(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-09
(45)【発行日】2024-04-17
(54)【発明の名称】円筒型電池セル、電池、電力消費装置、製造方法及び製造システム
(51)【国際特許分類】
H01M 10/04 20060101AFI20240410BHJP
H01M 50/533 20210101ALI20240410BHJP
H01M 50/586 20210101ALI20240410BHJP
H01M 50/593 20210101ALI20240410BHJP
H01M 50/46 20210101ALN20240410BHJP
【FI】
H01M10/04 W
H01M50/533
H01M50/586
H01M50/593
H01M50/46
(21)【出願番号】P 2022552191
(86)(22)【出願日】2021-08-18
(86)【国際出願番号】 CN2021113171
(87)【国際公開番号】W WO2022068449
(87)【国際公開日】2022-04-07
【審査請求日】2022-08-29
(31)【優先権主張番号】202011058155.2
(32)【優先日】2020-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ ▲凱▼
(72)【発明者】
【氏名】▲シン▼ 承友
(72)【発明者】
【氏名】康 文▲龍▼
(72)【発明者】
【氏名】▲蘇▼ ▲華▼▲シェン▼
(72)【発明者】
【氏名】李 全坤
【審査官】前田 寛之
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-289683(JP,A)
【文献】特開2011-159440(JP,A)
【文献】特開2015-162318(JP,A)
【文献】特開2015-170395(JP,A)
【文献】中国実用新案第210743995(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M10/00-10/39
H01M 4/00- 4/62
H01M50/10-50/198
H01M50/50-50/598
H01M 6/00- 6/22
H01G11/00-11/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有するハウジングと、
前記ハウジング内に設けられた電極組立体と、を備え、
前記電極組立体は、セパレータと、前記電極組立体の軸方向に沿って、前記電極組立体の一端に位置し、かつ前記開口に向かって延びるタブとを含み、前記タブは、第1の部分と、前記第1の部分の外周を取り囲む第2の部分とを含み、前記セパレータは、前記第2の部分と前記ハウジングとを隔離するように、前記第2の部分を被覆しており、
前記軸方向に沿って、前記第1の部分は、前記第2の部分及び前記セパレータを超えており、前記第2の部分は、前記セパレータを超えていない、
円筒型電池セル。
【請求項2】
前記第1の部分の前記セパレータを超える寸法は、Hであり、前記第2の部分の外径と内径との差は、Lであり、ここで、Lは、Hよりも大きい、
請求項1に記載の円筒型電池セル。
【請求項3】
前記第1の部分の前記セパレータを超える寸法Hの値は、1ミリメートル~8ミリメートルの範囲である、
請求項2に記載の円筒型電池セル。
【請求項4】
前記開口に被せられ前記ハウジングに接続されるように構成されたエンドカバーと、
前記エンドカバーの前記電極組立体に近い一側に設けられ、凹部を有する第1の絶縁部材と、をさらに備え、
前記第1の部分の少なくとも一部は、前記凹部内に収容されている、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の円筒型電池セル。
【請求項5】
前記第1の絶縁部材は、前記セパレータの前記第2の部分を超えた部分に接触している、
請求項4に記載の円筒型電池セル。
【請求項6】
前記第1の絶縁部材は、前記エンドカバーに接続される本体と、前記本体から前記電極組立体に向かって延びて突出し、前記凹部を形成する延出部と含み、前記本体と前記延出部とは互いに接続されており、前記延出部は、前記第1の部分の外周を取り囲んで設けられ、前記延出部は、前記セパレータの前記第2の部分を超えた部分に接触している、
請求項4又は5に記載の円筒型電池セル。
【請求項7】
前記延出部は、連続的に延出する閉ループ構造、またはノッチを有する環状構造である、
請求項6に記載の円筒型電池セル。
【請求項8】
前記電極組立体は、前記第1の絶縁部材及び前記第2の部分を取り囲み、前記第1の絶縁部材の縁部及び前記第2の部分の縁部を覆う第2の絶縁部材をさらに備える、
請求項5乃至7のいずれか1項に記載の円筒型電池セル。
【請求項9】
前記第2の絶縁部材は、前記第1の絶縁部材の前記ハウジングに面する外側面に押し当てられている、
請求項8に記載の円筒型電池セル。
【請求項10】
前記外側面は、前記エンドカバーから離れる方向に沿って、前記凹部に向かって傾斜する案内斜面を有する、
請求項9に記載の円筒型電池セル。
【請求項11】
前記電極組立体は、第1
の電極シート及び第2の電極シートをさらに備え、前記第1の電極シート及び前記第2の電極シートは、いずれも塗布領域と非塗布領域を有し、前記第1の電極シートまたは前記第2の電極シートの非塗布領域は、前記タブを形成し、前記セパレータは、前記第1の電極シートと前記第2の電極シートとを隔離するために用いられ、前記第1の電極シート、前記第2の電極シート及び前記セパレータは巻回されて前記電極組立体が形成される、
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の円筒型電池セル。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の円筒型電池セルを備える、電池。
【請求項13】
電気エネルギーを供給するための請求項1乃至11のいずれか1項に記載の円筒型電池セルを備える、
電力消費装置。
【請求項14】
セパレータ及びタブを含む電極組立体を供給することと、
開口を有するハウジングを供給することと、
前記電極組立体を前記ハウジング内に組み立てることと、を備え、
前記タブは、第1の部分と、前記第1の部分の外周を取り囲む第2の部分とを含み、前記セパレータは、前記第2の部分と前記ハウジングとを隔離するように、前記第2の部分を被覆しており、
前記電極組立体の軸方向に沿って、前記第1の部分は、前記第2の部分及び前記セパレータを超えており、前記第2の部分は、前記セパレータを超えておらず、
前記電極組立体の軸方向に沿って、前記タブは、前記電極組立体の一端に位置し、かつ前記開口に向かって延びている、
円筒型電池セルの製造方法。
【請求項15】
前記電極組立体の前記タブの一部を切り取って前記第2の部分を形成することをさらに備える、請求項14に記載の円筒型電池セルの製造方法。
【請求項16】
セパレータ及びタブを含む電極組立体を供給するように構成された第1の組立装置と、
開口を有するハウジングを供給するように構成された第2の組立装置と、
前記電極組立体を前記ハウジング内に組み立てるように構成された第3の組立装置と、を備え、
前記タブは、第1の部分と、前記第1の部分の外周を取り囲む第2の部分とを含み、前記セパレータは、前記第2の部分と前記ハウジングとを隔離するように、前記第2の部分を被覆しており、
前記電極組立体の軸方向に沿って、前記第1の部分は、前記第2の部分及び前記セパレータを超えており、前記第2の部分は、前記セパレータを超えておらず、
前記電極組立体の軸方向に沿って、前記タブは、前記電極組立体の一端に位置し、かつ前記開口に向かって延びている、
円筒型電池セルの製造システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2020年9月30日に出願された「円筒型電池セル、電池、電力消費装置、製造方法及び製造システム」という名称の中国特許出願202011058155.2号の優先権を主張し、当該出願の全ての内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本願は、電池技術の分野に関し、特に、円筒型電池セル、電池、電力消費装置、製造方法及び製造システムに関する。
【背景技術】
【0003】
充放電可能な電池は、エネルギー密度が高く、電力密度が高く、サイクル使用回数が多く、貯蔵時間が長いなどの利点を有するため、電気自動車、モバイル機器、または電動ツールで広く使用されている。電池には、電池セルが含まれている。しかしながら、電池セルの使用中には、短絡の問題があり、電池セルの安全性に影響を及ぼす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願は、上記の電池セルの短絡の問題を解決することを目的とした円筒型電池セル、電池、電力消費装置、製造方法及び製造システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様では、本願は、円筒型電池セルを提供しており、該円筒型電池セルは、開口を有するハウジングと、ハウジング内に設けられた電極組立体と、を備え、電極組立体は、セパレータと、電極組立体の軸方向に沿って、電極組立体の一端に位置し、かつ開口に向かって延びるタブとを含み、タブは、第1の部分と、第1の部分の外周を取り囲む第2の部分とを含み、セパレータは、第2の部分とハウジングとを隔離するように、第2の部分を被覆しており、軸方向に沿って、第1の部分は、第2の部分及びセパレータを超えており、第2の部分は、セパレータを超えていない。
【0006】
本願の一実施例によれば、第1の部分のセパレータを超える寸法はHであり、第2の部分の外径と内径との差はLであり、ここで、LはHよりも大きい。第1の部分が変形して外転したときに、第1の部分が第2の部分の縁部を超えてハウジングとラップ接触しにくくなり、第1の部分とハウジングとが短絡する可能性を低減させる。
【0007】
本願の一実施例によれば、第1の部分のセパレータを超える寸法Hの値は、1ミリメートル~8ミリメートルの範囲である。
【0008】
本願の一実施例によれば、円筒型電池セルは、開口に被せられハウジングに接続されるように構成されたエンドカバーと、エンドカバーの電極組立体に近い一側に設けられ、凹部を有する第1の絶縁部材と、をさらに備え、第1の部分の少なくとも一部は、凹部内に収容されている。第1の部分は自体の弾性復元力を解放することによって変形すると、第1の部分は第1の絶縁部材によって遮断されるので、第1の部分がハウジングにラップ接触して短絡する可能性をさらに低減させる。
【0009】
本願の一実施例によれば、第1の絶縁部材は、セパレータの第2の部分を超えた部分に接触している。外部の導電性の異物は第1の絶縁部材とセパレータとの接触領域を通過して第1の部分に接触しにくくなり、導電性の異物が第1の部分とハウジングとを導通させて第1の部分とハウジングが短絡する可能性を低減させる。
【0010】
本願の一実施例によれば、第1の絶縁部材は、エンドカバーに接続される本体と、本体から電極組立体に向かって延びて突出し、凹部を形成する延出部と含み、本体と延出部とは互いに接続されており、延出部は、第1の部分の外周を取り囲んで設けられ、延出部は、セパレータの第2の部分を超えた部分に接触している。組立の際に、第1の絶縁部材の延出部を第1の部分とハウジングとの間の隙間に挿入することができるので、延出部は第1の部分が第1の絶縁部材の凹部内に正確に挿入するように案内することができる。
【0011】
本願の一実施例によれば、延出部は、連続的に延出する閉ループ構造、またはノッチを有する環状構造である。
【0012】
本願の一実施例によれば、電極組立体は、第1の絶縁部材及び第2の部分を取り囲み、第1の絶縁部材の縁部及び第2の部分の縁部を覆う第2の絶縁部材をさらに備える。第2の絶縁体は、防護の役割を果たすことができ、外部の導電性の異物を遮断することができる。
【0013】
本願の一実施例によれば、第2の絶縁部材は、第1の絶縁部材のハウジングに面する外側面に押し当てられている。第2の絶縁部材と第1の絶縁部材との間に接触領域を形成することができ、第2の絶縁体の外部から導電性の異物がタブに侵入する可能性をさらに低減させるのに有利である。
【0014】
本願の一実施例によれば、外側面は、エンドカバーから離れる方向に沿って、凹部に向かって傾斜する案内斜面を有する。案内斜面は、第1の絶縁部材の案内斜面に対応する部分が第2の絶縁部材によって限定された空間内に容易に入るように、案内する役割を果たす。
【0015】
本願の一実施例によると、電極組立体は、第1電極シート及び第2の電極シートをさらに備え、第1の電極シート及び第2の電極シートは、いずれも塗布領域と非塗布領域を有し、第1の電極シートまたは第2の電極シートの非塗布領域は、タブを形成し、セパレータは、第1の電極シートと第2の電極シートとを隔離するために用いられ、第1の電極シート、第2の電極シート及びセパレータは巻回されて電極組立体が形成される。
【0016】
本願の実施例による電池セルは、ハウジング及び電極組立体を備える。電極組立体は、ハウジング内に設けられている。電極組立体は、セパレータ及びタブを含む。タブは、電極組立体の端部に位置する。タブは、第1の部分及び第2の部分を含む。第2の部分は、第1の部分の外周を取り囲んでいる。セパレータは、第2の部分を被覆することにより、第2の部分とハウジングとを隔離させ、第2の部分の外周面がハウジングと接触して短絡する可能性を低減させる。電極組立体の軸方向に沿って、第1の部分は、第2の部分及びセパレータを超えており、第2の部分は、セパレータを超えていない。セパレータは、第2の部分を防護し、第2の部分がハウジングと接触する可能性を低減することができる。また、第2の部分は、折り曲げ工程や平坦化工程を経る必要がないので、第2の部分の自体の内部に弾性ポテンシャルエネルギーが蓄積されないかまたは蓄積される弾性ポテンシャルエネルギーが小さく、これにより、第2の部分は変形しにくいかまたは変形量が小さく、さらに第2の部分は変形し外転してハウジングにラップ接触しにくくなり、第2の部分とハウジングとが短絡する可能性を低減させる。第2の部分は、第1の部分がハウジングとラップ接触しにくくなるように、緩衝領域としてもよく、これにより、第1の部分とハウジングとが短絡する可能性を効果的に低減させる。
【0017】
別の態様では、本願は、電池を提供しており、該電池は、上記の実施例による円筒型電池セルを備える。
【0018】
別の態様では、本願は、電力消費装置を提供しており、該電力消費装置は、電気エネルギーを供給するための上記の実施例による円筒型電池セルを備える。
【0019】
別の態様では、本願は、円筒型電池セルの製造方法を提供しており、該製造方法は、セパレータ及びタブを含む電極組立体を供給することと、開口を有するハウジングを供給することと、電極組立体をハウジング内に組み立てることと、を備え、タブは、第1の部分と、第1の部分の外周を取り囲む第2の部分とを含み、セパレータは、第2の部分とハウジングとを隔離するように、第2の部分を被覆しており、軸方向に沿って、第1の部分は、第2の部分及びセパレータを超えており、第2の部分は、セパレータを超えておらず、電極組立体の軸方向に沿って、タブは、電極組立体の一端に位置し、かつ開口に向かって延びている。
【0020】
本願の一実施例によれば、電極組立体のタブの一部を切り取って第2の部分を形成することをさらに備える。
【0021】
別の態様では、本願は、円筒型電池セルの製造システムを提供しており、該製造システムは、セパレータ及びタブを含む電極組立体を供給するように構成された第1の組立装置と、開口を有するハウジングを供給するように構成された第2の組立装置と、電極組立体をハウジング内に組み立てるように構成された第3の組立装置と、を備え、タブは、第1の部分と、第1の部分の外周を取り囲む第2の部分とを含み、セパレータは、第2の部分とハウジングとを隔離するように、第2の部分を被覆しており、軸方向に沿って、第1の部分は、第2の部分及びセパレータを超えており、第2の部分は、セパレータを超えておらず、電極組立体の軸方向に沿って、タブは、電極組立体の一端に位置し、かつ開口に向かって延びている。
【0022】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の例示的な実施例の特徴、利点及び技術的効果について説明する。添付の図面において、図面は必ずしも実際の縮尺で描かれているとは限らない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本願の一実施例に係る車両の概略構成図である。
【
図2】本願の一実施例に係る電池の概略構成図である。
【
図3】本願の一実施例に係る電池モジュールの概略構成図である。
【
図4】本願の一実施例に係る電池モジュールの概略分解構成図である。
【
図5】本願の一実施例に係る電池セルの概略分解構成図である。
【
図6】本願の一実施例に係る電極組立体の概略構成図である。
【
図7】
図5に示す実施例の電池セルの組み立て完了後の概略平面構成図である。
【
図8】
図7のA―A線に沿った概略断面構成図である。
【
図10】本願の一実施例に係る電池セルの概略部分断面構成図である。
【
図11】本願の一実施例のエンドカバーアセンブリの概略構成図である。
【
図12】本願の他の実施例のエンドカバーアセンブリの概略構成図である。
【
図13】本願の他の実施例に係る電池セルの概略分解構成図である。
【
図14】本願の一実施例に係る電池セルの概略部分断面構成図である。
【
図15】本願の一実施例に係る電池セルの製造方法のフローチャートである。
【
図16】本願の一実施例に係る電池セルの製造システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本願の実施形態について、図面及び実施例を参照して詳細に説明する。以下の実施例の詳細な説明及び添付の図面は、本願の原理を例示的に説明するために用いられるが、本願の範囲を限定するものではなく、すなわち、本願は説明された実施例に限定されるものではない。
【0025】
本願の説明において、説明すべきことは、特に説明しない限り、「複数」とは、2つ以上を意味する。「上」、「下」、「左」、「右」、「内」、「外」などの用語が表す向きまたは位置関係は、言及された装置または構成要素が特定の向きを有し、特定の向きで構成及び作動されるべきであることを示すまたは暗示するものではなく、単に本願の説明を容易にし、説明を簡略化するためのものであるため、本願を限定するものと理解すべきではない。また、「第1の」、「第2の」、「第3」などの用語は、単に説明の目的のために用いられ、相対的な重要性を示すまたは暗示するものとして理解されるべきではない。「垂直」とは、厳格な意味での垂直ではなく、誤差許容範囲内にあり、「平行」とは、厳格な意味での平行ではなく、誤差許容範囲内にある。
【0026】
なお、以下の説明に現れる方向用語は、いずれも図面に示す方向を示すものであり、本願の具体的な構成を限定するものではない。なお、本願の説明において、さらに説明すべきことは、特に明確な規定及び制限がない限り、「取付」、「連結」、「接続」という用語は、広い意味で理解すべきである。例えば、固定的に接続されていてもよく、取り外し可能に接続されていてもよく、または一体的に接続していてもよく、直接的に接続していてもよく、中間媒体を介して間接的に接続されていてもよい。当業者であれば、本願における上記用語の具体的な意味は、特定の状況に応じて理解され得る。
【0027】
出願人は、従来の電池セルには短絡の問題があることに気付いた後、電池セルの構造について研究及び分析を行った。電池セルは、ハウジング、電極組立体、エンドカバー、電極端子、及びアダプタを含む。電極組立体は、ハウジング内に設けられている。エンドカバーは、ハウジングに接続されている。電極端子は、エンドカバーに設けられている。電極組立体は、本体部及びタブを含む。タブは、本体部から本体部から離れる方向に延びている。アダプタは、電極端子と電極組立体のタブとに接続されている。出願人は、電池セルのタブがハウジングにラップ接触することにより、電池セルの短絡を引き起こすことを見出した。出願人は、さらに研究を行った結果、電極組立体のタブが折り曲げ工程または平坦化工程を経て、タブが組立要求を満たすように変形するため、タブ自体に弾性復元力が蓄積されていることを見出した。電池セルの組み立てが完了した時に、タブはハウジングにラップされて短絡が発生することがない。しかしながら、しばらく使用すると、タブは自体に蓄積された弾性復元力を解放して反発するため、タブがハウジングにラップされて短絡が発生するという問題が発生する。
【0028】
出願人が見出した上記の問題に基づいて、出願人は、電池セルの構造を改良した。以下、本願の実施例について、さらに説明する。
【0029】
本願をよりよく理解するために、以下、
図1~
図16を参照して本願の実施例を説明する。
【0030】
本願の実施例は、電池10を電源として使用する電力消費装置を提供する。該電力消費装置は、車両、船舶、または航空機などであってもよいが、これらに限定されない。
図1を参照すると、本願の一実施例は、車両1を提供する。車両1は、エンジン駆動車、天然ガス自動車、または新エネルギー自動車であってもよい。新エネルギー自動車は、純電気自動車、ハイブリッド自動車、またはレンジエクステンダー型自動車などであってもよい。本発明の一実施例において、車両1は、モータ1a、コントローラ1b及び電池10を含むことができる。コントローラ1bは、電池10を制御してモータ1aに電力を供給する。モータ1aは、伝達機構を介して車輪に接続され、車両1が走行するように駆動する。電池10は、車両1の駆動電源として、燃料や天然ガスを代替するか又は部分的に代替して車両1に駆動力を供給することができる。一例において、電池10は、車両1の底部または前部または後部に配置することができる。電池10は、車両1に電力を供給するために用いられてもよい。一例において、電池10は、車両1の動作電源として、車両1の電気回路システムに用いられてもよい。一例として、電池10は、車両1の起動、ナビゲーション及び運転時の動作電力需要のために用いられてもよい。
【0031】
図2及び
図3を参照すると、電池10は、筐体を備えている。筐体のタイプは限定されない。筐体は、枠状筐体、皿状筐体、箱状筐体などであってもよい。例示的に、筐体は、底部ケース11と、底部ケース11に被せて結合される上部カバー12とを含む。底部ケース11と上部カバー12とは被せて結合されて収容部を形成する。電池10は、複数の円筒型電池セル40を含む。円筒型電池セル40とは、電池セル40の外観が円筒型であることを意味する。複数の電池セル40が電池10を構成してもよく、複数の電池セル40がまず電池モジュール20を構成し、その後、複数の電池モジュール20がさらに電池10を構成してもよい。
図3は、筐体の収容部内に配置された電池モジュール20の一実施例を概略的に示している。
【0032】
いくつかの実施例において、異なる使用電力需要を満たすために、電池10は、複数の電池セル40を含むことができ、ここで、複数の電池セル40の間は直列接続、並列接続または直並列接続することができ、直並列接続とは、直列接続と並列接続の混合を指す。すなわち、複数の電池セル40は筐体の収納部内に直接配置されて電池10を構成することができる。
【0033】
図3及び
図4を参照すると、電池モジュール20は、ケース30、及びケース30内に設けられた電池セル40を含む。一例において、ケース30は、筒体31、第1の蓋体32及び第2の蓋体33を含む。第1の蓋体32と第2の蓋体33とは、それぞれ筒体31の両端に設けられている。第1の蓋体32と第2の蓋体33とは、それぞれ筒体31に着脱可能に接続されている。例えば、第1の蓋体32と第2の蓋体33とは、それぞれ筒体31に係着されていてもよく、ネジを用いて連結されていてもよい。筒体31、第1の蓋体32及び第2の蓋体33を組み立てると収容空間を形成する。電池セル40は、ケース30の収容空間内に設けられている。
【0034】
図5を参照すると、本願の実施例の電池セル40は、ハウジング41と、ハウジング41内に設けられた電極組立体42を含む。本願の実施例のハウジング41は、筒状構造である。ハウジング41は、電極組立体42及び電解液を収容する内部空間と、内部空間に連通する開口411とを有する。電極組立体42は、ハウジング41の開口411からハウジング41内に組み立てることができる。ハウジング41は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、プラスチックなどの材料から製造することができる。電極組立体42は、柱状の本体部421と、タブ422とを含む。タブ422は、電極組立体42の軸方向Xに沿って、電極組立体42の一端に位置する。本体部421は、端部421aを有する。電極組立体42は、ハウジング41内に設けられ、本体部421の端部421aはハウジング41の開口411に向いており、タブ422は、本体部421の端部421aからハウジング41の開口411に向かって延びている。タブ422は、第1の部分422a及び第2の部分422bを含む。第2の部分422bは、第1の部分422aの外周を取り囲んでいる。電極組立体42の軸方向Xに沿って、第1の部分422aの正射影は、第2の部分422bの正射影の内部に位置する。
【0035】
図5を参照すると、本願の実施例の電池セル40は、エンドカバーアセンブリ43と、アダプタ44とをさらに含む。エンドカバーアセンブリ43は、ハウジング41の開口411を閉鎖するために用いられる。エンドカバーアセンブリ43は、エンドカバー431、第1の絶縁部材432及び電極端子433を含む。エンドカバー431は、ハウジング41の開口411を覆うように配置され、ハウジング41に接続される。例えば、エンドカバー431は、ハウジング41に溶接によって接続されてもよい。第1の絶縁部材432及び電極端子433は、いずれもエンドカバー431に設けられている。第1の絶縁部材432は、エンドカバー431のハウジング41の内部に近い側に設けられている。電極端子433は、アダプタ44を介して電極組立体42に電気的に接続されている。例示的に、ハウジング41は、対向する2つの開口411を有する。エンドカバーアセンブリ43の数及びアダプタ44の数は、両方とも2つである。2つのエンドカバー431は、それぞれ2つの開口411を覆っており、いずれもハウジング41に接続されている。電極組立体42の対向する2つの端部のそれぞれには、エンドカバーアセンブリ43及び一つのアダプタ44が対応して設けられている。
【0036】
図6を参照すると、本願の実施例の電極組立体42は、第1の電極シート42aと、第2の電極シート42bと、第1の電極シート42aと第2の電極シート42bとの間に介在する絶縁体であるセパレータ42cとを巻回することにより形成することができる。セパレータ42cは、第1の電極シート42aと第2の電極シート42bとを絶縁隔離し、第1の電極シート42aと第2の電極シート42bとの接触を回避するためのものである。第1の電極シート42a及び第2の電極シート42bは、それぞれ塗布領域と非塗布領域を含む。第1の電極シート42aの塗布領域には第1の電極シート42aの活物質が塗布され、第2の電極シート42bの塗布領域には第2の電極シート42bの活物質が塗布されている。塗布領域では、金属シートからなる集電体に活物質が塗布され、非塗布領域では活物質が塗布されていない。電極組立体42における第1の電極シート42a及び第2の電極シート42bの塗布領域に対応する部分が本体部421である。第1の電極シート42aの非塗布領域または第2の電極シート42bの非塗布領域はタブ422を形成する。本体部421は、対向して設けられた2つの端部421aを有する。タブ422は、本体部421の一端部421aから延びている。電極組立体42のタブ422は、多層構造である。例示的に、第1の電極シート42aの非塗布領域が積層されて正極タブが形成され、第2の電極シート42bの非塗布領域が積層されて負極タブが形成される。正極タブ及び負極タブは、それぞれ本体部421の一端部421aから延びている。第1の電極シート42a、第2の電極シート42b及びセパレータ42cを共に巻回する時、巻回工程の最後に、セパレータ42cを個別に所定の巻数だけ多く巻回させる。
【0037】
本願の実施例において、電極組立体42の軸方向Xに沿って、セパレータ42cの寸法は、第1の電極シート42aの塗布領域の寸法よりも大きく、第2の電極シート42bの塗布領域の寸法よりも大きい。このため、電極組立体42の軸方向Xに沿って、電極組立体42のセパレータ42cの一部は本体部421を超えている。
【0038】
図7及び
図8を参照すると、エンドカバー431は、ハウジング41に接続されて電極組立体42をハウジング41内に閉鎖する。第1の絶縁部材432は、電極組立体42とエンドカバー431とを隔離することができる。電極組立体42は、対向する2つのタブ422を有する。2つのタブ422は、本体部421の2つの端部421aからそれぞれ延びている。2つのタブ422の極性は逆である。2つの電極端子433は、2つのタブ422にそれぞれ接続されている。2つの第1の絶縁部材432は、2つのエンドカバー431にそれぞれ接続されている。
【0039】
図9を参照すると、セパレータ42cは、第2の部分422bを被覆することで、第2の部分422bとハウジング41とを隔離し、第2の部分422bがハウジング41に向かってハウジング41と接触することにより第2の部分422bとハウジング41が短絡する可能性を低減させる。軸方向Xに沿って、セパレータ42cは、本体部421の外周から第2の部分422bまで延びており、第2の部分422bを被覆している。電極組立体42の軸方向Xに沿って、タブ422の第1の部分422aは、タブ422の第2の部分422b及びセパレータ42cを超えている。タブ422の第1の部分422aは、アダプタ44に接続される。例えば、第1の部分422aとアダプタ44とは溶接によって接続される。電極組立体42の軸方向Xに沿って、タブ422の第2の部分422bは、セパレータ42cを超えていない。いくつかの例では、電極組立体42の軸方向Xに沿って、セパレータ42cは、第2の部分422bを超えている。セパレータ42cは、第2の部分422bを絶縁保護することができるので、第2の部分422bがハウジング41と接触して短絡する可能性を低減することができる。
【0040】
いくつかの実施例において、電極シート(第1の電極シート42aまたは第2の電極シート42b)の加工製造過程において、切断工程を経て、電極シートにおける第2の部分422bに対応する領域の幅(軸方向Xの寸法)を電極シートにおける第1の部分422aに対応する領域の幅(軸方向Xの寸法)よりも小さくし、これにより、電極シート及びセパレータ42cの巻回工程が完了した後、電極シートの第1の部分422aが第2の部分422bを超えることが保証される。
【0041】
いくつかの実施例において、電極シートの第1の部分422aの本体部421から離れた端部は、アダプタ44に接続するために用いられ、電極シートの第2の部分422bはアダプタ44に接続する必要はない。電極シートの第1の部分422aの本体部421から離れた端部は、折り曲げ工程または平坦化工程を経る必要がある。第1の部分422aの本体部421から離れた端部は、折り曲げ工程または平坦化工程を経て、より緻密になる。
【0042】
本願の実施例の電池セル40は、ハウジング41及び電極組立体42を含む。電極組立体42は、ハウジング41内に設けられている。電極組立体42は、本体部421、セパレータ42c及びタブ422を含む。タブ422は、本体部421の端部に位置している。タブ422は、第1の部分422a及び第2の部分422bを含む。第2の部分422bは、第1の部分422aの外周を取り囲んでいる。セパレータ42cは、本体部421の外周から第2の部分422bまで延び、第2の部分422bを被覆することにより、第2の部分422bとハウジング41とを隔離し、第2の部分422bの外周面とハウジング41とが接触して短絡する可能性を低減させる。電極組立体42の軸方向Xに沿って、第1の部分422aは、第2の部分422b及びセパレータ42cを超えており、第2の部分422bは、セパレータ42cを超えていない。セパレータ42cは、第2の部分422bを保護し、第2の部分422bがハウジング41と接触する可能性を低減することができる。また、第2の部分422bは、折り曲げ工程または平坦化工程を経る必要がないので、第2の部分422bの自体の内部に弾性ポテンシャルエネルギーが蓄積されないか、または蓄積される弾性ポテンシャルエネルギーが小さく、これにより、第2の部分422bは変形しにくいか、または変形量が小さく、さらに第2の部分422bは変形し外転してハウジング41にラップ接触しにくくなり、第2の部分422bとハウジング41とが短絡する可能性を低減させる。第2の部分422bは、第1の部分422aがハウジング41とラップ接触しにくくなるように、緩衝領域としてもよく、これにより、第1の部分422aとハウジング41とが短絡する可能性を効果的に低減させる。
【0043】
いくつかの実施例において、
図9を参照すると、電極組立体42の軸方向Xに沿って、第1の部分422aがセパレータ42cを超える寸法はHであり、本体部421の半径方向に沿って、第2の部分422bの外径と内径との差はLであり、ここで、LはHよりも大きい。これにより、第1の部分422aが変形して外転した時、第1の部分422aが第2の部分422bの縁部を超えてハウジング41にラップ接触しにくくなり、第1の部分422aとハウジング41とが短絡する可能性を低減させる。いくつかの例では、Lの値は、1.1H~1.5Hをとる。第1の部分422aがセパレータ42cを超える寸法Hの値は、1ミリメートル(mm)~8ミリメートル(mm)の範囲である。
【0044】
いくつかの実施例において、
図10を参照すると、第1の絶縁部材432は、凹部432aを有する。凹部432aは、第1の絶縁部材432のエンドカバー431から離れた面からエンドカバー431に向かって凹んでおり、凹部432aの開口が電極組立体42に向かっている。第1の部分422aの少なくとも一部は、凹部432a内に収容される。第1の絶縁部材432は、第1の部分422aの外周を防護し、第1の部分422aとハウジング41とを隔離する。電池セル40の使用中に、第1の部分422aが自体の弾性復元力を解放することによって変形すると、第1の部分422aは第1の絶縁部材432によって遮断されるので、第1の部分422aがハウジング41にラップ接触して短絡する可能性をさらに低減させる。
【0045】
いくつかの実施例において、
図10を参照すると、第1の絶縁部材432は、セパレータ42cの第2の部分422bを超えた部分と接触し、それによって接触領域を形成する。これにより、外部の導電性の異物は第1の絶縁部材432とセパレータ42cとの接触領域を通過して第1の部分422aに接触しにくくなり、導電性の異物が第1の部分422aとハウジング41とを導通させて第1の部分422aとハウジング41が短絡する可能性を低減させる。
【0046】
いくつかの実施例において、
図10及び
図11を参照すると、第1の絶縁部材432は、互いに接続された本体4321及び延出部4322を含む。第1の絶縁部材432は、本体4321を介してエンドカバー431に接続されている。延出部4322は、本体4321から電極組立体42に向かって延びて突出している。本体4321と延出部4322とは交差して設けられている。本体4321及び延出部4322は、凹部432aを形成する。延出部4322は、タブ422の第1の部分422aの外周に設けられ、軸方向Xに沿って第2の部分422bの位置に対応している。延出部4322は、第1の部分422aの周側に沿って延びている。第1の絶縁部材432は、延出部4322を介して、セパレータ42cの第2の部分422bを超えた部分に接触している。第1の絶縁部材432は、本体4321を介してエンドカバー431に予め接続し固定され、次に、第1の絶縁部材432付きのエンドカバー431をハウジング41に組み付けてもよい。第1の絶縁部材432は、延出部4322を有するので、組立の際に、第1の絶縁部材432の延出部4322を第1の部分422aとハウジング41との間の隙間に挿入することができ、それにより延出部4322は第1の部分422aが第1の絶縁部材432の凹部432a内に正確に挿入するように案内することができ、組立工程において、第1絶縁部材432が軸方向Xに沿って第1部分422aを押圧して第1部分422aが圧縮変形する可能性を低減させるとともに、延出部4322が組立工程において第1の部分422aに対する保護及び位置制限を早期に行うことができる。
【0047】
いくつかの例では、第1の絶縁部材432は、球形構造のケーシングであってもよい。第1の絶縁部材432の凹部432aが形成された面は球面である。
【0048】
いくつかの実施例において、
図10及び
図11を参照すると、アダプタ44は、第1のアダプタ部441及び第2のアダプタ部442を含む。第1のアダプタ部441と第2のアダプタ部442とは接続されている。アダプタ44は、第1のアダプタ部441を介してタブ422の第1の部分422aに接続されている。例えば、第1のアダプタ部441と第1の部分422aとは、溶接により接続されている。アダプタ44は、第2のアダプタ部442を介して電極端子433に接続されている。例えば、第2のアダプタ部442と電極端子433とは、リベットにより接続されている。
図10を参照すると、電池セル40の組立完了後には、第1のアダプタ部441は第2のアダプタ部442に対して折り曲げられた状態になる。第1のアダプタ部441は、第1の絶縁部材432と電極組立体42との間に位置し、凹部432a内に位置している。第1の絶縁部材432と電極組立体42とは、共に第1のアダプタ部441を押圧することにより、第1のアダプタ部441は電極組立体42に対して位置移動しにくくなり、電極組立体42に対する第1のアダプタ部441の移動によって第1のアダプタ部441と第1の部分422aとが接続解除される可能性を低減するのに有利である。一例において、第1の絶縁部材432の本体4321と電極組立体42は、共に第1のアダプタ部441を押圧する。
【0049】
いくつかの実施例において、
図11は、アダプタ44が電極端子433に接続されているが折り曲げられていない状態を概略的に示している。
図11を参照すると、延出部4322は、エンドカバー431から離れた端面が開ループ構造となるように、ノッチ43221を有する環状構造である。延出部4322のノッチ43221は、第2のアダプタ部442を回避することができる。アダプタ44の第2のアダプタ部442は、該ノッチ43221を通過することができるので、アダプタ44の加工製造過程において、アダプタ44の第1のアダプタ部441と第2のアダプタ部442は平坦な状態を維持し、アダプタ44の加工工程を減らすことができる。延出部4322におけるノッチ43221以外の部分は、何れもセパレータ42cに押し当てられていてもよい。
【0050】
いくつかの実施例において、
図12は、アダプタ44が電極端子433に接続されているが折り曲げられていない状態を概略的に示している。
図12を参照すると、延出部4322は、エンドカバー431から離れた端面が閉ループ構造となるように、連続的に延びる閉ループ構造である。アダプタ44の第1のアダプタ部441及び第2のアダプタ部442は、第2のアダプタ部442と電極端子433とが接続された後にアダプタ44が延出部4322を回避できるように、加工製造時に折り曲げる必要がある。延出部4322は、セパレータ42cに押し当てられていてもよく、かつ、延出部4322のエンドカバー431から離れた端面が閉ループ構造であるため、延出部4322は、第1の部分422aの全周にわたって第1の部分422aを防護し隔離することができ、隔離防護の効果をさらに向上させることができる。
【0051】
いくつかの実施例において、
図13及び
図14を参照すると、電極組立体42は、第2の絶縁部材423をさらに含む。第2の絶縁部材423は、第1の絶縁部材432及び第2の部分422bを取り囲み、第1の絶縁部材432の縁部及び第2の部分422bの縁部を覆っている。電極組立体42の軸方向Xに沿って、第1の絶縁部材432の縁部は、第2の部分422bの縁部と対向している。第2の絶縁部材423は、防護の役割を果たし、外部の導電性の異物が第1の絶縁部材432と第2の部分422bとの間に侵入して第2の部分422bとハウジング41とを短絡させたり、または外部の導電性の異物が第1の絶縁部材432と第2の部分422bとを貫通して第1の部分422aとハウジング41とを短絡させたりする可能性を低減することができる。
【0052】
いくつかの例では、第1の絶縁部材432は、延出部4322を含む。第2の絶縁部材423は、延出部4322の縁部及び第2の部分422bの縁部を覆っている。いくつかの例では、第2の絶縁部材423は環状構造である。第2の絶縁部材423は、延出部4322の周側に沿って連続的に延在することで、延出部4322の周方向全体を防護することができる。
【0053】
いくつかの例では、第2の絶縁部材423は、別個の構造部材であってもよい。組立工程において、第1の部分422aの外周に第2の絶縁部材423を予め組み立てる必要がある。次に、第2の絶縁部材423付きの電極組立体42をハウジング41内に組み立てる。
【0054】
いくつかの実施例において、第1の絶縁部材432は、ハウジング41に面する外側面432bを有する。第2の絶縁部材423の一端は第1の絶縁部材432の外側面432bに押し当てられることにより、第2の絶縁部材423と第1の絶縁部材432との間に接触領域を形成することができ、導電性の異物が第2の絶縁部材423の外部からタブ422に侵入する可能性をさらに低減するのに有利である。
【0055】
いくつかの例では、外側面432bは、案内斜面を有する。案内斜面は、エンドカバー431から離れる方向に沿って、凹部432aに向かって傾斜している。これにより、第2の絶縁部材423付きの電極組立体42をハウジング41に取り付けた後にエンドカバーアセンブリ43を組み立てる際に、第1の絶縁部材432の案内斜面に対応する部分は、案内斜面に案内されて第2の絶縁部材423によって限定された空間内に入りやすく、第1の絶縁部材432が第2の絶縁部材423を直接に押圧することによって第2の絶縁部材423が潰れることにより、第2の絶縁部材423が隔離機能を失う可能性を低減するのに有利である。第1の絶縁部材432が本体4321及び延出部4322を含む実施例では、第1の絶縁部材432に設けられた案内斜面によって、延出部4322の外周面はテーパ状を呈する。
【0056】
いくつかの例では、第2の絶縁部材423は、第1の絶縁部材432の外側面432bに接着され、これにより、第2の絶縁部材423と第1の絶縁部材432との接続の信頼性や安定性を向上させ、電池セル40の使用中に衝撃や振動などによって第2の絶縁部材423と第1の絶縁部材432との接触状態が解除される可能性を低減するのに有利である。例示的に、第2の絶縁部材423は、第1の絶縁部材432の外側面432bにテープまたは接着剤によって接着されてもよい。
【0057】
いくつかの例では、第2の絶縁部材423の第1の絶縁部材432の外側面432bに押し当てられた領域は、タブ422よりもエンドカバー431に近いので、第2の絶縁部材423と第1の絶縁部材432との接触領域は、エンドカバー431に近い。組立工程において、第1の絶縁部材432と第2の絶縁部材423とをより早く接触させることができるので、組立の際に導電性の異物が接触していない第1の絶縁部材432と第2の絶縁部材423との間の隙間からタブ422に侵入する可能性をさらに低減することができる。
【0058】
図15を参照すると、本願の実施例は、上記の実施例の電池セル40に基づいて、電池セル40の製造方法をさらに提供し、該製造方法は、セパレータ42c及びタブ422を含む電極組立体42を供給することと、開口を有するハウジング41を供給することと、電極組立体42をハウジング41内に組み立てることとを備え、タブ422は、第1の部分422aと、第1の部分422aの外周を取り囲む第2の部分422bとを含み、セパレータ42cは、第2の部分422bとハウジング41とを隔離するように、第2の部分422bを被覆しており、ここで、軸方向Xに沿って、第1の部分422aは、第2の部分422b及びセパレータ42cを超えており、第2の部分422bは、セパレータ42cを超えておらず、電極組立体42の軸方向Xに沿って、タブ422は、電極組立体42の一端に位置し、かつ開口に向かって延びている。
【0059】
本願の実施例の電池セル40の製造方法で製造された電池セル40は、セパレータ42c及びタブ422を含む電極組立体42を、タブ422がハウジング41の開口に向かうように、ハウジング41内に組み立てる。電極組立体42を製造する時、タブ422が、第1の部分422aと、第1の部分422aの外周を取り囲む第2の部分422bとを含み、セパレータ42cが、第2の部分422bとハウジング41とを隔離するように、第2の部分422bを被覆するように作製される。電極組立体42の軸方向Xに沿って、第1の部分422aは、第2の部分422b及びセパレータ42cを超えており、第2の部分422bは、セパレータ42cを超えていない。これにより、セパレータ42cは、第2の部分422bを防護し、第2の部分422bがハウジング41に接触する可能性を低減することができる。また、第2の部分422bは、アダプタ44に接続する必要がないため、折り曲げ工程または平坦化工程を経る必要がなく、第2の部分422bの自体の内部に弾性ポテンシャルエネルギーが蓄積されないかまたは蓄積される弾性ポテンシャルエネルギーが小さく、これにより、第2の部分422bは変形しにくいかまたは変形量が小さく、さらに第2の部分422bがハウジング41にラップ接触しにくくなり、第2の部分422bがハウジング41にラップ接触して短絡する可能性を低減させる。第2の部分422bは、第1の部分422aがハウジング41にラップ接触しにくくなるように、緩衝領域としてもよく、これにより、第1の部分422aがハウジング41にラップ接触して短絡が発生する可能性を効果的に低減させる。
【0060】
いくつかの実施例において、電極組立体42のタブ422の一部を切り取って第2の部分422bを形成する。
【0061】
図16を参照すると、本願の実施例は、上記の実施例の電池セル40に基づいて、電池セル40の製造システム50をさらに提供し、該製造システムは、セパレータ42c及びタブ422を含む電極組立体42を作製するように構成された第1の組立装置51と、開口を有するハウジング41を供給するように構成された第2の組立装置52と、電極組立体42をハウジング41内に組み立てるように構成された第3の組立装置53とを含み、タブ422は、第1の部分422aと、第1の部分422aの外周を取り囲む第2の部分422bとを含み、セパレータ42cは、第2の部分422bとハウジング41とを隔離するように、第2の部分422bを被覆しており、ここで、軸方向Xに沿って、第1の部分422aは、第2の部分422b及びセパレータ42cを超えており、第2の部分422bは、セパレータ42cを超えておらず、電極組立体42の軸方向Xに沿って、タブ422は、電極組立体42の一端に位置し、かつ開口に向かって延びている。
【0062】
以上、好ましい実施例を参照して本願を説明したが、本願の範囲から逸脱することなく、それらに様々な変更を加えることができ、それらの構成要素を等価物で置き換えることができる。特に、各実施例に記載されている技術的特徴は、構造的な矛盾がない限り、任意に組み合わせることができる。本願は、本明細書に開示された特定の実施例に限定されず、特許請求の範囲にある全ての技術的解決手段を含む。