに構成されている。このように、第3アーム10を構成する第1底板38を、基端側に幅広部38Aを備えるとともに先端側に幅狭部38Bを備えることによって、同一幅で厚みが異なる複数枚の板から底板を構成して軽量化を図る構成に比べて、軽量化を同様に実現しながら、部品点数の削減を図ることができる。第2底板39は、幅狭部38Bと同一幅で、かつ、第1底板38の厚みよりも更に薄い一定厚みで構成され、先端から下方へ折れ曲げられて伸びている。この第2底板39により更に軽量化を図っている。ここでは、第3アーム10の底板36に幅広部38Aと幅狭部38Bを備えたが、第1アーム8及び第2アーム9にも同様に、幅広部と幅狭部を備えてもよい。なお、前記テーパー部38Cが無い幅広部38Aと幅狭部38Bだけで構成してもよい。
【0026】
第3アーム10の底板38について説明したが、底板は、各アーム8,9,10において基端における板幅よりも幅狭になっている幅狭部を、基端より先端側に備えていてもよい。ここで、各アーム8,9,10の基端(上側基端及び下側基端)を、図3Bに基づいて説明する。第1アーム8の場合、アウトリガ6の自重を受ける下側基端8Yは、第1アーム8におけるサブフレーム44と重なって力が加わる第2アーム9側端である。また、第3アーム10に備えている油圧シリンダ41からのジャッキ反力を受ける上側基端8Xは、第1アーム8における土台3と重なる部分の第2アーム側端である。第2アーム9の場合、アウトリガ6の自重を受ける下側基端9Yは、第2アーム9における第1アーム8と重なる部分の第3アーム10側端である。また、第3アーム10に備えている油圧シリンダ41からのジャッキ反力を受ける上側基端9Xは、第2アーム9における第1アーム8と重なる部分の第3アーム10側端である。第3アーム10の場合、アウトリガ6の自重を受ける下側基端10Yは、第3アーム10における第2アーム9と重なる部分の第2アーム9から離れる側端である。また、第3アーム10に備えている油圧シリンダ41からのジャッキ反力を受ける上側基端10Xは、第3アーム10における第2アーム9と重なる部分の第2アーム9から離れる側端である。なお、図8Aに示すように、第3アーム10の上側基端10Xは、下側基端10Yよりも第2アーム9から離れる側に位置しており、第2アームの上側基端9Xも、下側基端9Yよりも第3アーム10側に位置している。いずれのアーム8,9,10においても、底板は、下側基端、上側基端のうち少なくとも一方より先端側に幅狭部を備えていればよい。
【0027】
なお、第3アーム10の縦筒部10B内には、前記可動脚部14を伸縮作動させるための油圧シリンダ41(図3B参照)を備えるとともに、図8A及び図8Bに示すように、油圧シリンダ41の伸縮作動時に油圧シリンダ41が縦筒部10B内で振れない(微振動しない)ようにアウトリガ6,7を嵌合させるための丸孔42Kが形成された角板42を備えている。この角板42には、油圧シリンダ41への油を供給するための図示していない配管(ホース)を通過させるための左右2つの孔42a,42bが前記丸孔42Kに繋がるように形成されている。例えば、配管を左右のアウトリガ6,7それぞれの内側に這わせるようにするためには、左側と右側のアウトリガ6,7とで内側が左右反対側になってしまうが、前記のように2つの孔42a,42bを形成することによって、2つの孔42a,42bのうちの内側に対応する一方の孔42a又は42bに配管をセットすることができる利点がある。なお、前記左右2つの孔42a,42bを備えた角板42を、図1に示すスイングアウトリガ40にも備えることができる。説明していないが、スイングアウトリガ40の先端部は、アウトリガ6,7の先端部と同様の構成を備えている。
【0028】
また、スイングアウトリガ40の長手方向中間部(基端部側でもよい)の上面の幅方向両端に起立する複数(図1では2個であるが、3個以上でもよい)の平面視略円形(角型や楕円型などでもよい)の突起43,43を備えている。これら突起43,43の中心には、貫通孔が形成されている。これら突起43,43を、ツールボックスを固定する固定部や配管(ホース)を固定するための固定部として、利用することができる。前記突起43,43をアウトリガ6,7の上面にも同様に備えてもよい。
【0029】
本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではない。
【0030】
上記実施形態では、車幅方向外側に位置するアーム側ほど外径を小さくしたが、車幅方向外側に位置するアーム側ほど外径を大きくしてもよい。
【0031】
また、上記実施形態では、3つのアーム8,9,10を備えたものを示したが、4つ以上のアームを備えたものであってもよい。この場合、多数のアームを伸縮させるためのシリンダを二対以上設けて実施してもよい。
【0032】
また、上記実施形態では、上側のシリンダ17のピストンロッド17Aの先端部を第1アーム8に固定し、かつ、上側のシリンダ17のシリンダチューブ17Bを第2アーム9に固定し、下側のシリンダ18のピストンロッド18Aの先端部を第3アーム10に固定し、かつ、下側のシリンダ18のシリンダチューブ18Bを第2アーム9に固定したが、上側のシリンダ17のピストンロッド17Aの先端部を第3アーム10に固定し、かつ、上側のシリンダ17のシリンダチューブ17Bを第2アーム9に固定し、下側のシリンダ18のピストンロッド18Aの先端部を第1アーム8に固定し、かつ、下側のシリンダ18のシリンダチューブ18Bを第2アーム9に固定してもよい。
【0033】
また、上記実施形態では、下側のシリンダ18のシリンダチューブ18Bのヘッド側端部を第2アーム9にピン23により固定し、支持部24を、下側のシリンダ18のシリンダチューブ18Bのピストンロッド18A側端部に配置したが、図9(a),(b),(c)のように構成してもよい。図9(a),(b),(c)では、シリンダ17,18を固定するためのピン20,21,22,23と、支持部24と、1つ(図3Bでは2つ)の伝達部材26との位置関係のみを図示した簡略図であり、図3Bの配置と異なる部分を中心に説明する。また、図9(a)~(c)の各図において左側が第3アーム10に連結される側とし、右側が第1アーム8に連結される側としているが、その反対の場合も本発明には含まれる。図9(a)では、下側のシリンダ18のシリンダチューブ18Bのピストンロッド18A側端部が第2アーム9に固定され、支持部24を、シリンダチューブ18Bの固定位置よりもヘッド側(図9(a)ではヘッド側端部)に配置している。図9(b)では、図3Bと同様に、下側のシリンダ18のシリンダチューブ18Bのヘッド側端部が第2アーム9に固定されるとともに、支持部24を、下側のシリンダ18のシリンダチューブ18Bの固定位置よりもピストンロッド側(図9(b)ではピストンロッド側端部)に配置されている。しかし、図9(b)では、上側のシリンダ17のシリンダチューブ17Bのヘッド側端部が第2アーム9に固定されている点で図3Bとは異なっている。また、図9(c)では、上側のシリンダ17を図9(b)の上側のシリンダ17の固定と同一構成にし、下側のシリンダ18を図9(a)の下側のシリンダ18の固定と同一構成にしている。また、図9(a)~(c)に示す伝達部材26は、支持部24の真上から下側のシリンダのシリンダチューブの固定位置の真上の間、つまり、上側のシリンダ17と下側のシリンダ18の間でかつ軸方向中途部分(図9(a)~(c)では、軸方向略中央部)に配置されている(これは図3Bと同一構成である)。つまり、図3B及び図9(a),(b),(c)では、下側のシリンダ18のシリンダチューブ18Bのピン23による固定部と支持部24と伝達部材26とが軸方向で同一位置とならないようにそれらを配置している。また、上側のシリンダ17のシリンダチューブ17Bのピン21による固定部と伝達部材26とが軸方向で同一位置とならないようにそれらを配置している。このように配置することによって、下側のシリンダ18に加わる荷重、あるいはその反力を支持部24で効果的に支えることができる。なお、図9(a)~(c)において、上下のシリンダチューブ17B,18Bを第3アーム側10端部でピン21,23により固定する場合には、伸縮する第3アーム10との干渉を避けるためにピン21,23の移動を許容するための切欠きを第3アーム10に形成しておくことになる。
【0034】
また、上記実施形態では、支持部24を、シリンダチューブ18Bを下方から受ける上面がフラットでアーム長手方向と直交する幅方向に長い板状の支持部本体24Aと、支持部本体24Aのアーム長手方向と直交する幅方向両側から上方に突出する一対の壁部24B,24Bと、を備えた形状であったが、シリンダチューブ18Bの下面の湾曲部に沿う湾曲面を備える湾曲形状に構成されたものでもよく、支持部24の形状は自由に変更可能である。また、伝達部材26の形状も、同様にどのような形状であってもよい。また、支持部24及び伝達部材26のシリンダチューブ18Bの長手方向における長さを、シリンダチューブ18Bの長手方向全域に亘るように設定してもよく、支持部24及び伝達部材26のシリンダチューブ18Bの長手方向における長さは、自由に変更可能である。また、支持部24の数を、複数にしてもよい。上記実施形態では、下側のシリンダチューブ18Bのヘッド側端部をピン23により固定し、下側のシリンダチューブ18Bの下方への移動を支持部24で阻止する構成としているので、例えば下側のシリンダチューブ18Bのヘッド側端部とピストンロッド側端部とをいずれもピンで固定した場合に、ピン固定位置の誤差によりシリンダチューブ18Bが撓んでピストンロッド18Aが突っ張る等のトラブル発生がない。
【0035】
また、上記実施形態では、支持部24を第3アーム10に固定したが、第1アーム8又は第2アーム9に固定して実施してもよい。
【0036】
また、上記実施形態では、コンクリートポンプ車にアウトリガ装置を備えた場合を示したが、クレーン車や高所作業車等の特殊車両に本発明のアウトリガ装置を備えて実施してもよい。
【符号の説明】
【0037】
1…車体フレーム、2…キャビン、3…土台、4…支持柱、5…伸縮ブーム、6,7…アウトリガ、8…第1アーム、8A…軸支持部、8a…貫通孔、9…第2アーム、10…第3アーム、10A…水平筒部、10B…縦筒部、11,12,13…補強板、14…可動脚部、15…接地体、16…縦板、17…上側のシリンダ、18…下側のシリンダ、17A,18A…ピストンロッド、17B,18B…シリンダチューブ、17a,18a…ピストン、19…ブラケット、20,21,22,23…ピン、24…支持部、24A…支持部本体、24B…壁部、24K…ビス孔、24b,24b…傾斜面、25…ブラケット、26…伝達部材、26A…受け部、26B…壁部、26K…ビス孔、26b…傾斜面、27…台座、28,29…伸長側駆動室、30,31…収縮側駆動室、32…第1流路、33…第2流路、34…バイパス用流路、35…天板、35A,35B,35C…板部、36…底板、37…側板、38…第1底板、38A…幅広部、38B…幅狭部、38C…テーパー部、39…第2底板、40…スイングアウトリガ、41…油圧シリンダ、42…角板、42K…丸孔、42a,42b…孔、43…突起、44…サブフレーム、T…タンク、V…電磁バルブ
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9