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特許7470100リフローはんだ付け炉のガス制御システム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-09
(45)【発行日】2024-04-17
(54)【発明の名称】リフローはんだ付け炉のガス制御システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 1/008 20060101AFI20240410BHJP
   F27B 9/40 20060101ALI20240410BHJP
   F27D 21/00 20060101ALI20240410BHJP
   F27D 7/06 20060101ALI20240410BHJP
【FI】
B23K1/008 Z
F27B9/40
F27D21/00 A
F27D7/06 C
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021510656
(86)(22)【出願日】2019-08-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-27
(86)【国際出願番号】 US2019049113
(87)【国際公開番号】W WO2020047442
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2022-06-02
(31)【優先権主張番号】201811013268.3
(32)【優先日】2018-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】591203428
【氏名又は名称】イリノイ トゥール ワークス インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【弁理士】
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】ションフー イェン
(72)【発明者】
【氏名】ポン シュー
(72)【発明者】
【氏名】トン チャン
【審査官】柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0246512(US,A1)
【文献】特開2013-098417(JP,A)
【文献】特開2007-136549(JP,A)
【文献】特開平03-101296(JP,A)
【文献】国際公開第2017/110066(WO,A1)
【文献】特開2000-122725(JP,A)
【文献】特開2005-226609(JP,A)
【文献】実開昭62-011850(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 1/008
F27B 9/40
F27D 21/00
F27D 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リフローはんだ付け炉(110)のガス制御システムであって、該リフローはんだ付け炉(110)の炉室(112)はガスを収容し、該ガスは酸素及び作動ガスを含み、該ガス制御システムは、
前記炉室(112)内の酸素濃度を検出するように、該炉室(112)内の前記ガスと接触することができ、前記検出した酸素濃度に基づいて酸素濃度信号を生成する酸素検出装置(120)と、
作動ガス源(140)と前記炉室(112)との流体連通を制御可能に確立し、それにより前記炉室(112)内に前記作動ガスを投入する第1及び第2の吸気弁装置(131、132)と、
前記酸素濃度信号に基づいて前記第1及び第2の吸気弁装置(131、132)の開度を制御し、それにより、前記炉室(112)内に投入される前記作動ガスの流量を調節するように構成されているコントローラー(122)と、
を備え、
前記炉室(112)は予熱ゾーン(101)及び冷却ゾーン(107)を備え、
前記第1の吸気弁装置(131)は、前記予熱ゾーン(101)と作動ガス源(140)との流体連通を確立し、前記第2の吸気弁装置(132)は、前記冷却ゾーン(107)と前記作動ガス源(140)との流体連通を確立し、
前記コントローラー(122)は、酸素濃度の調節設定値(RV)を特定することができるように構成され、該調節設定値(RV)は、標設定値(TV)よりも大きく、
前記コントローラー(122)は、前記酸素濃度信号によって反映される実際の検出値(DV)が前記調節設定値(RV)よりも大きい場合、前記第1の吸気弁装置(131)の開度と前記第2の吸気弁装置(132)の開度とを増大させるように構成され、
前記コントローラー(122)は、前記酸素濃度信号によって反映される実際の検出値(DV)が前記調節設定値(RV)よりも小さい場合、前記第1の吸気弁装置(131)の開度を事前設定値で維持するとともに、前記第2の吸気弁装置(132)の開度を調節するように構成されていることを特徴とする、ガス制御システム。
【請求項2】
前記炉室(112)はピーク値ゾーン(105)を備え、
前記酸素検出装置(120)は、前記ピーク値ゾーン(105)内の酸素濃度を検出するように該ピーク値ゾーン(105)内のガスと接触することを特徴とする、請求項1に記載のガス制御システム。
【請求項3】
前記炉室(112)の作動環境は、酸素濃度が目標設定値(TV)に達することを必要とし、
前記コントローラー(122)は、前記酸素濃度信号によって反映される実際の検出値(DV)及び前記目標設定値(TV)に基づいて、前記第1及び第2の吸気弁装置(131、132)の開度を制御することを特徴とする、請求項1に記載のガス制御システム。
【請求項4】
前記リフローはんだ付け炉(110)が回路基板を処理している状態であるか又はいかなる回路基板も処理していない状態であるかを示す、作動状態表示装置(150)、
を更に備え、
前記作動状態表示装置(150)が、前記リフローはんだ付け炉(110)がいかなる回路基板も処理していない状態であることを示す場合、前記コントローラー(122)は、前記第1及び第2の吸気弁装置(131、132)に最低流量で作動ガスを排出及び供給させるように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載のガス制御システム。
【請求項5】
前記酸素検出装置(120)は、
前記炉室(112)内のガスを収集するように、該炉室(112)と流体連通しているサンプリング装置(220)と、
前記収集されたガス内の酸素濃度を分析するように、前記サンプリング装置(220)に接続されている酸素分析器(222)と、
を備え、
前記酸素分析器(222)は、該酸素分析器(222)による分析によって得られる酸素濃度に基づいて前記酸素濃度信号を生成するとともに、該酸素濃度信号を前記コントローラー(122)に転送するように、該コントローラー(122)に接続されていることを特徴とする、請求項1に記載のガス制御システム。
【請求項6】
前記酸素検出装置(120)は、
前記炉室(112)内の酸素濃度を検出するように、該炉室(112)内に挿入されている酸素プローブ(221)、
を備え、
前記酸素プローブ(221)は、該酸素プローブ(221)によって検出される酸素濃度に基づいて前記酸素濃度信号を生成するとともに、該酸素濃度信号を前記コントローラー(122)に転送するように、該コントローラー(122)に接続されていることを特徴とする、請求項1に記載のガス制御システム。
【請求項7】
前記第1及び第2の吸気弁装置(131、132)のそれぞれは、
前記作動ガス源(140)から作動ガスを受け取るように、該作動ガス源(140)に接続されており、前記コントローラー(122)によって制御されるようにガス圧を調節するように、該コントローラー(122)に接続されている、圧力比例弁(131.1、133.2)と、
前記圧力比例弁(133.1、133.2)によって調節されるガス圧に基づいてガス流速を線形に調節するように、該圧力比例弁(133.1、133.2)に接続されている、絞り弁(134.1、134.2)と、
を備えることを特徴とする、請求項1に記載のガス制御システム。
【請求項8】
前記作動ガスは窒素であることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載のガス制御システム。
【請求項9】
リフローはんだ付け炉(110)のガス制御方法であって、該リフローはんだ付け炉(110)の炉室(112)は予熱ゾーン(101)及び冷却ゾーン(107)を備え、前記ガス制御方法は、
前記炉室(112)内の酸素濃度を検出するステップであって、前記検出された酸素濃度は実際の検出値(DV)を反映する、ステップと、
酸素濃度の調節設定値(RV)及び目標設定値(TV)を設定するステップであって、前記調節設定値(RV)は前記目標設定値(TV)よりも大きい、ステップと、
前記実際の検出値(DV)が前記調節設定値(RV)よりも大きい場合、前記実際の検出値(DV)が前記調節設定値(RV)よりも小さくなるまで、第1の吸気弁装置(131)の開度及び第2の吸気弁装置(132)の開度を増大させるステップであって、前記第1の吸気弁装置(131)は、前記予熱ゾーン(101)と作動ガス源(140)との流体連通を確立し、前記第2の吸気弁装置(132)は、前記冷却ゾーン(107)と前記作動ガス源(140)との流体連通を確立する、ステップと、
前記実際の検出値(DV)が前記調節設定値(RV)よりも小さい場合、前記第1の吸気弁装置(131)の開度を事前設定値で維持するとともに、前記第2の吸気弁装置(132)の開度を、前記実際の検出値(DV)が前記目標設定値(TV)に等しくなるまで低減させるステップと、
を含むことを特徴とする、ガス制御方法。
【請求項10】
前記リフローはんだ付け炉(110)が安定して作動しているとき、前記第1の吸気弁装置(131)の開度を事前設定値で維持するとともに、前記第2の吸気弁装置(132)の開度を調節し、それにより、前記実際の検出値(DV)を前記目標設定値(TV)の周囲で安定させるステップ、
を更に含み、
前記実際の検出値(DV)が前記目標設定値(TV)よりも小さい場合、前記第2の吸気弁装置(132)の開度は、前記実際の検出値(DV)が前記目標設定値(TV)に等しくなるまで低減し、
前記実際の検出値(DV)が前記目標設定値(TV)よりも大きい場合、前記第2の吸気弁装置(132)の開度は、前記実際の検出値(DV)が前記目標設定値(TV)に等しくなるまで増大し、
前記実際の検出値(DV)が前記目標設定値(TV)に等しい場合、前記第2の吸気弁装置(132)の開度は現在値で維持されることを特徴とする、請求項に記載のガス制御方法。
【請求項11】
前記炉室(112)はピーク値ゾーン(105)を更に備え、
前記炉室(112)内の酸素濃度は、前記ピーク値ゾーン(105)における酸素濃度を含むことを特徴とする、請求項に記載のガス制御方法。
【請求項12】
前記リフローはんだ付け炉(110)の作動状態を検出するステップと、
前記リフローはんだ付け炉(110)が作動状態にないことを検出すると、前記第1の吸気弁装置(131)の開度及び前記第2の吸気弁装置(132)の開度とを低減させて、最低流量で作動ガスを排出及び供給するステップと、
を更に含むことを特徴とする、請求項に記載のガス制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2018年8月31日に出願された中国特許出願第201811013268.3号に対する優先権を主張する。この中国特許出願第201811013268.3号の全体が、引用することにより本明細書の一部をなす。
【0002】
本出願は、リフローはんだ付け炉に関し、特に、リフローはんだ付け炉のガス制御システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
プリント回路基板の製造において、電子部品は、一般に、「リフローはんだ付け」として知られるプロセスにより、回路基板に取り付けられる。通常のリフローはんだ付けプロセスでは、はんだペースト、例えば錫ペーストが、回路基板上の選択された領域に堆積し、堆積したはんだペースト内に1つ以上の電子部品の導線が挿入される。次いで、回路基板は、リフローはんだ付け炉内に通される。リフローはんだ付け炉では、はんだペーストは加熱ゾーンでリフローし(すなわち、融解又はリフロー温度まで加熱されるため)、その後、冷却ゾーンで冷却され、それにより、電子部品を回路基板に電気的に且つ機械的に接続する。本明細書で用いる「回路基板」という用語は、任意のタイプの電子部品の基板(basal plate)要素、例えば、ウェハ基板を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リフローはんだ付け炉では、作動ガスとして、空気又は基本的に不活性なガス、例えば窒素が一般に使用される。異なるプロセス要件を有する回路基板について、異なる作動ガスが使用される。リフローはんだ付け炉の炉室は、作動ガスで充填され、回路基板が搬送装置により炉室内に搬送されると、作動ガス内ではんだ付けが実施される。作動ガスとして基本的に不活性なガスを用いるリフローはんだ付け炉の場合、炉が作動しているとき、外気がリフローはんだ付け炉の炉室に不可避的に侵入し、その結果、炉室内に酸素を発生させる。酸素濃度が或る特定のレベルに達するか又はそれを超えた場合、はんだ付けは悪影響を受け、例えば、はんだ付けされた部品が酸化する可能性がある。したがって、リフローはんだ付け炉が作動しているとき、炉室に追加の作動ガスを供給することにより所望の酸素濃度を維持することが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
はんだ付けプロセスが異なると、必要な作動ガスの濃度も異なる。一般に、作動ガスの濃度は、100万分率(PPM:parts per million)によって反映される。酸素濃度が低いほど、作動ガスの濃度は高くなる。リフローはんだ付け炉が作動しているとき、多くの場合、はんだ付けプロセスによる必要に応じて作動ガスの濃度を調整する必要があり、ガス制御弁を手動で調節する必要があり、したがって、制御精度は低く、調節は低速である。作動が停止したとき又は作動中断中、ガス制御弁を閉鎖し損なうことによって、作動ガスの無駄及びエネルギー損失にもつながることになり、製造コストが増大する。
【0006】
本出願は、炉室内の酸素濃度がリアルタイムに検出され、ガス制御弁が、所定設定値又は目標値に基づいて作動ガスの投入量を制御するように自動的に調節され、それにより、炉室内の作動ガスの濃度がはんだ付けプロセスの要件を満たすのを確実にする、リフローはんだ付け炉のガス制御システム及び方法を提供する。本出願によるガス制御システム及び方法により、正確な制御及び高速な調節が達成され、さらに、作動が停止したとき又は作動中断中、ガス制御弁は適時に閉鎖することができ、それにより無駄が防止されコストが削減される。
【0007】
1つの態様において、本出願は、リフローはんだ付け炉のガス制御システムであって、リフローはんだ付け炉の炉室はガスを収容し、ガスは酸素及び作動ガスを含み、このガス制御システムは、炉室内の酸素濃度を検出するように、炉室内のガスと接触することができ、検出した酸素濃度に基づいて酸素濃度信号を生成する酸素検出装置と、作動ガス源と炉室との流体連通を制御可能に確立し、それにより炉室内に作動ガスを投入する少なくとも1つの吸気弁装置と、酸素濃度信号に基づいて少なくとも1つの吸気弁装置の開度を制御し、それにより、炉室内に投入される作動ガスの流量を調節するように構成されているコントローラーとを備える、ガス制御システムを提供する。
【0008】
上述したガス制御システムにおいて、炉室はピーク値ゾーンを備え、酸素検出装置は、ピーク値ゾーン内の酸素濃度を検出するようにこのピーク値ゾーン内のガスと接触する。
【0009】
上述したガス制御システムにおいて、炉室の作動環境は、酸素濃度が目標設定値に達することを必要とし、上記コントローラーは、酸素濃度信号によって反映される実際の検出値及び目標設定値に基づいて、少なくとも1つの吸気弁装置の開度を制御する。
【0010】
上述したガス制御システムにおいて、炉室は予熱ゾーンを備え、少なくとも1つの吸気弁装置は、予熱ゾーンと作動ガス源との流体連通を確立する。
【0011】
上述したガス制御システムにおいて、炉室は冷却ゾーンを更に備え、上記少なくとも1つの吸気弁装置は、第1の吸気弁装置及び第2の吸気弁装置を含み、上記第1の吸気弁装置は、上記予熱ゾーンと上記作動ガス源との流体連通を確立し、上記第2の吸気弁装置は、上記冷却ゾーンと上記作動ガス源との流体連通を確立する。
【0012】
上述したガス制御システムにおいて、上記コントローラーは、酸素濃度の調節設定値を特定することができるように構成され、この調節設定値は、目標設定値よりも大きく、上記コントローラーは、上記酸素濃度信号によって反映される実際の検出値が上記調節設定値よりも大きい場合、上記第1の吸気弁装置の開度と上記第2の吸気弁装置の開度とを増大させるように構成され、上記コントローラーは、上記酸素濃度信号によって反映される実際の検出値が上記調節設定値よりも小さい場合、上記第1の吸気弁装置の開度を事前設定値で維持するとともに、上記第2の吸気弁装置の開度を調節するように構成されている。
【0013】
上述したガス制御システムは、リフローはんだ付け炉が回路基板を処理している状態であるか又はいかなる回路基板も処理していない状態であるかを示す、作動状態表示装置を更に備え、作動状態表示装置が、リフローはんだ付け炉がいかなる回路基板も処理していない状態であることを示す場合、上記コントローラーは、上記少なくとも1つの吸気弁装置に最低流量で作動ガスを排出及び供給させるように構成されている。
【0014】
上述したガス制御システムにおいて、酸素検出装置は、炉室内のガスを収集するように、この炉室と流体連通しているサンプリング装置と、収集されたガス内の酸素濃度を分析するように、上記サンプリング装置に接続されている酸素分析器とを備え、上記酸素分析器は、この酸素分析器による分析によって得られる酸素濃度に基づいて酸素濃度信号を生成するとともに、この酸素濃度信号を上記コントローラーに転送するように、このコントローラーに接続されている。
【0015】
上述したガス制御システムにおいて、酸素検出装置は、上記炉室内の酸素濃度を検出するように、この炉室内に挿入されている酸素プローブを備え、上記酸素プローブは、この酸素プローブによって検出される酸素濃度に基づいて酸素濃度信号を生成するとともに、この酸素濃度信号を上記コントローラーに転送するように、このコントローラーに接続されている。
【0016】
上述したガス制御システムにおいて、上記少なくとも1つの吸気弁装置のそれぞれは、作動ガス源から作動ガスを受け取るように、この作動ガス源に接続されており、上記コントローラーによって制御されるようにガス圧を調節するように、このコントローラーに接続されている、圧力比例弁と、この圧力比例弁によって調節されるガス圧に基づいてガス流速を線形に調節するように、この圧力比例弁に接続されている、絞り弁とを備える。
【0017】
上述したガス制御システムにおいて、上記作動ガスは窒素である。
【0018】
別の態様において、本出願は、リフローはんだ付け炉のガス制御方法であって、このリフローはんだ付け炉の炉室は予熱ゾーン及び冷却ゾーンを備え、このガス制御方法は、上記炉室内の酸素濃度を検出するステップであって、上記検出された酸素濃度は実際の検出値を反映する、ステップと、酸素濃度の調節設定値及び目標設定値を設定するステップであって、上記調節設定値は上記目標設定値よりも大きい、ステップと、上記実際の検出値が上記調節設定値よりも大きい場合、上記実際の検出値が上記調節設定値よりも小さくなるまで、第1の吸気弁装置の開度及び第2の吸気弁装置の開度を増大させるステップであって、上記第1の吸気弁装置は、上記予熱ゾーンと上記作動ガス源との流体連通を確立し、上記第2の吸気弁装置は、上記冷却ゾーンと上記作動ガス源との流体連通を確立する、ステップと、上記実際の検出値が上記調節設定値よりも小さい場合、上記第1の吸気弁装置の開度を事前設定値で維持するとともに、上記第2の吸気弁装置の開度を、上記実際の検出値が上記目標設定値に等しくなるまで低減させるステップとを含むことを特徴とするガス制御方法を更に提供する。
【0019】
上述したガス制御方法は、上記リフローはんだ付け炉が安定して作動しているとき、上記第1の吸気弁装置の開度を事前設定値で維持するとともに、上記第2の吸気弁装置の開度を調節し、それにより、上記実際の検出値を上記目標設定値の周囲で安定させるステップを更に含み、上記実際の検出値が上記目標設定値よりも小さい場合、上記第2の吸気弁装置の開度は、上記実際の検出値が上記目標設定値に等しくなるまで低減し、上記実際の検出値が上記目標設定値よりも大きい場合、上記第2の吸気弁装置の開度は、上記実際の検出値が上記目標設定値に等しくなるまで増大し、上記実際の検出値が上記目標設定値に等しい場合、上記第2の吸気弁装置の開度は現在値で維持される。
【0020】
上述したガス制御方法において、炉室はピーク値ゾーンを更に備え、上記炉室内の酸素濃度は、上記ピーク値ゾーンにおける酸素濃度を含む。
【0021】
上述したガス制御方法は、上記リフローはんだ付け炉の作動状態を検出するステップと、上記リフローはんだ付け炉が作動状態にないことを検出すると、上記第1の吸気弁装置の開度及び上記第2の吸気弁装置の開度とを低減させて、最低流量で作動ガスを排出及び供給するステップとを更に含む。
【0022】
本出願は、図面を参照して以下の詳細な説明を読むことにより、理解がより容易になるであろう。図面において、同じ参照番号は同じ構成要素を表す。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本出願による、リフローはんだ付け炉と、リフローはんだ付け炉のガス制御システムとの一実施形態の概略図である。
図2A図1に示すガス制御システムの異なる実施形態の概略図である。
図2B図1に示すガス制御システムの異なる実施形態の概略図である。
図3図1に示すコントローラーの一実施形態の概略図である。
図4図1に示すリフローはんだ付け炉と、リフローはんだ付け炉のガス制御システムとの窒素投入量制御方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本出願の具体的な実施形態について、本明細書の一部を構成する図面を参照して説明する。「前」、「後」、「上」、「下」、「左」、「右」、「内」、「外」、「頂部」及び「底部」等、方向を示す用語は、本明細書では、本出願の各実施形態の構造的部分及び構成要素を説明するために用いているが、本明細書でのこれらの用語の使用は、単に、説明の便宜上にのみ意図されており、これらの用語は、図面に示す実施形態の向きに基づいて判断されることが理解されるべきである。本出願によって開示する実施形態は、異なる方向に配置される場合があり、そのため、方向を示すこれらの用語は、限定するものとして解釈されるのではなく、単に例示的なものである。
【0025】
図1は、本出願による、リフローはんだ付け炉と、リフローはんだ付け炉のガス制御システムとの一実施形態の概略図であり、リフローはんだ付け炉の側面からの図を示す。図1に示すように、リフローはんだ付け炉110は、炉室112、予熱ゾーン101、浸漬ゾーン103、ピーク値ゾーン105及び冷却ゾーン107を備える。ピーク値ゾーン105と冷却ゾーン107との間に、バッフル排気ゾーン109が更に配置されている。炉室112は、予熱ゾーン101、浸漬ゾーン103、ピーク値ゾーン105及び冷却ゾーン107を通過し、予熱ゾーン101、浸漬ゾーン103、ピーク値ゾーン105及び冷却ゾーン107は、炉室112を介して流体連通している。さらに、予熱ゾーン101、浸漬ゾーン103、ピーク値ゾーン105及び冷却ゾーン107のそれぞれもまた、炉室112と流体連通している。炉室112は、入口114及び出口116を備える。リフローはんだ付け炉110は、搬送装置118を更に備え、搬送装置118は、炉室112を貫通して配置されており、処理すべき回路基板を、炉室112の入口114を介して炉室112内に搬送するとともに、リフローはんだ付け炉110によって処理された回路基板を、炉室112の出口116を介して炉室112から出るように搬送するように構成されている。リフローはんだ付け炉110は、作動ガスとして、不活性ガス、例えば窒素を用いることができる。以下、作動ガスとして窒素を用いて説明する。図1は、リフローはんだ付け炉110の側面からの図を示し、リフローはんだ付け炉110の説明の便宜上、図1では、炉室112の前部及び後部から保護するケーシングは省略していることに留意されたい。
【0026】
予熱ゾーン101、浸漬ゾーン103及びピーク値ゾーン105に、加熱装置がそれぞれ配置されており、これらのゾーンは併せて加熱ゾーン106を形成している。図1に示す実施形態では、加熱ゾーン106は、3つの予熱ゾーン101、3つの浸漬ゾーン103及び3つのピーク値ゾーン105を含む。予熱ゾーン101、浸漬ゾーン103及びピーク値ゾーン105は、連続的に接続されており、そこでは、温度は徐々に上昇する。予熱ゾーン101及び浸漬ゾーン103では、回路基板は加熱され、回路基板に割り当てられたはんだペーストにおけるフラックスの部分が蒸発する。ピーク値ゾーン105は、予熱ゾーン101又は浸漬ゾーン103よりも高い温度を有し、はんだペーストは、ピーク値ゾーン105において溶融される。ピーク値ゾーン105は、より高い温度を有するVOC、例えばロジン又は樹脂が蒸発するゾーンでもある。図1に示す実施形態では、リフローはんだ付け炉110は3つの冷却ゾーン107を備え、これらのゾーンのそれぞれに冷却装置が配置されている。回路基板が加熱ゾーン106から冷却ゾーン107内に搬送された後、はんだペーストは、回路基板のはんだ付け領域において冷却され凝固し、それにより、電子部品を回路基板に接続する。図1に示す実施形態に限定されるのではなく、はんだ付けすべき製品及び異なるはんだ付けプロセスに従って、予熱ゾーン101、浸漬ゾーン103、ピーク値ゾーン105及び冷却ゾーン107の数を変更することができることに留意されたい。
【0027】
加熱ゾーン106と冷却ゾーン107との間の接続領域において、バッフル排気ゾーン109が配置されている。バッフル排気ゾーン109は、炉室112からガスを引き出すか又は排出することができ、それにより、加熱ゾーン106から冷却ゾーン107に入る揮発性汚染物質を含有するガスを遮断するか又は低減させる。さらに、炉室112からガスを引き出すか又は排出することにより、バッフル排気ゾーン109は、高温の加熱ゾーン106と低温の冷却ゾーン107とを分離する断熱ゾーンとしても用いることができる。
【0028】
本出願によるリフローはんだ付け炉110は、作動ガスとして窒素を用いることができる。リフローはんだ付け炉110には、炉室112に清浄な作動ガスを供給する作動ガス源140が設けられている。リフローはんだ付け炉110は、炉室112の入口114及び出口116に位置するガスバッフルゾーン108を更に備える。ガスバッフルゾーン108は、炉室112に窒素を供給し、それにより窒素カーテンを形成するように構成され、窒素カーテンは、外部環境の空気が炉室112に入るのを防止することができる。リフローはんだ付け炉110に、炉室112内の揮発性汚染物質を含有するガスを排出するガス排出装置(図には示さず)が更に設けられている。ガス排出装置は、概して、リフローはんだ付け炉110の高温ゾーン、例えば、浸漬ゾーン103、ピーク値ゾーン105、又はバッフル排気ゾーン109に接続されている。リフローはんだ付け炉110が回路基板を処理している状態にあるとき、炉室112内のガスが清浄なままであるように、ガス排出装置は作動し続ける。このプロセスでは、作動ガス源140からの清浄な窒素の投入を維持することも必要であり、それにより、炉室112によって必要とされる作動雰囲気及び作動圧が維持される。
【0029】
搬送装置118が回路基板を炉室112内に又は炉室112外に搬送するとき、比較的少量の外気が不可避的に炉室112に入るため、炉室112内の作動ガスは常に酸素を含有する。はんだ付けプロセスが異なると、炉内112で必要な酸素濃度も異なり、概して、500PPM(100万分率)~5000PPMの範囲である。炉室112内の酸素濃度は、特定のはんだ付けプロセスによって必要とされる値の周囲であり続けることが望まれる。したがって、窒素が節約される一方で、はんだ付け品質に対する要件が満たされる。
【0030】
この目的で、本出願によるリフローはんだ付け炉110にガス制御システムが更に設けられ、ガス制御システムは、酸素濃度がリフローはんだ付け炉内の特定のはんだ付けプロセスによって必要とされるレベルに達するように、炉室112に供給される窒素の量を調節することにより、炉室112内の酸素濃度を調節する。さらに、上記ガス制御システムは更に、リフローはんだ付け炉110の作動状態に基づいて、作動ガス源140の開始及び停止を制御するように構成されている。
【0031】
再び図1を参照すると、リフローはんだ付け炉110のガス制御システムは、酸素検出装置120、第1の吸気弁装置131、第2の吸気弁装置132及びコントローラー122を備える。炉室112内のガスと接触する酸素検出装置120は、炉室112内の酸素濃度を検出し、検出した酸素濃度に基づいて酸素濃度信号を生成するように構成されている。第1の吸気弁装置131及び第2の吸気弁装置132は、作動ガス源140と炉室112との流体連通を制御可能に確立し、それにより炉室112内に窒素を投入するように構成されている。コントローラー122は、酸素濃度信号に基づいて、第1の吸気弁装置131の開度及び第2の吸気弁装置132の開度を制御して、炉室112に供給される窒素の量を調節し、それにより、炉室112内の酸素濃度を調節するように構成されている。上記開度は、0%~100%の範囲の弁開放の程度を示し、0%は、弁が閉鎖していることを示し、100%は弁が完全に開放していることを示す。上記酸素濃度信号は、酸素濃度の実際の検出値DVを反映する。
【0032】
図1に示す実施形態では、第1の吸気弁装置131及び第2の吸気弁装置132は、それぞれ、圧力比例弁及び絞り弁を備える。具体的には、第1の吸気弁装置131は、第1の圧力比例弁133.1及び第1の絞り弁134.1を備え、第2の吸気弁装置132は、第2の圧力比例弁133.2及び第2の絞り弁134.2を備える。第1の圧力比例弁133.1及び第2の圧力比例弁133.2は、作動ガス源140に接続されて、作動ガス源140から受け取られる窒素の圧力を制御可能に調節する。第1の絞り弁134.1及び第2の絞り弁134.2は、第1の圧力比例弁133.1及び第2の圧力比例弁133.2にそれぞれ接続されて、第1の圧力比例弁133.1及び第2の圧力比例弁133.2によって調節されるガス圧に基づいて、ガス流速を線形に調節する。例えば、第1の圧力比例弁133.1及び第2の圧力比例弁133.2は、0MPa~1MPaの範囲内でガス圧を調節することができ、それに対応して、第1の絞り弁134.1及び第2の絞り弁134.2は、ガス圧に基づいて、0m3/時~18m3/時の範囲内でガス流速を線形に調節することができる。第1の圧力比例弁133.1及び第2の圧力比例弁133.2は、コントローラー122に接続され、それにより、第1の圧力比例弁133.1の開度及び第2の圧力比例弁133.2の開度はコントローラー122によって制御することができ、一方で、第1の絞り弁134.1及び第2の絞り弁134.2は、第1の圧力比例弁133.1及び第2の圧力比例弁133.2によって調節されるガス圧にそれぞれ基づいて、ガス流速を自動的に調節することができる。ガスの流速は、圧力比例弁及び絞り弁の組合せにより、所望のガス圧を生成しながら所望のガス流速に達するように調節される。
【0033】
本出願では、特定のはんだ付けプロセスの酸素濃度要件を満たすために、特定の酸素濃度目標設定値TVが事前設定され、コントローラー122に記憶される。コントローラー122は、上記目標設定値TVを特定し、酸素検出装置120によって生成された酸素濃度信号によって反映される実際の検出値DVを事前設定された目標設定値TVと比較し、比較結果に基づいて、第1の圧力比例弁133.1の開度及び第2の圧力比例弁133.2の開度を制御することができる。実際の検出値DVが事前設定された目標設定値TVよりも大きい場合、それは、酸素濃度が高すぎる一方、窒素濃度が低すぎることと、したがって、窒素投入量を増大させる必要があることとを示し、そうでない場合は、窒素投入量を低減させる必要があることを示す。
【0034】
更に図1を参照すると、第1の吸気弁装置131は、予熱ゾーン101と作動ガス源140との流体連通を確立し、第2の吸気弁装置132は、冷却ゾーン107と作動ガス源140との流体連通を確立する。加熱ゾーン106の各領域において、ガス温度は、左から右に徐々に上昇し、異なる領域では異なるはんだ付けプロセス要件を満たすために異なるガス温度が必要とされる。窒素は、入口114の近くの予熱ゾーン101及び出口116の近くの冷却ゾーン107の位置から炉室112に供給され、それによって、作動ガス源140からの室温窒素は、相対的に低い温度を有する領域に入り、それにより、相対的に高い温度を有する領域におけるガス温度に対するいかなる著しい影響も防止する。しかしながら、1つの吸気弁装置を配置することもでき、又は、2つ以上の吸気弁装置を配置することもでき、吸気弁装置は、加熱ゾーンの別の領域と作動ガス源との流体連通を確立することもでき、それは本出願の保護範囲内にある、ということに留意されたい。
【0035】
さらに、ガス制御システムは、リフローはんだ付け炉110が回路基板を処理している状態にあるか、又はいかなる回路基板も処理していない状態にあるかを示す、作動状態表示装置150を備える。リフローはんだ付け炉110がいかなる回路基板も処理していない状態にあるとき、吸気弁装置131及び132は、(例えば、吸気弁装置131及び132の開度を低減させることにより)最低流量で窒素を排出及び供給することと、最低流量がゼロであるとき、吸気弁装置131及び132が閉鎖されることとが望まれる。
【0036】
概して、リフローはんだ付け炉の制御パネル151におけるオン/オフ制御キーが押下されると、リフローはんだ付け炉110は、回路基板の処理を開始/停止する。例えば、リフローはんだ付け炉110が開始/停止されると、開始/停止を示す状態表示信号が作動状態表示装置150に送信される。代替的に、リフローはんだ付け炉110が作動中断状態にあるとき、例えば、回路基板が炉室112内で処理されていないとき、関連するセンサー又は検出装置が、対応する状態表示信号を作動状態表示装置150に送信する。作動状態表示装置150が、制御パネル又は検出装置から状態表示信号を受信した後、リフローはんだ付け炉110がいかなる回路基板も処理していない状態にあるということをコントローラー122に示した場合、コントローラー122は、第1の吸気弁装置131及び第2の吸気弁装置132を閉鎖して、窒素供給を適時に停止する。本出願の一実施形態として、作動状態表示装置150は、リフローはんだ付け炉110の異なる状態を示す異なる状態信号(ハイレベル及びローレベル等)を出力することができる、Dトリガー又はRSトリガーであり得る(例えば、ハイレベルが、炉が作動していることを示し、ローレベルが、炉が停止されていることを示し、又は、ローレベルが、炉が作動していることを示し、ハイレベルが、炉が停止されていることを示す)。一実施形態として、Dトリガー又はRSトリガーは、制御パネル151によって制御することができ、制御パネル151では、オン及びオフ制御キーは、異なる作動状態を示すために、Dトリガー又はRSトリガーの出力をハイレベル又はローレベルに設定することができる。
【0037】
図1に示す実施形態では、酸素検出装置120は、ピーク値ゾーン105における酸素濃度を検出するために、ピーク値ゾーン105におけるガスと接触する。リフローはんだ付け炉110において、ピーク値ゾーン105は、最高温度を有し、はんだ付けのプロセスにおいてはんだ付け品質に著しい影響を与える領域である。したがって、本出願では、ピーク値ゾーン105における酸素濃度が検出され、窒素供給量は、ピーク値ゾーン105における検出された酸素濃度に基づいて調節され、それによって、ピーク値ゾーン105における酸素濃度は、はんだ付けプロセスによって必要とされる目標設定値で維持され、それにより、はんだ付け品質が大幅に向上する。
【0038】
図2A及び図2Bは、図1に示すガス制御システムの2つの異なる実施形態に対する概略図をそれぞれ示し、図2A及び図2Bに示す実施形態は、異なる酸素検出装置120を含む。
【0039】
図2Aに示す実施形態では、酸素検出装置120は、サンプリング装置220及び酸素分析器222を備える。炉室112と流体連通しているサンプリング装置220は、炉室112内のガスを収集するように構成されている。酸素分析器222は、サンプリング装置220に接続され、サンプリング装置220によって収集されたガスにおける酸素濃度を分析し、それにより、酸素濃度の実際の検出値DVを得るように構成されている。酸素分析器222は、コントローラー122に更に接続され、分析によって得られた酸素濃度の実際の検出値DVをコントローラー122に転送するように構成されている。
【0040】
さらに、サンプリング装置220がガスを収集する前に、炉室112内のガスに含有されているいかなる揮発性汚染物質も酸素分析器222の通常動作に影響を与えないように、ガスをろ過することができ、それにより、酸素分析器222の分析精度が向上するとともに、酸素分析器222の耐用年数が延長される。
【0041】
図2Bに示す実施形態では、酸素検出装置120は、酸素プローブ221及び送信装置223を備える。酸素プローブ221は、炉室112内に挿入され、炉室112内の酸素濃度を検出するとともに酸素濃度信号を生成するように構成されている。送信装置223は、酸素プローブ221に接続され、酸素プローブ221によって検出された酸素濃度をコントローラー122に送信するように構成されている。酸素プローブ221の前端部にガス接触面が設けられ、それにより、ガスと接触することによってガスの酸素濃度を検出することができる。酸素プローブ221の前端部は、検出のために炉室112内に挿入され、高速検出及び高検出精度を達成し、さらに、更なる空気ダクトを設置する必要がないため、製造及び使用が好都合である。送信装置223は、酸素プローブ221によって検出された酸素濃度信号を、コントローラー122による受信及び処理に好適なフォーマット、例えば、RS485フォーマットに変換し、その後、その信号をコントローラー122に送信することができる。送信装置223は、スタンドアロン装置とすることができ、又は、酸素プローブ221に組み込むことができる。別の実施形態では、送信装置223は、コントローラー122に組み込むこともできる。
【0042】
図3は、図1に示すコントローラー122の一実施形態の概略図である。コントローラー122は、バス301と、プロセッサ302と、入力インターフェース303と、出力インターフェース305と、制御プログラム308を記憶するメモリ307とを備える。プロセッサ302、入力インターフェース303、出力インターフェース305及びメモリ307は、バス301を介して通信するように接続され、それにより、プロセッサ302は、入力インターフェース303、出力インターフェース305及びメモリ307の動作を制御することができる。メモリ307は、プログラム、命令及びデータを記憶するように構成され、プロセッサ302は、メモリ307からプログラム、命令及びデータを読み出し、メモリ307にデータを書き込むことができるように構成されている。
【0043】
入力インターフェース303は、接続304を介して、信号及びデータ、例えば、リフローはんだ付け炉110の作動状態を示す、作動状態表示装置150によって送信される信号、酸素検出装置120によって送信される酸素濃度信号、及び手動で入力される様々なパラメーターを受信する。出力インターフェース305は、接続306を介して、信号及びデータを送信し、例えば、開度を調節する制御信号を吸気弁装置131及び132に送信する。メモリ307は、制御プログラム、酸素濃度の事前設定された目標設定値及び調節設定値、並びに他のデータを記憶する。様々なパラメーターは、製造中にエンジニアリングにおいて事前設定することができ、又は、様々なパラメーターは、手動入力又はデータインポートにより設定することができる。プロセッサ302は、インターフェース303及びメモリ307を通して、様々な信号、データ、プログラム及び命令を受信し、従ってそれらを処理し、その後、インターフェース305を通して出力を生成する。
【0044】
図4は、図1に示すリフローはんだ付け炉と、リフローはんだ付け炉のガス制御システムとの窒素投入量制御方法のフローチャートであり、酸素濃度の実際の検出値DVが目標設定値TVよりもはるかに大きいために窒素投入量を増大させる必要がある場合に、窒素投入量を制御する方法の一実施形態を示す。
【0045】
本出願では、より正確な調節を達成するために、酸素濃度の対応する調節設定値RVは、異なるはんだ付けプロセス要件に従って更に事前設定され、コントローラー122のメモリ307に記憶される。調節設定値RVは、上記目標設定値TVよりも大きい。酸素濃度の実際の検出値DVが目標設定値TVよりもはるかに大きいために窒素投入量を増大させる必要がある場合、窒素投入量の調節は、提供されている調節設定値RVを用いて、2つのプロセス、すなわち、粗調節及び微調節に分割することができる。概して、本出願の粗調節プロセスでは、第1の圧力比例弁133.1の開度V1と第2の圧力比例弁133.2の開度V2とがともに調節され、微調節プロセスでは、酸素検出ゾーン(すなわち、ピーク値ゾーン105)に近い方の第2の圧力比例弁133.2のみが調節のために選択され、一方で、第1の圧力比例弁133.1の開度V1は事前設定値で維持される。V1の対応する事前設定値は、目標設定値TVに基づいて設定することができる。例えば、目標設定値TVが500PPMである場合、V1の事前設定値は35%に設定され、目標設定値TVが1000PPMである場合、V1の事前設定値は30%に設定される。
【0046】
具体的には、図4に示すように、酸素濃度の実際の検出値DVは、目標設定値TVよりもはるかに大きく、以下のステップが実施される。
【0047】
ステップ401:実際の検出値DVを調節設定値RVと比較する。実際の検出値DVが調節設定値RVよりも大きい場合、ステップ402に進む。実際の検出値DVが調節設定値RVよりも小さい場合、ステップ403に進む。
【0048】
ステップ402:第1の圧力比例弁133.1の開度V1及び第2の圧力比例弁133.2の開度V2を、実際の検出値DVが調節設定値RVよりも小さくなるまで増大させる。
【0049】
ステップ403:ステップ404において検出された酸素濃度の実際の検出値DVが低下して目標設定値TVに等しくなるまで、第1の圧力比例弁133.1の開度V1を事前設定値で維持し、第2の圧力比例弁133.2の開度V2を徐々に低減させる。
【0050】
ステップ404:実際の検出値DVを目標設定値TVと比較する。ステップ403が実施されているため、実際の酸素濃度は徐々に低下し、それにより実際の検出値DVが徐々に低下することになる。実際の検出値DVが低下して目標設定値TVに等しくなると、ステップ405に進む。
【0051】
ステップ405:第1の圧力比例弁133.1の開度V1を事前設定された値で維持し、第2の圧力比例弁133.2の開度V2を現在値で維持する。次いで、ステップ406に進む。
【0052】
ステップ406:実際の検出値DVを目標設定値TVと比較する。ステップ405が実施された後、回路基板が炉室112に入り且つ炉室112から出るように搬送される際、実際の酸素濃度はわずかに変動するため、ステップ406において実際の検出値DVの目標設定値TVとの比較を続ける。検出された実際の検出値DVが目標設定値TVよりも大きい場合、ステップ407に進み、検出された実際の検出値DVが目標設定値TVよりも小さい場合、ステップ408に進み、検出された実際の検出値DVが依然として目標設定値TVに等しい場合、ステップ405に進む。
【0053】
ステップ407:実際の検出値DVが低下して目標設定値TVに等しくなるまで、第1の圧力比例弁133.1の開度V1を事前設定値で維持し、第2の圧力比例弁133.2の開度V2を増大させる。
【0054】
ステップ408:実際の検出値DVが上昇して目標設定値TVに等しくなるまで、第1の圧力比例弁133.1の開度V1を事前設定値で維持し、第2の圧力比例弁133.2の開度V2を低減させる。
【0055】
本発明による窒素制御方法の一実施形態の動作ステップについて上述した。ステップの中で特に、ステップ402は、粗調節プロセスであり、圧力比例弁133.1及び133.2の開度を同時に増大させることにより、窒素投入量を著しく増加させることができ、それにより、酸素濃度は迅速に低下する。ステップ403~408では、微調節プロセスが実施され、第1の圧力比例弁133.1の開度V1は事前設定値で維持され、第2の圧力比例弁133.2の開度V2のみが調節され、したがって、実際の検出値DVが目標設定値TVに徐々に近づき且つその目標設定値TVで安定することができるように、窒素投入量を安定して調節することができ、それにより、窒素を節約しながら所望の酸素濃度に達することが確実になる。例えば、リフローはんだ付け炉110が安定して作動しているとき、第2の圧力比例弁133.2は、実際の検出値DVが目標設定値TVで安定するか、又は、目標設定値TVの周囲でわずかにのみ変動するように、微調節することができる。一方で、回路基板は、比較的安定した濃度を有する作動雰囲気において処理することができ、それにより、プロセス精度及び処理効果が向上し、他方で、窒素を節約し、エネルギー消費量を有効に低減させることができる。
【0056】
図4に示す窒素投入量制御方法は、本出願の単なる1つの実施形態であることに留意されたい。当業者であれば、ガス制御システムの具体的な構成に基づいて窒素投入量の制御方法を変更することができる。例えば、微調節プロセスにおいて、第2の圧力比例弁133.2の開度が事前設定値で維持され、一方で、第1の圧力比例弁133.1の開度のみが調節され、こうしたいかなる変更も、本出願の保護範囲内にある。
【0057】
本明細書において、本出願は、実施形態によって開示しており、それらのうちの1つ以上を図面に示す。各実施形態は、本出願を限定するのではなく、本出願を説明する目的で提供されている。実際に、当業者であれば、本出願の範囲又は趣旨から逸脱することなく、本出願に対して様々な変更形態及び変形形態を作成することができることが容易に明らかである。例えば、一実施形態の一部として例示又は記載した特徴を別の実施形態を組み合わせて、更なる実施形態を得ることができる。したがって、本出願は、添付の特許請求の範囲及びその均等物によって定義される範囲内にある任意の変更形態及び変形形態を包含するように意図されている。
なお、本開示には以下の態様も含まれる。
〔態様1〕
リフローはんだ付け炉(110)のガス制御システムであって、該リフローはんだ付け炉(110)の炉室(112)はガスを収容し、該ガスは酸素及び作動ガスを含み、該ガス制御システムは、
前記炉室(112)内の酸素濃度を検出するように、該炉室(112)内の前記ガスと接触することができ、前記検出した酸素濃度に基づいて酸素濃度信号を生成する酸素検出装置(120)と、
作動ガス源(140)と前記炉室(112)との流体連通を制御可能に確立し、それにより前記炉室(112)内に前記作動ガスを投入する少なくとも1つの吸気弁装置(131、132)と、
前記酸素濃度信号に基づいて前記少なくとも1つの吸気弁装置(131、132)の開度を制御し、それにより、前記炉室(112)内に投入される前記作動ガスの流量を調節するように構成されているコントローラー(122)と、
を備えることを特徴とする、ガス制御システム。
〔態様2〕
前記炉室(112)はピーク値ゾーン(105)を備え、
前記酸素検出装置(120)は、前記ピーク値ゾーン(105)内の酸素濃度を検出するように該ピーク値ゾーン(105)内のガスと接触することを特徴とする、態様1に記載のガス制御システム。
〔態様3〕
前記炉室(112)の作動環境は、酸素濃度が目標設定値(T V )に達することを必要とし、
前記コントローラー(122)は、前記酸素濃度信号によって反映される実際の検出値(D V )及び前記目標設定値(T V )に基づいて、前記少なくとも1つの吸気弁装置(131、132)の開度を制御することを特徴とする、態様1に記載のガス制御システム。
〔態様4〕
前記炉室(112)は予熱ゾーン(101)を備え、
前記少なくとも1つの吸気弁装置(131)は、前記予熱ゾーン(101)と前記作動ガス源(140)との流体連通を確立することを特徴とする、態様3に記載のガス制御システム。
〔態様5〕
前記炉室(112)は冷却ゾーン(107)を更に備え、
前記少なくとも1つの吸気弁装置(131、132)は、第1の吸気弁装置(131)及び第2の吸気弁装置(132)を含み、前記第1の吸気弁装置(131)は、前記予熱ゾーン(101)と前記作動ガス源(140)との流体連通を確立し、前記第2の吸気弁装置(132)は、前記冷却ゾーン(107)と前記作動ガス源(140)との流体連通を確立することを特徴とする、態様4に記載のガス制御システム。
〔態様6〕
前記コントローラー(122)は、酸素濃度の調節設定値(R V )を特定することができるように構成され、該調節設定値(R V )は、前記目標設定値(T V )よりも大きく、
前記コントローラー(122)は、前記酸素濃度信号によって反映される実際の検出値(D V )が前記調節設定値(R V )よりも大きい場合、前記第1の吸気弁装置(131)の開度と前記第2の吸気弁装置(132)の開度とを増大させるように構成され、
前記コントローラー(122)は、前記酸素濃度信号によって反映される実際の検出値(D V )が前記調節設定値(R V )よりも小さい場合、前記第1の吸気弁装置(131)の開度を事前設定値で維持するとともに、前記第2の吸気弁装置(132)の開度を調節するように構成されていることを特徴とする、態様5に記載のガス制御システム。
〔態様7〕
前記リフローはんだ付け炉(110)が回路基板を処理している状態であるか又はいかなる回路基板も処理していない状態であるかを示す、作動状態表示装置(150)、
を更に備え、
前記作動状態表示装置(150)が、前記リフローはんだ付け炉(110)がいかなる回路基板も処理していない状態であることを示す場合、前記コントローラー(122)は、前記少なくとも1つの吸気弁装置(131、132)に最低流量で作動ガスを排出及び供給させるように構成されていることを特徴とする、態様1に記載のガス制御システム。
〔態様8〕
前記酸素検出装置(120)は、
前記炉室(112)内のガスを収集するように、該炉室(112)と流体連通しているサンプリング装置(220)と、
前記収集されたガス内の酸素濃度を分析するように、前記サンプリング装置(220)に接続されている酸素分析器(222)と、
を備え、
前記酸素分析器(222)は、該酸素分析器(222)による分析によって得られる酸素濃度に基づいて前記酸素濃度信号を生成するとともに、該酸素濃度信号を前記コントローラー(122)に転送するように、該コントローラー(122)に接続されていることを特徴とする、態様1に記載のガス制御システム。
〔態様9〕
前記酸素検出装置(120)は、
前記炉室(112)内の酸素濃度を検出するように、該炉室(112)内に挿入されている酸素プローブ(221)、
を備え、
前記酸素プローブ(221)は、該酸素プローブ(221)によって検出される酸素濃度に基づいて前記酸素濃度信号を生成するとともに、該酸素濃度信号を前記コントローラー(122)に転送するように、該コントローラー(122)に接続されていることを特徴とする、態様1に記載のガス制御システム。
〔態様10〕
前記少なくとも1つの吸気弁装置(131、132)のそれぞれは、
前記作動ガス源(140)から作動ガスを受け取るように、該作動ガス源(140)に接続されており、前記コントローラー(122)によって制御されるようにガス圧を調節するように、該コントローラー(122)に接続されている、圧力比例弁(131.1、133.2)と、
前記圧力比例弁(133.1、133.2)によって調節されるガス圧に基づいてガス流速を線形に調節するように、該圧力比例弁(133.1、133.2)に接続されている、絞り弁(134.1、134.2)と、
を備えることを特徴とする、態様1に記載のガス制御システム。
〔態様11〕
前記作動ガスは窒素であることを特徴とする、態様1~10のいずれか一つに記載のガス制御システム。
〔態様12〕
リフローはんだ付け炉(110)のガス制御方法であって、該リフローはんだ付け炉(110)の炉室(112)は予熱ゾーン(101)及び冷却ゾーン(107)を備え、前記ガス制御方法は、
前記炉室(112)内の酸素濃度を検出するステップであって、前記検出された酸素濃度は実際の検出値(D V )を反映する、ステップと、
酸素濃度の調節設定値(R V )及び目標設定値(T V )を設定するステップであって、前記調節設定値(R V )は前記目標設定値(T V )よりも大きい、ステップと、
前記実際の検出値(D V )が前記調節設定値(R V )よりも大きい場合、前記実際の検出値(D V )が前記調節設定値(R V )よりも小さくなるまで、第1の吸気弁装置(131)の開度及び第2の吸気弁装置(132)の開度を増大させるステップであって、前記第1の吸気弁装置(131)は、前記予熱ゾーン(101)と前記作動ガス源(140)との流体連通を確立し、前記第2の吸気弁装置(132)は、前記冷却ゾーン(107)と前記作動ガス源(140)との流体連通を確立する、ステップと、
前記実際の検出値(D V )が前記調節設定値(R V )よりも小さい場合、前記第1の吸気弁装置(131)の開度を事前設定値で維持するとともに、前記第2の吸気弁装置(132)の開度を、前記実際の検出値(D V )が前記目標設定値(T V )に等しくなるまで低減させるステップと、
を含むことを特徴とする、ガス制御方法。
〔態様13〕
前記リフローはんだ付け炉(110)が安定して作動しているとき、前記第1の吸気弁装置(131)の開度を事前設定値で維持するとともに、前記第2の吸気弁装置(132)の開度を調節し、それにより、前記実際の検出値(D V )を前記目標設定値(T V )の周囲で安定させるステップ、
を更に含み、
前記実際の検出値(D V )が前記目標設定値(T V )よりも小さい場合、前記第2の吸気弁装置(132)の開度は、前記実際の検出値(D V )が前記目標設定値(T V )に等しくなるまで低減し、
前記実際の検出値(D V )が前記目標設定値(T V )よりも大きい場合、前記第2の吸気弁装置(132)の開度は、前記実際の検出値(D V )が前記目標設定値(T V )に等しくなるまで増大し、
前記実際の検出値(D V )が前記目標設定値(T V )に等しい場合、前記第2の吸気弁装置(132)の開度は現在値で維持されることを特徴とする、態様12に記載のガス制御方法。
〔態様14〕
前記炉室(112)はピーク値ゾーン(105)を更に備え、
前記炉室(112)内の酸素濃度は、前記ピーク値ゾーン(105)における酸素濃度を含むことを特徴とする、態様12に記載のガス制御方法。
〔態様15〕
前記リフローはんだ付け炉(110)の作動状態を検出するステップと、
前記リフローはんだ付け炉(110)が作動状態にないことを検出すると、前記第1の吸気弁装置(131)の開度及び前記第2の吸気弁装置(132)の開度とを低減させて、最低流量で作動ガスを排出及び供給するステップと、
を更に含むことを特徴とする、態様12に記載のガス制御方法。
図1
図2A
図2B
図3
図4