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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-09
(45)【発行日】2024-04-17
(54)【発明の名称】発光モジュールおよび車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/148 20180101AFI20240410BHJP
   F21V 23/06 20060101ALI20240410BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20240410BHJP
   F21S 41/663 20180101ALI20240410BHJP
   F21S 45/47 20180101ALI20240410BHJP
   F21S 41/143 20180101ALI20240410BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240410BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20240410BHJP
   F21Y 115/15 20160101ALN20240410BHJP
   F21W 102/13 20180101ALN20240410BHJP
【FI】
F21S41/148
F21V23/06
F21V23/00 150
F21V23/00 130
F21S41/663
F21S45/47
F21S41/143
F21Y115:10
F21Y115:30
F21Y115:15
F21W102:13
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021533109
(86)(22)【出願日】2020-07-17
(86)【国際出願番号】 JP2020027810
(87)【国際公開番号】W WO2021010461
(87)【国際公開日】2021-01-21
【審査請求日】2023-04-26
(31)【優先権主張番号】P 2019132178
(32)【優先日】2019-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 雄祐
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 友由
(72)【発明者】
【氏名】市川 知幸
(72)【発明者】
【氏名】原崎 正人
(72)【発明者】
【氏名】伊東 徹
【審査官】塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-204168(JP,A)
【文献】特開2013-030371(JP,A)
【文献】特開2016-051579(JP,A)
【文献】特表2008-532250(JP,A)
【文献】特開2014-067728(JP,A)
【文献】特開2017-016996(JP,A)
【文献】特開2011-134677(JP,A)
【文献】特開2019-036564(JP,A)
【文献】特開2012-074217(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0281424(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21K 9/00- 9/90
F21S 2/00-45/70
F21V 23/00-99/00
F21Y 115/10
F21Y 115/30
F21Y 115/15
F21W 102/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の配光パターンを形成する光を出射する、少なくとも1以上の第1の半導体発光素子からなる第1の光源と、
前記第1の配光パターンと異なる第2の配光パターンを形成する光を出射する、少なくとも1以上の第2の半導体発光素子からなる第2の光源と、
前記第1の半導体発光素子および前記第2の半導体発光素子の点灯を制御する点灯制御回路と、
前記第1の半導体発光素子を搭載可能な第1の素子搭載面と、前記第2の半導体発光素子を搭載可能な第2の素子搭載面と、前記点灯制御回路を搭載可能な回路搭載面とを有する放熱板と、を有し、
前記回路搭載面は、前記第1の素子搭載面および前記第2の素子搭載面の少なくとも一方に対して直交または傾斜するように形成されており、
前記第1の素子搭載面は、前記第2の素子搭載面と異なる面であり、前記第1の半導体発光素子が搭載された第1の素子基板が配置され、
前記第2の素子搭載面は、前記第2の半導体発光素子が搭載された第2の素子基板が配置され、
前記放熱板は、開口部が形成されており、
前記第1の素子基板および前記第2の素子基板のうちの一方の素子基板は、前記開口部を通る接続端子を介して、前記第1の素子基板および前記第2の素子基板のうちの他方の素子基板または前記点灯制御回路と接続されることを特徴とする発光モジュール。
【請求項2】
前記点灯制御回路が設けられている回路基板は、縁部にカードエッジコネクタが設けられており、
前記放熱板は、前記カードエッジコネクタと嵌合するソケットが入り込む切り欠きが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の発光モジュール。
【請求項3】
前記点灯制御回路を覆い、電磁ノイズが外部へ漏出することを抑制するシールドを更に有し、
前記シールドは、前記ソケットに嵌合した前記カードエッジコネクタが抜けないように前記ソケットの一部に係止する係止部を有することを特徴とする請求項2に記載の発光モジュール。
【請求項4】
第1の配光パターンを形成する光を出射する、少なくとも1以上の第1の半導体発光素子からなる第1の光源と、
前記第1の配光パターンと異なる第2の配光パターンを形成する光を出射する、少なくとも1以上の第2の半導体発光素子からなる第2の光源と、
前記第1の半導体発光素子および前記第2の半導体発光素子の点灯を制御する点灯制御回路と、
前記第1の半導体発光素子を搭載可能な第1の素子搭載面と、前記第2の半導体発光素子を搭載可能な第2の素子搭載面と、前記点灯制御回路を搭載可能な回路搭載面とを有する放熱板と、
前記点灯制御回路を覆い、電磁ノイズが外部へ漏出することを抑制するシールドと、を有し、
前記回路搭載面は、前記第1の素子搭載面および前記第2の素子搭載面の少なくとも一方に対して直交または傾斜するように形成されており、
前記第1の素子搭載面は、前記第2の素子搭載面と異なる面であり、
前記点灯制御回路が設けられている回路基板は、縁部にカードエッジコネクタが設けられており、
前記放熱板は、前記カードエッジコネクタと嵌合するソケットが入り込む切り欠きが形成されており、
前記シールドは、前記ソケットに嵌合した前記カードエッジコネクタが抜けないように前記ソケットの一部に係止する係止部を有することを特徴とする発光モジュール。
【請求項5】
前記第1の素子搭載面は、搭載されている前記第1の半導体発光素子の発光面の向きが、前記第2の素子搭載面に搭載されている前記第2の半導体発光素子の発光面の向きと異なるように形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の発光モジュール。
【請求項6】
前記第1の光源は、明るさが300~2000[lm]、消費電力が3~20[W]であり、前記第1の配光パターンとしてロービーム用配光パターンを形成するための光を出射し、
前記第2の光源は、明るさが150~1300[lm]、消費電力が1.5~13[W]であり、前記第2の配光パターンとしてハイビーム用配光パターンを形成するための光を出射することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の発光モジュール。
【請求項7】
前記放熱板は、表面積が16~200[cm]、厚みが1~5[mm]のアルミ板であることを特徴とする請求項に記載の発光モジュール。
【請求項8】
請求項1乃至のいずれか1項に記載の発光モジュールと、
前記第1の半導体発光素子から出射された光を車両前方に向けて反射してロービーム用配光パターンを形成する第1のリフレクタと、
前記第2の半導体発光素子から出射された光を車両前方に向けて反射してハイビーム用配光パターンを形成する第2のリフレクタと、を備え、
前記放熱板は、前記第1の半導体発光素子の発光面が上向きになるように前記第1の素子搭載面が形成されており、かつ、前記第2の半導体発光素子の発光面が下向きになるように前記第2の素子搭載面が形成されていることを特徴とする車両用灯具。
【請求項9】
前記第1のリフレクタと前記第2のリフレクタとの間に形成されており、前記発光モジュールの一部が挿入される開口部と、
前記開口部から車両前方に向かって形成されているガイドと、
を更に有することを特徴とする請求項に記載の車両用灯具。
【請求項10】
請求項1乃至のいずれか1項に記載の発光モジュールと、
前記第1の光源から出射された光を車両前方に向けて反射してロービーム用配光パターンを形成するリフレクタと、
前記第2の光源から出射された光を車両前方に向けて透過してハイビーム用配光パターンを形成するレンズと、を備え、
前記放熱板は、前記第1の半導体発光素子の発光面が上向きになるように前記第1の素子搭載面が形成されており、かつ、前記第2の半導体発光素子の発光面が車両前方を向くように前記第2の素子搭載面が形成されていることを特徴とする車両用灯具。
【請求項11】
前記第2の光源は、ハイビーム用配光パターンを形成する際に、前記第1の光源よりも出力が小さいことを特徴とする請求項乃至10のいずれか1項に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、LED(Light Emitting Diode)などの半導体発光素子を光源として車両用灯具に利用する技術の開発が進められている。このような車両用灯具においては、半導体発光素子の点灯を制御するための回路が必要な場合がある。そこで、半導体発光素子と、半導体発光素子の点灯を制御する点灯制御回路と、半導体発光素子を搭載可能な素子搭載面および点灯制御回路を搭載可能な回路搭載面とを有する放熱板と、を有する発光モジュールが考案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-74217
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、車両の電装化・多機能化により部品点数が増大するとともに、部品レイアウトや車両デザインの自由度の要求から車両用灯具にも小型化、省スペース化が求められている。しかしながら、例えば上述の特許文献に記載された発光モジュールは、主としてロービーム用の配光パターンを形成するものであり、ロービーム用およびハイビーム用の両方の配光を形成することはできない。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、複数の配光を実現できる車両用灯具の小型化に寄与する新たな発光モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の発光モジュールは、第1の配光パターンを形成する光を出射する、少なくとも1以上の第1の半導体発光素子からなる第1の光源と、第1の配光パターンと異なる第2の配光パターンを形成する光を出射する、少なくとも1以上の第2の半導体発光素子からなる第2の光源と、第1の半導体発光素子および第2の半導体発光素子の点灯を制御する点灯制御回路と、第1の半導体発光素子を搭載可能な第1の素子搭載面と、第2の半導体発光素子を搭載可能な第2の素子搭載面と、点灯制御回路を搭載可能な回路搭載面とを有する放熱板と、を有する。回路搭載面は、第1の素子搭載面および第2の素子搭載面の少なくとも一方に対して直交または傾斜するように形成されており、第1の素子搭載面は、第2の素子搭載面と異なる面である。
【0007】
この態様によると、複数の配光パターンを形成できるように構成された複数の光源と、複数の光源の点灯を制御する点灯制御回路とが1つの放熱板に搭載されているので、発光モジュールを小型にできる。
【0008】
第1の素子搭載面は、搭載されている第1の半導体発光素子の発光面の向きが、第2の素子搭載面に搭載されている第2の半導体発光素子の発光面の向きと異なるように形成されていてもよい。これにより、複数の方向に光を出射できるので、多様な配光が可能となる。
【0009】
第1の光源は、明るさが300~2000[lm]、消費電力が3~20[W]であり、第1の配光パターンとしてロービーム用配光パターンを形成するための光を出射してもよい。第2の光源は、明るさが150~1300[lm]、消費電力が1.5~13[W]であり、第2の配光パターンとしてハイビーム用配光パターンを形成するための光を出射してもよい。
【0010】
放熱板は、表面積が16~200[cm]、厚みが1~5[mm]のアルミ板であってもよい。これにより、小型の放熱板を実現できる。
【0011】
点灯制御回路が設けられている回路基板は、縁部にカードエッジコネクタが設けられており、放熱板は、カードエッジコネクタと嵌合するソケットが入り込む切り欠きが形成されていてもよい。これにより、ソケットがカードエッジコネクタに嵌合した状態で放熱板と干渉しなくなり、回路基板をより放熱板に近づけられる。
【0012】
点灯制御回路を覆い、電磁ノイズが外部へ漏出することを抑制するシールドを更に有してもよい。シールドは、ソケットに嵌合したカードエッジコネクタが抜けないようにソケットの一部に係止する係止部を有してもよい。これにより、ソケットに特別な工夫を設けなくても、シールドでソケットの抜け止めができる。
【0013】
本発明の他の態様は車両用灯具である。この車両用灯具は、上述の発光モジュールと、第1の半導体発光素子から出射された光を車両前方に向けて反射してロービーム用配光パターンを形成する第1のリフレクタと、第2の半導体発光素子から出射された光を車両前方に向けて反射してハイビーム用配光パターンを形成する第2のリフレクタと、を備えている。放熱板は、第1の半導体発光素子の発光面が上向きになるように第1の素子搭載面が形成されており、かつ、第2の半導体発光素子の発光面が下向きになるように第2の素子搭載面が形成されていてもよい。
【0014】
この態様によると、ロービーム用配光パターンとハイビーム用配光パターンとを形成できる車両用灯具において、複数の光源と、複数の光源の点灯を制御する点灯制御回路とが1つの放熱板に搭載されているので、車両用灯具を小型にできる。
【0015】
第1のリフレクタと第2のリフレクタとの間に形成されており、発光モジュールの一部が挿入される開口部と、開口部から車両前方に向かって形成されているガイドと、を有してもよい。これにより、開口部から発光モジュールを挿入することで、各リフレクタに対して所定の位置に発光モジュールを装着できる。
【0016】
本発明の更に他の態様は車両用灯具である。この車両用灯具は、上述の発光モジュールと、第1の光源から出射された光を車両前方に向けて反射してロービーム用配光パターンを形成するリフレクタと、第2の光源から出射された光を車両前方に向けて透過してハイビーム用配光パターンを形成するレンズと、を備えてもよい。放熱板は、第1の半導体発光素子の発光面が上向きになるように第1の素子搭載面が形成されており、かつ、第2の半導体発光素子の発光面が車両前方を向くように第2の素子搭載面が形成されていてもよい。
【0017】
この態様によると、ロービーム用配光パターンとハイビーム用配光パターンとを形成できる車両用灯具において、複数の光源と、複数の光源の点灯を制御する点灯制御回路とが1つの放熱板に搭載されているので、車両用灯具を小型にできる。
【0018】
第2の光源は、ハイビーム用配光パターンを形成する際に、第1の光源よりも出力が小さくてもよい。これにより、第2の光源における半導体発光素子の数を減らしたり、低出力の半導体発光素子を用いたりできる。また、第2の光源に起因する発熱が抑えられることで放熱板の小型化、薄型化が可能となる。
【0019】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、複数の配光を実現できる車両用灯具の小型化に寄与する新たな発光モジュールを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1の実施の形態に係る車両用前照灯の概略構成を示す側面図である。
図2】第1の実施の形態に係る放熱板の斜視図である。
図3】第1の実施の形態に係る発光モジュールの概略構成を示す斜視図である。
図4】第1の実施の形態に係る発光モジュールにおける配線を説明するための一部断面図である。
図5】第1の実施の形態に係る点灯制御回路と各素子との結線の一例を示す図である。
図6】第1の実施の形態に係る発光モジュールにおける配線の他の例を説明するための一部断面図である。
図7】第1の実施の形態に係る点灯制御回路と各素子との結線の他の例を示す図である。
図8】第2の実施の形態に係る車両用前照灯の概略構成を示す側面図である。
図9】第2の実施の形態に係る発光モジュールにおける配線を説明するための一部断面図である。
図10図10(a)は、第3の実施の形態に係るリフレクタの正面図、図10(b)は、第3の実施の形態に係るリフレクタに発光モジュールを挿入する様子を説明するための要部側面図、図10(c)は、第3の実施の形態に係るリフレクタに発光モジュールを挿入する様子を説明するための要部上面図である。
図11】第4の実施の形態に係る発光モジュールの概略構成を示す分解斜視図である。
図12】第4の実施の形態に係る他の発光モジュールの概略構成を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述される全ての特徴やその組合せは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0023】
なお、以下の各実施の形態では、二輪車や四輪車といった車両用灯具、特に低コストで省スペースが求められる二輪車の車両用前照灯を例に説明する。
【0024】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係る車両用前照灯の概略構成を示す側面図である。図2は、第1の実施の形態に係る放熱板の斜視図である。図3は、第1の実施の形態に係る発光モジュールの概略構成を示す斜視図である。
【0025】
車両用前照灯10は、発光モジュール12と、第1のリフレクタ14と、第2のリフレクタ16と、を備える。発光モジュール12は、第1の配光パターンを形成する光を出射する、少なくとも1以上の第1の半導体発光素子18からなる第1の光源20と、第2の配光パターンを形成する光を出射する、少なくとも1以上の第2の半導体発光素子22からなる第2の光源24と、第1の半導体発光素子18および第2の半導体発光素子22の点灯を制御する点灯制御回路26と、放熱板28と、を有する。
【0026】
半導体発光素子は、例えば、LED、LD(Laser Diode)、OLED(Organic Light
Emitting Diode)が用いられる。また、第1のリフレクタ14は、第1の半導体発光素子18から出射された光L1を車両前方に向けて反射してロービーム用配光パターンを形成するように反射面が構成されている。同様に、第2のリフレクタ16は、第2の半導体発光素子22から出射された光L2を車両前方に向けて反射してハイビーム用配光パターンを形成するように反射面が構成されている。
【0027】
放熱板28は、第1の半導体発光素子18を搭載可能な第1の素子搭載面28aと、第2の半導体発光素子22を搭載可能な第2の素子搭載面28bと、点灯制御回路26を搭載可能な回路搭載面28cとを有する。放熱板28は、安価で放熱性が高い材料が好ましく、例えば、厚みが1~5[mm]の熱伝導性の良好なアルミ板である。放熱板28は、幅W1が50~80mm、回路搭載面28cの長さD1が80~120mm、第1の素子搭載面28a(第2の素子搭載面28b)の長さD2が30~50mmの範囲であってもよい。あるいは、放熱板28は、表面積が16~200[cm]であってもよい。これにより、小型の放熱板を実現できる。
【0028】
また、放熱板28は、放熱板28を灯具に固定する際に用いるネジが通る複数のネジ穴28dと、回路搭載面28cの裏側に配置された第2の半導体発光素子22と点灯制御回路26とを接続するための接続端子が通る開口部28eと、が形成されている。回路搭載面28cは、第1の素子搭載面28aおよび第2の素子搭載面28bの少なくとも一方に対して直交または傾斜するように形成されている。
【0029】
このように、本実施の形態に係る発光モジュール12は、複数の配光パターンを形成できるように構成された第1の光源20および第2の光源24と、複数の光源の点灯を制御する点灯制御回路26とが1つのL字状の放熱板28に搭載されている。そのため、発光モジュール12を小型で省スペースに、また、車両前後方向の長さをコンパクトにできる。
【0030】
第1の光源20は、明るさが300~2000[lm]、消費電力が3~20[W]であり、ロービーム用配光パターンを形成するための光L1を出射する。第2の光源24は、明るさが150~1300[lm]、消費電力が1.5~13[W]であり、ハイビーム用配光パターンを形成するための光L2を出射する。
【0031】
第1の素子搭載面28aは、第2の素子搭載面28bと異なる面であり、搭載されている第1の半導体発光素子18の発光面の向きが、第2の素子搭載面28bに搭載されている第2の半導体発光素子22の発光面の向きと異なる(図1では正反対)ように形成されている。つまり、本実施の形態に係る放熱板28は、第1の半導体発光素子18の発光面が上向きになるように第1の素子搭載面28aが形成されており、かつ、第2の半導体発光素子22の発光面が下向きになるように第2の素子搭載面28bが形成されている。これにより、複数の方向に光を出射できるので、多様な配光が可能となる。
【0032】
図4は、第1の実施の形態に係る発光モジュールにおける配線を説明するための一部断面図である。図5は、第1の実施の形態に係る点灯制御回路と各素子との結線の一例を示す図である。
【0033】
図4に示すように、点灯制御回路26と、第1の半導体発光素子18が搭載されている素子基板19および第2の半導体発光素子22が搭載されている素子基板23とは、接続端子30,32を介して接続されている。また、第2の光源24では、第2の半導体発光素子22と並列にスイッチ34が設けられている。点灯制御回路26により第1の光源20に電流が流れている状態で、スイッチ34がONであれば、第1の半導体発光素子18のみが点灯し、ロービーム用配光パターンが形成される。また、点灯制御回路26により第1の光源20に電流が流れている状態で、スイッチ34がOFFであれば、第1の半導体発光素子18に加えて、第2の半導体発光素子22も点灯し、ハイビーム用配光パターンが形成される。
【0034】
このように、ロービーム用配光パターンとハイビーム用配光パターンとを形成できる本実施の形態に係る車両用前照灯10において、第1の光源20および第2の光源24と、各光源の点灯を制御する点灯制御回路26とが1つの放熱板28に搭載されているので、車両用前照灯10自体を小型にできる。
【0035】
また、本実施の形態に係る発光モジュール12は、第1の半導体発光素子18として2つのLEDチップ、第2の半導体発光素子22として1つのLEDチップを有している。そして、車両用前照灯10は、ロービーム用配光パターンを形成する場合、2つの第1の半導体発光素子18に駆動電流If=0.7A、順方向電圧Vf=3.3Vを印加することで、4.4Wの消費電力により500ルーメンの光束が得られる。
【0036】
車両用前照灯10は、ハイビーム用配光パターンを形成する場合、2つの第1の半導体発光素子18と1つの第2の半導体発光素子22に駆動電流If=0.7A、順方向電圧Vf=3.3Vを印加することで、6.6Wの消費電力により750ルーメンの光束が得られる。
【0037】
図6は、第1の実施の形態に係る発光モジュールにおける配線の他の例を説明するための一部断面図である。
【0038】
図6に示す発光モジュール36は、図4に示す発光モジュール12の放熱板28と比較して、放熱板38の構成が異なる。具体的には、接続端子42が通る開口部40が第1の素子搭載面28aおよび第2の素子搭載面28bの間に形成されている。そして、第2の半導体発光素子22が搭載された素子基板23は、点灯制御回路26とではなく、素子基板19と接続されている。
【0039】
図7は、第1の実施の形態に係る点灯制御回路と各素子との結線の他の例を示す図である。図7に示す発光モジュール44は、3つの第1の半導体発光素子18からなる第1の光源20と、2つの第2の半導体発光素子22からなる第2の光源24と、が点灯制御回路26と接続されている。また、第1の光源20では、第1の半導体発光素子18と直列にスイッチ46が接続されており、第2の光源24では、第2の半導体発光素子22と直列にスイッチ48が接続されている。
【0040】
点灯制御回路26により第1の光源20に電流が流れている状態(スイッチ46がON)で、スイッチ48がOFFであれば、第1の半導体発光素子18のみが点灯し、ロービーム用配光パターンが形成される。また、スイッチ46をOFFにし、スイッチ48をONにした状態で、点灯制御回路26により1つの第1の半導体発光素子18と、2つの第2の半導体発光素子22とを点灯し、ハイビーム用配光パターンが形成される。
【0041】
図7に示す発光モジュール44を備えた車両用前照灯は、ロービーム用配光パターンを形成する場合、3つの第1の半導体発光素子18に駆動電流If=1.0A、順方向電圧Vf=3.3Vを印加することで、10Wの消費電力により1000ルーメンの光束が得られる。
【0042】
また、発光モジュール44を備えた車両用前照灯がハイビーム用配光パターンを形成する場合、1つの第1の半導体発光素子18と2つの第2の半導体発光素子22に駆動電流If=1.0A、順方向電圧Vf=3.3Vを印加することで、10Wの消費電力により1000ルーメンの光束が得られる。
【0043】
上述の発光モジュール12や発光モジュール44においては、第2の光源24は、ハイビーム用配光パターンを形成する際に、第1の光源20よりも出力が小さい。これにより、第2の光源24における第2の半導体発光素子22の数を減らしたり、低出力の第2の半導体発光素子22を用いたりできる。また、第2の光源24に起因する発熱が抑えられることで放熱板の小型化、薄型化が可能となる。
【0044】
(第2の実施の形態)
図8は、第2の実施の形態に係る車両用前照灯の概略構成を示す側面図である。図9は、第2の実施の形態に係る発光モジュールにおける配線を説明するための一部断面図である。
【0045】
車両用前照灯50は、発光モジュール52と、第1の光源20から出射された光L1を車両前方に向けて反射してロービーム用配光パターンを形成する第1のリフレクタ14と、第2の光源24から出射された光L2を車両前方に向けて透過してハイビーム用配光パターンを形成する投影レンズ54と、を備えている。放熱板56は、第1の半導体発光素子18の発光面が上向きになるように第1の素子搭載面56aが形成されており、かつ、第2の半導体発光素子22の発光面が車両前方を向くように第2の素子搭載面56bが形成されている。
【0046】
図9に示す発光モジュール52は、図4に示す発光モジュール12の放熱板28と比較して、放熱板56の構成が異なる。具体的には、接続端子58が通る開口部56d,56eが回路搭載面56cおよび第2の素子搭載面56bに形成されている。そして、第2の半導体発光素子22が搭載された素子基板23は、点灯制御回路26と接続端子58を介して接続されている。
【0047】
このように、ロービーム用配光パターンとハイビーム用配光パターンとを形成できる車両用前照灯50において、第1の光源20および第2の光源24と、各光源の点灯を制御する点灯制御回路26とが1つの放熱板56に搭載されているので、車両用前照灯50自体を小型にできる。
【0048】
(第3の実施の形態)
図10(a)は、第3の実施の形態に係るリフレクタの正面図、図10(b)は、第3の実施の形態に係るリフレクタに発光モジュールを挿入する様子を説明するための要部側面図、図10(c)は、第3の実施の形態に係るリフレクタに発光モジュールを挿入する様子を説明するための要部上面図である。
【0049】
第1のリフレクタ14および第2のリフレクタ16からなるリフレクタ60は、底部に開口部60aが形成されており、開口部60aの縁部から2つのガイド62が車両前方に向かって突出するように設けられている。ガイド62は、溝62aが形成されており、放熱板28の第1の素子搭載面28aおよび第2の素子搭載面28bを有する長方形の板状部29が溝62aに挿入されることで、リフレクタ60に対して発光モジュール12が所定の位置で安定して保持される。
【0050】
このように、第1のリフレクタ14と第2のリフレクタ16との間に形成されており、発光モジュール12の一部が挿入される開口部60aと、開口部60aから車両前方に向かって形成されているガイド62と、を有する車両用前照灯は、開口部60aから発光モジュール12を挿入することで、リフレクタ60に対して所定の位置に発光モジュール12を装着できる。
【0051】
(第4の実施の形態)
図11は、第4の実施の形態に係る発光モジュールの概略構成を示す分解斜視図である。図12は、第4の実施の形態に係る他の発光モジュールの概略構成を示す分解斜視図である。発光モジュール64において、点灯制御回路26が設けられている回路基板26aは、縁部26bにカードエッジコネクタ66が形成されている。放熱板28は、カードエッジコネクタ66と嵌合するソケット68が入り込む切り欠き28fが形成されている。これにより、ソケット68がカードエッジコネクタ66に嵌合した状態で放熱板28と干渉しなくなり、組立てが容易になるとともに点灯制御回路26をより放熱板28に近づけられる。また、カードエッジコネクタ66を介して給電することで、電源入力コネクタ部の小型化、低コスト化が可能となる。
【0052】
発光モジュール64は、点灯制御回路26を覆い、電磁ノイズが外部へ漏出することを抑制する導電性のシールド70を更に有している。シールド70は、ソケット68に嵌合したカードエッジコネクタ66が抜けないようにソケット68の一部68aに係止する係止部70aを有している。これにより、ソケット68に特別な工夫を設けなくても、シールド70でソケット68の抜け止めが可能となり、接続信頼性が向上する。
【0053】
以上、本発明を上述の実施の形態を参照して説明したが、本発明は上述の各実施の形態に限定されるものではなく、各実施の形態の構成を適宜組み合わせたものや置換したものについても本発明に含まれるものである。また、当業者の知識に基づいて各実施の形態における組合せや処理の順番を適宜組み替えることや各種の設計変更等の変形を各実施の形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれうる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、車両用灯具に利用可能である。
【符号の説明】
【0055】
10 車両用前照灯、 12 発光モジュール、 14 第1のリフレクタ、 16 第2のリフレクタ、 18 第1の半導体発光素子、 20 第1の光源、 22 第2の半導体発光素子、 24 第2の光源、 26 点灯制御回路、 26a 回路基板、
26b 縁部、 28 放熱板、 28a 第1の素子搭載面、 28b 第2の素子搭載面、 28c 回路搭載面、 30 接続端子、 36 発光モジュール、 38 放熱板、 40 開口部、 42 接続端子、 44 発光モジュール、 50 車両用前照灯、 52 発光モジュール、 54 投影レンズ、 56 放熱板、 56a 第1の素子搭載面、 56b 第2の素子搭載面、 56c 回路搭載面、 56d 開口部、 58 接続端子、 60 リフレクタ、 60a 開口部、 62 ガイド、 62a 溝、 64 発光モジュール、 66 カードエッジコネクタ、 68 ソケット、 70 シールド、 70a 係止部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12