(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-09
(45)【発行日】2024-04-17
(54)【発明の名称】プラズマ圧縮を制御する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
G21B 1/11 20060101AFI20240410BHJP
H05H 1/02 20060101ALI20240410BHJP
【FI】
G21B1/11 Z
H05H1/02
(21)【出願番号】P 2023541570
(86)(22)【出願日】2021-12-16
(86)【国際出願番号】 CA2021051825
(87)【国際公開番号】W WO2022155726
(87)【国際公開日】2022-07-28
【審査請求日】2023-09-01
(32)【優先日】2021-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523257842
【氏名又は名称】ジェネラル フュージョン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラベルジュ、マイケル
(72)【発明者】
【氏名】プラント、デイビット
(72)【発明者】
【氏名】セガス、ラファエル
(72)【発明者】
【氏名】スミス、ダブリュー.ランドルフ
【審査官】後藤 慎平
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/094043(WO,A1)
【文献】米国特許第10002680(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21B 1/00-3/00
H05H 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)容器壁を有するプラズマ格納容器と、
(b)液体媒体を収容し、回転軸の周りに前記液体媒体を回転させてキャビティを囲む液体ライナを形成するように動作可能である回転コアであって、圧縮流体を収容する環状隙間を画定するように前記容器壁の内面から離間した外面と、前記液体媒体及び前記環状隙間と流体連通するとともに前記回転軸に対して平行な軸方向に沿って離間した複数の爆縮ドライバ層とを含む、回転コアと、
(c)前記環状隙間と流体連通し、前記回転軸に対して平行な軸方向に沿って離間した層になって配置された複数の圧縮ドライバであって、各圧縮ドライバ層が、前記回転軸に対して半径方向に及び前記回転軸に向かう方向に、前記圧縮流体中に個々の圧力パルスを生成するように動作可能であり、複数の圧縮ドライバ層は、前記液体ライナを爆縮するように前記
複数の爆縮ドライバ
層を作動させるとともに前記キャビティ内におけるプラズマを圧縮する組み合わせられた圧力パルスを集合的に形成する複数の個々の圧力パルスを生成する、複数の圧縮ドライバと、
(d)前記複数の圧縮ドライバ層と通信し、前記組み合わせられた圧力パルスが前記軸方向に沿って変化する軌跡を有するよう、少なくとも1つ又は複数の異なる形状、タイミング及び大きさを有する前記個々の圧力パルスを生成するように動作可能であるコントローラと、
を備える、プラズマ圧縮システム。
【請求項2】
各爆縮ドライバ層は、プッシャボアと、前記液体媒体と流体連通するプッシャピストンとをそれぞれが含む複数の爆縮ドライバを含む、請求項1に記載のプラズマ圧縮システム。
【請求項3】
各圧縮ドライバ層は、前記コントローラと通信する原動機を含み、各圧縮ドライバは、ドライバボアと、前記原動機によって移動可能なドライバピストンとを含む、請求項2に記載のプラズマ圧縮システム。
【請求項4】
各圧縮ドライバ層は、少なくとも1つの爆縮ドライバ層と流体連通し、各圧縮ドライバの前記ドライバピストンは、前記原動機による前記ドライバピストンの移動が前記圧縮流体を圧縮するように前記圧縮流体と流体連通し、前記少なくとも1つの爆縮ドライバ層は、圧縮された前記圧縮流体による前記プッシャピストンの移動が前記液体媒体中に前記個々の圧力パルスを生成するように前記圧縮流体と流体連通する、請求項3に記載のプラズマ圧縮システム。
【請求項5】
前記原動機は、加圧ドライバ流体を収容するアキュムレータと、前記コントローラと通信するとともに各圧縮ドライバの前記ドライバピストンに対して前記加圧ドライバ流体を流すように動作可能である弁とを含む、請求項
3または4に記載のプラズマ圧縮システム。
【請求項6】
前記原動機は、電磁源と、前記ドライバボアの壁における電磁コイルと、各圧縮ドライバの前記ドライバピストンにおける導電性要素とを含む、請求項
3または4に記載のプラズマ圧縮システム。
【請求項7】
前記電磁コイルは、前記ドライバボアの長さに沿って延び、前記電磁源は、前記ドライバボアの前記長さに沿って磁界を調整することで各圧縮ドライバの前記ドライバピストンの軌跡プロファイルを制御するように前記コントローラによって動作可能である、請求項6に記載のプラズマ圧縮システム。
【請求項8】
前記原動機は、機械的ばねを含む、請求項
3または4に記載のプラズマ圧縮システム。
【請求項9】
ドライバ流体を前記ドライバボアから排出する少なくとも1つの排出ポートを各圧縮ドライバの前記ドライバボア内にさらに備え、前記排出ポートは、前記ドライバ流体によって前記ドライバピストンに印加される圧力を調整することで前記ドライバピストンの前記軌跡プロファイルを制御するように前記コントローラによって動作可能な排出弁を含む、請求項
7に記載のプラズマ圧縮システム。
【請求項10】
前記ドライバボアから前記圧縮流体を排出する少なくとも1つの排出ポートを各圧縮ドライバの前記ドライバボア内にさらに備え、前記排出ポートは、前記圧縮流体によって前記ドライバピストンに印加される圧力を調整することで前記ドライバピストンの前記軌跡プロファイルを制御するように前記コントローラによって動作可能な排出弁を含む、請求項
7に記載のプラズマ圧縮システム。
【請求項11】
各圧縮ドライバの前記ドライバボアの遠位端に電極をさらに備え、前記電極は、電気アークを発生させて前記圧縮流体を加熱することで前記ドライバピストンの前記軌跡プロファイルを制御するように前記コントローラによって動作可能である、請求項
7に記載のプラズマ圧縮システム。
【請求項12】
各圧縮ドライバは、加圧ガスを蓄えるアキュムレータと、前記アキュムレータ及び前記容器壁における容器壁開口と流体連通する駆動弁とを含み、前記コントローラは、前記駆動弁と連通し、前記駆動弁を開くとともに加圧圧縮流体を前記アキュムレータから前記環状隙間内へ放出することで前記圧縮流体中に前記個々の圧力パルスを生成するように動作可能である、請求項2に記載のプラズマ圧縮システム。
【請求項13】
各圧縮ドライバは、解放タンクと、前記解放タンク及び前記容器壁開口と流体連通する反動弁とをさらに含み、前記コントローラは、前記反動弁と通信し、前記加圧圧縮流体が前記環状隙間内へ放出された後で前記駆動弁を閉じてから前記反動弁を開くことで前記加圧圧縮流体が前記環状隙間から前記解放タンク内へ流れることを可能にするように動作可能である、請求項12に記載のプラズマ圧縮システム。
【請求項14】
前記駆動弁及び前記反動弁と通信するコントローラをさらに備え、前記コントローラは、プロセッサと、命令が符号化されているコンピュータ可読メモリであって、前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記コントローラに、前記加圧ガスが前記アキュムレータから前記環状隙間内へ流れる、圧縮ショットの圧縮段階中、前記駆動弁を開かせるとともに前記反動弁を閉じさせ、前記加圧ガスの一部が前記環状隙間から前記アキュムレータ内へ流れる、前記圧縮ショットの反動復帰段階中、前記駆動弁を開いた状態に保つとともに前記反動弁を閉じた状態に保たせ、及び前記加圧ガスの他の一部が前記環状隙間から前記解放タンク内へ流れるエネルギー散逸段階中、前記駆動弁を閉じさせるとともに前記反動弁を開かせる、コンピュータ可読メモリとを有する、請求項13に記載のプラズマ圧縮システム。
【請求項15】
前記アキュムレータ内に位置決めされる1つ又は複数の加熱素子であって、前記圧縮ショット前に前記圧縮流体を加熱するように動作可能な1つ又は複数の加熱素子をさらに備える、請求
項14に記載のプラズマ圧縮システム。
【請求項16】
前記アキュムレータ内に位置決めされる1つ又は複数の電極であって、電気アークを発生させて前記圧縮ショット中に前記圧縮流体を加熱するように動作可能な1つ又は複数の電極をさらに備える、請求
項14に記載のプラズマ圧縮システム。
【請求項17】
前記複数の圧縮ドライバ層は、少なくとも1つの中央圧縮ドライバ層と、前記少なくとも1つの中央圧縮ドライバ層のそれぞれ上及び下の少なくとも1つの上部圧縮ドライバ層及び下部圧縮ドライバ層とを含み、前記コントローラは、前記少なくとも1つの中央圧縮ドライバ層の大きさ及びタイミングよりも大きい大きさ又はより早いタイミングを有する前記上部圧縮ドライバ層及び前記下部圧縮ドライバ層における個々の圧力パルスを制御するように動作可能である、請求項1から16までのいずれか一項に記載のプラズマ圧縮システム。
【請求項18】
前記容器と流体連通し、プラズマを前記キャビティ内へ注入するように動作可能なプラズマ発生器をさらに備える、請求項1から17までのいずれか一項に記載のプラズマ圧縮システム。
【請求項19】
各圧縮ドライバ層は、前記回転軸の周りに半径方向に前記容器に取り付けられる複数の圧縮ドライバを含む、請求項1から18までのいずれか一項に記載のプラズマ圧縮システム。
【請求項20】
前記回転コアの外面又は前記容器壁の内面の周りにそれぞれ延びる環状シールであって、前記回転軸に対して平行な軸方向に沿って各圧縮ドライバ層間に離間する環状シールをさらに備える、請求項1から19までのいずれか一項に記載のプラズマ圧縮システム。
【請求項21】
前記コントローラは、前記個々の圧力パルスの前記形状、タイミング及び大きさの少なくとも1つを調整して、球形又は卵形の軌跡を有する組み合わされた圧力パルスを生成するように動作可能である、請求項1から20までのいずれか一項に記載のプラズマ圧縮システム。
【請求項22】
プラズマを圧縮する方法であって、前記方法は、
(a)キャビティを囲む液体ライナを形成するように、液体媒体を収容する回転コアを回転軸の周りに回転させることと、
(b)プラズマを前記キャビティ内へ注入することと、
(c)前記回転軸に対して平行な軸方向に沿って離間した複数の圧縮ドライバ層から前記液体媒体中に複数の個々の圧力パルスを生成することであって、各個々の圧力パルスは、前記回転軸に対して垂直な方向に前記回転軸へ向かって移動し、前記複数の個々の圧力パルスは、前記液体ライナを爆縮させるように前記回転コア内の複数の爆縮ドライバを作動させるとともに前記キャビティ内のプラズマを圧縮する組み合わされた圧力パルスを集合的に形成する、複数の個々の圧力パルスを生成することと、
を含み、
前記複数の個々の圧力パルスの前記個々の圧力パルスの形状、タイミング、及び大きさのうちの1つ又は複数は、前記組み合わされた圧力パルスが前記軸方向に沿って変化する軌跡を有するように異なる、方法。
【請求項23】
前記複数の個々の圧力パルスは、少なくとも1つの中央圧力パルスと、前記少なくとも1つの中央圧力パルスの上に少なくとも1つの上部圧力パルスと、前記少なくとも1つの中央圧力パルスの下に少なくとも1つの下部圧力パルスとを含み、前記上部圧力パルス及び前記下部圧力パルスは、前記少なくとも1つの中央圧力パルスの前記大きさ及び前記タイミングよりも大きい大きさ及びより早いタイミングのうちの一方又は両方を有する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記複数の
個々の圧力パルスの前記タイミング及び前記大きさは、球形又は卵形の軌跡を有する組み合わされた圧力パルスを生成する、請求項23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に、プラズマ圧縮を制御する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書において別段に指示しない限り、本セクションにおいて説明される材料は、本出願における特許請求の範囲に対する先行技術ではなく、本セクションに含めることによって先行技術であると認めるものではない。
【0003】
核融合は、2つの原子核を結合するプロセスであり、それにより、反応がエネルギーを放出する。エネルギー放出は、反応物と核融合反応生成物との質量の僅かな差によるものであり、dE=dmc2によって決定される。一般的な反応物は、重水素(陽子が1つ及び中性子が1つである水素原子核)及びトリチウム(1つの陽子及び2つの中性子を持つ水素原子核)のプラズマ形態である。これら2つの反応物の核融合により、ヘリウム4原子核、中性子、及び熱として捕捉されたエネルギーが発生する。反応物の核融合を達成するには、反応物の高い温度及び高い圧力(密度)が必要とされる。核融合への特定のアプローチのための融合条件は、圧力がおよそ800メガパスカル及びプラズマ温度が摂氏1.5億度であり得る。
【0004】
プラズマは、ガスに類似した物質の状態であり、イオン化されたガス及び自由電子からなる。反応容器の内部のイオン化された核融合反応物を含むプラズマを用いて核融合反応を開始することができる。例えば、プラズマの核融合に十分な温度及び密度を有する条件を達成するために、プラズマが配置され、閉じ込められ、且つ圧縮される必要がある。プラズマを操作及び圧縮するためのいくつかのアプローチが知られている。一アプローチでは、導電性コイルが反応容器の周囲に位置決めされ、電流により励磁されて磁界をもたらす。この磁界が磁化プラズマと相互作用して、その形状、位置、及び、いくつかのアプローチでは、その圧縮(密度)を操作する。核融合条件を達成するための他のアプローチは、プラズマを圧縮するために強い磁界を用いることを伴い、その間、断熱加熱がプラズマを核融合条件にもたらす。しかしながら、これらのアプローチのいくつかは、核融合生成物が、これまで、これらのプラズマ圧縮システムでは、これらシステムが消費するよりも多くのエネルギーを生成してきていないことを明示している。
【0005】
核融合条件を達成するための別のアプローチは、機械的ピストンなどのより慣例的な手段を使用して水素プラズマを圧縮することである。これらの機械的プラズマ圧縮システムは、プラズマが配置される略円筒形のキャビティを形成することによって核融合エネルギー装置内のプラズマを圧縮する。遠心力が回転シリンダの壁に対して液体金属を移動させ、液体ライナを形成するように、液体金属キャビティ・ライナを回転させることによって、円筒キャビティが形成される。液体金属ライナは、キャビティを半径方向に爆縮させることによって崩壊される。プラズマは、液体金属ライナが崩壊する際に圧縮される。この圧縮中、核融合条件が達成され、核融合反応が起こり、熱副産物が液体金属ライナ内へ放出される。この熱エネルギーは、被加熱液体金属を、従来の熱交換器を通して循環させることによって、核融合エネルギー装置から除去される。この種のプラズマ圧縮システムは、磁化標的核融合(「MTF:Magnetized Target Fusion」)、以下「MTF」として知られており、General Fusion社によって使用されるプラズマ圧縮システムである。
【0006】
液体ライナ内にキャビティを形成するとともに液体ライナを爆縮させるいくつかの既知のシステムは、円筒形状の液体ライナを半径方向に爆縮させることによって崩壊される略円筒形のキャビティを形成する。そのような従来技術の爆縮型液体ライナ・システムの一実例は、1970年代に米国海軍研究所において開発されたLINUSシステムである。LINUSシステムでは、回転する円筒形の液体金属ライナが自由ピストンによって半径方向に駆動される。これらピストンは、高圧ガスによって軸方向に駆動され、回転する液体ライナの自由表面の半径方向運動を引き起こす。液体金属の初期回転は、液体媒体が収容される円筒容器を回転させることによって提供される。円筒容器及びピストンを含むシステム全体がその長手方向軸の周りに回転するため、円筒キャビティが回転軸に沿って回転軸と同軸に形成される。商業規模でのパワーを生成するのに十分に大きいものである仮定的なLINUSシステムでは、このシステムの回転質量は、非常に大きな求心的構造力をつくり出す。
【0007】
そのような従来技術システムの別の実例は、2009年にGeneral Fusion社によって開発されたLabergeらによる米国特許第10,002,680(B2)号(2018年6月)である。このシステムでは、回転する液体材料ライナが、圧力容器内の渦キャビティをつくり出し、ライナの爆縮及びキャビティ内へ注入されたプラズマの圧縮が、圧力容器の周りに半径方向に位置決めされたアンビルを打つ移動可能なピストンによって生成された音響圧力波によって駆動される。これらのピストンは、圧力容器の外壁に固定的に取り付けられたボア内に移動する。
【0008】
そのような従来技術システムの別の実例は、2017年にGeneral Fusion社によって開発されたZimmermanらによる米国特許第10,798,808(B2)号(2020年10月)である。このシステムでは、液体媒体中に浸漬されたロータが、液体媒体を循環して、プラズマを含む渦キャビティを囲む液体ライナをつくり出し、液体ライナが次いで、圧力容器の外側に半径方向に位置決めされているとともに圧力容器に固定的に取り付けられた圧縮ドライバによって崩壊される。この設計では、液体媒体は、液体媒体がロータと回転しない圧力容器との間の隙間にわたるように圧縮ドライバを部分的に満たす。環状隙間内の流体は液体である。ロータが液体ライナを循環すると、隙間内の液体媒体が、流体結合に起因して大きいせん断力を受け、トルクを相殺するとともにロータを駆動するためのさらなるエネルギーを必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】米国特許第10,002,680(B2)号
【文献】米国特許第10,798,808(B2)号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
液体ライナを爆縮させるとともにプラズマを圧縮する既存のシステムに対する改善を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様によれば、容器壁を有するプラズマ格納容器と、回転コアと、複数の圧縮ドライバ層と、コントローラとを備える、プラズマ圧縮システムが提供される。回転コアは、液体媒体を収容し、回転軸の周りに液体媒体を回転させてキャビティを囲む液体ライナを形成するように動作可能である。回転コアは、圧縮流体を収容する環状隙間を画定するように容器壁の内面から離間した外面と、液体媒体及び環状隙間と流体連通するとともに回転軸に対して平行な軸方向に沿って離間した複数の爆縮ドライバ層とを含む。いくつかの態様では、圧縮流体はガスである。複数の圧縮ドライバ層は、環状隙間と流体連通し、回転軸に対して平行な軸方向に沿って離間している。各圧縮ドライバ層が、回転軸に対して半径方向に及び回転軸に向かう方向に、圧縮流体中に個々の圧力パルスを生成するように動作可能であり、複数の圧縮ドライバ層は、液体ライナを爆縮させるように爆縮ドライバを作動させるとともにキャビティ内のプラズマを圧縮する組み合わされた圧力パルスを集合的に形成する複数の個々の圧力パルスを生成する。コントローラは、複数の圧縮ドライバ層と通信し、組み合わせられた圧力パルスが軸方向に沿って変化する軌跡を有するよう、少なくとも1つ又は複数の異なる形状、タイミング及び大きさをそれぞれが有する複数の個々の圧力パルスを生成するように動作可能である。プラズマ圧縮システムは、容器と流体連通するとともに、プラズマをキャビティ内へ注入するように動作可能であるプラズマ発生器をさらに備えることができる。
【0012】
各圧縮ドライバ層は、回転軸の周りに半径方向に容器に取り付けられる複数の圧縮ドライバをさらに含むことができる。一態様では、各圧縮ドライバ層はまた、コントローラと通信する原動機を含み、各圧縮ドライバは、ドライバボアと、原動機によって移動可能なドライバピストンとを含む。各爆縮ドライバ層は、プッシャボアと、液体媒体と流体連通するプッシャピストンとをそれぞれが有する複数の爆縮ドライバを含むことができる。各圧縮ドライバ層は、少なくとも1つの爆縮ドライバ層と流体連通することができ、各圧縮ドライバのドライバピストンは、原動機によるドライバピストンの移動が圧縮流体を圧縮するように圧縮流体と流体連通し、少なくとも1つの爆縮ドライバ層は、圧縮された圧縮流体によるプッシャピストンの移動が液体媒体中に個々の圧力パルスを生成するように圧縮流体と流体連通する。
【0013】
原動機は、加圧ドライバ流体を収容するアキュムレータと、コントローラと通信するとともに各圧縮ドライバのドライバピストンに対して加圧ドライバ流体を流すように動作可能である弁とを含むことができる。代替的に、原動機は、電磁源と、ドライバボアの壁における電磁コイルと、各圧縮ドライバのドライバピストンにおける導電性要素とを含むことができる。電磁コイルは、ドライバボアの長さに沿って延びることができ、電磁源は、ドライバボアの長さに沿って磁界を調整することで各圧縮ドライバのドライバピストンの軌跡プロファイルを制御するようにコントローラによって動作可能であるものとすることができる。代替的に、原動機は、機械的ばねを含むことができる。
【0014】
プラズマ圧縮システムは、ドライバ流体をドライバボアから排出する少なくとも1つの排出ポートを各圧縮ドライバのドライバボア内にさらに備えることができ、そのような場合、排出ポートは、ドライバ流体によってドライバピストンに印加される圧力を調整することでドライバピストンの軌跡プロファイルを制御するようにコントローラによって動作可能な排出弁を含むことができる。さらに、ドライバボアから圧縮流体を排出する排出ポートを設けることができ、そのような場合、排出ポートは、圧縮流体によってドライバピストンに印加される圧力を調整することでドライバピストンの軌跡プロファイルを制御するようにコントローラによって動作可能な排出弁を含む。
【0015】
プラズマ圧縮システムは、各圧縮ドライバのドライバボアの遠位端に電極をさらに備えることができる。これらの電極は、電気アークを発生させて圧縮流体を加熱することでドライバピストンの軌跡プロファイルを制御するようにコントローラによって動作可能である。
【0016】
別の態様では、各圧縮ドライバは、加圧ガスを蓄えるアキュムレータと、アキュムレータ及び容器壁における容器壁開口と流体連通する駆動弁とを含む。コントローラは、駆動弁と連通し、駆動弁を開くとともに加圧圧縮流体をアキュムレータから環状隙間内へ放出することで圧縮流体中に個々の圧力パルスを生成するように動作可能である。各圧縮ドライバは、解放タンクと、解放タンク及び容器壁開口と流体連通する反動弁とをさらに含むことができ、コントローラは、反動弁と通信し、加圧圧縮流体が環状隙間内へ放出された後で駆動弁を閉じてから反動弁を開くことで加圧圧縮流体が環状隙間から解放タンク内へ流れることを可能にするように動作可能である。コントローラは、プロセッサと、命令が符号化されているコンピュータ可読メモリであって、命令は、当該プロセッサによって実行されると、コントローラに、加圧ガスがアキュムレータから環状隙間内へ流れる、圧縮ショットの圧縮段階中、駆動弁を開かせるとともに反動弁を閉じさせ、加圧ガスの一部が環状隙間からアキュムレータ内へ流れる、圧縮ショットの反動復帰段階中、駆動弁を開いた状態に保つとともに反動弁を閉じた状態に保たせ、また、加圧ガスの他の一部が環状隙間から解放タンク内へ流れるエネルギー散逸段階中、駆動弁を閉じさせるとともに反動弁を開かせる、コンピュータ可読メモリとを有することができる。代替的に、コントローラの代わりに、同じ機能を提供する機械的アセンブリを用いることができる。
【0017】
プラズマ圧縮システムは、回転コアの外面又は容器壁の内面の周りにそれぞれ延びる環状シールをさらに備えることができる。環状シールは、回転軸に対して平行な軸方向に沿って各圧縮ドライバ層間に離間することができる。
【0018】
複数の圧縮ドライバ層は、少なくとも1つの中央圧縮ドライバ層と、少なくとも中央圧縮ドライバ層のそれぞれ上及び下の上部圧縮ドライバ層及び下部圧縮ドライバ層とを含むことができる。そのような場合、コントローラは、少なくとも1つの中央圧縮ドライバ層の大きさ及びタイミングよりも大きい大きさ又はより早いタイミングを有する上部圧縮ドライバ層及び下部圧縮ドライバ層における個々の圧力パルスを制御するように動作可能である。コントローラはまた、個々の圧力パルスの形状、タイミング及び大きさの少なくとも1つを調整して、球形又は卵形の軌跡を有する組み合わされた圧力パルスを生成するように動作可能であるものとすることができる。
【0019】
別の態様によれば、プラズマを圧縮する方法であって、キャビティを囲む液体ライナを形成するように、液体媒体を収容する回転コアを回転軸の周りに回転させることと、プラズマをキャビティ内へ注入することと、回転軸に対して平行な軸方向に沿って離間した複数の圧縮ドライバ層から液体媒体中に複数の個々の圧力パルスを生成することと、を含む方法が提供される。各個々の圧力パルスは、回転軸に対して垂直な方向に回転軸へ向かって移動する。複数の個々の圧力パルスは、液体ライナを爆縮させるように回転コア内の複数の爆縮ドライバを作動させるとともにキャビティ内のプラズマを圧縮する組み合わされた圧力パルスを集合的に形成する。複数の個々の圧力パルスの形状、タイミング、及び大きさのうちの1つ又は複数は、組み合わされた圧力パルスが軸方向に沿って変化する軌跡を有するように異なる。複数の個々の圧力パルスは、少なくとも1つの中央圧力パルスと、少なくとも1つの中央圧力パルスの上に上部圧力パルスと、少なくとも1つの中央圧力パルスの下に下部圧力パルスとを含むことができ、上部圧力パルス及び下部圧力パルスは、少なくとも1つの中央圧力パルスの大きさ及びタイミングよりも大きい大きさ及びより早いタイミングのうちの一方又は両方を有することができる。複数の個別の圧力パルスのタイミング及び大きさは、球形又は卵形の軌跡を有する組み合わされた圧力パルスを生成することができる。
【0020】
上記で説明された態様及び実施例に加え、さらなる態様及び実施例が図面の参照及び以下の詳細な説明の検討によって明らかとなる。
【0021】
図面を通して、参照番号は、参照される要素間の対応を示すために再使用される場合がある。図面は、本明細書において説明される例示的な実施例を示すために提供されており、本開示の範囲を限定することを意図していない。図面における要素のサイズ及び相対位置は、必ずしも縮尺通りに描かれていない。例えば、様々な要素の形状及び角度が縮尺通りに描かれておらず、これら要素のいくつかは、図面の見やすさを高めるように任意に拡大及び配置される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】一実施例による、プラズマ格納容器に固定的に取り付けられた複数の圧縮ドライバと、容器内で回転可能であるとともに複数の爆縮ドライバを含む回転コアとを備えるプラズマ圧縮システムの側面断面図である。
【
図2A】圧縮ドライバと、複数の爆縮ドライバであって、各爆縮ドライバがプッシャピストン及びプッシャボアを含む複数の爆縮ドライバとの種々の実施例のうちの1つを含む、プラズマ圧縮システムの1つの圧力ゾーンの側面断面図であり、ドライバピストン及びドライバボアを含む、第1の実施例による圧縮ドライバを示す。
【
図2B】圧縮ドライバと、複数の爆縮ドライバであって、各爆縮ドライバがプッシャピストン及びプッシャボアを含む複数の爆縮ドライバとの種々の実施例のうちの1つを含む、プラズマ圧縮システムの1つの圧力ゾーンの側面断面図であり、駆動弁と流体連通するアキュムレータと、反動弁と流体連通する解放タンクとを含む、第2の実施例による圧縮ドライバを示す。
【
図3】プロトタイプの実施例による、容器に取り付けられたいくつかの圧縮ドライバの写真である。
【
図4】容器における圧縮ドライバの配向及び回転コア内の爆縮ドライバの配向を示す、第1の実施例による圧縮ドライバを有するプラズマ圧縮システムの部分断面平面図である。
【
図5A】第1の実施例による1つの圧縮ドライバと、或る時間期間にわたる動作における圧力ゾーンの複数の爆縮ドライバとの側面断面図であり、原動力によりトリガされる前の開始位置にドライバピストンがある圧縮ドライバを示す。
【
図5B】第1の実施例による1つの圧縮ドライバと、或る時間期間にわたる動作における圧力ゾーンの複数の爆縮ドライバとの側面断面図であり、ドライバボア内における総移動範囲のおよそ三分の一のところにあるドライバピストンを示す。
【
図5C】第1の実施例による1つの圧縮ドライバと、或る時間期間にわたる動作における圧力ゾーンの複数の爆縮ドライバとの側面断面図であり、ドライバピストンがプッシャピストンに近づく際の、プッシャピストンが加速される直前のドライバピストンを示す。
【
図5D】第1の実施例による1つの圧縮ドライバと、或る時間期間にわたる動作における圧力ゾーンの複数の爆縮ドライバとの側面断面図であり、プッシャピストンがプッシャボアに沿って加速されつつドライバボアの遠位端にあるドライバピストンを示す。
【
図5E】第1の実施例による1つの圧縮ドライバと、或る時間期間にわたる動作における圧力ゾーンの複数の爆縮ドライバとの側面断面図であり、プッシャボア内の移動限界にあるプッシャピストンを示す。
【
図6A】圧縮ショット時の種々の段階のうちの1つにおける第2の実施例による1つの圧縮ドライバの一部の側面断面図であり、ショット前段階にある、圧縮ドライバの弁状態を示す。
【
図6B】圧縮ショット時の種々の段階のうちの1つにおける第2の実施例による1つの圧縮ドライバの一部の側面断面図であり、圧縮段階にある弁状態を示す。
【
図6C】圧縮ショット時の種々の段階のうちの1つにおける第2の実施例による1つの圧縮ドライバの一部の側面断面図であり、反動復帰段階にある弁状態を示す。
【
図6D】圧縮ショット時の種々の段階のうちの1つにおける第2の実施例による1つの圧縮ドライバの一部の側面断面図であり、エネルギー散逸段階にある弁状態を示す。
【
図7A】容器壁に近接した圧縮ドライバの第1の実施例のドライバピストン及び複数のプッシャピストンの部分断面斜視図である。
【
図7B】容器壁に近接した圧縮ドライバ及び複数のプッシャピストンの第2の実施例の複数のアキュムレータ及び駆動弁の部分断面斜視図である。
【
図8A】外壁に複数のポートが形成されているプラズマ格納容器と、容器のポートに連結された圧縮ドライバと、回転コアとを示すプラズマ圧縮システムの種々の実施例のうちの1つの部分断面斜視図であり、圧縮ドライバの第1の実施例を示す。
【
図8B】外壁に複数のポートが形成されているプラズマ格納容器と、容器のポートに連結された圧縮ドライバと、回転コアとを示すプラズマ圧縮システムの種々の実施例のうちの1つの部分断面斜視図であり、圧縮ドライバの第2の実施例を示す。
【
図9】垂直に積み重ねられたポート層を有する容器を示す、プラズマ圧縮システムのプロトタイプの実施例の一部の写真である。
【
図10】爆縮ドライバプッシャボアの垂直に積み重ねられた層を示す、プロトタイプの実施例の回転コアの写真である。
【
図11A】圧縮ドライバの第1の実施例を用いた、プラズマ圧縮システムのための制御システムにおいて符号化された圧縮動作プログラムを示すフロー・チャートである。
【
図11B】圧縮ドライバの第2の実施例を用いた、プラズマ圧縮システムのための制御システムにおいて符号化された圧縮動作プログラムを示すフロー・チャートである。
【
図12】5つの圧縮ドライバ層によって生成された圧力パルスの圧力-時間グラフである。
【
図13A】
図14A~
図14Dに示す圧力パルスを生成するための動作時における5つの圧縮ドライバ層のうちの3つを示す2段圧縮ドライバ実施例の部分断面斜視図である。
【
図13B】
図14A~
図14Dに示す圧力パルスを生成するための動作時における5つの圧縮ドライバ層のうちの3つを示す2段圧縮ドライバ実施例の部分断面斜視図である。
【
図13C】
図14A~
図14Dに示す圧力パルスを生成するための動作時における5つの圧縮ドライバ層のうちの3つを示す2段圧縮ドライバ実施例の部分断面斜視図である。
【
図13D】
図14A~
図14Dに示す圧力パルスを生成するための動作時における5つの圧縮ドライバ層のうちの3つを示す2段圧縮ドライバ実施例の部分断面斜視図である。
【
図13E】
図14A~
図14Dに示す圧力パルスを生成するための動作時における5つの圧縮ドライバ層のうちの3つを示す2段圧縮ドライバ実施例の部分断面斜視図である。
【
図14A】圧縮動作時における種々の時間期間のうちの1つにおける、容器内の液体媒体を駆動する圧力パルスのシミュレーションの画像である。
【
図14B】圧縮動作時における種々の時間期間のうちの1つにおける、容器内の液体媒体を駆動する圧力パルスのシミュレーションの画像である。
【
図14C】圧縮動作時における種々の時間期間のうちの1つにおける、容器内の液体媒体を駆動する圧力パルスのシミュレーションの画像である。
【
図14D】圧縮動作時における種々の時間期間のうちの1つにおける、容器内の液体媒体を駆動する圧力パルスのシミュレーションの画像である。
【
図15】プラズマ圧縮システムに接続されたプラズマ圧縮装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本明細書において説明される実施例は、プラズマを格納するキャビティを囲む液体ライナを爆縮させることでプラズマを圧縮するために、プラズマ圧縮システムによって発生する圧力パルス(集合的に「圧力パルス軌跡」と呼ばれる)の形状、タイミング、及び大きさのうちの1つ又は複数を操作するように動作可能な制御システム及び方法に関する。液体ライナ及びキャビティは、容器内の液体媒体を回転させることによってつくり出される。圧縮ドライバ層が、液体媒体の回転軸の周りに半径方向に延在し、容器の内側で回転可能な回転コア内の1つ又は複数の爆縮ドライバ層に沿って、リング形状を有する圧力ゾーンを画定する。爆縮ドライバ及び圧縮ドライバの複数の層が、回転軸に対して軸方向に積み重ねられて、回転軸に対して平行な方向に延在する複数の圧力ゾーンを形成する。制御システムは、各圧力ゾーン又は圧力ゾーン群において異なる圧力パルス軌跡をそれぞれが有する個々の圧力パルスを生成するように各圧力ゾーン又は圧力ゾーン群を別個に制御する。複数の個々の圧力パルスは、回転軸に沿って変わる圧力パルス軌跡(本明細書において「成形圧力パルス軌跡」と呼ばれる)を有する組み合わされた圧力パルスを集合的に形成する。この組み合わせられた圧力パルスは液体ライナの爆縮軌跡をつくり出し、この爆縮軌跡も同様に回転軸に沿って変わる。いくつかの実施例では、制御システムは、略球形又は卵形の液体ライナ爆縮軌跡をもたらす成形圧力パルス軌跡を有する組み合わせられた圧力パルスを生成する。
【0024】
図1~
図15を参照すると、いくつかの実施例によれば、プラズマ圧縮システム1は、プラズマ格納容器3と、容器3の内側で回転可能であるとともに複数の爆縮ドライバ5を有する環状回転コア2と、容器3の外側に固定的に取り付けられた複数の圧縮ドライバ4、40とを備える。プラズマ格納容器3は、複数のポート12を有する外壁を有し、回転コア2は、環状隙間10(
図2、
図4を参照)を画定するように容器壁3の内面から離間した外面と、内部容積を画定する内面とを有する。例示の実施例における容器3及び回転コア2は円筒形であるが、容器3及び回転コア2は、代替的な実施例による種々の幾何学形状を有することができる。例えば、容器3は、球形又は卵形(図示せず)とすることができ、回転コア2は、直線(円筒形)状であるか又は容器壁3の内側の曲率に適合する湾曲を有する湾曲状である外面と、直線(円筒形)状又は湾曲状とすることができる内面(図示せず)とを有することができる。別の実例では、容器3の内壁は、変化する半径方向直径の円形段(図示せず)を有することができ、回転コア2は、容器の内壁にある段に適合する半径方向直径を有する段付きの外面を有することができる。回転コア2は、単体の円筒形ユニットからなっていてもよく、又は、代替的な実施例では、回転コア2を形成するように一緒に接合される複数の成形セクション(図示せず)からなっていてもよい。回転コア2の構成又はそのセクションは、回転コア2内のトポロジー及び応力負荷を最適化する内部ウェブ構造をつくり出すために、従来の金属成形及びミルライト技術(millright technique)を使用してもよく、又は金属印刷技術を使用してもよい。
【0025】
容器3の構成は、単一シリンダであってもよく、又は、代替的な実施例では、容器3は、直線(円筒形)状であるか又は容器3の内壁の曲率に適合する湾曲を有する湾曲状である外面と、直線(円筒形)状又は湾曲状とすることができる内面(図示せず)とを有する一連の積み重ねられたリング(図示せず)から組み立てられてもよい。組み立てられたリングは、従来技術において知られている手段によって、例えば、積み重ねられたリング接触面を溶接することによって、又は、ボルトなどの、積み重ねられたリング組立体に張力をかけるための手段の使用によって接合されてもよい。
【0026】
これらの実施例では、圧縮ドライバ4、40は、容器3の周りに、回転コアの回転軸に対して垂直に延出し、回転軸に対して平行な方向に延在する、軸方向に積み重ねられた層になって配置される。他の実施例では、圧縮ドライバ4、40は、異なる配向で取り付けることができ、例えば、回転軸に対して非垂直に取り付けることができる。爆縮ドライバ5は、回転コア2を通って、回転軸に対して垂直に延出し、回転軸に対して平行な方向に延在する、軸方向に積み重ねられた層になって配置される。圧縮ドライバ4の各層は、回転軸に対して垂直に延在する圧力ゾーンを画定するように爆縮ドライバ5の1つ又は複数の層と整列する。複数の軸方向に積み重ねられた圧力ゾーンは、回転軸に対して平行な方向に延在する。
【0027】
回転コア2は、プラズマを注入することができる略円筒形のキャビティ28(
図14Aを参照)を囲む概ね円筒形の液体ライナ27をつくり出すように回転軸の周りに回転コア2によって循環することができる液体媒体を収容する。コントローラ32が、プロセッサと、圧縮動作を行うようにプロセッサによって実行可能なプログラムコードが符号化されているメモリとを含み、圧縮ドライバ4が、選択された圧力パルス軌跡をそれぞれが有する個々の圧力パルスを生成するために各圧力ゾーン内において圧縮流体を圧縮するように動作される。個々の圧力パルスはともに、成形圧力パルス軌跡を有する組み合わせられた圧力パルスを形成し、環状隙間10にわたって送られることで、爆縮ドライバ5が液体媒体を内方へ押し、所望の爆縮軌跡に応じて液体ライナ27を崩壊させ、プラズマを圧縮する。液体媒体は、溶融リチウムなどの液体金属とすることができ、圧縮流体は、ヘリウムなどの軽ガスとすることができる。
【0028】
第1の実施例によれば、特に
図2A、
図4、
図5A~
図5E、
図7A、
図8A及び
図13A~
図13Eを参照すると、圧縮ドライバ4がそれぞれ、ドライバボア13と、圧縮流体を圧縮するためにドライバボア内で摺動可能なドライバピストン15とを含む(「二段圧縮ドライバ実施例」)。ドライバ壁14が、容器壁3の外面に固定的に取り付けられ、ドライバボア13は、容器壁3における対応するポート12と流体連通する遠位端を有する。爆縮ドライバ5はそれぞれ、プッシャピストン6が内部で摺動可能であるプッシャボア9を含む。プッシャボア9は、回転コア2を通って延在し、環状隙間10と流体連通する近位端7と、液体媒体と流体連通する遠位端8とを有する。圧縮流体は、環状隙間10を満たし、ドライバピストン15及びプッシャピストン6と流体連通する。
【0029】
回転コア2が電気駆動モータ、蒸気タービン又は他の形態の回転ドライブによって回転すると、液体媒体が求心力によりプッシャボア9を満たし、キャビティ28を画定する液体ライナ27が形成される。プラズマ発生器29(
図15を参照)がこのキャビティ内にプラズマを注入する。液体媒体は、回転コア2内に完全に収容される(すなわち、容器壁3に接触しない)ため、最小限の乱流又はキャビティの表面摂動による固体回転状態にある。圧縮動作において、コントローラ32は原動機を作動させ、この原動機がドライバピストン15を容器壁3におけるポート12へ押すことで、環状隙間10内の圧縮流体を圧縮し、圧力パルスを生成する。これがプッシャピストン6に圧力をかけ、そのため、プッシャピストン6が液体媒体を内方へ押して、液体ライナ27を崩壊し、プラズマを圧縮する。圧縮流体のせん断層が、環状隙間10内に形成され、このせん断層は軽ガスであるため、回転コア2を駆動するのに必要とされるパワーは、液体媒体中に浸漬されたロータを使用する設計に比して著しく低く、液体媒体のせん断層をつくり出す。
【0030】
各爆縮ドライバ5は、質量がドライバピストン15の質量よりも低いプッシャピストン6と、長さがドライバボア13の長さよりも短いプッシャボア9とを有する。これにより、圧縮ドライバ4が、圧縮ドライバ4における、より長くより低いパワーの機械的入力を爆縮ドライバ5における、より短くより高いパワーの機械的出力に変換することが可能となり、これは、高い圧力の短いパルスを必要とする用途において有用であるものとすることができる。さらに、各圧力ゾーンでの爆縮ドライバ5及び圧縮ドライバ4についてのピストン質量比及びボア長比は、各圧力ゾーンにおいて生成される個々の圧力パルスの圧力パルス軌跡を成形するように選択することができる。例えば、上部圧力ゾーン及び下部圧力ゾーンでの爆縮ドライバ5及び圧縮ドライバ4についてのピストン質量比及びボア長比は、上部圧力ゾーンと下部圧力ゾーンとの間における圧力ゾーン内に生成される個々の圧力パルスよりも高い振幅を有する個々の圧力パルスを生成するように選択することができる。
【0031】
特に
図1及び
図2Aを参照すると、コントローラ32は、圧力ゾーンでの圧縮ドライバ4と通信するとともに圧縮ドライバ4の動作を制御して圧力ゾーンにおける個々の圧力パルスの形状、タイミング及び大きさを操作するように動作可能であり、これが次いで、爆縮ドライバ5によって液体ライナ27の爆縮軌跡を操作する。この実施例における原動機は、弁16によってドライバボア13の近位端に接続されたアキュムレータ17を含み、コントローラ32は弁16の動作を制御し、弁は、開かれて高圧ガス(「ドライバ流体」)を放出して、ドライバピストン15を移動させ、ドライバピストン15の前においてドライバボア13内の圧縮流体を圧縮することができる。この用途のため、圧縮流体は、圧縮することができるとともに一実施態様ではガスとすることができる任意の流体を意味する。別の実施態様では、圧縮流体は、ピストン15とピストン6との間でのドライバボア13内の圧縮流体が圧縮可能である限り、ガスと液体媒体との混合物とすることができる。例示の実施例では、各圧縮ドライバ4がそれ自体のアキュムレータ17を含むが、代替的な実施例では、複数の圧縮ドライバ4が単一のアキュムレータを共有することができ、例えば、圧縮ドライバ4の各層について又は2つ以上の層群に対して1つのアキュムレータ(図示せず)を設けることができる。コントローラ32は、いくつかの実施例では各個々の圧縮ドライバ4を制御するために又は他の実施例では圧縮ドライバ4の各層若しくは層群を制御するために各アキュムレータ17と通信する。
【0032】
代替的な実施例では、原動機は電磁源を含むことができるか、又は原動機は機械的ばねを含むことができる。ドライバピストン15は導電性材料から構成され、電磁コイル(図示せず)は、ドライバボア13に巻き付けることができ、ドライバピストン15をドライバボア13に沿って駆動するようにコントローラ32によって制御することができる。
【0033】
圧縮動作の前に、ドライバピストン15及びプッシャピストン6は初期位置(
図5Aを参照)にある。初期位置において、圧縮流体は、ドライバピストン15の前におけるドライバボア13及び環状隙間10を満たし、プッシャピストン6と流体連通し、ピストン15及びピストン6の初期位置におけるピストン15とピストン6との間の圧縮流体の圧力は、アキュムレータ17におけるドライバ流体圧力よりも著しく低い。例えば、一実施態様では、圧縮流体の圧力は、約0.5MPaとすることができるが、アキュムレータ17のドライバ流体の圧力よりも著しく低い限り、0.5MPaよりも少ない又は多いものとすることができる。
【0034】
プッシャボア9は、回転コア2が回転すると液体媒体で満たされ、そのため、液体媒体が、回転コア2の回転に起因する求心力により、プッシャピストン6の内面に押し当たる。別の実施例では、ガス、機械的手段、又は磁界もまた、プッシャピストン6に圧力をかけて、プッシャピストンがプッシャボア9に沿って(所定の/所望の時間まで)不慮に加速することを防ぐことができる。例えばレッジ(図示せず)などの保持手段を、プッシャボア9の開端8に/開端8の近くに設けて、プッシャピストン6がプッシャボア9から移動することを防ぐことができる。さらに、プッシャボア9内の液体媒体からかけられる圧力によりプッシャピストン6が環状隙間10に押し込まれることを防ぐために、さらなる保持手段を近位端(図示せず)に設けることができる。
【0035】
ドライバピストン15及びプッシャピストン6は、液体媒体及び/又はドライバ流体及び/又は圧縮流体と反応しない、任意の適切な材料、例えば、ステンレス鋼又はチタン合金又は任意の他の適切な材料などから作製することができる。この実施例では、ドライバボア13及びドライバピストン15のそれぞれの直径は、プッシャボア9及びプッシャピストン6のそれぞれの直径よりも大きいが、各プッシャボア9(プッシャピストン6)の直径は、代替的な実施例では各ドライバボア13(ドライバピストン15)の直径と同じ又はその直径よりも大きいものとすることができる。
【0036】
弁16は、任意の種類の制御可能な高速弁とすることができる。例えば、弁16は、ガス駆動式空気圧弁又は電磁弁又は任意の他の適切な高速作用弁とすることができる。弁サイズ及びドライバ流体圧力は、ドライバピストン15を目標時間期間内でドライバボア13に沿って加速させるのに十分な流量を可能にするように選択することができる。
【0037】
特に
図4を参照すると、圧縮ドライバ4は、容器壁3の外面に半径方向に位置決めされ、プッシャボア9内のプッシャピストン6からなる爆縮ドライバが、回転コア2内に半径方向に延出している。ドライバピストン15は、回転コア2へ向けてのドライバボア13内でのドライバピストン15の内方移動に沿って中ほどに示されている。代替的な実施例では、圧縮ドライバ4及び爆縮ドライバは、圧縮ドライバ4が依然として圧縮流体を圧縮し、圧力パルスを生成して爆縮ドライバ5を作動させる限り、非半径方向に、且つ、容器3及び回転コア2に対して非垂直方向に位置決めすることができる。
【0038】
図5A、
図5B、
図5C、
図5D、及び
図5Eを特に参照すると、圧縮動作は、各ドライバピストン15を容器壁ポート12へ向けて急速に移動させることで環状隙間10内の圧縮流体を圧縮するとともにプッシャピストン6に対して圧力パルスを生成し、プッシャピストン6が次いで、プッシャボア9内で内方へ移動し、液体媒体を内方へ押して回転コア2に通してキャビティ28に入れることを伴う。圧縮動作の4つの基本的な段階が示されており、段階1は、圧縮ドライバがトリガされる前の初期(始動)段階である。この段階では、アキュムレータ17は十分に充填され、弁16は閉じられ、ピストン15、6はそれらの初期位置(
図5A)にある。
【0039】
段階2(
図5B及び
図5C)では、ドライバ弁16が開かれ、アキュムレータ17内のドライバ流体がドライバ弁16を通過し、ドライバピストン15の背後のドライバボア13に入ることで、ドライバピストン15をドライバボア13に沿って回転コア2へ向けて加速させる。段階2の間、アキュムレータ17内の流体の高い圧力として蓄積された潜在的なエネルギーがドライバピストン15の移動の際に運動エネルギーに変換され、ドライバボア13内に収容された圧縮流体の圧力が上昇する。段階3(
図5Dを参照)では、ドライバピストン15が回転コア2に近づき、環状隙間10内の圧縮可能な流体圧力が、ドライバピストン15の運動エネルギーを吸収すると急に上昇し、そのため、圧縮流体圧力がプッシャボア9内の液体媒体の圧力を超えることでプッシャピストン6を適所に保持する。段階4(
図5Eを参照)では、プッシャピストン6が急速に加速することで、液体媒体をプッシャボア9及び回転コア2から押し出す。
【0040】
図7Aを参照すると、ドライバボア13の遠位端及び容器壁ポート12に環状面表面11が設けられている。圧縮動作時、圧縮流体は環状面表面11に内向きの力をかけ、換言すると、環状面表面11は、容器3に内向きの力をかけ、圧力バランス用リップとして働き、そのため、ドライバピストン15によって生成される圧力パルスが、プッシャボア16内の液体媒体に押し当たるプッシャピストンによって生成される圧力パルスを相殺又は低減し、したがって、圧縮ドライバ4によって容器3に与えられる応力を低減する(最小限にする)。さらに、ドライバピストン15は、ドライバピストン15が容器壁3に達すると環状面表面11と協働して環状チャネルを画定するように設計された遠位端20を有し、圧縮流体が高度に圧縮される。環状チャネル内の圧縮流体の高い圧力は、ドライバピストン15の速度を下げるとともに環状面表面41及び容器壁3との衝突を防ぐのに役立つ。
【0041】
より詳細には、ドライバピストン15は、遠位端20と容器壁ポート12の直径に対応する直径とを有する、円筒形の第1のセクションと、近位端21とドライバボア13の直径に対応する直径とを有する、円筒形の第2のセクションとを含み、2つのセクションは、環状レッジによって接続されている。第1のセクションの環状リムと環状レッジとが環状面表面11とともに、前述した環状チャネルを形成する。当業者は、ドライバピストン15が代替的な実施例では他の形状を有することができることを理解するであろう。強度及び剛性を維持しつつ重量をさらに低減させるために、ドライバピストン15の周囲の内側に複数のガセット22が形成される。
【0042】
ここで
図2B、
図6A~
図6D、
図7B及び
図8Bを参照すると、第2の実施例によれば、プラズマ圧縮システム1は、圧力パルスを環状隙間10内へ送達するためにピストンの代わりに加圧ガスを使用する圧縮ドライバ40を備える(「単段圧縮ドライバ実施例」)。これらの図に示すような圧縮ドライバ40は、容器壁3の外面に一端が固定的に取り付けられた概ね円筒形の弁ハウジング42を有し、容器壁開口3と流体連通する駆動弁44と、アキュムレータ46とを含む。アキュムレータ46は、高度に加圧された圧縮流体を収容する圧力容器である。アキュムレータ46内の圧縮可能な流体の初期圧力及び中間圧力、並びに駆動弁44を通る圧縮可能な流体の解放タイミングが、液体ライナの同期された成形崩壊を達成することに寄与する。一実施例では、圧縮流体の圧力は、圧縮流体を加熱するためにアキュムレータ46内に配置された加熱要素53を使用することによって、圧縮ショット前に微調整することができる。別の実施態様では、圧縮流体の圧力は、アキュムレータ46内に位置決めされた2つの電極19にわたって発生する電気アークによって圧縮流体を加熱することによって、圧縮ショット中に微調整することができる。圧縮流体は、圧縮することができる任意の流体とすることができ、一実施態様では、ヘリウムなどのガスとすることができる。別の実施態様では、圧縮流体は、蒸気などの、ガスと液体媒体との混合物とすることができる。
【0043】
駆動弁44は、米国特許第8,336,849号に開示されている種類のような円錐座遮断弁とすることができるが、当業者は、他の適切な弁設計も用いることができることを理解するであろう。駆動弁44は、コントローラ32と通信し、コントローラ32のコンピュータ可読メモリには、駆動弁44を開いて圧縮動作の際に環状隙間内へ圧縮ガスを放出するようにコントローラ32のプロセッサによって実行可能な命令が符号化されている。
【0044】
圧力パルスが爆縮ドライバ5を作動させた後で環状隙間から圧縮流体を受け取るために、圧力解放タンク48が設けられる。圧力解放タンク48は、圧縮流体戻り導管50によって容器壁開口3に流体結合され、圧縮流体戻り導管50は、容器壁開口3とアキュムレータ圧力容器46との間に長さ方向に延在する環状通路と、アキュムレータ圧力容器46の外側に沿って長さ方向に圧力解放タンク48の遠位端における開口に延出する複数のマニホールドとを含む。反動弁52が流体戻り導管50の遠位端に位置付けられ、コントローラ32と通信し、コントローラ32は、反動弁52を開いて解放タンク48が圧縮流体を受け取ることを可能にするようにプログラムされる。
【0045】
図6A~
図6Dを参照すると、コントローラ32が、圧縮ショットの4つの段階にわたって駆動弁44及び反動弁52の開閉を制御する。
図6Aに示すように、ショット前段階時、駆動弁44及び反動弁52が両方とも閉じられ、アキュムレータ圧力容器46が高圧圧縮流体で満たされる。
図6Bに示すように、圧縮段階時、コントローラ32が駆動弁44を開き、矢印によって示すように、圧縮ガスが環状隙間10内へ直接放出される。これにより、環状隙間10内に圧力の急速なパルスが生成され、プッシャピストン6を加速させる原動力がもたらされ、次いでプッシャピストン6が液体ライナを崩壊させ、プラズマ・ターゲットを圧縮する。
図6Cに示すように、反動復帰段階時、コントローラ32は、駆動弁44を開いた状態に保つとともに反動弁52を閉じた状態に保ち、液体ライナがはね返り、矢印によって示すように、圧縮流体の一部が逆流してアキュムレータ圧力容器46に入る。
図6Dに示すように、エネルギー散逸段階時、コントローラ32が駆動弁44を閉じるとともに反動弁52を開き、圧縮流体の残りが環状隙間10から流れ、反動弁52を通過して、圧縮流体戻り導管50を通り、解放タンク48に入る。このプロセスは、環状隙間10内の圧力を減少させ、プラズマ圧縮システムの残りの部分が次の圧力ショットのためにリセットすることを可能にするレベルに戻し、回転コア及びプッシャボアに戻る液体ライナのはね返りによって戻されるエネルギーの一部を再捕捉するのに役立つ。圧力が等しくなると、コントローラ32は、反動弁52を閉じてリセット状態のシステムを維持し、次の圧縮ショットのための準備を開始する。
【0046】
代替的に(図示せず)、圧縮ショットの4つの段階時の弁の開閉は、コントローラの代わりに機械的システムによって行うことができる。機械的システムは、弁アクチュエータに作用するばね閉鎖ポペット又はカムシャフトなどの、当該技術において知られている機械的タイミングデバイスを含む。
【0047】
例示の実施例では、各圧縮ドライバ40がそれ自体のアキュムレータ46を含むが、代替的な実施例では、複数の圧縮ドライバ40が単一のアキュムレータを共有することができ、例えば、圧縮ドライバ40の各層(図示せず)について1つのアキュムレータを設けることができるか、又は圧縮ドライバ40の全て(図示せず)について単一のアキュムレータを設けることができる。
【0048】
図8A及び
図8Bを参照すると、圧縮ドライバ4が、回転コア2の回転軸に対して軸方向に積み重ねられた複数の層となって容器3の周りに半径方向に配置されている。例示の実施例では、制御可能な圧力ゾーンをそれぞれが画定する9つの圧縮ドライバ層があるが、プラズマ圧縮システム1は、代替的な実施例による異なる数の圧縮ドライバ層を有することができる。例えば、
図8及び
図9に示すようなプロトタイプのプラズマ圧縮システムは、7つの圧力ゾーンを画定する7つの圧縮ドライバ層を特徴とする。
【0049】
図9に最もはっきり見てとることができるように、軸方向に積み重ねられた圧縮ドライバ層の構成の結果、容器壁3における関連ポート12もまた、複数の軸方向に積み重ねられた層となって配置されることになる。回転コア2における爆縮ドライバ5もまた、複数の軸方向に積み重ねられた層となって配置され、
図9及び
図10に示すプロトタイプの実施例では、各爆縮ドライバ層が対応する圧縮ドライバ層と対にされて圧力ゾーンを画定するように同じ数の爆縮ドライバ層及び圧縮ドライバ層(7つ)がある。代替的に、圧力ゾーンでの爆縮ドライバ層対圧縮ドライバ層の異なる割合があるものとすることができ、例えば、
図1~
図7に示す実施例では、各圧力ゾーンは、4つの爆縮ドライバ層及び1つの圧縮ドライバ層を含む。
【0050】
任意選択的な環状密封リング(図示せず)が、各圧縮ドライバ層間において容器内壁に取り付けられる。これらの密封リングは環状隙間10内へ延び、各圧力ゾーン内に圧縮流体を部分的に又は完全に閉じ込めるのに役立つ。代替的に、環状密封リングは、回転コア外面に取り付けることができ、環状隙間内へ延びることができる。
【0051】
ここで
図11~
図14を参照すると、コントローラ32は、特定の圧力パルス軌跡を有する個々の圧力パルスを生成するように各圧力ゾーンでの圧縮ドライバの動作を制御する圧縮動作プログラムによりプログラムされ、そのため、個々の圧力パルスがともに、成形圧力パルス軌跡を有する組み合わせられた圧力パルスを形成し、組み合わせられた成形圧力パルス軌跡は、軸方向に沿って変化する、すなわち、回転コア回転軸に対して平行である。コントローラが言及される開示全体を通じて、コントローラは、1つ又は複数のネットワーク或いは通信媒体により互いに通信する1つ又は複数のコントローラを含み得る。各コントローラは包括的に、1つ又は複数のネットワーク或いは通信媒体により互いに通信する1つ又は複数のプロセッサ及び1つ又は複数のコンピュータ可読媒体を含む。1つ又は複数のプロセッサは、例えば、特定用途向け回路、プログラマブル・ロジック・コントローラ、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、仮想マシン、及び電子回路などの、当該技術分野において既知の任意の適切な処理デバイスを含み得る。1つ又は複数のコンピュータ可読媒体は、例えば、ランダム・アクセス・メモリ、フラッシュ・メモリ、リード・オンリー・メモリ、ハード・ディスク・ドライブ、光学ドライブ及び光学ドライブ媒体、又はフラッシュ・ドライブなどの、当該技術分野において既知の任意の適切なメモリ・デバイスを含み得る。さらに、ネットワークが言及される場合、ネットワークは、例えば、ローカル・エリア・ネットワーク、ワイド・エリア・ネットワーク、イントラネット、及びインターネットなどの、当該技術分野において既知の1つ又は複数の適切なネットワークを含み得る。さらに、デバイスとの通信又はデバイスの指示が言及される場合、デバイスは、例えば、有線又は無線媒体、圧縮又は非圧縮フォーマット、暗号化又は非暗号化フォーマットなどの、当該技術分野において既知の、任意の適切な電子通信媒体を通じて、また、任意の適切なフォーマットで、通信され得る。
【0052】
両方の実施例では、
図12を参照すると、所望の圧力パルス軌跡は、容器3の赤道を中心に対称である。したがって、コントローラ32は、容器の赤道における圧縮ドライバ層(「赤道の圧縮ドライバ層」)と赤道の圧縮ドライバ層の両側の圧縮ドライバ層対とを別個に制御するようにプログラムされる。換言すると、コントローラ32は、5つの別個に制御可能な圧力ゾーンでの9つの圧縮ドライバ層を操作する、つまり、上部及び下部圧縮ドライバ層が圧力ゾーン1
(131)を形成し、容器の赤道における圧縮層が圧力ゾーン5
(135)を形成し、圧力ゾーン1
(131)と圧力ゾーン5
(135)との間における3対の圧縮層が圧力ゾーン2~圧力ゾーン4
(132、133、134)をそれぞれ形成する。コントローラ32は、最も高い振幅及び/又は最も早いピークを有する個々の圧力パルス(「個々の圧力パルス1」)を生成するように圧力ゾーン1
(131)における圧縮ドライバ4を操作し、個々の圧力パルス(個々の圧力パルス2、3など)は、ゾーン2からゾーン5にかけて段階的に減少する圧力パルス振幅及び/又はより遅いピークを有し、そのため、組み合わされた圧力パルスが、
図14A~
図14Eに示すように概ね対称的に湾曲した圧力プロファイル軌跡を有する。
【0053】
図12及び
図13A~
図13Eを参照すると、一実例として二段圧縮ドライバ実施例を用いて、コントローラ32は、各圧縮ドライバ層に流体結合されたアキュムレータ17によって放出されるドライバ・ガスのタイミング及び圧力を制御することによって圧力ゾーン1~5のそれぞれにおける個々の圧力パルス軌跡を制御するように圧縮ドライバ4を操作する。この実施例では、弁16のタイミング、リフト(開口サイズ)及び持続時間のうちの1つ又は複数は、個々の圧力パルス軌跡を制御するように制御することができ、付加的及び/又は代替的に、個々の圧力パルス軌跡はまた、種々の圧力ゾーンにおけるアキュムレータ17間のドライバ流体の圧力を変更することによって変更することができる。
図13A~
図13Eは明確さのため、圧縮ドライバ層を3つだけ示しており、コントローラ32が、最も高い振幅及び最も早いピークを有する個々の圧力パルスを生成するために、最も早く、また、最も大きい開き及び/又は最も長い持続時間で、下部圧縮ドライバ層のアキュムレータ17の弁16を開き、最も低い振幅及び最も遅いピークを有する個々の圧力パルスを生成するために、最も遅く、また、最も小さい開き及び/又は最も短い持続時間で、上部圧縮ドライバ層のアキュムレータ17の弁16を開くことを見てとることができる。代替的及び/又は付加的に、コントローラ32は、アキュムレータ17内のドライバ流体の圧力を設定することができ、その場合、下部圧縮ドライバ層が、最も高い振幅を有する圧力パルスを生成するために、最も高いドライバ流体圧力を有することができる。代替的及び/又は付加的に、コントローラ32は、個々の圧力パルス軌跡を成形するように弁の閉鎖タイミング、リフト及び/又は持続時間を制御することができる。特定の圧力パルス軌跡を成形するために弁制御パラメータを決定する場合、プッシャピストンにおける慣性が考慮され、この慣性は実際には、プッシャボア内のプッシャピストン及び液体金属の両方における組み合わせられた慣性である。
【0054】
各圧力ゾーンにおける個々の圧力パルスの圧力プロファイルは、圧縮動作時にドライバ流体をドライバボア内へ制御可能に注入するか又はドライバボアから制御可能に排出することによって微調整することができる。例えば、圧縮ドライバの第2の実施例に関して、ドライバピストン15又は各圧縮ドライバ4の圧力プロファイルは、ドライバボア13内における、ドライバピストン15の後ろのポート18を介して、ドライバ流体をドライバボア13から排出することによって調整することができ、これらのポート18は、コントローラ32によって制御可能であるドライバ流体弁16と同様の制御可能な弁を有する。ドライバピストン15の圧力プロファイルはまた、ドライバピストン15の前(下流)の圧縮流体の圧力を制御することによって制御することができる。圧縮ドライバ4の壁における、ドライバピストン15と容器壁3との間のポート18(
図2Aを参照)は、圧縮流体を注入又は排出するようにコントローラ32によって制御することができる。さらに、ドライバピストン15の速度を下げて容器3との衝突を防ぐために、ドライバボア13の近位端近くにさらなる圧縮可能な流体を注入することができる。ドライバボア13の長さは、ドライバピストン15の軌跡がドライバ流体の圧力及び/又は圧縮流体の圧力を変えることによって調整することができるように十分に長く設計することができる。コントローラ32は、圧縮動作時にドライバピストン15の位置を測定するためにドライバボアに沿った複数のセンサ(図示せず)と通信することができる。
【0055】
二段圧縮ドライバ実施例の別の実施態様では、コントローラ32は、ドライバボア13内の圧縮流体を加熱する電気アークを発生させるためにドライバボア13の遠位端においてドライバピストン15と回転コア2との間に位置決めされた一対の電極19と通信する。コントローラ32は、圧力ゾーンにおける個々の圧力パルスが圧力の「上昇」を必要とするか又はより早く発射する必要があるかに基づいて、電気アークのタイミング及び強度に対する調整を計算して圧縮流体を制御可能に加熱するようにプログラムされる。
【0056】
単段圧縮ドライバ実施例の別の実施例では、コントローラ32は、アキュムレータ46内の圧縮流体を加熱する熱を生成するためにアキュムレータ46内に位置決めされた加熱素子53と通信する。コントローラ32は、圧縮可能な流体の初期温度に対する調整を計算するようにプログラムされ、これは次いで、既知の気体法則に従って圧縮ショット前に圧縮可能な流体の初期圧力を制御可能に調整する。アキュムレータ46内の圧縮可能な流体の温度及び圧力は、圧力ゾーンにおける個々の圧力パルスが初期圧力の調整を必要とするかどうかに基づいて調整される。
【0057】
単段圧縮ドライバ実施例の別の実施態様では、コントローラ32は、アキュムレータ46内の圧縮流体を加熱する電気アークを発生させるためにアキュムレータ46内に位置決めされた一対の電極19と通信する。コントローラ32は、圧力ゾーンにおける個々の圧力パルスが圧力の「上昇」を必要とするか又はより早く発射する必要があるかに基づいて、電気アークのタイミング及び強度に対する調整を計算して圧縮流体を制御可能に加熱するようにプログラムされる。
【0058】
ここで
図11Aを参照すると、コントローラ32のメモリには、所望の圧力パルス軌跡を有する組み合わされた圧力パルスを生成するために、二段圧縮ドライバ実施例の圧縮ドライバ4を制御する圧縮プログラム動作が符号化されている。コントローラ32は、液体ライナ崩壊の特定の形状及びタイミングを達成するのに必要とされる基準機械パラメータからの入力を受ける。例示の実施例では、所望の圧力パルス軌跡は回転楕円体形状を有し、これにはキャビティ28の開端の早期崩壊が必要とされる。コントローラ32は、キャビティ28の各開端に最も近い圧縮ドライバ4に、液体ライナ27の赤道近くの圧縮ドライバ4より前に動作することを要求する。コントローラ32は、所望のライナ崩壊プロファイルを確立し(ステップ54)、ライナ崩壊の所要の形状と所望のプラズマ圧縮とを達成するのに必要な、各圧縮ドライバ層についての所要のピストン軌跡プロファイル及び遅延を計算する(ステップ55)。
【0059】
各圧縮ドライバ層についての所望の軌跡プロファイルが計算されると、コントローラは、回転コア回転速度、原動機設定、及び各圧縮ドライバ層におけるピストン起動シーケンス・タイミングを含む、パラメータを設定する(ステップ56)。プラズマ圧縮システムについてのパラメータは、特定のシステムの設計及びサイズに応じて決まるが、コントローラ32が制御することができる初期パラメータの典型的な実例として、アキュムレータ17内の高圧流体の初期充填、電磁駆動システム(図示せず)のコイルに印加されるべき負荷、機械的ばね(図示せず)に加えられる引張、初期のドライバボア圧力、及び回転コア2の回転速度が挙げられる。基準パラメータの一実例は、回転コア2内での液体ライナ27の回転によって発生する求心力に対する、回転する液体ライナ27にかかる重力である。重力ベクトルにより液体ライナはそのキャビティの底部がその上部よりも僅かに厚い。形状のこの違いは、液体ライナ・キャビティの対称円筒形状を乱す。コントローラ32は、キャビティ28の上部近くに位置決めされた、ドライバピストンの層を、キャビティ28の底部近くに位置決めされたその層よりも僅かに早く起動させることで、対称崩壊を達成することによって、この非対称を考慮する。基準機械パラメータは、システム及び各圧縮ドライバについての履歴動作パラメータによって変更され得る。履歴動作パラメータは例えば、各圧縮ドライバについての経時的な摩擦及び摩耗の差を含み得る。例えば、摩耗に起因して摩擦がより高い個々のピストン又はボアは、より高い摩擦を克服するために、アキュムレータ内へのより高圧のガスの充填を必要とし得る。
【0060】
コントローラ32がライナ崩壊形状要件を評価し、履歴動作パラメータに従って基準機械パラメータを変更した後、コントローラ32はドライバピストンを起動する(ステップ57)。ドライバピストンがボアに沿って移動する間、圧縮ドライバボア内でのドライバピストンの移動全体を通してセンサがピストンのそれぞれの位置及び速度を連続的に監視する(ステップ58)。多数のセンサが位置情報及び速度情報をコントローラ32に送信し、コントローラ32はシステムにおける各ドライバピストンについて軌跡プロファイルが適正かどうかを評価する(ステップ59)。所与のドライバピストンについて適正でない場合、コントローラ32は、ポート18を介してドライバ流体又は圧縮流体を注入又は排出することによって、ドライバピストンの軌跡プロファイルを微調整することができ、及び/又は、電極19により加熱することによって、若しくは圧縮ドライバがそのように装備されている場合は電磁制動によって、圧縮流体圧力を上昇させることができる(ステップ60)。ドライバピストンの軌跡プロファイルを修正するためにフィードバック・ループが確立される(ステップ61)。さらなる修正が必要とされない場合、コントローラ32は、個々の圧力パルスを生成するために、各圧縮ドライバ層におけるドライバピストンが容器壁近くのその最終位置に移動し続ける(ステップ62)ことを可能にし、個々の圧力パルスが組み合わさると、液体ライナを崩壊させるとともにキャビティ28内のプラズマを圧縮する軌跡に従って、制御されたやり方でプッシャピストンを駆動する(ステップ63)。
【0061】
ここで
図11Bを参照すると、コントローラ32のメモリには、所望の圧力パルス軌跡を有する組み合わされた圧力パルスを生成するために、単段圧縮ドライバ実施例の圧縮ドライバ40を制御する圧縮プログラム動作が符号化されている。コントローラ32は、液体ライナ崩壊の特定の形状及びタイミングを達成するのに必要とされる基準機械パラメータからの入力を受ける。例示の実施例では、所望の圧力パルス軌跡は回転楕円体形状を有し、これにはキャビティ28の開端の早期崩壊が必要とされる。コントローラ32は、キャビティ28の各開端に最も近い圧縮ドライバ40に、液体ライナ27の赤道近くの圧縮ドライバ40より前に動作することを要求する。コントローラ32は、所望のライナ崩壊プロファイルを確立し(ステップ66)、各圧縮ドライバ層についてのアキュムレータ46内の圧縮可能な流体の初期の所要圧力、及び、各圧縮層についての弁開閉のタイミングを計算する(ステップ68)。
【0062】
各圧縮ドライバ層についての所望の圧力パルス軌跡プロファイルが計算されると、コントローラ32は、アキュムレータ圧力、圧縮ドライバ弁開閉時間順序及び持続時間、並びに各圧縮ドライバ層についてのアキュムレータ加熱素子要件のためのパラメータを設定し、コントローラ32はまた、回転コア回転速度を設定する(ステップ70)。
【0063】
コントローラ32は次いで、所望のライナ崩壊プロファイルを達成するために、計算された順序で各圧縮ドライバ層の圧縮ドライバ弁44を開く(ステップ72)。各圧縮ドライバ40が圧縮可能な流体を環状隙間内へ移動させること及び環状隙間から移動させることの全体を通して、各圧縮ドライバ40についての圧力変化及び弁位置をセンサが各連続的に監視する(ステップ74)。
【0064】
コントローラ32は、システムにおける各圧力パルスについて圧力プロファイル及び弁タイミングが適正かどうかを評価する(ステップ76)。所与の圧縮ドライバ層について適正でない場合、コントローラ32は、弁開放のタイミングを調整することによって、及び/又は電極19を使用して加熱することによりアキュムレータ圧力を変更することによって、或いは、アキュムレータ圧力を注入又は排出することによって、圧力パルス軌跡プロファイルを微調整することができる(ステップ78)。圧縮層の圧力パルス軌跡プロファイルを修正するためにフィードバック・ループが確立される(ステップ80)。さらなる修正が必要とされない場合、コントローラ32は、個々の圧力パルスを生成するために、開閉順序及び持続時間を予めプログラムされた圧縮ドライバ弁を維持し、個々の圧力パルスが他の圧縮層の他の圧力パルスと組み合わさると、液体ライナを崩壊させるとともにキャビティ28内のプラズマを圧縮する軌跡に従って、制御されたやり方でプッシャピストンを駆動する(ステップ82)。
【0065】
図14A~
図14Dは、時系列の実験プラズマ圧縮動作を示す数値流体力学シミュレーションであり、回転する液体ライナ27が、成形圧力パルス軌跡を有する組み合わされた圧力パルスによってキャビティ28内へ半径方向に圧縮される。構造要素は、回転コア2と、軸又は回転に沿った中央シャフト26とを含む。シミュレーションは、垂直線(z軸)を中心として回転対称であり、回転コア2がz軸を中心に回転し、液体金属にかかる求心力がキャビティ28をつくり出す。
図14Aは、ドライバピストン15及びプッシャピストン6が
図5Aに示すようなその初期始動位置にある場合に起こる、圧縮サイクルの開始時の回転する液体ライナ27を示す。ドライバピストン及びプッシャピストンが内方へ進むにつれ、プッシャボア内の液体がキャビティ28の中心に向かって内方に変位する(
図14B及び
図14C)。
図14Dは、ドライバピストン15及びプッシャピストン6が
図5Eに示すようなその終端位置にある場合に起こる、液体ライナ27の崩壊の終わり近くの液体ライナ27を示す。例えばリチウム又は鉛などの液体ライナの使用は、回転コア2の壁及び他の構造構成要素を核融合反応に起因する有害なエネルギー粒子から保護し、回転コア2からの液体ライナの循環は、回転コア2及び容器3から熱エネルギーを除去する手段としても役立つ。
【0066】
このシミュレーションは、Z方向に積み重ねられた層における個々の圧力パルスの制御が用いられて圧縮時にキャビティを成形する様子を示す。このシミュレーションは、各爆縮ドライバについての種々の個々の圧力パルスを有し、このことは、
図14Bにおける流体の外縁の段形状によって見ることができる。より早く生じるとともに、赤道層(z=0)により近い層よりも高いピーク圧力を達成する、上部層及び下部層における圧力パルスにより、上部層及び下部層は、赤道層よりも早く及び/又は速く内方へ加速する。円筒形のキャビティから開始して、この種々の軌跡は、
図14Bに見てとることができるように、流体中に回転楕円体又は卵形のキャビティをつくり出す。
図14B~
図14Dに示すように、液体ライナ27は、爆縮ドライバにおいてプッシャボアを出た後で弾道移動を達成するが、弾道移動は、この設計の必要条件ではない。弾道移動の利点は、より少ない容積の液体ライナが成形ライナ崩壊に必要とされ、より少ない容積の結果、より低い質量の液体ライナ、並びに、プッシャピストンにかかる求心力及び回転コア内の応力の対応する低減がもたらされることである。
【0067】
圧縮が進むにつれ、内方へ移動する液体金属はその角運動量を保存し、加速的に回転し始める。このより速い回転により、流体にかかる求心力が増加し、最終的に、中央シャフト26に接触する前に液体金属の内側半径方向移動が停止する。先に加速された、液体金属の上部層及び下部層は、先に中心に達し、速度が下がってから、はね返り始める(
図14C)。中央面により近い個々の圧力パルスが内方へ続くにつれ、これにより、流体が上部層及び下部層から赤道へ向かう中央シャフトに最も近い地点が移動する。したがって、液体金属の内側のキャビティが、(半径方向のみにおいて)円筒状だけでなく(半径方向及びZ方向の両方において)球状に圧縮する。プラズマを圧縮することに関して、球状の圧縮幾何学形状は、同じ時間量において、同等の円筒形幾何学形状よりも多い量のプラズマを圧縮する。このより高い圧縮の結果、より多くの作用がプラズマになされ、より多くのエネルギーが加わってプラズマが加熱される。
【0068】
この球状成形圧縮キャビティは、種々の圧縮ドライバ層において異なって成形される圧力パルスを可能にする、制御システム34及び回転コア2の設計によって可能となる。回転コア2の回転速度と組み合わせられた、各層における種々の圧力パルスの調整により、崩壊するキャビティの正確な幾何学形状が制御及び調整されることが可能となる。
【0069】
図15は、プラズマ圧縮システム1内に構成されるものとしてのプラズマ圧縮装置30の一実例の部分切り欠き図を示す。プラズマ発生器29がプラズマを発生させ、回転部材2による液体ライナ(図示せず)の回転によって形成される真空キャビティ(図示せず)にプラズマを注入する。いくつかの実施態様における液体ライナは、リチウム若しくは鉛などの溶融金属、又は溶融材料の任意の混合物であり得る。プラズマが、回転する液体ライナの真空キャビティ内に適正に配置されると、弁(図示せず)がアキュムレータ17から圧縮ドライバ4へ圧力を解放し、プッシャピストン(図示せず)を内方へ駆動することで、液体ライナの崩壊を開始する。この崩壊がプラズマを圧縮し、加熱する。
【0070】
本開示の特定の要素、実施例及び用途を示し説明してきたが、本開示の範囲から逸脱することなく、特に前述の教示に鑑み、当業者によって修正を行うことができるため、本開示の範囲はそれに限定されないことが理解されよう。したがって、例えば、本明細書において開示された任意の方法又はプロセスでは、方法/プロセスを構成する作用又は動作は、任意の適切な順序で行われてもよく、必ずしも任意の特定の開示された順序に限定されない。要素及び構成要素は、様々な実施例において、異なって構成又は配置され、組み合わせられ、及び/又は排除され得る。上述した様々な特徴及びプロセスは、互いと関係なく使用されてもよく、又は様々なやり方で組み合わされてもよい。全ての可能な組合せ及び部分的な組合せは、本開示の範囲内に入ることが意図されている。本開示全体を通して「いくつかの実施例」、「一実施例」などへの言及は、実施例に関連して説明される特定の特徴、構造、ステップ、プロセス、又は特性が少なくとも1つの実施例に含まれることを意味する。したがって、本開示全体を通して、「いくつかの実施例では」、「一実施例では」などの語句の出現は、必ずしも全てが同じ実施例を指すとは限らず、同じ又は異なる実施例のうちの1つ又は複数を指す場合がある。実際、本明細書に記載の新規な方法及びシステムは、多様な他の形態で具体化され得、さらに、本明細書において説明された本発明の要旨から逸脱することなく、本明細書において説明された実施例の形態で様々な省略、追加、置き換え、均等物、再構成、及び変更を行うことができる。
【0071】
実施例の様々な態様及び利点を適切な場合に説明してきた。そのような態様又は利点の全てが、任意の特定の実施例に従って必ずしも達成され得るとは限らないことを理解されたい。したがって、例えば、様々な実施例は、本明細書において教示又は示唆され得るような他の態様又は利点を必ずしも達成することなく、本明細書において教示されるような1つの利点又は利点群を達成又は最適化するように実行され得ることが認識されるべきである。
【0072】
本明細書において使用される条件付き言語、例えば、とりわけ、「できる」、「可能性がある」、「かもしれない」、「あり得る、あってもよい」、「例えば」などは、特に別段に述べない限り、又は使用される文脈内で他の状況に理解されない限り、一般に、特定の実施例が特定の特徴、要素、及び/又はステップを含むが、他の実施例は含まないことを示唆することを意図している。したがって、そのような条件付き言語は一般に、特徴、要素及び/又はステップが1つ又は複数の実施例に何らかの形で必要とされること、或いは、1つ又は複数の実施例が、オペレータ入力又はプロンプトの有無にかかわらず、これらの特徴、要素及び/又はステップが任意の特定の実施例に含まれるか又は行われるべきかを決定するための論理を必然的に含むことを示唆するものではない。単一の特徴又は特徴群は、任意の特定の実施例に必要とされないか又は必須ではない。「備える」、「含む」、「有する」などの用語は同義語であり、包括的に、オープンエンド方式で使用され、さらなる要素、特徴、作用、動作などを排除しない。また、「又は」という用語は、その包括的な意味で(その排他的な意味ではなく)使用され、例えば、要素の列挙したものをつなぐために使用される場合、「又は」という用語は、列挙したものの中の要素の1つ、いくつか、又は全てを意味する。
【0073】
本明細書において説明された実施例の例示的な計算、シミュレーション、結果、グラフ、値、及びパラメータは、例示することを意図しており、開示された実施例を限定することを意図していない。他の実施例は、本明細書において説明された例示的な実例とは異なって構成及び/又は動作することができる。