(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-09
(45)【発行日】2024-04-17
(54)【発明の名称】着色感光性組成物およびそれから形成される着色パターン
(51)【国際特許分類】
G03F 7/038 20060101AFI20240410BHJP
G03F 7/004 20060101ALI20240410BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20240410BHJP
C08F 265/00 20060101ALI20240410BHJP
C08F 212/04 20060101ALI20240410BHJP
C08F 257/00 20060101ALI20240410BHJP
C08F 2/50 20060101ALI20240410BHJP
C08F 220/06 20060101ALI20240410BHJP
C08F 220/32 20060101ALI20240410BHJP
【FI】
G03F7/038 503
G03F7/004 505
G03F7/004 502
G02B5/20 101
C08F265/00
C08F212/04
C08F257/00
C08F2/50
C08F220/06
C08F220/32
(21)【出願番号】P 2022126231
(22)【出願日】2022-08-08
【審査請求日】2022-08-08
(31)【優先権主張番号】10-2021-0109199
(32)【優先日】2021-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】503454506
【氏名又は名称】東友ファインケム株式会社
【氏名又は名称原語表記】DONGWOO FINE-CHEM CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】132, YAKCHON-RO, IKSAN-SI, JEOLLABUK-DO 54631, REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ 龍虎
(72)【発明者】
【氏名】尹 貞玉
(72)【発明者】
【氏名】安 菩恩
【審査官】川口 真隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-210892(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/038
G03F 7/004
G02B 5/20
C08F 265/00
C08F 212/04
C08F 257/00
C08F 2/50
C08F 220/06
C08F 220/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される第1の繰り返し単位および下記化学式2で表される第2の繰り返し単位を有するバインダー樹脂と、
着色剤と、
光重合性化合物と、
光重合開始剤と、
溶剤とを含む、着色感光性組成物。
【化1】
(化学式1中、R
1~R
5はそれぞれ独立して、水素
または炭素数1~10のアルキル
基であり、
R
6は、水素またはメチル基である。)
【化2】
(化学式2中、R
7~R
15は、それぞれ独立して水
素または炭素数1~10のアルコキシ基であり、
R
16は、水素またはメチル基である。)
【請求項2】
前記組成物固形分の全重量に対して、
前記バインダー樹脂5~80重量%と、
前記着色剤10~60重量%と、
前記光重合性化合物5~50重量%と、
前記光重合開始剤0.1~10重量%とを含む、請求項1に記載の着色感光性組成物。
【請求項3】
前記組成物固形分の全重量に対して、酸化防止剤を含む添加剤0.01~10重量%をさらに含む、請求項2に記載の着色感光性組成物。
【請求項4】
前記バインダー樹脂は、カルボン酸単量体に由来する第3の繰り返し単位をさらに有する、請求項1に記載の着色感光性組成物。
【請求項5】
前記第3の繰り返し単位は、前記カルボン酸単量体と結合または共重合可能な反応性単量体に由来する単位をさらに含む、請求項4に記載の着色感光性組成物。
【請求項6】
前記カルボン酸単量体は、(メタ)アクリル酸を含み、前記反応性単量体は、グリシジル(メタ)アクリレートを含む、請求項5に記載の着色感光性組成物。
【請求項7】
前記バインダー樹脂は、前記バインダー樹脂の全重量に対して、前記第1の繰り返し単位10~80重量%、前記第2の繰り返し単位10~50重量%、および前記第3の繰り返し単位10~70重量%を含む、請求項4に記載の着色感光性組成物。
【請求項8】
前記バインダー樹脂は、前記バインダー樹脂の全重量に対して、前記第1の繰り返し単位20~70重量%、前記第2の繰り返し単位10~30重量%、および前記第3の繰り返し単位20~70重量%を含む、請求項4に記載の着色感光性組成物。
【請求項9】
前記光重合性化合物は、2官能以上の(メタ)アクリレート系化合物を含む、請求項1に記載の着色感光性組成物。
【請求項10】
請求項1に記載の着色感光性組成物から形成される着色パターン。
【請求項11】
請求項10に記載の前記着色パターンを含むカラーフィルタ。
【請求項12】
相補性金属酸化膜半導体イメージセンサー(CIS)に適用される、請求項11に記載のカラーフィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着色感光性組成物およびそれから形成される着色パターンに関する。より詳細には、バインダー樹脂および着色剤を含む着色感光性組成物、並びにそれから形成される着色パターンに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、カラーフィルタは、液晶ディスプレイ(LCD)装置または白色有機発光ダイオード(White-OLED)ディスプレイ装置の上部に配置され、画素ごとの所望の色を実現するために配置される。カラーフィルタは、ブラックマトリックスおよびRGB画素に対応する着色パターンを含むことができる。
【0003】
前記着色パターンは、ディスプレイ装置の画素サイズに対応するサイズで、微細パターニング工程によって形成することができる。これにより、前記着色パターンは、着色剤と共に微細パターニング可能な感光性バインダー樹脂を含むことができる。
【0004】
例えば、前記バインダー樹脂および着色剤を含む感光性組成物を基板上に形成した後、露光及び現像工程によってカラーフィルタの着色パターンを形成することができる。
【0005】
カラーフィルタは、高解像度の撮像素子にも含まれ得る。例えば、CMOSイメージセンサー(CIS)に採用されるカラーフィルタでは、より微細なピッチの高解像度の着色パターンが採用される。
【0006】
そのため、前記着色パターンに必要なパターン形状の均一性、直進性が高解像度の微細ピッチでも維持されなければならず、通常のLCDカラーフィルタ用感光性組成物を用いる場合には、前述した高信頼性の微細ピッチのパターン特性が確保されないことがある。
【0007】
例えば、韓国公開特許10-2021-0087470号公報では、アクリル系バインダー樹脂および着色剤を含む着色組成物を開示しているが、前述の十分な高解像度の信頼性は提供していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】韓国公開特許第10-2021-0087470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、向上したパターン特性および信頼性を有する着色感光性組成物を提供することである。
【0010】
本発明の課題は、前記感光性組成物から形成され、向上したパターン特性および信頼性を有する着色パターンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
1.下記化学式1で表される第1の繰り返し単位および下記化学式2で表される第2の繰り返し単位を有するバインダー樹脂と、着色剤と、光重合性化合物と、光重合開始剤と、溶剤とを含む、着色感光性組成物。
【化1】
(化学式1中、R
1~R
5は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、炭素数1~10のアルキル基または炭素数1~10のアルコキシ基であり、R
6は、水素またはメチル基である。)
【化2】
(化学式2中、R
7~R
15は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、炭素数1~10のアルキル基または炭素数1~10のアルコキシ基であり、R
16は、水素またはメチル基である。)
【0012】
2.前記項目1において、前記組成物固形分の全重量に対して、
前記バインダー樹脂5~80重量%と、前記着色剤10~60重量%と、前記光重合性化合物5~50重量%と、前記光重合開始剤0.1~10重量%とを含む、着色感光性樹脂組成物。
【0013】
3.前記項目2において、前記組成物固形分の全重量に対して、酸化防止剤を含む添加剤0.01~10重量%をさらに含む、着色感光性組成物。
【0014】
4.前記項目1において、前記バインダー樹脂は、カルボン酸単量体に由来する第3の繰り返し単位をさらに有する、着色感光性組成物。
【0015】
5.前記項目4において、前記第3の繰り返し単位は、前記カルボン酸単量体と結合または共重合可能な反応性単量体に由来する単位をさらに含む、着色感光性組成物。
【0016】
6.前記項目5において、前記カルボン酸単量体は、(メタ)アクリル酸を含み、前記反応性単量体は、グリシジル(メタ)アクリレートを含む、着色感光性組成物。
【0017】
7.前記項目4において、前記バインダー樹脂は、前記バインダー樹脂の全重量に対して、前記第1の繰り返し単位10~80重量%、前記第2の繰り返し単位10~50重量%、および前記第3の繰り返し単位10~70重量%を含む、着色感光性組成物。
【0018】
8.前記項目4において、前記バインダー樹脂は、前記バインダー樹脂の全重量に対して、前記第1の繰り返し単位20~70重量%、前記第2の繰り返し単位10~30重量%、および前記第3の繰り返し単位20~70重量%を含む、着色感光性組成物。
【0019】
9.前記項目1において、前記光重合性化合物は、2官能以上の(メタ)アクリレート系化合物を含む、着色感光性組成物。
【0020】
10.前述の実施形態の着色感光性組成物から形成される着色パターン。
【0021】
11.前記着色パターンを含むカラーフィルタ。
【0022】
12.前記項目11において、相補性金属酸化膜半導体イメージセンサー(CIS)用途のカラーフィルタ。
【発明の効果】
【0023】
本発明の実施形態による着色感光性組成物は、ビニルトルエンまたはその誘導体に由来する第1の繰り返し単位と、フェノキシベンジルアクリレートまたはその誘導体に由来する第2の繰り返し単位とを有するバインダー樹脂を含むことができる。例えば、前記第1の繰り返し単位からパターン直進性および機械的信頼性を向上させることができ、前記第2の繰り返し単位からパターン残渣が低減または除去された高解像度特性を向上させることができる。
【0024】
これにより、例えば、アンモニウムヒドロキシド系の強塩基現像液を使用する高解像度の微細パターニング工程においても、十分なパターン安定性を有する微細ピッチの着色パターンを得ることができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、前記バインダー樹脂は、非芳香族二重結合側鎖を有する第3の繰り返し単位をさらに有し、前記第3の繰り返し単位によってパターンの硬化性、現像性をより向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施形態は、芳香族ユニットを含む互いに異なる第1及び第2の繰り返し単位を有するバインダー樹脂と、着色剤とを含む着色感光性組成物を提供するものである。
【0027】
また、本発明の実施形態は、前記着色感光性組成物を使用して形成される着色パターンおよびカラーフィルタを提供するものである。
【0028】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
<着色感光性組成物>
バインダー樹脂
例示的な実施形態による着色感光性樹脂組成物に含まれるバインダー樹脂は、着色パターンの機械的耐久性およびパターン形成特性を提供することができる。前記バインダー樹脂により、着色パターンのマトリックスを提供することができる。また、前記バインダー樹脂により、感光特性を提供することができる。例えば、前記バインダー樹脂は、アルカリ可溶性樹脂で提供することができる。
【0029】
一実施形態では、前記バインダー樹脂は、ネガ型のアルカリ可溶性樹脂であってもよい。
【0030】
例示的な実施形態によると、前記バインダー樹脂は、下記化学式1で表される第1の繰り返し単位と、下記化学式2で表される第2の繰り返し単位とを有することができる。
【0031】
【化3】
化学式1中、R
1~R
5は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、炭素数1~10のアルキル基または炭素数1~10のアルコキシ基であってもよい。R
6は、水素またはメチル基であってもよい。
【0032】
【化4】
化学式2中、R
7~R
15は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、炭素数1~10のアルキル基または炭素数1~10のアルコキシ基であってもよい。R
16は、水素またはメチル基であってもよい。
【0033】
前記第1の繰り返し単位は、着色パターンの形状信頼性、機械的耐久性を考慮して含むことができる。例えば、前記第1の繰り返し単位により、着色パターン側壁の直進性が向上し、所望の断面形状の着色パターンを均一に形成することができる。
【0034】
前記第2の繰り返し単位は、着色感光性樹脂組成物の高解像度特性、微細パターニング特性などを向上させることができる。例えば、前記第2の繰り返し単位では、エーテル結合によって2つのベンゼン環単位が回転可能に結合することができる。前記結合構造の特性により、基板の非露光領域における非露光部を現像液によってきれいに除去することができる。これにより、微細ピッチの露光部の間にパターンまたは樹脂の残渣がなく、きれいな着色パターンを得ることができる。
【0035】
前述の面を考慮して、バインダー樹脂中の前記第1の繰り返し単位および前記第2の繰り返し単位の含有量を調整することができる。
【0036】
前記範囲内では、前記第1の繰り返し単位によるパターン安定性および前記第2の繰り返し単位による残渣の改善、高解像度特性の向上をより効率よく実現することができる。
【0037】
前記第1の繰り返し単位の含有量は、前記第1の繰り返し単位を生成する第1の単量体の含有量と実質的に同じであってもよい。前記第2の繰り返し単位の含有量は、前記第2の繰り返し単位を生成する第2の単量体の含有量と実質的に同じであってもよい。
【0038】
例示的な実施形態によると、前記第1の単量体は、ビニルトルエンまたはその誘導体を含むことができる。前記第2の単量体は、フェノキシベンジル(メタ)アクリレートまたはその誘導体を含むことができる。
【0039】
いくつかの実施形態では、カルボン酸単量体に由来する第3の繰り返し単位をさらに有することができる。
【0040】
例えば、前記カルボン酸単量体は、不飽和モノカルボン酸または不飽和ジカルボン酸を含むことができる。例えば、前記カルボン酸単量体は、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などを含むことができる。これらは単独でまたは2以上を組み合わせて使用することができる。
【0041】
いくつかの実施形態では、前記第3の繰り返し単位は、前記カルボン酸単量体、および前記カルボン酸単量体と結合または共重合可能な反応性単量体に由来するものであってもよい。
【0042】
前記反応性単量体は、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル化合物;メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレートなどの不飽和カルボキシレート化合物;アミノエチルアクリレートなどの不飽和アミノアルキルカルボキシレート化合物;グリシジルメタクリレートなどの不飽和グリシジルカルボキシレート化合物;ビニルアセテート、ビニルプロピオネートなどのビニルカルボキシレート化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α-クロロアクリロニトリルなどのシアン化ビニル(vinyl cyanide)化合物;3-メチル-3-アクリルオキシメチルオキセタン、3-メチル-3-メタクリルオキシメチルオキセタン、3-エチル-3-アクリルオキシメチルオキセタン、3-エチル-3-メタクリルオキシメチルオキセタン、3-メチル-3-アクリルオキシエチルオキセタン、3-メチル-3-メタクリルオキシエチルオキセタン、3-メチル-3-アクリルオキシエチルオキセタン、および3-メチル-3-メタクリルオキシエチルオキセタンなどの不飽和オキセタンカルボキシレート化合物などが挙げられる。これらは単独でまたは2以上を組み合わせて使用することができる。
【0043】
好ましい一実施形態では、前記第3の繰り返し単位は、(メタ)アクリル酸およびグリシジル(メタ)アクリレートに由来する繰り返し単位を含むことができる。例えば、前記第3の繰り返し単位は、(メタ)アクリル酸およびグリシジル(メタ)アクリレートのそれぞれに由来する単位を含むか、またはグリシジル(メタ)アクリレートが(メタ)アクリル酸由来の単位に結合した構造を含むことができる。
【0044】
前記第3の繰り返し単位により、前記バインダー樹脂の現像性が向上し、組成物または着色パターンの基材との密着性を向上させることができる。
【0045】
本出願で使用される用語「(メタ)アクリル-」とは、「メタクリル-」、「アクリル-」、またはその両方を指すものとして使用される。
【0046】
いくつかの実施形態では、前記バインダー樹脂の全重量に対して、前記第1の繰り返し単位の含有量は10~80重量%、前記第2の繰り返し単位の含有量は10~50重量%、前記第3の繰り返し単位の含有量は10~70重量%であってもよい。
【0047】
好ましい一実施形態では、前記第1の繰り返し単位の含有量は20~70重量%、前記第2の繰り返し単位の含有量は10~30重量%、前記第3の繰り返し単位の含有量は20~70重量%であってもよい。
【0048】
いくつかの実施形態では、前記第1の繰り返し単位の含有量は、前記第2の繰り返し単位の含有量よりも大きくてもよい。この場合には、着色パターンの機械的強度およびパターンの直進性をより効果的に確保できる。
【0049】
前述した繰り返し単位の含有量は、当該繰り返し単位が由来する単量体の重量比から換算することができる。
【0050】
前記範囲内では、前記第1の繰り返し単位によるパターン特性/パターン安定性、前記第2の繰り返し単位による高解像度のパターニング特性、残渣の改善、および前記第3の繰り返し単位による現像性、密着性をバランスよく向上させることができる。
【0051】
例えば、前記バインダー樹脂の酸価は、約40~100KOHmg/gであってもよい。前記バインダー樹脂の重量平均分子量(Mw)は、約7,000~150,000であってもよい。前記バインダー樹脂の二重結合当量は、約400~700g/molであってもよい。
【0052】
前記範囲内では、前記バインダー樹脂による着色パターンの機械的安定性および現像特性を容易に確保することができる。
【0053】
前記バインダー樹脂は、着色感光性樹脂組成物中の全固形分100重量%に対して、5~80重量%、好ましくは10~70重量%、より好ましくは10~40重量%含むことができる。前記範囲内では、パターン安定性を確保し、解像度および残膜特性を向上させることができる。
【0054】
本出願で使用される用語「固形分」とは、着色感光性樹脂組成物の溶剤を除いた残りの成分を意味する。
【0055】
着色剤
前記着色感光性組成物は、カラーフィルタに使用される顔料または染料系の着色剤を特に制限なく含むことができる。
【0056】
例えば、前記着色剤は、有機顔料、無機顔料、有機染料及び/又は無機染料を含むことができ、ミルベース(millbase)の形態で使用することができる。前記有機顔料及び/又は有機染料は、合成色素または天然色素を含むことができる。前記有機顔料は、ロジン処理、酸性基又は塩基性基が導入された顔料誘導体による表面処理、重合体化合物によるグラフト処理、硫酸微細粒子などによる微細粒子処理、不純物の除去のための洗浄処理を行うこともできる。
【0057】
好ましくは、高解像度、微細ピッチの着色パターンにおける着色特性を考慮して、前記無機顔料を着色剤として使用することができる。前記無機顔料は、金属酸化物、金属錯塩、硫酸バリウムのような無機塩を含むことができる。
【0058】
前記顔料および染料は、カラーインデックス(Color Index、出版社:The Society of Dyers and Colourists)で分類されている化合物を含むことができる。例えば、以下の化合物を単独でまたは2以上組み合わせて使用することができる。
【0059】
前記顔料の非限定的な例は、以下の通りである。
C.I.ピグメントイエロー1、12、13、14、15、16、17、20、24、31、53、83、86、93、94、109、110、117、125、128、137、138、139、147、148、150、153、154、166、173
C.I.ピグメントオレンジ13、31、36、38、40、42、43、51、55、59、61、64、65、71、73
C.I.ピグメントレッド9、97、105、122、123、144、149、166、168、176、177、180、192、215、216、224、242、254、264、265
C.I.ピグメントブルー15、15:3、15:4、15:6、60
C.I.ピグメントバイオレット1、19、23、29、32、36、38
C.I.ピグメントグリーン7、36
C.I.ピグメントブラウン23、25
【0060】
前記染料の非限定的な例は、以下の通りである。
C.I.ソルベントイエロー2、14、16、33、34、44、56、82、93、94、98、116、135
C.I.ソルベントオレンジ1、3、7、63
C.I.ソルベントレッド1、2、3、8、18、23、24、27、35、43、45、48、49、91:1、119、135、140、196、197
C.I.ソルベントバイオレット8、9、13、26、28、31、59
C.I.ソルベントブルー4、5、25、35、36、38、70
C.I.ソルベントグリーン3、5、7
【0061】
いくつかの実施形態では、前記着色剤の含有量は、前記着色感光性樹脂組成物の固形分100重量%に対して、10~60重量%、好ましくは10~50重量%であってもよい。前記範囲内では、加熱工程における着色剤の酸化を防止し、向上した着色特性を提供することができる。
【0062】
いくつかの実施形態では、前記顔料は顔料分散剤と併用することができる。顔料分散剤を顔料と共に添加することにより、顔料の凝集を抑制し、分散特性を向上させることができる。
【0063】
前記顔料分散剤の例としては、陽イオン系、陰イオン系、非イオン系、両性系、ポリエステル系、ポリアミン系などの界面活性剤などが挙げられる。
【0064】
例えば、前記顔料分散剤の含有量は、前記顔料の固形分の全重量に対して約5~50重量%であってもよい。前記範囲内では、粘度が増加しすぎることを抑制し、顔料の凝集および組成物のゲル化などを防止することができる。
【0065】
光重合性化合物
例示的な実施形態による着色感光性組成物は、光重合性化合物をさらに含み、着色パターンの硬化性をより向上させることができる。例えば、前記光重合性化合物は、後述する光重合開始剤により架橋され、硬化ネットワークを形成することができる。
【0066】
前記光重合性化合物は、単官能、2官能または3官能以上のエチレン性不飽和結合含有化合物(例えば、(メタ)アクリレート系化合物)を含むことができる。
【0067】
前記単官能エチレン性不飽和結合含有化合物の例としては、ノニルフェニルカルビトールアクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、2-エチルヘキシルカルビトールアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、N-ビニルピロリドンなどが挙げられる。
【0068】
前記2官能エチレン性不飽和結合含有化合物の例としては、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのビス(アクリロイルオキシエチル)エーテル、3-メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0069】
前記3官能以上のエチレン性不飽和結合含有化合物の例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0070】
これらは単独でまたは2以上を組み合わせて使用することができる。いくつかの実施形態では、前記光重合性化合物は、微細着色パターンの安定性を考慮して、2官能以上のエチレン性不飽和結合含有化合物を含むことができる。
【0071】
いくつかの実施形態では、前記光重合性化合物の含有量は、着色感光性組成物中の固形分100重量%に対して、約5~50重量%であってもよく、好ましくは5~30重量%であってもよい。前記範囲内では、着色パターンの強度および平滑性を向上しつつ、逆テーパーおよび残渣の発生を抑制することができる。
【0072】
光重合開始剤
光重合開始剤は、例えば、前述の光重合性化合物の架橋反応を誘導して硬化パターン特性を提供することができる。光重合開始剤は、前述のエチレン性不飽和結合含有化合物の架橋反応を誘導できる、当分野で広く使用されている化合物を含むことができる。
【0073】
前記光重合開始剤は、アセトフェノン系開始剤、ベンゾフェノン系開始剤、ベンゾイン系開始剤、チオキサントン系開始剤、トリアジン系開始剤、オキシム系開始剤などを含むことができる。
【0074】
前記アセトフェノン系開始剤の例としては、ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、ベンジルジメチルケタール、2-ヒドロキシ-1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-メチルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパン-1-オン、2-(4-メチルベンジル)-2-(ジメチルアミノ)-1-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オンなどが挙げられる。
【0075】
前記ベンゾイン系開始剤の例としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどが挙げられる。
【0076】
前記ベンゾフェノン系開始剤の例としては、ベンゾフェノン、4-フェニルベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルスルフィド、3,3’,4,4’-テトラ(tert-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0077】
前記チオキサントン系開始剤の例としては、2-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、および1-クロロ-4-プロポキシチオキサントンなどが挙げられる。
【0078】
前記トリアジン系開始剤の例としては、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシナフチル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-ピペロニル-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシスチリル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-[2-(5-メチルフラン-2-イル)エテニル]-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-[2-(フラン-2-イル)エテニル]-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-[2-(4-ジエチルアミノ-2-メチルフェニル)エテニル]-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-[2-(3,4-ジメトキシフェニル)エテニル]-1,3,5-トリアジンなどが挙げられる。
【0079】
前記オキシム系開始剤の例としては、o-エトキシカルボニル-α-オキシイミノ-1-フェニルプロパン-1-オンが挙げられ、市販品としては、BASF社のOXE-01、OXE-02などが挙げられる。
【0080】
一実施形態では、前記着色感光性組成物は、光重合開始助剤をさらに含むことができる。前記光重合開始助剤は、光重合性化合物の重合を促進し、光重合開始剤と共に使用することができる。
【0081】
例えば、前記光重合開始助剤は、アミン系開始助剤、アルコキシアントラセン系光重合開始助剤などを含むことができる。
【0082】
いくつかの実施形態では、前記光重合開始剤の含有量は、着色感光性組成物の固形分100重量%に対して、0.1~10重量%、好ましくは1~5重量%であってもよい。前記範囲内では、着色パターンの硬化性を向上しつつ、現像工程におけるパターンの脱落および過度の架橋反応によるシワの発生を防止することができる。
【0083】
その他の添加剤
いくつかの実施形態では、前記着色感光性組成物は、前述したバインダー樹脂の作用、および着色感光性組成物のパターン安定性/高解像度特性を阻害しない範囲で添加剤をさらに含むことができる。
【0084】
例えば、前記添加剤は、酸化防止剤または紫外線吸収剤、界面活性剤、密着促進剤、紫外線吸収剤などを含むことができる。
【0085】
前記酸化防止剤または紫外線吸収剤の例としては、ベンゾトリアゾール系化合物、アルキルフェノール系化合物、アルコキシベンゾフェノン系化合物、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤などが挙げられる。
【0086】
前記界面活性剤の例としては、シリコーン系界面活性剤またはフッ素系界面活性剤が挙げられる。
【0087】
前記密着促進剤の例としては、アルコキシシラン系化合物が挙げられる。
【0088】
例えば、前記添加剤は、前記着色感光性組成物の固形分100重量%に対して、0.01~10重量%、好ましくは0.01~5重量%の範囲内で含むことができる。
【0089】
溶剤
溶剤は、前述したバインダー樹脂に対する溶解性を有し、着色感光性組成物の塗布性を提供できる有機溶剤を含むことができる。
【0090】
例えば、エーテル系溶剤、アセテート系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤及び/又はエステル系溶剤を使用することができる。
【0091】
前記エーテル系溶剤の例としては、エチレングリコールモノアルキルエーテル系化合物、ジエチレングリコールジアルキルエーテル系化合物、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどが挙げられる。
【0092】
前記アセテート系溶剤の例としては、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、アルキルアセテート、アルコキシアルキルアセテート、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテートなどが挙げられる。
【0093】
前記芳香族炭化水素系溶剤の例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどが挙げられる。
【0094】
前記ケトン系溶剤の例としては、メチルエチルケトン、アセトン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどが挙げられる。
【0095】
前記アルコール系溶剤の例としては、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、グリセリン、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノンなどが挙げられる。
【0096】
前記溶剤の量は、前記バインダー樹脂の十分な溶解性および組成物の塗布性を考慮して適宜調整することができ、前記着色感光性組成物の残量として含むことができる。
【0097】
本出願で使用される用語「残量」は、可変的な量で加えられる成分、添加剤によって調整される開放的な意味で使用される。
【0098】
例示的な実施形態によると、着色感光性組成物は以下のようにして調製することができる。
【0099】
いくつかの実施形態では、前記着色剤を前記溶剤に溶解して着色溶液を準備することができる。前記着色溶液に前記バインダー樹脂、前記光重合性化合物および前記光重合開始剤を添加することにより、本発明の実施形態による感光性組成物を調製することができる。
【0100】
前記着色剤は、前記溶剤に溶解または分散させることができる。一実施形態では、前述の顔料分散剤を添加して、前記着色溶液をより容易に調製することができる。
【0101】
いくつかの実施形態では、前記溶剤に前記着色剤を溶解させた第1の溶液、及び前記溶剤に前記バインダー樹脂、前記光重合性化合物および前記光重合開始剤を混合した第2の溶液をそれぞれ調製することができる。前記第1の溶液および前記第2の溶液を混合し、前記着色感光性組成物を調製することができる。
【0102】
<着色パターン及びカラーフィルタ>
本発明の実施形態は、前述の着色感光性組成物から製造される着色パターン、および前記着色パターンを含むカラーフィルタを提供するものである。
【0103】
例えば、ガラス基板またはシリコンウェハーのような半導体基板上に、前述の例示的な実施形態による着色感光性組成物をコーティングすることで着色層を形成することができる。例えば、前記着色感光性組成物をスピンコート、スリットコート、インクジェットプリントなどによって基板上にコーティングした後、ソフトベーク(Soft-Bake)工程によって着色層を形成することができる。
【0104】
いくつかの実施形態では、前記半導体基板が活用される場合、電荷結合素子(CCD)または相補性金属酸化膜半導体イメージセンサー(CIS)などを前記半導体基板上に形成することができる。
【0105】
その後、前記着色層に対して露光および現像工程によってパターニングを行うことにより、着色パターンを形成することができる。これにより、前記着色パターンを含むカラーフィルタを製造することができる。
【0106】
例えば、フォトマスクおよび光源(例えば、gライン、iライン等)を活用して、前記着色層を選択的に露光することができる。その後、現像工程によって着色層の非露光部を除去し、着色パターンを形成することができる。着色パターンの機械的安定性を向上させるために、露光後ベーク(Post Exposure Baking:PEB)工程をさらに行うことができる。
【0107】
現像工程のための現像液としては、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)などのアルカリ化合物の水溶液を使用することができる。
【0108】
いくつかの実施形態では、前述の着色感光性組成物は、CISカラーフィルタ用に使用することができ、高解像度の着色パターンを形成するために、TMAHのようなアンモニウムヒドロキシド系の現像液を使用することができる。
【0109】
前述のように、前記着色感光性組成物は、ビニルトルエン由来の単位およびフェノキシベンジル(メタ)アクリレート由来の単位を共に含むことができる。これにより、アンモニウムヒドロキシド系の現像液のような強塩基溶液を使用する場合でも、微細ピッチのパターン現象を維持しつつ、パターン残渣を低減または抑制することができる。
【0110】
例えば、前記着色感光性組成物を用いて、約3μm以下、約2μm以下、または1μm以下の微細ピッチを有するCIS用カラーフィルタの着色パターンを形成することができる。
【0111】
いくつかの実施形態では、前記着色感光性組成物を用いて、LCD装置または白色OLED装置のようなディスプレイ装置用カラーフィルタの着色パターンを形成することもできる。
【0112】
以下、本発明の理解を助けるために好適な実施例を提示するが、これらの実施例は本発明を例示するものに過ぎず、添付の特許請求の範囲を制限するものではない。これらの実施例に対し、本発明の範疇および技術思想の範囲内で種々の変更および修正を加えることが可能であることは当業者にとって明らかであり、これらの変形および修正が添付の特許請求の範囲に属することも当然のことである。
【0113】
合成例1:実施例のバインダー樹脂の製造
攪拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を備えたフラスコを準備した。ビニルトルエン(VT)、3-フェノキシベンジルアクリレート(PBA)、アクリル酸20g(0.27モル)、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート4g、およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)40gを投入した後、攪拌混合して単量体溶液を準備した。連鎖移動剤としては、n-ドデカンチオールの6gおよびPGMEAの24gの混合溶液を準備した。
【0114】
その後、前記フラスコにPGMEAの395gを導入し、フラスコ内の雰囲気を空気から窒素に変えた後、攪拌しながらフラスコの温度を90℃まで昇温した。前記単量体溶液および連鎖移動剤をフラスコ内に90℃を維持しつつ、滴下ロートを介してそれぞれ2時間滴下した。
【0115】
1時間後、110℃に昇温して3時間保持した後、ガス導入管を介して酸素/窒素5/95(v/v)の混合ガスのバブリングを開始した。次いで、グリシジルメタクリレート(GMA)、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)0.4g、トリエチルアミン0.8gをフラスコ内に投入し、110℃で8時間反応を続けて、実施例のバインダー樹脂を得た。
【0116】
前記合成例1に従い、下記表1に示すように単量体の重量%を変更し、バインダー樹脂を合成した。
【0117】
【0118】
合成例2:比較例のバインダー樹脂の製造
バインダー樹脂(B-1)の製造
攪拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を備えたフラスコを準備した。ベンジルマレイミド74.8g(0.20モル)、アクリル酸43.2g(0.30モル)、ビニルトルエン118.0g(0.50モル)、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート4g、およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)40gを投入した後、攪拌混合して単量体溶液を準備した。連鎖移動剤としては、n-ドデカンチオールの6gおよびPGMEAの24gの混合溶液を準備した。
【0119】
その後、前記フラスコにPGMEAの395gを導入し、フラスコ内の雰囲気を空気から窒素に変えた後、攪拌しながらフラスコの温度を90℃まで昇温した。前記単量体溶液および連鎖移動剤をフラスコ内に90℃を維持しつつ、滴下ロートを介してそれぞれ2時間滴下した。
【0120】
1時間後、110℃に昇温して3時間保持した後、ガス導入管を介して酸素/窒素5/95(v/v)の混合ガスのバブリングを開始した。次いで、グリシジルメタクリレート28.4g[(0.10モル)(本反応に用いたアクリル酸のカルボキシル基に対して33モル%)]、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)0.4gをフラスコ内に投入し、110℃で8時間反応を続けて、実施例のバインダー樹脂(B-1)を得た。
【0121】
バインダー樹脂(B-2)の製造
攪拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を備えたフラスコにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート182gを導入し、フラスコ内の雰囲気を窒素雰囲気とした。フラスコ内の温度を100℃に昇温した後、ベンジルメタクリレート70.5g(0.40モル)、メタクリル酸45.0g(0.50モル)、イソサイクリック骨格のモノメタクリレート44.5g(0.10モル)、およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート136gを含む混合物に、アゾビスイソブチロニトリル3.6gを添加した溶液を、滴下ロートから2時間かけてフラスコに滴下した。その後、100℃で5時間攪拌を継続した。
【0122】
次いで、フラスコ内の雰囲気を窒素から空気に変え、グリシジルメタクリレート30g[0.2モル、(本反応に用いたメタクリル酸のカルボキシル基に対して40モル%)]、トリスジメチルアミノメチルフェノール0.9g、およびヒドロキノン0.145gをフラスコ内に投入し、110℃で6時間反応を続けて、バインダー樹脂(B-2)を得た。
【0123】
実施例及び比較例
下記表2に示す組成(重量部)で実施例および比較例による着色感光性組成物を調製した。
【0124】
【0125】
表2に示す具体的な成分は以下の通りである。
1)顔料:青色顔料(C.I.ピグメントブルー15:6)
2)光重合性化合物:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD DPHA、日本化薬株式会社製)
3)光重合開始剤:2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オン(IRGACURE 369、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
4)C-1:TINUVIN 123(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
5)C-2:TINUVIN 5151(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
6)C-3:Sumilizer GP(住友化学株式会社製)
7)プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMMEA)
【0126】
実験例
23℃の清浄室でガラス基板(メーカー:コーニング社、型番:No.1737、厚さ:0.7mm)の表面上に、実施例及び比較例の着色感光性組成物をスピンコートした後、90℃で90秒間乾燥して着色層を形成した。形成した着色層を23℃に冷却した後、フォトマスクを用いて選択的にi線(波長365nm)を用いて露光した。i線の光源としては、超高圧水銀ランプを使用した。照射光量は150mJ/cm2に調整した。具体的には、ライン幅1μm、2μm、3μm、4μm、5μm、6μm、7μm、8μm、9μm、10μm、20μm、30μm、40μm、50μmおよび100μmのライン、およびドット(dot)の形態で画素を形成するためのフォトマスクを使用した。
【0127】
露光された着色層を水酸化テトラメチルアンモニウム0.04重量%の現像液に23℃で浸漬して現像した。その後、純水で洗浄した後、220℃で90秒間ポストベークを行うことによって着色パターンを形成した。得られた着色パターンの厚さは0.8μm、最小ライン幅(解像度)は1μmであった。得られた着色パターンの直線性、パターン残渣、パターンテーリングをそれぞれ観察し、以下のスコアで評価した。
【0128】
<パターン特性の評価基準>
1:非常に不良
2:不良
3:普通
4:良好
5:非常に良好
【0129】
評価結果は下記表3に示す。
【0130】
【0131】
表3を参照すると、前述の例示的な実施例によるバインダー樹脂を使用している実施例では、強塩基の現像液が使用される高解像度のパターニング工程においても、所望の形状の着色パターンが信頼性高く形成された。