(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-09
(45)【発行日】2024-04-17
(54)【発明の名称】成形機
(51)【国際特許分類】
B22D 17/26 20060101AFI20240410BHJP
B22D 17/22 20060101ALI20240410BHJP
B29C 45/17 20060101ALI20240410BHJP
B29C 45/64 20060101ALI20240410BHJP
B29C 45/76 20060101ALI20240410BHJP
【FI】
B22D17/26 H
B22D17/22 A
B22D17/26 D
B22D17/26 Z
B29C45/17
B29C45/64
B29C45/76
(21)【出願番号】P 2023030619
(22)【出願日】2023-03-01
【審査請求日】2024-01-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003458
【氏名又は名称】芝浦機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119035
【氏名又は名称】池上 徹真
(74)【代理人】
【識別番号】100141036
【氏名又は名称】須藤 章
(74)【代理人】
【識別番号】100178984
【氏名又は名称】高下 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】辻 眞
(72)【発明者】
【氏名】豊島 俊昭
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 博成
(72)【発明者】
【氏名】山崎 悠生
(72)【発明者】
【氏名】野田 三郎
【審査官】岡田 隆介
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-136000(JP,A)
【文献】特開平11-10306(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 17/26
B29C 45/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、
前記ベースの上に固定され、第1の固定型を保持可能な固定ダイプレートと、
前記ベースの上に型開閉方向に移動可能に設けられたリンクハウジングと、
前記リンクハウジングと前記固定ダイプレートとの間に設けられ、前記ベースの上に前記型開閉方向に移動可能に設けられ、第1の可動型を前記第1の固定型に対向して保持可能な可動ダイプレートと、
前記リンクハウジングと前記可動ダイプレートとの間に設けられ、前記リンクハウジングと前記可動ダイプレートとに接続され、前記第1の固定型と前記第1の可動型の型締めを行うトグル機構と、
前記トグル機構を駆動する第1のアクチュエータと、
前記リンクハウジングを駆動する第2のアクチュエータと、
前記固定ダイプレートに固定可能で、前記型開閉方向に延びるタイバーと、
前記タイバーを前記リンクハウジングに対して所望の位置に固定する分割ナットと、
溶湯を前記第1の固定型と前記第1の可動型との間に形成される空洞の中に充填する射出装置と、
製品を製造する際に、
前記分割ナットを閉じた状態で、前記第1のアクチュエータを用いて前記トグル機構を駆動し、前記可動ダイプレートを型閉方向に移動し、
前記第1のアクチュエータを用いて前記トグル機構を駆動し、前記第1の固定型と前記第1の可動型の型締めを行い、
前記射出装置を用いて、前記空洞の中に溶湯を充填し、
前記分割ナットを閉じた状態で、前記第1のアクチュエータを用いて前記トグル機構を駆動し、前記可動ダイプレートを型開方向に移動させ、
前記分割ナットを閉じた状態で、前記製品を取り出すように制御する制御装置と、
を備えることを特徴とする成形機。
【請求項2】
前記制御装置は、前記第1の固定型及び前記第1の可動型を、第2の固定型及び第2の可動型に交換する際に、
前記第1の固定型及び前記第1の可動型を、前記固定ダイプレート又は前記可動ダイプレートから取り外した後に、前記分割ナットを開いた状態で、前記第2のアクチュエータを用いて前記リンクハウジングを動かし、前記第2の固定型の型厚及び前記第2の可動型の型厚に適合するように、前記リンクハウジングの前記タイバーに対する位置を調整し、
前記分割ナットを閉じた後に、前記第2の固定型及び前記第2の可動型を、前記固定ダイプレート又は前記可動ダイプレートに取り付けるように制御することを特徴とする請求項1記載の成形機。
【請求項3】
前記リンクハウジングと前記固定ダイプレートとの間の距離を微調整する微調整機構を、更に備え、
前記制御装置は、前記リンクハウジングの前記タイバーに対する位置を調整した後に、前記微調整機構を用いて、前記リンクハウジングと前記固定ダイプレートとの間の距離を微調整するように制御することを特徴とする請求項2記載の成形機。
【請求項4】
前記リンクハウジングと前記固定ダイプレートとの間の距離を微調整する微調整機構を、更に備え、
前記制御装置は、前記製品を取り出した後、次の製品を製造する前に、前記微調整機構を用いて、前記リンクハウジングと前記固定ダイプレートとの間の距離を微調整するよう制御することを特徴とする請求項1記載の成形機。
【請求項5】
前記微調整機構は、前記分割ナットと前記リンクハウジングとの間に設けられることを特徴とする請求項3又は請求項4記載の成形機。
【請求項6】
前記微調整機構による前記距離の調整範囲は、0.1mm以上30mm以下である請求項3又は請求項4記載の成形機。
【請求項7】
前記制御装置は、前記第1の固定型又は前記第1の可動型のメンテナンスを行う際に、
前記分割ナットを開き、
前記分割ナットを開いた状態で、前記第2のアクチュエータを用いて前記リンクハウジングを前記型開方向に移動させるように制御することを特徴とする請求項1記載の成形機。
【請求項8】
前記第2のアクチュエータは、電動アクチュエータであることを特徴とする請求項1記載の成形機。
【請求項9】
前記第2のアクチュエータは、液圧アクチュエータであることを特徴とする請求項1記載の成形機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形機に関する。
【背景技術】
【0002】
成形機の一例であるダイカストマシンでは、例えば、型締装置を用いて型締めされた金型内の空洞に、射出装置を用いて溶湯を充填することで、製品を製造する。
【0003】
脱炭素社会の実現に向けて、ダイカストマシンには環境負荷の低減が期待される。例えば、環境負荷の低減のために、製品製造サイクルタイムの短縮、金型交換時間の短縮、又は、部品の長寿命化が望まれる。
【0004】
特許文献1に記載の射出成形機は、固定金型を取り付けた固定盤、可動金型を取り付けた可動盤、及び可動盤との間に型締昇圧用ミニトグル機構を設けたエンド盤を備える。そして、タイロッドの一端をナットで固定盤に連結し、他端をロック用割ナットでエンド盤に係合する。また、固定盤とエンド盤を複数の型開閉用ボールねじで連結する。さらに、エンド盤及び可動盤をスライド上に摺動可能に搭載する。型閉・型開工程では、ロック用割ナットを開いた状態で、型開閉用ボールねじを駆動してエンド盤と可動盤を一体で前進・後退させる。型締昇圧工程ではロック用割ナットを閉じた状態でミニトグル機構を駆動して所定の型締力を発生させる。
【0005】
特許文献1に記載の射出成形機では、製品製造サイクル毎にロック用割ナットの開閉と、型開閉用ボールねじの駆動によるエンド盤と可動盤の一体移動を行う必要がある。したがって、製品製造サイクルタイムの短縮が困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、環境負荷が低減できる成形機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様の成形機は、ベースと、前記ベースの上に固定され、第1の固定型を保持可能な固定ダイプレートと、前記ベースの上に型開閉方向に移動可能に設けられたリンクハウジングと、前記リンクハウジングと前記固定ダイプレートとの間に設けられ、前記ベースの上に型開閉方向に移動可能に設けられ、第1の可動型を前記第1の固定型に対向して保持可能な可動ダイプレートと、前記リンクハウジングと前記可動ダイプレートとの間に設けられ、前記リンクハウジングと前記可動ダイプレートとに接続され、前記第1の固定型と前記第1の可動型の型締めを行うトグル機構と、前記トグル機構を駆動する第1のアクチュエータと、前記リンクハウジングを駆動する第2のアクチュエータと、前記固定ダイプレートに固定可能で、前記型開閉方向に延びるタイバーと、前記タイバーを前記リンクハウジングに対して所望の位置に固定する分割ナットと、溶湯を前記第1の固定型と前記第1の可動型との間に形成される空洞の中に充填する射出装置と、製品を製造する際に、前記分割ナットを閉じた状態で、前記第1のアクチュエータを用いて前記トグル機構を駆動し、前記可動ダイプレートを型閉方向に移動し、前記第1のアクチュエータを用いて前記トグル機構を駆動し、前記第1の固定型と前記第1の可動型の型締めを行い、前記射出装置を用いて、前記空洞の中に溶湯を充填し、前記分割ナットを閉じた状態で、前記第1のアクチュエータを用いて前記トグル機構を駆動し、前記可動ダイプレートを型開方向に移動させ、前記分割ナットを閉じた状態で、前記製品を取り出すように制御する制御装置と、
を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、環境負荷が低減できる成形機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】実施形態の成形機の成形動作の一例のフロー図。
【
図3】実施形態の成形機の成形動作の一例の説明図。
【
図4】実施形態の成形機の成形動作の一例の説明図。
【
図5】実施形態の成形機の成形動作の一例の説明図。
【
図6】実施形態の成形機の成形動作の一例の説明図。
【
図7】実施形態の成形機の成形動作の一例の説明図。
【
図8】実施形態の成形機の成形動作の一例の説明図。
【
図9】実施形態の成形機の金型交換動作の一例のフロー図。
【
図10】実施形態の成形機の金型交換動作の一例の説明図。
【
図11】実施形態の成形機の金型交換動作の一例の説明図。
【
図12】実施形態の成形機の金型交換動作の一例の説明図。
【
図13】実施形態の成形機の金型交換動作の一例の説明図。
【
図14】実施形態の成形機の金型交換動作の一例の説明図。
【
図15】実施形態の成形機の金型交換動作の一例の説明図。
【
図16】実施形態の成形機の金型交換動作の一例の説明図。
【
図17】実施形態の成形機の金型交換動作の一例の説明図。
【
図18】実施形態の成形機の金型メンテナンス動作の一例のフロー図。
【
図19】実施形態の成形機の金型メンテナンス動作の一例の説明図。
【
図20】実施形態の成形機の金型メンテナンス動作の一例の説明図。
【
図21】実施形態の成形機の金型メンテナンス動作の一例の説明図。
【
図22】実施形態の成形機の金型メンテナンス動作の一例の説明図。
【
図23】実施形態の成形機の金型メンテナンス動作の一例の説明図。
【
図24】実施形態の成形機の金型メンテナンス動作の一例の説明図。
【
図25】実施形態の成形機の金型メンテナンス動作の一例の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0012】
なお、本明細書では、液圧の一例として、油圧を用いて説明する。例えば、液圧回路の一例として油圧回路を用いて説明する。油圧にかえて、例えば、水圧を用いることも可能である。また、本明細書では、作動液の一例として、作動油を用いて説明する。
【0013】
実施形態の成形機はダイカストマシンである。実施形態のダイカストマシン100は、コールドチャンバ式のダイカストマシンである。
【0014】
図1は、実施形態の成形機の全体構成を示す模式図である。
図1は、一部に断面図を含む側面図である。
図1は、ダイカストマシン100の動作開始前の初期状態を示す。この場合の初期状態とは、金型が開ききった状態、いわゆる型開限の状態である。
【0015】
ダイカストマシン100は、金型の内部(
図1中の空洞Ca)に液状金属(溶湯)を射出し、その液状金属を金型内で凝固させることにより、ダイカスト品(製品)を製造する機械である。金属は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、亜鉛合金、又は、マグネシウム合金である。
【0016】
ダイカストマシン100は、ベース10、ガイドレール11、固定ダイプレート12、リンクハウジング14、可動ダイプレート16、タイバー18、タイバー固定ナット20、分割ナット機構22、固定型24x(第1の固定型)、可動型26x(第1の可動型)、型締装置28、押出装置30、射出装置32、リンクハウジング移動装置34、ダイ厚微調整装置36(微調整機構)、及び制御装置38を備える。
【0017】
分割ナット機構22は、分割ナット22a及び分割ナット移動シリンダ22bを含む。
【0018】
固定型24x、可動型26xが金型を構成する。
【0019】
型締装置28は、第1の電動シリンダ28a(第1のアクチュエータ)、第1のボールねじ28b、及びトグル機構28cを含む。
【0020】
射出装置32は、スリーブ32a、プランジャチップ32b、及び射出シリンダ32cを含む。
【0021】
制御装置38は、入出力表示装置38aを含む。
【0022】
リンクハウジング移動装置34は、第2の電動シリンダ34a(第2のアクチュエータ)、及び第2のボールねじ34bを含む。
【0023】
固定ダイプレート12はベース10の上に固定される。固定ダイプレート12には固定型24xを取り付けることが可能である。固定ダイプレート12は、固定型24xを保持することが可能である。
【0024】
リンクハウジング14は、ベース10の上に設けられる。リンクハウジング14は、ベース10の上に型開閉方向に移動可能に設けられる。リンクハウジング14は、ベース10の上に設けられたガイドレール11の上を型開閉方向に移動する。型開閉方向とは、
図1等に示す型開方向及び型閉方向の両方向を意味する。リンクハウジング14には、トグル機構28cに含まれる複数のリンクの一部が固定される。
【0025】
可動ダイプレート16は、リンクハウジング14と固定ダイプレート12との間に設けられる。可動ダイプレート16は、ベース10の上に型開閉方向に移動可能に設けられる。可動ダイプレート16は、ベース10の上に設けられたガイドレール11の上を型開閉方向に移動する。
【0026】
可動ダイプレート16には、トグル機構28cに含まれる複数のリンクの一部が固定される。可動ダイプレート16は、トグル機構28cによって、リンクハウジング14と連結されている。
【0027】
可動ダイプレート16には、可動型26xを取り付けることが可能である。可動ダイプレート16は、可動型26xを固定型24xに対向して保持することが可能である。
【0028】
タイバー18は、型開閉方向に延びる。タイバー18は、複数設けられる。タイバー18は、例えば、4本設けられる。
【0029】
タイバー18は、リンクハウジング14及び固定ダイプレート12に固定可能である。タイバー18は、型開閉方向に延びる。
【0030】
タイバー18の一端は、例えば、タイバー固定ナット20により固定ダイプレート12に固定される。タイバー18の他端は、例えば、分割ナット機構22によりリンクハウジング14に対して固定することが可能である。また、タイバー18の他端は、例えば、分割ナット機構22によりリンクハウジング14に対して非固定とすることが可能である。
【0031】
タイバー18は、固定ダイプレート12、リンクハウジング14及び可動ダイプレート16を貫通する。
【0032】
タイバー18は、固定型24xと可動型26xに型締力が加えられている間は、型締力を支える。
【0033】
分割ナット機構22は、分割ナット22a及び分割ナット移動シリンダ22bを含む。分割ナット22aは、例えば、ナットが二つに分割されたハーフナットである。分割ナット機構22は、一本のタイバー18に対して一個設けられる。
【0034】
分割ナット機構22は、タイバー18をリンクハウジング14に対して所望の位置に固定する。分割ナット22aは、タイバー18をリンクハウジング14に対して所望の位置に固定する。
【0035】
例えば、タイバー18のリンクハウジング14の側の先端部に、鋸状の溝が設けられる。分割ナット機構22は、例えば、分割ナット移動シリンダ22bにより分割ナット22aの開閉を制御する。分割ナット移動シリンダ22bは、分割ナット22aを型開閉方向に垂直な方向に移動する機能を有する。
【0036】
例えば、分割ナット22aが閉じられることにより、タイバー18の先端部の溝に分割ナット22aがはめ込まれ、タイバー18がリンクハウジング14に対して固定される。また、分割ナット22aが開かれることにより、タイバー18をリンクハウジング14に対して非固定の状態にできる。
【0037】
分割ナット移動シリンダ22bは、例えば、エアシリンダ、電動シリンダ、又は油圧シリンダである。
【0038】
固定型24x、可動型26xが金型を構成する。固定型24xは、固定ダイプレート12に保持される。可動型26xは、可動ダイプレート16に保持される。固定型24xと可動型26xが閉じた時に、固定型24xと可動型26xの間に空洞Ca(キャビティ)が形成される。
【0039】
型締装置28は、金型の型締めを行う機能を有する。型締装置28は、固定型24xと可動型26xの型締めを行う。また、型締装置28は、可動ダイプレート16を型開閉方向に移動する。
【0040】
型締装置28は、第1の電動シリンダ28a(第1のアクチュエータ)、第1のボールねじ28b、及びトグル機構28cを含む。トグル機構28cは、クロスヘッド及び複数のリンクを含む。
【0041】
第1の電動シリンダ28aは、トグル機構28cを駆動する。第1の電動シリンダ28aは、電動アクチュエータである。第1の電動シリンダ28aは、第1のボールねじ28bを回転させることで、トグル機構28cのトグルヘッドを移動させて、トグル機構28cを駆動する。
【0042】
トグル機構28cを駆動するアクチュエータとして、例えば、電動アクチュエータにかえて液圧アクチュエータを用いることも可能である。トグル機構28cを駆動するアクチュエータとして、油圧アクチュエータを用いることも可能である。
【0043】
トグル機構28cは、リンクハウジング14と可動ダイプレート16との間に設けられる。トグル機構28cの一端はリンクハウジング14に接続され、トグル機構28cの他端は可動ダイプレート16に接続される。トグル機構28cの一端はリンクハウジング14に固定され、トグル機構28cの他端は可動ダイプレート16に固定される。
【0044】
トグル機構28cにより、可動ダイプレート16が型開閉方向に移動する。トグル機構28cは、固定型24xと可動型26xの型締めを行う。
【0045】
押出装置30は、リンクハウジング14と固定ダイプレート12との間に設けられる。押出装置30は、例えば、可動ダイプレート16に固定される。押出装置30は、溶湯が凝固することによって製造された製品を、可動型26xから押し出す機能を有する。
【0046】
射出装置32は、金型の内部の空洞Caに液状金属(溶湯)を射出する機能を有する。射出装置32は、スリーブ32a、プランジャチップ32b、及び射出シリンダ32cを含む。
【0047】
スリーブ32aは、固定型24xの中に通じる。スリーブ32aは、例えば、固定型24xに連結された筒状の部材である。スリーブ32aは、例えば、円筒形状である。
【0048】
プランジャチップ32bは、スリーブ32aの中を摺動する。プランジャチップ32bが、スリーブ32aの中を前後方向に摺動する。スリーブ32aの中をプランジャチップ32bが前方へ摺動することにより、スリーブ32aの中の溶湯が固定型24xと可動型26xとで形成される空洞Ca内に充填される。
【0049】
射出シリンダ32cは、プランジャチップ32bを前後方向に駆動させる機能を備える。射出シリンダ32cは、例えば、油圧シリンダである。
【0050】
リンクハウジング移動装置34は、リンクハウジング14を型開閉方向に移動させる機能を有する。リンクハウジング14と連結された可動ダイプレートもリンクハウジング移動装置34によって、型開閉方向に移動する。リンクハウジング移動装置34は、第2の電動シリンダ34a(第2のアクチュエータ)、及び第2のボールねじ34bを含む。
【0051】
第2の電動シリンダ34aは、電動アクチュエータである。第2の電動シリンダ34aは、第2のボールねじ34bを回転させることで、リンクハウジング14を駆動する。
【0052】
リンクハウジング移動装置34は、分割ナット22aが開かれた状態で駆動する。
【0053】
ダイ厚微調整装置36は、リンクハウジング14と固定ダイプレート12との間の距離を微調整する機能を有する。ダイ厚微調整装置36は、分割ナット22aが閉じられた状態で駆動する。
【0054】
ダイ厚微調整装置36は、例えば、各タイバー18毎に設けられる。ダイ厚微調整装置36は、例えば、各タイバー18毎にリンクハウジング14と固定ダイプレート12との間の距離を微調整できる。ダイ厚微調整装置36は、例えば、各タイバー18毎に可動ダイプレート16と固定ダイプレート12との間の距離を微調整できる。
【0055】
ダイ厚微調整装置36は、例えば、リンクハウジング14と分割ナット22aとの間に設けられる。ダイ厚微調整装置36は、例えば、2つの重ね合わされた楔型の部材を含む2つの楔型の部材を互いに摺動させることでリンクハウジング14と分割ナット22aとの間の距離を微調整する。例えば、リンクハウジング14と分割ナット22aとの間の距離を微調整することで、リンクハウジング14と固定ダイプレート12との間の距離を微調整できる。
【0056】
また、ダイ厚微調整装置36は、例えば、固定ダイプレート12の可動ダイプレート16と反対側の面に設けられても良い。ダイ厚微調整装置36は、例えば、各タイバー固定ナット20に設けられたナット側ギアと、各ナット側ギアに噛み合わされるリングギアと、リングギアを回転させる駆動モータを含む。リングギアを回転させることで各ナット側ギアが回転し、タイバー固定ナット20に対しタイバー18が前後方向に相対的に移動する。タイバー固定ナット20に対しタイバー18が前後方向に相対的に移動することで、リンクハウジング14と固定ダイプレート12との間の距離を微調整できる。また、ダイ厚微調整装置36は、可動ダイプレート16と固定ダイプレート12との間の距離を微調整できる。
【0057】
ダイ厚微調整装置36による、リンクハウジング14と固定ダイプレート12との間の距離の調整範囲は、例えば、0.1mm以上30mm以下である。
【0058】
制御装置38は、各種の演算を行って、ダイカストマシン100の各部に制御指令を出力する機能を有する。制御装置38は、例えば、成形条件等を記憶する機能を有する。制御装置38は、例えば、成形条件等の入出力を行う機能を有する。
【0059】
制御装置38は、例えば、分割ナット機構22の動作を制御する。制御装置38は、例えば、型締装置28の動作を制御する。制御装置38は、例えば、押出装置30の動作を制御する。制御装置38は、例えば、射出装置32の動作を制御する。制御装置38は、例えば、リンクハウジング移動装置34の動作を制御する。制御装置38は、例えば、ダイ厚微調整装置36の動作を制御する。
【0060】
制御装置38は、例えば、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせで構成される。制御装置38は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、半導体メモリ、及び半導体メモリに記憶された制御プログラムを含む。
【0061】
制御装置38は、例えば、入出力表示装置38aを含む。入出力表示装置38aは、例えば、オペレータの入力操作を受け付ける。オペレータは、入出力表示装置38aを用いて、ダイカストマシン100の成形条件等の設定が可能となる。また、入出力表示装置38aは、例えば、ダイカストマシン100の成形条件、動作状況等を画面に表示する。入出力表示装置38aは、例えば、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイである。
【0062】
制御装置38は、製品を製造する際に、下記のようにダイカストマシン100を制御する。すなわち、分割ナット22aを閉じた状態で、第1の電動シリンダ28aを用いてトグル機構28cを駆動し、可動ダイプレート16を型閉方向に移動する。そして、第1の電動シリンダ28aを用いてトグル機構28cを駆動し、固定型24xと可動型26xの型締めを行う。そして、射出装置32を用いて、固定型24xと可動型26xで形成される空洞Caの中に溶湯を充填する。そして、分割ナット22aを閉じた状態で、第1の電動シリンダ28aを用いてトグル機構28cを駆動し、可動ダイプレート16を型開方向に移動さる。そして、分割ナット22aを閉じた状態で、製品を取り出す。そして、例えば、製品を取り出した後、次の製品を製造する前に、ダイ厚微調整装置36を用いて、リンクハウジング14と固定ダイプレート12との間の距離を微調整する。
【0063】
また、制御装置38は、固定型24x(第1の固定型)及び可動型26x(第1の可動型)を、固定型24y(第2の固定型)及び可動型26y(第2の可動型)に交換する際に、下記のようにダイカストマシン100を制御する。すなわち、固定型24x(第1の固定型)及び可動型26x(第1の可動型)を、固定ダイプレート12又は可動ダイプレート16から取り外した後に、分割ナット22aを開いた状態で、第2の電動シリンダ34aを用いてリンクハウジング14を動かす。そして、固定型24y(第2の固定型)の型厚及び可動型26y(第2の可動型)の型厚に適合するように、リンクハウジング14のタイバー18に対する位置を調整する。そして、分割ナット22aを閉じた後に、固定型24y(第2の固定型)及び可動型26y(第2の可動型)を、固定ダイプレート12又は可動ダイプレート16に取り付ける。また、例えば、リンクハウジング14のタイバー18に対する位置を調整した後に、ダイ厚微調整装置36を用いて、リンクハウジング14と固定ダイプレート12との間の距離を微調整する。
【0064】
また、制御装置38は、固定型24x(第1の固定型)及び可動型26x(第1の可動型)のメンテナンスを行う際に、下記のようにダイカストマシン100を制御する。すなわち、分割ナット22aを開き、分割ナット22aを開いた状態で、第2の電動シリンダ34aを用いてリンクハウジング14を型開方向に移動させる。
【0065】
次に、実施形態の成形機の成形動作の一例について、
図1ないし
図8を用いて説明する。
図2は、実施形態の成形機の成形動作の一例のフロー図である。
図1、
図3ないし
図8は、実施形態の成形機の成形動作の一例の説明図である。
【0066】
実施形態のダイカストマシン100の成形動作は、
図2に示すように、初期状態ステップ(S01)、可動ダイプレート前進ステップ(S02)、型締め開始ステップ(S03)、射出動作ステップ(S04)、型締め終了ステップ(S05)、可動ダイプレート後退ステップ(S06)、製品取り出しステップ(S07)、及び距離微調整ステップ(S08)を備える。
【0067】
初期状態ステップ(S01)では、ダイカストマシン100は、初期状態にある(
図1)。初期状態は、いわゆる、型開限の状態である。初期状態では、可動ダイプレート16が、リンクハウジング14に最も近い位置にある。初期状態では、分割ナット22aは閉じた状態にある。
【0068】
次に、可動ダイプレート前進ステップ(S02)で可動ダイプレート16を型閉方向に前進させる(
図3)。可動ダイプレート16は、トグル機構28cを用いて前進する。可動ダイプレート16を型閉方向に前進させることで、例えば、固定型24x(第1の固定型)及び可動型26x(第1の可動型)が接触する直前の状態にする。
【0069】
可動ダイプレート16は、型締装置28を用いて移動される。可動ダイプレート16は、トグル機構28cを用いて移動される。第1の電動シリンダ28aは、第1のボールねじ28bを回転させることで、トグル機構28cのトグルヘッドを型閉方向に移動させて、トグル機構28cを駆動させる。
【0070】
可動ダイプレート前進ステップ(S02)では、分割ナット22aは閉じた状態にある。
【0071】
次に、型締め開始ステップ(S03)で、型締装置28を用いて金型の型締めを行う(
図4)。トグル機構28cを用いて固定型24xと可動型26xの型締めを行う。固定型24xと可動型26xとの間に型締力が加えられる。
【0072】
可動ダイプレート16は、トグル機構28cを用いて型閉方向に移動し、固定型24xと可動型26xの型締めを行う。トグル機構28cのクロスヘッドが、型閉方向に移動することにより、トグル機構28cが型閉方向に延び、固定型24xと可動型26xの型締めが行われる。
【0073】
次に、射出動作ステップ(S04)で、射出装置32を用いて射出動作が行われる(
図5)。具体的には、例えば、図示しないラドル等を用いて、スリーブ32aに設けられた開口部からスリーブ32aの中へ溶湯が供給される。そして、スリーブ32a内でプランジャチップ32bを前進させて溶湯を金型内の空洞Caへ充填する。金型内の空洞Caへ充填された溶湯が凝固することで、ダイカスト品40が製造される。
【0074】
次に、型締め終了ステップ(S05)で、トグル機構28cを用いて型締めを終了する(
図6)。固定型24xと可動型26xとの間に型締力が加わらない状態となる。例えば、固定型24xと可動型26xが離隔する。可動ダイプレート16は、トグル機構28cを用いて型開方向に移動し、固定型24xと可動型26xの型締めを終了する。
【0075】
トグル機構28cのクロスヘッドが、型開方向に移動することにより、トグル機構28cが型開方向に縮み、固定型24xと可動型26xの型締めが終了する。
【0076】
次に、可動ダイプレート後退ステップ(S06)で可動ダイプレート16を型開方向に後退させる(
図7)。可動ダイプレート16を型開方向に後退させることで、接触していた固定型24xと可動型26xの間の距離が広がる。
【0077】
可動ダイプレート16は、型締装置28を用いて移動される。可動ダイプレート16は、トグル機構28cを用いて移動される。トグル機構28cは、第1の電動シリンダ28aを用いてクロスヘッドを型開方向に移動させることで駆動される。
【0078】
可動ダイプレート後退ステップ(S06)では、分割ナット22aは閉じた状態にある。可動ダイプレート後退ステップ(S06)の終了後の状態は、初期状態と同じ型開限の状態である。
【0079】
次に、製品取り出しステップ(S07)で、押出装置30を用いてダイカスト品40を押し出す。そして、押し出されたダイカスト品40を、例えば、図示しないロボットアームを用いて可動型26xから取り出す(
図8)。ロボットアームは、例えば、制御装置38によって制御される。
【0080】
以上の成形動作により、ダイカスト品40が製造される。次のダイカスト品40を製造する場合には、上記成形動作を繰り返せば良い。
【0081】
なお、製品取り出しステップ(S07)の後、次のダイカスト品40を製造する前に、例えば、距離微調整ステップ(S08)で、リンクハウジング14と固定ダイプレート12との間の距離の微調整を行う。リンクハウジング14と固定ダイプレート12との間の距離の微調整は、ダイ厚微調整装置36を用いて行われる。距離微調整ステップ(S08)を行うことで、固定型24xと可動型26xとの間に加わる型締力を最適化できる。
【0082】
なお、可動ダイプレート後退ステップ(S06)と、製品取り出しステップ(S07)を並行して実行し、成形動作のサイクルタイムを短縮しても構わない。
【0083】
次に、実施形態の成形機の金型交換動作の一例について、
図9ないし
図17を用いて説明する。
図9は、実施形態の成形機の金型交換動作の一例のフロー図である。
図10ないし
図17は、実施形態の成形機の金型交換動作の一例の説明図である。
【0084】
実施形態のダイカストマシン100の金型交換動作は、
図9に示すように、初期状態ステップ(S11)、金型取り外しステップ(S12)、分割ナット開ステップ(S13)、金型厚調整ステップ(S14)、分割ナット閉ステップ型(S15)、金型厚微調整ステップ(S16)、金型取り付けステップ(S17)、及び金型厚再微調整ステップ(S18)を備える。
【0085】
初期状態ステップ(S11)では、ダイカストマシン100は、初期状態にある(
図10)。初期状態は、いわゆる、型開限の状態である。初期状態では、可動ダイプレート16が、リンクハウジング14に最も近い位置にある。初期状態では、分割ナット22aは閉じた状態にある。
【0086】
次に、金型取り外しステップ(S12)で金型をダイカストマシン100から取り外す(
図11)。金型取り外しステップ(S12)で固定型24x(第1の固定型)と可動型26x(第1の可動型)を、固定ダイプレート12又は可動ダイプレート16から取り外す。固定型24xと可動型26xは、例えば、図示しないクレーンからワイヤで吊り下げることにより、取り外される。金型取り外しステップ(S12)では、分割ナット22aは閉じた状態にある。
【0087】
次に、分割ナット開ステップ(S13)で、分割ナット機構22の分割ナット22aを開く(
図12)。分割ナット移動シリンダ22bを駆動することにより、分割ナット22aが開かれる。
【0088】
次に、金型厚調整ステップ(S14)で、新しい金型の型厚に適合するように、リンクハウジング14のタイバー18に対する位置を調整する(
図13)。具体的には、例えば、新しい金型の型厚が交換前の金型よりも厚い場合、リンクハウジング14を、第2の電動シリンダ34aを用いて型開方向に移動する。リンクハウジング14を、型開方向に移動することで、リンクハウジング14と固定ダイプレート12との間の距離が広がる。また、可動ダイプレート16と固定ダイプレート12との間の距離が広がる。
【0089】
また、例えば、新しい金型の型厚が交換前の金型よりも薄い場合、リンクハウジング14を、第2の電動シリンダ34aを用いて型閉方向に移動する。リンクハウジング14を、型閉方向に移動することで、リンクハウジング14と固定ダイプレート12との間の距離が狭まる。また、可動ダイプレート16と固定ダイプレート12との間の距離が狭まる。
【0090】
なお、金型厚調整ステップ(S14)でのリンクハウジング14のタイバー18に対する位置の調整は、例えば、タイバー18の先端部の溝の繰り返し周期を最小単位として行われる。
【0091】
次に、分割ナット閉ステップ型(S15)で、分割ナット機構22の分割ナット22aを閉じる(
図14)。分割ナット移動シリンダ22bを駆動することにより、分割ナット22aが閉じられる。分割ナット22aが閉じられることで、リンクハウジング14のタイバー18に対する位置が固定される。
【0092】
次に、金型厚微調整ステップ(S16)で、新しい金型の型厚に適合するように、リンクハウジング14のタイバー18に対する位置を微調整する(
図15)。リンクハウジング14のタイバー18に対する位置の微調整は、ダイ厚微調整装置36を用いて行われる。ダイ厚微調整装置36による微調整の調整範囲は、例えば、タイバー18の先端部の溝の繰り返し周期未満である。
【0093】
次に、金型取り付けステップ(S17)で新しい金型をダイカストマシン100に取り付ける(
図16)。金型取り付けステップ(S17)で固定型24y(第2の固定型)と可動型26y(第2の可動型)を、固定ダイプレート12又は可動ダイプレート16に取り付ける。
【0094】
固定型24yと可動型26yは、例えば、図示しないクレーンからワイヤで吊り下げることにより、取り付けられる。金型取り付けステップ(S17)では、分割ナット22aは閉じた状態にある。
【0095】
次に、金型厚再微調整ステップ(S18)で、新しい金型の型厚に適合するように、リンクハウジング14のタイバー18に対する位置を再微調整する(
図17)。リンクハウジング14のタイバー18に対する位置の再微調整は、ダイ厚微調整装置36を用いて行われる。金型厚再微調整ステップ(S18)では、分割ナット22aは閉じた状態にある。
【0096】
例えば、新しい金型を取り付けた後、型締装置28を用いて型締めを行いタイバー18の伸びを測定する。例えば、測定されたタイバー18の伸びに基づきリンクハウジング14のタイバー18に対する位置の再微調整を行い、金型に加えられる型締力を最適化する。なお、金型厚再微調整ステップ(S18)は省略することも可能である。
【0097】
次に、実施形態の成形機の金型メンテナンス動作の一例について、
図18ないし
図25を用いて説明する。
図18は、実施形態の成形機の金型メンテナンス動作の一例のフロー図である。
図19ないし
図25は、実施形態の成形機の金型メンテナンス動作の一例の説明図である。
【0098】
実施形態のダイカストマシン100の金型メンテナンス動作は、
図18に示すように、初期状態ステップ(S21)、分割ナット開ステップ(S22)、リンクハウジング後退ステップ(S23)、金型メンテナンスステップ(S24)、金型厚調整ステップ(S25)、分割ナット閉ステップ型(S26)、及び金型厚微調整ステップ(S27)を備える。
【0099】
初期状態ステップ(S21)では、ダイカストマシン100は、初期状態にある(
図19)。初期状態は、いわゆる、型開限の状態である。初期状態では、可動ダイプレート16が、リンクハウジング14に最も近い位置にある。初期状態では、分割ナット22aは閉じた状態にある。
【0100】
次に、分割ナット開ステップ(S22)で、分割ナット機構22の分割ナット22aを開く(
図20)。分割ナット移動シリンダ22bを駆動することにより、分割ナット22aが開かれる。
【0101】
次に、リンクハウジング後退ステップ(S23)で、リンクハウジング14を型開方向に移動する(
図21)。リンクハウジング14を、第2の電動シリンダ34aを用いて型開方向に移動する。
【0102】
リンクハウジング14を、型開方向に移動することで、リンクハウジング14と固定ダイプレート12との間の距離が広がる。また、可動ダイプレート16と固定ダイプレート12との間の距離が広がる。可動ダイプレート16と固定ダイプレート12との間の距離が広がることで、固定型24x(第1の固定型)と可動型26x(第1の可動型)との間の距離が広がる。リンクハウジング後退ステップ(S23)は、分割ナット22aが開いた状態で行われる。
【0103】
次に、金型メンテナンスステップ型(S24)で金型のメンテナンスが行われる(
図22)。固定型24x(第1の固定型)と可動型26x(第1の可動型)との間の距離が広がっているため、金型のメンテナンスの作業効率が上がる。金型メンテナンスステップ型(S24)は、分割ナット22aが開いた状態で行われる。
【0104】
次に、金型厚調整ステップ(S25)で、金型の型厚に適合するように、リンクハウジング14のタイバー18に対する位置を調整する(
図23)。具体的には、リンクハウジング14を、第2の電動シリンダ34aを用いて型閉方向に移動する。リンクハウジング14を、型閉方向に移動して初期状態ステップ(S21)の位置に戻す。
【0105】
次に、分割ナット閉ステップ型(S26)で、分割ナット機構22の分割ナット22aを閉じる(
図24)。分割ナット移動シリンダ22bを駆動することにより、分割ナット22aが閉じられる。分割ナット22aが閉じられることで、リンクハウジング14のタイバー18に対する位置が固定される。
【0106】
次に、金型厚微調整ステップ(S27)で、金型の型厚に適合するように、リンクハウジング14のタイバー18に対する位置を微調整する(
図25)。リンクハウジング14のタイバー18に対する位置の微調整は、ダイ厚微調整装置36を用いて行われる。金型厚微調整ステップ(S27)では、分割ナット22aは閉じた状態にある。
【0107】
なお、金型厚微調整ステップ(S27)は省略することも可能である。
【0108】
次に、実施形態の成形機の作用及び効果について説明する。
【0109】
脱炭素社会の実現に向けて、ダイカストマシンには環境負荷の低減が期待される。例えば、環境負荷の低減のために、製品製造サイクルタイムの短縮、金型交換時間の短縮、又は、部品の長寿命化が望まれる。
【0110】
実施形態のダイカストマシン100は、タイバー18をリンクハウジング14に対して所望の位置に固定する分割ナット機構22を備える。また、リンクハウジング14を型開閉方向に移動させるリンクハウジング移動装置34を備える。ダイカストマシン100は、分割ナット機構22とリンクハウジング移動装置34を用いることで、金型の型厚調整を行う。
【0111】
ダイカストマシン100は、ダイカスト品40を製造する成形動作の際、型締装置28のトグル機構28cのみを用いて、可動ダイプレート16を型開閉方向に動かす。言い換えれば、ダイカストマシン100は、ダイカスト品40を製造する成形動作の際に、分割ナット機構22とリンクハウジング移動装置34を用いない。ダイカストマシン100は、ダイカスト品40を製造する成形動作の際に、分割ナット機構22の分割ナット22aの開閉動作を行わない。
【0112】
したがって、例えば、ダイカスト品を製造する成形動作の際、分割ナットの開閉動作とリンクハウジング移動装置を用いる形態のダイカストマシンと比較して、製品製造サイクルタイムの短縮が実現できる。
【0113】
また、成形動作の際、分割ナット22aの開閉動作を行わないため、分割ナット22aの摩耗や破損が抑えられる。したがって、分割ナット22aの長寿命化が実現できる。
【0114】
また、ダイカストマシン100は、金型を交換する際に、分割ナット機構22とリンクハウジング移動装置34を用いる。ダイカストマシン100は、金型を交換する際のリンクハウジング14と固定ダイプレート12との間の距離の調整を短時間で行うことができる。言い換えれば、ダイカストマシン100は、金型を交換する際の型厚の調整を短時間で行うことができる。したがって、金型交換時間の短縮が実現できる。
【0115】
例えば、金型を交換する際の型厚の調整を、タイバーに噛み合わされたナットを回転させることで行う形態のダイカストマシンと比較して、ダイカストマシン100は金型を交換する際の型厚の調整を短時間で行うことができる。
【0116】
また、ダイカストマシン100は、金型のメンテナンスを行う際に、分割ナット機構22とリンクハウジング移動装置34を用いる。したがって、固定型24x(第1の固定型)と可動型26x(第1の可動型)との間の距離を広くとることができる。よって、金型のメンテナンスの作業効率が向上し、例えば、金型のメンテナンスの時間を短縮できる。
【0117】
以上、実施形態の成形機によれば、製品製造サイクルタイムの短縮、金型交換時間の短縮、部品の長寿命化、金型のメンテナンスの作業効率の向上が実現できる。実施形態の成形機によれば、環境負荷の低減が実現できる。
【0118】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。実施形態においては、成形機などで、本発明の説明に直接必要としない部分については記載を省略したが、必要とされる、成形機などに関わる要素を適宜選択して用いることができる。
【0119】
実施形態においては、ダイカストマシンを成形機の例として説明したが、本発明を射出成形機等に適用することも可能である。
【0120】
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全ての成形機は、本発明の範囲に包含される。本発明の範囲は、特許請求の範囲及びその均等物の範囲によって定義されるものである。
【符号の説明】
【0121】
10 ベース
11 ガイドレール
12 固定ダイプレート
14 リンクハウジング
16 可動ダイプレート
18 タイバー
20 タイバー固定ナット
22 分割ナット機構
22a 分割ナット
22b 分割ナット移動シリンダ
24x 固定型(第1の固定型)
24y 固定型(第2の固定型)
26x 可動型(第1の可動型)
26y 可動型(第2の可動型)
28 型締装置
28a 第1の電動シリンダ(第1のアクチュエータ)
28b 第1のボールねじ
28c トグル機構
30 押出装置
32 射出装置
32a スリーブ
32b プランジャチップ
32c 射出シリンダ
34 リンクハウジング移動装置
34a 第2の電動シリンダ(第2のアクチュエータ)
34b 第2のボールねじ
36 ダイ厚微調整装置
38 制御装置
38a 入出力表示装置
40 ダイカスト品(製品)
100 ダイカストマシン(成形機)
Ca 空洞
【要約】
【課題】環境負荷が低減できる成形機を提供する。
【解決手段】実施形態の成形機は、ベースと、固定ダイプレートと、ベースの上を移動するリンクハウジングと、リンクハウジングと固定ダイプレートとの間のベースの上を移動する可動ダイプレートと、型締めを行うトグル機構と、トグル機構を駆動する第1のアクチュエータと、リンクハウジングを駆動する第2のアクチュエータと、タイバーと、タイバーをリンクハウジングに対して固定する分割ナットと、射出装置と、製品を製造する際に、分割ナットを閉じた状態で、第1のアクチュエータでトグル機構を駆動し、可動ダイプレートを型閉方向に移動し、固定型と可動型の型締めを行い、射出装置で溶湯を充填し、分割ナットを閉じた状態で、第1のアクチュエータでトグル機構を駆動し、可動ダイプレートを型開方向に移動させ、分割ナットを閉じた状態で、製品を取り出すように制御する制御装置と、を備える。
【選択図】
図1