(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-09
(45)【発行日】2024-04-17
(54)【発明の名称】吸音材料ブロック及びその製造方法とこの吸音材料ブロックを用いたスピーカボックス
(51)【国際特許分類】
G10K 11/165 20060101AFI20240410BHJP
G10K 11/16 20060101ALI20240410BHJP
H04R 1/02 20060101ALI20240410BHJP
【FI】
G10K11/165
G10K11/16 140
H04R1/02 101E
(21)【出願番号】P 2022210284
(22)【出願日】2022-12-27
【審査請求日】2022-12-27
(31)【優先権主張番号】202210086719.6
(32)【優先日】2022-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517409583
【氏名又は名称】エーエーシー マイクロテック(チャンヂョウ)カンパニー リミテッド
【住所又は居所原語表記】No.3 changcao road, Hi-TECH Industrial Zone, Wujin District, Changzhou City, Jiangsu Province, P.R. China
(73)【特許権者】
【識別番号】511027518
【氏名又は名称】エーエーシーアコースティックテクノロジーズ(シンセン)カンパニーリミテッド
【氏名又は名称原語表記】AAC Acoustic Technologies(Shenzhen)Co.,Ltd
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【氏名又は名称】立花 顕治
(74)【代理人】
【識別番号】100207217
【氏名又は名称】樋口 智夫
(72)【発明者】
【氏名】汪 中洋
(72)【発明者】
【氏名】王 和志
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 捷
【審査官】冨澤 直樹
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-114468(JP,A)
【文献】国際公開第2021/015168(WO,A1)
【文献】特開2010-018961(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108481861(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10K 11/16-11/168
E04B 1/84-1/86
H04R 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸音材料ブロックであって、多孔質吸音粒子、有機ブラケット材料、接着剤及び増粘剤を含み、前記多孔質吸音粒子は、前記接着剤により前記有機ブラケット材料に接着され、前記多孔質吸音粒子の粒径は10~100μmであ
り、
前記有機ブラケット材料は、三次元構造を有し、前記有機ブラケット材料はメラミンフォーム、ポリウレタンフォーム、ポリエチレンフォームのうちの1種を含み、前記有機ブラケット材料の密度は、1~10mg/cm
3
であり、前記有機ブラケット材料は、複数のスルーホールを含み、前記有機ブラケット材料の空孔率は50%より大きく、前記スルーホールの平均孔径は50~300μmである、ことを特徴とする吸音材料ブロック。
【請求項2】
前記多孔質吸音粒子は、粒径が10μmより小さい多孔質粒子で構成され、前記多孔質粒子はゼオライト及び活性炭を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の吸音材料ブロック。
【請求項3】
前記ゼオライトは、MFI、MEL及びFERのうちの少なくとも1種の構造を有する、ことを特徴とする請求項2に記載の吸音材料ブロック。
【請求項4】
前記接着剤は、ポリアクリル酸エステル、ポリスチレンアクリル酸エステル、ポリスチレン酢酸エステル、ポリエチルエチレン酢酸エステル塩のうちの少なくとも1種を含み、前記吸音材料ブロックは2~10wt%の前記接着剤を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の吸音材料ブロック。
【請求項5】
前記増粘剤は、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシメチルセルロースナトリウム及びポリビニルアルコールのうちの少なくとも1種を含み、前記吸音材料ブロックは0.5~2wt%の前記増粘剤を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の吸音材料ブロック。
【請求項6】
請求項1に記載の吸音材料ブロックの製造方法であって、
前記多孔質粒子を焼結又は接着した後、押出球状化造粒プロセス又は噴霧造粒プロセスを採用して、粒径が10~100μmの前記多孔質吸音粒子を製造するステップと、
前記多孔質吸音粒子を前記接着剤、前記増粘剤と混合してスラリーを形成するステップと、
前記有機ブラケット材料を前記スラリーに浸漬して5~20分間放置した後に乾燥し、前記吸音材料ブロックを得るステップと、を含む、ことを特徴とする吸音材料ブロックの製造方法。
【請求項7】
スピーカボックスであって、
収容空間を有するハウジングと、前記収容空間内に収容されたスピーカ単体とを含み、前記スピーカ単体と前記ハウジングとが取り囲んでバックチャンバを形成し、前記バックチャンバ内に請求項1に記載の吸音材料ブロックが充填されている、ことを特徴とするスピーカボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸音材料の技術分野に関し、特に吸音材料ブロック及びその製造方向と当該吸音材料ブロックを用いたスピーカボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話などのインテリジェント携帯端末の発展に伴い、薄型化は既に1つの傾向になり、したがって、オーディオスピーカバックチャンバが占める空間はさらに小さくなってきた。一般的に、スピーカバックチャンバが小さくなると、低周波セグメントの応答を顕著に低下させ、音質を悪化させることになる。この矛盾を解決するために、一般的にバックチャンバに音を吸着できる吸音材料を充填し、バックチャンバ体積を仮想的に増大させ、音質を向上させるという目的を達成する。
【0003】
関連技術で一般的に使用されている吸音材料は2種類の形態があり、第1種類は、粒子状吸音材料であり、粒子の粒径が小さいほど吸音性能が高いという特徴を有し、しかしながら、粒子状吸音材料は充填時にバックチャンバを満たすことが困難であり、スピーカボックスが動作する時、バックチャンバのガスの振動により粒子が振動し、粒子の粒径が小さいほど、振動が顕著であり、聴感が悪くなり、ひいてはメッシュ布を通過してスピーカ単体の内部に拡散し、スピーカ単体を損傷するリスクが発生する。第2種類は、ブロック状吸音材料であり、例えばフォームを骨格とする吸音材料であり、それは、依然として吸音粉末が凝集し、通気性が低く、音響抵抗が高く、吸音性能が低いという欠点が存在する。
【0004】
したがって、上記技術課題を解決するために、新たな吸音材料ブロック及びその製造方法とこの吸音材料ブロックを用いたスピーカボックスを提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、上記技術課題を克服するために、吸音材料ブロック及びその製造方法と当該吸音材料ブロックを用いたスピーカボックスを提供することであり、当該吸音材料ブロックは、小粒径吸音粒子が高い吸音性能を有するという特徴を十分に発揮し、吸音材料ブロックのバックチャンバにおける安定性を効果的に向上させ、粒子振動による音響性能の変化を回避し、吸音材料ブロックがスピーカ単体に入ってスピーカボックスの音響性能を損害することを効果的に防止することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は吸音材料ブロックを提供し、前記吸音材料ブロックは、多孔質吸音粒子、有機ブラケット材料、接着剤及び増粘剤を含み、前記多孔質吸音粒子は、前記接着剤により前記有機ブラケット材料に接着され、前記多孔質吸音粒子の粒径は10~100μmである。
【0007】
好ましくは、前記多孔質吸音粒子は、粒径が10μmより小さい多孔質粒子で構成され、前記多孔質粒子は、ゼオライト及び活性炭を含む。
【0008】
前記ゼオライトは、MFI、MEL及びFERのうちの少なくとも1種の構造を有する。
【0009】
好ましくは、前記有機ブラケット材料は、二次元構造を有し、前記有機ブラケット材料はPE、PP、PVC及びPET薄膜のうちの1種を含み、前記有機ブラケット材料の厚さは10~100μmである。
【0010】
好ましくは、前記有機ブラケット材料は、三次元構造を有し、前記有機ブラケット材料は、メラミンフォーム、ポリウレタンフォーム、ポリエチレンフォームのうちの1種を含む。
【0011】
好ましくは、前記有機ブラケット材料の密度は1~10mg/cm3であり、前記有機ブラケット材料は複数のスルーホールを含み、前記有機ブラケット材料の空孔率は50%より大きく、前記スルーホールの平均孔径は50~300μmである。
【0012】
好ましくは、前記接着剤は、ポリアクリル酸エステル、ポリスチレンアクリル酸エステル、ポリスチレン酢酸エステル、ポリエチルエチレン酢酸エステル塩のうちの少なくとも1種を含み、前記吸音材料ブロックは、2~10wt%の前記接着剤を含む。
【0013】
好ましくは、前記増粘剤は、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシメチルセルロースナトリウム及びポリビニルアルコールのうちの少なくとも1種を含み、前記吸音材料ブロックは、0.5~2wt%の前記増粘剤を含む。
【0014】
本発明は、上記の吸音材料ブロックの製造方法を提供し、当該方法は、前記多孔質粒子を焼結又は接着した後、押出球状化造粒プロセス又は噴霧造粒プロセスを採用して、粒径が10~100μmの前記多孔質吸音粒子を製造するステップと、前記多孔質吸音粒子を前記接着剤、前記増粘剤と混合してスラリーを形成するステップと、前記有機ブラケット材料を前記スラリーに浸漬し、5~20分間放置した後に乾燥し、前記吸音材料ブロックを得るステップとを含む。
【0015】
本発明は、スピーカボックスを提供し、当該スピーカボックスは、収容空間を有するハウジングと、前記収容空間内に収容されたスピーカ単体とを含み、前記スピーカ単体と前記ハウジングとが取り囲んでバックチャンバを形成し、前記バックチャンバ内に上記の吸音材料ブロックが充填される。
【発明の効果】
【0016】
関連技術に比べて、本発明に係る吸音材料ブロックは、多孔質吸音粒子、有機ブラケット材料、接着剤及び増粘剤を含み、ここで、多孔質吸音粒子は、接着剤により有機ブラケット材料に接着され、多孔質吸音粒子の粒径は10~100μmであり、小粒径吸音粒子が高い性能を有するという特徴を十分に発揮するだけでなく、スピーカボックスの小型化の発展傾向も満たし、それを有機ブラケット材料と結合することにより、吸音材料ブロックのスピーカボックスのバックチャンバにおける安定性を向上させ、粒子振動による音響性能の低下を効果的に回避し、さらに吸音材料ブロックがスピーカ単体に入ることを防止することができ、かつ本発明に係る吸音材料ブロックは、異なる形状のバックチャンバに適用することができ、粒子状吸音材料をスピーカボックスのバックチャンバに充填するステップを省略し、スピーカボックスの組立プロセスを簡略化する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明の実施例の技術案をより明確に説明するために、以下に実施例に必要な図面を簡単に紹介し、明らかに、以下に説明する図面は、本発明のいくつかの実施例だけであり、当業者にとって、創造的労働をしない前提で、更にこれらの図面に基づいて他の図面を取得することができる。
【
図1】本発明に係る吸音材料ブロックの製造方法のフローチャートである。
【
図2】本発明に係るスピーカボックスの構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下は本発明の実施例における図面を参照して、本発明の実施例における技術案を明確で、完全に説明し、明らかなように、記述される実施例は本発明の一部の実施例だけであり、全ての実施例ではない。本発明における実施例に基づいて、当業者が創造的な労働をせずに得ることができる全ての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に含まれる。
【0019】
本発明は吸音材料ブロックに関し、吸音材料ブロックは多孔質吸音粒子、有機ブラケット材料、接着剤及び増粘剤を含み、多孔質吸音粒子は接着剤により有機ブラケット料に接着され、多孔質吸音粒子の粒径は10~100μmである。
【0020】
上記の多孔質吸音粒子は、複数の粒径が10μmより小さい多孔質粒子で構成され、多孔質粒子はゼオライト及び活性炭を含み、具体的には、ゼオライトはMFI、MEL及びFERのうちの少なくとも1種の構造を含む。特筆すべきは、異なるゼオライト構造はそのうちの孔構造がわずかに異なり、ニート相であるゼオライトと混相であるゼオライトは、いずれも良好な吸音効果を有し、ゼオライトの具体的な構造は本発明の技術的効果に影響を与えない。
【0021】
有機ブラケット材料は二次元構造を有し、これにより、有機ブラケット材料はPE、PP、PVC、PET薄膜から選択される1種であってもよく、有機ブラケット材料が支持フレームの役割を果たすようにするために、選択された有機ブラケット材料の厚さは、10~100μmにある。当然のことながら、有機ブラケット材料がより均一に多孔質吸音粒子を担持することを可能にするために、三次元構造を有する有機ブラケット材料を選択してもよく、具体的には、メラミンフォーム、ポリウレタンフォーム、ポリエチレンフォームから選択される1種であり、前述の二次元構造に比べて、三次元構造を有する有機ブラケット材料は、表面に多孔質吸音粒子を接着することができるだけでなく、その内部に有する孔構造も多孔質吸音粒子を吸着し、吸音材料ブロックの吸音能力をさらに向上させることができる。本発明において選択された有機ブラケット材料の密度は1~10mg/cm3であり、理解されるように、有機ブラケット材料は、複数のスルーホールを含み、かつ当該有機ブラケット材料の空孔率は50%より大きく、有機ブラケット材料に多孔質吸音粒子をよりよく接着させるために、有機ブラケット材料におけるスルーホールの平均孔径を50~300μmに設定する。
【0022】
接着剤は、ポリアクリル酸エステル、ポリスチレンアクリル酸エステル、ポリスチレン酢酸エステル、ポリエチルエチレン酢酸エステル塩のうちの少なくとも1種を含み、多孔質吸音粒子を有機ブラケット材料に堅固に吸着させ、粒子の振動脱落によるスピーカボックスの音響性能への影響を回避するために、当該吸音材料ブロックは、質量部で2~10wt%の接着剤を含む。
【0023】
増粘剤は、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシメチルセルロースナトリウム及びポリビニルアルコールのうちの少なくとも1種を含み、具体的には、吸音材料ブロックは0.5~2wt%の増粘剤を含む。
【0024】
本発明は、上記吸音材料ブロックの製造方法をさらに提供し、具体的なフローは、
図1を結合しながら説明する。
【0025】
ステップ1であって、多孔質粒子を焼結又は接着した後、押出球状化造粒プロセス又は噴霧造粒プロセスを採用して、粒径が10~100μmの多孔質吸音粒子を製造する。
ステップ2であって、多孔質吸音粒子を接着剤、増粘剤と混合してスラリーを形成する。
ステップ3であって、有機ブラケット材料を上記スラリーに浸漬し、5~20分間放置した後に有機ブラケット材料及びスラリーを乾燥させ、吸音材料ブロックを得る。
【0026】
ステップ3において、乾燥工程はオーブンで行い、乾燥の温度は100℃程度に設定される。
【0027】
以下、具体的な実施例を結合して本発明の実施形態について説明する。
【0028】
実施例1
【0029】
本実施例は、以下のステップを含む吸音材料ブロックの製造方法を提供する。
質量比でゼオライト50部、水45部、ポリスチレンアクリル酸エステル5部を秤量して均一に混合し、押出球状化造粒プロセスによって吸音粒子吸音粒子を製造し、具体的には、造粒後に150~300メッシュの篩で粒径が約50~100μmの多孔質吸音粒子を篩分けする。
【0030】
スチレンアクリレート1部、ヒドロキシメチルセルロースナトリウム0.2部、脱イオン水50部、98wt%エタノール5部を秤量し、混合して均一に撹拌して混合液を得て、上記製造された多孔質吸音粒子50部を秤量し、混合液に加えて30分間攪拌し続け、多孔質吸音粒子を混合液に均一に分散させてスラリーを形成する。
【0031】
厚さ25μmのPET薄膜を上記スラリーに浸漬し、5分間放置して取り出し、110℃のオーブンに置いて乾燥させ、吸音材料ブロックを得る。
【0032】
実施例2
【0033】
本実施例は、以下のステップを含む吸音材料ブロックの製造方法を提供する。
質量比でゼオライト50部、水45部、ポリスチレンアクリル酸エステル5部を秤量して均一に混合し、押出球状化造粒プロセスによって吸音粒子吸音粒子を製造し、具体的には、造粒後に150~300メッシュの篩で粒径が約50~100μmの多孔質吸音粒子を篩分けする。
【0034】
スチレンアクリレート1部、ヒドロキシメチルセルロースナトリウム0.2部、脱イオン水50部、98wt%エタノール5部を秤量し、混合して均一に撹拌して混合液を得て、上記製造された多孔質吸音粒子40部を秤量し、混合液に加えて30分間撹拌し続け、多孔質吸音粒子を混合液に均一に分散させてスラリーを形成する。
【0035】
平均孔径が100~200μmであり、密度が5mg/cm3であるメラミンフォームを上記スラリーに浸漬し、5分間放置して取り出し、110℃のオーブンに置いて乾燥させ、吸音材料ブロックを得る。
【0036】
実施例3
【0037】
本実施例は、以下のステップを含む吸音材料ブロックの製造方法を提供する。
質量比でゼオライト50部、水40部、ポリアクリル酸エステル5部及び過酸化水素水5部を秤量して均一に混合し、噴霧造粒造粒プロセスによって吸音粒子を製造し、具体的には、造粒後に150~300メッシュの篩で粒径が約50~100μmの多孔質吸音粒子を篩分けする。
【0038】
ポリアクリル酸エステル3部、ポリビニルアルコール0.1部、脱イオン水50部、98wt%エタノール5部を秤量し、混合して均一に撹拌して混合液を得て、上記製造された多孔質吸音粒子40部を秤量し、混合液に加えて30分間撹拌し続け、多孔質吸音粒子を混合液に均一に分散させてスラリーを形成する。
【0039】
平均孔径が100~200μmであり、密度が5mg/cm3であるメラミンフォームを上記スラリーに浸漬し、10分間放置して取り出し、温度が100℃より高いオーブンに入れて乾燥させ、吸音材料ブロックを得る。
【0040】
実施例4
【0041】
本実施例は、以下のステップを含む吸音材料ブロックの製造方法を提供する。
質量比でゼオライト50部、水40部、スチレンブタジエンエマルジョン5部及び過酸化水素水5部を秤量して均一に混合し、押出球状化造粒プロセスによって吸音粒子を製造し、具体的には、造粒後に150~300メッシュの篩で粒径が約50~100μmの多孔質吸音粒子を篩分けする。
【0042】
スチレンブタジエンエマルジョン2部、ヒドロキシメチルセルロースナトリウム0.2部、脱イオン水50部、98wt%エタノール5部を秤量し、混合した後に均一に撹拌して混合液を得て、上記製造された多孔質吸音粒子20部を秤量し、混合液に加えて30分間撹拌し続け、多孔質吸音粒子を混合液に均一に分散させてスラリーを形成する。
【0043】
平均孔径が200~300μmであり、密度が3mg/cm3であるポリウレタンフォームを上記スラリーに浸漬し、5分間放置して取り出し、温度が110℃のオーブンに置いて乾燥させ、吸音材料ブロックを得る。
【0044】
実施例5
【0045】
本実施例は、以下のステップを含む吸音材料ブロックの製造方法を提供する。
質量比で活性炭50部、水40部、ポリアクリル酸エステル5部及び過酸化水素水5部を秤量して均一に混合し、噴霧造粒プロセスによって吸音粒子を製造し、具体的には、造粒後に150~300メッシュの篩で粒径が約50~100μmの多孔質吸音粒子を篩分けする。
【0046】
ポリアクリル酸エステル1部、ポリビニルアルコール0.1部、脱イオン水50部、98wt%エタノール5部を秤量し、混合して均一に撹拌して混合液を得て、上記製造された多孔質吸音粒子40部を秤量し、混合液に加えて30分間撹拌し続け、多孔質吸音粒子を混合液に均一に分散させてスラリーを形成する。
【0047】
平均孔径が100~200μmであり、密度が7mg/cm3であるメラミンフォームを上記スラリーに浸漬し、5分間放置して取り出し、温度が110℃のオーブンに置いて乾燥させ、吸音材料ブロックを得る。
【0048】
また、本発明の技術案の効果を検証するために、さらに2つの比較例を提供した。
【0049】
比較例1
【0050】
質量比でゼオライト50部、水45部、ポリスチレンアクリル酸エステル5部を秤量して均一に混合し、押出球状化造粒プロセスによって吸音粒子吸音粒子を製造し、具体的には、造粒後に60~150メッシュの篩で粒径が約100~250μmの多孔質吸音粒子を篩分けする。
【0051】
スチレンアクリレート2部、ヒドロキシメチルセルロースナトリウム0.2部、脱イオン水50部、98wt%エタノール5部を秤量し、混合して均一に撹拌して混合液を得て、上記製造された多孔質吸音粒子40部を秤量し、混合液に加えて30分間攪拌し続け、多孔質吸音粒子を混合液に均一に分散させてスラリーを形成する。
【0052】
平均孔径が100~200μmであり、密度が5mg/cm3であるメラミンフォームを上記スラリーに浸漬し、5分間放置して取り出し、温度が110℃のオーブンに置いて乾燥させ、吸音材料ブロックを得る。
【0053】
比較例2
【0054】
質量比でゼオライト50部、水45部、ポリスチレンアクリル酸エステル5部を秤量して均一に混合し、噴霧造粒プロセスによって吸音粒子を製造し、具体的には、造粒後に150~300メッシュの篩で粒径が約50~100μmの多孔質吸音粒子を篩分けする。
【0055】
スチレンアクリレート4部、ポリビニルアルコール0.2部、脱イオン水50部、98wt%エタノール5部を秤量し、混合して均一に撹拌して混合液を得て、上記製造された多孔質吸音粒子40部を秤量し、混合液に加えて30分間撹拌し続け、多孔質吸音粒子を混合液に均一に分散させてスラリーを形成する。
【0056】
平均孔径が50~100μmであり、密度が10mg/cm3であるメラミンフォームを上記スラリーに浸漬し、5分間放置して取り出し、温度が110℃のオーブンに置いて乾燥させ、吸音材料ブロックを得る。
【0057】
本発明の実施例1~5と比較例1~2で調製された吸音材料ブロック、及び本分野の既存の従来の吸音粒子サンプルに対して音響性能試験を行い、ここで、実施例1のサンプルは、多層薄膜積層試験に供した。試験治具の試験条件は、体積充填量の50%、0.5mlのバックチャンバ体積であり、得られた試験結果は表1に示される。
【表1】
【0058】
表1から分かるように、音響充填体積が同じである場合、本発明の実施例1~5で製造された吸音材料ブロックは、本分野の従来の吸音粒子よりも顕著に優れた音響性能を有し、これによって当該吸音材料ブロックを充填したスピーカボックスはより優れた低周波性能を有する。また、スピーカボックスの動作状態で、本発明に係る吸音材料ブロックは、粒子の衝突移動による音響性能の変化が発生せず、かつ担体とする有機ブラケット材料は、バックチャンバの形状に応じて調整することができ、それによりバックチャンバを最大限に充填し、スピーカボックスの低周波効果をより良好にする。さらに、スピーカボックスの組立工程において、吸音材料ブロックは、バックチャンバに容易に入れることができ、粒子の充填等の工程を省略し、スピーカボックスの製造効率を向上させる。
【0059】
比較例1~2の性能は、実施例2~5と従来のサンプルよりも顕著に低く、これは多孔質吸音粒子の直径が三次元構造を有する発泡体の孔径サイズとマッチングしないためである。製造過程において、多孔質吸音粒子は発泡体の内部に完全に入ることができず、発泡体の表面のみに吸音粒子層を形成する。実施例1で形成された二次元吸音粒子層の表面積は実施例1~2より大きく、性能が優れている。
【0060】
図2に示すように、本発明に係るスピーカボックス100は、収容空間を有するハウジング1と、収容空間内に収容されたスピーカ単体2とを含み、スピーカ単体2とハウジング1は、囲んでバックチャンバ3を形成し、バックチャンバ3に前記吸音材料ブロックを充填することにより、バックチャンバの空気の音順応性を増加させ、それによりスピーカの低周波音響性能を向上させる。
【0061】
関連技術に比べて、本発明に係る吸音材料ブロックは、多孔質吸音粒子、有機ブラケット材料、接着剤及び増粘剤を含み、ここで、多孔質吸音粒子は、接着剤により有機ブラケット材料に接着され、多孔質吸音粒子の粒径は10~100μmであり、小粒径吸音粒子が高い性能を有するという特徴を十分に発揮するだけでなく、スピーカボックスの小型化の発展傾向も満たし、それを有機ブラケット材料と結合することにより、吸音材料ブロックのスピーカボックスのバックチャンバにおける安定性を向上させ、粒子振動による音響性能の低下を効果的に回避し、さらに吸音材料ブロックがスピーカ単体に入ることを防止することができ、かつ本発明に係る吸音材料ブロックは、異なる形状のバックチャンバに適用することができ、粒子状吸音材料をスピーカボックスのバックチャンバに充填するステップを省略し、スピーカボックスの組立プロセスを簡略化する。
【0062】
以上は本発明の実施形態に過ぎず、当業者であれば本発明の思想を逸脱することなく改良を加えることができるが、これらは全て本発明の保護範囲に属すると指摘すべきだ。