(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-09
(45)【発行日】2024-04-17
(54)【発明の名称】クレンジングウォーター
(51)【国際特許分類】
A61K 8/64 20060101AFI20240410BHJP
A61K 8/39 20060101ALI20240410BHJP
A61Q 1/14 20060101ALI20240410BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20240410BHJP
【FI】
A61K8/64
A61K8/39
A61Q1/14
A61K8/37
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023142674
(22)【出願日】2023-09-04
【審査請求日】2023-10-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】304040474
【氏名又は名称】合同会社シャネルR&I
(73)【特許権者】
【識別番号】000204181
【氏名又は名称】太陽化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128761
【氏名又は名称】田村 恭子
(72)【発明者】
【氏名】宮本 雅義
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 聡子
(72)【発明者】
【氏名】樋口 智則
【審査官】松元 麻紀子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/116011(WO,A1)
【文献】特開2017-197494(JP,A)
【文献】特開2023-055277(JP,A)
【文献】特開2005-097284(JP,A)
【文献】国際公開第2019/138739(WO,A1)
【文献】特開2006-265153(JP,A)
【文献】特表2023-512406(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/64
A61K 8/39
A61Q 1/14
A61K 8/37
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の成分(A)~(E):
成分(A):8個の炭素原子を有する脂肪酸および5~7のグリセリン重合度を有するポリグリセリンから作られるポリグリセリン脂肪酸エステル、
成分(B):10個の炭素原子を有する脂肪酸および5~7のグリセリン重合度を有するポリグリセリンから作られるポリグリセリン脂肪酸エステル、
成分(C):液体油、
成分(D):サーファクチンナトリウムならびに
成分(E):水
を含む
クレンジング化粧料組成物であって、
成分(A)および成分(B)の総量が、前記化粧料組成物の総質量の1~15質量%であり、
成分(A)および
成分(B)の総量に対する成分(C)の質量比((C)/(A)+(B))が0.05~0.4であり、
成分(A)および成分(B)が、12.4~14.2の混合HLBを有し、
成分(D)の総量が、前記化粧料組成物の総質量の0.2~2.5質量%であ
り、
前記成分(E)の含有量が、前記化粧料組成物の総質量の88.5質量%以上であり、
前記成分(C)の総量が、前記化粧料組成物の総質量の0.15~1.2質量%である、クレンジング化粧料組成物。
【請求項2】
前記化粧料組成物の総質量の0.01~1.0質量%の量で成分(F)として親水性非イオン性界面活性剤をさらに含む、請求項1に記載の
クレンジング化粧料組成物。
【請求項3】
前記成分(F)がポリグリセリンアルキルエーテルである、請求項
2に記載の
クレンジング化粧料組成物。
【請求項4】
アルキルが、6~20個の炭素原子を含有するアルキル鎖から選択される、請求項
3に記載の
クレンジング化粧料組成物。
【請求項5】
前記成分(C)の
総量が、前記化粧料組成物の総質量の
0.5~1質量%である、請求項1に記載の
クレンジング化粧料組成物。
【請求項6】
透明である、請求項1に記載の
クレンジング化粧料組成物。
【請求項7】
皮膚用のメーキャップクレンジング製品である、請求項
1に記載の
クレンジング化粧料組成物。
【請求項8】
オレイン酸に対するクレンジング選択性を高めるための、請求項1~7のいずれか一項に記載の
クレンジング化粧料組成物の使用。
【請求項9】
前記クレンジング選択性が、皮膚の表皮表面脂質を除去することなく高められる、請求項
8に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚をクレンジングするのに適した水性組成物に関し、保存中に安定でありながら、効率的で、べたつかず、ヒトの皮膚材料の表皮表面脂質に対して選択的である水性組成物に関する。本発明はまた、そのような水性組成物の使用を対象とし、特に、バリア機能および健康な皮膚の維持などの正常な皮膚機能に寄与する皮膚の表皮表面脂質を除去することなく、皮膚を効率的にクレンジングすることによって、それを含有する化粧品のクレンジング選択性を高める、水性組成物の使用を対象とする。
【背景技術】
【0002】
クレンジングは、皮膚衛生と角質層バリアの損傷との微妙なバランスを必要とする。クレンジングの作用は、水、洗剤、およびケラチン物質の間の複雑な物理的および化学的相互作用である。クレンザーは、皮膚衛生および健康な皮膚バリアを維持するのに有効であるが、それに含有される界面活性剤は、除去される必要がある親油性皮膚不純物とバリアの維持を確保する親油性細胞間脂質を区別することができないので、損傷を引き起こし得る。皮膚不純物の二極構造は、角質層の脂質二重層を構成する脂肪酸、コレステロール、およびセラミドに似ている。
【0003】
さらに、良好なクレンジング製品は、ほこり、ローションおよびメーキャップ、ならびに汚れた皮脂、汗および剥離した角質の皮膚粒子から皮膚を徹底的に洗浄しなければならない。この浄化効果を達成するために、製品は、脂肪に可溶性の物質(皮脂、クリームおよびメーキャップ)、および水に可溶性の物質(汗の残留物)を除去しなければならない。
【0004】
さらに、近年のライフスタイルの変化に伴い、消費者は、爽快感を残し、べたつきを低減したまま、時間をかけすぎることなく、好ましくは顔をさらにすすぐ必要なしに、効率的にメーキャップを除去することを可能にする製品を探している。加えて、より高い自然性レベルを有する化粧品に対する特に強い消費者需要があり、環境をより尊重する代替の水系化粧品に向けて移行する必要がある。
【0005】
メーキャップ製品はほとんど油溶性であるため、クレンジングローションなどの水性クレンジング化粧品において、クレンジング力は、オイルタイプまたはエマルションタイプクレンジング化粧品のものと比較して、多くの場合有利でない。したがって、水性クレンジング化粧品のクレンジング力を改善するための技術が望まれる。しかし、高濃度の界面活性剤を含有するクレンジング化粧品は、高いクレンジング効果を示すが、同時に皮膚刺激を引き起こすことが知られている。低い界面活性剤濃度で十分なクレンジング効果を得ることは一般的に難しい。市場において、皮膚刺激をほとんど引き起こさない低い界面活性剤濃度にもかかわらず、高いクレンジング効果を有する化粧品に対する需要がある。
【0006】
実際、典型的なクレンジングウォーターは、5%wt未満の界面活性剤を含有する可溶化水溶液である。メーキャップ不純物および皮脂は、界面活性剤と接触し、それらを除去するためにティッシュまたはコットンパッドで拭き取られる必要がある。加えて、界面活性剤は、べたつきを引き起こさないように薄い濃度で配合される。しかし、摩擦による皮膚ストレスについての懸念は残る。
【0007】
界面活性剤のうちアニオン性界面活性剤および/またはエトキシ化界面活性剤は、広範囲の配合成分に適合することが知られており、それゆえに配合に柔軟性を与え、それらをクレンジング製品中の主要な成分にする。アニオン性界面活性剤の最も広く知られている例の1つはラウリル硫酸アンモニウム(ALS)である。しかし、一部のアニオン性界面活性剤は、角質層の脂質を破壊することが知られており、皮膚への適用に適していないので、消費者製品中にもはや使用されない。実際、それらは、皮膚の角質細胞に悪影響を与え、リーブオンクレンジング製品の場合のように、特に皮膚につけたままにすると刺激を引き起こすことが知られている。
【0008】
アニオン性界面活性剤を修飾して、それらをより刺激の少ないものにすることができる。例えば、ラウリル硫酸アンモニウムを、エチレンオキシドと反応させて「エトキシ化」し、ラウレス硫酸アンモニウムを生成することができる。この追加の化学処理は、最終製品を有意に刺激の少ないものにし、わずかにより水溶性にする。しかし、「エトキシ化」界面活性剤は、環境への影響を理由に依然として非難されている。以上のことから、皮膚および環境をより尊重する代替の界面活性剤を配合した化粧品に対する特に強い消費者需要がある。
【0009】
さらに、これらの界面活性剤は、皮脂および油溶性皮膚不純物を、細胞間脂質を構成する親油性物質と区別することができない。クレンジング中に除去された細胞間脂質の成分の一部の補充を試みる一般的な技術の一つは、セラミド、脂肪酸、コレステロール、および/またはトリグリセリドをクレンザーに添加することである。この手法に伴う問題は、クレンザーと皮膚の接触時間が短いことである。クレンザーは、角質層タンパク質損傷を最小にするために短い期間皮膚に留まるが、この短い接触は、活性成分が浸透し、皮膚に留まるために十分な時間を与えない。さらに、セラミドが実際にクレンザーから角質層内に浸透した場合、界面活性剤も浸透し、バリア損傷の加速を引き起こす。
【0010】
皮膚に対して非刺激性であり、皮膚バリア損傷を最小にすることによって皮膚バリアを保ちつつ、経時的に安定なままである、水系クレンジング組成物が依然として必要とされている。
【0011】
本発明は、先行技術において不可欠であるといわれたエトキシ化アニオン性界面活性剤を完全に置き換える新しい特定の界面活性剤を配合することにより、全てのこれらの要件に対する予想外で有利な解決策を提供する。したがって、本発明の目的は、保存中に安定であり、皮膚に対して非刺激性である、新しいべたつきのないPEGフリーの水系組成物を提供することである。
【発明の概要】
【0012】
新しい化粧料組成物は、特定のポリグリセリン誘導体およびサーファクチンナトリウム(Sodium Surfactin)バイオサーファクタントを組み合わせることによってこれらの課題を克服する。サーファクチンナトリウムバイオサーファクタントは4%未満の濃度で存在する穏やかな界面活性剤である。このような新しい化粧料組成物は、両連続構造を有し、皮脂の主要な成分であるオレイン酸を選択的に乳化し、除去する。
【0013】
サーファクチンは、東京大学の有馬により命名された。サーファクチンは、枯草菌(Bacillus subtilis)培養液由来の物質であり、その構造は垣内らにより決定された。サーファクチンは、親水性部分として環状ペプチドおよび疎水性部分としてアルキル側鎖を有するリポペプチドである。環状ペプチド中のアスパラギン酸およびグルタミン酸は、遊離カルボキシル基を有しており、それらのナトリウム塩はアニオン性界面活性剤として機能する。
【0014】
サーファクチンナトリウムは、化粧品の持続可能性と環境配慮の継続的なニーズも満たす。したがって、サーファクチンナトリウムは、その構造中に石油由来成分を含有しない、微生物によって生成される高度に生分解性のバイオサーファクタントである。
【0015】
本発明は、以下の成分(A)~(E):
-成分(A):8個の炭素原子を有する脂肪酸および5~7のグリセリン重合度を有するポリグリセリンから作られるポリグリセリン脂肪酸エステル、
-成分(B):10個の炭素原子を有する脂肪酸および5~7のグリセリン重合度を有するポリグリセリンから作られるポリグリセリン脂肪酸エステル、
-成分(C):液体油、
-成分(D):サーファクチンナトリウムならびに
-成分(E):水
を含む化粧料組成物であって、
成分(A)および成分(B)の総量が、化粧料組成物の総質量の1~15質量%であり、
成分(A)および(B)の総量に対する成分(C)の質量比((C)/(A)+(B))が0.05~0.4であり、
成分(A)および成分(B)が、12.4~14.2の混合HLBを有し、
成分(D)の総量が、化粧料組成物の総質量の0.2~2.5質量%である、化粧料組成物に関する。
【0016】
本発明は、オレイン酸に対するクレンジング選択性を高めるための上記で定義されたような化粧料組成物の使用も対象とする。
【0017】
皮脂は、オレイン酸などの容易に酸化される成分を含有し、それらの酸化が進行するにつれて、それらは活性アルデヒドになり、活性アルデヒドは、皮膚の表面上の角質層を酸化し、角質層タンパク質のカルボニル化を引き起こす。カルボニル化は、炎症を引き起こし、不全角化、不規則な皮膚のキメ、および経表皮水分喪失の悪化につながる。加えて、カルボニル化は、角質層のくすみおよび毛穴の周りの黒ずみなどの角質層の不透明化も引き起こし得る。
【0018】
水系組成物中の特定の成分の組合せが、皮膚に対して完全に非刺激性で、環境をより尊重する、保存に安定なPEGフリーのクレンジング組成物を提供することを可能にすることを発見したことは、本発明者らの功績である。
【0019】
アニオン性界面活性剤としての特定のサーファクチンナトリウムおよびポリグリセリン誘導体を水および液体油と一緒に添加し、各成分が特定の比で存在することによって、低減された皮膚刺激を確保し、選択的洗浄力により皮膚バリア損傷を最小化しつつ、改善されたクレンジング性能が自己乳化(spontaneous emulsification)により達成された。特に、本発明の意義の範囲内で、水系組成物は、より高い水含有量にもかかわらず優れたクレンジング能力を有する両連続マイクロエマルション(BCME)である。ここでいうより高い水含有量は、水系組成物が、組成物の総質量の少なくとも88%wt(質量基準)の水を含有すると理解される。BCMEは、コールドプロセスにより得ることができ、これは組成物の大部分を構成する水が室温で使用され得ることを意味する。それにもかかわらず、BCMEを形成する他の成分は、事前に加熱されることがある。ここでいう室温は、20~25℃の温度と理解される。
【0020】
前記組成物は高度に流動性であり得る。前記組成物は100mPas未満の粘度を有し得る。
【0021】
BCMEは、油層と自発的に相互作用してエマルションを形成するという独特な挙動を有する。これは、クレンジング剤および油単独の界面で働く一般的なクレンジング剤と比較して、より効率的な汚れの除去を可能にする。したがって、水系組成物は、界面活性剤、サーファクチンナトリウムを使用し、したがって、ポリエチレンオキシドおよび/またはポリプロピレンオキシドを含有しない。
【0022】
外相および内相を含有する通常のミセルおよびエマルションと対照的に、BCMEは、そのような分離相を有しない。水系組成物の特定の組成は、摩擦などの物理的刺激を阻害し、クレンジング中の皮膚ストレスを低減する自己乳化を可能にする。
【0023】
さらに、それは、皮膚にストレスを及ぼすことなく不純物の選択的洗浄力を可能にし、皮膚の表皮表面脂質を除去しない。
【0024】
実際、両連続マイクロエマルション(BCME)は、両連続である水および界面活性剤/油の複雑な三次元構造を有し、低い界面張力および高い可溶化力を有する。したがって、BCMEは、メーキャップ汚れと容易に接触し、それらを除去することができるので、高いクレンジング能力を有する。この両連続マイクロエマルションを適用することによって、皮膚にストレスを与えることなく、皮膚からの素早く、高いレベルのメーキャップ除去を達成する。
【0025】
参照および添付図面によって、本開示はより良く理解され、その多数の特徴および利点は当業者に明らかになり得る。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明による実施例1の組成物で行われたクライオFIB-SEMにより得られた写真である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明による化粧料組成物は、以下の成分(A)~(E):
-成分(A):8個の炭素原子を有する脂肪酸および5~7のグリセリン重合度を有するポリグリセリンから作られるポリグリセリン脂肪酸エステル、
-成分(B):10個の炭素原子を有する脂肪酸および5~7のグリセリン重合度を有するポリグリセリンから作られるポリグリセリン脂肪酸エステル、
-成分(C):液体油、
-成分(D):サーファクチンナトリウムならびに
-成分(E):水
を含み、
成分(A)および成分(B)の総量は、化粧料組成物の総質量の1~15質量%であり、
成分(A)および(B)の総量に対する成分(C)の質量比((C)/(A)+(B))は0.05~0.4であり、
成分(A)および成分(B)は、12.4~14.2の混合HLBを有し、
成分(D)の総量は、化粧料組成物の総質量の0.2~2.5質量%である。
【0028】
成分(A)
成分(A)は、8個の炭素原子を有する脂肪酸および5~7、好ましくは6の重合度のグリセリンから作られるエステルである。
【0029】
成分(B)
成分(B)は、10個の炭素原子を有する脂肪酸および5~7、好ましくは6のグリセリン重合度を有するポリグリセリンから作られるジエステルである。
【0030】
ポリグリセリン脂肪酸エステルは、従来の方法によるポリグリセリンおよび脂肪酸のエステル化、または脂肪酸およびグリシドールの付加重合によって容易に得られる。ポリグリセリンおよび脂肪酸のエステル化は、例えば、ポリグリセリンおよび脂肪酸を、好ましくは100℃~300℃、より好ましくは120℃~260℃の温度範囲で、酸触媒(リン酸、p-トルエンスルホン酸など)またはアルカリ触媒(水酸化ナトリウムなど)の存在下、または触媒の非存在下で、水を除去しながら加熱することによって行うことができるが、これに特に限定されない。加えて、反応は不活性ガスの存在下で行うことができる。上記のように得られたエステルは、その目的に従って精製することができる。精製として、減圧下での蒸留、分子蒸留、もしくは水蒸気蒸留などの蒸留技術に加えて、有機溶媒による抽出、分画、または合成吸着剤もしくはゲル濾過剤で充填されたカラムを用いるクロマトグラフィー分離を利用することができる。ここでいうポリグリセリン脂肪酸エステルは、脂肪酸の代わりに脂肪酸エステルを使用して、ポリグリセリンとのエステル交換を行うことによって得ることができる。
【0031】
成分(A)および成分(B)の総量は、化粧料組成物の総質量の1~15質量%、好ましくは2~10質量%、より好ましくは3~5質量%である。加えて、成分(A)および成分(B)の混合HLBは、12.4~14.2、好ましくは13~14である。
【0032】
HLBは、本明細書で使用される場合、下記に示されるグリフィン計算法によって測定された値を指し、成分(A)および成分(B)の混合HLBは、その加成性を利用して計算される。具体的には、混合HLBは、本明細書で使用される場合、成分(A)および成分(B)の加重平均である。
HLB=20(1-S/A);式中、
S:ポリグリセリン脂肪酸エステルの鹸化価、および
A:原料脂肪酸の中和価。
【0033】
成分(C)
成分(C)は液体油である。液体油の例としては炭化水素油、エステル油、アシルグリセロール、エーテル油、植物油、シリコーン油などが挙げられる。べたつきの観点からエステル油が好ましい。
【0034】
炭化水素油の例としては、水添ポリイソブテン、流動パラフィン、軽質流動イソパラフィン、スクアラン、ウンデカン、トリデカンなどが挙げられる。
【0035】
エステル油の例としては、イソノナン酸イソノニル、イソステアリン酸イソステアリル、2-エチルヘキサン酸セチル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソプロピル、カプリル酸プロピルヘプチル、(カプリル酸/カプリル酸)カプリル酸((caprylate/caprylate)caprylate)、(カプリル酸/カプリル酸)cap((caprylate/caprylate)cap)、ジカプリレートカーボネート(dicaprylate carbonate)などが挙げられる。
【0036】
アシルグリセロールとしては、トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル、トリ2-エチルヘキサン酸、トリイソステアリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリルなどが挙げられる。
【0037】
植物油としては、ツバキ油、アボカド油、アーモンド油、オリーブ油、コムギ胚芽油、コメ胚芽油、米糠油、ベニバナ油、ダイズ油、トウモロコシ油、ナタネ油、パーム核油、ヒマシ油、ヒマワリ油、ホホバ油、マカダミアナッツ油、ヤシ油などが挙げられる。
【0038】
前記成分(C)の総含有量は、化粧料組成物の総質量の0.15質量%~1.2質量%、好ましくは0.5%~1%である。
【0039】
(C)/[(A)+(B)]と表される、成分(A)および(B)の総量に対する成分(C)の質量比は、0.05~0.4、好ましくは0.25~0.35である。
【0040】
成分(D)
サーファクチンナトリウムは、高い生分解性を有する天然のアニオン性サーファクタントである。サーファクチンナトリウムは、アミノ酸および脂肪酸からなるペプチド脂質であり、枯草菌(Bacillus subtilis)の発酵によって生成される。しかし、その特別な構造ゆえに、それは経時的にやや不安定であり得る。サーファクチンナトリウムを他の成分と一緒に添加することによって、選択的洗浄力および安定性の両方が達成される。
【0041】
さらに、自己乳化は、サーファクチンナトリウムを含有しないBCME製剤において生じない。自己乳化により、油不純物は、可溶化されるだけでなく、むしろ乳化される。本発明の意義の範囲内で、乳化は可溶化よりも多くの量の不純物を取り込み得る。
【0042】
前記成分(D)の含有量は、化粧料組成物の総質量の0.2質量%~2.5質量%である。
【0043】
成分(E)
化合物Eは、水、例えば、脱塩水またはフローラルウォーターなどであってよい。
【0044】
前記成分(E)の含有量は、化粧料組成物の総質量の88.5質量%以上である。
【0045】
成分(F)
化粧料組成物は、化粧料組成物の総質量の0.01~1.0質量%、好ましくは0.1~0.5%の量で成分(F)として親水性非イオン性界面活性剤をさらに含んでもよい。
【0046】
成分(F)はポリグリセリンアルキルエーテルであり得る。前記アルキルは、6~20個の炭素原子、好ましくは10~14個の炭素原子を含有するアルキル鎖から選択され得る。
【0047】
両連続マイクロエマルション(BCME)
両連続マイクロエマルションおよび水中油型マイクロエマルションは、異なる構造を有する。BCMEの場合、古典的なマイクロエマルションは、少量の油を含有するいわゆる膨潤ミセルである。外相は水性相であり、内相は油相である。熱力学的に、油が安定な1液相に添加された場合、それは内相中に拡散することなく液体表面の上に浮かぶ。一方、BCMEは内相も外相も有しない。両者は、独立しており、連続相を形成する。したがって、BCMEはスポンジ様構造を有する。結果として、水および/または油が添加された場合、それは各連続領域によって拡散することができる。この特性を使用して、BCMEは一般的に、色素法と呼ばれる方法によって確認される。染色された油および染色された水が同時に添加された場合、BCMEは両方を拡散する。古典的なマイクロエマルションにおいて、染色された水は拡散するが、染色された油は浮く。
【0048】
かつては、BC構造はFF-TEMなどを使用して観察されたが、昇華により水などの揮発性成分を除去することができるクライオFIB-SEMは、より鮮明な画像を得ることを可能にした。
【0049】
両連続マイクロエマルションは、粒子を形成せず、それゆえ粒径を測定することはできない。
【0050】
両連続構造は、SAXSおよびクライオFIB-SEMにより実証された。クライオFIB-SEMは、この方法が昇華により水などの揮発性成分の除去を可能にし、
図1の画像のように、より鮮明な画像を得ることを可能にするために使用される。
【0051】
図1は、本発明による実施例1の組成物について実施されたクライオFIB-SEMによって得られた写真である(表2、実施例1を参照されたい)。写真は2つの領域を捉えた:
(a):液体窒素でクライオ処理し、続いて昇華処理した後の表面状態を示し、
(b):液体窒素でクライオ処理し、続いてFIBで表面を削り、次いで、昇華処理した後の表面の状態を示す。領域(b)における黒色の部分は、昇華により揮発した成分を示す。この場合、それは水であろう。白色-灰色部分は、油および界面活性剤が存在する部分である。
【0052】
さらに、サーファクチンナトリウムを有するもの、および有しないものの2種類の配合物(BCME-SFおよびBCME-0)を全ての測定に使用した。異なる油:皮脂汚れモデルにオレイン酸、メーキャップ汚れモデルにジメチコンおよびエステルの混合物、ならびに皮膚から除去されるべきでない表皮表面脂質の1つのモデルとしてスクアランを使用した。BCME配合物が油と接触したときの界面挙動をデジタル顕微鏡で観察した。BCME配合物および油の動的界面張力をペンダントドロップ法により測定した。BCME構造は、SAXSおよびクライオFIB-SEMにより特定した(図示せず)。
【0053】
SAXSおよびクライオFIB-SEMによって、BCME-SFが、大量の水が柔軟な界面活性剤の二層ネットワークに閉じ込められるスポンジ様構造を有することが示された。ゼロ曲率を有する二層構造は一般的に、油の種類に依存して、より低い界面張力(γ)に達することが知られている。スクアランおよびメーキャップ汚れモデルは、0.5~1mN/mの相対的に高いγを示したが、オレイン酸-BCME-SFのγは、ここで使用したデバイスで検出不可能、すなわち0.1mN/m未満であった。加えて、BCME-SFは、BCME-0より高いγを示し、これはサーファクチンが油の種類に対して選択的に界面エネルギーを制御することができることを示唆する。スクアランおよびメーキャップ汚れモデルの場合、これらは接触後にBCME-SF層に拡散され、可溶化された。対照的に、オレイン酸(除去されることが意図される皮脂のモデル)がBCME-SFと接触すると、エマルションが直ちに形成された。
【0054】
従来の水系クレンジング剤は可溶化によりメーキャップ汚れを除去するが、BCMEは反対の様式で挙動する。油層と接触したとき、BCMEは優先的に、正ではなく負の曲率になり、油層中にBCMEが浸透する。動的曲率変化は、界面エネルギーに関連し得る、油と界面活性剤の疎水性鎖の親和性によって引き起こされ得る。結果は、BCMEがかなり低いγを有することを示すが、γは油に依存することに留意すべきである。このgのわずかな差異は、動的曲率変化、例えばBCME浸透に対して重要である。BCMEに添加されるサーファクチンは、γおよび安定性において重要な役割を果たし、油に基づいて選択的にγを変化させる。このように、本発明者らは、皮膚から汚れを選択的に除去することができる、サーファクチンを有する新しい安定な配合物を開発することに成功した。
【0055】
表皮表面脂質は、本発明の意義の範囲内で、皮脂由来である。表皮により生成される脂質は、全体の抽出可能な表面脂質のわずかな画分である。ヒト皮脂は、非極性脂質、主にトリグリセリド、ロウエステル、スクアレン、脂肪酸およびより少量のコレステロール、コレステロールエステルおよびジグリセリドの混合物である。一方、角化細胞により生成される脂質は、ほぼ等しい割合の遊離脂肪酸(リノール酸およびアルファ-リノール酸など)、コレステロールおよびセラミドの混合物である。
【0056】
化粧料組成物は、当分野における少なくとも1種の通常の添加剤、例えば、皮膚軟化剤または保湿剤、油、活性剤、着色料、保存剤、酸化防止剤、活性剤、有機または無機粉末、日焼け防止剤および香料から選択される少なくとも1種の化合物などを含むことができる。
【0057】
-ポリオール(グリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、プロパンジオール、カプリリルグリコール、ペンチレングリコール、ヘキサンジオール)、糖、ヒアルロン酸ならびにその塩およびエステルなどのグリコサミノグリカン、ならびにリピジュアPMBなどのポリクオタニウムなどの1種または2種以上の保湿剤。
【0058】
前記保湿剤は、組成物の総重量に対して約0.1~約30重量%、好ましくは約0.005~約10重量%の範囲の量で組成物中に存在し得る。
【0059】
-例えば、ホホバエステル、脂肪酸のエステルおよび脂肪アルコールのエステル(ミリスチン酸オクチルドデシル、トリエチルヘキサノイン、炭酸ジカプリリル、イソステアリン酸イソステアリル、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド)などのエステル、シアバター(商標名LIPEX SHEASOFT、LIPEX SHEA-U、LIPEX SHEA、LIPEX SHEALIGHT、LIPEX SHEA TRISで市販されている、ブチロスパーナム・パーキー(butyrospernum parkii)バター抽出物、シアバターエチルエステル)またはモリンガ(モリンガ油/水添モリンガ油エステル)などのバター、ロウ(フサアカシア(acacia decurrens)花ロウ&ヒマワリ種子ロウ(helianthus annuus cera seed seed wax)、C10~18トリグリセリド)、植物油、フィトスクアラン、アルカン(ウンデカン、トリデカン)から選択され得る1種または2種以上の皮膚軟化剤。
【0060】
前記皮膚軟化剤は、組成物の総重量に対して約0.1~約30重量%、好ましくは約0.5~約10重量%の範囲の量で組成物中に存在し得る。
【0061】
-修飾されていてもよい天然起源のポリマーなどの1種または2種以上のフィルム形成剤は、シェラック樹脂、サンダラックゴム、アラビアゴム(アラビアゴムノキ(ACACIA SENEGAL)ゴム)、ダンマル、エレミス、コーパル、セルロースポリマー、カエサルピニア・スピノサ(Caesalpinia spinosa)の果実および/または藻類カッパフィカス・アルバレジ(Kappaphycus alvarezii)から抽出されたポリマー(製品Filmexel(登録商標)など)、ならびにこれらの混合物から選択され得る。
【0062】
前記フィルム形成剤は、組成物の総重量に対して約0.1~約15重量%、好ましくは約0.5~約10重量%の範囲の量で組成物中に存在し得る。
【0063】
-顔料、真珠光沢顔料、好ましくは水に可溶性の可溶性色素から選択される1種または2種以上の着色剤。顔料は、白色または有色の鉱物および/または有機物であり得る。鉱物顔料は、酸化ジルコニウムまたは酸化セリウム、および酸化亜鉛、酸化鉄または酸化クロム、二酸化チタンから選択され得る。真珠光沢顔料は、酸化鉄で覆われたチタンマイカ、オキシ塩化ビスマスで覆われたチタンマイカ、酸化クロムで覆われたチタンマイカ、有機色素で覆われたチタンマイカ、およびオキシ塩化ビスマスをベースとする真珠光沢顔料から選択され得る。水溶性色素は、FDC赤色4、DC赤色6、DC赤色22、DC赤色28、DC赤色30、DC赤色33、DCオレンジ4、DC黄色5、DC黄色6、DC黄色8、FDC緑色3、DC緑色5、FDC青色1から選択され得る。
【0064】
前記着色剤は、組成物の総重量に対して約0.01~約20重量%、好ましくは約1~約15重量%の範囲の量で組成物中に存在し得る。
【0065】
-ラウロイル-リジン、デンプン、窒化ホウ素およびシリカから選択される1種または2種以上の充填剤。
【0066】
前記充填剤は、組成物の総重量に対して約0.1~約10重量%、好ましくは約0.5~約7重量%の範囲の量で組成物中に存在し得る。
【0067】
-例えば、ビタミンCおよびその誘導体(アスコルビルグルコシド、3-o-エチルアスコルビン酸、テトライソパルミチン酸アスコルビル)、ビタミンAおよびその誘導体、ビタミンEおよびその誘導体、ビタミンB3またはナイアシンアミドなどのビタミン、パンテノール、オリゴエレメント、アラントイン、アデノシン、ペプチド(商標名NP RIGIN、MATRIXYL 3000、IDEALIFT、EYESERYLで市販されている、パルミトイルテトラペプチド-7、パルミトイルトリペプチド-1、パルミトイルペンタペプチド-4、アセチルジペプチド-1セチルエステル、アセチルテトラペプチド-5)、植物抽出物(スペインカンゾウ(glycyrrhiza glabra)抽出物、ツボクサ(centella asiatica)葉抽出物、ライムギ(secale cereal)種子抽出物)、酵母抽出物、グリコール酸または乳酸などのアルファヒドロキシ酸、トラネキサム酸およびトラネキサム酸セチルエステルなどのその誘導体などから選択される、生物活性を有し、生物学的部位を介して皮膚に対する有効性を有する、天然、バイオテクノロジーまたは合成起源の1種または2種以上の活性剤。
【0068】
前記活性剤は、組成物の総重量に対して約0.01~約10重量%、好ましくは約0.1~約5重量%の範囲の量で組成物中に存在し得る。
【0069】
化粧品中に一般的に使用される他の添加剤、特に、この技術分野において周知の保存剤、酸化防止剤または香料も本発明による組成物中に存在し得る。
【0070】
当業者は、これらの可能な添加剤の全ての中から、組成物に添加されるものの性質および量の両方を、組成物がその特性の全てを保持するように選択することができる。
【0071】
化粧料組成物は透明であり得る。
【0072】
上記の化粧料組成物は、クレンジング化粧料組成物であり得る。
【0073】
化粧料組成物は、皮膚用のメーキャップクレンジング製品、より好ましくは体および/または顔用のメーキャップクレンジング製品であり得る。
【0074】
本発明による化粧料組成物は、オレイン酸に対するクレンジング選択性を高めるために使用され得る。
【0075】
特に、クレンジング選択性は、皮膚の表皮表面脂質を除去することなく高められる。
【実施例】
【0076】
[実施例1]
本発明の化粧料組成物の調製のプロセス
【0077】
【表1】
(A)相を70℃に加熱し、均一に撹拌する。
(B)相を50℃に加熱し、均一に撹拌する。
室温の(C)相を(B)相に添加し、均一に撹拌する。
(B)+(C)相を(A)相に添加し、均一に撹拌する。
(D)相を(A)+(B)+(C)相に添加し、均一に撹拌する。
こうして、水系組成物が得られる。
【0078】
[実施例2]
評価
*混合HLB:HLBは、グリフィンの計算法によって測定された値を指し、成分(A)および成分(B)の混合HLBは加成性を使用して計算される。つまり、混合HLBは、成分(A)および成分(B)の加重平均である。
【0079】
**安定性:30gの組成物を50mLのバイアルに入れ、5、20および40℃で3カ月間保存し、外観を観察した。
1:外観に変化はない
2:分離および/または混濁などの外観変化
【0080】
***選択的洗浄力:30gの組成物を50mLのバイアルに入れ、0.25gの着色された油(オレイン酸、スクアラン、イソノナン酸イソノニル+ジメチコン)を添加し、外観を1日後に観察した。
1:オレイン酸は自己乳化し、他の油は組成物全体に拡散する
2:全ての油が組成物全体に拡散する
3:全ての油が組成物全体に拡散しない
【0081】
****クレンジング性:マスカラ(ウォータープルーフタイプ)をバイオスキンに適用し、2時間放置した。コットンパッドに浸した組成物で、マスカラを3回拭き取った。どのようにマスカラが落ちたかの目視観察の結果を、評価基準に従って評価し、クレンジング性として決定した。
1:十分に落ちた
2:落ちた
3:落ちなかった
【0082】
*****拭き取り後のべたつき:コットンに浸した組成物が、5人の専門パネリストにより顔に適用され、乾燥時の皮膚感触が以下の4つのグレードに従って評価された。評価は5人のパネリストによる評価の平均であり、平均が2.5以上である場合、より少ないべたつきと評価され得る。
4:べたつかない
3:わずかにべたつく
2:べたつきを感じる
1:かなりべたつきを感じる
【0083】
本発明による実施例1~10の結果を表2に示した。
【0084】
実施例1~10は全て、実施例1のプロセスステップに従って調製され、各組成物に適応される。
【0085】
【0086】
全体として、組成物の総重量に対する特定の重量%での化合物(A)~(E)の特定の組合せにより、5、20および40℃で3カ月間保存した場合に外観の変化が起こらず経時的に安定であり、皮膚の表皮表面脂質に影響を与えないまま、望ましくない不純物に対する選択的洗浄力を可能にし、望ましくない不純物を効率的に除去して効率的なクレンジング性を提供し、同時に、拭き取り後のべたつきを回避する化粧料組成物が得られる。
【0087】
これらの結果は、本発明の化粧料組成物を使用するときにのみ得ることができる。
【0088】
比較例1~13の結果は、下記の表に示される。比較例1~13は全て、実施例1のプロセスステップに従って調製され、各組成物に適応される。
【0089】
【0090】
比較例CEX1~CEX8は、試験されたパラメーターの各々について不良な成績を示す。
【0091】
【0092】
成分(A)および成分(B)の総量が1%wt未満であると、化粧料組成物のクレンジング性に対して負の影響を有する。
【0093】
【0094】
成分(A)および成分(B)の総量が15%wtより高いと、化粧料組成物の拭き取り後のべたつきに対して負の影響を有する。
【0095】
【0096】
成分(C)を含まないと、化粧料組成物のクレンジング性に対して負の影響を有する。
【0097】
【0098】
成分(D)の量が化粧料組成物の総質量の2.5質量%を超えると、化粧料組成物の拭き取り後のべたつきに対して負の影響を有する。
【0099】
【0100】
成分(D)を含まないと、化粧料組成物の選択的洗浄力に対して負の影響を有する。
なお、本発明は、以下の実施形態を包含するものとする。
[1]
以下の成分(A)~(E):
成分(A):8個の炭素原子を有する脂肪酸および5~7のグリセリン重合度を有するポリグリセリンから作られるポリグリセリン脂肪酸エステル、
成分(B):10個の炭素原子を有する脂肪酸および5~7のグリセリン重合度を有するポリグリセリンから作られるポリグリセリン脂肪酸エステル、
成分(C):液体油、
成分(D):サーファクチンナトリウムならびに
成分(E):水
を含む化粧料組成物であって、
成分(A)および成分(B)の総量が、前記化粧料組成物の総質量の1~15質量%であり、
成分(A)および(B)の総量に対する成分(C)の質量比((C)/(A)+(B))が0.05~0.4であり、
成分(A)および成分(B)が、12.4~14.2の混合HLBを有し、
成分(D)の総量が、前記化粧料組成物の総質量の0.2~2.5質量%である、化粧料組成物。
[2]
前記成分(E)の含有量が、前記化粧料組成物の総質量の88.5質量%以上である、前記[1]に記載の化粧料組成物。
[3]
前記化粧料組成物の総質量の0.01~1.0質量%の量で成分(F)として親水性非イオン性界面活性剤をさらに含む、前記[1]または[2]に記載の化粧料組成物。
[4]
前記成分(F)がポリグリセリンアルキルエーテルである、前記[3]に記載の化粧料組成物。
[5]
アルキルが、6~20個の炭素原子、好ましくは10~14個の炭素原子を含有するアルキル鎖から選択される、前記[4]に記載の化粧料組成物。
[6]
前記成分(C)の総含有量が、前記化粧料組成物の総質量の0.15質量%~1.2質量%である、前記[1]~[5]のいずれか一項に記載の化粧料組成物。
[7]
透明である、前記[1]~[6]のいずれか一項に記載の化粧料組成物。
[8]
クレンジング化粧料組成物である、前記[1]~[7]のいずれか一項に記載の化粧料組成物。
[9]
皮膚用のメーキャップクレンジング製品、より好ましくは体および/または顔用のメーキャップクレンジング製品である、前記[8]に記載の化粧料組成物。
[10]
オレイン酸に対するクレンジング選択性を高めるための、前記[1]~[9]のいずれか一項に記載の化粧料組成物の使用。
[11]
前記クレンジング選択性が、皮膚の表皮表面脂質を除去することなく高められる、前記[10]に記載の使用。
【要約】 (修正有)
【課題】保存中に安定であり、皮膚に対して非刺激性である、新しいべたつきのないPEGフリーの水系組成物を提供する。
【解決手段】以下の成分(A)~(E):成分(A):8個の炭素原子を有する脂肪酸および5~7のグリセリン重合度を有するポリグリセリンから作られるポリグリセリン脂肪酸エステル、成分(B):10個の炭素原子を有する脂肪酸および5~7のグリセリン重合度を有するポリグリセリンから作られるポリグリセリン脂肪酸エステル、成分(C):液体油、成分(D):サーファクチンナトリウム、ならびに成分(E):水、を特定の量で含む化粧料組成物とする。また、バリア機能および健康な皮膚の維持などの正常な皮膚機能に寄与する皮膚の表皮表面脂質を除去することなく皮膚を効率的にクレンジングすることによって、前記化粧料組成物を含有する化粧品のクレンジング選択性を高めるための前記化粧料組成物の使用を提供する。
【選択図】
図1