(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-09
(45)【発行日】2024-04-17
(54)【発明の名称】部品実装機
(51)【国際特許分類】
H05K 13/00 20060101AFI20240410BHJP
【FI】
H05K13/00 Z
(21)【出願番号】P 2022519867
(86)(22)【出願日】2020-05-08
(86)【国際出願番号】 JP2020018604
(87)【国際公開番号】W WO2021224974
(87)【国際公開日】2021-11-11
【審査請求日】2023-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】100162237
【氏名又は名称】深津 泰隆
(74)【代理人】
【識別番号】100191433
【氏名又は名称】片岡 友希
(72)【発明者】
【氏名】深谷 芳行
【審査官】小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/122746(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/109892(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を基板に実装する部品実装機であって、
記憶部を有し、前記電子部品又は前記基板を扱う周辺ユニットと、
前記周辺ユニットの使用中において、前記周辺ユニットに対し、前記周辺ユニットに関するデータログを前記記憶部に記憶する記憶動作を行わせる指令を発する指令制御部と、を備え、
前記指令制御部は、
実装処理が開始されてから終了するまでの間の期間において、前記周辺ユニットの非駆動時間であって、前記記憶動作に必要な記憶時間以上の時間が始まるタイミングで、前記指令を発する部品実装機。
【請求項2】
前記周辺ユニットは、前記電子部品を保持及び離脱して前記基板に実装するヘッドを備える請求項1に記載の部品実装機。
【請求項3】
前記周辺ユニットは、前記電子部品を供給するフィーダを備える請求項1に記載の部品実装機。
【請求項4】
前記周辺ユニットは、前記記憶部をそれぞれ有する複数の前記フィーダを備え、
前記指令制御部は、前記複数の前記フィーダごとに前記指令を発する請求項3に記載の部品実装機。
【請求項5】
前記周辺ユニットは、前記記憶部をそれぞれ有する複数の前記フィーダを備え、
前記指令制御部は、前記複数の前記フィーダのうち2つ以上の前記フィーダで同時進行する前記非駆動時間が前記記憶時間以上の時間であると判定する場合に、前記2つ以上の前記フィーダに対して並行して前記指令を発する請求項3に記載の部品実装機。
【請求項6】
前記記憶時間を、前記周辺ユニットの起動時において前記周辺ユニットから取得する取得制御部を備える請求項1乃至請求項5のいずれか一つに記載の部品実装機。
【請求項7】
前記指令制御部は、前記周辺ユニットに関するデータログの一部であって、前記周辺ユニット以外で取得されるデータログを、前記指令を発する際に前記周辺ユニットに送信する請求項1乃至請求項6のいずれか一つに記載の部品実装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子部品又は基板を扱う周辺ユニットに対して、当該周辺ユニットに関するデータログを記憶させる部品実装機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、上記部品実装機に関し、種々の技術が提案されている。例えば、下記特許文献1に記載の技術は、テープフィーダから電子部品を取り出して基板に実装する電子部品実装装置において前記電子部品を供給するために用いられ、前記電子部品を保持したキャリアテープをテープリールに巻回状態で収納して成る電子部品実装用のキャリアテープパッケージであって、前記キャリアテープパッケージには、書き込み及び読み出しが自在であって前記キャリアテープに保持された電子部品の識別情報を含むキャリアテープ情報が予め書き込まれた記憶媒体を前記キャリアテープにスライド自在に装着可能な保持体に保持させたデータ記憶ユニットが付属しており、少なくとも前記キャリアテープを前記テープフィーダに装着する時点において、前記データ記憶ユニットが当該キャリアテープの先頭端部に装着されていることを特徴とする。
【0003】
下記特許文献1の記載によれば、上記キャリアテープパッケージは、キャリアテープをテープリールに巻回状態で収納したキャリアテープパッケージに、書き込み及び読み出しが自在であってキャリアテープ情報が予め書き込まれた記憶媒体を保持させたデータ記憶ユニットを付属させ、キャリアテープをテープフィーダに装着する時点においてキャリアテープ情報を読み取らせることにより、読み取りミスを生じることなく自動的にキャリアテープ情報に含まれる識別情報を読み取ることができる。さらに記憶媒体にデータを書き込む書き込み手段を備えることにより使用履歴に関する情報を随時記憶媒体に書き込むことができ、キャリアテープの識別や使用履歴などに関する部品情報の管理を効率的且つ使い勝手よく行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、使用履歴に関する情報を記憶媒体に書き込んでいる最中は、電子部品実装装置からテープフィーダにアクセスすることが困難となる。そのため、使用履歴に関する情報を記憶媒体に書き込むことは、記憶媒体に書き込まれる情報量が比較的大きいと、スループットの低下を招く要因となる。
【0006】
よって、使用履歴に関する情報が記憶媒体に書き込まれるタイミングは、実際のところ、例えば、装置稼動中断時又は機種切り替え操作時など、テープフィーダが使用されていない所定のタイミングに限られていた。
【0007】
本開示は、上述した点を鑑みてなされたものであり、使用中の周辺ユニットに対して、当該周辺ユニットに関するデータログを当該周辺ユニットの記憶部に記憶させても、スループットの維持が可能な部品実装機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書は、電子部品を基板に実装する部品実装機であって、記憶部を有し、電子部品又は基板を扱う周辺ユニットと、周辺ユニットの使用中において、周辺ユニットに対し、周辺ユニットに関するデータログを記憶部に記憶する記憶動作を行わせる指令を発する指令制御部と、を備え、指令制御部は、実装処理が開始されてから終了するまでの間の期間において、周辺ユニットの非駆動時間であって、記憶動作に必要な記憶時間以上の時間が始まるタイミングで、指令を発する部品実装機を開示する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、部品実装機は、使用中の周辺ユニットに対して、当該周辺ユニットに関するデータログを当該周辺ユニットの記憶部に記憶させても、スループットの維持が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図5】制御装置及び装着ヘッドのブロック図である。
【
図7】装着ヘッドに関するデータログの一覧表である。
【
図8】供給装置に関するデータログの一覧表である。
【
図9】搬送装置に関するデータログの一覧表である。
【
図10】データログの記憶を実現するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示を具体化した一実施形態について図面を参照して説明する。
図1には、システムベース14上に並設された2台の部品実装機16が示されている。尚、以下の説明では、部品実装機16の並ぶ方向をX軸方向と称し、その方向に直角な水平の方向をY軸方向と称し、X軸方向及びY軸方向の両方に直角な方向をZ軸方向と称する。
【0012】
部品実装機16は、主に、装着機本体20、搬送装置22、移動装置24、装着ヘッド26、及び供給装置28等を備えている。装着機本体20は、フレーム部32と、そのフレーム部32に上架されたビーム部34とによって構成されている。
【0013】
搬送装置22は、2つのコンベア装置(コンベア装置40、コンベア装置42)を備えている。コンベア装置40及びコンベア装置42は、互いに平行で、且つ、X軸方向に延びるようにフレーム部32に配設されている。コンベア装置40、コンベア装置42は、搬送モータ46(
図4参照)によって、それぞれに支持される回路基板17(
図2参照)をX軸方向に搬送する。又、回路基板17は、所定の作業位置において、クランプモータ48(
図4参照)を有する基板保持装置(図示せず)によって固定的に保持される。
【0014】
移動装置24は、XYロボット型の移動装置であり、スライダ50をX軸方向にスライドさせるX軸サーボモータ52(
図3参照)と、Y軸方向にスライドさせるY軸サーボモータ54(
図3参照)とを備えている。スライダ50には、装着ヘッド26が取り付けられており、その装着ヘッド26は、X軸サーボモータ52とY軸サーボモータ54の作動によって、フレーム部32上の任意の位置に移動する。尚、装着ヘッド26の下方には、ユニット保持体68が設けられている。
【0015】
図2に示すように、装着ヘッド26は、回路基板17に対して電子部品18を装着するものである。装着ヘッド26は、スライダ50に交換可能に設けられ、複数の棒状の装着ユニット60を備えており、複数の装着ユニット60の各々の先端部には、吸着ノズル62が装着されている。吸着ノズル62は、負圧エア通路及び正圧エア通路を介して、正負圧供給装置66(
図5参照)に通じている。負圧エア通路及び正圧エア通路は、正負圧供給装置66が有する複数のバルブ(図示せず)によって連通又は遮断される。吸着ノズル62は、負圧によって電子部品18を吸着保持し、保持した電子部品18を正圧によって離脱する。又、複数の棒状の装着ユニット60は、ユニット保持体68の外周部において、等角度ピッチで配設されており、軸方向が垂直となる状態で保持されている。吸着ノズル62は、ユニット保持体68の下面から下方に向かって延び出している。尚、各装着ユニット60に対する吸着ノズル62の装着や交換等は、ワンタッチで自動的に行われるが、公知技術のため、その詳細な説明は省略する。
【0016】
又、当該装着ヘッド26において、ユニット保持体68は、保持体回転装置70のR軸サーボモータ72(
図5参照)によって、装着ユニット60の配設角度毎に間欠回転する。これにより、複数の装着ユニット60の停止位置のうちの1つの停止位置である昇降ステーションに、装着ユニット60が順次停止する。そして、当該昇降ステーションに位置する装着ユニット60は、ユニット昇降装置74のZ軸サーボモータ76(
図5参照)によって昇降する。これにより、吸着ノズル62に吸着保持された電子部品18の上下方向の位置が変更される。又、当該装着ヘッド26においては、昇降ステーションとは別の停止位置が自転ステーションとされており、当該自転ステーションに位置する装着ユニット60は、自転装置78のQ軸サーボモータ80(
図5参照)によって自転する。これにより、吸着ノズル62によって吸着保持された電子部品18の保持姿勢が変更される。
【0017】
供給装置28は、フィーダ型の供給装置であり、フレーム部32におけるY軸方向の一方の端部に配設されている。供給装置28は、複数のテープフィーダ81と、デバイスパレット82を有している。デバイスパレット82は、上面に多数のスロット(図示せず)を有しており、それらのスロットに対して、各テープフィーダ81が差し込まれている。各テープフィーダ81は、電子部品18をテーピング化して構成したテープ化部品を巻回させた状態で収容している。そして、テープフィーダ81は、前モータ84(
図6参照)及び後モータ86(
図6参照)によって、テープ化部品を送り出す。これにより、フィーダ型の供給装置28は、テープ化部品の送り出しによって、電子部品18を供給位置において供給する。尚、各テープフィーダ81は、デバイスパレット82に対する着脱によって、電子部品18の交換等に対応することが可能である。
【0018】
図3に示すように、部品実装機16は、制御装置100を備えている。制御装置100は、コントローラ102及びサーボアンプ104を備えている。コントローラ102は、CPU106、ROM108、RAM110、及びEEPROM112を備えており、コンピュータを主体とするものである。コントローラ102は、サーボアンプ104、搬送装置22、移動装置24、装着ヘッド26、及び供給装置28に接続されている。サーボアンプ104は、移動装置24の上記したX軸サーボモータ52及びY軸サーボモータ54に接続されている。これにより、移動装置24の各サーボモータ52,54の作動が、サーボアンプ104を介して、コントローラ102のCPU106によって制御される。又、サーボアンプ104は、装着ヘッド26に接続されている。以下、搬送装置22、装着ヘッド26、及び供給装置28のダイアグラムについて、
図4乃至
図6を参照して説明する。
【0019】
図4に示すように、搬送装置22は、コントローラ120を備えている。コントローラ120は、CPU122、ROM124、RAM126、及びEEPROM128を備えており、コンピュータを主体とするものである。コントローラ120は、制御装置100のコントローラ102と、コンベア装置40及びコンベア装置42とに接続されている。
【0020】
コンベア装置40は、上記した搬送モータ46及びクランプモータ48に加え、複数の駆動回路130、基準幅替えモータ132、従属幅替えモータ134、L側通過センサ136、及びR側通過センサ138を備えている。基準幅替えモータ132及び従属幅替えモータ134は、コンベア装置40のY軸方向間隔を変更する際に用いられる。コンベア装置40の各モータ46,48,132,134は、各駆動回路130を介して、コントローラ120に接続されている。L側通過センサ136及びR側通過センサ138は、コンベア装置40のX軸方向(搬送方向)の両端に配設され、回路基板17の搬入又は搬出を検知する際に用いられる。L側通過センサ136及びR側通過センサ138は、コントローラ120に接続されている。これにより、コンベア装置40の各モータ46,48,132,134の作動が、コントローラ120のCPU106によって制御される。
【0021】
この点は、コンベア装置40とは別個のコンベア装置42でも同様である。但し、基準幅替えモータ132と、その基準幅替えモータ132に接続される駆動回路130は、コンベア装置42には設けられていない。
【0022】
図5に示すように、装着ヘッド26は、上記したR軸サーボモータ72、Z軸サーボモータ76、及びQ軸サーボモータ80を備えている。装着ヘッド26の各サーボモータ72,76,80は、制御装置100のサーボアンプ104に接続されている。これにより、装着ヘッド26の各サーボモータ72,76,80の作動が、サーボアンプ104を介して、制御装置100のコントローラ102のCPU106によって制御される。更に、装着ヘッド26は、上記した正負圧供給装置66に加えて、コントローラ140、光電流モニタ150、複数の駆動回路152、及びLED154を備えている。
【0023】
コントローラ140は、CPU142、ROM144、RAM146、及びEEPROM148等を備えており、コンピュータを主体とするものである。コントローラ140は、制御装置100のコントローラ102に接続されている。光電流モニタ150は、コントローラ140と制御装置100のコントローラ102とを接続する光ファイバの光量を検出し、その検出値をコントローラ140に出力するものである。LED154は、装着ヘッド26の所定作動時に点灯するものである。LED154及び正負圧供給装置66は、各駆動回路152を介して、コントローラ140に接続されている。これにより、LED154及び正負圧供給装置66の作動が、コントローラ140のCPU142によって制御される。
【0024】
図6に示すように、供給装置28は、上記した複数のテープフィーダ81を備えている。各テープフィーダ81は、上記した前モータ84及び後モータ86に加えて、コントローラ160及び複数の駆動回路170を備えている。コントローラ160は、CPU162、ROM164、RAM166、及びEEPROM168を備えており、コンピュータを主体とするものである。コントローラ160は、制御装置100のコントローラ102に接続されている。前モータ84及び後モータ86は、各駆動回路170を介して、コントローラ160に接続されている。これにより、前モータ84及び後モータ86の作動が、コントローラ160のCPU162によって制御される。
【0025】
部品実装機16では、このようにして、搬送装置22、移動装置24、装着ヘッド26、及び供給装置28の作動が、制御装置100のコントローラ102のCPU106によって制御される。これにより、搬送装置22に保持された回路基板17に対して、装着ヘッド26による電子部品18の装着作業が行われる。具体的には、コントローラ102の指令により、回路基板17が、搬送装置22で作業位置にまで搬送された後に保持される。又、供給装置28は、コントローラ102の指令により、各テープフィーダ81のテープ化部品を送り出し、電子部品18を供給位置において供給する。そして、コントローラ102の指令により、装着ヘッド26が、移動装置24によって、電子部品18の供給位置の上方に移動し、吸着ノズル62によって電子部品18を吸着保持する。続いて、装着ヘッド26は、回路基板17の上方に移動し、保持している電子部品18を回路基板17上に装着する。
【0026】
その際、搬送装置22、装着ヘッド26、及び供給装置28の各テープフィーダ81では、データログが、各EEPROM128,148,168に記憶される。尚、以下の説明において、搬送装置22、装着ヘッド26、及び供給装置28の各テープフィーダ81を区別せず総称する場合は、周辺ユニット22,26,81と称する。
【0027】
装着ヘッド26では、装着ヘッド26に関するデータログが、適切なタイミングでEEPROM148に記憶される。
図7の一覧表180で示すように、装着ヘッド26に関するデータログは、11個の種別に区分けされ、1から23の番号が付されている。
【0028】
種別Aは、電源に関連するデータログであり、番号1のデータが含まれている。番号1のデータは、電源のON時間と称し、装着ヘッド26の電源がONされている積算時間を示している。種別Bは、制御出力に関連するデータログであり、番号2のデータが含まれている。番号2のデータは、Do信号の総数と称し、全ての装着ユニット60が上下方向に移動した積算回数を示している。
【0029】
種別Cは、バルブに関連するデータログであり、番号3のデータが含まれている。番号3のデータは、バルブのON回数と称し、正負圧供給装置66の各バルブがONされた積算回数を示している。尚、積算回数は、正負圧供給装置66のバルブ毎に保持される。種別Dは、データ記憶に関連するデータログであり、番号4のデータが含まれている。番号4のデータは、EEPROMの書込回数と称し、装着ヘッド26のEEPROM148にデータが書き込まれた積算回数を示している。
【0030】
種別Eは、LEDに関連するデータログであり、番号5のデータが含まれている。番号5のデータは、LEDの点灯時間と称し、LED154が点灯されている積算時間を示している。種別Fは、光ファイバに関連するデータログであり、番号6のデータが含まれている。番号6のデータは、光電流モニタ値と称し、光電流モニタ150の検出値を示している。種別Gは、装着ユニットに関連するデータログであり、番号7のデータが含まれている。番号7のデータは、ショット数と称し、各装着ユニット60が上下方向に移動した積算回数を示している。尚、積算回数は、装着ユニット60毎に保持される。
【0031】
種別Hは、サーボモータに関連するデータログであり、番号8乃至10の各データが含まれている。番号8のデータは、Z軸サーボモータの総移動距離と称し、サーボアンプ104からZ軸サーボモータ76に送信されたパルス信号の総数を示している。番号9のデータは、R軸サーボモータの総移動距離と称し、サーボアンプ104からR軸サーボモータ72に送信されたパルス信号の総数を示している。番号10のデータは、Q軸サーボモータの総移動距離と称し、サーボアンプ104からQ軸サーボモータ80に送信されたパルス信号の総数を示している。
【0032】
種別Iは、Z軸のトルクに関連するデータログであり、番号11のデータが含まれている。番号11のデータは、Z軸の動作トルクと称し、サーボアンプ104において取得されるZ軸サーボモータ76のトルク値を示している。
【0033】
種別Jは、R軸のトルクに関連するデータログであり、番号12乃至17の各データが含まれている。番号12のデータは、R軸の動作トルク(パターン1)と称し、R軸サーボモータ72の動作がパターン1である場合において、サーボアンプ104において取得されるR軸サーボモータ72のトルク値を示している。この点は、番号13乃至17の各データにおいても、同様である。
【0034】
種別Kは、Q軸のトルクに関連するデータログであり、番号18乃至23の各データが含まれている。番号18のデータは、Q軸の動作トルク(パターン1)と称し、Q軸サーボモータ80の動作がパターン1である場合において、サーボアンプ104において取得されるQ軸サーボモータ80のトルク値を示している。この点は、番号19乃至23の各データにおいても、同様である。
【0035】
尚、種別A乃至Fの各データログは、装着ヘッド26で取得されるものである。これに対して、種別G乃至Kの各データログは、制御装置100で取得されるものである。
【0036】
供給装置28では、デバイスパレット82の各テープフィーダ81において、テープフィーダ81に関するデータログが、適切なタイミングでEEPROM168に記憶される。
図8の一覧表182で示すように、テープフィーダ81に関するデータログは、4個の種別に区分けされ、1から6の番号が付されている。尚、種別の英文字と、番号の数字は、上記した
図7の一覧表180の英文字と数字とは関係ない。
【0037】
種別Aは、電源に関連するデータログであり、番号1のデータが含まれている。番号1のデータは、電源投入回数と称し、テープフィーダ81の電源が投入された積算回数を示している。
【0038】
種別Bは、前モータ84に関連するデータログであり、番号2及び3の各データが含まれている。番号2のデータは、前モータの総送り回数と称し、テープフィーダ81が製造されてから今までの間に前モータ84が作動した積算回数(つまり、テープフィーダ81がテープ化部品(電子部品18)を送出した積算回数)を示している。番号3のデータは、前モータの総送り距離と称し、テープフィーダ81が製造されてから今までの間の前モータ84の総移動距離を示している。尚、その総移動距離は、駆動回路170から送信されたパルス信号の総数に基づいて算出される。
【0039】
種別Cは、後モータ86に関連するデータログであり、番号4のデータが含まれている。番号4のデータは、後モータの総送り距離と称し、テープフィーダ81が製造されてから今までの間の後モータ86の総移動距離を示している。尚、その総移動距離は、駆動回路170から送信されたパルス信号の総数に基づいて算出される。
【0040】
種別Dは、前モータ84に関連するデータログであり、番号5及び6の各データが含まれている。番号5のデータは、前モータの送り回数と称し、テープフィーダ81がメンテナンスされてから今までの間に前モータ84が作動した積算回数(つまり、テープフィーダ81がテープ化部品(電子部品18)を送出した積算回数)を示している。番号6のデータは、前モータの送り異常回数と称し、テープフィーダ81がメンテナンスされてから今までの間に前モータ84がエラーを起こした積算回数(つまり、テープフィーダ81がテープ化部品(電子部品18)の送出に失敗した積算回数)を示している。
【0041】
搬送装置22では、搬送装置22に関するデータログが、適切なタイミングでEEPROM128に記憶される。
図9の一覧表184で示すように、搬送装置22に関するデータログは、8個の種別に区分けされ、1から16の番号が付されている。但し、8個の種別のうち、後述する種別B乃至Hの各データログは、コンベア装置40,42毎に保持される。尚、種別の英文字と、番号の数字は、上記した
図7の一覧表180の英文字と数字や、上記した
図8の一覧表182の英文字と数字とは関係ない。
【0042】
種別Aは、電源に関連するデータログであり、番号1及び2の各データが含まれている。番号1のデータは、総通電時間と称し、搬送装置22が通電されている積算時間を示している。番号2のデータは、電源投入回数と称し、搬送装置22の電源が投入された積算回数を示している。
【0043】
種別Bは、電磁モータに関連するデータログであり、番号3乃至5の各データが含まれている。番号3のデータは、搬送モータの動作距離と称し、駆動回路130から送信されたパルス信号の総数に基づいて算出される搬送モータ46の総移動距離を示している。番号4のデータは、基準幅替えモータの動作距離と称し、駆動回路130から送信されたパルス信号の総数に基づいて算出される基準幅替えモータ132の総移動距離を示している。但し、番号4のデータは、コンベア装置42のデータログには設けられていない。番号5のデータは、従属幅替えモータの動作距離と称し、駆動回路130から送信されたパルス信号の総数に基づいて算出される従属幅替えモータ134の総移動距離を示している。
【0044】
種別Cは、基板搬送に関連するデータログであり、番号6のデータが含まれている。番号6のデータは、基板搬出回数と称し、搬送装置22が回路基板17を搬出した積算回数を示している。尚、その積算回数は、L側通過センサ136又はR側通過センサ138の検出信号に基づいて算出される。種別Dは、基板保持に関連するデータログであり、番号7のデータが含まれている。番号7のデータは、総クランプ回数と称し、クランプモータ48が作動した積算回数(つまり、搬送装置22が回路基板17を保持した積算回数)を示している。尚、その積算回数は、駆動回路130から送信されたパルス信号の総数に基づいて算出される。
【0045】
種別Eは、感度調整に関連するデータログであり、番号8及び9の各データが含まれている。番号8のデータは、L側感度調整回数と称し、L側通過センサ136の感度が調整された積算回数を示している。番号9のデータは、R側感度調整回数と称し、R側通過センサ138の感度が調整された積算回数を示している。種別Fは、チャタリングに関連するデータログであり、番号10及び11の各データが含まれている。番号10のデータは、L側チャタリング回数と称し、L側通過センサ136がチャタリングを起こした積算回数を示している。番号11のデータは、R側チャタリング回数と称し、R側通過センサ138がチャタリングを起こした積算回数を示している。
【0046】
種別Gは、モータエラーに関連するデータログであり、番号12乃至15の各データが含まれている。番号12のデータは、搬送モータのエラー回数と称し、搬送モータ46がエラーを起こした積算回数を示している。番号13のデータは、基準幅替えモータのエラー回数と称し、基準幅替えモータ132がエラーを起こした積算回数を示している。但し、番号13のデータは、コンベア装置42のデータログには設けられていない。番号14のデータは、従属幅替えモータのエラー回数と称し、従属幅替えモータ134がエラーを起こした積算回数を示している。
【0047】
種別Hは、クランプエラーに関連するデータログであり、番号16のデータが含まれている。番号16のデータは、クランプ高さ異常回数と称し、クランプモータ48が作動した積算回数のうち、搬送装置22が回路基板17の保持に失敗した積算回数を示している。
【0048】
尚、種別B乃至Dと種別F乃至Hの各データログは、搬送装置22が製造されてから今までの期間と、搬送装置22がメンテナンスされてから今までの期間とに分けて保持される。
【0049】
周辺ユニット22,26,81の各EEPROM128,148,168において、データログが記憶される際は、
図10のフローチャートを実現するための処理プログラムが、制御装置100のCPU106及び周辺ユニット22,26,81の各CPU122,142,162によって実行される。以下、
図10を参照しながら、上記の処理プログラムを具体的に説明する。上記の処理プログラムが実行されると、
図10に示すように、先ず、ステップ(以下、単に「S」と表記する)10において、周辺ユニット22,26,81の各CPU122,142,162が、記憶時間の送信処理を行う。
【0050】
この処理では、装着ヘッド26の記憶時間が、装着ヘッド26から制御装置100に送信される。装着ヘッド26の記憶時間とは、装着ヘッド26に関するデータログ(
図7の一覧表180参照)の全てが、EEPROM148に記憶されるために必要な時間をいい、ROM144に予め記憶されている。
【0051】
又、各テープフィーダ81の記憶時間が、各テープフィーダ81から制御装置100に送信される。テープフィーダ81の記憶時間とは、テープフィーダ81に関するデータログ(
図8の一覧表182参照)の全てが、EEPROM168に記憶されるために必要な時間をいい、ROM164に予め記憶されている。
【0052】
更に、搬送装置22の記憶時間が、搬送装置22から制御装置100に送信される。搬送装置22の記憶時間とは、搬送装置22に関するデータログ(
図9の一覧表184参照)の全てが、EEPROM128に記憶されるために必要な時間をいい、ROM124に予め記憶されている。
【0053】
尚、周辺ユニット22,26,81の記憶時間は、周辺ユニット22,26,81が電源投入されたとき等において、周辺ユニット22,26,81から制御装置100に自動的に送信されてもよい。
【0054】
これに対して、制御装置100のCPU106は、記憶時間の受信処理を行う(S100)。この処理では、制御装置100において、周辺ユニット22,26,81の各記憶時間が受信され、RAM110に記憶される。これにより、制御装置100において、周辺ユニット22,26,81の各記憶時間が特定される。
【0055】
尚、周辺ユニット22,26,81の記憶時間は、周辺ユニット22,26,81の型番と関連付けされた状態で、制御装置100のROM108に予め記憶されてもよい。そのような場合、周辺ユニット22,26,81の記憶時間は、例えば、周辺ユニット22,26,81の交換時に行われる制御装置100からの問い合わせに応じて、周辺ユニット22,26,81から制御装置100に通知される型番に基づいて特定される。ちなみに、周辺ユニット22,26,81の交換時には、例えば、装着ヘッド26が交換されたときや、テープフィーダ81がデバイスパレット82にセットされたとき等がある。
【0056】
続いて、制御装置100のCPU106は、実装開始処理を行う(S102)。この処理では、周辺ユニット22,26,81等を用いて回路基板17に電子部品18を装着するために、制御装置100においてサーボアンプ104の制御が開始されると共に、制御装置100から周辺ユニット22,26,81に制御信号が送信される。尚、その制御信号は、移動装置24にも送信される。
【0057】
これに応じて、周辺ユニット22,26,81の各CPU122,142,162は、実装開始処理を行う(S12)。この処理では、制御装置100からの制御信号に基づいて、周辺ユニット22,26,81の作動制御が開始される。尚、移動装置24においても、その作動制御が開始される。これにより、部品実装機16では、順次搬送される回路基板17に対して、電子部品18の装着が繰り返し行われる。
【0058】
一方、制御装置100のCPU106は、現時点が、周辺ユニット22,26,81の各EEPROM128,148,168に、周辺ユニット22,26,81に関する全てのデータログを記憶することが可能なタイミング(以下、記憶タイミングと称する場合がある)であるかを判定する(S104)。この判定は、周辺ユニット22,26,81毎に行われる。
【0059】
具体的には説明すると、装着ヘッド26に対しては、現時点が、Z軸サーボモータ76、R軸サーボモータ72、Q軸サーボモータ80、及び正負圧供給装置66が動作していない時間であって、装着ヘッド26の記憶時間以上の時間が始まるタイミングであるかが判定される。そのようなタイミングには、例えば、搬送装置22において回路基板17の搬入又は搬出が開始される時点等がある。
【0060】
テープフィーダ81に対しては、現時点が、前モータ84及び後モータ86が動作していない時間であって、テープフィーダ81の記憶時間以上の時間が始まるタイミングであるかが判定される。そのようなタイミングには、例えば、搬送装置22において回路基板17の搬入又は搬出が開始される時点等がある。
【0061】
搬送装置22に対しては、現時点が、搬送モータ46、基準幅替えモータ132、従属幅替えモータ134、及びクランプモータ48が動作していない時間であって、搬送装置22の記憶時間以上の時間が始まるタイミングであるかが判定される。そのようなタイミングには、例えば、搬送装置22において回路基板17の保持が開始される時点等がある。
【0062】
ここで、周辺ユニット22,26,81のいずれかについて、現時点が記憶タイミングである場合(S104:YES)、制御装置100のCPU106は、指令処理を行う(S106)。この処理では、現時点が記憶タイミングと判定された周辺ユニット22,26,81に対して、データログの記憶を行わせる指令信号が、制御装置100から送信される。
【0063】
これに応じて、周辺ユニット22,26,81の各CPU122,142,162は、記憶処理を行う(S14)。この処理では、周辺ユニット22,26,81の各EEPROM128,148,168において、周辺ユニット22,26,81に関するデータログの全てが記憶される。
【0064】
具体的には説明すると、装着ヘッド26では、制御装置100からの指令信号が受信されると、装着ヘッド26に関するデータログ(
図7の一覧表180参照)の全てが、EEPROM148に記憶される。尚、装着ヘッド26に関するデータログ(
図7の一覧表180参照)のうち、制御装置100で取得される種別G乃至Kの各データログは、制御装置100からの指令信号と共に制御装置100から装着ヘッド26に送信されることによって、EEPROM148に記憶される。
【0065】
テープフィーダ81では、制御装置100からの指令信号が受信されると、テープフィーダ81に関するデータログ(
図8の一覧表182参照)の全てが、EEPROM168に記憶される。
【0066】
搬送装置22では、制御装置100からの指令信号が受信されると、搬送装置22に関するデータログ(
図9の一覧表184参照)の全てが、EEPROM128に記憶される。
【0067】
続いて、周辺ユニット22,26,81の各CPU122,142,162は、回路基板17に対する電子部品18の装着を終了するかを判定する(S16)。この判定は、後述するS110において、制御装置100から各周辺ユニット22,26,81に送信される制御信号に基づいて行われる。ここで、回路基板17に対する電子部品18の装着を続行する場合(S16:NO)、上記した記憶処理が繰り返される(S14)。
【0068】
一方、周辺ユニット22,26,81の全てについて、現時点が記憶タイミングでない場合(S104:NO)、制御装置100のCPU106は、回路基板17に対する電子部品18の装着を終了するかを判定する(S108)。ここで、回路基板17に対する電子部品18の装着を続行する場合(S108:NO)、上記した記憶タイミングついての判定処理が繰り返される(S104)。
【0069】
これに対して、回路基板17に対する電子部品18の装着を終了する場合(S108:YES)、制御装置100のCPU106は、実装終了処理を行う(S110)。この処理では、制御装置100から周辺ユニット22,26,81等に制御信号が送信される。尚、その制御信号は、移動装置24にも送信される。
【0070】
これにより、周辺ユニット22,26,81の状態は、回路基板17に対する電子部品18の装着を終了する場合(S16:YES)に移行する。そのため、周辺ユニット22,26,81の各CPU122,142,162は、実装終了処理を行う(S18)。
【0071】
この処理によって、周辺ユニット22,26,81の作動制御が終了する。尚、移動装置24においても、その作動制御が終了する。その後、周辺ユニット22,26,81と、移動装置24では、電源がOFFされる。その際、周辺ユニット22,26,81の各EEPROM128,148,168には、周辺ユニット22,26,81に関するデータログが優先度の高い順で記憶される。尚、その優先度は、周辺ユニット22,26,81の各ROM124,144,164に予め記憶されている。
【0072】
以上詳細に説明したように、本実施形態の部品実装機16は、使用中の装着ヘッド26に対して、装着ヘッド26に関するデータログ(
図7の一覧表180参照)の全てを、適切なタイミングにおいて(S104:YES、S106)、装着ヘッド26のEEPROM148に記憶させているので(S14)、その記憶量の大きさに影響されることなく、スループットの維持が可能である。この点は、各テープフィーダ81及び搬送装置22についても、同様である。
【0073】
ちなみに、本実施形態において、回路基板17は、基板の一例である。装着ヘッド26は、周辺ユニット及びヘッドの一例である。テープフィーダ81は、周辺ユニット及びフィーダの一例である。制御装置100のCPU106は、指令制御部及び取得制御部の一例である。各EEPROM148,168は、記憶部の一例である。各一覧表180,182に示されたデータログは、周辺ユニットに関するデータログの一例である。一覧表180に示されたデータログのうち、種別G乃至Kの各データログは、周辺ユニット以外で取得されるデータログの一例である。判定処理(S104)の記憶タイミングは、タイミングの一例である。指令処理(S106)の指令信号は、記憶動作を行わせる指令の一例である。
【0074】
尚、本開示は上記実施形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0075】
例えば、判定処理(S104)における記憶タイミングの判定は、各EEPROM128,148,168の寿命が配慮されてもよい。そのような場合、装着ヘッド26に対する判定処理(S104)では、現時点が記憶タイミングであっても、直近の記憶タイミングの肯定的判定(S104:YES)から現時点までの経過時間が、EEPROM148の想定使用時間を限界書込回数で除することによって算出される時間間隔よりも短ければ、現時点は、記憶タイミングでないと判定される(S104:NO)。これにより、装着ヘッド26のEEPROM148の寿命が、想定使用時間よりも長く確保される。この点は、各テープフィーダ81のEEPROM168や、搬送装置22のEEPROM128についても、同様である。
【0076】
また、各テープフィーダ81に対する記憶タイミングの判定処理(S104)において、制御装置100のCPU106は、少なくとも2つ以上のテープフィーダ81について、現時点が、前モータ84及び後モータ86が動作していない時間であって、テープフィーダ81の記憶時間以上の時間が同時に始まるタイミングであるかを判定してもよい。そのような場合、指令処理(S106)では、現時点が記憶タイミングであると判定された、少なくとも2つの以上のテープフィーダ81に対して、データログの記憶を行わせる指令信号が、制御装置100から並行して送信される。
【符号の説明】
【0077】
16:部品実装機、17:回路基板、18:電子部品、26:装着ヘッド、81:テープフィーダ、106:CPU、148:EEPROM、168:EEPROM、180:データログの一覧表、182:データログの一覧表、S14:記憶処理、S100:記憶時間の受信処理、S104:判定処理、S106:指令処理