(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-09
(45)【発行日】2024-04-17
(54)【発明の名称】装着処理の最適化装置
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20240410BHJP
【FI】
H05K13/04 Z
(21)【出願番号】P 2021198161
(22)【出願日】2021-12-07
(62)【分割の表示】P 2016200991の分割
【原出願日】2016-10-12
【審査請求日】2021-12-28
【審判番号】
【審判請求日】2023-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神尾 龍平
(72)【発明者】
【氏名】村土 浩章
(72)【発明者】
【氏名】永田 正明
(72)【発明者】
【氏名】追木 光明
【合議体】
【審判長】小川 恭司
【審判官】中屋 裕一郎
【審判官】内田 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-212357(JP,A)
【文献】特開2011-249611(JP,A)
【文献】特開2011-249600(JP,A)
【文献】特開2011-23616(JP,A)
【文献】特開2011-187797(JP,A)
【文献】特開2008-60543(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00 - 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品装着機による装着処理を最適化する最適化装置であって、
前記部品装着機は、複数種類の電子部品を複数の供給位置において供給する部品供給装置と、供給される前記電子部品を採取して回路基板に移載する作業に用いられる装着ヘッドと、前記回路基板に対する所定の作業に用いられる作業ヘッドと、前記装着ヘッドの移動および前記作業ヘッドの移動を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記複数の供給位置のうち制御プログラムにより指定される前記電子部品が供給された採取位置に前記装着ヘッドを移動させて前記電子部品を前記装着ヘッドにより採取する採取処理を実行した後に、前記回路基板における所定の移載位置に前記電子部品を移載する移載処理を実行するピックアンドプレースサイクル(以下、PPサイクル)を複数回に亘って繰り返す前記装着処理を実行し、
前記制御装置は、前記装着処理において前記装着ヘッドの可動領域のうち前記装着ヘッドの移動が許容され且つ前記作業ヘッドの移動が禁止される排他領域の内部において前記装着ヘッドの移動を制御
して前記排他領域の外部への前記装着ヘッドの移動を規制するとともに、前記排他領域の外部において前記作業ヘッドの移動を制御
して前記排他領域の内部への前記作業ヘッドの移動を規制することによって、前記作業ヘッドと前記装着ヘッドの干渉を防止する非干渉制御を実行し、
前記制御装置は、前記非干渉制御において、連続した2回の前記PPサイクルに並行して前記作業ヘッドを用いた作業が行われる場合に、2回の前記PPサイクルのうち先の第一PPサイクルの前記移載処理における最後の前記移載位置から後の第二PPサイクルの前記採取処理における最初の前記採取位置までの移動経路を、前記制御プログラムに含まれ且つ前記制御プログラムにおいて指定される経由位置の座標、軌
跡、および前記排他領
域を定める条件の少なくとも一つである移動条件に基づいて設定し、
前記最適化装置は、前記制御装置による前記装着ヘッドの移動の制御において互いに異なる複数の前記移動条件を設定し得る場合に、複数の前記移動条件をそれぞれ前記移動条件の候補とし、
前記最適化装置は、複数の前記移動条件の候補のうち前記第一PPサイクルの前記移載処理における最後の前記移載位置への前記電子部品の移載から前記第二PPサイクルの前記移載処理が開始されるまでの処理間隔が最小となる一つを前記移動条件に設定する条件設定部を備える装着処理の最適化装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記装着ヘッドを現在位置から目標位置まで移動させる場合に、前記装着ヘッドの可動領域のうち前記装着ヘッドの移動が許容され且つ前記作業ヘッドの移動が禁止される排他領域
の内部において最短時間で前記目標位置に到達するように前記装着ヘッドの移動を制御し、
前記移動条件は、前記第一PPサイクルの前記移載処理における最後の前記移載位置、および前記第二PPサイクルの前記採取処理における最初の前記採取位置を含む前記排他領
域を定める条件である、請求項1に記載の装着処理の最適化装置。
【請求項3】
前記排他領域は、1つの矩形状または複数の矩形状を組み合わせた形状である、請求項2に記載の装着処理の最適化装置。
【請求項4】
前記移動条件の候補には、
前記装着ヘッドの移動に対して、前記第一PPサイクルおよび前記第二PPサイクルに並行して行われる作業における前記作業ヘッドの移動を優先させる作業優先条件と、
前記作業ヘッドの移動に対して、前記第一PPサイクルの前記移載処理における最後の前記移載位置から前記第二PPサイクルの前記採取処理における最初の前記採取位置までの移動を優先させる装着優先条件と、が含まれる請求項1-3の何れか一項に記載の装着処理の最適化装置。
【請求項5】
前記装着ヘッドの可動領域の一部であって、前記第一PPサイクルおよび前記第二PPサイクルに並行して行われる作業において前記作業ヘッドが最も前記部品供給装置に接近する位置よりも前記部品供給装置側の領域を、前記装着ヘッドと前記作業ヘッドとの干渉が発生しない退避領域と定義し、
前記作業優先条件に基づいて設定される前記移動経路は、前記第一PPサイクルの前記移載処理における最後の前記移載位置から前記装着ヘッドを前記退避領域まで最短距離で退避させた後に、前記装着ヘッドを前記第二PPサイクルの前記採取処理における最初の前記採取位置まで移動させる前記移動経路であり、
前記装着優先条件に基づいて設定される前記移動経路は、前記第一PPサイクルの前記移載処理における最後の前記移載位置から前記装着ヘッドを前記第二PPサイクルの前記採取処理における最初の前記採取位置まで最短時間で移動させる前記移動経路である、請求項4に記載の装着処理の最適化装置。
【請求項6】
前記移動条件の候補は、前記作業優先条件および前記装着優先条件であり、
前記条件設定部は、前記作業優先条件において、前記第二PPサイクルの前記移載処理を実行可能とする準備が終了してから前記移載処理が実行されるまでの第一移載待機時間が発生する場合には、前記作業優先条件を前記移動条件に設定する、請求項4または5に記載の装着処理の最適化装置。
【請求項7】
前記条件設定部は、前記作業優先条件において前記第一移載待機時間が発生しない場合であって、前記作業優先条件において前記第一PPサイクルおよび前記第二PPサイクルに並行して行われる作業における前記作業ヘッドの移動が前記非干渉制御により制約される場合には、前記装着優先条件を前記移動条件に設定する、請求項6に記載の装着処理の最適化装置。
【請求項8】
前記条件設定部は、前記作業優先条件において前記第一PPサイクルおよび前記第二PPサイクルに並行して行われる作業における前記作業ヘッドの移動が前記非干渉制御により制約されない場合であって、前記装着優先条件において前記第一PPサイクルおよび前記第二PPサイクルに並行して行われる作業における前記作業ヘッドの移動が前記非干渉制御により制約されない場合には、前記装着優先条件を前記移動条件に設定する請求項7に記載の装着処理の最適化装置。
【請求項9】
前記条件設定部は、前記装着優先条件において前記第一PPサイクルおよび前記第二PPサイクルに並行して行われる作業における前記作業ヘッドの移動が前記非干渉制御により制約される場合であって、前記装着優先条件において、前記第二PPサイクルの前記移載処理を実行可能とする準備が終了してから前記移載処理が実行されるまでの第二移載待機時間が発生しない場合には、前記装着優先条件を前記移動条件に設定する、請求項8に記載の装着処理の最適化装置。
【請求項10】
前記条件設定部は、前記装着優先条件において前記第二移載待機時間が発生する場合に、前記第一PPサイクルの前記移載処理が終了してから前記作業優先条件において前記第二PPサイクルの前記移載処理を実行可能とする準備が終了するまでの第一準備時間と、前記第一PPサイクルの前記移載処理が終了してから前記装着優先条件において前記第二PPサイクルの前記移載処理を実行可能とする準備が終了するまでの第二準備時間および前記第二移載待機時間の和とを比較し、比較された時間のうち短い方に対応する前記移動条件の候補を前記移動条件に設定する、請求項9に記載の装着処理の最適化装置。
【請求項11】
前記最適化装置は、前記第一PPサイクルの前記移載処理が終了してから前記作業ヘッドを用いた作業が終了するまでの作業時間と、前記第一PPサイクルの前記移載処理が終了してから前記第二PPサイクルの前記移載処理を実行可能とする準備が終了するまでの準備時間と、を前記移動条件の候補ごとに算出する時間算出部をさらに備え、
前記条件設定部は、前記移動条件の候補である第一移動条件および第二移動条件のうち一方を前記移動条件に設定する場合に、前記第一移動条件の前記作業時間および前記準備時間の長い方と、前記第二移動条件の前記作業時間および前記準備時間の長い方とを比較し、比較された時間のうち短い方に対応する前記移動条件の候補を前記移動条件に設定する、請求項1-10の何れか一項に記載の装着処理の最適化装置。
【請求項12】
前記部品供給装置は、第一部品供給装置であり、
前記装着ヘッドは、前記第一部品供給装置により供給される前記電子部品を採取して前記回路基板に移載する作業に用いられる第一装着ヘッドであり、
前記部品装着機は、前記第一部品供給装置に対して前記回路基板を挟んだ反対側に対向して設けられ、複数種類の電子部品を複数の供給位置において供給する第二部品供給装置をさらに備え、
前記作業ヘッドは、前記第二部品供給装置により供給される前記電子部品を採取して前記回路基板に移載する作業に用いられる第二装着ヘッドであり、
前記制御装置は、前記第一装着ヘッドを用いた前記PPサイクルの前記移載処理と、前記第二装着ヘッドを用いた前記PPサイクルの前記移載処理とを交互に実行し、
前記条件設定部は、前記第二装着ヘッドを用いた連続する2回の前記PPサイクルにおける前記移動経路の前記移動条件を設定する、請求項1-11の何れか一項に記載の装着処理の最適化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装着処理の最適化装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最適化装置は、部品装着機による装着処理を最適化する。部品装着機には、回路基板に対して所定の作業を行う作業ヘッドを複数備えるタイプがある。特許文献1には、電子部品を採取して回路基板に移載する作業に用いられる複数の作業ヘッド(装着ヘッド)を対向して配置された対向ロボットを備える部品装着機が開示されている。複数の作業ヘッドは、同一の回路基板に対して所定の作業が可能となるように、それぞれの可動領域の一部が互いに重複して構成されている。そのため、部品装着機の制御装置は、複数の作業ヘッド同士の干渉を防止するように各々の移動を制御する。
【0003】
また、特許文献1,2には、一方の装着ヘッドのみが移動を許容される排他領域(干渉エリアなど)をなるべく小さく設定することにより、他方の装着ヘッドの移動の優先度を高くする構成が開示されている。このような構成によると、他方の装着ヘッドの移動可能な領域が広くなるため、干渉防止の制御による制約を受けにくくなり、他方の装着ヘッドの待避時間を短縮することが可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-187797号公報
【文献】特開2009-231723号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、複数の装着ヘッドを備える部品装着機においては、複数の作業ヘッド同士の干渉を防止しつつ、装着処理に要するサイクルタイムの短縮が求められている。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、複数の作業ヘッドを用いた一連の作業に要するサイクルタイムの短縮を図ることができる装着処理の最適化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書で開示する装着処理の最適化装置は、部品装着機による装着処理を最適化する。部品装着機は、複数種類の電子部品を複数の供給位置において供給する部品供給装置と、供給される電子部品を採取して回路基板に移載する作業に用いられる装着ヘッドと、回路基板に対する所定の作業に用いられる作業ヘッドと、装着ヘッドの移動および作業ヘッドの移動を制御する制御装置と、を備える。制御装置は、複数の供給位置のうち制御プログラムにより指定される電子部品が供給された採取位置に装着ヘッドを移動させて電子部品を装着ヘッドにより採取する採取処理を実行した後に、回路基板における所定の移載位置に電子部品を移載する移載処理を実行するピックアンドプレースサイクル(以下、PPサイクル)を複数回に亘って繰り返す装着処理を実行する。
制御装置は、装着処理において装着ヘッドの可動領域のうち装着ヘッドの移動が許容され且つ作業ヘッドの移動が禁止される排他領域において装着ヘッドの移動を制御するとともに、排他領域の外部において作業ヘッドの移動を制御することによって、作業ヘッドと装着ヘッドの干渉を防止する非干渉制御を実行する。制御装置は、非干渉制御において、連続した2回のPPサイクルに並行して作業ヘッドを用いた作業が行われる場合に、2回のPPサイクルのうち先の第一PPサイクルの移載処理における最後の移載位置から後の第二PPサイクルの採取処理における最初の採取位置までの移動経路を、制御プログラムに含まれ且つ制御プログラムにおいて指定される経由位置の座標、軌跡の形状、および排他領域の形状を定める条件の少なくとも一つである移動条件に基づいて設定する。
最適化装置は、制御装置による装着ヘッドの移動の制御において互いに異なる複数の移動条件を設定し得る場合に、複数の移動条件をそれぞれ移動条件の候補とする。最適化装置は、複数の移動条件の候補のうち第一PPサイクルの移載処理における最後の移載位置への電子部品の移載から第二PPサイクルの移載処理が開始されるまでの処理間隔が最小となる一つを移動条件に設定する条件設定部を備える。
【発明の効果】
【0007】
最適化装置は、装着ヘッドの移動条件の所定の候補の一つを移動条件に設定し、当該移動条件に応じて制御プログラムを編集することによって装着処理を最適化する。これにより、部品装着機の制御装置は、移動条件に基づいて移動経路を設定する。そうすると、例えば作業ヘッドの移動が優先されて作業時間が短縮されたり、また装着ヘッドの移動が優先されて第二PPサイクルの移載処理を実行可能とする準備に要する時間が短縮されたりすることになる。このように装着ヘッドを用いた装着処理が作業ヘッドとの関係で最適化され、結果として、装着ヘッドおよび作業ヘッドを用いた一連の作業に要するサイクルタイムの短縮を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態における部品装着機の構成を示す模式図である。
【
図2】各PPサイクルの処理と時間の関係を示すタイミング図である。
【
図4A】作業優先条件に対応する排他領域および移動経路を示す図である。
【
図4B】装着優先条件に対応する排他領域および移動経路を示す図である。
【
図6】
図5のS41:Yesにおける移動条件ごとのタイミング図である。
【
図7】
図5のS42:Yes、およびS43:Yesにおける移動条件ごとのタイミング図である。
【
図8】
図5のS45:Yesにおける移動条件ごとのタイミング図である。
【
図9】
図5のS46:Noにおける移動条件ごとのタイミング図である。
【
図10】
図5のS46:Yesにおける移動条件ごとのタイミング図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、装着処理の最適化装置を具体化した実施形態について図面を参照して説明する。最適化装置は、部品装着機による装着処理を最適化する。部品装着機は、吸着ノズルやチャック装置などの保持部材により電子部品を採取し、回路基板上の所定の座標位置に電子部品を移載する装置である。部品装着機は、例えば回路基板の搬送方向に複数並設され、基板製品を生産する生産ラインを構成する。
【0010】
<実施形態>
(生産ラインの構成)
生産ラインは、複数の部品装着機1が回路基板Bdの搬送方向(
図1の左右方向)に並設されて構成される。生産ラインには、例えばスクリーン印刷機や装着検査機、リフロー炉などが含まれ得る。複数の部品装着機1は、ネットワークを介して管理装置80と通信可能に接続されている。
【0011】
管理装置80は、管理制御部81と、記憶装置82と、最適化装置90とを備える。管理制御部81は、生産ラインの動作状況を監視し、複数の部品装着機1を含む生産ラインの構成機器の制御を行う。また、管理制御部81は、部品装着機1による装着処理に要した所要時間や、装着処理の実行中に発生したエラーなどを集計する。
【0012】
記憶装置82は、ハードディスク装置などの光学ドライブ装置、またはフラッシュメモリなどにより構成される。この記憶装置82には、部品装着機1を制御するための各種データが記憶されている。上記の各種データには、生産される基板製品の種類や生産量を含む生産計画、および部品装着機1を動作させるための制御プログラムが含まれる。
【0013】
最適化装置90は、本実施形態において、管理装置80に組み込まれて構成される。最適化装置90は、各種データに基づいて、上記の制御プログラムを適宜編集することにより装着処理の最適化を行う。最適化装置90の詳細構成については後述する。
【0014】
(部品装着機1の構成)
部品装着機1は、
図1に示すように、基板搬送装置10と、第一部品供給装置20と、第二部品供給装置30と、第一部品移載装置40と、第二部品移載装置50と、第一部品カメラ61と、第二部品カメラ62と、制御装置70とを備える。以下の説明において、部品装着機1の水平幅方向(
図1の左右方向)をX軸方向とし、部品装着機1の水平奥行き方向(
図1の上下方向)をY軸方向とし、X軸およびY軸に垂直な鉛直方向(
図1の前後方向)をZ軸方向とする。
【0015】
基板搬送装置10は、ベルトコンベアなどにより構成され、回路基板Bdを搬送方向(本実施形態においてはX軸方向)へと順次搬送する。基板搬送装置10は、部品装着機1の機内における所定の位置に回路基板Bdを位置決めする。そして、基板搬送装置10は、部品装着機1による装着処理が実行された後に、回路基板Bdを部品装着機1の機外に搬出する。
【0016】
第一部品供給装置20は、部品装着機1の前部側(
図1の下側)に設けられている。複数の供給位置Ps1において、回路基板Bdに装着される電子部品を供給する。第一部品供給装置20は、X軸方向に並んで配置された複数のスロット21および複数のリール保持部22を有する。複数のスロット21には、フィーダ23が着脱可能にそれぞれセットされる。第一部品供給装置20は、多数の電子部品を収納するキャリアテープをフィーダ23により送り移動させて、フィーダ23の先端側に位置する供給位置Ps1において電子部品を採取可能に供給する。リール保持部22は、キャリアテープが巻回されたリールを交換可能に保持する。
【0017】
第二部品供給装置30は、第一部品供給装置20に対して回路基板Bdを挟んだ反対側(部品装着機1の後部側であり
図1の上側)に対向して設けられている。第二部品供給装置30は、複数種類の電子部品を複数の供給位置Ps2において供給する。第二部品供給装置30は、第一部品供給装置20と同様に構成される。第二部品供給装置30のスロット31、リール保持部32、およびフィーダ33は、第一部品供給装置20のスロット21、リール保持部22、およびフィーダ33に対応する。
【0018】
第一部品移載装置40および第二部品移載装置50は、X軸方向およびY軸方向に移動可能に構成される。第一部品移載装置40は、部品装着機1の長手方向の後部側から前部側の第一部品供給装置20の上方にかけて配置されている。第二部品移載装置50は、部品装着機1の長手方向の前部側から後部側の第二部品供給装置30の上方にかけて配置されている。
【0019】
第一部品移載装置40は、ヘッド駆動装置41、移動台42、および第一装着ヘッド43を備える。ヘッド駆動装置41は、直動機構により移動台42をXY軸方向に移動可能に構成されている。第一装着ヘッド43は、第一部品供給装置20により供給される電子部品を採取して回路基板Bdに移載する作業に用いられる。第一装着ヘッド43は、図示しないクランプにより移動台42に固定される。
【0020】
また、第一装着ヘッド43は、着脱可能に設けられる複数の吸着ノズル44を有する。第一装着ヘッド43は、Z軸と平行なR軸回りに回転可能に、且つ昇降可能に各吸着ノズル44を支持する。吸着ノズル44は、第一装着ヘッド43に対する昇降位置や角度、負圧の供給状態を制御される。吸着ノズル44は、負圧を供給されることにより、第一部品供給装置20のフィーダ23の供給位置Ps1において供給される電子部品を吸着する。
【0021】
第二部品移載装置50は、第一部品移載装置40と同様に構成される。第二部品移載装置50のヘッド駆動装置51、移動台52、および第二装着ヘッド53は、第一部品移載装置40のヘッド駆動装置41、移動台42、および第一装着ヘッド43に対応する。第二部品移載装置50の第二装着ヘッド53は、回路基板Bdに対する所定の作業に用いられる作業ヘッドである。本実施形態において、第二装着ヘッド53は、第二部品供給装置30により供給される電子部品を採取して回路基板Bdに移載する作業(装着処理)に用いられる。
【0022】
また、第二装着ヘッド53は、着脱可能に設けられる複数の吸着ノズル54を有する。第二装着ヘッド53の吸着ノズル54は、負圧を供給されることにより、第二部品供給装置30のフィーダ33の供給位置Ps2において供給される電子部品を吸着する。上記のように、本実施形態の部品装着機1は、複数の装着ヘッド(第一装着ヘッド43、第二装着ヘッド53)をY軸方向に対向して配置された対向ロボットを備える。
【0023】
第一装着ヘッド43は、第一可動領域Mv1の内部のみで移動が可能に構成されている。また、第二装着ヘッド53は、第二可動領域Mv2の内部のみで移動が可能に構成されている。第一可動領域Mv1および第二可動領域Mv2は、同一の回路基板Bdに対して第一装着ヘッド43および第二装着ヘッド53の両方が装着作業を可能とするために、互いに少なくとも一部が重複している。
【0024】
第一部品カメラ61および第二部品カメラ62は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子を有するデジタル式の撮像装置である。第一部品カメラ61および第二部品カメラ62は、通信可能に接続された制御装置70による制御信号に基づいてカメラ視野に収まる範囲の撮像を行い、当該撮像により取得した画像データを制御装置70に送出する。
【0025】
第一部品カメラ61および第二部品カメラ62は、光軸が鉛直方向(Z軸方向)の上向きとなるように部品装着機1の基台に固定されている。第一部品カメラ61は、第一部品移載装置40の下方から第一装着ヘッド43の吸着ノズル44に保持された電子部品を撮像可能に構成される。第二部品カメラ62は、第二部品移載装置50の下方から第二装着ヘッド53の吸着ノズル54に保持された電子部品を撮像可能に構成される。
【0026】
(制御装置70の構成)
制御装置70は、主として、CPUや各種メモリ、制御回路により構成される。制御装置70は、電子部品の装着処理を制御する。装着処理は、制御プログラムに基づいて、電子部品を採取する採取処理、および電子部品を回路基板Bdに移載する移載処理を実行するピックアンドプレースサイクル(以下、PPサイクル)を複数回に亘って繰り返す処理である。部品装着機1による装着処理の詳細については後述する。制御装置70は、
図1に示すように、装着制御部71および非干渉制御部72を備える。
【0027】
装着制御部71は、第一装着ヘッド43および第二装着ヘッド53の位置や吸着機構の動作を制御する。装着制御部71は、装着処理において、部品装着機1に複数設けられた各種センサから出力される情報、画像処理などによる認識処理の結果を入力する。そして、装着制御部71は、制御プログラム、各種センサによる情報、各種の認識処理の結果に基づいて、第一部品移載装置40および第二部品移載装置50へと制御信号を送出する。これにより、第一装着ヘッド43に支持された吸着ノズル44および第二装着ヘッド53に支持された吸着ノズル54の位置および回転角度が制御される。
【0028】
非干渉制御部72は、第一装着ヘッド43および第二装着ヘッド53の動作状況に応じて、一方または両方の移動を制約して両者の干渉を防止する非干渉制御を実行する。より詳細には、非干渉制御部72は、第一装着ヘッド43を現在位置から目標位置まで移動させる場合に、目標位置までの移動中に第二装着ヘッド53に干渉するか否かを定期的に判定し、干渉のおそれがある場合には第一装着ヘッド43の移動を制約する。これにより、第一装着ヘッド43が一時的に待避した状態となり、第一装着ヘッド43と第二装着ヘッド53の干渉が防止される。非干渉制御部72は、第二装着ヘッド53を移動させる場合にも同様に、第一装着ヘッド43の状態に応じて第二装着ヘッド53の移動を制約する。
【0029】
(電子部品の装着処理)
部品装着機1による電子部品の装着処理について、
図2-
図4Bを参照して説明する。ここで、制御装置70の装着制御部71は、
図2に示すように、第一部品移載装置40を用いた装着処理および第二部品移載装置50を用いた装着処理を同時に実行する。つまり、制御装置70は、第一装着ヘッド43を用いたPPサイクルの移載処理H5と、第二装着ヘッド53を用いたPPサイクルの移載処理H5とを交互に実行する。実際には、これらの移載処理は、一部がオーバーラップして進行することもある。
【0030】
第一装着ヘッド43を用いた装着処理において、装着制御部71は、制御プログラムに従って、
図3に示すように、PPサイクルを実行する(ステップ10(以下、「ステップ」を「S」と表記する))。詳細には、装着制御部71は、第一装着ヘッド43により電子部品を採取する採取処理を実行する(S11)。採取処理は、
図2に示すように、第一装着ヘッド43の移動H1と、電子部品の吸着H2とにより構成される。
【0031】
第一装着ヘッド43の移動H1は、前回のPPサイクルの移載処理H5における最後の移載位置Pcfから今回のPPサイクルの採取処理における最初の採取位置Pa1までの移動である。電子部品の吸着H2は、複数の供給位置Ps1のうち制御プログラムにより指定される電子部品が供給された複数の採取位置Pa1~Pafに第一装着ヘッド43を順次移動させて第一装着ヘッド43の吸着ノズル44により電子部品を吸着する処理である。採取処理(S11)により、複数のフィーダ23により供給された電子部品が複数の吸着ノズル44に採取される。
【0032】
次に、装着制御部71は、第一装着ヘッド43を回路基板Bdにおける最初の移載位置Pc1へと移動させる前に、複数の吸着ノズル44のそれぞれに保持されている電子部品の保持状態の認識処理H3を実行する(S12)。詳細には、装着制御部71は、第一部品カメラ61の撮像により得られた画像データを取得して、複数の吸着ノズル44のそれぞれに電子部品が保持されているか否か、および保持されている電子部品の姿勢を画像処理により認識する。
【0033】
その後に、装着制御部71は、保持されている複数の電子部品を回路基板Bdにおける所定の移載位置Pc1~Pcfに順次移載する移載処理H5を実行する(S13)。このとき、装着制御部71は、認識処理H3により認識された電子部品の保持状態に応じて吸着ノズル44の位置および角度を補正して、電子部品の移載動作を制御する。これにより、複数の吸着ノズル44に保持された電子部品が回路基板Bdに順次移載される。なお、移載処理H5が実行される前に、後述する非干渉制御により第一装着ヘッド43の移動に制約が生じ、第一装着ヘッド43の待機H4が発生することがある。
【0034】
装着制御部71は、1回のPPサイクル(S10)が実行された後に、全てのPPサイクルが終了したか否かを判定する(S20)。装着制御部71は、全てのPPサイクルが終了していない場合には(S20:No)、次回以降のPPサイクル(S10)の実行に移行する。これにより、第一装着ヘッド43を用いたPPサイクルが複数回に亘って繰り返される。一方で、全てのPPサイクルが終了した場合には(S20:Yes)、装着制御部71は、第一装着ヘッド43を用いた装着処理を終了する。
【0035】
また、上記のように第一装着ヘッド43を用いた装着処理に並行して、第二装着ヘッド53を用いた装着処理が実行される。このとき、制御装置70の非干渉制御部72は、第一装着ヘッド43および第二装着ヘッド53を対象とする非干渉制御を実行する。本実施形態において、非干渉制御部72は、排他領域を設定することによって第一装着ヘッド43と第二装着ヘッド53の干渉を防止する。ここで、第一装着ヘッド43の排他領域は、第一装着ヘッド43の可動領域のうち第一装着ヘッド43の移動が許容され且つ第二装着ヘッド53の移動が禁止される領域である。
【0036】
ここで、制御装置70は、第一装着ヘッド43を現在位置から目標位置まで移動させる場合に、その移動経路を制御プログラムに含まれる移動条件に基づいて設定する。所定の移動条件は、制御プログラムにおいて指定される経由位置の座標、軌跡の形状、上記の排他領域の形状を定める条件などが採用され得る。本実施形態において、移動経路の設定に用いられる移動条件は、第一装着ヘッド43の排他領域の形状を定める条件であり、制御プログラムにおいて当該条件に応じたコードによって指定される。また、排他領域は、1つの矩形状または複数の矩形状を組み合わせた形状に設定される。
【0037】
本実施形態において、非干渉制御部72は、上記コードに基づいて、第二装着ヘッド53の移動を優先する狭い排他領域(以下、エリア小ASとも称する)と、第一装着ヘッド43の移動を優先する広い排他領域(以下、エリア大ALとも称する)とを設定する。ここで、第一装着ヘッド43の現在位置が移載処理H5(S14)における最後の移載位置Pcfであり、目標位置が次のPPサイクルの採取処理(S11)における最初の採取位置Pa1である場合に、エリア小ASの移動経路とエリア大ALの移動経路は、以下のように相違する。なお、制御装置70は、排他領域において最短時間で目標位置に到達するように第一装着ヘッド43の移動を制御するものとする。
【0038】
エリア小ASは、第一装着ヘッド43の移動の優先度が低い場合であり、第一装着ヘッド43の現在位置と目標位置、第一装着ヘッド43の外寸、安全用のマージン、および退避領域Aeに基づいて、
図4Aの斜線部を除いた形状に設定される。安全用のマージンは、第一装着ヘッド43の外面から一定距離まで設けられ、移動誤差等を許容する領域である。これにより、エリア小ASを移動条件とした場合の第一装着ヘッド43の移動経路は、
図4Aの実線矢印で示すように、最後の移載位置Pcfから第一装着ヘッド43を退避領域Aeまで最短距離で退避させた後に、第一装着ヘッド43を最初の採取位置Pa1まで移動(
図2の移動H1)させる経路となる。
【0039】
ここで、第一装着ヘッド43の第一可動領域Mv1の一部であって、第一PPサイクルおよび第二PPサイクルに並行して行われる作業において第二装着ヘッド53が最も第一部品供給装置20に接近する位置よりも第一部品供給装置20側の領域を、第一装着ヘッド43と第二装着ヘッド53との干渉が発生しない退避領域Aeと定義する。なお、上記の「第一PPサイクル」とは、連続する2回のPPサイクルのうち先のPPサイクルである。同様に、上記の「第二PPサイクル」とは、連続する2回のPPサイクルのうち後のPPサイクルである。
【0040】
また、退避領域のAeの定義における「作業」は、
図2に示すように、第二装着ヘッド53を用いた装着処理のうち第一PPサイクルの移載処理H5と第二PPサイクルの移載処理H5との間に行われる第二装着ヘッド53によるPPサイクルの移載処理H5に相当する。よって、退避領域Aeは、移載処理H5における第二装着ヘッド53の移動範囲によって定まることから、実行される移載処理H5ごとに変動する。このように、エリア小ASは、最後の移載位置Pcfにおける第一装着ヘッド43の外寸から安全用のマージンを付加して退避領域Aeまで延びる矩形状の領域と、矩形状の退避領域Aeとを組み合わせた形状に定められる。
【0041】
エリア大ALは、第一装着ヘッド43の移動の優先度が高い場合であり、第一装着ヘッド43の現在位置と目標位置、第一装着ヘッド43の外寸、および安全用のマージンに基づいて、
図4Bの斜線部を除いた形状に設定される。このように、エリア大ALは、最後の移載位置Pcfと最初の採取位置Pa1を結ぶ線分を対角線とし第一装着ヘッド43の外寸から安全用のマージンを付加した矩形状の領域と、矩形状の退避領域Aeとを組み合わせた形状に定められる。
【0042】
これにより、エリア大ALを移動条件とした場合の第一装着ヘッド43の移動経路は、
図4Bの実線矢印で示すように、最後の移載位置Pcfから第一装着ヘッド43を最初の採取位置Pa1まで最短時間で移動(
図2の移動H1)させる経路となる。この移動経路は、最短時間での移動が可能であれば、上記の経路の他に、XY軸方向に等しい速度で移動した後に不足するY軸方向(またはX軸方向)に移動させる経路(
図4Bの一点鎖線の矢印で示す)としてもよい。
【0043】
また、上記のように第一装着ヘッド43の移動経路が排他領域の形状によって設定される構成によると、エリア小ASでは、第一装着ヘッド43の移動経路が長くなり最初の採取位置Pa1までの移動時間が長くなるが、第二装着ヘッド53の移動が優先され、第二装着ヘッド53による移載処理H5が早期に開始し得る。一方で、エリア大ALでは、第二装着ヘッド53による移載処理H5が実行されるまでの待機時間(
図2の待機H4の時間)が発生し得るが、第一装着ヘッド43の移動が優先され、早期に最初の採取位置Pa1まで到達するので次のPPサイクルにおける採取処理(
図2の移動H1および吸着H2)に要する時間を短縮し得る。
【0044】
なお、
図4Aの斜線部および
図4Bの斜線部は、第二装着ヘッド53の排他領域に相当する。第二装着ヘッド53の排他領域は、第二装着ヘッド53の可動領域のうち第二装着ヘッド53の移動が許容され且つ第一装着ヘッド43の移動が禁止される領域である。非干渉制御部72は、第二装着ヘッド53の排他領域の形状について同様に、制御プログラムに含まれるコードに基づいて設定する。これにより、第一装着ヘッド43を用いたPPサイクルの移載処理H5と、第二装着ヘッド53を用いたPPサイクルの移載処理H5とが交互に実行される場合に、第二装着ヘッド53の排他領域が適宜形成され、第二装着ヘッド53の移動経路が設定される。
【0045】
(最適化装置90の詳細構成)
装着処理の最適化装置90は、装着処理に要するサイクルタイムの短縮を目的として、部品装着機1に送出される制御プログラムを対象として最適化処理を実行する。最適化装置90が対象とする制御プログラムは、生産計画に基づいて順序を定められた複数の生産ジョブごとに予め生成されている。そして、最適化装置90は、制御プログラムにより指令される複数のPPサイクルにおいて、先の第一PPサイクルの移載処理H5における最後の移載位置Pcfから後の第二PPサイクルの採取処理における最初の採取位置Pa1までの移動経路に着目し、当該移動経路の設定に用いられる移動条件としての排他領域の形状を定める条件を制御プログラムに設定することで最適化処理を実行する。
【0046】
最適化装置90は、
図1に示すように、時間算出部91と、条件設定部92とを備える。また、最適化装置90は、管理装置80の記憶装置82に記憶されている制御プログラムや各種情報を参照する。上記の各種情報には、第一部品供給装置20の複数の供給位置Ps1において供給される電子部品の種別を示す情報や、制御プログラムにより実行される装着処理に用いられる第一装着ヘッド43の種別や外寸を示す情報が含まれる。
【0047】
時間算出部91は、第一装着ヘッド43を用いた装着処理に要するサイクルタイム、および第二装着ヘッド53を用いた装着処理に要するサイクルタイムを算出する。詳細には、時間算出部91は、制御プログラムおよび各種情報に基づいて、第一装着ヘッド43を用いた装着処理、および第二装着ヘッド53を用いた装着処理のシミュレーションを行い、それぞれの装着処理における採取処理(H1,H2)および移載処理H5に要する時間、さらには採取処理における第一装着ヘッド43の移動H1に要する時間、認識処理H3に要する時間、待機H4の時間などを適宜算出する。
【0048】
条件設定部92は、第一PPサイクルの移載処理H5における最後の移載位置Pcfへの電子部品の移載から第二PPサイクルの移載処理H5が開始されるまでの処理間隔が移動条件ごとに異なる場合に、移動条件の所定の候補のうち処理間隔が最小となる一つを移動条件に設定する。上記の「処理間隔」は、第一PPサイクルの移載処理H5が終了してから第二PPサイクルの移載処理H5を実行可能とする準備が終了するまでの準備時間と、当該準備が終了してから第二PPサイクルの移載処理H5が実行されるまでの待機時間とを含む時間に相当する。
【0049】
なお、上記の準備時間には、第一装着ヘッド43が最後の移載位置Pcfから最初の採取位置Pa1までの移動H1に要する時間、指定された複数の電子部品を順次採取(
図2の吸着H2)するのに要する時間、保持された電子部品の保持状態を画像処理により認識する認識処理H3に要する時間が含まれる。上記の待機時間は、準備時間と、第二装着ヘッド53によるPPサイクルの移載処理H5に要する時間とに応じて変動し、準備時間の方が長い場合には発生しないこともある。
【0050】
つまり、移動条件によって排他領域の形状の変化に伴って移動経路の長さが伸縮し、第一装着ヘッド43の移動時間、および第二装着ヘッド53のPPサイクルにおける移載処理H5の開始時刻が前後し待機時間が長くなったり短くなったりする。このように、処理間隔が移動条件ごとに異なる場合には、第二装着ヘッド53に対する第一装着ヘッド43の移動をどの程度優先させるかによって、全体としてサイクルタイムの短縮を図ることが可能である。そこで、条件設定部92は、移動条件の所定の候補のうち処理間隔が最小となる一つを選択して対応するコードを制御プログラムに追加することによって、移動条件を設定する。
【0051】
(装着処理の最適化処理)
最適化装置90による装着処理の最適化処理について、
図2、
図4A~
図10を参照して説明する。本実施形態において、第一装着ヘッド43の採取処理における最初の移動H1の移動経路の設定に用いられる移動条件は、第一PPサイクルの移載処理における最後の移載位置Pcfおよび第二PPサイクルの採取処理における最初の採取位置Pa1を含む排他領域の形状を定める条件とする。そして、移動条件の候補は、作業優先条件および装着優先条件の2つであるものとする。
【0052】
ここで、「作業優先条件」は、第一装着ヘッド43による第一PPサイクルおよび第二PPサイクルに並行して実行される第二装着ヘッド53による装着処理における移載処理H5を回路基板Bdに対する作業として、第一装着ヘッド43の移動H1の移動に対して、上記作業における第二装着ヘッド53の移動を優先させる条件である。この作業優先条件によると、非干渉制御部72は、第一装着ヘッド43の移動H1に対して、第一装着ヘッド43の排他領域にエリア小ASを設定する(
図4Aを参照)。
【0053】
また、「装着優先条件」は、第二装着ヘッド53の移動に対して、第一PPサイクルの移載処理H5における最後の移載位置Pcfから第二PPサイクルの採取処理における最初の採取位置Pa1までの移動H1を優先させる条件である。この装着優先条件によると、非干渉制御部72は、第一装着ヘッド43の移動H1に対して、第一装着ヘッド43の排他領域に排他領域にエリア大ALを設定する(
図4Bを参照)。
【0054】
装着処理の最適化処理において、最適化装置90は、
図5に示すように、先ず最適化に必要な準備を行う準備処理を実行する(S30)。詳細には、最適化装置90は、先ず、記憶装置82に記憶された制御プログラムおよび各種情報に基づいて、第一PPサイクルの移載処理H5における最後の移載位置Pcfと、第二PPサイクルの採取処理における最初の採取位置Pa1とを示す座標値、および第二装着ヘッド53により並行して実行される装着処理の移載処理H5における第二装着ヘッド53の移動範囲を取得する(S31)。
【0055】
次に、最適化装置90は、第二装着ヘッド53の移動範囲に基づいて、第二PPサイクルにおける退避領域Aeを算出する(S32)。続いて、時間算出部91は、S31にて取得された最後の移載位置Pcf、最初の採取位置Pa1、およびS32にて算出された退避領域Aeに基づいて、移動条件の候補(作業優先条件、装着優先条件)のうち第二装着ヘッド53による移載処理H5が早く終了する候補である作業優先条件の準備時間Tp、第二PPサイクルの移載処理H5を実行可能とする準備が終了してから移載処理H5が実行されるまでの移載待機時間Tm、および第一PPサイクルの移載処理H5が終了してから第二装着ヘッド53を用いた移載処理H5が開始されるまでの作業待機時間Twを算出する(S33)。
【0056】
準備時間Tpは、移動条件ごとに最初の採取位置Pa1までの移動H1に要する時間が変動することにより互いに異なる値となる。一方で、電子部品の吸着H2に要する時間、および画像処理による認識処理H3に要する時間は、移動条件が異なっても等しい値となる。作業待機時間Twは、移動条件ごとに第一装着ヘッド43の排他領域が変動して第二装着ヘッド53の移動が許容されるまでの時間が変動する場合に互いに異なる値となり、状況によっては等しい値となる場合もある。移載待機時間Tmは、準備時間Tpおよび作業待機時間Twの変動に伴って第二PPサイクルにおける移載処理H5が開始されるまでの時間が変動することにより、移動条件ごとに異なる値となる。
【0057】
以下では、作業優先条件における準備時間Tp、移載待機時間Tm、および作業待機時間Twを、それぞれ第一準備時間Tp1、第一移載待機時間Tm1、第一作業待機時間Tw1とする。同様に、装着優先条件における準備時間、移載待機時間、および作業待機時間を、それぞれ第二準備時間Tp2、第二移載待機時間Tm2、第二作業待機時間Tw2とする。
【0058】
続いて、条件設定部92は、移動条件の設定処理を実行する。詳細には、条件設定部92は、作業優先条件において、第二PPサイクルの移載処理H5を実行可能とする準備が終了してから移載処理が実行されるまでの第一移載待機時間Tm1が発生する場合には(S41:Yes)、作業優先条件を移動条件に設定する(S51)。ここで、
図6に示すように、作業優先条件において第一移載待機時間Tm1が発生するということは、移動条件に装着優先条件を設定しても同様に第二移載待機時間Tm2が発生することになる。
【0059】
さらに、装着優先条件の選択によって第一作業待機時間Tw1より第二作業待機時間Tw2が長くなると(Tw1<Tw2)、第二装着ヘッド53による移載処理H5の終了が遅れ、第二移載待機時間Tm2が第一移載待機時間Tm1よりも長くなる(Tm1<Tm2)ことが推測される。そのため、条件設定部92は、第二PPサイクルの移載処理H5の開始時刻を早めるべく、移動条件に作業優先条件を設定する(S51)。これにより、作業優先条件の方が差分D1だけ移載処理H5の開始時刻が早くなる。
【0060】
また、条件設定部92は、作業優先条件において第一移載待機時間Tm1が発生しない場合には(S41:No)、作業優先条件において第一PPサイクルおよび第二PPサイクルに並行して行われる作業(移載処理H5)における第二装着ヘッド53の移動が非干渉制御により制約されるか判定する(S42)。ここで、例えば、作業優先条件により形状が定められる排他領域(エリア小AS)の内部に第二装着ヘッド53による移載処理H5における移載位置Pcが存在すると、非干渉制御により第二装着ヘッド53の移動に制約が生じることが想定される。
【0061】
そうすると、第二装着ヘッド53の移動を優先してエリア小ASを設定しても第二装着ヘッド53による移載処理H5が開始できないことがある。そこで、条件設定部92は、作業優先条件で第二装着ヘッド53による移載処理H5における第二装着ヘッド53の移動が非干渉制御により制約される場合には(S42:Yes)、
図7に示すように、第二PPサイクルの準備時間Tpを短縮して第一装着ヘッド43の移載処理H5の開始時刻を早期化すべく、装着優先条件を移動条件に設定する(S52)。
【0062】
続いて、条件設定部92は、作業優先条件において第一PPサイクルおよび第二PPサイクルに並行して行われる作業(移載処理H5)における第二装着ヘッド53の移動が非干渉制御により制約されない場合には(S42:No)、装着優先条件において第一PPサイクルおよび第二PPサイクルに並行して行われる作業(移載処理H5)における第二装着ヘッド53の移動が非干渉制御により制約されないか判定する(S43)。ここで、例えば、装着優先条件より形状が定められる排他領域(エリア大AL)の外部に第二装着ヘッド53による移載処理H5における移載位置Pcが存在すると、非干渉制御により第二装着ヘッド53の移動に制約が生じないことが想定される。
【0063】
そうすると、第一装着ヘッド43の移動を優先してエリア大ALを設定しても第二装着ヘッド53による移載処理H5に影響しないことがある。そこで、条件設定部92は、装着優先条件で第二装着ヘッド53による移載処理H5における第二装着ヘッド53の移動が非干渉制御により制約されない場合には(S43:Yes)、
図7に示すように、第二PPサイクルの準備時間Tpを短縮して第一装着ヘッド43の移載処理H5の開始時刻を早期化すべく、装着優先条件を移動条件に設定する(S52)。
【0064】
なお、上記のような場合には(S42:Yes、S43:Yes)、第二装着ヘッド53による移載処理H5の開始時刻に第一装着ヘッド43の排他領域の形状(換言すると、第一装着ヘッド43の移動経路)が影響しないので、第一作業待機時間Tw1と第二作業待機時間Tw2が等しくなる(
図7を参照)。そして、移動条件に装着優先条件が設定されると(S51)、第一準備時間Tp1よりも第二準備時間Tp2の方が短くなる差分D2だけ、第二準備時間Tp2が短く、結果として第二PPサイクルの移載処理H5の開始時刻の早期化を図ることができる。
【0065】
次に、装着優先条件において第一PPサイクルおよび第二PPサイクルに並行して行われる作業(移載処理H5)における第二装着ヘッド53の移動が非干渉制御により制約される場合には(S43:No)、時間算出部91は、S31にて取得された最後の移載位置Pcf、最初の採取位置Pa1、およびS32にて算出された退避領域Aeに基づいて、移動条件(作業優先条件、装着優先条件)のうち最初の採取位置Pa1までの移動H1が早く終了する候補である装着優先条件の第二準備時間Tp2、第二移載待機時間Tm2、および第二作業待機時間Tw2を算出する(S44)。
【0066】
そして、条件設定部92は、装着優先条件において、第二PPサイクルの移載処理H5を実行可能とする準備が終了してから移載処理が実行されるまでの第二移載待機時間Tm2が発生しないかを判定する(S45)。条件設定部92は、
図8に示すように、第二移載待機時間Tm2が発生しない場合には(S45:Yes)、移動条件に装着優先条件を設定する(S52)。
【0067】
ここで、第二移載待機時間Tm2が発生しないということは(S45:Yes)、第二PPサイクルの移載処理H5の準備が終了次第、移載処理H5を開始できることになる。そこで、最適化装置90は、このような場合には、第二PPサイクルの準備時間Tpを短縮すべく装着優先条件を設定する(S52)。結果として、装着優先条件の方が差分D3だけ第二PPサイクルの移載処理H5の開始時刻の早期化を図ることができる。
【0068】
続いて、条件設定部92は、装着優先条件において第二移載待機時間Tm2が発生する場合に(S45:No)、第一PPサイクルの移載処理H5が終了してから作業優先条件において第二PPサイクルの移載処理H5を実行可能とする準備が終了するまでの第一準備時間Tp1と、第一PPサイクルの移載処理H5が終了してから装着優先条件において第二PPサイクルの移載処理H5を実行可能とする準備が終了するまでの第二準備時間Tp2および第二移載待機時間Tm2の和とを比較し(S46)、比較された時間のうち短い方に対応する移動条件の候補を移動条件に設定する。
【0069】
ここで、第一移載待機時間Tm1が不発生(S41:No)であり且つ第二移載待機時間Tm2が発生する(S45:No)ということは、準備時間Tpと作業待機時間Twに移動条件ごとの効果がそれぞれ発生することから、全体として効果の大きい方を選択することが最適であるといえる。そこで、最適化装置90は、
図9に示すように、第一準備時間Tp1の方が短い(Tp1<Tp2+Tm2)場合には(S46:No)、対応する作業優先条件を移動条件に設定する(S51)。これにより、作業優先条件の方が差分D4だけ移載処理H5の開始時刻が早くなる。
【0070】
一方で、最適化装置90は、
図10に示すように、第二準備時間Tp2および第二移載待機時間Tm2の和の方が短い(Tp1>Tp2+Tm2)場合には(S46:Yes)、対応する装着優先条件を移動条件に設定する(S52)。これにより、装着優先条件の方が差分D5だけ移載処理H5の開始時刻が早くなる。
【0071】
最後に、最適化装置90は、条件設定部92により設定された移動条件の候補に対応するコードを制御プログラムに追加する編集を行う(S53)。これにより、第二PPサイクルの採取処理における第一装着ヘッド43の移動H1が最適化される。なお、条件設定部92は、第一装着ヘッド43による装着処理および第二装着ヘッド53による装着処理の各PPサイクルを対象として、実行順に採取処理における第一装着ヘッド43または第二装着ヘッド53の移動H1を順次最適化する。つまり、条件設定部92は、第二装着ヘッド53を用いた連続する2回のPPサイクルにおける移動経路の移動条件を設定する。これにより、第一装着ヘッド43を用いた装着処理、および第二装着ヘッド53を用いた装着処理が最適化される。
【0072】
<実施形態の変形態様>
(経路候補および排他領域について)
実施形態において、排他領域は、退避領域Aeを含む複数の矩形状の組み合わせた形状であるものとした。これに対して、排他領域は、種々の形状に定められ得る。第一装着ヘッド43の排他領域は、例えば第一装着ヘッド43の外寸および安全用のマージンを勘案しつつ、最後の移載位置Pcfおよび最初の採取位置Pa1を含む一つの矩形状、XY方向に変位する斜辺を有する形状、またはこれらを組み合わせた形状に定められる構成としてもよい。
【0073】
また、実施形態において、非干渉制御部72は、排他領域としてエリア小ASとエリア大ALの2種類を設定するものとした。これに対して、上記のような種々の排他領域の形状を含ませ、3種類以上の形状から一つを排他領域の形状に設定してもよい。これにより、第一装着ヘッド43の移動経路は、3種類以上の排他領域のそれぞれに対応して設定される。このとき、第一装着ヘッド43の移動経路は、種々の排他領域の形状によって設定され、排他領域の形状によっては3以上の線分を連結した経路や、曲線状の経路に設定され得る。
【0074】
また、移動経路の設定に用いられる移動条件は、排他領域の他に、現在位置と目標位置との間に挿入される経由位置の座標値、円弧状などの軌跡の形状を示す条件としてもよい。最適化装置90は、何れの移動条件においても同様に、複数種類の移動経路が設定され得るように移動経路の候補を有し、当該候補から一つを移動条件に設定することによって装着処理の最適化を図る。
【0075】
(装着処理の最適化について)
実施形態において、条件設定部92は、準備処理(S30)において移動条件の所定の候補のうち作業優先条件の第一準備時間Tp1、第一移載待機時間Tm1、および第一作業待機時間Tw1を算出する(S33)とともに、必要に応じて装着優先条件の第二準備時間Tp2、第二移載待機時間Tm2、および第二作業待機時間Tw2を算出(S44)し、これらを適宜比較することによって(S41~S46)、結果として移動条件の候補うち移載処理H5の処理間隔が最小となる一つを移動条件に設定(S51またはS52)するものとした。これに対して、条件設定部92が移動条件の候補の一つを選択する方法としては、種々のものが考えられる。
【0076】
ここで、実施形態のS46において比較の対象となった第一準備時間Tp1と、第二準備時間Tp2と第二移載待機時間Tm2の和とは、下記のように換言できる。即ち、作業優先条件における第一準備時間Tp1は、第一移載待機時間Tm1が不発生であることから、作業優先条件における移載処理H5の処理間隔に相当する。また、第二準備時間Tp2および第二移載待機時間Tm2の和は、装着優先条件における移載処理H5の処理間隔に相当する。
【0077】
つまり、作業待機時間Twを含み第二装着ヘッド53の移載処理H5が終了するまでの作業時間と、第二PPサイクルの移載処理H5を実行可能とする準備が終了するまでの準備時間Tpとを移動条件の所定の候補ごとに比較することで最適な候補を選択できる。具体的には、時間算出部91は、先ず第一PPサイクルの移載処理H5が終了してから第二装着ヘッド53を用いた移載処理H5が終了するまでの作業時間を移動条件の候補ごとに算出する。
【0078】
次に、時間算出部91は、第一PPサイクルの移載処理H5が終了してから第二PPサイクルの移載処理H5を実行可能とする準備が終了するまでの準備時間Tpを移動条件の候補ごと算出する。ここで、移動条件の候補は、第一移動条件と第二移動条件を含み、これらのうち一方を移動条件に設定するものとし、各候補の作業時間を第一作業時間Tk1および第二作業時間Tk2とし、各候補の準備時間Tpを第一準備時間Tp1および第二準備時間Tp2とする。
【0079】
続いて、条件設定部92は、第一移動条件の第一作業時間Tk1および第一準備時間Tp1の長い方と、第二移動条件の第二作業時間Tk2および第二準備時間Tp2の長い方とを比較する。そして、条件設定部92は、比較された時間のうち短い方に対応する移動条件の候補を移動条件に設定する。例えば、第一準備時間Tp1が長く(Tk1<Tp1)、且つ第二作業時間Tk2が長い(Tk2>Tp2)ものと仮定する。この場合には、第一準備時間Tp1と第二作業時間Tk2が比較の対象となる。
【0080】
そして、これらの時間のうち短い方に対応する移動条件の候補、即ち第一準備時間Tp1が短ければ第一移動条件、第二作業時間Tk2が短ければ第二移動条件が移動条件として設定される。なお、移動条件の所定の候補が3以上ある場合には、同様に、各候補の作業時間Tkと準備時間Tpの長い方を当該候補の代表時間として、各代表時間のうち最小のとなる一の候補を移動条件とする。このような方法によると、実施形態にて例示した方法と同様の結果を得られる。
【0081】
また、上記の方法の他に、各PPサイクルにおける移動経路に移動条件の所定の候補をそれぞれ適用した装着処理をシミュレーションして、候補ごとのサイクルタイムを比較して、最小となる候補を選択してもよい。このような構成によっても装着処理の最適化を図ることができる。但し、最適化処理の負荷を軽減する観点からは実施形態にて例示した態様が好適である。
【0082】
(装着ヘッドおよび作業ヘッドについて)
実施形態において、第一装着ヘッド43は、複数の吸着ノズル44を備える構成とした。これに対して、装着ヘッドとしては、例えば大型部品や特殊形状の部品を採取するために専用の吸着ノズルを一つ備える構成としてもよい。また、装着ヘッドは、吸着ノズルの他に、電子部品を把持するチャック装置を備える構成としてもよい。このような構成においても同様に、最適化装置は、装着ヘッドを用いた装着処理に作業ヘッドによる作業が並行して実行される場合に、装着処理のPPサイクルにおける採取処理の移動H1を対象として装着処理の最適化を行うことができる。
【0083】
実施形態において、本発明の「作業ヘッド」は、第二部品供給装置30により供給される電子部品を採取して回路基板Bdに移載する作業に用いられる第二装着ヘッド53であるものとした。これに対して、作業ヘッドは、第一装着ヘッド43と可動範囲が重複して、回路基板Bdに対する所定の作業に用いられるものであれば、装着ヘッド以外であってもよい。作業ヘッドとしては、例えば回路基板Bdの所定の位置に接着剤を塗布する接着剤塗布ヘッド、電子部品の装着状態を検査する外観検査ヘッド、回路基板Bdに印刷されたはんだの状態を検査するはんだ検査ヘッドなどが採用され得る。
【0084】
(その他)
実施形態において、最適化装置90は、部品装着機1に通信可能に接続された管理装置に組み込まれた構成とした。これに対して、最適化装置90は、管理装置80の外部において部品装着機1に通信可能な外部装置であってもよいし、部品装着機1に組み込まれる構成としてもよい。これらの場合には、最適化装置90は、例えば入力した制御プログラムをオペレータの設定や要求に応じて最適化する。
【0085】
<実施形態の構成による効果>
最適化装置90は、部品装着機1による装着処理を最適化する。部品装着機1は、複数種類の電子部品を複数の供給位置において供給する第一部品供給装置20と、供給される電子部品を採取して回路基板Bdに移載する作業に用いられる第一装着ヘッド43と、回路基板Bdに対する所定の作業に用いられる作業ヘッド(第二装着ヘッド53)と、第一装着ヘッド43の移動および作業ヘッド(第二装着ヘッド53)の移動を制御する制御装置70と、を備える。
制御装置70は、複数の供給位置Ps1のうち制御プログラムにより指定される電子部品が供給された採取位置に第一装着ヘッド43を移動させて電子部品を第一装着ヘッド43により採取する採取処理を実行した後に、回路基板Bdにおける所定の移載位置に電子部品を移載する移載処理を実行するピックアンドプレースサイクル(以下、PPサイクル)を複数回に亘って繰り返す装着処理を実行する。制御装置70は、作業ヘッド(第二装着ヘッド53)と第一装着ヘッド43の干渉を防止する非干渉制御において、連続した2回のPPサイクルに並行して作業ヘッド(第二装着ヘッド53)を用いた作業が行われる場合に、2回のPPサイクルのうち先の第一PPサイクルの移載処理における最後の移載位置Pcfから後の第二PPサイクルの採取処理における最初の採取位置Pa1までの移動経路を、制御プログラムに含まれる移動条件に基づいて設定する。
最適化装置90は、第一PPサイクルの移載処理における最後の移載位置Pcfへの電子部品の移載から第二PPサイクルの移載処理が開始されるまでの処理間隔が移動条件ごとに異なる場合に、移動条件の所定の候補のうち処理間隔が最小となる一つを移動条件に設定する条件設定部92を備える。
【0086】
このような構成によると、例えば作業ヘッド(第二装着ヘッド53)の移動が優先されて作業時間が短縮されたり、また第一装着ヘッド43の移動が優先されて第二PPサイクルの移載処理を実行可能とする準備に要する時間が短縮されたりすることになる。このように第一装着ヘッド43を用いた装着処理が作業ヘッド(第二装着ヘッド53)との関係で最適化され、このように部品装着機1による装着処理が最適化され、結果として、第一装着ヘッド43および作業ヘッド(第二装着ヘッド53)を用いた一連の作業に要するサイクルタイムの短縮を図ることができる。
【0087】
また、制御装置70は、第一装着ヘッド43を現在位置から目標位置まで移動させる場合に、第一装着ヘッド43の可動領域のうち第一装着ヘッド43の移動が許容され且つ作業ヘッド(第二装着ヘッド53)の移動が禁止される排他領域において最短時間で目標位置に到達するように第一装着ヘッド43の移動を制御する。移動条件は、第一PPサイクルの移載処理における最後の移載位置Pcf、および第二PPサイクルの採取処理における最初の採取位置Pa1を含む排他領域の形状を定める条件である。
【0088】
最適化装置90は、排他領域の大きさが異なる候補(エリア小AS、エリア大AL)から選択した一つを移動条件として設定する。これにより、部品装着機1の制御装置70は、移動条件に基づいて排他領域の形状を定め、当該排他領域の形状に応じて第一装着ヘッド43の移動経路を設定する。そして、制御装置70は、排他領域の内部で第一装着ヘッド43を移動させるように非干渉制御を実行する。このような構成によると、排他領域の形状によって第一装着ヘッド43の移動経路が適宜切り換えられる。
ところで、公知技術における排他領域を用いた非干渉制御では、装着ヘッドによる移載処理が実行中の場合には、可動領域が重複する領域での作業ヘッドの移動を制限するように装着ヘッドの排他領域を常に大きく設定するか、或いは作業ヘッドの移動の自由度をできるだけ向上させるように排他領域装着ヘッドの排他領域を常に小さく設定するかが一般的であった。これに対して、本実施形態の最適化装置90は、第一装着ヘッド43と第二装着ヘッド53の動作を考慮して、第一装着ヘッド43の排他領域の形状を切り換える構成としている。これにより、第一装着ヘッド43の排他領域を敢えて大きく(装着優先条件を移動条件に設定)して、全体としてサイクルタイムの短縮を図ることができる。
【0089】
また、排他領域は、1つの矩形状または複数の矩形状を組み合わせた形状である。
最適化装置90は、複数種類の排他領域として、共に複数の矩形状を組み合わせた形状からなるエリア小ASおよびエリア大ALを設定する。その他に、第一装着ヘッド43の最後の移載位置Pcfと最初の採取位置Pa1との位置関係等に基づいて、1つの矩形状を排他領域にしたり、複数の矩形状を組み合わせた形状を排他領域にしたりすることが可能である。これにより、多様な移動経路に対応する排他領域を簡易に形成することが可能となる。
【0090】
また、移動条件の候補には、第一装着ヘッド43の移動に対して、第一PPサイクルおよび第二PPサイクルに並行して行われる作業における作業ヘッド(第二装着ヘッド53)の移動を優先させる作業優先条件と、作業ヘッド(第二装着ヘッド53)の移動に対して、第一PPサイクルの移載処理における最後の移載位置Pcfから第二PPサイクルの採取処理における最初の採取位置Pa1までの移動を優先させる装着優先条件と、が含まれる。
【0091】
これにより、装着処理や作業ヘッドによる作業(第二装着ヘッド53を用いた装着処理)の状態によって作業優先条件と装着優先条件が移動条件に適宜設定される。結果として、移動条件に基づいて設定される第一装着ヘッド43の移動経路が切り換えられることになる。よって、第一装着ヘッド43および作業ヘッド(第二装着ヘッド53)を用いた一連の作業に要するサイクルタイムの短縮を図ることができる。
【0092】
また、第一装着ヘッド43の可動領域の一部であって、第一PPサイクルおよび第二PPサイクルに並行して行われる作業において作業ヘッド(第二装着ヘッド53)が最も第一部品供給装置20に接近する位置よりも第一部品供給装置20側の領域を、第一装着ヘッド43と作業ヘッド(第二装着ヘッド53)との干渉が発生しない退避領域Aeと定義する。
作業優先条件に基づいて設定される移動経路は、第一PPサイクルの移載処理における最後の移載位置Pcfから第一装着ヘッド43を退避領域Aeまで最短距離で退避させた後に、第一装着ヘッド43を第二PPサイクルの採取処理における最初の採取位置Pa1まで移動させる移動経路である。
装着優先条件に基づいて設定される移動経路は、第一PPサイクルの移載処理における最後の移載位置Pcfから第一装着ヘッド43を第二PPサイクルの採取処理における最初の採取位置Pa1まで最短時間で移動させる移動経路である。
【0093】
作業優先条件に基づいて設定される移動経路は、第一装着ヘッド43を退避領域Aeまで一旦移動させてから最初の採取位置Pa1まで移動させる移動経路であるため、経路長さとしては装着優先条件により設定される移動経路の経路長さより長くなる。但し、作業優先条件は、第一装着ヘッド43を退避させる際に第一装着ヘッド43をY軸方向のみに移動させることから、作業ヘッド(第二装着ヘッド53)の移動を優先させることができ、作業時間の短縮を図ることで全体のサイクルタイムを短縮できる。
装着優先条件に基づいて設定される移動経路は、第一装着ヘッド43を最短時間で目標の採取位置まで移動させる移動経路(例えば現在位置と目標位置を結ぶ線分に相当)であるため、経路長さとしては作業優先条件により設定される移動経路の経路長さよりも短くなる。そのため、装着優先条件は、第二PPサイクルの採取処理における最初の採取位置Pa1に第一装着ヘッド43が到達するまでの時間が早くなるため、第二PPサイクルにおける移載処理に必要な準備に要する時間の短縮を図ることでサイクルタイムを短縮できる。
【0094】
また、移動条件の候補は、作業優先条件および装着優先条件である。条件設定部92は、作業優先条件において、第二PPサイクルの移載処理を実行可能とする準備が終了してから移載処理が実行されるまでの第一移載待機時間Tm1が発生する場合には(S41:Yes)、作業優先条件を移動条件に設定する(S51)。
【0095】
第一移載待機時間Tm1が発生する場合には(S41:Yes)、何れの条件においても移載待機時間Tmが発生する。そのため、第二PPサイクルの移載処理H5の実行を早期化するには、作業ヘッドによる作業(第二装着ヘッド53による移載処理H5)が早く終わることが望ましい。そこで、最適化装置90は、作業優先条件を移動条件に設定し(S51)、全体としてサイクルタイムの短縮を図ることができる。
【0096】
また、条件設定部92は、作業優先条件において第一移載待機時間Tm1が発生しない場合であって(S41:No)、作業優先条件において第一PPサイクルおよび第二PPサイクルに並行して行われる作業(第二装着ヘッド53による移載処理H5)における第二装着ヘッド53の移動が非干渉制御により制約される場合には(S42:Yes)、装着優先条件を移動条件に設定する(S52)。
【0097】
作業優先条件で第二装着ヘッド53の移動が非干渉制御により制約される場合には(S42:Yes)、排他領域をエリア小ASにしても作業ヘッドによる作業(第二装着ヘッド53による移載処理H5)の開始時刻に影響がない。そのため、第二PPサイクルの移載処理H5の実行を早期化するには、第二PPサイクルの準備時間Tpを短縮することが望ましい。そこで、最適化装置90は、装着優先条件を移動条件に設定し(S52)、全体としてサイクルタイムの短縮を図ることができる。
【0098】
また、条件設定部92は、作業優先条件において第一PPサイクルおよび第二PPサイクルに並行して行われる作業(第二装着ヘッド53による移載処理H5)における第二装着ヘッド53の移動が非干渉制御により制約されない場合であって(S42:No)、装着優先条件において第一PPサイクルおよび第二PPサイクルに並行して行われる作業(第二装着ヘッド53による移載処理H5)における第二装着ヘッド53の移動が非干渉制御により制約されない場合には(S43:Yes)、装着優先条件を移動条件に設定する(S52)。
【0099】
装着優先条件で第二装着ヘッド53の移動が非干渉制御により制約されない場合には(S43:Yes)、排他領域をエリア大ALにしても作業ヘッドによる作業(第二装着ヘッド53による移載処理H5)の開始時刻に影響がない。そのため、第二PPサイクルの移載処理H5の実行を早期化するには、第二PPサイクルの準備時間Tpを短縮することが望ましい。そこで、最適化装置90は、装着優先条件を移動条件に設定し(S52)、全体としてサイクルタイムの短縮を図ることができる。
【0100】
また、条件設定部92は、装着優先条件において第一PPサイクルおよび第二PPサイクルに並行して行われる作業(第二装着ヘッド53による移載処理H5)における第二装着ヘッド53の移動が非干渉制御により制約される場合であって(S43:No)、装着優先条件において、第二PPサイクルの移載処理を実行可能とする準備が終了してから移載処理が実行されるまでの第二移載待機時間Tm2が発生しない場合には(S45:Yes)、装着優先条件を移動条件に設定する(S52)。
【0101】
第二移載待機時間Tm2が発生しない場合には(S45:Yes)、第二PPサイクルの準備の終了時刻が作業ヘッドによる作業(第二装着ヘッド53による移載処理H5)の終了時刻よりも遅く、準備が終わり次第、第一装着ヘッド43による移載処理H5の実行が可能となる。そのため、第二PPサイクルの移載処理H5の実行を早期化するには、第二準備時間Tp2を短縮することが望ましい。そこで、最適化装置90は、装着優先条件を移動条件に設定し(S52)、全体としてサイクルタイムの短縮を図ることができる。
【0102】
また、条件設定部92は、装着優先条件において第二移載待機時間Tm2が発生する場合に(S45:No)、第一PPサイクルの移載処理が終了してから作業優先条件において第二PPサイクルの移載処理を実行可能とする準備が終了するまでの第一準備時間Tp1と、第一PPサイクルの移載処理が終了してから装着優先条件において第二PPサイクルの移載処理を実行可能とする準備が終了するまでの第二準備時間Tp2および第二移載待機時間Tm2の和とを比較し、比較された時間のうち短い方に対応する移動条件の候補を移動条件に設定する(S51,S52)。
【0103】
装着優先条件において第二移載待機時間Tm2が発生する場合には(S45:No)、それぞれの条件で効果は発生することから、全体として効果が大きくなる移動条件の候補を選択することが望ましい。そこで、最適化装置90は、第二PPサイクルの移載処理H5が実行可能となる時刻が早くなるように、作業優先条件または装着優先条件を移動条件に設定し(S51,S52)、全体としてサイクルタイムの短縮を図ることができる。
【0104】
また、変形態様において、最適化装置90は、第一PPサイクルの移載処理が終了してから作業ヘッド(第二装着ヘッド53)を用いた作業が終了するまでの作業時間Tkと、第一PPサイクルの移載処理が終了してから第二PPサイクルの移載処理を実行可能とする準備が終了するまでの準備時間Tpと、を移動条件の候補ごとに算出する時間算出部91をさらに備える。
条件設定部92は、移動条件の候補である第一移動条件および第二移動条件のうち一方を移動条件に設定する場合に、第一移動条件の作業時間Tkおよび準備時間Tpの長い方と、第二移動条件の作業時間Tkおよび準備時間Tpの長い方とを比較し、比較された時間のうち短い方に対応する移動条件の候補を移動条件に設定する。
【0105】
第一PPサイクルの移載処理が終了(即ち、第一PPサイクルにおける最後の移載位置Pcfへの電子部品の移載が終了)した場合に、その後の第一装着ヘッド43の移動経路は、作業ヘッド(第二装着ヘッド53)の移動を優先する観点からは、作業ヘッド(第二装着ヘッド53)と干渉が生じない退避領域Aeまで最短距離で第一装着ヘッド43を移動させることが望ましい。しかしながら、第一装着ヘッド43を退避領域Aeまで退避させた後に、第二PPサイクルの採取処理における最初の採取位置Pa1まで移動させる移動経路は、例えば最後の移載位置Pcfから最初の採取位置Pa1まで直線的に移動させる移動経路と比較して経路長さが長くなる。そのため、第二PPサイクルの準備時間Tpが長くなることが懸念される。
一方で、例えば第一装着ヘッド43の移動経路を短く設定して作業ヘッド(第二装着ヘッド53)が移動可能な領域を狭くしても非干渉制御による制約が生じない場合がある。つまり、第一装着ヘッド43の移動を優先しても作業ヘッド(第二装着ヘッド53)による作業に影響しない場合や、影響したとしても第二PPサイクルのための準備時間Tpが短くなり準備が終わり次第、第二PPサイクルの移載処理を開始できる場合(即ち、第二移載待機時間Tm2が発生しない場合)がある。このように、作業ヘッド(第二装着ヘッド53)に対する第一装着ヘッド43の移動を優先すべきか否かについては、装着処理や作業ヘッド(第二装着ヘッド53)を用いた作業の内容によって変動し得る。
そこで、最適化装置90は、移動条件の候補に含まれる第一移動条件および第二移動条件のうち一方を設定する場合に、第一移動条件の作業時間および準備時間の長い方と、第二移動条件の作業時間および準備時間の長い方とを比較し、比較された時間のうち短い方に対応する移動条件を設定するこれにより、第一装着ヘッド43および作業ヘッド(第二装着ヘッド53)を用いた一連の作業に要するサイクルタイムを確実に短縮することができる。
【0106】
第一部品供給装置20は、第一部品供給装置である。第一装着ヘッド43は、第一部品供給装置により供給される電子部品を採取して回路基板Bdに移載する作業に用いられる第一装着ヘッドである。部品装着機1は、第一部品供給装置に対して回路基板Bdを挟んだ反対側に対向して設けられ、複数種類の電子部品を複数の供給位置Ps2において供給する第二部品供給装置(第二部品供給装置30)をさらに備える。作業ヘッド(第二装着ヘッド53)は、第二部品供給装置(第二部品供給装置30)により供給される電子部品を採取して回路基板Bdに移載する作業に用いられる第二装着ヘッドである。制御装置70は、第一装着ヘッド4(第一装着ヘッド43)を用いたPPサイクルの移載処理と、第二装着ヘッド(第二装着ヘッド53)を用いたPPサイクルの移載処理とを交互に実行する。条件設定部92は、第二装着ヘッド(第二装着ヘッド53)を用いた連続する2回のPPサイクルにおける移動経路の移動条件を設定する。
【0107】
部品装着機1は、互いにY軸方向に対向する2台の装着ヘッド(第一装着ヘッド43、第二装着ヘッド53)を備える。このような対向ロボットを備える部品装着機1は、2台の装着ヘッドの干渉を防止しつつ、それぞれの装着処理が効率的に実行されることが求められる。そこで、2台の装着ヘッドにより繰り返されるそれぞれのPPサイクルについて最適化を行うことによって、PPサイクルにおける移載時間と準備時間を短縮することが可能となり、全体として一連の作業に要するサイクルタイムを短縮することができる。
【符号の説明】
【0108】
1:部品装着機
10:基板搬送装置
20:第一部品供給装置
21:スロット、 22:リール保持部、 23:フィーダ
30:第二部品供給装置
31:スロット、 32:リール保持部、 33:フィーダ
40:第一部品移載装置
41:ヘッド駆動装置、 42:移動台
43:第一装着ヘッド、 44:吸着ノズル
50:第二部品移載装置
51:ヘッド駆動装置、 52:移動台、
53:第二装着ヘッド(作業ヘッド)、 54:吸着ノズル
61:第一部品カメラ、 62:第二部品カメラ
70:制御装置、 71:装着制御部、 72:非干渉制御部
80:管理装置
81:管理制御部、 82:記憶装置
90:最適化装置、 91:時間算出部、 92:条件設定部
Bd:回路基板
Mv1:(第一装着ヘッドの)可動領域
Mv2:(第二装着ヘッドの)可動領域
Ae:退避領域
Ps1,Ps2:供給位置、 Pa1~Paf:採取位置
Pc1~Pcf:移載位置
Tp:準備時間
Tp1:(作業優先条件の)第一準備時間
Tp2:(装着優先条件の)第二準備時間
Tm:移載待機時間
Tm1:(作業優先条件の)第一移載待機時間
Tm2:(装着優先条件の)第二移載待機時間
Tw:作業待機時間
Tw1:(作業優先条件の)第一作業待機時間
Tw2:(装着優先条件の)第二作業待機時間