(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-09
(45)【発行日】2024-04-17
(54)【発明の名称】ホスホロトリチオアートヌクレオシド間結合を含むオリゴヌクレオチド
(51)【国際特許分類】
C07H 21/00 20060101AFI20240410BHJP
A61K 31/7125 20060101ALI20240410BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20240410BHJP
A61P 7/00 20060101ALI20240410BHJP
C12N 15/11 20060101ALI20240410BHJP
C12N 15/113 20100101ALI20240410BHJP
C12N 15/10 20060101ALI20240410BHJP
C12N 5/10 20060101ALN20240410BHJP
【FI】
C07H21/00
A61K31/7125
A61P9/00
A61P7/00
C12N15/11 Z ZNA
C12N15/113 Z
C12N15/10 Z
C12N5/10
(21)【出願番号】P 2021505284
(86)(22)【出願日】2019-07-30
(86)【国際出願番号】 EP2019070406
(87)【国際公開番号】W WO2020025563
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2022-07-28
(32)【優先日】2018-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515129320
【氏名又は名称】ロシュ イノベーション センター コペンハーゲン エーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ブライヒャー コンラッド
(72)【発明者】
【氏名】コッホ トロルス
(72)【発明者】
【氏名】シェーブリン エイドリアン
(72)【発明者】
【氏名】ドゥシュメイル ヨルグ ヤコブ アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ドゥシュメイル マルティナ ブリジット
(72)【発明者】
【氏名】リ メイリング
(72)【発明者】
【氏名】コーラー エーリッヒ
【審査官】土橋 敬介
(56)【参考文献】
【文献】特表平10-503773(JP,A)
【文献】MILLER, G. P. et al.,Bioorganic & Medicinal Chemistry,2008年,16,p.56-64
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07H
A61K
C12N
CAplus/REGISTRY(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Scopus
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
の少なくとも1つのホスホロトリチオアートヌクレオシド間結合を含むオリゴヌクレオチドであって、
(A
1)が3’-ヌクレオシドであり、
(A
2)が5’-ヌクレオシドであり、かつ
Rが水素
、または
2-シアノエチルおよびメチルから選択されるリン酸保護基であ
り、
該ヌクレオシド(A
1
)および(A
2
)が両方ともLNAヌクレオシドである、
オリゴヌクレオチド。
【請求項2】
ホスホジエステルヌクレオシド間結合、ホスホロチオアートヌクレオシド間結合および請求項1で定義された式(I)のホスホロトリチオアートヌクレオシド間結合から選択されるさらなるヌクレオシド間結合を含む、請求項
1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項3】
ホスホロチオアートヌクレオシド間結合および請求項1で定義された式(I)のホスホロトリチオアートヌクレオシド間結合から選択されるさらなるヌクレオシド間結合を含む、請求項1
または2に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項4】
請求項1で定義された式(I)の1~15個、特に1~5個、より特には1、2、3、4または5個のホスホロトリチオアートヌクレオシド間結合を含む、請求項1
または2に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項5】
前記さらなるヌクレオシド間結合が、全て式-P(=S)(OR)O
2-のホスホロチオアートヌクレオシド間結合であり、式中、Rが、請求項1で定義された通りである、請求項1~
4のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項6】
DNAヌクレオシド、RNAヌクレオシドおよび糖修飾ヌクレオシドから選択されるさらなるヌクレオシドを含む、請求項1~
5のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項7】
1つ以上のヌクレオシドが核酸塩基修飾ヌクレオシドである、請求項1~
6のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項8】
アンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、マイクロRNA模倣物またはリボザイムである、請求項1~
7のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項9】
アンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチドである、請求項1~
8のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項10】
前記式(I)のホスホロトリチオアートヌクレオシド間結合が前記ギャップマーオリゴヌクレオチドのギャップ領域にある、請求項
9に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項11】
前記式(I)のホスホロトリチオアートヌクレオシド間結合が前記ギャップマーオリゴヌクレオチドの隣接領域にある、請求項
9に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項12】
前記ギャップマーオリゴヌクレオチドが、LNAギャップマー、混合ウイングギャップマー、または2’置換ギャップマー、特に2’-O-メトキシエチルギャップマーである、請求項
9~
11のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項13】
前記ギャップマーオリゴヌクレオチドが式5’-F-G-F’-3’の連続ヌクレオチド配列を含み、ここで、Gが、RnアーゼHを動員することができる5~18ヌクレオシドの領域であり、前記領域Gが、それぞれ隣接領域FおよびF’によって5’および3’に隣接しており、領域FおよびF’は、独立して、1~7つの2’糖修飾ヌクレオチドを含むか、またはそれからなり、領域Gに隣接する領域Fのヌクレオシドが2’糖修飾ヌクレオシドであり、領域Gに隣接する領域F’のヌクレオシドが2’糖修飾ヌクレオシドである、請求項
9~
12のいずれか一項に記載のギャップマーオリゴヌクレオチド。
【請求項14】
請求項1で定義された前記式(I)の少なくとも1つのホスホロトリチオアートヌクレオシド間結合が、領域Gの隣接するヌクレオシド間に、または領域Gと領域F’との間に配置されている、請求項
13に記載のギャップマーオリゴヌクレオチド。
【請求項15】
アンチセンスオリゴヌクレオチドミックスマーまたはトータルマー、特にスプライススイッチングオリゴヌクレオチドまたはマイクロRNA阻害剤オリゴヌクレオチドである、請求項1~
14のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項16】
請求項1~
15のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチドの医薬として許容され得る塩、特にナトリウム塩またはカリウム塩。
【請求項17】
請求項1~
16のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチドまたは医薬として許容され得る塩と、場合によりリンカー部分を介して、前記オリゴヌクレオチドまたは前記医薬として許容され得る塩に共有結合した少なくとも1つのコンジュゲート部分とを含む、コンジュゲート。
【請求項18】
請求項1~
17のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチド、医薬として許容され得る塩またはコンジュゲートと、治療上不活性である担体とを含む、医薬組成物。
【請求項19】
治療活性のある物質としての使用のための、請求項1~
17のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチド、医薬として許容され得る塩またはコンジュゲート。
【請求項20】
心臓または血液の疾患の処置または予防に使用するための、請求項1~
17のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチド、医薬として許容され得る塩またはコンジュゲート。
【請求項21】
心臓または血液の疾患の処置または予防のための薬剤の調製のための、請求項1~
17のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチド、医薬として許容され得る塩またはコンジュゲートの使用。
【請求項22】
請求項1~
17のいずれか一項に記載の
有効量のオリゴヌクレオチド、医薬として許容され得る塩またはコンジュゲート
を含む、心臓または血液の疾患の処置または予防のための
医薬組成物。
【請求項23】
請求項1~
17のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチドの製造のためのプロセスであって、以下のステップ:
(a)ヌクレオシドチオホスホルアミダイトを5’S修飾ヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドの末端5’硫黄原子にカップリングして、ジチオホスファイトトリエステル中間体を生成するステップ、
(b)ステップ(a)で得られた前記ジチオホスファイトトリエステル中間体をチオ酸化するステップ、および
(c)場合により前記オリゴヌクレオチドをさらに伸長させるステップ
を含む、プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式(I)の少なくとも1個のホスホロトリチオアートヌクレオシド間結合を含むオリゴヌクレオチドに関し、
式中、(A
1)は3’-ヌクレオシドであり、(A
2)は5’-ヌクレオシドであり、かつRは水素またはリン酸保護基である。
【背景技術】
【0002】
短い合成核酸は、治療薬として高い可能性を示している。1970年代後半の最初の概念実証研究で、未修飾のデオキシヌクレオチドがインビトロでウイルス産生を阻害することが実証されて以来(P.C.Zamecnik,M.L.Stephenson,Proc.Nat.Acad.Sci.USA 1978,75,280-284(非特許文献1))、化学修飾によって顕著な進歩が達成されている。核酸分解に対する感度が高いために、核酸のホスホジエステル骨格の安定化は、治療用オリゴヌクレオチドの化学的最適化の明らかな出発点であった。結果として、ホスホロチオアート(PS)(F.Eckstein,Antisense and Nucleic Acid Drug Development 2009,10,117-121(非特許文献2))、ホスホロジチオアート(例えば、W.T.Weisler,M.H.Caruthers,J.Org.Chem 1996,61,4272-4281.(非特許文献3))、ボラノホスファート(例えば、J.S.Summers,B.R.Shaw,Curr.Med.Chem.2001,8,1147-1155(非特許文献4))、(チオ)ホスホルアミダート(例えば、S.Gryaznov,T.Skorski,C.Cucco、M.Nieborowska-Skorska,C.Y.Chiu,D.Lloyd,J.Chen,M.Koziolkiewicz B.Calabretta,Nucleic Acids Res.1996,24,1508-1514.(非特許文献5))、およびメチルホスホナート(例えば、P.S.Sarin,S.Agrawal,M.P.Civeira,J.Goodchild,T.Ikeuchi,P.C.Zamecnik,Proc.Nat.Acad.Sci.USA 1988,20,7448-7451(非特許文献6))を含む広範な種々のリン酸修飾が検討されてきた。これらのリン酸類似体の中で、おそらく最も成功した修飾は、非架橋リン酸酸素原子の1つが硫黄に置き換えられているホスホロチオアートである。ヌクレアーゼに対するその高い安定性とその薬物動態上の利点により、ホスホロチオアートオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチド治療薬の第一世代となり、架橋型人工核酸(Locked Nucleic Acid(LNA))または2’-O-(2-メトキシエチル)-オリゴリボヌクレオチド(2’-MOE)などの後の世代のための修飾への道を切り開いてきた。
【0003】
しかしながら、ホスホジエステル結合をホスホロチオアートで置き換えると、リン原子にキラル中心がつくられる。結果として、これまでに承認された全てのオリゴヌクレオチド治療薬は、潜在的に異なる(かつおそらく反対の)物理化学的特性を有する大量のジアステレオ異性体化合物の混合物である。単一の立体化学的に定義されたホスホロチオアートオリゴヌクレオチドの立体特異的合成が今や可能である(N.Oka,M.Yamamoto,T.Sato,T.Wada,J.Am.Chem.Soc.2008,130,16031-16037(非特許文献7))が、膨大な数の可能なジアステレオ異性体の中で最適な特性を有する立体異性体を特定する課題を残している。この脈絡において、非キラルなチオリン酸結合の使用によるジアステレオ異性体の複雑性の低減は大いに関心対象である。オリゴヌクレオチドに導入されたあらゆる非キラル(チオ)リン酸結合は、複雑性を50%低減する。本発明者らは、種々のモノ、ジ、およびトリチオアートの特性を調べた。新規の対称性トリチオアートは、これらのうちであり、リン酸結合内で両末端の酸素原子と前のヌクレオチドのリボース糖部分の5’位にあるものとが硫黄によって置き換えられている(-O-P(S)2-S-結合)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】P.C.Zamecnik,M.L.Stephenson,Proc.Nat.Acad.Sci.USA 1978,75,280-284
【文献】F.Eckstein,Antisense and Nucleic Acid Drug Development 2009,10,117-121
【文献】W.T.Weisler,M.H.Caruthers,J.Org.Chem 1996,61,4272-4281.
【文献】J.S.Summers,B.R.Shaw,Curr.Med.Chem.2001,8,1147-1155
【文献】S.Gryaznov,T.Skorski,C.Cucco、M.Nieborowska-Skorska,C.Y.Chiu,D.Lloyd,J.Chen,M.Koziolkiewicz B.Calabretta,Nucleic Acids Res.1996,24,1508-1514.
【文献】P.S.Sarin,S.Agrawal,M.P.Civeira,J.Goodchild,T.Ikeuchi,P.C.Zamecnik,Proc.Nat.Acad.Sci.USA 1988,20,7448-7451
【文献】N.Oka,M.Yamamoto,T.Sato,T.Wada,J.Am.Chem.Soc.2008,130,16031-16037
【発明の概要】
【0005】
非常に驚くべきことに、このような対称トリチオアートをオリゴヌクレオチドに導入すると、混合物全体のジアステレオ異性体の複雑性が低減するだけでなく、治療特性が改善された分子を生じることも本発明者らは発見した。
[本発明1001]
式(I)
の少なくとも1つのホスホロトリチオアートヌクレオシド間結合を含むオリゴヌクレオチドであって、(A
1
)が3’-ヌクレオシドであり、(A
2
)が5’-ヌクレオシドであり、かつRが水素またはリン酸保護基である、オリゴヌクレオチド。
[本発明1002]
前記ヌクレオシド(A
1
)が、DNAヌクレオシド、RNAヌクレオシド、または糖修飾ヌクレオシドである、本発明1001のオリゴヌクレオチド。
[本発明1003]
前記ヌクレオシド(A
1
)が、DNAヌクレオシドまたは糖修飾ヌクレオシドである、本発明1001または1002のオリゴヌクレオチド。
[本発明1004]
前記ヌクレオシド(A
2
)が、DNAヌクレオシド、RNAヌクレオシド、または糖修飾ヌクレオシドである、本発明1001~1003のいずれかのオリゴヌクレオチド。
[本発明1005]
前記ヌクレオシド(A
2
)が、DNAヌクレオシドまたは糖修飾ヌクレオシドである、本発明1001~1004のいずれかのオリゴヌクレオチド。
[本発明1006]
前記糖修飾ヌクレオシドが、2’糖修飾ヌクレオシドである、本発明1002~1005のいずれかのオリゴヌクレオチド。
[本発明1007]
前記ヌクレオシド(A
2
)が、2’-アルコキシ-RNA、特に2’-メトキシ-RNA、2’-アルコキシアルコキシ-RNA、特に2’-メトキシエトキシ-RNA、2’-アミノ-DNA、2’-フルオロ-RNAまたは2’-フルオロ-ANAである、本発明1001~1006のいずれかのオリゴヌクレオチド。
[本発明1008]
前記ヌクレオシド(A
2
)が、LNAヌクレオシドである、本発明1001~1006のいずれかのオリゴヌクレオチド。
[本発明1009]
前記LNAヌクレオシドが、β-D-オキシLNA、6’-メチル-β-D-オキシLNAおよびENAから独立して選択され、特にβ-D-オキシLNAである、本発明1008のオリゴヌクレオチド。
[本発明1010]
前記ヌクレオシド(A
1
)および(A
2
)の少なくとも一方が2’-アルコキシアルコキシ-RNAである、本発明1001のオリゴヌクレオチド。
[本発明1011]
前記2’-アルコキシアルコキシ-RNAが2’-メトキシエトキシ-RNAである、本発明1010のオリゴヌクレオチド。
[本発明1012]
ヌクレオシド(A
1
)および(A
2
)が両方ともDNAヌクレオシドまたは両方とも2’糖修飾ヌクレオシドヌクレオシド、特にLNAヌクレオシドである、本発明1001のオリゴヌクレオチド。
[本発明1013]
ホスホジエステルヌクレオシド間結合、ホスホロチオアートヌクレオシド間結合および本発明1001で定義された式(I)のホスホロトリチオアートヌクレオシド間結合から選択されるさらなるヌクレオシド間結合を含む、本発明1001~1012のいずれかのオリゴヌクレオチド。
[本発明1014]
ホスホロチオアートヌクレオシド間結合および本発明1001で定義された式(I)のホスホロトリチオアートヌクレオシド間結合から選択されるさらなるヌクレオシド間結合を含む、本発明1001~1013のいずれかのオリゴヌクレオチド。
[本発明1015]
本発明1001で定義された式(I)の1~15個、特に1~5個、より特には1、2、3、4または5個のホスホロトリチオアートヌクレオシド間結合を含む、本発明1001~1013のいずれかのオリゴヌクレオチド。
[本発明1016]
前記さらなるヌクレオシド間結合が、全て式-P(=S)(OR)O
2
-のホスホロチオアートヌクレオシド間結合であり、式中、Rが、本発明1001で定義された通りである、本発明1001~1015のいずれかのオリゴヌクレオチド。
[本発明1017]
DNAヌクレオシド、RNAヌクレオシドおよび糖修飾ヌクレオシドから選択されるさらなるヌクレオシドを含む、本発明1001~1016のいずれかのオリゴヌクレオチド。
[本発明1018]
1つ以上のヌクレオシドが核酸塩基修飾ヌクレオシドである、本発明1001~1017のいずれかのオリゴヌクレオチド。
[本発明1019]
アンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、マイクロRNA模倣物またはリボザイムである、本発明1001~1018のいずれかのオリゴヌクレオチド。
[本発明1020]
アンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチドである、本発明1001~1019のいずれかのオリゴヌクレオチド。
[本発明1021]
前記式(I)のホスホロトリチオアートヌクレオシド間結合が前記ギャップマーオリゴヌクレオチドのギャップ領域にある、本発明1020のオリゴヌクレオチド。
[本発明1022]
前記式(I)のホスホロトリチオアートヌクレオシド間結合が前記ギャップマーオリゴヌクレオチドの隣接領域にある、本発明1020のオリゴヌクレオチド。
[本発明1023]
前記ギャップマーオリゴヌクレオチドが、LNAギャップマー、混合ウイングギャップマー、または2’置換ギャップマー、特に2’-O-メトキシエチルギャップマーである、本発明1020~1022のいずれかのオリゴヌクレオチド。
[本発明1024]
前記ギャップマーオリゴヌクレオチドが式5’-F-G-F’-3’の連続ヌクレオチド配列を含み、ここで、Gが、RnアーゼHを動員することができる5~18ヌクレオシドの領域であり、前記領域Gが、それぞれ隣接領域FおよびF’によって5’および3’に隣接しており、領域FおよびF’は、独立して、1~7つの2’糖修飾ヌクレオチドを含むか、またはそれからなり、領域Gに隣接する領域Fのヌクレオシドが2’糖修飾ヌクレオシドであり、領域Gに隣接する領域F’のヌクレオシドが2’糖修飾ヌクレオシドである、本発明1020~1023のいずれかのギャップマーオリゴヌクレオチド。
[本発明1025]
本発明1001で定義された前記式(I)の少なくとも1つのホスホロトリチオアートヌクレオシド間結合が、領域Gの隣接するヌクレオシド間に、または領域Gと領域F’との間に配置されている、本発明1024のギャップマーオリゴヌクレオチド。
[本発明1026]
アンチセンスオリゴヌクレオチドミックスマーまたはトータルマー、特にスプライススイッチングオリゴヌクレオチドまたはマイクロRNA阻害剤オリゴヌクレオチドである、本発明1001~1025のいずれかのオリゴヌクレオチド。
[本発明1027]
本発明1001~1026のいずれかのオリゴヌクレオチドの医薬として許容され得る塩、特にナトリウム塩またはカリウム塩。
[本発明1028]
本発明1001~1027のいずれかのオリゴヌクレオチドまたは医薬として許容され得る塩と、場合によりリンカー部分を介して、前記オリゴヌクレオチドまたは前記医薬として許容され得る塩に共有結合した少なくとも1つのコンジュゲート部分とを含む、コンジュゲート。
[本発明1029]
本発明1001~1028のいずれかのオリゴヌクレオチド、医薬として許容され得る塩またはコンジュゲートと、治療上不活性である担体とを含む、医薬組成物。
[本発明1030]
治療活性のある物質としての使用のための、本発明1001~1028のいずれかのオリゴヌクレオチド、医薬として許容され得る塩またはコンジュゲート。
[本発明1031]
心臓または血液の疾患の処置または予防に使用するための、本発明1001~1028のいずれかのオリゴヌクレオチド、医薬として許容され得る塩またはコンジュゲート。
[本発明1032]
心臓または血液の疾患の処置または予防のための薬剤の調製のための、本発明1001~1028のいずれかのオリゴヌクレオチド、医薬として許容され得る塩またはコンジュゲートの使用。
[本発明1033]
心臓または血液の疾患の処置または予防における、本発明1001~1028のいずれかのオリゴヌクレオチド、医薬として許容され得る塩またはコンジュゲートの使用。
[本発明1034]
その必要がある患者に、有効量の本発明1001~1028のいずれかのオリゴヌクレオチド、医薬として許容され得る塩またはコンジュゲートを投与することを含む、心臓または血液の疾患の処置または予防のための方法。
[本発明1035]
本発明1001~1028のいずれかのオリゴヌクレオチドの製造のためのプロセスであって、以下のステップ:
(a)ヌクレオシドチオホスホルアミダイトを5’S修飾ヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドの末端5’硫黄原子にカップリングして、ジチオホスファイトトリエステル中間体を生成するステップ、
(b)ステップ(a)で得られた前記ジチオホスファイトトリエステル中間体をチオ酸化するステップ、および
(c)場合により前記オリゴヌクレオチドをさらに伸長させるステップ
を含む、プロセス。
[本発明1036]
本発明1035のプロセスによって製造されたオリゴヌクレオチド。
[本発明1037]
先に説明したような本発明。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、LTK細胞におけるMalat-1の低減についてのIC50値を示している示している。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書において、用語「アルキル」は、単独または組み合わせで、1~8個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキル基、特に1~6個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキル基、より特には1~4個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキル基を意味する。直鎖および分岐鎖C1-C8 アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert.-ブチル、異性体ペンチル、異性体ヘキシル、異性体ヘプチルおよび異性体オクチル、特にメチル、エチル、プロピル、ブチルおよびペンチルである。アルキルの詳しい例は、メチル、エチルおよびプロピルである。
【0008】
用語「シクロアルキル」は、単独または組み合わせで、3~8個の炭素原子を有するシクロアルキル環、特に3~6個の炭素原子を有するシクロアルキル環を意味する。シクロアルキルの例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチル、より特にはシクロプロピルおよびシクロブチルである。「シクロアルキル」の詳しい例は、シクロプロピルである。
【0009】
用語「アルコキシ」は、単独または組み合わせで、式アルキル-O-の基を意味し、用語「アルキル」は、以前付与した意味、例えばメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、sec.ブトキシおよびtert.ブトキシを意味する。詳しい「アルコキシ」は、メトキシおよびエトキシである。メトキシエトキシは、「アルコキシアルコキシ」の詳しい例である。
【0010】
用語「オキシ」は、単独または組み合わせで、-O-基を意味する。
【0011】
用語「アルケニル」は、単独または組み合わせで、オレフィン結合と、8個まで、好ましくは6個まで、特に好ましくは4個までの炭素原子を含む直鎖または分岐鎖炭化水素残基を意味する。アルケニル基の例は、エテニル、1-プロペニル、2-プロペニル、イソプロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニルおよびイソブテニルである。
【0012】
用語「アルキニル」は、単独または組み合わせで、三重結合と、8個まで、特に2個の炭素原子を含む直鎖または分岐鎖炭化水素残基を意味する。
【0013】
用語「ハロゲン」または「ハロ」は、単独または組み合わせで、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素、特にフッ素、塩素または臭素、より特にはフッ素を意味する。用語「ハロ」は、別の基と組合わせて、少なくとも1つのハロゲン、特に1~5個のハロゲン、特に1~4個のハロゲン、すなわち1個、2個、3個、または4個のハロゲンで置換された該基の置換を示す。
【0014】
用語「ハロアルキル」は、単独または組み合わせで、少なくとも1つのハロゲンで置換された、特に1~5個のハロゲン、特に1~3個のハロゲンで置換されたアルキル基を意味する。ハロアルキルの例には、モノフルオロ-、ジフルオロ-またはトリフルオロ-メチル、-エチルまたは-プロピル、例えば3,3,3-トリフルオロプロピル、2-フルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、フルオロメチルまたはトリフルオロメチルが含まれる。詳しい「ハロアルキル」は、フルオロメチル、ジフルオロメチルおよびトリフルオロメチルである。
【0015】
用語「ハロシクロアルキル」は、単独または組み合わせで、少なくとも1つのハロゲンで置換された、特に1~5個のハロゲン、特に1~3個のハロゲンで置換された、上記に定義したシクロアルキル基を意味する。用語「ハロシクロアルキル」の詳しい例は、ハロシクロプロピル、特にフルオロシクロプロピル、ジフルオロシクロプロピルおよびトリフルオロシクロプロピルである。
【0016】
用語「ヒドロキシル」および「ヒドロキシ」は、単独または組み合わせで、-OH基を意味する。
【0017】
用語「チオヒドロキシル」および「チオヒドロキシ」は、単独または組み合わせで、-SH基を意味する。
【0018】
用語「カルボニル」は、単独または組み合わせで、-C(O)-基を意味する。
【0019】
用語「カルボキシ」または「カルボキシル」は、単独または組み合わせで、-COOH基を意味する。
【0020】
用語「アミノ」は、単独または組み合わせで、第1級アミノ基(-NH2)、第2級アミノ基(-NH-)、または第3級アミノ基(-N-)を意味する。
【0021】
用語「アルキルアミノ」は、単独または組み合わせで、1個または2個の上記に定義したアルキル基で置換された、上記に定義したアミノ基を意味する。
【0022】
用語「スルホニル」は、単独または組み合わせで、-SO2基を意味する。
【0023】
用語「スルフィニル」は、単独または組み合わせで、-SO-基を意味する。
【0024】
用語「スルファニル」は、単独または組み合わせで、-S-基を意味する。
【0025】
用語「シアノ」は、単独または組み合わせで、-CN基を意味する。
【0026】
用語「アジド」は、単独または組み合わせで、-N3基を意味する。
【0027】
用語「ニトロ」は、単独または組み合わせで、NO2基を意味する。
【0028】
用語「ホルミル」は、単独または組み合わせで、-C(O)H基を意味する。
【0029】
用語「カルバモイル」は、単独または組み合わせで、-C(O)NH2基を意味する。
【0030】
用語「カバミド」は、単独または組み合わせで、-NH-C(O)-NH2基を意味する。
【0031】
用語「アリール」は、単独または組み合わせで、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルケニルオキシ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルおよびホルミルから独立して選択される1~3個の置換基で場合により置換された、6~10個の炭素環原子を含む、一価芳香族炭素環式単環または二環式環系を示す。アリールの例には、フェニルおよびナフチル、特にフェニルが含まれる。
【0032】
用語「ヘテロアリール」は、単独または組み合わせで、N、OおよびSから選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を含み、残りの環原子は、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルケニルオキシ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルおよびホルミルから独立して選択される1~3個の置換基で場合により置換された炭素である、5~12個の環原子の一価芳香族複素環式単環または二環式環系を示す。ヘテロアリールの例には、ピロリル、フラニル、チエニル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、トリアゾニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、テトラゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、トリアジニル、アゼピニル、ジアゼピニル、イソオキサゾリル、ベンゾフラニル、イソチアゾリル、ベンゾチエニル、インドリル、イソインドリル、イソベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾトリアゾリル、プリニル、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、カルバゾリルまたはアクリジニルが含まれる。
【0033】
用語「ヘテロシクリル」は、単独または組み合わせで、N、OおよびSから選択される1、2、3または4個の環ヘテロ原子を含み、残りの環原子は、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルケニルオキシ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルおよびホルミルから独立して選択される1~3個の置換基で場合により置換された炭素である、4~12個、特に4~9個の環原子の一価飽和または部分不飽和の単環式または二環式環系を意味する。単環式飽和ヘテロシクリルの例には、アゼチジニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロ-チエニル、ピラゾリジニル、イミダゾリジニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリル、チアゾリジニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、1,1-ジオキソ-チオモルホリン-4-イル、アゼパニル、ジアゼパニル、ホモピペラジニル、またはオキサゼパニルが含まれる。二環式飽和ヘテロシクロアルキルの例は、8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクチル、キヌクリジニル、8-オキサ-3-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクチル、9-アザ-ビシクロ[3.3.1]ノニル、3-オキサ-9-アザ-ビシクロ[3.3.1]ノニル、または3-チア-9-アザ-ビシクロ[3.3.1]ノニルである。部分不飽和ヘテロシクロアルキルの例は、ジヒドロフリル、イミダゾリニル、ジヒドロ-オキサゾリル、テトラヒドロ-ピリジニルまたはジヒドロピラニルである。
【0034】
「医薬として許容され得る塩」という用語は、生物学的にまたは別様に望ましくないものではない、遊離塩基または遊離酸の生物学的な有効性および特性を保有する塩を指す。塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸、特に塩酸、および酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸、N-アセチルシステインなどの有機酸と共に形成される。加えて、これらの塩は、無機塩基または有機塩基を遊離酸に加えることにより調製され得る。無機塩基から誘導される塩には、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム塩が含まれるがこれらに限定されない。有機塩基から誘導される塩には、第1級、第2級、および第3級アミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環式アミンおよび塩基性イオン交換樹脂、例えばイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、リシン、アルギニン、N-エチルピペリジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂の塩が含まれるがこれらに限定されない。本発明のオリゴヌクレオチドは、双性イオンの形態で存在することもできる。本発明の特に好ましい医薬として許容され得る塩は、ナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩およびトリアルキルアンモニウム塩である。
【0035】
用語「保護基」は、単独または組み合わせで、化学反応が他の非保護の反応性部位で選択的に行われることができるように、多官能化合物の反応性部位を選択的に遮断する基を意味する。保護基は、除去することができる。例示的な保護基は、アミノ保護基、カルボキシ保護基またはヒドロキシ保護基である。
【0036】
「リン酸保護基」は、リン酸基の保護基である。リン酸保護基の例は、2-シアノエチルおよびメチルである。リン酸保護基の詳しい例は、2-シアノエチルである。
【0037】
「ヒドロキシル保護基」は、ヒドロキシル基の保護基であり、チオール基を保護するためにも使用される。ヒドロキシル保護基の例は、アセチル(Ac)、ベンゾイル(Bz)、ベンジル(Bn)、β-メトキシエトキシメチルエーテル(MEM)、ジメトキシトリチル(またはビス-(4-メトキシフェニル)フェニルメチル)(DMT)、トリメトキシトリチル(またはトリス-(4-メトキシフェニル)フェニルメチル)(TMT)、メトキシメチルエーテル(MOM)、メトキシトリチル[(4-メトキシフェニル)ジフェニルメチル(MMT)、p-メトキシベンジルエーテル(PMB)、メチルチオメチルエーテル、ピバロイル(Piv)、テトラヒドロピラニル(THP)、テトラヒドロフラン(THF)、トリチルまたはトリフェニルメチル(Tr)、シリルエーテル(例えば、トリメチルシリル(TMS)、tert-ブチルジメチルシリル(TBDMS)、トリ-イソ-プロピルシリルオキシメチル(TOM)およびトリイソプロピルシリル(TIPS)エーテル)、メチルエーテルおよびエトキシエチルエーテル(EE)である。ヒドロキシル保護基の詳しい例は、DMTおよびTMT、特にDMTである。
【0038】
「チオヒドロキシル保護基」は、チオヒドロキシル基の保護基である。チオヒドロキシル保護基の例は、「ヒドロキシル保護基」のものである。
【0039】
本発明の出発物質または出発化合物のうち1つが、1つ以上の反応ステップの反応条件下で安定でないかまたは反応性である1つ以上の官能基を含む場合、適切な保護基(例えば、「Protective Groups in Organic Chemistry」by T.W.Greene and P.G.M.Wuts,3rd Ed.,1999,Wiley,New Yorkに説明されているもの)を、当技術分野で周知の重要なステップ適用方法の前に導入することができる。このような保護基は、文献に説明する標準的な方法を用いて、合成の後の段階で除去することができる。保護基の例は、tert-ブトキシカルボニル(Boc)、9-フルオレニルメチルカルバメート(Fmoc)、2-トリメチルシリルエチルカルバメート(Teoc)、カルボベンジルオキシ(Cbz)およびp-メトキシベンジルオキシカルボニル(Moz)である。
【0040】
本明細書に説明される化合物は、数個の不斉中心を含むことができ、光学的に純粋なエナンチオマー、例えばラセミ体などのエナンチオマーの混合物、ジアステレオ異性体の混合物、ジアステレオ異性体ラセミ体またはジアステレオ異性体ラセミ体の混合物として存在することができる。
【0041】
オリゴヌクレオチド
用語「オリゴヌクレオチド」とは、本明細書で使用される場合、それが当業者により、2つ以上の共有結合したヌクレオシドを含む分子として一般的に理解されているように定義される。このような共有結合ヌクレオシドは、核酸分子またはオリゴマーとも称され得る。オリゴヌクレオチドは、通常、固相化学合成と、その後の精製によって研究室内で作製される。オリゴヌクレオチドの配列に言及する場合、共有結合したヌクレオチドまたはヌクレオシドの核酸塩基部分の配列もしくは順序、またはその修飾が参照される。本発明のオリゴヌクレオチドは、人工であり、化学的に合成され、典型的には精製または単離される。本発明のオリゴヌクレオチドは、1つ以上の修飾ヌクレオシドまたはヌクレオチドを含んでもよい。
【0042】
アンチセンスオリゴヌクレオチド
本明細書で使用される用語「アンチセンスオリゴヌクレオチド」は、標的核酸、特に標的核酸上の連続配列にハイブリダイズすることによって標的遺伝子の発現を調節することができるオリゴヌクレオチドとして定義される。アンチセンスオリゴヌクレオチドは本質的に二本鎖ではなく、したがってsiRNAまたはshRNAではない。好ましくは、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは一本鎖である。本発明の一本鎖オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの完全長にわたって内部(intra)または相互(inter)の自己相補性の程度が50%未満である限り、ヘアピンまたは分子間二重鎖構造(同じオリゴヌクレオチドの2分子間の二重鎖)を形成できることが理解される。
【0043】
連続ヌクレオチド配列
用語「連続ヌクレオチド配列」は、標的核酸に相補的なオリゴヌクレオチドの領域を指す。この用語は、本明細書で用語「連続核酸塩基配列」および用語「オリゴヌクレオチドモチーフ配列」と互換的に使用される。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドの全ヌクレオチドは、連続ヌクレオチド配列を構成する。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、連続ヌクレオチド配列、例えばF-G-F’ギャップマー領域を含み、場合によりさらなるヌクレオチド、例えば、官能基を連続ヌクレオチド配列に結合するのに使用され得るヌクレオチドリンカー領域を含んでもよい。ヌクレオチドリンカー領域は、標的核酸に相補的であっても相補的でなくてもよい。
【0044】
ヌクレオチド
ヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドおよびポリヌクレオチドの構成要素であり、本発明の目的のために、天然に存在するヌクレオチドおよび非天然のヌクレオチドの両方を含む。天然では、DNAヌクレオチドおよびRNAヌクレオチドなどのヌクレオチドは、リボース糖部分、核酸塩基部分、および1つ以上のリン酸基(ヌクレオシドには存在しない)を含む。ヌクレオシドおよびヌクレオチドはまた、「単位」または「モノマー」と互換的に称されてもよい。
【0045】
修飾ヌクレオシド
本明細書で使用される用語「修飾ヌクレオシド」または「ヌクレオシド修飾」は、等価のDNAヌクレオシドまたはRNAヌクレオシドと比較して、糖部分または(核酸)塩基部分の1つ以上の修飾の導入によって修飾されたヌクレオシドを指す。好ましい実施形態では、修飾ヌクレオシドは、修飾された糖部分を含む。用語修飾ヌクレオシドはまた、用語「ヌクレオシド類似体」または修飾「単位」または修飾「モノマー」と互換的に使用されてもよい。非修飾DNAまたはRNA糖部分を有するヌクレオシドは、本明細書でDNAまたはRNAヌクレオシドと称される。DNAまたはRNAヌクレオシドの塩基領域における修飾を有するヌクレオシドは、Watson Crick塩基対形成が可能であれば、依然として一般にDNAまたはRNAと称される。
【0046】
修飾ヌクレオシド間結合
用語「修飾ヌクレオシド間結合」は、2つのヌクレオシドを互いに共有結合する、ホスホジエステル(PO)結合以外の結合として当業者により一般的に理解されるように定義される。したがって、本発明のオリゴヌクレオチドは、修飾ヌクレオシド間結合を含み得る。いくつかの実施形態では、修飾ヌクレオシド間結合は、ホスホジエステル結合と比較して、オリゴヌクレオチドのヌクレアーゼ耐性を増大させる。天然に存在するオリゴヌクレオチドの場合、ヌクレオシド間結合は、隣接するヌクレオシド間のホスホジエステル結合を形成するリン酸基を含む。修飾ヌクレオシド間結合は、インビボ使用のためのオリゴヌクレオチドの安定化に特に有用であり、本発明のオリゴヌクレオチドのDNAまたはRNAヌクレオシドの領域、例えばギャップマーオリゴヌクレオチドのギャップ領域内、ならびに領域FおよびF’などの修飾ヌクレオシドの領域におけるヌクレアーゼ切断から保護する役割を果たし得る。
【0047】
一実施形態では、オリゴヌクレオチドは、1つ以上の修飾ヌクレオシド間結合が、例えばヌクレアーゼ攻撃に対してより耐性であるように、天然のホスホジエステルから修飾された1つ以上のヌクレオシド間結合を含む。ヌクレアーゼ耐性は、オリゴヌクレオチドを血清中でインキュベートすることにより、またはヌクレアーゼ耐性アッセイ(例えばヘビ毒ホスホジエステラーゼ(SVPD))を用いることにより決定することができ、これらの両方は当技術分野で周知である。オリゴヌクレオチドのヌクレアーゼ耐性を増強することができるヌクレオシド間結合は、ヌクレアーゼ耐性ヌクレオシド間結合と呼ばれる。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチド、またはその連続ヌクレオチド配列の少なくとも50%のヌクレオシド間結合が修飾され、例えばオリゴヌクレオチド、またはその連続ヌクレオチド配列の少なくとも60%、例えば少なくとも70%、例えば少なくとも80または例えば少なくとも90%のヌクレオシド間結合が、ヌクレアーゼ耐性ヌクレオシド間結合である。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチド、またはその連続ヌクレオチド配列のヌクレオシド間結合の全部がヌクレアーゼ耐性ヌクレオシド間結合である。いくつかの実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドを非ヌクレオチド官能基、例えばコンジュゲートを結合するヌクレオシドは、ホスホジエステルであり得ることが認識されるであろう。
【0048】
本発明のオリゴヌクレオチドで使用するための好ましい修飾ヌクレオシド間結合は、ホスホロチオアートである。
【0049】
ホスホロチオアートヌクレオシド間結合は、ヌクレアーゼ耐性、有益な薬物動態および製造の容易さのために特に有用である。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチド、またはその連続ヌクレオチド配列の少なくとも50%のヌクレオシド間結合がホスホロチオアートであり、例えばオリゴヌクレオチド、またはその連続ヌクレオチド配列の少なくとも60%、例えば少なくとも70%、例えば少なくとも80%または例えば少なくとも90%のヌクレオシド間結合が、ホスホロチオアートである。いくつかの実施形態では、ホスホロトリチオアートヌクレオシド間結合以外に、オリゴヌクレオチド、またはその連続ヌクレオチド配列のヌクレオシド間結合の全てがホスホロチオアートである。いくつかの実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドは、ホスホロトリチオアート結合(複数可)に加えて、ホスホロチオアートヌクレオシド間結合と少なくとも1つのホスホジエステル結合、例えば2、3または4個のホスホジエステル結合の両方を含む。ギャップマーオリゴヌクレオチドでは、ホスホジエステル結合は、存在する場合、ギャップ領域G内の連続DNAヌクレオシド間に適切には位置しない。
【0050】
ホスホロチオアート結合などのヌクレアーゼ耐性結合は、標的核酸と二重鎖を形成するときにヌクレアーゼを動員することができるオリゴヌクレオチド領域、例えばギャップマーの領域Gにおいて特に有用である。しかしながら、ホスホロチオアート結合は、非ヌクレアーゼ動員領域および/または親和性増強領域、例えばギャップマーの領域FおよびF’においても有用であり得る。ギャップマーオリゴヌクレオチドは、いくつかの実施形態では、領域FもしくはF’、または領域FおよびF’の両方に1つ以上のホスホジエステル結合を含んでもよく、領域Gのヌクレオシド間結合は、完全にホスホロチオアートであり得る。
【0051】
有利な方法では、オリゴヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列中の全ヌクレオシド間結合、またはオリゴヌクレオチドの全ヌクレオシド間結合が、ホスホロチオアート結合である。
【0052】
欧州特許第2742135号に開示されているように、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、他のヌクレオシド間結合(ホスホジエステルおよびホスホロチオアート以外の)、例えばアルキルホスホナート/メチルホスホナートヌクレオシド間結合を含んでもよいことが認識されており、これは欧州特許第2742135号によれば、例えば、別のDNAホスホロチオアートのギャップ領域内で耐性であり得る。
【0053】
立体的にランダムなホスホロチオアート結合
ホスホロチオアート結合は、非架橋酸素の1つが硫黄で置換されているヌクレオシド間リン酸結合である。非架橋酸素の1つを硫黄で置換すると、キラル中心が導入され、したがって単一のホスホロチオアートオリゴヌクレオチド内で、各ホスホロチオアートヌクレオシド間結合はS(Sp)またはR(Rp)立体アイソフォームのいずれかになる。このようなヌクレオシド間結合は、「キラルヌクレオシド間結合」と呼ばれる。それと比較して、ホスホジエステルヌクレオシド間結合は、2つの非末端酸素原子を有しているため、非キラルである。
【0054】
立体中心のキラリティーの指定は、Cahn,R.S.;Ingold,C.K.;Prelog,V.(1966)「Specification of Molecular Chirality」Angewandte Chemie International Edition 5(4):385-415.doi:10.1002/anie.196603851.で最初に公開された標準的なCahn-Ingold-Prelog則(CIP順位則)によって決定される。
【0055】
標準的なオリゴヌクレオチド合成中、カップリングの立体選択性とそれに続く硫化は制御されていない。このため、各ホスホロチオアートヌクレオシド間結合の立体化学はランダムにSpまたはRpであり、したがって従来のオリゴヌクレオチド合成によって生成されたホスホロチオアートオリゴヌクレオチドは、実際には2Xもの異なるホスホロチオアートジアステレオ異性体に存在し得、ここで、Xは、ホスホロチオアートヌクレオシド間結合の数である。このようなオリゴヌクレオチドは、本明細書では立体的にランダムなホスホロチオアートオリゴヌクレオチドと呼ばれ、いずれの立体的に規定されたヌクレオシド間結合も含有しない。したがって、立体的にランダムなホスホロチオアートオリゴヌクレオチドは、立体的に規定されていない合成に由来する個々のジアステレオ異性体の混合物である。これに関連して、混合物は最大2Xの異なるホスホロチオアートジアステレオ異性体として定義される。
【0056】
立体的に規定されたヌクレオシド間結合
立体的に規定されたヌクレオシド間結合は、その2つのジアステレオ異性形態であるRpまたはSpの一方に対してジアステレオ異性体過剰率を有するキラルなヌクレオシド間結合である。
【0057】
当技術分野で使用される立体選択的オリゴヌクレオチド合成法は、典型的には、各キラルヌクレオシド間結合において少なくとも約90%または少なくとも約95%のジアステレオ選択性を提供することが認識されるものとし、したがってオリゴヌクレオチド分子の最大約10%、例えば約5%が代替ジアステレオ異性形態を有していてもよい。
【0058】
いくつかの実施形態では、立体的に規定されたキラルな各ヌクレオシド間結合のジアステレオ異性体比は、少なくとも約90:10である。いくつかの実施形態では、キラルな各ヌクレオシド間結合のジアステレオ異性体比は、少なくとも約95:5である。
【0059】
立体的に規定されたホスホロチオアート結合は、立体的に規定されたヌクレオシド間結合の詳しい例である。
【0060】
立体的に規定されたホスホロチオアート結合
立体的に規定されたホスホロチオアート結合は、その2つのジアステレオ異性形態であるRpまたはSpの一方に対してジアステレオマー過剰率を有するホスホロチオアート結合である。
【0061】
ホスホロチオアートヌクレオシド間結合のRp配置およびSp配置を以下に示す:
式中、3’R基は、隣接するヌクレオシド(5’ヌクレオシド)の3’位を表し、5’R基は、隣接するヌクレオシド(3’ヌクレオシド)の5’位を表す。
【0062】
本明細書では、Rpヌクレオシド間結合はsrPとして表すこともでき、Spヌクレオシド間結合はssPとして表すことができる。
【0063】
詳しい実施形態では、立体的に規定された各ホスホロチオアート結合のジアステレオマー比は、少なくとも約90:10または少なくとも95:5である。
【0064】
いくつかの実施形態では、立体的に規定された各ホスホロチオアート結合のジアステレオマー比は、少なくとも約97:3である。いくつかの実施形態では、立体的に規定された各ホスホロチオアート結合のジアステレオマー比は、少なくとも約98:2である。いくつかの実施形態では、立体的に規定された各ホスホロチオアート結合のジアステレオマー比は、少なくとも約99:1である。
【0065】
いくつかの実施形態では、立体的に規定されたヌクレオシド間結合は、オリゴヌクレオチド分子の集団に存在するオリゴヌクレオチド分子の少なくとも97%、例えば少なくとも98%、例えば少なくとも99%、または(本質的に)全てが同じジアステレオマー形態(RpまたはSp)である。
【0066】
ジアステレオマーの純度は、アキラルな骨格(すなわち、ホスホジエステル)のみを有するモデル系で測定することができる。各モノマーのジアステレオマー純度は、例えば、立体的に規定されたヌクレオシド間結合を有するモノマーを以下のモデルシステム「5’ t-po-t-po-t-po 3’」にカップリングすることによって測定することができる。この結果は次のようになる:5’ DMTr-t-srp-t-po-t-po-t-po 3’または5’ DMTr-t-ssp-t-po-t-po-t-po 3’であって、これらはHPLCを使用して分離することができる。ジアステレオマーの純度は、2つの可能なジアステレオ異性体からのUV信号を積分し、これらの比、例えば、98:2、99:1または>99:1を与えることによって決定される。
【0067】
具体的な単一のジアステレオ異性体(単一の立体的に規定されたオリゴヌクレオチド分子)のジアステレオマー純度は、各ヌクレオシド間位置での定義された立体中心に対するカップリング選択性、および導入されるべき立体的に規定されたヌクレオシド間結合の数の関数であることが理解されるであろう。例として、各位置でのカップリング選択性が97%である場合、15個の立体的に規定されたヌクレオシド間結合を有する立体的に規定されたオリゴヌクレオチドの結果として生じる純度は、0.9715となり、すなわち、他のジアステレオ異性体の37%と比較して所望のジアステレオ異性体の63%である。定義されたジアステレオ異性体の純度は、合成後、例えば、イオン交換クロマトグラフィーまたは逆相クロマトグラフィーなどのHPLCによる精製によって改善することができる。
【0068】
いくつかの実施形態では、立体的に規定されたオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの集団であって、該集団の少なくとも約40%、例えば少なくとも約50%が所望のジアステレオ異性体であるものを指す。
【0069】
別様に記載すると、いくつかの実施形態では、立体的に規定されたオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの集団であって、該集団の少なくとも約40%、例えば少なくとも約50%が所望の(特定の)立体的に規定されたヌクレオシド間結合モチーフ(立体的に規定されたモチーフとも称される)からなるものを指す。
【0070】
立体的にランダムなおよび立体的に規定されたヌクレオシド間キラル中心の両方を含む立体的に規定されたオリゴヌクレオチドの場合、立体的に規定されたオリゴヌクレオチドの純度は、所望の立体的に規定されたヌクレオシド間結合モチーフ(複数可)を保有するオリゴヌクレオチドの集団の%に関して決定され、立体的にランダムな結合は計算上無視される。
【0071】
核酸塩基
核酸塩基という用語は、ヌクレオシドおよびヌクレオチドに存在するプリン(例えば、アデニンおよびグアニン)ならびにピリミジン(例えば、ウラシル、チミンおよびシトシン)部分を包含し、これらは核酸ハイブリダイゼーションにおいて水素結合を形成する。本発明の文脈において、核酸塩基という用語は、天然に存在する核酸塩基とは異なり得るが、核酸ハイブリダイゼーション中に機能的である修飾核酸塩基も包含する。この文脈において、「核酸塩基」は、天然に存在する核酸塩基、例えばアデニン、グアニン、シトシン、チミジン、ウラシル、キサンチンおよびヒポキサンチンと、非天然の変異体との両方を指す。このような変異体は、例えばHirao et al(2012)Accounts of Chemical Research vol 45 page 2055およびBergstrom(2009)Current Protocols in Nucleic Acid Chemistry Suppl.37 1.4.1に説明されている。
【0072】
いくつかの実施形態では、核酸塩基部分は、プリンまたはピリミジンを修飾プリンまたはピリミジン、例えば置換プリンまたは置換ピリミジン、例えばイソシトシン、シュードイソシトシン、5-メチルシトシン、5-チアゾロ-シトシン、5-プロピニル-シトシン、5-プロピニル-ウラシル、5-ブロモウラシル5-チアゾロ-ウラシル、2-チオ-ウラシル、2’チオ-チミン、イノシン、ジアミノプリン、6-アミノプリン、2-アミノプリン、2,6-ジアミノプリンおよび2-クロロ-6-アミノプリンから選択される核酸塩基に変えることにより修飾される。
【0073】
核酸塩基部分は、各々の対応する核酸塩基の文字コード、例えばA、T、G、CまたはUにより示されることができ、各文字は、等価の機能の修飾核酸塩基を場合により含むことができる。例えば、例示のオリゴヌクレオチドにおいて、核酸塩基部分は、A、T、G、Cおよび5-メチルシトシンから選択される。場合により、LNAギャップマーについて、5-メチルシトシンLNAヌクレオシドが使用され得る。
【0074】
修飾オリゴヌクレオチド
修飾オリゴヌクレオチドという用語は、1つ以上の糖修飾ヌクレオシドおよび/または修飾ヌクレオシド間結合を含むオリゴヌクレオチドを説明する。キメラ”オリゴヌクレオチドという用語は、修飾ヌクレオシドを有するオリゴヌクレオチドを説明するために文献で使用されている用語である。
【0075】
立体的に規定されたオリゴヌクレオチド
立体的に規定されたオリゴヌクレオチドは、ヌクレオシド間結合の少なくとも1つが、立体的に規定されたヌクレオシド間結合であるオリゴヌクレオチドである。
【0076】
立体的に規定されたホスホロチオアートオリゴヌクレオチドは、ヌクレオシド間結合の少なくとも1つが、立体的に規定されたホスホロチオアートヌクレオシド間結合であるオリゴヌクレオチドである。
【0077】
相補性
用語「相補性」は、ヌクレオシド/ヌクレオチドのWatson-Crickの塩基対形成の能力を説明する。Watson-Crick塩基対は、グアニン(G)-シトシン(C)およびアデニン(A)-チミン(T)/ウラシル(U)である。オリゴヌクレオチドは修飾核酸塩基を有するヌクレオシドを含んでもよく、例えば5-メチルシトシンは度々シトシンの代わりに使用され、したがって相補性という用語は、非修飾核酸塩基と修飾核酸塩基との間のWatson Crick塩基対形成を包含することが理解されるであろう(例えばHirao et al(2012)Accounts of Chemical Research vol 45 page 2055およびBergstrom(2009)Current Protocols in Nucleic Acid Chemistry Suppl.37 1.4.1を参照されたい)。
【0078】
本明細書で使用される用語「%相補性」は、所定の位置において、別個の核酸(例えば、標的核酸)の所定の位置における連続ヌクレオチド配列に相補的な(すなわち、Watson Crick塩基対を形成する)、核酸分子(例えば、オリゴヌクレオチド)中の連続ヌクレオチド配列におけるヌクレオチドの割合を指す。百分率は、2つの配列間で対を形成する(標的配列5’-3’とオリゴヌクレオチド配列3’-5’を整列させたとき)、整列した塩基の数を計数し、オリゴヌクレオチドのヌクレオチドの総数で除し、100を乗じることにより計算される。このような比較において、整列(塩基対を形成)しない核酸塩基/ヌクレオチドは、ミスマッチと称される。好ましくは、挿入および欠失は、連続ヌクレオチド配列の%相補性の計算において許容されない。
【0079】
「完全に相補的な」という用語は、100%の相補性を指す。
【0080】
同一性
本明細書で使用される用語「同一性」は、所定の位置において、別個の核酸分子(例えば標的核酸)の所定の位置における連続ヌクレオチド配列と同一である(すなわち、相補的なヌクレオシドとWatson Crick塩基対を形成する核酸分子の能力において)、核酸分子(例えば、オリゴヌクレオチド)中の連続ヌクレオチド配列におけるパーセント表記におけるオリゴヌクレオチドの数を指す。百分率は、2つの配列間で同一である整列した塩基の数をオリゴヌクレオチドのヌクレオチドの総数で除して100を乗じることによって計算される。同一性パーセント=(マッチ×100)/整列した領域の長さ。好ましくは、挿入および欠失は、連続ヌクレオチド配列の%相補性の計算において許容されない。
【0081】
ハイブリダイゼーション
本明細書で使用される用語「ハイブリッド形成している」または「ハイブリッド形成する」は、2つの核酸鎖(例えば、オリゴヌクレオチドおよび標的核酸)が対向する鎖上の塩基対の間で水素結合を形成することにより二重鎖を形成するとして理解するべきである。2つの核酸鎖の間の結合の親和性は、ハイブリダイゼーションの強度である。これは、度々、オリゴヌクレオチドの半分が標的核酸と二重鎖を形成する温度として定義される融解温度(Tm)によって説明される。生理学的条件では、Tmは親和性に厳密に比例しない(Mergny and Lacroix,2003,Oligonucleotides 13:515-537)。標準状態でのギブスの自由エネルギーΔG°は、結合親和性をより正確に表しており、ΔG°=-RTln(Kd)によって反応の解離定数(Kd)と関連付けられており、ここで、Rは気体定数であり、Tは絶対温度である。したがって、オリゴヌクレオチドと標的核酸との間の反応の非常に低いΔG°は、オリゴヌクレオチドと標的核酸との間の強いハイブリダイゼーションを反映している。ΔG°は、水性濃度が1Mであり、pHが7であり、温度が37℃である反応と関係したエネルギーである。標的核酸に対するオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションは、自発的反応であり、自発的反応の場合、ΔG°はゼロ未満である。ΔG°は、例えば、Hansen et al.,1965,Chem.Comm.36-38およびHoldgate et al.,2005,Drug Discov Todayに説明されているような等温滴定熱量測定(ITC)により、実験的に測定することができる。当業者は、ΔG°測定のために市販の装置が入手可能であることを知るであろう。ΔG°は、SantaLucia,1998,Proc Natl Acad Sci USA.95:1460-1465に説明されているような、Sugimotoら,1995,Biochemistry 34:11211-11216およびMcTigueら,2004,Biochemistry 43:5388-5405に説明されている適切に得られた熱力学パラメータを使用した、最近接モデル(nearest neighbor model)を用いることにより数値的に概算することもできる。その意図した核酸標的をハイブリダイゼーションによって調節する可能性を有するために、本発明のオリゴヌクレオチドは、10~30ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドについて-10kcal未満の概算ΔG°値で標的核酸へハイブリッド形成する。いくつかの実施形態では、ハイブリダイゼーションの程度または強度は、標準状態でのギブスの自由エネルギーΔG°により測定される。オリゴヌクレオチドは、8~30ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドについて-10kcalの範囲未満、例えば-15kcal未満、例えば-20kcal未満、および例えば-25kcal未満の概算ΔG°値で標的核酸へハイブリッド形成し得る。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、-10~-60kcal、例えば-12~-40、例えば-15~-30kcal、または-16~-27kcal、例えば-18~-25kcalの概算ΔG°値で標的核酸へハイブリッド形成する。
【0082】
糖修飾
本発明のオリゴマーは、修飾された糖部分、すなわち、DNAおよびRNAに見られるリボース糖部分と比較した場合の糖部分の修飾を有する1つ以上のヌクレオシドを含み得る。
【0083】
リボース糖部分の修飾を有する多数のヌクレオシドが、親和性および/またはヌクレアーゼ耐性などのオリゴヌクレオチドの特定の特性を改善することを主な目的として作製されている。
【0084】
このような修飾には、例えば、ヘキソース環(HNA)もしくは二環式環との置き換えによってリボース環構造が修飾されたものであって、典型的にはリボース環(LNA)上のC2炭素とC4炭素との間にビラジカル架橋を有するものであるか、または典型的にはC2炭素とC3炭素との間の結合を欠いている非結合リボース環(例えば、UNA)が含まれる。他の糖修飾ヌクレオシドには、例えばビシクロヘキソース核酸(国際公開第2011/017521号)または三環式核酸(国際公開第2013/154798号)が含まれる。修飾ヌクレオシドには、例えば、ペプチド核酸(PNA)、またはモルホリノ核酸の場合には、糖部分が非糖部分と置き換えられたヌクレオシドも含まれる。
【0085】
糖修飾には、リボース環上の置換基を水素以外の基、またはDNAヌクレオシドおよびRNAヌクレオシド中に天然に存在する2’-OH基に変化させることを介して行われる修飾も含まれる。置換基は、例えば2’、3’、4’または5’位で導入され得る。
【0086】
2’糖修飾ヌクレオシド
2’糖修飾ヌクレオシドは、2’位にHもしくは-OH以外の置換基を有するヌクレオシド(2’置換ヌクレオシド)、または2’炭素とリボース環上の第2の炭素との間に架橋を形成することができる2’結合ビラジカルを含むヌクレオシド、例えばLNA(2’-4’ビラジカル架橋)ヌクレオシドである。
【0087】
実際、2’置換ヌクレオシドの開発には多くの注目が集まっており、多くの2’置換ヌクレオシドが、オリゴヌクレオチドに組み込まれた際に有益な特性を有することが見出されている。例えば、2’修飾ヌクレオシドは、向上した結合親和性、および/または増大したヌクレアーゼ耐性をオリゴヌクレオチドに提供することができる。2’置換修飾ヌクレオシドの例は、2’-O-アルキル-RNA、2’-O-メチル-RNA、2’-アルコキシ-RNA、2’-O-メトキシエチル-RNA(MOE)、2’-アミノ-DNA、2’-フルオロ-RNAおよび2’-F-ANAヌクレオシドである。さらなる例については、例えば、Freier&Altmann;Nucl.Acid Res.,1997,25,4429-4443およびUhlmann;Curr.Opinion in Drug Development,2000,3(2),293-213、およびDeleavey and Damha,Chemistry and Biology 2012,19,937に見出すことができる。以下は、いくつかの2’置換修飾ヌクレオシドの説明である。
【0088】
本発明に関連して、2’置換は、LNAのような2’架橋分子を含まない。
【0089】
架橋型人工核酸(Locked Nucleic Acid)ヌクレオシド(LNAヌクレオシド)
「LNAヌクレオシド」は、該ヌクレオシドのリボース糖環のC2’とC4’とを結合させるビラジカル(「2’-4’架橋」とも呼ばれる)を含む2’修飾ヌクレオシドであり、これはリボース環の立体配座を制限または固定する。これらのヌクレオシドは、文献にて架橋核酸または二環式核酸(BNA)とも称されている。リボースのコンホメーションの固定は、LNAが相補的RNAまたはDNA分子のオリゴヌクレオチドに組み込まれる場合、ハイブリダイゼーションの親和性の増強(二重鎖安定化)に関連している。これはオリゴヌクレオチド/補完二重鎖の融解温度を測定することにより日常的に決定され得る。
【0090】
非限定的な、例示的なLNAヌクレオシドは、国際公開第99/014226号、国際公開第00/66604号、国際公開第98/039352号、国際公開第2004/046160号、国際公開第00/047599号、国際公開第2007/134181号、国際公開第2010/077578号、国際公開第2010/036698号、国際公開第2007/090071号、国際公開第2009/006478号、国際公開第2011/156202号、国際公開第2008/154401号、国際公開第2009/067647号、国際公開第2008/150729号、Morita et al.,Bioorganic&Med.Chem.Lett.12,73-76、Seth et al.J.Org.Chem.2010,Vol 75(5)pp.1569-81およびMitsuoka et al.,Nucleic Acids Research 2009,37(4),1225-1238に開示されている。
【0091】
2’-4’架橋は、2~4個の架橋原子を含み、特に式-X-Y-であって、XはC4’に結合し、YはC2’に結合しており、
式中、
Xは、酸素、硫黄、-CRaRb-、-C(Ra)=C(Rb)-、-C(=CRaRb)-、-C(Ra)=N-、-Si(Ra)2-、-SO2-、-NRa-;-O-NRa-、-NRa-O-、-C(=J)-、Se、-O-NRa-、-NRa-CRaRb-、-N(Ra)-O-、または-O-CRaRb-であり;
Yは、酸素、硫黄、-(CRaRb)n-、-CRaRb-O-CRaRb-、-C(Ra)=C(Rb)-、-C(Ra)=N-、-Si(Ra)2-、-SO2-、-NRa-、-C(=J)-、Se、-O-NRa-、-NRa-CRaRb-、-N(Ra)-O-、または-O-CRaRb-であり;
但し、-X-Y-は、-O-O-、Si(Ra)2-Si(Ra)2-、-SO2-SO2-、-C(Ra)=C(Rb)-C(Ra)=C(Rb)、-C(Ra)=N-C(Ra)=N-、-C(Ra)=N-C(Ra)=C(Rb)、-C(Ra)=C(Rb)-C(Ra)=N-、または-Se-Se-ではなく;
Jは、酸素、硫黄、=CH2、または=N(Ra)であり;
RaおよびRbは、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、チオヒドロキシル、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アルコキシアルキル、アルケニルオキシ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、ホルミル、アリール、ヘテロシクリル、アミノ、アルキルアミノ、カルバモイル、アルキルアミノカルボニル、アミノアルキルアミノカルボニル、アルキルアミノアルキルアミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、カルバミド、アルカノイルオキシ、スルホニル、アルキルスルホニルオキシ、ニトロ、アジド、チオヒドロキシルスルフィドアルキルスルファニル、アリールオキシカルボニル、アリールオキシ、アリールカルボニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシカルボニル、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールカルボニル、-OC(=Xa)Rc、-OC(=Xa)NRcRdおよび-NReC(=Xa)NRcRdから独立して選択され、
または、2つのジェミナルなRaおよびRbは、一緒になって、場合により置換されたメチレンを形成し;
または、2つのジェミナルなRaおよびRbは、結合している炭素原子と共にシクロアルキルまたはハロシクロアルキルを形成し、-X-Y-の炭素原子は1個だけであり;
ここで、置換アルキル、置換アルケニル、置換アルキニル、置換アルコキシおよび置換メチレンは、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルケニルオキシ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、ホルミル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールから独立して選択される1~3個の置換基で置換されたアルキル、アルケニル、アルキニルおよびメチレンであり、
Xaは、酸素、硫黄、または-NRcであり;
Rc、Rd、およびReは、水素およびアルキルから独立して選択され;かつ
nは、1、2または3である。
【0092】
本発明のさらに詳しい実施形態では、Xは、酸素、硫黄、-NRa-、-CRaRb-、または-C(=CRaRb)-、特に酸素、硫黄、-NH-、-CH2-、または-C(=CH2)-、特に酸素である。
【0093】
本発明の別の詳しい実施形態では、Yは、-CRaRb-、-CRaRb-CRaRb-、または-CRaRb-CRaRb-CRaRb-、特に-CH2-CHCH3-、-CHCH3-CH2-、-CH2-CH2-、または-CH2-CH2-CH2-である。
【0094】
本発明の詳しい実施形態では、-X-Y-は、-O-(CRaRb)n-、-S-CRaRb-、-N(Ra)CRaRb-、-CRaRb-CRaRb-、-O-CRaRb-O-CRaRb-、-CRaRb-O-CRaRb-、-C(=CRaRb)-CRaRb-、-N(Ra)CRaRb-、-O-N(Ra)-CRaRb-または-N(Ra)-O-CRaRb-である。
【0095】
本発明の詳しい実施形態では、RaおよびRbは、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、およびアルコキシアルキル、特に水素、ハロゲン、アルキル、およびアルコキシアルキルからなる群より独立して選択される。
【0096】
本発明の別の実施形態では、RaおよびRbは、水素、フルオロ、ヒドロキシル、メチル、および-CH2-O-CH3、特に水素、フルオロ、メチル、および-CH2-O-CH3からなる群より独立して選択される。
【0097】
有利な方法で、-X-Y-のRaおよびRbの一方は先に定義された通りであり、他方は全て同時に水素である。
【0098】
本発明のさらに詳しい実施形態では、Raは、水素またはアルキル、特に水素またはメチルである。
【0099】
本発明の別の詳しい実施形態では、Rbは、水素またはアルキル、特に水素またはメチルである。
【0100】
本発明の詳しい実施形態では、RaおよびRbの一方または両方は、水素である。
【0101】
本発明の詳しい実施形態では、RaおよびRbの一方のみが、水素である。
【0102】
本発明の詳しい一実施形態では、RaおよびRbの一方はメチルであり、他方は水素である。
【0103】
本発明の詳しい実施形態では、RaおよびRbは、両方とも同時にメチルである。
【0104】
本発明の詳しい実施形態では、-X-Y-は、-O-CH2-、-S-CH2-、-S-CH(CH3)-、-NH-CH2-、-O-CH2CH2-、-O-CH(CH2-O-CH3)-、-O-CH(CH2CH3)-、-O-CH(CH3)-、-O-CH2-O-CH2-、-O-CH2-O-CH2-、-CH2-O-CH2-、-C(=CH2)CH2-、-C(=CH2)CH(CH3)-、-N(OCH3)CH2-、または-N(CH3)CH2-である。
【0105】
本発明の詳しい実施形態では、-X-Y-は-O-CRaRb-であり、式中、RaおよびRbは、水素、アルキル、およびアルコキシアルキル、特に水素、メチル、および-CH2-O-CH3からなる群より独立して選択される。
【0106】
詳しい実施形態では、-X-Y-は、-O-CH2-または-O-CH(CH3)-、特に-O-CH2-である。
【0107】
2’-4’架橋は、それぞれ式(A)および式(B)に示すように、リボース環の平面の下(β-D-立体配置)または該環の平面の上(α-L-立体配置)のいずれかに位置し得る。
【0108】
本発明によるLNAヌクレオシドは、特に式(B1)または式(B2):
であって、
式中、
Wは、酸素、硫黄、-N(R
a)-または-CR
aR
b-、特に酸素であり;
Bは、核酸塩基または修飾核酸塩基であり;
Zは、隣接するヌクレオシドまたは5’末端基へのヌクレオシド間結合であり;
Z*は、隣接するヌクレオシドまたは3’末端基へのヌクレオシド間結合であり;
R
1、R
2、R
3、R
5、およびR
5*は、水素、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシ、アルコキシ、アルコキシアルキル、アジド、アルケニルオキシ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、ホルミル、およびアリールから独立して選択され;かつ
X、Y、R
a、およびR
bは、先に定義した通りである。
【0109】
詳しい実施形態では、-X-Y-の定義において、Raは、水素またはアルキル、特に水素またはメチルである。別の詳しい実施形態では、-X-Y-の定義において、Rbは、水素またはアルキル、特に水素またはメチルである。さらなる詳しい実施形態では、-X-Y-の定義において、RaおよびRbの一方または両方は、水素である。詳しい実施形態では、-X-Y-の定義において、RaおよびRbの一方のみが、水素である。詳しい一実施形態では、-X-Y-の定義において、RaおよびRbの一方はメチルであり、他方は水素である。詳しい実施形態では、-X-Y-の定義において、RaおよびRbは、両方とも同時にメチルである。
【0110】
さらなる詳しい実施形態では、Xの定義において、Raは、水素またはアルキル、特に水素またはメチルである。別の詳しい実施形態では、Xの定義において、Rbは、水素またはアルキル、特に水素またはメチルである。詳しい実施形態では、Xの定義において、RaおよびRbの一方または両方は、水素である。詳しい実施形態では、Xの定義において、RaおよびRbの一方のみが、水素である。詳しい一実施形態では、Xの定義において、RaおよびRbの一方はメチルであり、他方は水素である。詳しい実施形態では、Xの定義において、RaおよびRbは、両方とも同時にメチルである。
【0111】
さらなる詳しい実施形態では、Yの定義において、Raは、水素またはアルキル、特に水素またはメチルである。別の詳しい実施形態では、Yの定義において、Rbは、水素またはアルキル、特に水素またはメチルである。詳しい実施形態では、Yの定義において、RaおよびRbの一方または両方は、水素である。詳しい実施形態では、Yの定義において、RaおよびRbの一方のみが、水素である。詳しい一実施形態では、Yの定義において、RaおよびRbの一方はメチルであり、他方は水素である。詳しい実施形態では、Yの定義において、RaおよびRbは、両方とも同時にメチルである。
【0112】
本発明の詳しい実施形態では、R1、R2、R3、R5、およびR5*は、水素およびアルキル、特に水素およびメチルから独立して選択される。
【0113】
本発明のさらに詳しい有利な実施形態では、R1、R2、R3、R5、およびR5*は、全て同時に水素である。
【0114】
本発明の別の詳しい実施形態では、R1、R2、R3は全て同時に水素であり、R5およびR5*の一方は水素であり、他方は先に定義した通り、特にアルキル、より詳しくはメチルである。
【0115】
本発明の詳しい実施形態では、R5およびR5*は、水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシアルキル、およびアジドから、特に水素、フルオロ、メチル、メトキシエチル、およびアジドから独立して選択される。本発明の詳しい有利な実施形態では、R5およびR5*の一方は水素であり、他方はアルキル、特にメチル、ハロゲン、特にフルオロ、アルコキシアルキル、特にメトキシエチルもしくはアジドであるか、またはR5およびR5*は、同時に水素もしくはハロゲン、特に同時にフルオロの水素である。このような詳しい実施形態では、Wは有利な方法では酸素であり得、-X-Y-有利な方法では-O-CH2-であり得る。
【0116】
本発明の詳しい実施形態では、-X-Y-は-O-CH2-であり、Wは酸素であり、R1、R2、R3、R5、およびR5*は、全て同時に水素である。このようなLNAヌクレオシドは、国際公開第99/014226号、同第00/66604号、同第98/039352号、および同第2004/046160号に開示され、これらは全て参照により本明細書に組み込まれており、β-D-オキシLNAおよびα-L-オキシLNAヌクレオシドとして当技術分野で一般的に公知のものを含む。
【0117】
本発明の別の詳しい実施形態では、-X-Y-は-S-CH2-であり、Wは酸素であり、R1、R2、R3、R5、およびR5*は、全て同時に水素である。このようなチオLNAヌクレオシドは、参照により本明細書に組み込まれている国際公開第99/014226号および同第2004/046160号に開示されている。
【0118】
本発明の別の詳しい実施形態では、-X-Y-は-NH-CH2-であり、Wは酸素であり、R1、R2、R3、R5、およびR5*は、全て同時に水素である。このようなアミノLNAヌクレオシドは、参照により本明細書に組み込まれている国際公開第99/014226号および同第2004/046160号に開示されている。
【0119】
本発明の別の詳しい実施形態では、-X-Y-は-O-CH2CH2-または-OCH2CH2CH2-であり、Wは酸素であり、R1、R2、R3、R5、およびR5*は、全て同時に水素である。このようなLNAヌクレオシドは、参照により本明細書に組み込まれている国際公開第00/047599号およびMorita et al.,Bioorganic&Med.Chem.Lett.12,73-76に開示されており、当技術分野で一般に2’-O-4’C-エチレン架橋核酸(ENA)として公知のものを含む。
【0120】
本発明の別の詳しい実施形態では、-X-Y-は-O-CH2-であり、Wは酸素であり、R1、R2、R3は全て同時に水素であり、R5およびR5*の一方は水素であり、他方は、アルキル、例えばメチルなど、水素ではない。このような5’置換LNAヌクレオシドは、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2007/134181号に開示されている。
【0121】
本発明の別の特定の実施形態では、-X-Y-は-O-CRaRb-であり、ここで、RaおよびRbの一方または両方は水素ではなく、特にメチルなどのアルキルであり、Wは酸素であり、R1、R2、R3は全て同時に水素であり、R5およびR5*の一方は水素であり、他方は水素ではなく、特にアルキル、例えばメチルである。このようなビス修飾LNAヌクレオシドは、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2010/077578号に開示されている。
【0122】
本発明の別の詳しい実施形態では、-X-Y-は-O-CHRa-であり、Wは酸素であり、R1、R2、R3、R5、およびR5*は、全て同時に水素である。このような6’置換LNAヌクレオシドは、国際公開第2010/036698号および同第2007/090071号に開示されており、これらは両方とも参照により本明細書に組み込まれる。このような6’-置換LNAヌクレオシドにおいて、Raは、特に、メチルなどのC1~C6アルキルである。
【0123】
本発明の別の詳しい実施形態では、-X-Y-は、-O-CH(CH2-O-CH3)-(「2’O-メトキシエチル二環式核酸」、Seth et al.J.Org.Chem.2010,Vol 75(5)pp.1569-81)である。
【0124】
本発明の別の詳しい実施形態では、-X-Y-は、-O-CH(CH2CH3)-である。
【0125】
本発明の別の詳しい実施形態では、-X-Y-は、-O-CH(CH2-O-CH3)-であり、Wは酸素であり、R1、R2、R3、R5、およびR5*は、全て同時に水素である。このようなLNAヌクレオシドは、当技術分野では環状MOE(cMOE)としても公知であり、国際公開第2007/090071号に開示されている。
【0126】
本発明の別の詳しい実施形態では、-X-Y-は、-O-CH(CH3)-(「2’O-メトキシエチル二環式核酸」、Seth at al.,J.Org.Chem.2010,Vol 75(5)pp.1569-81)である。
【0127】
本発明の別の詳しい実施形態では、-X-Y-は-O-CH2-O-CH2-である(Seth et al.,J.Org.Chem 2010 前掲)。
【0128】
本発明の別の詳しい実施形態では、-X-Y-は-O-CH(CH3)-であり、Wは酸素であり、R1、R2、R3、R5、およびR5*は、全て同時に水素である。このような6’-メチルLNAヌクレオシドは、当技術分野ではcETヌクレオシドとしても公知であり、両方とも参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2007/090071号(β-D)および国際公開第2010/036698号(α-L)に開示されているように、(S)-cETまたは(R)-cETジアステレオ異性体のいずれかであり得る。
【0129】
本発明の別の詳しい実施形態では、-X-Y-は-O-CRaRb-であり、ここで、RaもRbも水素ではなく、Wは酸素であり、R1、R2、R3、R5、およびR5*は全て同時に水素である。詳しい実施形態では、RaおよびRbは両方とも同時にアルキル、特に両方とも同時にメチルである。このような6’-ジ-置換LNAヌクレオシドは、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2009/006478号に開示されている。
【0130】
本発明の別の詳しい実施形態では、-X-Y-は-S-CHRa-であり、Wは酸素であり、R1、R2、R3、R5、およびR5*は、全て同時に水素である。このような6’置換チオLNAヌクレオシドは、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2011/156202号に開示されている。このような6’置換チオLNAの特定の実施形態では、Raは、アルキル、特にメチルである。
【0131】
本発明の詳しい実施形態では、-X-Y-は、-C(=CH2)C(RaRb)-、-C(=CHF)C(RaRb)-、または-C(=CF2)C(RaRb)-であり、Wは酸素であり、R1、R2、R3、R5、およびR5*は全て同時に水素である。RaおよびRbは、有利な方法において、水素、ハロゲン、アルキル、およびアルコキシアルキル、特に水素、メチル、フルオロ、およびメトキシメチルから独立して選択される。RaおよびRbは特に同時に両方とも水素またはメチルであるか、またはRaおよびRbの一方が水素であり、他方がメチルである。このようなビニルカルボLNAヌクレオシドは、国際公開第2008/154401号および同第2009/067647号に開示されており、これらは両方とも参照により本明細書に組み込まれる。
【0132】
本発明の詳しい実施形態では、-X-Y-は-N(ORa)-CH2-であり、Wは酸素であり、R1、R2、R3、R5、およびR5*は全て同時に水素である。詳しい実施形態では、Raは、メチルなどのアルキルである。このようなLNAヌクレオシドはまた、N置換LNAとしても公知であり、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2008/150729号に開示されている。
【0133】
本発明の詳しい実施形態では、-X-Y-は、-O-N(Ra)-、-N(Ra)-O-、-NRa-CRaRb-CRaRb-、または-NRa-CRaRb-であり、Wは酸素であり、R1、R2、R3、R5、およびR5*は全て同時に水素である。RaおよびRbは、有利な方法において、水素、ハロゲン、アルキル、およびアルコキシアルキル、特に水素、メチル、フルオロ、およびメトキシメチルから独立して選択される。詳しい実施形態では、Raはアルキル、例えばメチルであり、Rbは水素またはメチル、特に水素である。(Seth et al.,J.Org.Chem 2010前掲)。
【0134】
本発明の詳しい実施形態では、-X-Y-は、-O-N(CH3)-である(Seth et al.,J.Org.Chem 2010 前掲)。
【0135】
本発明の詳しい実施形態では、R5およびR5*は、両方とも同時に水素である。本発明の別の詳しい実施形態では、R5およびR5*の一方は水素であり、他方はメチルなどのアルキルである。このような実施形態では、R1、R2、およびR3は、特に水素であり得、-X-Y-は、特に-O-CH2-または-O-CHC(Ra)3-、例えば-O-CH(CH3)-などであり得る。
【0136】
本発明の詳しい実施形態では、-X-Y-は、-CRaRb-O-CRaRb-、例えば-CH2-O-CH2-であり、Wは酸素であり、R1、R2、R3、R5、およびR5*は、全て同時に水素である。このような詳しい実施形態では、Raは、特にアルキル、例えばメチルであり、Rbは、水素またはメチル、特に水素であり得る。このようなLNAヌクレオシドはまた、立体配座制限ヌクレオチド(conformationally restricted nucleotides:CRN)としても公知であり、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2013/036868号に開示されている。
【0137】
本発明の詳しい実施形態では、-X-Y-は、-O-CRaRb-O-CRaRb-、例えば-O-CH2-O-CH2-であり、Wは酸素であり、R1、R2、R3、R5、およびR5*は、全て同時に水素である。RaおよびRbは、有利な方法において、水素、ハロゲン、アルキル、およびアルコキシアルキル、特に水素、メチル、フルオロ、およびメトキシメチルから独立して選択される。このような詳しい実施形態では、Raは、特にアルキル、例えばメチルであり、Rbは、水素またはメチル、特に水素であり得る。このようなLNAヌクレオシドはまた、COCヌクレオチドとしても公知であり、参照により本明細書に組み込まれるMitsuoka et al.,Nucleic Acids Research 2009,37(4),1225-1238に開示されている。
【0138】
特に指定しない限り、LNAヌクレオシドはβ-Dまたはα-Lステレオアイソフォーム(stereoisoform)であり得ると認識される。
【0139】
本発明のLNAヌクレオシドの詳しい例をスキーム1に提示する(式中、Bは先に定義した通りである)。
【0140】
【0141】
詳しいLNAヌクレオシドは、β-D-オキシ-LNA、6’-メチル-β-D-オキシLNA、例えば(S)-6’-メチル-β-D-オキシ-LNA((S)cET)およびENAである。
【0142】
RNアーゼH活性および動員
アンチセンスオリゴヌクレオチドのRNアーゼH活性は、相補的RNA分子と二重鎖を形成するときにRNアーゼHを動員するその能力を指す。国際公開第01/23613号は、RNアーゼH活性を決定するためのインビトロ法を提供し、これはRNアーゼHを動員する能力を決定するために使用され得る。典型的には、オリゴヌクレオチドは、相補的な標的核酸が提供された場合、pmol/l/分で測定して、試験されている修飾オリゴヌクレオチドと同じ塩基配列を有するが、DNAモノマーのみを含み、オリゴヌクレオチドの全モノマー間にホスホロチオアート結合を有するオリゴヌクレオチドを使用し、また国際公開第01/23613号(参照により本明細書に組み込まれる)の実施例91~95により提供される方法論を使用したときに決定された初期率の少なくとも5%、例えば少なくとも10%または20%超を有する場合に、RNアーゼHを動員することができると見なされる。RHアーゼH活性の測定に使用するために、組換えヒトRNアーゼH1がLubio Science GmbH,Lucerne,Switzerlandから入手可能である。
【0143】
ギャップマー
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、またはその連続ヌクレオチド配列は、ギャップマーであってもよい。アンチセンスギャップマーは、通常、RNアーゼH媒介分解を介して標的核酸を阻害するのに使用される。ギャップマーオリゴヌクレオチドは、少なくとも3つの区別される構造領域、5’-フランク、ギャップおよび3’-フランク、F-G-F’を5’→3’配向で含む。「ギャップ」領域(G)は、オリゴヌクレオチドがRNアーゼHを動員することを可能にする連続DNAヌクレオチド鎖を含む。ギャップ領域は、1つ以上の糖修飾ヌクレオシド、有利な方法では高親和性糖修飾ヌクレオシドを含む5’フランキング領域(F)と、1つ以上の糖修飾ヌクレオシド、有利な方法では高親和性糖修飾ヌクレオシドを含む3’フランキング領域(F’)とが隣接する。領域FおよびF’の1つ以上の糖修飾ヌクレオシドは、標的核酸に対するオリゴヌクレオチドの親和性を増強する(すなわち、これは親和性増強糖修飾ヌクレオシドである)。いくつかの実施形態では、領域FおよびF’の1つ以上の糖修飾ヌクレオシドは、2’糖修飾ヌクレオシド、例えばLNAおよび2’-MOEから独立して選択される、例えば高親和性2’糖修飾である。
【0144】
ギャップマー設計において、ギャップ領域の最も5’および3’のヌクレオシドはDNAヌクレオシドであり、各々、5’(F)または3’(F’)の糖修飾ヌクレオシドに隣接して配置されている。フランクはさらに、ギャップ領域から最も遠い端、すなわち5’フランクの5’末端および3’フランクの3’末端に少なくとも1つの糖修飾ヌクレオシドを有することによって定義されてもよい。
【0145】
領域F-G-F’は、連続ヌクレオチド配列を形成する。本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、またはその連続ヌクレオチド配列は、式F-G-F’のギャップマー領域を含んでもよい。
【0146】
ギャップマー設計F-G-F’の全長は、例えば12~32ヌクレオシド、例えば13~24、例えば14~22ヌクレオシド、例えば14~17、例えば16~18ヌクレオシドであってもよい。
【0147】
例として、本発明のギャップマーオリゴヌクレオチドは、以下の式により表すことができる:
F1-8-G5-16-F’1-8、例えば
F1-8-G7-16-F’2-8
但し、ギャップマー領域F-G-F’の全体長は、少なくとも12、例えば少なくとも14ヌクレオチド長であることを条件とする。
【0148】
領域F、GおよびF’は、さらに以下に定義され、F-G-F’式に組み込まれることができる。
【0149】
ギャップマー-領域G
ギャップマーの領域G(ギャップ領域)は、オリゴヌクレオチドがRNアーゼH、例えばヒトRNアーゼH1を動員することを可能にするヌクレオシド、典型的にはDNAヌクレオシドの領域である。RNアーゼHは、DNAとRNAの間の二重鎖を認識し、RNA分子を酵素で開裂させる細胞酵素である。適切なギャップマーは、少なくとも5または6連続DNAヌクレオシド、例えば5~16連続DNAヌクレオシド、例えば6~15連続DNAヌクレオシド、例えば7~14連続DNAヌクレオシド、例えば8~12連続DNAヌクレオチド、例えば8~12連続DNAヌクレオチド長のギャップ領域(G)を有していてもよい。ギャップ領域Gは、いくつかの実施形態では、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16連続DNAヌクレオシドからなっていてもよい。ギャップ領域のシトシン(C)DNAは、場合によってはメチル化されていてもよく、このような残基は、5-メチルシトシン(meCまたはcの代わりにe)として注解されている。ギャップ内のシトシンDNAのメチル化は、cgジヌクレオチドがギャップ内に存在して潜在的な毒性を低減させる場合に有利であり、この修飾はオリゴヌクレオチドの有効性に有意な影響を与えない。
【0150】
いくつかの実施形態では、ギャップ領域Gは、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16連続ホスホロチオアート結合DNAヌクレオシドからなっていてもよい。いくつかの実施形態では、ギャップ内の全ヌクレオシド間結合は、ホスホロチオアート結合である。
【0151】
従来のギャップマーはDNAギャップ領域を有するが、ギャップ領域内で使用される場合にRNアーゼH動員を可能にする修飾ヌクレオシドの多数の例が存在する。ギャップ領域内に含まれる場合にRNアーゼHの動員が可能であるとして報告されている修飾ヌクレオシドには、例えば、α-L-LNA、C4’アルキル化DNA(PCT/EP2009/050349およびVester et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.18(2008)2296-2300に説明されているような、両方とも参照により本明細書に組み込まれる)、ANAおよび2’F-ANAのようなアラビノース由来ヌクレオシド(Mangos et al.2003 J.AM.CHEM.SOC.125,654-661)、UNA(非架橋型人工核酸)(参照により本明細書に組み込まれるFluiter et al.,Mol.Biosyst.,2009,10,1039に説明されているような)が含まれる。UNAは、典型的には、リボースのC2とC3の間の結合が除去され、非架橋の「糖」残基を形成している非架橋型人工核酸である。このようなギャップマーに使用されている修飾ヌクレオシドは、ギャップ領域内に導入された際に2’エンド(endo)(DNA様)構造を採択する(すなわち、RNアーゼH動員を可能にする修飾)ヌクレオシドであり得る。いくつかの実施形態では、本明細書に説明されるDNAギャップ領域(G)は、場合により、ギャップ領域内に導入された際に2’エンド(endo)(DNA様)構造を採択する1~3糖修飾ヌクレオシドを含んでもよい。
【0152】
領域G-「ギャップブレーカー」
あるいは、いくつかのRNアーゼH活性を保持しながら、ギャップマーのギャップ領域に3’エンドコンホメーションを付与する修飾ヌクレオシドの挿入についての多くの報告が存在する。1つ以上の3’エンド修飾ヌクレオシドを含むギャップ領域を有するこのようなギャップマーは、「ギャップブレーカー」または「ギャップ破壊」ギャップマーと称される。例えば、国際公開第2013/022984号を参照されたい。ギャップブレーカーオリゴヌクレオチドは、RNアーゼH動員を可能にするために、ギャップ領域内にDNAヌクレオシドの十分な領域を保持する。ギャップブレーカーオリゴヌクレオチド設計がRNアーゼHを動員する能力は、典型的には、配列または化合物特異的でさえある(Rukov et al.2015 Nucl.Acids Res.Vol.43 pp.8476-8487を参照されたい)。これは、いくつかの場合、標的RNAのより特異的な開裂を提供するRNアーゼHを動員する「ギャップブレーカー」オリゴヌクレオチドを開示している。ギャップブレーカーオリゴヌクレオチドのギャップ領域内で使用される修飾ヌクレオシドは、例えば、3’エンドコンホメーションを付与する修飾ヌクレオシド、例えば2’-O-メチル(OMe)または2’-O-MOE(MOE)ヌクレオシド、またはβ-D LNAヌクレオシド(ヌクレオシドのリボース糖環のC2’とC4’の間の架橋は、βコンホメーションである)、例えばβ-D-オキシLNAまたはScETヌクレオシドであってもよい。
【0153】
上述した領域Gを含むギャップマーと同様に、ギャップブレーカーまたはギャップ破壊ギャップマーは、ギャップの5’末端に(領域Fの3’ヌクレオシドに隣接して)DNAヌクレオシドを有し、ギャップの3’末端に(領域Fの5’ヌクレオシドに隣接して)DNAヌクレオシドを有する。破壊ギャップを含むギャップマーは、典型的には、ギャップ領域の5’末端または3’末端のいずれかに少なくとも3または4連続DNAヌクレオシドの領域を保持する。
【0154】
ギャップブレーカーオリゴヌクレオチドの例示的な設計は、
F1-8-[D3-4-E1-D3-4]-F’1-8
F1-8-[D1-4-E1-D3-4]-F’1-8
F1-8-[D3-4-E1-D1-4]-F’1-8
を含み、領域Gは、枝分かれ[Dn-Er-Dm]内であり、DはDNAヌクレオシドの連続配列であり、Eは修飾ヌクレオシド(ギャップブレーカーまたはギャップ破壊ヌクレオシド)であり、FおよびF’は本明細書に定義したフランキング領域であるが、但し、ギャップマー領域F-G-F’の全体長は、少なくとも12、例えば少なくとも14ヌクレオチド長であることを条件とする。
【0155】
いくつかの実施形態では、ギャップ破壊ギャップマーの領域Gは、少なくとも6DNAヌクレオシド、例えば6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16DNAヌクレオシドを含む。上述したように、DNAヌクレオシドは連続であってもよく、場合により1つ以上の修飾ヌクレオシドが散在してもよいが、但し、ギャップ領域Gは、RNアーゼH動員を媒介できることを条件とする。
【0156】
ギャップマー-フランキング領域、FおよびF’
領域Fは、領域Gの5’DNAヌクレオシドのすぐ隣に配置されている。領域Fの最も3’のヌクレオシドは、糖修飾ヌクレオシド、例えば高親和性糖修飾ヌクレオシド、例えば2’置換ヌクレオシド、例えばMOEヌクレオシド、またはLNAヌクレオシドである。
【0157】
領域F’は、領域Gの3’DNAヌクレオシドのすぐ隣に配置されている。領域F’の最も5’のヌクレオシドは、糖修飾ヌクレオシド、例えば高親和性糖修飾ヌクレオシド、例えば2’置換ヌクレオシド、例えばMOEヌクレオシド、またはLNAヌクレオシドである。
【0158】
領域Fは、1~8連続ヌクレオチド長、例えば2~6、例えば3~4連続ヌクレオチド長である。有利な方法では、領域Fの最も5’のヌクレオシドは、糖修飾ヌクレオシドである。いくつかの実施形態では、領域Fの2つの最も5’のヌクレオシドは、糖修飾ヌクレオシドである。いくつかの実施形態では、領域Fの最も5’のヌクレオシドは、LNAヌクレオシドである。いくつかの実施形態では、領域Fの2つの最も5’のヌクレオシドは、LNAヌクレオシドである。いくつかの実施形態では、領域Fの2つの最も5’のヌクレオシドは、2’置換ヌクレオシドヌクレオシド、例えば2つの3’MOEヌクレオシドである。いくつかの実施形態では、領域Fの最も5’のヌクレオシドは、2’置換ヌクレオシド、例えばMOEヌクレオシドである。
【0159】
領域F’は、2~8連続ヌクレオチド長、例えば3~6、例えば4~5連続ヌクレオチド長である。有利な方法では、領域F’の最も3’の実施形態は、糖修飾ヌクレオシドである。いくつかの実施形態では、領域F’の2つの最も3’のヌクレオシドは、糖修飾ヌクレオシドである。いくつかの実施形態では、領域F’の2つの最も3’のヌクレオシドは、LNAヌクレオシドである。いくつかの実施形態では、領域F’の最も3’のヌクレオシドは、LNAヌクレオシドである。いくつかの実施形態では、領域F’の2つの最も3’のヌクレオシドは、2’置換ヌクレオシドヌクレオシド、例えば2つの3’MOEヌクレオシドである。いくつかの実施形態では、領域F’の最も3’のヌクレオシドは、2’置換ヌクレオシド、例えばMOEヌクレオシドである。
【0160】
領域Fまたは領域F’の長さが1である場合、それは有利な方法ではLNAヌクレオシドであることに留意するべきである。
【0161】
いくつかの実施形態では、領域Fおよび領域F’は、独立して、糖修飾ヌクレオシドの連続配列からなり、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、領域Fの糖修飾ヌクレオシドは、独立して、2’-O-アルキル-RNA単位、2’-O-メチル-RNA、2’-アミノ-DNA単位、2’-フルオロ-DNA単位、2’-アルコキシ-RNA、MOE単位、LNA単位、アラビノ核酸(ANA)単位および2’-フルオロ-ANA単位から選択されてもよい。
【0162】
いくつかの実施形態では、領域Fおよび領域F’は、独立して、LNAおよび2’置換修飾ヌクレオシドの両方を含む(混合ウイング設計)。
【0163】
いくつかの実施形態では、領域Fおよび領域F’は、1タイプのみの糖修飾ヌクレオシド、例えばMOEのみ、またはβ-D-オキシLNAのみ、またはScETのみからなる。このような設計は、均一フランクまたは均一ギャップマー設計とも称される。
【0164】
いくつかの実施形態では、領域FもしくはF’の全ヌクレオシド、またはFおよびF’は、例えばβ-D-オキシLNA、ENAまたはScETヌクレオシドから独立して選択される、LNAヌクレオシドである。いくつかの実施形態では、領域Fは、1~5、例えば2~4、例えば3~4、例えば1、2、3、4または5連続LNAヌクレオシドからなる。いくつかの実施形態では、領域FおよびF’の全てのヌクレオシドは、β-D-オキシLNAヌクレオシドである。
【0165】
いくつかの実施形態では、領域FもしくはF’の全ヌクレシド、またはFおよびF’は、2’置換ヌクレオシド、例えばOMeまたはMOEである。いくつかの実施形態では、領域Fは、1、2、3、4、5、6、7または8連続OMeまたはMOEからなる。いくつかの実施形態では、フランキング領域の1つのみが、2’置換ヌクレオシド、例えばOMeまたはMOEからなり得る。いくつかの実施形態では、2’置換ヌクレオシド、例えばOMeまたはMOEからなるのは5’(F)フランキング領域であり、一方、3’(F’)フランキング領域は、少なくとも1つのLNAヌクレオシド、例えばβ-D-オキシLNAヌクレオシドまたはcETヌクレオシドを含む。いくつかの実施形態では、2’置換ヌクレオシド、例えばOMeまたはMOEからなるのは3’(F’)フランキング領域であり、一方、5’(F)フランキング領域は、少なくとも1つのLNAヌクレオシド、例えばβ-D-オキシLNAヌクレオシドまたはcETヌクレオシドを含む。
【0166】
いくつかの実施形態では、領域FおよびF’の全修飾ヌクレオシドが、LNAヌクレオシド、例えばβ-D-オキシLNA、ENAまたはScETヌクレオシドから独立して選択される、LNAヌクレオシドであり、領域FもしくはF’、またはFおよびF’は、場合によりDNAヌクレオシドを含んでもよい(交互フランク、詳細にはこれらの定義を参照されたい)。いくつかの実施形態では、領域FおよびF’の全修飾ヌクレオシドがβ-D-オキシLNAヌクレオシドであり、領域FもしくはF’、またはFおよびF’は、場合によりDNAヌクレオシドを含んでもよい(交互フランク、詳細にはこれらの定義を参照されたい)。
【0167】
いくつかの実施形態では、領域FおよびF’の最も5’および最も3’のヌクレオシドは、LNAヌクレオシド、例えばβ-D-オキシLNAヌクレオシドまたはScETヌクレオシドである。
【0168】
いくつかの実施形態では、領域Fと領域Gの間のヌクレオシド間結合は、ホスホロチオアートヌクレオシド間結合である。いくつかの実施形態では、領域F’と領域Gの間のヌクレオシド間結合は、ホスホロチオアートヌクレオシド間結合である。いくつかの実施形態では、領域FまたはF’、FおよびF’のヌクレオシド間のヌクレオシド間結合は、ホスホロチオアートヌクレオシド間結合である。
【0169】
さらなるギャップマー設計は、国際公開第2004/046160号、国際公開第2007/146511号および国際公開第2008/113832号に開示されており、これらは参照により本明細書に組み込まれる、
【0170】
LNAギャップマー
LNAギャップマーは、領域FおよびF’の一方または両方のいずれかが、LNAヌクレオシドを含み、またはそれからなるギャップマーである。β-D-オキシギャップマーは、領域FおよびF’の一方または両方のいずれかが、β-D-オキシLNAヌクレオシドを含み、またはそれからなるギャップマーである。
【0171】
いくつかの実施形態では、LNAギャップマーは、式:[LNA]1-5-[領域G]-[LNA]1-5のものであり、ここで、領域Gはギャップマー領域Gの定義に規定した通りである。
【0172】
MOEギャップマー
MOEギャップマーは、領域FおよびF’がMOEヌクレオシドからなるギャップマーである。いくつかの実施形態では、MOEギャップマーは、設計[MOE]1-8-[領域G]-[MOE]1-8、例えば[MOE]2-7-[領域G]5-16-[MOE]2-7、例えば[MOE]3-6-[領域G]-[MOE]3-6のものであり領域Gはギャップマーの定義に規定した通りである。5-10-5設計(MOE-DNA-MOE)を有するMOEギャップマーは、当技術分野で広く使用されている。
【0173】
混合ウイングギャップマー
混合ウイングギャップマーは、領域FおよびF’の一方または両方が、2’置換ヌクレオシド、例えば2’-O-アルキル-RNA単位、2’-O-メチル-RNA、2’-アミノ-DNA単位、2’-フルオロ-DNA単位、2’-アルコキシ-RNA、MOE単位、アラビノ核酸(ANA)単位および2’-フルオロ-ANA単位から独立して選択される2’置換ヌクレオシド、例えばMOEヌクレオシドを含むLNAギャップマーである。領域FおよびF’の少なくとも一方、または領域FおよびF’の両方が少なくとも1つのLNAヌクレオシドを含むいくつかの実施形態では、領域FおよびF’の残りのヌクレオシドは、MOEおよびLNAからなる群から独立して選択される。領域FおよびF’の少なくとも一方、または領域FおよびF’の両方が少なくとも2つのLNAヌクレオシドを含むいくつかの実施形態では、領域FおよびF’の残りのヌクレオシドは、MOEおよびLNAからなる群から独立して選択される。いくつかの混合ウイング実施形態では、領域FおよびF’の一方または両方が、1つ以上のDNAヌクレオシドをさらに含んでもよい。
【0174】
混合ウイングギャップマー設計は、国際公開第2008/049085号および国際公開第2012/109395号に開示されており、これらは両方とも参照により本明細書に組み込まれる。
【0175】
交互フランクギャップマー
フランキング領域は、LNAおよびDNAヌクレオシドの両方を含み得、それらがLNA-DNA-LNAヌクレオシドの交互モチーフを含むので、「交互フランク」と称される。このような交互フランクを含むギャップマーは、「交互フランクギャップマー」と称される。したがって、「交互フランクギャップマー」は、フランク(FまたはF’)の少なくとも一方がLNAヌクレオシドに加えてDNAを含むLNAギャップマーオリゴヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、領域FもしくはF’の少なくとも一方、または両領域FおよびF’は、LNAヌクレオシドおよびDNAヌクレオシドの両方を含む。このような実施形態では、フランキング領域FもしくはF’、またはFおよびF’の両方は、少なくとも3つのヌクレオシドを含み、Fおよび/またはF’領域の最も5’および3’のヌクレオシドは、LNAヌクレオシドである。
【0176】
交互フランクLNAギャップマーは、国際公開第2016/127002号に開示されている。
【0177】
交互フランク領域は、1~2個、または1個、または2個、または3個の連続したDNAヌクレオシドといった最大3個の連続DNAヌクレオシドを含むことができる。
【0178】
交互フラック(flak)は、いくつかのLNAヌクレオシド(L)、それに続くいくつかのDNAヌクレオシド(D)、例えば、
[L]1-3-[D]1-4-[L]1-3
[L]1-2-[D]1-2-[L]1-2-[D]1-2-[L]1-2を表す一連の整数として注解することができる。
【0179】
オリゴヌクレオチド設計においては、これらは、2-2-1が5’[L]2-[D]2-[L]3’を表し、1-1-1-1-1が5’[L]-[D]-[L]-[D]-[L]3’を表すような数として表されることが多い。交互フランクを有するオリゴヌクレオチドにおけるフランクの長さ(領域FおよびF’)は、独立して、3~10ヌクレオシド、例えば4~8ヌクレオシド、例えば5~6ヌクレオシド、例えば4、5、6、または7個の修飾ヌクレオシドであり得る。いくつかの実施形態では、ギャップマーオリゴヌクレオチド中のフランクの一方のみが交互であるが、他方はLNAヌクレオチドから構成される。さらなるエキソヌクレアーゼ耐性を付与するために、3’フランク(F’)の3’末端に少なくとも2つのLNAヌクレオシドを有することが有利であり得る。交互フランクを有するオリゴヌクレオチドのいくつかの例は:
[L]1-5-[D]1-4-[L]1-3-[G]5-16-[L]2-6
[L]1-2-[D]1-2-[L]1-2-[D]1-2-[L]1-2-[G]5-16-[L]1-2-[D]1-3-[L]2-4
[L]1-5-[G]5-16-[L]-[D]-[L]-[D]-[L]2であって、
但し、ギャップマーの全体長は、少なくとも12、例えば少なくとも14ヌクレオチド長であることを条件とする。
【0180】
オリゴヌクレオチドにおける領域D’またはD”
本発明のオリゴヌクレオチドは、いくつかの実施形態では、標的核酸に相補的なオリゴヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列、例えばギャップマーF-G-F’、ならびにさらに5’および/もしくは3’ヌクレオシドを含み、またはそれからなり得る。さらなる5’および/または3’ヌクレオシドは、標的核酸に完全に相補的であってもよく、または完全に相補的でなくてもよい。このようなさらなる5’および/または3’ヌクレオシドは、本明細書で領域D’およびD”と称され得る。
【0181】
領域D’またはD”の追加は、連続ヌクレオチド配列、例えばギャップマーをコンジュゲート部分または他の官能基に連結することを目的として用いられ得る。連続ヌクレオチド配列をコンジュゲート部分に連結するのに使用される場合、生体開裂可能なリンカーとしての役割を果たし得る。あるいは、それはエキソヌクレオアーゼ(exonucleoase)保護を提供するために、または合成もしくは製造を容易にするために使用され得る。
【0182】
領域D’およびD”は、各々、領域Fの5’末端または領域F’の3’末端に結合して、以下の式D’-F-G-F’、F-G-F’-D”または
D’-F-G-F’-D”の設計を生成することができる。この場合、F-G-F’はオリゴヌクレオチドのギャップマー部分であり、領域D’またはD”は、オリゴヌクレオチドの別個の部分を構成する。
【0183】
領域D’またはD”は、独立して、1、2、3、4または5個の追加のヌクレオチドを含み、またはそれからなり、標的核酸に相補的であっても、または相補的でなくてもよい。FまたはF’領域に隣接するヌクレオチドは、糖修飾ヌクレオチドではなく、例えばDNAまたはRNAまたはこれらの塩基修飾バージョンである。D’およびD”領域は、ヌクレアーゼ感受性の生体開裂可能なリンカーとして機能し得る(リンカーの定義を参照されたい)。いくつかの実施形態では、追加の5’および/または3’末端ヌクレオチドは、ホスホジエステル結合で連結しており、DNAまたはRNAである。領域D’およびD”としての使用に適切なヌクレオチドベースの生体開裂可能なリンカーは、国際公開第2014/076195号に開示されており、これは例としてホスホジエステル結合DNAジヌクレオチドを含む。ポリオリゴヌクレオチド構築物における生体開裂可能なリンカーの使用は、国際公開第2015/113922号に開示されており、それらは複数のアンチセンス構築物(例えば、ギャップマー領域)を単一のオリゴヌクレオチド内で結合するのに使用されている。
【0184】
一実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチドは、ギャップマーを構成する連続ヌクレオチド配列に加えて、領域D’および/またはD”を含む。
【0185】
いくつかの実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドは、以下の式により表すことができる:
F-G-F’;特にF1-8-G5-16-F’2-8
D’-F-G-F’、特にD’1-3-F1-8-G5-16-F’2-8
F-G-F’-D”、特にF1-8-G5-16-F’2-8-D”1-3
D’-F-G-F’-D”、特にD’1-3-F1-8-G5-16-F’2-8-D”1-3
【0186】
いくつかの実施形態では、領域D’と領域Fの間に位置するヌクレオシド間結合は、ホスホジエステル結合である。いくつかの実施形態では、領域F’と領域D”の間に位置するヌクレオシド間結合は、ホスホジエステル結合である。
【0187】
トータルマー(totalmer)
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチド、またはその連続ヌクレオチド配列のヌクレオシドの全てが糖修飾ヌクレオシドである。このようなオリゴヌクレオチドは、本明細書ではトータルマーと呼ばれる。
【0188】
いくつかの実施形態では、トータルマーの糖修飾ヌクレオシドの全ては、同じ糖修飾を含み、例えば、それらは、全てLNAヌクレオシドであっても、全て2’O-MOEヌクレオシドであってもよい。いくつかの実施形態では、トータルマーの糖修飾ヌクレオシドは、LNAヌクレオシドおよび2’置換ヌクレオシド、例えば、2’-O-アルキル-RNA、2’-O-メチル-RNA、2’-アルコキシ-RNA、2’-O-メトキシエチル-RNA(MOE)、2’-アミノ-DNA、2’-フルオロ-RNA、および2’-F-ANAヌクレオシドからなる群から選択される2’置換ヌクレオシドから独立して選択されてよい。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、LNAヌクレオシドと、2’置換ヌクレオシド、例えば、2’-O-アルキル-RNA、2’-O-メチル-RNA、2’-アルコキシ-RNA、2’-O-メトキシエチル-RNA(MOE)、2’-アミノ-DNA、2’-フルオロ-RNA、および2’-F-ANAヌクレオシドからなる群から選択される2’置換ヌクレオシドの両方を含む。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、LNAヌクレオシドと2’-O-MOEヌクレオシドとを含む。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、(S)cET LNAヌクレオシドと2’-O-MOEヌクレオシドを含む。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドの各ヌクレオシド単位は、2’置換ヌクレオシドである。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドの各ヌクレオシド単位は、2’-O-MOEヌクレオシドである。
【0189】
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドまたはその連続ヌクレオチド配列の全てのヌクレオシドは、LNAヌクレオシド、例えばβ-D-オキシ-LNAヌクレオシドおよび/または(S)cETヌクレオシドである。いくつかの実施形態では、このようなLNAトータルマーオリゴヌクレオチドは、7~12ヌクレオシド長である(例えば、国際公開第2009/043353を参照されたい)。このような短い完全LNAオリゴヌクレオチドは、マイクロRNAの阻害に特に有効である。
【0190】
さまざまなトータルマー化合物は、特にマイクロRNAを標的とするときの治療用オリゴマー(antimiR)として、またはスプライススイッチングオリゴマー(SSO)として非常に有効である。
【0191】
いくつかの実施形態では、トータルマーは、反復配列XYXまたはYXYなどの少なくとも1つのXYXまたはYXY配列モチーフを含むか、またはそれからなり、XはLNAであり、Yは2’-OMe RNA単位および2’-フルオロDNA単位などの代替(すなわち、非LNA)ヌクレオチド類似体である。先の配列モチーフは、いくつかの実施形態では、例えば、XXY、XYX、YXYまたはYYXであり得る。
【0192】
いくつかの実施形態では、トータルマーは、7~24ヌクレオチド、例えば、7、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22もしくは23ヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列を含むか、またはそれからなってもよい。
【0193】
いくつかの実施形態では、トータルマーの連続ヌクレオチド配列は、少なくとも30%、例えば少なくとも40%、例えば少なくとも50%、例えば少なくとも60%、例えば少なくとも70%、例えば少なくとも80%、例えば少なくとも90%、例えば95%、例えば100%のLNA単位を含む。完全なLNA化合物の場合、12ヌクレオチド長未満、例えば7~10であることが有利である。
【0194】
残りの単位は、2’-O-アルキル-RNA単位、2’-OMe-RNA単位、2’-アミノ-DNA単位、2’-フルオロ-DNA単位、LNA単位、PNA単位、HNA単位、INA単位、および2’MOE RNA単位からなる群、または2’-OMe RNA単位および2’-フルオロDNA単位の群から選択されるものなど、本明細書で言及される非LNAヌクレオチド類似体から選択されてもよい。
【0195】
ミックスマー
用語「ミックスマー」は、DNAヌクレオシドと糖修飾ヌクレオシドの両方を含むオリゴマーを指し、RNアーゼHを動員するには連続DNAヌクレオシド長が不十分である。適切なミックスマーは、最大3つまたは最大4つの連続DNAヌクレオシドを含み得る。いくつかの実施形態では、ミックスマーは、糖修飾ヌクレオシドとDNAヌクレオシドの交互領域を含む。オリゴヌクレオチドに組み込まれたときにRNA様(3’エンド)コンホメーションを形成する糖修飾ヌクレオシドの領域と、DNAヌクレオシドの短い領域と交互に配置することにより、非RNaseH動員オリゴヌクレオチドを作製することができる。有利な方法では、糖修飾ヌクレオシドは、親和性増強糖修飾ヌクレオシドである。
【0196】
オリゴヌクレオチドミックスマーは、スプライスモジュレーターやマイクロRNA阻害剤などの標的遺伝子の作業に基づく調節を提供するために使用されることが多い。
【0197】
いくつかの実施形態では、ミックスマー中の糖修飾ヌクレオシド、またはその連続ヌクレオチド配列は、LNAヌクレオシド、例えば(S)cETもしくはβ-D-オキシLNAヌクレオシドを含むか、または全てそれらである。
【0198】
いくつかの実施形態では、ミックスマーの糖修飾ヌクレオシドの全ては、同じ糖修飾を含み、例えば、それらは、全てLNAヌクレオシドであっても、全て2’O-MOEヌクレオシドであってもよい。いくつかの実施形態では、ミックスマーの糖修飾ヌクレオシドは、LNAヌクレオシドおよび2’置換ヌクレオシド、例えば、2’-O-アルキル-RNA、2’-O-メチル-RNA、2’-アルコキシ-RNA、2’-O-メトキシエチル-RNA(MOE)、2’-アミノ-DNA、2’-フルオロ-RNA、および2’-F-ANAヌクレオシドからなる群から選択される2’置換ヌクレオシドから独立して選択されてよい。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、LNAヌクレオシドと、2’置換ヌクレオシド、例えば、2’-O-アルキル-RNA、2’-O-メチル-RNA、2’-アルコキシ-RNA、2’-O-メトキシエチル-RNA(MOE)、2’-アミノ-DNA、2’-フルオロ-RNA、および2’-F-ANAヌクレオシドからなる群から選択される2’置換ヌクレオシドの両方を含む。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオイチドは、LNAヌクレオシドと2’-O-MOEヌクレオシドとを含む。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、(S)cET LNAヌクレオシドと2’-O-MOEヌクレオシドを含む。
【0199】
いくつかの実施形態では、ミックスマーまたはその連続ヌクレオチド配列は、LNAおよびDNAヌクレオシドのみを含み、このようなLNAミックスマーオリゴヌクレオチドは、例えば、8~24ヌクレオシド長であり得る(例えば、マイクロRNAのLNA antmiR阻害剤を開示する国際公開第2007112754号を参照されたい)。
【0200】
さまざまなミックスマー化合物は、治療用オリゴマーとして、特にマイクロRNAを標的とする場合(antimiR)、またはスプライススイッチングオリゴマー(SSO)として非常に有効である。
【0201】
いくつかの実施形態では、ミックスマーは、次のモチーフを含む:
...[L]m[D]n[L]m[D]n[L]m...または
...[L]m[D]n[L]m[D]n[L]m[D]n[L]m...または
...[L]m[D]n[L]m[D]n[L]m[D]n[L]m[D]n[L]m...または
...[L]m[D]n[L]m[D]n[L]m[D]n[L]m[D]n[L]m[D]n[L]m...
ここで、Lは、LNAまたは2’置換ヌクレオシド(例えば2’-O-MOE)などの糖修飾ヌクレオシドを表し、Dは、DNAヌクレオシドを表し、各mは、1~6から独立して選択され、各nは、1、2、3および4、例えば1~3から独立して選択される。いくつかの実施形態では、各Lは、LNAヌクレオシドである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのLはLNAヌクレオシドであり、少なくとも1つのLは2’-O-MOEヌクレオシドである。いくつかの実施形態では、各Lは、LNAおよび2’-O-MOEヌクレオシドから独立して選択される。
【0202】
いくつかの実施形態では、ミックスマーは、10~24ヌクレオチド、例えば、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22もしくは23ヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列を含むか、またはそれからなってもよい。
【0203】
いくつかの実施形態では、ミックスマーの連続ヌクレオチド配列は、少なくとも30%、例えば少なくとも40%、例えば少なくとも50%のLNA単位を含む。
【0204】
いくつかの実施形態では、ミックスマーは、ヌクレオチド類似体と天然に存在するヌクレオチドとの繰り返しパターンの連続ヌクレオチド配列、または1種のヌクレオチド類似体と第2のタイプのヌクレオチド類似体を含むか、またはそれらからなる。繰り返しパターンは、例えば、次のようになり得る:1つ置きもしくは2つ置きのヌクレオチドは、LNAなどのヌクレオチド類似体であり、残りのヌクレオチドは、DNAなどの天然に存在するヌクレオチドであるか、または本明細書で言及される2’フルオロ類似体の2’MOEなどの2’置換ヌクレオチド類似体、またはいくつかの実施形態では、本明細書で言及されるヌクレオチド類似体の群から選択されたものである。LNA単位などのヌクレオチド類似体の繰り返しパターンは、固定位置、例えば5’末端または3’末端でヌクレオチド類似体と組み合わせられ得ることが認識されている。
【0205】
いくつかの実施形態では、3’末端から数えて、オリゴマーの第1のヌクレオチドは、LNAヌクレオチドまたは2’-O-MOEヌクレオシドなどのヌクレオチド類似体である。
【0206】
同じであっても異なっていてもよいいくつかの実施形態では、3’末端から数えて、オリゴマーの第2のヌクレオチドは、LNAヌクレオチドまたは2’-O-MOEヌクレオシドなどのヌクレオチド類似体である。
【0207】
同じであっても異なっていてもよいいくつかの実施形態では、オリゴマーの5’末端は、LNAヌクレオチドまたは2’-O-MOEヌクレオシドなどのヌクレオチド類似体である。
【0208】
いくつかの実施形態では、ミックスマーは、少なくとも2つの連続するヌクレオチド類似体単位、例えば少なくとも2つの連続するLNA単位を含む領域を含む。
【0209】
いくつかの実施形態では、ミックスマーは、少なくとも3つの連続するヌクレオチド類似体単位、例えば少なくとも3つの連続するLNA単位を含む領域を含む。
【0210】
コンジュゲート
本明細書で使用されるコンジュゲートという用語は、非ヌクレオチド部分に共有結合したオリゴヌクレオチドを指す(コンジュゲート部分または領域Cまたは第3の領域)。
【0211】
1つ以上の非ヌクレオチド部分に対する本発明のオリゴヌクレオチドのコンジュゲーションは、例えば、オリゴヌクレオチドの活性、細胞分布、細胞取り込み、または安定性に影響を及ぼすことにより、オリゴヌクレオチドの薬理学的性質を改善することができる。いくつかの実施形態では、コンジュゲート部分は、オリゴヌクレオチドの細胞分布、生物学的利用能、代謝、排泄、浸透性、および/または細胞取り込みを改善することにより、オリゴヌクレオチドの薬物動態特性を調節または増強する。特に、コンジュゲートは、オリゴヌクレオチドを特定の器官、組織または細胞型に標的化し、それにより、その器官、組織または細胞型におけるオリゴヌクレオチドの有効性を増強し得る。同時に、コンジュゲートは、非標的細胞型、組織または器官内のオリゴヌクレオチドの活性を低下させるのに役立ち得る(例えば、非標的細胞型、組織または器官内のオフ標的活性または活性)。
【0212】
国際公開第93/07883号および国際公開第2013/033230号は、適切なコンジュゲート部分を提供し、これらは参照により本明細書に組み込まれる。さらに適切なコンジュゲート部分は、アシアロ糖タンパク質受容体(ASGPR)に結合することができる部分である。特に、三価N-アセチルガラクトサミンのコンジュゲート部分は、ASGPRへの結合に適しており、例えば、国際公開第2014/076196号、同第2014/207232号および同第2014/179620号(参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。このようなコンジュゲートは、肝臓へのオリゴヌクレオチドの取込みを増強するよう機能する一方で、腎臓におけるその存在を低減させ、それにより、結合オリゴヌクレオチドの肝臓/腎臓比を、同じオリゴヌクレオチドの未結合バージョンと比較して上昇させる。
【0213】
オリゴヌクレオチドコンジュゲートおよびそれらの合成は、Manoharan、Antisense Drug Technology,Principles,Strategies,and Applications,S.T.Crooke,ed.,Ch.16,Marcel Dekker,Inc.,2001およびManoharan、Antisense and Nucleic Acid Drug Development,2002,12,103による包括的総説においても報告されており、それらの各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0214】
一実施形態では、非ヌクレオチド部分(コンジュゲート部分)は、炭水化物、細胞表面受容体リガンド、原薬、ホルモン、親油性物質、ポリマー、タンパク質、ペプチド、毒素(例えば、細菌毒素)、ビタミン、ウイルスタンパク質(例えば、カプシド)またはそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0215】
リンカー
結合(linkage)またはリンカーは、1つ以上の共有結合を介して、ある関心対象の化学基またはセグメントを別の関心対象の化学基またはセグメントに連結する2つの原子間の接続である。コンジュゲート部分は、直接または連結部分(例えば、リンカーまたはテザー)を介してオリゴヌクレオチドに付着させることができる。リンカーは、例えばコンジュゲート部分などの第3の領域(領域C)を、例えば標的核酸に相補的なオリゴヌクレオチドまたは連続ヌクレオチド配列などの第1の領域(領域A)に共有結合させるよう機能する。
【0216】
本発明のいくつかの実施形態では、本発明のコンジュゲートまたはオリゴヌクレオチドコンジュゲートは、場合により、標的核酸に相補的なオリゴヌクレオチドまたは連続ヌクレオチド配列(領域Aまたは第1の領域)の間に位置するリンカー領域(第2の領域または領域Bおよび/または領域Y)と、コンジュゲート部分(領域Cまたは第3の領域)とを含み得る。
【0217】
領域Bは、哺乳動物の体内で通常遭遇するまたは遭遇するものに類似した条件下で開裂可能である生理学的に不安定な結合を含み、またはそれからなる生体開裂可能なリンカーを指す。生理学的に不安定なリンカーが化学的変換(例えば、開裂)を受ける条件には、pH、温度、酸化もしくは還元条件または薬剤などの化学条件、および哺乳動物細胞で見られる、または遭遇するものに類似した、塩濃度が含まれる。哺乳動物の細胞内条件には、タンパク質分解酵素または加水分解酵素またはヌクレアーゼなどの哺乳動物細胞に通常存在する酵素活性の存在も含まれる。一実施形態では、生体開裂可能なリンカーは、S1ヌクレアーゼ開裂の影響を受けやすい。好ましい実施形態では、ヌクレアーゼ感受性リンカーは、1~10のヌクレオシド、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10のヌクレオシドを含み、より好ましくは2~6のヌクレオシドを含み、最も好ましくは2~4の連結されたヌクレオシドを含み、これは少なくとも3または4または5の連続したホスホジエステル結合といった少なくとも2つの連続ホスホジエステル結合を含む。好ましくは、ヌクレオシドは、DNAまたはRNAである。ホスホジエステルを含む生体開裂可能なリンカーは、国際公開第2014/076195号(参照により本明細書に組み込まれる)においてより詳細に説明されている。
【0218】
領域Yは、必ずしも生体開裂可能ではないが、主に、コンジュゲート部分(領域Cまたは第3の領域)をオリゴヌクレオチド(領域Aまたは第1の領域)に共有結合させるよう機能するリンカーを指す。領域Yリンカーは、エチレングリコール、アミノ酸単位またはアミノアルキル基などの繰り返し単位の鎖構造またはオリゴマーを含み得る。本発明のオリゴヌクレオチドコンジュゲートは、以下の領域要素A-C、A-B-C、A-B-Y-C、A-Y-B-CまたはA-Y-Cで構成されていてもよい。いくつかの実施形態において、リンカー(領域Y)は、例えば、C6~C12のアミノアルキル基を含む、C2~C36アミノアルキル基などのアミノアルキルである。好ましい実施形態では、リンカー(領域Y)は、C6アミノアルキル基である。
【0219】
したがって、本発明は、特に次のものに関する:
【0220】
ヌクレオシド(A1)がDNAヌクレオシド、RNAヌクレオシドまたは糖修飾ヌクレオシドである、本発明によるオリゴヌクレオチド;
【0221】
ヌクレオシド(A1)がDNAヌクレオシドまたは糖修飾ヌクレオシドである、本発明によるオリゴヌクレオチド;
【0222】
ヌクレオシド(A2)がDNAヌクレオシド、RNAヌクレオシドまたは糖修飾ヌクレオシドである、本発明によるオリゴヌクレオチド;
【0223】
ヌクレオシド(A2)がDNAヌクレオシドまたは糖修飾ヌクレオシドである、本発明によるオリゴヌクレオチド;
【0224】
糖修飾ヌクレオシドが2’糖修飾ヌクレオシドである、本発明によるオリゴヌクレオチド;
【0225】
ヌクレオシド(A2)が2’-アルコキシ-RNA、特に2’-メトキシ-RNA、2’-アルコキシアルコキシ-RNA、特に2’-メトキシエトキシ-RNA、2’-アミノ-DNA、2’-フルオロ-RNAまたは2’-フルオロ-ANAである、本発明によるオリゴヌクレオチド;
【0226】
ヌクレオシド(A2)がLNAヌクレオシドである、本発明によるオリゴヌクレオチド;
【0227】
LNAヌクレオシドが、β-D-オキシLNA、6’-メチル-β-D-オキシLNAおよびENAから独立して選択され、特にβ-D-オキシLNAである、本発明によるオリゴヌクレオチド;
【0228】
ヌクレオシド(A1)および(A2)の少なくとも一方が2’-アルコキシアルコキシ-RNAである、本発明によるオリゴヌクレオチド;
【0229】
2’-アルコキシアルコキシ-RNAが2’-メトキシエトキシ-RNAである、本発明によるオリゴヌクレオチド;
【0230】
ヌクレオシド(A1)および(A2)が両方ともDNAヌクレオシドまたは両方とも2 ’糖修飾ヌクレオシドヌクレオシド、特にLNAヌクレオシドである、本発明によるオリゴヌクレオチド;
【0231】
ホスホジエステルヌクレオシド間結合、ホスホロチオアートヌクレオシド間結合および先に定義された式(I)のホスホロトリチオアートヌクレオシド間結合から選択されるさらなるヌクレオシド間結合を含む、本発明によるオリゴヌクレオチド;
【0232】
ホスホロチオアートヌクレオシド間結合および先に定義された式(I)のホスホロトリチオアートヌクレオシド間結合から選択されるさらなるヌクレオシド間結合を含む、本発明によるオリゴヌクレオチド;
【0233】
先に定義された式(I)の1~15個、特に1~5個、より特には1、2、3、4または5個のホスホロトリチオアートヌクレオシド間結合を含む、本発明によるオリゴヌクレオチド;
【0234】
さらなるヌクレオシド間結合が全て式-P(=S)(OR)O2-(式中、Rは、先に定義された通りである)のホスホロチオアートヌクレオシド間結合である、本発明によるオリゴヌクレオチド;
【0235】
DNAヌクレオシド、RNAヌクレオシドおよび糖修飾ヌクレオシドから選択されるさらなるヌクレオシドを含む、本発明によるオリゴヌクレオチド;
【0236】
1つ以上のヌクレオシドが核酸塩基修飾ヌクレオシドである、本発明によるオリゴヌクレオチド;
【0237】
オリゴヌクレオチドがアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、マイクロRNA模倣物またはリボザイムである、本発明によるオリゴヌクレオチド;
【0238】
オリゴヌクレオチドがアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチドである、本発明によるオリゴヌクレオチド;
【0239】
式(I)のホスホロトリチオアートヌクレオシド間結合がギャップマーオリゴヌクレオチドのギャップ領域内にある、本発明によるオリゴヌクレオチド;
【0240】
式(I)のホスホロトリチオアートヌクレオシド間結合がギャップマーオリゴヌクレオチドのギャップ領域内にある、本発明によるオリゴヌクレオチド;
【0241】
ギャップマーオリゴヌクレオチドが、LNAギャップマー、混合ウイングギャップマーまたは2’置換ギャップマー、特に2’-O-メトキシエチルギャップマーである、本発明によるオリゴヌクレオチド;
【0242】
本発明によるギャップオリゴヌクレオチドであって、ギャップマーオリゴヌクレオチドが式5’-F-G-F’-3’の連続ヌクレオチド配列を含み、Gが、RnアーゼHを動員することができる5~18ヌクレオシドの領域であり、該領域Gが、それぞれフランキング領域FおよびF’によって5’および3’に隣接されており、領域FおよびF’が、独立して、1~7つの2’糖修飾ヌクレオチドを含むか、またはそれからなり、領域Gに隣接する領域Fのヌクレオシドが2’糖修飾ヌクレオシドであり、領域Gに隣接する領域F’のヌクレオシドが2’糖修飾ヌクレオシドである、本発明によるオリゴヌクレオチド;
【0243】
本発明によるギャップマーオリゴヌクレオチドであって、先に定義された式(I)の該少なくとも1つのホスホロトリチオアートヌクレオシド間結合が、領域Gの隣接するヌクレオシド間に、または領域Gと領域F’との間に配置されている、本発明によるギャップマーオリゴヌクレオチド;
【0244】
本発明によるオリゴヌクレオチドであって、オリゴヌクレオチドがアンチセンスオリゴヌクレオチドミックスマーまたはトータルマー、特にスプライススイッチングオリゴヌクレオチドまたはマイクロRNA阻害剤オリゴヌクレオチドである、本発明によるオリゴヌクレオチド;
【0245】
本発明によるオリゴヌクレオチドの医薬として許容され得る塩、特にナトリウム塩またはカリウム塩;
【0246】
本発明によるオリゴヌクレオチドまたは医薬として許容され得る塩と、場合によりリンカー部分を介して、該オリゴヌクレオチドまたは該医薬として許容され得る塩に共有結合した少なくとも1つのコンジュゲート部分とを含む、コンジュゲート;
【0247】
本発明によるオリゴヌクレオチド、医薬として許容され得る塩またはコンジュゲートと、治療上不活性である担体とを含む、医薬組成物;
【0248】
治療活性のある物質として使用するための、本発明によるオリゴヌクレオチド、医薬として許容され得る塩またはコンジュゲート;
【0249】
心臓または血液の疾患の処置または予防に使用するための、本発明によるオリゴヌクレオチド、医薬として許容され得る塩またはコンジュゲート;
【0250】
心臓または血液の疾患の処置または予防のための薬剤の調製のための、本発明によるオリゴヌクレオチド、医薬として許容され得る塩またはコンジュゲートの使用;
【0251】
心臓または血液の疾患の処置または予防における、本発明によるオリゴヌクレオチド、医薬として許容され得る塩またはコンジュゲートの使用;
【0252】
心臓または血液の疾患の処置または予防を必要とする患者に、有効量の本発明によるオリゴヌクレオチド、医薬として許容され得る塩またはコンジュゲートを投与することを含む、心臓または血液の疾患の処置または予防のための方法;
【0253】
細胞内の標的RNA、特にヒトmRNAまたはウイルスRNAを阻害する方法であって、該標的RNAを発現する細胞に本発明によるオリゴヌクレオチドを投与することを含む、方法;
【0254】
本発明によるオリゴヌクレオチドまたはギャップマーオリゴヌクレオチドを前記標的RNAを発現する細胞に投与することを含む、細胞内の標的RNA、特にヒトmRNAまたはウイルスRNAを調節または阻害するインビトロでの方法;
【0255】
以下のステップを含む、本発明によるオリゴヌクレオチドを製造するためのプロセス:
(a)チオホスホルアミダイトを5’S修飾ヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドの末端5’硫黄原子にカップリングして、ジチオホスファイトトリエステル中間体を生成すること;
(b)ステップa)で得られたジチオホスファイトトリエステル中間体をチオ酸化するステップ;および
(c)場合によりオリゴヌクレオチドをさらに伸長させるステップ;
【0256】
ステップ(a)の5’S-修飾ヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドを固体支持体に結合させる、本発明によるプロセス;
【0257】
固体支持体からのオリゴヌクレオチドの開裂をさらに含む、本発明によるプロセス;ならびに
【0258】
本発明のプロセスにより製造されたオリゴヌクレオチド。
【0259】
いくつかの実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドは、対応する完全にホスホロチオアート結合したオリゴヌクレオチドと比較して、その標的核酸を調節する際により高い活性を有する。いくつかの実施形態では、本発明は、増強された活性、増強された効力、増強された特異的活性、または増強された細胞取り込みを有するオリゴヌクレオチドを提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、インビトロまたはインビボでの作用の持続期間の延長など、インビトロまたはインビボでの作用の持続期間が変さらされたオリゴヌクレオチドを準備する。いくつかの実施形態では、標的核酸を調節する際のより高い活性は、標的核酸を発現している細胞においてインビトロでまたはインビボで決定される。
【0260】
いくつかの実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドは、毒性の低下、例えば、腎毒性の低下、肝毒性の低下、または免疫刺激の低下などの薬理学的特性を変化させた。肝毒性は、例えば、インビボで、または国際公開第2017/067970号に開示されたインビトロアッセイを使用することによって決定することができ、この文献は参照により本明細書に組み込まれる。腎毒性は、例えば、インビトロで、またはPCT/EP2017/064770に開示されたアッセイを使用することによって決定することができ、この文献は参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドは、5’ CG 3’ジヌクレオチド、例えばDNA 5’CG 3’ジヌクレオチドを含み、CとGとの間のヌクレオシド間結合は、先に定義された式(I)のホスホロトリチオアートヌクレオシド間結合である。
【0261】
いくつかの実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドは、改善されたヌクレアーゼ耐性、例えば血清中の改善された生体安定性を有する。いくつかの実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドの3’末端ヌクレオシドは、AまたはG塩基、例えば3’末端LNA-AまたはLNA-Gヌクレオシドを有する。適切には、オリゴヌクレオチドの2つの最も3’のヌクレオシド間のヌクレオシド間結合は、先に定義された式(I)によるホスホロトリチオアートヌクレオシド間結合であり得る。
【0262】
いくつかの実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドは、増強された生物学的利用能を有する。いくつかの実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドは、より大きな血液曝露、例えばより長い血中滞留時間を有する。
【0263】
本発明によるオリゴヌクレオチドは、例えば、以下のスキームにより調製することができる。
【0264】
非架橋位置ならびに隣接するフラノース環の3’位および5’位に硫黄原子を有するトリチオホスファート結合は、ホスホロアミダイト法を用いた固相合成によってオリゴヌクレオチドに導入することができる。合成は、支持体としてユニバーサルリンカーを備えた制御された細孔ガラス(CPG)を使用して実行される。このような固体支持体上で、オリゴヌクレオチドは、典型的には、5’O-DMT保護されたヌクレオシドホスホロアミダイトビルディングブロックのカップリングと、それに続く(チオ)酸化、キャッピングおよびDMT基の脱保護からなる連続的なサイクルによって3’-5’方向に構築される。本出願に説明されているホスホロトリチオアートの導入のために、DMT保護された5’-デオキシ-5’-メルカプトホスホロアミダイト構築ブロックが、固体支持体結合オリゴヌクレオチド鎖の遊離5’-ヒドロキシ基に結合されている。(チオ)酸化およびキャッピング後、得られた中間体を脱保護して5’-チオール基を遊離させる。
【0265】
【0266】
この脱保護は困難であり、標準的な脱保護条件(典型的にはジクロロメタン中3~5%のジクロロ酢酸またはトリクロロ酢酸)を繰り返し(15回以上)適用するか、またはより高い酸濃度(例えば、ジクロロメタン中最大10%のトリクロロ酢酸)もしくはより強い酸(例えば、ジクロロメタン中5%のトリフルオロ酢酸)を使用するかのいずれかによって、適切なカチオンスカベンジャー(典型的には、トリエチルシラン20%、4-メトキシチオフェノール5%または両方の組み合わせ)を優先的に使用して最適な方法で行う。
【0267】
【0268】
このようにして得られた遊離の5 ’チオール基は、次に、適切な5’O-DMTで保護されたチオホスホルアミダイト構築ブロックに結合する。このようなチオホスホルアミダイト構築ブロックは、典型的には、高濃度(例えば、0.15M)の溶液として結合し、標準の未修飾DNAホスホルアミダイトと比較して結合時間が長くなる。次いで、得られたジチオホスファイト中間体は、適切な試薬(例えば、3-アミノ-1,2,4-ジチアゾール-5-チオン)を使用してチオ酸化を受けて、所望の対称性ホスホロトリチオアート結合を提供することができる。
【0269】
【0270】
先のスキームでは:
R2aとR4aは一緒になって、先に定義した-X-Y-を形成するか、または
R4aは、水素およびR2aは、アルコキシ、特にメトキシ、ハロゲン、特にフルオロ、アルコキシアルコキシ、特にメトキシエトキシ、アルケニルオキシ、特にアリルオキシおよびアミノアルコキシ、特にアミノエチルオキシから選択される。
R2bとR4bは一緒になって、先に定義した-X-Y-を形成するか、または
R2bとR4bは両方とも同時に水素であるか、または
R4bは、水素およびR2bは、アルコキシ、特にメトキシ、ハロゲン、特にフルオロ、アルコキシアルコキシ、特にメトキシエトキシ、アルケニルオキシ、特にアリルオキシおよびアミノアルコキシ、特にアミノエチルオキシから選択される。
Rxは、フェニル、ニトロフェニル、フェニルアルキル、ハロフェニルアルキル、シアノアルキル、フェニルカルボニルスルファニルアルキル、ハロフェニルカルボニルスルファニルアルキルアルキルカルボニルスルファニルアルキルまたはアルキルカルボニルカルボニルスルファニルアルキルであり;
R3は、ジアルキルアミノまたはピロリジニルであり、
R5は、チオヒドロキシル保護基であり;かつ
Rは、先に定義した通りである。
【0271】
次に、本発明を、限定的な特徴を有しない以下の実施例によって説明する。
【実施例】
【0272】
実施例1
オリゴヌクレオチド合成
Bioautomation社のMerMade 12自動DNA合成装置を用いて、オリゴヌクレオチドを合成した。合成は、ユニバーサルリンカーを備えた制御された細孔ガラス支持体(500Å)を使用して1μmolスケールで行った。
【0273】
DNAとLNAホスホルアミダイトとのカップリングの標準的なサイクル手順では、DMT脱保護は、CH2Cl2中の3%(w/v)トリクロロ酢酸を使用して200μLを30秒間というのを3回適用して行った。それぞれのホスホルアミダイトを、アセトニトリル(またはLNA-MeC構築ブロックの場合、アセトニトリル/CH2Cl2が1:1)中の0.1M溶液100μL、および活性化因子としてのアセトニトリル中の5-(3,5-ビス(トリフルオロメチルフェニル))-1H-テトラゾールの0.1M溶液110μLと3回、180秒間のカップリング時間でカップリングさせた。チオ酸化の場合、アセトニトリル/ピリジン1:1中の3-アミノ-1,2,4-ジチアゾール-5-チオン0.1M溶液を使用した(3×190μL、55秒)。THF/ルチジン/Ac2O 8:1:1(CapA、75μmol)およびTHF/N-メチルイミダゾール8:2(CapB、75μmol)を使用して、キャッピングを55秒間行った。
【0274】
2’,5’-ジデオキシ-5’-メルカプトホスホロアミダイトを組み込むための合成サイクルには、アセトニトリル中の0.1M溶液100μLと、アセトニトリル中の5-(3,5-ビス(トリフルオロメチルフェニル))-1H-テトラゾール0.1M溶液110μLを使用したホスホロアミダイトビルディングブロックのカップリングが含まれ、180秒のカップリング時間で行った。三重カップリングを実行した。アセトニトリル/ピリジン 1:1中の3-アミノ-1,2,4-ジチアゾール-5-チオン0.1M溶液(3×190μL、55秒)を使用して、チオ酸化を行った。キャッピングには、THF/ルチジン/Ac2O 8:1:1(CapA、75μmol)溶液およびTHF/N-メチルイミダゾール8:2(CapB、75μmol)溶液を55秒間適用した。DMTの脱保護およびチオールの遊離は、CH2Cl2中の3%(w/v)トリクロロ酢酸を使用して、200μLを30秒間というのを15回適用して行った。DMTの脱保護およびチオールの遊離はまた、200μLを45秒間、1~10%(v/v)のトリフルオロ酢酸または5~10%(w/v)のトリクロロ酢酸の3~6回の適用を、CH2Cl2中の5~30%(v/v)トリエチルシランおよび/またはCH2Cl2中の2~10%のp-メトキシチオフェノールの存在下で用いて有利な方法で行った。
【0275】
チオホスホルアミダイトを、アセトニトリル中の10%(v/v)CH2Cl2中の0.15M溶液100μL、および活性化因子としてのアセトニトリル中の5-(3,5-ビス(トリフルオロメチルフェニル))-1H-テトラゾールの0.1M溶液110μLと3回、各々600秒間のカップリング時間でカップリングさせた。アセトニトリル/ピリジン 1:1(3×190μL、55秒)中の3-アミノ-1,2,4-ジチアゾール-5-チオンの0.1M溶液を使用した標準的なチオ酸化、ならびにTHF/ルチジン/Ac2O 8:1:1(CapA、75μmol)およびTHF/N-メチルイミダゾール 8:2(CapB、75μmol)溶液(55秒)を使用したキャッピング手順を適用した。
【0276】
核酸塩基保護基の除去および固体支持体からの切断は、55℃で15~16時間、20mM DTTを含有するアンモニア(32%):エタノール(3:1、v:v)混合物を使用して達成した。粗DMTオンオリゴヌクレオチドは、固相抽出カートリッジを使用してイオン交換クロマトグラフィーでの再精製を用いるか、またはC18カラムを使用したRP-HPLC精製と、それに続く80%酢酸水溶液によるDMT除去およびエタノール沈殿によってのいずれかで精製した。
【0277】
先の一般的な手順により、以下の分子を調製した。
太字
かつ下線を付したヌクレオチドとの間にトリチオアート修飾
A、G、
mC、Tは,LNAヌクレオチドを表す
a、g、c、tは、DNAヌクレオチドを表す
他の結合は全て、ホスホロチオアートとして調製した
【0278】
化合物#1~13は、配列番号1に基づく。該化合物は、先の表に示されているように、式(I)のホスホロトリチオアートヌクレオシド間結合の位置が異なる。
【0279】
実施例1
インビトロでの活性データ
LTK細胞を、細胞培養培地(10%ウシ胎児血清[Sigma、カタログ番号F7524、および0.025mg/mlゲンタマイシン[Sigma、カタログ番号G1397]を補充したDMEM[Sigma、カタログ番号D0819])で成長させた。細胞は、リン酸緩衝塩類溶液(PBS)[Sigma cat.no 14190-094]で洗浄し、次に0.25%トリプシン-EDTA溶液(Sigma、T3924)を添加して37°Cで2~3分インキュベートし、摩砕することによって、5日ごとにトリプシン処理した後、細胞播種した。細胞は、最多15回、継代培養で維持した。
【0280】
実験に使用するために、ウェルあたり2000個の細胞を96ウェルプレート(Nuncカタログ番号167008)内で100μLの成長培地中で播種した。オリゴヌクレオチドは750μMストック溶液から調製した。PBSに溶解したオリゴを、細胞を16~50,000nMの終濃度範囲で播種したおよそ24時間後に添加した。細胞をオリゴの存在下で3日間培養した。
【0281】
培地を除去した後、125μLのPureLink(登録商標)Pro96溶解緩衝液(Invitrogen 12173.001A)および125μLの70%エタノールの添加によって、細胞を回収した。製造元の説明書によってRNAを精製し、最終容積50μLの水で溶離した結果、RNA濃度は10~20ng/μlであった。RNAを水で10倍希釈したのち、ワンステップ定量的PCR反応を行った。ワンステップ定量的PCR反応には、定量的PCRミックス(QauntaBio製のqScript(商標)XLE 1-ステップRT-qPCR ToughMix(登録商標)Low ROX、カタログ番号95134-500)を2つのTaqmanプローブと10:1:1(定量的PCRミックス:プローブ1:プローブ2)の比率で混合して、マスターミックスを生成した。Taqmanプローブは、LifeTechnologiesから獲得した:MALAT1:Mm01227912;BCL2:Mm00477631;GAPDH 4352339E。次に、マスターミックス(6μL)およびRNA(4μL、1~2ng/μL)を定量的PCRプレート(MicroAmp(登録商標)光学384ウェル、4309849)内で混合した。密封後、プレートを1000gで1分間室温で回転させ、Viia(商標)7システム(Applied Biosystems,Thermo)に移し、以下のPCR条件を使用した。50℃で15分間;95℃で3分間;95℃で5秒間、次いで1.6℃/秒の温度低下、次いで60℃で45秒間を40サイクル。QuantStudio(商標)Real_time PCRソフトウェアを使用してデータを解析した。
【0282】
【0283】
データは、この修正が十分に許容されることを明確に実証している。加えて、他の点では通常のホスホロチオアートオリゴヌクレオチドの最適化のためのこの修正の能力は大きい。多くの場合、わずか1回の修正を導入することによって、有意により低いIC50値が得られる。ギャップマーのLNAフランクへこの修正を導入すると、特定の利点が得られる。このことは、効力を最適化し、かつホスホロチオアートオリゴヌクレオチドからキラル中心を除去することを超えるための、修正の価値を明確に示している。
【0284】
実施例2
15mg/kgの用量を用いた心臓における標的mRNAレベル(Malat1)の測定
マウス(C57/BL6)に、オリゴヌクレオチドを15mg/kg、1、2、および3日後の3回用量で皮下投与した(n=5)。8日後にマウスを屠殺し、MALAT-1 RNAの低減を心臓について測定した。親化合物は、3×15mg/kgおよび3×30mg/kgの2回用量で投与した。
【0285】
【0286】
実施例3
ApoB RNAに対する結合親和性
以下のApoB配列を、実施例1の手順により生成した。
太字
かつ下線を付したヌクレオチドとの間にトリチオアート修飾
A、G、C、Tは,LNAヌクレオチドを表す
a、g、c、tは、DNAヌクレオチドを表す
他の結合は全て、ホスホロチオアートとして調製した
【0287】
化合物#14~21は、配列番号2に基づく。該化合物は、先の表に示されているように、式(I)のホスホロトリチオアートヌクレオシド間結合の位置が異なる。
【0288】
LNA二重鎖の融解温度は、温度制御装置を装備したCary300(Agilent)で測定した。LNAおよび反対鎖のRNAをアニーリングして、リン酸緩衝塩類溶液(20mM Na2HPO4、200mM NaCl、0.2mM EDTA、pH=7)中で等モル濃度の1.5μMを得た。260nmでの吸光度を測定した。温度勾配を25℃~95℃の範囲について1℃/分に設定して維持し、保持時間を25℃および95℃でそれぞれ3分に設定した。吸光度の読み取りは、30秒ごとに行った。融解プロファイルは、シグモイド状にあてはまり、Tmはその微分によって決定した。
【配列表】