(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-09
(45)【発行日】2024-04-17
(54)【発明の名称】整流装置および非接触給電システム
(51)【国際特許分類】
H02M 7/21 20060101AFI20240410BHJP
H02J 50/12 20160101ALI20240410BHJP
【FI】
H02M7/21 A
H02J50/12
(21)【出願番号】P 2022517537
(86)(22)【出願日】2021-03-11
(86)【国際出願番号】 JP2021009696
(87)【国際公開番号】W WO2021220632
(87)【国際公開日】2021-11-04
【審査請求日】2022-08-03
(31)【優先権主張番号】P 2020079660
(32)【優先日】2020-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020163948
(32)【優先日】2020-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【氏名又は名称】加藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 正人
【審査官】東 昌秋
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/012787(WO,A1)
【文献】国際公開第98/021815(WO,A1)
【文献】特開2009-284564(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/00- 7/40
H02M 3/00- 3/44
H02J 50/00-50/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電流を供給する給電部と、
前記交流電流に対する導通状態および非導通状態が切り替わるスイッチング素子と、
前記スイッチング素子に印加される電圧を検出する印加電圧検出部と、
前記スイッチング素子に流れる前記交流電流が
負から正に変化するゼロクロス点を検出するゼロクロス検出部と、
前記印加電圧検出部の検出電圧が所定の閾値電圧以下になってから、前記スイッチング素子が連続する導通状態と非導通状態とで動作する第1一定時間の後に、前記スイッチング素子を導通状態に切り替えるとともに、前記ゼロクロス検出部が前記交流電流のゼロクロス点を検出してから、前記スイッチング素子が連続する導通状態と非導通状態とで動作する第2一定時間の後に、前記スイッチング素子を非導通状態に切り替える制御部と、を備え
、
前記スイッチング素子に流れる前記交流電流は、前記スイッチング素子のドレインからソースに流れる場合に正の極性であり、
前記スイッチング素子に印加される前記電圧は、前記スイッチング素子のソース側を基準とした場合のドレイン側の電圧であることを特徴とする整流装置。
【請求項2】
交流電流を供給する給電部と、
前記交流電流に対する導通状態および非導通状態が切り替わる第1スイッチング素子と、
前記第1スイッチング素子と直列に接続された第2スイッチング素子と、
前記第1スイッチング素子および前記第2スイッチング素子に印加される電圧を検出する印加電圧検出部と、
前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子とを交互に導通状態と非導通状態に切り替え、前記印加電圧検出部の検出電圧が所定の第1閾値電圧以下になってから、前記第1スイッチング素子および前記第2スイッチング素子が連続する導通状態と非導通状態とで動作する第1一定時間の後に、前記第1スイッチング素子および前記第2スイッチング素子を導通状態に切り替えるとともに、前記印加電圧検出部の検出電圧が所定の第2閾値電圧以上になってから、前記第1スイッチング素子および前記第2スイッチング素子が連続する導通状態と非導通状態とで動作する第2一定時間の後に、前記第1スイッチング素子および前記第2スイッチング素子を非導通状態に切り替える制御部と、を備え
、
前記第1スイッチング素子および前記第2スイッチング素子に印加される前記電圧は、前記第1スイッチング素子および前記第2スイッチング素子のソース側を基準とした場合のドレイン側の電圧であることを特徴とする整流装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記印加電圧検出部の検出電圧が前記第1閾値電圧以下になると、第1コンデンサに対する充電を開始するとともに、充電開始から前記第1一定時間の後に前記第1スイッチング素子および前記第2スイッチング素子を導通状態に切り替え、
前記印加電圧検出部の検出電圧が前記第2閾値電圧以上になると、第2コンデンサに対する充電を開始するとともに、充電開始から前記第2一定時間の後に前記第1スイッチング素子および前記第2スイッチング素子を非導通状態に切り替えることを特徴とする請求項2に記載の整流装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1コンデンサを充電しているときに、前記第2コンデンサの充電を開始し、前記第2コンデンサを充電しているときに、前記第1コンデンサの充電を開始することを特徴とする請求項3に記載の整流装置。
【請求項5】
前記第1一定時間は、
前記印加電圧検出部の前記検出電圧が前記第1閾値電圧以下になるタイミング以降に前記第1スイッチング素
子を導通状態に切り替えるように設定されていることを特徴とする請求項3または4に記載の整流装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記印加電圧検出部の前記検出電圧が前記第1閾値電圧以下になる直前に前記第1コンデンサを放電させ、
前記印加電圧検出部の前記検出電圧が前記第2閾値電圧以上になる直前に前記第2コンデンサを放電させることを特徴とする請求項3から5のいずれか1項に記載の整流装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記印加電圧検出部の検出電圧が前記第1閾値電圧以下になったタイミングから、前記印加電圧検出部の検出電圧が前記第2閾値電圧以上になったタイミングまでの時間が所定の時間を超えなかった場合に、前記第1スイッチング素子および前記第2スイッチング素子の非導通状態を維持することを特徴とする請求項2から6のいずれか1項に記載の整流装置。
【請求項8】
前記印加電圧検出部の検出電圧が前記第1閾値電圧以下になったタイミングから、前記印加電圧検出部の検出電圧が前記第2閾値電圧以上になったタイミングまでの時間を所定の時間と比較することで負荷状態を検出する負荷検出部をさらに備えていることを特徴とする請求項2から7のいずれか1項に記載の整流装置。
【請求項9】
前記負荷検出部は、前記印加電圧検出部の検出電圧が前記第1閾値電圧以下になると、第3コンデンサに対する充電を開始し、前記印加電圧検出部の検出電圧が前記第2閾値電圧以上になったタイミングでの前記第3コンデンサへの充電電圧を、充電開始から第3一定時間に達したときの前記充電電圧に相当する所定の電圧とを比較することを特徴とする請求項8に記載の整流装置。
【請求項10】
前記第2スイッチング素子を介して前記給電部および前記第1スイッチング素子と接続される蓄電部をさらに備えていることを特徴とする請求項2から9のいずれか1項に記載の整流装置。
【請求項11】
前記給電部は、非接触で受電して前記交流電流を供給する受電コイルを有していることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の整流装置。
【請求項12】
請求項11に記載の整流装置と、
前記受電コイルに対して非接触で送電する送電コイルを有する送電装置と、を備えていることを特徴とする非接触給電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、スイッチング素子を用いた整流装置に関する。本出願は、2020年4月28日に日本に出願された特願2020-79660号および2020年9月29日に日本に出願された特願2020-163948号に優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
非接触給電システムの受電側においては、発生した交流電圧を整流する整流回路が設けられている。このような整流回路としては、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field-Effect Transistor)を用いた同期整流型の整流回路が知られている。MOSFETは、ダイオードと比べてオン抵抗が小さい。このため、同期整流型の整流回路は、電力損失を低減することができる。
【0003】
例えば、特許文献1には、4つのトランジスタを含むブリッジ回路と、制御回路とで構成される同期整流回路が開示されている。制御回路は、ブリッジ回路における2つの入力ノードの電圧に基づいて、それぞれの入力ノードにおける電流のゼロクロスを検出し、検出したゼロクロスごとにレベルが遷移する検出信号の状態に応じて4つのトランジスタのオンオフ状態を切り替える。
【0004】
制御回路に設けられた電圧調整部は、ゼロクロスを検出する2つのコンパレータの閾値電圧を調整する。電圧調整部は、閾値電圧の調整において、2つの入力ノードの電圧をそれぞれ基準電圧と比較する2つの調整用コンパレータの比較結果に応じたアップダウンカウンタのカウント値に基づいて閾値電圧を変化させる。このように、ゼロクロス検出用のコンパレータの閾値電圧を調整することにより、電流がゼロとなるタイミングで適正にトランジスタをスイッチングすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6554317号公報(2019年7月31日発行)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の同期整流回路は、閾値電圧の調整により、高周波動作に対応できる。しかしながら、制御回路は、ゼロクロスの検出から即時にトランジスタのオンオフ状態を切り替える。このため、上記の同期整流回路は、如何に高周波動作に対応できるとは言え、スイッチング周期がより短縮化されると、制御に遅れが生じる。その結果、トランジスタのスイッチング動作が理想的なスイッチング動作から外れることにより、損失が増加するという問題が生じる。
【0007】
本開示の一態様は、トランジスタのスイッチング制御を好ましいタイミングで行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本開示の一態様に係る整流装置は、交流電流を供給する給電部と、前記交流電流に対する導通状態および非導通状態が切り替わるスイッチング素子と、前記スイッチング素子に印加される電圧を検出する印加電圧検出部と、前記スイッチング素子に流れる前記交流電流が正から負に変化するゼロクロス点を検出するゼロクロス検出部と、前記印加電圧検出部の検出電圧が所定の閾値電圧以下になってから、前記スイッチング素子が連続する導通状態と非導通状態とで動作する第1一定時間の後に、前記スイッチング素子を導通状態に切り替えるとともに、前記ゼロクロス検出部が前記交流電流のゼロクロス点を検出してから、前記スイッチング素子が連続する導通状態と非導通状態とで動作する第2一定時間の後に、前記スイッチング素子を非導通状態に切り替える制御部と、を備えている。
【0009】
上記の課題を解決するために、本開示の他の態様に係る整流装置は、交流電流を供給する給電部と、前記交流電流に対する導通状態および非導通状態が切り替わるスイッチング素子と、前記第1スイッチング素子と直列に接続された第2スイッチング素子と、前記第1スイッチング素子および前記第2スイッチング素子に印加される電圧を検出する印加電圧検出部と、前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子とを交互に導通状態と非導通状態に切り替え、前記印加電圧検出部の検出電圧が所定の第1閾値電圧以下になってから、前記第1スイッチング素子および前記第2スイッチング素子が連続する導通状態と非導通状態とで動作する第1一定時間の後に、前記第1スイッチング素子および前記第2スイッチング素子を導通状態に切り替えるとともに、前記印加電圧検出部の検出電圧が所定の第2閾値電圧以上になってから、前記第1スイッチング素子および前記第2スイッチング素子が連続する導通状態と非導通状態とで動作する第2一定時間の後に、前記第1スイッチング素子および前記第2スイッチング素子を非導通状態に切り替える制御部と、を備えている。
【発明の効果】
【0010】
本開示の一態様によれば、トランジスタのスイッチング制御を好ましいタイミングで行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の実施形態1に係る非接触給電システムの構成を示す回路図である。
【
図2】上記非接触給電システムにおける整流装置の動作を示すタイミングチャートである。
【
図3】本開示の実施形態2に係る非接触給電システムの構成を示す回路図である。
【
図4】
図3に示す非接触給電システムの整流装置における電流充電回路の構成を示す回路図である。
【
図5】
図3に示す非接触給電システムにおける整流装置の動作を示すタイミングチャートである。
【
図6】本開示の実施形態3に係る非接触給電システムの構成を示す回路図である。
【
図7】
図6に示す非接触給電システムにおける整流装置の動作を示すタイミングチャートである。
【
図8】本開示の実施形態4に係る非接触給電システムの構成を示す回路図である。
【
図9】本開示の実施形態5に係る非接触給電システムの構成を示す回路図である。
【
図10】
図9に示す非接触給電システムにおける整流装置の動作を示すタイミングチャートである。
【
図11】
図9に示す非接触給電システムにおける整流装置の他の動作を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔実施形態1〕
本開示の実施形態1について
図1および
図2に基づいて説明すると、以下の通りである。
【0013】
図1は、本開示の実施形態1に係る非接触給電システム101の構成を示す回路図である。
【0014】
図1に示すように、非接触給電システム101は、送電装置1と、整流装置10とを備えている。非接触給電システム101は、送電装置1から整流装置10へ電力を非接触(無線)によって供給するシステムである。非接触による給電方式としては、例えば、電磁誘導方式、磁気共鳴方式などの各種の方式を採用することができる。整流装置10は、スマートフォンなどの携帯機器だけでなく、掃除機などの家電機器、電動車両などに好適に用いられる。
【0015】
送電装置1は、駆動電源2と、送電コイルL2と、共振コンデンサC2とを有している。駆動電源2は交流電圧を出力するように、インバータ回路などで構成されている。駆動電源2の周波数は、例えば、電磁誘導方式の場合は150kHz~200kHzが用いられ、磁気共鳴方式の場合はISMバンド帯(例えば13.56MHz)が用いられる。
【0016】
共振コンデンサC2は、送電コイルL2と共振するために設けられるコンデンサである。送電コイルL2は、駆動電源2から出力される交流電圧に基づいて、整流装置10へ電力を送電するために設けられるコイルである。
【0017】
共振コンデンサC2の一端は駆動電源2の一方の出力端子と接続されており、共振コンデンサC2の他端は送電コイルL2の一端と接続されている。送電コイルL2の他端は、駆動電源2の他方の出力端子と接続されている。送電装置1は、駆動電源2と、共振コンデンサC2と、送電コイルL2とが、直列に接続されることによって閉回路を形成している。
【0018】
これにより、駆動電源2から、共振コンデンサC2および送電コイルL2へ交流電圧が印加されると、共振コンデンサC2と送電コイルL2とで構成される共振回路に共振が生じる。送電コイルL2は、送電コイルL2に近接するように配置された整流装置10へ電力を伝送する。
【0019】
整流装置10は、半波整流回路を含んでいる。整流装置10は、受電コイルL1(給電部)と、共振コンデンサC1と、スイッチング素子Mと、ダイオードDと、蓄電コンデンサC3(蓄電部)と、制御回路11(制御部)と、電流検出器12とを有している。
【0020】
受電コイルL1は、送電装置1の送電コイルL2が近づくと、送電コイルL2と磁気結合することにより交流電流を発生する。受電コイルL1は、ワイヤレスで、送電コイルL2から受電することにより、整流装置10内の回路へ交流電流を供給する素子である。
【0021】
尚、整流装置10を、ワイヤレスの受電装置として構成しない場合、受電コイルL1に代えて交流電源を備えてもよい。この場合、送電装置1は不要である。
【0022】
共振コンデンサC1は、受電コイルL1と直列に接続されることにより、受電コイルL1とともに共振するように設けられるコンデンサである。共振コンデンサC1の一端は、ダイオードDのアノードに接続されている。共振コンデンサC1の他端は、受電コイルL1の一端に接続されている。
【0023】
ダイオードDは、受電コイルL1から共振コンデンサC1を介して流れる交流電流のうち正の電流Isecを流し、電流Isecと逆向きの負の電流を流さない。ダイオードDのカソードは、蓄電コンデンサC3の一端に接続されている。
【0024】
スイッチング素子Mは、MOSFETなどのトランジスタである。スイッチング素子Mは、ソース端子と、ドレイン端子と、ゲート端子とを有している。スイッチング素子Mは、ゲート端子に供給されるゲート駆動電圧Vgが制御回路11によって制御されることにより、受電コイルL1が流す交流電流に対する、ソース端子とドレイン端子との間のオン(導通状態)とオフ(非導通状態)とが切り替わる。
【0025】
スイッチング素子Mのドレイン端子は、共振コンデンサC1の一端およびダイオードDのアノードに接続されている。スイッチング素子Mのソース端子は、受電コイルL1の他端に接続されている。
【0026】
蓄電コンデンサC3は、整流装置10が搭載された機器を動作させるための充電可能な電源として機能するコンデンサである。蓄電コンデンサC3の他端はスイッチング素子Mのソース端子および受電コイルL1の他端に接続されている。
【0027】
制御回路11は、電流変化検出回路13と、電圧変化検出回路14と、遅延回路15,16と、RSフリップフロップ17と、ドライバ18とを有している。
【0028】
電流変化検出回路13は、受電コイルL1からの交流電流の極性が負から正に変わる変化点(ゼロクロス点)を検出する回路である。電流変化検出回路13は、具体的には、電流Isecがゼロに達するタイミングでHレベルの一定幅を有するパルス信号を検出信号Diとして出力する。
【0029】
電圧変化検出回路14は、スイッチング素子Mのドレイン端子の電圧、すなわち、スイッチング素子Mのドレイン-ソース間電圧VdsがHレベルからLレベルに変化するタイミングを検出する。電圧変化検出回路14は、具体的には、ドレイン-ソース間電圧Vdsが所定の閾値電圧Vth未満であるときにHレベルの一定幅を有するパルス信号を検出信号Dvとして出力し、ドレイン-ソース間電圧Vdsが閾値電圧Vth以上であるときにLレベルを出力する。尚、所定の閾値電圧Vthは、一例として、-50mV~-300mVの範囲で規定されることが好ましい。
【0030】
遅延回路15は、電流変化検出回路13からの検出信号Diを一定時間(第1一定時間)遅延させる回路である。遅延回路15は、検出信号Diを遅延させた信号を、RSフリップフロップ17をリセットするためのリセット信号RSTとして出力する。遅延回路16は、電圧変化検出回路14からの検出信号Dvを一定時間(第2一定時間)遅延させる回路である。遅延回路16は、検出信号Dvを遅延させた信号を、RSフリップフロップ17をセットするためのセット信号SETとして出力する。遅延回路15が検出信号Diを遅延させる一定時間と、遅延回路16が検出信号Dvを遅延させる一定時間とは同じ時間である。
【0031】
RSフリップフロップ17は、セット端子Sに遅延回路16からのセット信号SETが入力され、リセット端子Rに遅延回路15からのリセット信号RSTが入力される。RSフリップフロップ17は、Hレベルのセット信号SETによって出力端子QからHレベルの出力信号を出力する一方、Hレベルのリセット信号RSTによって出力端子QからLレベルの出力信号を出力する。
【0032】
ドライバ18は、RSフリップフロップ17からの出力信号を増幅して、ゲート駆動電圧Vgとしてスイッチング素子Mのゲート端子に与える。
【0033】
上記のように構成される非接触給電システム101における整流装置10の動作について説明する。
図2は、整流装置10の動作を示すタイミングチャートである。
【0034】
図2に示すように、スイッチング素子Mがオフ状態で受電コイルL1からの交流電流の極性が正から負に変わることにより、スイッチング素子Mのドレイン-ソース間容量に蓄積された電荷が放電される。これにより、スイッチング素子Mのドレイン-ソース間電圧VdsがHレベルからLレベルに変化して閾値電圧Vth未満に低下する。すると、電圧変化検出回路14から出力される検出信号Dvは、LレベルからHレベルに変化し、パルス幅の時間を経過するとLレベルに変化する。検出信号Dvは、遅延回路16によって一定時間T遅延して、セット信号SETとしてRSフリップフロップ17のセット端子Sに入力される。
【0035】
一方、電流Isecが0に達することにより、電流変化検出回路13から出力される検出信号Diは、LレベルからHレベルに変化し、パルス幅の時間経過するとLレベルに変化する。検出信号Diは、遅延回路15によって一定時間T遅延して、リセット信号RSTとしてRSフリップフロップ17のリセット端子Rに入力される。
【0036】
RSフリップフロップ17がセット信号SETによってセットされてからリセット信号RSTによってリセットされるまで、RSフリップフロップ17の出力端子QからHレベルの出力信号が出力される。この出力信号がドライバ18によって増幅されることにより、Hレベルのゲート駆動電圧Vgがスイッチング素子Mのゲート端子に印加される。これにより、スイッチング素子Mがオンする。
【0037】
このように、ゲート駆動電圧VgがHレベルに変化するタイミングと、ゲート駆動電圧VgがLレベルに変化するタイミングとが、それぞれ遅延回路14,15によって一定時間T遅延する。ここで、一定時間Tは、スイッチング素子Mのスイッチング周期の1/2周期以上、かつ1周期未満の範囲で設定されている。
【0038】
これにより、ドレイン-ソース間電圧VdsがHレベルからLレベルに変化するタイミングが検出されてからスイッチング周期を超える一定時間T後にオンするようにスイッチング素子Mが駆動される。また、交流電流が負から正に変化するゼロクロス点が検出されてからスイッチング周期を超える一定時間T後にオフするようにスイッチング素子Mが駆動される。
【0039】
このように、スイッチング素子Mのスイッチングを制御するための契機となる検出事象(ドレイン-ソース間電圧Vdsおよび交流電流の変化)が検出されてから、スイッチング素子Mのスイッチング制御が一定時間T遅延する。これにより、スイッチング周期以内でスイッチングを制御する従来の整流装置と比べて、スイッチング素子Mのスイッチング制御を好ましいタイミングで行うことができる。したがって、スイッチング素子Mのスイッチング動作の損失を低減することができる。
【0040】
〔実施形態2〕
本開示の実施形態2について、
図3~
図5に基づいて以下のとおり説明する。尚、本実施形態において、実施形態1における構成要素と同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付記して、その説明を省略する。
【0041】
図3は、実施形態2に係る非接触給電システム102の構成を示す回路図である。
【0042】
図3に示すように、非接触給電システム102は、上述した非接触給電システム101と同じく、送電装置1を備えている。また、非接触給電システム102は、非接触給電システム101の整流装置10に代えて整流装置20を備えている。
【0043】
整流装置20は、半波整流回路を含んでいる。整流装置20は、整流装置10と同じく、受電コイルL1と、共振コンデンサC1と、蓄電コンデンサC3とを有している。整流装置20は、整流装置10のダイオードDおよびスイッチング素子Mに代えて、それぞれ第1スイッチング素子M1および第2スイッチング素子M2を有している。整流装置20は、整流装置10の電流検出器12、電流変化検出回路13および電圧変化検出回路14に代えて、第1ヒステリシスコンパレータCMP1(第1印加電圧検出部)と、第2ヒステリシスコンパレータCMP2(第2印加電圧検出部)とを有している。整流装置20は、整流装置10の制御回路11に代えて、第1制御回路21(制御部)と、第2制御回路22(制御部)とを有している。
【0044】
第1スイッチング素子M1は、MOSFETなどのトランジスタである。第1スイッチング素子M1は、ソース端子と、ドレイン端子と、ゲート端子とを有している。第1スイッチング素子M1は、ゲート端子に供給されるゲート駆動電圧Vg1が第1制御回路21によって制御されることにより、受電コイルL1が流す交流電流に対する、ソース端子とドレイン端子との間のオン(導通状態)とオフ(非導通状態)とが切り替わる。
【0045】
第1スイッチング素子M1のソース端子は、グランドGND1と接続されるとともに、共振コンデンサC1の一端に接続されている。第1スイッチング素子M1のドレイン端子は、第2スイッチング素子M2のソース端子と接続されているとともに、受電コイルL1の一端に接続されている。
【0046】
ここで、グランドGND1および後述するグランドGND2~GND9は、基準の電位点である。グランドGND1~GND9の電位は、全て同じ電位である。
【0047】
第2スイッチング素子M2は、MOSFETなどのトランジスタである。第2スイッチング素子M2は、ソース端子と、ドレイン端子と、ゲート端子とを有している。第2スイッチング素子M2は、第1スイッチング素子M1および受電コイルL1のそれぞれと直列に接続されている。第2スイッチング素子M2は、ゲート端子に供給されるゲート駆動電圧が第2制御回路22によって制御されることにより、受電コイルL1が流す交流電流に対する、ソース端子とドレイン端子との間のオン(導通状態)とオフ(非導通状態)とが切り替わる。第2スイッチング素子M2は、第1スイッチング素子M1と同じスイッチング周期で動作する。
【0048】
第2スイッチング素子M2のソース端子は、上述のように、第1スイッチング素子M1のドレイン端子と接続されているとともに、受電コイルL1の一端にも接続されている。第2スイッチング素子M2のドレイン端子は、蓄電コンデンサC3の一端と接続されている。蓄電コンデンサC3の他端はグランドGND5に接続されている。第2スイッチング素子M2のゲート端子は、後述するように、第2制御回路22が有するバッファBUF2を介してRSフリップフロップ回路FF6の出力端子Qと接続されている。
【0049】
第1ヒステリシスコンパレータCMP1は、第1スイッチング素子M1のドレイン-ソース間電圧(印加電圧)を監視する。第1ヒステリシスコンパレータCMP1の反転入力端子は、第1スイッチング素子M1のドレイン端子に接続されている。第1ヒステリシスコンパレータCMP1の非反転入力端子は、グランドGND2に接続されている。第1ヒステリシスコンパレータCMP1の出力端子は、後述する、第1制御回路21が有するRSフリップフロップFF1のセット端子Sに接続されている。また、第1ヒステリシスコンパレータCMP1の出力端子は、インバータINV1を介して、第1制御回路21が有するRSフリップフロップFF2のセット端子Sに接続されている。
【0050】
第1ヒステリシスコンパレータCMP1は、ヒステリシス特性を有しており、2つの第1閾値電圧Vth1および第2閾値電圧Vth2を有する。第1閾値電圧Vth1は、第2閾値電圧Vth2より低い。尚、所定の第1閾値電圧Vth1は、一例として、-50mV~-300mVの範囲で規定されることが好ましい。所定の第2閾値電圧Vth2は、一例として、0mV~-20mVの範囲で規定されることが好ましい。
【0051】
第1ヒステリシスコンパレータCMP1は、第1スイッチング素子M1のドレイン-ソース間電圧VdsがHレベルからLレベルに変化するときに、ドレイン-ソース間電圧Vdsと、第1閾値電圧Vth1とを比較する。また、第1ヒステリシスコンパレータCMP1は、ドレイン-ソース間電圧VdsがLレベルからHレベルに変化するときに、ドレイン-ソース間電圧Vdsと、第2閾値電圧Vth2とを比較する。
【0052】
第2ヒステリシスコンパレータCMP2は、第2スイッチング素子M2のドレイン-ソース間電圧(印加電圧)を監視する。第2ヒステリシスコンパレータCMP2の反転入力端子は、第2スイッチング素子M2のドレイン端子に接続されている。第2ヒステリシスコンパレータCMP2の非反転入力端子は、第1スイッチング素子M1のドレイン端子と第2スイッチング素子M2のソース端子との接続点、すなわち、受電コイルL1の一端に接続されている。第2ヒステリシスコンパレータCMP2の出力端子は、後述する、第2制御回路22が有するRSフリップフロップFF4のセット端子Sに接続されている。また、第2ヒステリシスコンパレータCMP2の出力端子は、インバータINV2を介して、第2制御回路22が有するRSフリップフロップFF5のセット端子Sに接続されている。
【0053】
第2ヒステリシスコンパレータCMP2は、ヒステリシス特性を有しており、2つの第1閾値電圧Vth11および第2閾値電圧Vth12を有する。第1閾値電圧Vth11は、第2閾値電圧Vth12より低い。尚、所定の第1閾値電圧Vth11も、所定の第1閾値電圧Vth1と同じく、一例として、-50mV~-300mVの範囲で規定されることが好ましい。所定の第2閾値電圧Vth12も、所定の第2閾値電圧Vth2と同じく、一例として、0mV~-20mVの範囲で規定されることが好ましい。
【0054】
第2ヒステリシスコンパレータCMP2は、第2スイッチング素子M2のドレイン-ソース間電圧VdsがHレベルからLレベルに変化するときに、ドレイン-ソース間電圧Vdsと、第1閾値電圧Vth11とを比較する。また、第2ヒステリシスコンパレータCMP2は、ドレイン-ソース間電圧がLレベルからHレベルに変化するときに、ドレイン-ソース間電圧と、第2閾値電圧Vth12とを比較する。
【0055】
第1制御回路21は、第1スイッチング素子M1のドレイン-ソース間電圧に基づいて第1スイッチング素子M1のオン(導通状態)とオフ(非導通状態)とを切り替える制御を行う。第1制御回路21は、インバータINV1と、RSフリップフロップFF1,FF2,FF3と、電流充電回路211,212と、コンパレータCMP3,CMP4と、バッファBUF1とを有している。
【0056】
RSフリップフロップFF1は、第1ヒステリシスコンパレータCMP1からのHレベルの出力信号によってセットされ、コンパレータCMP3からのHレベルの出力信号によってリセットされる。RSフリップフロップFF1は、セットされることにより出力端子QからHレベルの信号を出力し、リセットされることにより出力端子QからLレベルの信号を出力する。
【0057】
インバータINV1は、第1ヒステリシスコンパレータCMP1からの出力信号を反転する。RSフリップフロップFF2は、インバータINV1からのHレベルの出力信号によってセットされ、コンパレータCMP4からのHレベルの出力信号によってリセットされる。RSフリップフロップFF2は、セットされることにより出力端子QからHレベルの信号を出力し、リセットされることにより出力端子QからLレベルの信号を出力する。
【0058】
電流充電回路211は、RSフリップフロップFF1からの信号がLレベルからHレベルに変化するタイミングで充電を開始し、RSフリップフロップFF1からの信号がHレベルからLレベルに変化するタイミングで充電を停止して放電する。電流充電回路211は、充電期間において充電電圧を出力する。
【0059】
電流充電回路212は、RSフリップフロップFF2からの信号がLレベルからHレベルに変化するタイミングで充電を開始し、RSフリップフロップFF2からの信号がHレベルからLレベルに変化するタイミングで充電を停止して放電する。電流充電回路212は、充電期間において、充電電圧を出力する。
【0060】
電流充電回路211,212および後述する電流充電回路221,222の詳細については、後に詳しく説明する。
【0061】
コンパレータCMP3は、電流充電回路211の出力電圧を監視する。コンパレータCMP3の反転入力端子は、基準電源213の正極端子に接続されている。基準電源213の負極端子は、グランドGND3に接続されている。基準電源213は、一定の第3閾値電圧Vth3を出力する。コンパレータCMP3の非反転入力端子は電流充電回路211の出力端子に接続されている。コンパレータCMP3の出力端子は、RSフリップフロップFF3のセット端子Sに接続されている。
【0062】
コンパレータCMP4は、電流充電回路212の出力電圧を監視する。コンパレータCMP4の反転入力端子は、基準電源214の正極端子に接続されている。基準電源214の負極端子は、グランドGND4に接続されている。基準電源214は、一定の第4閾値電圧Vth4を出力する。コンパレータCMP4の非反転入力端子は電流充電回路212の出力端子に接続されている。コンパレータCMP4の出力端子は、RSフリップフロップFF3のリセット端子Rに接続されている。
【0063】
RSフリップフロップFF3は、コンパレータCMP3およびコンパレータCMP4のそれぞれの出力に基づいて、第1スイッチング素子M1のゲート駆動電圧を制御する。RSフリップフロップ回路FF3の出力端子Qは、バッファBUF1を介して、第1スイッチング素子M1のゲート端子と接続されている。バッファBUF1は、RSフリップフロップFF3の出力信号を増幅してゲート駆動電圧として出力する。
【0064】
第2制御回路22は、第2スイッチング素子M2のドレイン-ソース間電圧に基づいて第2スイッチング素子M2のオン(導通状態)とオフ(非導通状態)とを切り替える制御を行う。第2制御回路22は、インバータINV2と、RSフリップフロップFF4,FF5,FF6と、電流充電回路221,222と、コンパレータCMP5,CMP6と、バッファBUF2とを有している。
【0065】
RSフリップフロップFF4は、第2ヒステリシスコンパレータCMP2からのHレベルの出力信号によってセットされ、コンパレータCMP5からのHレベルの出力信号によってリセットされる。RSフリップフロップFF4は、セットされることにより出力端子QからHレベルの信号を出力し、リセットされることにより出力端子QからLレベルの信号を出力する。
【0066】
インバータINV2は、第2ヒステリシスコンパレータCMP2からの出力信号を反転する。RSフリップフロップFF5は、インバータINV2からのHレベルの出力信号によってセットされ、コンパレータCMP6からのHレベルの出力信号によってリセットされる。RSフリップフロップFF5は、セットされることにより出力端子QからHレベルの信号を出力し、リセットされることにより出力端子QからLレベルの信号を出力する。
【0067】
電流充電回路221は、RSフリップフロップFF4からの信号がLレベルからHレベルに変化するタイミングで充電を開始し、RSフリップフロップFF4からの信号がHレベルからLレベルに変化するタイミングで充電を停止して放電する。電流充電回路221は、充電期間において充電電圧を出力する。
【0068】
電流充電回路222は、RSフリップフロップFF5からの信号がLレベルからHレベルに変化するタイミングで充電を開始し、RSフリップフロップFF5からの信号がHレベルからLレベルに変化するタイミングで充電を停止して放電する。電流充電回路222は、充電期間において充電電圧を出力する。
【0069】
コンパレータCMP5は、電流充電回路221の出力電圧を監視する。コンパレータCMP5の反転入力端子は、基準電源223の正極端子に接続されている。基準電源223の負極端子は、第1スイッチング素子M1のソース端子と第2スイッチング素子M2のドレイン端子との接続点に接続されている。基準電源223は、一定の第5閾値電圧Vth5を出力する。コンパレータCMP5の非反転入力端子は電流充電回路221の出力端子に接続されている。コンパレータCMP5の出力端子は、RSフリップフロップFF6のセット端子Sに接続されている。
【0070】
コンパレータCMP6は、電流充電回路222の出力電圧を監視する。コンパレータCMP6の反転入力端子は、基準電源224の正極端子に接続されている。基準電源224の負極端子は、第1スイッチング素子M1のソース端子と第2スイッチング素子M2のドレイン端子との接続点に接続されている。基準電源224は、一定の第6閾値電圧Vth6を出力する。コンパレータCMP6の非反転入力端子は電流充電回路222の出力端子に接続されている。コンパレータCMP6の出力端子は、RSフリップフロップFF6のリセット端子Rに接続されている。
【0071】
RSフリップフロップFF6は、コンパレータCMP5およびコンパレータCMP6のそれぞれの出力に基づいて、第2スイッチング素子M2のゲート駆動電圧を制御する。RSフリップフロップ回路FF6の出力端子Qは、バッファBUF2を介して、第2スイッチング素子M2のゲート端子と接続されている。バッファBUF2は、RSフリップフロップFF6の出力信号を増幅してゲート駆動電圧として出力する。
【0072】
続いて、電流充電回路211,212,221,222について説明する。
図4は、非接触給電システム102の整流装置20における電流充電回路100の構成を示す回路図である。
【0073】
電流充電回路211,212,221,222は、共通して
図4に示す電流充電回路100として構成されている。電流充電回路100は、インバータINV5と、スイッチング素子M100,M200と、電流源110と、コンデンサC4(第1コンデンサ,第2コンデンサ)とを有している。
【0074】
スイッチング素子M100は、MOSFETなどのトランジスタである。スイッチング素子M100は、ソース端子と、ドレイン端子と、ゲート端子とを有している。スイッチング素子M100は、電流源110およびコンデンサC4と直列に接続されている。スイッチング素子M100のドレイン端子は、電流源110の一端と接続されている。スイッチング素子M100のソース端子は、コンデンサC4の一端に接続されるとともに、電流充電回路100の出力端子となる。スイッチング素子M100のゲート端子は、RSフリップフロップFFnの出力端子Qに接続されている。RSフリップフロップFFnは、上述したRSフリップフロップFF1,FF2,FF4,FF5のいずれか1つに相当する。
【0075】
電流源110の他端は、電源電圧Vccが印加される電源ラインと接続されている。コンデンサC4の他端は、グランドGNDに接続されている。コンデンサC4は、電流充電回路211においては、第1コンデンサとして機能し、電流充電回路212においては、第2コンデンサとして機能する。
【0076】
スイッチング素子M200は、MOSFETなどのトランジスタである。スイッチング素子M200は、ソース端子と、ドレイン端子と、ゲート端子とを有している。スイッチング素子M200は、コンデンサC4と並列に接続されている。スイッチング素子M200のドレイン端子は、スイッチング素子M100のソース端子に接続されている。スイッチング素子M200のソース端子は、グランドGNDに接続されている。スイッチング素子M200のゲート端子は、インバータINV5を介してRSフリップフロップFFnの出力端子Qと接続されている。
【0077】
上記のように構成される電流充電回路100において、RSフリップフロップFFnの出力信号がLレベルからHレベルに変化することにより、スイッチング素子M100がオンするとともに、スイッチング素子M200がオフする。これにより、コンデンサC4は、電流源110からスイッチング素子M100を介して供給される電流によって充電される。また、電流充電回路100において、RSフリップフロップFFnの出力信号がHレベルからLレベルに変化することにより、スイッチング素子M100がオフするとともに、スイッチング素子M200がオンする。これにより、コンデンサC4は、スイッチング素子M200を介して、蓄積した電荷を放出して放電する。
【0078】
尚、スイッチング素子M100がオン状態のときにスイッチング素子M200がオフ状態、スイッチング素子M100がオフ状態のときにスイッチング素子M200がオン状態であるので、スイッチング素子M100は無くてもよい。その場合、インバータINV5を介さずにRSフリップフロップFFnの反転出力端子(図示しない)をスイッチング素子M200のゲート端子に接続してもよい。
【0079】
コンデンサC4の充電電圧の上昇は、電流源110からの電流(充電電流)の大きさに依存し、その比率(速度)は一定である。電流源110が定電流源である場合、コンデンサC4の充電電圧は線形に変化する。以降の説明では、電流源110が定電流源である例について説明する。
【0080】
ここで、コンデンサC4の充電の期間は、第1スイッチング素子M1および第2スイッチング素子M2のスイッチング周期の1/2周期以上、かつスイッチング周期の1周期未満に設定されている。
【0081】
上記のように構成される非接触給電システム102における整流装置20の動作について説明する。
図5は、整流装置20の動作を示すタイミングチャートである。
【0082】
図5に示すように、時刻t0において、受電コイルL1からの交流電流の極性が変わることにより、第1スイッチング素子M1のドレイン-ソース間電圧VdsがHレベルからLレベルに変化する。また、第1スイッチング素子M1にソース-ドレイン電流Isdが流れる。このとき、第1ヒステリシスコンパレータCMP1は、ドレイン-ソース間電圧Vdsと第1閾値電圧Vth1と比較する。第1ヒステリシスコンパレータCMP1は、ドレイン-ソース間電圧Vdsが第1閾値電圧Vth1より低くなると、出力信号をLレベルからHレベルに変化させる。
【0083】
第1ヒステリシスコンパレータCMP1の出力信号は、セット信号SET1として、RSフリップフロップFF1のセット端子Sに入力される。また、第1ヒステリシスコンパレータCMP1の出力信号は、インバータINV1によって反転したセット信号SET2として、RSフリップフロップFF2のセット端子Sに入力される。RSフリップフロップFF1は、セット信号SET1によってセットされることで、出力信号OUT1をLレベルからHレベルに変化させる。RSフリップフロップFF2は、セット信号SET2によってセットされることで、出力信号OUT2をLレベルからHレベルに変化させる。
【0084】
電流充電回路211は、その直前に、出力信号OUT1がLレベルに低下したことにより、放電して充電電圧Vc1を0Vに低下させている。電流充電回路211は、出力信号OUT1が立ち上がるタイミングで充電を開始し、充電電圧Vc1を上昇させていく。
【0085】
時刻t1において、第1スイッチング素子M1がオフすることにより、ドレイン-ソース間電圧VdsがLレベルからHレベルに変化する。このとき、第1ヒステリシスコンパレータCMP1は、ドレイン-ソース間電圧Vdsと第2閾値電圧Vth2と比較する。第1ヒステリシスコンパレータCMP1は、ドレイン-ソース間電圧Vdsが第2閾値電圧Vth2より高くなると、出力信号(セット信号SET1)をHレベルからLレベルに変化させる。
【0086】
電流充電回路212は、その直前に、出力信号OUT2がLレベルに低下したことにより、放電して充電電圧Vc2を0Vに低下させている。電流充電回路212は、出力信号OUT2が立ち上がるタイミングで充電を開始し、充電電圧Vc2を上昇させていく。
【0087】
時刻t2において、コンパレータCMP3は、充電電圧Vc1が第3閾値電圧Vth3以上になると、出力信号(リセット信号RST1)をLレベルからHレベルに変化させる。これにより、RSフリップフロップFF1がリセットされる。すると、電流充電回路211が充電を停止して放電するので、充電電圧Vc1が0Vに低下する。また、RSフリップフロップFF3は、コンパレータCMP3の出力信号がHレベルに変化することによりセットされて、Hレベルの信号を出力する。これにより、ゲート駆動電圧Vgが上昇し始める。
【0088】
時刻t3において、ゲート駆動電圧Vgが第1スイッチング素子M1の閾値電圧に達すると、第1スイッチング素子M1がオンする。これにより、時刻t0における動作が繰り返される。
【0089】
時刻t4において、コンパレータCMP4は、充電電圧Vc2が第4閾値電圧Vth4以上になると、出力信号(リセット信号RST2)をLレベルからHレベルに変化させる。これにより、RSフリップフロップFF2がリセットされる。すると、電流充電回路212が充電を停止して放電するので、充電電圧Vc2が0Vに低下する。また、RSフリップフロップFF3は、コンパレータCMP4の出力信号がHレベルに変化することによりリセットされて、Lレベルの信号を出力する。これにより、ゲート駆動電圧Vgが低下し始める。
【0090】
ゲート駆動電圧Vgが低下すると、時刻t5に、第1スイッチング素子M1がオフする。これにより、時刻t1における動作が繰り返される。
【0091】
一方、第2制御回路22においては、第1スイッチング素子M1のオン時に、第2スイッチング素子M2がオフし、第1スイッチング素子M1のオフ時に、第2スイッチング素子M2がオンするように、第2スイッチング素子M2のスイッチングが制御される。第2スイッチング素子M2は、第2スイッチング素子M2が
図5に示す第1スイッチング素子M1の動作タイミングに対して90°(スイッチング周期の半周期)ずれた位相で、第1スイッチング素子M1と同様にスイッチング制御される。
【0092】
図5に示すように、第1制御回路21において、ドレイン-ソース間電圧VdsがHレベルからLレベルに変化するタイミングが検出されてから一定時間T1(第1一定時間)の後に、第1スイッチング素子M1がオンするように制御される。また、ドレイン-ソース間電圧VdsがLレベルからHレベルに変化するタイミングが検出されてから一定時間T1(第2一定時間)の後に、第1スイッチング素子M1がオフするように制御される。換言すれば、ゲート駆動電圧VgがHレベルに変化するタイミングを、RSフリップフロップFF1、電流充電回路211およびコンパレータCMP3によって一定時間T1遅延させている。また、ゲート駆動電圧VgがLレベルに変化するタイミングを、RSフリップフロップFF2、電流充電回路212およびコンパレータCMP4によって一定時間T遅延させている。一定時間T1は、第1スイッチング素子M1のスイッチング周期の1/2周期以上、かつ1周期未満の範囲で設定されている。
【0093】
これにより、第1スイッチング素子M1は、ドレイン-ソース間電圧Vdsの低下が検出されてから、第1スイッチング素子M1の連続するオンオフ動作の1サイクルとなる一定時間T1後にオンするように駆動される。また、第1スイッチング素子M1は、ドレイン-ソース間電圧Vdsの上昇が検出されてから、上記の一定時間T1後にオフするように駆動される。
【0094】
このように、第1スイッチング素子M1および第2スイッチング素子M2のスイッチングを制御するための契機となる検出事象(ドレイン-ソース間電圧Vdsの変化)が検出されてから、第1スイッチング素子M1および第2スイッチング素子M2のスイッチング制御が一定時間T1遅延する。これにより、スイッチング周期以内でスイッチングを制御する従来の整流装置と比べて、スイッチング素子Mのスイッチング制御を好ましいタイミングで行うことができる。したがって、スイッチング素子Mのスイッチング動作の損失を低減することができる。
【0095】
〔実施形態3〕
本開示の実施形態3について
図6および
図7に基づいて以下のとおり説明する。尚、本実施形態において、実施形態1および2における構成要素と同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付記して、その説明を省略する。
【0096】
図6は、実施形態3に係る非接触給電システム103の構成を示す回路図である。
【0097】
図6に示すように、非接触給電システム103は、上述した非接触給電システム102と同じく、送電装置1を備えている。また、非接触給電システム103は、非接触給電システム102の整流装置20に代えて整流装置30を備えている。
【0098】
整流装置30は、半波整流回路を含んでいる。整流装置30は、整流装置20と同じく、受電コイルL1と、共振コンデンサC1と、蓄電コンデンサC3とを有している。また、整流装置30は、整流装置20と同じく、第1スイッチング素子M1と、第2スイッチング素子M2と、第1ヒステリシスコンパレータCMP1と、第2ヒステリシスコンパレータCMP2とを有している。整流装置30は、整流装置20の第1制御回路21と、第2制御回路22とに代えて、それぞれ第1制御回路31と、第2制御回路32とを有している。
【0099】
第1制御回路31は、第1スイッチング素子M1のドレイン-ソース間電圧に基づいて第1スイッチング素子M1のオン(導通状態)とオフ(非導通状態)とを切り替える制御を行う。第1制御回路31は、第1制御回路21と同じく、インバータINV1と、RSフリップフロップFF1,FF2,FF3と、電流充電回路211,212と、コンパレータCMP3,CMP4と、バッファBUF1とを有している。第1制御回路31は、さらに、インバータINV3と、RSフリップフロップFF7,FF8と、電流充電回路311,312と、コンパレータCMP7,CMP8と、第1OR回路OR311と、第2OR回路OR312とを有している。
【0100】
RSフリップフロップFF7は、第1ヒステリシスコンパレータCMP1からのHレベルの出力信号によってセットされ、コンパレータCMP7からのHレベルの出力信号によってリセットされる。RSフリップフロップFF7は、セットされることにより出力端子QからHレベルの信号を出力し、リセットされることにより出力端子QからLレベルの信号を出力する。
【0101】
インバータINV3は、第1ヒステリシスコンパレータCMP1からの出力信号を反転する。RSフリップフロップFF8は、インバータINV3からのHレベルの出力信号に基づいてセットされ、コンパレータCMP8からのHレベルの出力信号によってリセットされる。RSフリップフロップFF8は、セットされることにより出力端子QからHレベルの信号を出力し、リセットされることにより出力端子QからLレベルの信号を出力する。
【0102】
電流充電回路311は、RSフリップフロップFF7からの信号がLレベルからHレベルに変化するタイミングで充電を開始し、RSフリップフロップFF7からの信号がHレベルからLレベルに変化するタイミングで充電を停止して放電する。電流充電回路311は、充電期間において充電電圧を出力する。
【0103】
電流充電回路312は、RSフリップフロップFF8からの信号がLレベルからHレベルに変化するタイミングで充電を開始し、RSフリップフロップFF8からの信号がHレベルからLレベルに変化するタイミングで充電を停止して放電する。電流充電回路312は、充電期間において充電電圧を出力する。
【0104】
コンパレータCMP7は、電流充電回路311の出力電圧を監視する。コンパレータCMP7の反転入力端子は、基準電源313の正極端子に接続されている。基準電源313の負極端子は、グランドGND6に接続されている。基準電源313は、一定の第7閾値電圧Vth7を出力する。コンパレータCMP7の非反転入力端子は、電流充電回路311の出力端子に接続されている。
【0105】
コンパレータCMP8は、電流充電回路312の出力電圧を監視する。コンパレータCMP8の反転入力端子は、基準電源314の正極端子に接続されている。基準電源314の負極端子は、グランドGND7に接続されている。基準電源314は、一定の第8閾値電圧Vth8を出力する。コンパレータCMP8の非反転入力端子は、電流充電回路312の出力端子に接続されている。
【0106】
第1OR回路OR311は、コンパレータCMP3の出力信号と、コンパレータCMP7の出力信号との論理和を出力する。第1OR回路OR311の一方の入力端子は、コンパレータCMP3の出力端子と接続されている。第1OR回路OR311の他方の入力端子は、コンパレータCMP7の出力端子と接続されている。
【0107】
第2OR回路OR312は、コンパレータCMP4の出力信号と、コンパレータCMP8の出力信号との論理和を出力する。第2OR回路OR312の一方の入力端子は、コンパレータCMP4の出力端子と接続されている。第2OR回路OR312の他方の入力端子は、コンパレータCMP8の出力端子と接続されている。
【0108】
本実施形態におけるRSフリップフロップFF3は、実施形態2におけるRSフリップフロップFF3と異なり、第1OR回路OR311の出力信号および第2OR回路OR312の出力信号に基づいて、第1スイッチング素子M1のゲート駆動電圧を制御する。このため、第1OR回路OR311の出力端子がセット端子Sに接続され、第2OR回路OR312の出力端子がリセット端子Rに接続されている。
【0109】
第2制御回路32は、第2スイッチング素子M2のドレイン-ソース間電圧に基づいて第2スイッチング素子M2のオン(導通状態)とオフ(非導通状態)とを切り替える制御を行う。第2制御回路32は、第2制御回路22と同じく、インバータINV2と、RSフリップフロップFF4,FF5,FF6と、電流充電回路221,222と、コンパレータCMP5,CMP6と、バッファBUF2とを有している。第2制御回路32は、さらに、インバータINV4と、RSフリップフロップFF9,FF10と、電流充電回路321,322と、コンパレータCMP9,CMP10と、第1OR回路OR321と、第2OR回路OR322とを有している。
【0110】
RSフリップフロップFF9は、第2ヒステリシスコンパレータCMP2からのHレベルの出力信号によってセットされ、コンパレータCMP9からのHレベルの出力信号に基づいてリセットされる。RSフリップフロップFF9は、セットされることにより出力端子QからHレベルの信号を出力し、リセットされることにより出力端子QからLレベルの信号を出力する。
【0111】
インバータINV4は、第2ヒステリシスコンパレータCMP2からの出力信号を反転する。RSフリップフロップFF10は、インバータINV4からのHレベルの出力信号によってセットされ、コンパレータCMP10からのHレベルの出力信号に基づいてリセットされる。RSフリップフロップFF10は、セットされることにより出力端子QからHレベルの信号を出力し、リセットされることにより出力端子QからLレベルの信号を出力する。
【0112】
電流充電回路321は、RSフリップフロップFF9からの信号がLレベルからHレベルに変化するタイミングで充電を開始し、RSフリップフロップFF9からの信号がHレベルからLレベルに変化するタイミングで充電を停止して放電する。電流充電回路321は、充電期間において充電電圧を出力する。
【0113】
電流充電回路322は、RSフリップフロップFF10からの信号がLレベルからHレベルに変化するタイミングで充電を開始し、RSフリップフロップFF10からの信号がHレベルからLレベルに変化するタイミングで充電を停止して放電する。電流充電回路322は、充電期間において充電電圧を出力する。
【0114】
電流充電回路311,312,321,322は、上述した電流充電回路100と同様に構成されている。ただし、電流充電回路311,312,321,322において、上述したコンデンサC4の充電の期間は、第1スイッチング素子M1および第2スイッチング素子M2のスイッチング周期の1周期以上、かつスイッチング周期の2周期未満に設定されている。
【0115】
コンパレータCMP9は、電流充電回路321の出力電圧を監視する。コンパレータCMP9の反転入力端子は、基準電源323の正極端子に接続されている。基準電源323の負極端子は、第1スイッチング素子M1のソース端子と第2スイッチング素子M2のドレイン端子との接続点に接続されている。基準電源323は、一定の第9閾値電圧Vth9を出力する。コンパレータCMP9の非反転入力端子は、電流充電回路321の出力端子に接続されている。
【0116】
コンパレータCMP10は、電流充電回路322の出力電圧を監視する。コンパレータCMP10の反転入力端子は、基準電源324の正極端子に接続されている。基準電源324の負極端子は、第1スイッチング素子M1のソース端子と第2スイッチング素子M2のドレイン端子との接続点に接続されている。基準電源324は、一定の第10閾値電圧Vth10を出力する。コンパレータCMP10の非反転入力端子は、電流充電回路322の出力端子に接続されている。
【0117】
第1OR回路OR321は、コンパレータCMP5の出力信号と、コンパレータCMP9の出力信号との論理和を出力する。第1OR回路OR321の一方の入力端子は、コンパレータCMP5の出力端子と接続されている。第1OR回路OR321の他方の入力端子は、コンパレータCMP9の出力端子と接続されている。
【0118】
第2OR回路OR322は、コンパレータCMP6の出力信号と、コンパレータCMP10の出力信号との論理和を出力する。第2OR回路OR322の一方の入力端子は、コンパレータCMP6の出力端子と接続されている。第2OR回路OR322の他方の入力端子は、コンパレータCMP10の出力端子と接続されている。
【0119】
本実施形態におけるRSフリップフロップFF6は、実施形態2におけるRSフリップフロップFF6と異なり、第1OR回路OR321の出力信号および第2OR回路OR322の出力信号に基づいて、第2スイッチング素子M2のゲート駆動電圧を制御する。このため、第1OR回路OR321の出力端子がセット端子Sに接続され、第2OR回路OR322の出力端子がリセット端子Rに接続されている。
【0120】
上記のように構成される非接触給電システム103における整流装置30の動作について説明する。
図7は、整流装置30の動作を示すタイミングチャートである。
【0121】
図7に示すように、時刻t0において、受電コイルL1からの交流電流の極性が変わることにより、第1スイッチング素子M1のドレイン-ソース間電圧VdsがHレベルからLレベルに変化する。このとき、第1制御回路31では、第1ヒステリシスコンパレータCMP1からのセット信号SET1がLレベルからHレベルに変化することにより、RSフリップフロップFF1がセットされる。電流充電回路211は、そのドレイン-ソース間電圧Vdsが変化するタイミングで充電を開始し、充電電圧Vc1を上昇させていく。
【0122】
時刻t11において、受電コイルL1からの交流電流の極性が変わることにより、ドレイン-ソース間電圧VdsがLレベルからHレベルに変化する。このとき、インバータINV1からのセット信号SET2がLレベルからHレベルに変化することにより、RSフリップフロップFF2がセットされる。電流充電回路212は、そのドレイン-ソース間電圧Vdsが変化するタイミングで充電を開始し、充電電圧Vc2を上昇させていく。
【0123】
時刻t12において、受電コイルL1からの交流電流の極性が変わることにより、ドレイン-ソース間電圧VdsがHレベルからLレベルに変化する。このとき、第1ヒステリシスコンパレータCMP1からのセット信号SET7がLレベルからHレベルに変化することにより、RSフリップフロップFF7がセットされる。電流充電回路311は、そのドレイン-ソース間電圧Vdsが変化するタイミングで充電を開始し、充電電圧Vc3を上昇させていく。
【0124】
時刻t13において、受電コイルL1からの交流電流の極性が変わることにより、ドレイン-ソース間電圧VdsがLレベルからHレベルに変化する。このとき、インバータINV3からのセット信号SET8がLレベルからHレベルに変化することにより、RSフリップフロップFF8がセットされる。電流充電回路312は、そのドレイン-ソース間電圧Vdsが変化するタイミングで充電を開始し、充電電圧Vc4を上昇させていく。
【0125】
充電電圧Vc1が第3閾値電圧Vth3以上になると、コンパレータCMP3の出力信号(リセット信号RST1)がLレベルからHレベルに変化する。これにより、RSフリップフロップFF3が、セットされてHレベルの信号を出力する。すると、ゲート駆動電圧Vgが上昇して、時刻t14に、第1スイッチング素子M1の閾値電圧に達することで、第1スイッチング素子M1がオンする。
【0126】
充電電圧Vc2が第4閾値電圧Vth4以上になると、コンパレータCMP4の出力信号(リセット信号RST2)がLレベルからHレベルに変化する。これにより、RSフリップフロップFF3が、リセットされてLレベルの信号を出力する。すると、ゲート駆動電圧Vgが低下して、時刻t15に、第1スイッチング素子M1がオフする。
【0127】
充電電圧Vc3が第7閾値電圧Vth7以上になると、コンパレータCMP7の出力信号(リセット信号RST3)がLレベルからHレベルに変化する。これにより、RSフリップフロップFF3が、セットされてHレベルの信号を出力する。すると、ゲート駆動電圧Vgが上昇して、時刻t16に、第1スイッチング素子M1の閾値電圧に達することで、第1スイッチング素子M1がオンする。
【0128】
充電電圧Vc4が第8閾値電圧Vth8以上になると、コンパレータCMP8の出力信号(リセット信号RST4)がLレベルからHレベルに変化する。これにより、RSフリップフロップFF3が、リセットされてLレベルの信号を出力する。すると、ゲート駆動電圧Vgが低下して、時刻t17に、第1スイッチング素子M1がオフする。
【0129】
一方、第2制御回路32においては、第1スイッチング素子M1のオン時に、第2スイッチング素子M2がオフし、第1スイッチング素子M1のオフ時に、第2スイッチング素子M2がオンするように第2スイッチング素子M2のスイッチングが制御される。第2スイッチング素子M2は、第2スイッチング素子M2が
図7に示す第1スイッチング素子M1の動作タイミングに対して90°(スイッチング周期の半周期)ずれた位相で、第1スイッチング素子M1と同様にスイッチング制御される。
【0130】
図7に示すように、第1制御回路31において、ドレイン-ソース間電圧VdsがHレベルからLレベルに変化するタイミングが検出されてから一定時間T2(第1一定時間)の後に、第1スイッチング素子M1がオンするように制御される。また、ドレイン-ソース間電圧VdsがLレベルからHレベルに変化するタイミングが検出されてから一定時間T2(第2一定時間)の後に、第1スイッチング素子M1がオフするように制御される。換言すれば、ゲート駆動電圧VgがHレベルに変化するタイミングを、RSフリップフロップFF1,FF7、電流充電回路211,311およびコンパレータCMP3,CMP7によって一定時間T2遅延させている。また、ゲート駆動電圧VgがLレベルに変化するタイミングを、RSフリップフロップFF2,FF8、電流充電回路212,312およびコンパレータCMP4,CMP8によって一定時間T2遅延させている。一定時間T2は、第1スイッチング素子M1のスイッチング周期の1周期を超え、かつ2周期以下に設定されている。
【0131】
これにより、第1スイッチング素子M1は、ドレイン-ソース間電圧Vdsの低下が検出されてから、第1スイッチング素子M1の連続するオンオフ動作の2サイクルとなる一定時間T2の後にオンするように駆動される。また、第1スイッチング素子M1は、ドレイン-ソース間電圧Vdsの上昇が検出されてから、上記の一定時間T2の後にオフするように駆動される。それゆえ、スイッチング周期以内でスイッチングを制御する従来の整流装置と比べて、スイッチング素子Mのスイッチング制御を好ましいタイミングで行うことができる。また、整流装置30においては、上述した実施形態1の整流装置20よりも長い一定時間T2が設定される。これにより、スイッチング素子Mのスイッチング制御を、より一層余裕を持たせることにより、好ましいタイミングで行うことができる。したがって、スイッチング素子Mのスイッチング動作の損失を低減することができる。
【0132】
〔実施形態4〕
本開示の実施形態3について
図8に基づいて以下のとおり説明する。尚、本実施形態において、実施形態1および2における構成要素と同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付記して、その説明を省略する。
【0133】
図8は、実施形態4に係る非接触給電システム104の構成を示す回路図である。
【0134】
図8に示すように、非接触給電システム104は、上述した非接触給電システム102と同じく、送電装置1を備えている。また、非接触給電システム104は、非接触給電システム102の整流装置20に代えて整流装置40を備えている。
【0135】
整流装置40は、全波整流回路を含んでいる。整流装置40は、整流装置20と同じく、受電コイルL1と、共振コンデンサC1と、蓄電コンデンサC3とを有している。また、整流装置40は、整流装置20と同じく、第1スイッチング素子M1と、第2スイッチング素子M2と、第1ヒステリシスコンパレータCMP1と、第2ヒステリシスコンパレータCMP2とを有している。整流装置40は、整流装置20の第1制御回路21と、第2制御回路22とに代えて、それぞれ第1制御回路41と、第2制御回路42とを有している。さらに、整流装置40は、第3スイッチング素子M3と、第4スイッチング素子M4と、第3ヒステリシスコンパレータCMP11と、第4ヒステリシスコンパレータCMP12と、第3制御回路43と、第4制御回路44とを有している。
【0136】
本実施形態において、第1スイッチング素子M1のソース端子は、グランドGND1と接続されているが、実施形態1における第1スイッチング素子M1と異なり、共振コンデンサC1の一端には接続されていない。第1スイッチング素子M1のドレイン端子は、第2スイッチング素子M2のソース端子と接続されているとともに、受電コイルL1の一端に接続されている。
【0137】
第3スイッチング素子M3は、MOSFETなどのトランジスタである。第3スイッチング素子M3は、ソース端子と、ドレイン端子と、ゲート端子とを有している。第3スイッチング素子M3は、ゲート端子に供給されるゲート駆動電圧が第3制御回路43によって制御されることにより、受電コイルL1が流す交流電流に対する、ソース端子とドレイン端子との間のオン(導通状態)とオフ(非導通状態)とが切り替わる。本実施形態において、第3スイッチング素子M3は、第2スイッチング素子M2と同等に機能する。
【0138】
第3スイッチング素子M3のソース端子は、グランドGND8と接続されている。第3スイッチング素子M3のドレイン端子は、第4スイッチング素子M4のソース端子と接続されているとともに、共振コンデンサC1の一端に接続されている。
【0139】
第4スイッチング素子M4は、MOSFETなどのトランジスタである。第4スイッチング素子M4は、ソース端子と、ドレイン端子と、ゲート端子とを有している。第4スイッチング素子M4は、第3スイッチング素子M3および共振コンデンサC1のそれぞれと直列に接続されている。第4スイッチング素子M4は、ゲート端子に供給されるゲート駆動電圧が第4制御回路44によって制御されることにより、受電コイルL1が流す交流電流に対する、ソース端子とドレイン端子との間のオン(導通状態)とオフ(非導通状態)とが切り替わる。第3スイッチング素子M3および第4スイッチング素子M4は、第1スイッチング素子M1および第2スイッチング素子M2と同じスイッチング周期で動作する。本実施形態において、第4スイッチング素子M4は、第1スイッチング素子M1と同等に機能する。
【0140】
第4スイッチング素子M4のソース端子は、第3スイッチング素子M3のドレイン端子と接続されているとともに、共振コンデンサC1の一端にも接続されている。第4スイッチング素子M4のドレイン端子は、蓄電コンデンサC3の一端と接続されている。
【0141】
第3ヒステリシスコンパレータCMP11は、第3スイッチング素子M3のドレイン-ソース間電圧(印加電圧)を監視する。第3ヒステリシスコンパレータCMP11は、ヒステリシス特性を有している。第3ヒステリシスコンパレータCMP11の反転入力端子は、第3スイッチング素子M3のドレイン端子に接続されている。第3ヒステリシスコンパレータCMP11の非反転入力端子は、グランドGND9に接続されている。第3ヒステリシスコンパレータCMP11の出力端子は、第3制御回路43の入力端子に接続されている。
【0142】
第4ヒステリシスコンパレータCMP12は、第4スイッチング素子M4のドレイン-ソース間電圧(印加電圧)を監視する。第4ヒステリシスコンパレータCMP12の反転入力端子は、第4スイッチング素子M4のドレイン端子に接続されている。第4ヒステリシスコンパレータCMP12の非反転入力端子は、共振コンデンサC1の一端に接続されている。第4ヒステリシスコンパレータCMP12の出力端子は、第4制御回路44の入力端子に接続されている。
【0143】
第1制御回路41および第3制御回路43は、上述した第1制御回路21と同じ構成であってもよいし、上述した第1制御回路31と同じ構成であってもよい。第2制御回路42および第4制御回路44は、上述した第2制御回路22と同じ構成であってもよいし、上述した第1制御回路31と同じ構成であってもよい。
【0144】
上記のように構成される整流装置40において、第1スイッチング素子M1および第3スイッチング素子M3がオンし、第2スイッチング素子M2および第4スイッチング素子M4がオフする場合、受電コイルL1に誘起される交流電圧の正の半周期が整流される。具体的には、受電コイルL1に流れる正の半周期の電流が、第1スイッチング素子M1、受電コイルL1、共振コンデンサC1、第4スイッチング素子M4および蓄電コンデンサC3を流れる。
【0145】
一方、第1スイッチング素子M1および第3スイッチング素子M3がオフし、第2スイッチング素子M2および第4スイッチング素子M4がオンする場合、受電コイルL1に誘起される交流電圧の負の半周期が整流される。具体的には、受電コイルL1に流れる負の半周期の電流が、第4スイッチング素子M4、共振コンデンサC1、受電コイルL1、第2スイッチング素子M2および蓄電コンデンサC3を流れる。
【0146】
以上のように構成される整流装置40においては、第1スイッチング素子M1、第2スイッチング素子M2、第3スイッチング素子M3および第4スイッチング素子M4のスイッチングが、それぞれ、第1制御回路41、第2制御回路42、第3制御回路43および第4制御回路44によって制御される。これにより、実施形態2の整流装置20および実施形態3の整流装置30と同様、第1スイッチング素子M1、第2スイッチング素子M2、第3スイッチング素子M3および第4スイッチング素子M4のそれぞれは、ドレイン-ソース間電圧Vdsの低下が検出されてから各スイッチング素子の連続するオンオフ動作の1サイクルまたは2サイクルとなる一定時間後にオンするように駆動される。これにより、第1スイッチング素子M1、第2スイッチング素子M2、第3スイッチング素子M3および第4スイッチング素子M4のスイッチング制御を好ましいタイミングで行うことができる。
【0147】
〔実施形態5〕
本開示の実施形態5について
図5、
図9~
図11に基づいて以下のとおり説明する。尚、本実施形態において、実施形態1および2における構成要素と同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付記して、その説明を省略する。
【0148】
図9は、実施形態5に係る非接触給電システム105の構成を示す回路図である。
【0149】
図9に示すように、非接触給電システム105は、上述した非接触給電システム102と同じく、送電装置1を備えている。また、非接触給電システム105は、非接触給電システム102の整流装置20に代えて整流装置50を備えている。
【0150】
整流装置50は、全波整流回路を含んでいる。整流装置50は、整流装置20と同じく、受電コイルL1と、共振コンデンサC1と、蓄電コンデンサC3とを有している。また、整流装置50は、整流装置20と同じく、第1スイッチング素子M1と、第2スイッチング素子M2と、第1ヒステリシスコンパレータCMP1と、第2ヒステリシスコンパレータCMP2とを有している。整流装置50は、整流装置20の第1制御回路21と、第2制御回路22とに代えて、それぞれ第1制御回路51と、第2制御回路52とを有している。
【0151】
第1制御回路51は、第1制御回路21と同じく、インバータINV1と、RSフリップフロップFF1,FF2,FF3と、電流充電回路211,212と、コンパレータCMP3,CMP4と、バッファBUF1とを有している。第1制御回路51は、さらに、第1負荷状態検出回路510(負荷検出部)と、AND回路AND301とを有している。
【0152】
第1負荷状態検出回路510は、RSフリップフロップFF300,301と、電流充電回路300と、コンパレータCMP300と、AND回路AND300とを有している。
【0153】
RSフリップフロップFF300は、第1ヒステリシスコンパレータCMP1からのHレベルの出力信号によってセットされ、インバータINV1からのHレベルの出力信号によってリセットされる。RSフリップフロップFF300は、セットされることにより出力端子QからHレベルの信号を出力し、リセットされることにより出力端子QからLレベルの信号を出力する。
【0154】
電流充電回路300は、上述した電流充電回路211,212,221,222と同様、
図4に示す電流充電回路100として構成されている。電流充電回路300は、インバータINV5と、スイッチング素子M100,M200と、電流源110と、コンデンサC4(第3コンデンサ)とを有している。
【0155】
電流充電回路300は、RSフリップフロップFF300からの信号がLレベルからHレベルに変化するタイミングで充電を開始し、RSフリップフロップFF300からの信号がHレベルからLレベルに変化するタイミングで充電を停止して放電する。電流充電回路300は、充電期間において充電電圧を出力する。
【0156】
コンパレータCMP300は、電流充電回路300の出力電圧を監視する。コンパレータCMP300の反転入力端子は、基準電源301の正極端子に接続されている。基準電源301の負極端子は、グランドGND11に接続されている。基準電源301は、一定の第11閾値電圧Vth300を出力する。コンパレータCMP300の非反転入力端子は、電流充電回路300の出力端子に接続されている。
【0157】
AND回路AND300は、コンパレータCMP300の出力信号と、インバータINV1の出力信号との論理積を出力する。AND回路AND300の一方の入力端子は、コンパレータCMP300の出力端子と接続されている。AND回路AND300の他方の入力端子は、インバータINV1の出力端子と接続されている。
【0158】
AND回路AND301は、コンパレータCMP3の出力信号と、RSフリップフロップFF301の出力信号との論理積を出力する。AND回路AND301の一方の入力端子は、コンパレータCMP3の出力端子と接続されている。AND回路AND301の他方の入力端子は、RSフリップフロップFF301の出力端子と接続されている。
【0159】
RSフリップフロップFF301は、AND回路AND300からのHレベルの出力信号によってセットされ、AND回路AND301からのHレベルの出力信号によってリセットされる。RSフリップフロップFF301は、セットされることにより出力端子QからHレベルの信号を出力し、リセットされることにより出力端子QからLレベルの信号を出力する。
【0160】
本実施形態におけるRSフリップフロップFF3は、実施形態2におけるRSフリップフロップFF3と異なり、AND回路AND301の出力信号に基づいて、第1スイッチング素子M1のゲート駆動電圧を制御する。このため、AND回路AND301の出力端子がセット端子Sに接続されている。
【0161】
第2制御回路52は、第2制御回路22と同じく、インバータINV2と、RSフリップフロップFF4,FF5,FF6と、電流充電回路221,222と、コンパレータCMP5,CMP6と、バッファBUF2とを有している。第2制御回路52は、さらに、第2負荷状態検出回路520(負荷検出部)と、AND回路AND302とを有している。第2負荷状態検出回路520は、第1負荷状態検出回路510と同様の構成を有するので、ここでは、その詳細な説明を省略する。
【0162】
AND回路AND302は、コンパレータCMP5の出力信号と、第2負荷状態検出回路520の図示しないRSフリップフロップ(RSフリップフロップFF301と同等)の出力信号との論理積を出力する。AND回路AND302の一方の入力端子は、コンパレータCMP5の出力端子と接続されている。AND回路AND302の他方の入力端子は、上記のRSフリップフロップの出力端子と接続されている。
【0163】
上記のように構成される非接触給電システム105における整流装置50の動作について説明する。
図10は、整流装置50の動作を示すタイミングチャートである。
図11は、整流装置50の他の動作を示すタイミングチャートである。
【0164】
図10に示すように、時刻t0において、受電コイルL1からの交流電流の極性が変わることにより、第1スイッチング素子M1のドレイン-ソース間電圧VdsがHレベルからLレベルに変化する。また、第1スイッチング素子M1にソース-ドレイン電流Isdが流れる。このとき、第1ヒステリシスコンパレータCMP1は、ドレイン-ソース間電圧Vdsと第1閾値電圧Vth1と比較する。第1ヒステリシスコンパレータCMP1は、ドレイン-ソース間電圧Vdsが第1閾値電圧Vth1より低くなると、出力信号をLレベルからHレベルに変化させる。
【0165】
第1ヒステリシスコンパレータCMP1の出力信号は、セット信号SET1(
図5参照)として、RSフリップフロップFF1のセット端子Sに入力され、セット信号SET300として、RSフリップフロップFF300のセット端子Sに入力される。また、第1ヒステリシスコンパレータCMP1の出力信号は、インバータINV1によって反転したセット信号SET2(
図5参照)として、RSフリップフロップFF2のセット端子Sに入力される。この第1ヒステリシスコンパレータCMP1の反転した出力信号は、リセット信号RST300としてRSフリップフロップFF300のリセット端子Rに入力されるとともに、AND回路AND300の入力端子に入力される。
【0166】
RSフリップフロップFF1は、セット信号SET1によってセットされることで、出力信号OUT1(
図5参照)をLレベルからHレベルに変化させる。RSフリップフロップFF2は、セット信号SET2によってセットされることで、出力信号OUT2(
図5参照)をLレベルからHレベルに変化させる。RSフリップフロップFF300は、セット信号SET300(セット信号SET1)によってセットされることで、出力信号OUT300をLレベルからHレベルに変化させる。
【0167】
電流充電回路300は、出力信号OUT300が立ち上がるタイミングで充電を開始し、充電電圧Vc300を上昇させていく。
【0168】
時刻t0.5において、コンパレータCMP300は、充電電圧Vc300が第11閾値電圧Vth300以上になると、出力信号OUTcmpをLレベルからHレベルに変化させる。
【0169】
時刻t1において、第1スイッチング素子M1がオフすることにより、ドレイン-ソース間電圧VdsがLレベルからHレベルに変化する。このとき、第1ヒステリシスコンパレータCMP1は、ドレイン-ソース間電圧Vdsと第2閾値電圧Vth2と比較する。第1ヒステリシスコンパレータCMP1は、ドレイン-ソース間電圧Vdsが第2閾値電圧Vth2より高くなると、出力信号(セット信号SET1)をHレベルからLレベルに変化させる。
【0170】
また、INV1の出力信号はLレベルからHレベルに変化する。AND回路AND300は、インバータINV1の出力信号とコンパレータCMP300の出力信号OUTcmpの論理積を出力する。これにより、時刻t1において、RSフリップフロップFF301は、セット端子SにHレベルの信号が入力されるので、AND回路AND301にHレベルの出力信号OUTffを出力する。
【0171】
RSフリップフロップFF300は、リセット端子RにHレベルの信号が入力されるので、出力信号をHレベルからLレベルに変化させる。これにより、電流充電回路300は、放電して充電電圧Vc300を0Vに低下させる(時刻t1)。
【0172】
電流充電回路212は、その直前に、出力信号OUT2がLレベルに低下したことにより、放電して充電電圧Vc2を0Vに低下させている。電流充電回路212は、出力信号OUT2が立ち上がるタイミングで充電を開始し、充電電圧Vc2を上昇させていく(
図5参照)。
【0173】
時刻t2において、コンパレータCMP3は、充電電圧Vc1が第3閾値電圧Vth3以上になると、出力信号(リセット信号RST1)をLレベルからHレベルに変化させる。これにより、RSフリップフロップFF1がリセットされる。すると、電流充電回路211が充電を停止して放電するので、充電電圧Vc1が0Vに低下する。
【0174】
AND回路AND301は、コンパレータCMP3の出力信号とRSフリップフロップFF301の出力信号との論理積を出力する。これにより、RSフリップフロップFF3は、コンパレータCMP3の出力信号がHレベルに変化することによりセットされて、Hレベルの信号を出力する。これにより、ゲート駆動電圧Vgが上昇し始める。また、RSフリップフロップFF301は、時刻t2においてリセットされる。
【0175】
時刻t3において、ゲート駆動電圧Vgが第1スイッチング素子M1の閾値電圧に達すると、第1スイッチング素子M1がオンする。これにより、時刻t0における動作が繰り返される。
【0176】
時刻t3.5において、コンパレータCMP300は、充電電圧Vc300が第11閾値電圧Vth300以上になると、出力信号OUTcmpをLレベルからHレベルに変化させる。これにより時刻t0.5における動作が繰り返される。
【0177】
時刻t4において、コンパレータCMP4は、充電電圧Vc2が第4閾値電圧Vth4以上になると、出力信号(リセット信号RST2)をLレベルからHレベルに変化させる。これにより、RSフリップフロップFF2がリセットされる。すると、電流充電回路212が充電を停止して放電するので、充電電圧Vc2が0Vに低下する。また、RSフリップフロップFF3は、コンパレータCMP4の出力信号がHレベルに変化することによりリセットされて、Lレベルの信号を出力する。これにより、ゲート駆動電圧Vgが低下し始める。
【0178】
ゲート駆動電圧Vgが低下すると、時刻t5に、第1スイッチング素子M1がオフする。これにより、時刻t1における動作が繰り返される。
【0179】
続いて、非接触給電システム105における整流装置50の他の動作について説明する。
図11は、整流装置50の他の動作を示すタイミングチャートである。
【0180】
図11に示すように、時刻t0において、受電コイルL1からの交流電流の極性が変わることにより、第1スイッチング素子M1のドレイン-ソース間電圧VdsがHレベルからLレベルに変化する。また、第1スイッチング素子M1に流れるソース-ドレイン電流Isdは、
図10に示す場合よりも小さい。このとき、第1ヒステリシスコンパレータCMP1は、ドレイン-ソース間電圧Vdsが第1閾値電圧Vth1より低くなると、出力信号をLレベルからHレベルに変化させる。これによるRSフリップフロップFF1,FF2,FF300の動作は、
図5および
図10を参照した上述の通りであるので、ここでは、その説明を省略する。
【0181】
電流充電回路300は、RSフリップフロップFF300の出力信号OUT300が立ち上がるタイミングで充電を開始し、充電電圧Vc300を上昇させていく。
【0182】
時刻t1において、第1スイッチング素子M1がオフすることにより、ドレイン-ソース間電圧VdsがLレベルからHレベルに変化する。このとき、第1ヒステリシスコンパレータCMP1は、ドレイン-ソース間電圧Vdsが第2閾値電圧Vth2より高くなると、出力信号(セット信号SET1)をHレベルからLレベルに変化させる。
【0183】
ソース-ドレイン電流Isdが流れている期間が短いために、時刻t1において充電電圧Vc300がコンパレータCMP300の第11閾値電圧Vth300に達せず、コンパレータCMP300の出力信号OUTcmpはLレベルのままである。これにより、AND回路AND300は、インバータINV1の出力信号がHレベルであっても、Lレベルの出力信号を出力する。したがって、RSフリップフロップFF301は、セットされることなく、出力信号OUTffをLレベルに維持する。
【0184】
RSフリップフロップFF300は、リセット端子RにHレベルの信号が入力されるので、出力信号が出力信号をHレベルからLレベルに変化させる。これにより、電流充電回路300は、放電して充電電圧Vc300を0Vに低下させる(時刻t1)。
【0185】
電流充電回路212は、その直前に、出力信号OUT2がLレベルに低下したことにより、放電して充電電圧Vc2を0Vに低下させている。電流充電回路212は、出力信号OUT2が立ち上がるタイミングで充電を開始し、充電電圧Vc2を上昇させていく。
【0186】
時刻t2において、コンパレータCMP3は、充電電圧Vc1が第3閾値電圧Vth3以上になると、出力信号(リセット信号RST1)をLレベルからHレベルに変化させる。これにより、RSフリップフロップFF1がリセットされる。すると、電流充電回路211が充電を停止して放電するので、充電電圧Vc1が0Vに低下する。
【0187】
AND回路AND301は、コンパレータCMP3の出力信号とRSフリップフロップFF301のLレベルのままの出力信号OUTffとの論理積を出力する。これにより、RSフリップフロップFF3の出力信号はLレベルのままである。したがって、ゲート駆動電圧Vgが上昇し始めない。また、RSフリップフロップFF301は、時刻t2においてリセットされる。
【0188】
時刻t3において、ゲート駆動電圧Vgが第1スイッチング素子M1の閾値電圧に達しない。このため、第1スイッチング素子M1がオンしない。これにより、時刻t0における動作が繰り返される。
【0189】
時刻t4において、コンパレータCMP4は、充電電圧Vc2が第4閾値電圧Vth4以上になると、出力信号(リセット信号RST2)をLレベルからHレベルに変化させる。これにより、RSフリップフロップFF2がリセットされる。すると、電流充電回路212が充電を停止して放電するので、充電電圧Vc2が0Vに低下する。また、RSフリップフロップFF3は、コンパレータCMP4の出力信号がHレベルに変化することによりリセットされて、出力信号をLレベルに維持する。
【0190】
本開示の実施形態5によれば、従来の同期整流方式および非同期整流の課題を解決することができる。従来の同期整流方式を用いると、非同期整流方式よりも電力損失を低減することができる。また、
図11に示すように、負荷電流(ソース-ドレイン電流Isd)が小さい軽負荷時に同期整流方式を用いると、同期整流を行うためのスイッチング素子をオンオフするための駆動電力により、かえって効率の低下を招くことになる。そこで、この場合は、第1負荷状態検出回路510および第2負荷状態検出回路520によって、負荷電流が小さいことを検出したときに、RSフリップフロップFF3をセットさせないようにして、ゲート駆動電圧Vgを変化させない。これにより、同期整流を行うためのスイッチング素子をオンオフするための駆動電力を生じないようにしている。
【0191】
具体的には、第1負荷状態検出回路510は、上記の時刻t0から時刻t1までの時間が所定の時間、すなわち一定時間T3以上である場合に、第1スイッチング素子M1を導通状態に切り替える。また、第1負荷状態検出回路510は、上記の時刻t0から時刻t1までの時間が一定時間T3を超えなかった場合に、第1スイッチング素子M1の非導通状態を維持する。ここで、一定時間T3は、充電電圧Vc300が0Vから第11閾値電圧Vth300に達するまでの時間である。
【0192】
また、第1負荷状態検出回路510は、第1スイッチング素子M1のドレイン-ソース間電圧Vdsが第1閾値電圧Vth1以下になったタイミングから、ドレイン-ソース間電圧Vdsが第2閾値電圧Vth2以上になったタイミングまでの時間(時刻t0から時刻t1までの時間)を、所定の時間、すなわち一定時間T3(第3一定時間)と比較することで負荷状態を検出する。第1負荷状態検出回路510は、上記の時間の比較の代わりに、ドレイン-ソース間電圧Vdsが第1閾値電圧Vth1以下になると、コンデンサC4に対する充電を開始し、ドレイン-ソース間電圧Vdsが第2閾値電圧Vth2以上になったタイミングでの充電電圧Vc300を所定の電圧(=第11閾値電圧Vth300)と比較してもよい。当該所定の電圧は、コンデンサC4に対する充電の開始から一定時間T3に達したときの充電電圧Vc300に相当する。
【0193】
第2負荷状態検出回路520も、第1負荷状態検出回路510と同様にして、第2スイッチング素子M2の動作を制御する。
【0194】
このように、本開示の実施形態5の構成では、第1負荷状態検出回路510および第2負荷状態検出回路520によって、パルス・バイ・パルスで負荷状態を検出する。これにより、負荷の状態に応じて、同期整流モードと非同期整流モードとを切り替えることができる。したがって、整流装置50の電力効率を改善することができる。
【0195】
尚、実施形態1~5において、第1スイッチング素子M1および第2スイッチング素子M2に並列にダイオードを接続してもよい。
【0196】
〔付記事項〕
本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。