(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-09
(45)【発行日】2024-04-17
(54)【発明の名称】新規リン前駆体でリン化インジウムナノ結晶を製造する方法、及びその製造されたリン化インジウムナノ結晶
(51)【国際特許分類】
C01B 25/08 20060101AFI20240410BHJP
C09K 11/08 20060101ALI20240410BHJP
C09K 11/56 20060101ALI20240410BHJP
C09K 11/70 20060101ALI20240410BHJP
C09K 11/88 20060101ALI20240410BHJP
【FI】
C01B25/08 A
C09K11/08 A ZNM
C09K11/08 G
C09K11/56
C09K11/70
C09K11/88
(21)【出願番号】P 2021561728
(86)(22)【出願日】2020-04-17
(86)【国際出願番号】 CN2020085274
(87)【国際公開番号】W WO2020211834
(87)【国際公開日】2020-10-22
【審査請求日】2021-11-04
(31)【優先権主張番号】201910388638.X
(32)【優先日】2019-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910311285.3
(32)【優先日】2019-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910574541.8
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910574567.2
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521452670
【氏名又は名称】蘇州星爍納米科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】SUZHOU XINGSHUO NANOTECH CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】NW06-403,Nanopolis Suzhou,99 Jinji Lake Avenue,Suzhou Industrial Park,Suzhou,Jiangsu 215123(CN)
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】王 允軍
(72)【発明者】
【氏名】単 玉亮
【審査官】宮脇 直也
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-544805(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108239535(CN,A)
【文献】特開2010-138367(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106701076(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0048259(US,A1)
【文献】Renguo Xie, et al.,Journal of the American Chemical Society,2007年,Vol.129,PP.15432-15433
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 25/08
C09K 11/00 - 11/89
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
In、P及び金属元素Mを含むナノ結晶コアのナノ結晶であり、MはNa、Li、K、またはZn元素の少なくとも1種であり、前記ナノ結晶コアにシェル層が被覆されており、蛍光発光ピークのピーク値が521~531nmであり、蛍光発光ピークの半値幅が36~40nmであり、蛍光量子収率が61~75%である、ことを特徴とするリン化インジウムナノ結晶。
【請求項2】
インジウム前駆体及び任意選択的な亜鉛前駆体を含む第1の溶液系、及びM-(O-C≡P)
nをリン前駆体として含む第2の溶液系を取得するステップであって、MはNa、Li、K、ZnまたはGa元素の少なくとも1種であり、nは、M元素の原子価価数であるステップS1と、
前記第1の溶液系と前記第2の溶液系とを所定温度で混合して反応し、近赤外光リン化インジウムナノ結晶を得るステップS2と、を含み、
前記第1の溶液系は、前記インジウム前駆体と、任意選択的な前記亜鉛前駆体と、前記インジウム前駆体を分散させた第1の有機溶剤と、を含み、前記第2の溶液系は、前記リン前駆体と、前記リン前駆体を分散させた第2の有機溶剤と、を含み、前記第1の有機溶剤と前記第2の有機溶剤とは、同じではなく、前記第2の有機溶剤の沸点が前記所定温度未満である、ことを特徴とする近赤外光リン化インジウムナノ結晶の合成方法。
【請求項3】
前記第2の有機溶剤の沸点は、前記所定温度より少なくとも30℃低い、ことを特徴とする請求項
2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記合成方法は、S2の反応系にナノ結晶のシェルの合成に必要なプリカーサー物質を加え、前記近赤外光リン化インジウムナノ結晶の表面にシェルを形成することで、前記近赤外光リン化インジウムナノ結晶の蛍光発光ピークのピーク値を700~900nmにするステップS3をさらに含む、ことを特徴とする請求項
3に記載の製造方法。
【請求項5】
前記所定温度の範囲は180~320℃である、ことを特徴とする請求項
2に記載の製造方法。
【請求項6】
前記第2の有機溶剤の沸点は、150℃以下である、ことを特徴とする請求項
5に記載の製造方法。
【請求項7】
前記第2の有機溶剤の沸点は、60~150℃である、ことを特徴とする請求項
5に記載の製造方法。
【請求項8】
前記第2の有機溶剤は、ベンゼン、トルエン、シクロヘキサン、ノルマルヘキサン、ノルマルヘプタン、ノルマルオクタン、テトラヒドロフラン、クロロホルムのうちの少なくとも1種を含む、ことを特徴とする請求項
5に記載の製造方法。
【請求項9】
前記インジウム前駆体は、ハロゲン化インジウムである、ことを特徴とする請求項
2に記載の製造方法。
【請求項10】
前記第1の有機溶剤は、炭素原子数が≧6の飽和又は不飽和アミン、又は、カルボン酸のうちの少なくとも1種である、ことを特徴とする請求項
2に記載の製造方法。
【請求項11】
前記第1の溶液系は、前記亜鉛前駆体をさらに含む、ことを特徴とする請求項
10に記載の製造方法。
【請求項12】
前記ナノ結晶のシェルは、ZnS、ZnSe、ZnSeSのうちの少なくとも1種を含む、ことを特徴とする請求項
4に記載の製造方法。
【請求項13】
発光ピークのピーク値が700~900nmであり、In、P及び金属元素Mで構成される合金コアを有し、MはNa、Li、K、またはZn元素の少なくとも1種であり、前記合金コアの外に、Zn元素と、S元素及びSe元素のうちの少なくとも1種とを含むシェル層が被覆されている、ことを特徴とする近赤外光リン化インジウムナノ結晶。
【請求項14】
インジウム前駆体と、リン前駆体M-(O-C≡P)
nと有機溶剤とを混合し、第1の温度で反応し、リン化インジウムナノ結晶コア溶液を得るステップであって、MはNa、Li、K、ZnまたはGa元素の少なくとも1種であり、nは、M元素の原子価価数であるステップS1と、
前記リン化インジウムナノ結晶コア溶液を10min内に第2の温度に迅速に昇温するステップS2と、
S2の反応系にナノ結晶のシェルの合成に必要なプリカーサー物質を加え、蛍光発光ピークのピーク値が580~670nmの赤光リン化インジウムナノ結晶を得るステップS3と、を含む、ことを特徴とする赤光リン化インジウムナノ結晶の製造方法。
【請求項15】
前記第1の温度の範囲は、110~160℃である、ことを特徴とする請求項
14に記載の製造方法。
【請求項16】
前記第2の温度の範囲は、280~340℃である、ことを特徴とする請求項
15に記載の製造方法。
【請求項17】
ステップS2では、前記リン化インジウムナノ結晶コア溶液を10min内に第2の温度に迅速に昇温し、少なくとも10min維持する、ことを特徴とする請求項
14に記載の製造方法。
【請求項18】
前記有機溶剤は、炭素原子数が≧6の飽和又は不飽和アミン、又は、カルボン酸から選択される少なくとも1種である、ことを特徴とする請求項
14に記載の製造方法。
【請求項19】
前記リン化インジウムナノ結晶コア溶液は、任意選択的に、第1の亜鉛前駆体を含み、前記第1の亜鉛前駆体は、ハロゲン化亜鉛から選択される、ことを特徴とする請求項
14に記載の製造方法。
【請求項20】
前記ナノ結晶のシェルは、ZnS、ZnSe、ZnSeSのうちの少なくとも1種を含む、ことを特徴とする請求項
14に記載の製造方法。
【請求項21】
蛍光発光ピークのピーク値が580~670nmであり、蛍光発光ピークの半値幅が≦50nmで、蛍光量子収率が>80%であり、コアシェル構造であり、コアは、In、P及び金属元素Mで構成されるリン化インジウムナノ結晶コアであり、MはNa、Li、K、またはZn元素の少なくとも1種であり、シェルは、ZnS、ZnSe、ZnSeSのうちの少なくとも1種を含むことを特徴とする赤光リン化インジウムナノ結晶。
【請求項22】
インジウム前駆体と、リン前駆体M-(O-C≡P)
nと有機溶剤とを混合し、第1の温度で反応し、リン化インジウムナノ結晶コア溶液を得るステップS1であって、MはNa、Li、K、ZnまたはGa元素の少なくとも1種であり、nは、M元素の原子価価数であるステップS1と、
前記第1の温度で、前記リン化インジウムナノ結晶コア溶液にカチオンプリカーサーを加え、第1の混合液を形成するステップS2と、
前記第1の温度より高い第2の温度で、前記第1の混合液にアニオンプリカーサーを加え、前記カチオンプリカーサーと前記アニオンプリカーサーとを反応して、リン化インジウムナノ結晶コアにシェル層を被覆することで、蛍光発光ピークのピーク値が460~500nmの青緑光リン化インジウムナノ結晶を得るステップS3と、を含む、ことを特徴とする青緑光リン化インジウムナノ結晶の製造方法。
【請求項23】
前記第1の温度の範囲は、110~160℃であり、前記第2の温度の範囲は、160~240℃である、ことを特徴とする請求項
22に記載の製造方法。
【請求項24】
前記第2の温度の範囲は、160~200℃である、ことを特徴とする請求項
22に記載の製造方法。
【請求項25】
前記有機溶剤は、炭素原子数が≧6の飽和又は不飽和アミン、又は、カルボン酸から選択される少なくとも1種である、ことを特徴とする請求項
22に記載の製造方法。
【請求項26】
前記リン化インジウムナノ結晶コア溶液は、任意選択的に、第1の亜鉛前駆体を含み、前記第1の亜鉛前駆体は、ハロゲン化亜鉛から選択される、ことを特徴とする請求項
25に記載の製造方法。
【請求項27】
ステップS2での前記カチオンプリカーサーと、ステップS1でのインジウム前駆体との比は、物質量で、(8~40):1である、ことを特徴とする請求項
22に記載の製造方法。
【請求項28】
前記カチオンプリカーサーは、第2の亜鉛前駆体で、前記第2の亜鉛前駆体は、カルボン酸亜鉛、又は、有機亜鉛試薬から選択される、ことを特徴とする請求項
27に記載の製造方法。
【請求項29】
前記アニオンプリカーサーは、硫黄前駆体、セレン前駆体のうちの少なくとも1種である、ことを特徴とする請求項
22に記載の製造方法。
【請求項30】
蛍光発光ピークのピーク値が460~500nmであり、蛍光量子収率が>50%であり、In、P及び金属元素Mで構成される合金コアを有し、MはNa、Li、K、またはZn元素の少なくとも1種であり、前記合金コアの表面にシェル層が被覆されていることを特徴とする青緑光リン化インジウムナノ結晶。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、ナノ材料分野に属し、特に新規リン前駆体を原料として用いて、リン化インジウムナノ結晶を製造する方法、及びこの方法で製造される異なる波長のリン化インジウムナノ結晶に関する。
【背景技術】
【0002】
有機蛍光染料に比べて、ナノ結晶は、耐光退色性、高い量子収率、狭いピークの半値幅などの利点を有し、表示、照明及び生物結像の分野において、よい応用の見通しがある。しかし、従来技術で最も研究され応用されているII-VI族元素の量子ドット(セレン化カドミウム、テルル化カドミウムなど)は、カドミウムなどの高毒性元素を含み、明らかな神経毒性を有し、この量子ドットの適用を限定している。
【0003】
リン化インジウム量子ドットに代表されるIII-V族元素量子ドットは、II-VI族元素量子ドットに比べて、固有の毒性を有さず、適用範囲がより広く、科学研究業界及び産業界から徐々に注目されている。しかし、従来技術で合成されたリン化インジウム量子ドットの発光波長が一般的に500~700nmであり、700nm以上及び500nm以下の波長範囲での適用を限定している。従来技術で合成されたリン化インジウムナノ結晶の光学性能、例えば、発光効率、蛍光発光ピークの半値幅などは、II-VI族元素ナノ結晶と比較して、依然として非常に著しい差を持っている。
【0004】
リン化インジウムナノ結晶の製造方法を最適化し、波長範囲を拡げ、量子収率を向上し、ピークの半値幅を減少することは、非常に重要な意味を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記技術課題に対して、本願は、リン化インジウムナノ結晶の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の1つの態様によれば、リン化インジウムナノ結晶の製造方法が提供され、この製造方法は、M-(O-C≡P)nを反応前駆体の1つとして用いるステップであって、Mは金属元素であり、nは、M元素の原子価価数であり、例えば、nは1、2、又は、3であるステップを含む。
【0007】
さらに、M-(O-C≡P)nは、Li-O-C≡P、Na-O-C≡P、K-O-C≡P、Zn-(O-C≡P)2、又は、Ga-(O-C≡P)3である。さらに、リン化インジウムナノ結晶は、M、In及びP元素、並びに任意選択的なZn元素を含む。さらに、反応前駆体は、インジウム前駆体をさらに含む。さらに、反応前駆体は、亜鉛前駆体をさらに含む。さらに、インジウム前駆体と、M-(O-C≡P)nと、任意選択的な亜鉛前駆体と、溶剤と、を含む溶液に対して、150℃~340℃で、好ましくは150~300℃での高温処理を行い、リン化インジウムナノ結晶コアを得るステップを含む。さらに、ナノ結晶コアにシェル層を被覆するステップを含む。さらに、溶剤は、配位化合物である。さらに、配位化合物は、アミン、又は、カルボン酸である。
【0008】
本願の別の態様によれば、上記製造方法で製造される、リン化インジウムナノ結晶が提供される。
【0009】
有益な効果は、以下のとおりである。本願は、M-(O-C≡P)nを反応前駆体の1つとして用い、金属元素MとP元素とが同じ反応前駆体から由来するため、In、P及び金属元素Mを含むナノ結晶コアのナノ結晶を製造することができ、製造されるリン化インジウムナノ結晶は、発光波長範囲が広く、発光性能に優れる。
【0010】
本願は、近赤外光リン化インジウムナノ結晶の製造方法をさらに提供する。
【0011】
本願の1つの態様によれば、近赤外光リン化インジウムナノ結晶の製造方法が提供され、この製造方法は、インジウム前駆体を含む第1の溶液系、及びリン前駆体を含む第2の溶液系を取得するステップS1と、インジウム前駆体を含む第1の溶液系と、リン前駆体を含む第2の溶液系とを所定温度で混合して反応し、リン化インジウムナノ結晶を得るステップS2と、を含み、インジウム前駆体を含む第1の溶液系は、インジウム前駆体と、インジウム前駆体を分散させた第1の有機溶剤とを含み、リン前駆体を含む第2の溶液系は、リン前駆体と、リン前駆体を分散させた第2の有機溶剤とを含み、第1の有機溶剤と第2の有機溶剤とは、同じではなく、第2の有機溶剤の沸点が所定温度未満である。
【0012】
さらに、第2の有機溶剤の沸点は、所定温度より少なくとも30℃低く、好ましくは、合成方法は、S2の反応系にナノ結晶のシェルの合成に必要なプリカーサー物質を加え、近赤外光リン化インジウムナノ結晶の表面にシェルを形成することで、近赤外光リン化インジウムナノ結晶の蛍光発光ピークのピーク値を700~900nmにするステップS3をさらに含む。
【0013】
さらに、所定温度の範囲は、180~320℃であり、第2の有機溶剤の沸点は、60~150℃である。さらに、リン前駆体の化学構造式は、M-(O-C≡P)nであり、ただし、Mは金属元素であり、nは1、2、又は、3である。さらに、第2の有機溶剤は、ベンゼン、トルエン、シクロヘキサン、ノルマルヘキサン、ノルマルヘプタン、ノルマルオクタン、テトラヒドロフラン、クロロホルムのうちの少なくとも1種を含む。さらに、インジウム前駆体は、ハロゲン化インジウムである。さらに、第1の有機溶剤は、炭素原子数が≧6の飽和又は不飽和アミンのうちの少なくとも1種である。さらに、インジウム前駆体を含む第1の溶液系は、亜鉛前駆体をさらに含む。さらに、リン化インジウムナノ結晶にシェル層を被覆する。
【0014】
本願の別の態様によれば、上記製造方法で製造される、近赤外光リン化インジウムナノ結晶が提供される。さらに、近赤外光リン化インジウムナノ結晶の発光ピークのピーク値は、700~900nmである。
【0015】
有益な効果は、以下のとおりである。本願の製造方法によって、新規リン前駆体を用い、インジウム前駆体を含む第1の溶液系と、リン前駆体を含む第2の溶液系とを所定温度で混合して反応し、第2の有機溶剤の沸点が所定温度未満であり、それにより、ワンステップだけにより、波長範囲が700~900nmのリン化インジウムナノ結晶を直接取得することができ、リン化インジウムナノ結晶の近赤外波長範囲での適用を実現し、それにより、リン化インジウムナノ結晶の適用範囲を広げる。
【0016】
本願は、光学性能が高い赤色蛍光リン化インジウムナノ結晶の製造方法を提供する。
【0017】
本願の1つの態様によれば、赤色蛍光リン化インジウムナノ結晶の製造方法が提供され、この製造方法は、インジウム前駆体と、リン前駆体と、有機溶剤とを混合し、第1の温度で反応し、しばらく保温し、リン化インジウムナノ結晶コア溶液を得るステップS1と、リン化インジウムナノ結晶コア溶液を第2の温度に迅速に昇温し、しばらく保温するステップS2と、S2の反応系にナノ結晶のシェルの合成に必要なプリカーサー物質を加え、蛍光発光ピークのピーク値が580~670nmの赤色蛍光リン化インジウムナノ結晶を得るステップS3と、を含む。
【0018】
さらに、第1の温度の範囲は、110~160℃である。さらに、第2の温度の範囲は、280~340℃である。さらに、ステップS2では、リン化インジウムナノ結晶コア溶液を第2の温度に迅速に昇温し、少なくとも10min維持する。さらに、有機溶剤は、炭素原子数が≧6の飽和又は不飽和アミンから選択される少なくとも1種である。さらに、リン前駆体の化学構造式は、M-(O-C≡P)nであり、ただし、Mは金属元素であり、nは1、2、又は、3である。さらに、リン化インジウムナノ結晶コア溶液は、第1の亜鉛前駆体を含む。さらに、第1の亜鉛前駆体は、ハロゲン化亜鉛から選択される。さらに、第1の亜鉛前駆体とインジウム前駆体との比は、物質量で、(0.01~10):1である。さらに、ナノ結晶のシェルは、ZnS、ZnSe、ZnSeSのうちの少なくとも1種を含む。
【0019】
本願の別の態様によれば、上記製造方法で製造される、赤色蛍光リン化インジウムナノ結晶が提供される。
【0020】
さらに、赤色蛍光リン化インジウムナノ結晶の蛍光発光ピークのピーク値は、580~670nmである。
【0021】
上記技術案によって、本願の有益な効果は、以下のとおりである。
【0022】
本願は、「低温でコアを生成する-迅速に昇温することでコアの成長を促進する-最後にシェルを被覆する」ような製造方法を用い、蛍光発光ピークのピーク値が580~670nmの赤色蛍光リン化インジウムナノ結晶を獲得し、その蛍光発光ピークの半値幅が狭く(≦50nm)、蛍光量子収率が高く(>80%)、リン化インジウムナノ結晶の適用ニーズを満たす。
【0023】
本願は、蛍光量子収率が高い青緑色(cyan)蛍光リン化インジウムナノ結晶の製造方法を提供する。
【0024】
本願の1つの態様によれば、青緑色蛍光リン化インジウムナノ結晶の製造方法が提供され、この製造方法は、インジウム前駆体と、リン前駆体と、有機溶剤とを混合し、第1の温度で反応し、リン化インジウムナノ結晶コア溶液を得るステップS1と、第1の温度で、リン化インジウムナノ結晶コア溶液にカチオンプリカーサーを加え、第1の混合液を形成するステップS2と、第1の温度より高い第2の温度で、第1の混合液にアニオンプリカーサーを加え、カチオンプリカーサーとアニオンプリカーサーとを反応して、リン化インジウムナノ結晶コアにシェル層を被覆することで、蛍光発光ピークのピーク値が460~500nmの青緑色蛍光リン化インジウムナノ結晶ステップS3と、を含む。
【0025】
さらに、第1の温度の範囲は、110~160℃である。さらに、第2の温度の範囲は、160~240℃であり、好ましくは160~200℃である。さらに、有機溶剤は、炭素原子数が≧6の飽和又は不飽和アミンから選択される少なくとも1種である。さらに、リン前駆体の化学構造式は、M-(O-C≡P)nであり、ただし、Mは金属元素であり、nは1、2、又は、3である。さらに、リン化インジウムナノ結晶コア溶液は、第1の亜鉛前駆体を含む。さらに、第1の亜鉛前駆体は、ハロゲン化亜鉛から選択される。さらに、ステップS2でのカチオンプリカーサーとステップS1でのインジウム前駆体との比は、物質量で、(8~40):1である。さらに、カチオンプリカーサーは、第2の亜鉛前駆体であり、第2の亜鉛前駆体は、カルボン酸亜鉛、又は、有機亜鉛から選択される。さらに、アニオンプリカーサーは、硫黄プリカーサー、セレンプリカーサーのうちの少なくとも1種である。
【0026】
本願の別の態様によれば、上記製造方法で製造される、青緑色蛍光リン化インジウムナノ結晶が提供される。
【0027】
さらに、青緑色蛍光リン化インジウムナノ結晶の蛍光発光ピークのピーク値は、460~500nmである。
【0028】
上記技術案によって、本願の有益な効果は、以下のとおりである。
【0029】
本願の製造方法によって、波長範囲が460~500nmの青緑色蛍光リン化インジウムナノ結晶を取得することができる。該リン化インジウムナノ結晶の蛍光量子収率が高く(>50%)、それにより、リン化インジウムナノ結晶の適用範囲を広げる。
【0030】
本願の製造方法は、操作しやすく、効率が高く、大規模生産の必要を満たし、次の世代の表示での高品質のリン化インジウムナノ結晶材料の実際適用を実現することに対して、高い価値を有する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本願の一部を構成する明細書図面は、本発明に対するさらなる理解を提供するためのものであり、本発明の例示的な実施例及びその説明は、本発明を解釈するためのものであり、本発明に対する不適切な限定を構成しない。図面は下記の通りである。
【
図1】
図1は、本願の1つの例示的な実施例におけるナノ結晶の構造模式図である。
【
図2】
図2は、実施例15におけるナノ結晶の透過電子顕微鏡図である。
【
図3】
図3は、実施例15におけるナノ結晶の蛍光発光スペクトル図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本願の実施の形態を参照しながら、本願の実施例の技術案について詳細に説明する。なお、説明された実施の形態は、本願の一部の実施の形態に過ぎず、全ての実施の形態ではない。
【0033】
なお、以下のインジウム源、インジウムプリカーサー、インジウム前駆体は、いずれも共通概念であり、リン源、リンプリカーサー、リン前駆体は、いずれも共通概念であり、亜鉛源、亜鉛プリカーサー、亜鉛前駆体は、いずれも共通概念であり、硫黄源、硫黄プリカーサー、硫黄前駆体は、いずれも共通概念である。
【0034】
図1は、本願の1つの例示的な実施例で製造されるリン化インジウムナノ結晶の構造模式図であり、ナノ結晶100は、In、P、金属元素M及び任意選択的なZnを含むナノ結晶コア101と、ナノ結晶コア101に設けられたシェル102と、を含む。
【0035】
本願の例示的な実施形態では、リン化インジウムナノ結晶の製造方法は、M-(O-C≡P)nを反応前駆体の1つとして用いるステップであって、Mは金属元素であり、nはMの原子価価数であり、例えば、nは1、2、又は、3であるステップを含む。
【0036】
M元素がLi、Na、K、Rb、Csなどの1価の金属元素である場合に、nは1である。M元素がZn、Ca、Mn、Srなどの二価の金属元素である場合に、nは2である。M元素がAl、Ga、Tlの3価の金属元素である場合に、nは3である。好ましくは、M-(O-C≡P)nは、Li-O-C≡P、Na-O-C≡P、K-O-C≡P、Zn-(O-C≡P)2、又は、Ga-(O-C≡P)3である。
【0037】
M-(O-C≡P)nを反応前駆体として用いる場合に、P元素及びM元素を含む合金リン化インジウムナノコアを得ることができ、それにより、リン化インジウムナノ結晶の発光性能を改善する。M元素とP元素とが同じ反応前駆体から由来するため、M元素とP元素とが異なる前駆体から由来する場合に、配合比率を制御しにくいという従来技術の問題を回避することができる。
【0038】
M-(O-C≡P)nは、従来技術の方法によって合成されてもよい。
【0039】
上記反応前駆体は、インジウム前駆体をさらに含み、インジウム前駆体は、塩化インジウム、臭化インジウム、ヨウ化インジウムなどのインジウムのハロゲン化物であることが好ましい。反応前駆体は、亜鉛前駆体をさらに含んでもよく、亜鉛前駆体は、カルボン酸亜鉛を含むことが好ましい。リン化インジウムナノ結晶の製造は、まず、リン化インジウムナノ結晶コアを製造し、次に、リン化インジウムナノ結晶コアの表面にシェル層を被覆するステップを含む。リン化インジウムナノ結晶コアの製造は、インジウム前駆体と、M-(O-C≡P)nと、溶剤とを含む溶液に対して、好ましくは150℃~300℃で、より好ましく180℃~240℃での高温処理を行うステップを含む。溶剤は、配位化合物であることが好ましく、配位化合物は、オレイン酸、ミリスチン酸などのカルボン酸を含み、配位化合物は、オレイルアミン、オクタデシルアミン、テトラデシルアミンなどのアミンであってもよい。
【0040】
本発明の製造方法は、特に説明しない限り、従来技術でナノ結晶を製造するときに必要とされる反応環境と同じであることを理解すべきである。反応前、不活性ガス雰囲気、又は、湿気及び酸素ガスが除去された空気雰囲気を使用して、反応容器での湿気及び酸素ガスを除去し、また、実験の各反応過程は不活性ガス雰囲気の保護で行われる。ここで、不活性ガス雰囲気は、窒素ガス、アルゴンガス、又は、希ガスのうちの少なくとも1種を含む。異なる圧力での溶剤の沸点が異なるため、本願では、溶剤の沸点とは、標準大気圧での沸点であることを理解すべきである。
【0041】
本願は、近赤外光リン化インジウムナノ結晶の製造方法を提供し、この製造方法は、インジウム前駆体及び任意選択的な亜鉛前駆体を含む第1の溶液系、M-(O-C≡P)n(Mは金属元素であり、nは1、2、又は、3である)をリン前駆体として含む第2の溶液系を取得するステップS1と、インジウム前駆体を含む第1の溶液系と、リン前駆体を含む第2の溶液系とを所定温度で混合して反応し、リン化インジウムナノ結晶を得るステップS2と、を含み、インジウム前駆体を含む第1の溶液系は、インジウム前駆体、インジウム前駆体を分散させた第1の有機溶剤とを含み、リン前駆体を含む第2の溶液系は、リン前駆体と、リン前駆体を分散させた第2の有機溶剤とを含み、第1の有機溶剤と第2の有機溶剤とは、同じではなく、第2の有機溶剤の沸点が前記所定温度未満である。
【0042】
本願の1つの好適な実施形態では、前記第2の有機溶剤の沸点は、前記所定温度より少なくとも30℃低い。好ましくは、上記合成方法は、S2の反応系にナノ結晶のシェルの合成に必要なプリカーサー物質を加え、前記近赤外光リン化インジウムナノ結晶の表面にシェルを形成することで、前記近赤外光リン化インジウムナノ結晶の蛍光発光ピークのピーク値を700nm~900nmにするステップS3をさらに含む。
【0043】
本発明の1つの好適な実施形態によれば、本願のS2では、インジウム前駆体を含む第1の溶液系と、リン前駆体を含む第2の溶液系とを混合して反応する温度の範囲は180~320℃であり、前記第2の有機溶剤の沸点は、150℃以下であり、60~150℃であることが好ましい。
【0044】
1つの具体的な実施形態では、先ず、インジウム前駆体を含む第1の溶液系の温度を180~280℃に調整し、リン前駆体を含む第2の溶液系を加え、インジウム-リン混合溶液系を獲得し、次に、インジウム-リン混合溶液系を280~320℃まで昇温し、しばらく保温しながら反応させ、リン化インジウムナノ結晶を含む溶液系を得る。
【0045】
さらに、M元素がLi、Na、K、Rb、Csなどの1価の金属元素である場合に、nは1である。M元素がZn、Ca、Mn、Srなどの二価の金属元素である場合に、nは2である。M元素がAl、Ga、Tlの3価の金属元素である場合に、nは3である。一部の具体的な実施形態では、リン前駆体のM-(O-C≡P)nは、Li-O-C≡P、Na-O-C≡P、K-O-C≡P、Zn-(O-C≡P)2、又は、Ga-(O-C≡P)3である。
【0046】
本願では、M-(O-C≡P)nをリン化インジウムナノ結晶を合成する新しいリン前駆体として選択する。インジウム前駆体とM-(O-C≡P)nとを混合し、所定温度で反応し、1回供給することだけで、波長範囲が700~900nmのリン化インジウムナノ結晶を取得することができる。また、本願のリン前駆体のM-(O-C≡P)nは、金属元素Mをさらに提供し、それにより、In、P及び金属元素Mで構成される合金コアを有するナノ結晶を製造し、リン化インジウムナノ結晶の光学性能をさらに最適化する。
【0047】
本発明の1つの好適な実施形態によれば、第2の有機溶剤は、ベンゼン、トルエン、シクロヘキサン、ノルマルヘキサン、ノルマルヘプタン、ノルマルオクタン、テトラヒドロフラン、クロロホルムのうちの少なくとも1種を含む。
【0048】
本発明の1つの好適な実施形態によれば、インジウム前駆体は、ハロゲン化インジウムである。一部の具体的な実施形態では、インジウム前駆体は、塩化インジウム、臭化インジウム、ヨウ化インジウムのうちの少なくとも1種を含む。
【0049】
本発明の1つの好適な実施形態によれば、第1の有機溶剤は、炭素原子数が≧6の飽和又は不飽和アミンのうちの少なくとも1種である。1つの具体的な実施形態では、第1の有機溶剤は、ヘキシルアミン、へプチルアミン、オクチルアミン、トリオクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、デセニルアミン、ウンデシルアミン、ウンデセニルアミン、ドデシルアミン、ドデセニルアミン、トリデシルアミン、トリデセニルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ペンタデセニルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘプタデシルアミン、オクタデシルアミン、オクタデセニルアミン、オレイルアミン、デセニルアミン、ウンデセニルアミン、ドデセニルアミン、トリラデセニルアミン、テトラデセニルアミン、ペンタデセニルアミン、ヘキサデセニルアミン、ヘプタデセニルアミン、オクタデセニルアミンのうちの少なくとも1種を含む。
【0050】
本発明の1つの好適な実施形態によれば、インジウム前駆体を含む第1の溶液系は、亜鉛前駆体をさらに含む。一部の具体的な実施形態では、亜鉛前駆体は、酢酸亜鉛、塩素化亜鉛、炭酸亜鉛、デカン酸亜鉛、ウンデシレン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛及びジエチルジチオカルバミン酸亜鉛のうちの少なくとも1種を含む。
【0051】
発明者は、リン化インジウムナノ結晶の製造過程において、所定量の亜鉛前駆体を反応系に導入することにより、ナノ結晶コアの表面欠陥をさらに低減させ、ナノ結晶の準位発光効率(準位だけの発光効率)を向上できることを発見した。
【0052】
本発明の1つの好適な実施形態によれば、リン化インジウムナノ結晶にシェル層を被覆する。1つの具体的な実施形態では、ナノ結晶を含む溶液系に、シェル層の合成に必要なプリカーサー物質を加えることで、シェル層が被覆されたリン化インジウムナノ結晶を得る。シェル層の合成に必要なプリカーサー物質は、亜鉛前駆体、硫黄前駆体及びセレン前駆体のうちの少なくとも1種を含む。
【0053】
本発明の1つの好適な実施形態によれば、製造されるリン化インジウムナノ結晶の光学性能をさらに向上させるために、上記リン化インジウムナノ結晶が得られた後に、未反応の原料及び他の不純物を除去するステップをさらに含み、具体的には、分離及び精製を含む。これらのステップは、本分野の公知方法であり、ここで繰り返し説明しない。
【0054】
本発明の1つの好適な実施形態によれば、上記製造方法で製造されるリン化インジウムナノ結晶が提供され、リン化インジウムナノ結晶の発光ピークのピーク値は、700nm以上であり、700~900nmであることが好ましい。
【0055】
従来技術では、長い波長のリン化インジウムナノ結晶を取得するために、リン化インジウムナノ結晶のサイズを増大させる方法を用いる場合が多い。しかし、この方法は、表面欠陥が増大してしまい、波長の制御が困難であるなどの問題を引き起こすことが多く、使用要件を満たすことができない。本願の製造方法は、ワンステップ法だけにより、発光波長が700~900nmのリン化インジウムナノ結晶を直接取得することができる。
【0056】
本発明の1つの好適な実施形態によれば、リン化インジウムナノ結晶は、M、In及びP元素を含み、ただし、Mは、金属元素である。発明者は、In、Pの2種の元素だけで構成されるリン化インジウムナノ結晶に比べて、本願の、M、In及びP元素を含んで構成されるリン化インジウムナノ結晶の表面欠陥が少なく、リン化インジウムナノ結晶の発光中心が重金属元素を含まず、環境にやさしく、適用範囲が広いことを発見した。
【0057】
1つの具体的な実施形態では、リン化インジウムナノ結晶の構成元素は、Znをさらに含むが、本発明のリン化インジウムナノ結晶の構成元素は、これに限られない。
【0058】
本発明の1つの好適な実施形態によれば、リン化インジウムナノ結晶の外に、Zn元素と、S元素及びSe元素のうちの少なくとも1種とを含むシェル層が被覆されている。1つの具体的な実施形態では、シェル層は、ZnS、ZnSe及びZnSeSのうちの少なくとも1種である。
【0059】
発明者は、ZnS及び/又はZnSe及び/又はZnSeSシェル層をリン化インジウムナノ結晶の表面に成長させると、より高い安定性及びより優れ光学性質を有するリン化インジウムナノ結晶を取得することに寄与することを発見した。
【0060】
本願は、赤色蛍光リン化インジウムナノ結晶の製造方法を提供し、この製造方法は、インジウム前駆体と、リン前駆体と、有機溶剤とを混合し、第1の温度でしばらく保温しながら反応し、リン化インジウムナノ結晶コア溶液を得るステップS1と、リン化インジウムナノ結晶コア溶液を第2の温度に迅速に昇温し、しばらく保温するステップS2と、S2の反応系にナノ結晶のシェルの合成に必要なプリカーサー物質を加え、蛍光発光ピークのピーク値が580~670nmの赤色蛍光リン化インジウムナノ結晶を得るステップS3と、を含む。
【0061】
本発明の1つの好適な実施形態によれば、第1の温度の範囲は、110~160℃であり、第2の温度の範囲は、280~340℃であることが好ましい。
【0062】
本発明の1つの好適な実施形態によれば、S2では、リン化インジウムナノ結晶コア溶液を第2の温度に迅速に昇温し、少なくとも10min維持する。
【0063】
本発明の1つの好適な実施形態によれば、リン化インジウムナノ結晶コア溶液を第2の温度に迅速に昇温するのに必要な時間を10min内に制御する。発明者は、上記「迅速に昇温する」時間範囲内において、反応系の温度を第1の温度から第2の温度に調整すると、リン化インジウムナノ結晶コアの迅速な凝集及び成長に有利であり、それにより、粒径が均一なナノ結晶を取得することを発見した。
【0064】
従来技術で広く用いられるリン化インジウムナノ結晶の製造方法は、通常、高温注入法であり、インジウム前駆体及びリン前駆体を高温で直接迅速にコアを生成して成熟に成長させ、次に、必要に応じてシェル層を被覆することで、波長範囲が520~720nmのナノ結晶を製造することができる。しかし、高温注入法は、ナノ結晶のコア生成と成長の過程とをバランスさせることが困難であり、製造されるナノ結晶のサイズの分布が不均一になり、ピークの半値幅が広くなる。
【0065】
本願では、インジウム前駆体と、リン前駆体と、有機溶剤とを混合して反応する温度は、120~160℃である。発明者は、この低い第1の温度でリン化インジウムナノ結晶コアを製造すると、ナノ結晶コアのコア生成及び成長過程を制御することができ、合成されたナノ結晶のサイズ分布が均一になり、ピークの半値幅が狭くなることを発見した。また、この低い第1の温度によって、リン化インジウムナノ結晶コアの表面が酸化されるリスクを効果的に回避することができ、それにより、自由な単体反応物が種結晶の表面に成長しやすくなり、製造されるリン化インジウムナノ結晶がより高い光学性能を有する。
【0066】
本願では、上記リン化インジウムナノ結晶コア溶液を280~320℃に迅速に昇温し、少なくとも10min維持する。発明者は、この高い第2の温度で、リン化インジウムナノ結晶コアがさらに凝集して成長し、系中のリン化インジウムナノ結晶コアの粒径が徐々に大きくなり、それにより、リン化インジウムナノ結晶コアの「熟成過程」を実現することを発見した。そして、シェルの合成に必要なプリカーサー物質を上記リン化インジウムナノ結晶コアを含む混合系に加えることで、ナノ結晶のシェル層の被覆過程を実現し、最後に、シェル層が被覆された赤色蛍光リン化インジウムナノ結晶が得られる。
【0067】
本願は、「低温でコアを生成する-迅速に昇温することでコアの成長を促進する-最後にシェルを被覆する」ような技術手段を用い、先ず、低い第1の温度でリン化インジウムナノ結晶コアを製造し、次に、迅速に昇温することで、ナノ結晶コアがさらに凝集し成長することを制御し、最後に、ナノ結晶コアの表面にナノ結晶のシェルを形成する。これによって、反応温度を制御することで、リン化インジウムナノ結晶のコア生成と、成長と、被覆とを効果的にバランスさせ、コアシェル構造を有し蛍光発光ピークのピーク値が580~670nmの赤色蛍光リン化インジウムナノ結晶を得る。
【0068】
本発明の1つの好適な実施形態によれば、有機溶剤は、炭素原子数が≧6の飽和又は不飽和アミンから選択される少なくとも1種である。
【0069】
本発明の1つの好適な実施形態によれば、有機溶剤は、第一級アミン、第二級アミンから選択される少なくとも1種である。1つの具体的な実施形態では、有機溶剤は、ヘキシルアミン、へプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、デセニルアミン、ウンデシルアミン、ウンデセニルアミン、ドデシルアミン、ドデセニルアミン、トリデシルアミン、トリデセニルアミン、テトラデシルアミン、テトラデセニルアミン、ペンタデシルアミン、ペンタデセニルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘキサデセニルアミン、ヘプタデシルアミン、ヘプタデセニルアミン、オクタデシルアミン及びオクタデセニルアミンから選択される少なくとも1種である。
【0070】
本発明の1つの好適な実施形態によれば、リン前駆体の化学構造式は、M-(O-C≡P)nであり、ただし、Mは金属元素であり、nは1、2、又は、3である。さらに、M元素がLi、Na、K、Rb、Csなどの1価の金属元素である場合に、nは1である。M元素がZn、Ca、Mn、Srなどの二価の金属元素である場合に、nは2である。M元素がAl、Ga、Tlの3価の金属元素である場合に、nは3である。
【0071】
本願では、発明者は、リン前駆体のM-(O-C≡P)nが金属元素Mを提供し、In、P及び金属元素Mで構成される合金コアを有するナノ結晶を製造し、それにより、リン化インジウムナノ結晶の光学性能をさらに最適化できることを発見した。1つの具体的な実施形態では、リン前駆体のM-(O-C≡P)nは、Li-O-C≡P、Na-O-C≡P、K-O-C≡P、Zn-(O-C≡P)2、又は、Ga-(O-C≡P)3である。
【0072】
本発明の1つの好適な実施形態によれば、リン化インジウムナノ結晶コア溶液は、第1の亜鉛前駆体を含む。本発明の1つの好適な実施形態によれば、第1の亜鉛前駆体は、ハロゲン化亜鉛から選択される。1つの具体的な実施形態では、第1の亜鉛前駆体は、塩素化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛から選択される少なくとも1種である。
【0073】
発明者は、リン化インジウムナノ結晶コアの製造では、所定量の亜鉛前駆体を反応系に導入することで、ナノ結晶コアの表面欠陥をさらに低減させ、リン化インジウムナノ結晶の準位発光効率を向上できることを発見した。
【0074】
本発明の1つの好適な実施形態によれば、第1の亜鉛前駆体とインジウム前駆体との比は、物質量で、(0.01~10):1である。1つの具体的な実施形態では、第1の亜鉛前駆体とインジウム前駆体との比は、物質量で、(0.1~1):1である。
【0075】
本発明の1つの好適な実施形態によれば、ナノ結晶のシェルは、ZnS、ZnSe、ZnSeSのうちの少なくとも1種を含む。
【0076】
本願では、発明者は、ナノ結晶のシェルがナノ結晶コアの表面に成長することで、ナノ結晶の発光効率及び光化学的安定性を明らかに向上できることを発見した。本願の1つの好適な実施形態によれば、ナノ結晶のシェルは、少なくとも2層のシェルを含み、少なくとも2層のシェルが隣接し、且つ互いに異なる。1つの具体的な実施形態では、ナノ結晶のシェルは、2層のシェルを含み、この中で、リン化インジウムナノ結晶コアから離れるシェルは、ZnSであり、リン化インジウムナノ結晶コアに接近するシェルは、ZnSe、又は、ZnSeSである。
【0077】
本発明の1つの好適な実施形態によれば、ナノ結晶のシェルの合成に必要なプリカーサー物質は、第2の亜鉛前駆体と、硫黄プリカーサー及びセレンプリカーサーのうちの少なくとも1種とを含む。1つの具体的な実施形態では、第2の亜鉛前駆体は、カルボン酸亜鉛、又は、有機亜鉛試薬(亜鉛がアルキルに直接接続された試薬)から選択される。好ましくは、第2の亜鉛前駆体は、酢酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、デカン酸亜鉛、ウンデシレン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチル亜鉛から選択される少なくとも1種である。1つの具体的な実施形態では、硫黄プリカーサーは、アルキルメルカプタン、単体硫黄を溶剤に溶解した溶液から選択される少なくとも1種である。好ましくは、硫黄プリカーサーは、アルキルメルカプタン、トリアルキルホスフィンスルフィド、トリアルケニルホスフィンスルフィド、硫黄の有機アミン溶液から選択される少なくとも1種である。さらに好ましくは、硫黄プリカーサーは、トリn-ブチルホスフィンスルフィド、トリオクチルホスフィンスルフィド、硫黄のオレイルアミン溶液から選択される少なくとも1種である。1つの具体的な実施形態では、セレンプリカーサーは、単体セレンを溶剤に溶解した溶液から選択される。好ましくは、セレンプリカーサーは、セレン化トリアルキルホスフィン、セレン化トリアルケニルホスフィン、セレンの有機アミン溶液から選択される少なくとも1種である。さらに好ましくは、セレン前駆体は、セレン化トリn-ブチルホスフィン、セレン化トリオクチルホスフィン、セレンのオレイルアミン溶液から選択される少なくとも1種である。
【0078】
本願では、発明者は、上記亜鉛前駆体、硫黄プリカーサー、セレンプリカーサーの反応活性が高く、リン化インジウムナノ結晶コアに品質が高いシェル層を被覆することに寄与することを発見した。上記亜鉛前駆体、硫黄プリカーサー、セレンプリカーサーをナノ結晶のシェルの合成に必要なプリカーサー物質とすることで、ナノ結晶のシェル層の成長がより均一になり、それにより、リン化インジウムナノ結晶の蛍光量子収率を効果的に向上させることができる。
【0079】
本発明の1つの好適な実施形態によれば、赤色蛍光リン化インジウムナノ結晶の製造方法は、昇温を続け、ステップS3の反応系にナノ結晶のシェルの合成に必要なプリカーサー物質を再び加え、蛍光発光ピークのピーク値が580~670nmの赤色蛍光リン化インジウムナノ結晶を得るステップS4をさらに含む。本願では、発明者は、実際のニーズに応じて、リン化インジウムナノ結晶コアにシェル層を被覆することを複数回繰り返すことで、シェル層をリン化インジウムナノ結晶コアの表面により良好でより均一に被覆することができ、それにより、リン化インジウムナノ結晶の発光効率及び光化学的安定性をさらに向上させることを発見した。
【0080】
本発明の1つの好適な実施形態によれば、製造されるリン化インジウムナノ結晶の光学性能をさらに向上させるために、上記リン化インジウムナノ結晶が得られた後に、未反応の原料及び他の不純物を除去するステップをさらに含み、具体的には、分離及び精製を含む。これらのステップは、本分野での公知方法であるため、ここで繰り返し説明しない。
【0081】
本発明の1つの好適な実施形態によれば、赤色蛍光リン化インジウムナノ結晶が提供され、該赤色蛍光リン化インジウムナノ結晶は、インジウム前駆体と、リン前駆体と、有機溶剤とを混合し、第1の温度で反応し、リン化インジウムナノ結晶コア溶液を得るステップS1と、リン化インジウムナノ結晶コア溶液を第2の温度に迅速に昇温し、しばらく維持するステップS2と、S2の反応系にナノ結晶のシェルの合成に必要なプリカーサー物質を加え、蛍光発光ピークのピーク値が580~670nmの赤色蛍光リン化インジウムナノ結晶を得るステップS3とで製造される。
【0082】
本発明の1つの好適な実施形態によれば、第1の温度の範囲は、110~160℃である。第2の温度の範囲は、280~340℃であることが好ましい。
【0083】
本発明の1つの好適な実施形態によれば、ステップS2では、リン化インジウムナノ結晶コア溶液を第2の温度に迅速に昇温し、少なくとも10min維持する。
【0084】
本発明の1つの好適な実施形態によれば、有機溶剤は、炭素原子数が≧6の飽和又は不飽和アミンから選択される少なくとも1種である。本発明の1つの好適な実施形態によれば、有機溶剤は、第一級アミン、第二級アミンから選択される少なくとも1種である。1つの具体的な実施形態では、有機溶剤は、ヘキシルアミン、へプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、デセニルアミン、ウンデシルアミン、ウンデセニルアミン、ドデシルアミン、ドデセニルアミン、トリデシルアミン、トリデセニルアミン、テトラデシルアミン、テトラデセニルアミン、ペンタデシルアミン、ペンタデセニルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘキサデセニルアミン、ヘプタデシルアミン、ヘプタデセニルアミン、オクタデシルアミン、及びオクタデセニルアミンから選択される少なくとも1種である。
【0085】
本発明の1つの好適な実施形態によれば、リン前駆体の化学構造式は、M-(O-C≡P)nであり、ただし、Mは金属元素であり、nは1、2、又は、3である。さらに、M元素がLi、Na、K、Rb、Csなどの1価の金属元素である場合に、nは1である。M元素がZn、Ca、Mn、Srなどの二価の金属元素である場合に、nは2である。M元素がAl、Ga、Tlの3価の金属元素である場合に、nは3である。1つの具体的な実施形態では、リン前駆体のM-(O-C≡P)nは、Li-O-C≡P、Na-O-C≡P、K-O-C≡P、Zn-(O-C≡P)2、又は、Ga-(O-C≡P)3である。
【0086】
本発明の1つの好適な実施形態によれば、リン化インジウムナノ結晶コア溶液は、第1の亜鉛前駆体を含む。本発明の1つの好適な実施形態によれば、第1の亜鉛前駆体は、ハロゲン化亜鉛から選択される。1つの具体的な実施形態では、第1の亜鉛前駆体は、塩素化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛から選択される少なくとも1種である。
【0087】
本発明の1つの好適な実施形態によれば、第1の亜鉛前駆体とインジウム前駆体との比は、物質量で、(0.01~10):1である。1つの具体的な実施形態では、第1の亜鉛前駆体とインジウム前駆体との比は、物質量で、(0.1~1):1である。
【0088】
本発明の1つの好適な実施形態によれば、ナノ結晶のシェルは、ZnS、ZnSe、ZnSeSのうちの少なくとも1種を含む。
【0089】
本発明の1つの好適な実施形態によれば、ナノ結晶のシェルは、隣接するとともに、互いに異なる少なくとも2層のシェルを含む。
【0090】
1つの具体的な実施形態では、ナノ結晶のシェルは、2層のシェルを含み、この中で、リン化インジウムナノ結晶コアから離れるシェルは、ZnSであり、リン化インジウムナノ結晶コアに接近するシェルは、ZnSe、又は、ZnSeSである。
【0091】
本発明の1つの好適な実施形態によれば、該赤色蛍光リン化インジウムナノ結晶は、インジウム前駆体と、リン前駆体と、有機溶剤とを混合し、第1の温度で反応し、リン化インジウムナノ結晶コア溶液を得るステップS1と、前記リン化インジウムナノ結晶コア溶液を第2の温度に迅速に昇温し、しばらく維持するステップS2と、S2の反応系にナノ結晶のシェルの合成に必要なプリカーサー物質を加えるステップS3と、昇温を続け、ステップS3の反応系にナノ結晶のシェルの合成に必要なプリカーサー物質を再び加え、蛍光発光ピークのピーク値が580~670nmの赤色蛍光リン化インジウムナノ結晶を得るステップS4とで製造されてもよい。
【0092】
本願では、発明者は、該リン化インジウムナノ結晶の発光性能に優れ、蛍光発光ピークの半値幅が狭く(≦50nm)、蛍光量子収率が高い(>80%)ことを発見した。従来技術で合成された赤色蛍光リン化インジウムは、ピークの半値幅が広く、量子収率が低く、安定性が低いことが多い。新規リン前駆体を使用することで、コアにM元素をドーピングし、量子収率を向上させ、2つのステップの温度を制御することによってピークの半値幅を減少させ、合成された製品がより高い性能を有するようにする。
【0093】
本願は、青緑色蛍光リン化インジウムナノ結晶の製造方法を提供し、この製造方法は、インジウム前駆体と、任意選択的な亜鉛前駆体と、リン前駆体M-(O-C≡P)nと、有機溶剤とを混合し、第1の温度で反応し、リン化インジウムナノ結晶コア溶液を得るステップS1と、第1の温度で、リン化インジウムナノ結晶コア溶液に亜鉛のカチオンプリカーサーを加え、第1の混合液を形成するステップS2と、第1の温度より高い第2の温度で、第1の混合液に硫黄、又は、セレンアニオンプリカーサーを加え、カチオンプリカーサーとアニオンプリカーサーとを反応して、リン化インジウムナノ結晶コアにシェル層を被覆し、蛍光発光ピークのピーク値が460~500nmの青緑色蛍光リン化インジウムナノ結晶を得るステップS3と、を含む。
【0094】
1つの具体的な実施形態では、先ず、インジウム前駆体及びリン前駆体を含む溶液系を110~160℃に加熱し、しばらく保温した後に、亜鉛のカチオンプリカーサーを加え、前記亜鉛のカチオンプリカーサーとステップS1に記載のインジウム前駆体との比は、(8~40):1である。次に、第2の反応温度である160~240℃まで昇温し、亜鉛と等モル量の硫黄、又は、セレンアニオンプリカーサーを加え、リン化インジウムナノ結晶を含む溶液系を得る。
【0095】
本発明の1つの好適な実施形態によれば、第1の温度の範囲は、110~160℃である。好ましくは、第2の温度の範囲は、160~200℃である。
【0096】
本発明の1つの好適な実施形態によれば、有機溶剤は、炭素原子数が≧6の飽和又は不飽和アミン、又は、カルボン酸から選択される少なくとも1種である。1つの具体的な実施形態では、有機溶剤は、ヘキシルアミン、へプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、デセニルアミン、ウンデシルアミン、ウンデセニルアミン、ドデシルアミン、ドデセニルアミン、トリデシルアミン、トリデセニルアミン、テトラデシルアミン、テトラデセニルアミン、ペンタデシルアミン、ペンタデセニルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘキサデセニルアミン、ヘプタデシルアミン、ヘプタデセニルアミン、オクタデシルアミン、及びオクタデセニルアミンから選択される少なくとも1種である。
【0097】
本発明の1つの好適な実施形態によれば、リン前駆体の化学構造式は、M-(O-C≡P)nであり、ただし、Mは金属元素であり、nは、M元素の原子価価数であり、例えば、nは1、2、又は、3である。1つの具体的な実施形態では、リン前駆体のM-(O-C≡P)nは、Li-O-C≡P、Na-O-C≡P、K-O-C≡P、Zn-(O-C≡P)2、又は、Ga-(O-C≡P)3である。
【0098】
本願では、M-(O-C≡P)nをリン化インジウムナノ結晶を合成する新しいリン前駆体として選択する。インジウム前駆体とM-(O-C≡P)nとを混合し、第1の温度反応に昇温し、反応して、最終的なリン化インジウムナノ結晶溶液を獲得し、次に、シェル層を迅速に被覆する。また、本願のリン前駆体のM-(O-C≡P)nは、金属元素Mを提供することができ、それにより、In、P及び金属元素Mで構成される合金コアを有するナノ結晶を製造し、さらにリン化インジウムナノ結晶の光学性能を最適化する。
【0099】
本発明の1つの好適な実施形態によれば、リン化インジウムナノ結晶コア溶液は、任意選択的に、第1の亜鉛前駆体を含み、第1の亜鉛前駆体は、ハロゲン化亜鉛から選択される。1つの具体的な実施形態では、第1の亜鉛前駆体は、塩素化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛から選択される少なくとも1種である。1つの具体的な実施形態では、亜鉛源は、酢酸亜鉛、塩素化亜鉛、炭酸亜鉛、デカン酸亜鉛、ウンデシレン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛及びジエチルジチオカルバミン酸亜鉛のうちの少なくとも1種を含む。発明者は、リン化インジウムナノ結晶コアの製造過程において、所定量の亜鉛前駆体を反応系に導入することで、ナノ結晶コアの表面欠陥をさらに低減させ、ナノ結晶の準位発光効率を向上できることを発見した。
【0100】
本発明の1つの好適な実施形態によれば、第1の亜鉛前駆体とインジウム前駆体との比は、物質量で、(3~20):1である。1つの具体的な実施形態では、第1の亜鉛前駆体とインジウム前駆体との比は、物質量で、(3~10):1である。
【0101】
本発明の1つの好適な実施形態によれば、ステップS2での亜鉛のカチオンプリカーサーと、ステップS1でのインジウム前駆体との比は、物質量で、(8~40):1である。1つの具体的な実施形態では、ステップS2での亜鉛のカチオンプリカーサーと、ステップS1でのインジウム前駆体との比は、物質量で、(10~20):1である。
【0102】
本発明の1つの好適な実施形態によれば、カチオンプリカーサーは、第2の亜鉛前駆体である。本発明の1つの好適な実施形態によれば、第2の亜鉛前駆体は、有機亜鉛試薬から選択される。1つの具体的な実施形態では、第2の亜鉛前駆体は、酢酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、デカン酸亜鉛、ウンデシレン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛、ジエチル亜鉛から選択される少なくとも1種である。本発明の1つの好適な実施形態によれば、アニオンプリカーサーは、硫黄プリカーサー、セレンプリカーサーのうちの少なくとも1種である。本発明の1つの好適な実施形態によれば、硫黄プリカーサーは、アルキルメルカプタン、単体硫黄を溶剤に溶解した溶液から選択される少なくとも1種である。本願の1つの具体的な実施例では、硫黄プリカーサーは、アルキルメルカプタン、トリアルキルホスフィンスルフィド、トリアルケニルホスフィンスルフィド、硫黄の有機アミン溶液から選択される少なくとも1種である。好ましくは、硫黄プリカーサーは、トリn-ブチルホスフィンスルフィド、トリオクチルホスフィンスルフィド、硫黄のオレイルアミン溶液から選択される少なくとも1種である。本発明の1つの好適な実施形態によれば、セレンプリカーサーは、単体セレンを溶剤に溶解した溶液から選択される。本願の1つの具体的な実施例では、セレンプリカーサーは、セレン化トリアルキルホスフィン、セレン化トリアルケニルホスフィン、セレンの有機アミン溶液から選択される少なくとも1種である。好ましくは、セレンプリカーサーは、セレン化トリn-ブチルホスフィン、セレン化トリオクチルホスフィン、セレンのオレイルアミン溶液から選択される少なくとも1種である。
【0103】
本願では、発明者は、上記硫黄プリカーサー、セレンプリカーサーの反応活性が高いため、リン化インジウムナノ結晶コアに品質が高いシェル層を被覆することに寄与することを発見した。上記した硫黄プリカーサー、セレンプリカーサーをアニオンプリカーサーとすることで、ナノ結晶のシェル層がより均一に成長し、それにより、リン化インジウムナノ結晶の蛍光量子収率を効果的に向上させることができる。
【0104】
本発明の1つの好適な実施形態によれば、青緑色蛍光リン化インジウムナノ結晶の製造方法は、ステップS3の反応系にカチオンプリカーサー及びアニオンプリカーサーを再び加え、蛍光発光ピークのピーク値が460~500nmの青緑色蛍光リン化インジウムナノ結晶を得るステップS4をさらに含む。本願では、発明者は、実際のニーズに応じて、リン化インジウムナノ結晶コアにシェル層を被覆することを複数回繰り返すことで、シェル層をリン化インジウムナノ結晶コアの表面により良好かつ均一に被覆し、それにより、リン化インジウムナノ結晶の発光効率及び光化学的安定性をさらに向上させることを発見した。本発明の1つの好適な実施形態によれば、S4は、反応系の温度を徐々に向上させながら行なわれる。
【0105】
本発明の1つの好適な実施形態によれば、製造されるリン化インジウムナノ結晶の光学性能をさらに向上させるために、上記リン化インジウムナノ結晶が得られた後に、未反応の原料及び他の不純物を除去するステップをさらに含む、具体的には、分離及び精製を含む。これらのステップは、本分野の公知方法であり、ここで繰り返し説明しない。
【0106】
本発明の1つの好適な実施形態によれば、青緑色蛍光リン化インジウムナノ結晶が提供され、この青緑色蛍光リン化インジウムナノ結晶は、インジウム前駆体と、リン前駆体と、有機溶剤とを混合し、第1の温度で反応し、リン化インジウムナノ結晶コア溶液を得るステップS1と、第1の温度で、リン化インジウムナノ結晶コア溶液にカチオンプリカーサーを加え、第1の混合液を形成するステップS2と、第1の温度より高い第2の温度で、第1の混合液にアニオンプリカーサーを加え、カチオンプリカーサーとアニオンプリカーサーとを反応して、リン化インジウムナノ結晶コアにシェル層を被覆することで、蛍光発光ピークのピーク値が460~500nmの青緑色蛍光リン化インジウムナノ結晶を得るステップS3とで製造される。
【0107】
本発明の1つの好適な実施形態によれば、第1の温度の範囲は、110~160℃である。第2の温度の範囲は、160~200℃であることが好ましい。
【0108】
本発明の1つの好適な実施形態によれば、有機溶剤は、炭素原子数が≧6の飽和又は不飽和アミンから選択される少なくとも1種である。1つの具体的な実施形態では、有機溶剤は、ヘキシルアミン、へプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、デセニルアミン、ウンデシルアミン、ウンデセニルアミン、ドデシルアミン、ドデセニルアミン、トリデシルアミン、トリデセニルアミン、テトラデシルアミン、テトラデセニルアミン、ペンタデシルアミン、ペンタデセニルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘキサデセニルアミン、ヘプタデシルアミン、ヘプタデセニルアミン、オクタデシルアミン、及びオクタデセニルアミンから選択される少なくとも1種である。
【0109】
本発明の1つの好適な実施形態によれば、リン前駆体の化学構造式は、M-(O-C≡P)nであり、ただし、Mは金属元素であり、nは、M元素の原子価価数であり、例えば、nは1、2、又は、3である。さらに、M元素がLi、Na、K、Rb、Csなどの1価の金属元素である場合に、nは1である。M元素がZn、Ca、Mn、Srなどの二価の金属元素である場合に、nは2である。M元素がAl、Ga、Tlの3価の金属元素である場合に、nは3である。1つの具体的な実施形態では、リン前駆体のM-(O-C≡P)nは、Li-O-C≡P、Na-O-C≡P、K-O-C≡P、Zn-(O-C≡P)2、又は、Ga-(O-C≡P)3である。
【0110】
本発明の1つの好適な実施形態によれば、リン化インジウムナノ結晶コア溶液は、第1の亜鉛前駆体を含む。本発明の1つの好適な実施形態によれば、第1の亜鉛前駆体は、ハロゲン化亜鉛から選択される。1つの具体的な実施形態では、第1の亜鉛前駆体は、塩素化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛から選択される少なくとも1種である。
【0111】
本発明の1つの好適な実施形態によれば、第1の亜鉛前駆体とインジウム前駆体との比は、物質量で、(3~20):1である。1つの具体的な実施形態では、第1の亜鉛前駆体とインジウム前駆体との比は、物質量で、(3~10):1である。本発明の1つの好適な実施形態によれば、ステップS2でのカチオンプリカーサーと、ステップS1でのインジウム前駆体との比は、物質量で、(8~40):1である。1つの具体的な実施形態では、ステップS2でのカチオンプリカーサーと、ステップS1でのインジウム前駆体との比は、物質量で、(10~20):1である。
【0112】
本発明の1つの好適な実施形態によれば、カチオンプリカーサーは、第2の亜鉛前駆体である。本発明の1つの好適な実施形態によれば、第2の亜鉛前駆体は、カルボン酸亜鉛、又は、有機亜鉛試薬から選択される。1つの具体的な実施形態では、第2の亜鉛前駆体は、酢酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、デカン酸亜鉛、ウンデシレン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛、ジエチル亜鉛から選択される少なくとも1種である。
【0113】
本発明の1つの好適な実施形態によれば、アニオンプリカーサーは、硫黄プリカーサー、セレンプリカーサーのうちの少なくとも1種である。本発明の1つの好適な実施形態によれば、硫黄プリカーサーは、アルキルメルカプタン、単体硫黄を溶剤に溶解した溶液から選択される少なくとも1種である。本願の1つの具体的な実施例では、硫黄プリカーサーは、アルキルメルカプタン、トリアルキルホスフィンスルフィド、トリアルケニルホスフィンスルフィド、硫黄の有機アミン溶液から選択される少なくとも1種である。好ましくは、硫黄プリカーサーは、トリn-ブチルホスフィンスルフィド、トリオクチルホスフィンスルフィド、硫黄のオレイルアミン溶液から選択される少なくとも1種である。本発明の1つの好適な実施形態によれば、セレンプリカーサーは、単体セレンを溶剤に溶解した溶液から選択される。本願の1つの具体的な実施例では、セレンプリカーサーは、セレン化トリアルキルホスフィン、セレン化トリアルケニルホスフィン、セレンの有機アミン溶液から選択される少なくとも1種である。好ましくは、セレンプリカーサーは、セレン化トリn-ブチルホスフィン、セレン化トリオクチルホスフィン、セレンのオレイルアミン溶液から選択される少なくとも1種である。
【0114】
本発明の1つの好適な実施形態によれば、該青緑色蛍光リン化インジウムナノ結晶は、インジウム前駆体と、リン前駆体と、有機溶剤とを混合し、第1の温度で反応し、リン化インジウムナノ結晶コア溶液を得るステップS1と、第1の温度で、リン化インジウムナノ結晶コア溶液にカチオンプリカーサーを加え、第1の混合液を形成するステップS2と、第1の温度より高い第2の温度で、第1の混合液にアニオンプリカーサーを加え、カチオンプリカーサーとアニオンプリカーサーとを反応して、リン化インジウムナノ結晶コアにシェル層を被覆するステップS3と、ステップS3の反応系にカチオンプリカーサー及びアニオンプリカーサーを再び加え、青緑色蛍光リン化インジウムナノ結晶を得るステップS4とで製造されてもよい。
【0115】
本発明の1つの好適な実施形態によれば、リン化インジウムナノ結晶の蛍光発光ピークは、460~500nmである。
【0116】
本願では、発明者は、該リン化インジウムナノ結晶の蛍光量子収率が高く(>50%)、それにより、リン化インジウムナノ結晶の使用範囲を広げることを発見した。従来技術では、青緑色蛍光リン化インジウムの合成方法が限定され、合成された製品の性能が低い。新規リン前駆体を使用することで、青緑色蛍光リン化インジウムの合成が簡単かつ効率的になる。M元素のドーピングにより、本方法で合成された製品は、波長が制御可能であり、効率が高く、ピークの半値幅が狭い。
【実施例】
【0117】
以下、以下の実施例を参照しながら、本願の一部の例示的な実施形態に係る製造方法について詳細に説明するが、本願の例示的な実施形態は、これに限られない。
【0118】
近赤外光リン化インジウムナノ結晶の製造
実施例1
リン化インジウムナノ結晶1は、In、P、Naの3種の元素で構成され、シェルは、ZnSeとZnSとで構成される二重シェル層である。第2の溶剤は、トルエンである。
リン化インジウムナノ結晶の製造過程は、以下のとおりである。
S1、0.5mmolの塩化インジウムと10mLのオレイルアミンとを25℃で混合し、インジウム前駆体を含む第1の溶液系を獲得し、0.75mmolのNaOCPと5mLのトルエンとを混合し、リン前駆体を含む第2の溶液系を得た。
S2、窒素ガスで排気した状態でインジウム前駆体を含む第1の溶液系を200℃に加熱し、リン前駆体を含む第2の溶液系を加え、インジウム-リン混合溶液系を得た。
S3、ステップS2のインジウム-リン混合溶液系を280℃に加熱し、60min反応し、リン化インジウムナノ結晶を含む溶液系を得た。
S4、310℃まで昇温し、24mmolの酢酸亜鉛と、6mLのセレン-トリオクチルホスフィン溶液(2mmol/mL)とを加えて反応し、リン化インジウムナノ結晶に被覆されたZnSeシェルを獲得し、次に6mLの硫黄-トリオクチルホスフィン溶液(2mmol/mL)を加えて反応し、ZnSeシェルに被覆されたZnSシェルを得た。
S5、反応が終了し、分離して精製し、リン化インジウムナノ結晶1を得た。
【0119】
実施例2
リン化インジウムナノ結晶2は、In、P、Na、Znの4種の元素で構成され、シェルは、ZnSeとZnSとで構成される二重シェル層である。第2の溶剤は、トルエンである。
リン化インジウムナノ結晶の製造過程は、以下のとおりである。
S1、0.5mmolの塩化インジウムと、2mmolの塩素化亜鉛と、10mLのオレイルアミンとを30℃で混合し、インジウム前駆体を含む第1の溶液系を獲得し、0.75mmolのNaOCPと5mLのトルエンとを混合し、リン前駆体を含む第2の溶液系を得た。
S2、窒素ガスで排気した状態でインジウム前駆体を含む第1の溶液系を200℃に加熱し、リン前駆体を含む第2の溶液系を加え、インジウム-リン混合溶液系を得た。
S3、ステップS2のインジウム-リン混合溶液系を280℃に加熱し、60min反応し、リン化インジウムナノ結晶を含む溶液系を得た。
S4、310℃まで昇温し、24mmolの酢酸亜鉛と、6mLのセレン-トリオクチルホスフィン溶液(2mmol/mL)とを加えて反応し、リン化インジウムナノ結晶に被覆されたZnSeシェルを獲得し、次に6mLの硫黄-トリオクチルホスフィン溶液(2mmol/mL)を加えて反応し、ZnSeシェルに被覆されたZnSシェルを得た。
S5、反応が終了し、分離して精製し、リン化インジウムナノ結晶2を得た。
【0120】
実施例3
リン化インジウムナノ結晶3は、In、P、K、Znの4種の元素で構成され、シェルは、ZnSeとZnSとで構成される二重シェル層である。第2の溶剤は、トルエンである。
リン化インジウムナノ結晶の製造過程は、以下のとおりである。
S1、0.5mmolの塩化インジウムと、2mmolの塩素化亜鉛と、10mLのオレイルアミンとを25℃で混合し、インジウム前駆体を含む第1の溶液系を獲得し、0.75mmolのKOCPと5mLのトルエンとを混合し、リン前駆体を含む第2の溶液系を得た。
S2、窒素ガスで排気した状態で第1の溶液系を200℃に加熱し、リン前駆体を含む第2の溶液系を加え、インジウム-リン混合溶液系を得た。
S3、ステップS2のインジウム-リン混合溶液系を280℃に加熱し、60min反応し、リン化インジウムナノ結晶を含む溶液系を得た。
S4、310℃まで昇温し、24mmolの酢酸亜鉛と、6mLのセレン-トリオクチルホスフィン溶液(2mmol/mL)とを加えて反応し、リン化インジウムナノ結晶に被覆されたZnSeシェルを獲得し、次に6mLの硫黄-トリオクチルホスフィン溶液(2mmol/mL)を加えて反応し、ZnSeシェルに被覆されたZnSシェルを得た。
S5、反応が終了し、分離して精製し、リン化インジウムナノ結晶3を得た。
【0121】
実施例4
リン化インジウムナノ結晶4は、In、P、Kの3種の元素で構成され、シェルは、ZnSeとZnSとで構成される二重シェル層である。第2の溶剤は、トルエンである。
リン化インジウムナノ結晶の製造過程は、以下のとおりである。
S1、0.5mmolの塩化インジウムと10mLのオレイルアミンとを25℃で混合し、インジウム前駆体を含む第1の溶液系を獲得し、0.75mmolのKOCPと5mLのトルエンとを混合し、リン前駆体を含む第2の溶液系を得た。
S2、窒素ガスで排気した状態でインジウム前駆体を含む第1の溶液系を240℃に加熱し、リン前駆体を含む第2の溶液系を加え、インジウム-リン混合溶液系を得た。
S3、ステップS2のインジウム-リン混合溶液系を300℃に加熱し、60min反応し、リン化インジウムナノ結晶を含む溶液系を得た。
S4、310℃まで昇温し、24mmolの酢酸亜鉛と、6mLのセレン-トリオクチルホスフィン溶液(2mmol/mL)とを加えて反応し、リン化インジウムナノ結晶に被覆されたZnSeシェルを獲得し、次に6mLの硫黄-トリオクチルホスフィン溶液(2mmol/mL)を加えて反応し、ZnSeシェルに被覆されたZnSシェルを得た。
S5、反応が終了し、分離して精製し、リン化インジウムナノ結晶4を得た。
【0122】
実施例5
リン化インジウムナノ結晶5は、In、P、Naの3種の元素で構成され、第2の溶剤は、ノルマルヘプタンである。
リン化インジウムナノ結晶の製造過程は、以下のとおりである。
S1、0.5mmolの塩化インジウムと10mLのオレイルアミンとを25℃で混合し、インジウム前駆体を含む第1の溶液系を獲得し、0.75mmolのNaOCPと5mLのノルマルヘプタンとを混合し、リン前駆体を含む第2の溶液系を得た。
S2、窒素ガスで排気した状態でインジウム前駆体を含む第1の溶液系を200℃に加熱し、リン前駆体を含む第2の溶液系を加え、インジウム-リン混合溶液系を得た。
S3、ステップS2のインジウム-リン混合溶液系を280℃に加熱し、60min反応し、リン化インジウムナノ結晶を含む溶液系を得た。
S4、310℃まで昇温し、24mmolのオレイン酸亜鉛と、6mLのセレン-トリオクチルホスフィン溶液(2mmol/mL)とを加えて反応し、リン化インジウムナノ結晶に被覆されたZnSeシェルを獲得し、次に6mLの硫黄-トリオクチルホスフィン溶液(2mmol/mL)を加えて反応し、ZnSeシェルに被覆されたZnSシェルを得た。
S5、反応が終了し、分離して精製し、リン化インジウムナノ結晶5を得た。
【0123】
実施例6
リン化インジウムナノ結晶6は、In、P、Naの3種の元素で構成され、第2の溶剤は、トルエンであり、240℃でコアを生成した。
リン化インジウムナノ結晶の製造過程は、以下のとおりである。
S1、0.5mmolの塩化インジウムと10mLのオレイルアミンとを25℃で混合し、インジウム前駆体を含む第1の溶液系を獲得し、0.75mmolのNaOCPと5mLのトルエンとを混合し、リン前駆体を含む第2の溶液系を得た。
S2、窒素ガスで排気した状態でインジウム前駆体を含む第1の溶液系を240℃に加熱し、リン前駆体を含む第2の溶液系を加え、インジウム-リン混合溶液系を得た。
S3、ステップS2のインジウム-リン混合溶液系を280℃に加熱し、60min反応し、リン化インジウムナノ結晶を含む溶液系を得た。
S4、310℃まで昇温し、24mmolのオレイン酸亜鉛と、6mLのセレン-トリオクチルホスフィン溶液(2mmol/mL)とを加えて反応し、リン化インジウムナノ結晶に被覆されたZnSeシェルを獲得し、次に6mLの硫黄-トリオクチルホスフィン溶液(2mmol/mL)を加えて反応し、ZnSeシェルに被覆されたZnSシェルを得た。
S5、反応が終了し、分離して精製し、リン化インジウムナノ結晶6を得た。
【0124】
比較例1
リン化インジウムナノ結晶7は、In、P、Naの3種の元素で構成され、シェルは、ZnSeとZnSとで構成される二重シェル層である。
リン化インジウムナノ結晶の製造過程は、以下のとおりである。
S1、0.5mmolの塩化インジウムと10mLのオレイルアミンとを25℃で混合し、インジウム前駆体を含む第1の溶液系を獲得し、0.75mmolのNaOCPと5mLのオレイルアミンとを混合し、リン前駆体を含む第2の溶液系を得た。
S2、窒素ガスで排気した状態でインジウム前駆体を含む第1の溶液系を240℃に加熱し、リン前駆体を含む第2の溶液系を加え、インジウム-リン混合溶液系を得た。
S3、ステップS2のインジウム-リン混合溶液系を300℃に加熱し、60min反応し、リン化インジウムナノ結晶を含む溶液系を得た。
S4、昇温し、24mmolの酢酸亜鉛と、6mLのセレン-トリオクチルホスフィン(2mmol/mL)とを加えて反応し、リン化インジウムナノ結晶に被覆されたZnSeシェルを獲得し、次に6mLの硫黄-トリオクチルホスフィン(2mmol/mL)を加えて反応し、ZnSeシェルに被覆されたZnSシェルを得た。
S5、反応が終了し、分離して精製し、リン化インジウムナノ結晶7を得た。
【0125】
比較例2
リン化インジウムナノ結晶8は、In、Zn、Pの3種の元素で構成され、シェルは、ZnSeとZnSとで構成される二重シェル層である。
リン化インジウムナノ結晶の製造過程は、以下のとおりである。
S1、50mgの塩化インジウムと、150mgの塩素化亜鉛と3mLのオレイルアミンとを混合し、窒素ガスで排気した状態において120℃で1h保温した。
S2、180℃まで昇温し、トリス(ジエチルアミノ)ホスフィンを迅速に注入し、60min反応した。
S3、0.5mLのセレン-トリオクチルホスフィン溶液(1mmol/mL)を加え、60min反応し、リン化インジウムナノ結晶に被覆されたZnSeシェルを得た。
S4、500mgのステアリン酸亜鉛と、2mLのオクタデセンとを加え、200℃まで昇温し、30min反応し、次に0.5mLの硫黄-トリオクチルホスフィン溶液(1mmol/mL)を加え、30min反応し、ZnSeシェルに被覆されたZnSシェルを得た。
S5、反応が終了し、分離して精製し、リン化インジウムナノ結晶8を得た。
【0126】
比較例3
リン化インジウムナノ結晶9は、In、P、Naの3種の元素で構成される。
リン化インジウムナノ結晶の製造過程は、以下のとおりである。
S1、0.5mmolの塩化インジウムと10mLのオレイルアミンとを25℃で混合し、インジウム前駆体を含む第1の溶液系を獲得し、0.75mmolのNaOCPと5mLのオレイルアミンとを混合し、リン前駆体を含む第2の溶液系を得た。
S2、窒素ガスで排気した状態でインジウム前駆体を含む第1の溶液系を200℃に加熱し、リン前駆体を含む第2の溶液系を加え、インジウム-リン混合溶液系を得た。
S3、ステップS2のインジウム-リン混合溶液系を280℃に加熱し、60min反応し、リン化インジウムナノ結晶を含む溶液系を得た。
S4、310℃まで昇温し、24mmolのオレイン酸亜鉛と、6mLのセレン-トリオクチルホスフィン(2mmol/mL)とを加えて反応し、リン化インジウムナノ結晶に被覆されたZnSeシェルを獲得し、次に6mLの硫黄-トリオクチルホスフィン(2mmol/mL)を加えて反応し、ZnSeシェルに被覆されたZnSシェルを得た。
S5、反応が終了し、分離して精製し、リン化インジウムナノ結晶9を得た。
【0127】
比較例4
リン化インジウムナノ結晶10は、In、Zn、Pの3種の元素で構成される。
リン化インジウムナノ結晶の製造過程は、以下のとおりである。
S1、50mgの塩化インジウムと、150mgの塩素化亜鉛と3mLのオレイルアミンとを混合し、窒素ガスで排気した状態において120℃で1h保温した。
S2、200℃まで昇温し、トリス(ジエチルアミノ)ホスフィンを迅速に注入し、60min反応した。
S3、310℃まで昇温し、24mmolのオレイン酸亜鉛と、6mLのセレン-トリオクチルホスフィン(2mmol/mL)とを加えて反応し、リン化インジウムナノ結晶に被覆されたZnSeシェルを獲得し、次に6mLの硫黄-トリオクチルホスフィン(2mmol/mL)を加えて反応し、ZnSeシェルに被覆されたZnSシェルを得た。
S5、反応が終了し、分離して精製し、リン化インジウムナノ結晶10を得た。
【0128】
また、さらに実施例1~実施例6、比較例1~比較例4のリン化インジウムナノ結晶の蛍光性質をテストした。テスト結果を以下の表に示す。
【0129】
【0130】
以上の表に基づいてわかるように、本願の製造方法によって、インジウム前駆体を含む第1の溶液系とリン前駆体を含む第2の溶液系とを所定温度で混合して反応し、第2の有機溶剤の沸点が所定温度より低く、1回供給することだけで、波長範囲が700~900nmのリン化インジウムナノ結晶をワンステップで直接取得し、近赤外波長範囲でのリン化インジウムナノ結晶の適用を実現し、それにより、リン化インジウムナノ結晶の適用範囲を広げる。
【0131】
赤色蛍光リン化インジウムナノ結晶の製造
実施例7
赤色蛍光リン化インジウムナノ結晶11の製造:
S1、リン化インジウムナノ結晶コア溶液を取得する:不活性ガス雰囲気において、1mmolのInCl3と、0.5mmolのZnCl2と、20mLのオレイルアミンと、1mmolのNa-O-C≡Pとを混合し、120℃で30min反応し、リン化インジウムナノ結晶コア溶液を得た。
S2、リン化インジウムナノ結晶コアを成長させる:S1のリン化インジウムナノ結晶コア溶液を10分内に300℃まで昇温し、30min維持した。
S3、リン化インジウムナノ結晶コアにシェル層を被覆する:S2の反応系に10mmolの酢酸亜鉛と10mmolの硫黄のオレイルアミン溶液とを加え、60min反応し、赤色蛍光リン化インジウムナノ結晶11を得た。
【0132】
実施例8
赤色蛍光リン化インジウムナノ結晶12の製造:
S1、リン化インジウムナノ結晶コア溶液を取得する:不活性ガス雰囲気において、1mmolのInCl3と、0.5mmolのZnCl2と、20mLのオレイルアミンと、1mmolのNa-O-C≡Pとを混合し、120℃で30min反応し、リン化インジウムナノ結晶コア溶液を得た。
S2、リン化インジウムナノ結晶コアを成長させる:S1のリン化インジウムナノ結晶コア溶液を10分内に320℃まで昇温し、30min維持した。
S3、リン化インジウムナノ結晶コアにシェル層を被覆する:S2の反応系に10mmolの酢酸亜鉛と10mmolの硫黄のオレイルアミン溶液とを加え、60min反応し、赤色蛍光リン化インジウムナノ結晶12を得た。
【0133】
実施例9
赤色蛍光リン化インジウムナノ結晶13の製造:
S1、リン化インジウムナノ結晶コア溶液を取得する:不活性ガス雰囲気において、1mmolのInCl3と、1mmolのZnCl2と、20mLのオレイルアミンと、1mmolのNa-O-C≡Pとを混合し、140℃で30min反応し、リン化インジウムナノ結晶コア溶液を得た。
S2、リン化インジウムナノ結晶コアを成長させる:S1のリン化インジウムナノ結晶コア溶液を10分内に340℃まで昇温し、30min維持した。
S3、リン化インジウムナノ結晶コアにシェル層を被覆する:S2の反応系に10mmolの酢酸亜鉛と10mmolの硫黄のオレイルアミン溶液とを加え、60min反応し、赤色蛍光リン化インジウムナノ結晶13を得た。
【0134】
実施例10
赤色蛍光リン化インジウムナノ結晶14の製造:
S1、リン化インジウムナノ結晶コア溶液を取得する:不活性ガス雰囲気において、1mmolのInCl3と、0.5mmolのZnCl2と、20mLのオレイルアミンと、1mmolのNa-O-C≡Pとを混合し、120℃で30min反応し、リン化インジウムナノ結晶コア溶液を得た。
S2、リン化インジウムナノ結晶コアを成長させる:S1のリン化インジウムナノ結晶コア溶液を10分内に300℃まで昇温し、30min維持した。
S3、310℃まで昇温し、24mmolのオレイン酸亜鉛と、6mLのセレン-トリオクチルホスフィン(2mmol/mL)とを加えて反応し、リン化インジウムナノ結晶に被覆されたZnSeシェルを獲得し、次に6mLの硫黄-トリオクチルホスフィン(2mmol/mL)を加えて反応し、ZnSeシェルに被覆されたZnSシェルを得た。
S4、反応が終了し、分離して精製し、リン化インジウムナノ結晶14を得た。
【0135】
実施例11
赤色蛍光リン化インジウムナノ結晶15の製造:
S1、リン化インジウムナノ結晶コア溶液を取得する:不活性ガス雰囲気において、1mmolのInCl3と、0.5mmolのZnCl2と、20mLのオレイルアミンと、1mmolのNa-O-C≡Pとを混合し、120℃で30min反応し、リン化インジウムナノ結晶コア溶液を得た。
S2、リン化インジウムナノ結晶コアを成長させる:S1のリン化インジウムナノ結晶コア溶液を10分内に320℃まで昇温し、30min維持した。
S3、310℃まで降温し、24mmolのオレイン酸亜鉛と、6mLのセレン-トリオクチルホスフィン(2mmol/mL)とを加えて反応し、リン化インジウムナノ結晶に被覆されたZnSeシェルを獲得し、次に6mLの硫黄-トリオクチルホスフィン(2mmol/mL)を加えて反応し、ZnSeシェルに被覆されたZnSシェルを得た。
S4、反応が終了し、分離して精製し、リン化インジウムナノ結晶15を得た。
【0136】
実施例12
赤色蛍光リン化インジウムナノ結晶16の製造:
S1、リン化インジウムナノ結晶コア溶液を取得する:不活性ガス雰囲気において、1mmolのInCl3と、1mmolのZnCl2と、20mLのオレイルアミンと、1mmolのNa-O-C≡Pとを混合し、140℃で30min反応し、リン化インジウムナノ結晶コア溶液を得た。
S2、リン化インジウムナノ結晶コアを成長させる:S1のリン化インジウムナノ結晶コア溶液を10分内に340℃まで昇温し、30min維持した。
S3、310℃まで降温し、24mmolのオレイン酸亜鉛と、6mLのセレン-トリオクチルホスフィン(2mmol/mL)とを加えて反応し、リン化インジウムナノ結晶に被覆されたZnSeシェルを獲得し、次に6mLの硫黄-トリオクチルホスフィン(2mmol/mL)を加えて反応し、ZnSeシェルに被覆されたZnSシェルを得た。
S4、反応が終了し、分離して精製し、リン化インジウムナノ結晶16を得た。
【0137】
実施例13
赤色蛍光リン化インジウムナノ結晶17の製造:
S1、リン化インジウムナノ結晶コア溶液を取得する:不活性ガス雰囲気において、1mmolのInCl3と、1mmolのZnCl2と、20mLのオレイルアミンと、1mmolのK-O-C≡Pとを混合し、140℃で30min反応し、リン化インジウムナノ結晶コア溶液を得た。
S2、リン化インジウムナノ結晶コアを成長させる:S1のリン化インジウムナノ結晶コア溶液を10分内に340℃まで昇温し、30min維持した。
S3、310℃まで降温し、24mmolのオレイン酸亜鉛と、6mLのセレン-トリオクチルホスフィン(2mmol/mL)とを加えて反応し、リン化インジウムナノ結晶に被覆されたZnSeシェルを獲得し、次に6mLの硫黄-トリオクチルホスフィン(2mmol/mL)を加えて反応し、ZnSeシェルに被覆されたZnSシェルを得た。
S4、反応が終了し、分離して精製し、リン化インジウムナノ結晶17を得た。
【0138】
実施例14
赤色蛍光リン化インジウムナノ結晶18の製造:
S1、リン化インジウムナノ結晶コア溶液を取得する:不活性ガス雰囲気において、1mmolのInCl3と、20mLのオレイルアミンと、1mmolのK-O-C≡Pとを混合し、140℃で30min反応し、リン化インジウムナノ結晶コア溶液を得た。
S2、リン化インジウムナノ結晶コアを成長させる:S1のリン化インジウムナノ結晶コア溶液を10分内に340℃まで昇温し、30min維持した。
S3、310℃まで降温し、24mmolのオレイン酸亜鉛と、6mLのセレン-トリオクチルホスフィン(2mmol/mL)とを加えて反応し、リン化インジウムナノ結晶に被覆されたZnSeシェルを獲得し、次に6mLの硫黄-トリオクチルホスフィン(2mmol/mL)を加えて反応し、ZnSeシェルに被覆されたZnSシェルを得た。
S4、反応が終了し、分離して精製し、リン化インジウムナノ結晶18を得た。
【0139】
比較例5
リン化インジウムナノ結晶19の製造:
S1、リン化インジウムナノ結晶コア溶液を取得する:1mmolのInCl3と、5mmolのZnCl2と、10mLのオレイルアミンとを混合して加熱反応し、真空引きした後に不活性ガスを入れ、4mmolのトリス(ジエチルアミノ)ホスフィンを300℃で加え、60min反応し、リン化インジウムナノ結晶コア溶液を得た。
S2、リン化インジウムナノ結晶コアにシェル層を被覆する:S1のリン化インジウムナノ結晶コア溶液に6mmolのステアリン酸亜鉛のオクタデセン溶液を加え、次に6mmolのトリオクチルホスフィンスルフィド溶液を加え、60min反応し、リン化インジウムナノ結晶19を得た。
【0140】
比較例6
赤色蛍光リン化インジウムナノ結晶20の製造:
S1、リン化インジウムナノ結晶コア溶液を取得する:不活性ガス雰囲気において、1mmolのInCl3と、1mmolのZnCl2と、20mLのオレイルアミンと、1mmolのNa-O-C≡Pとを混合し、10分で340℃まで昇温し、30min維持した。
S2、310℃まで降温し、24mmolのオレイン酸亜鉛と、6mLのセレン-トリオクチルホスフィン(2mmol/mL)とを加えて反応し、リン化インジウムナノ結晶に被覆されたZnSeシェルを獲得し、次に6mLの硫黄-トリオクチルホスフィン(2mmol/mL)を加えて反応し、ZnSeシェルに被覆されたZnSシェルを得た。
S3、反応が終了し、分離して精製し、リン化インジウムナノ結晶20を得た。
【0141】
比較例7
赤色蛍光リン化インジウムナノ結晶21の製造:
S1、リン化インジウムナノ結晶コア溶液を取得する:不活性ガス雰囲気において、1mmolのInCl3と、1mmolのZnCl2と、20mLのオレイルアミンと、4mmolのトリス(ジエチルアミノ)ホスフィンとを混合し、140℃で30min反応し、リン化インジウムナノ結晶コア溶液を得た。
S2、リン化インジウムナノ結晶コアを成長させる:S1のリン化インジウムナノ結晶コア溶液を10分内に340℃まで昇温し、30min維持した。
S3、310℃まで降温し、24mmolのオレイン酸亜鉛と、6mLのセレン-トリオクチルホスフィン(2mmol/mL)とを加えて反応し、リン化インジウムナノ結晶に被覆されたZnSeシェルを獲得し、次に6mLの硫黄-トリオクチルホスフィン(2mmol/mL)を加えて反応し、ZnSeシェルに被覆されたZnSシェルを得た。
S4、反応が終了し、分離して精製し、リン化インジウムナノ結晶21を得た。
【0142】
テスト特徴付け:実施例7~実施例14で得られた赤色蛍光リン化インジウムナノ結晶、及び比較例5~比較例7で得られたリン化インジウムナノ結晶をそれぞれトルエン溶液に分散させ、それらの蛍光スペクトル及び蛍光量子収率をテストする。具体的なテスト結果を以下の表に示す。
【0143】
【0144】
以上の表に基づいて分かるように、本願のリン化インジウムナノ結晶は、比較例と比較して、蛍光発光ピークの半値幅が小さく、蛍光量子収率が高く、それにより、本願の製造方法によって取得されたリン化インジウムナノ結晶が優れた発光性能を有することが証明され、リン化インジウムナノ結晶の適用範囲を広げる。
【0145】
リン化インジウムナノ結晶の製造
実施例15
リン化インジウムナノ結晶コアは、In、P、Liの3種の元素で構成され、シェルは、ZnSeとZnSとで構成される二重シェル層である。
リン化インジウムナノ結晶の製造過程は、以下のとおりである。
S1、0.5mmolの塩化インジウムと、0.75mmolのLi-O-C≡Pと、10mLのオレイルアミンとを25℃で混合し、第1の溶液系を得た。
S2、窒素ガスで排気した状態で第1の溶液系を180℃に加熱し、60min反応し、ナノ結晶コアを含む溶液系を得た。
S3、昇温し、24mmolのステアリン酸亜鉛と、6mLのセレン-トリオクチルホスフィン溶液(2mmol/mL)とを加えて反応し、ナノ結晶コアに被覆されたZnSeシェルを獲得し、次に6mLの硫黄-トリオクチルホスフィン溶液(2mmol/mL)を加えて反応し、ZnSeシェルに被覆されたZnSシェルを得た。
S4、反応が終了し、分離して精製し、ナノ結晶を得た。
【0146】
実施例16
リン化インジウムナノ結晶コアは、In、P、Naの3種の元素で構成され、シェルは、ZnSeとZnSとで構成される二重シェル層である。
リン化インジウムナノ結晶の製造過程は、以下のとおりである。
S1、0.5mmolの塩化インジウムと、0.75mmolのNa-O-C≡Pと、10mLのオレイルアミンとを25℃で混合し、第1の溶液系を得た。
S2、窒素ガスで排気した状態で第1の溶液系を180℃に加熱し、60min反応し、ナノ結晶コアを含む溶液系を得た。
S3、昇温し、24mmolのステアリン酸亜鉛と、6mLのセレン-トリオクチルホスフィン溶液(2mmol/mL)とを加えて反応し、ナノ結晶コアに被覆されたZnSeシェルを獲得し、次に6mLの硫黄-トリオクチルホスフィン溶液(2mmol/mL)を加えて反応し、ZnSeシェルに被覆されたZnSシェルを得た。
S4、反応が終了し、分離して精製し、ナノ結晶を得た。
【0147】
実施例17
リン化インジウムナノ結晶コアは、In、P、Znの3種の元素で構成され、シェルは、ZnSeとZnSとで構成される二重シェル層である。
リン化インジウムナノ結晶の製造過程は、以下のとおりである。
S1、0.5mmolの塩化インジウムと、0.75mmolのZn-(O-C≡P)2と、10mLのオレイルアミンとを25℃で混合し、第1の溶液系を得た。
S2、窒素ガスで排気した状態で第1の溶液系を180℃に加熱し、60min反応し、ナノ結晶コアを含む溶液系を得た。
S3、昇温し、24mmolのステアリン酸亜鉛と、6mLのセレン-トリオクチルホスフィン溶液(2mmol/mL)とを加えて反応し、ナノ結晶コアに被覆されたZnSeシェルを獲得し、次に6mLの硫黄-トリオクチルホスフィン溶液(2mmol/mL)を加えて反応し、ZnSeシェルに被覆されたZnSシェルを得た。
S4、反応が終了し、分離して精製し、ナノ結晶を得た。
【0148】
実施例18
リン化インジウムナノ結晶コアは、In、P、Gaの3種の元素で構成され、シェルは、ZnSeとZnSとで構成される二重シェル層である。
リン化インジウムナノ結晶の製造過程は、以下のとおりである。
S1、0.5mmolの塩化インジウムと、0.75mmolのGa-(O-C≡P)3と、10mLのオレイルアミンとを25℃で混合し、第1の溶液系を得た。
S2、窒素ガスで排気した状態で第1の溶液系を180℃に加熱し、60min反応し、ナノ結晶コアを含む溶液系を得た。
S3、昇温し、24mmolのステアリン酸亜鉛と、6mLのセレン-トリオクチルホスフィン溶液(2mmol/mL)とを加えて反応し、ナノ結晶コアに被覆されたZnSeシェルを獲得し、次に6mLの硫黄-トリオクチルホスフィン溶液(2mmol/mL)を加えて反応し、ZnSeシェルに被覆されたZnSシェルを得た。
S4、反応が終了し、分離して精製し、ナノ結晶を得た。
【0149】
実施例19
リン化インジウムナノ結晶コアは、In、P、Na、Znの4種の元素で構成され、シェルは、ZnSeとZnSとで構成される二重シェル層である。
リン化インジウムナノ結晶の製造過程は、以下のとおりである。
S1、0.5mmolの塩化インジウムと、4.0mmolの塩素化亜鉛と、0.75mmolのNa-O-C≡Pと、10mLのオレイルアミンとを30℃で混合し、第1の溶液系を得た。
S2、窒素ガスで排気した状態で第1の溶液系を180℃に加熱し、60min反応し、ナノ結晶コアを含む溶液系を得た。
S3、昇温し、24mmolの酢酸亜鉛と、6mLのセレン-トリオクチルホスフィン溶液(2mmol/mL)とを加えて反応し、ナノ結晶コアに被覆されたZnSeシェルを獲得し、次に6mLの硫黄-トリオクチルホスフィン溶液(2mmol/mL)を加えて反応し、ZnSeシェルに被覆されたZnSシェルを得た。
S4、反応が終了し、分離して精製し、ナノ結晶を得た。
【0150】
比較例8
リン化インジウムナノ結晶コアは、In、P、Liの3種の元素で構成され、シェルは、ZnSeとZnSとで構成される二重シェル層である。
リン化インジウムナノ結晶の製造過程は、以下のとおりである。
S1、0.15mmolの酢酸インジウムと、0.1mmolの酢酸リチウムと、0.1mmolのトリス(トリメチルシリル)ホスフェート(1mLのTOPに分散された)と、0.3mmolのミリスチン酸と、10mLのオクタデセンとを混合し、窒素ガスで排気した状態において、180℃に保温しながら60min反応し、ナノ結晶コアを含む溶液系を得た。
S2、昇温し、24mmolの酢酸亜鉛と、6mLのセレン-トリオクチルホスフィン溶液(2mmol/mL)とを加えて反応し、ナノ結晶コアに被覆されたZnSeシェルを獲得し、次に6mLの硫黄-トリオクチルホスフィン溶液(2mmol/mL)を加えて反応し、ZnSeシェルに被覆されたZnSシェルを得た。
S3、反応が終了し、分離して精製し、ナノ結晶を得た。
【0151】
比較例9
リン化インジウムナノ結晶コアは、In、P、Naの3種の元素で構成され、シェルは、ZnSeとZnSとで構成される二重シェル層である。
リン化インジウムナノ結晶の製造過程は、以下のとおりである。
S1、0.15mmolの酢酸インジウムと、0.1mmolの酢酸ナトリウムと、0.1mmolのトリス(トリメチルシリル)ホスフェート(1mLのTOPに分散された)と、0.3mmolのミリスチン酸と、10mLのオクタデセンとを混合し、窒素ガスで排気した状態において、180℃に保温しながら60min反応し、ナノ結晶コアを含む溶液系を得た。
S2、昇温し、24mmolの酢酸亜鉛と、6mLのセレン-トリオクチルホスフィン溶液(2mmol/mL)とを加えて反応し、ナノ結晶コアに被覆されたZnSeシェルを獲得し、次に6mLの硫黄-トリオクチルホスフィン溶液(2mmol/mL)を加えて反応し、ZnSeシェルに被覆されたZnSシェルを得た。
S3、反応が終了し、分離して精製し、ナノ結晶を得た。
【0152】
比較例10
リン化インジウムナノ結晶コアは、In、P、Znの3種の元素で構成され、シェルは、ZnSeとZnSとで構成される二重シェル層である。
リン化インジウムナノ結晶の製造過程は、以下のとおりである。
S1、0.15mmolの酢酸インジウムと、0.1mmolの酢酸亜鉛と、0.1mmolのトリス(トリメチルシリル)ホスフェート(1mLのTOPに分散された)と、0.3mmolのミリスチン酸と、10mLのオクタデセンとを混合し、窒素ガスで排気した状態において、180℃に保温しながら60min反応し、ナノ結晶コアを含む溶液系を得た。
S2、昇温し、24mmolの酢酸亜鉛と、6mLのセレン-トリオクチルホスフィン溶液(2mmol/mL)とを加えて反応し、ナノ結晶コアに被覆されたZnSeシェルを獲得し、次に6mLの硫黄-トリオクチルホスフィン溶液(2mmol/mL)を加えて反応し、ZnSeシェルに被覆されたZnSシェルを得た。
S3、反応が終了し、分離して精製し、ナノ結晶を得た。
【0153】
比較例11
リン化インジウムナノ結晶コアは、In、P、Gaの3種の元素で構成され、シェルは、ZnSeとZnSとで構成される二重シェル層である。
リン化インジウムナノ結晶の製造過程は、以下のとおりである。
S1、0.15mmolの酢酸インジウムと、0.1mmolの酢酸ガリウムと、0.1mmolのトリス(トリメチルシリル)ホスフェート(1mLのTOPに分散された)と、0.3mmolのミリスチン酸と、10mLのオクタデセンとを混合し、窒素ガスで排気した状態において、180℃に保温しながら60min反応し、ナノ結晶コアを含む溶液系を得た。
S2、昇温し、24mmolの酢酸亜鉛と、6mLのセレン-トリオクチルホスフィン溶液(2mmol/mL)とを加えて反応し、ナノ結晶コアに被覆されたZnSeシェルを獲得し、次に6mLの硫黄-トリオクチルホスフィン溶液(2mmol/mL)を加えて反応し、ZnSeシェルに被覆されたZnSシェルを得た。
S3、反応が終了し、分離して精製し、ナノ結晶を得た。
【0154】
図2は、実施例15において前記製造されるリン化インジウムナノ結晶の透過電子顕微鏡図であり、図から、リン化インジウムナノ結晶のサイズが3.5ナノメートルほどであることが見えた。
【0155】
図3は、実施例15におけるリン化インジウムナノ結晶の蛍光発光スペクトル図であり、蛍光発光ピークの波長が約527ナノメートルで、ピークの半値幅が約37ナノメートルであった。
【0156】
また、実施例15~実施例19、比較例8~比較例11でのリン化インジウムナノ結晶の蛍光性質をさらにテストする。テスト結果を以下の表に示す。
【0157】
【0158】
以上の表から分かるように、M-(O-C≡P)nを金属元素MとP元素の反応前駆体とする場合は、M前駆体及びP前駆体を単独で用いる場合に比べて、製造されるリン化インジウム量子ドットの発光ピークの波長があまり変わらないが、ピークの半値幅が明らかに減少し、量子収率が明らかに増加した。例えば、実施例15は、比較例8に比べて、ピークの半値幅が6ナノメートル減少し、量子収率が20%増加した。実施例16は、比較例9に比べて、ピークの半値幅が7ナノメートル減少し、量子収率が35%増加した。実施例17は、比較例10に比べて、ピークの半値幅が6ナノメートル減少し、量子収率が31%増加した。実施例18は、比較例11に比べて、ピークの半値幅が6ナノメートル減少し、量子収率が39%増加した。
【0159】
青緑色蛍光リン化インジウムナノ結晶の製造
実施例20
青緑色蛍光リン化インジウムナノ結晶1の製造:
S1、リン化インジウムナノ結晶コア溶液を取得する:不活性ガス雰囲気において、1mmolのInCl3と、5mmolのZnCl2と、25mLのオレイルアミンと、1mmolのNa-O-C≡Pとを混合し、120℃で60min反応し、リン化インジウムナノ結晶コア溶液を得た。
S2、リン化インジウムナノ結晶コアにシェル層を被覆する:S2-1において、120℃で、ステップS1のリン化インジウムナノ結晶コア溶液に10mmolのステアリン酸亜鉛を加え、30min反応し、第1の混合液を形成した。S2-2において、160℃まで昇温し、S2-1の第1の混合液に10mmolの硫黄のオレイルアミン溶液を加え、60min反応し、青緑色蛍光リン化インジウムナノ結晶1を得た。
【0160】
実施例21
青緑色蛍光リン化インジウムナノ結晶2の製造:
S1、リン化インジウムナノ結晶コア溶液を取得する:不活性ガス雰囲気において、1mmolのInCl3と、5mmolのZnCl2と、25mLのオレイルアミンと、1mmolのNa-O-C≡Pとを混合し、120℃で60min反応し、リン化インジウムナノ結晶コア溶液を得た。
S2、リン化インジウムナノ結晶コアにシェル層を被覆する:S2-1において、120℃で、ステップS1のリン化インジウムナノ結晶コア溶液に8mmolのステアリン酸亜鉛を加え、30min反応し、第1の混合液を形成した。S2-2において、160℃まで昇温し、S2-1の第1の混合液に4mmolのセレン化トリオクチルホスフィン溶液と4mmolのトリオクチルホスフィンスルフィド溶液とを加え、30min反応し、第2の混合液を形成した。S2-3において、200℃まで昇温し、S2-2の第2の混合液に6mmolの酢酸亜鉛を加え、次に6mmolの1-ドデカンチオールを加え、60min反応した。S2-4において、反応系の温度を向上させ、ZnSシェル層の成長を3回行い、青緑色蛍光リン化インジウムナノ結晶2を得た。
【0161】
実施例22
青緑色蛍光リン化インジウムナノ結晶3の製造:
S1、リン化インジウムナノ結晶コア溶液を取得する:不活性ガス雰囲気において、1mmolのInCl3と、10mmolのZnCl2と、25mLのオレイルアミンと、1mmolのNa-O-C≡Pとを混合し、120℃で60min反応し、リン化インジウムナノ結晶コア溶液を得た。
S2、リン化インジウムナノ結晶コアにシェル層を被覆する:S2-1において、120℃で、ステップS1のリン化インジウムナノ結晶コア溶液に12mmolのジエチル亜鉛を加え、30min反応し、第1の混合液を形成した。S2-2において、160℃まで昇温し、S2-1の第1の混合液に12mmolのセレンのオレイルアミン溶液を加え、30min反応し、第2の混合液を形成した。S2-3において、180℃まで昇温し、S2-2の第2の混合液に6mmolのオレイン酸亜鉛を加え、次に6mmolの1-ドデカンチオールを加え、60min反応した。S2-4において、反応系の温度を徐々に向上させ、ZnSシェル層の成長を3回行い、青緑色蛍光リン化インジウムナノ結晶3を得た。
【0162】
実施例23
青緑色蛍光リン化インジウムナノ結晶4の製造:
リン化インジウムナノ結晶コアは、In、P、Naの3種の元素で構成され、シェル層は、ZnSである。
S1、リン化インジウムナノ結晶コア溶液を取得する:不活性ガス雰囲気において、1mmolのInCl3と、5mmolのZnCl2と、25mLのオレイルアミンと、1mmolのNa-O-C≡Pとを混合し、120℃で60min反応し、リン化インジウムナノ結晶コア溶液を得た。
S2、リン化インジウムナノ結晶コアにシェル層を被覆する:S2-1において、120℃で、ステップS1のリン化インジウムナノ結晶コア溶液に10mmolのステアリン酸亜鉛を加え、30min反応し、第1の混合液を形成した。S2-2において、160℃まで昇温し、S2-1の第1の混合液に10mmolの硫黄のオレイルアミン溶液を加え、60min反応した。
S2-3、240℃まで昇温し、24mmolの酢酸亜鉛を加え、12mLの硫黄-トリオクチルホスフィン溶液(2mmol/mL)を加えて反応し、ZnSシェルに被覆されたZnSシェルを得た。
S2-4、反応が終了し、分離して精製し、青緑色蛍光リン化インジウムナノ結晶4を得た。
【0163】
実施例24
青緑色蛍光リン化インジウムナノ結晶5の製造:
リン化インジウムナノ結晶コアは、In、P、Kの3種の元素で構成され、シェル層は、ZnSである。
S1、リン化インジウムナノ結晶コア溶液を取得する:不活性ガス雰囲気において、1mmolのInCl3と、5mmolのZnCl2と、25mLのオレイルアミンと、1mmolのK-O-C≡Pとを混合し、120℃で60min反応し、リン化インジウムナノ結晶コア溶液を得た。
S2、リン化インジウムナノ結晶コアにシェル層を被覆する:S2-1において、120℃で、ステップS1のリン化インジウムナノ結晶コア溶液に10mmolのステアリン酸亜鉛を加え、30min反応し、第1の混合液を形成した。S2-2において、160℃まで昇温し、S2-1の第1の混合液に10mmolの硫黄のオレイルアミン溶液を加え、60min反応した。
S2-3、240℃まで昇温し、24mmolの酢酸亜鉛を加え、12mLの硫黄-トリオクチルホスフィン溶液(2mmol/mL)を加えて反応し、ZnSシェルに被覆されたZnSシェルを得た。
S2-4、反応が終了し、分離して精製し、青緑色蛍光リン化インジウムナノ結晶5を得た。
【0164】
実施例25
青緑色蛍光リン化インジウムナノ結晶6の製造:
リン化インジウムナノ結晶コアは、In、P、Naの3種の元素で構成され、第1のシェル層は、ZnSeSで、第2のシェル層は、ZnSである。
S1、リン化インジウムナノ結晶コア溶液を取得する:不活性ガス雰囲気において、1mmolのInCl3と、5mmolのZnCl2と、25mLのオレイルアミンと、1mmolのNa-O-C≡Pとを混合し、120℃で60min反応し、リン化インジウムナノ結晶コア溶液を得た。
S2、リン化インジウムナノ結晶コアにシェル層を被覆する:S2-1において、120℃で、ステップS1のリン化インジウムナノ結晶コア溶液に8mmolのステアリン酸亜鉛を加え、30min反応し、第1の混合液を形成した。S2-2において、160℃まで昇温し、S2-1の第1の混合液に4mmolのセレン化トリオクチルホスフィン溶液と4mmolのトリオクチルホスフィンスルフィド溶液とを加え、30min反応し、第2の混合液を形成した。
S2-3、240℃まで昇温し、S2-2の第2の混合液に6mmolの酢酸亜鉛を加え、次に6mmolの1-ドデカンチオールを加え、60min反応した。
S2-4、反応が終了し、分離して精製し、青緑色蛍光リン化インジウムナノ結晶6を得た。
【0165】
実施例26
青緑色蛍光リン化インジウムナノ結晶7の製造:
リン化インジウムナノ結晶コアは、In、P、Kの3種の元素で構成され、第1のシェル層は、ZnSeSで、第2のシェル層は、ZnSである。
S1、リン化インジウムナノ結晶コア溶液を取得する:不活性ガス雰囲気において、1mmolのInCl3と、5mmolのZnCl2と、25mLのオレイルアミンと、1mmolのNa-O-C≡Pとを混合し、120℃で60min反応し、リン化インジウムナノ結晶コア溶液を得た。
S2、リン化インジウムナノ結晶コアにシェル層を被覆する:S2-1において、120℃で、ステップS1のリン化インジウムナノ結晶コア溶液に8mmolのステアリン酸亜鉛を加え、30min反応し、第1の混合液を形成した。S2-2において、160℃まで昇温し、S2-1の第1の混合液に4mmolのセレン化トリオクチルホスフィン溶液と4mmolのトリオクチルホスフィンスルフィド溶液とを加え、30min反応し、第2の混合液を形成した。
S2-3、240℃まで昇温し、S2-2の第2の混合液に6mmolの酢酸亜鉛を加え、次に6mmolの1-ドデカンチオールを加え、60min反応した。
S2-4、反応が終了し、分離して精製し、青緑色蛍光リン化インジウムナノ結晶7を得た。
【0166】
比較例12
S1、リン化インジウムナノ結晶コア溶液を取得する:不活性ガス雰囲気において、1mmolのInCl3と、8mmolのZnI2と、25mLのオレイルアミンと、1mmolのNa-O-C≡Pとを混合し、120℃で60min反応し、リン化インジウムナノ結晶コア溶液を得た。
S2、リン化インジウムナノ結晶コアにシェル層を被覆する:240℃で、ステップS1のリン化インジウムナノ結晶コア溶液に6mmolのステアリン酸亜鉛のオクタデセン溶液を加え、次に6mmolのトリオクチルホスフィンスルフィド溶液を加え、60min反応した。
S3、反応が終了し、分離して精製し、ナノ結晶30を得た。
【0167】
比較例13
S1、リン化インジウムナノ結晶コア溶液を取得する:不活性ガス雰囲気において、1mmolのInCl3と、8mmolのZnI2と、25mLのオレイルアミンと、1mmolのK-O-C≡Pとを混合し、120℃で60min反応し、リン化インジウムナノ結晶コア溶液を得た。
S2、リン化インジウムナノ結晶コアにシェル層を被覆する:240℃で、ステップS1のリン化インジウムナノ結晶コア溶液に6mmolのステアリン酸亜鉛のオクタデセン溶液を加え、次に6mmolのトリオクチルホスフィンスルフィド溶液を加え、60min反応した。
S3、反応が終了し、分離して精製し、ナノ結晶31を得た。
【0168】
比較例14
S1、リン化インジウムナノ結晶コア溶液を取得する:不活性ガス雰囲気において、1mmolのInCl3と、8mmolのZnI2と、25mLのオレイルアミンと、4mmolのトリス(ジエチルアミノ)ホスフィン混合とを混合し、120℃で60min反応し、リン化インジウムナノ結晶コア溶液を得た。
S2、リン化インジウムナノ結晶コアにシェル層を被覆する:240℃で、ステップS1のリン化インジウムナノ結晶コア溶液に6mmolのステアリン酸亜鉛のオクタデセン溶液を加え、次に6mmolのトリオクチルホスフィンスルフィド溶液を加え、60min反応した。
S3、反応が終了し、分離して精製し、ナノ結晶を得た。
【0169】
テスト特徴付け:実施例20~実施例26で得られた青緑色蛍光リン化インジウムナノ結晶、及び比較例12~比較例14で取得されたリン化インジウムナノ結晶をそれぞれトルエン溶液に分散させ、それらの蛍光スペクトル及び蛍光量子収率をテストする。具体的なテスト結果を以下の表に示す。
【0170】
【0171】
以上の表に基づいて分かるように、本願は、蛍光量子収率が高い青緑色蛍光リン化インジウムナノ結晶を成功的に製造することができ、それにより、本願の製造方法で取得された青緑色蛍光リン化インジウムナノ結晶が優れた発光性能を有することが証明され、それにより、リン化インジウムナノ結晶の適用範囲を広げる。
【0172】
発明者は本願の技術案をより詳細に説明して列挙したが、上記の実施形態に対して、修正及び/又は変更を行ったり、同等の代替案を用いたりすることは当業者とって明らかであり、本出願の精神の要旨から逸脱しないことが理解されるべきである。本出願に出現した用語は、本出願の技術案を説明して理解するためのものであり、本出願を限定するものではない。