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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-09
(45)【発行日】2024-04-17
(54)【発明の名称】風力エネルギー生成器システム
(51)【国際特許分類】
   F03D 9/17 20160101AFI20240410BHJP
【FI】
F03D9/17
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021543306
(86)(22)【出願日】2020-01-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-16
(86)【国際出願番号】 US2020014902
(87)【国際公開番号】W WO2020154568
(87)【国際公開日】2020-07-30
【審査請求日】2023-01-17
(31)【優先権主張番号】62/796,924
(32)【優先日】2019-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521325514
【氏名又は名称】ドラゴナス、ハラランボス、テオドロス
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドラゴナス、ハラランボス、テオドロス
【審査官】藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0050234(US,A1)
【文献】英国特許出願公告第00114286(GB,A)
【文献】特表2002-533617(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0101981(US,A1)
【文献】国際公開第2015/199450(WO,A1)
【文献】特開2005-344701(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0341498(US,A1)
【文献】特開平04-091325(JP,A)
【文献】国際公開第2013/119327(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/159586(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2009/0021012(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 1/00-80/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を吸入するように構成された空気吸入システムと、
風によって回転させられるように構成されたロータと、
空気圧縮機を備える空気圧縮システムと
を備えるエネルギー生成器システムであって、
前記エネルギー生成器システムは、前記ロータが回転しており、それによって前記空気圧縮機に動力供給している動作構成を採用するように構成され、前記空気圧縮機が、前記空気吸入システムと流体連通しており、前記空気吸入システムから空気を受け、前記空気圧縮機が、前記空気吸入システムから受けた空気を圧縮しており、圧縮空気を生成してい前記空気圧縮システムから圧縮空気を受け、前記圧縮空気を蓄積するように構成された圧縮空気蓄積システムをさらに備え、前記圧縮空気蓄積システムが、前記空気圧縮システムから受けた前記圧縮空気を冷却するように構成された冷却システムをさらに備え、前記冷却システムが、前記空気圧縮システムから圧縮空気を受け、収容するように構成されたブラダーと、前記ブラダー内に収容された圧縮空気を冷却するための、前記ブラダーを囲む冷却剤と、冷却剤の供給源とを備える、エネルギー生成器システム。
【請求項2】
前記圧縮空気蓄積システムが、少なくとも1つの貯蔵タンクと、前記少なくとも1つの貯蔵タンクを前記空気圧縮システムに接続する空気流出ラインとを備える、請求項に記載のエネルギー生成器システム。
【請求項3】
前記冷却システムが、前記冷却剤から熱を取り除くための熱交換器をさらに備える、請求項に記載のエネルギー生成器システム。
【請求項4】
前記空気圧縮システムが、前記空気圧縮機から受けた圧縮空気を冷却することによってより低温の圧縮空気を生成するように構成された1つ又は複数の中間冷却器をさらに備える、請求項1に記載のエネルギー生成器システム。
【請求項5】
前記1つ又は複数の中間冷却器から前記より低温の圧縮空気を受け、前記より低温の圧縮空気を蓄積するように構成された圧縮空気蓄積システムをさらに備える、請求項に記載のエネルギー生成器システム。
【請求項6】
前記空気圧縮システムが、前記ロータを前記空気圧縮機に接続し、前記ロータからの回転エネルギーを前記空気圧縮機に伝達するように構成されたドライブ・トレインをさらに備える、請求項1に記載のエネルギー生成器システム。
【請求項7】
空気を吸入するように構成された空気吸入システムと、
風によって回転させられるように構成されたロータと、
空気圧縮機を備える空気圧縮システムと
を備えるエネルギー生成器システムであって、
前記エネルギー生成器システムは、前記ロータが回転しており、それによって前記空気圧縮機に動力供給している動作構成を採用するように構成され、前記空気圧縮機が、前記空気吸入システムと流体連通しており、前記空気吸入システムから空気を受け、前記空気圧縮機が、前記空気吸入システムから受けた空気を圧縮しており、圧縮空気を生成していて、前記空気圧縮システムを格納し、風が当たるように十分な高さに支持するウィンド・タワーをさらに備え、前記ウィンド・タワーがハブと細長いパイロンとを備え、前記ハブが前記ロータと前記空気圧縮システムとを支持し、前記パイロンが前記ハブを支持前記空気吸入システムが前記パイロン内に収納されていて、前記空気吸入システムが、前記パイロン内に配置される空気チャンバを備え、前記空気吸入システムが、前記空気チャンバの内側と流体連通している空気吸入ポートをさらに備え、前記空気チャンバが、空気循環デバイスによって分離された上側空気チャンバ・セクションと下側空気チャンバ・セクションとを備え、前記下側空気チャンバ・セクションが、前記空気吸入ポートから空気を受けるように構成され、前記空気循環デバイスが、前記空気圧縮システムに向かって前記下側空気チャンバ・セクションから前記上側空気チャンバ・セクションに通る空気中に渦を生成するように構成された、エネルギー生成器システム。
【請求項8】
前記空気吸入システムが、前記空気チャンバ内に配置され、前記空気チャンバを通って前記空気吸入ポートから前記空気圧縮システムに向かって流れる空気によって搬送される粒子をろ過するように構成された、フィルタをさらに備える、請求項に記載のエネルギー生成器システム。
【請求項9】
前記フィルタが、前記空気チャンバの内側側壁から離間した、前記空気チャンバの中央エリア中に配置された、請求項に記載のエネルギー生成器システム。
【請求項10】
前記空気圧縮システムによって生成された圧縮空気を電気に変換するように構成された変換システムをさらに備える、請求項1又は7に記載のエネルギー生成器システム。
【請求項11】
前記変換システムが少なくとも1つの気流生成器と発電機とを備え、前記少なくとも1つの気流生成器が、前記空気圧縮システムによって生成された圧縮空気を受け、前記受けた圧縮空気を回転機械エネルギーに変換するように構成され、さらに、前記発電機が、前記少なくとも1つの気流生成器によって生成された前記回転機械エネルギーによって動力供給されたときに電気を生成するように構成された、請求項1に記載のエネルギー生成器システム。
【請求項12】
前記少なくとも1つの気流生成器が複数の気流生成器と複数の弁とを備え、前記複数の弁が、前記空気圧縮システムから前記複数の気流生成器の各気流生成器への圧縮空気の流れを調整するように動作可能である、請求項1に記載のエネルギー生成器システム。
【請求項13】
ハブ、及び前記ハブを支持する細長いパイロンを備えるウィンド・タワーと、
前記パイロン内に収容され、空気を吸入するように構成された空気吸入システムであって、前記空気吸入システムが、空気チャンバと、前記空気チャンバの内側と流体連通している空気吸入ポートとを備え、前記空気チャンバが、空気循環デバイスによって分離された上側空気チャンバ・セクションと下側空気チャンバ・セクションとを備え、前記下側空気チャンバ・セクションが、前記空気吸入ポートから空気を受けるように構成され、前記空気循環デバイスが、前記空気循環デバイスを通る空気中に渦を生成するように構成され、さらに、前記空気吸入システムが、前記空気チャンバの内側側壁から離間した、前記空気チャンバの中央エリア中に配置され、前記上側空気チャンバ・セクションを流れる空気によって搬送される粒子をろ過するように構成された、フィルタを備える、空気吸入システムと、
前記ハブによって担持され、風によって回転させられるように構成されたロータと、
前記ハブ内に収容され、空気圧縮機を備える空気圧縮システムと、
前記空気圧縮システムから圧縮空気を受け、前記圧縮空気を蓄積するように構成された少なくとも1つの貯蔵タンクを備える圧縮空気蓄積システムと
を備える、エネルギー生成器システムであって、
前記エネルギー生成器システムは、
前記ロータが回転しており、それによって前記空気圧縮機に動力供給しており、
前記空気圧縮機が、前記空気吸入システムと流体連通しており、前記下側空気チャンバ・セクションと前記空気循環デバイスと前記上側空気チャンバ・セクションとを介して前記空気吸入ポートから前記空気圧縮機に気流を吸引し、気流を引き起こすことによって前記空気吸入システムから空気を受けており、
前記空気循環デバイスが、それを通って流れる空気中に渦を生成しており、前記渦内の遠心力が、前記空気によって搬送されるデブリを半径方向外側に投射し、
前記フィルタは、前記渦の中央エリアからの空気が前記フィルタを通過し、前記空気圧縮機に向かうことを可能にしており、
前記空気圧縮機が、前記空気吸入システムの前記フィルタから受けた空気を圧縮し、圧縮空気を生成しており、前記空気圧縮システムが前記圧縮空気蓄積システムに圧縮空気を与えている、動作構成を採用するように構成されたエネルギー生成器システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照により本明細書にその全体が組み込まれている、2019年1月25日に出願した米国仮特許出願第62/796,924号の利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、一般に、クリーン・エネルギー・デバイスに関し、より詳細には、エネルギーを生成することと、後で電気を生成する際に使用するために前記エネルギーを蓄積することとが可能な風力エネルギー生成器に関する。
【背景技術】
【0003】
多くの国において、化石燃料エネルギー源に対するそれらの依存を制限し、より再生可能で、環境に優しいエネルギー源に転換することがより重要になりつつある。そのような代替エネルギー源のうちのいくつかは、太陽光エネルギーと、水力発電エネルギーと、風力エネルギーとを含み得る。風力の利用は、特に、化石燃料の代替としてますます普及しつつある。
【0004】
電気を生成するための風力の利用は、一般に、ウィンド・タワーの最上部に発電機を配置することと、風を捕らえて発電機を駆動するために回転するファン・ブレードを使用することとを含む。発電機によって生成された電気は、次いで、電気をユース・ポイント(point of use)に運ぶ電力グリッド又は電力システムに供給される。多くのウィンド・タワー発電機が一箇所に配置されると、しばしばウィンド・ファームと呼ばれるものになる。
【0005】
しかしながら、このようにして電気を生成するとき、いくつかの制限が生じる。たとえば、電気がグリッドの電線に沿ってより遠くに進まなければならないほど、グリッドを形成する材料のコストはかなり高くなり、電力における伝送損失が出る。しばしば、グリッドの長さに沿ってエネルギーを昇圧するために変圧器が必要とされ、電線自体における熱損失により、さらなる電力が失われ得る。これらのシステム及び電力グリッドの保守もコストがかかる。
【0006】
より重要なことには、ウィンド・タワーのサイトにおける電気の生成には別の問題もある。電力は容易に蓄積され得ず、かつ確実に大規模には蓄積され得ないことから、電力をすぐに使用する必要があることは、電気の生成において本質的なものである。したがって、ウィンド・タワー発電機によって生成された電気は、即座に使用される必要があるか、さもなければ無駄になるか又は失われる。これは、このタイプの発電機を動作させるコストを大いに増加させ得、そのコスト増加は一般に消費者に転嫁される。
【0007】
したがって、上述の問題のうちの少なくとも1つを解決することができる風力エネルギー生成システムの必要性が確実にある。たとえば、風力エネルギー生成システムが、電気を生成するのに後で使用するために、及び生成ポイントから離れたところで、エネルギーを生成することができることが必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、風の中に含まれている一時的エネルギーを捕捉し、それを、後で電気を生成する際に使用するために蓄積可能なエネルギーの形態に変換することが可能である、新規の効率的なエネルギー生成器システムを対象とする。本エネルギー生成器システムは、流入空気を圧縮するための空気圧縮機と、ロータの上を流れる風に応答して圧縮機を動作させるためのロータとを含む、圧縮システムを含む。ロータは、空気圧縮機を動作させるために風の直線的な力を回転機械エネルギーに変換する。空気吸入(air intake)システムは、空気圧縮機に清浄な周囲空気を供給するために与えられ、蓄積システムは、空気圧縮機によって生成された圧縮空気を蓄積するために与えられ得る。圧縮システム及び吸気システムは、ロータを支持するためのヘッドと、風のエネルギーを捕捉するために十分な高さにロータを配置するための細長いパイロン(pylon)とを有する、ウィンド・タワー中に収容され得る。エネルギー生成器システムは、より高い量の圧縮空気エネルギーが所与の蓄積システム内に蓄積されることを可能にするために圧縮空気を冷却するための冷却システムと、電気を生成するために圧縮空気エネルギーを変換して回転機械エネルギーに戻すための変換システムとをさらに含み得る。
【0009】
本発明の第1の実装形態では、エネルギー生成器システムは、空気を吸入するように構成された空気吸入システムと、風によって回転させられるように構成されたロータと、空気圧縮機を備える空気圧縮システムとを備える。エネルギー生成器システムは、ロータが回転しており、それによって空気圧縮機に動力供給している動作構成を採用するように構成され、空気圧縮機は、空気吸入システムと流体連通しており、空気吸入システムから空気を受け、空気圧縮機は、空気吸入システムから受けた空気を圧縮しており、圧縮空気を生成している。
【0010】
第2の態様では、エネルギー生成器システムは、空気圧縮システムから圧縮空気を受け、圧縮空気を蓄積するように構成された圧縮空気蓄積システムをさらに含み得る。
【0011】
別の態様では、圧縮空気蓄積システムは、少なくとも1つの貯蔵タンクと、少なくとも1つの貯蔵タンクを空気圧縮システムに接続する空気流出(outflow)ラインとを含み得る。
【0012】
別の態様では、圧縮空気蓄積システムは、空気圧縮システムから受けた圧縮空気を冷却するように構成された冷却システムをさらに含み得る。
【0013】
別の態様では、冷却システムは、ブラダー(bladder)と、冷却剤と、冷却剤の供給源とを含み得る。ブラダーは、空気圧縮システムからの圧縮空気を受け、収容するように構成され得る。冷却剤は、ブラダー内に収容された圧縮空気を冷却するためにブラダーを囲み得る。冷却剤の供給源は、ブラダーの周囲に冷却剤を与え得る。
【0014】
別の態様では、冷却システムは、冷却剤から熱を取り除くための熱交換器をさらに含み得る。
【0015】
別の態様では、空気圧縮システムは、空気圧縮機から受けた圧縮空気を冷却することによってより低温の圧縮空気を生成するように構成された1つ又は複数の中間冷却器(intercooler)をさらに含み得る。
【0016】
別の態様では、エネルギー生成器システムは、1つ又は複数の中間冷却器からより低温の圧縮空気を受け、そのより低温の圧縮空気を蓄積するように構成された圧縮空気蓄積システムをさらに含み得る。
【0017】
別の態様では、空気圧縮システムは、ロータを空気圧縮機に接続し、ロータからの回転エネルギーを空気圧縮機に伝達するように構成されたドライブ・トレイン(drive train)をさらに含み得る。
【0018】
別の態様では、エネルギー生成器システムは、空気圧縮システムを格納し、風が当たるように十分な高さに支持するウィンド・タワーをさらに含み得る。ウィンド・タワーはハブ(hub)と細長いパイロンとを含み得、ハブはロータと空気圧縮システムとを支持し、パイロンはハブを支持する。
【0019】
別の態様では、空気吸入システムはパイロン内に収納され得る。
【0020】
別の態様では、空気吸入システムは、パイロン内に配置される空気チャンバを含み得、空気チャンバの内側と流体連通している空気吸入ポートをさらに含み得る。
【0021】
別の態様では、空気チャンバは、空気循環デバイスによって分離された上側空気チャンバ・セクションと下側空気チャンバ・セクションとを特徴的に有し得る。下側空気チャンバ・セクションは、空気吸入ポートから空気を受けるように構成され得る。今度は、空気循環デバイスは、空気圧縮システムに向かって下側空気チャンバ・セクションから上側空気チャンバ・セクションに通る空気中に渦を生成するように構成され得る。
【0022】
別の態様では、空気吸入システムは、空気チャンバ内に配置され、空気チャンバを通って空気吸入ポートから空気圧縮システムに向かって流れる空気によって搬送される粒子をろ過するように構成された、フィルタをさらに含み得る。
【0023】
別の態様では、フィルタは、空気チャンバの内側側壁から離間した、空気チャンバの中央エリア中に配置され得る。
【0024】
別の態様では、エネルギー生成器システムは、空気圧縮システムによって生成された圧縮空気を電気に変換するように構成された変換システムをさらに含み得る。
【0025】
別の態様では、変換システムは少なくとも1つの気流(air stream)生成器と発電機とを含み得る。少なくとも1つの気流生成器は、空気圧縮システムによって生成された圧縮空気を受け、受けた圧縮空気を回転機械エネルギーに変換するように構成され得る。発電機は、少なくとも1つの気流生成器によって生成された回転機械エネルギーによって動力供給されたときに電気を生成するように構成され得る。
【0026】
別の態様では、少なくとも1つの気流生成器は複数の気流生成器と複数の弁とを含み得る。複数の弁は、空気圧縮システムから複数の気流生成器の各気流生成器への圧縮空気の流れを調整するように動作可能であり得る。
【0027】
本発明のこれら及び他の目的、特徴、並びに利点は、添付の図面及び以下の好ましい実施例の詳細な説明からより容易に明らかになるだろう。
【0028】
以下で、同様の名称が同様の要素を示す、本発明を限定するのではなく例示するために与えられる添付の図面と併せて本発明の好ましい実施例について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】エネルギー生成器システムが第1のタイプの空気圧縮機を備える、本発明のエネルギー生成器システムの例示的な実施例を示す側面概略図を提示する図である。
図2】エネルギー生成器システムが第2のタイプの空気圧縮機を備える、本発明のエネルギー生成器システムの例示的な実施例を示す側面概略図を提示する図である。
図3】本発明のエネルギー生成器システムのウィンド・タワーの正面概略図を提示する図である。
図4】空気循環デバイスの分離された上面図を示す、本発明のエネルギー生成器システムのウィンド・タワーの一部分の側面概略図を提示する図である。
図5】本発明のエネルギー生成器システムのウィンド・タワーの空気吸入システムを通る風の流れの方向を示す、図4と同様の、側面概略図を提示する図である。
図6】エネルギー生成器システムを通る風の流れの方向、及びウィンド・タワー貯蔵タンクと、複数のエネルギー生成器システムに関連付けられたウィンド・パーク貯蔵タンク(wind park storage tank)とを含むオンサイト(on-site)圧縮空気貯蔵タンク・システムへの圧縮空気の伝達を示す、本発明のエネルギー生成器システムの側面概略図を提示する図である。
図7】オンサイト圧縮空気貯蔵タンク・システムと、伝達ラインと、本発明のエネルギー生成器システムに関連付けられ、エネルギー生成器システムのオンサイト圧縮空気貯蔵タンク・システムから下流に位置する複数の地下主貯蔵タンクを含むオフサイト(off-site)圧縮空気貯蔵タンク・システムとの側面概略図を提示する図である。
図8】追加の地下主貯蔵タンクを通したオフサイト・システム容量の拡大の可能性を示す、本発明のエネルギー生成器システムに関連付けられたオフサイト圧縮空気貯蔵タンク・システムの側面概略図を提示する図である。
図9】オフサイト圧縮空気貯蔵タンク・システムと、圧縮空気エネルギーを電気エネルギーに変換するための、本発明のエネルギー生成器システムに関連付けられた、エネルギー変換システムとの側面概略図を提示する図である。
図10】動作可能な気流制御弁によって制御されるように複数の空気タービン中に圧縮空気を選択的に供給する動的マニホルド構成をさらに示す、圧縮空気エネルギーを電気エネルギーに変換するための、本発明のエネルギー生成器システムに関連付けされた、オフサイト圧縮空気貯蔵タンク・システム及びエネルギー変換システムの側面概略図を提示する図である。
図11】本発明のエネルギー生成器システムの圧縮空気冷却システムの側面概略図を提示する図である。
図12】安定した空気の流れ状態中の図9の圧縮空気冷却システムの側面概略図を提示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図面の複数の図全体にわたって同様の参照番号は同様の部分を指す。
【0031】
以下の詳細な説明は、本質的に例示的なものにすぎず、説明した実施例、又は説明した実施例の適用及び使用を限定するものではない。本明細書で使用する際、「例示的な(exemplary)」又は「例示的な(illustrative)」という単語は、「例(example、instance、又はillustration)の働きをする」ことを意味する。本明細書で「例示的な(exemplary)」又は「例示的な(illustrative)」として説明されるいかなる実装形態も、必ずしも他の実装形態より好ましい又は有利であると解釈されるとは限らない。以下で説明する実装形態のすべては、当業者が本開示の実施例を作製又は使用することを可能にするために与えられる例示的な実装形態であり、特許請求の範囲によって定義された本開示の範囲を限定するものではない。本明細書での説明の目的で、「上側」、「下側」、「左側」、「後方」、「右側」、「前方」、「垂直」、「水平」という用語、及びそれらの派生語は、図1において配向されているように本発明に関係するものとする。さらに、先行する技術分野、背景、概要又は以下の詳細な説明において提示されたいかなる明示若しくは暗示された理論によっても制限される意図はない。また、添付の図面に示され、以下の仕様において説明される特定のデバイス及びプロセスは、添付の特許請求の範囲に定義される発明的概念の例示的な実施例にすぎないことを理解されたい。したがって、本明細書で開示される実施例に関する特定の寸法及び他の物理的特性は、特許請求の範囲が別段に明記しない限り、限定的であると考えるべきでない。
【0032】
図全体にわたって示されているように、本発明は、風の力を利用し、風の直線的エネルギーを、後で電気を生成する際に使用するための蓄積可能な圧縮空気エネルギーを生成するために使用される機械的に生成される回転エネルギーに変換することが可能である、便利で経済的なエネルギー生成器システムを対象とする。
【0033】
最初に図1を参照すると、風力空気圧縮システムとして構成された、本発明の例示的な実施例によるエネルギー生成器システム100が示されている。図示のように、エネルギー生成器システム100は、概して、空気圧縮システム110と、空気圧縮システム110に清浄な空気の流れを供給するための空気吸入システム112と、圧縮システム110によって圧縮された空気の蓄積のための圧縮空気蓄積システム114とを含む。圧縮空気蓄積システム114は、圧縮システム110によって与えられた圧縮空気をある時間期間の間蓄積し、蓄積された圧縮空気を、圧縮空気エネルギーが需要に応じて電気に変換され得る場所までの距離にわたって伝達し得る。図示のように、空気吸入ライン116が空気吸入システム112と圧縮システム110との間に延び、圧縮空気流出ライン118が圧縮システム110と圧縮空気蓄積システム114との間に延びる。
【0034】
圧縮システム110は、自然発生的で直線的に移動する風の変動する一時性エネルギー又は力を、圧縮空気の形態で不変形態の蓄積されたエネルギーに変換するために与えられる。空気圧縮システム110は、空気圧縮機120と、空気圧縮機120に移動可能に取り付けられ、空気圧縮機120を駆動するように構成された多翼ファン又はロータ122とを含む。ロータ122は、ロータ122の上を通る風によって回転させられ、風のエネルギーを吸収し、直線的に移動する風に含まれているエネルギーを回転機械エネルギーの形態に変換するように構成される。回転機械エネルギーはドライブ・トレイン124を通してロータ122から空気圧縮機120に伝送される。特に、ロータ122はドライブ・トレイン124のロータ・シャフト126上に取り付けられている。ドライブ・トレイン124は、さらに、ロータ・シャフト126に接続されたギア・アセンブリ128と、ギア・アセンブリ128を空気圧縮機120に接続するドライブ・シャフト130とを含む。ロータ122の回転エネルギーは、ロータ・シャフト126を通り、ギア・アセンブリ128を通り、ドライブ・シャフト130を介して空気圧縮機120上に伝達される。ギア・アセンブリ128は、空気圧縮機120によるより効率的な使用のために、システムの回転毎分すなわち「rpm」のレートを、ロータ122におけるより遅いrpmからドライブ・シャフト130におけるより高いrpmに上げるために与えられる。このようにして、ロータ122に当たり、ロータ122を駆動する風の概して直線的な力は、空気圧縮機120による使用のために圧縮システム110によって機械的回転エネルギーに変換される。
【0035】
いくつかの実施例では、図1に示されているように、空気圧縮機120は、流入空気を圧縮し、圧縮空気を圧縮空気蓄積システム114に伝達することが可能なドリル又はスクリュー型圧縮機を備えることができるとともに、始動トルクが低くて済み、大きい体積の空気を移動させることが可能であるので、システムはより効率的になり、より低い風速で動作することが可能になる。他のより好ましい実施例では、たとえば図2に示されているように、空気圧縮機120は、大きい空気体積及び圧力を供給することが一般に可能なタイプの圧縮機である、遠心空気圧縮機を備えることができる。簡単のために、別段に明記されていない限り、以下で空気圧縮機120に対して行われる参照は、いずれかのタイプの空気圧縮機120(図1のドリル若しくはスクリュー型空気圧縮機、又は図2の遠心空気圧縮機)に、或いは圧縮システム110中に潜在的に含まれ得る代替タイプの空気圧縮機に不明瞭に適用される。さらに、別段に明記されていない限り、図2に対して行われる参照は図1にも適用される。
【0036】
図1及び図2に示されているように、エネルギー生成器システム100の空気吸入システム112は空気吸入ポート132と空気チャンバ134とを含む。空気吸入ポート132は、エネルギー生成器システム110の外側から周囲空気を受け、周囲空気が空気チャンバ134中に入ることを可能にする。マイクロ・フィルタ136が空気チャンバ134中に与えられ、空気吸入ライン116を通して空気圧縮機120に接続される。より詳細には、空気吸入ライン116の第1の端部138は、空気圧縮機120の空気吸入口又は空気入口(air inlet)121aに接続され、空気吸入口又は空気入口121aと流体連通しているが、空気吸入ライン116の第2の端部140は、マイクロ・フィルタ136に接続され、マイクロ・フィルタ136と流体連通している。図2は、概略的に描写されており、空気吸入ライン116の第1の端部138を空気入口121aに接続するラインを省略しているが、そのようなラインは、空気入口121aが概して遠心空気圧縮機120の中心に配置されるので、説明の明快のみのために省略されていることに留意されなければならず、空気吸入ライン116の第1の端部138が空気入口121aに接続され、空気入口121aと流体連通していることが同様に理解されるべきである。
【0037】
引き続き図1及び図2を参照すると、使い捨てであり得るマイクロ・フィルタ136は、周囲空気中に存在し得る汚染物質及び微粒子をフィルタで除去し、空気圧縮機120に清浄な外気の供給源を与えるために与えられる。以下でより詳細に説明するように、周囲空気を空気吸入ポート132からマイクロ・フィルタ136に移動することと、マイクロ・フィルタ136による空気の清浄化とを促進するために、空気循環デバイス142が空気チャンバ134内に与えられ得る。以下でより詳細に説明する空気循環デバイス142はデブリ・リムーバとしても働き得る。
【0038】
圧縮空気蓄積システム114は、後で圧縮空気を電力に変換する際に使用するために圧縮空気を蓄積するために与えられる。好ましい実施例では、圧縮空気蓄積システム114は1つ又は複数の圧縮空気貯蔵タンクを含む。異なる実施例では、1つ又は複数の貯蔵タンクは、ローカルであるか又はエネルギー生成器システム110に隣接するか、2つ又はそれ以上のエネルギー生成器システム110によって共有されるか、リモートであるか又はエネルギー生成器システム110から物理的に離れているか、或いはそれらの組合せであり得る。たとえば、図1及び図2に示されているように、圧縮空気蓄積システム114は、エネルギー生成器システム110内に位置するか又はエネルギー生成器システム110に隣接する1次貯蔵タンク144を含むことができる。
【0039】
圧縮システム112の空気圧縮機120によって圧縮された空気は、圧縮空気流出ライン118を通して圧縮空気蓄積システム114に伝達又は供給される。図1に示された例など、いくつかの実施例では、圧縮空気流出ライン118の第1の端部146が、圧縮システム110の空気圧縮機120の空気出口(air outlet)121bに接続され、空気出口121bと流体連通している。図2に示された例など、他の実施例では、空気圧縮機120の空気出口121bは、代わりに、一連の1つ又は複数の中間冷却器(intercooler)190の空気入口192に接続され、圧縮空気流出ライン118の第1の端部146は、1つ又は複数の中間冷却器190の空気出口194に接続され、空気出口194と流体連通している。両方の例において、圧縮空気流出ライン118の第2の端部148が圧縮空気蓄積システム114に接続され、圧縮空気蓄積システム114と(たとえば、圧縮空気蓄積システム114の1次貯蔵タンク144と)流体連通している。
【0040】
随意に圧縮システム110中に含まれ、空気圧縮機120の下流に与えられ得る、上述の1つ又は複数の中間冷却器190は、空気圧縮機120によって生成された圧縮空気を圧縮空気蓄積システム114に供給する前に、圧縮空気を冷却するように構成される。1つ又は複数の中間冷却器190は、1つ又は複数の冷却剤取入れライン(coolant intake line)196を介して1つ又は複数の中間冷却器190中に供給された冷却剤と熱を交換することによって、空気圧縮機120によって生成された圧縮空気を冷却し得る。暖められた冷却剤は、暖められた冷却剤出口ライン198を介して1つ又は複数の中間冷却器190から抽出され得、暖められた冷却剤によって運ばれた熱は、随意に、工業プロセスなど、他の目的のために使用され得る。1つ又は複数の中間冷却器190は遠心空気圧縮機120と一緒に示されているが、図面に示されたこの特定の組合せは、限定的であるとして理解されるべきでないことに留意されなければならない。たとえば、1つ又は複数の中間冷却器190は代替のタイプの空気圧縮機(たとえば、図1のドリル又はスクリュー型空気圧縮機120)とともに使用され得、別の例では、遠心空気圧縮機120の後に上述の1つ又は複数の中間冷却器190が来ないことがある。
【0041】
次に図3を参照すると、エネルギー生成器システム110は、圧縮システム110と空気吸入システム112とを支持し、格納するためのウィンド・タワー150を含む。ウィンド・タワー150は、エネルギー生成器システム100の出力を最適化するために、典型的には確実に一定な風の流れを受ける場所に配置され、取り付けられ得る。いくつかの実施例では、各々がそれらのそれぞれのウィンド・タワー150をもつ複数の圧縮システム110が一緒に配置され、後で電気に変換するためにかなりの量の清浄で効率的な蓄積されたエネルギーを与えることができるウィンド・パーク(図示せず)を形成し得る。図3に示されているように、開示されたウィンド・タワー150は、細長いタワー・パイロン152と、タワー・パイロン152の最上端156上に取り付けられたヘッド又はハブ154とを含む。タワー・パイロン152は空気吸入システム112を格納する。空気吸入ポート132は、タワー・パイロン152に取り付けられ、タワー・パイロン152を通って延びるが、タワー・パイロン152の内側158(図4)は空気吸入システム112の空気チャンバ134とマイクロ・フィルタ136と空気循環デバイス142とを格納する。空気吸入ポート132は空気チャンバ134と流体連通している。
【0042】
今度は、ウィンド・タワー150のハブ154は、圧縮システム110のロータ122を支持し、空気圧縮機120と、ドライブ・トレイン124と、(適用可能な場合)圧縮システム110の1つ又は複数の中間冷却器190とを格納する。パイロン152は、ハブ154、したがってロータ122を持続的な風の経路中に配置するのに十分な高さがある。いくつかの実施例では、ハブ154は、ロータ122が、あらゆる方向から吹き寄せる自然発生する風を利用するために最も好適に配置又は配向され得るように、垂直回転軸の周りなど、タワー・パイロン152の最上端156上に回転可能に取り付けられ得る。
【0043】
図4に最も良く示されているように、空気循環デバイス142は、空気吸入ポート132とマイクロ・フィルタ136との間の空気チャンバ134の内側160内に配置される。空気循環デバイス142は、中央ハブ166上に取り付けられた複数の静的ファン・ブレード164を囲むハウジング162を含む。空気チャンバ134の内側160内の空気循環デバイス142の位置は、空気チャンバ134を下側チャンバ・セクション168と上側チャンバ・セクション170とにそれぞれ分離する。今度は、同図に示されているように、マイクロ・フィルタ136は、以下で説明する目的のために、空間137がそれによってマイクロ・フィルタ136と内側側壁135との間に形成されるように内側160に面する空気チャンバ134の内側側壁135から実質的に離間して、空気チャンバ134の内側160の(半径方向)中央エリア中に配置される。
【0044】
図5を参照すると、空気吸入ポート132は、下側チャンバ・セクション168中に入り、空気循環デバイス142を通る周囲空気400の流れを可能にする。空気圧縮機120は、マイクロ・フィルタ136を通して空気チャンバ134の上側チャンバ・セクション170から空気を引き出す。空気循環デバイス142は、空気が静的ブレード164(図4)を通って移動することができ、静的ブレード164の角度により、方向を変え、空気チャンバ134中でスピンすることを開始させられ、それによって渦を形成するとともに、最初に周囲空気400を清浄化するために、遠心力がデブリをパイロン152に向かって外側に移動させることができるように設計される。空気循環デバイス142はまた、空気を空気チャンバ134の下側チャンバ・セクション168から上側チャンバ170セクションに上方にスムーズに移動させる。特に、周囲空気400は矢印「A」の方向において空気吸入ポート132中に引き込まれ、そこで周囲空気400は空気チャンバ134の下側チャンバ・セクション168に入る。周囲空気400は、次いで、空気循環デバイス142を通って矢印「B」の方向において上方に流れ、空気チャンバ134の上側チャンバ・セクション170中に流れ込む。空気循環デバイス142は、周囲空気400をマイクロ・フィルタ136のほうに導く渦中で矢印「C」の方向において周囲空気400に渦巻を起こさせ得る。周囲空気400は、次いで、空気吸入ライン116を通って空気圧縮機120中に入るために、矢印「D」の方向においてマイクロ・フィルタ136中に引き込まれる。周囲空気400は空気チャンバ134を通って移動させられる際に、周囲空気400が空気圧縮機120に入る前に周囲空気400が冷却されることに留意されたい。このことは、空気圧縮機120にわずかに高い密度の周囲空気400を与え、空気圧縮を促進する。
【0045】
次に図6を参照して、風500の比較的直線的な流れのエネルギーを利用し、風500の力を回転機械エネルギーに変換し、その回転機械エネルギーを使用して、蓄積し、後で電気を生成する際に使用するために周囲空気400を圧縮して圧縮空気410にする際におけるエネルギー生成器システム100の動作について、以下に説明する。最初に、ウィンド・タワー150のハブ154は、風500からのできるだけ多くのエネルギーを利用するために、ロータ122が風500の中に直接対向しているように配向される。風500は、ロータ122が風500によって回転軸123の周りを回転させられるように、ロータ122の上を吹くか、又は流れる。ロータ122の回転の速度は、低速で移動する風500から最大量の回転力を獲得するために、又はロータ・シャフト126の過剰回転、したがって空気圧縮機120への損傷を防ぐために高速の風500の中のロータ122の回転の速度を低減するために、ロータ122の角度又はピッチを調整することによって制御され得る。
【0046】
ロータ122が風500によって回転させられる際に、ロータ122は、ギア・アセンブリ128を通してロータ・シャフト126、したがってドライブ・シャフト130を回転させる。このようにして、風500の直線的な動力は回転機械エネルギーに変換される。この回転機械エネルギーは、空気圧縮機120を動作させるためにドライブ・シャフト130によって空気圧縮機120に伝達される。空気圧縮機120が、図1及び図2、又は本発明の別の実施例では他の図に関して説明した空気圧縮機120のうちのいずれか1つを含み得ることを示すために、空気圧縮機120はボックスとして概略的に示されていることに留意しなければならない。
【0047】
空気圧縮機120が動作すると、空気圧縮機120は、空気吸入ポート132を通して周囲空気400をウィンド・タワー150中に引き込むための吸引力(suction)を生成する。具体的には、上記のように、周囲空気400は、空気吸入ポート132を通して空気チャンバ134の下側チャンバ・セクション168中に引き込まれ、空気循環デバイス142を通って上方に流れ、空気チャンバ134の上側チャンバ・セクション170に入る。これまで説明したように、空気循環デバイス142は、下側チャンバ・セクション168からの周囲空気400にスピンすることを開始させ、上側チャンバ・セクション170中に供給される渦を形成させるとともに、空気がスピンすることによって生成される遠心力がデブリをチャンバの内側側壁135に向けて半径方向外側に射出又は投射するので、側方空間137中よりも、マイクロ・フィルタ136が位置する中間部(すなわち、上側チャンバ・セクション170の半径方向中央エリア)中のほうが、空気がより清浄になる。より清浄な周囲空気400は、次いでマイクロ・フィルタ136中に引き込まれ、そこで周囲空気400は、空気圧縮機120に入る前にさらに清浄化される。清浄化された周囲空気400は、マイクロ・フィルタ136から空気吸入ライン116を通って空気圧縮機120に入る。空気循環デバイス142によって引き起こされたスピンも、効率をより良くするために空気を冷却することができる。
【0048】
周囲空気400が、空気吸入ライン116を通って空気圧縮機120に入ると、周囲空気400は、空気圧縮機120によって圧縮されて圧縮空気410の供給源になる。空気圧縮機120の動作は、今圧縮された空気410を、1つ又は複数の中間冷却器190(適用可能な場合)を通って、圧縮空気流出ライン118を通って、圧縮空気蓄積システム114の1次貯蔵タンク144中に押し下げる。本明細書に示されている圧縮空気蓄積システム114の1次貯蔵タンク144は、ウィンド・タワー150のすぐ内側にか、それに隣接してか、又はそれの極めて近くに配置されることに留意されたい。圧縮空気410は、以下で説明するように、すぐに又は後日、電気を生成する発電機を動作させるために使用され得る。
【0049】
引き続き図6を参照すると、上記のように、ウィンド・タワー150を含む複数のエネルギー生成器システム100が、ウィンド・エネルギー・パーク(図示せず)を作るために単一の一般的な場所又はサイトにおいて与えられ得る。単一のサイトに複数のエネルギー生成器システム100がある場合、これらのエネルギー生成器システム100によって生成されたすべての圧縮空気410は、たとえば、限定はしないが、単一の又は主ウィンド・パーク貯蔵タンク180中に蓄積され得る。複数のパーク内移送ライン(in-park transfer line)182がエネルギー生成器システム100の個々の主貯蔵タンク144と主ウィンド・パーク貯蔵タンク180との間に与えられ得る。
【0050】
次に図7及び図8を参照すると、本発明によれば、電気を生成するために外気400を圧縮することによって得られた圧縮空気410、したがってそれの中に含まれているエネルギーは、それが電気需要により実際に必要とされるまで蓄積され得る。さらに、圧縮空気410の一定の圧力を維持することによって、それの中に含まれているエネルギーは、1つ又は複数の必要ポイントまで長距離にわたって輸送されることが可能である。たとえば、主ウィンド・パーク貯蔵タンク180中に含まれている圧縮空気410は、1つ又は複数の移送ライン202を通してオフサイト貯蔵タンク200まで一定の圧力で長距離にわたって移送され得る。移送ライン202は、たとえば、限定はしないが、圧縮空気テフロン(登録商標)・パイプから形成され得る。図8に最も良く示されているように、本開示によるオフサイト貯蔵の容量は、利用可能なオフサイト貯蔵タンク200の数のみによって限定され、したがって、蓄積されるエネルギー容量を増加させるために、同じ又は異なる場所における、他のオフサイト貯蔵タンク200aの追加によって容易に拡大可能である。
【0051】
風500の動力及びエネルギーを捕捉し、そのエネルギーを1つ又は複数のオンサイト1次貯蔵タンク又は主ウィンド・パーク貯蔵タンク中に圧縮空気400として蓄積し、及び/又はその圧縮空気を1つ又は複数のオフサイト貯蔵タンク200に移送するための、エネルギー生成器システム100の準備及び運転は、風500の動力を電気エネルギーに変換する際の第1のステージを構成する。
【0052】
図9を参照すると、風500及び特に圧縮空気410の動力を電気に変換する第2のステージが開示されている。この第2のステージにおいて、電気を生成するために発電機300を動作させるために、圧縮空気410内に含まれているエネルギーが変換されて回転機械エネルギーに戻される。ここで、オフサイト貯蔵タンク200内に含まれている圧縮空気410は、移送ライン202によって、圧縮空気エネルギーを機械回転力に変換する1つ又は複数の空気タービン又は気流生成器310に運搬される。具体的には、圧縮空気410が気流生成器310中に解放されると、圧縮空気410は、膨張し、気流生成器310内のファン312を回転させる。ファン312が回転させられると、それらが今度は、ファン312に接続された発電機シャフト314を回転させる。発電機シャフト314は、今度は、電気を生成するために発電機300を動作させる。このように、発電機300及び気流生成器310は、圧縮空気410中の蓄積されたエネルギーを変換して回転機械エネルギーに戻すための変換システム320を形成する。発電機シャフト314によって搬送される回転機械エネルギーは発電機300に伝達され、発電機300は、次いで顧客又は大衆による使用のために電気を生成する。
【0053】
このようにして、エネルギー生成器システム100は、風500内に含まれているエネルギーを(圧縮空気410を生成するために前記エネルギーを使用することによって)捕捉し、エネルギー(圧縮空気410)を距離又は需要に応じて後で使用するために蓄積し、その蓄積されたエネルギーを必要に応じて公衆による使用のために電気エネルギーに変換する。
【0054】
本開示のエネルギー生成器システム100は、需要に応じて異なる規模の発電所を作るために、異なる規模に容易に有利にスケーリングされ得る。たとえば、これまで説明したように、可変数個の圧縮システム110及び関連するウィンド・タワー150、及び/又は圧縮空気貯蔵タンクが、エネルギー生成器システム100をスケーリングするために含まれ得る。さらに、図10に示されているように、気流生成器310の数は、異なる大きさの電力を生成するために変動させられ、さらに、あらゆる規模のシステムに対してフレキシブルであるエネルギー生成器システム100を得ることに寄与し得る。エネルギー生成器システム100は、各気流生成器310への圧縮空気410の流れを制御するように構成された動作可能な弁330をさらに含み得る。弁330は、システム中に備えられたセンサーから受信したデータに応答可能なように1つ又は複数の電子プロセッサによって制御され、空気圧と、空気体積と、圧縮空気410に関連する他の変数とを測定するように構成され得る。これは、エネルギー生成器システム100によって与えられるべき電気エネルギーの需要に対応するために、複数の気流生成器310を重ねることを可能にする。気流が、気流生成器310を動作させるには十分でなくなると、弁410は、圧力及び体積が回復されるまで各気流生成器310を遮断し、それによりエネルギー生成器システム100をできる限り効率的に保ち得る。したがって、空気タービン又は気流生成器310の数は、所望の電力出力、利用可能な圧縮空気(圧縮空気圧)などに応じて動的に調整可能である。
【0055】
次に図11及び図12を参照すると、開示されたエネルギー生成器システム100の効率を高めるために、1次貯蔵タンク144、主ウィンド・パーク貯蔵タンク180及び/又はオフサイト貯蔵タンク200とともに使用するための冷却システム210が設けられている。説明の目的で、冷却システム210について、オフサイト貯蔵タンク200に関して説明する。冷却システム210は、概して、貯蔵タンク200内に配置された可撓性の膨張式ブラダー212と、貯蔵タンク200内でブラダー212の外側に取外し可能に配置された冷却剤214とを含む。移送ライン202は、貯蔵タンク200の内側に格納されたブラダー212と流体連通している。冷却剤214を貯蔵タンク200に供給するために冷却剤タンク216が設けられ、冷却剤214が圧縮空気410から熱を吸収する際に冷却剤214から余分な熱を取り去るために熱交換器218が設けられる。冷却剤タンク216は、タンク・ライン220を通して熱交換器218と流体連通している。たとえば、図示のように、タンク・ライン220は、冷却剤タンク216の底部と貯蔵タンク200の底部との間の流体連通を行い得る。冷却剤タンク216は、貯蔵タンク200を冷却剤214で、随意にその全体において(すなわち随意に貯蔵タンク200の最上部204まで)充填することに資する重力及び流体圧力を増強するために、概して貯蔵タンク200よりも高く配置され得る。今度は、熱交換器218は、ブラダー・ライン(bladder line)222を通してブラダー212と流体連通している。ブラダー212は、圧縮空気410がない場合、ブラダー212の形状を維持し、完全な圧潰(collapse)を防ぐことを支援するための、1つ又は複数の内部又は外部ブラダー支持体224を含み得る。
【0056】
使用の際、最初に、ブラダー212は概して収縮又は圧潰しており、冷却剤212の大部分は貯蔵タンク200内に保持されている。加圧された圧縮空気410が移送ライン202を通ってブラダー212の内側226に入ると、圧縮空気410は、ブラダー212を拡大し、囲んでいる冷却剤214によってより低い温度に冷却されて、冷却圧縮空気410aを形成する。ブラダー212が拡大すると、それは、冷却剤214を貯蔵タンク200からブラダー・ライン222を通して熱交換器218中に押し出し、そこで冷却剤214によって吸収された熱が冷却剤タンク216からのより低温の冷却剤214によって取り去られる。拡大されたブラダー212によって加えられた圧力は、随意に、冷却剤214を押し上げ、冷却剤タンク216中に押し込むことができる。冷却システム210は重力送り式(gravity fed)であり、冷却剤タンク216は、貯蔵タンク200よりも高い高さに配置されているので、冷却剤214は、貯蔵タンク200内のブラダー212への圧力を常に維持している。
【0057】
理想気体則(ideal gas law)はPV=nRTであることを規定し、ここで、Pは容器内の気体圧力であり、Vは容器内の気体の体積であり、Tは容器内の気体の温度である。残りのファクタ「n」及び「R」は定数であり、ここで、nは気体中のモル数であり、Rは気体定数である。したがって、貯蔵タンク200に流れ込む圧縮空気410の圧力、並びに貯蔵タンク200、特にブラダー214の外に流れ出る冷却された圧縮空気410aの圧力は、冷却剤214への露出によって圧縮空気410の温度を下げることによって一定に保たれるので、冷却された圧縮空気410aの体積が減少する、すなわちより高い密度になり、したがって、圧縮空気410が周囲温度のままであった場合よりも多い冷却された圧縮空気410aが貯蔵タンク200の所与の固定の体積内に含まれることが可能になる。本明細書で開示する冷却システム210は、したがって、所与の貯蔵タンクの内側に蓄積された圧縮空気を冷却し、それによって前記所与の貯蔵タンク内に蓄積され得る圧縮空気の質量を高めることによって、エネルギー生成器システム100の効率を高める。
【0058】
冷却システム210についての上記説明は貯蔵タンク200に関して行ったが、同じ冷却システムは、限定はしないが、これまで説明した1次貯蔵タンク144及び/又は主ウィンド・パーク貯蔵タンク180など、エネルギー生成器システム100中に備えられる任意の圧縮空気タンク中に組み込まれ得る。実際に、上記で説明したように、冷却システム210をエネルギー生成器システム100に関連するすべての貯蔵タンク中に組み込むことは、空気がシステムの第1及び第2のステージを通過する際にシステムの効率を大幅に高める。
【0059】
ブラダー212の可撓性は、さらに、急激な風力変化又はシステム中の急激な空気体積変化から発生する異常圧力を均等化するか又は安定させることを可能にする。ブラダー212の可撓性は、(それの機械限界までの)圧力差を取り、圧力を正常化する。重力によって送られる冷却剤214の重さはブラダー212を常に圧潰状態に保つので、冷却剤214の重さとブラダー212中の空気圧との間の力が最良の成果のために「戦う」ことができる。
【0060】
最後に、今冷却された圧縮空気410aは、流出移送ライン(outflow transfer line)228を通過して、気流生成器310(図9又は図10)を含む第2のステージに、又はさらなる蓄積若しくは追加の冷却のための追加の貯蔵タンクに移ることができる。
【0061】
したがって、このようにして、冷却システム210を組み込んだエネルギー生成器システム100は、風エネルギーを捕捉し、後で電気を生成する際に使用するために圧縮空気の形態で蓄積する新規で効率的な手段を与える。
【0062】
本発明の説明した好ましい実施例に対して多くの詳細な改変、変形、及び変更が行われ得るので、上記の説明における及び添付の図面に示されたすべての事柄は、限定的な意味ではなく例示的なものと解釈されることが意図される。さらに、実施例中に提示された特徴のいずれも、別段に明記されていない限り、他の実施例のいずれかに一体化され得ることを理解されたい。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲及びそれらの法的均等物によって決定されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12