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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-10
(45)【発行日】2024-04-18
(54)【発明の名称】エアゾール定量吐出アクチュエーター
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/52 20060101AFI20240411BHJP
   B65D 83/16 20060101ALI20240411BHJP
   B65D 83/20 20060101ALI20240411BHJP
   B05B 9/04 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
B65D83/52
B65D83/16 120
B65D83/20
B05B9/04
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020164301
(22)【出願日】2020-09-30
(65)【公開番号】P2022056509
(43)【公開日】2022-04-11
【審査請求日】2023-08-17
(73)【特許権者】
【識別番号】390011442
【氏名又は名称】株式会社マンダム
(73)【特許権者】
【識別番号】000141118
【氏名又は名称】株式会社丸一
(74)【代理人】
【識別番号】100170449
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 英彦
(72)【発明者】
【氏名】稲田 康輝
(72)【発明者】
【氏名】守屋 友希
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 雅之
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-180802(JP,A)
【文献】特開2007-204138(JP,A)
【文献】特開2017-128372(JP,A)
【文献】特開2015-229525(JP,A)
【文献】特開2020-169056(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/52
B65D 83/16
B65D 83/20
B05B 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアゾール容器のバルブステムに装着でき、内部に定量室を有し、押下げ・復帰動作によって一定量の内容物を外部に吐出できるアクチュエーターにおいて、
このアクチュエーターは、前記バルブステムと接続するステム接続部と、上下に往復動作を行って前記ステム接続部を動作させる作動部とからなり、
前記ステム接続部は、内部に定量室が設けられた略筒体形状を有し、前記作動部も略筒体形状を有して前記ステム接続部の外周部全体に設けた環状溝部内を上下に往復動作することができ、
前記ステム接続部の下端略中央部には前記バルブステムに接続するステム接続口を有し、このステム接続口に連通してその上部に前記定量室が設けられ、
この定量室の天部略中央部には上下方向に貫通孔が設けられ、この貫通孔内に前記作動部の上面部の略中央部から下方に延長する延長部が嵌入して、これら貫通孔と延長部との間隙が内容物の流通路を形成し、この流通路は前記作動部の上面部に設けた吐出口に連通し、
前記流通路は前記作動部を押下する第1動作によって封止され、
次の作動部を押下する第2動作によってこの作動部が前記ステム接続部と前記バルブステムを共に押下してエアゾール容器内の内容物が前記定量室内に充填され、
次の作動部からの押下力を除去する第3動作によってこの作動部が上方に押し上げられる間に、前記流通路の封止が解除されることにより定量の内容物が吐出口から外部に吐出されることを特徴とするエアゾール定量吐出アクチュエーター。
【請求項2】
前記延長部の中間部外周に段部を設け、前記貫通孔の内周面にも段部を設け、前記作動部を押下する第1動作によってこれらの段部が当接することにより前記流通路が封止されることを特徴とする請求項1に記載のエアゾール定量吐出アクチュエーター。
【請求項3】
前記延長部の下端外周部に鍔部を設け、この鍔部が前記貫通孔の下端部に当接して前記作動部が前記ステム接続部から上方に離脱しないことを特徴とする請求項1又は2に記載のエアゾール定量吐出アクチュエーター。
【請求項4】
前記吐出口を前記作動部の上面部に円環状に複数設けたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のエアゾール定量吐出アクチュエーター。
【請求項5】
前記エアゾール容器の上端部に肩カバーを更に設け、前記ステム接続部の外周壁部が前記カバーの内周壁を上下に摺動することができ、前記肩カバーの内周壁が前記ステム接続部の上下動作のガイド壁面となることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のエアゾール定量吐出アクチュエーター。
【請求項6】
前記作動部の上面部が平面、斜面又は外側に膨出する湾曲面から形成されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のエアゾール定量吐出アクチュエーター。
【請求項7】
前記作動部の平面視直径方向外側に延長する押圧操作用の押圧部を一対設けたことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載のエアゾール定量吐出アクチュエーター。
【請求項8】
前記吐出口が上方向、斜め上方向、又は、斜め上内側方向を向いて設けられていることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載のエアゾール定量吐出アクチュエーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアゾール容器のバルブステムに装着し、当該バルブステムを押下して容器内の内容物を外部に吐出するためのアクチュエーターに関し、とりわけ前記アクチュエーター内に定量室が設けられているエアゾール定量吐出アクチュエーターに関するものである。
尚、ここで吐出されるエアゾール容器の内容物としては、各種の化粧料、例えば整髪料や洗顔料等々のフォーム状又はムース状のものが対象となる。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のエアゾール定量吐出アクチュエーターとしては、下記特許文献に記載のものを挙げることができる。
下記特許文献1に記載の「エアゾール容器の定量噴射ボタン」は、簡易な構成にして確実な定量噴射ボタンを提供し、その定量室の容量についても適宜変更できることを課題とする。
【0003】
上記特許文献に記載された発明に係る第2実施形態の構成はステム接続部と作動部とから成る。
ステム接続部には導通路が形成され、その導通路の入口がバルブステムと連通し、その出口が作動部の内部空間と連通する。ステム接続部の導通路から作動部の噴射口の間に定量室が形成される。ステム接続部の先端部分を作動部の内側に配置し、ステム接続部の先端側外壁面と作動部の内壁面の接合面に封止手段を設ける。
【0004】
この封止手段がステム接続部の先端側の細径部とそれに続く下方の大径部と、これらに係合する作動部の内壁面に設けた環状弁とから成る。
環状弁が大径部と係合した際に封止が行われ、環状弁が細径部と適合した際にその封止が解除される構成である。
【0005】
以上の構成により、上記作動部が押下され、この作動部の環状弁がステム接続部の大径部と係合することにより封止が行われて定量室が形成され、更に上記作動部を押下することによりバルブステムも押下されて内容物が上記定量室内に充填され、その後、作動部への押下力を除去することによって上記定量室内の内容物が上記作動部の上端部に設けられた噴射口から外部に噴霧されることとなるのである。
この従来例においては、7つの実施形態を提案しているが、上記の基本構成は略同じである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2012-201401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明においてもその課題は上記従来技術と同様なのであるが、上記従来のエアゾール容器の定量噴射ボタンにおいては、その部品点数が多く、それらの個々の形状や形態も複雑なものとなっている。
本発明においては、より簡易な形態及び構造を採用することにより部品点数の少ないものから形成でき、同様の効果を発揮できるエアゾール定量吐出アクチュエーターを提供することをその課題とする。
更に、上記従来のものにおいては、その構造上、定量室を大容量化することが困難なのであったが、その定量室を大容量化することも本発明の大きな課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の第1のものは、エアゾール容器のバルブステムに装着でき、内部に定量室を有し、押下げ・復帰動作によって一定量の内容物を外部に吐出できるアクチュエーターにおいて、このアクチュエーターは、前記バルブステムと接続するステム接続部と、上下に往復動作を行って前記ステム接続部を動作させる作動部とからなり、前記ステム接続部は、内部に定量室が設けられた略筒体形状を有し、前記作動部も略筒体形状を有して前記ステム接続部の外周部全体に設けた環状溝部内を上下に往復動作することができ、前記ステム接続部の下端略中央部には前記バルブステムに接続するステム接続口を有し、このステム接続口に連通してその上部に前記定量室が設けられ、この定量室の天部略中央部には上下方向に貫通孔が設けられ、この貫通孔内に前記作動部の上面部の略中央部から下方に延長する延長部が嵌入して、これら貫通孔と延長部との間隙が内容物の流通路を形成し、この流通路は前記作動部の上面部に設けた吐出口に連通し、前記流通路は前記作動部を押下する第1動作によって封止され、次の作動部を押下する第2動作によってこの作動部が前記ステム接続部と前記バルブステムを共に押下してエアゾール容器内の内容物が前記定量室内に充填され、次の作動部からの押下力を除去する第3動作によってこの作動部が上方に押し上げられる間に、前記流通路の封止が解除されることにより定量の内容物が吐出口から外部に吐出されることを特徴とするエアゾール定量吐出アクチュエーターである。
【0009】
本発明の第2のものは、上記第1の発明において、前記延長部の中間部外周に段部を設け、前記貫通孔の内周面にも段部を設け、前記作動部を押下する第1動作によってこれらの段部が当接することにより前記流通路が封止されることを特徴とするエアゾール定量吐出アクチュエーターである。
【0010】
本発明の第3のものは、上記第1又は第2の発明において、前記延長部の下端外周部に鍔部を設け、この鍔部が前記貫通孔の下端部に当接して前記作動部が前記ステム接続部から上方に離脱しないことを特徴とするエアゾール定量吐出アクチュエーターである。
【0011】
本発明の第4のものは、上記第1又は第3の何れかの発明において、前記吐出口を前記作動部の上面部に円環状に複数設けたことを特徴とするエアゾール定量吐出アクチュエーターである。
【0012】
本発明の第5のものは、上記第1乃至第4の何れかの発明において、前記エアゾール容器の上端部に肩カバーを更に設け、前記ステム接続部の外周壁部が前記カバーの内周壁を上下に摺動することができ、前記肩カバーの内周壁が前記ステム接続部の上下動作のガイド壁面となることを特徴とするエアゾール定量吐出アクチュエーターである。
【0013】
本発明の第6のものは、上記第1乃至第5の何れかの発明において、前記作動部の上面部が平面、斜面又は外側に膨出する湾曲面から形成されていることを特徴とするエアゾール定量吐出アクチュエーターである。
【0014】
本発明の第7のものは、上記第1乃至第6の何れかの発明において、前記作動部の平面視直径方向外側に延長する押圧操作用の押圧部を一対設けたことを特徴とするエアゾール定量吐出アクチュエーターである。
【0015】
本発明の第8のものは、上記第1乃至第7の何れかの発明において、前記吐出口が上方向、斜め上方向、又は、斜め上内側方向を向いて設けられていることを特徴とするエアゾール定量吐出アクチュエーターである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の第1のものにおいては、ステム接続部と、このステム接続部を動作させるために上下に往復動作を行う作動部のみから構成され、極めて簡易な構成としている。
そこには従来のアクチュエーターに備わるコイルスプリング等の作動部を上方に付勢する付勢手段を設けていない簡易な構成となっている。
本発明では、作動部の上方への付勢はバルブステムの上方への付勢力を利用しているのである。
【0017】
作動部の作動は、3つの動作によって行われる。即ち、前記作動部を押下する第1動作によってステム接続部と作動部との間の流通路が封止され、次の作動部を押下する第2動作によってこの作動部が前記ステム接続部を押下し且つ前記バルブステムも押下してエアゾール容器内の内容物が前記定量室内に充填され、次の作動部からの押下力を除去する第3動作によってこの作動部が上方に押し上げられる間に、前記流通路の封止が解除されることにより定量の内容物が吐出口から外部に吐出されることとなるのである。
【0018】
上記の3動作は、説明のために順次個別に記述しているが、アクチュエーターを押し下げそしてその押圧力或いは押下力を除去して元の位置に復帰する一連の動作を分解して記述しているものである。
この一連の動作により、エアゾール容器内の内容物の一定量が吐出口から外部に吐出されるのである。
【0019】
更に、本発明においては、上記ステム接続部が、内部に定量室が設けられた略筒体形状を有し、前記作動部も同様に略筒体形状を有して前記ステム接続部の外周部全体に設けた環状溝部内を上下に往復動作することができるように構成している。
これにより、作動部の上下往復動作は、ステム接続部の上記環状溝部内を上下に摺動して円滑に行われ、且つ、ステム接続部を適切に押下することができることとなる。
【0020】
このように、本発明においては、ステム接続部がその内部に定量室を有する略筒体形状を有するものから成り、その底面部の略中央にステム接続口を有し、その天部の略中央には貫通孔が形成され、この貫通孔内に前記作動部の上面部の略中央部から下方に延長する延長部が嵌入して、これら貫通孔と延長部との間隙が内容物の流通路を形成し、この流通路は前記作動部の上面部に設けた吐出口に連通し、前記作動部を押下する第1動作によって前記流通路が封止される構成を採用している。
以上の簡易な構成によって上記3つの動作により一定量の内容物が吐出されるのである。
【0021】
以上のように本発明の第1のものにおいては、ステム接続部と作動部の2構成部材のみによって形成され、ステム接続部もその下端に設けられたステム接続口がバルブステムの上端部と接続していればよく、作動部も上記ステム接続部を動作させるためにステム接続部の外周部全体に設けた環状溝部内を上下往復動できるものであればよく、また、作動部の吐出口に連通する流通路をその定量室の天部に設けたものであればよく、この流通路を上記作動部を押下する第1動作によって封止できる構造であればよく、極めて簡易な構成から成るものであり、その内部にコイルスプリング等の付勢部材も不要となる。
【0022】
このような簡易な構成によりエアゾール容器の内容物の一定量を吐出できるものとした。
そして、上記のような簡易な構成を採用したことにより、上記ステム接続部又は作動部の外径を簡単により大きなものとすることができ、定量室の大容量化もより容易に実現されることとなるのである。
【0023】
本発明の第2のものにおいては、前記流通路の封止構造を限定したものである。
即ち、前記延長部の中間部外周に段部を設け、前記貫通孔の内周面にも段部を設け、前記作動部を押下する第1動作によってこれらの段部が相互に当接することにより前記流通路が封止される構成を採用したものである。
【0024】
本発明の第3のものにおいては、前記延長部の下端外周部に鍔部を設け、この鍔部が前記貫通孔の下端部に当接して前記作動部が前記ステム接続部から上方に離脱しないことを限定したものである。
作動部がステム接続部から上方に抜脱しない構造を特定したものである。
【0025】
本発明の第4のものにおいては、前記流通路の出口である吐出口を特定したものである。
即ち、前記吐出口を前記作動部の上面部に円環状に複数設けた構造を採用した。
【0026】
本発明の第5のものにおいては、上記のそれぞれの発明において、前記エアゾール容器の上端部に肩カバーを更に設け、前記ステム接続部の外周壁部が前記肩カバーの内周壁面に沿って上下に摺動することができ、前記肩カバーの内周壁が前記ステム接続部の上下動作のガイド壁面となるように構成したものである。
これにより前記ステム接続部の上下動を円滑に行うことができる。
【0027】
本発明の第6のものにおいては、前記作動部の上面部が平面、斜面又は外側に膨出する湾曲面から形成されていることを限定したものである。
このように、本発明にあっては、作動部の上面部をフラットに、斜めの平らな傾斜面に、更には、外側に膨出する湾曲面に形成することができ、上記上面部の実施態様を種々特定したものである。
【0028】
本発明の第7のものにおいては、前記作動部の平面視直径方向外側に延長する押圧操作用の押圧部を一対設けたことを特定したものである。
使用者の操作の便宜を考慮して、片方の2本の手の指で上記対象位置にある押圧部を押圧して内容物を吐出させ、その後手の平で内容物を掴むことができることとなる。
【0029】
本発明の第8のものにおいては、吐出口の構造をより具体的に限定したものである。
即ち、前記吐出口を上方向、斜め方向、又は、斜め上内側方向に向けて設けるように形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明のエアゾール定量吐出アクチュエーターに係る第1実施形態を示し、その(A)が平面図、その(B)が中央縦断面図である。
図2】本発明のエアゾール定量吐出アクチュエーターに係る第2実施形態を示し、その(A)が平面図、その(B)が中央縦断面図である。
図3】本発明のエアゾール定量吐出アクチュエーターに係る第3実施形態を示し、その(A)が平面図、その(B)が中央縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付の図面と共に本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明のエアゾール定量吐出アクチュエーターに係る第1実施形態を示し、その(A)が平面図、その(B)が中央縦断面図である。
【0032】
本発明の第1実施形態に係るエアゾール定量吐出アクチュエーター(以下単に「アクチュエーター」という。)は、ステム接続部11と、このステム接続部11を押下できる作動部12とから成る。
【0033】
ステム接続部11は、略筒体形状を有し、その下端中央部には図示していないエアゾール容器のバルブステムに接続するステム接続口11sを有し、このステム接続口11sの上方には定量室16が設けられ、前記ステム接続口11sと定量室16とは連通している。
【0034】
この定量室16の天部の略中央部には貫通孔11hが設けられている。
定量室16の外周の全体には、環状溝部11mが形成されており、後に説明する作動部12の筒体部12cが上下移動可能に嵌入する。
【0035】
作動部12も上記定量室16を囲繞するような略筒体形状を有しており、上記した通り、筒体部12cがステム接続部11の定量室16を囲繞するように形成され、その上面部12tの略中央部から下方に延長する延長部12eが設けられ、当該延長部12eは、上記ステム接続部11の貫通孔11h内に嵌入する。
【0036】
上記延長部12eの下端部の外周には鍔部12fが設けられ、延長部12eが貫通孔11hから上方に抜脱できない構成である。即ち、作動部12が上下には移動できるが、ステム接続部11と分離しない構造である。
【0037】
従って、上記貫通孔11hと上記延長部12eとの隙間(間隙)が流通路17を形成し、この流通路17の出口が吐出口20となる。この実施形態では、前記吐出口20を作動部12の上面部12tに同心円状(環状)に6個設けている。また、その吐出口20から内容物は中心方向斜め上方に向かって吐出する。
【0038】
上記延長部12eは円筒状に形成されており、その外周の中間部位には段部12dが設けられ、他方、ステム接続部11の貫通孔11hの内周面の下端部にも段部11dが設けられ、これらの段部12dと段部11dとが当接することによって上記流通路17が封止される。
これらの段部11d、12dの間にはOリングを介在させることも出来る。
【0039】
作動部12の上面部12tには、その外周部分で、平面視直径方向に延長する、押圧操作を行うための押圧部25、25を一対設けている。図中、「PUSH」と表示された部分である。
この押圧部25、25を片方の手の2本の指で押圧して作動部12を押下することができる。
【0040】
ステム接続部11の下方の外周壁部11wは、エアゾール容器の肩カバー30の上方内周縁部30wに沿って上下に摺動可能である。
この上方内周縁部30wが、肩カバー30の内周壁を意味する。
以下、上記作動部12とステム接続部11の動作について説明する。
【0041】
図1においては、不使用状体又は保管状態を示している。
この図では、エアゾール容器を図示していないが、ステム接続部11のステム接続口11sはエアゾール容器の上端部に備わるバルブステムに接続されている。
【0042】
この図の状態で、作動部12の上面部12tに設けられた押圧部25、25を指により下方に押圧する。
作動部12が下方に押圧されると、延長部12eに設けた段部12dとステム接続部11側の定量室16の天部に設けた貫通孔17に設けた段部11dとがOリングを介して当接することにより、流通路17が封止される。この動作が第1動作である。
【0043】
次に、上記第1動作を終えた状態から更に作動部12を下方に押圧すると、作動部12はステム接続部11を更に押下し、エアゾール容器のバルブステムをも同時に押下する。これが第2動作である。
これにより、エアゾール容器内の内容物が定量室16内に充填される。
【0044】
上記第2動作を終えて、内容物が定量室16内充填された後に、押圧部25、25から指を離すのである。これが第3動作となる。
この第3動作により、定量室16内に充填された内容物の内圧により作動部12が上方に押し上げられ、段部11dと段部12dとの封止が開放され、定量室16内の内容物が流通路17から吐出口20を経て外部に吐出されることとなるのである。
【0045】
エアゾール容器の内部には、各種の内容物が収容され、例えば整髪料や洗顔料等と各種の噴射剤とが封入され、その上端に設けられたバルブステムを押下すると、これら内容物がバルブステムから吐出される。
【0046】
エアゾール容器の上端周縁部には肩カバー30が設けられ、この肩カバー30の上方内周縁部30wに沿って上記ステム接続部11の外周壁部11wが上下動できる。
即ち、上記ステム接続部11の下端側の外周壁部11wが上記肩カバー30の上端周縁部(内周壁)30wに沿うように上下摺動し、上記肩カバー30の上方内周縁部30wが上下摺動のガイドとなる。
【0047】
図2は、本発明のエアゾール定量吐出アクチュエーターに係る第2実施形態を示し、その(A)が平面図、その(B)が中央縦断面図である。
この第2実施形態においても、その構成は上記第1実施形態に係るアクチュエーターとほぼ同じであり、唯一異なる点が作動部12の上面部12tが平面でなく、傾斜面から形成されている点である。
【0048】
即ち、この第2実施形態に係るアクチュエーターも、ステム接続部11と、このステム接続部11を押下できる作動部12とから成る。
ステム接続部11は、略筒体形状を有し、その下端中央部にはエアゾール容器のバルブステムに接続するステム接続口11sを有し、このステム接続口11sの上方には定量室16が設けられ、ステム接続口11sと定量室16とは連通している。
【0049】
この定量室16の天部の略中央部には貫通孔11hが設けられている。
定量室16の外周の全体には、環状溝部11mが形成されており、作動部12の筒体部12cが上下移動可能に嵌入する。
【0050】
作動部12も上記定量室16を囲繞するような略筒体形状を有しており、筒体部12cがステム接続部11の定量室16を囲繞するように形成され、その上面部12tの略中央部から下方に延長する延長部12eが設けられ、当該延長部12eは、上記ステム接続部11の貫通孔11h内に嵌入する。
【0051】
上記延長部12eの下端部の外周には鍔部12fが設けられ、延長部12eが貫通孔11hから上方に抜脱することができない。
従って、上記貫通孔11hと上記延長部12eとの隙間(間隙)が流通路17を形成し、この流通路17の出口が吐出口20となる。この実施形態では、前記吐出口20を作動部12の上面部12tに同心円状(環状)に6個設けている。
ここで、この第2実施形態では、その上面部12tが斜めに傾斜した傾斜面から形成されている。
この点が上記第1実施形態と唯一異なる構成である。
【0052】
上記延長部12eは円筒状に形成されており、その外周の中間部位には段部12dが設けられ、他方、ステム接続部11の貫通孔11hの内周面の下端部にも段部11dが設けられ、これらの段部12dと段部11dとが当接することによって上記流通路17が封止される。
これらの段部11d、12dの間にはOリングを介在させている。
【0053】
作動部12の上面部12tには、その外周部分で、平面視直径方向に延長する、押圧操作を行うための押圧部25、25を一対設けている。図中、「PUSH」と表示された部分である。
この押圧部25、25を片方の手の2本の指で押圧して作動部12を押下することができる。
【0054】
ステム接続部11の下方の外周壁部11wは、エアゾール容器の肩カバー30の上方内周縁部30wに沿って上下に摺動可能である。
この上方内周縁部30wが、肩カバー30の内周壁を意味する。
上記作動部12とステム接続部11の動作は、上記第1実施形態と全く同じである。
【0055】
図3は、本発明のエアゾール定量吐出アクチュエーターに係る第3実施形態を示し、その(A)が平面図、その(B)が中央縦断面図である。
この第3実施形態においても、その構成は上記第1及び第2実施形態に係るアクチュエーターとほぼ同じであり、唯一異なる点が作動部12の上面部12tの形状あって、その上面部12tが外側に膨出した湾曲面から形成されている点である。
【0056】
即ち、この第3実施形態に係るアクチュエーターも、ステム接続部11と、このステム接続部11を押下できる作動部12とから成る。
ステム接続部11は、略筒体形状を有し、その下端中央部にはエアゾール容器のバルブステムに接続するステム接続口11sを有し、このステム接続口11sの上方には定量室16が設けられ、ステム接続口11sと定量室16とは連通している。
【0057】
この定量室16の天部の略中央部には貫通孔11hが設けられている。
定量室16の外周の全体には、環状溝部11mが形成されており、作動部12の筒体部12cが上下移動可能に嵌入する。
【0058】
作動部12も上記定量室16を囲繞するような略筒体形状を有しており、筒体部12cがステム接続部11の定量室16を囲繞するように形成され、その上面部12tの略中央部から下方に延長する延長部12eが設けられ、当該延長部12eは、上記ステム接続部11の貫通孔11h内に嵌入する。
【0059】
上記延長部12eの下端部の外周には鍔部12fが設けられ、延長部12eが貫通孔11hから上方に抜脱することができない。
従って、上記貫通孔11hと上記延長部12eとの隙間(間隙)が流通路17を形成し、この流通路17の出口が吐出口20となる。この実施形態では、前記吐出口20を作動部12の上面部12tに同心円状(環状)に6個設けている。
ここで、この第3実施形態では、その上面部12tが外側に膨出した湾曲面から形成されている。
この点が上記第1及び第2実施形態と唯一異なる構成である。
【0060】
上記延長部12eは円筒状に形成されており、その外周の中間部位には段部12dが設けられ、他方、ステム接続部11の貫通孔11hの内周面の下端部にも段部11dが設けられ、これらの段部12dと段部11dとが当接することによって上記流通路17が封止される。
これらの段部11d、12dの間にはOリングを介在させている。
【0061】
作動部12の上面部12tには、その外周部分で、平面視直径方向に延長する、押圧操作を行うための押圧部25、25を一対設けている。図中、「PUSH」と表示された部分である。
この押圧部25、25を片方の手の2本の指で押圧して作動部12を押下することができる。
【0062】
ステム接続部11の下方の外周壁部11wは、エアゾール容器の肩カバー30の上方内周縁部30wに沿って上下に摺動可能である。
この上方内周縁部30wが、肩カバー30の内周壁を意味する。
上記作動部12とステム接続部11の動作は、上記第1及び第2実施形態と全く同じである。
【0063】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明においては以下の通り各種設計変更をすることができる。
ステム接続部及び作動部は、いずれも略筒体形状を有しているが、ステム接続部の外周部全体には環状溝部が形成され、この環状溝部内に作動部の筒体部が嵌入する構造であり、その外径等は必要に応じて適宜設定することができる。
要するに、ステム接続部に上から作動部がかぶさるように組み付けられ、作動部が上下に移動できればよいのである。
【0064】
作動部の略中央部から下方に延長する延長部の上下長さ及びその外径も適宜自由に設定することができ、当該延長部の外周面に設けた段部も、前記外周面の中間部の何れの位置に設けてもよい。
同様に、ステム接続部の定量室の天部に設けた貫通孔の内周に設けた段部の位置も自由に設定することができる。
【0065】
ステム接続部の定量室の容量も必要に応じて適宜設計変更することができる。
この定量室の構造により、その上下の長さや内径長さを適宜変更することにより容易に大容量化を実現することができる。
【0066】
作動部の上面部に設けた吐出口の形態も自由に設計することができる。
上記第1実施形態のような作動部の上面がフラットなものにあっては、その吐出口の向きを鉛直上方方向又は斜め内側方向に向けて形成することができる。
他の第2及び第3実施形態においても同様である。
また、作動部の上面部に設けた吐出口の数も適宜必要に応じて自由に設定することができる。
【0067】
以上、本発明においては、従来のコイルスプリング等の付勢部材を一切使用せずに簡易な構成によりその定量室の大容量化を実現することができるエアゾール定量吐出アクチュエーターを提案することができたものである。
【符号の説明】
【0068】
11 ステム接続部
11d 段部
11f 鍔部
11h 貫通孔
11m 環状溝部
11s ステム接続口
11w 外周壁部
12 作動部
12c 筒体部
12d 段部
12e 延長部
12t 上面部
16 定量室
17 流通路
20 吐出口
25 押圧部
30 肩カバー
30w 上方内周縁部(内周壁)
図1
図2
図3