(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-09
(45)【発行日】2024-04-17
(54)【発明の名称】医薬組成物、その調製方法及び使用方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/665 20060101AFI20240410BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20240410BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20240410BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20240410BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20240410BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20240410BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240410BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20240410BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20240410BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20240410BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20240410BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20240410BHJP
【FI】
A61K31/665
A61K47/32
A61P1/16
A61K9/20
A61K9/48
A61K47/12
A61K47/26
A61K47/02
A61K47/34
A61K47/14
A61K47/10
A61K47/22
(21)【出願番号】P 2022558132
(86)(22)【出願日】2021-03-26
(86)【国際出願番号】 CN2021083207
(87)【国際公開番号】W WO2021190624
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2022-10-04
(31)【優先権主張番号】202010227177.0
(32)【優先日】2020-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(32)【優先日】2021-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522220131
【氏名又は名称】ガンネックス ファーマ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】ウー,ジンズー ジェイソン
(72)【発明者】
【氏名】チャイ,シューユー
【審査官】石井 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/035909(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/183004(WO,A1)
【文献】AAPS PharmSciTech,2015年,Vol.17, No.1,pp.106-119
【文献】AAPS PharmSciTech,2016年,Vol.17, No.1,pp.148-157
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-31/80
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
A61P 1/00-43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬組成物であって、成分として、質量部基準で、
(a)
以下の式(I)
【化1】
(I)
で表される化合物1部と、
(b)ガラス転移温度が90℃~130℃のコポビドン15~45部を含み、
ここで、成分(a)及び(b)は、混合されて加熱溶融押出された、医薬組成物。
【請求項2】
成分(a)及び(b)は、混合されて80℃~135℃の範囲の温度で加熱溶融押出され
る、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
コポビドンは20~40部で含まれる、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
コポビドンは22~33部で含まれる、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
(c)1種又はそれ以上の薬学的に許容される賦形剤0.1~3.0部をさらに含み、前記薬学的に許容される賦形剤が、不揮発性弱酸、中性又は弱酸性
の賦形剤、及び融点が80℃未満の薬学的に許容される賦形剤からなる群から選択され、ここで、成分(a)、(b)及び(c)は混合されて80℃~135℃の範囲の温度で加熱溶融押出され、
前記不揮発性弱酸は、無水クエン酸、クエン酸一水和物、又はそれらの混合物を含み、前記中性及び弱酸性の賦形剤は、マンニトール、ラクトース一水和物、無水ラクトース、ソルビトール、無水リン酸水素カルシウム及びコロイダルシリカからなる群から選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項6】
1種又はそれ以上の薬学的に許容される賦形剤は0.2~2.0部で含まれる、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記1種又はそれ以上の薬学的に許容される賦形剤が、ポリエチレングリコール4000、ポリエチレングリコール6000というポリエチレングリコール;クエン酸トリエチル、コハク酸ポリエチレングリコールという脂質材料;2,6‐ジ‐tert‐ブチル‐p‐クレゾール、ビタミンEという酸化防止剤、ポロキサマー188、ツイーン80という界面活性剤からなる群から選択される、請求項
5に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記医薬組成物が錠剤又はカプセル剤の形態で製剤化される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項9】
請求項1~
8のいずれか一項に記載の医薬組成物を調製する方法であって、
80℃~135℃の加熱溶融押出温度で成分(a)及び(b)の混合物を加熱溶融押出により押出物を形成する工程と、
前記押出物を冷却する工程と、
冷却
された
前記押出物を切断、粉砕又は研磨によって顆粒、微粒子又は粉末に破砕する工程と、を含む、方法。
【請求項10】
破砕工程で得られた顆粒、微粒子又は粉末を錠剤、カプセル剤に加工する工程をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
二軸加熱溶融押出装置を使用して成分(a)及び(b)の混合物を押し出し、ここで前記二軸加熱溶融押出装置のスクリュー直径が8mm~50mmであり、押出速度が10rpm~300rpmであり、前記加熱溶融押出の滞留時間が30分未満である、請求項
9に記載の方法。
【請求項12】
脂肪性肝炎を治療するための医薬品の製造における、請求項1~
8のいずれか一項に記載の医薬組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2020年3月27に出願された中国出願番号2020102271770の優先権を主張する。上記出願の全内容は、参照により本明細書に援用される。
【技術分野】
【0002】
本発明は医薬製剤の分野に属し、具体的には、室温での保存に適した環状ホスホネート医薬組成物及びその調製方法に関する。
【背景技術】
【0003】
薬品の保存条件は、薬品中の薬物の安定性を反映している。融点が低い薬物又は結晶形は一般に安定性が比較的低く、低温で保存する必要があるが、融点が高い薬物又は結晶形は安定性が高く、通常は室温で保存することができる。製剤の合理的な加工温度も、薬物の熱安定性に応じて合理的に設定する必要がある。薬物の熱分解は通常、その融点と密接に関係しており、この融点より20℃以上高くなると、分解反応が急速に起こる。
【0004】
脂肪性肝炎は慢性炎症性疾患であるため、長期投薬が望ましい。低温保存でなければ、患者の長期投薬に多大に不便であり、服薬漏れ又は保存が不適切になる場合があり、治療効果に影響を及ぼし、病気を悪化させるか又は再発を起こす場合がある。さらに、低温冷蔵条件では、特別なコールドチェーン輸送ツールと長期に使用する冷蔵庫も必要であり、製品の商業開発にさらなる費用がかかる。
【0005】
したがって、臨床及び商業化のニーズをよりよく満たすためには、室温で保存できる安定した医薬製剤及び調製方法を見出すことが必要である。そのような製剤は、活性成分のインビボ溶解及びインビトロ溶解を大幅に高めるだけでなく、より重要には、室温で保存できるようになる。
【0006】
式(I)
【0007】
【化1】
で表される化合物(分子式C
28H
32ClO
5P、分子量514.98、CAS登録番号852948‐13‐1)は、新規の経口甲状腺ホルモンβ受容体(THR-β)アゴニストであり、これは、THR-βを選択的に活性化し、CYP7A及びSREBP‐1cなどの下流遺伝子の発現を調節することにより、脂肪酸の分解を効果的に促進し、ミトコンドリアの生合成を刺激し、低密度リポタンパク質及びトリグリセリドのレベルを低下させ、それにより、脂肪毒性を軽減し、肝機能を改善し、肝脂肪を減少させ、したがって、これは、非アルコール性脂肪性肝炎に対する非常に効果的で低毒性の薬物候補である。
【0008】
式(I)で表される化合物は、強い脂溶性(親油性、lipophilic)の難溶性薬物であり、37℃で、界面活性剤を含まないpH1.0~9.0の塩酸溶液、緩衝液及び水への溶解度は0.5ng/mLである。溶解度が非常に低いため、薬物候補の開発での使用が制限される。特許文献1は、式(I)で表される化合物の溶出率を大幅に高めることができる半固体カプセル技術を報告しているが、このカプセルは、室温以下(15℃以下)の冷暗所、特に2℃~8℃の密閉容器に保存する必要がある。
【0009】
したがって、式(I)の化合物を含む医薬組成物を室温で長期間保存することを可能にする製剤を開発する必要性が依然として存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【0011】
本発明者は、様々な種類及び配合率の賦形剤並びにプロセスパラメータについて広範な調査及び比較を行った後、高温加熱溶融押出プロセス(80℃を超える)が式(I)の化合物の可溶化組成物を調製するのに適していること、本出願に記載の処方及び方法を用いて調製された製品が室温で式(I)の化合物の増加した溶出率及び長期安定性を示すことを予想外に見出した。これは、患者のコンプライアンス及び安全性を向上させ、輸送及び保存コストを低減する上で重要な意義がある。
【0012】
本出願の一態様は、医薬組成物に関し、この医薬組成物は、成分として、質量部基準で、(a)式(I)の化合物1部と、(b)ガラス転移温度が90℃~130℃のコポビドン15~45部とを含み、ここで、成分(a)及び(b)は、混合されて加熱溶融押出を経たものである。
【0013】
本出願の別の態様は、医薬組成物に関し、この医薬組成物は、成分として、質量部基準で、(a)式(I)で表される化合物1部と、(b)ガラス転移温度が90℃~130℃のヒドロキシプロピルメチルセルロース6~20部とを含み、ここで、成分(a)及び(b)は、混合されて加熱溶融押出を経たものである。
【0014】
本出願の別の態様は、本出願の医薬組成物を調製する方法に関する。
【0015】
本出願の別の態様は、被験者の脂肪性肝炎を治療する方法に関する。この方法は、被験者に有効量の本出願の医薬組成物を投与する工程を含む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施例1のA1~F1処方に従って調製された組成物の水への溶出曲線(効果実施例1)(n=6)である。
【
図2】比較実施例1~3のa2~d2処方に従って調製された組成物の水への溶出曲線(効果実施例1)(n=6)である。
【
図3】実施例2のG1~L1処方に従って調製された組成物の溶出曲線(効果実施例2)(n=6)である。
【
図4】比較実施例4~5のe2~g2処方に従って調製された組成物の溶出曲線(効果実施例2)(n=6)である。 ここで、本開示を例示的な実施形態と併せて詳細に説明するが、本開示は、添付の図面及び添付の特許請求の範囲に示される特定の実施形態によって限定されるものではない。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本出願の特定の態様及び例示的な実施形態、並びに添付の構造及び図面における例示的な実施例を詳細に参照する。例示的な実施形態と併せて、方法、材料、及び実施例を含む本出願の様々な形態を説明するが、そのような説明は限定するものではなく、本出願の範囲は、一般に知られているか、又は本明細書に組み込まれているすべての同等物、代替物及び修正をカバーすることを意図している。別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本出願が属する技術分野の当業者が一般的に理解しているものと同じ意味を有する。当業者であれば、本出願の様々な態様及び実施形態の実施において使用することができる、本明細書に記載の技術及び材料と類似又は同等の多くの技術及び材料を認識するであろう。本明細書に記載の様々な態様及び実施形態は、記載される方法及び材料に限定されない。
【0018】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「1つ」、「1種」、及び「当該」は、内容が明確に指示しない限り、複数の指示対象を含む。
【0019】
本明細書において、範囲は、「約」ある特定の値から、及び/又は「約」別の特定の値までとして表すことができる。そのような範囲を表す場合、別の実施形態は、ある特定の値から、及び/又は別の特定の値までを含む。同様に、前置詞「約」を使用することによって値が近似値として表される場合、特定の値が別の実施形態を形成することが理解されるであろう。各範囲の終点は、別の終点に対して重要であり、そして別の終点も独立して重要であることがさらに理解されるであろう。また、多数の値が本明細書に開示されており、各値は、値自体に加えて、「約」その特定の値として本明細書に開示されていることも理解されたい。例えば、値「10」が開示されている場合、「約 10」も開示される。さらに、「その値以下」、「その値以上」が開示されている場合、当業者によって適切に理解されるように、これらの値の間の可能な範囲も開示されることも理解されたい。例えば、値「10」が開示されている場合、「10以下」及び「10以上」も開示される。
【0020】
本明細書で使用される「薬学的に許容される賦形剤」という用語は、ヒトへの投与に適した1種以上の適合性のある固体又は液体充填剤、希釈剤、又は封入物質を指す。「薬学的に許容される担体」という用語は、いかなる対象組成物又はその成分を体のある臓器又は部分からその体の別の臓器又は部分に運ぶ又は輸送することに関与する液体又は固体充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒又は封入材料などの薬学的に許容される材料、組成物又はビヒクルを指す。「担体」という用語は、天然又は合成の有機又は無機成分を意味し、活性成分と組み合わせて投与を容易にする。各種賦形剤又は担体は、主題の組成物及びその成分と適合性があり、患者に有害でないという意味で「許容される」ものでなければならない。医薬組成物の成分はまた、所望の薬効を著しく損なう相互作用がないように、本発明の分子と混合することができる。
【0021】
本明細書で使用される「有効量」という用語は、疾患又は病気(例えば、炎症又は腎炎)の少なくとも1つ以上の症状を緩和するのに必要な治療量を指し、また、所望の効果を提供するのに十分な薬理学的組成物の量を指す。したがって、「治療有効量」という用語は、典型的な被験者に投与する場合に特定の効果を引き起こすのに十分な治療量を指す。本明細書で使用される有効量は、様々な状況において、疾患症状の発症を遅らせ、疾患症状の進行を変化させ(例えば、限定されないが、疾患の進行を遅らせる)、又は疾患の症状を逆転させるのに十分な量も含む。したがって、正確な「有効量」を指定することは、多くの場合非現実的である。しかしながら、いかなる与えられた状況について、適切な「有効量」は、当業者であれば日常実験のみを使用して決定することができる。
【0022】
I.押出混合物
本出願の一態様は、加熱溶融押出用の押出混合物に関する。この押出混合物は、(a)式(I)
【0023】
【化2】
で表される化合物と、(b)押出媒体とを含む。
【0024】
ある実施形態では、式(I)の化合物は、溶媒又は結晶水を含まない結晶形態である。ある実施形態では、式(I)の化合物は、溶媒又は結晶水を含まない非晶質形態である。ある実施形態では、式(I)の化合物は、水和物又は溶媒和物の形態である。
【0025】
押出媒体の例としては、コポビドン及びヒドロキシプロピルメチルセルロースが挙げられるが、これらに限定されない。
【0026】
ある実施形態では、押出混合物は、(c)1種以上の薬学的に許容される賦形剤をさらに含む。
【0027】
本出願の医薬組成物の調製工程において、加熱溶融押出によって押出混合物を押し出して押出物を形成する。この押出物を冷却し、顆粒又は粉末に粉砕又は切断し、そして場合によっては、1種以上の薬学的に許容される担体と混合して、本出願の医薬組成物の調製に用いる。ある実施形態では、本出願の医薬組成物は、脂肪性肝炎を治療するために使用される。
【0028】
コポビドンを含む押出混合物
ある実施形態では、押出混合物は、成分として、質量部基準で、(a)式(I)の化合物1部と、(b)ガラス転移温度が90℃~130℃のコポビドン5~70部とを含む。
【0029】
ある実施形態では、式(I)の化合物は、溶媒又は結晶水を含まない結晶形態である。ある実施形態では、式(I)の化合物は、溶媒又は結晶水を含まない非晶質形態である。ある実施形態では、式(I)の化合物は、水和物又は溶媒和物の形態である。
【0030】
ある実施形態では、コポビドンは、90℃~120℃のガラス転移温度を有する。ある実施形態では、コポビドンは、100℃~120℃のガラス転移温度を有する。ある実施形態では、コポビドンは、90℃~110℃のガラス転移温度を有する。ある実施形態では、コポビドンは、100℃~110℃のガラス転移温度を有する。
【0031】
ある実施形態では、コポビドンは、通常のコポビドン又は粗粉型コポビドンである。ある実施形態では、コポビドンは、1‐ビニル‐2‐ピロリドン及び酢酸ビニルを3:2の質量比で共重合することによって得られ、無水物基準で、窒素[N]含有量は7.0%~8.0%であり、共重合体の酢酸ビニル(C4H6O2)含有量は35.3%~41.4%である。コポビドンのCAS番号は25086‐89‐9である。コポビドンは、コポビドン、ポリ(1‐ビニルピロリドン‐酢酸ビニル)、ポリビニルピロリドン‐酢酸ビニル共重合体、PVP/VA、PVP/VA共重合体、VP/VA共重合体60/40など、異なる命名規則又は習慣に応じて異なる名称を有する場合がある。また、コポビドンは、ビーエーエスエフ(BASF)社のKollidon(登録商標)VA64又はKollidon(登録商標)VA64 fine(微粉型)、アシュランド(Ashland)社のPlasdone(登録商標)S‐630、博愛新開源公司(BOAI NKY MEDICAL Holdings)のKoVidone(登録商標)VA64、及び斯泰克瑞登梅爾材料技術有限公司(Star-Tech&JRS Specialty Products)のStardone(登録商標)VA64など、異なる会社の命名に応じて異なる商品名を有することもある。
【0032】
ある実施形態では、押出混合物中の成分(a):成分(b)の質量比は、1:5~70(即ち、成分(a)1質量部及び成分(b)5~70質量部)、1:5~65、1:5~60、1:5~55、1:5~50、1:5~45、1:5~40、1:5~35、1:5~30、1:5~25、1:5~20、1:5~15、1:5~10、1:10~70、1:10~65、1:10~60、1:10~55、1:10~50、1:10~45、1:10~40、1:10~35、1:10~30、1:10~25、1:10~20、1:10~15、1:15~70、1:15~65、1:15~60、1:15~55、1:15~50、1:15~45、1:15~40、1:15~35、1:15~30、1:15~25、1:15~20、1:20~70、1:20~65、1:20~60、1:20~55、1:20~50、1:20~45、1:20~40、1:20~35、1:20~30、1:20~25、1:25~70、1:25~65、1:25~60、1:25~55、1:25~50、1:25~45、1:25~40、1:25~35、1:25~30、1:30~70、1:30~65、1:30~60、1:30~55、1:30~50、1:30~45、1:30~40、1:30~35、1:35~70、1:35~65、1:35~60、1:35~55、1:35~50、1:35~45、1:35~40、1:40~70、1:40~65、1:40~60、1:40~55、1:40~50、1:40~45、1:45~70、1:45~65、1:45~60、1:45~55、1:45~50、1:50~70、1:50~65、1:50~60、1:50~55、1:55~70、1:55~65、1:55~60、1:60~70、1:60~65、1:65~70又は1:22~33である。
【0033】
ある実施形態では、押出混合物は、(c)1種以上の薬学的に許容される賦形剤0.03~10部をさらに含む。ある実施形態では、1種以上の薬学的に許容される賦形剤は、不揮発性弱酸、中性及び弱酸性無機物、及び融点が130℃、120℃、110℃、100℃、90℃又は80℃未満の薬学的に許容される賦形剤からなる群から選択される。
【0034】
不揮発性弱酸の例としては、無水クエン酸、クエン酸一水和物、及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。中性及び弱酸性無機物の例としては、マンニトール、ラクトース一水和物、無水ラクトース、ソルビトール、無水リン酸水素カルシウム及びコロイダルシリカが挙げられるが、これらに限定されない。
【0035】
ある実施形態では、1種以上の薬学的に許容される賦形剤は、融点が80℃未満の薬学的に許容される賦形剤を含む。ある実施形態では、融点が80℃未満の薬学的に許容される賦形剤は、以下からなる群から選択される:ポリエチレングリコール4000及びポリエチレングリコール6000などのポリエチレングリコール;クエン酸トリエチル、ポリエチレングリコールスクシネートなどの脂質材料;2,6‐ジ‐tert‐ブチル‐p‐クレゾール及びビタミンEなどの酸化防止剤;ポロキサマー188及びツイーン80などの界面活性剤。
【0036】
ある実施形態では、1種以上の薬学的に許容される賦形剤は、80℃未満の融点を有し、無水クエン酸及びクエン酸一水和物からなる群から選択される。ある実施形態では、1種以上の薬学的に許容される賦形剤は、マンニトール、ラクトース一水和物、無水ラクトース、ソルビトール、無水リン酸水素カルシウム及びコロイダルシリカからなる群から選択される。
【0037】
ある実施形態では、押出混合物中の成分(a):(b):(c)の質量比は、1:5~70:0.03~10(即ち、成分(a)1質量部、成分(b)5~70質量部、及び成分(c)0.03~10質量部)、1:5~65:0.03~10、1:5~60:0.03~10、1:5~55:0.03~10、1:5~50:0.03~10、1:5~45:0.03~10、1:5~40:0.03~10、1:5~35:0.03~10、1:5~30:0.03~10、1:5~25:0.03~10、1:5~20:0.03~10、1:5~15:0.03~10、1:5~10:0.03~10、1:10~70:0.03~10、1:10~65:0.03~10、1:10~60:0.03~10、1:10~55:0.03~10、1:10~50:0.03~10、1:10~45:0.03~10、1:10~40:0.03~10、1:10~35:0.03~10、1:10~30:0.03~10、1:10~25:0.03~10、1:10~20:0.03~10、1:10~15:0.03~10、1:15~70:0.03~10、1:15~65:0.03~10、1:15~60:0.03~10、1:15~55:0.03~10、1:15~50:0.03~10、1:15~45:0.03~10、1:15~40:0.03~10、1:15~35:0.03~10、1:15~30:0.03~10、1:15~25:0.03~10、1:15~20:0.03~10、1:20~70:0.03~10、1:20~65:0.03~10、1:20~60:0.03~10、1:20~55:0.03~10、1:20~50:0.03~10、1:20~45:0.03~10、1:20~40:0.03~10、1:20~35:0.03~10、1:20~30:0.03~10、1:20~25:0.03~10、1:25~70:0.03~10、1:25~65:0.03~10、1:25~60:0.03~10、1:25~55:0.03~10、1:25~50:0.03~10、1:25~45:0.03~10、1:25~40:0.03~10、1:25~35:0.03~10、1:25~30:0.03~10、1:30~70:0.03~10、1:30~65:0.03~10、1:30~60:0.03~10、1:30~55:0.03~10、1:30~50:0.03~10、1:30~45:0.03~10、1:30~40:0.03~10、1:30~35:0.03~10、1:35~70:0.03~10、1:35~65:0.03~10、1:35~60:0.03~10、1:35~55:0.03~10、1:35~50:0.03~10、1:35~45:0.03~10、1:35~40:0.03~10、1:40~70:0.03~10、1:40~65:0.03~10、1:40~60:0.03~10、1:40~55:0.03~10、1:40~50:0.03~10、1:40~45:0.03~10、1:45~70:0.03~10、1:45~65:0.03~10、1:45~60:0.03~10、1:45~55:0.03~10、1:45~50:0.03~10、1:50~70:0.03~10、1:50~65:0.03~10、1:50~60:0.03~10、1:50~55:0.03~10、1:55~70:0.03~10、1:55~65:0.03~10、1:55~60:0.03~10、1:60~70:0.03~10、1:60~65:0.03~10、1:65~70:0.03~10又は1:22~33:0.03~10である。
【0038】
ある実施形態では、押出混合物中の成分(a):(b):(c)の質量比は、1:5~70:0.1~3、1:5~65:0.1~3、1:5~60:0.1~3、1:5~55:0.1~3、1:5~50:0.1~3、1:5~45:0.1~3、1:5~40:0.1~3、1:5~35:0.1~3、1:5~30:0.1~3、1:5~25:0.1~3、1:5~20:0.1~3、1:5~15:0.1~3、1:5~10:0.1~3、1:10~70:0.1~3、1:10~65:0.1~3、1:10~60:0.1~3、1:10~55:0.1~3、1:10~50:0.1~3、1:10~45:0.1~3、1:10~40:0.1~3、1:10~35:0.1~3、1:10~30:0.1~3、1:10~25:0.1~3、1:10~20:0.1~3、1:10~15:0.1~3、1:15~70:0.1~3、1:15~65:0.1~3、1:15~60:0.1~3、1:15~55:0.1~3、1:15~50:0.1~3、1:15~45:0.1~3、1:15~40:0.1~3、1:15~35:0.1~3、1:15~30:0.1~3、1:15~25:0.1~3、1:15~20:0.1~3、1:20~70:0.1~3、1:20~65:0.1~3、1:20~60:0.1~3、1:20~55:0.1~3、1:20~50:0.1~3、1:20~45:0.1~3、1:20~40:0.1~3、1:20~35:0.1~3、1:20~30:0.1~3、1:20~25:0.1~3、1:25~70:0.1~3、1:25~65:0.1~3、1:25~60:0.1~3、1:25~55:0.1~3、1:25~50:0.1~3、1:25~45:0.1~3、1:25~40:0.1~3、1:25~35:0.1~3、1:25~30:0.1~3、1:30~70:0.1~3、1:30~65:0.1~3、1:30~60:0.1~3、1:30~55:0.1~3、1:30~50:0.1~3、1:30~45:0.1~3、1:30~40:0.1~3、1:30~35:0.1~3、1:35~70:0.1~3、1:35~65:0.1~3、1:35~60:0.1~3、1:35~55:0.1~3、1:35~50:0.1~3、1:35~45:0.1~3、1:35~40:0.1~3、1:40~70:0.1~3、1:40~65:0.1~3、1:40~60:0.1~3、1:40~55:0.1~3、1:40~50:0.1~3、1:40~45:0.1~3、1:45~70:0.1~3、1:45~65:0.1~3、1:45~60:0.1~3、1:45~55:0.1~3、1:45~50:0.1~3、1:50~70:0.1~3、1:50~65:0.1~3、1:50~60:0.1~3、1:50~55:0.1~3、1:55~70:0.1~3、1:55~65:0.1~3、1:55~60:0.1~3、1:60~70:0.1~3、1:60~65:0.1~3、1:65~70:0.1~3又は1:22~33:0.1~3である。
【0039】
ある実施形態では、押出混合物中の成分(a):(b):(c)の質量比は、1:5~70:0.2~2、1:5~65:0.2~2、1:5~60:0.2~2、1:5~55:0.2~2、1:5~50:0.2:2、1:5~45:0.2~2、1:5~40:0.2~2、1:5~35:0.2~2、1:5~30:0.2~2、1:5~25:0.2~2、1:5~20:0.2~2、1:5~15:0.2~2、1:5~10:0.2~2、1:10~70:0.2~2、1:10~65:0.2~2、1:10~60:0.2~2、1:10~55:0.2~2、1:10~50:0.2~2、1:10~45:0.2~2、1:10~40:0.2~2、1:10~35:0.2~2、1:10~30:0.2~2、1:10~25:0.2~2、1:10~20:0.2~2、1:10~15:0.2~2、1:15~70:0.2~2、1:15~65:0.2~2、1:15~60:0.2~2、1:15~55:0.2~2、1:15~50:0.2~2、1:15~45:0.2~2、1:15~40:0.2~2、1:15~35:0.2~2、1:15~30:0.2~2、1:15~25:0.2~2、1:15~20:0.2~2、1:20~70:0.2~2、1:20~65:0.2~2、1:20~60:0.2~2、1:20~55:0.2~2、1:20~50:0.2~2、1:20~45:0.2~2、1:20~40:0.2~2、1:20~35:0.2~2、1:20~30:0.2~2、1:20~25:0.2~2、1:25~70:0.2~2、1:25~65:0.2~2、1:25~60:0.2~2、1:25~55:0.2~2、1:25~50:0.2~2、1:25~45:0.2~2、1:25~40:0.2~2、1:25~35:0.2~2、1:25~30:0.2~2、1:30~70:0.2~2、1:30~65:0.2~2、1:30~60:0.2~2、1:30~55:0.2~2、1:30~50:0.2~2、1:30~45:0.2~2、1:30~40:0.2~2、1:30~35:0.2~2、1:35~70:0.2~2、1:35~65:0.2~2、1:35~60:0.2~2、1:35~55:0.2~2、1:35~50:0.2~2、1:35~45:0.2~2、1:35~40:0.2~2、1:40~70:0.2~2、1:40~65:0.2~2、1:40~60:0.2~2、1:40~55:0.2~2、1:40~50:0.2~2、1:40~45:0.2~2、1:45~70:0.2~2、1:45~65:0.2~2、1:45~60:0.2~2、1:45~55:0.2~2、1:45~50:0.2~2、1:50~70:0.2~2、1:50~65:0.2~2、1:50~60:0.2~2、1:50~55:0.2~2、1:55~70:0.2~2、1:55~65:0.2~2、1:55~60:0.2~2、1:60~70:0.2~2、1:60~65:0.2~2、1:65~70:0.2~2又は1:22~33:0.2~2である。
【0040】
ある実施形態では、押出混合物は、成分として、質量部基準で、
(a)式(I)の化合物1部と、
(b)ガラス転移温度が100℃~120℃のコポビドン15~45部と、
(c)1種以上の薬学的に許容される賦形剤0.1~3.0部と、を含み、この薬学的に許容される賦形剤は、不揮発性弱酸、中性及び弱酸性無機物、及び融点が80℃未満の薬学的に許容される賦形剤からなる群から選択される。
【0041】
ある実施形態では、(b)のコポビドンは、100℃~110℃のガラス転移温度を有する。ある実施形態では、薬物混合物は、20~40部、好ましくは20~35部、より好ましくは22~33部のコポビドンを含む。
【0042】
ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む押出混合物
ある実施形態では、この押出混合物は、成分として、質量部基準で、(a)式(I)の化合物1部と、(b)ガラス転移温度が90℃~130℃のヒドロキシプロピルメチルセルロース3~40部とを含む。
【0043】
ある実施形態では、式(I)の化合物は、溶媒又は結晶水を含まない結晶形態である。ある実施形態では、式(I)の化合物は、溶媒又は結晶水を含まない非晶質形態である。ある実施形態では、式(I)の化合物は、水和物又は溶媒和物の形態である。
【0044】
ある実施形態では、ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、90℃~120℃のガラス転移温度を有する。ある実施形態では、ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、100℃~120℃のガラス転移温度を有する。ある実施形態では、ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、90℃~110℃のガラス転移温度を有する。ある実施形態では、ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、100℃~110℃のガラス転移温度を有する。
【0045】
ある実施形態では、ヒドロキシプロピルメチルセルロースのCAS番号は、9004‐65‐3である。ある実施形態では、適切なヒドロキシプロピルメチルセルロースは、15cPの粘度(HME15LV)又は100cPの粘度(HME100LV)を有するダウケミカル(Tao Chemical)社のAFFINISOL(登録商標)である。
【0046】
ある実施形態では、押出混合物中の成分(a):(b)の質量比は、1:2~40、1:2~35、1:2~30、1:2~25、1:2~20、1:2~15、1:2~10、1:2~5、1:6~40、1:6~35、1:6~30、1:6~25、1:6~20、1:6~15、1:6~10、1:10~40、1:10~35、1:10~30、1:10~25、1:10~20、1:10~15、1:15~40、1:15~35、1:15~30、1:15~25、1:15~20、1:20~40、1:20~35、1:20~30、1:20~25、1:25~40、1:25~35、1:25~30、1:30~40、1:30~35、1:35~40、1:2~25、1:2~20、1:2~15、1:2~10、1:2~5又は1:9~15である。
【0047】
ある実施形態では、押出混合物は、(c)1種以上の薬学的に許容される賦形剤0.03~10部をさらに含む。
【0048】
ある実施形態では、(c)の1種以上の薬学的に許容される賦形剤は、不揮発性弱酸、中性及び弱酸性無機物、及び融点が130℃、120℃、110℃、100℃、90℃又は80℃未満の薬学的に許容される賦形剤からなる群から選択される。不揮発性弱酸の例としては、無水クエン酸、クエン酸一水和物、及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。中性及び弱酸性無機物の例としては、マンニトール、ラクトース一水和物、無水ラクトース、ソルビトール、無水リン酸水素カルシウム及びコロイダルシリカが挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
ある実施形態では、1種以上の薬学的に許容される賦形剤は、80℃未満の融点を有し、ポリエチレングリコール4000及びポリエチレングリコール6000などのポリエチレングリコール;クエン酸トリエチル、ポリエチレングリコールスクシネートなどの脂質材料;2,6‐ジ‐tert‐ブチル‐p‐クレゾール及びビタミンEなどの酸化防止剤;ポロキサマー188及びツイーン80などの界面活性剤からなる群から選択される。
【0050】
ある実施形態では、1種以上の薬学的に許容される賦形剤は、80℃未満の融点を有し、無水クエン酸及びクエン酸一水和物からなる群から選択される。ある実施形態では、1種以上の薬学的に許容される賦形剤は、マンニトール、ラクトース一水和物、無水ラクトース、ソルビトール、無水リン酸水素カルシウム及びコロイダルシリカからなる群から選択される。
【0051】
ある実施形態では、押出混合物中の成分(a):(b):(c)の質量比は、1:2~40:0.03~10、1:2~35:0.03~10、1:2~30:0.03~10、1:2~25:0.03~10、1:2~20:0.03~10、1:2~15:0.03~10、1:2~10:0.03~10、1:2~5:0.03~10、1:6~40:0.03~10、1:6~35:0.03~10、1:6~30:0.03~10、1:6~25:0.03~10、1:6~20:0.03~10、1:6~15:0.03~10、1:6~10:0.03~10、1:10~40:0.03~10、1:10~35:0.03~10、1:10~30:0.03~10、1:10~25:0.03~10、1:10~20:0.03~10、1:10~15:0.03~10、1:15~40:0.03~10、1:15~35:0.03~10、1:15~30:0.03~10、1:15~25:0.03~10、1:15~20:0.03~10、1:20~40:0.03~10、1:20~35:0.03~10、1:20~30:0.03~10、1:20~25:0.03~10、1:25~40:0.03~10、1:25~35:0.03~10、1:25~30:0.03~10、1:30~40:0.03~10、1:30~35:0.03~10、1:35~40:0.03~10、1:2~25:0.03~10、1:2~20:0.03~10、1:2~15:0.03~10、1:2~10:0.03~10、1:2~5:0.03~10又は1:9~15:0.03~10である。
【0052】
ある実施形態では、押出混合物中の成分(a):(b):(c)の質量比は、1:2~40:0.1~3、1:2~35:0.1~3、1:2~30:0.1~3、1:2~25:0.1~3、1:2~20:0.1~3、1:2~15:0.1~3、1:2~10:0.1~3、1:2~5:0.1~3、1:6~40:0.1~3、1:6~35:0.1~3、1:6~30:0.1~3、1:6~25:0.1~3、1:6~20:0.1~3、1:6~15:0.1~3、1:6~10:0.1~3、1:10~40:0.1~3、1:10~35:0.1~3、1:10~30:0.1~3、1:10~25:0.1~3、1:10~20:0.1~3、1:10~15:0.1~3、1:15~40:0.1~3、1:15~35:0.1~3、1:15~30:0.1~3、1:15~25:0.1~3、1:15~20:0.1~3、1:20~40:0.1~3、1:20~35:0.1~3、1:20~30:0.1~3、1:20~25:0.1~3、1:25~40:0.1~3、1:25~35:0.1~3、1:25~30:0.1~3、1:30~40:0.1~3、1:30~35:0.1~3、1:35~40:0.1~3、1:2~25:0.1~3、1:2~20:0.1~3、1:2~15:0.1~3、1:2~10:0.1~3、1:2~5:0.1~3又は1:9~15:0.1~3である。
【0053】
ある実施形態では、押出混合物中の成分(a):(b):(c)の質量比は、1:2~40:0.2~2、1:2~35:0.2~2、1:2~30:0.2~2、1:2~25:0.2~2、1:2~20:0.2~2、1:2~15:0.2~2、1:2~10:0.2~2、1:2~5:0.2~2、1:6~40:0.2~2、1:6~35:0.2~2、1:6~30:0.2~2、1:6~25:0.2~2、1:6~20:0.2~2、1:6~15:0.2~2、1:6~10:0.2~2、1:10~40:0.2~2、1:10~35:0.2~2、1:10~30:0.2~2、1:10~25:0.2~2、1:10~20:0.2~2、1:10~15:0.2~2、1:15~40:0.2~2、1:15~35:0.2~2、1:15~30:0.2~2、1:15~25:0.2~2、1:15~20:0.2~2、1:20~40:0.2~2、1:20~35:0.2~2、1:20~30:0.2~2、1:20~25:0.2~2、1:25~40:0.2~2、1:25~35:0.2~2、1:25~30:0.2~2、1:30~40:0.2~2、1:30~35:0.2~2、1:35~40:0.2~2、1:2~25:0.2~2、1:2~20:0.2~2、1:2~15:0.2~2、1:2~10:0.2~2、1:2~5:0.2~2又は1:9~15:0.2~2である。
【0054】
ある実施形態では、押出混合物は、成分として、質量部基準で、
(a)式(I)の化合物1部と、
(b)ガラス転移温度が100℃~120℃のヒドロキシプロピルメチルセルロース6~20部と、
(c)1種以上の薬学的に許容される賦形剤0.1~3.0部を含み、この薬学的に許容される賦形剤は、不揮発性弱酸、中性無機物、弱酸性無機物、及び融点が80℃未満の他の薬学的に許容される賦形剤からなる群から選択される。
【0055】
ある実施形態では、式(I)の化合物は、溶媒又は結晶水を含まない結晶形態である。ある実施形態では、式(I)の化合物は、溶媒又は結晶水を含まない非晶質形態である。ある実施形態では、式(I)の化合物は、水和物又は溶媒和物の形態である。ある実施形態では、押出混合物は、9~15部の(b)を含む。ある実施形態では、押出混合物は、0.2~2部の(c)を含む。ある実施形態では、(c)の不揮発性弱酸は、無水クエン酸、クエン酸一水和物、及びそれらの混合物からなる群から選択される。ある実施形態では、1種以上の薬学的に許容される賦形剤は、マンニトール、ラクトース一水和物、無水ラクトース、ソルビトール、無水リン酸水素カルシウム及びコロイダルシリカからなる群から選択される。ある実施形態では、融点が80℃未満の他の薬学的に許容される賦形剤は、ポリエチレングリコール4000及び/又はポリエチレングリコール6000などのポリエチレングリコール;クエン酸トリエチル、ポリエチレングリコールスクシネートなどの脂質材料;2,6‐ジ‐tert‐ブチル‐p‐クレゾール及びビタミンEなどの酸化防止剤;ポロキサマー188及びツイーン80などの界面活性剤からなる群から選択される。
【0056】
II.医薬組成物
本出願の別の態様は、本出願の押出混合物の押出物及び1種以上の薬学的に許容される担体を含む医薬組成物に関する。ある実施形態では、この医薬組成物は、脂肪性肝炎及び脂肪性肝炎に関連する疾患を治療するために使用することができる。
【0057】
ある実施形態では、医薬組成物は、本出願の押出混合物から調製された押出物を含む。ある実施形態では、押出物は顆粒又は粉末の形態である。ある実施形態では、医薬組成物は、1種以上の薬学的に許容される担体をさらに含む。
【0058】
薬学的に許容される担体の例としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、二酸化ケイ素、糖、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、フマル酸ステアリルナトリウム、ポリエチレングリコールなどのポリマー、水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、デキストリン、グリセロール、エタノール、マンニトールなどのポリオール、ソルビトール、及び塩化ナトリウムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0059】
ある実施形態では、医薬組成物は、押出物及び1種以上の薬物担体を含み、押出物:薬物担体の質量比は、1:0.1~1:10、1:0.1~1:6、1:0.1~1:3、1:0.1~1:1、1:0.1~1:0.6、1:0.1~1:0.3、1:0.3~1:10、1:0.3~1:6、1:0.3~1:3、1:0.3~1:1、1:0.3~1:0.6、1:1~1:10、1:1~1:6、1:1~1:3、1:3~1:10、1:3~1:6又は1:6~1:10の範囲である。
【0060】
ある実施形態では、医薬組成物は、湿潤剤又は乳化剤、防腐剤又は緩衝剤をさらに含み、これらは治療剤の有効期間又は有効性を増加させる。
【0061】
ある実施形態では、医薬組成物は経口投与用に製剤化される。ある実施形態では、医薬組成物は、錠剤、カプセル剤、顆粒剤又は乾燥懸濁剤として製剤化される。ある実施形態では、医薬組成物は、錠剤又はカプセルとして製剤化される。ある実施形態では、医薬組成物は、ヒドロキシプロピルセルロースカプセル剤として製剤化される。
【0062】
III.調製方法
本出願の別の態様は、本出願の押出物を調製する方法に関する。この方法は、80℃~135℃の押出ダイヘッド又は押出出口温度(加熱溶融押出温度)で加熱溶融押出によって本出願の押出混合物を押し出して押出物を形成する工程を含む。ある実施形態では、加熱溶融押出温度は100℃~130℃である。ある実施形態では、加熱溶融押出温度は、80℃~130℃、80℃~120℃、80℃~110℃、80℃~100℃、80℃~90℃、90℃~130℃、90℃~120℃、90℃~110℃、90℃~100℃、100℃~130℃、100℃~120℃、100℃~110℃、110℃~130℃、110℃~120℃、又は120℃~130℃である。
【0063】
ある実施形態では、二軸加熱溶融押出装置を使用して押出工程を行う。ある実施形態では、二軸加熱溶融押出装置は、スクリュー直径が8mm~50mmであり、押出速度が10rpm~300rpmである。
【0064】
ある実施形態では、加熱溶融押出は、30分、25分、20分、15分、又は10分未満の滞留時間(即ち、押出混合物が加熱溶融押出装置に入ってから、押出混合物がダイヘッドで押し出されるまでの時間)で行われる。ある実施形態では、加熱溶融押出は、15分の滞留時間で行われる。
【0065】
ある実施形態では、この方法は、押出物を冷却する工程をさらに含む。ある実施形態では、この方法は、押出物を顆粒(granules)、微粒子(particle)、又は粉末に粉砕、破砕、研磨、又は切断する工程をさらに含む。ある実施形態では、この方法は、押出物の顆粒、微粒子又は粉末をふるい分けし、乾燥させる工程をさらに含む。
【0066】
ある実施形態では、加熱溶融押出物を冷却した後、微粒子又は粉末に破砕又は切断する。得られた顆粒又は粉末を直接カプセルに充填してカプセル剤にするか、又は顆粒に包装して顆粒剤にすることができる。得られた顆粒又は粉末は、他の薬学的に許容される担体と混合することもでき、さらに錠剤、カプセル剤、顆粒剤又は乾燥懸濁剤に加工することもできる。
【0067】
本出願の別の態様は、本出願の医薬組成物を調製する方法に関する。 この方法は、以下の工程を含む。
【0068】
本出願の押出物を錠剤又はカプセル剤に加工する。ある実施形態では、加工工程は、押出物の顆粒、微粒子又は粉末を1種以上の薬学的に許容される担体と混合し、得られた混合物を錠剤、カプセル剤、顆粒剤又は乾燥混合物、好ましくは錠剤又はカプセル剤に加工するサブ工程を含む。
【0069】
ある実施形態では、本出願の医薬組成物は、錠剤に加工されるか、又はカプセルに充填される。ある実施形態では、本出願の医薬組成物は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースカプセルに充填される。
【0070】
本出願の特定の実施形態によれば、本出願の医薬組成物の調製方法は、以下の工程を含む。
【0071】
1.医薬品有効成分(API)及び賦形剤の前処理:更なる調製の基準を満たすように、製剤技術の従来の手段によって、処方研究に使用されるAPI及び賦形剤を粉砕、ふるい分け、及び乾燥することにより、貯蔵中のケーキングを取り除き、吸湿性賦形剤の水分含有量を減少させる。
【0072】
2.材料配合:処方比率及び製剤規模に従って、加熱溶融押出用のAPI及び賦形剤を秤量する。
【0073】
3.混合:配合したAPI及び賦形剤を製剤技術の従来の手段で混合して、押出混合物を形成する。
【0074】
4.加熱溶融押出:押出機の異なる領域に対してそれぞれ押出温度を設定する。設定温度まで予熱した後、15分~30分保温し、押出混合物を手動供給又はロスインウェイト式自動供給機で均一に投入し、予め設定した押出速度で押し出す。押出機バレルの異なる領域の温度、スクリュー速度及び供給速度を調整することにより、押出ダイヘッドの温度を100℃~130℃に制御し、スクリュートルクを安定した範囲内に維持し、押出物(extrudate)は透明である。加熱溶融押出機バレル内の材料の滞留時間が30分以内に制御されるように、押出速度及び供給速度を調整する。
【0075】
5.押出物粉砕:冷却後の押出物を製剤技術の従来の手段によって粉砕する。
【0076】
6.全混合:処方比率に従って、他の担体/賦形剤を加え、従来の混合手段によって上記材料を混合して薬物混合物を形成する。
【0077】
7.製剤化:各処方比率に従って、薬物混合物を錠剤又はカプセル剤に加工する。
【0078】
8.包装:錠剤又はカプセル剤を適切な方法で包装する。
【0079】
9.保存:包装した式(I)の化合物を含む医薬品錠剤又はカプセル剤を室温(30℃以下)で保存する。
【0080】
IV.治療方法
本出願の別の態様は、被験者の脂肪性肝炎又は脂肪性肝炎関連疾患を治療するための方法に関する。この方法は、そのような治療を必要とする被験者に有効量の本出願の医薬組成物を投与する工程を含む。ある実施形態では、本出願の医薬組成物は経口投与される。ある実施形態では、本出願の医薬組成物は、錠剤又はカプセル剤の形態で経口投与される。ある実施形態では、本出願の医薬組成物は、1日2回、毎日、又は1日おきに投与される。
【0081】
脂肪性肝炎関連疾患の例としては、脂肪症、肝細胞風船化変性、線維症、及び肝硬変が挙げられるが、これらに限定されない。
【0082】
実験研究を繰り返した後、本発明者は、本出願の医薬組成物が式(I)の化合物のインビトロ溶解度を大幅に向上させるだけでなく、熱的に不安定な式(I)の化合物の室温での長期保存の必要性を満たすことができることを予想外に見出した。
【0083】
本出願の医薬組成物の利点は以下のとおりである。
(1)本出願の医薬組成物は、式(I)の化合物の溶出率を大幅に向上させ、従来技術と同様の過飽和維持時間を達成することができる。
(2)本出願の医薬組成物は、冷蔵せずに室温(30℃以下)で長期間保存することができる。
【0084】
本出願を以下の実施例によってさらに説明するが、これらの実施例は限定するものとして解釈されるべきではない。本出願全体で引用されたすべての参考文献、特許及び開示された特許出願の内容、並びに図面及び表は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0085】
実施例
【実施例1】
【0086】
処方組成物:
【0087】
【表1】
調製プロセス:
1.API及び賦形剤の前処理:更なる調製の基準を満たすように、製剤技術の従来の手段によって、処方研究に使用されるAPI及び賦形剤を粉砕、ふるい分け、及び乾燥することにより、貯蔵中のケーキングを取り除き、吸湿性賦形剤の水分含有量を減少させた。
【0088】
2.材料配合:処方比率及び製剤規模に従って、加熱溶融押出用のAPI及び賦形剤を秤量した。
【0089】
3.混合:配合したAPI及び賦形剤を製剤技術の従来の手段で混合した。
【0090】
4.加熱溶融押出:押出機の異なる領域に対してそれぞれ押出温度を設定した。設定温度まで予熱した後、15分~30分保温し、均一に混合したAPI及び賦形剤を手動供給又はロスインウェイト式自動供給機で均一に投入し、予め設定した押出速度で押し出した。押出機バレルの異なる領域の温度、スクリュー速度及び供給速度を調整することにより、押出ダイヘッドの温度を100℃~130℃に制御し、スクリュートルクを安定した範囲内に維持し、押出後、材料は透明であった。加熱溶融押出機バレル内の材料の滞留時間が30分以内に制御されるように、押出速度及び供給速度を調整した。
【0091】
5.押出物粉砕:冷却後の押出物を製剤技術の従来の手段によって粉砕した。
【0092】
6.全混合:処方比率に従って、追加の賦形剤を加え、製剤技術の従来の混合手段によって上記材料を混合した。
【0093】
7.製剤化:A1、D1及びE1処方を13mm×6mm(長さ×幅)のカプレットに圧縮成形し、錠剤の硬度を70N~130Nに制御した。F1処方を17.2mm×8.1mm(長さ×幅)のカプレットに圧縮成形し、錠剤の硬度を90N~160Nに制御した。B1及びC1処方の全混合物をVcaps Plus型4号ヒドロキシプロピルセルロースカプセルに注入した。
【0094】
8.包装:A1、D1、E1及びF1処方の錠剤並びにB1及びC1処方のカプセルを高密度ビニールボトルに入れ、アルミフィルムで密封した。
【0095】
9.保存:包装したボトル入りの式(I)の化合物の錠剤又はカプセルを室温(30℃以下)で保存した。
【実施例2】
【0096】
処方組成物:
【0097】
【表2】
調製プロセス:
1.API及び賦形剤の前処理:更なる調製の基準を満たすように、製剤技術の従来の手段によって、処方研究に使用されるAPI及び賦形剤を粉砕、ふるい分け、及び乾燥することにより、貯蔵中のケーキングを取り除き、吸湿性賦形剤の水分含有量を減少させた。
【0098】
2.材料配合:処方比率及び製剤規模に従って、加熱溶融押出用のAPI及び賦形剤を秤量した。
【0099】
3.混合:API及び賦形剤を製剤技術の従来の手段で均一に混合した。
【0100】
4.加熱溶融押出:押出機の異なる領域に対して押出温度を設定した。設定温度まで予熱した後、15分~30分保温し、均一に混合したAPI及び賦形剤を手動供給又はロスインウェイト式自動供給機で均一に投入し、予め設定した押出速度で押し出した。押出機バレルの異なる領域の温度、スクリュー速度及び供給速度を調整することにより、押出ダイヘッドの温度を100℃~130℃に制御し、スクリュートルクを安定した範囲内に維持し、押出後、材料は透明であった。加熱溶融押出機バレル内の材料の滞留時間が30分以内に制御されるように、押出速度及び供給速度を調整した。
【0101】
5.押出物粉砕:冷却後の押出物を製剤技術の従来の手段によって粉砕して40メッシュのふるいにかけた。
【0102】
〔比較実施例1〕
表2のa2処方及び以下の調製プロセスに従って調製した。
【0103】
【表3】
調製プロセス:
1.API及び賦形剤の前処理:更なる調製の基準を満たすように、製剤技術の従来の手段によって、処方研究に使用されるAPI及び賦形剤を粉砕、ふるい分け、及び乾燥することにより、貯蔵中のケーキングを取り除き、吸湿性賦形剤の水分含有量を減少させた。
【0104】
2.材料配合:処方比率及び製剤規模に従って、湿式造粒用のAPI及び賦形剤を秤量した。
【0105】
3.混合:配合したAPI及び賦形剤を製剤技術の従来の手段で混合した。
【0106】
4.湿式造粒:結合剤として水を使用し、それを均一に混合した造粒用のAPI及び賦形剤に均一に加え、24メッシュのステンレス鋼ふるいにかけて造粒し、造粒後の湿った顆粒を65℃の送風オーブンで水分含有量が3%未満(105℃で赤外線減量法により水分を迅速に測定する)になるまで乾燥させた。
【0107】
5.整粒:乾燥した顆粒を24メッシュのステンレス鋼ふるいにかけて整粒した。
【0108】
6.全混合:処方比率に従って、他の賦形剤を加え、製剤技術の従来の混合手段によって上記材料を混合した。
【0109】
7.製剤化:全混合した顆粒を13mm‐6mm(長さ×幅)のカプレットに圧縮成形し、錠剤の硬度を70N~130Nに制御した。
【0110】
8.包装:a2処方の錠剤を高密度ビニールボトルに入れ、アルミフィルムで密封した。
【0111】
9.保存:包装したボトル入りの式(I)の化合物の錠剤を室温(30℃以下)で保存した。
【0112】
〔比較実施例2〕
処方組成物:
【0113】
【表4】
調製プロセス:
1.API及び賦形剤の前処理:更なる調製の基準を満たすように、製剤技術の従来の手段によって、処方研究に使用されるAPI及び賦形剤を粉砕、ふるい分け、及び乾燥することにより、貯蔵中のケーキングを取り除き、吸湿性賦形剤の水分含有量を減少させた。
【0114】
2.材料配合:処方比率及び製剤規模に従って、湿式造粒用のAPI及び賦形剤を秤量した。
【0115】
3.混合:配合したAPI及び賦形剤を製剤技術の従来の手段で混合した。
【0116】
4.加熱溶融押出:押出機の異なる領域に対して押出温度を設定した。設定温度まで予熱した後、15分~30分保温し、均一に混合したAPI及び賦形剤を手動供給又はロスインウェイト式自動供給機で均一に投入し、予め設定した押出速度で押し出した。押出機バレルの異なる領域の温度、スクリュー速度及び供給速度を調整することにより、押出ダイヘッドの温度を100℃~130℃に制御し、スクリュートルクを安定した範囲内に維持し、押出後、材料は透明であった。加熱溶融押出機バレル内の材料の滞留時間が30分以内に制御されるように、押出速度及び供給速度を調整した。
【0117】
5.押出物粉砕:冷却後の押出物を製剤技術の従来の手段によって粉砕した。
【0118】
6.全混合:処方比率に従って、他の賦形剤を加え、製剤技術の従来の混合手段によって上記材料を混合した。
【0119】
7.製剤化:b2処方を13mm‐6mm(長さ×幅)のカプレットに圧縮成形し、錠剤の硬度を70N~130Nに制御した。c2処方の全混合物をVcaps Plus型4号ヒドロキシプロピルセルロースカプセルに注入した。
【0120】
8.包装:b2処方の錠剤及びc2処方のカプセルを高密度ビニールボトルに入れ、アルミフィルムで密封した。
【0121】
9.保存:包装したボトル入りの式(I)の化合物の錠剤又はカプセルを室温(30℃以下)で保存した。
【0122】
〔比較実施例3〕
中国発明特許出願第202010105909.9号の実施例1のE1処方(以下の表5に示す)及び以下の調製プロセスに従って調製した。
【0123】
【表5】
調製プロセス:
1.ブランクマトリックスの調製:65℃の条件下で、ポリエチレングリコール1000、ポリエチレングリコール4000、ポリエチレングリコール6000、ポロキサマー188、及び無水クエン酸を順に加え、撹拌して完全に溶解させた。
【0124】
2.気泡除去: 静置して気泡を完全に取り除いた。
【0125】
3.式(I)で表される化合物の添加:式(I)で表される化合物の原薬を撹拌しながら加え、引き続き撹拌してマトリックス中に完全に溶解させた。
【0126】
4.カプセル充填:配合した溶融内容物をカプセル充填機の予熱された断熱バレルに移し、撹拌機能をオンにして、予め設定した充填パラメータで溶融内容物を硬質ゼラチンカプセルに充填し(平均充填量の差を2.5%以下に制御し、単一カプセルの充填量の差を5.0%以下に制御する)、カプセルキャップを締めた。
【0127】
5.冷却:室温環境で平らに置き、内容物を急速に冷却して凝固させた。
【0128】
6.包装:カプセルを高密度ビニールボトルに入れ、アルミフィルムで密封した。
【0129】
7.保存:包装したボトル入りの式(I)の化合物のカプセルを2~8℃で保存した。
〔比較実施例4〕
表6のe2及びf2処方及び以下の調製プロセスに従って調製した。
【0130】
【表6】
調製プロセス:
1.API及び賦形剤の前処理:更なる調製の基準を満たすように、製剤技術の従来の手段によって、処方研究に使用されるAPI及び賦形剤を粉砕、ふるい分け、及び乾燥することにより、貯蔵中のケーキングを取り除き、吸湿性賦形剤の水分含有量を減少させた。
【0131】
2.材料配合:処方比率及び製剤規模に従って、加熱溶融押出用のAPI及び賦形剤を秤量した。
【0132】
3.混合:API及び賦形剤を製剤技術の従来の手段で均一に混合した。
【0133】
4.加熱溶融押出:押出機の異なる領域に対して押出温度を設定した。設定温度まで予熱した後、15分~30分保温し、均一に混合したAPI及び賦形剤を手動供給又はロスインウェイト式自動供給機で均一に投入し、予め設定した押出速度で押し出した。押出機バレルの異なる領域の温度、スクリュー速度及び供給速度を調整することにより、押出ダイヘッドの温度を100℃~130℃に制御し、スクリュートルクを安定した範囲内に維持し、押出後、材料は透明であった。加熱溶融押出機バレル内の材料の滞留時間が30分以内に制御されるように、押出速度及び供給速度を調整した。
【0134】
5.押出物粉砕:冷却後の押出物を製剤技術の従来の手段によって粉砕して40メッシュのふるいにかけた。
【0135】
〔比較実施例5〕
表7のg2処方及び以下の調製プロセスに従って調製した。
【0136】
【表7】
調製プロセス:
1.API及び賦形剤の前処理:更なる調製の基準を満たすように、製剤技術の従来の手段によって、処方研究に使用されるAPI及び賦形剤を粉砕、ふるい分け、及び乾燥することにより、貯蔵中のケーキングを取り除き、吸湿性賦形剤の水分含有量を減少させた。
【0137】
2.材料配合:処方比率及び製剤規模に従って、乾式造粒用のAPI及び賦形剤を秤量した。
【0138】
3.混合:API及び賦形剤を製剤技術の従来の手段によって最終原料(finished ingredients)と均一に混合した。
【0139】
4.乾式造粒:均一に混合したAPI及び賦形剤を5.0MPaの圧力で圧延し、フレークに成形した。
【0140】
5.分級:24メッシュのステンレス鋼ふるいにかけて分級した。
【0141】
6.包装:e2処方から得た顆粒を、投与量に応じて二重アルミニウムストリップに詰め、密封した。
【0142】
7.保存:包装した式(I)で表される化合物の錠剤を室温(30℃以下)で保存した。
【0143】
〔効果実施例1〕
実施例1のA1~F1処方に従って加熱溶融押出して研磨して得られた顆粒を秤量し、比較実施例1のa2処方に従って湿式造粒及び乾燥した後の顆粒を研磨し、比較実施例2のb2及びc2処方に従って加熱溶融押出して研磨して得られた顆粒を研磨し、比較実施例3のd2処方に従ってカプセルを調製し、そして、それぞれ6つのサンプルについて水への溶出曲線を比較及び研究した。
【0144】
溶出条件:37℃±0.5℃、900mLの脱気水を溶出媒体とし、パドル法の回転速度を50rpmとした。顆粒を直接正確に秤量して投入し、比較実施例3のd2処方に従って調製したカプセルをシンカーに入れて投入した。10、20、30、45、60、90及び120分でそれぞれサンプルを採取した。後続の濾液をとり、等量の75%アセトニトリル水溶液を加えて希釈した。HPLC法により式(I)で表される化合物の濃度を測定した。異なる時点での式(I)で表される化合物の積算溶出率を計算した。
【0145】
HPLC測定条件:オクタデシルシラン結合シリカを充填剤とするクロマトグラフィーカラム(Welch Ultimate(登録商標)XB‐C18 4.6*150mm、5μm、又は同等のクロマトグラフィーカラム)を選択し、0.05%トリフルオロ酢酸水溶液‐アセトニトリル(30:70)を移動相とし、流速を1.0ml/min、カラム温度を30℃、検出波長を230nmとした。カラムに標準液及び試験液を20μlずつ正確に注入し(1mg規格の場合、B1及びC1処方の注入量は50μl、10mg規格の場合、F1処方の注入量は10μl)、クロマトグラムを記録し、外部標準法によりピーク面積から各カプセルの溶出量を算出した。
【0146】
結果:
I.表8及び
図1に示すように、本発明の各実施形態の比率の処方により、式(I)で表される化合物は、最高で85%を超えて溶出することができ、これは、中国発明特許出願202010105909.9の半固体カプセルの結果と同様である(表9及び
図2の比較実施例3のd2処方の結果と比較する)。
【0147】
II.β‐シクロデキストリンは一般的な可溶化賦形剤であり、難溶性薬物との湿式造粒後、通常、難溶性薬物の溶出をある程度改善することができる。しかし、実施例1のa2処方を用いた実験結果は、式(I)で表される化合物の溶出率が、比較的高い比率(1:19.8)のβ‐シクロデキストリン投与量で1%未満であったことを示す。これは、一般的な可溶化手段を場合によっては適用しても、式(I)で表される化合物の溶出率が必ずしも改善されない可能性があることを示す。
【0148】
III.比較実施例2のb2処方において、ポリビニルカプロラクタム‐ポリ酢酸ビニル‐ポリエチレングリコールグラフト共重合体Soluplusは、可溶化用の一般的な加熱溶融押出賦形剤であり、これを式(I)で表される化合物と22:1の比率で混合し、加熱溶融押出を行った結果、溶出率は1%未満であった。これは、可溶化用の加熱溶融押出賦形剤を場合によっては使用しても、式(I)で表される化合物に対して必ずしも可溶化効果を発揮するとは限らないことを示す。
【0149】
IV.比較実施例2のb2処方において、コポビドンKollidon VA64と式(I)で表される化合物を1:11の比率で加熱溶融押出した結果、2時間以内の最大溶出率は57.9%で、86%未満であった。賦形剤が異なれば、可溶化を達成するために必要な比率も異なることがわかる。
【0150】
結論:
β‐シクロデキストリンによる可溶化方法などの可溶化手段を単純に適用することは、式(I)で表される化合物の溶出を増加させるのに適していない。ポリビニルカプロラクタム‐ポリ酢酸ビニル‐ポリエチレングリコールグラフト共重合体Soluplusなどの材料を選別せずに単に加熱溶融押出技術を適用することは、式(I)で表される化合物の溶出を増加させるのに適していない。コポビドンKollidon VA64などの賦形剤を式(I)で表される化合物に対して1:11の高比率で選択するだけでは、可溶化効果は理想的ではない。したがって、特定の可溶化物質を選択し、且つ適切な比率を維持することによってのみ、式(I)で表される化合物に対して十分な可溶化効果を達成することができる。
【0151】
【0152】
【表9】
〔効果実施例2〕
人間の消化管の消化液のpH値は増加している。経口投与後に高い過飽和度を維持することは、難溶性薬物が体循環に吸収されてその効果を発揮するための前提である。本実施例では、単純なインビトロ溶出試験設計(2時間+4時間溶出試験)を使用して、本発明の組成比及び調製プロセスを選択する理由を説明する。
【0153】
実施例2のG1~L1処方に従って加熱溶融押出により得られた顆粒、比較実施例4のg2~f2処方に従って加熱溶融押出により得られた顆粒、及び比較実施例5のg2処方に従って乾式造粒により得られた顆粒を秤量し、そして、模擬ヒト消化液のpH推移及び過飽和維持時間を調べた。
【0154】
溶出条件:まず、37℃±0.5℃、pH2.0の脱気塩酸溶液750mlを溶出媒体とし、パドル法により50rpmで2時間撹拌して溶出を行い、次に脱気したpH6.8の200mMリン酸緩衝液250mLを加え、パドル法により50rpmで4時間撹拌して溶出を続けた。顆粒を直接正確に秤量して投入し、投入後15、30、45、60、90、120、180、210、240及び360分にサンプルを採取し、後続の濾液を75%アセトニトリル水溶液で等倍希釈し、そしてHPLC法により式(I)で表される化合物の濃度を測定し、異なる時点での式(I)で表される化合物の積算溶出率を計算した。
【0155】
HPLC測定条件は効果実施例例1と同じであった。
【0156】
結果:
I.表10及び
図3に示すように、式(I)で表される化合物は、60%を超える最大溶出率に達し、6時間で30%を超える溶出率を維持することができる。
【0157】
II.比較実施例4のe2及びf2のように、コポビドンを15部未満に減らした場合、例えば、コポビドンをそれぞれ12.54部と8.25部に減らした場合、最大溶出率はわずか46.1%及び7.1%であり、6時間での溶出率はわずか19.4%及び4.4%であった。これは、コポビドンの割合が可溶化効果に直接関係していることを示し、投与量が15部未満である場合、過飽和濃度を高く維持することは困難である。
【0158】
III.比較実施例5のg2処方において、コポビドンの投与量は33部であったが、加熱溶融押出ではなく乾式造粒法を用いたため、6時間以内の溶出率は1%未満という結果となった。これは、式(I)で表される化合物の可溶化効果が加熱溶融押出後にのみ得られ、調製プロセスが組成物の実施効果に非常に重要であることを示す。
【0159】
結論:
実施例2の結果は、特定の割合のコポビドン及び特定の加熱溶融押出調製プロセスによってのみ、より高い溶出率及びより長い過飽和維持時間を達成することができることを再度示す。
【0160】
【0161】
【表11】
〔効果実施例3〕
実施例1のB1処方に従って調製したカプセル及びE1処方に従って調製した錠剤を秤量し、それぞれ高密度ポリエチレン瓶に入れ、アルミフィルムで密封し、次に温度30℃±2℃、相対湿度65%±5%の条件下で加速試験を行った。比較実施例3のd2処方に従って調製したカプセルを秤量し、高密度ポリエチレン瓶に入れ、アルミフィルムで密封し、次に温度25℃±2℃、相対湿度60%±10%の条件下で加速試験を行った。加速1ヶ月の時点で、B1グループのカプセル、E1グループの錠剤及びd2グループのカプセルについて関連物質の測定を行った。
【0162】
関連物質測定方法:オクタデシルシラン結合シリカを充填剤とするクロマトグラフィーカラム(ACE UltraCore2.5 SuperC18(4.6*150mm)、又は同等のもの)を使用し、10mMリン酸二水素カリウム水溶液を移動相Aとし、アセトニトリルを移動相Bとし、表12に従って勾配(体積比)溶出を行った。流速:1.0mL/min、検出波長:278nm、カラム温度:45℃。
【0163】
【表12】
式(I)で表される化合物及び不純物標準物質を適量秤量し、アセトニトリルを加えて溶解し、希釈して1ml当たり式(I)の化合物0.5mg及び不純物0.001mgをそれぞれ含む溶液を調製し、システム適合性試験溶液とした。50μlを正確に液体クロマトグラフに注入し、クロマトグラムを記録した。既知の不純物と隣接ピークとの間の分離度を1.5以上とした。本品のカプセルを10粒とり、正確に量り、内容物を100mlのメスフラスコに入れ、アセトニトリルでカプセル内壁を数回に分けて洗浄し、洗浄液をメスフラスコに入れ(錠剤の場合、本品の錠剤を10錠とり、正確に量り、微粉末に研磨し、適量の錠剤粉末を正確に量る)、アセトニトリルを加えて溶解し、1ml当たり式(I)で表される化合物0.5mgを含む溶液を試験液とし、試験液50μlを正確に量り、液体クロマトグラフに注入し、クロマトグラムを記録した。ピーク面積正規化法に従って式(I)で表される化合物のカプセル(又は錠剤)中の不純物の総量及びすべての不純物の総量を算出した。
【0164】
結果:
I.表13に示すように、実施例1の場合、B1及びE1処方に従って調製したカプセル及び錠剤を、温度30℃±2℃、相対湿度65%±5%の条件下で1ヶ月間加速試験にかけ、関連物質を測定した結果、式(I)で表される化合物のすべての既知の単一不純物(単一不純物、individual impurities)、未知の単一不純物、及び全不純物 (total impurities)にいずれも明らかな変化が見られず、特にGLC02‐Z6とGLC02‐Z7の合計はそれぞれ0.02%及び0.04%しか増加しなかった。生産バッチについては、表14に示すように、実施例1の場合、B1及びE1処方に従って調製したカプセル及び錠剤を、温度30℃±2℃、相対湿度65%±5%の条件下で6ヶ月間加速試験にかけ、関連物質を測定した結果、式(I)で表される化合物のすべての既知の単一不純物、未知の単一不純物、及び全不純物にいずれも明らかな変化が見られなかった。
【0165】
II.表13に示すように、比較実施例3の場合、d2処方に従って調製したカプセルを、温度25℃±2℃、相対湿度60%±10%の条件下で1ヶ月間加速試験にかけ、関連物質を測定した結果、GLC02‐Z6とGLC02‐Z7の合計が1.32%増加し、全不純物が1.14%増加し、関連物質が大きく変化した。生産バッチについては、表14に示すように、比較実施例3の場合、d2処方に従って調製したカプセルを、温度25℃±2℃、相対湿度60%±10%の条件下で3ヶ月間加速安定性試験にかけ、関連物質を測定した結果、その後GLC02‐Z6とGLC02‐Z7が2.69%増加し、全不純物が2.0%増加し、関連物質が大きく変化した。
【0166】
【0167】
【表14】
結論:
加速結果は、実施例1の処方に従って調製した式(I)で表される化合物のカプセル又は錠剤を、温度30℃±2℃、相対湿度65%±5%の条件下で6ヶ月間加速安定性試験にかけた後、良好な結果が得られたことを示し、これは、室温で長期間保存できる見込みがあることを示す。
【0168】
温度25℃±2℃、相対湿度60%±10%の条件下で3ヶ月間予備加速安定性試験にかけた結果、比較実施例3の処方に従って調製した式(I)で表される化合物の半固体カプセルの関連物質、特にGLC02‐Z6とGLC02‐Z7の合計が大きく変化し、これは、この処方が2℃~8℃での長期使用にのみ適しており、室温での長期保存の可能性がないことを示す。
【0169】
以上、様々な実施形態について説明したが、開示された内容は、限定ではなく例としてのみ提示されたものであることを理解されたい。したがって、本発明の主題の組成物及び方法の広さ及び範囲は、上記の例示的な実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、添付の特許請求の範囲及びその同等物によってのみ限定されるべきである。
【0170】
上記の説明は、当業者に本発明をどのように実施するかを教示することを意図しており、本明細書を読んだ後に当業者に明らかになるすべての明白な修正及び変形を詳述することを意図していない。しかしながら、このようなすべての明白な修正及び変形は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内に含まれることが意図されている。文脈が明確に別段の指示をしない限り、特許請求の範囲は、意図された目的を達成するのに有効ないかなる順序の構成要素及び工程をカバーすることを意図している。