(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-09
(45)【発行日】2024-04-17
(54)【発明の名称】プラスチック溶融物および中粘度から高粘度の別の流体のための方向制御弁ユニット
(51)【国際特許分類】
B29C 48/255 20190101AFI20240410BHJP
F16K 11/074 20060101ALI20240410BHJP
【FI】
B29C48/255
F16K11/074 Z
(21)【出願番号】P 2023517346
(86)(22)【出願日】2022-06-13
(86)【国際出願番号】 DE2022100439
(87)【国際公開番号】W WO2022262904
(87)【国際公開日】2022-12-22
【審査請求日】2023-03-15
(31)【優先権主張番号】102021115905.9
(32)【優先日】2021-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】514054214
【氏名又は名称】グノイス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Gneuss GmbH
【住所又は居所原語表記】Moenichhusen 42, D-32549 Bad Oeynhausen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル グノイス
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン グノイス
(72)【発明者】
【氏名】デトレフ グノイス
【審査官】加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/262480(WO,A1)
【文献】特開2006-064132(JP,A)
【文献】実開平06-035745(JP,U)
【文献】特開2007-271020(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0124895(US,A1)
【文献】特開2018-126867(JP,A)
【文献】特表2019-527618(JP,A)
【文献】中国実用新案第205991189(CN,U)
【文献】国際公開第03/090999(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 11/00-11/24
B29C 48/255
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック溶融物および中粘度から高粘度の別の流体のための方向制御弁ユニット(100;100’;100’’)であって、該方向制御弁ユニット(100;100’;100’’)がケーシング(10)を有しており、該ケーシング(10)が、
-少なくとも1つの主流通路(41)を備えた流入プレート(11)と、
-少なくとも1つの主流通路(43)を備えた流出プレート(12)と、
-少なくとも1つの支流通路(42;44)と、
を少なくとも備えており、
前記流入プレート(11)と前記流出プレート(12)との間に少なくとも1つの中間プレート(13,14)および/または少なくとも1つのスペーサ要素(15)が配置されており、
前記方向制御弁ユニット(100;100’;100’’)が、前記ケーシング(10)内に旋回可能または回転可能に支持された少なくとも1つの切換要素(20;20’;20’’)を有しており、該切換要素(20;20’;20’’)が、
-前記流入プレート(11)と前記流出プレート(12)との間に配置されており、
-出発位置において、少なくとも1つの貫通開口(22,23;23’;22’’)を介して前記主流通路(41,43)を互いに接続し、
-少なくとも1つの切換位置において、前記切換要素(20;20’;20’’)の、一方の側のみに開放した少なくとも1つの変向通路(24,25;24’’,25’’)を介して、前記主流通路(41,43)のうちの少なくとも1つの主流通路を前記少なくとも1つの支流通路(42,44)にその都度接続する、
方向制御弁ユニット(100;100’;100’’)において、
-前記切換要素(20;20’;20’’)がセグメント状に形成されており、前記中間プレート(13,14)および/または前記少なくとも1つのスペーサ要素(15)に隣接して配置されており、
-前記流入プレート(11)および/または前記流出プレート(12)内に存在し、かつ前記切換要素(20;20’;20’’)に面している前記主流通路(41,43)の開き開口と前記少なくとも1つの支流通路(42,44)の開き開口とが、前記切換要素(20;20’;20’’)の旋回軸線(19)に関して、互いに異なる部分円(1,2)上に配置されており、
-前記変向通路(24,25;24’’,25’’)が、前記部分円(1,2)間で前記切換要素(20;20’;20’’)上に延びている
ことを特徴とする、方向制御弁ユニット(100;100’;100’’)。
【請求項2】
前記流入プレート(11)と前記流出プレート(12)とが、それぞれ1つの主流通路(41,43)および支流通路(42,44)を有している、請求項1記載の方向制御弁ユニット(100;100’;100’’)。
【請求項3】
前記切換要素(20;20’;20’’)が、両側でそれぞれ1つの変向通路(24,25;24’’,25’’)を有している、請求項2記載の方向制御弁ユニット(100;100’;100’’)。
【請求項4】
前記切換要素(20;20’;20’’)が、両部分円(1,2)上にそれぞれ1つの貫通開口(22,23;22’’)を有している、請求項2または3記載の方向制御弁ユニット(100;100’;100’’)。
【請求項5】
前記切換要素(20’’)が、開放した前記主流通路と、前記支流通路(42,44)の少なくとも1つの区分との間で流れ接続を形成するために、少なくとも1つの変向通路(24’’,25’’)を有しており、該変向通路(24’’,25’’)が、前記部分円(1,2)間に延びていて、かつ前記貫通開口(22,23;23’;22’’)のうちの1つの貫通開口に接続している、請求項1から4までのいずれか1項記載の方向制御弁ユニット(100’’)。
【請求項6】
前記切換要素(20;20’;20’’)上の半径方向内側に位置する前記貫通開口(22)および前記変向通路(24,25;24’’,25’’)のサイズ、形状および位置が、前記流入プレート(11)および/または前記流出プレート(12)に設けられた前記主流通路(41,43)の前記開き開口のサイズおよび位置に関して、前記切換要素(20;20’;20’’)の旋回時に前記開き開口が前記貫通開口(22)に、または前記変向通路(24,25;24’’,25’’)に、あるいは前記貫通開口(22)および前記変向通路(24,25;24’’,25’’)の両方に絶えず重なっているように、選択されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の方向制御弁ユニット(100;100’;100’’)。
【請求項7】
前記切換要素(20;20’;20’’)における前記主流通路(41,43)の前記開き開口と、前記切換要素(20;20’;20’’)上の対応する前記貫通開口(22)とが、前記少なくとも1つの支流通路(42,44)の前記開き開口よりも、前記旋回軸線(19)の近傍に配置されている、請求項1から6までのいずれか1項記載の方向制御弁ユニット(100;100’;100’’)。
【請求項8】
少なくとも1つの貫通開口(22,23)と前記変向通路(24,25;24’’,25’’)との間で、前記切換要素(20;20’;20’’)上に少なくとも1つのブリッジウェブ(26)が形成されており、該ブリッジウェブ(26)が、前記主流通路(41,43)の前記開き開口の直径よりも狭い、請求項1から7までのいずれか1項記載の方向制御弁ユニット(100;100’;100’’)。
【請求項9】
前記貫通開口(22,23)が、同一の半径方向線上に位置しており、かつ前記変向通路(24,25;24’’,25’’)の長手方向の延在長さが、前記部分円(1,2)間で半径方向を向いている、請求項4から8までのいずれか1項記載の方向制御弁ユニット(100;100’;100’’)。
【請求項10】
外側の前記部分円(2)上に位置する前記貫通開口(23)の接線方向の延在長さが、内側に位置する前記貫通開口(22)の接線方向の延在長さよりも大きい、請求項4から9までのいずれか1項記載の方向制御弁ユニット(100;100’;100’’)。
【請求項11】
前記外側の貫通開口(23’)が、長孔形または円弧形に形成されていて、前記外側の部分円(2)に沿って延びている、請求項10記載の方向制御弁ユニット(100’)。
【請求項12】
前記流入プレート(11)に設けられた前記主流通路(41)および前記支流通路(42)の、前記切換要素(20;20’;20’’)への移行部におけるそれぞれの前記開き開口または前記流出プレート(12)に設けられた前記主流通路および前記支流通路の、前記切換要素(20;20’;20’’)からの移行部におけるそれぞれの前記開き開口が、1つの多角形内に配置されており、該多角形が、互いに接触している前記プレート(11,12,13,14)を通って、かつ場合によっては前記スペーサ要素(15)を通って延びる複数の緊締要素(17,18)により形成されている、請求項1から11までのいずれか1項記載の方向制御弁ユニット(100;100’;100’’)。
【請求項13】
三角形を形成する3つの緊締要素(17,18)が設けられている、請求項12記載の方向制御弁ユニット(100;100’;100’’)。
【請求項14】
前記変向通路(24,25;24’’,25’’)が、前記切換要素(20;20’;20’’)の一方の側に加工された少なくとも1つの溝または凹部により形成されている、請求項1から13までのいずれか1項記載の方向制御弁ユニット(100;100’;100’’)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に記載の特徴を備えた、プラスチック溶融物および中粘度から高粘度の別の流体のための方向制御弁ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
方向制御弁ユニットは、独国特許出願公開第10030584号明細書から公知である。2つのケーシングプレートの間で回転可能に支持された少なくとも1つの切換要素は、プラスチック溶融物が典型的に高圧かつ高温である場合でも、確実に切り替わる。切換要素を備えた1つの実施形態は、3ポート2位置弁として構成されており、1つの流入通路からの主流経路を、2つの出口のうちの一方に選択的に向けることを可能にする。円形ディスク形の2つの切換要素により、4ポート7位置弁が提供される。この4ポート7位置弁は、合計4つの接続部間の広範な切換性を可能にする。これにより、分離した2つの循環路を相並んで運転することができ、これらの循環路間の選択的な移行を提供することができる。切換要素が円形のディスクとして形成されているので、対応して大きなケーシングが設けられており、これにより方向制御弁ユニットを設置するために大きな構造空間が必要とされる。さらに、少なくとも1つの切換要素の回転による切換えの瞬間に流体流が中断され、これは、前置かつ後置された製造手段内で圧力ピークによる問題を引き起こす。
【0003】
国際公開第2003/090998号には、単純な濾過装置が記載されている。この濾過装置では、2つの篩要素を備えた篩支持体の旋回により、その都度一方または他方の篩要素を製造流内へ旋回させることができる。両篩位置間の切換時に、製造流は中断される。濾過機能を有しない切換弁としての使用は記載されておらず、可能でもない。なぜならば、出口側において分岐する2つの管路が接続可能ではなく、可動の篩支持体に切換可能性が与えられていないからである。
【0004】
国際公開第2003/090997号は、別の篩交換装置を示している。この篩交換装置では、セグメント状の支持体上に配置された2つの篩のうちの一方の篩を、支持体の旋回により製造流内に移動させるか、または製造流から取り出すことができる。支流通路等を介した切換可能性は開示されていない。
【0005】
独国特許発明第102009014029号明細書は、切換弁を記載している。この切換弁により、たしかに、一方の出口管路から他方の出口管路への切換中にも製造流を中断しないという目的が達成される。しかし、構造形式は、冒頭で述べた方向制御弁ユニットとは完全に異なっている。なぜならば、この切換弁の構造形式は、ケーシングに設けられた孔内で軸方向に摺動可能な円筒形のピンに基づいているからである。密な結合部を達成するために、ピンと孔との間の嵌合のための高い製造手間が必要となる。材料除去に結びつく後加工は、たとえば不可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の課題は、プラスチック溶融物および類似する高い粘度を有する流体のために適した方向制御弁ユニットを改良して、主流通路から少なくとも1つの支流通路への流体の移行を可能にし、小さなスペース需要を有しており、かつたとえば円筒ピンを備えた切換弁よりも簡単に製造および後加工できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、請求項1の特徴部に記載の特徴を備えた、プラスチック溶融物のための方向制御弁ユニットによって解決される。
【0008】
本発明によれば、第一には、切換要素がセグメント状、特に円セグメント状に形成されていることが規定されている。支持は、縁部側で直接に行われるのではなく、旋回軸線は、セグメントの中心の方向にずらされている。セグメントの狭い側が切換カムとして働き、この切換カムにおいて、特にハイドロリックシリンダによって線形に作用する駆動装置のような駆動装置への結合部が形成される。
【0009】
通流可能な切欠きがセグメント面の別の部分に配置されており、旋回軸線は、これらの切欠きの間に位置している。通流可能な切欠きが、特に完全な円の1/6~1/8のサイズを有する1つの円セグメント上に配置されることにより、切換要素として少なくとも1つの円形ディスクを備えた公知の方向制御弁における構造空間よりも必要とされる構造空間が著しく小さくなる。
【0010】
さらに、本発明は、主流通路および支流通路のための通流可能な切欠きが、半径方向で互いに離れて配置されているか、または互いに異なる2つの部分円間に延びている構成を規定している。これにより、圧力が加えられる領域は、単独の半径方向線に隣接する狭い領域に減少し、良好に密閉することができる。
【0011】
ケーシングの構造は、篩ホイール濾過装置の構造に類似している。つまり、可動の切換要素が流入プレートと流出プレートとの間に支持されており、流入プレートと流出プレートとは、挿入された中間プレートによって、かつ/または別のスペーサ要素によって互いに間隔を空けて保持されており、この場合に切換要素と流入プレートおよび流出プレートとの間にはそれぞれ最小限の隙間が生じる。この隙間は切換要素の運動を可能にするが、相応の高い粘度を有する流体の流出を阻止する。
【0012】
圧力が加えられる領域は、多角形内に位置していることが望ましく、この多角形は、ケーシングの複数のプレートを互いにねじ締結し、可動の切換要素の影響を受けながら互いに予荷重を加える複数の緊締要素により形成されている。
【0013】
好適な1つの実施形態は、通流可能な切欠きが配置されている予荷重が加えられた三角形(Vorspanndreieck)を形成する単に3つの緊締ピンまたは緊締ねじを規定している。
【0014】
さらに好適には、緊締ピンまたは緊締ねじのうちの1つは、切換要素が周囲を旋回可能である軸を同時に形成している。
【0015】
変向通路は、セグメント表面から深さ方向に延びているが、セグメントディスクの完全な貫通にはつながらない切欠きである。縁部は、溝のように表面に対して垂直に形成されているか、または丸み付けもしくは面取りされて窪みの形態で形成されていてよい。変向通路は、切換要素の一方の側の流れを一方の流れ通路から他方の流れ通路に案内する働きをするが、通流させる働きはしない。
【0016】
切換時に主流通路を中断することのない運転を可能にするために、好適には、切換要素上の半径方向内側に位置する貫通開口および変向通路のサイズ、形状および位置が、流入プレートおよび/または流出プレートに設けられた主流通路の開き開口のサイズおよび位置に関して、切換要素の旋回時に開き開口が貫通開口に絶えず重なっているように、選択されていることが規定されている。これにより、主流通路は遮断されず、中断のない運転が可能にされている。
【0017】
本発明に関連して、「遮断されない」または「中断されない」とは、特に、流れ通路横断面が、方向制御弁ユニットのいかなる運転状態においても、方向制御弁ユニットにおいて切換要素によってそれぞれの流れ通路の横断面積の80%を上回るほど覆われる、かつ/または、切換処理中に流れ通路における横断面変化によって急激な圧力上昇が発生するように、強く狭められないことを意味している。
【0018】
中断されない運転のために、特に半径方向内側に位置する貫通開口と変向通路との間で、主流通路の開き開口の直径よりも狭いブリッジウェブが切換要素上に形成されている。
【0019】
別の1つの実施形態では、互いに独立した2つの循環路における中断のない運転と、循環路間の中断のない切換えが可能である。このために、切換要素上の半径方向外側に位置する貫通開口および変向通路のサイズ、形状、および位置が、流入プレートおよび/または流出プレートの支流通路の開き開口のサイズおよび位置に関して、切換要素の旋回時に開き開口が貫通開口または変向通路のいずれか、または両方に絶え間なく重なっているように、選択されている。
【0020】
さらに、外側の貫通開口の直径を、内側の貫通開口の直径よりも著しく大きく選択し、外側の貫通開口と内側の貫通開口との間に設けられている片側の溝を相応に形成することが可能である。これは、特に貫通開口の接線方向の延在長さまたはそれぞれの部分円弧に沿った延在長さに関する。
【0021】
開口横断面がそれぞれ同一の部分円上にあるので、切換を引き起こすために切換要素の小さな旋回角度で十分であり、同時に内側の部分円上の開口横断面と外側の部分円上の開口横断面とが重なる。
【0022】
内側の部分円上の開口と外側の部分円上の開口とのために円形の横断面を設けることも可能である。このためには、セグメント状の切換要素を長く形成する必要があり、これにより、構造サイズは全体的に増大する。
【0023】
したがって、外側の貫通開口および/または変向通路の外側の区分が、長孔形または円弧形に形成されていて、外側の部分円に沿って延びていると、特に好適である。しかし、両方の部分円上の開口のそれぞれの半径方向の広がりは、ほぼ等しい。これにより、同様に切換中の横断面の絶え間ない重なりを達成することができ、極めてコンパクトな構造サイズが達成される。
【0024】
好適な1つの実施形態では、ケーシングプレートの主流通路および支流通路は、それぞれ円形の横断面を有している。なぜならば、円形の横断面は容易に製造することができるからである。しかし、ケーシングにおける楕円形または長孔形の横断面も可能である。
【0025】
本発明を、4ポート2位置弁として構成された方向制御弁ユニットの図面に示された実施例に関して以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】方向制御弁ユニットを斜め前方から見た斜視図である。
【
図2】方向制御弁ユニットを斜め後方から見た斜視図である。
【
図3A】第1の実施形態による方向制御弁100の1つの位置を示す図である。
【
図3B】第1の実施形態による方向制御弁100の別の位置を示す図である。
【
図3C】第1の実施形態による方向制御弁100のさらに別の位置を示す図である。
【
図4】出発位置にある方向制御弁ユニットを示す概略的な横断面図である。
【
図5】切換位置にある方向制御弁ユニットを示す概略的な横断面図である。
【
図6】第2の実施形態による方向制御弁ユニットを示す概略的な横断面図である。
【
図7A】第3の実施形態による方向制御弁の1つの位置を示す図である。
【
図7B】第3の実施形態による方向制御弁の別の位置を示す図である。
【
図7C】第3の実施形態による方向制御弁のさらに別の位置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、方向制御弁ユニット100を斜め前方から見た斜視図で示している。この方向制御弁ユニット100は、ケーシング10と、このケーシング10内に旋回可能に支持された切換要素20と、切換要素20のための駆動ユニット30とを備えている。
【0028】
ケーシング10は、
-流入側の開き開口11.1において開口する主流通路41と、開き開口11.2において開口する支流通路42とを備えた流入プレート11と、
-複数の中間プレート13,14および1つのスペーサ要素15と、
-主流通路および支流通路のための流出開口および開き開口を含む流出プレート12と、
を有している。
【0029】
プレート11,12,13,14およびスペーサ要素15は、プレートスタック全体を通って横方向に延びる3つの緊締ピン17,18を介して互いに結合され、かつ互いに対して予荷重が加えられている。
【0030】
駆動ユニット30は、ケーシング10の上側に配置され、平行な2つのクロスバー32を備えている。これらのクロスバー32のうち、
図1において手前側のクロスバーは、見易くするために透明に図示されている。ハイドロリックシリンダ31が駆動装置を構成している。ハイドロリックシリンダ31は、軸34において旋回可能にクロスバー32間に支持されている。ハイドロリックシリンダ31のピストンロッドは、フォーク要素33を介して切換要素20のカム29に接続されている。
【0031】
図2は、方向制御弁ユニット100を後側かつ斜め下方から、つまり流出側から見た斜視図で示している。流入プレート11と流出プレート12との間に配置された要素、すなわち固定的に配置された中間プレート13,14および旋回可能に配置された切換要素20が見えるようにするために、流出プレート12は透明に図示されている。切換要素20は、孔によってスペーサ要素15上に支持されており、孔とスペーサ要素15との間には滑り軸受が形成されている。さらに、スペーサ要素15を含むプレート11,12,13,14のプレートスタック全体を通って横方向に延びる3本の緊締ピン17,18の配置および経路が確認可能である。上側の緊締ピン18の中心は、旋回軸線19を同時に形成し、この旋回軸線19を中心として切換要素20が運動可能である。
【0032】
切換要素20は、円セグメント形(扇形)である。切換要素20の、流入プレート11または流出プレート12に面した表面の大部分は、シール面21として形成されている。シール面21内には、流体を導通させるための切欠きと、軸受として働くスペーサ要素15とが配置されている。カム29は、上側でケーシング10から突出し、駆動装置に接続されている。
【0033】
主流通路43は、流出プレート12を横方向に貫通して、流出側の開き開口12.1にまで延びている。さらに流出プレート12内には、湾曲した支流通路44が延びており、この支流通路44は、流出プレート12の側面に配置されている、流出側の開き開口12.2において開口している。
【0034】
中間プレート13,14とスペーサ要素15とは、流入プレート11と流出プレート12とを、互いに対して一定の正確に定義された間隔で配置するという役割を有している。さらに、中間プレート13,14は、切換要素20の運動を制限するための固定ストッパとして働くことができる。
【0035】
中間プレート13,14またはスペーサ要素15の厚さと切換要素20の厚さとは、中間プレート13,14およびスペーサ要素15の小さな過剰寸法が存在するように、互いに調整されていなければならず、これにより、シール面21の領域における切換要素20と、流入プレート11および流出プレート12の、シール面21に接触する面との間に最小限の隙間が形成される。この隙間は、流入プレート11および流出プレート12に対する切換要素20の運動を可能にするが、他方では、プラスチック溶融物のような中粘度から高粘度の媒体が、ケーシング10から流れ出ることなしに、極めて小さい程度でしか隙間内に進入することができないように小さい。隙間に進入した流体は、いわば可動の切換要素20のための潤滑材として作用する。したがって、本発明に係る方向制御弁ユニット100において必要なシール効果は、対応する中粘度から高粘度の媒体、特にプラスチック溶融物の使用に関連してのみ達成される。したがって、本発明に係る方向制御弁ユニット100は、気体および水のような低粘度の流体の分配のためには適していない。
【0036】
方向制御弁ユニット100内に形成された主流通路は、流入側の開き開口11.1(
図1を参照)から、切換要素20内の対応する貫通開口を通って、かつ主流通路43を通って、流出側の開き開口12.1にまで直線状に延びている。流出プレート12内の支流通路44は、内部における切換要素20との接触面から側方の開き開口12.2にまで延びている。
【0037】
切換要素20の、流出プレート12に面したシール面21には、変向通路25として凹設部が加工されている。この変向通路25を介して、主流通路43と支流通路44との間に流れ接続が形成可能である。
【0038】
支流通路42,44の開き開口11.2,12.2をそれぞれの流入プレート11および流出プレート12の側面の一方に配置することは、方向制御弁ユニット100を両端面において開口する主流通路41,43を介して直接に製造ライン内に挿入し、前置または後置された製造手段に接続することができ、支流通路42,44への接続が妨げにならないという利点を有している。
【0039】
したがって、方向制御弁ユニット100の実施例は、開き開口11.1,11.2,12.1,12.2への4つの接続部を含み、切換要素の互いに異なる2つの切換位置が設けられているので、4ポート2位置弁である。
【0040】
図3A~
図3Cには、切換時の方向切換弁100の種々異なる位置が示されており、この位置に関して、流入プレート11と流出プレート12との間に配置された要素のみがそれぞれ図示されており、しかも切換要素20の、流入プレートに面した前面への視線で示している。
【0041】
切換要素20は、旋回軸線19に旋回可能に支持されており、この旋回軸線19はスペーサ要素15により形成されている。このスペーサ要素15は環状である。外周面は、滑り軸受面として働き、内周面は緊締ピン18を収容する働きをする。破線の円は、主流通路41および支流通路42の位置を示している。切換要素20は、2つの貫通開口22,23を有しており、これらの貫通開口22,23は丸い孔として形成されており、切換要素20を完全に貫通して延びている。別の切欠きが溝24の形態で形成されており、溝24は、切換要素20の、流入プレートに面した前面に位置している。
【0042】
切換要素20の、
図3Aに示された位置は、方向制御弁ユニット100の出発位置に相当し、この出発位置では、流入プレート11および流出プレート12に設けられたそれぞれの主流通路41,43が、切換要素20に設けられた貫通開口22を介して接続されており、同時に、それぞれの支流通路42,44が、貫通開口23を介して接続されている。主流通路41および支流通路42により形成された流れ経路が位置している三角形が、緊締ピン17,18によって形成されていることも確認可能である。これは、流れる流体による圧力負荷に緊締ピン17,18における対応する予荷重で応じることができ、これにより過度の拡開を阻止することができることにより、ケーシング10の流入プレート11および流出プレート12と切換要素20との間の間隙幅を調節することができるので、密閉性を増大させる働きをする。
【0043】
図3Bは、切換時の中間位置を示している。切換要素は、
図3Aと比較して、時計回りに約30°旋回している。
【0044】
切換中であっても主流通路41において中断のない運転を可能にするために、この主流通路41は、支流通路42よりも、切換要素20の旋回軸受または旋回軸線19に半径方向で近くなるように配置されている。さらに、主流通路41のための孔22と変向通路24との間に位置するブリッジウェブ26が形成されている。孔22の中心点と、変向通路24の半径方向内側に位置する領域とを通って案内される、旋回軸線19を中心とした部分円ライン1上で、ブリッジウェブ26は、孔22の直径および好適には主流通路41のちょうど同じ大きさの横断面開口よりも狭くなっている。
【0045】
図3Bに示した中間位置では、主流通路41は、切換要素20の孔22と、変向通路24の半径方向内側の領域とに重なっている。これにより、流体が依然として部分的に主流通路41,43を通って引き続き流れることができる一方で、変向通路24を介した支流通路42への接続が既に生じている。
【0046】
図3Cには切換位置が示されており、この切換位置では、切換要素20が流入プレート11および流出プレート12の主流通路41,43も支流通路42,44も互いに分離する。その代わりに、変向通路24を介して、流入プレート11の支流通路42との主流通路41の接続が形成される。同様のことが、切換要素20の反対側で流出プレートにおいて生じる。
【0047】
方向制御弁ユニット100の2つの可能な接続位置が、
図4および
図5に、それぞれ概略的な側方の断面図で示されている。図中の矢印は、それぞれ可能な流れ方向を示している。
【0048】
図4には、方向制御弁ユニット100の通常運転における出発位置に対応する、
図3Aに示した切換要素20の位置に対応する流路構成が生じている。流体は、流入側の開き開口11.1を通って流入プレート11の主流通路41に流入し、切換要素20に設けられた貫通開口22を通って流出プレート12の主流通路43内に流れ、かつ流出側の開き開口12.1において再び流出する。同時に、流出プレート12.2の開き開口12.2から支流通路44内に流入し、貫通開口23を通って流入プレート11に設けられた支流通路42内へ、かつ開き開口11.2から流出するという逆方向に向けられた流れ接続が生じている。
【0049】
図5では、方向制御弁ユニット100が切換位置にある。流入プレート11に設けられた流れ通路41,42間と、流出プレート12に設けられた流れ通路43,44間とで、切換要素20上のそれぞれ1つの変向通路24,25を介した接続がその都度生じている。切換に基づく流れ方向の反転は
図4および
図5の構成では行われない。
【0050】
図6Aおよび
図6Bは、1つの切換位置における方向制御弁ユニット100’’の別の実施形態の断面をそれぞれ概略的に示している。方向制御弁ユニット100’’の出発位置(図示せず)は、
図4の図面と同様であり、つまり出発位置では、流入プレート11に設けられた流れ通路41,42間と、流出プレート12に設けられた流れ通路43,44間とで、切換要素20’’に設けられた貫通開口のうちのそれぞれ1つの貫通開口による接続がその都度生じている。つまり、一貫した主流通路と一貫した支流通路とが存在している。
【0051】
切換により、主流通路は開いたままであるが、主流通路と支流通路の一部との間に付加的な流れ接続が形成される。このために、切換要素20’’が、一方の側で変向通路24’’を有しており、この変向通路24’’が、切換要素20’’の一方の側で半径方向に延びる、貫通開口に開口する溝を有しており、これにより横断面でL字形の構成が生じる。支流通路44は遮断されており、支流通路42に、流れ方向が維持された状態で主流通路41,43から供給が行われる。
【0052】
この実施形態では、第3の角度位置において、セグメント形状の切換要素20’’に別の変向通路25’’が設けられていてよい。この変向通路25’’も、貫通開口と、切換要素20’’の他方の側に設けられた片側の溝とから構成されており、これにより、流出プレート12に設けられた支流通路44を主流通路43に接続することができる。この場合、流れ方向が反転するので、この位置は、たとえば、支流通路の逆洗のために適している。
【0053】
図7A~
図7Cは、それぞれ
図3A~
図3Cと同様の位置で、切換要素20’の別の実施形態を有する方向制御弁ユニット100’を示している。切換要素20’のセグメント形状、緊締ピン18における支持ならびに貫通開口22の位置および大きさは、第1の実施形態と同一である。違いは、貫通開口22の半径方向外側に位置する切欠き23’の形状であり、切欠き23’は、長孔として、または円弧形の切欠きとして形成されている。切欠きは、同様に、切換要素20’の貫通開口である。
【0054】
図7Aに示した出発位置では、流入プレート11および流出プレート12の2つの主流通路41,43が、貫通開口22によって互いに接続されている。同時に、流入プレート11に設けられた支流通路42および流出プレート12に設けられた支流通路44が、切欠き23’によって互いに接続されている。切欠き23’の断面積領域のうち、支流通路42,44に直接的に整合していない部分にも、同様に圧力が加えられる。この部分はさらに、緊締ピン17,18によって予荷重が加えられた領域内に位置している。
【0055】
図7Bには、
図3Bと同様に、本発明に係る方向制御弁ユニット100の2つの運転状態の間の中間位置が示されている。これらの図面では、半径方向で軸線21の近傍に位置する側で、貫通開口22と変向通路24とが、開き開口11.3を介して互いに接続されていることが見て取れる。同時に、この中間位置において、変向通路24の外側の領域、支流通路42および長孔形の切欠き23’の間にも流れ接続が生じている。変更された切換要素20’により、方向制御弁ユニット100’のこの実施形態では、すべての流れ通路における連続した運転が達成され、つまり、主流通路41,43も支流通路42,44も、切替工程中に完全に遮断されない。
【0056】
図7Cでは、流入プレート11内の流れ通路41,42と流出プレート12内の流れ通路43,44とが対として変向通路24,25を介して互いに接続されている切換位置が再び達成されている。
【符号の説明】
【0057】
100;100’;100’’ 方向制御弁ユニット
1,2 部分円
10 ケーシング
11 流入プレート
11.1,11.2,11.3 開き開口
12 流出プレート
12.1,12.2 開き開口
13,14,15 中間プレート
17,18 緊締要素
19 旋回軸線
20;20’;20’’ 切換要素
21 シール面
22,23;23’;22’’ 貫通開口
24,25;24’’,25’’ 変向通路
26 ブリッジウェブ
29 カム
30 駆動ユニット
31 ハイドロリックシリンダ
32 クロスバー
33 フォーク要素
34 軸
41,43 主流通路
42,44 支流通路
溝、窪み