(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-09
(45)【発行日】2024-04-17
(54)【発明の名称】回路形成方法、および回路形成装置
(51)【国際特許分類】
H05K 3/00 20060101AFI20240410BHJP
H05K 3/10 20060101ALI20240410BHJP
H05K 13/08 20060101ALI20240410BHJP
【FI】
H05K3/00 V
H05K3/00 A
H05K3/10 D
H05K13/08 Z
H05K13/08 A
(21)【出願番号】P 2022516791
(86)(22)【出願日】2020-04-24
(86)【国際出願番号】 JP2020017665
(87)【国際公開番号】W WO2021214973
(87)【国際公開日】2021-10-28
【審査請求日】2022-03-15
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】山崎 恭輔
(72)【発明者】
【氏名】近藤 弘規
【審査官】鹿野 博司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/194045(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/008113(WO,A1)
【文献】特開2009-239150(JP,A)
【文献】特開2018-040579(JP,A)
【文献】特開2007-017311(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/00
H05K 3/10
H05K 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化性樹脂と導電性流体とにより回路を形成する回路形成方法であって、
回路形成作業時に発生するエラーを、自動的に解除する自動解除エラーと、自動的に解除しない解除不可エラーとに、エラーの種類毎に設定する設定工程と、
回路形成時における作業が許容値を満たしているか否かに基づいて、回路形成時における作業にエラーが発生しているか否かを判定する判定工程と、
前記判定工程においてエラーが発生していると判定された作業のエラーが前記設定工程において前記自動解除エラーに設定されている場合に、当該作業を自動的に再実行する再実行工程と、
前記判定工程においてエラーが発生していると判定された作業が前記再実行工程において自動的に再実行された場合に、前記再実行された作業が前記許容値より広い許容値を満たしているか否かに基づいてエラーの有無を再判定する再判定工程と、
を含む回路形成方法。
【請求項2】
硬化性樹脂と導電性流体とにより回路を形成する回路形成方法であって、
回路形成作業時に発生したエラーに対応する作業を自動的に再実行可能な複数種類のエラーを、作業者による入力操作に応じて、自動的に解除する自動解除エラーと、自動的に解除しない解除不可エラーとに、エラーの種類毎に設定する設定工程と、
回路形成時における作業にエラーが発生しているか否かを判定する判定工程と、
前記判定工程においてエラーが発生していると判定された作業のエラーが前記設定工程において前記自動解除エラーに設定されている場合に、当該作業を自動的に再実行する再実行工程と、
を含
み、
前記判定工程は、
回路形成時における作業が許容値を満たしているか否かに基づいてエラーの有無を判定し、
前記判定工程においてエラーが発生していると判定された作業が前記再実行工程において自動的に再実行された場合に、前記再実行された作業が前記許容値より広い許容値を満たしているか否かに基づいてエラーの有無を再判定する再判定工程を、更に含む回路形成方法。
【請求項3】
前記設定工程は、
前記自動的に再実行可能な複数種類のエラーの一覧を表示装置に表示することと、
作業者による入力操作に応じて、自動的に再実行可能なエラーが前記自動解除エラーと前記解除不可エラーとのいずれに設定されているかを前記表示装置に表示することと、
を含む請求項2に記載の回路形成方法。
【請求項4】
前記判定工程においてエラーが発生していると判定された場合に、前記エラーの発生を報知する報知工程と、
前記再実行工程において自動的に再実行された作業によりエラーが解除された場合に、前記報知工程による報知を自動的に解除する解除工程と、
を更に含む請求項1ないし
請求項3のいずれか1つに記載の回路形成方法。
【請求項5】
前記再実行工程において自動的に再実行された作業によりエラーが解除された場合に、前記エラーの種類および、前記エラーが解除されたことを記憶する記憶工程を、更に含む請求項1ないし
請求項4のいずれか1つに記載の回路形成方法。
【請求項6】
硬化性樹脂と導電性流体とにより回路を形成する回路形成装置であって、
回路形成作業時に発生するエラーを、自動的に解除する自動解除エラーと、自動的に解除しない解除不可エラーとに、エラーの種類毎に設定する設定部と、
回路形成時における作業が許容値を満たしているか否かに基づいて、回路形成時における作業にエラーが発生しているか否かを判定する判定部と、
前記判定部においてエラーが発生していると判定された作業のエラーが前記設定部において前記自動解除エラーに設定されている場合に、前記作業を自動的に再実行する再実行部と、
前記判定部においてエラーが発生していると判定された作業が前記再実行部において自動的に再実行された場合に、前記再実行された作業が前記許容値より広い許容値を満たしているか否かに基づいてエラーの有無を再判定する再判定部と、
を含む回路形成装置。
【請求項7】
硬化性樹脂と導電性流体とにより回路を形成する回路形成装置であって、
回路形成作業時に発生したエラーに対応する作業を自動的に再実行可能な複数種類のエラーを、作業者による入力操作に応じて、自動的に解除する自動解除エラーと、自動的に解除しない解除不可エラーとに、エラーの種類毎に設定する設定部と、
回路形成時における作業にエラーが発生しているか否かを判定する判定部と、
前記判定部においてエラーが発生していると判定された作業のエラーが前記設定部において前記自動解除エラーに設定されている場合に、前記作業を自動的に再実行する再実行部と、
を含
み、
前記判定部は、
回路形成時における作業が許容値を満たしているか否かに基づいてエラーの有無を判定し、
前記判定部においてエラーが発生していると判定された作業が前記再実行部において自動的に再実行された場合に、前記再実行された作業が前記許容値より広い許容値を満たしているか否かに基づいてエラーの有無を再判定する再判定部を、更に含む回路形成装置。
【請求項8】
前記設定部は、
前記自動的に再実行可能な複数種類のエラーの一覧を表示装置に表示することと、
作業者による入力操作に応じて、自動的に再実行可能なエラーが前記自動解除エラーと前記解除不可エラーとのいずれに設定されているかを前記表示装置に表示することと、
を含む
請求項7に記載の回路形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性樹脂と導電性流体とにより回路を形成する回路形成方法、および回路形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
硬化性樹脂と導電性流体とにより回路を形成する技術が開発されている。このように、硬化性樹脂と導電性流体とにより回路が形成される際には、硬化性樹脂による樹脂層の形成,導電性流体による配線の形成などの種々の作業が実行されるが、当然、作業時にエラーが発生する場合もある。下記特許文献には、作業時に発生した種々のエラーに対応するための技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開昭59-032004号公報
【文献】特開2017-076239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
硬化性樹脂と導電性流体とにより回路を形成する作業時に発生したエラーに適切に対応することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本明細書は、硬化性樹脂と導電性流体とにより回路を形成する回路形成方法であって、回路形成作業時に発生するエラーを、自動的に解除する自動解除エラーと、自動的に解除しない解除不可エラーとに、エラーの種類毎に設定する設定工程と、回路形成時における作業が許容値を満たしているか否かに基づいて、回路形成時における作業にエラーが発生しているか否かを判定する判定工程と、前記判定工程においてエラーが発生していると判定された作業のエラーが前記設定工程において前記自動解除エラーに設定されている場合に、当該作業を自動的に再実行する再実行工程と、前記判定工程においてエラーが発生していると判定された作業が前記再実行工程において自動的に再実行された場合に、前記再実行された作業が前記許容値より広い許容値を満たしているか否かに基づいてエラーの有無を再判定する再判定工程と、を含む回路形成方法を開示する。また、本明細書は、硬化性樹脂と導電性流体とにより回路を形成する回路形成方法であって、回路形成作業時に発生したエラーに対応する作業を自動的に再実行可能な複数種類のエラーを、作業者による入力操作に応じて、自動的に解除する自動解除エラーと、自動的に解除しない解除不可エラーとに、エラーの種類毎に設定する設定工程と、回路形成時における作業にエラーが発生しているか否かを判定する判定工程と、前記判定工程においてエラーが発生していると判定された作業のエラーが前記設定工程において前記自動解除エラーに設定されている場合に、当該作業を自動的に再実行する再実行工程と、を含み、前記判定工程は、回路形成時における作業が許容値を満たしているか否かに基づいてエラーの有無を判定し、前記判定工程においてエラーが発生していると判定された作業が前記再実行工程において自動的に再実行された場合に、前記再実行された作業が前記許容値より広い許容値を満たしているか否かに基づいてエラーの有無を再判定する再判定工程を、更に含む回路形成方法を開示する。
【0006】
また、上記課題を解決するために、本明細書は、硬化性樹脂と導電性流体とにより回路を形成する回路形成装置であって、回路形成作業時に発生するエラーを、自動的に解除する自動解除エラーと、自動的に解除しない解除不可エラーとに、エラーの種類毎に設定する設定部と、回路形成時における作業が許容値を満たしているか否かに基づいて、回路形成時における作業にエラーが発生しているか否かを判定する判定部と、前記判定部においてエラーが発生していると判定された作業のエラーが前記設定部において前記自動解除エラーに設定されている場合に、前記作業を自動的に再実行する再実行部と、前記判定部においてエラーが発生していると判定された作業が前記再実行部において自動的に再実行された場合に、前記再実行された作業が前記許容値より広い許容値を満たしているか否かに基づいてエラーの有無を再判定する再判定部と、を含む回路形成装置を開示する。また、本明細書は、硬化性樹脂と導電性流体とにより回路を形成する回路形成装置であって、回路形成作業時に発生したエラーに対応する作業を自動的に再実行可能な複数種類のエラーを、作業者による入力操作に応じて、自動的に解除する自動解除エラーと、自動的に解除しない解除不可エラーとに、エラーの種類毎に設定する設定部と、回路形成時における作業にエラーが発生しているか否かを判定する判定部と、前記判定部においてエラーが発生していると判定された作業のエラーが前記設定部において前記自動解除エラーに設定されている場合に、前記作業を自動的に再実行する再実行部と、を含み、前記判定部は、回路形成時における作業が許容値を満たしているか否かに基づいてエラーの有無を判定し、前記判定部においてエラーが発生していると判定された作業が前記再実行部において自動的に再実行された場合に、前記再実行された作業が前記許容値より広い許容値を満たしているか否かに基づいてエラーの有無を再判定する再判定部を、更に含む回路形成装置を開示する。
【発明の効果】
【0007】
本開示では、回路形成作業時に発生するエラーが、自動的に解除される自動解除エラーと、自動的に解除されない解除不可エラーとに、エラーの種類毎に設定されている。そして、エラーが発生した場合に、そのエラーが自動解除エラーに設定されている場合に、そのエラーに対応する作業が自動的に再実行される。これにより、発生したエラーに適切に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】樹脂積層体が形成された状態の回路を示す断面図である。
【
図4】樹脂積層体の上に更に樹脂積層体が形成された状態の回路を示す断面図である。
【
図5】樹脂積層体のキャビティの内部に電子部品が装着された状態の回路を示す断面図である。
【
図6】キャビティの内部に樹脂積層体が封入された状態の回路を示す断面図である。
【
図7】電子部品と導通する配線が形成された状態の回路を示す断面図である。
【
図8】プログラムによる実行されるフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1に回路形成装置10を示す。回路形成装置10は、搬送装置20と、第1造形ユニット22と、第2造形ユニット24と、装着ユニット26と、制御装置(
図2参照)28とを備える。それら搬送装置20と第1造形ユニット22と第2造形ユニット24と装着ユニット26とは、回路形成装置10のベース29の上に配置されている。ベース29は、概して長方形状をなしており、以下の説明では、ベース29の長手方向をX軸方向、ベース29の短手方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向の両方に直交する方向をZ軸方向と称して説明する。
【0010】
搬送装置20は、X軸スライド機構30と、Y軸スライド機構32とを備えている。そのX軸スライド機構30は、X軸スライドレール34とX軸スライダ36とを有している。X軸スライドレール34は、X軸方向に延びるように、ベース29の上に配設されている。X軸スライダ36は、X軸スライドレール34によって、X軸方向にスライド可能に保持されている。さらに、X軸スライド機構30は、電磁モータ(
図2参照)38を有しており、電磁モータ38の駆動により、X軸スライダ36がX軸方向の任意の位置に移動する。また、Y軸スライド機構32は、Y軸スライドレール50とステージ52とを有している。Y軸スライドレール50は、Y軸方向に延びるように、ベース29の上に配設されており、X軸方向に移動可能とされている。そして、Y軸スライドレール50の一端部が、X軸スライダ36に連結されている。そのY軸スライドレール50には、ステージ52が、Y軸方向にスライド可能に保持されている。さらに、Y軸スライド機構32は、電磁モータ(
図2参照)56を有しており、電磁モータ56の駆動により、ステージ52がY軸方向の任意の位置に移動する。これにより、ステージ52は、X軸スライド機構30及びY軸スライド機構32の駆動により、ベース29上の任意の位置に移動する。なお、電磁モータ38,56にはエンコーダが組み込まれており、エンコーダの出力値に基づいて電磁モータ38,56の作動が制御されることで、ステージ52はベース29上の任意の位置に移動する。
【0011】
ステージ52は、基台60と、保持装置62と、昇降装置64とを有している。基台60は、平板状に形成され、上面に基板が載置される。保持装置62は、基台60のX軸方向の両側部に設けられている。そして、基台60に載置された基板のX軸方向の両縁部が、保持装置62によって挟まれることで、基板が固定的に保持される。また、昇降装置64は、基台60の下方に配設されており、基台60を昇降させる。
【0012】
第1造形ユニット22は、回路基板の配線を造形するユニットであり、第1印刷部72と、加熱部74とを有している。第1印刷部72は、インクジェットヘッド(
図2参照)76を有している。インクジェットヘッド76は金属インクを吐出する。金属インクは、ナノメートルサイズの金属の微粒子が溶剤中に分散されたものであり、液状とされている。このため、インクジェットヘッド76では、適切に金属インクを吐出するために、金属インクが加熱されており、金属インクの温度が温度センサ(
図2参照)77により検出されている。これにより、インクジェットヘッド76では、金属インクの温度が温度センサ77の検出値に基づいて管理されており、吐出に適した金属インクの粘度が担保されている。なお、金属微粒子の表面は分散剤によりコーティングされており、溶剤中での凝集が防止されている。また、インクジェットヘッド76は、例えば、圧電素子を用いたピエゾ方式によって複数のノズルから金属インクを吐出する。
【0013】
加熱部74は、ヒータ(
図2参照)78を有している。ヒータ78は、インクジェットヘッド76により吐出された金属インクを加熱する装置である。金属インクは、ヒータ78により加熱されることで焼成し、配線が形成される。なお、金属インクの焼成とは、エネルギーを付与することによって、溶媒の気化や金属微粒子の保護膜、つまり、分散剤の分解等が行われ、金属微粒子が接触または融着をすることで、導電率が高くなる現象である。そして、金属インクを焼成することで、金属製の配線が形成される。また、ヒータ78には、温度センサ(
図2参照)79が内蔵されており、ヒータ78の温度が温度センサ79の検出値に基づいて管理されている。
【0014】
また、第2造形ユニット24は、回路基板の樹脂層を造形するユニットであり、第2印刷部84と、硬化部86とを有している。第2印刷部84は、インクジェットヘッド(
図2参照)88を有している。インクジェットヘッド88は紫外線硬化樹脂を吐出する。紫外線硬化樹脂は、紫外線の照射により硬化する樹脂であり、液状とされている。このため、インクジェットヘッド88では、適切に紫外線硬化樹脂を吐出するために、紫外線硬化樹脂が加熱されており、紫外線硬化樹脂の温度が温度センサ(
図2参照)89により検出されている。これにより、インクジェットヘッド88では、紫外線硬化樹脂の温度が温度センサ89の検出値に基づいて管理されており、吐出に適した紫外線硬化樹脂の粘度が担保されている。なお、インクジェットヘッド88は、例えば、圧電素子を用いたピエゾ方式でもよく、樹脂を加熱して気泡を発生させ複数のノズルから吐出するサーマル方式でもよい。
【0015】
硬化部86は、平坦化装置(
図2参照)90と照射装置(
図2参照)92とを有している。平坦化装置90は、インクジェットヘッド88によって吐出された紫外線硬化樹脂の上面を平坦化するものであり、例えば、紫外線硬化樹脂の表面を均しながら余剰分の樹脂を、ローラもしくはブレードによって掻き取ることで、紫外線硬化樹脂の厚みを均一させる。また、照射装置92は、光源として水銀ランプもしくはLEDを備えており、吐出された紫外線硬化樹脂に紫外線を照射する。これにより、吐出された紫外線硬化樹脂が硬化し、樹脂層が形成される。
【0016】
また、装着ユニット26は、回路基板に電子部品を装着するユニットであり、供給部110と、装着部112とを有している。供給部110は、テーピング化された電子部品を1つずつ送り出すテープフィーダ(
図2参照)114を複数有しており、供給位置において、電子部品を供給する。なお、供給部110は、テープフィーダ114に限らず、トレイから電子部品をピックアップして供給するトレイ型の供給装置でもよい。また、供給部110は、テープ型とトレイ型との両方、あるいはそれ以外の供給装置を備えた構成でもよい。
【0017】
装着部112は、装着ヘッド(
図2参照)116と、移動装置(
図2参照)117とカメラ(
図2参照)118とを有している。装着ヘッド116は、電子部品を吸着保持するための吸着ノズル(図示省略)を有する。吸着ノズルは、正負圧供給装置(図示省略)から負圧が供給されることで、エアの吸引により電子部品を吸着保持する。そして、正負圧供給装置から僅かな正圧が供給されることで、電子部品を離脱する。なお、吸着ノズルは、装着ヘッド116に着脱可能とされており、ノズルトレイ(図示省略)に収容されている任意のサイズの吸着ノズルと交換可能とされている。これにより、保持対象の電子部品に応じたサイズの吸着ノズルを装着ヘッド116に装着することで、適切に電子部品を保持することができる。また、移動装置117は、電磁モータ(
図2参照)119の駆動により装着ヘッド116を移動させる。その電磁モータ119にはエンコーダが組み込まれており、エンコーダの出力値に基づいて電磁モータ119の作動が制御されることで、移動装置117は、装着ヘッド116を任意の位置に移動させる。これにより、装着ヘッド116は、テープフィーダ114による電子部品の供給位置と、基台60との間で移動する。このような構造により、装着部112では、テープフィーダ114から供給された電子部品が、吸着ノズルにより保持され、その吸着ノズルによって保持された電子部品が、回路基板に装着される。また、カメラ118は、装着ヘッド116に装着されている吸着ノズルを撮像する。これにより、撮像データに基づいて、吸着ノズルに保持された部品の姿勢,装着ヘッド116に吸着ノズルが装着されているか否か等を判定することができる。
【0018】
また、制御装置28は、
図2に示すように、コントローラ120と、複数の駆動回路122と画像処理装置124とを備えている。複数の駆動回路122は、上記電磁モータ38,56、保持装置62、昇降装置64、インクジェットヘッド76、ヒータ78、インクジェットヘッド88、平坦化装置90、照射装置92、テープフィーダ114、装着ヘッド116、電磁モータ119に接続されている。コントローラ120は、CPU,ROM,RAM等を備え、コンピュータを主体とするものであり、複数の駆動回路122に接続されている。これにより、搬送装置20、第1造形ユニット22、第2造形ユニット24、装着ユニット26の作動が、コントローラ120によって制御される。また、コントローラ120は、画像処理装置124にも接続されている。画像処理装置124は、カメラ118によって得られた撮像データを処理するものであり、コントローラ120は、撮像データから各種情報を取得する。さらに、コントローラ120は、インクジェットヘッド76の温度センサ77,ヒータ78の温度センサ79,インクジェットヘッド88の温度センサ89にも接続されている。これにより、コントローラ120は、温度センサ77,79,89による検出値を取得する。
【0019】
回路形成装置10では、上述した構成によって、基板の上に樹脂積層体が形成され、その樹脂積層体の上に電子部品が装着されるとともに、その電子部品と通電するように配線が形成されることで、回路が形成される。
【0020】
具体的には、ステージ52の基台60に基板(
図3参照)70がセットされ、そのステージ52が、第2造形ユニット24の下方に移動される。そして、第2造形ユニット24において、
図3に示すように、基板70の上に樹脂積層体130が形成される。樹脂積層体130は、インクジェットヘッド88からの紫外線硬化樹脂の吐出と、吐出された紫外線硬化樹脂への照射装置92による紫外線の照射とが繰り返されることにより形成される。
【0021】
詳しくは、第2造形ユニット24の第2印刷部84において、インクジェットヘッド88が、基板70の上面に紫外線硬化樹脂を薄膜状に吐出する。続いて、紫外線硬化樹脂が薄膜状に吐出されると、硬化部86において、紫外線硬化樹脂の膜厚が均一となるように、紫外線硬化樹脂が平坦化装置90によって平坦化される。そして、照射装置92が、その薄膜状の紫外線硬化樹脂に紫外線を照射する。これにより、基板70の上に薄膜状の樹脂層132が形成される。
【0022】
続いて、インクジェットヘッド88が、その薄膜状の樹脂層132の上に紫外線硬化樹脂を薄膜状に吐出する。そして、平坦化装置90によって薄膜状の紫外線硬化樹脂が平坦化され、照射装置92が、その薄膜状に吐出された紫外線硬化樹脂に紫外線を照射することで、薄膜状の樹脂層132の上に薄膜状の樹脂層132が積層される。このように、薄膜状の樹脂層132の上への紫外線硬化樹脂の吐出と、紫外線の照射とが繰り返され、複数の樹脂層132が積層されることで、樹脂積層体130が形成される。
【0023】
次に、その樹脂積層体130の上に、
図4に示すように、更に、樹脂積層体140が形成される。樹脂積層体140は、キャビティ142を有しており、樹脂積層体130と略同じ手法により作成される。つまり、第2造形ユニット24の第2印刷部84において、インクジェットヘッド88が、樹脂積層体130の上面に紫外線硬化樹脂を薄膜状に吐出する。この際、インクジェットヘッド88は、樹脂積層体130の上面の所定の部分が概して矩形に露出するように、紫外線硬化樹脂を吐出する。続いて、紫外線硬化樹脂が薄膜状に吐出されると、硬化部86において、薄膜状に吐出された紫外線硬化樹脂が平坦化装置90により平坦化され、照射装置92により紫外線が照射される。これにより、樹脂積層体130の上に薄膜状の樹脂層144が形成される。
【0024】
続いて、インクジェットヘッド88が、その薄膜状の樹脂層144の上の部分にのみ紫外線硬化樹脂を薄膜状に吐出する。そして、薄膜状に吐出された紫外線硬化樹脂が平坦化装置90により平坦化され、照射装置92により紫外線が照射されることで、薄膜状の樹脂層144の上に薄膜状の樹脂層144が積層される。このように、樹脂積層体130の上面の概して矩形の部分を除いた薄膜状の樹脂層144の上への紫外線硬化樹脂の吐出と、紫外線の照射とが繰り返され、複数の樹脂層144が積層されることで、キャビティ142を有する樹脂積層体140が形成される。
【0025】
そして、キャビティ142を有する樹脂積層体140が形成されると、ステージ52が装着ユニット26の下方に移動される。装着ユニット26では、テープフィーダ114により電子部品が供給され、その電子部品が装着ヘッド116の吸着ノズルによって、保持される。なお、
図5に示すように、電子部品150は、概してブロック状の部品本体152と、部品本体152の1の面に配設された1対の電極154とにより構成されている。そして、電子部品150は、1対の電極を上方に向けた姿勢で吸着ノズルにより保持される。また、電子部品150を保持した吸着ノズルがカメラ118により撮像され、撮像データに基づいて吸着ノズルによる電子部品150の保持姿勢が演算される。そして、装着ヘッド116が、移動装置117によって移動され、吸着ノズルにより保持された電子部品150が、
図5に示すように、樹脂積層体140のキャビティ142の内部において、樹脂積層体130の上面に装着される。この際、撮像データに基づいて演算された電子部品150の保持姿勢を利用して、電子部品150の装着位置が補正され、電子部品150がキャビティ142の内部に装着される。なお、樹脂積層体140のキャビティ142の深さ寸法は、電子部品150の部品本体152の高さ寸法と略同じとされている。このため、キャビティ142の内部に装着された電子部品150の部品本体152の上面と、樹脂積層体140の上面との高さは略同じとされている。
【0026】
次に、ステージ52は第2造形ユニット24の下方に移動される。そして、第2造形ユニット24において、
図6に示すように、樹脂積層体140のキャビティ142の隙間、つまり、電子部品150の部品本体152の側面と、樹脂積層体140のキャビティ142を区画する内壁面との間に樹脂積層体160が形成される。この際、樹脂積層体160の上面と樹脂積層体140の上面とが平らとなるように、つまり、面一となるように樹脂積層体160が形成される。これにより、樹脂積層体140の上面と、樹脂積層体160の上面と、電子部品150の部品本体152の上面とが面一となる。なお、樹脂積層体160は、樹脂積層体130と同様に、インクジェットヘッド88による紫外線硬化樹脂の吐出と、照射装置92による紫外線の照射とが繰り返されることで、形成される。
【0027】
続いて、ステージ52は第1造形ユニット22の下方に移動される。そして、第1造形ユニット22の第1印刷部72において、インクジェットヘッド76によって、金属インクが樹脂積層体140,160の上に、回路パターンに応じて線状に吐出される。この際、
図7に示すように、金属インク166は、電子部品150の電極154と、他の電子部品(図示省略)の電極とを繋ぐように、線状に吐出される。そして、第1造形ユニット22の加熱部74において、金属インク166が、ヒータ78により加熱される。これにより、金属インク166が焼成し、配線168が形成される。つまり、電子部品150の電極154と導通する配線168が形成される。
【0028】
このように、回路形成装置10では、紫外線硬化樹脂により樹脂積層体130,140,160が形成され、電子部品150が装着されるとともに、その電子部品と通電する配線168が金属インク166により形成されることで、回路を形成することが可能とされている。ただし、上記手法に従って回路が形成される場合には、複数の樹脂層132の形成,金属インク166の焼成等に非常に長い時間がかかるため、回路を形成するために要する時間は、数時間から10時間以上となる。このため、作業者は帰宅前に回路形成装置10を作動させて、作業者の就業時間外、例えば、夜間に回路形成装置10による回路の形成が行われる。これにより、作業者は、回路形成装置10を作動させた翌朝に、完成した回路を得ることができる。
【0029】
しかしながら、回路形成装置10により回路が形成される際には、回路形成装置10による作業にエラーが発生し、回路形成装置10が停止する場合がある。このような場合には、就業時間外、例えば、夜間に作業者が不在であると、回路形成装置10が翌朝まで停止することとなり、回路形成装置10が長時間、停止した状態で放置されてしまう。また、回路形成装置10の停止が遠隔報知システム等を利用して作業者に報知された場合であっても、作業者が、就業時間外に、エラーを解除して、回路形成装置10の作動を再開させることは、作業者に大きな負担となる。
【0030】
このようなことに鑑みて、回路形成装置10では、回路形成時における作業にエラーが発生しているか否かが判定されており、エラーが発生していると判定された作業が自動的に再実行される。ただし、回路形成時に発生した全てのエラーに対して、作業が再実行されると、適切な回路を形成できない虞がある。また、発生したエラーの程度に応じて、作業者が、エラーの発生した作業を再実行するか、形成途中の回路を廃棄するかを判断したい場合もある。このため、回路形成装置10では、回路形成時に発生するエラーを、自動的に解除する自動解除エラーと、自動的に解除しない解除不可エラーとに、エラーの種類毎に設定されている。そして、エラーが発生していると判定された作業のエラーが、自動解除エラーに設定されている場合に、その作業が自動的に再実行される。
【0031】
具体的には、コントローラ120に、プログラム(
図2参照)170が組み込まれており、プログラム170の処理により、
図8に示すフローチャートが実行される。この際、まず、自動解除エラーと解除不可エラーとの設定が実行される(S100)。詳しくは、回路形成装置10の表示装置(図示省略)に、
図9に示すエラー設定画面172が表示される。エラー設定画面172には、発生したエラーに対応する作業を自動的に再実行可能なエラーの一覧(以下、「自動再実行可能エラー一覧」と記載する)176が表示されている。なお、自動再実行可能エラー一覧には、回路形成装置10により自動的に再実行可能な作業のエラーのみが含まれており、回路形成装置10により自動的に再実行不能な作業のエラーは含まれていない。ちなみに、回路形成装置10により自動的に再実行不能な作業のエラーは、例えば、紫外線硬化樹脂,金属インクなどの消耗品切れによるエラー等である。
【0032】
一方、回路形成装置10により自動的に再実行可能な作業のエラーは、画像処理エラー,軸移動エラー,ノズル着脱エラー,温度異常エラー,タイムアウトエラー,部品保持エラー等である。画像処理エラーは、カメラ118により撮像された撮像データの画像処理時に発生するエラーであり、例えば、吸着ノズルにより保持された電子部品150の姿勢等を撮像データに基づいて認識できない場合等に発生する。軸移動エラーは、ステージ52の移動時,装着ヘッド116の移動時等に発生するエラーであり、例えば、ステージ52,装着ヘッド116等が任意の位置まで移動しない場合等に発生する。ノズル着脱エラーは、装着ヘッド116に装着された吸着ノズルの交換時に発生するエラーであり、例えば、装着ヘッド116に装着されている吸着ノズルの離脱時に吸着ノズルが装着ヘッド116から外れない場合等に発生する。温度異常エラーは、ヒータ78による加熱時に発生するエラーであり、例えば、ヒータ78が設定温度範囲まで加熱されない場合,設定温度範囲を超えて加熱される場合等に発生する。また、温度異常エラーは、インクジェットヘッド76,88において紫外線硬化樹脂,金属インクが加熱される際に発生するエラーでもあり、例えば、紫外線硬化樹脂,金属インクが設定温度範囲まで加熱されない場合,設定温度範囲を超えて加熱される場合等にも発生する。タイムアウトエラーは、平坦化装置90等による作業時に発生するエラーであり、例えば、平坦化装置90による作業が設定時間内に完了しない場合等に発生する。部品保持エラーは、吸着ノズルによる電子部品150の装着時に発生するエラーであり、例えば、テープフィーダ114により供給された電子部品150を吸着ノズルが保持できなかった場合等に発生する。
【0033】
このように、エラー設定画面172において、複数種類のエラーが自動再実行可能エラー一覧176に表示されており、エラーの種類毎に入力欄178が表示されている。そして、作業者が入力欄178に対して操作することで、操作された入力欄178に丸印が表示される。この際、丸印が表示された入力欄178に対応するエラーが、自動解除エラーに設定される。一方、丸印が表示されていない入力欄178に対応するエラーは、解除不可エラーに設定される。なお、
図9に示すエラー設定画面172では、画像処理エラーとノズル着脱エラーとタイムアウトエラーと部品保持エラーとが、自動解除エラーに設定されており、軸移動エラーと温度異常エラーとは、解除不可エラーに設定されている。これは、回路形成時にステージ52,装着ヘッド116等が任意の位置まで移動しない場合には、紫外線硬化樹脂の吐出や、電子部品150の装着などを適切に実行できない虞があることを考慮して、作業者が軸移動エラーを解除不可エラーに設定しているためである。また、ヒータ78が設定温度範囲に加熱されない場合及び、紫外線硬化樹脂,金属インクが設定温度範囲に加熱されない場合には、金属インクの焼成や、紫外線硬化樹脂の吐出などを適切に実行できない虞があることを考慮して、作業者が温度異常エラーを解除不可エラーに設定しているためである。
【0034】
このように、エラー設定画面172において自動解除エラーと解除不可エラーとが設定されると、回路形成装置10における作業にエラーが発生したか否かが判定される(S102)。詳しくは、電子部品150を保持した吸着ノズルがカメラ118により撮像されると、撮像データに基づいて、吸着ノズルによる電子部品150の保持姿勢が演算される。この際、撮像データに基づいて、吸着ノズルによる電子部品150の保持姿勢を演算することができたか否かが判定される。そして、撮像データに基づいて電子部品150の保持姿勢を演算することができなかった場合に、画像処理作業にエラーが発生したと判定される。
【0035】
また、ステージ52が搬送装置20の作動により移動する際、若しくは、装着ヘッド116が移動装置117の作動により移動する際に、搬送装置20若しくは、移動装置117は、コントローラ120の指令に従って作動する。これにより、ステージ52若しくは、装着ヘッド116はコントローラ120の指令に応じた位置(以下、「指令位置」と記載する)まで移動する。この際、ステージ52若しくは、装着ヘッド116が移動した後の位置(以下、「移動後位置」と記載する)が、搬送装置20等の電磁モータ38等のエンコーダの出力値に基づいて演算される。そして、移動後位置が、指令位置を中心とした設定範囲内、例えば、0.1mmの範囲内に位置しているか否かが判定される。そして、移動後位置が、指令位置を中心とした設定範囲内に位置していない場合に、ステージ52若しくは、装着ヘッド116の移動作業にエラーが発生したと判定される。
【0036】
また、装着ヘッド116に装着されている吸着ノズルが交換される際に、まず、装着ヘッド116に装着されている吸着ノズルがノズルトレイに収容され、そのノズルトレイに収容されている別の吸着ノズルが装着ヘッド116に装着される。この際、装着ヘッド116に装着されている吸着ノズルのノズルトレイへの収容作業が実行された後に、装着ヘッド116が撮像され、撮像データに基づいて吸着ノズルの有無が判定される。そして、撮像データに基づいて吸着ノズルが有ると判定された場合に、吸着ノズルのノズルトレイへの収容作業にエラーが発生したと判定される。また、ノズルトレイに収容されている吸着ノズルの装着ヘッド116への装着作業が実行された後に、装着ヘッド116が撮像され、撮像データに基づいて吸着ノズルの有無が判定される。そして、撮像データに基づいて吸着ノズルが無いと判定された場合に、装着ヘッド116への吸着ノズルの装着作業にエラーが発生したと判定される。
【0037】
また、ヒータ78により金属インクが加熱される際に、ヒータ78の温度が温度センサ79の検出値に基づいて管理されている。この際、ヒータ78の温度が設定温度範囲、例えば、100~105℃から外れている場合に、ヒータ78の昇温作業にエラーが発生していると判定される。また、インクジェットヘッド76,88により紫外線硬化樹脂,金属インクが吐出される際に、紫外線硬化樹脂,金属インクは加熱されており、紫外線硬化樹脂,金属インクの温度が、温度センサ77,89の検出値に基づいて管理されている。この際、紫外線硬化樹脂の温度が設定温度範囲、例えば、70~75℃から外れている場合に、紫外線硬化樹脂の昇温作業にエラーが発生していると判定される。また、金属インクの温度が設定温度範囲、例えば、30~35℃から外れている場合に、金属インクの昇温作業にエラーが発生していると判定される。
【0038】
また、平坦化装置90により紫外線硬化樹脂が平坦化される際に、平坦化装置90による紫外線硬化樹脂の平坦化作業に要する時間が計測されている。この際、平坦化装置90による紫外線硬化樹脂の平坦化作業が完了する迄の時間が、設定時間、例えば、10秒を超える場合に、平坦化装置90による平坦化作業にエラーが発生していると判定される。
【0039】
また、吸着ノズルによる電子部品150の保持作業が実行されると、吸着ノズルがカメラ118により撮像される。この際、撮像データに基づいて、電子部品150の有無が判定され、撮像データに基づいて電子部品150が無いと判定された場合に、吸着ノズルによる電子部品150の保持作業にエラーが発生したと判定される。
【0040】
このように、回路形成装置10において各種作業が実行されると、実行された作業にエラーが発生したか否かが判定される。この際、エラーが発生していると判定された場合(S102:YES)に、回路形成装置10による生産が停止する(S104)。そして、エラーの発生が、警告灯の点灯,警告音の発生,警告画面の表示等により報知される(S106)。続いて、発生したエラーが自動解除エラーに設定されているか否かが判定される(S108)。つまり、発生したエラーが、エラー設定画面172においてユーザ操作により自動解除エラーに設定されているか否かが判定される。
【0041】
そして、発生したエラーが自動解除エラーに設定されている場合(S108:YES)に、発生したエラーに対応する作業が再実行される(S110)。つまり、例えば、画像処理作業時にエラーが発生した場合に、
図9に示すように、画像処理エラーが自動解除エラーに設定されていれば、吸着ノズルが、カメラ118により再度、撮像される。なお、吸着ノズルが再度、撮像される際の撮像条件は、発生した画像処理エラーの起因となった撮像時と同じ撮像条件とされる。また、ノズルの交換作業時、つまり、吸着ノズルが装着ヘッド116に着脱される作業時にエラーが発生した場合に、ノズル着脱エラーが自動解除エラーに設定されていれば、装着ヘッド116への吸着ノズルの着脱作業が再度、実行される。また、平坦化装置90による紫外線硬化樹脂の平坦化作業時にエラーが発生した場合に、タイムアウトエラーが自動解除エラーに設定されていれば、平坦化装置90による紫外線硬化樹脂の平坦化作業が再度、実行される。また、吸着ノズルによる電子部品150の保持作業時にエラーが発生した場合に、部品保持エラーが自動解除エラーに設定されていれば、吸着ノズルによる電子部品150の保持作業が再度、実行される。
【0042】
なお、軸移動エラーは、
図9に示すエラー設定画面172において自動解除エラーに設定されていないが、ステージ52等の移動時にエラーが発生した場合に、軸移動エラーが自動解除エラーに設定されていれば、ステージ52等が搬送装置20の作動により再度、指令位置に向って移動する。また、温度異常エラーは、
図9に示すエラー設定画面172において自動解除エラーに設定されていないが、ヒータ78の加熱時にエラーが発生した場合に、温度異常エラーが自動解除エラーに設定されていれば、ヒータ78が再度、加熱される。また、インクジェットヘッド76,88において紫外線硬化樹脂等の加熱時にエラーが発生した場合に、温度異常エラーが自動解除エラーに設定されていれば、インクジェットヘッド76,88において紫外線硬化樹脂等が再度、加熱される。
【0043】
そして、発生したエラーに対応する作業が再実行されると、その再実行された作業に対して、エラーが発生しているか否かの再判定が行われる(S112)。つまり、例えば、画像処理エラーに対応して吸着ノズルがカメラ118により再度、撮像されると、撮像データに基づいて吸着ノズルにより保持された電子部品150の保持姿勢が演算される。この際、撮像データに基づいて電子部品150の保持姿勢が演算されると、画像処理エラーが解除されたと判定される(S114:YES)。また、ノズル着脱エラーに対応して装着ヘッド116への吸着ノズルの着脱作業が再度、実行されると、装着ヘッド116がカメラ118により撮像され、撮像データに基づいて吸着ノズルの有無が判定される。この際、装着ヘッド116からの吸着ノズルの取り外し作業において、撮像データに基づいて吸着ノズルが無いと判定されると、ノズル着脱エラーが解除されたと判定される(S114:YES)。また、装着ヘッド116への吸着ノズルの装着作業において、撮像データに基づいて吸着ノズルが有ると判定されると、ノズル着脱エラーが解除されたと判定される(S114:YES)。また、部品保持エラーに対応して吸着ノズルが電子部品150の保持作業を再度、実行すると、吸着ノズルがカメラ118により撮像される。この際、撮像データに基づいて電子部品150の有無が判定され、電子部品150がある場合に、部品保持エラーが解除されたと判定される(S114:YES)。
【0044】
また、軸移動エラーに対応してステージ52等が指令位置に向って再度、移動すると、ステージ52等の移動後位置が搬送装置20の電磁モータ38等のエンコーダの出力値に基づいて演算される。なお、ステージ52等の再移動の起因となった軸移動エラーの判定時には、上述したように、ステージ52等の移動後位置が、指令位置を中心とした設定範囲内、例えば、0.1mmの範囲内に位置しているか否かが判定されていた。一方、ステージ52等の再移動後にエラーが発生しているか否かの再判定時には、ステージ52等の移動後位置が、指令位置を中心とした設定範囲より広い範囲、例えば、0.5mmの範囲内に位置しているか否かが判定される。そして、ステージ52等の移動後位置が、指令位置を中心とした設定範囲より広い範囲、例えば、0.5mmの範囲内に位置している場合に、軸移動エラーが解除されたと判定される(S114:YES)。このように、1度目のエラー判定時には、作業結果が許容値を満たしているか否かが判定され、その1度目のエラー判定により再実行された作業のエラー判定時、つまり、2度目のエラー判定時には、作業結果が、先の許容値より広い許容値を満たしているか否かが判定される。これにより、再実行された作業によりエラーを解除し易くなる。
【0045】
また、温度異常エラーに対応してヒータ78が再度、加熱されると、ヒータ78の温度センサ79によりヒータ78の温度が計測される。なお、ヒータ78の再加熱の起因となった温度異常エラーの判定時には、上述したように、ヒータ78の温度が、設定温度範囲、例えば、100~105℃に収まっているか否かが判定されていた。一方、ヒータ78の再加熱後にエラーが発生しているか否かの再判定時には、ヒータ78の温度が、設定温度範囲より広い範囲、例えば、97~108℃に収まっているか否かが判定される。また、温度異常エラーに対応してインクジェットヘッド76,88において紫外線硬化樹脂,金属インクが再度、加熱されると、温度センサ77,89により紫外線硬化樹脂,金属インクの温度が計測される。なお、紫外線硬化樹脂の再加熱の起因となった温度異常エラーの判定時には、上述したように、紫外線硬化樹脂の温度が、設定温度範囲、例えば、70~75℃に収まっているか否かが判定されていた。一方、紫外線硬化樹脂の再加熱後にエラーが発生しているか否かの再判定時には、紫外線硬化樹脂の温度が、設定温度範囲より広い範囲、例えば、67~78℃に収まっているか否かが判定される。また、金属インクの再加熱の起因となった温度異常エラーの判定時には、上述したように、金属インクの温度が、設定温度範囲、例えば、30~35℃に収まっているか否かが判定されていた。一方、金属インクの再加熱後にエラーが発生しているか否かの再判定時には、金属インクの温度が、設定温度範囲より広い範囲、例えば、27~38℃に収まっているか否かが判定される。そして、ヒータ78,紫外線硬化樹脂,金属インクの温度が、設定温度範囲より広い範囲に収まっている場合に、温度異常エラーが解除されたと判定される(S114:YES)。このように、温度異常エラーに対応して作業が再実行された後のエラーの再判定時においても、再実行された作業が、1度目のエラー判定で用いられた許容値より広い許容値を満たしているか否かが判定される。
【0046】
また、タイムアウトエラーに対応して平坦化装置90による紫外線硬化樹脂の平坦化作業が再度、実行されると、平坦化装置90による平坦化作業に要する時間が計測される。なお、平坦化装置90による平坦化作業の再実行の起因となったタイムアウトエラーの判定時には、上述したように、平坦化装置90による作業時間が、設定時間、例えば、10秒を超えるか否かが判定されていた。一方、平坦化装置90による作業の再実行後にエラーが発生しているか否かの再判定時には、平坦化装置90による作業時間が、設定時間より長い時間、例えば、50秒を超えるか否かが判定される。そして、平坦化装置90の作業時間が、設定時間より長い時間、例えば、50秒を超えない場合、つまり、50秒以下である場合に、タイムアウトエラーが解除されたと判定される(S114:YES)。このように、タイムアウトエラーに対応して作業が再実行された後のエラーの再判定時においても、再実行された作業が、1度目のエラー判定で用いられた許容値より広い許容値を満たしているか否かが判定される。
【0047】
そして、再判定の結果、エラーが解除されたと判定されると(S114:YES)、S106で実行されたエラー報知が解除される(S116)。つまり、警告灯の消灯,警告音の停止,警告画面の非表示等が実行される。続いて、発生したエラーの種類および、そのエラーが解除されたことが、コントローラ120のメモリ(図示省略)に記憶される(S118)。これにより、就業時間外に回路形成装置10が作動している際に発生したエラーが自動的に解除された場合において、作業者が自動的に解除されたエラーの内容を事後的に認識することができる。
【0048】
また、再判定の結果、エラーが解除されていないと判定されると(S114:NO)、S110~S114の処理が繰り返される。つまり、エラーの起因となった作業が、繰り返し実行される。なお、S110~S114の処理が、設定回数、繰り返されて、エラーが解除されていないと判定されると(S114:NO)、本プログラム170による処理が終了する。つまり、回路形成装置10が停止し、エラー報知が為された状態で維持される。
【0049】
また、S108において、発生したエラーが自動解除エラーに設定されていない場合(S108:NO)、つまり、発生したエラーが解除不可エラーに設定されている場合にも、本プログラム170による処理が終了する。つまり、回路形成装置10が停止し、エラー報知が為された状態で維持される。なお、回路形成装置10が停止し、エラー報知が為された状態では、作業者が手動でエラー報知を停止させ、エラーの起因となった作業の再開は、作業者の操作により実行される。
【0050】
このように、回路形成装置10では、回路形成装置10による回路形成時に発生し得るエラーが、作業者の操作により、自動解除エラーと解除不可エラーとの何れかに設定されており、自動解除エラーに設定されているエラーが発生した場合に、その発生したエラーが自動的に解除される。これにより、例えば、就業時間外における回路形成装置10の長時間の停止を抑制するとともに、就業時間外での作業者の負担を抑制することが可能となる。さらに言えば、自動的に解除されるエラーを、作業者が選択することで、適切な回路の形成を担保することも可能となる。
【0051】
また、コントローラ120に組み込まれているプログラム170は、
図2に示すように、設定部180と判定部182と報知部184と再実行部186と再判定部188と解除部190と記憶部192とを備えている。設定部180は、S100の処理を実行するための機能部である。判定部182は、S102の処理を実行するための機能部である。報知部184は、S106の処理を実行するための機能部である。再実行部186は、S110の処理を実行するための機能部である。再判定部188は、S112の処理を実行するための機能部である。解除部190は、S116の処理を実行するための機能部である。記憶部192は、S118の処理を実行するための機能部である。
【0052】
なお、上記実施例において、回路形成装置10は、回路形成装置の一例である。紫外線硬化樹脂は、硬化性樹脂の一例である。金属インク166は、導電性流体の一例である。設定部180は、設定部の一例である。判定部182は、判定部の一例である。再実行部186は、再実行部の一例である。また、設定部180により実行される工程は、設定工程の一例である。判定部182により実行される工程は、判定工程の一例である。報知部184により実行される工程は、報知工程の一例である。再実行部186により実行される工程は、再実行工程の一例である。再判定部188により実行される工程は、再判定工程の一例である。解除部190により実行される工程は、解除工程の一例である。記憶部192により実行される工程は、記憶工程の一例である。
【0053】
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することが可能である。例えば、上記実施例では、自動解除エラーと解除不可エラーとがエラー設定画面172においてユーザ操作により設定されているが、デフォルトで自動解除エラーと解除不可エラーとが設定されていてもよい。
【0054】
また、上記実施例では、画像処理エラーが発生した場合に吸着ノズルが再撮像される際の撮像条件は、発生した画像処理エラーの起因となった撮像時と同じ撮像条件とされているが、異なる撮像条件とされてもよい。
【0055】
また、上記実施例では、樹脂積層体130,140,160、配線168、電子部品150により回路が構成されているが、その回路の上に、更に、配線の形成、電子部品の装着、樹脂積層体の積層などを行ってもよい。
【0056】
また、上記実施例では、ヒータ78により、金属インク166が加熱されているが、レーザ光等の照射により、金属インク166が加熱されてもよい。
【0057】
また、上記実施例では、金属インク166が、インクジェットヘッド76により吐出されているが、スタンプ等により金属インク166が転写されてもよい。また、スクリーン印刷により、金属インク166が印刷されてもよい。
【符号の説明】
【0058】
10:回路形成装置 170:金属インク(導電性流体) 180:設定部(設定工程) 182:判定部(判定工程) 184:報知部(報知工程) 186:再実行部(再実行工程) 188:再判定部(再判定工程) 190:解除部(解除工程) 192:記憶部(記憶工程)